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【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 7【一般】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 18:08:08 ID:605h1ErK
ここはローゼンメイデンの一般向けSS(小説)を投下するスレです。
SSを投下してくれる職人は神様です。文句があってもぐっとこらえ、笑顔でスルーしましょう。
18禁や虐待の要素のあるSSの投下は厳禁です。それらを投下したい場合は、エロパロ板なりの相応のスレに行きましょう。
次スレは>>950を踏んだ人が、またはスレ容量が500KBに近くなったら立てましょう。

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保管庫
保管庫
http://rozen.s151.xrea.com/
http://www.geocities.jp/rozenmaiden_hokanko/
http://rinrin.saiin.net/~library/cgi-bin/1106116340/

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 18:16:43 ID:ymIutRRW
テーマ募集 書くかは分からん。

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 19:25:29 ID:bJM2HT44
>>1
乙!

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 21:30:08 ID:9gWeHqip
>>1
立てようとしたけど立てられなかったんだよなぁ

5 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:12:25 ID:jljbdYPi
途中で途切れてしまったのでもう一度..そして続き

97

溶岩地の崖へと再び追い詰められた真紅は、その後ろの細いアーチの橋に飛び移った。岩で出来た天然ものの橋だ。
やがて追って来た水銀燈も橋に降り立つ。
下の方から、灼熱のマグマが出す蒸気と熱気が伝わってくる。
二人は不安定な足場のところで向き合い、慎重にバランスを取りながら橋の上を動いた。
真紅は後ろへと。水銀燈は前へと。
「水銀燈…」
真紅は相手の名をぽつりと呟くと一瞬だけ後ろを確認した。帽子も失い、体中傷だらけの状態になっている。
2人のいる橋の下で、マグマが彼女たちを飲み込もうとばかりに真っ赤に燃える飛沫を爆音と共に噴き上げた。それに触れれば火傷では
済まされない。
真紅の隣を、ホーリエが心配を訴えかけるように飛び回った。チカチカと赤い光をだし、警告している。
分かっているわ、真紅は心の中でそれに答えた。分かっている。なによりこの世界から脱出しなければ私たちは溶岩に焼かれ消えてしまう。
このフィールドはもう持って10分。はっきりいって、絶望的だった。度重なる水銀燈との辛辣すぎる戦いですっかりこの世界からの
出口が分からないところまできてきまった。
真紅と水銀燈2人の体のバランスが橋の上で危なっかしく揺らぐ。奥に進めば進むほど、この岩の橋は幅を細くしていっている。
いよいよ水銀燈が真紅の目の前に迫って来た。
そして剣が振られる。
剣先が真紅のステッキにあたり、彼女の体が大きく傾いた。「っと…!」フラフラ左右に体を振らしながら必死にバランスを保つ。
一方の攻撃した水銀燈もその反動でバランスを崩したが、お構いなしに彼女は真紅に攻撃を加えていく。
「っ…あっあっあっ」
その遠慮のない剣の攻撃をステッキをかざして奇跡的に受け止めていった真紅は、まるで猛スピードで後ろ向きに綱渡りしていくサーカス
の人の気分を味わった。
尚もステッキと剣が繰り返し当り散らす。橋の大部分まで渡ってきた真紅は下にまだ足場があるのを見つけると、そっちに飛び降りた。
その真紅の頭上を振り切られた水銀燈の剣が通り過ぎる。金髪が数枚その犠牲となり宙を舞う。
水銀燈はすぐに真紅のあとを追い、その足場へ橋から降り立つと攻撃を再開した。
剣とステッキがもう一度衝突したが、もうその戦いに疲れきってしまった真紅は、ふっと体から力が抜けたように足元をふらつかせ
ると水銀燈の胸元によれかかった。もうこれ以上立っていることも辛い。もう戦えない…帰りたい…
だが非情にも、水銀燈は倒れかかってきた真紅を思いっきり左手で突っ放した。
「あっ…」
真紅はよろめきつまずいてそばの大きな岩にしがみつく。
もうやめて…
振り返った真紅は青い瞳で水銀燈にその眼差し送った。
それが伝わる筈もなく、水銀燈は岩に寄りかかる真紅に上から切りかかった。
悔しそうに口をつむぎ、真紅は岩を離れて立ち上がると水銀燈の両手首をそれぞれ頭上で掴んで封じ、二人は押し合う形となった。
爆発音が鳴り響き、マグマが大噴火を起こす。
燃え盛る溶岩の明かりに真紅と水銀燈が包まれるなか、紅い花弁と黒い羽が噴火に伴うように吹き上がり、炎に照らされる。
「うぅ…うあっ!」
そんな中で2人の押し合いは続いた。

6 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:14:49 ID:jljbdYPi
マンションの警備室への入り口と思われるドアの前に立ったジュンは、頭の中で思考をめぐらせていた。「さて、どうしよう…?」
ドアの先から新世界のクラシック音楽が聞こえてくる。
その異様な様子に、ジュンはこの警備室の中の人達がロクなものではないことを理解した。
「問題は、"すいませーん"でいくか、"大人しく今日の映像記録を全て消せ"でいくかなんだよな…」
当然、ジュンは"すいませーん"路線で行きたかった。大の大人、そりも警備員が相手ともなれば喧嘩で勝ち目はない。
雛苺が助手としているが、薔薇乙女に人間と喧嘩させたくはなかったし、雛苺にもそれは無理だ。
四の五の考えているうち、突然扉が開いた。向こう側から開けて来たらしい。
「やば…」
ジュンはあたふたした。扉が開くなり、奥の室内からより大音量のクラシック音楽が耳に入ってくる。
「おっと失礼!」警備室の中にいる二人の男のうち、一人の方が言った。「新世界を目前にしていてもたってもいられなくてね!
こちらから迎えさせて貰いました」
ジュンは息を呑んだ。こいつら、もう自分たちが生きた人形を持っていることを知っているのか。
「は…はん!」必死に余裕を装いながら、ジュンは手に抱えた雛苺を突き出した。「どんな屈強な男も腰を抜かす狂気と呪いが
ここにはある!世に伝説の悪魔人形、ローゼンメイデン!」ジュンは、必死にいままでの通販で買って来たインチキ商品の宣伝文句
を思い出しながら、男達を愕かそうと試みた。「ローゼン公爵夫人が娘の為に手作りした人形!しかしその娘が急死して以来、
夜な夜なこの人形はひとりでに歩き出し…」まるで子供だましみたいなを言っていることは百も承知で、ジュンは雛苺に耳打ちした。
「雛苺、呪いの人形っぽく振舞え」
「ヒナが?」雛苺がジュンに聞き返した。「そうだよ。はやく!"娘さん?娘さんはどこなの?"とかいえばいいから!」
「分かったなの!呪いの人形の真似すればいいのね?」
雛苺は決心したようにジュンに言うと、警備員の男達に向き直った。「"怖いぞぉ怖いぞぉー。呪っーてやるですぅ!"」
翠星石の真似か?ジュンは顔を渋らせた。
確かに僕は翠星石のことを数え切れないくらい呪いの人形と呼称したし、ある意味ぴったりだと僕も思うけど…
「ひっ…」二人のうち一人の男が怖気づいた。「の…呪われる!」
「バカヤロウ!」屈強そうなもう一人がその男をどついた。「いいか、ここは俺達の警備室だ。"アラモの砦"だ!俺が安全だといったら
ここは安全なんだ!何人ともこのアラモの砦を侵せやしない!」
こあの男、何処までも狂ってるな。
そう思いつつジュンはついに賭けに出た。「お前も呪われたくなかったら素直に映像のデータを消してもらおうか!」
「生憎、すでにエンコード中だ」男は答える。この警備員で一番偉そうにしている奴が最後の壁か…「分かるか?少年。divXさ。
それも一般の庶民が使うような易いdivXコーデックなんかじゃないぞ。プロの為のコーデックだよ。愕くべきビットレート値の高さ
での出力を常に約束してくれる。そのレンダリングパワーは賞賛に値する。見ろ少年、エンコードの作業がみるみる進んでいく」
男は左手を持ち上げ、親指で後ろのモニターを差した。そのモニターには、水銀燈がちょうど銃を持って使い方を試行錯誤している部分が
スロー再生されており、中心はに一つの小さなウィンドウが表示されている。

7 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:17:37 ID:jljbdYPi
    レンダリング中...
      フレーム : 17077/25745

「どうだ少年?」男は続けて言う。「あれはAdobe社のPremierePro だ。AdobeMediaEncoderさ。
フレーム数がフルになった時、レンダリングは終了し、全世界に届けられる映像へと生まれ変わる。この衝撃映像の第一発信者の
俺は名声を手に入れる。動画には俺のネットでのハンドルネームを刻んであるのさ。俺はこのフレーム数を忘れないぞ。勝利の数字だ!
2574…あああああ゛!!!」
色々喋っていた男だったが、突然断末魔の叫び声を上げると失神して無様にぶっ倒れだした。
ジュンも、残された警備員も目を瞠った。

ベリーベル…ピンク色の人工精霊があの男の股間を焦がしていた。
雛苺の人工精霊、ベリーベルは自分が男に如何に致命的な一撃を加えたのかが分かりきっていない様子で、少し戸惑い気味に浮遊していた。
ただ、ジュンに抱かれた雛苺の高さからベリーベルは男に勇敢にも突進しただけなのだから。たまたまその高さが人間の男全てに共通する
弱点と同じ高さであり、その偶然が効いて男を一撃で倒せてしまったということを知る由もない。

ジュンは驚きのあまり痙攣する唇と悪戦苦闘しながら、喋り出した。「よ…よし!雛苺、呪いがきいたな!」
そして残されたもう一人の警備員を睨みつける。「…お、お前ものろわれたくななかったら、大人しく映像のデータを全部消すんだ!」
「ひ…ひ…助けてくれ!」だが男は、警備室の隅っこですっかり腰を抜かしてしまい動けないようだった。「のろわれる!」
「くそ…仕方ないなぁ…」ジュンは男の代わりに警備室の椅子に座り、コンピューターと対峙した。
自宅でのPCを弄った経験がここでも通用すればいいが…

  Security Console DDE Rev 3/4     Terminal:T17

   Archive - 09/3/07       16files      1,483GB
    Zone01 - 07/3/07         36files      347GB
     prw0019182ie..                 854MB
    Zone04 - 09/3/07         13files     123GB
    Zone05 - 09/3/07         36files     247GB
    Zone06 - 09/3/07         28files     312GB
    Zone07 - 09/3/07         87files     214GB
    Zone08 - 09/3/07         43files     188GB
    Zone09 - 09/3/07         27files     216GB
    Zone10 - 09/3/07         24files     292GB
    Zone11 - 09/3/07         52files     107GB
   Archive - 09/2/07       165files    1,217GB
   Archive - 09/1/07       216files    1,153GB
   Archive - 08/31/07       121files    1,954GB
   Archive - 08/30/07       199files    1,388GB
   Archive - 08/29/07       216files    1,184GB

このコンピューターが収めているであろう桁違いな映像データの容量にジュンは圧倒された。これの中から水銀燈や自分達を
収めた動画ファイルを探さなければならない。
バカな。そんな作業は時間の無駄だ。
「…くそ、悪いけど、きょう三日の分のデータはまとめて全部消去させてもらうよ」ジュンは警備室の隅でおびえている男に言い放ち、
コンピュータをいじりだした。まずはエンコード中のソフトウェアのウィンドウを覗き、"キャンセル"を押す。
それからアーカイブ 09/3/07 を選択し、"画像ログを消去"をクリックした。コンピューターの中の画面が切り替わる。

8 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:18:52 ID:jljbdYPi
   画像ログを消去
 [全ての画像ログを消去]
    キャンセル

 パスワードを入力してください
   _

「チィ」
ジュンは舌打ちした。やはりそう簡単にはいかないか。パスワードを入力しなければデータを消去するこどかできない。
警備員の男のほうに向き直り、ジュンは脅すように語調を荒げたつもりで言った。
「パスワードはなんだ!?」
「ひっひぃっ」室内の隅で男が縮み上がる。「パパパパパ…パスワードは"airstyle"です!空気のエイアーに格好のスタイルです!」
いい終わるなり、男はびくびく震える足で立ち上がると泣きじゃくりながら警備室の外を目指した。「たすけてー!」
「くそ」ジュンはその男を取り逃したことを後悔した。もしもマンションの住民を呼ばれたりしたら厄介だ。
そんなことを考えながら、ジュンは急に自分が犯罪者になってしまったような錯覚を覚えた。「なんでこんなことしてんだろおれ…
僕はなんも悪いことしてないってのに…」
一人で毒づきながら、ジュンはパスワードを入力するとEnterキーを押した。

     画像ログを消去
   [全ての画像ログを消去]
      キャンセル

 パスワードを入力してください
     airstyle
(!)パスワードが間違っています(数字8文字で入力してください)。

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/07(日) 23:19:10 ID:mrWck3mE
>>1
乙です!

10 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:20:08 ID:jljbdYPi
98

マグマが生む分厚い蒸気と煙に取り巻かれながら、真紅と水銀燈はもう一度互いの剣刀を激突させた。それとほぼ同時にマグマが噴火する。
視界が悪い。溶岩が飛び散らす火の粉や蒸気、もやもやと湧き上がる熱気がそうさせていた。
マグマの水位が徐々に増してきている…
真紅はその危険性に気付いていたが、水銀燈の方はそれにあまり注意を払っていないようだった。彼女の周囲をあんなにも
辺り構わず火の粉が飛び散らしているというのに。徐々に迫ってくる水銀燈の姿が、漂う熱気でゆらゆら揺れて見える。
やがて襲ってきた水銀燈の攻撃をまたステッキで受けながら、真紅は腕の感覚が麻痺してくるのを感じていた。
このまま戦いを続けていては二人ともマグマに飲み込まれてしまう…

あまりにも過酷な環境の火山地帯。
真紅と水銀燈が戦いを続ける場所から数十フィートも離れた廃れた岩肌を、第一ドールの契約者、柿崎めぐは弱りきった身体で懸命に
這っていた。
遥か遠くの低地で、剣とステッキを交わらせながら戦っている水銀燈と真紅の姿が見える。
もっとはっきりみようと、めぐは岩の地面を必死に這った。もっと近くで見たい。心臓が苦しさに悲鳴を上げている。

最後に水銀燈の姿をもう一度。

左手の指輪から感じる熱さからは、いままでとは違う、容赦なく身体から力を奪い取っていくような狂暴さが感じられる。
水銀燈は、約束を守ってくれるんだ。めぐは思った。いまに私の命を天使さんの世界へ運んでいってくれる。
「うっ…うう…」
身体からどんどん力が失われ、ついにめぐはもうそこから動けなくなった。心臓がペシャンコにされそうに苦しい。
この最期、私に出来ることは一つだけだ。
口から吐血しながら、めぐは死力を尽くして寝返りを打つと仰向けになった。
茶色の不毛な曇り空を見上げる。悪くない…めぐは思った。途方もなく廃れ、救いようのないこの空も悪くない。
意を決し、地獄の心臓の苦しみにも顧みずに、めぐは17年間の矛盾した人生からついに開放されながら最後の歌を歌い出した。

「夢は…風」口の中に血の味が広がる。「光り…導く…うっ…」吐血が激しくなる。間違いなく、私のこの身体は死に向かっている。
ここには、邪魔な看護婦もいない。

  「…空と雲を 超えていく あなたの声響け

  幸せと 嫌な思い出 優しい今が遠ざかる...

  "水銀燈、あなたは天使よ...とっても甘い夢でしょう?..."


「っあアっ!」
もう何度目か分からない水銀燈の顔面への蹴りを食らった真紅は泣き喚く声をあげてながら後ろによろめいた。
水銀燈は無数に飛び回る火の粉の中をぐいぐいおし進んできながら真紅に迫っていく。
哀しみと絶望に打ちひしがれ、真紅は顔の頬を手で押さえた。「痛いわ…。ジュン…翠星石…」
その直後、一片の慈悲も見せる様子のない水銀燈が真紅の目の前に躍り出てきた。左手に嵌める指輪は紫色の強烈な光を放っている。
真紅の首を目掛けて水銀燈の剣が水平に振られてきた。
ステッキでそれを防ぐが、もう腕の感覚がない。
その後も2人の剣舞は火山の噴火が続くなかで行われたが、真紅にとってはもはや反射だけが身を守る最後の砦だった。
ステッキで上から水銀燈の剣を地面に叩き付けて封じる。
そのとき、怒り狂ったマグマが二人のすぐ横で爆発を起こし、真紅と水銀燈を遥かに超えた高さにまで噴き上がった。
大地の悲鳴が鳴る。真紅はそのマグマを横目に見上げながら、すぐその事態を悟った。
水銀燈の剣を放し、ステッキを持ち直すと真紅は一目散にその場から離れだした。

11 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:22:13 ID:jljbdYPi
「ぐわああああああぁぁっ!」
でこぼこする岩場を懸命に駆ける真紅の背後で、水銀燈の悲痛な叫び声がした。
戦慄が体を貫く。釣られて思わず自分も悲鳴を上げそうになりながら真紅が振り返った。
上から降って来たマグマの飛沫を、水銀燈は頭から被っている。彼女は黒い翼で身を守ろうとしていたが、翼はあっという間に炎に
焼かれ完全に無くなった。焼け付く痛みに倒れこむ水銀燈の背中を、尚も降り続けるマグマの燃える雨が焼いている。
「熱い!熱い!ああああ!」
水銀燈のドレスの背の部分は焦がされ、穴が開いた。
フィールド中で溶岩の爆音が轟く。

やがて噴火は終わり、マグマの雨は止んだ。それでも、水銀燈は両手で顔を抑えたまま地面にうずくまっている。
真紅は激しい恐怖に襲われながら近くの岩に寄りかかって、その水銀燈を見ていた。

「うっ…うっ…」
呻きながら、水銀燈は両手を離すと、やがて顔を上げた。
その瞬間真紅は息を詰まらせ、口元を手で覆った。
水銀燈の顔の左半分は、溶岩で溶けて完全に爛れてしまっていた。肌がロウのように溶け落ち、痛々しい姿を見せる。
気が飛びそうになりつつ、真紅は弱りきった声で彼女に呼びかけた。「す…水…銀燈…」
すると水銀燈は膝を立て、手で地面を支えるとよろよろと立ち上がった。「私は…アリスになる…もう私には父様だけ…きっとアリスに…
お父様に抱いてもらうの…愛してもらうの…それまで私の戦いは終わらない…」
そう言い、ふらつく足取りでしかしはっきりとした目標を持ち、一歩また一歩と進み始める。「真紅…私は、ジャンクなんかじゃ…ない…」
真紅は、目に涙をためながらそんな光景を見ていた。「水銀燈…あなたは…」
黒の翼を焼かれ失ったその姿は19世紀の真紅と決裂する前の水銀燈を思い起こさせた。
「あなたはまだ戦うというの…?」
答えはない。ただ水銀燈は真紅を目指して灼熱の道を歩いてくるだけだ。
二人の戦いはやがて再開した。

顔が焼け爛れたとはいえ、水銀燈の剣裁きは健全だ。力も衰えていない。
今度こそ後がない崖っぷち立った真紅はいまや切り傷だらけとなったステッキを武器に戦いを続けていたが、
本当の地獄がいまから始まったことを悟った。
自分達の立っている足場の地盤がゆがむ。降って来た溶岩をもろにかぶった部分から地面が熱にやられて溶け込み、いまにも崩れ落ちよう
としている。
すぐに安全なところへ逃げようと試みたが、立ちはだかる水銀燈に阻まれた。
水銀燈…!ここにいてはニ人とも…!
声がでない。喉がかれきってしまった。
まもなくして、彼女達の立っていた端っこの足場は岩の大陸から剥げ落ち、下を流れるマグマの真っ赤な大河へと軋む音を鳴らせながら落下
しだした。地面が急降下しいき、体の体重がいきなりゼロになったような感覚を味わいながら、真紅は必死に生き延びられる場所を
探した。どすれば…!
残された道は、ただ一つだった。
真紅は落下中の岩場の地面を駆け抜け、ぎりぎりまで助走をつけると端を蹴り、飛んだ。
自分達がさっきまでいたはずの大陸の断崖絶壁を目指し、手をのばす。
その真紅の右足を後ろで水銀燈が掴んだ。
そのまま水銀燈を足に吊るしたまま、真紅は岩の絶壁に右手でしがみつき、ぶら下がった。
右手がかろうじで岩壁のわずかな出っ張りを掴んでいる。一方のぶら下げられた左手にはステッキを握りしめたままだ。
真下では、落下していった岩場の一角がマグマの中に飲み込まれ、轟音をたてながら溶かされていく。

真紅の右手が、最後の命綱だった。
翼を失い、彼女の足につかまってぶら下がっている水銀燈もまた、真紅の手が力尽きたら共にマグマへ転落する運命にある。

12 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:24:00 ID:jljbdYPi
99

ジュンは絶望的な気持ちに襲われた。
「パスワードが違うじゃないか!よりにもよって数字だけだって?"airstyle"だとかいってたクセに!」
呆然ともう一度コンピューターの画面を見つめる。

     画像ログを消去
 [全ての画像ログを消去]
      キャンセル

 パスワードを入力してください
     airstyle
(!)パスワードが間違っています(数字8文字で入力してください)。

まんまと騙された。データを消すことは出来ない。ジュンは肩を落とし、深々と警備室の椅子に座ると天井を見上げた。
「おわった…」
「ジュン、ジュン」状況が読めていない雛苺が不安げに質問した。「パスワードって、なんなの?私達の記録は消せないの?」
「パスワードってのは、合言葉さ」やり投げな口調でジュンは答えた。「合言葉がわからなければ記録が消せないんだ!
あー!だめだっ!終わりだ!」頭を両手で掻き毟る。
この映像が決めてで、世界は生きた人形の恐るべき真実をしることとなるだろう。
「合言葉…」一方の雛苺は首を傾げながら、ある記憶を辿っていた。
彼女の苺大福を狙う意地悪な翠星石を出し抜くためにジュンとの間だけで秘密の合言葉を作り、それで翠星石をはめたことがある。

…"よし雛苺、出来たぞ。手作り製の梅干し大福だ。苺大福と見せかけて、中にはそれはすっぱい梅干しが中に入っている。そっくりだろ?
いいか、雛苺。これを翠星石に食わせてやれ。けど、お前まで区別できなくなるようだと困るから、僕はこの大福のことをイチトゴ大福
と呼ぶことにする。二人だけの秘密の合言葉だよ。知らない奴が聞いたらきっとイチゴ大福の言い間違いだと思うさ。
雛苺、イチとゴの間にある数字はいくつだ?"

"ええっと…ニとサンとヨンの…みっつなの。"

"そう。みっつ。サンだ。酸味のサンと覚えて置くんだ。とてもすっぱい"…

「もしかしたら、」
雛苺のその提案は、あまりにも突然だった。「さっき男の人が言ってたパスワードにもヒミツの意味があるかもしれないなの!
この前ジュンがイチトゴ大福に数字のイチとゴの意味を隠していたように!」
「…ん!?」
そういわれ、ジュンは以前まんまとイチトゴ大福の罠に嵌って梅干しを食った翠星石の泣き顔を思い出しながらはっとした。

 airstyle − 。この英単語にもし数字的な意味が含まれているとしたら?

「"Leet speak"か!?」ジュンは唐突に言った。 Leet Speak − Elite Speak のeliteをeleetに変化させ、さらにそこから e を
とったことを語源に持つ俗語は、単なる飾りだけでなくインターネット素人による検索やフィルターにかからないようにしながら文字会話
する手段として使われることもある。代表的なものは、あるアルファベットを形の似た数字に見立てて表記する場合やある特定の記号
を使ってアルファベットを形作るなどだ。
例えば、汚い英単語の代表(THE FOUR WORDS LETTER)− Fuck の k を記号の"|"と"<"を組み合わせて"|<"と表記して"Fuc|<"と書けば、
隠語フィルターに引っ掛かることはない。他にも kill Pre-sident (大統領をころす) という文も kill の i を数字の1と表記して
k1ll pre-sident と書いてメールを交わせばフィルターに引っ掛かることはなく、突然家にアメリカのシークレット・サービスが
尋問に押しかけてくるなんて事態は避けられる。しかし最近では政府側も相当このleetSpeakを熟知し始めているのだが…。

13 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:25:53 ID:jljbdYPi
airstyle。8文字。8文字の数字で出来たパスワード。
もしこれがleetSpeakで全て数字で表記することができたら?覚えやすく、また万が一口走ったとしてもleetSpeakを知らない市民に
真のパスワードを探り当てられることはない。有効で利口なパスワードともいえる。
ただ、ジュンについてはPCで海外サイトもよく覗いており、たまたまそこからこのleetSpeakの存在を知ってしまっていたのだ。

ジュンは早速"airstyle"の数字化を試みて見た。まず、当然" I "は" 1 "になる。" l "も " 1 "になる。" E "は少しシャレて
反転させて" 3 "と表記している…
" r " も反転で " 7 " だ… " A "が" 4 "になることも形が似ていることでメジャーで… " T "は縦棒を斜めにして" 7 "、
最後に " S "は" 5 "… 

完成した八文字の数字を見つめ、ジュンは自分で感嘆したように息をついた。

     画像ログを消去
  [全ての画像ログを消去]
      キャンセル

 パスワードを入力してください
     41757113

「出来た…間違いない、これだ…あの警備員が言った"airstyle"のパスワードが全くの嘘っぱちでなければ、これでいけるはずだ」

  A − 4
  I − 1
  r − 7
  S − 5
  T − 7
  y − 1
  l − 1
  E − 3 

全てのアルファベットが、leetSpeakによって数字表記することができた。
自信はある。深呼吸をし、ジュンは Enter を押した。

14 :Rozen Maiden LatztRegieren X: Shinku vs Suigintou:2007/10/07(日) 23:27:20 ID:jljbdYPi

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「よ…よし!」ジュンは拳でテーブルを叩いた。「うまくいったぞ!」
「でも、ジュン、現場の方は?」何が起きているのかよく分かっていない雛苺が聞いた。「くんくんみたいなのが、あの現場で
何かショーコとかを見つけたら、ヒナたちはどうするの?」
その質問はジュンの笑みを自然と誘った。「雛苺、大丈夫だよ。鏡の中から人間や人形が飛び出てきたなんて、いまの人間の科学では
証明できやしないさ。この証拠の映像さえ消せれば、全く問題はないよ。奇怪な事件として探偵たちは頭を悩ますことにはなるだろう
けどね」
「おー…」雛苺は詠嘆の声を上げたが、実際本当に理解しているのかはジュンは心の中では決めかねた。
つまり、アリバイすら完璧すぎる密室の現場だ。僕らは鏡の中から部屋に侵入し、真犯人は黒い翼を持って窓から入ってきた。
そんなことを証明できるはずがない。
それを思いながら、ジュンはつくづく自分が非現実的な世界に取り巻かれていることを自覚した。
今度は、第七ドールの存在を使って暗黒物質の存在でも証明するんだろうな。
「あああっっ!!ジュン、ジュン!」またしても急に、雛苺が血相めいて声を張り上げた。「ジュン、急がないと…」
「どうした?」ジュンは回転式の椅子を回すと彼女の方に身体を向けて聞いた。「そんなにあせって…」
「時間が、時間が…」
雛苺の頭の中では一挙にあまりにも多くの言葉が駆け巡り、何から言い出せばいいのか分かっていない様子だ。「翠星石がいっていたの。
人間が死ぬと、その人の持つ夢の世界は30分後に消えてしまうって。もしその時にドールや人間が夢の世界の中にまだいたら、
消えてしまう前に現実世界へと帰らないと夢の扉が閉じられて、二度と出られなって一緒に消えてしまうって…だから…真紅と水銀燈が…」
「なんだって?」
ジュンは真紅と水銀燈が、まだ息絶えたあの人間の夢の扉の中に入っていったままだったことを思い出した。
二人がまだ現実世界へと帰ってくる様子はない。
モニターから見ると、確かにあの人間の上に浮いている夢の扉は次第に小さくなってきているような気がする。
「ここにきたのが10時半だったから…」
ジュンは警備室の中の時計に目を走らせた。「まずい!、あと4分切ってる!」

Y:薔薇乙女の英雄達 Hero of the Maidens に続く

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 00:16:26 ID:CLyNOx1O
>>1乙!

そして>>5->>14もGJ!

16 :ロックマンJUM2 イデア:2007/10/08(月) 01:36:10 ID:ZpIKlPAm

「JUM、珍しい本を見つけたのだわ」
「お? 懐かしい本を持っているな」

⊃ロックンゲームボーイ

「『池原しげと』……か、そう言えばこの人はロックマンのコミカライズもやっていたな」
「この人の作品はどんな作風なの?」
「ああ、お前達を当てはめて説明するとだな……」


〜ロックマンシリーズ〜
「しめた! こいつ羽がなきゃ空を飛べないのだわ! チャンス!!」
「うわーっ空が飛べないわぁ!! 自由もきかないわぁ!!」
「ローゼンメイデン第1ドールが空中を飛べなきゃ作りかけのジャンクとおなじなのだわ! この勝負もらったのだわ!!」
「うわああ!!」
「お父様の奴すごいドールを作ったが 空を飛べない時のそなえがないとは・・・・まぬけなのだわ」

「ふう……エネルギーが切れそうだ。 よし、ここらの苗木を倒して体力回復だ!」

「二度とこんなこと(アリスゲーム)をしないようにころしてやるです!」
「ひゃあ マジだ!!」

「とどめはわたしがさす! ハイパートゥモエブラスター!!」


〜ロックンゲームボーイ〜
「アッー! ヒナの空母(うにゅー)が沈むのーー!!」
「ムフフフフフ……かしら」


「……となる」
「失礼ね! 誇り高きローゼンメイデンはそんな汚い真似しないのだわ!」
「クスン……ひどいわJUM……水銀燈ジャンクじゃないもん」
「僕は苗木まで斬らないよ!!」
「翠星石が人傷つける訳ないですチビ人間!!」

「わ、我はマエストロ(メシア)なり……」
「ヒナのうにゅーーーー!!!」
「カナはハメルン塾の生徒じゃないかしらーーー!!!」
「桜田くん、私は人間よ……?」

「お前らいたのかよ」


投稿終了、そして遅くなったが>>1

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 02:47:22 ID:7tXqdp+n
>>14
GJ!!!連載お疲れです!

>>16
GJ!!

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:45:24 ID:H/7MXApO
981 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 22:30:44 ID:DnZsNRUT
薔薇すぃ>雪>翠>銀=紅>蒼=雛>金
金はアニメであの声で長々と台詞言うのがね
あとみっちゃんとのコンビが微妙 実際ウザいのはみっちゃんだが

985 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/08(金) 22:33:17 ID:lkUBPhDL
実際人気ランキングでドールズで最下位だからな
正直微妙すぎる、結果的にお荷物状態になってるしな

232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/14(木) 11:15:18 ID:CVLHLysZ
カナリアとかいらないだろ、常識的に考えなくても…


やっぱり銀様が一番だねっ☆

246 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/14(木) 14:26:17 ID:z8fpQsCT
金糸雀って本来、「不人気や影が薄いのをネタにされるキャラ」にするつもりだったんだろうけど、
予想外のことに真紅がその位置に収まってしまったためにマジで邪魔な存在になってるんだよなぁ

624 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 13:01:14 ID:0/kUGW5w
636 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2007/06/15(金) 21:13:44 ID:28s6kpFF
カナリア好きは、「敢えて不人気なデコ出しキャラを好きな自分」が好きなんだろ^^
正直に言えよw

642 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2007/06/15(金) 22:20:16 ID:33NEsrw+
>>636
確かに金糸雀信者ってそういう中二病っぽいイメージがある

947 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 18:19:58 ID:0hsZ6ppW
金糸雀厨って最萌の時も荒らしを呼び込んだし最悪だな
こいつらを同じローゼンファンとは思いたくないね

955 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 18:24:31 ID:6MmS36pF
>>947
ローゼン勢はみんな冷めてるのに金糸雀信者だけが必死になってたからな
実際そのせいでこのスレも荒れて人減ったし
アニメ最萌でも同じことが起こると思うとウンザリだわ

959 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 18:27:36 ID:0hsZ6ppW
ドール自体がクズだから信者もクズしかいないんだろうな

961 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 18:31:28 ID:IW6bytIi
>>947
>>955
もともと好きでもなかったけどその話聞いてますます金が嫌いになった

170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 23:57:25 ID:EblYP6d9
今人気投票したらカナは真紅より上位にいきそうな気がする
最萌でも優勝したし最近はカナの人気も結構上がってきてるよ

172 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 23:59:55 ID:0hsZ6ppW
>>170
ここまで頭の悪そうなレス久々に見た

176 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/27(水) 00:02:10 ID:4mmG3Ppn
>>170
真紅の不人気とキムの不人気はレベルが違うってこと分かってる?^^;

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:46:29 ID:H/7MXApO
179 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/27(水) 00:09:38 ID:Srlev5Jk
半分冗談まみれのレスだろ>>170

180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/27(水) 00:11:05 ID:mbAv5yFM
冗談じゃなかったら頭おかしい

186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/27(水) 00:19:57 ID:e1AlM3Lz
カナリヤ厨って>>170みたいな奴ばっかなの?
マジきめぇ

877 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/30(土) 09:00:06 ID:FudsV6Wi
漫画最萌で金糸雀信者が途中から凄い必死になってたのがキモかった

879 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/06/30(土) 09:15:18 ID:ulBFfg3O
>>877
わかる
翠星石に勝ったんだしもう満足しただろと思ったらなんかさらに盛り上がってるし…
信者以外からはみんな冷めた目で見られてたな

459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 16:58:07 ID:s0hTKQ3s
翠星石みたいに人気のあるキャラが普通に勝ち上がって優勝してしまうのはある意味仕方ないと思うけど、
金糸雀みたいに完全に信者の工作で勝ち取った優勝は悪い印象しか残らない

593 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 01:56:41 ID:+8HAMRbE
銀様>>>(嫁の壁)>>>双子>ばらきら>雛>>>(好きと嫌いの壁)>>>ジャン紅>>>キム

594 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 02:09:47 ID:2GKWkSNY
原作
翠=雛>紅>銀>蒼>雪>金

アニメ
翠=雛>銀>薔>紅>蒼>金

信者の痛さ
金>翠>蒼>銀>紅>雛=雪=薔

607 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 12:14:32 ID:1Fa2iN7G
つーかどうせ規制するなら>>593>>594みたいな金糸雀アンチも規制してほしいわ

643 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 17:02:34 ID:2GKWkSNY
>>607
金糸雀がドールズの中で一番嫌いってだけで規制になるんすかwwwwwww
ならこのスレの住民は一体何人規制されることになるんでしょうねwwwwwwwww

679 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 20:22:49 ID:E4V6wKBp
このスレがここまで糞スレに成り下がったのは金糸雀信者のせいだろうな

685 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 20:28:02 ID:E4V6wKBp
ファンの質(良い順)
真紅>雛苺>蒼星石>翠星石>水銀燈>金糸雀

薔薇水晶と雪華綺晶はあまり見かけたことないので除外

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:47:35 ID:H/7MXApO
796 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/11(水) 00:20:58 ID:n6MFpXJ7
金糸雀が叩かれてるのってこの板だけ?
それともローゼン関係のスレ全般?

799 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/11(水) 00:32:17 ID:RldEkZAp
>>796
スレというか、1人のやつがいろんなところで叩いてる。

823 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/11(水) 04:29:31 ID:GQToPukM
>>796
>>799も言ってるけどカナを叩いてるやつはおそらく一人
最萌でも優勝したぐらいの人気はあるし、アンチもつきにくいキャラだと思う
実際、「姉妹の中で一番好きじゃない」って思ってる人はごく少数なんじゃないだろうか

828 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/11(水) 07:29:33 ID:NcyuR8sU
>>823
>実際、「姉妹の中で一番好きじゃない」って思ってる人はごく少数なんじゃないだろうか

はいはい捏造捏造
VIPでたまに立つ不等号スレとかでも金を最下位にしてる人が少ないとは思えませんよ?
まーそれすら一人の自演っていうならもはや何も言わんけど

844 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/11(水) 11:41:04 ID:ZygPm9+D
>>828
すまん、好き嫌い以前にむしろドールとして認めたくないってのがほんとのところなんだよな
アンチコピペのおかげでかなりあに対する違和感の表出が難しくなって困るよ

851 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/11(水) 12:01:21 ID:XCZ5/pRA
金糸雀は他の姉妹から馬鹿にされながら生きてるけど、金糸雀信者も他人に馬鹿にされる人生を送っていくんだろうね

459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/21(金) 22:27:38 ID:iwCAlozp
金信者は「カナを嫌ってるのは粘着アンチだけ」と思ってそうだから困る
人気最下位=一般のファンからも嫌われてるって事実があるのに

465 名前:も ◆x3BPXU4g5U [sage] 投稿日:2007/09/22(土) 15:43:20 ID:YxXb9nDZ
ちくしょう、なんて時代だ。
この状況じゃカナのSS貼りたくてもはれません。

466 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 16:05:29 ID:CrRryqi6
>>465
貼れよ 荒らしが自演してるだけで
ほんとのローゼン好きにカナアンチはいない

人気はお世辞にもあるとは言えんが、原作が再開すれば現状まともに動けるのはカナだけだ
桃種次第では間違いなく評価が変わるドールだろう

472 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 21:56:36 ID:YxN7vel4
> ほんとのローゼン好きにカナアンチはいない

こういう勘違いしてる奴がむかつく
ローゼン好きでも金糸雀だけはいらないって意見は普通に見かけるだろ
荒らしのせいで周りが見えなくなってんじゃねーの

475 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 01:25:43 ID:UDZWHGHn
>>472
同意
アンチはウザいがどさくさに紛れて金糸雀の評価を上げようとしてる信者も同じくらいウザいし図々しい

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:48:59 ID:H/7MXApO
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/15(日) 21:34:35.17 ID:lMMveWzq0
金糸雀への反対意見を全てアニメのせいにし、原作の金糸雀をこれまた過度に崇拝する奴が金糸雀厨の特徴
実際の所そんなに印象が違わないのに、自分が原作で目覚めたからみんなもそうだと勘違いしている
そういうのがアンチを生むんだ

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/23(月) 17:19:33.25 ID:dGbWhkPo0
>>296
原作のカナを馬鹿にするとはいい度胸だ。勘違いなんてだれでもするだろうが
それに喧嘩を売った理由とかをちゃんと考えろやボケ
アニメのカナは別にいいよ。俺も不快だったし、アニメなんてなければよかったと思う
あのアニメのせいでカナがどれだけ苦しんだか。あれさえなければ原作のカナがみんなに広まり、評価されていたはずなのに

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/23(月) 17:28:35.04 ID:dGbWhkPo0
原作とアニメを切り離せず先にアニメを見てから原作を読んだ人は、アニメのカナの駄目な奴という印象を原作にまで持ち込んでくる
逆に先に原作を読んだ人はアニメのカナに絶望する
正しいのはどっちかは一目でわかるだろ?

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/23(月) 17:30:54.95 ID:dGbWhkPo0
>>303
原作のカナはいい子だけど、アニメのカナはいい子ではなく駄目な子
カナ好きはみんなアニメを怨んでるよ

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/23(月) 17:34:57.34 ID:dGbWhkPo0
つうか、アニメで入った人の多いであろうこのスレは俺たちにとっては敵なんじゃない?

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/23(月) 17:38:03.96 ID:dGbWhkPo0
たとえ敵じゃなくても正しいカナを全ての人に認識してもらうまで戦おう
アニメを徹底的に駆逐し、優れた原作をみんなに広め、そしてカナを再評価してもらおうじゃないか

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/07/23(月) 17:40:49.41 ID:dGbWhkPo0
いやそれは間違っている人だ
正しくしてあげないといけない

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/03(金) 16:15:46.66 ID:2QNvavZ30
黄色を忘れないでください

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/03(金) 16:36:09.02 ID:lcEtQGa90
カナリア厨って>>26みたいに盛り上がってるとこで水差す奴が多いからウザい

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:51:02 ID:H/7MXApO
653 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/08(水) 01:10:30 ID:Usbn2XoC
なんか党員って金糸雀を嫌ってる人が妙に多い気がする…

654 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/08(水) 01:19:50 ID:rA8GUsCh
>>653
銀様が未完成のまま放置されてその後最初に完成したのがアレじゃ嫌いにもなるわ

665 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/08(水) 04:33:11 ID:YtKXvNMX
>>654
禿同
3期ではぜひ銀様の手で糞カナリアをジャンクにしてもらいたい

445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/17(金) 13:00:48.93 ID:WKVPhz8yO
銀様=人気者だから嫉妬するアンチが付く
カナリア=単にキャラが糞だからアンチが付く

キム死ね

505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 12:20:40 ID:+ekIc0jT
金糸雀みたいなクズ人形を銀様と比べること自体おこがましい

507 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 12:47:28 ID:FHkMxxTP
>>505
禿同
キム死ね

68 名前:党員 ◆SUIGINtLCk [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 19:43:34.90 ID:Z0CAGw1XO
まあ神奈川の容姿は私初め多くのアニオタには合わないコンセプトであった事が時間及び統計的なもので判明した
どうでもよかろうが、そんな空気を支持する信者を目障りに思い、煽りを始める物も必然的に現れる
目的は神奈川信者の中傷、それとそこから派生する自己満足。一つの中毒症状だな。無理矢理三行

79 名前:党員 ◆SUIGINtLCk [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 20:01:32.58 ID:Z0CAGw1XO
特別にカナブンの私的評価を述べよう。暇だし

狂言回し役で眉が薄い、意志が薄弱で行動に説得力が無い
世話が焼けそうで面倒臭い、そこそこある実力を隠し過ぎていて勿体ない
見ていてイライラする、美しくない
こんなもんか

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:52:39 ID:H/7MXApO
195 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 11:45:31 ID:tUA12Ffg
金糸雀って手紙を水浸しにしたり薔薇水晶との戦いで横槍入れたり翠星石に対して何か恨みでもあるんだろうか
翠派の俺としては早く消えてほしい存在だ

197 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 12:03:07 ID:F6hCC3c+
>>195
禿同
あと原作で真紅から雛苺のローザミスティカを奪おうとしたのも糞ウザかった
何勝手に勘違いして喧嘩売ってんのって感じで

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/10(月) 11:31:48 ID:RCfBgOCcO
水銀燈や翠星石みたいなキャラの信者に痛いのがいるのは人気的にある意味仕方ないけど、
カナリアって人気最下位のクズだろ?そのくせ信者も痛いとか最悪だな

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/10(月) 18:29:34 ID:0WKDyc9e0
>>437
逆に考えるんだ
金糸雀みたいな人気最下位のクズ人形だからこそ信者も似たようなクズが集まる
そう考えるんだ

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/11(火) 03:12:41 ID:9f7MxCa20
金糸雀信者は在日と部落民で構成されているらしい

540 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 21:34:08 ID:1loRdLic0
金糸雀信者の痛い書き込みが定期的に貼られるけど他のドールはそんなことないな
やっぱり金糸雀とその信者が一番嫌われてて痛いんだろうな

549 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/24(月) 10:25:48 ID:3qzs60z10
信者一人あたりの痛さは金がダントツ

550 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/24(月) 10:58:12 ID:AvkCh2ktO
金糸雀信者って要するにマイナーなものを好きって言うのがかっこいいと思ってる厨二病の固まりみたいな連中だからな
信者の数の割りに痛い奴が多いのはそのせい

553 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/24(月) 15:22:09 ID:kXJ9SOsn0
>>550
納得した

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 10:55:29 ID:H/7MXApO
・テンプレ

>>18-20
糞糸雀と糞糸雀ヲタがいかに嫌われてるかの図

>>21
痛い糞糸雀ヲタの特徴とその典型的な例

>>22
水銀党員からの糞糸雀に対する評価

>>23
一般のローゼンファンからの糞糸雀とその信者に対する評価

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 11:03:08 ID:5ADwjEIY
>>5-14>>16
投稿GJです!新スレでも頑張ってくれ!

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 11:39:46 ID:H/7MXApO
485 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/15(土) 17:32:41 ID:KxaVhqacO
金糸雀信者死ね

491 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:48:23 ID:HQjPrc7Y0
銀翠蒼紅雛雪薔薇>>>>>>>金

509 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/17(月) 22:57:37 ID:yJHl+a1Q0
↓最萌でボロ負けしてるからって本スレ荒らす金糸雀信者。
こいつらやっぱり最悪だな…
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1190033217/

511 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/18(火) 11:42:25 ID:O3+7t+oGO
ボロ負けwwワロスw
やっぱあの時の最萌は金厨の工作だったのかwwwww

527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/22(土) 12:22:04 ID:heUdEu0AO
金糸雀が一番クズだろ…ドール自体も信者も

529 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 14:44:09 ID:IkyqUTlT0
信者よりアンチの方が多いのはカナリアだけだろうな

533 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:12:08 ID:xtTuuw3n0
その中でも金信者が一番痛いのは間違いない
人気最下位で信者の民度も最下位(笑)

540 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 21:34:08 ID:1loRdLic0
金糸雀信者の痛い書き込みが定期的に貼られるけど他のドールはそんなことないな
やっぱり金糸雀とその信者が一番嫌われてて痛いんだろうな

556 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/24(月) 18:36:17 ID:TZitDBOr0
カナリアってよっぽど嫌われてんだな

578 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/27(木) 03:44:09 ID:4v6UglOq0
金糸雀信者死ね

579 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 05:15:56 ID:PzMRzV+5O
必死で金糸雀叩きに持ち込もうとしてるな

580 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 05:49:30 ID:Ved7FafO0
だって実際痛いし

586 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 17:59:47 ID:fKfLZ5ra0
キムなんたらとかいう糞チョン人形以外は全員かわいいよ

593 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/28(金) 14:03:25 ID:dWLMc+RD0
金糸雀と金糸雀信者死ね

595 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 17:06:39 ID:bDb+XPgv0
3期は蒼星石と雛苺を復活させる代わりにキムを殺してほしいな
ウザいだけで何の役にも立たないし

596 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/28(金) 18:23:16 ID:OAKpn+fdO
キム嫌われすぎだろ

俺も嫌いだけど。

601 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/09/28(金) 22:04:37 ID:E2vDvTCa0
>>595
きらきーに食われる役をキムがやればいい

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 16:31:42 ID:5GY1mJjj
>>2
カナが活躍する話が見たいかしら☆

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/08(月) 16:31:49 ID:OnYjhXJZ
wktk

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 01:56:27 ID:3RKdffGD
前スレの最後、SS投稿中に嫌がらせしてる金糸雀信者に殺意が沸いた。

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/09(火) 02:12:13 ID:Ui/RQl0H
>>29
工作乙

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 08:07:29 ID:uGSyvP+c
素晴らしい過疎っぷりだな
なんとなくあげとくよ

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 14:22:25 ID:WfJIyBeE
「ほら!金糸雀とその信者ってこんなにウザいんですよ!」ってアンチがキモい
テンプレだけじゃなくてAA厨も同じだけどね
金糸雀信者を罵倒するだけならまだしも金糸雀本体をけなすから悪質
へぷらすの時もイライラしたけどこいつはしつこい

今回の最萌えは負けて良かったと思ってる
実際に金糸雀が優勝できるとは思ってなかったけど勝つよりはこっちの方が良い

しかも「荒らしはスルーで」とか「アンチはあぼーんしてください」みたいなレスを見て嫌われてる事を知ってるのに続けるんだろ?
マゾヒズムの塊だな、槐じゃなくてな

しかもこういうレスをもらってニヤニヤしてるんだろ?最近の厨房は手に負えないな

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 14:48:15 ID:UxtGfFaN
少しでも空気が良くなる事を願って投下

あさきの赤い鈴をちょっと変えてみました。死にネタ注意。

真「ジュン、帰りましょう」
ジ「そうしようか」
真「影が随分と長いのだわ」
ジ「もう夕方だからな…」
…この二人は幸せな時間を築いてきた。これからもそれがずっと続くものだとおもっていた。


34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 15:22:28 ID:UxtGfFaN
その夜。

「桜田ジュンさんですか?」
ジ「はい、僕ですが」
「この度はおめでとうございます」
ジ「…!!」
来てしまった。この二人を別つであろう赤い手紙が。
真「どうしたのジュン?」
ジ「…届いたんだ、僕にも。赤紙が届いたんだ」
真「………!!!」
ジ「出発は3日後。兵隊として戦地に行く」
真「……イヤァァァ!!」
ジ「真紅!!」
真紅は声をあげて泣いた。仕方ないと分かっているのに。しかしもう会えなくなると考えると、涙がとまらないのだ。
じ「真紅…僕も離れたくない。でも今。今だけ、我慢して欲しい」
真「でもでも、ジュンは行ってしまうのだわ。もしかしたら…そんな事イヤなのだわ!!」
ジ「誰が死ぬといった?約束する。生きて…生きて帰ってくるよ」
真「ホント?帰ってくる?」
ジ「約束する」
ジュンはしっかりと真紅を抱いた。
ジ「僕がいなくても平気か?」
真「ホントはすごく寂しいけど…ジュンを信じるのだわ。この家も家族も、ジュンが帰ってくるまでまもるのだわ」
ジ「ありがとう…ありがとう……」
ジュンも堰を切ったように泣いた。そして一晩中真紅を抱いた。しかし時間とは残酷なもの。時は流れ、
出発の時がきた。


すみません徹夜明けなので死にそう…ちょっと寝てきます

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 15:41:29 ID:dma1/erE
>>33-34

泣かせてくれるな、ジュン

真紅=赤紙
生きる事は戦う事=お国のために戦って散れ
みたいなこと誰かが言ってたな

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:04:17 ID:n4mEv9sX
>>33-34
GJ!続き待ってるよ

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:19:15 ID:+X+p/pIx
>>32
最萌なんか関係ない
金糸雀は糞キャラで信者も痛いから嫌われてるだけ

>>33-34
GJ!

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:23:40 ID:KgLH5pwb
>>37
はいはい工作乙

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:53:04 ID:7w4WJdsl
金糸雀のオデコは可愛いんだけどな・・・

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:37:20 ID:oAKp1xfX
>>34
遅くなりましたが続けまし

「万歳!!万歳!!」
ジ「じゃあ、行ってくる。また会おうね」
真「ええ、待っているわ。お元気で」

そしてジュンは戦地にむかった。真紅は複雑だった。
ジュンはさよならと言わなかった。でも、私には見えた。白い衣裳を着た老婆がジュンの後ろにいる。そしてジュンの背中を舐めている…
でもあの人は帰ってくる。そう信じたい。

―――どのくらいの月日がたっただろうか。ジュンと真紅は手紙でやりとりをしている。真紅は手紙が来るたび、すぐそばにジュンがいるような気がした。
しかし向こうは戦地。時々手紙が来ない事がある。
真「今日も手紙が来ない…ジュンは平気かしら…」
真紅は不安だった。しかし信じると決めたのだ。あの人は帰ってくると。

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:53:52 ID:oAKp1xfX
>>40
しかし、ジュンの周りにいた人は、彼はもうこの世の人ではないと、そう思っていた。その思いは刄となって真紅の心に突き刺さる。

真「いいえ、ジュンは生きているのだわ。今もきっと戦っている…でも、もしかしたら……」

そんな時、真紅にも信じがたい事が流れてきた。
ジュンの戦地が陥落した。日本は惨敗だったようだ。

真紅は自分と戦った。私は信じる。そう決めた。でも、もしかしたら…
ジュン、あなたは生きている?それとも、もういなくなってしまった?嫌。信じると決めたのに。
こんな気持ちになるのなら、何も、何も無いほうが良い。ジュン、今行くわ。私も、あなたの所に。


―――ジュンは真紅に手紙を送った。

「前略 手紙遅くなりました。お元気ですか?僕は生き残った。約束が守れそうだ。今日本へ帰っている。また真紅の顔が見られる事ができそうで、僕は嬉しい。
返事待ってます。 草々」

しかし、なぜか真紅からの返事はなかった。


42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:55:35 ID:tWm1H6VC
なんという欝END・・・

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:05:42 ID:oAKp1xfX
>>41
ジュンは帰ってきた。人は冷たい目でジュンを見る。なぜ死ななかった?なぜ国のために命を捧げなかった?
しかしそんな周囲の目など、彼は気にならなかった。また真紅に会える。真紅。僕の美しい真紅。僕の最愛の人。
真紅の笑顔が浮かぶ。すると涙が込み上げる。あの時流した涙とは別の涙だ。今行く。帰ってきたよ。僕は、帰ってきたんだ。

ジ「真紅!!ただいま!!」
ジュンは涙をこらえ、そっと扉を開けた。しかしジュンの目に飛び込んできたのは…
ジ「し、真紅…君は……な…ぜ……?」

りんりりぃん…

その景色、それは、懐かしいあの鈴の音と、首を吊って、影を失った真紅の姿だけだった…

エピローグ書きますか?

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:09:00 ID:tWm1H6VC
是非とも!

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:22:06 ID:oAKp1xfX
>>43 エピローグ

ゴーン、ゴーン
火葬場の鐘の音が聞こえる。
真紅、君はどうして行ってしまったんだ?君は僕を信じてくれなかったのか?

いや…違う。信じていなかったのではない。信じきれなかったのだ。

真紅のそれが壺におさめられる。

真紅には悪いことをした。先立たせてしまった。すぐにでも君に会いたい。

壺が、墓に入る。

でも、すぐには会えないんだ。いつか言っていたよね?生きることは戦う事だと。だから僕は、最後まで戦いぬく。そして立派に散る。
戦いが終わった時、君に真っ先に会いに行くよ。その時は迎えに来てくれるだろ?その時は味噌汁、頼んだよ?また一緒に食べよう。なぁ、真紅…


こんな感じです。最後グダグダになってしまってごめんなさい。このスレがもっと平和なスレになりますよう…ではROMに戻ります。

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:26:44 ID:q0Wowxve
ああ、真紅…
>>45

もしまた書く機会があったら次は明るいのも頼む

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:33:09 ID:1jKG1qiV
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   ぎゅってされると
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   痛いかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / やさしくして      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 01:53:00 ID:AVz/q8c3
>>45
泣ける……GJです!

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 08:47:16 ID:oAKp1xfX
なんかホント色々ありがとうございますm(__)m
また機会があれば是非とも書いてみたいですね。今度はもっとマトモなモノを書きたいですorz


50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 16:45:16 ID:Wwd6c2bz
>>47
かわいい

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:28:53 ID:mf8dDHi1
           かわいい                                  
             ↓                                    
               _ __ _     ┌かわいい                   
            , .:.´:.:.:..:.::::::::::::::::``ヽ、↓                         
          ,r'´.: .:.:.::::::::::::::::ー -、r」⌒Y⌒Y^ヽ                      
かわいい→ / .:.: .:.:.:::::::::::::::::::.:.:.,r'´  ソ^ヽこ イ ヽ                     
       / .:. /ミヽ::::::::::::::::::::.:.:.:.>  >  ,ィ二ヽ ¨ヽ                    
       ,'.:.:::/.:::`ヾ、::::::::::::::::::::.:.:`フ  } ,イイ薔薇カ  )  ←かわいい          
        i:.::/:::/``ヽ、`.:、::::::::`:.:、.:フ  L入ハ三 ソ <                    
       |/.::,イ}    ``丶、.:.:.:.:.:ヽゝ `ゝl;;|二ノヽノ                    
        .レイ/リ         `ヽ 、.:.:>  Y!;;| ヽソ         たまご焼き…    
かわいい→i彡  ``ー'     '' ー-‐`ヾ ノ|;;;| _ソー─ -、       ↑         
      <ミフh   ‐- 、    、 __   ミミYスメ/ 」,イ,ィ  \      └かわいい   
    , イ三ミゝ、弋弍。テ    ヾ圭。テナ V ソ彡厂 ̄ ̄``ヽノュ、              
  , イ,ィ´ ̄ ̄`ヽ ////  ,    //// / - ─-、 ̄`ヽ - 、   \ _            
,rソ^Y^Y  ヽ ヽ\つ   ,,_ _     / ,     ト、          \          
 Y^X^X(_ ノ ノ _ ノ`ゝ、 _ ___ , イ !_/_ノ! ! ノ メこスーュ、_ _ _   ←かわいい
_ノ__人_ノヽ _/  ヽ二二フ不< _ _ __          `^ー‐'^ー          
          / /´ ̄          ̄ ̄`7 7                      
                                                   
    ↑かわいい                                        

52 :RozenMaiden LatztRegieren Y: Hero of the Maidens:2007/10/13(土) 03:06:43 ID:6dXJEQmw
100

終わりはじめているフィールド。夢の持ち主は死に絶え、その世界はなくなろうとしている。
岩の巨大な大陸と、その崖から先に無限に広がる真っ赤なマグマの海とこげ茶色の曇り空。

まさにその大陸とマグマの境目のところに、薔薇乙女第五ドールの真紅はいた。
右手だけで断崖絶壁の岩壁にしがみつきついてぶら下がりつつ、もう片方の手でステッキを必死に振って下から繰り出される水銀燈の剣を
受け止めている。
水銀燈は翼を焼かれ、もう飛ぶことはできない。真紅の右足に片手でつかまっていることで溶岩に転落せずにいられた。

ドロドロに溶けたマグマが飛沫を熱気と共に噴き上がらす音が鳴る。
水銀燈は、頬に人間の返り血をこびれ付けさせた赤い顔で真紅を睨み上げ、微塵の躊躇もなく憑かれたように真紅に切りかかっていた。
真紅の右足を頼み綱としているのに、その真紅に燃えるような敵意を放ちながら攻撃している。

もし水銀燈がいまここで真紅にとどめを刺せば、自分もマグマに転落ことは避けられない。
真紅は深い哀しみと悔しさに襲われた。
こんな絶望的な状況になってもまだ戦いが続いていることが信じられなかった。この戦いは到底アリスゲームなどではない。
薔薇乙女のうち真紅と水銀燈の間だからこそ起こりうる、因縁と憎しみの対決だった。皮肉にも、最終決闘の舞台となった
この火山地帯のフィールドは水銀燈の煮え返る真紅への憎しみが現れてるようで、ぴったりに思える。
ふと、真紅は胸元のブローチのことを思い出した。いまでは、この戦いで帽子すら失ってしまった。

壁にしがみつく真紅の左手に限界が近づいてきた。
ただでさえ足に水銀燈がぶら下がっているのだから負担は二倍だ。
止むことなく水銀燈が剣を振り上げる。右手の指先が千切れそうだ。遠くでまたマグマの液体が噴き上げ、空を焼き滅ぼす音が聞こえた。
身という身、心という心全てが限界を訴えながらも、真紅はさらに堪えた。ここで力尽きたら終わりだ。
水銀燈は我を失ったように何度も剣を振り回してくる…

だが、そのときは訪れた。
己の意思とは裏腹に、真紅の右手が絶壁から離れた。その瞬間、地獄の苦しみから指先が開放され、ほんの刹那に天国を見た気がしたが、
次に有無を言わせず落下を強いる重力の感覚が彼女をすぐに現実に戻した。行き先はただ焼かれるあるのみだ。
二人の落下速度はどんどん早くなり、みるみる内にマグマの大河へと吸い込まれていく。
下へ向けて一直線に落ちていきながら、真紅と水銀燈の二人は宙でさらに一度ステッキと剣を交わらせた。
真紅の目の前で水銀燈が体を回転させ、足が飛び出してくると真紅の腹へと入った。
「っあ!」
真紅の体が蹴りだされ、マグマの河の上を吹き飛んでいく。
死へのカウントダウンが始まろうというところで、真紅は首だけ動かして後ろを見やった。
奇跡的にも、そこには天使の差しのべた救いがあった − イカダ程のサイズの小さな岩の小島が、マグマの河を流れついてきている。
真紅はその小島に目をつけた。
空中で効くわずかな体のコントロールで、うまく真紅は溶岩に浮く小さな島の上に着地した。その時の衝撃で思わず手を地につく。
溶岩の数十センチ上。漂う熱気が地獄の高温を彼女に味あわせる。
とはいえどうにか生き永らえた真紅は、一方の水銀燈がどうなってしまったのかを見るべくとっさに体の向きを変えた。

53 :RozenMaiden LatztRegieren Y: Hero of the Maidens:2007/10/13(土) 03:08:46 ID:6dXJEQmw
水銀燈は、頭を下にして真っ逆さまにマグマへと向かっていた。下に足場となりそうな島らしきものはひとつもない。
普段なら翼を駆使して飛べたところだが、いまやそれは焼かれて失くしている。
真紅は、こののまま本当に水銀燈が溶岩に転落してしまうのではないかと不安になった。
どうにか水銀燈に助かってほしいという気持ちと、このまま水銀燈が落ちてしまえば…という、複雑な心境を覚えた。
そして、そんな心配は全く不要であったということをほんの数秒後真紅は思い知らされることとなった。

「メイメイ!」
猛スピードで溶岩に吸い込まれていく水銀燈をさらに超越するほどの早さで、紫色に光るメイメイが彼女を先回りすると、マグマの水面を
切って一直線に飛び込んだ。
その僅か一秒足らずの後、強烈な紫色の閃光が燃えたぎる灼熱のマグマの内部から発せられた。
続いて爆音が轟き、大地の底が爆発によって溶岩もろとも吹き飛ばされた。
四方にマグマが空高く打ち上げられ、それは文字通り噴火となった。水銀燈の姿がその中に隠れる。真紅はそれ以上彼女の姿を目で
追えなくなった。
水銀燈は、爆発の衝撃によって溶岩の中から飛び出してきた岩の破片の上に両足を置くと、次に手を添えて宙でしかと捕まえた。
やがてその小さな岩の破片は水銀燈の重みによって勢いを失い、一瞬宙で止まるとやがてゆっくりと落ちてはじめ溶岩に着床する。
岩の破片はマグマに沈みかけたが、うまく水銀燈は自分の着地時の衝撃を押し殺してそれに耐えた。元々溶岩の中に埋もれていた岩の破片
なので、溶岩の上に浮いていても熱には耐えられる。
その隣に、人工精霊メイメイが力を使い果たしたように弱々しく溶岩の中から姿を出し、主人のもとへ帰った来た。いまにも消え入りそうな
紫の光をほのかに放っている。
そして地獄より舞い戻ってきた漆黒のドレスに血を付着させた悪魔のような姿の水銀燈が、煮え滾る溶岩の上数センチに浮く小さなボール程の
大きさの小岩に立って、剣を翳しながら再び真紅の前に帰ってきた。

真紅の乗っている足場の小島と、水銀燈の立つ小岩では、大きさでは遥かに真紅の方が大きく、重い。
その重さの差がマグマの河川を流れる2人の島の速さに差を生み、溶岩の上で対峙する真紅と水銀燈の距離がみるみるうちに縮まりつつある。
逃げ場はなく、衝突はさけられない。徐々に迫ってくる恐るべき姿の水銀燈を真紅は何かを覚悟しつつあるような顔で見つめた。

そしてマグマ上での過熱な戦いが始まった。
真紅は小島の上で、水銀燈はほんの小さな小岩の上から剣を振るって攻撃を仕掛ける。ステッキと剣が2人を隔てるマグマの上で激しく交差する。
バランスを崩して溶岩に転落すれば一巻の終わりだ。周囲では小規模なマグマの噴火が炎と蒸気を吹き上げている。
水銀燈の攻撃が止む様子はない。歯を食いしばりながら一心不乱に手で剣を動かしている。溶岩の熱と水銀燈の狂気に煉獄の苦しみを
味わいながら真紅は最後の力を出してステッキで身を守っていた。
音を響かせて剣とステッキが2人の間で正面から衝突すると、その反動でふっと彼女達の間に距離が生まれた。互いの足場と足場が
マグマ上で離れ、攻撃が互いに行き届かなくなる。

沸いてきたような休戦。
ステッキを両手に持ち、自分を落ち着かせるように深呼吸して乱れた息を整える真紅に対して、すぐにでも戦いの再開を望むような冷たく
憎しみを宿らせたダークピンクの瞳の水銀燈がマグマの真ん中で真紅を睨みつける。
「…無理なの?」
溶岩の上で水銀燈と対峙しながら、自然と真紅の口が開いた。
「無理だったの?最初から、あなたと姉妹らしい姉妹でいることなんて。無理だったの?」
「あなたは私にひどい仕打ちばかりする!」顔の眉間に溝を刻み溶岩を号する程の声で水銀燈は叫んだ。「私ばかりにひどい目に!」
「水銀燈あれは雪華綺晶の罠よ!」
真紅は必死に説得を試みたが、水銀燈は聞く耳を持たなかった。
水銀燈は答えた。怒りに歪んだ顔が溶岩に照らし出される。「私を罠に嵌めたのはあなたでしょう!!」
なにもかもに失望しながら真紅は悲痛な叫びを上げた。「それに気付けなかったらあなたはおしまいよ!!」

54 :RozenMaiden LatztRegieren Y: Hero of the Maidens:2007/10/13(土) 03:11:18 ID:6dXJEQmw
溶岩が二人の周りで煮だち、唸り声を上げる。噴火が絶えずに起こる。
この世界が終わりを迎えるのも、あと少しだ。三分とないだろう。夢の扉は閉じられる。

火の粉が舞い上がり、2人を包み込む。

「終わりね、真紅」
そう水銀燈は言い放った。
「はぁ…はぁ…」
息を切らし、真紅は水銀燈という姉の姿を下から上まで全身に渡って見渡すと、やがてステッキをゆっくりと持ち上げた。
水銀燈は自分の立っていた小岩を蹴り出すと、真上に飛び上がった。反動でその小岩が遠くへと流されていく。水銀燈の姿が真紅の視界から
ふっと上に消え、水平に振り出された真紅のステッキが彼女の足を捉え損ねて空ぶる。
水銀燈は真紅の頭上を飛び越え、真紅と同じ小島の上へと着地した。その際宙を飛んだ水銀燈をとらえようと真紅のステッキがふり返り
ざまにもう一度振り切られたが、それが水銀燈に届くことはなかった。
水銀燈は小島の端から中心へ一歩踏み入ると、上から剣を打ち落した。

溶岩の上の小さな孤島の上で、真紅と水銀燈の正真正銘最期の闘いが始まった。
剣とステッキが激突していく。
一回、二回、三回、…真紅がステッキを水平に振って剣を受け流す…水銀燈がその流れを利用して改めて頭上から剣を振り落とす…
七回、八回、九回、…もはや島流しも同然の全く逃げ場のない所で、2人はステッキを剣身をぶつけて戦い続ける。

何回目か分からないところで、剣とステッキが絡まった。ギシギシと互いの死力が押し合う。紅と紫の光が彼女達の体から発せられ、
織り交ざった光が2人を一つに包み込んだ。
それが数秒間続いたのち、真紅は島から離れた。
後ろへ宙返りしながら飛び、安全な岩の大地に着地する。二人のいた島はマグマの河川の下流まで流れつき、真紅はそばの低地の海岸
に着地したのだ。
「ここまでよ!水銀燈!」
真紅は両手を広げ、戦いをやめるようにアピールしながら言った。「地の利はもう私が得たわ!」
一人孤島の上に取り残された水銀燈。
「あなたはまだ…」流れる溶岩をバックに、返り血まみれの水銀燈の顔が真紅を睨み上げた。「…心の中で私を見下している…!」
恐ろしげに真紅は首を横にふって言う。「…やめなさい、…」
「うああああああ!!」
雄叫びを上げ、水銀燈は島から飛び上がるとマグマを越え、空中で前回りしつつ上から真紅に襲い掛かろうとした。
その過程で − その刹那で − 真紅は今までの生涯で最高の恐怖を味わっていた。水銀燈が襲ってくることに恐怖を感じたのでない。
自分が信念を裏切り、自分が助かる為に、自分が殺人に手を染めざるを得ないことに恐怖を感じていた。
いまここで水銀燈を殺さなければ自分が助かる道はない。
そんなことを告げてくる本能の強靭さ、あるいはそれにあまりにも純情に従ってしまう自分の弱さに真紅は魔の体験を味わっていた。
身体が勝手に動き、真紅は力強くステッキを振ると宙で身動きのとれない水銀燈の腹部を裂いた。体が真っ二つに割れたところを
さらにもう一度ステッキを棍棒のように振り、水銀燈の右腕の球体関節をぶち壊した。彼女の右腕は、さっき長い間絶壁で真紅に
しがみついていたとき既に耐久力を失いもろくなっていたのだ。

55 :RozenMaiden LatztRegieren Y: Hero of the Maidens:2007/10/13(土) 03:13:12 ID:6dXJEQmw
それは、本当に一瞬の出来事だった。
「ア゛あ゛!」
バラバラになった水銀燈は岩場の斜面をだるまのように転げ、マグマの海岸線ギリギリのところでとまった。溶岩が惜しいとばかりに
悔し紛れの小さな飛沫を上げる。
数秒後、自分が何をしてしまったのかを真紅は悟り、その水銀燈を眺めた。
「うあああああ゛!」
言葉にならないうめき声を水銀燈は上げ、残された左手と上半身だけで懸命に斜面を這い上がろうとしたが、全く功をなさず斜面を
ずり落ちた。そこより下にあるのは溶岩だけだ。
「ぬ゛ううううううヴ!」
水銀燈が再びうめき声を上げる。切断された下半身と右腕がそのそばに落ちていた。
マグマが今か今かと待ち構えるすぐのとこで身動き出来なくなってしまった水銀燈は、ただひたすらそこから上の真紅を睨みつけていた。

そんな彼女の姿を見やりながら、真紅はありったけの感情を爆発させて嘆いた。「あなたは誇り高き薔薇乙女の第一ドールなのよ!!
だからこんな戦いはしたくないと私はあれ程言ったのに!!自分をよく見て!そんな姿をお父様が望んだとでも?」
悔し涙を流して真紅は叫ぶ。「あなたがアリスゲームを望むなら、私はそれでもよかったのに!気高く、アリスを目指して戦うという
のなら、私はとめない…なのに、…なのに…、」
真紅は、割れた上半身と片手だけで泥の斜面を這おうとしている、人間の血にまみれた水銀燈の姿をもう一度みる。
「こんな…こんな姿が薔薇乙女だなんてあんまりよ…こんな戦いあまんりすぎるわ…誰よりもアリスへの気持ちが純粋で、
気高くあったはずの第一ドールが堕ちたのだわ!」真紅はいい、岩場の上を移動すると切断された彼女の右手から落ちた血の剣を拾い上げた。
すると水銀燈は斜面を這いながら唾と一緒に憎悪の言葉をどっと吐き出した。「あなたが大嫌いなのよ!!」

遠くでマグマの噴火が再び起こり、鈍い爆音が轟く。
真紅はしばらく黙したのち、やがて口を開くと水銀燈へ向けて言った。
「あなたはさっき言ってくれたわ、水銀燈。"私の初めてできたトモダチ"と」
地を這う水銀燈の目が一瞬見開かれた。まるで正気を取り戻したかのようなピンクの瞳が真紅を見上げる。
「…!?」それから、直後にその瞳は恐怖の眼差しへと変わった。「…めぐ、めぐが…」
水銀燈は全身を差されるような恐怖を感じていた。めぐから力が入ってこない?めぐの力を使いすぎて…?
左手の指輪はどんなに呼びかけても氷のように冷たい。「めぐが…めぐがああ」
水銀燈が契約したマスターの名前をしきり呼ぶ様子をみながら、真紅は理解した。深い悲しみが押し寄せた。
これまでの戦いで、水銀燈は我を忘れて契約したマスターの力を使いきり、生命そのものまで奪い取ってしまったのだろう。
彼女のマスターの命はもう今頃…

「めぐうううううヴ!」水銀燈はその場で泣き崩れた。「めぐがー!めぐがああああ!」

「私は、めぐを助ける為にこんなことまでしてきたのに!」
水銀燈はめぐの為にその父親を殺し、その夢の樹を奪いにここまできた。
だが、そこで水銀燈はめぐを口車に乗せ奪ったと思い込んだ真紅に憎しみを爆発させて戦い、理性を失っているうちにめぐを助ける
どころか命を奪い取ってしまった。

自分のした行為が分かったその瞬間、水銀燈はついに最期本来の姿を取り戻した。
瞳から憎しみが消える。
めぐが死んだ。めぐだけではない。私はその父親と他三人もの人間を殺した。その目的はもはや失われ、血を帯びたいまの私はめぐが
呼んだ天使のそれとは真反対だ。めぐは空を飛びたいといっていたのに、こんな不毛な溶岩地の世界で死なせてしまった。
「あ…し、しんく…」
全身を震わせながら、水銀燈が真紅を見上げる。真紅がその瞳を見つめ返した。だが、掛けてやれる言葉が見つからない。
一刻一刻が永遠に感じられるような時間が流れた。
やがて彼女は真紅を見上ると、言った。「…真紅、さようなら…」
左手で身を起こす水銀燈。そのまま身体を仰け反らせて後ろへと倒れこみ始めた。
迫り来るマグマを背に、水銀燈の瞳が閉じられる。
全ての音が消える、その瞬間。
真紅は水銀燈が何をしようとしているのかを理解し、叫んだ。「やめなさい!!水銀燈!!!」
手遅れだった。水銀燈は溶岩の中へと自ら身を投げ、ジュワという蒸発する音を立てると一瞬で消えた。

56 :RozenMaiden LatztRegieren Y: Hero of the Maidens:2007/10/13(土) 03:15:16 ID:6dXJEQmw
恐るべき厳粛が真紅を襲い、頭が真っ白になった。
ただ一人地獄のような世界に置いてきぼりにされ、真紅は棒のように立っていた。
「…水銀燈…」彼女は薔薇乙女の長女、水銀燈が最期に見せた気高さと破滅的な美しさにただただ声を奪われるばかりだった。
雪華綺晶の罠で一度自分を失った水銀燈だったが、マスターの命を奪ってしまったことに気付くと最後に薔薇乙女としてあるべき
姿を思い出し、ついに自分を取り戻すと同時に恥ずべきいまの自分の姿に気付いたのだった。
彼女は薔薇乙女としての生涯が絶たれたことを悟ると、残された醜い悪魔としての姿を拒否し、自らその命を絶った。

「水銀燈…」もう一度呟き、真紅はその場で崩れ落ちて地面に寝転んだ。もうこの世界は終わる。ここから脱出する術と時間は
残れさていないしする気もなかった。気力の全てが身体から剥がれ落ち、空虚な瞳で終焉を迎えつつある焦げた夜空を眺めていた。
真紅はそのとき、溶岩の中から4つのローザミスティカが浮上し、自分の体に溶け込んでくるのを見た。
ローザミスティカ。もうどうでもよかった。ローザミスティカはこの世界と共に消滅し、アリスゲームはそれで終わる。
これ以上生きようなどという希望は完全に干からびた。ここで死ぬならそれが本望だ。
ただ一つ心残りがあるとすれば、最後に一度、ジュンやみんなに会いたい − ふとそう思った、その時だった。

「真紅ゥー!」遥か遠くの上空から、声が聞こえてくる。「真紅!」「あそこですぅ!」「真紅を見つけたの!」
夢かと思いながら、真紅は声のする方向に目を走らせた。

ジュン、翠星石、雛苺の三人が世界樹の葉っぱにのって空を飛翔しながらこちらに向かってきている。「急げ!」
「ジュン…」真紅は乾ききった喉で声を絞り出した。「来て…くれた…のね」
ジュン達三人は世界樹の葉を岩肌の地面まで降下させると、葉っぱから降り立って真紅の傍らに駆けてきた。「真紅!」ジュンが
真紅を抱きかかえる。そしてすぐにまた世界樹の葉っぱに乗って飛び始めた。
「急がないと!夢の扉が閉まってしまう!」ジュンが言う。真紅は弱りきった体で仲間達を見回した。
翠星石、雛苺、ジュン…彼らを乗せる葉。
真紅はそこにもう一つ空席になっている世界樹の葉を見つけると、また嗚咽を漏らした。
ジュン達は空席の葉を1人ではなく2人分用意していた。
この残った空席の葉っぱには、本来あの第一ドールの姿があったはずだったのだろう。

世界樹の葉に乗って出口を目掛けて飛んでいく彼ら。
第七ドールの雪華綺晶は、地面に横たわる柿崎めぐの隣に腰かけて、その三人を見上げていた。
結局生きているドール全員がこの世界に集合ではありませんか。雪華綺晶はそんなことを考えながらほくそ笑んだ。
あまりにも計画していたことが目論見どおりに進んでしまうと、その充実感は尋常じゃないことが、いま分かった。
金糸雀のマスター・草笛みつに始まり、蒼星石のマスター・柴崎元治、そしていま三人目、水銀燈のマスター・柿崎めぐを捕らえた。
彼女はまだ死んでいない。死は全てを失うが、めぐの望んだものは死後の世界だ。それはすなわち夢だ。彼女が死ぬ直前で、
雪華綺晶は彼女にこう語りかけ、口付けをした。

"死の夢は甘味な夢 ときに夢と現実が区別できないようにそれもまた曖昧 とっても甘い夢でしょう?"

柿崎めぐは死と勘違いしつつ眠りにつき、その心を雪華綺晶は奪った。長年望んできた死の夢を向かえた彼女の今の表情は幸せ
そのものだ。勘違いしたのは本人だけではない。もはや第七ドールのものとなったこの人間が水銀燈に力を与えることはなく、
水銀燈は自分が契約者の力を使い切ったのだと思い込んだ。とはいえ、もう一歩遅れていたら間違いなくこの子は死んでいたことは
疑いようもない。私が死ぬところだった彼女を助けたのだ。雪華綺晶は、水銀燈の真紅との戦いぶりが自分の想像を遥かに超越していた
ことを思い起こした。彼女はそれを"薔薇乙女の英雄達"として記憶に留めることにした。

57 :RozenMaiden LatztRegieren Y: Hero of the Maidens:2007/10/13(土) 03:16:57 ID:6dXJEQmw
今こそ私の謎を明かしをしましょう、雪華綺晶は一人心の中で呟いた。アリスゲーム以外にも、アリスになる方法はある。
それはドールズ全員の契約者の力を以ってアリスに昇華することであり、実態を持たない私が生まれた時から持っていた目標。

現に今三人の心という力を奪い、残すは真紅の契約者である桜田ジュンだけだ。
水銀燈に自らのローザミスティカを譲る際、すでに草笛みつから心を奪い、蓄えていた。それもまたローザミスティカを失っても
薔薇乙女として死ぬことはなかった一つの理由でもある。私は特別なのだ。
彼は簡単でしょう、雪華綺晶は思った。もはや真紅は心がボロボロで、アリスになる気も失せている。

難しかったのはこの柿崎めぐだった − 他のマスターとドールは互いを強く信じていて、そこにつけ込んでnのフィールドに
誘うのはたやすかったものの、水銀燈の場合となると、柿崎めぐにアリスゲームのことを多く語らず、真紅を倒すの一点張りだ。
それどころか、生まれつき病弱でベッドでの生活を24時間強いられている彼女をnのフィールドへと誘い込むこと事態が困難だった。

最も、簡単な方法は本来あった − だれかのドールの身体を奪い、自分が実体を得れば、わざわざマスターをnのフィールドへと
誘いこまなくともこたらから直接現実世界へ出向いて無理やり引っ張り込むことは出来る。
元々雪華綺晶はその方法をとるつもりでいて、誰の体を奪うかを − 雛苺 − まで決めていたのだが、今回そうはいかなくなった。
結局、自分は誰の体も"まだ"奪わず、現実世界にでることなくメグをnのフィールドへと誘い込むという形をとった。
これには列記とした訳がある。雛苺の体をじっくりと喰って奪うのならば、まず彼女を孤立させる必用があるが − その為に、
元々雛苺の契約者であったコリンヌ・フォッセーの孫娘、オディールと契約してつけ込むルートを考えていたのだが、いまでは、
彼女ではなく別の"ある男"と契約している。その為、身体を奪い取り実体を得るのは後回しにされた。
その理由は後に明かされる…蜘蛛の糸のように複雑な陰謀と裏切りが。
誰かの身体を奪うのはこれからになるだろう。その標的はもう決めてある。もはやオディールと契約できなくなったので、雛苺ではない。

結局、実体を得ることなく幻のまま柿崎めぐを奪わなければならなくなった雪華綺晶は、ある方法を考えた。
水銀燈とマスターの関係、真紅と水銀燈の因縁の関係、果てはめぐとその父親の関係利用出来るものすべてを利用する…
ついに雪華綺晶は、メグを自らnのフィールドへと入ってくるように裏で仕向け、さらにその上で水銀燈と決裂させることに成功した。
あとは真紅と水銀燈が戦っている間に心置きなくメグを貰えばいい。
本当は、もう一つだけ利用したものがあるのだが…。まだそれを明かすには早い。

雪華綺晶の周囲でマグマが噴火を起こし、大地が大きく揺れた。いよいよこのフィールドが果てる刻だ。
「この世界はもう必要のない、忘れられる世界です。私もいなくなるとしましょう」
独り言をいい、彼女はめぐの父親だった夢の世界を去った。

明日にでも、アリスゲームは終わる。だが、その結末の先は雪華綺晶とて定かではない。

Z:開花の扉 The civilization doors に続く

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 03:29:42 ID:W5qdPSZ7
リアルタイムGJ
ドラクエの戦闘曲聞きながら読んだわ

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 07:14:56 ID:cIg+XwBZ
>>52-57
長編いつもGJです!
ああ…水銀燈が…


60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 14:22:15 ID:nXvDOurP
           の         S         な                  
           か         S         ん                  
              し         が        で                  
              ら         少        カ                  
             . ・   .      く         ナ                  
           ・         な         の                  
           ・         い                          
                                             
                 , -────__-,、r z__                
          ,. -― - 、 /     r v´_ゝ- ,.=._、-、__フ              
       , '/ ´ ⌒7 ヽ   _r_ヽr' _ _f::rz::!:}´__}_}>             
       ,/      /   ' ヾ ゝ_ く {_{__ゞ:':_::ンヽフ、              
       /       '  /   ハ フ \___ |.ト、ヽノ>!ヽ             
       '        |:::     /  ヽ ヾレヽィv.j__Vノ ゝ  |             
            |:::.    /    \!`\ ゝ,ヽノ´!  ,ノ             
            ':::   /         \     ' /             
             ゝ、,./            \ヾ/ /_   べす・・・     
            l イ,|!!  --_‐'_     `_ー-- ヽ/、ヽ            
            ヽl |!|  ィt_:::_ォ     tr_:_,zr   ハノノ  べす・・・      
             /´ ̄ ヽ!ハ ` ´`´      `´ `´   j!::ヽ_,..--、          
         /    r ー- '.、     ,      ,.イ三!´   \        
         /_    ≧= 、_ゝ、._   ____   ,.へ_ 二ム,∠ _    )        
         jV´_ _VV_レL_  ≦ノ ミrrーrr彡  {二/l. _ ,-'、 /L_/        
  , ------ゝf | | r-、,-ア≡----' '--``----'-- / ハ fヽ,-、-------、   
  |       | | | | |                  ヽノ l _j j_ノ       |   
  ' ,       ` ゙ー`- `´                       `´         ,   
   ヽ                _       _     .__          /   
     '、     {ニ ヽ      / , - 、ヽ    / /  / , ― 、ヽ,       /    
      '.,      \\  ノ /   \\  l l   l (    ) |     /     
      ヽ        ゝ ニ ノ  ○   ー'  L.j  ゝ 二二ノ    /      

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 16:11:02 ID:iXJ7h6A9
>>52->>57
GJ!
休日から鬱になりかけたけど面白かったよ

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 19:22:55 ID:iwy/jIHP
       ___          /   j|  ヽ.
      ,. '´  ,二ニ>、        /     ハ    \  、   r冖,ュニ  ←かわいい
.   /   /    , -‐ヘ     /   /  ヽ.     \ \匸 /
 /         /,. -¬|     l / /      \    \r┘|
'´     /  //rー┐ !    {/r'′         \    勺」___  ←かわいい
.   /  //  //     ||  ̄二ニ´     \   {::.::.::.:
  , ′ //  //      /Vrグ示.         \ \ 弋「 ̄  ←かわいい
  |  /〃  //     ,. -{‐j 辷夕ト      へ ヽ、\仏
`ヽ」_  | {  //      /   ∨ ヾ-‐′     ,ィーテ=ミ >‐{」  ←かわいい
   ` ー‐-彳|r┐   r|レ'  ̄h″           トrタリハ   ヾL
     / } | |    l‖    l       ′     ヽ辷ジノ   厶-、
.    r'´ _ノ| ヽ `ヽ  | `=   ヽ    ト、     〃 ` ″     rへ、  ←かわいい
   j-―-、」 !   レヘ />ー==ミ \  ヽ、 >          __ノ
  __{__ `ヽ|  } } |       ヽ /\           、/´ ̄` ー―¬  ←かわいい
 く  l   `¬1 ∧/「ト<二ニヽ//__>┬―┬-- /\___/
 __>{  ̄`<l|/ /l/| レ'´ ̄ ̄`Y| ::._,厶|下.¨  / `ヾミヽ、
く   /丁T‐┴Uヘ/ /l | {__r==、l `7::/o ト、::.\ /    `ヽ}  _
 厂! ヽ ` ̄´ rイ/ |/ =≠¬´/::/   /::.lレ'´ ト、      }`ー'′

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 19:24:04 ID:iwy/jIHP
         _ __ _
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.:::::/.:::::::::/:::.:,イ::/ l/ `ト、,     /ノ ,   | ←かわいくない
:::/::::::::;:イ:::./::l/(( ゙=≧ミ、:j,   //:::/:::::/ノ!
イ::::::::/:/:::/::/  `ー= ‐'⌒ヽ 、_/;:イ:::::/::/:!
::::::;::イイ:::/::/      _ _  (7=ミュ7::;:イ::/:/       カナ、ただいまー!!
'´ ̄ , イ::,イ   /`ー- 、) ヽ_ノィイイリト、コr‐、
´  ̄``ー-ト、 /::::::::::::::::::/  ``7:.,r=ッ ゞ, ト、ヽj
        ``ー 、::::::.:./   ,.イ::::. ヽ´  、jにlソー-、
           \イ_ ,.. イ:::::7::.:. ノ‐ァ r=ッ {, イ^Y ←かなりかわいい
                 \:::::::|::::/::.イ__/  ゙゙゙゙' ,! | |
::::::::.:.:.:.:. . .        `>>,イ         ,イ) し′
::::::::::::::::::::::.:.:.:. .      ,イソ  \ __ __ , .イ <
:::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:. . . . ./ノソ′    \ _ 7r‐ァ/_

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 19:25:22 ID:iwy/jIHP
                      _..-''''"´: : : : :`'ー .、  ,,, ,,
          う      r‐-,, /_,,二゙゙゙゙"r‐,'ゝ八、: `'..∫`"`ゝ
         と    l.['' ,_ヽ: : : : : : :`,,, ' .r‐‐ ,"''"⌒゙- 、 !
      う        l:l'、 、゙、 .、: : : ::〈 ∫ t-;;, '`、,,、.丿 `'j
        と        /..ll,:゙li/`、: ゙'-、: : : :'、、.,シ‐"くし'>.,ゝル'  } _,.,.. -- ..,,_
                 !l.:, 'i !`ラ',;;、: `'ーヽ,,xヽ ./ 'ッ、,ハ、,! ._,[. ゛`: :‐: : : : :`゙'‐
     :*:       l/: :...l、   ``'ー ::,,,,゙‐'/イ |゙ ! !  ,,,'._,゙ ゙̄',-┐..... へ_,,     ←かわいい
                 ,!: ./  ゙゙--       '' │!_ ! !、.l.!.'-、',-、 `^`' ,: : :
                ヽ.!  ,,--      ―- l_,,| `] il/从-'''i',   ゙̄\ ゙´',:
              _..〃`'',.l              `、 T/ ,i".rニ┐    `'  "
           /i >;;-〔~ゝ              `'l`ー〈,,/;;;;ュ,s \、
      .,,.. -r'ン.,ヘ'=ii,ノ'、 { ''ヘハ''    ノ ハ+-- _nノ/---、゙l   ゙'
   k,;;;;ー!''''""{jヘy ..,,:,yト'",,',i ァソ       、、、─(ゝ、そ、_   `~''、.
   '、,,  ゙゙゙⌒-'!?/"゙゙, ' .',,..r''"ヽ个ー─ tっ-―(Uノlノ゙(_へ`゙~゙‐'>ー "/゙゙゙^`''ー
    `''L.. -i,..‐'― -'ー!-ムノ"^゛             `゛   レ‐`ゝ_r'゙'-r''

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 20:06:11 ID:TB0i4FdI
ttp://www35.atwiki.jp/anozero/pages/1975.html


クロスSSだけど、こんなんでもええのかね?

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 23:00:21 ID:W4yqzq+v
双子のSSキボンぬ

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 23:01:48 ID:W4yqzq+v
sageる

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:58:01 ID:N8pUSV2z
翠「蒼星石、ホラ、翠星石のスコーンですぅ。いっぱい食べるですよ。」
蒼「ありがとう翠星石。やっぱり美味しいね」
翠「当たり前ですぅ!今度はクッキーも焼くで…あれ?蒼星石?どこですかぁ?蒼星石ィ!?」

ガバッ!

翠「また夢ですかぁ…ハァ…なんで行っちまったですか蒼星石…いつになったら…っく、帰ってくるですかぁ…ひっく…ぐすっ…蒼星石ィ…」

保守

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 17:52:33 ID:pyhs7g3l
みっちゃんがミーディアムだった頃カッコいいと思って
毒にあたってもいないのに苦しそうな表情して、突然お腹を押さえて
「っぐわ!・・・くそ!・・・また謀られたかしら・・・」とか言いながら息をを荒げて
「奴等がまたクッキーに毒を盛ったみたいだわ・・・」なんて言ってた
雛苺に「うにゅ〜、何してんの?」と聞かれると
「っふ・・・・邪気眼(自分で作った設定でカナの持ってる第三の目)を持たぬ物にはわからないかしら・・・」
と言いながら人気の無いところに消えていく
桜田家を偵察中、静まり返った屋根の上で「うっ・・・こんな時にまで・・・しつこい奴等かしら」
と言って屋根から滑り落ちた時のこと思い返すと死にたくなる

アリスゲームで試合してて腕を痛そうに押さえ相手に
「が・・・あ・・・離れろ・・・死にたくなかったら早くカナから離れるのかしら!!」
とかもやったお父様もカナがどういう人形が知ってたらしくその試合はノーコンテストで終了
毎日こんな感じだった

でもやっぱりそんな痛いキャラだと翠星石に
「邪気眼見せやがれですぅ!邪気眼!」とか言われても
「・・・ふん・・・小うるさい奴かしら・・・失せな」とか言って翠星石逆上させて
スリーパーホールドくらったりしてた、そういう時は何時も腕を痛がる動作で
「貴様・・・許さないかしら・・・」って一瞬何かが取り付いたふりして
「っは・・・し、静まれ・・・カナの腕よ・・・怒りを静めるのかしら!!」と言って腕を思いっきり押さえてた
そうやって時間稼ぎしてアリスゲームが終わるのを待った
桜田家の庭での短い戦いならともかく、nのフィールドで絡まれると悪夢だった

70 :ロックマンJUM:2007/10/14(日) 18:26:16 ID:Swk6p9ZA
>>65
あまりにもローゼンからかけ離れてなければいいんじゃないかな?

……と、いうよりクロスオーバー自体がNGなら俺の立場無いorz

71 :ロックマンJUM:2007/10/14(日) 18:28:21 ID:Swk6p9ZA
済まない、ageてしまった……orz

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 16:23:08 ID:GcZ+2f7g
「ほら!金糸雀とその信者ってこんなにウザいんですよ!」ってアンチがキモい
テンプレだけじゃなくてAA厨も同じだけどね
金糸雀信者を罵倒するだけならまだしも金糸雀本体をけなすから悪質
へぷらすの時もイライラしたけどこいつはしつこい

今回の最萌えは負けて良かったと思ってる
実際に金糸雀が優勝できるとは思ってなかったけど勝つよりはこっちの方が良い

しかも「荒らしはスルーで」とか「アンチはあぼーんしてください」みたいなレスを見て嫌われてる事を知ってるのに続けるんだろ?
マゾヒズムの塊だな、槐じゃなくてな

しかもこういうレスをもらってニヤニヤしてるんだろ?最近の厨房は手に負えないな

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:23:33 ID:RGoGlurW
何度も同じコピペ貼るなカス

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:25:40 ID:tDi2M+0u
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:30:32 ID:tDi2M+0u
ごめんなさい、つい出来心で…
草刈しときます
                    w

      _     w
    ,',i><iヽ w     w
    /((ノノリノ))∩  w
   ((ミi!゚ ヮ゚ノミ))彡  
    ()夲!⊂彡
...⊂(ム!,,jム)...wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 16:28:33 ID:GX5+4+9R
「カナ、お色直しの時間よー。」
「はぁい、かしら〜。」
ローゼンメイデン第2ドール金糸雀は、今日もマスター好みの服を着せられる。
だが金糸雀は、このお色直しの時間が好きではなかった。
自分が父親として慕う人間がくれた物を剥ぎ取られてしまう時間だからだ。
「んしょ…」
「カナ、ホック引っかかってる。」
そういうとみっちゃんは服を脱がそうとして引っ張る
プッ…プチ…
繊維が切れる音がした。
「み、みっちゃん、あんまり引っ張らないでかしら!」
「だいじょーぶよこの位!グイッ」
バリィッ!
「あ…ああ…!」
金糸雀の服は破けてしまった。
この時金糸雀は、父ローゼンを盗られたかの様な錯覚に陥った。
「みっちゃん酷いかしら!カナからお父様を盗らないでかしら!
うわあぁぁぁぁぁああん!」
「ご…ごめんカナ…でも服は縫えば…」
「もうお色直しなんかしたくない!みっちゃんも嫌いかしら!」
言ってから金糸雀は後悔した。
何故ならこの言葉がみつの怒りを買ってしまったからだ。
みつは鬼の様に怒りをあらわにしていた。
「…何よ…こっちはあんたのためを思ってやってやったのに!」
そういうとみつは金糸雀の服を半狂乱で破った。
「こんな物!こんな物!!」
ビリッ、ビリィッ!!
「嫌!止めてかしら!!謝るからゆるしてかしらぁ!!」
「黙れ!もうお前みたいな奴なんか要らない!!出てってよ!!」
「ごめ…ぐす、ごめんなさいかしらぁ…」
金糸雀は涙で顔をぐちゃぐちゃにして謝った。
だがみつは金糸雀を蹴り、部屋の外へ追いやった。
そして、金糸雀が部屋に入れない様、鍵を掛けた。
「もう出てって!どこにでも行けば良いでしょ!」
「嫌かしら…ひっく…カナのお家はここかしら…」
金糸雀がそういうと、みつは部屋から出てきた。
そして金糸雀の髪を掴み、金糸雀をベランダから投げた。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
そして金糸雀は植え込みに落ちた
「ぅう…痛いかしら…ぐす、みっちゃんごめんなさいかしらぁ…」
金糸雀の声がみつに届くことは無かった。

77 :ロックマンJUM2 イデア:2007/10/16(火) 20:56:11 ID:kqHU7Njh
>>75に触発されて……


「JUMく〜ん、お庭の草むしりお願いね〜♪」
「了解した(CV:風間 勇刀)」


「エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤ(ry」

「何で草むしりするのにそんな小刻みにジャンプしやがるですか!」
「ジャンプした方が硬直時間が短いからなの〜」
「もう、どうでもいいのだわ……」
「ああっ! 木の葉まで毟るんじゃねーです!」

「エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤッ! エヤ――フンッ!(ガッ」
「ど、どうしたのJUM!?」
「……何かつかんだ」

「ひゃっ128回目の偵察も失敗かしら〜……」
「「「「…………」」」」
「……ほ、保守かしら〜♪」


「……ホシュにしては ぶんがながいな」


       |ヽ,---、|ヽ
      __ヽ ヽ▼/ ノ ジャマだ
      \_>#・∀・|>, ⌒⌒ヽ
   ツカツカ⊂    ,.ζリノヽ、卯)
     )) / / | |,9、`Д´ノミm  かしらーーーっ!
      ヽ、_ヽ {___ゝ


78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 05:32:05 ID:/KpWQ+Ph
>>77
GJすぎて涙が出る

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 15:11:11 ID:lgKwz+dG
最萌BEST16オメ
真紅
翠星石
水銀燈


80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 17:45:06 ID:zPvBVOvZ
このスレって金糸雀が嫌いな人しかいないの?

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 20:00:52 ID:Nwmb6H+I
VIP荒らしてる金糸雀信者うぜー
通報しといたから逃げられると思うなよ
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/sec2chd/1192544700/

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 20:13:01 ID:R6hJJVlP
ただの漫画のキャラに対して、なんでここまでマジになれるのか不思議だ
ってかローゼンメイデンが本当に好きなのか疑うよ。

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 21:04:14 ID:/KpWQ+Ph
>>82
おいおい、あいつらはマジになってるんじゃなくて
ただの暇人、ニートだよ
日々の劣等感が積もりに積もって、ネット上で発散してるんじゃね
お家から出れないからw
可愛そうな人たちだよ。そっとしておいてあげようよ。放っといたらその内市ぬだろ

84 :ロックマンJUM:2007/10/17(水) 22:13:10 ID:AXbrayf/
|,---、|ヽ
|ヽ▼/ ノ
|´・∀・|> そ〜〜・・・
|o旦△o
|―u'

|ヽ,---、|ヽ
| ヽ▼/ ノ
|_>´・∀・|>  これ、お土産の「バーロン茶」と「ピュンパゼリー(メロン味)」なんだ
|ヾ   ヾ
|―u' 旦 △<コトッ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||ヽ
|/ノ  お茶を出す役は本当はアクセルだが、今ここにいるのは俺一人なんだ
|・|> でも、こんな俺の入れたお茶でも、ゆったりと和んでくれるなら本望だ。     
|o  
|     旦 △

|     それだけが、言いたかった
| ミ  ピャッ!
|    旦 △

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 16:12:46 ID:SKKbbxo4
暇つぶし

ローゼンメイデン 好きなキャラは?
ttp://www.vsist.com/vs/176
〜愛しの水銀燈様〜 どの銀様の下僕になりたいですか?
ttp://www.vsist.com/vs/266
〜麗しの真紅様〜 どの真紅様の下僕になりたいですか?
ttp://www.vsist.com/vs/265

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 17:35:02 ID:K6IHm1fQ
760 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/12(金) 11:19:23 ID:LoOSdkSrO
金糸雀信者は銀様だけじゃなくて他のどのドールも敵視してるよ

761 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/12(金) 14:51:01 ID:5XIVhk3Z0
前どっかの嫌いなキャラを書くスレで金以外の全部のドールを叩いてる奴がいてワロタ


どう見ても金糸雀信者です(ry

762 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/12(金) 17:18:02 ID:IQOg77X/0
キム見てると糞なドールには糞な信者しかいないってことがよく分かるわ

764 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/12(金) 18:37:22 ID:TVvdMnHa0
ローゼンは真紅と銀様(偽)とみどりのこで十分

765 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/12(金) 21:42:23 ID:27M/eAgT0
いや蒼星石と雛苺と雪華綺晶と薔薇水晶もいる

771 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/13(土) 17:45:38 ID:14xDY/RQ0
一時期収まってたのに最近また金信者がAA連投でVIPを荒らすようになってきた

糞糸雀信者死ね

776 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/15(月) 13:26:43 ID:Ea0r00ljO
このスレざっと読んでみた結果と俺の中のイメージを統合してみると

キャラが嫌われてるのが雪華綺晶
信者が嫌われてるのが水銀燈
キャラも信者も嫌われてるのが金糸雀

って感じがした(それ以外のドールは特に問題なし)

779 名前:   [] 投稿日:2007/10/15(月) 17:01:28 ID:A9aAdKJj0
アニメしか見てない俺のランキング
翠>雛>>真>水>蒼>薔薇>>金

781 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2007/10/15(月) 18:06:18 ID:2iSGfeRa0
>>776
きらきーは物語的に嫌われるポジションなのは否めないし、
銀様も人気一位だから少しばかり信者に痛い奴がいてもおかしくない

物語的に一番不要で人気も最下位なのに
キャラも信者も嫌われてる糞糸雀ってwwwwwwwwwwwwwwww

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 18:10:21 ID:jQL1yNKe
∧_∧
( ´・ω・) では、いただきますよ
( つ旦O
と_)_) △

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:40:34 ID:C3H9T6S9
           の         S         な                  
           か         S         ん                  
              し         が        で                  
              ら         少        カ                  
             . ・   .      く         ナ                  
           ・         な         の                  
           ・         い                          
                                             
                 , -────__-,、r z__                
          ,. -― - 、 /     r v´_ゝ- ,.=._、-、__フ              
       , '/ ´ ⌒7 ヽ   _r_ヽr' _ _f::rz::!:}´__}_}>             
       ,/      /   ' ヾ ゝ_ く {_{__ゞ:':_::ンヽフ、              
       /       '  /   ハ フ \___ |.ト、ヽノ>!ヽ             
       '        |:::     /  ヽ ヾレヽィv.j__Vノ ゝ  |             
            |:::.    /    \!`\ ゝ,ヽノ´!  ,ノ             
            ':::   /         \     ' /             
             ゝ、,./            \ヾ/ /_   べす・・・     
            l イ,|!!  --_‐'_     `_ー-- ヽ/、ヽ            
            ヽl |!|  ィt_:::_ォ     tr_:_,zr   ハノノ  べす・・・      
             /´ ̄ ヽ!ハ ` ´`´      `´ `´   j!::ヽ_,..--、          
         /    r ー- '.、     ,      ,.イ三!´   \        
         /_    ≧= 、_ゝ、._   ____   ,.へ_ 二ム,∠ _    )        
         jV´_ _VV_レL_  ≦ノ ミrrーrr彡  {二/l. _ ,-'、 /L_/        
  , ------ゝf | | r-、,-ア≡----' '--``----'-- / ハ fヽ,-、-------、   
  |       | | | | |                  ヽノ l _j j_ノ       |   
  ' ,       ` ゙ー`- `´                       `´         ,   
   ヽ                _       _     .__          /   
     '、     {ニ ヽ      / , - 、ヽ    / /  / , ― 、ヽ,       /    
      '.,      \\  ノ /   \\  l l   l (    ) |     /     
      ヽ        ゝ ニ ノ  ○   ー'  L.j  ゝ 二二ノ    /      

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 07:39:10 ID:9SFePQ/O
アンチがどうとか険悪なムードは嫌いです。また投下します

ジ「じゃあ元気でな性悪」
翠「そっちこそ元気でやれですよちび人間」
こうして僕らは離れた。1歩、2歩…ほんの些細な事で別れを決意した。3歩、4歩…思い出す事は楽しい事ばかり。
5歩、6歩…そういえば告白も初デートもこの公園だ。7歩、8歩…なぜだろうか。吹っ切ったはずなのに。切ない。寂しい。なぜだろうか?

9歩…もしかしたらまたこの公園で何か起こせるかも。何か?何だろう?新しい恋人を作るのか?いや違う。今、ここで起こせること…1パーセントの確率に、懸けてみよう。そう、あの時みたいに。

ギュッ
翠「!!なななな何するですか!嫌です!離せですぅ…」
そう言う彼女もまったく抵抗しない。
ジ「離さない。離したくない。別れたくないよ…」
翠「翠星石はもぉ嫌になっちゃったですぅ…だから…は、はな…うぅ…うわぁぁぁぁん!」
ジ「ごめん、ごめんな翠星石…ずっとずっと、一緒に居よう」
翠「グスッ、当たり前ですぅ、ヒッグ、ヒック、翠星石はもぉお前なしじゃ生きられないのですよぉ…」
今日、僕らはこの公園で別れた。そして、僕らはこの公園でまた結ばれた。

駄文失礼しました。ではまたの機会にお会いしましょう

90 :ロックマンJUM3 テロス:2007/10/20(土) 09:14:12 ID:gAUWw/ba
>>89に便乗して投稿だ

「みんな〜♪ 今日のお夕飯は何がいい?」

「紅茶がいいのだわ」
「うにゅー!」
「スコーンです!」


「もう、皆おやつばっかりじゃだめよう? JUM君は?」
「エネルゲン水晶」
「「「「…………」」」」


「と、言う訳で似たようなの連れてきたの」

      χ~ ̄~κ
    <(((从从)))ゝ
    ノ. |,l!、゚ -$ノ| ヽ
.    ノ(,i``Y´i)ヽ
    ( /,.ノ人!lヽ )
    ζ `~UU~´ζ

「それで、こんな下らん言い訳を思いついたと言うのか。 
 似てるも何もこれは『薔薇水晶』と言ってだな」
「私を、食べて……(//////)」
「脱ぐな」


投稿終了、しかし最近は我ながらペースが速いな。

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 12:57:43 ID:R0ZEYe0Z
いつからロックマンゼロシリーズがクロスされるようになったんだwww
ニヤニヤがとまらんww

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 23:35:46 ID:6qI0aGoh
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

93 :ロックマンJUM:2007/10/21(日) 00:08:45 ID:7YihzIUm
>>91
5スレ目の369からだ(ニヤリ


真の一話なのに保管庫からは何故か除外されているがねorz

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 03:50:57 ID:aGorkNvn
糞糸雀信者いいかげんにしろ

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:27:20 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:28:53 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:30:15 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:31:36 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:32:38 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:33:40 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:34:46 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:35:53 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:37:12 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:39:19 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:40:33 ID:M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:44:02 ID:PYrEgCop
ばらすぃを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
ばらすぃ可愛いよばらすぃ

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 00:20:31 ID:MiWqqexv
                       , .-=- ,、
                     ヽr'._ rノ.'   ',
                     //`Y. , '´ ̄`ヽ
                     i | 丿. i ノ '\@
      .ィ/~~~' 、          ヽ>,/! ヾ(i.゚'Д゚ノ
    、_/ /  ̄`ヽ}              ;*∵
    ,》@ i(从_从)) ギュワーン       ,'; ∴+
    ||ヽ||#゚ -゚ノ||   ,、,、,、,、,、,、,、   ';∴+  ブシュァァァ
    || 〈iミ''つ|匚)巛|}三三三三)》 (kOi∞iミフ
    ≦ ノ,ノハヽ、≧ ^^^^^^^^^  (,,( ),,)
    テ ` -tッァ-' テ           じ'ノ'

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 20:57:42 ID:KdMs3ba2
こうやってスレを荒らすから嫌われてるってことを金糸雀信者は理解してるんだろうか

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:22:59 ID:Nnb9vVKI
いや、嫌われさせようとしてるに違いないだろ、荒らしなんだから
つか信者じゃなくてアンチの活動だろどうせ

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 06:20:39 ID:WtVEKAaY
キャラだけを叩くならまだしも信者を装って印象悪くさせるとかタチ悪すぎ

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:51:28 ID:gDuteX3s
つまり、信者もアンチも迷惑な存在ということで

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:15:01 ID:BtJcn+WA
もしかしたら勘違いしている人がいるかもしれないので念のため言っておくよ。
>>94から>>111
は同一人物ですよ。

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:20:01 ID:/TESMVsZ
つまり>>112が一番勘違いをしていると

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:28:21 ID:CeYZoN1h
ローゼン関係スレはいつも信者とかアンチとか言ってるのか?
どこ見てもそんなことやってるような気がする

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 17:55:15 ID:BtJcn+WA
>>113がお一人でいろんな所で頑張っておられるんだろ
お疲れな事だが少しは自分の事もしなければ後から困るよ

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:49:07 ID:Uk2eBl5V
もうこういう論争はいいからおとなしくSSを投下するかされるのを待ちましょうよ

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:34:35 ID:4OOpOOkp
テンプレの保管庫にこのスレの6スレ目が無くて涙目
「RozenMaiden LatztRegieren」の続きが気になって仕方が無いですorz

118 :JUM(*^^*):2007/10/23(火) 23:27:59 ID:kTwh/Qbf
昨日はいつもの幼なじみ○君が休みだったため夕方から出かけた☆○君宅でパソコンの打ち込みスピードの競争を練習ソフトを使ってしたよ☆
いま○君は仕事現場で急に使うことになったため練習してるらしい☆
明日は午前から○○○○の番組があるね☆姫早めに寝た方がいいよ。おやすみ☆(*^^*)

119 :ロックマンJUM3 テロス:2007/10/23(火) 23:54:23 ID:aDiQ6qB1
ちょっとだけ燃料投下



「ジュウウゥゥゥゥゥンッ!!!!」
「水銀燈ッ!?(CV:風間 勇刀)」


ガバッ!

「あ〜水銀燈がJUMに抱きついたの〜! ヒナもヒナも〜!」
「ちょっと水銀燈! それは私の僕よ!?」
「くぅおらあああああ!!! 翠星石を差し置いて抱っことはいい度胸ですぅッ!!」
「相変わらず俺に拒否権は無い訳だな」


「うう、JUM……JUM……!!」
「どうした、何があった?」
「めぐが……めぐがぁ……!!」
「ああ、お前のミーディアムか。 あの買出しの後、水銀党の連中が一年に渡って
 俺を追い掛け回したもんだから、体中の筋肉が(※)鍛えられてしまったんだぞ」

(※参照:ttp://www.capcom.co.jp/product/rockmanzero/ → ttp://www3.capcom.co.jp/rockmanzero4/)

「そ、それはおいといて……めぐが、めぐがおかしくなったの!」
「「「「……?」」」」
「天使になりたいと言っていためぐが『人魚』になったのおおおおお!!!」
「落ち着け水銀燈、何がなんだかサッパリ分からん」
「だから! ジョークでも幻覚でもなくて本当の話し――――」


「うゆ? どうしたの?」

「……敵の気配だ」
「おかしいです真紅! 窓の外が水中に沈んでるですぅ!?」
「これは……無意識の海!?」


「め、めぐが来たんだわぁ……!!」
「「「!?」」」
「……成る程、だんだん状況が読めてきたぞ」



とりあえず今回の投稿は最初の部分だけ。
そろそろ表現に限界を感じてきたし、やっぱり下手なりにでもナレーションは付けるべき?

120 :ロックマンJUM3 テロス:2007/10/23(火) 23:57:21 ID:aDiQ6qB1
しまった、文の修正し忘れた

「……成る程、だんだん状況が読めてきたぞ」 →「人魚に、なった……だと? まさかな」


121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:58:45 ID:7O/RCjzu
>>119
GJです 自分の思うようにかけばいいと思うよw

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 02:54:19 ID:UWkxauWP
GJだ!

123 :Jum(*^^*):2007/10/25(木) 00:24:24 ID:xQDEScVc
今手紙書いてるよヽ(´ー`)ノ
前に書いたのをもう一回推敲し直したら、字が下手な気がしてまた最初から書き直した☆(>.<)y-~
すると…φ(..)すでに紙面に貼ってしまったデザイン用のシールが足らなくなってしまった(ρ_―)o
そこで夕方追加用を買いにいく羽目になってしまった…(-.-)Zzz
…☆ところで心配なのは、「誕生日」の日は、ちょうど姫は地方出張日のような気がしてならない( ̄〜 ̄)ξ
木曜日は出張が多い気がするので☆
それとも前日の水曜日なら確実に都内にいるのかも…と思った。
都内で午前中アレの仕事があるから(*^^*)
その読みは当たるだろうか?
うーん日をずらした方がいいかな?
とにかくもうじき手紙が着くのでよろしく☆(≧▽≦)/

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 01:12:34 ID:X2dsKFij












125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 20:31:01 ID:PsRJH1V9
          /:::、::::::、::::::、::::/::::jL、
            /:::/::/\:::\:::辻-く仁、
         i::::i::/__  ` ー ミ _∧ ニ/{
         l::::レ.ァニ、ヽ   ィニ、ヘ_ノレ'
            ゙:」 ´込ソ  .  込ソ i::/
         /∧  ̄ r==┐ ̄ ∧ヽ
      , --、 {!`ーヽ.   、___ノ  メー' i}、
     / ̄>-、」::_:_:_-:i>┬<!:-:_:_:_:」i
   /  / / ト、7∠イ::i⌒i:::iヽ:ニ:ニ:ノ\
  _ヽ       ´/、 __ニ」:::! ゚ i:::l〉=:、. .ヽ   \
  \___\     ノ/r=_ _「i::! ゚ i:/{!三:`ー' i ,,  l
   /z{::::\ /::Y <<.     、ニr=_ノ .::i.:/ /
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後屋根から転げ落ちるわ火事に巻き込まれるわ
名前を間違えられるわたまご焼きをカラスに奪われるわでえらい事です

126 :(*^^*):2007/10/26(金) 01:44:02 ID:JpB4rb1j
今日仕事に熱中してて書き込み遅れてしまった☆ヾ(^_^)
これから深夜アニメ観て寝ます☆


127 :Jum:2007/10/26(金) 03:23:10 ID:JpB4rb1j

ローゼン主人公桜田ジュンの日記です☆


128 :Jum(*^^*):2007/10/26(金) 03:36:20 ID:JpB4rb1j
クラナド途中から観た☆ ボーっとしてたら思わず時計の針が過ぎてしまった。
昨日はマクロスも深夜観たがいいシーンだったな☆
あのシーンは劇場版と重なってるのでうっすらと覚えてた☆
80年代アニメのためか、リンミンメイの髪型は松田聖子カットだ(笑)
服装もどことなく当時の雰囲気☆でも絵は古さを感じない。
けっこう良かった(*^^*)最後のおちとかも☆

129 :(*^^*):2007/10/26(金) 03:58:16 ID:JpB4rb1j
昨日はごめん☆
もしかしたら待ってたのかな?
blog見るタイミングがどうも遅くなってしまうが、もしかしたら姫の方が更新しても、最新画面がすぐこちらに現れないのかもしれない…?ワンテンポずれてる(-.-)Zzz
ケータイで見てるからかな…?☆
もうじき手紙着くからね(*^^*)

130 :真紅の日記:2007/10/26(金) 19:01:20 ID:Chf9J7rY
最近ジュンがキモいのだわ、おかしいのだわ

131 :Jum:2007/10/26(金) 19:54:03 ID:AEbsqnwB
真紅が俺を怪しんでいる。 何故だ?
俺が真夜中にNのフィールドに行って、ヒッフッハとJUMナックルの練習をしたからだろうか?
それとも皆に黙って「ザ・めしや」で昼食をとっているのを見られたからだろうか?
ともかくこれ以上下手に詮索されるとまずそうだ。

真紅達のためにはやおきして、おべんとうでもつくって機嫌をとるしかなさそうだな。

132 :ロックマンJUM:2007/10/26(金) 19:55:05 ID:AEbsqnwB
出来心で書いた。 だが反省は(ry

133 :真紅の日記:2007/10/26(金) 22:07:45 ID:Chf9J7rY
ジュンが突然早起きして弁当を作ってたのだわ

私が朝4時頃、一階の御トイレに行った時に、台所が明るかったから覗いてみたら
ジュンが台所で変な鼻歌歌いながら嬉しそうに腰振って唐揚げ揚げてたのだわ!ガクブル
腰抜かしそうになったのだわ。
どうしたのかしら・・・やっぱりジュン最近おかしいのだわ・・・


ってすれ違いなのだわゴルァ

134 :Jum(*^^*):2007/10/27(土) 02:30:26 ID:Sc5Maazd
一応>>131は別人の書き込み(*^^*)なかなか良かった☆
先日松○聖子の名前を出してしまったけど、80年代というとベストテン番組がかなり流行っていて、なんだか当時の思い出が蘇ってくる…
久米○ろしと黒柳○子の早口コンビが懐かしい☆
久○といえばニュースステーションでなくベストテンの司会者時代の方が好印象だ。
アナウンサーでは姫もよく知ってる吉○照○という元文化放送アナがいて、おにゃんこクラブ(今のモー娘のような感じの)を配した「夕焼け○○」という番組があった☆
吉○照○というアナウンサーは個人的にけっこう好感を持っている☆
ところで男のアイドルはなぜいつもJ事務所ばかりなのかと当時、幼心に感じてた(笑)
まあいいか。
…とりとめのない話になってしまった…φ(..)
ケータイだとこれだけ打つのに30分かかってる…情けない(ρ_―)o
眠くなったので…おやすみ(≧▽≦)/

(-.-)Zzz

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 12:31:33 ID:IqKH2aMO
>>130>>131>>133
吹いたw
あと両者共にGJ!

136 :Jum\_>;・∀・|>:2007/10/27(土) 14:01:51 ID:OgedPUXk
>>133
おべんとう自体は喜んでくれたようだ。 しかし余計怪しまれるようになった。
非常にまずい、アレだけは見られる訳には行かない。



ヘルメットをとったら、俺の髪はプリン頭だと言う事を……!!
見られた日にはティウンティウンしそうだ。
(元の髪型(黒毛)+金髪長髪の為。 元の髪型の部分はヘルメットで隠れている為分からない)

137 :真紅の日記:2007/10/27(土) 19:47:58 ID:QgHRtD9j
ある日の夜、ジュンが発する鼾の異常な煩さに私は目を覚ましたのだわ。

そう、あれはまるで道路工事や採石場で行われるハツリを耳元でされたような、
もはや人間業とは思えないほどの轟音だったのだわ。

あったまにきた私は一発絆ックルを顔面に食らわしてやろうと
ジュンのベッドの上に行ったのだわ。

するとその時!世にも恐ろしいものを見てしまったのだわ!
ジュンの頭が!いえ、正確には毛!毛よ!髪の毛!髪の毛が頭から少しずれてたのだわ!
なんというか、毛根そのものが右下にずれてたのだわ。そして少し変な物体が隙間から・・・

・・・いえ、何も無いのだわ。何もなかったのだわ。何も見てない。何も・・・

私は気持ち悪くて吐き気がしたからその日はそのまま鞄に引き返したのだわ・・・

ジュン・・・やっぱり最近変よ・・・
翠星石や雛苺に相談しようかしら・・・

138 :Jum\_>;・∀・|>:2007/10/27(土) 20:40:12 ID:OgedPUXk
油断も好きも無い奴だ……。 ヅラっぽくみせるように寝る前に
ハゲかつらとその上から、金髪カツラをかぶっておいて正解だった。


真紅には悪いが、プリン頭は拝ませないぞ。
万が一見られた時は……JUMナックルでローザミスティカをシージングしてやる。

139 :Jun(*^^*):2007/10/27(土) 22:13:13 ID:Sc5Maazd
blog写真かわいいよヽ(´ー`)ノ
きょうも遠くにいるみたいだね☆いま電車の中かな、それともまだ現地かな?
パソコン代わりにすべてケータイ使ってるから、1日のうちかなりの時間小さな画面を覗き込んでる☆
パソコンより目が疲れるな(´Д`)
一休み(u_u)o〃

140 :Rozen Maiden Latzt Regieren:2007/10/28(日) 02:12:21 ID:XnC22b+p
..ローゼンメイデン
それは人形師ローゼンが造り上げた七体の少女人形
七人の姉妹に与えられた宿命はアリスゲーム
かくして姉妹は 仲良く殺しあったのでした...

私の名は真紅 薔薇乙女の第5ドール
誓いなさい 薔薇の指輪にかけて 私のローザミスティカを護ると..

 − THIS ERA −
 
     この時代


7人の薔薇乙女が一斉に目覚めたのよ アリス・ゲームが始まるのよ

 − THE ALICEGAME ENDS −

       アリスゲームは終わる


敗けたドールは 勝ったドールにローザミスティカを托すのが掟
目を逸らさないで見るの これがアリスゲームなのだわ
あら、私は自分のことを可愛そうだなんて思っていないわ
だって...生きることって、闘うことでしょう?
姉妹の絆もマスターの絆も 最後にはぜんぶぜんぶ引き千切られてしまう 
私たちは 絶望するために生まれてきたの だってそれが薔薇乙女の宿命だもの

 − WE CAN NOT BECOME ALICE
       WITHOUT   LOSS       −

     私達は失うことなしにアリスになり得ない


かわいそうな水銀燈…
彼女のパパを殺してあげても あなたの呪縛は消えないのに
ぐるぐる…ぐるぐると ただ憎しみが廻るだけ すべてはアリスのために

 −     NO VICTORY
    WITHOUT SUFFERING −

       勝利には苦しみが伴う


アリスゲームに生きる事 それが私達の薔薇乙女の自然であり必然なのだとしたら…
私達ドールは人間のように老いる事も成長する事もない
けれど意識の器であるこの身体が物質世界の存在である以上 いずれ朽ちて塵となり 私達はいつか滅びるでしょう

 −   NO FREEDOM 
  WITHOUT SACRIFICE −

      自由には犠牲が伴う


…かわいそうなのは貴女だわ 器を持たない貴女は 生命の糸も必要としない 絆という繋がりを
本当に思いが繋がっていれば契などいらないのだわ 指輪がなくなっても繋がっていられる 信じていられる
だから真紅は...

 − THE MAIDEN CIVILIZES −

141 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:15:22 ID:XnC22b+p
NEW LINE CINEMA.
presented by rozen maiden

fan fiction/side story film


世界は変わった。

時計の針がそう告げている。水からそれを感じる…

もうすぐで思い出すことができる アリスが私たちを呼びかけている

あったものが失われました...それはもう誰の記憶にも残っていない

   <支配は終わる>

第四ドール、蒼星石は死にました。
同時に彼女の持つ世界も朽ちていきます…三本の柱が並ぶ断続的な通路

第二ドール、金糸雀は殺されました。
遂に彼女の演奏が彼女の劇場で聞かれることはなかったのです

第一ドール、水銀燈は自殺しました。
愛の棘から己を解こうとしたお姉さまの、悲しい結末でした

お姉さまは…第五ドールとの戦いで…

「ここまでよ!水銀燈!」
真紅は溶岩を飛び越え、安全な土地に着地して言う。「地の利はもう私が得たわ!」
一人マグマの上の孤島に残され、状況的に窮地に立たされた水銀燈。
「あなたはまだ…」そんな水銀燈は、いまでは真紅に対する憎しみに心が完全に支配されている。「…心の中で私を見下している…」
彼女の激情に歪んだ顔が、何処までも執念深いダークピンクの瞳が、流れる溶岩をバッグに真紅を睨みつけた。攻撃の合図だ。
理性の限界がきていた真紅は必死で懇願する。「…やめなさい、…」
「うあああああ゛!!」
だが、その上からなだめるような真紅の言葉に返って逆上した水銀燈はついに溶岩の孤島から飛び上がった。
宙で一回転し、真紅の背を取ろうとする。
平静さを失い、宙を飛んだ水銀燈は隙だらけだった。真紅はステッキを振るい、彼女の腹部を裂いて真っ二つにするとつぎに左手を
砕いた。
バラバラになって斜面を転げていく水銀燈。この瞬間、真紅と水銀燈の長く続いた戦いに、終止符が打たれた。
そんな水銀燈を眺めて真紅は泣き叫ぶ。「こんな戦いだけはしたくなかったのに!薔薇乙女の中で最もアリスへの気持ちが純粋で、
気高くあったはずの第一ドールが堕ちたのだわ!」
いまや上半身だけの姿に逆戻りした水銀燈は左手だけで懸命に斜面を這い登ろうとしながら真紅に憎しみを吐き出した。
「あなたが大嫌いなのよ!!」
2人の間に言葉がしばし途切れる。
真紅は、最後水銀燈の手から落ちた剣を拾い上げながらやがて静かにそれに答えた。
「水銀燈、あなたはさっきいってくれたわ、私の初めて出来た友達って」
初めて出来た友達。19世紀の頃であった2人の仲の間に、アリスゲームなどという概念は全くなかった。
真紅のその言葉に、一瞬だけ理性を取り戻した水銀燈がそれに気付いた。瞳に押し寄せる恐怖を宿わせる。「…めぐが…」
彼女は真紅とのこの溶岩地の戦いで、めぐの力を完全に使い切ってしまった。真紅に怒りを覚えるあまり完全にわれを失っていた。
完全に自分が薔薇乙女としての生きかたを逸れ、ただの人殺しの悪魔に成り果てしまったことを水銀燈は悟り、
最期に真紅を見上げて別れを告げた。「…真紅。さようなら…」
そして彼女は自ら溶岩の中へと身を投じた。
「水銀燈やめなさい!!」
叫んだ真紅の声も結局最後まで彼女には届かなかった。

四つのローザミスティカがマグマの中に投じられ…焼かれ…魂が焼かれていく…魂は溶岩の中へ沈んでゆき、岩盤の底を突き抜けて、
岩と岩の間を潜り抜け、底より下の巨大な空洞に出ると、無意識の海へと落ちていく。
第一ドールの魂が…莫大な闇の地下世界で一点の光りを月のように輝かせながら…どんどん落ちる。
暗闇の底に広がる無意識の海の海面がみえてきた。魂はそれに吸い寄せられるように落下し…遂に水面に着水した。

142 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:17:11 ID:XnC22b+p
102

「水銀燈!!」
真紅は目を開けた。目の前に広がるのはジュンの部屋。
ジュンは腰の骨を完治させて退院し、昨日に自宅へと戻ってきていた。
部屋の素朴な時計を見やる。午前9時34分。
ああ、普段ならば起きている時間だ。だが鞄から外に出るつもりはもうなかった。
もう一度目を閉じる。
鞄の中には、昨日の戦いで最後水銀燈の落とした剣が形見として中に入っていた。剣にはまだ人間の乾いた血の跡が残っている。
人形であるのに、この鞄の中で独り老いていく感じがした。変化のない取り残された世界の隅で時間だけが過ぎ老婆のようになって
いく気が…

彼女の鞄の外で、別の人たちの声がしている。「…ダメか?」「ですぅ…」「なのぉ…」
ジュンはため息をついた。無理もない。真紅は二度としないと誓ってこの時代で行動してきていたのに、最期には自分を守る為に
そうしてしまった。でも、そうする以外に真紅があの場で生き残る方法があっただろうか?彼女はその状況に甘んじた自分に絶望
していた。

そして何より、雪華綺晶の仕掛けた罠から最後まで抜け出すことができず、水銀燈との因縁が最悪の形で終わりを告げたことにも
絶望していた。2人は雪華綺晶に操られたままその戦いを終結させた。

かけてやれる言葉がみつからない。真紅は鞄の中で眠り続け − まるでそこで待っているかのように思えた。
誰もしらないときに。

143 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:18:38 ID:XnC22b+p
103

巡る…巡る…宿命の先に…

「みんな、お疲れ様」
「お疲れ様です、柏葉先輩」
剣道部の活動が終わる。
柏葉巴は、制服に着替え終えて部室を後にした。
帰宅路を歩く途中、人通りのない静かな道ではその時間を惜しんで教科書や単語帳を片手に暗記に励む。
市道の階段を登りきり、ある地点にきたところで巴は歩く足を止めた。
自分の前に立つ店の入り口に掲げられた看板を見る。

"Enjyu"

そして店の入り口のドアに掛けられた木札。

"Closed"

巴はため息をついた。ここ一週間、ドールショップエンジュの店はずっとClosedだ。中で何かあったのかあるいは閉店してしまったか。
彼女はこの店を気に入っていた。ローゼンメイデンの雛苺と出会ってからは、すっかり人形関連のグッズに興味が集中している。
だがらこそ、この店「Enjyu」での買い物は、厳格でしきたりの多い家庭の現実からのちょっとした逃避にもなっていたのだが −。

「はぁ…どうしちゃったんだろう…」
諦めてその場を後にしかけた時、驚いたことにClosedの札がかけられた店の扉が開いた。木の軋む音を立てながら、ゆっくりと。
中からは店の店主・槐が姿を現した。
巴は息を張り詰めた。
槐の井出達は人間としての生活を捨てたようなそれだった。
髪の毛も乱れ、髭の処理も怠われ、パンツ一枚しか身に纏っていない。ずっと風呂にすら入っていないように全体的に不潔な
印象すら受ける。
そんな自分の姿など全く気に掛けていないように、槐は巴に声をかけ店に入るように招いた。
「…君と話したいことがある。入ってくれ」
彼の瞳はどこか夢見心地だ。異様な光景に一瞬たじろいたが、巴はやがて頷くと槐に誘われるまま店の中に入った。
「こっちだ」
巴が案内されたのは、彼女がいままで彼女が入ったことのない、槐の生活部屋だった。
強烈な異臭がする。
このにおいの正体はすぐに分かった。壁際に隙間なくズラリと並べられた黄色い液体の入ったビン。
ビンには"U − O − Y − S − I − …"といった無意味な順のアルファベットがひとつずつ記されている。
漂う悪臭の元はそれだけでなく、部屋のベッドの脇に大量に置き捨てられている酒瓶もまた嫌なアルコール臭を部屋に充満させていた。
さらにそのベッドのシーツには、点々とした乾いた血の跡がこびれ付いているのが見える。
一体槐に何があったというのだろうか。よほどのことがなければ人間は通常こんなことにはならない。
「あの…どうかなさったのですか?」
巴は恐る恐る聞いて見た。
槐の瞳は空虚なままだった。「一緒に来てもらおう」
「何処へ…ですか?」
「nのフィールドに」
「n…!」
巴は本能的に危険を感じ、逃げようとしたが、その肩を槐ががっしり掴まえた。「きゃっ…」
部屋の壁際には割られ、全体にヒビが行き渡っている大きな鏡台がある。
2メートル近くある長身の男を相手に巴はなすすべもなく、その鏡の中へと引き込まれた。

144 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:20:07 ID:XnC22b+p
104

真紅は二度寝していた。
第五ドールの夢の世界。裕福そうな屋敷の部屋に置かれた椅子に腰をかけて紅茶を飲んでいる。全くおいしくない。
夢の中で飲む紅茶にはそもそも味なんかなかった。
…味がないですって?…
彼女は独りで笑いそうになった。

しょうもないことを考えながら、もう一度紅茶を口に含もうとする。

"…真紅…"

カップが唇に触れる直前、水銀燈の声がした。夢の世界に響いてくる。
真紅はカップをテーブルに置き、席を立った。「…水銀燈?…あなたなの?」

"…真紅…あなたを迎えにきたわ…"

「私を?」席を離れて応じる真紅。彼女は、水銀燈が戦いに使っていた剣を両手の平に置いて持つと前に進み出た。

"…ええ…真紅…聞いて…"

水銀燈の声が再び響いてくる。

"…わたしは限界なの。アリスになりたいしお父様にも会いたい…でも…私はこれ以上戦いを続けることができそうにないわ…"

「水銀燈…」
いまや完全に真紅は響いてくる声に夢中になっていた。

"…ねえ真紅…あなたには思い描くことができる?全てから解き放たれた自由を?他人の考えからの自由、自分自身からの考えさえからも
束縛されない自由を?"

水銀燈の声が続く。

"…だから…一緒に来て…真紅…"

黒い羽が一枚、真紅の夢の領域の空間に舞い落ちてきた。
落ちた羽はまるで水面に着水したように波紋を広げ、床に別世界への穴をあけた。

そこに入ったとき、自分が何を見つけるのか、何をするのか、真紅はある部分で感じていたことは、恐れよりも遥かに強い欲望、
水銀燈にもう一度会いたいという欲望だった。

"…待ってるわ。真紅。時期に私達は集えるわ…"

145 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:22:56 ID:XnC22b+p
105

独りでにジュンのPCの画面が明るくなった。
以前もPCの画面からは水銀燈が飛び出してきたことがある…それを思い出したジュンははっとして画面に顔を向けた。
しかしそこに映っていたのは水銀燈ではなく、雪華綺晶だった。

その場の全員が慌てふためいて身構えた。鞄の中に閉じこもっているであろう真紅ただ一人を除いて。
「こんなにも早くくるなんて…しかも僕の部屋に…!」
「何しにきやがったですか白薔薇!」「来ちゃだめなのぉー!」
雪華綺晶は両手を画面についたまま、口元に笑みを浮かべてしかし傲然とした目で部屋の中を見渡した。

「…恐れ…」

彼女が最初に口にした言葉は、それだった。「…恐れが…感じられます…」

「何の用なんだ!?」ジュンが大声で聞いた。

金色の右目が開いた。「ふふ、真紅のマスター!」急に打って変わって、彼女は喜んだように声を張り上げた。「あとはあなただけ!」
ジュンは恐怖と困惑が入れ混じったような表情を顔に浮かべた。「…何の話なんだ?」
すると雪華綺晶は答えた。「実のなるマテリアル。終焉はすぐそこ、全てが呼ばれ、見届けます!開花の刻がやってきました。」
そういいながら雪華綺晶は流れるような動きで自分の体を横に逸らした。後ろに映し出される、背景。白い薔薇と氷の結晶の世界…
視点は少しずつ下へと降りてゆき、その世界を見下ろしていく。
そうなっていくに従って、ジュンは身の凍りつくような光景を目撃するに至った。

ジュンのよく知っている人たちがそこには沢山いた。最初に目に入ったのは草笛みつ。金糸雀のマスターだ。
大事そうに幸せそうな笑みを浮かべながら…"がらくた人形"を抱えている。
だがおかしいことに、そこだけ時間がとまったしまったように、みつは身動き一つしない。
ジュンは悟った。
彼女がそびえ立つ水晶の城の一部と融合し、中に閉じ込められてしまっていることを…
いつか薔薇水晶が翠星石にしたように…

彼女だけではない。蒼星石のマスターであった柴崎時計店の元治や昨日病院で出会った水銀燈のマスター柿崎めぐの姿もそこには見えた。
いずれも、彼女の世界に閉じ込められてしまっていることは分かった。いや…柿崎めぐの方については、どういう訳か一人だけ少し
隔離されているかのように、水晶の中には閉じ込められることなく大きな白い薔薇の花の上に吊るされ、足先だけが花弁の中に
沈んでいる。
瞳は閉じられ、やはり夢を見ているかのようだ。
「一体…なんだよ、これは…。ローゼンメイデンのマスター達が…」
ジュンは震えながら声を絞り出した。
「私の実の成るマテリアルたちです」
「どういうことだよ!」
「つまり…」ふわふわと浮遊しながら彼女はまたPCの画面に近づいてくる。「ローザミスティカを奪い合うことだけが、アリスになる
方法ではなく…私のような実体のないドールが」前も思ったが、彼女の声はまるで頭の中から直接響いてくるかのようだ。「人の心
を素材に志向の少女になることもあるということです」

ジュンも雛苺も翠星石も愕然とした。
ローザミスティカを奪い合わずにアリスになる。人間の心を"素材"に?
ふと三日ほど前、水銀燈のフィールドでラプラスから聞いた言葉が思いだされた。"七番目の姉妹が糧とするものは、人間のこころ。"
…まさか。
「ドールズの契約者全ての力を以ってアリスになる…」
そう呟く翠星石の声は震えていた。
「そんな…そんなバカな…まってくれよ…」
水晶の中に封じ込められた哀れな人間達を見ながら、ジュンは後ろへと退いていった。
「そんなことあるもんか…"薔薇乙女は、人間を傷つけたり不幸にする存在じゃない"って真紅が言ってたじゃないか!!」
人間を傷つける存在でないはずの薔薇乙女が、人間の心を奪い、水晶の中に封じ込めてアリスになろうとするだって?
そんなことあって…あっていいのだろうか。
「ただ一人の私を除いて、それに従った姉妹がいたというのですか?」すると不穏に笑う雪華綺晶。「可笑しなことを言いますね…
ジャン?ジュン?ジャム?あーもうこの国の"gook"たちのおなまえはみんな同じに聞こえてしまうのでしてよ?近頃ではとてもへんな
当て字をしたおなまえも多いですし」
「お前がいうなですう!」翠星石がすかさず槍を入れた。

146 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:26:34 ID:XnC22b+p
「まあ、」左手で自分の髪に括り付けられた白薔薇をいじって言う。「そう…あー、七体目は愛に満ち溢れていますよ!ふふ…
…えーと、何言ってんだろ私、つまり…彼らをごらんなさい!」
少しふらふらしながら彼女は水晶の中のドールのマスター達を指差した。
「みんな幸せそうにしているでしょう?私の愛に抱かれて安らかにそして幸せに眠りについているのです」
そして金色の瞳がジュンへと向けられる。「第七ドールは誰よりも夢と幸福を理解できるように作られました。あなたも外れては
いない。私は知っている、あなたの願いを。全ては私の世界で知ることができる…」

彼女の言っていることは無茶苦茶だとジュンは思った。
それが本当だとしたら、ローゼンは…あの創り主ローゼンは何を考えているというんだと問い掛けたくなったが、
恐ろしくて彼女を機嫌を逆撫でするような言動をするのを堪えた。
みんながあの世界の中に閉じ込められている…助けなければ。

…でも、どうやって?

そんなジュンの心の様子を察知したのか雪華綺晶は画面の中でにっこり微笑んだ。
「この私を以って、あなたを迎えに上がります…真紅のマスター。あなたを縛り付けるしがらみは全て消え、あなたはインテグアル
タンジェントスリーシータだとか、ダブルエックスマイナスコスシータサインシータディバイズワンエックスプラスワンパレンジシス
デルタエックスだとかに頭を悩ますことはなくなります…さあ、おいでなさい!」

以前水銀燈のフィールドでであったときに比べたら、ジュンはこのドールが随分と明るく、というか、饒舌だなと思った。
あのときはおどけて静かな印象だったが…いまはこの人形、喋りに喋る。
恐らく自分の策略がうまくいきすぎて楽しくて仕方がないのか、完全にキマグレで飛んだ性格なのかどっちかだ。

「ところで、私の世界は確かにnのフィールド」雪華綺晶はさらに続ける。「この"n"を考えたことはありますか?」
誰もが閉口してしまって答えない。
切り詰めるほどの静粛がしばし流れる。
「恐れることなんて何もないのに!」彼女は画面の中で喚いた。あい変わらず虚ろなままの瞳で。「自然数"n"がまず浮かびますが…
実はこのnって、"literal-mindedness n"といったりするように"現実的"を意味する字なんです…要するに、数学的でも倫理的でも
よろしいのですが、帰納で説明できるんです。演繹ではありません、帰納で…空白の証明。それがnのフィールドの世界」
これほど謎めいたことばかり語ってくる姉妹がかつて薔薇乙女にいただろうかと思いながら、ジュンは喋りを続ける雪華綺晶の口の奥に
隠された異様に鋭く発達した犬歯に気付いた。口に入れればなんでも噛み切ってしまいそうな犬歯だ。
「例えるなら…そう…ここは私の家でなかったでしょうかとあなたに問いかける…もし私の家でないというのならあなたにそれを
証明して頂こうと迫り、証明ができないのなら私の家だと考えてもいいという帰納です。たとえ実際にここがあなたの家だとしても、
私の家でないとは限らない。そうでしょう?nのフィールドとはそういうところなのです。だから…」
いいながら彼女は左手の指先を画面にくっつけた。
「nのフィールドへの入り口は鏡とは限りません。知っていましたか?」

「知るかっ!」
ジュンはピシャリと画面の中の白い少女に言い放った。
「ちったあロクなこと喋ってみせろですぅ!」その隣で翠星石が雪華綺晶に批判の言葉を放射していた。
雛苺については頭を傾げてまさに"?"マークが頭上に浮いているイメージだ。
「nのフィールドというとこは」見かねた雪華綺晶が自分で答える。「創造がむしろ欠如したところなのです。あなたの見る夢が
実在しない世界などという証しがありますか?あなたには見えているのに。永遠の器が存在し得ないと真に証明できるような"知性"が
それを否定しましたか?nのフィールドは、本当にどこにでもあって、どこにでもないところ…そう!そこへいくには"向こう側に
突き抜けられるか"どうかだけなのです!」
雪華綺晶の後ろで、一つの扉がストンとおちてきた。PCの画面内にそれが映る。
「あれは"知覚の扉"…」
彼女はその扉を指差して言う。
「もし知覚の扉が浄化されるならば、全ての物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える。あの扉の先には何が見えるのでしょう?
その先にいってみなければわかりません。ふふ…とても開けたくなってみるでしょう?何故ならあの扉の先には、アリスがあるからです」

147 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:28:45 ID:XnC22b+p
「ちくしょ…」
ジュンはそんなことよりも、彼女の世界に閉じ込められてしまったドールのマスター達のことを気にしていた。
何かがおかしいが、くるところまでアリスゲームがきてしまったと、ジュンは認めざるを得なかった。
薔薇乙女が人間の心を奪うことでアリスを目指す?ローゼンがかつて言ったことと矛盾しているじゃないか!
「彼らが気になるのですか?真紅のマスター」
その様子を察した雪華綺晶が言ってくる。
「あなたは現実世界を好きでない…昼は夜を壊し、夜は昼を裂く。"ある"ない"ある"ある"ない"ある"ない"…それだけの世界。
突き抜けてみたいと思っているのでしょう?           1  0  1  1  0  1  0
彼女もその内の一人…」
「彼女?」ジュンは顔を上げて聞き返した。
画面の中に、迷い込んだように首をきょろきょろさせながら彷徨い歩いている彼女の姿 − ジュンの同級生 − 剣道部にして
クラスの学級委員長の巴がいた。
「ああっ!ともえ〜っ!」
雛苺がすぐに画面を見て反応した。ジュンの膝の上に飛び移って顔をのばす。
「あ、あいつ…!」ジュンは呟きながら、自分の眉間が痙攣するのを感じた。「おまえ、柏葉にまで手を出す気か!?」
「夢の扉を自分で見つけることも」さらに雪華綺晶は言った。「それが薔薇乙女の場合、行き先はただひとつ…」
そう言い、今度は水晶の城の上部、鋭く尖った頂上より少し下辺りを白い指先を伸ばして差した。
彼女が意図したとおりに、恐る恐るジュンは目を凝らして彼女の差した先をよく見てみた。
かなり嫌な予感がする。
そして見つけたのは、まるで夢遊病のようにふらふらと夢見心地な瞳で聳え立つ水晶の城の中ををふらふら歩いている、
真紅だった。両手に水銀燈の形見であるあの剣を持って、今は亡きその持ち主を探しているかのように彷徨っている。
「真紅!?」ジュンと翠正石の声がはもった。「どうして真紅まで!?」
ジュンは飛ぶように椅子から離れ、真紅の鞄の駆け寄ると蓋を開けた。「いない!ずっと鞄の中にいたと思っていたのに!」
鞄の中は、空っぽだった。
するとPC画面の中の雪華綺晶がふふっと笑って言った。「nのフィールドへの入り口は、鏡だけでないと私は言いましたわ?」
「お前!みんなをそこに集めてどうするつもりだというんだ!?」
「それは扉を突き抜けなければわからない」雪華綺晶は人指し指を口にあてて言った。「あなたも一緒ですよ、真紅のマスター」
そしてそこから飛び降りていくように雪華綺晶はきえた。さいご舞い上がった彼女の白い髪が画面には映った。

148 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:32:20 ID:XnC22b+p
108

「くそ…どうする」
薔薇乙女たちのアリスゲーム。まさか自分の知らないうちにこんなことになっていたなんて。薔薇乙女に関係していた人間全てがそれに
巻き込まれてしまっていた。
「ジュン〜!ジュン!!巴が…巴がぁ…」
雛苺が椅子の上からジュンの腕を引っ張っていう。
「分かってる。いくしか…」
「ちょっと待てですぅ!ジュン!」翠星石が突っ込んだ。「白薔薇の狙いはチビ人間だと分かったです…ジュンがそこで正面から
出向いたらヤツの思う壺なのですぅ!ちったあ頭を使うです!だから私たちが…」
「いや…だめだよ…僕がいかなければ、お前たちはnのフィールドで十分に力が出せないんだろう?それに、30分までしかいられないって」
それは紛れもない事実であった。「…ですぅ」

You know the day destroys the night
Night divides the day

「みんなでいくしかないってことさ!向こう側に!」

Tried to run
Tried to hide

「真紅やみんなが七体目に連れ込まれてるってのに、部屋にいられる訳がないじゃないか…!」
ジュンは言う。誰も反論しない。その場の雛苺と翠星石も、同じ気持ちだった。

Break on through to the other side
Break on through to the other side
Break on through to the other side, yeah

「nのフィールドへの入り口は、鏡だけじゃない…」
ジュンは雪華綺晶の言っていた言葉と同じことを呟いた。「向こう側に尽き抜けられるかどうか、かよ。そうかよ…それなら」
PCの前にたち、狙いを定めると、ジュンはPC画面にむかって頭から飛び込んだ。PC画面が光り、ジュンはそこから向こう側へと
入り込んでいった。

We chased our pleasures here
Dug our treasures there
But can you still recall
The time we cried
Break on through to the other side
Break on through to the other side

「あっジュンが!」
PCの中へと入っていったジュンを見て雛苺が驚いたように声を張り上げた。
「一生の不覚です、チビ苺」翠星石がその横でいう。「チビ人間如きに先を越されてしまったのですぅ!」
そして彼女達2人もすぐにあとを追って、勢いよくPC画面からnのフィールドへと入っていった。

Everybody loves my baby
Everybody loves my baby
She get
She get
She get
She get ... high!

彼女達三人の前には、待っていたように先ほど雪華綺晶が"知覚の扉"とよんだのと同じ、大きな扉が置かれていた。
「この扉の先に何がみえるか…もし知覚の扉が浄化されるならば、全ての物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える…」
ジュンは扉へと近づていく。「あるとないをも超えた世界…そんなことはどうでもいい」
選択をせままれている。

149 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:33:32 ID:XnC22b+p
I found an island in your arms
Country in your eyes
Arms that chain us
Eyes that lie
Break on through to the other side
Break on through to the other side
Break on throuoww! oh yeah!

この扉を超えたら最後そう簡単には帰ってこれないような気がする。
だが迷いなどはない。猛烈な意志の力がここには働いている。僕の引きこもり生活はこうしてグッバイするのか。
「待ってろよ…七体目のドール…真紅も水銀燈も金糸雀も、みんなをひどい目に合わせて…やってやるさ。僕は扉を突き抜けていく!」
すると大胆にも、正面の扉にむかってジュンは駆け出した。「うおおおお!」そして飛び上がった。
ジュンの体が浮き、足先が前に出るとまるで空中でスライディングするかのような形でジュンの足が扉へとぶち当たった。
扉が勢いよく開かれる。ジュンは扉の先へと体を滑り込ませていった。
「おおっ!」「人間にしてはやるですぅ!」
雛苺と翠星石が目を大きく開いて感嘆の声を出した。それからすぐにジュンを追って開け広げになった扉へと彼女たちも入っていった。

「あいててて…」
当然の成り行きなのだが、ジュンは扉の先では痛そうに腰を手で撫でながら転げていた。
それを目撃した翠星石のコメントが「見直しかけて損したですぅ!」だ。
ついに扉の向こう側へとやってきた。
三人は周囲の世界をまじまじと見回した。

Wait and see
Week to week
Day to day
Hour to hour
The gate is straight
Deep and wide
Break on through to the other side
Break on through to the other side
Break on through
Break on through
Break on through
Break on through
yeah - yeah - yeah - yeah - yeah - yeah..

150 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 02:36:31 ID:XnC22b+p
109

ジュン達は、自分らがただの暗闇のど真ん中にいることが分かった。地面はある。
暗すぎて互いの姿が確認できない。「みんないるか?」
「ですぅ」「なのぉ」2人の返事が返ってくる。すぐそばには居るみたいだ。
「ふぅ…」ジュンはひとまず息をついた。「こんなに暗いんじゃどうしようもないな…核とマントルの間にでも埋まったか?」
後ろを確認してみると、さっき通り抜けてきた扉の入り口はもうない。
完全に別世界へと来てしまった…闇の奥地。誰もきたことのないところ。
一緒に雛苺と翠星石がいることがすごく頼もしかった。こんな心淋しいところ一人では耐えられないだろう。
「何か明るく照らせるものはあるか?」
「あるですぅ」翠星石の声が闇の中から聞こえる。「スィドリーム!」
「ベリーベルぅ!」翠星石の真似するように雛苺も人工精霊をよんだ。
緑色とピンク色のほのかな光が闇の中に煌き、お互いの顔がその光に照らされた。
「うわ…」翠星石が顔を後ろに退かせるのが見えた。「暗闇で緑色に照らされたチビ人間の顔はまるでお化けですぅ」
ジュンはむすっとした。「ピンク色に照らされたお前の顔も古典に出てくる悪霊みたいだぞ」
「な…」
翠星石が反論しかけたそのとき、思いがけずラプラスの魔の声がいずこから聞こえてきた。「皆さんお揃いですかな!」
その声は、無限の闇にもう一度轟いた。「皆さん、お揃いですかな?」
ジュン達はあたりを見回したが、ラプラスの魔は暗闇に隠れてどこにも見当たらない。
「アリスのセレモニーが始まろうとしています!明かりが足りないようですね。姫君方」そこで間を取る。「それでは…メイメイ」
するとこの闇に、新たな光源が現れた。紫色の光源…浮遊している。第一ドールの人工精霊の光だった。
「そして…ピチカート」黄色の浮遊体がメイメイの隣に現れる。
「さらに、レンピカ」三つ目に、青い光がそこに現れる。
紫、黄色、青。「蒼星石のレンピカ!」翠星石が身を乗り出した。「どうして?いつの間に…!」
「この舞台を照らし出す照明はまだまだ足りません」
暗闇の先からラプラスは言う。人工精霊たちの色とりどりの光に照らされて、ついにその姿がおぼろげに見えた。
「真っ赤に燃える…ホーリエ!」
さらにもう一度ラプラスの声がしたあと、三つの人工精霊の隣に真紅の人工精霊が闇の中に姿を現した。
「真紅のホーリエまでここに…?」
ジュンは真紅がまだ無事なのか不安になった。

「全ての…」
突然、雪華綺晶が言いながら人工精霊たちの照らす光のもとに闇から躍り出てきた。
「全てのドールのマスターがここに集いました…」
その台詞をきくと、ラプラスの魔は意味深に笑った。

「それでは、ごらんあれ、いまここに − 六つの人工精霊たちが舞台照らそうと健気に飛び回っています。
しかしながらまだ全てではない。なぜか分かりますかなぼっちゃん?」
ラプラスは手持ちのステッキの先をジュンに向けると聞いて来た。
「えっ…」ジュンは、急に学校で先生にあてられたときの気分を思い出してたじろいた。「っと…薔薇乙女は七体…」
「その通り。薔薇乙女たちは七体。しかし私が名に出した人工精霊たちはまだ六つ。さて…七つ目の人工精霊は?」

「七つめの人工精霊…?」

ジュン達は一瞬考えたのち、いっせいに視線が雪華綺晶の方へと向いた。
「私はこの子を使ったことがない…」七体目のドールは、そう呟いた。「要らなかったから」
雪華綺晶の体のうちからどこからともなく、真っ白に輝いた浮遊体が姿を現してきた。
攻撃的にチカチカ光を点滅させながら、他の人工精霊たちの輪へ加わっていく。
「七つの照明!舞台はこうでなくては!」ラプラスが声高に言った。「七つ目は"スゥーウィ"!」
「スーウィ!?」
翠星石は、今まで見たことのなかった白く発光する人工精霊を見上げて皮肉そうに言った。「あれが七体目の人工精霊なのですか…!」
メイメイ、ピチカート、スィドリーム、レンピカ、ホーリエ、ベリーベル、スゥーウィ。
七つの人工精霊がそこには全てが集まった。
人工精霊達は互いに距離を縮めあいながら高度を上げてゆき、彼らの頭上へと上りつめていく。
「ウェークアップ!」
そのタイミングを見計らったかのように、ラプラスが足踏みするとハイテンションな声を張り上げた。
集まった七つの人工精霊たちそれぞれが、強烈な光を発するのと同時に互いが合体して一つの光の塊へと変化した。
ジュン達を取り巻いていた暗闇が一挙に退いて行く。夜が昼にる。
世界の光景が、一挙にその姿を現した。

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 02:47:26 ID:t2+aSE97
>>140-150
本命が読めた
ありがとう

152 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 03:46:37 ID:XnC22b+p
真っ白な地面。
白薔薇と氷の結晶の城が聳え立っている。
間違いなく、さっきPCの画面に映っていたところだ。
ジュンは空を見上げた。
何処までも広がる、透き通った明るい水色の空に星々が煌く。
昼間の世界なのに星々が空に輝いているのがはっきり見えること自体、ここが普通の世界ではないことを証明していた。
少なくとも地球上ではない。
やがて − ジュンはそれらが星ではなく、光を発している空に浮いた無数の扉であることが分かった。
「ついにここまで来てしまったか…」下手すれば、僕もまた他のマスター達と同じようにこの世界に封じられる。
その時第七ドールの雪華綺晶はアリスになる。もし僕がマスター達を救い出せればそれとは逆の結果になる。

ジュンは、少し離れたところの水晶の上に腰掛けてずっとこちらを見据え続けている雪華綺晶を見返した。
ただ笑みを口元に浮かべながらじっとこちらを観察している。向こうから仕掛るつもりはない。僕が先に動き出すのを待っている。

そこからジュンは全く動けなかった。
白いドレスに包まれた体のあの金色の瞳に見据えられ、自分の全てがスキャンされたように知り尽くされている錯覚を覚えてしまう。
どんな行動を起こしても彼女の想定の内に入っしまう気がする。
見えない何かに縛られてしまったかのように動けない。
…くそ、動け…!動け!

「扉はもう開かれたのです!」
ジュンの前方で雪華綺晶がにっこり微笑み、急に立ち上がるとジャンプしながら水晶から白い地面に飛び降りた。

「終わりの始まり!薔薇乙女は全て消える。残るのはアリスだけ!ようやくその刻がきたのです!」

みんなの前に降り立ってきた雪華綺晶を、ジュン、雛苺、翠星石の三人が見つめる。
薔薇乙女最後のドールは、さらに言う。「みんなみんな、みんな終わるの!みんな繋がって、張り詰めて、動かなくなるの!」
もう一度胸を張って飛び上がりながら、悪魔的な声を響かせて呼びかけてくる。
それから、見るに奇妙な動きをしだした。
「あの水晶の城があななたちに答えを出します!私達は全て終焉の水晶の十字路の上に立っている!」
編み上げのブーツを履いた脚をふらふらさせながら、上を向いて歌い出す。「朝になれば破滅が待っているの!」
それからも彼女は一人で熱狂していき、片足だけでぴょんぴょん跳ねながらあっちいったりこっちいったりした。
「白い水晶の城の中で、魂が入れ狂う!ぐるぐると!」
次に左手を上げて空を見つめると、ある地点に留まって右足で跳ねながらくるくる回りだした。「巡る、巡る!」

その人形の奇怪な踊りないし予測不可能な動きのパフォーマンスにジュンは釘付けになった。
回転しながら上を見つめる瞳は何処か外れたところに向けられていて、余計それが異様な印象を与えてくる。
あれはジュンや薔薇乙女に関係した者全てに誘いかける彼女の悪魔のダンスだ。
魂が入れ狂うとはきっと彼女自身の存在のことを言っているに違いない…
雪華綺晶は尚も踊り続けた。「手繰り寄せられる!ぐるぐる、どんどん、ぐるぐる巻かれていく!」
両手を掲げながらいきなり飛び上がる。「さあ糸に身を任せるのです!」
「あんの白薔薇ぁ!」
翠星石は、そんな踊り狂う末の妹を苛立ちに満ちた顔で見つめ、拳を握りしめた。「ジム・モリソンを気取ってやがるですぅ!」
そして手元に如雨露を召喚する。「こうしちゃおれんです!あの薔薇乙女一の問題児七番目が一人で暴れてる間に眠らせちまうですぅ!
この間の借りも残っていますしね!」そして図太い世界樹を伸ばした。雪華綺晶へ向けて伸びていく。

153 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 03:49:40 ID:XnC22b+p
「あなたは無意識の海に滑り落ちる…あがっ」
まだ一人で歌を続けていた雪華綺晶の後頭部を世界樹が打った。バタと地面に転げまわる。
それでもまだ彼女は転がりながら壊れたテープ再生のようにまだ口ずさんでいた。「…前に…もう一度あなたに口付けを…目が廻った」
「雛苺、いまですぅ!」翠星石が雛苺を連れて雪華綺晶に接近する。「捕まえるです!」
翠星石の世界樹がまず地面に酔いつぶれたように伏せた雪華綺晶を上から拘束し、そらにその上から雛苺が蔓で拘束した。
世界樹と蔓によって、雪華綺晶は二重に縛られる。
「ジュン、いまですぅ!」
翠星石は顔を翻してジュンに向かって叫ぶ。
「ジュン!白薔薇野郎は私達に任せて、ジュンは真紅たちを探しにいくですぅ!」
「わ…わかった!」
ジュンはぎこちなく頷き、2人の薔薇乙女を最後にもう一度見つめると振り向いて遠くへと駆け出した。

アリスゲームの結末を掛けた雪華綺晶との追いかけっこが始まったわけだ。
ジュンの向かう遥か先には、巨大な氷の結晶でできた城が聳え立っているのが見える。
みんなを助けなければ。真紅も、柏葉も、他のドールのマスター達も。
指輪が熱い。今頃翠星石と雛苺が雪華綺晶と交えているのだろう。
いまはこうするしかない。出来るだけ早く終わらせるから、耐えててくれ。ジュンは心の中で祈った。
僕がやるしかない。
ジュンは、薔薇乙女にあって以来初めて、まるで自分がアリスゲームの主役になってしまったような気がした。

「前にも思いましたが、この白薔薇ってやつは」
すっかり縛り上げられてしまった雪華綺晶の上に片足をのっけ、翠星石は言った。「正面から対峙すれば意外と隙だらけなのですぅ。
目からしてなんかボケーとしてやるがるですぅ」前回の敗北への仕返しを果たした気分になって、少し得意気な表情を浮かべながら、
如雨露を振り上げる。「眠らしちまうです!」
うつ伏せの雪華綺晶の頭へ上から如雨露の先を突き落とす。果たしてアストラル体の後頭部を殴ったところで本当に眠らすことが
出来るのかはわからないが。
「あいたっ!」
殴られた雪華綺晶が喚く。それから起き上がろうとしたが、自分の体が縛られている状況にそのときようやく気付いたらしい。「ひどい!」
「しぶてーやろーです!」翠星石がもう一度如雨露を持ち上げる。「大人しく寝ちまうです白薔薇!」
「白薔薇じゃなくて,雪華綺晶ですよ!」背中だけで抗議する。「そろそろ覚えましょう」
「モリソン気取りめ!ですぅ!」
「27歳のままnのフィールドを彷徨い歩いてそう」
「じゅ、」翠星石は顔に皺を走らせしかめっ面を作った。「重症です…これは放っておいたら次は歌いながらドレス脱ぎ出しそうです」
と、突然に雪華綺晶の体から白い茨が伸びてきた。
うようよ動きながら翠星石の世界樹と雛苺の蔓の上にさらに被さるようにしてにくるくる巻きついてくる。
「いやっ!」「うわ!」
ゆがて伝ってきた白の茨が翠星石と雛苺の体に纏わり付きだす。
「しまった…こいつの体に触れるとロクなことが起こらないってことを忘れてたです…!」
彼女達三人は、お互いに体を拘束し合う状態となった。
誰も動かない。翠星石は、冷や汗が首の後ろで滴り落ちていくのを感じ取った。

「ゲームはもう終わる!もはや盤はドールのものだけでない!」
いきなり言いながら雪華綺晶が地面で寝返りを打って顔を出してきた。
「げ!」「あぁっ!」
彼女とお互い繋がっている状態であった翠星石と雛苺の2人は、茨に引っ張られて危うくつんのめって転びそうになった。
「あなた達はもう盤を飾る主役ではない。お父様もそういっているのが私には聞こえてくるよう」
雪華綺晶の体の何処からともなく、白い小さな浮遊体が出てきた。
光るというより、燃えているように煌いている。
「"スゥーウィ"…」
さっきラプラスに呼ばれていた、七つ目の人工精霊。
それがいま、翠星石と雛苺の前に飛んできている。他の人工精霊と違い、動くたびにヴォンとう低音を轟かせる。
まずい…。翠星石は思った。茨に絡まれて体を動かすことができないが、この人工精霊は危険だ。
「私はあなたを知っていない。好きなようにしてごらんなさい、スゥーウィー」
声に応じて、スゥーウィーが己を巨大化させるが如くに白い光を強めさせる。
「まぶし…っ」
次の瞬間、フラッシュの如くスゥーウィーから放たれた強烈な白銀の閃光に、翠星石と雛苺の2人が包まれた。

154 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 04:02:45 ID:XnC22b+p
110

「はぁ…、はぁ」
ジュンは息をきらしつつひたすら異空間の世界を走り続けた。前方にそそり立つ水晶城を目指して。
真紅も、ドールのマスター達もあそこにいたはずだ。
だが、いくら走ってもあの上空高くに伸びる水晶城との距離は一向に縮まらない。あれは目に見えているだけで、
実際には別次元のところに絵として存在していて、永久に近づけないものにすら思える。

走りを続けているうち、何処からともなく現れてきた真っ白な靄の中にジュンは呑まれた。
濃い霧と靄に視界が覆われ、何も見えなくなる。
「くそ…なんだ」もはや方向感覚すら奪われてしまった。後ろを向いても横を向いても、あるのは纏わりつくような白い靄だけだ。
夢の中に見る白い音のないあの世界に置かれてしまった気がする。いま自分がいるところは、nのフィールドの中でも、
特に深いところ − まさにnのフィールドという存在自体が見る夢の中であるかのようだった。
そこには人間も、人形も存在意義の区別なんか意味をなさないのかもしれない。

ああ、ここはもしかしてあの悪名高き無意識の海とやらの海底なのか。そんなことをふと考えてあたりを見回しているうち、
ジュンはとある人影をみつけた。第七ドールの影だ。
最初の一瞬は、ジュンは雪華綺晶が追い詰めてきたのだと思った。
やがてそれが違うと分かると、なおさら混乱した。
僕はやはり夢を見ているのか。心で思った。
目に飛び込んできたのは、雪華綺晶そっくりではあるがそうではない、"紫色のドレスを着た第七ドール"だった。

"誰か…そこにいるの?"

その影はいう。靄の先から僕に語りかけてくる..

"誰でもいい…願いを…私の願いを…聞いてください。お父様が騙されている。私の声…つ…て…とど…"

既に彼女の声は途切れ途切となり、消え行く声と共に影は遠くへ薄らいでいった。
白の霧の奥へ飲み込まれ、消えてしまうのと同時に、ジュンを覆っていた靄は突如として晴れてきた。再び視界を取り戻す。
驚いた。ジュンは圧倒されて後ろによろめかけた。
濃い靄から開放されたとき次にジュンが立っていたところは、あの聳え立つ水晶の城の真ん前だったからだった。
向こうが自発的にこちらを迎えてきたわけだ。

155 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/10/28(日) 04:04:42 ID:XnC22b+p
111

「あの…ここは、何処なんですか?」
空も、大地も真っ白だ。まるで巨大な白いプラスチックの箱の中に入ってしまったかのように。
咲くは白い薔薇。そり立つは透明な氷の結晶。
そのビジョン − 幻想的な世界の光景に巴はいつしか雛苺に鏡の中に連れ込まれたあの時の記憶が蘇った。

「綺麗だ!綺麗だ!」
巴の後ろで、すっかり人間らしい姿とはかけ離れたものに変貌してしまった槐がパンツ一枚のまま狂ったように叫び散らした。
「綺麗だ!私の、私のたった一つの薔薇水晶!」
彼は声高に絶叫する。
それからポケットの中から小さな透明の結晶を手に取ると、それにライターで火をつけた。
その焼かれた結晶から溶け出てきた白い煙を紙で出来た筒のようなもので吸っている。
それを見ているうち、巴は最近学校で配布された薬物関連のガイドを思い出した。彼が吸っているものは本物のLSD−幻覚剤だ。
0.03mgの微量でも人によっては発狂し死にいたるケースが報告されているこのLSDは、日本では服用すれば確実に罰則が待っている。
その厳しい取り決めが保障する、他とは群を抜いて強烈なLSDの幻覚作用は、しばしばサイケデリック・アートやディスコなどの
芸術や文献に貢献してきた。
ただでさえ現実世界とはいい難いこの世界でLSDを吸っている彼の目には、一体何が見えているのだろう。巴は思った。
「ここまで成長したのか!私の薔薇水晶!さあ、師の壁はすぐそこだ。」
巨大な水晶の城を両手を挙げて見上げながら、神に声を轟かせるように叫ぶ槐の手に、巴はそれを見つけた。
左手の薬指。
そこに、以前自分もつけたことのある指輪が嵌められているのを見た。
「槐さんが…ローゼンメイデンのマスター?」
恐らくそういうことなのだろう。でも、どのドールの?
槐はそれからも憑かれたように絶えず独り言を出して水晶城へと近づいていく。

心配気に見つめていた巴だったが、突然背後に大きな影が後ろから伸びて来ては彼女に覆いかぶさった。
その気配を敏感に感じ取り、後ろに振り向く巴。
真っ白な無意識の海に浮いた幻想的で透明なクリスタルでできた大きな船が、ひとりでにこちらへ流れてきているのだった。

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 08:10:07 ID:P1Ulrf79
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナの出番が 
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ない気がするかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / もっとカナを活躍させて
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいのかしら…  
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 10:24:58 ID:aAf7aLp7
>>155
投下、乙です
ここで薔薇水晶が出てくるとは…
駄目人間になってしまったお父様を見てどう思うやら

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 10:30:50 ID:KPmtwlEl
きらきーのキャラが好きだわw味がある

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 10:40:36 ID:qbrKDd54
>>140-155
おお、相変わらず質も量もずば抜けてますな。 GJ!


これを見る度に、俺もSSの続きが書きたくなってくる。
……よし、書いてくるか。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 11:11:48 ID:3GddzHPV
>>155
GJ!本当に続きが気になって仕方ないよ。

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 11:22:32 ID:TIJtnZpm
>>155
GJです!
ですが、テンプレの保管庫にはVまでしかないから話が分からないorz
誰か追加してくれませんか?お願いします。

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 19:35:25 ID:3FLm5oR+
           の         S         な                  
           か         S         ん                  
              し         が        で                  
              ら         少        カ                  
             . ・   .      く         ナ                  
           ・         な         の                  
           ・         い                          
                                             
                 , -────__-,、r z__                
          ,. -― - 、 /     r v´_ゝ- ,.=._、-、__フ              
       , '/ ´ ⌒7 ヽ   _r_ヽr' _ _f::rz::!:}´__}_}>             
       ,/      /   ' ヾ ゝ_ く {_{__ゞ:':_::ンヽフ、              
       /       '  /   ハ フ \___ |.ト、ヽノ>!ヽ             
       '        |:::     /  ヽ ヾレヽィv.j__Vノ ゝ  |             
            |:::.    /    \!`\ ゝ,ヽノ´!  ,ノ             
            ':::   /         \     ' /             
             ゝ、,./            \ヾ/ /_   べす・・・     
            l イ,|!!  --_‐'_     `_ー-- ヽ/、ヽ            
            ヽl |!|  ィt_:::_ォ     tr_:_,zr   ハノノ  べす・・・      
             /´ ̄ ヽ!ハ ` ´`´      `´ `´   j!::ヽ_,..--、          
         /    r ー- '.、     ,      ,.イ三!´   \        
         /_    ≧= 、_ゝ、._   ____   ,.へ_ 二ム,∠ _    )        
         jV´_ _VV_レL_  ≦ノ ミrrーrr彡  {二/l. _ ,-'、 /L_/        
  , ------ゝf | | r-、,-ア≡----' '--``----'-- / ハ fヽ,-、-------、   
  |       | | | | |                  ヽノ l _j j_ノ       |   
  ' ,       ` ゙ー`- `´                       `´         ,   
   ヽ                _       _     .__          /   
     '、     {ニ ヽ      / , - 、ヽ    / /  / , ― 、ヽ,       /    
      '.,      \\  ノ /   \\  l l   l (    ) |     /     
      ヽ        ゝ ニ ノ  ○   ー'  L.j  ゝ 二二ノ    /      

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 21:13:49 ID:2XNrc4F0
金糸雀信者死ね

>>155
GJ!

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 21:31:46 ID:qTHFrfOZ
>>155
投下乙です。
いよいよ最終章(?)
展開がますます楽しみになってまいりました。

165 :Jun(*^^*):2007/10/29(月) 00:25:18 ID:qAm72WjI
今日は近所に新しいショッピングモールが開店したのでそこへ行った☆一通り見てすぐ帰ってきた☆blog写真どれもいいよヽ(´ー`)

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 01:15:45 ID:cjeSeWxP
>>155
この毎週の更新が楽しみなんだ。GJ!
安部公房なんて、いつ知ったんだきらきー?
電波な雪華綺晶ぽいけどなw


167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 03:25:03 ID:Tfn8+SMQ
>>155
もう終盤らしいので無粋かもしれないが、タイトルの意味が分からなかったので独語辞典を調べたところ、

"Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization"
「最後の」は、×Latzt → ○Letzt
Regierenは動詞だから、(そのまま名詞として使えなくもないが)Regierung 辺りの方がよいかも。
ただ、統治、支配、政治、管理、監督の意味があるらしいが、訳語が今一つしっくり来ないのであるが。

ローマ数字の後も、独語で通さないとやや興ざめ(die Zivilisation)。

168 :(*^^*):2007/10/29(月) 23:30:31 ID:qAm72WjI
では木曜日の夜、東京出かけるからね(*^^*)時刻と場所は当日書くことにするので☆
長旅お疲れさま☆(*^^*)

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 23:32:16 ID:Uk0HwwAC
金糸雀信者へ
http://vista.undo.jp/img/vi9363926650.jpg
ほれ

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 23:40:42 ID:aVUaHtBP
いらね

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 00:39:39 ID:3IMdKOjN
434 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 00:43:32 ID:gU1nWbAA
アニメ最萌も漫画最萌も上位者にはもれなくアンチ〇年分がプレゼントされるから
再開してもエントリーしないで欲しい
ちゅーか最萌止めてくれって切に願う

436 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 01:08:16 ID:AHRAXAzE
去年優勝してから沸いた翠アンチは一週間ぐらいしたら消えたけどな
仮に今年真紅が優勝してもそんな感じになると思うよ




叩かれるのは金糸雀みたいなクズ人形だけwwwwwwwww
人気最下位で信者の民度も最下位(笑)

502 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:54:23 ID:yaVJ1JBr
漫画最萌で金糸雀みたいなクズが優勝した時は最萌終わったなって思ったけど、
今日の真紅の試合は勝ち負け関係なしに感動した。

505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:57:07 ID:AHRAXAzE
>>502
同意
金糸雀みたいなクズと違って真紅はやっぱローゼンの主役だなって思ったよ

508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:58:31 ID:wKCNEWIG
糞糸雀嫌われすぎだろwwwwwwww

513 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:14:06 ID:GeluJp0a
何で翠とか銀が負けて真紅が残ってんだよwwwww
最萌終わってんな

516 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:18:28 ID:ru0hnGBw
翠が金ごときに負けた漫萌の方が終わってる

517 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:20 ID:JAj7D3KD
>>516
俺もそれから金糸雀嫌いになった

518 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:54 ID:nZBOQIlo
キム死ね

520 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:22:00 ID:Ls+ord1B
おまえら実質最後のローゼン参戦なのに、ローゼン勢1人でも勝ち進めようって団結力無いのか
俺は水銀党員だったが真紅に入れたんだぞ。キムシジャンは死んでいいと思うが

521 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:22:18 ID:5rJA3iZt
今日の真紅の勝利>>>>>>>>>>キムシジャンの漫萌優勝

524 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:24:17 ID:vzTrNMyp
金糸雀が好きとかネタで言ってるとしか思えん

526 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:25:14 ID:6FKsmO8D
>>524
ネタでも言わねーよ

527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:26:11 ID:FCJ35TXv
とりあえず金糸雀と金糸雀信者が糞ってことはわかった

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 19:33:49 ID:oFa39BUz
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:23:25 ID:tfPg+jN5
糞糸雀ヲタ消えろ

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/31(水) 00:58:32 ID:Law5dRv1
ローツェンマイデンの終盤を読みたいですぅ。。

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/31(水) 01:05:40 ID:EYu9yv1I
今日は…とくに変わったことはなかった(>ε<)あ?…それじゃ日記にならないか(^^ゞ
でもホントにいつも通りの平凡な日だった。またあした(*^^*)☆

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/31(水) 23:36:05 ID:h9znD2ZP
もう来るな(*^^*)☆

177 :(*^^*):2007/11/01(木) 00:05:29 ID:H7xSPRhC
↑だれ?あと数日は使わせてくれ☆


178 :(*^^*):2007/11/01(木) 00:09:17 ID:H7xSPRhC
明日の夜行くので♪(^^)/▽☆▽\(^^)

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 02:56:35 ID:v+xzFDH/
>>177
数日なんて言わずにもっと使ってよ^^

180 :(*^^*):2007/11/01(木) 14:44:57 ID:H7xSPRhC
反応がないけど一応出かけるかな(*^^*)

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 17:25:56 ID:H7xSPRhC
反応がなさそうなのでまず中間まで行って下車するよ☆

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 18:17:27 ID:H7xSPRhC
今、「中間地点」の駅西口ケンタッキーにいるけど、8時になったら同駅カフェ店移動するよ☆

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 19:04:19 ID:H7xSPRhC
もうじき電源切れそうなので今日は中間駅までφ(..)8時から9時まで前回のスタバにいるよ(*^^*)

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 21:24:52 ID:H7xSPRhC
今22番線ホーム先端(*^^*)

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 23:47:52 ID:H7xSPRhC
今帰宅(-.-)Zzz
今日来た?

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/01(木) 23:51:12 ID:ThQwbwe9
ここは日記やチャット書く場所じゃねっぞwww

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/02(金) 00:58:35 ID:Zj+nvWCo
今日はまったく反応なかったから最初から無理だったのかな?
来れないなら来れないって一言、言ってほしいな(-.-)Zzz

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/02(金) 16:47:15 ID:+gwuyYEP
>>187
ウホッいい男
や ら な い か

189 :(*^^*):2007/11/03(土) 00:21:07 ID:s2fsenKs
今日は…もう書く気力がなくなった…(-.-)Zzz読んでないことが分かったので☆

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/03(土) 08:39:15 ID:DVO9Elii
             /ヽ       /ヽ
            /  ヽ      /  ヽ
  ______ /     ヽ__/     ヽ
  | ____ /           :::::::::::::::\
  | |       //       \  :::::::::::::::|
  | |       |  ●      ●    ::::::::::::::| 何このスレ・・・・・・・?
  | |      .|             :::::::::::::|
  | |       |   (__人__丿  .....:::::::::::::::::::/
  | |____ ヽ      .....:::::::::::::::::::::::<
  └___/ ̄ ̄       :::::::::::::::::::::::::|
  |\    |            :::::::::::::::::::::::|
  \ \  \___       ::::::::::::::::::::::::|

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/03(土) 20:07:44 ID:QFjUy5I9
糞糸雀信者(荒らし)の巣
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1189254038/

これ以上、各地のローゼンスレを荒らされるのを防ぐためにも、
ここの監視を怠らないようにしましょう

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/03(土) 21:26:44 ID:WAJ07jo6
過疎ってることだし俺の低レベルSSでも投稿しようかな

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/03(土) 21:51:57 ID:WAJ07jo6
「欲しいの欲しいの!買って買ってぇー!」
私の一人娘、唯はまたいつものようにだだをこねだした。
ここ一週間はずっとこの調子だ。私が家のPCの電源を入れると同時に思い出したようにわめきだす。
原因は分かっている。先週ふと立ち寄った通販サイト。そこにかわいらしい女の子の人形が売られていたのだが、
横で一緒に画面を見ていた唯がそれに一目ぼれしたのだ。
金色の髪にピンク色のリボンとドレス。いかにも低年齢の女の子にうけそうなデザインだった。
「買って買ってーぇぇーーーえーーっ!」小さな子の喚き声というのは甲高くて耳に響く。
「あーわかった!わかったから!」しまった、つい口が滑った。
「ほんとぉ!」
唯は大きな目をキラキラと輝かせて私を見た。こ・・・こんなに可愛い顔されて・・・ダメだと言える筈が無い。
私は大人しく負けを認めた。
「もう!・・・わかった。買ってあげる。」「ほんとぉ!?やったぁー!」
唯は万歳して喜んだ。
「その代わり!ちゃんとママの言う事聞いて、おりこうさんにするのよ?」
「うん!おりこうさん!」
分かっている。甘やかしてはダメだ。母子家庭の我が家なら尚更だ。
頭で分かってはいるのだが、こんなに可愛いわが子。つい負けてしまう。もっと気を強く持たねば・・・

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/03(土) 21:53:38 ID:WAJ07jo6
あれから三日後。
私が仕事から帰ってきたとき、ちょうどマンションの玄関で宅配便の人と鉢合わせになった。
「・・・さんですね?」「はい。」「ハンコお願いします。」「はいはい」
私は慣れた手つきでハンコを済ませた。
「ではこれ、大きくて重たいんで、気をつけてくださいね」
「は・・・はぁ・・・」
よく見たら凄く大きな荷物だ。何だろう。こんな大きなもの買った覚えは無い。
私は半分引きずりながら玄関から部屋に運ぼうとした。
すると唯が居間から走ってきた。
「ママー!おかえりー!」
「ただいま、おりこうさんにしてたー?」
「うん!それは?」
「あぁこれ?さっき宅配便で来たの。」
私は居間に運び入れた。
「何だろうね。開けてみよっか」
「うん!」
カッターナイフと鋏を駆使してダンボールを解体していく。
「なっ・・・なに・・これ・・・」大きな革製の鞄だ。
「うわぁーすごーい」唯はおおはしゃぎ。
「なにかの間違いかしら・・・でも伝票は確かに私の住所と名前が・・・」
「うわぁーお人形さんー!」気づけば唯は既に鞄を開けていた。
「こらぁ勝手に開けちゃ・・・って、あーこれ通販で買った人形じゃないの」
「ホント!うわぁー、大きいー!」
唯と大差ないほど巨大な人形だ。あの値段でこんなに立派な人形が届くとは思いもよらなかった。
とても良い買い物をしたのかもしれない。
「ちょっとママにもよく見せてよ、唯。」
私は人形を鞄から取り出した。ずしっと重い。そして人間のように柔らかく弾力がある。
「え、えらく・・・リアルね・・・」
「凄いでしょー!」
ていうかリアルとかいうレベルの話ではない。もはや人間の子供にしか見えない。
が、子供にしては小さすぎる頭が、なんとかこれが本物の人間ではないと言う事を保障している。
ここまでリアルだと不気味だ。
「大切にするのよ、唯。」
「うん!」唯は満面の笑みで答えた。
「ひっ」
「どうしたの?ママ?」
「ううん、なんでもない・・・」
大切にするのよと言った時、唯と同じ様に人形もニッと笑ったように見えた。
しかしもう一度見てみたら、なんでもなかった。私は少し疲れているのかもしれない。


まだこの時点では知る由も無かった。この後、あんなに恐ろしい出来事が起きようとは。

っていうB級ホラーとかありそう。ちなみに呪い人形は雛苺ね。

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/04(日) 08:58:11 ID:r0z8kIMp
>>194
よし続きを頼む

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/04(日) 14:27:10 ID:PMssr2KY
よし、見切った。
その後段々人形と子供の見分けが付かなくなってきて、
人形と子供が入れ替わるという妄想に憑りつかれて
人形を包丁でメッタ刺ししたら、実は自分の子だった

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/04(日) 16:19:53 ID:ZTHnTPAv
>>196
怖えーよw

198 :さて、叩かれるか!:2007/11/04(日) 17:08:45 ID:UbFd0IR4
ふっふっふっ♪今日こそローゼンメイデン一の頭脳派金糸雀が
楽してズルして真紅達のローザミスティカをGETかし…

『ぐ〜』

そ、その前に腹拵えかしら…

今日のお弁当はみっちゃん特製のあま〜い卵焼き♪
…って中に入ってるこの紙は何なのかしら?
「カナごめんなさい。私、仕事で転勤になってしまったの
その転勤先のマンションってペット不可だからあなたは連れて行けないのよ…
本当にごめんなさい!良い人に拾われてね?それじゃあ、お元気で。」

………

…グスッ……カナは…グスッ…泣かない…のかし…ら…
う、うえ〜ん!え〜ん!!


一体この先どうなるカナリア!?
絶対に続かない

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/04(日) 17:15:26 ID:hVagbJmU
ドールはペットじゃないだろwww

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/04(日) 20:51:01 ID:Ez9Q4Nda
>>194
ハ〜イ 私は雛苺 一緒に遊びましょう ハイディ〜ホ〜〜
って恐怖映画の「チャイルドプレイ」張りの展開を妄想

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/04(日) 21:14:21 ID:hVagbJmU
暴走雛苺ならやりかねないな・・・
純粋故に恐ろしい

202 :Jun(*^^*):2007/11/04(日) 22:46:34 ID:RMFbETbc
いっぱい色んな人からプレゼント貰えて幸福そうだなぁ(>.<)y-~
こっちは自分の誕生日誰からもゼロだからな(-.-)Zzz今後は自分を中心に人生を考えることにしたよ☆(´・ω・`)こっちばかり痩せ細るばかりだからな…いつまでも一方的な貢ぐ君では(-.-)Zzz

203 :Jun(*^^*):2007/11/05(月) 00:43:09 ID:x1hJaiJV
もし仕事が原因で待ち合わせできないんだとしたら、そろそろ仕事辞めてくれないかな(-.-)Zzz
今まで待ち合わせ日の待ちぼうけ時間を合計すると100時間超えてるよ?(-.-)Zzz
もしきちんと連絡してくれればその時間、有意義に過ごせたはずなんだからさ(>.<)y-~
次は仕事休んででも来て欲しいな☆
ヽ(´ー`)ノ

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/05(月) 01:12:44 ID:x1hJaiJV
…次はクリスマスあたりかな?(*^^*)メールくれればもっと早くてもいいけど☆
昨日は自転車パンクして家具店の前に一晩起きっぱなし…今日はそれを取りに行って自転車転がしながら帰ってきた☆
途中でとんこつラーメン食べた☆帰りにドトール寄ったらいつもの習慣からかそのまま徒歩で帰宅してしまい、また自転車取りにいくはめに…
疲れた。おやすみ☆(≧▽≦)/

205 :Jun(*^^*):2007/11/05(月) 02:01:28 ID:PQ/LXw6d
もうこの際だから正直に言うよ☆
お前、前からうざいと思ってたんだ(≧▽≦)/ だから死んでよヽ(´ー`)ノ


206 :Jun(*^^*):2007/11/05(月) 09:19:44 ID:x1hJaiJV
↑別人です。
まぎらわしいから、違う名前で書き込みしてくれる?(>ε<)

207 :(*^^*):2007/11/05(月) 10:28:51 ID:x1hJaiJV
ここ変な住人がいるのでコチラに移動です(´・ω・`)
姫専用
http://moon.ap.teacup.com/ginga/

208 :(*^^*):2007/11/05(月) 10:40:04 ID:x1hJaiJV
以後ここには書かないのでスレ住人さん、お騒がせしました(≧▽≦)/


209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/05(月) 11:15:58 ID:sqQ9YPKk
      ___    ━┓
    / ―\   ┏┛
  /ノ  (●)\  ・
. | (●)   ⌒)\
. |   (__ノ ̄  |
  \        /
    \     _ノ
    /´     `\
     |       |
     |       |

           ___   ━┓
         / ―  \  ┏┛
        /  (●)  \ヽ ・
       /   (⌒  (●) /
       /      ̄ヽ__) /
.    /´     ___/
    |        \
    |        |

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/05(月) 17:44:16 ID:nL29wPUm
>>201
蒼星石でやったら、さしずめ「ナイトメア」のフレディと言ったところかw
巨大な鋏を持ったシルエットだけでも結構怖いかも

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:32:26 ID:rZx3UePn
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/07(水) 22:43:15 ID:xXEGTnkb
現在、金糸雀信者に荒らされているスレ

アニキャラ総合板のSSスレ(金糸雀関連のSSを催促するAA連投)
アニメ2板の総合スレ(容量潰しのAA連投)
VIPの総合スレ(ID切替えの自演)
VIPの絵スレ(金糸雀関連の画像を催促するAA連投)


糞糸雀信者(荒らし)の巣
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1194433068/

これ以上、各地のローゼンスレを荒らされるのを防ぐためにも、
ここの監視を怠らないようにしましょう

213 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 03:59:32 ID:ZxcNgLAY
112

ジュンは水晶の城の目前に立った。
入り口と思えるアーチの扉の前に立ち、水晶城を改めて見上げる。首を限界まで持ち上げないと頂を視界に収めることが叶わない。
遥かな高さにまで伸びていく水晶城のてっぺんは、鋭くとがっていてまるで剣山のようだ。
これが雪華綺晶の生きている世界だというのだろうか。

ジュンは氷で出来た扉を押してみた。驚くほど軽い。それこそ実体がないかのように。
開け切った扉から水晶城の中に入ると、無数に埋め尽くされたひし形の水晶群がジュンを迎えた。
水晶の四角い面が光を反射してクロス状の模様を床一面に映している。
美しい。素直なジュンの感想だった。これぞ氷でできた"守護の塔(ミナス・ティリス)"だ。
そんなことを心で呟いたジュンの背後で入り口の氷の扉が独りでに閉られた。
帰り道はもうない。この水晶の城のなかで、決着がつけられるのだろうか。

水晶でできた幻想的な階段をジュンは駆け上っていった。シンデレラに出てきたような透明のガラスの階段だ。
それをまさか自分が登る羽目になるとは。
階段は緩やかに曲がりカーブになっていて、水晶城の外側を回っているらしい。
何もかもが透明なものでできている。外の白い世界をこの水晶城の中から透過して見渡すことが出来るし、踏んでいるガラスの階段も
最下層の床が透けて見える。まるで自分が空中に浮いているかのように。少し怖いが、幻想的で綺麗な光景には魅入ってしまう。
エメラレドの光の筋が水晶から差し込んできては床や壁に直線の光のラインを作る。
何処までも水晶城の奥へ奥へと誘われていく気がした。こんな美しく魅惑的な世界見たことも想像したこともない…

突然外側の壁がなくなり、ジュンは危うく水晶城の外にはみ出して下界へと真っ逆さまに落下しそうになった。
おそらく水晶城の中層あたりにまで上り詰めてきたに違いない。
本当にあるのかないのかが判断しにくい透明なガラスの床を踏み外すのではないかびくびくしながら、
ジュンはその水晶城の上から世界を見渡してみた。
遥か遠くまで真っ白だ。彼方の地平線を線霧のような白い靄が覆い、それより先の世界は想像すらつかない。恐らく雪華綺晶で
すら知らないだろう。そんな気がした。
ドラッグに溺れて頭がくらくらする程の美しさを持つ、幻のような光景だった。
だれがこのような世界に足を踏み入れることができただろうか。

だが、しばらくしてジュンは自分の目的を思い出した。
下の階にいたときと違って、水晶城を上に昇っていくにつれて自分を取り巻く水晶が四角いものから三角っぽい角ばった攻撃的な形へと
変わってきている。まるで水晶がこれ以上近づくなと主張するかのようだ。誰も知らなかった世界への入り口がジュンを警告している。
その先に、ジュンはついに踏み入った。

そして、ジュンは見つけた。
二手も三手も先のところに、夢をみているかのようにおぼつかない足取りで水晶の洞窟の中を進んでいく真紅の姿を。
ガラス張りの透明な床の上を歩き、いままでの平静の中に燃えるような情熱を持っていた第五ドールの姿とは見違えてしまうほど
にその後姿は頼りない。
あれだけのことがあったのだから、仕方ない。ジュンはとにかく駆け出すと真紅を追いかけた。「真紅!」
声が届いてないらしい。彼女はどんどんふらふらと水晶城の奥へと進み、複雑な構造の水晶の反射する入り組んだ光と影の模様
が照らされた床の上を歩いていく。
「真紅!」ジュンはもう一度叫び、追いかけた。真紅の後姿が視界の中で近くなり、大きくなる。もう少しで手が届く。
後ろから抱きかかえ、ジュンは真紅を掴まえた。彼女は掴まえられた状態にも関わらず浮いた足を動かし続ける。
それこそ人形が如きの動きだった。「真紅!何処に行くつもりなんだよ?」
キコキコと首を動かし、ゆっくり真紅が振り返った。うっすら微笑み、瞳は虚ろだ。「水銀燈が…私を呼んでいるわ」

214 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:01:23 ID:ZxcNgLAY
113

地面に寝転がったまま、雪華綺晶は目を覆い隠した自分の腕をそっと下にずらした。
スゥーウィーの放った白い閃光が強烈すぎて、自分の目にも悪影響を及ぼしかねた。
見ると、翠星石と雛苺の姿は前から消え去っていた。まるで面影もない。一体自分の人工精霊が2人の姉達に何をしでかしたのか、
どこへ消えたのかは、あまり雪華綺晶は気にならなかった。

翠星石と雛苺は消えたが、自分を縛る世界樹と苺の蔓は依然体に残されたままだ。
雪華綺晶は苛立ちをわずかに覚えながらもその世界樹と蔓をどうにか自力で振りほどき、最後腕に残った一本の蔓を投げ捨てて脱出する
と起き上がった。

アリスへの基盤が完成しつつある。
邪魔者は消え、ここに揃えられたのは必要な素材のみだ。第五ドールの真紅に、その契約者。

アリスの幻影が自分に近づいているのが感じられる。nの世界で、失われ思い出せないその姿が。

とはいえ、真紅の契約者の前に少し軽く片付けておくべきことが一つある。そう時間はかからないはずだ。
"彼"にはよく動いてもらった − もうそろそろ休ませてやってもいい頃だと思った。

彼の夢の中では、いま自分は雪華綺晶の姿をしていない。然るべき、誰に見えているかその魂はこの世界に置かれている。
偽物の、作り物の魂が。

「それが偽りだと分かっていても」

「またそれが私の嘘だと知っていても」

「もしあなたにそれを告げたのなら…より至高の夢を見れるというのに」

「さあ 来るのです 私の心を灯して ゲームの夜に明かりを」

215 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:05:13 ID:ZxcNgLAY
114

翠星石は、視界一面に青っぽい水晶が広がっているのに気付いた。
一瞬、記憶が飛ぶ。「ここはどこです?」
まるで自分がいるのは異空間だ。時計の針が乱れ狂って激しくいったりきているように安定していない。
とにかく、落ち着かない。胸騒ぎがする。まるで近くに化け物でもいるような…

「出やがったですぅー!」
振り返りざま目の前に現れた雛苺の顔を見て、翠星石は断末魔の叫びを上げた。雛苺の顔が真っ青に染まっていたからだ。
「ぎゃああああああ!!」
一方目の前で悲鳴を上げられた雛苺もつられて驚き叫び声を出した。
時間が一瞬こおりつく。
「な、チビ苺ですか…脅かすなですぅ」翠星石は息を吐いた。どうやらいつの間にやら自分達は大きな水晶の中にいて、
その水晶が外の世界から差し込んでくる光を青色っぽくしているらしい。それに照らされている自分達もまた青っぽい訳だ。

なんでこんな所に?
少し前に振り返れば、あの白薔薇の − あのドイツ語表記の名前が到底予想不可能な − きらきしょう?の出してきた
人口精霊スープ?の発した光に巻き込まれ、視界を奪われたと思ったら、ここにいた。
翠星石は自分達が既に死の世界にいるのではないかと不安になった。
そう、いつか自分が薔薇バラの薔薇水晶に水晶に閉じ込められたときのように − 薔薇の…バラスイショ…

「出やがったですぅー!」
翠星石はもう一度同じ悲鳴を上げた。
あの偽第七ドール薔薇水晶が − ああ − 自分達と同じようにこの水晶の中にいて、外に出ようと青いガラスの壁と格闘している。

素手のまま、両手でグーを作って壁をガンガン叩いている。水晶の壁の面はびくともしない。
翠星石は、どういうわけかバラバラに砕けてしまったはずのあの薔薇水晶が、ずっとここに閉じ込められていたのだと察した。
そして自分達もそこへ同じく来てしまったということも同時に悟った。さしずめやはりあの白薔薇のせいか。

「誰かいるの…?」
壁叩きに夢中になっていた薔薇水晶が翠星石の出した声に気付いてこちらを向いた。「あなた…あなたは…ローゼンメイデンの…」
それから、急に感情を爆発させたように金切り声を上げた。「ここから出して!!」
彼女の耳を劈くようなその声に圧倒されながら、翠星石がどうにかいま理解したことは、ここは9秒前の白に限りなく近いところ
あるいはど真ん中 − 本来迷子になった魂が彷徨うところ − しっかりとした自我を持たなければたちまち自分の姿はおろか
名前すら思い出せなくなってしまう − そんなところのなかで、時間を止められたように水晶の中に入れられてしまっているという
ことだった。いま自分の前にいるあの薔薇水晶はその魂の姿そのものだ。恐らくこの空間においても、水晶の中に封じ込められる
という形で自分を失わずにいられる、いわば無理やり精神だけが生かされているような状態にあるということになる。
いまあのの薔薇水晶に、既に実体はない。

そして所詮実体のない体では到底自分の力ではこの水晶の外には出れない。魂のバリアーを前に、いくら足掻いても無駄という筋だ。
だが翠星石は、一体どうして薔薇水晶がこのように本来迷子となり彷徨うべき魂をここに封じ込められてしまっているのかその目的までは
予想することが出来ないでいた。

216 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:07:36 ID:ZxcNgLAY
「ううっ!」薔薇水晶は心底悔しそうに唸ってもう一度水晶の壁を内側から叩いた。「外に − 外に…!お父様のところへ
行かなければならないのに…」
薔薇水晶は、ここから外に出たいと切望しているらしい。そしたら無意識の海に呑まれて自分を失ってもおかしくないというのに。
余程強い自我と意思を持っているのなら別として。「あれは、あの白いドールは、私じゃない!お父様は騙されている…!」
「白いドール?」翠星石が反応した。「白薔薇のことですか?」
すると薔薇水晶は今にも食って掛かりそうな瞳で翠星石をにらみつけた。「ローゼン…メイデン…あなたたちは、弱い!弱い!
私はローゼンメイデンなんかより、美しく、強い人形になったはずだった!私が…私が勝ったはずだった!なぜ…なぜ、取るに足らない
ようなあなた達がまだ生きていて、アリスゲームに勝った私がどうして − どうして!?」
薔薇水晶は翠星石に詰め寄ってくる。ローゼンメイデンのドール全てへの憎しみを顔全体に刻んで、紫色の水晶で形作られた剣
を手元に召喚する。
「きゃああ!」
翠星石は、薔薇水晶の水晶の剣が自分の首を通過するのを見た。当時の恐怖が蘇る。
それから数秒後自分が全くの無傷だと分かるまでの間、翠星石はぎゅっと目を閉じていた。「…あ…れ?」
薔薇水晶は翠星石の身体を通り抜け、後ろに立ち尽くしていた。自壊して実体を失った薔薇水晶はもうまともにローゼンメイデン
と戦いあえることはない。互いに触れ合うことすらできないからだ。

「うっ…くぅぅ…っ」
薔薇水晶は絶望したように嗚咽を漏らし、身体を震わせながら膝をつくと次に両手を落とすように地についた。
青みがかった髪が垂れ、手からこぼれ落ちた剣が地面をバウンドする。
「倒せない…あんな弱いドールも…戦う資格すら、もう私には奪われてしまった」
嘆き、薔薇水晶はそれ以降もう立ち上がろうとしない。

こうなると、彼女も哀れだ。翠星石は思った。
ローゼンメイデンを超える。その戦いの宿命を与えられ、偽者として − アリスゲームに参加して、戦い続けた薔薇水晶は、
本当は誰の一人として姉妹の居ない、一人っ子だった。たった一人で自分を創った人形師の為に。それはある意味、まだ仲間を
持っていた自分たちよりも辛いものがあったのかもしれない。

「外に…ここから外に出なければならないのに…!」
泣き崩れたように言う薔薇水晶はそれでも尚そとに出ることを望んだ。
翠星石は一考した。もしかしたら薔薇水晶と自分達はもう敵同士ではないのではないか?
いま実体のない彼女なら、そんなに恐れる事だってないはず…

若干緊張しながら、翠星石は言った。「な…なんなら、おまえをここから出すのにちょっと…ちょっと手伝ってやってもいいですぅ」
薔薇水晶の顔が持ち上がった。「え…?」
「わわ、私も、どちらにせよこっから出なきゃならんですからね!」
自然と体の動作が喋りに合わせて入りつつ翠星石は言う。「まだ実体を持ったまま気付いたらここに入れられてた私達なら、
この水晶の壁を打ち壊せるはずですぅ」
「…」
いまだ信じられないという訝しげな目つきで薔薇水晶は翠星石を見つめていた。
「そ、そんな怖い目で見るなですぅ!…私達はお父様に作られた人形で、おまえはその弟子に作られた人形です。いわば私たちと
あなたは…義姉妹みたいなものじゃないですか…だ、だからちょっと手を貸してやろうって…だけですよ」
薔薇水晶は始めその言葉の意味をあまり意味していないようだった。「義姉妹…あなたが…義姉…あなたが…?」
「そういうことですぅ!もうお互い争ってる暇なんかあったら一緒に力を合わせて解決しやがれってことですぅ!」
水晶の壁に向かって乗り出し、翠星石は如雨露を手元に召喚した。「スィドリーム!」
金色の如雨露の中身が美しく光る若緑の液体に満たされていく。
「どうにも照れくさいですぅ!とっとと終わりにしてやるですぅ!」

217 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:09:09 ID:ZxcNgLAY
数秒後、水晶の壁には世界樹が飛び出ると同時に大きな穴が開いた。その瞬間無意識の海の奔流が水晶の中に入り込んでくる。
「チビ苺つかまるですぅ!」翠星石は隣の雛苺を手で捕まえた。「薔薇水晶!おめーも気をつけてちゃんと海面を目指すですぅ!」
「まっ…まって…」薔薇水晶は、一足先に水晶から出て行く翠星石たちを追おうとしたが、直後押し寄せる無意識の海に瞬く間に
呑まれた。「…がっ…」呼吸が出来なくなる。口から空気の泡がもれる。

頭の先の水晶の髪飾りまですっぽり全身が無意識の海に包まれてしまう。
すると、自分の持つ様々な記憶が脳裏に流れてきた…

「偽りの仮面をかぶり、あなたは夜明けの前に目覚める…私の影として」

218 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:10:29 ID:ZxcNgLAY
115
   

   これは…夢…

 それとも…幻

ここは…

   "起きるんだ"

誰かが…呼んでいる。

   "私の娘"

  私の…娘…? 私は…娘。
…眩しい。

   "ああ…やったぞ"

     なんだろう?光に包まれて…暖かくて。

  "私が見えるかい?"

優しい手。

  "そうだ、上手だ。薔薇水晶"

    おとう…さま…

219 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:12:09 ID:ZxcNgLAY
116

「違う…これも違う…これも…これも駄目だ…」
「わが師よ、何を作ろうとしているのですか」
「ああ…ラウエフ…わが弟子…私はいま人形師として最後にして究極の目的を果たそうとしている…完璧な少女だ」
「少女?」
「その最初の試作品はもう製作に入っている。…。恐らく私が生まれ人形師となったのが必然であるように、私がその少女を
夢見るようになったことは偶然ではない。私自身を語らずに、その少女を語ることは出来ないだろう。少女は私に語りかける…
私は今後彼女とときを過ごすのだ」
「語る?暮らす?一体なんの話しです?」
「言葉の通りだ。その少女は歩きもする。そしてどんな乙女でも適わない美しさを誇っている…」
「…そんなまさか。生きている人形を作るというのですか。いくらあなたでもそんなこと…」
「最初の試作品はもう製作に入っていると言ったはずだ」
「バカな…冗談だとおっしゃってください」
「ローザミスティカ。それが私のローゼンメイデンシリーズに命を与えた」
「ローゼンメイデン?ローザミスティカ?本当に人形に命を与えることに成功したと?」
「ああ…成功した。私の長年の成果だった」
「本当に?…ならば私にも見せてください!それなら…私も、それなら命のある人形を創りたい!」
「いや…これはお前には不可能なことだ」
「そんな?何故です!?私にも人形に命を与える方法を!私はあなたの教えを全て受けてきました。にもかかわらず、私には
その権利がないと言うつもりなのですか!」
「これから私は究極の少女の完成の為に、ローゼンメイデンシリーズの続きを手掛けるだろう。それはお前の面倒を見つつ没頭できる
ものでは到底ない。お前は弟子を卒業だ…ラウエフ。もうお前に合うことはないだろう」
「ま、…待て、待て!ローゼン!」
「弟子よ。お前は人形師として私の最高の教えを受けた。これから私のなるものはそれとは違っているのだ」
「待ってくれ!本当に生きた人形なんてものが…!ローゼン!待て!ではせめて、せめて最後に顔を…あなたの顔を私に見せて
くれてもいいのではないのか!!ローゼン!!!」

220 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:14:26 ID:ZxcNgLAY
117

「…うああああっっ!!」
お父様はまた深夜に魘され、ベッドから飛び起きた。最近…毎日のように。
「ローゼン…」
お父様はまた…独り言のように"ローゼン"と呟いた。私にはローゼンというものが何かまだ知らない。
「ローゼン…命を持つ人形は、私にだって作れるぞ…」
「お父様…」私はお父様に、堪えきれなくなって聞いた。「お父様…毎晩うなされています…一体ローゼンとは何者なのですか…」
「薔薇水晶…」お父様はコップに水をいれ、そを飲み干すと私の顔を見つめた。お父様は汗だくだった…。「お前は私の作った、
命を持つ私の全てを注いだ最高の人形で…娘だ。ローゼンとは人形師、私の師匠だった」
「…ししょう…」
「…やつは…人形に命を与える方法を見つけたとだけいい…私から…」そこでお父様は言うのを突然やめた。「いや、やめよう…
薔薇水晶、いまはお前がいるのだから…」
私は、それだけではお父様の心がまだ欠けていることを分かっていました。「…お父様。それではなぜ、お父様は毎日悪夢を
見られるのですか…?」
「…」
お父様は急に深刻の顔になり、手で頭を深々と抱えました。それは、私の見たことのないお父様の苦悶の表情でした。
「薔薇水晶、ずっとお前に言いたくてもいえなかったことがある…」
私はその言葉を聞いて喜びました。「はい。なんでしょう?お父様。なんでも私に言ってください」
「薔薇水晶…」
お父様はいまにも泣き崩れそうな顔で私を見つめます。一体どんな言葉がかけられるというのでしょうか…
「もう一度お前に言いたい。お前は私の最高傑作なんだ。私の、二つとない、最高の人形だ…」
「お父様。ありごとうございます…でも、ためらわずに、言いたいことを聞かせてください」
「ああ…」お父様はもう一度コップに水を入れて飲むと、私にそれを告げました。「薔薇水晶…私はお前に、ローゼンメイデン
シリーズのアリスゲームに参加させたいと思っている」
「ローゼンメイデン…?アリス…ゲーム?」聞いたことのない単語が並び、私はただ聞き返すだけでした。
お父様は答えます。「ローゼンメイデンシリーズとは、私の師が手掛けたローゼンの人形達だ。お前と同じように命を持っている。
だが命を授かった手段は恐らくお前と異なるだろう。アリスゲームとはそのローゼンメイデン達の中で行われる、究極の少女アリス
を目指して互いのローザミスティカを奪い合うというものだ。端的にいってしまうと…それは戦いだ」
「戦い…」でも何より、私には惹かれた言葉がありました。「究極の…少女…?」
「アリスゲームを制し、全てのローザミスティカを集めれば、その者は究極の少女アリスとなる。それは紛れもなく世界一、
どんな少女よりも美しい存在となるんだ」
「世界一…どんな少女よりも美しい…」その言葉の持つ魅惑に私は思わず自分の中で想像してしまい、少し気恥ずかしくて
自分の頬を両手で触れました。。
「究極の少女アリスにお前がなれば…」少しためらいがちにお父様は言います。「私は紛れもなくわが師ローゼンをも越える、
最高の人形師になったことになるだろう…同時にお前も、本当の意味で最高の人形になるんだ」
それは私にとってはまるで必然のように投げかけられた、願ってもないような話に思えました。
「はい。お父様。私、アリスゲームに参加します。ローゼンメイデンシリーズからローザミスティカを奪って…アリスゲームを
制してみせます。」
「薔薇水晶…!」お父様は感極まった様子になり、私を抱きしめました。「お前は負けない。絶対に負けない。私が保証しよう。
何度もいうが、お前は私の最高の人形なのだから…」
「はい。私、ローゼンメイデンたちと戦います。必ず勝ちます」
意気揚々と答えた私でしたが、そのとき、左目に違和感を感じました。何かが頬を伝っている…「お父様…?これは…」
「な、涙が…!」お父様は急に心配げな顔になりました。「薔薇水晶、やっぱり…辛いのか!?戦うことが?」
「いいえ…」しかし、私の意志とは裏腹に涙とよばれたそれは止まりません。止められないのです。「お父様、私、辛くなんか
ありません。戦わせてください。アリスゲームを」

それからというものの、私の左目の涙はずっと一晩中やみませんでした。
お父様はその場で、戦いで相手に涙を見せてはならない、それは弱みを見せるのと一緒だ、と言って、私に薔薇を象った眼帯を
左目につけ、涙をおさえました。

私はその眼帯を自分でよりきつく結んだ…これから、戦いが始まるのだから。

221 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:18:01 ID:ZxcNgLAY
118

「君の勝ちだ、薔薇水晶…僕の人形が、勝ったんだ…」
「これで、ローゼンメイデンより強い人形になったのですね」
私はアリスゲームに勝った。第七ドールを称して、ローゼンメイデンを倒し、お父様がローゼンより人形師として優れて
いることを証明した。本当に…本当に嬉しかった。
これで、アリスという、いえきっとそれ以上の…最高の人形になれる。お父様のおっしゃった、どんな少女よりも美しいという
存在に。同時にお父様も最高の人形師となれる。師匠だったローゼンを超えて。
「ああ…この腕は直してあげる」
でも違った…私もお父様も忘れていた。何故かはわからない。
私にはまだ倒していない、もう一体のドールがいたことを。
「胸が…熱いっ…」
顔面にひびが入る。
私の体は崩れていく…究極の少女になるはずだったのに…まるでそれと正反対の事態に私の頭は真っ白になるばかりだった。
そして、もう自分の命が長くないことが分かると、ただお父様のことだけを考えていた。
「お父様…お父様…」
さいごお父様の胸の中に抱きかかえられ、私の意識は闇に落ちた。

でもそれで終わりじゃなかった。
私はそれからあの水晶の中にずっと閉じ込められていた。
恐る恐る...水晶の壁に近づいてみる..壁の先に反射された私の姿が映る..白い..私は白いドレスを纏っていた。
私はこんな、白い人形じゃない..
白い人形は水晶の向こうから私に微笑みかけ、水晶の向こうへと行った。その先にはお父様がいた。
長年の願いが打ち砕かれ、自分の全てを注いだ私という人形も壊れ、お父様は何もかもに絶望していた。
酒を飲み、店も開かず、裸にも近い状態のまま泥酔する…
私はお父様を呼んだけど、声は届かなかった。水晶の壁が私とお父様を何もかもの繋がりから切り離していた。
水晶に隔たれたまま、私はただお父様を見ていることしか出来ない…
生活部屋の中で酔いつぶれ、ベッドの脇に寄りかかるお父様を。
するとさっきのあの白い人形が…お父様の元へと駆け寄っていき、私の代わりに声を掛けた。
お父様は白い人形に応える。
違う。あれは私じゃない。お父様は騙されている。あの白い人形に、ずっと幻を見せられている。
あの白い人形は…だれ?
白い人形はお父様の心を食い物にし、日を追うごとにお父様は…自身を失っていく…もはや自分が誰なのかすら、記憶からこぼれ
落ちそうになっている…

あの白いドールのせいだ… 何もかも終わったのも、あなたのせいだ…そしていう…私は努力をしなかったと…もう元には戻れない…

終わりです、お姉さま…これで終わりです、たった一人のお姉さま。

でも私は、アリスゲームに勝った!

いいえそれは幻。窓を覗いて御覧なさい、あなたの倒したはずのドール達は今も動いています

あなたはだれなの!

あなたはだれ?私はだれ?

私は…ふと行き詰る。私はだれ?突然、名前が思い出せなくなってしまった。

私は…薔薇乙女第七ドール…

222 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:20:08 ID:ZxcNgLAY
苦しむお父様の顔が目に入る。お父様の顔が…でも、私は自分がだれなのかがでてこない。どうして!?

物質世界に存在を縛られる事自体がアリスへの枷になってしまう不要の形骸なのか

違う…

ふと、さっきであった、別のドールの顔が記憶に浮かんできた…

もうお互い争ってる暇なんかあったら一緒に力を合わせて解決しやがれってことですぅ

あなたは、どうして…

だから薔薇水晶、おめーも気をつけてちゃんと海面を目指すですぅ

私は…私の名は…

223 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:21:56 ID:ZxcNgLAY
119

「っふはぁっ!…」
薔薇水晶は、無意識の海の海面から顔が外の世界に出たのを感じた。
陸地が見つからない。視界に映るのは水色がかった異世界の空と白い水晶だけだ。
頭のなかが混乱したままとりあえず漕ぐ。「お父様…!」

と、海面でもがく薔薇水晶の腕を緑色の腕が掴まえた。
引っ張られる…

「けほ…!…けほ…!」
薔薇水晶は陸地についた。一歩先にそこへ到着していた翠星石が引き上げてやったのだった。
「初めて無意識の海に飲まれたやつにしては、上出来ですぅ」

「ここは…どこ?」
陸地に着いた薔薇水晶は地べたに手をついてむせつつ聞いた。
「どうやら」翠星石は後ろに聳え立つ巨大な水晶の城を指差した。「あの白薔薇の世界から遠く離れていないみたいですよ。
むしろ近づいているですぅ」
「白薔薇とは…」その人物名に薔薇水晶は過敏に反応した。「白薔薇とは、何者なの…ですか」
「えっ知らないのですか」翠星石はかなり以外そうな顔をした。「姿似てるからなんか関係あると思ってたですぅ。お前がそのまま
真っ白になって右目に白薔薇つけたような頭の飛んだやつですよ」
「そんなドール知らない!」薔薇水晶は再び翠星石に食って掛かるように睨みつけた。「私は私!他の誰でもありません…!」
「わわわわわ分かったですぅ」翠星石は降参の動作をした。
「その白薔薇というのは一体いまどこに!?」薔薇水晶は語調を荒げてさらに翠星石に迫る。「その者はいま何処にいるの!?」
彼女は翠星石のドレスを掴み上げようとするが、触れることかなわず体が透ける。「何処なの!?」
翠星石は困惑気味に答えた。「え、そんなこと聞かれてもはっきりわからんです…、」しかし自分を見澄ます薔薇水晶の顔が
これ以上険悪になるのを恐れるととにかく何処かを挙げなければならないと思った。「多分、…あの水晶の城あたりにいると
思うですぅ」
薔薇水晶の顔の向きが水晶城へと移った。巨大なその姿を見上げる。
それから急に意を決したように飛び上がると、水晶城を目指して猛スピードで飛行しだした。
かつて仮にも真紅を倒し、アリスゲームを制したあの薔薇水晶がかつての力の一端を再び発揮した瞬間にもそれは思えた。
「ああ、」翠星石と雛苺が彼女を追う。「待つですぅ!」
速い。翠星石は思った。薔薇水晶の姿がどんどん遠ざかっていく。
それから、あの似たもの同士の第七ドールと薔薇水晶がこれから衝突するのだろかとも思案した。
最も、それは見た目の話しであって、性格はまるで対極をなしているが。

224 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/10(土) 04:24:52 ID:ZxcNgLAY
20

雪華綺晶は一人、無意識の海に浮かぶ水晶の舟の上に乗り、ある目的を果たすべく水晶城を目指していた。
彼女の意思に従って、水晶の舟は海の上を進む。スピートばぼちぼちだ。
「クリスタルの舟は、満たされて」その舟の上から独り言を呟く雪華綺晶は、何処かで薔薇水晶の魂が再びここへ舞い戻って
きたことにはまだ気付いていない。「千の少女たちと、千の子たち。ときは百万通りあるのだから、戻ってくるときには」
目的地まで舟が辿りついた。雪華綺晶は水晶でできた縁を乗り越える。「すぐに私は列を降りましょう」そして陸地に着地した。
すぐに、目的のものが見つかった。

「あれは…?」
クリスタルで出来た美しい大きな舟の上から飛び降りてきた一体の真っ白いドールの姿を巴は発見した。
その現れた方は夢を見ているかのようにあまりに魅惑的で思わず目を奪われる。

自分を見つめてくる巴を雪華綺晶は見返した。彼女は真紅のマスターをおびき寄せるのに使ったが、もう彼はここに来ているので
用済みだ。少なくとも雛苺のマスターでなくなった今は。
「あなたは…だれなの?」
巴はそう聞いてきた。「ローゼンメイデンの一人…?」

雪華綺晶は巴のような存在には今や全く興味が沸かなかった。
アリスゲーム終焉の場に最も相応しくない者といえば彼女に違いない。
いま用のあるのは槐の方だ。

「ねぇあなた、一体、槐さんに何があったのか、知ってる?」巴は口を開いて再度問い掛けてきた。
そんなことはどうでもいいのです!
しかし雪華綺晶はアリスゲームに関わる話しの問いかけになると必ず答えてしまう癖がある。それも、謎めいた台詞で返す癖が。
「影に映る破滅…光すら絶えたとき。マスターは壊れました」
雪華綺晶がマスターと称した槐は、まさに彼女がいったように壊れているという表現が不気味なほど似合っていた。
幻想的な輝きを持つ水晶城を見上げ、散乱した目で薔薇水晶の名を連呼している。まるでその水晶城の中に薔薇水晶が見えている
かのように。とうぜん、水晶城の中にはクリスタルが敷き詰められているだけで、何も映ってはいない。少なくとも自分の目には。
「マスターって…」
巴は白いドールの言葉からある事実を導き出そうとしていた。「じゃああなたは…槐さんの契約したドールなの…?」
今度こそ雪華綺晶はそれを無視した。
彼女を尻目に、無機を変えて左手のひらを前に出すと後ろから槐に近づいていく。
「な、何をするの…?」にわかに胸騒ぎを覚えつつ巴を襲った感覚は、突然の電撃だった。
この白いドール…!私は見たことがある。この水晶の城も!
ずっと忘れていた。なんで思い出せなかったんだろう。
いつか雛苺のマスターであった頃、雛苺に鏡から彼女の世界に連れられた時に、ふと見たことがあった。

雪華綺晶は槐の背中へと迫っていった。あなたの役目もまたもう終わり。自然と顔が綻ぶ。偽りの夢に抱かれてお休みなさい。
だがその刹那、テレポートしてきたが如く彼女の前に現れた薔薇水晶が、槐への行路を絶った。すでに戦いの構えをとっている。
左目を雪華綺晶は丸くさせた。

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 04:56:05 ID:jEjQ1OE/
いつも良作を読ませていただきありがとうございます

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 07:11:10 ID:PrqlU3ko
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 08:08:11 ID:jufcplJT
>>213-224
久々の投下GJ!
これから仕事なんで帰ったらじっくり読ませてもらいます。

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 19:25:02 ID:+zZuBy58
    , .-=- ,、
 ヽr'._ rノ.'   ',
 //`Y. , '´ ̄`ヽ
 i | 丿. i ノ '\@
 ヽ>,/! ヾ(i.゚ ヮ゚ノ  かしらっら
  `ー -(kOi∞iミフ
      (,,( ),,)
       じ'ノ'
          ぽいんっ
      川
     ( (  ) )

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/10(土) 22:41:10 ID:SsW+hd4B
久々に来た、荒らされて中止なんてことになってなくて安心した
大詰め?みたいだけど最後まで頑張って
しかしすごいな、きらきのキャラ付けとかもまるでオリジナルみたいだ

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/11(日) 00:27:42 ID:Vr64cMl2
            , -―- 、_
             /    , -、_ ヽ
         _厶、_-、 {, r 、こn、i
          / { /, -  ̄{ L」水j」Y
        l  l lj  _   _ゝ|二|イ|
       _ゝ Yハz=゙  ゙=、y}  V
      ハ   l〕 ムヘ. r'┐  六イ'「l 「l r,
      ゝー'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄lソ | l_l !//
     く:|               |〈ヽ.j    'ー_っ
     {」|  保守かしら   |〈ゝー冖L/」
     {: |               | Y¬イ
     |: |________.」  l    |
     ヽ_/ , '  r/  \_〕   \__,丿
         /   「/!: :: :〈|j      \
     /    r」|┘: : : :|L_      \
    /_   _r┘」:|: : : : : :|:L└i_        \
    厶 」_工r‐:┘: : : : : : : : └L. 'ーt.¬r冖Lスヽ

231 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:42:10 ID:B/OXP36z
121

「また新しいドールが!?」
新たなドールの出現に、巴は驚きの声を出した。この人形もまたローゼンメイデンの一人だというのだろうか。
紫色のドレスに青みがかった髪を持ったドールだが、さっきの白い人形と顔も形もそっくりだ。一見するとまるで双子のような − 
それはあの蒼星石と翠星石以上に、いま向き合っているあの2人は服の細部まで似ていた。

薔薇水晶は、右手に紫色の水晶の剣を握りしめ、自分に似た白いドールに敵意むき出しで言った。「あなたにお父様は喰わせない…!」

その薔薇水晶の背後からは、ほどなくして追ってきた翠星石と雛苺がこちらへやってくる。
翠星石は息を切らしながら頭の上に雛苺を乗せていた。
「はぁ…あー…疲れだですぅ…」
「翠星石がんばったなのー!」
頭上の雛苺を翠星石は憎たらしげに見上げる。「人事だと思いやがってですチビ苺…!」
そんな言葉を雛苺は無視した。既に興味が次の対象へと移っていた。「あー!巴!」
「雛苺!」胸元へと飛び込んできた雛苺を、巴はうまくキャッチして抱きかかえた。
初めて見るドールが二体に、翠星石と雛苺までこの水晶城の世界にいる。
するともしかして。巴はふと思った。
ローゼンメイデンの全員がここに集っているとでも?

「ワットザ − どうやってあの水晶から?」
食い掛かるように睨み付ける薔薇水晶を見やりながら、雪華綺晶はひどく混乱した。「いいえ、いいえ、…口を開かないで!
たとえばあなたが−そうあなたが−あなたは、だぁれといったら?あなたは口を開かないで。言葉が回転するだけだから − 
まだ"if"という単語が"life"の真ん中にあることを知っているかとか話していた方がまし…」
「落ち着けです白薔薇」
「スゥーウィー!さっき第三と第六を何処に?邪魔っぽそうだから水晶城の真下の9秒前の白の底に吹き飛ばした?なんて
役立たずな、愚にも付かない人工精霊!」
雪華綺晶はスゥーウィーに向かってそう言い放った。「あなたは取るに足らないイエバトです…私から離れておいき!
遇劣なイエバト…あなたはただ上から西を見つめているだけのイエバトです…絶えて迷子になってしまえ!」

水晶城の下の無意識の海には薔薇水晶の魂を封じ込めていたというのに。そのせいで出てきたのか。
翠星石なら9秒前の白から簡単に抜け出す道筋を知っている。

232 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:44:02 ID:B/OXP36z
薔薇水晶は水晶の剣を握りしめ、言った。「あなたに私のお父様へ手出しはさせません…!」
「あー!やめてください…口を開かないで…それにここまでやってきてまだ暴力の世界に走るつもりなのかしら?」
「ずっとお父様の心を食い物にしていたのですね!」
「それはまだこれから。いま眠らせて差し上げようとしていたのに − あなたには止めることは出来ない。あなたはもう実体を
失くした、かわいそうな偽のゲームを支配して最後に崩れた踊り子。いまのあなたはただの魂の残像。私に触れられることすら
叶わない。ふふ…かわいそうな霊た…!!!」
雪華綺晶の長々しいしゃべりの終わりを待ちきれないといった様子で、薔薇水晶は前に踏み込むと水晶の剣を振るった。
一瞬、本当に雪華綺晶が言ったとおり、その剣身は相手にあたることすらなく透けていってしまうように思えた。
ところが次の瞬間、ガーンと鈍い音がなり、雪華綺晶の頭にそれがあたった。
雪華綺晶は三回ほどふらふらと地面の上を回転し、やがてバタと転んだ。それを薔薇水晶は上から見下ろした。
「…実体のない者どうしならどうやら触れ合えるようですぅ」
翠星石はさっき薔薇水晶の剣が自分の体を透けていったのを思い出しながら、そういった。七体目の白薔薇は元からアストラル体。
「どこか…どこかで糸車の動きが狂いだした気がする」地べたに頬をつけたまま雪華綺晶は呟く。

一方の薔薇水晶は、雪華綺晶を一端放ってその場から離れると槐の元に急いだ。「お父様!」
パンツ一枚しか纏っていない槐を後ろから呼びかけ、太ももにしがみつこうとする。
だが、身体を失って意識の霊魂 − 幻となったいまでは彼に触れられない。「お父様!私…」
「美しい!美しいぞ!」槐はまるで薔薇水晶には気付かず水晶城を見上げたまま叫び続けている。「僕はローゼン以上の存在さ!」
「お父様…ここです!…私はここにいます!」
切り詰められるような恐怖を覚えながら、薔薇水晶は必死に槐を呼んだ。
気付いてもらえない。どうして?

「ふふふ…ふっふふふふ…かわいそうな薔薇水晶…」
すると、薔薇水晶の後ろで雪華綺晶の静かなな笑い声が不快に響いてきた。「あなたがもう彼の目にとまることはない…かわいそうに」
「ど…どういうことです?」背中で聞き返しながら薔薇水晶は平静を装うとしたが、槐に関わることではどうにも動揺してしまう。
「ふふ…」雪華綺晶は寝転んだ状態のまま左手を持ち上げた。「少なくともこれがあるのだから」
雪華綺晶が薔薇水晶に見るように意図したものは、指輪だった。白い光を放っている。
「まさか…!」釣られて槐の左手へと視線を移したのは、薔薇水晶だけではなく翠星石や雛苺まで顔の向きを変えた。
槐の左手に嵌められた指輪。雪華綺晶のと同じく白色の煌きを放っている。
「あの弟子の人形師が白薔薇のマスター!?」
ゆっくりと、雪華綺晶は白い地面から起き上がった。白い髪がふわふわとしながら垂れ下がる。「夢の始まり」

233 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:45:58 ID:B/OXP36z
122

雪華綺晶と薔薇水晶。
この2人が似ていることは雪華綺晶本人にとってもあまり本意的とはいえなかった。
そもそも第七ドールの雪華綺晶は、ドールの契約者の心を奪い、その力を以ってアリスになろうとするドールだ。
この日本という国でアリスゲームが始まったとき、既に雪華綺晶は絶望的な状況にあった。
生まれたて未完成品だったあの水銀燈が、どの人間とも契約することなくゲームを戦いだすのだ。
雪華綺晶にとってドールの契約者とい存在は必要不可欠だ。もしドールがどの人間とも契約しないまま壊れたり、
アリスゲームの敗者になったりすれば雪華綺晶は永遠にアリスへの道を絶たれることになる。

そして、事実その事態になってしまった。
第一ドール水銀燈は、どの人間とも契約しないまま真紅の前に破れ、燃やされた。壊された。
このままだと、水銀燈の契約者が以降出ることはない。
雪華綺晶がアリスになる為には、何が何でも水銀燈には復活してもらう必要があった。

お父様が水銀燈を直すか?
どうもそうにも見えない。そもそも水銀燈は元から薔薇乙女あらざるべきドールだったのだから。
ということはつまり、お父様以外に水銀燈を直せるような技術を持つ存在を探さなければならないことを意味していた。

そして、いた。
お父様の弟子。槐。
雪華綺晶は彼に目をつけた。幸運にも、槐の方としても19世紀より薔薇乙女を探し続けていて、それを元に自分も薔薇乙女、
いやそれすら超えるような人形を作ることを切望していた。
槐の心につけ込むには、あまりにも簡単だった。
夢の中で雪華綺晶は槐の前ら現れた。あえて何体目かは告げず、私は薔薇乙女とだけ言った。

次の週から、槐は憑かれたように人形創りに励みだした。薔薇乙女をも超える、命を持った人形を求めて。
槐が一日一日寝るたび、雪華綺晶は彼の夢に現れ、少しずつ心を蝕んでいった。
この時点で、雪華綺晶は槐と実質上一方的に契約を結んでいた。契約さえすれば…マスターの心など想いのままのひばりも同然だ。
こうして、マスターの心を薔薇乙女より素晴らしい人形を創ろうというだけでなく、本当に薔薇乙女を倒せるようなドールを作る
ように徐々に操作していき、最終的には自分の人形をアリスゲームに参加させるようにマインドコントロールした。

234 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:47:32 ID:B/OXP36z
槐本人が知らない内に、心は雪華綺晶に啄ばまれ、作る人形も気付けば雪華綺晶ばかりを参考にした、雪華綺晶そっくりなドールへと
完成していった。槐をそれを薔薇水晶と名づけた。薔薇水晶はローザミスティカのない人形だったが、彼女には雪華綺晶が命を
吹き込んだ。いつか自分が水銀燈にしたように、精神で活動する自分の命の一部を分け与えたのだった。
これはローザミスティカがなくとも生けることのできる、神秘の魂だ。
つまり…かの槐は自分の実力で薔薇水晶に命を与えたと思っているが、その実そうではない。
そこまでくると、雪華綺晶は警戒を恐れ槐の記憶の領海からは姿を消した。槐から自分の作った薔薇水晶が雪華綺晶のコピー品にも
近い状態であるという意識はこれで完全に消えた。

実際…あとは放っておくだけで槐は見事に雪華綺晶の思い通りに動いてくれた。
薔薇水晶をアリスゲームに参加させるためまず彼がしたことは水銀燈の修理だった。
真紅に倒された水銀燈は、ローザミスティカを奪われることなくそこに放置されていたからだ。これではアリスゲームの続行が出来ない。
そう考えた槐はそのローザミスティカを使い、水銀燈を直すと同時に、その水銀燈を薔薇水晶の比べ台にしようとも考えた。
裏で雪華綺晶が思惑通りに動いたと笑っているとも知らずに。
直した水銀燈を鞄に入れ、薔薇水晶に持たせる。そして柿崎めぐの通う教会で待機し、彼女が来たところをタイミングよく鞄を
教会の中に落とし、めぐに気付かせた。あとはめぐが一方的に水銀燈と契約を結ぶ。知っての通りだ。

この瞬間、雪華綺晶がずっと望んでいたこと − 水銀燈を復活させ、かつ人間と契約させる目論見は遂に成功したわけだ。
これでマスターの力を狙える。
第二ドールも目覚め、彼女がアリスゲームに躍り出る条件は既に揃った。

だが、次にどうにでもなるだろうと高をくくっていた薔薇水晶が思ったより他のドールを圧倒した戦闘力を持っていることに
気付くと、まだ雪華綺晶は表に出ることを拒んだ。たかが自分の能力の一部である水晶の能力を与えただけなのに、それだけでも
こんなにも他の姉妹達を倒してしまうとは。雪華綺晶は、自分に与えられた能力があまりにも強大すぎてゲームのバランスなど
とうに崩壊していたことをただ一人悟った。

薔薇水晶は真紅をも倒し、六つのローザミスティカを集めた瞬間崩れ出した。これは偶然ではない。所詮薔薇水晶の器の命など
最初から雪華綺晶の手の内にあったのだ。自分が与えたのだから。器を失い、魂として無意識の海を彷徨い出した薔薇水晶を
雪華綺晶は捕まえ、水晶の中に封じ込めた。まだこの魂には利用する道がある。

薔薇水晶の魂を自分の世界に取り入れ、かつ槐と契約している状況を利用して、雪華綺晶は槐の夢の中では薔薇水晶の姿をする
という幻を造り上げた。槐を操り尽くし、三度目復活した水銀燈に人の命を延ばせる夢の樹の方法をそそのかした。水銀燈は
それにのってめぐの父親を殺した。そこから遂に、真紅と水銀燈のあの因縁の決闘が始まったのだった…
雪華綺晶を前にめぐを置いてきぼりにして。

235 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:49:54 ID:B/OXP36z
123

「一体どの洋物推理小説の真犯人の回想ですか!」
翠星石はもう聞いてられないとばかりにまくしたてた。「いまどきくんくん探偵の犯人役もそんな回想しませんよ!」

「あなたの人形師は心を壊し、私の知る域をも超えかけている」
雪華綺晶は薔薇水晶を見やりつつ言った。「自分の人形が壊れたことも覚えてはいない。そしてそれは私には丁度いい…」

対面する2人の後ろで、槐は今も変わらず水晶城に向かって吸い込まれるように歩いていく。
追い討ちをかけるように雪華綺晶はさらに言った。「あの水晶の城は私そのもの。あの中に入れば彼の魂は私の養分となる。
眠る彼に根を張り巡らて」

それはまるで死刑宣告のように薔薇水晶の耳へと響いた。「そんな…お父様!」
とっさにまわれ右するように振り返り、槐の後姿を見る。彼はどんどん水晶城へと飲み込まれるが如くに近づいていく。
薔薇水晶は一端顔の向きを直し、雪華綺晶に怒りの視線を一瞬ぶつけると、踵を返して一直線に槐のほうへと飛んだ。

「お父様!」
もはや触れ合えないのも声も届かないのも承知で、槐の横につく。
以前には見受けられなかった彼の左手の指輪を確かに薔薇水晶は見つけた。それが、あの白いドールとの何かの結びつきを築いている
ことはほぼ疑いようがない。あの白いドールの話は本当らしい。だとすれば、お父様のかけられた偽りの夢を解く方法はただ一つ。
「少しだけ、あと少しだけ待っていて下さい…お父様。すぐに私が、幻を解いてみせますから…」
もはや以前とは変わり果ててしまった槐の傍で、薔薇水晶は自分という存在を生み出してくれた主にそう言葉を掛けた。

やがてゆっくりと彼から離れる薔薇水晶。
物静かな様子でこちらへ戻ってくるかと思えば、突然酷烈とした目をして雪華綺晶を睨みつける。
思わず翠星石は身震いした。以前見てきた薔薇水晶のどの顔よりもいまの視線は恐ろしい。
水晶の剣の剣先を雪華綺晶へと伸ばし、薔薇水晶は言った。「…あなたを壊す。それは避けて通れない道のようです」

ところが雪華綺晶はあまり薔薇水晶を相手にしようとはしていないようだった。
「実体のないドール同士で戦っても意味なんてないのに。ただ暴力が巡るだけ」
薔薇水晶はそれを無視した。
決意に満ちた戦士の如くまっすぐ雪華綺晶へと近づいていく。そしていきなり歯を食いしばると力を込めて剣を上から振り落とした。
雪華綺晶は飛び上がり、高く地面より離れた。剣は空ぶる。すぐに相手についていくように薔薇水晶も飛び上がり、雪華綺晶の
目の前まで迫って宙で対峙した。
これ以上ないほどに2人の距離が縮まる。

雪華綺晶は左目で薔薇水晶の右目を見つめた。「器を失った迷子の魂と、イデアのアストラル。分かってるのでしょう?勝てないと」
薔薇水晶の右目が雪華綺晶の左目を見返した。「そうは思いません」

先手を仕掛けたのは薔薇水晶だった。左肩を引いてから勢いよく手を前に突き出すと、そこから衝撃派が発生して雪華綺晶を
吹き飛ばした。
雪華綺晶は打ち上げられた砲弾のように空高く舞い上がっていきつつ、手元に氷の長剣を取り出す。
「こんなものもう使わないと思っていたのに。でもこれはきっとアリス誕生という大きな波紋の前の些細な波。七体目は
それに身を委ねましょう!」

対する薔薇水晶は、空中で剣を構え持つ雪華綺晶を目にしかと捉えると、戦闘態勢を取った。
「最高の人形師、槐の名にかけて!」
薔薇水晶はそう叫び、飛翔する鷲の如く突っ込んでいった。

236 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:51:44 ID:B/OXP36z
124

聳え立つ水晶城の中層ほどのところで、ジュンはさらに奥へ上へと進もうとする真紅を必死に抑えている。
「真紅、それ以上いくな!」
ジュンの声は真紅に恐らく届いていない。「水銀燈が…呼んでいるわ」
「水銀燈はもういない!もういないんだ!もう…!それ以上前にいっちゃだめだ!真紅!」
「彼女ならいるわ。あなたには分からないのよ!私は聞いているわ − 水銀燈、まって…いまいくわ…」
真紅が進もうとする先には、ガラスの床が割れて大きな穴が開いている。
それ以上進むと下へとまっ逆さまに転落してしまう構造だ。
「だめだ!いくな!七体目の罠だよ!真紅!僕はいかせないぞ!お前まで水銀燈のところなんかへ − 僕は力づくでも止めるぞ!」
そして、ジュンは真紅を羽交絞めするように抱きかかえると、力いっぱい後ろへ引き倒した。
2人して地面に転げる。「いかせない!目を覚ませ!」
「いやあああああ!!」
すると彼女はジュンの胸の上で大暴れした。瞬く間にジュンの胸から脱出し、発狂したように奇声を張り上げると、
手に持っていた水銀燈の剣先を握ってジュンの喉元に上から突きつけた。
激しく息を切らしながら、ジュンを殺すような青い瞳を向けている。
ジュンはしばし言葉を失った。真紅のこんな目を見るのも初めてだったし、剣を喉元ぎりぎりのところまで伸ばされれば恐怖心
に身体も硬直してしまう。

「…」慎重に、出来るだけ彼女を刺激しないように、ジュンはゆっくりと両手を上げて口を開いた。「…真紅…?ぼ、僕だよ…」
真紅の瞳に変化はない。ジュンにのしかかって剣を喉に突きたてたままだ。
ジュンはもう一度静かな口調で言った。「…真紅…僕が…分からないのか…?ジュンだよ…お前の契約した…」
真紅の瞳がピクリと動いた。殺気が次第に引いていき、やがて驚いたような顔つきにかわると、次に絶望したようにジュンから
離れ水銀燈の剣を手元から落とした。剣が地面に当たって音を鳴らす。
真紅はその場にへたれ込むように座り、後ろの水晶に寄りかかると呟くように声を出した。「私はもうダメだわ…ジュン」
「ああ…分かってる」ジュンは答え、ゆっくりと水晶城の中を起き上がった。「こんな所まで来てしまって…」
水晶城の上から外の世界を見つめる。
「こんな辛い事ばかりが立て続けに起こるアリスゲームってなんなんだろうと思うよ」
ジュンは言う。「でも不思議だよな。アリスゲームがなければ僕は真紅にも翠星石にも出会わなかった。アリスゲームの辛い運命を
みんなと一緒に − 僕もそれに巻き込まれるというか、…脇役でもアリスゲームの一部となることが」
ジュンは自分でも何言っているんだろうと思った。「それが、すごく生きている、って実感するときがあるんだ」
朦朧と座り込んだまま真紅は受け答えした。「アリスゲームは殺しあうものなのに?」
「真紅、」ジュンは真紅の前に再び座り、肩に手を添えるとその青い瞳をまじまじと見つめた。「僕はお前達のアリスゲームに
巻き込んできたことを、とても感謝したい気持ちで思っている」
肩に触れてきたジュンの手の上に真紅は自分の手を乗せた。「…愚かな下僕ね。そこまで成り下がってしまっては私の手に負えないわ」
「手に負えないのはお前の方だろ。らしくないな。さあ、真紅。」
ジュンは真紅の肩を掴み、立ち上がるように促す。「いこう。みんなを助けに。」
「みんなを…助けに?」ジュンにせかされるままに立ち上がった真紅は不思議そうに聞く。
「七体目のドールがみんなのマスターを狙っている」
「そう…」青い瞳を悲しげに落とす。「それで…」
一度ジュンから真紅は離れた。ガラスの床に落ちた水銀燈の剣をもう一度拾い上げる。
「ジュン…」
それからジュンに背を向けたまま、重々しい、深刻な語調で語りだした。
「翠星石や雛苺と一緒に飲んだ紅茶はどこへいってしまったの? − 姉妹で見たくんくん探偵はどこに? − 全ては過ぎ去ったわ。
山に降る雨のように…草原を吹く風のように…」
真紅は恐らく水銀燈の剣を武器にこれからを戦うつもりなのだろう。それが一体何の決意の表れであるか、それは真紅だけが
知る水銀燈の何かだとジュンは思った。「私達の幸せな日々は海の彼方へと過ぎ去っていったのね……扉の後ろ、影の中へ…」
溶岩地帯での水銀燈との死闘を戦いぬいて身も心もボロボロの真紅から放たれるその言葉は、まるで自分の死を予言しているかの
ようだった。「…すべてはアリスのために…」
ジュンは真紅の前に座ると、乱れた彼女のドレスを手で直してやった。「いこう、真紅」

237 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:53:19 ID:B/OXP36z
125

空中で繰り広げられる雪華綺晶と薔薇水晶の戦いは、奇怪さを極めたものとなっていた。
水晶で出来た剣を振り翳す薔薇水晶に対して、雪華綺晶は全く予想不可能なフォームて氷の剣を扱っている。その彼女の身体
からは白い茨が生き物のように伸びる。
薔薇水晶の顔にはにわかには信じ難いというような困惑が浮かんでいた。自分の剣術がまるでこの白いドールには通用しない。
突きをしてみる。すると相手の白いドールは宙返りしてかわしたかと思うと、次の瞬間思わぬところから相手の剣先が伸びてくる。
「くっ!」
その突きを薔薇水晶は頭を仰け反らせて辛うじで避ける。いや…たとえこの剣先が当たったとしても、霊魂となったいまなら
彼女にダメージはないはずだった。だが、先に攻撃を受けてしまうことは薔薇水晶にとってはドールとしての誇りの面で負けを
意味している。
なぜなら自分はローゼンメイデンに勝ったはずのドールなのだから。例え後に第七ドールが新たな敵として出てきても技で
負けてはならない。
お父様に応えるため。
薔薇水晶は前に出た。白いドールの剣を持つ右手に切りかかる。「ほっ!」すると相手は右手を引っ込めると同時に
氷の剣を左手へとお手玉のように投げ渡し、薔薇水晶の剣は空ぶった。「くっ…」気を取り直して次は左手へ向けて攻撃をする。
すると白いドールは左手からも剣を放り投げ、体を丸くして前回りした。予想できない動き。急に目の前に現れてきた編み上げ
のブーツのヒールに薔薇水晶は顔面をけられた。
「あっ…!」
一度手放して宙を舞った氷の剣を、雪華綺晶は逆立ち状態から再びキャッチする。人間にはまず出来ない動きだ。
「憎たらしい曲芸師…!」薔薇水晶は相手をそう皮肉った。
「尖り物の戯れはもう十分でしょう?」
雪華綺晶は逆さのまま剣を持った右手を軸に、一回転して喋る。「少なくとも私のお父様が求めているのはジャンヌダルクの
ようなものの再現ではないのだから」
自分の戦いを戯れと称されたことが勘に触ったが、薔薇水晶はそれ以上に槐のことが気がかりで仕方なかった。
もういっぺんだけ下を歩く槐に向き直る。まだ水晶城の側を歩き回っているようだ。
お父様はまだ大丈夫なのだろうか。その心配が薔薇水晶を焦燥に駆り立てる。
急がなければならない。薔薇水晶はもう一度雪華綺晶へと迫り、剣を水平に振った。すると相手の白いドールは倒立状態から
上に飛び上がり、視界から消えた。
「後ろ…!?」
とっさに振り返ろうとする薔薇水晶。
だが、相手を見出すより先に彼女の首に雪華綺晶の白い茨が絡まった。「う!」薔薇水晶は反射的に首もとの茨を掴んで解こうとする。
「だから…」彼女の背後からぬっと寄ってきた雪華綺晶が薔薇水晶の顎を後ろから撫で上げた。「私達にしかできない、もっと
楽しいことをしましょうか?さあ…私の魂を火に灯して」

238 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/11(日) 03:55:23 ID:B/OXP36z
126

「薔薇水晶と白薔薇が戦ってるです…」
翠星石は上空で戦いを繰り広げる2人を見上げた。雪華綺晶と薔薇水晶。
薔薇水晶の方がローゼンメイデンでないと分かったいまでは、その2人の戦いはアリスゲームを超えた何かの戦いに思えた。
「…いや!」
そんなことは余計な考えだとばかりに翠星石はそれを頭から掻き消すと、巴と雛苺の方に向き直った。
「いまです!薔薇水晶には悪いですが、あいつには白薔薇のひきつけ役をやってもらうこととするです!いまがチャンスです!
ジュン達と合流しにいくです!」
「え…!?」もしかしてとは思っていたが、巴にはやはり一驚を隠しきれなかった。「やっぱり桜田君もここにいるんだ…」
「急ぐです!ジュンならきっとあの水晶の城を登っていったはずです!真紅が見えていましたから!」
翠星石がせかす。時間はそう多くないことを、その場では翠星石だけが知っていた。「こっちです!」
彼女に導かれるまま、巴は雛苺を抱えたまま水晶城の中へと入った。その時水晶によって作られたお城の内部のあまりの美しさに
しばし目を奪われたが、再び翠星石の呼ぶ声にわれを取り戻すと階段を登る。

ジュンと真紅とは早く合流しなければならない。翠星石は思った。いまあの白薔薇の気を薔薇水晶が引いているが、長く持たない。
翠星石はそれを知っていた。一度器を失い、本来迷子となるべき霊体は、たとえ例外的に自我を取り戻して無意識の海から抜けだせ
ても、もって30分で再び魂は迷子になってしまうだろう。薔薇水晶…気の毒に。だから哀しいかな時間はあまりない。

水晶城の上へ上へと目指してゆきながら、翠星石は果たして今日という日を生き延びられるかどうかを考えた。

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/11(日) 07:35:20 ID:ne2rSA8s
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/11(日) 12:28:40 ID:u0MeG/hk
    , .-=- ,、
 ヽr'._ rノ.'   ',
 //`Y. , '´ ̄`ヽ
 i | 丿. i ノ '\@
 ヽ>,/! ヾ(i.゚ ヮ゚ノ  かしらっら
  `ー -(kOi∞iミフ
      (,,( ),,)
       じ'ノ'
          ぽいんっ
      川
     ( (  ) )

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/11(日) 16:32:04 ID:KzIft8Tt
>>213-224 >>231-238
GJ!
連続で投下お疲れ様です。

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/11(日) 20:59:29 ID:0aZJM3L4
現在、金糸雀信者に荒らされているスレ

アニキャラ総合板のSSスレ(金糸雀関連のSSを催促するAA連投)
アニメ2板の総合スレ(容量潰しのAA連投)
懐漫板の原作スレ(金糸雀関連の話題を催促するAA連投)
VIPの総合スレ(ID切替えの自演)
VIPの絵スレ(金糸雀関連の画像を催促するAA連投)
VIPの陰陽師スレ(金糸雀の出番を催促するAA連投)


各地のローゼンスレへの荒らしをもう放置してはおけません。
皆で協力して↓のスレを潰し、ローゼンスレに平和を取り戻しましょう。

糞糸雀信者(荒らし)の巣
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1194433068/

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/11(日) 22:07:13 ID:3T+g15DB
>>213-224 >>231-238
    ___
  く/',二二ヽ>
   |l |ノノイハ))
   |l |.リ゚ ー゚ノl|   リサーチの合間に執筆お疲れ様ですぅ、そこの人間。
  ノl_|(l_介」).|   翠星石もじきに迷子にされそうですが、とりあえず感謝するですよ。
  ≦ノ`ヽノヘ≧
 .ミく二二二〉ミ

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 00:11:48 ID:dVtX7J8v
書くテンションをここまで維持し続けてるのは凄い
大抵の奴はある程度進むと筆が止まってしまうことが殆どだ
はじめはガンガン書けるんだけどいきなり書けなくなるんだよ

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 17:35:25 ID:CY5YtnXj
実装石のSSはどこに投下したら良いんだ?

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 20:21:28 ID:o6EZFTA/
  ,_-- 、       , -−…− /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   もうカナのSSは  
 |   !    ヽ'   ̄  − __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   書いてくれなくていいかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| − _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'−'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / どうせカナは 
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   嫌われ者かしら…  
¨ −-  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ −-  _ \________  

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:50:17 ID:+kr6mqF4
今投稿されてる大作が終わったらここも終わりだな

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:37:28 ID:2giGF7d8
保守

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 12:49:12 ID:ReUnCSDq
                                                                      
                                                                      
                                                                      
                                                                      
   /       ヽ ヽ     \、 _                                                
  /        /\ \  、  ノr、L,                                               
. /      _  ´ .::ノ`ヽ、.... \..フ  ハュ、                                              
∧.    / ./::;;- ´     `丶、.. ゝヘ」八}   カナのSSが少ない糞スレなんてなくなっちゃえばいいのかしら!!!  
{::i::::. / .:::/"´  - 、      \「 「ヽ「                                              
'、:、:::/.  .::::/   、、、.._\__,     トV「 /〉                                              
.ヘ::V::::r'⌒i{   ´r弋い    -‐ v:::コ/V                                               
. \::::ゝr/__    弋フ    ,rぃ//ヒソ                                               
  _.>‐i{ _>┐``    , ヒ/´                 __                                 
. ヽ_ ‐ "´  `ヽ   , ‐、_ ´ "ハ \             〈V'´ ` ― ___                           
. /       、 ヽ ゝ_ノ .∠. `ヽj}             _/_     └─┘ ̄ ̄                       
/         ┴- ∠て三>┴ … ―――ッッ-zて__  ̄  ─ ___                         
        . :      ̄ ̄             , ', ' ∠`´  、_`丶、__└──                         
: .     . : : : : : . .               /:/ -、__ゝ  、`rr、 ̄て」」                              
、: -‐、: : : : : : :/て> ‐、: i:\  : . . . . .    j i 、 ヽ   ゝ 、>ヘ. ̄ ̄                               
..〉_/ ` ---‐'ヽヽ:`='o_ヘ:、: : : .    : : : : // \下 `  ̄jヽノ\i                                 
j      : : : : : :` ミ 、__ノヘ: : : : : : .      //  、 └、 \/不 、i                                  
   __     : /:::::水`ヽ\: : : : : : . . . l:l  ゝ/  下.i / 、 |                                  
-‐ . ._. -―  .ゝ::::::/人ヽ::::> \: : : : : : : .i:i 、 |  ト、i ∧、jヽノ                                  
: -‐:    . : / `彡'__」 _弋_ \ 丶、: : : : i:|  ト、i\| }ノ、 ノ                                    
                                                                      
                                                                      
                                                                      
                                                                      

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:07:21 ID:HPQhh23M
おとさせはしない!

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:14:29 ID:TZ20hbsP
    , .-=- ,、              , .-=- ,、              , .-=- ,、                     
 ヽr'._ rノ.'   ',           ヽr'._ rノ.'   ',           ヽr'._ rノ.'   ',                     
 //`Y. , '´ ̄`ヽ             //`Y. , '´ ̄`ヽ         //`Y. , '´ ̄`ヽ                    
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  `ー -(kOi∞iミフ          `ー -(kOi∞iミフ          `ー -(kOi∞iミフ                   
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       じ'ノ'                じ'ノ'                じ'ノ'                    
          ぽいんっ             ぽいんっ             ぽいんっ             
      川                  川                  川                     
     ( (  ) )                  ( (  ) )                 ( (  ) )                   
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       じ'ノ'                じ'ノ'                じ'ノ'                     

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:27:16 ID:JW/Mpdym
シコシコッ・・・ ウッ

253 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:13:15 ID:TuU5GYkV
127

雪華綺晶の世界である、水晶の城の階段を駆け上る翠星石に続く巴と雛苺の三人。

ある階に辿り着いたところで、ばったりと向こうから階段を下ってきたジュンと真紅に出くわした。「ジュン!」「翠星石!」
「真紅、無事だったですか!」
「ええ、なんとか。」
再会を喜ぶ彼女達の合間、さらにそこへ、外の世界から水晶の壁を突き破ってぶっ飛んできた雪華綺晶が、ガラス張りの床を派手に転げた。
その左手にはどういう訳か薔薇水晶の眼帯が握られいる。
「これを取ろうとしたら薔薇水晶がすごく怒った」雪華綺晶は頭いっぱいに水晶の破片をかぶっている。「蹴っ飛ばされました…」
「薔薇水晶…?」その言葉の中に異様な単語が含まれていることに気付く真紅が口を開いた。「なぜ薔薇水晶の名前が…?」
「実体を離れた霊魂がこのフィールドに戻ってきてるですぅ」翠星石が説明する。「幽霊同士白薔薇と喧嘩してるですよ」
「そんなことが…?」
真紅は顔を上げ、雪華綺晶が突き破ってきた穴を見つめた。
その穴から、宙に浮いた薔薇水晶がゆっくりと雪華綺晶を追うように下へ降りてきている。
眼帯を取られ、両目の瞳でこちらを覗いている。今まで隠されていたその左目から涙が止めどめなく出ていることにまだ薔薇乙女は
気付いていない。

実際の第七ドールの偽の第七ドールが改めて似ていることが分かると、真紅は事態が最悪になりつつあるのではと危惧した。
「薔薇水晶と雪華綺晶は、やはり何か関係が?」
もしこの2人が手を組んだりしたら私達の力ではもはや到底適わない。
以前水銀燈のフィールドで戦ったときも、ただでさえ雪華綺晶一人相手に大敗したばかりだ。
「いえ、大丈夫ですよ、真紅」翠星石がなだめる。「むしろ敵対してますから。この2人。どうも白薔薇の方が薔薇水晶を怒らせてる
みたいですよ」
「七体目がドールのマスター達を狙っていると聞いたわ」改めて真紅は問い掛ける。「マスター達はどこに…?」
「それが、見当たらないのですぅ。どうにも」翠星石はかぶりを振った。「私たちがこっちに来る前、ジュンの機会の箱の画面に
水晶の中に閉じ込められたマスター達が見えたのですが…」翠星石は自分たちがここまでやってきた経緯を真紅に話した。
いきなりジュンのPC画面に出てきたことから、槐が雪華綺晶のマスターに一方的にされてしまっている状況、そして七体目が
正確にはマスターの心を奪うことでアリスになろうとしていることなど。

それから、七体目があひる座りをしたまま白い長髪に纏わりつく水晶の破片を地道に手で取り除いているのを翠星石は見やった。
「マスター達を見つけるには、もうあいつに自分から口を割らせるしかないですぅ」
「どうやって?」
「白薔薇のやつの身動きを完全に封じて拷問しちまうですよ!」翠星石の口調が強まる。生意気で迷惑な妹をとっとと払いたい
というような気持ちが滲み出てきているかのようだ。「拷問台にかけるです!泣いて許しを請いたってもう許さんですぅ!!」
「果たしてそんことができるかしら」一方、真紅の言動は慎重だ。
「そうですね…」翠星石も負けじと考える。「相手が幻なのですから、私の世界樹や雛苺の蔓で拘束してもまるで無駄ですぅ。
見た目では縛れていても、所詮はやっぱり幻なのですから。手ごたえがないですぅ」
「霊体同士なら触れ合えるのよね?」
真紅が念を押すように聞いてくる。「みたいですぅ。そんなSFのちゃちー辻褄が本当に私たちの世界でも通じるとは思っても
みませんでしたが!」
さらに真紅は一考した。どうやらこの状況の打開法を導きつつあるらしい。「なら、薔薇水晶の協力が得られれば…あの子の水晶
の力で七体目を封じ込めてしまえばいいのではないかしら。喋ることだけはできるように顔だけは出しておいて」
翠星石は、顔から下が完全に水晶に埋まった雪華綺晶を想像して思わず噴出しそうになった。「名案ですぅ真紅。でも、薔薇水晶
はきっと私たちをまだ敵視するでしょうね…」
真紅と翠星石が2人が議論しているさなか、薔薇水晶は剣で再び雪華綺晶に襲い掛かっていた。
雪華綺晶は床を転げながら自分の氷の剣を振るって相手の攻撃を弾き返す。若干歯を食いしばりながら氷の剣を扱っており、
余裕がやや失われているようにも見える。

254 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:15:06 ID:TuU5GYkV
「雪華綺晶が薔薇水晶におされてる…?」戦い続ける二人を見つつ真紅がそう口にする。
だが、翠星石は確信に満ちているように首を横に振った。「いえ、あの白薔薇のことです…どうせ演技ですよ。
このままじゃ薔薇水晶が危ないですぅ!」
そう翠星石が言ったつぎの瞬間、薔薇水晶の紫の剣が力強く振り落とされた。雪華綺晶は床を転がってそれをよける。
的を外した薔薇水晶の剣が地面を叩くと、その剣に白の茨が伸びては絡まった。
「…!」しまったと薔薇水晶の表情に一瞬変化がでたかでないかのうちに、雪華綺晶が脚を持ち上げて薔薇水晶に蹴りを
入れた。薔薇水晶は後ろへとよろめき、一方茨に捕らえられたままの剣を手から落としてしまう。
雪華綺晶はその落ちた剣を左手に持った。右手に氷の剣、左手に紫の剣を突きたてて、薔薇水晶に迫る。
形勢が一瞬で逆転した。
薔薇水晶に恐れの暗い表情が入り、後ずさる。対して二本の剣を突きたてながら相手に迫り続ける雪華綺晶。

「翠星石、念のためもう一度確認するわ」離れたところで、真紅が再度翠星石に耳打ちする。「薔薇水晶と雪華綺晶は本当に
味方同士という訳でもなく、むしろ敵対しているのね。あれは芝居ではなくて」
「ですぅ。そもそも戦いバカの薔薇水晶に芝居なんかできっこないですよ」
「それはもしかして、薔薇水晶は私達と同じ敵を持ったと考えてもいいのかしら」
「そうですね。最悪それ以上はあるですぅ」

追い詰められた薔薇水晶の背中が水晶の壁にあたった。もう後が無い。
雪華綺晶はにじり寄る。
二本の剣の先端が接近してくる。
と、突然薔薇水晶は青みがかった髪から水晶の髪飾りを手に取った。形が変化して槍のように尖り、目にも留まらぬ速さで雪華綺晶に
迫る。が、予期していたように雪華綺晶はそれを水晶と氷の剣ではじいた。
秘密の武器まで軽くあしなわれ、いよいよ頬に冷や汗を流す薔薇水晶。
次の瞬間、彼女は顔面を膝でけられた。「うあ…っ!」壁際にしりもちをついて倒れる。
「もう終わりです」雪華綺晶は言う。悔し紛れに、薔薇水晶は下から相手を睨みあげる。だが左目からは止められない涙が流れ
暴力を振られて弱々しく泣く女の子のように見えてしまう。「かわいそうに。でもあなたはとうに踊り役を降ろされたの」

「薔薇水晶が泣いている…?」
真紅は、いままで眼帯に隠されていた彼女の左目から流れるそれに遂に気付いたのだった。「いままで左目を隠していた理由は、
それにあったというの?」
「思えばかわいそうなやつですぅ。ローゼンメイデンでもないのに私達のアリスゲームに巻き込まれ…」翠星石も口を揃える。
「本当は彼女だって、戦うことは辛く悲しい。その気持ちを、あの眼帯と一緒にきつく自分の中に封じて押し殺していたのかも
しれないわね」

雪華綺晶が両腕を持ち上げて上で二本の剣を交差させた。一気に薔薇水晶を切り刻もうとしているのだろう。
だがその表情は無感量で、楽しくも嬉しくも悲しくもないといった様子に見える。
薔薇水晶は逃げようとした。だが、恐怖が体から自由を奪っていた…こんな体験は生まれて初めてだった。
彼女は固く目を瞑る。せめて自分が切られる瞬間の光景から逃げるために − 目の当たりにしないために。
そして、まさか私がこんな自分に似たような姿の訳のわからないドールに負けるなんてことが未だに信じられない気持ちでいた。

金属の衝突音が高鳴る。
自分はあの白いドールに切られたのだろうか?薔薇水晶は目開ける。
まず一番そば見えたものは、水晶の剣でも氷の剣でもない、鉄の剣だった。混乱が頭を駆け巡る。なぜここに"水銀燈の剣"が
あって、それがまるで自分を護るように雪華綺晶に二本の剣と拮抗しているのだろうと。
その剣の持ち主へ薔薇水晶はゆっくり視線をずらした。剣の持ち主は第一ドールではなく、真っ赤なドレスの第五ドール、
真紅だった。薔薇水晶の目が見開かれる。「「これは一体どういうことなの…」なのです?」
薔薇水晶の台詞が雪華綺晶とはもった。

255 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:16:32 ID:TuU5GYkV
真紅は、水銀燈の剣を伸ばして薔薇水晶を切りつけようとする二本の剣から彼女を庇っていた。
その第一ドールの形見である剣は、まだ以前人間を殺したときの返り血の色をまだ少し残している。

一見剣同士がせめぎあっているように見えるのも、これは七体目の幻だ。真紅はそれを理解していた。
雪華綺晶の背後から延びてきた翠星石の世界樹が、彼女の肩と首に絡まりつく。
「…真紅…」薔薇水晶があまり優しいとはいえない目でその真紅を見ると言った。「これはどういうつもりなのですか」
「薔薇水晶、」依然水銀燈の剣を握りしめて雪華綺晶と対抗しつつ真紅がそれに答えた。「あなたの力を借りたいの。お願いするわ…
いまあなたと私達は、敵同士ではないわ。私達はいまあなたと同様にこの雪華綺晶に用がある。そのはずよ」
「何をいってるの?」あまりの予想外の言葉に、薔薇水晶は笑い出しそうになった。「ローゼンメイデンは全て私の敵。あなた達なんて
みんな壊して差し上げることが、お父様のお望みにも応える、私の宿命」
そう言い返す彼女の左目から滴る涙が頬を伝って、紫のドレスまで濡らしつつある。金色の瞳からどうしようもなく流れ出る涙と、
真紅を睨み上げるその顔の表情がどうにも倒錯的だ。
「少なくとも、あなたのそのお父様は、このドールに心を奪われそうになっている。そうなのしょう?」真紅は説得を続ける。「私達も
同じような理由でこのドールには用事があるの。私達をもう一度壊したいならば、まずはこのドールから奪われた人たちの心を
取り戻すのが先では?」
「そんなこと…私一人でもできます…」バカにしないでというような目をする薔薇水晶。
すると、真紅は不適にもふっと笑って見せた。「そう。なら、私達も勝手それに参加させてもらうわ。ただし、思うに、
いまあの七体目を壊したりしたら、あなたののマスター達の心も勿論、あなたの人形師の心も一緒に吹き飛んでしまうわよ。
まずは動きを封じることね」
明らかに自分たちの作戦への参入を誘っているかのような真紅の言葉に甚だ薔薇水晶は憎たらしさを覚えたが、言っていることは
あながち間違っていないと思った。真紅達ならあとで壊してまえばいい。今はあの雪華綺晶という者を第一にどうにかしなければ
ならない。
あのドールの手からお父様を救うために。

「ああうっ!」一方、雪華綺晶は世界樹によって後ろ向きに強く引っ張られ、体を仰け反らせながらまたしても床に転げた。
甲高い奇声をあげながら。しかもそのときわざとらしく両手から剣を手から落とす。
床に伏した雪華綺晶へ、すかさず薔薇水晶が自分の剣を取り戻すと前に乗り出た。その横に真紅も乗り出す。
さらに後ろに翠星石、その翠星石の隣に雛苺が並んだ。全員して雪華綺晶を囲み、睨みつける。
「柴崎のしじいとみっちゃんをどこへやったですか!!」
「みんなを返してなのお!!」
「あなたをこれ以上ジュンには近づけさせないわ」
姉たちの降り注ぐ非難と要求を浴びるなかで雪華綺晶は起き上がり、壊れがちな笑顔を作ると口を開いた。
「4対1ですか?ふふ、1対1でも、何対何でも、私とあなたのアリスゲームは違っているのに」
「いいえ、5対1よ。雪華綺晶」真紅はそれに修正を加えた。「これを見なさい。これは水銀燈の剣。第一ドールもあなたには怒って
いるわ。"マスターを返しなさい"、とね」

すると雪華綺晶は床の上をくるっと一回転廻ると自分を取り囲むドール達を見返した。「全てがここに集ったのですね。
歌と劇の終わるとき(ラスト・アリスゲーム)に − well come to the party,pal!」

256 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:19:03 ID:TuU5GYkV
128

well come to the party , pal!

さあおいで。

ドール達に取り囲まれた中心で、雪華綺晶は左目の瞳を閉じた。首を垂らし、白い髪もそれに伴って降り下がる。
まるで自分の世界にどっぷり浸って夢見ているかのように、頭を揺れ動かしている。

これだけ沢山のドールにいっせいに狙われておきながら、なんて余裕なんだ。ジュンは思った。
「歌と劇の終わりに」彼女は目を閉じたまま言う。「さあ運命の糸車が速くなる。廻る廻る。速くなっていく…」

雪華綺晶の横に位置していた真紅の顔が強張る。後ろに位置するは翠星石、雛苺。そして正面には薔薇水晶。
その位置合いを目を瞑ったままで、雪華綺晶は完全に把握しているように思えた。そんな異質な気配を七体目は漂わせている。

と、そのとき薔薇水晶の足が動いた。彼女は右手に持つ剣とは別に、左手に数個水晶の髪飾りを取り出す。
次の刹那それに呼応したかのように真紅が動き出した。ほぼ同時にそれに続いて翠星石と雛苺が動ずる。

金色の左目がぱっと開かれた。もろとも片足で飛び跳ねる雪華綺晶。白い茨が体から伸びる。いってしまったような瞳で
遠く彼方を見つめながら、両手を別方向に挙げて歓呼する。「切れる、糸が切れる!」

その雪華綺晶の片足がガラス張りの床に強く着地すると、ガシャンと大きな音をたてて床が割れ、真紅達や薔薇水晶、ジュンの立つ
ところにまで蜘蛛の巣状のヒビが広まった。
その場の全員が瞬く間にそのヒビに巻き込まれる。そして、床がバラバラに砕け散って落ちた。
「うわぁ…!」「きゃあ!」
薔薇水晶も、真紅も、だれ一人雪華綺晶に触れる前に足場を失い、下へと落下していった。雪華綺晶本人もろとも、ジュンや巴までも。
雨あられと降るガラスの木っ端微塵の破片のなかにまみれる姉妹たち。

水晶城の内部を、落ちていく。底へと。

257 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:21:44 ID:TuU5GYkV
129

ズシンと、落下音が鳴る。
「いたた…」
最初に体を起こしたのは、翠星石だった。
茶色の長髪が視界を覆って邪魔しているので、それを手でどける。すると地面が見えた。
はじめ落ちてきたとき、地面が意外にも柔らかいと思ったが、その謎が解けた。いま自分たちが立っている所は地面ではない。

植物。
そこらじゅう隙間なく埋め尽くされた白い茨の上に立っているのだ。言い換えれば、自分たちは茨同士が大量に絡まりあって
できた足場のようなところに立っていて、歩くにも立っているにも常に茨を踏み続けざるを得ないということだ。
はっきりいって、かなり気味が悪い。

空間そのもの自体は丸っぽい円柱のような形をしている。床は茨まみれだが、壁については分厚い冷たそうな水晶でできていた。
その壁際には四方それぞれに一つずつ、大きな縦長の絵画の額が計4つ飾られている。
だが、その絵画には何も映っていない。

ジュンは真紅に駆け寄っていた。
「真紅、大丈夫か?」
「ええ平気よ」彼女は応えつつ起き上がる。「それより、あなたは自分の心配をしなさい…!七体目はあなたを狙っているのよ」
ジュンは息を呑んだ。いままでただ彼女達のアリスゲームを端から力を分け与えるだけだったが、いまは違う。本格的に自分も
いまアリスゲームの犠牲者として有力な候補となっている。「その七体目はいまどこに…?」
「あそこよ!」真紅は指差した。だが、自分でも驚いているように若干その眼が見開かれている。「あれを見て!」

空間のど真ん中には丘のように突然盛り上がってる所があり、そこに人間サイズの数倍はあるであろう大きさの巨大な白い薔薇
が咲いていた。
その薔薇の花びらの上に雪華綺晶が立っていて、しかもその隣、白薔薇の中心には茨に縛られたまま眠っている柿崎めぐがいる。
「水銀燈のマスターが!あんなところに!」
すると雪華綺晶は真紅に視線を送りながら眠っている柿崎めぐの頬を軽く持つように触ると、ふっと笑みを浮かべた。

「このような子が第一ドールのお姉さまのマスターになることは少し私に遠まわしをさせた。でもそれももう終わり。この子は
いま夢を見ている。永遠に眠り続ける眠り姫の夢を。死ばかりを望んでいた頃は私にとってその心は毒気でした。でもいまはそれも
偽りと嘘によって綺麗になり、私を補うのに相応しい養分となるのです」

彼女がそう言い終えると、ふと遥か上の天井からにょっともう一つの巨大な白い薔薇が下に伸びてきた。それはいま雪華綺晶の
乗っている白薔薇と相するように、上下に向き合う形で止まる。さながら接合部位を向き合わせる二つの脳神経のシナプスだ。
「その子に何をするつもり!?」
「"浄化"です紅薔薇のお姉さま」彼女は横向きになりつつそれに応える。「この子は綺麗になるの。するとそれに適った、
美しい薔薇の花が咲くのです」
上の方からしゅるっと下ってきた数本の蔓が柿崎めぐを絡めとり、吊り上げた。しっかりと強靭に巻きついて、それから彼女を
徐々に持ち上げていく。
直後に、真紅は雪華綺晶のいった浄化というものがろくでもないことを瞬時に理解した。
「いけない!やめなさい!」
なす術もなく柿崎めぐはどんどん上へと蔓に引っ張り上げられ、下向きに構える白い薔薇の中に吸い上げられた。
その薔薇はごっくんとめぐを飲み込んだとばかりに不気味な音を鳴らす。

人間が巨大な薔薇の中に呑まれた。
その恐ろしく気味の悪い光景にジュン、巴、真紅、翠星石、薔薇水晶が息を殺しながら果たしてその柿崎めぐがどこにいって
しまったのか目で追った。
天井に咲く巨大な薔薇より上にのびる、巨大な茎。いまごろ肉食動物に食われた生き物が食管を通っていくように、柿崎めぐも
あの茎の中を昇り詰めていっているに違いない。
その図太いホースのような茎は天井まで伸び…水晶にぶち当たると…

と、天井部に開いた小さな穴の先からメグが現れた。天井に付いていた小さな水晶の容器の中にすっぽり身体が収まってしまう。
さながら天井に吊るされた人間用のカプセルだ。
それを見上げているうち、その水晶のカプセルが他に幾つも天井にあることにジュンは気付いた。
そして、ついに見つけた。
草笛みつ、柴崎元治、…薔薇乙女のマスター達の姿を。一人残らず天井の水晶カプセルの中に収められて眠っている。

258 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:24:24 ID:TuU5GYkV
その人間の扱いにジュンはX−ファイルや宇宙戦争などに登場するエイリアンの装置を思い出した。
恐らくここが雪華綺晶の持つ世界での心臓部ともいえるところなのだろう。
水晶城は外見は幻想的で美しいが、奥に潜む中身はえげつない。まさに雪華綺晶そのものだ。

真紅はわが目を疑っている様子だった。「マスター達になんてことを…!」

残るは僕と槐だけという訳か。ジュンは心の中で唸った。
その槐を助けるために、薔薇水晶もまた雪華綺晶と戦っている。

とはいえ、彼らを見つけられた以上、他のマスター達だって救う手段はゼロではないのかもしれない。ジュンは思った。
「私から…決して離れないで、ジュン」真紅は言い、手に持った水銀燈の剣をしかと構えなおす。
床は柔らかな茨の集合体のみでできているので、足場が安定しない。その床の茨は恐らく全て上向きに咲く方の白薔薇に繋がっている。

一方柿崎めぐを収めて、また一歩アリスへと近づいた雪華綺晶は次の獲物とばかりの瞳でジュンを見据えた。
それから急にびっくりするような金色の目に変わる。
「起きたままの人間がここへやって来るなんて、それは私の最も願ったことの逆だったのに!」
それはこの実態を目の当たりにした人間がどう考えても七体目に敬遠になるからに違いない。
「ふふ…まあよいでして!」そして彼女は右腕を挙げ、薔薇の花びらの上でまた狂ったように飛び上がった。「だってあなたはもう
ここから逃げられないのですもの!」

ぞっとする戦慄が稲妻のように背筋貫くのをジュンは痛いほどに感じ取った。
逃げられないだって?あたりを見回してみる。確かにそうだ。壁に囲まれて、何処にも逃げる所なんかない。
僕はこのまま水銀燈のマスターと同じように薔薇に呑まれ、あの水晶の中に収められるのか。

「ジュン!怖がらないで。七体目にそんなことさせはしないわ」
足のすくみそうなジュンを見た真紅が勇気付ける。それは真紅自身の勇気付けでもあった。「翠星石や雛苺もついているんですもの。
それに…」
みんなを助けるために意気込んでここまで来たのに自分が情けないが、自分を護ろうとしてくれるドールがいることが今ではジュンは
あまりにも頼もしく、ありがたさを感じた。同時に自分も最悪足を引っ張らないくらいの、出来ることをすべきだとも思った。

一方、雪華綺晶はひとしきりその場で踊り狂ったあとに大きな薔薇の花ひらの上に腰掛けた。真紅を − ジュンを庇うように側に
ついている真紅を上から見つめ、にっこり笑ってみせる。
それから両脚を振り子のようにブランコさせながら、挑発するように投げキスにも近い右手の動作をした。

続いて気付かれないように − それは雪華綺晶の得技でもあるが − 真紅達へと瞳を向けつつその実視線を壁際四方に
各々置かれた四つの絵画へと走らせた。それからこの場の素材たちを数える。真紅翠星石雛苺薔薇水晶それに自身に人間。
場違いなのは一人だけだ。

雪華綺晶は薔薇の花びらから飛び降りた。「紅薔薇に全てのお姉さま、今こそ迎えがやって来ました!もう一つの意識に目覚める境界に −
見えること触れるもの全てが − 新しくなるのです!」
それから軽快な足取りのステップで馴れ馴れしくも雛苺に駆け寄りだす。
そのときの横向きの状態が、顔からはみ出る右目の白薔薇をいやに目立せた。
「いけない、雛苺…!」危険を予感する真紅。
「偽と知っていても、嘘と分かっていても」雪華綺晶は言いながら雛苺の金髪を触る。「迎えに告げられたのなら、もっと素敵な
夢を見れるのに」彼女の身体から伸びる白い茨が、雛苺の目の前を蛇のように通過する。ぎょっと雛苺は目を血走らせた。

そこへ、急遽間に割ってきた真紅が遮った。「雛苺から離れなさい…!そしてみんなのマスター達を開放しなさい!」
驚きの反射神経で、雪華綺晶は真紅の胸倉を手に掴んだ。そのまま真紅に倒れ込むようにして寄りかかる。
真紅の顔に雪華綺晶の顔がぐっと接近する。
その彼女の丸っこい瞳はやはりいってしまっていた。真紅は気圧され、一瞬訳が分からず一緒になって後ろへ数歩ふらついた。
「そう、もっと私に触れて。見つけるのです。ふふ… − いまその手に真に望んだ終わりを!」
白の茨が伸びる。そのまま雪華綺晶は真紅を押し倒してしまうが如くだ。気味の悪くなった真紅は思いっ切り金髪のツインテールを
鞭のようにしならせて彼女を追い払った。「は、はなしなさい!」
金髪にぶたれた雪華綺晶はバランスを崩し、真紅から離れた。そのまま体をよろめきさせながら、今度は翠星石に近寄り始める

259 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:25:59 ID:TuU5GYkV
雪華綺晶がどんどん狂ったようにこっちに迫ってくる。翠星石はあまりの薄気味悪さに身の毛をよだらせそこから逃げ出した。
「きゃぁぁぁ!来るなです白薔薇くるなですぅ!」
だが、いざ走ろうとすると茨だらけの足場ということもあり、その内一本の茨に足をとられて翠星石はずっこけた。「いぃゃぁっ!」

とそのとき、その雪華綺晶を蹴り出した横から飛んできた影があった。薔薇水晶だ。

「助かった…?」と翠星石。
「翠星石、無事なの…?」真紅と雛苺がすかさず駆け寄ってきた。「ええ…どうも薔薇水晶のおかげで…なんか喰われるかと
思ったほど怖かったですぅ…」
真紅は顔の向きを変えて薔薇水晶を見つめた。転げた雪華綺晶の喉元に自分の剣の先を突きつけている。
どうも七体目には踊ったり、逆さになったり、転げてのたうち廻ったりと奇矯な挙動が多い。
「さっきあの子にマスター達を解放しなさいと説得したのだけれど」真紅は口を開いて仲間の2人に話しだした。「それの返答が
まるで理解不能だったわ。触れて−とか、見つけて−とか…人の話しをまるで聞いてないわ。困ったものね!」
「あんなのとまともに意思伝達できるのはきっとE.Tかダークマター知性体でもない限り不可能ですぅ」
真紅は大きなため息をついた。天井を見上げる。ローゼンメイデンのマスター達ががっちりと閉じ込められてしまった天井の水晶を。
こんなことになってしまうなんて。
「薔薇水晶に続いて…雪華綺晶…七体目が現れたことで、私たちのアリスゲームのルールはもう完全に狂ってしまったのだわ。
いまのこのアリスゲームに、お父様はなにを望んでおられるのというのでしょう…?お父様…」

260 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:29:22 ID:TuU5GYkV
130

喉元に剣を突きつけられた雪華綺晶は動きを止めはしたが、顔に浮かべる笑みを止めはしなかった。
「ふふ…いいのですか?私をここで壊してしまって?」
薔薇水晶はきついで雪華綺晶を見下し、目剣を握る手に力を込める。「私のお父様から手を引きなさい。そうでなければ
どの道あなたを壊すしかないのですから」
「かわいそうな薔薇水晶…」
そう静かに呟き、雪華綺晶は茨まみれの地面に一瞬だけ目を移すとすぐに薔薇水晶の目を見上げなおした。
「かわいそうな薔薇水晶…」もう一度繰り返す。
「手を引くの!?引かないの!?」薔薇水晶は苛立ち始め、口調を突然荒げた。呼吸が乱れ始める。
剣先が動き雪華綺晶の喉元にヒタと触れた。薔薇水晶は続ける。「これが最後です!!さあどうするの!?」
ほどなくして雪華綺晶に出した答えは、きしくも薔薇水晶の言葉を真似たものだった。「これが最後です」顔が残酷に笑う。

突然、薔薇水晶の足元がガクンと沈んだ。「な…っ!!」床の白い茨が動き出して彼女の脚を絡めとリ、下へ引きずり込もうとしている。
驚いている間もなく付近一帯から無数の茨が取り巻くように伸び、薔薇水晶の両手にも首にも腰にも、これ以上ないほど
絡め取られてたちどころに全身を拘束された。必死にもがいたが、右手から剣もこぼれ落としてしまう。「ああ…いや!」
再び身体がガクンと落ち、腰の辺りまで体が茨の中に沈む。彼女はすると床の茨にしがみついて懸命に抵抗する。「あっ…!」

この茨の床全てが罠だったのか!
その恐るべき光景を目の当たりにして、ジュンは昔に読んだ"ハリー・ポッターと賢者の石"の後半にでてきた、
"悪魔の罠" − 人を絡めとる植物に満たされた落とし穴を思い出した。三面犬を潜り抜けたあとのあの罠だ。
その雪華綺晶バージョンにいま自分が直面しているのか。あの小説と違って、今回は大人しく白い茨に絡められていれば無事で
済むようには無論、思えない。

薔薇乙女たちも自分の立たされた危険すぎる状況に気付いたのか、足元の茨を気にしながら慌てふためいた。
だが床は一面全て白い茨に満たされており、避難できそうなところは何処にもない。

「いやあああああ!!」幼い雛苺は恐怖のあまり絶叫しながら茨の床を走り抜け、水晶の壁にぶち当たると死に物狂いでよじ登ろう
と壁を引っ掻き始めた。当然登れるはずもない。壁は90度で、しかももっと上になるとねずみ返しの構造になっている。
むなしく罠のなかであがく雛苺その姿は、アリ地獄にはまったアリが必死に這い出そうとする姿に似ている、とジュンは思って
しまった。もう僕達は誰一人雪華綺晶のこの罠から逃れられない。

「"For the music is your special friend! Dance on fire as it intends!"」
沈んでいく薔薇水晶を放置して雪華綺晶は立ち上がり、奇妙な英語を口走りながら茨の床の上をスキップする。
床の茨は彼女に従って動くので、やはり雪華綺晶自身を絡めとることはない。

「薔薇水晶…!」自分まで茨に絡められてしまう前に、真紅は下へ引きずり込まれつつある薔薇水晶の元へと駆け寄った。
もう肩近くまで下に沈んでいる。「う…真紅…」薔薇水晶は真紅を睨みつける。「私を笑いにきたの…!」
「私たちもいずれ同じ運命にあるのかもしれない。だから笑えないわ」答え、真紅は薔薇水晶の前に座り込む。「残念だわ。仲間を
一人失ってしまって」ぐいぐい薔薇水晶は下へと引っ張られていく。いまや顔と手だけが茨の外にでている。「あなたは…私の仲間
なんかじゃ…な…い…!」自由の効く顔だけ動かして真紅を噛み付こうとする。「あなたは弱い!お父様はローゼンより、最高の
人形師…!」だが、その槐も雪華綺晶によって心を吸収されつつある。薔薇水晶は泣いた。初めて、左目ではなく右目から
も涙が出た。もう本当にこれでおしまいだ。私も、お父様も。

261 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 01:30:51 ID:TuU5GYkV
真紅はしばしなくなった薔薇水晶を想うように目を閉じ、両手を胸の前で組み合わせていた。
ほどなくしてぱっと決意に満ちた青い瞳を開き、立ち上がる。後ろに振り返る。姉妹たちを罠にまんまと嵌めたことを
喜んだに雪華綺晶が茨の床の上を片足で踊りまわっている。

ついに薔薇水晶に引き続き、真紅達も狙って床の茨が動き出した。
「いやぁぁ!」翠星石は、狂乱したようにそこらじゅうから伸びてくる茨を如雨露で追っ払っていた。だが、どう考えても数が
多すぎる。「くるなですぅ!触るなですぅ!」相手は無量大数だ。
茨の床の上を、真紅は襲ってくる蔓を水銀燈の剣で次々に断ち切りながら駆け抜けた。出来るだけ床の茨を避けるために、
ときどき大きくジャンプしながら走る。
「翠星石、こっちに!」彼女は姉妹たちに呼びかけた。「雛苺も!はやく!」
「真紅、これから私たちどうすればいいのですか!?」翠星石の足首は既に絡め取られている。
雛苺ももう身動きできそうにない。顔を真っ赤にして泣いている。「真紅ぅー!いやなの死にたくないのぉォオ」
その場ではジュンだけが、この罠に掛けられず自由なままでいられた。雪華綺晶にとってジュンはまだ特別扱いなのだろう。
だが、その"特別扱い"がはっきりいってこの罠の下に沈むよりもっとひどい扱いである気がしてならなかった。
とにかく、自由なのは自分だけなのだから、僕が真紅達を助けなれば。

真紅と翠星石は2人で背中を合わせ、のびてくる白の茨や蔓を協力しあって跳ね除けていた。
だがそれが長持ちするはずもなく、次第に彼女たちは茨みまれとなってきた。
このままでは手の動きまで封じられてしまうことは目に見えている。
「翠星石、沈められてしまう前にこれだけ確認したいわ」真紅の死を目前にしたその声には、何か恐ろしい覚悟に満ちたような
響きがあった。「もう率直に言うけれど、私たちはもう助からないわ。けれど、雪華綺晶にこれ以上マスターを狙わせない方法なら、
たった一つだけある」
「それはたとえ成功しても私たちは助からない方法ですか…!」翠星石もまた察しつつあった。「ジュンは助かっても?」
「ええ、そう。ジュンも薔薇水晶の人形師も助かる。それだけは絶対に保障する。"それだけ"はね…」
「一体どのような方法ですか?」
「それは…」突如、真紅の顔が暗さを増して目が髪に隠れ、怪しく口元だけ動くのが翠星石には見えた。「…翠星石、これから
何があっても、あなたは私を信じてくれていると…そう願うわ」
ありもしないはずの、嫌な予感を翠星石は覚える。「何を、何を言ってるです?真紅、時間がないです。何かするなら、急いだ方が
いいですよ」
場違いであまりにも重過ぎる真紅の口調が轟いた。「そうね…そうするわ。…ごめんなさい。ホーリエ」
真紅の手元が赤色に輝き、その手が動き出したかと思うと翠星石の胸元をタッチした。ゆっくり、優しく。
「…え…?」何が起こったのか一番わからなかったのは、もちろん翠星石本人だった。そして結局それが本当に何なのか理解する
よりも先に、ローザミスティカが彼女の身体から出た。

「な…!!」ジュンはわが目を疑った。

「え…?」一方雪華綺晶も体の動きをピタと止めて真紅達を見つめる。

翠星石の身体から出てきたローザミスティカを手に持つ真紅の瞳はまるで死んでいるようだった。
それでも体の動きはしっかりと意思をもって、翠星石のそれを飲み込む。真紅の身体が暖かな光に包まれる。

完全にジュンは言葉を失った。真紅、何を考えているんだ!この場に来て気がおかしくなってしまったのか?

抜け殻となった翠星石の体がずり落ちる。真紅はそれをしかと抱きかかえ、緑色のドレスに自分の額をしばらく当て続けると、
やがて放した。茨の床に翠星石の体が寝かされ、あっという間に茨に体が何重巻きにもされて下へと沈んでいく。

「雪華綺晶…これで終わりよ」
真紅はなんと唯一の武器であるはずの水銀燈の剣まで丁寧に床に置き捨てた。「あなたはアリスになれない!私は私のやり方で、
アリスゲームを終わらせるのだから!」

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 02:03:28 ID:2ToFwWfW
ここでお預けか・・・っ!何時に無くwktkさせやがる・・・!

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 02:51:48 ID:RNO/dHkG
>>253-261
乙乙乙!

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 07:17:38 ID:BXODGdfT
朝から凄いものを読ませてもらった
乙!

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 21:05:20 ID:hjxWJYgV
           /i     _ ___ _                                  
            l lト、,ィ.:´:::::::::::::::::::.:.`ィニ心ニヽ                           
           | |/7:.:.::.::::::::::::::::::::ノ^ヽV仁ニント、                          
          ,イ ,イ::::::::::::::::::::::::::.:フ  ,イ7⌒ト、イ                          
           / //(´ ̄`ヽ、::::::::.:.> 〈 j f 薇゙i 〉!                          
           〈, イ/  `丶   `ヽ、[ _ノヽミ二ソ.」 /                        
            V  ヽ,,      _,, `ミヽ 二 イ´ /                         
          ij ,r‐-、     ,r‐-、 j介:: |イ                           
           ',〈 ト云'}     〈ト以ノ〈jj」::|_」〈                           
            ハ ゝ=='     ゝ- '′Nト、ト、i \/                        
        <^ヽ:',' ' ' ' /⌒ヽ ' 'ノ ̄ リj i l|  、/   そんなことより、           
       ,rく久,ィ'^ゝ、  ゝ, ィ<´ ̄`ヽ /  | 」|_/    カナのSSを書くかしらー!    
   r‐-、 _>ュ// /  _><   `二ニニヽ!   ヌノ                          
   )<ー><ー><ー-ュ'^ヽ‐ュ`\  ̄`ヽ.ノ_ ノに7                           
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    |    i .:| V.:.:.::.:.`ト、   j \ /厂                              
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    ト、    ノ.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.ヽト、  ト、                               
    ヽ!   〈.:.::::::::::::::::::::::::::::::.:.:..`ト、 ト、\‐、                            

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 21:09:00 ID:VsxN8Eh4
wktk

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:25:24 ID:JpOGOdSF
>>253-261
乙乙乙乙乙乙乙!
い、いよいよなのか?いよいよなのか?

268 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/11/20(火) 23:57:39 ID:TuU5GYkV
omg ... 一部抜けている >>260>>261 の間

「薔薇水晶…!」自分まで茨に絡められてしまう前に、真紅は下へ引きずり込まれつつある薔薇水晶の元へと駆け寄った。
もう肩近くまで下に沈んでいる。「う…真紅…」薔薇水晶は真紅を睨みつける。「私を笑いにきたの…!」
「私たちもいずれ同じ運命にあるのかもしれない。だから笑えないわ」答え、真紅は薔薇水晶の前に座り込む。「残念だわ。仲間を
一人失ってしまって」ぐいぐい薔薇水晶は下へと引っ張られていく。いまや顔と手だけが茨の外にでている。「あなたは…私の仲間
なんかじゃ…な…い…!」自由の効く顔だけ動かして真紅を噛み付こうとする。「あなたは弱い!お父様はローゼンより、最高の
人形師…!」だが、その槐も雪華綺晶によって心を吸収されつつある。薔薇水晶は泣いた。初めて、左目ではなく右目から
も涙が出た。もう本当にこれでおしまいだ。私も、お父様も。
「薔薇水晶」
すると、真紅はゆっくりと自分の手を差し出した。「あなたを創った人形師を、あなたに代わって私が救って見せるわ。誓って」
「…!」薔薇水晶の金色の目が見開いた。敵意のない、それこそ純粋に姉を見るような瞳で見上げる。
「私を信じて」真紅は続ける。「自分を創った存在を慕うあなた気持ちは、私にもよく分かる。だって私たちもまた人形師によって
創られた、同じドールですもの…」悲しそうに目を閉じる。「アリスゲームがなければ、私たちとあなたは憎しみ合わずに、
そう、同じドールとして、楽しく色々話せたかもしれなかったわね…ごめんなさい。薔薇水晶。あなたをこんな戦いに巻き込んで
しまって…それを謝りたかったの。せめてもの侘びに、私は誓ってあなたの人形師をあの雪華綺晶から護ってみせる」
薔薇水晶の右手が、ぎこちなく、ゆっくりと持ち上がった。茨の罠の下に沈む最期の瞬間、薔薇水晶と真紅の手が − 繋がった。
「お父様を…私のお父様を…助けて…」
茨に引き摺られ、彼女は完全に中へと沈んだ。その姿はもう、見えなくなった。

真紅はしばしなくなった薔薇水晶を想うように目を閉じ、両手を胸の前で組み合わせていた。
ほどなくしてぱっと決意に満ちた青い瞳を開き、立ち上がる。後ろに振り返る。姉妹たちを罠にまんまと嵌めたことを
喜んだに雪華綺晶が茨の床の上を片足で踊りまわっている。

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 00:07:17 ID:7xLXLUvK
消え去った・・・!俺のよく解らなかった蟠りが一気に消え去った!!

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 00:59:01 ID:5z5gg/9I
           /i     _ ___ _                                  
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       ,rく久,ィ'^ゝ、  ゝ, ィ<´ ̄`ヽ /  | 」|_/    カナのSSを書くかしらー!    
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271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 01:03:40 ID:rzoQ/Aeq
以前光の螺旋律の絵コンテがうPされてたって聞いたんだけど
だれか再うPしてくんね?

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:07:01 ID:FxsC0dCo
           /i     _ ___ _                                  
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           ',〈 ト云'}     〈ト以ノ〈jj」::|_」〈                           
            ハ ゝ=='     ゝ- '′Nト、ト、i \/   >271                     
        <^ヽ:',' ' ' ' /⌒ヽ ' 'ノ ̄ リj i l|  、/   そんなことより、           
       ,rく久,ィ'^ゝ、  ゝ, ィ<´ ̄`ヽ /  | 」|_/    カナのSSを書くかしらー!    
   r‐-、 _>ュ// /  _><   `二ニニヽ!   ヌノ                          
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    ト、    ノ.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.ヽト、  ト、                               
    ヽ!   〈.:.::::::::::::::::::::::::::::::.:.:..`ト、 ト、\‐、                            

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:49:32 ID:4vhE6CV9
          /:::、::::::、::::::、::::/::::jL、
            /:::/::/\:::\:::辻-く仁、
         i::::i::/__  ` ー ミ _∧ ニ/{
         l::::レ.ァニ、ヽ   ィニ、ヘ_ノレ'
            ゙:」 ´込ソ  .  込ソ i::/
         /∧  ̄ r==┐ ̄ ∧ヽ
      , --、 {!`ーヽ.   、___ノ  メー' i}、
     / ̄>-、」::_:_:_-:i>┬<!:-:_:_:_:」i
   /  / / ト、7∠イ::i⌒i:::iヽ:ニ:ニ:ノ\
  _ヽ       ´/、 __ニ」:::! ゚ i:::l〉=:、. .ヽ   \
  \___\     ノ/r=_ _「i::! ゚ i:/{!三:`ー' i ,,  l
   /z{::::\ /::Y <<.     、ニr=_ノ .::i.:/ /
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうしないと14日後屋根から転げ落ちるわ火事に巻き込まれるわ
名前を間違えられるわたまご焼きをカラスに奪われるわでえらい事です

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:26:57 ID:/gq1akRX
ほす

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:49:48 ID:8ob73W/g
せっかくだから俺はこのスレをほしゅるぜ!

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:24:04 ID:pJMEIuDI
これはwktkせざるをえない。GJ!


277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:00:50 ID:HktUtay0
金糸雀信者規制されたらしいな
ざまぁwwwwwwww

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 12:14:58 ID:5+ml1eSa
ほしゅ!

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 18:56:44 ID:KisV1tTO
誰が保守なんてしてやるもんかよwwwwwwwwwww

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:04:41 ID:d6RLqoep
捕手

281 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:06:31 ID:gX6lhtC4
131

真紅が翠星石のローザミスティカを取った。
雪華綺晶も全く予想のしなかったそれは真紅の奇想天外な行動だった。
そうなるといま真紅には六つのローザミスティカを持つことになる。
というのも、元々蒼星石を始めとした雪華綺晶のものや金糸雀などのローザミスティカを所持していた水銀燈を真紅はあの火山地帯
での死闘で倒してしまった為、その時点で彼女の持つローザミスティカは五つになっていた。
つまりいま翠星石からとったものを加えれば、六つになる。
残るは雛苺のただ一つのローザミスティカだけという訳だ。

七番目がジュンや槐を捕えてしまう前に、自分が七つのローザミスティカを集めてアリスになることで、雪華綺晶の手から人間
たちを救おうという魂胆なのか。

だがそれは成功したとはいえない。雪華綺晶は、真紅から遠く離れたところの壁際でもがいている雛苺を目に収めた。
すでに全身を茨に絡まれ、腰の辺りまで沈み始めている。この状況と距離で雛苺が真紅にローザミスティカを差し与えるなんて
ことは出来そうにない。
どう考えても真紅の行動は空虚で見栄だけの失策だ。雪華綺晶は顔ににこっと笑みを作った。

「あっ!…」
真紅の身体が茨に絡まれ下に引き込まれ、足先から茨の中へ沈んでいく。既に腕も腰も何重にも茨にしめつけられている。

「かわいそうな紅薔薇のお姉さま」
雪華綺晶は真紅に言う。「なんてかわいそう…あなたはこんなにも…強かったのに」

「あああいやぁ!真紅、シーンクゥ!助けてー!真紅、助けてー!」
雛苺の下の茨がクニャと湾曲するように下へ沈み込むのと一緒に、彼女の身体もまた茨の中へと引き込まれては消えた。

その数秒後のことだった。
雛苺が沈み消えたところの近く、壁際に意味ありげに立たされていた絵画の中の額に、ピシィと音をたてていきなりなにかが
映し出された。白い茨と一緒になった、それは雛苺の姿だった。
続いて再度何処かでピシィと音が鳴る。別の絵画からだ。やはり茨と一緒に捕らわれた翠星石の姿がそこには映し出されている。

彼女達を絵の中に閉じ込めたのか?

絵画に映された二体のドールに目を配らせる雪華綺晶はしてやったような笑みをニィっと浮かべ、続いて拘束状態の真紅に
話し掛けた。
「黒薔薇(おねえ)さまとあなたの戦いは圧巻でしたわ、紅薔薇のお姉さま?あのような所でもまだ戦い続けるなんて、私はしない。
だってこうしてここでお姉さま方を捕まえてしまえるのですもの…永久(いつわり)の幸に。でもゲームは終わる。
あなたの望んだことは叶えられるのです。私が至高の少女と咲くことによって…」
「いいえそれは違っているわ」
真紅はびくとも体を動かせない状態のままで、苦し紛れの笑みを雪華綺晶に返して見せた。「もう一度言うけれど、あなたは
アリスになれはしないのだわ。それから…かわいそうなのは貴女の方よ。なぜお父様はあなたを、人間の心を騙し奪い取ってしまうような
行為に走らせるように作ったと思う?」
雪華綺晶は何も答えない。ただ真紅の前につっ立っているままだ。

282 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:08:45 ID:gX6lhtC4
真紅は続けた。「それはあなたが薔薇乙女最後のドールだからよ。お父様はアリスを求めて私達を創り続けているうちで、
恐らく数え切れないほど…私達の想像などはるかに絶する、努力に苦渋と絶望を味わっていたのかもしれない。そして雛苺を
創り終え、それでもアリスに届かなかったお父様は、七体目であるあなたを創り始めた…」

一端言葉を切り、真紅は辛そうに茨と格闘しながら首を持ち上げた。「うっく…」
天井に吊るされた水晶と、その中に閉じ込められたドールのマスター達を視線で雪華綺晶に示す。

「確かにあなたに捉えられてしまったマスター達は、いま幸せな夢をみているのかもしれない。それはたとえ心を奪うという行為
であっても、"薔薇乙女は人を傷つけたり不幸にするような存在ではない"というお父様の言葉と一応は矛盾していないわ。
みっちゃんさんはあの中で金糸雀とずっと一緒に幸せな夢を見ているのかもしれないし、水銀燈のマスターは水銀燈のマスター
で彼女自身が望んだ何かをその通りにあなたは幻を見せて彼女を幸せにしているのかもしれない。もしつぎジュンをあなたは捉えたら…
さてどんな偽りの夢を創り上げるのでしょうね。学校にいかなくて一生通販だけして暮らせる夢かしら、はたまたありもしない
偽りの私達とずっと一緒にいつづける夢かしら。いずれにしても、それは確かに幸せでありあなたなりの方法なのでしょうけれど、
その中に真実は何一つ含まれてはいない。全ては偽りで幻。なぜならあなた自身もまた、幻なのだから」

そして真紅は、まるで勝ち誇ったように挑発的な口調になって言い出した。「こうは考えられないかしら?第六ドールの雛苺を
創り終えたその時点で、お父様はもう現実的にアリスを完成させることは無理だと悟った。アリスという存在は幻であり、人の
偽りの想像と、空想によって踊らされ生み出されるものなのかもしれないと。アリスは現実物体として存在しえないのだと。
アリスは偽りのなかにこそ見出せるものなのだと。お父様がそう思い心を曲げて、雪華綺晶 − あなたというドールを創った
ならば、七体目…あなたはお父様によって"挫折されて創られたドール"ということになるわ」

突然、雪華綺晶の目の色が変わった。丸っこい瞳に細みが入る。

臆する様子を見せることもなく、真紅は引き続き喋った。「いま、私には想像できる − あなたがここで全てのマスター達
を眠らせて − "偽りのアリス"となるあなたが。あなたはこのゲームを制しても、偽りのしがらみからは抜け出せない。そして
お父様はそのつもりである。七体目、もしあなたがお父様に会ったときには、あなたの行為はとどまることを知らず、お父様の心をも
奪おうとしてしまうのではなくて?あるいはあなたの意思とは別にお父様がそれを望む。お父様は、あなたのマスター達の心を
奪うことによって完成させられた偽りの夢のなかで、アリスを見つけようとする。"挫折"だわ」

「真紅…よせ!!それ以上なにもいうな!」ジュンは真紅の行動がいっこうに理解できないでいた。
ただでさえこんな絶望的な状況なのに、雪華綺晶を触発するようなことを言ってどうするんだ!?

ところが、真紅はジュンの忠告をふりきって無視した。
「それに比べ、私たちは本当にアリスを目指して創られた!私たちはアリスゲームを生きて、戦い、全てのローザミスティカを
集めれば、それは本当のアリスとなることが出来るのだわ。それがあなたと私たちの違いよ!器を持たない貴女は、生きてはいない
のだから。生命の糸も必要としてはいないのだから。絆という繋がりを…」

    "偽りだと分かっていても"  "私が嘘をつくと知っていても"

      "もしあなたにそれを告げたのなら"  "より至高の夢が見れるのに"

283 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:10:05 ID:gX6lhtC4
「あぁ…っ!」ガクンと、真紅の身体が強靭な力で下に引っ張られる。
腰の辺りまで一挙に沈む。必死に腕をのばして持ちこたえる。だが、こうなれば完全に沈められるまでもう遠くない。

「やめろぉ!!」ジュンは叫び、真紅と雪華綺晶のところへ駆け込もうとしたが、そのとき思いがけず足を茨に絡め取られた。
体がつんのめって前に転び、手が茨の床に着くと同時に手も茨に絡まれ、床に固定されてしまう。さらに容赦なく何本も何本も
茨がジュンに巻きつき抑え付けられて完全に床と融合してしまった。
さっきまで自分には手をだしてこなかったのに、いきなり。間違いなく雪華綺晶の気が立っている。
それでも、ジュンは床に縛られたまま懸命に頭を持ち上げて再度叫んだ。「真紅!!もう七体目に何もいうな!」

    "さあ来るのです"     

「…くっ…」茨の中に沈んだ足をさらにぐいぐい下に引き込もうとする力があるのが分かる。真紅は必死に抵抗しつつ、
いよいよそれを実行するときがきたと思った。ジュン、みんな、…私を − 「本当に想いが繋がれば契などいらないのだわ。
指輪がなくなっても繋がっていられる…信じていられる…だから、私は」

    "私の魂に火を点して"

真紅は茨まみれの左腕を持ち上げた。「薔薇の誓いを解く…!!」

スパァンという強烈な破裂音が轟き、その直後目も眩む閃光が四方に迸った。

284 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:45:51 ID:gX6lhtC4
132

あまりの眩しさに、ジュンは真紅と雪華綺晶の間に何が起こったのかはっきり見ることが出来なかった。
少しずつ視界が回復してくる。雪華綺晶がそこに一人立っていた…真紅の姿はない。
そしてそのとき、ガラスにヒビが入る感じにも近い、ピシィという物音がきこえ、ジュンはそっちに首を動かして見た。
三つ目の絵画の額の中に…真紅がそこにはいた。

「真紅…っ」ジュンはうろたえて気が遠くなった。真紅も、翠星石も雛苺も、みんな絵画の中に捕らわれてしまった。
取り残された自分はすでに茨に捕らわれ、どうすることもできない。
このさき、ジュンは雪華綺晶によって水晶の中に押し込められるという危機感を本能的に覚え、その白い人形である相手を見つめた。
まさにそれは人間の本能意外の何ものでもない行為だった。
特に意味はない。人間は自分を死や危機に陥れようとする存在を最期ただ目に収めようとする。

雪華綺晶はただその場に立ち尽くし続けていた。真紅がさいご伝説と消えた所をずっと見下ろし続けている。
何か様子がおかしい。
僕を捉えれば七体目はアリスになれるんじゃなかったのか。
さらに奇妙なことに、体を拘束する茨の力が萎びたように随分と弱まってきたので、ジュンは自力で脱出した。
「これは…」

そのとき俄然とひらめいた。

そういうことだったのか!薔薇の棘の鞭に体をぶたれた気分だ。
自分はいま真紅のマスターじゃない。絵画に閉じ込められる直前、真紅がしたことは指輪の契約の解除だったに違いない。
ジュンの左手からいま指輪は消えている。
続けざま次々と、真紅の行動をジュンはたちまちに理解できた。

真紅が翠星石のローザミスティカをとったこと。僕は真紅だけでなく、翠星石とも契約していた。僕が完全に薔薇乙女のマスター
としてではなく、普通の人間の状態になる為には、真紅一人だけ契約を解除しても意味がない。翠星石と真紅2人分の契約を同時に
解除する必要があったのだ。その狙いを雪華綺晶に察せらずに実行するためには、真紅が一方的にいきなり翠星石のローザミスティカを
取ってしまう他なかった。翠星石がローザミスティカを失えば自動的にその契約の分も人知れず解除されてしまう。

あまりのことにジュンは言葉が出せなくなった。
確かなことはもはや自分は雪華綺晶に狙われる身ではなくなったということだ。そしてそこまでして自分を護ろうとしてくれた真紅
はもちろん、翠星石や雛苺のことがどうしようもなく心に染みて感じられた。なんといったらいいのか分からない、胸の痛くなる
ような感覚を。

雪華綺晶は、ひたすらそこに立ち尽くし黙りこくっていた。
時が止まってしまったように微動だにしていない。白い髪だけがふわふわとなびいている。彼女はやがてついに独り言を呟いた。
「止まった。運命の糸車が…いま止まった。アリスゲームに歯止めが掛かった。糸の切れるその前に…」

アリスゲームに歯止めがかかった?ジュンは一瞬その意味が分からなかった。
ジュンのみているその視界の中で、雪華綺晶はまるで糸の切れた操り人形のようにバタと床に転がり、仰向けになった。
天を見つめながら、再び独り言をいう。「強情で意地っ張り…それでいてなんて罪深い紅薔薇。取り返しのつかないお父様への罪…。
マスターを持たないまま絵に凍り付けば、永久にアリスが誕生しないのに…私はずっと私のままになってしまうのに…」

「…そ、そうか…」
雪華綺晶の言葉の断片から、ジュンはいまのアリスゲームの絶望的な状況を悟った。「これ以上アリスゲームは、進みようがないんだ…」
七体目がアリスになる為には真紅の契約者となる存在が必要だ。だが真紅は最後ジュンと契約を解除し、誰も契約者に持っていない
状態のままで絵画の中に閉じ込められた。それはもう動けない真紅が以降永久に誰も契約者に持たないということだ…そして雪華綺晶
が永遠にアリスになれないことも同時に示していた…七体目にはそれが必要なのだから。

285 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:48:05 ID:gX6lhtC4
だが、それだけに事態の険悪さは収まっていない。
六つのローザミスティカ。それすらも真紅と一緒に絵画の中に入ってしまっている。つまりローザミスティカもまた動かしようが
なく、七つが一つに集まることは永遠にない。絵画の中で、ずっと真紅と共に六つのままであり続けるだろう。
しかも残された一つのローザミスティカもまた雛苺と共に別の絵画の中に封じられているので、どうしようもない。

"七つのローザミスティカを集めてアリスになる"方法にしろ、"ドールズ全員の契約者の力を以ってアリスになる"方法にしろ、
この状況では完全に手詰まりだ。

アリスは永遠に誕生しない。人形師ローゼンは一生アリスをおあずけになった…。少なくとも彼女達を…真紅だけでも絵画の中から解放
しない限りは。

することを失った雪華綺晶は身体を起こしたが、さっきまでの活発な動きとは打って変わって体育座りしたまま顔を腕に埋めている。

最悪な意味で、真紅は仲間達と交わした長年の約束を果たして見せたのだ − "私は私のやり方でアリスゲームを終わらせる"。
良しも悪しくも事実そうなった。彼女の願いは自分から絵画に入ることで叶えられた。アリスゲームは動かしざるものとなり、
事実上終わった。アリスというものを永久に葬ることで。

その捨て身の行動を思えば、ジュンは…改めて真紅の行動を一応筋の通ったものと考えることはできた。受け入れたくはなかったが…
自分の忠告も無視して真紅があんなにも雪華綺晶を"挫折されたドール"と挑発し呼んだのはそうやって自ら雪華綺晶に自分を罠に
かけるように誘っていたのだった。気の触れた雪華綺晶がまさに真紅を沈めようというタイミングをずっと狙い、その直前で
契約を解いた。際どく投げ身で、しかもアリスすら捨てるという彼女の恐るべき決意と行動は成功を収めたのだ。

恐る恐る、ジュンは雪華綺晶に歩きよって話をしてみた。「お、おい…、おまえ…」
雪華綺晶の身体からは茨があらゆる所より伸び、それが自分の体を縛りつけはじめている。自虐的な行為だ。
ジュンの声に気付いた様子はない。
「おい…」ジュンはもう一度声をかけ、彼女の肩に触れてみる。
その瞬間彼女の顔がぱっと跳ね上げられた。機敏すぎる反応にジュンまで飛び上がりそうになった。
「罪深き紅薔薇と、そのマスター!」
大きく見開かれた雪華綺晶の金色の瞳には絶望と驚愕、不信と非難…あらゆる破滅的感情が混在していた。
「お父様は…紅薔薇とあなたを決してお許しにならない…いいえ薔薇乙女全てに、いまに裁きが下される!」
雪華綺晶は恐れている。何かを。「あなたたちはアリスゲームで最もしてはいけないことをしたのです!それもこの私を介して!」
体育座りのまま糾弾を続ける彼女の白い髪の後ろあたりに、真っ白な人工精霊スゥーウィーが飛び寄って来た。「私は…私は還る
ところを失くした…アリスは誕生しえない…知覚の扉は浄化されなかったのです…」
ジュンにも十分すぎるほど彼女のやるせなさが伝わってきた。
雪華綺晶は永遠にアストラル体の人形であり続ける。実体のない霊体は朽ちて消えることすらない。たとえ本人が死を望んだとしても。
「ゲームは凍てつく夜のなかに投げ出されたのです…私の水面下で囁く言葉には、もう意味がない…」
そこまで言ってしまうと雪華綺晶は再び顔を腕に埋めた。

どうすればいい?真紅は僕の為に…僕を七体目の手から護る為にアリスすら失う道を選んだ。
その強烈な罪悪感といいようのないもどかしさ。人形師ローゼンはいま僕のことをどう思っているのだろう?
究極の少女アリスすらよりも優先されて選ばれた、こんな僕のことを。
ジュンは考えて見た…いまの自分にできることを…考えるんだ…"真紅達を救うんだ"…
真紅達を救え。それしかない。

286 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:49:56 ID:gX6lhtC4
ジュンは意を決し、思い切って雪華綺晶の正面に移動してしゃがむと言ってみた。「おい…、し、真紅達を元に戻せないのかよ?
真紅達を絵画の外に出してやれよ…もういいだろ…」
「そんなことできっこない」雪華綺晶は顔を埋めたままで答えた。「凍った子たちはこれからも凍り続けるか溶けて消えてしまうかだけ」
「そんな!!」
ジュンは悲痛な叫びを上げ、顔を上げて天井の水晶に閉じ込められたマスター達を見た。それから周囲の壁際に飾られた絵画の
ドール達も見る。
ここまでたくさんのみんながひどい目にあっているというのに、いきなりそこでストップなんてあってたまるか。
「何か方法を考えないと!みんなお前がやったことなんだろ!どうにかしろよ!」
雪華綺晶は反応しない。それこそ氷ってしまったかのように。
ジュンは彼女の両肩を持って揺すった。「おい!!どうにかしなきゃお前だって困るんだろ!!アリスゲームが進まないんだろう!」

丁度そのとき、軋むような轟音がして地面が揺れ、ジュンと雪華綺晶は同時に顔を上げた。「なんだ!?」
地揺れの影響で水晶の破片がパラパラと天井より舞い落ちてくる。
「言ったでしょう」遠く右の方角を見上げながら雪華綺晶は口を開いた。「これはお父様の裁き。凍てつく夜が時期…私達を
捕えるのです」
はっとジュンも釣られるように右の方角へ顔の向きを変えて見た。遥か先、水晶城より透けて先に見える白っぽい世界…
その地平線に、何か黒っぽいラインが現れてきている。見てて分かるほど、その黒っぽいものは大きさを増した。
いや…猛烈な勢いでこちらにあれが近づいてきているのだ。まるで世界の全てをを食い尽くす黒い魔物のように、或いは太陽
の日食によって急激に昼が夜へと大地が変貌していくように、全てが闇に飲まれていく。

いずれこの水晶の城もあの闇に捉われてしまう。
「おい!?僕達は死ぬのか?みんな死ぬのか!?」ジュンは叫んだ。
「死ぬのではなく…止まるのです」答える雪華綺晶はまるで自分に言い聞かせているかのようだった。「無限の闇に落ちた身を
閉じ込める檻は動きを止めた時計の刻。ゲームの歯車は光と共に動力を失った。私は彷徨い続ける…還る先もない闇を。永遠に…」
ジュンは目を剥いて迫り来る巨大な闇を見た。「死ぬことも許されないってことか?永遠にここに取り残されるのか!?」
「あなたは罪深い。裁きを受けるのです」
「くっ…」闇が迫ってくれるつれ、地響きが次第に大きくなってくるかのようだ。あの闇に呑まれたら?真紅は?みんなは?
「まだ時間はある!真紅達を外に出せればいいんだろう?そうすればアリスゲームはまた動き出すんだろ?」ジュンは彼女をせかした。
「私はもう休まなければならない。お父様がそう考えているのだから」
歯をジュンは噛みしめた。七体目に強い憤りを感じたのだ。「どうして…どうして無責任なこと言えるんだ!?いつでもなんでも
お父様お父様って…!お前には自分の意思ってものがないのかよ!お父様の言うこと全部にただ言う通りに動いてれば、お前はそれで
いいのか!」ジュンは爆発したように次々と言葉を放出する。「真紅は違った − おまえなんかとは全然違った!お父様のことを慕い、
考えつつも…自分なりにアリスゲームを終わらす方法を − 大切なみんなを失わなずにゲームを終わらす方法をいつも考えて
いて…みんなを大事に思って…ちゃんと自分の意思を持っていた!真紅だけじゃない、翠星石も雛苺も…水銀燈だってあいつ
なりに自分のマスターのことを思って戦ったというのに!みんなみんな自分達の想いがあったのに…お前はそんなみんなをこんな
風に閉じ込めたりして、なんとも思わないのか?休むだの止まるだのそんなことがいえるのか?」

287 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:51:23 ID:gX6lhtC4
闇が迫る。
「…強気…」雪華綺晶は静かな口調で言った。「でも、あなたは真紅がいなければ何もできない…」さらに多くの茨が彼女自身
に巻きつきはじめる。
それだけではない。あたりそこらじゅうの茨の床からも多量の棘が伸びだし、壁や天井あらりとあらゆるところを貫き、互いを
絡めあったりしだした。空間一面まるで蜘蛛の糸にまみれたように白い棘だらけとなり、天井を埋め尽くさんとしている。
そして雪華綺晶はいきなり飛び上がった。張り巡らされた棘のうち一本にぶら下がると、背を垂らし顔を逆さにして
ジュンを見据える。
その顔は、恐らくジュンがいままで見てきた全ての雪華綺晶の顔の中でも一番恐ろしく不気味な表情だった。
「あなたがどれほど薔薇乙女のアリスゲームというものを理解しているのか…」雪華綺晶はいう。「あなたがどれほど数多く
の目に見られてきたのか…それら全ての目の正体をあなた自身に反映できるのか…明かすことができるのか」
「なぁ…頼む」ジュンはおどろおどろしつつも顔を渋らせて懇願した。「時間がないんだ。もっと分かりやすい話をしてくれ…
お前は何をいいたいんだ?」
「あなたは見えますか?」だが雪華綺晶は逆さのままその話を続けた。「この天才性と完全無比さを。アリスゲームという盤の、
完璧で透明でクリスタルのように美しい愛に満ちて完成されたこの盤を」
「アリスゲームか天才性で愛に満ちているだって?」雪華綺晶の話はジュンの想像を絶した。
「盤に立った薔薇乙女は全て戦わなければならない…薔薇乙女の姉妹を…マスターを…人間を…貶めなければならない。
必要なのは純粋で穢れのない意思。そこにためらいと慈悲はない。完全で完璧な至高の美しさがそこにはある…天才で究極の所思が…
見えますか?薔薇乙女にその神聖的ともいえる透明な殺生の儀式を課す、…殺しを課すことの出来る…お父様の深い愛を。深くて…
とても深い本当の愛を」
雪華綺晶はアリスゲームを崇拝し、賛美している。そんなこと言うドールは初めてだった。聞こえる言葉全てが狂気を物語っている
ようにしか思えなかった…ジュンの知る限りドールの多くはアリスゲームを恐れ嫌っていた。蒼星石や水銀燈さえ、それはアリス
になる為に仕方のない運命だと踏み切っていても、雪華綺晶のようにアリスゲームそのものを、殺し合いそのものを賞賛するドールは
かつていなかった。
「なぜお父様が薔薇乙女に殺しあうように命じたのか。なぜ私に人の心を凍りつけるようにしたのか…」
雪華綺晶は自分の手のひらを見つめ、穏やかに言った。「なぜならそうすれば至高の少女へとなりえるから…アリスゲーム
そのもの全てが自身を補う為の行為だから…誰かを殺生することで私はより綺麗になり誰かに残酷な死を与えれば与えるほど
私は壮麗な存在になれる。…愛しいお姉さまたちを…すればするほど…遡っていくよう…美しいお姉さまたち…」

彼女は自分で自分を畏れるように手のひらを見つめ続けていたが、唐突にその手を握りしめた。ぱっとそれをまた開く
とジュンに見せ付ける。
「でもそのゲームの盤は動きを止めた。だれかを騙し、殺し、それによって私を綺麗にすることも"これまで"です…」
彼女の手のひらに釘付けになりつつ、ジュンは唸った。ああ、いまこそ雪華綺晶の狂気というものの核が見た気がした。
七体目はドールを…姉妹を殺すこと平然と思っていたのではない…楽しんでいた訳でもない。殺生を賛美し、崇高なものと思い込んで
いた。ローゼンに天与されたアリスゲームの宿命を奥底から崇拝し、殺生をすることで自分を美しくしようとしていた。
また姉妹のことを大体美しいものと認めていた。だからこそ末の妹は上の姉たちを食らい、殺すことで自分を補おうとしていた。
それらをためらう心は最初から持たされていないのだ。必要な"養分"となる心を持っている人間ですらそういう対象にみなしている。
人間を罠にはめ、心を閉じ込めてしまうことが至高の行為だと無垢に信じ込んでいる。

「お前はやっぱり…狂ってるんだ…いや、かわいそうだよ…」ジュンに目には哀しみが篭っていた。「ドールの姉妹や人間を
そんな風にしか見られないお前が…そんなお前は誰にも好意を返されず、きっと愛されないんだろうな…その辛さに気付くことすら
ないんだ。ひょっとするとその辛さに気付けないことはある意味幸せなのかもしれない…でもそれは偽りだから…だからもっと
お前はかわいそうだ」

288 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:51:57 ID:gX6lhtC4
散々人間やドールをかわいそうと称し散らしてきた雪華綺晶が自分をかわいそうと言われるのは今回これで二度目だった。
「あなたは紅薔薇に似てしまっているだけ」雪華綺晶は逆さのまま指先をジュンに伸ばした。「逃げて、あらゆるものから逃げて、
やがて迷路の行き止まりにあうことを恐れて最後に目を瞑る。見栄ばかり強情に張る。自分で糸を引っ張っては切らしてしまう
あなたが私には見えてくるよう」
「ああ…そうかもしれない」いよいよ闇が巨大な水晶城を取り込み始め、ガタガタと城全体が大きく振動し始めた。さらに多くの
水晶の破片が降り注いでくる。

「僕は自らお前の罠に飛び込んできた。真紅達とお前に捕まったマスター達を助けるためにな…思えば本当に自殺行為だよ。
けど誰も予想もしなかったことがいまここで起きた。まさかこんな形でアリスゲームが止まるなんてお前にも予想できなかった
んだろう?逃げるにしろ、飛び込むにしろ、何かに動きだせば、そこから未来に起こることなんて本当に分かる奴はいないのかも
しれない。だから」ジュンは4つの絵画のうち、まだ何も映されていない残った一つの絵画へ目を走らせた。「どこまでも僕は真紅達
を追って、罠に飛び込んでいってみようと思う。なにかが動けば、それで全てが変わることもある」
時間制限されているこの状況がそうさせているのか、目の前の七体目に影響されて自分まで性格が狂ってしまったのか、ジュンは
さらに次の言葉を口走った。「だから雪華綺晶…!もしお前にまだ少しでもアリスゲームを復活させたい気持ちがあるのなら、
僕もあの絵画の中に閉じ込めろ!」
逆さのまま雪華綺晶はなにか奇怪なものを見つけたときのように目を瞠った。「ドールならまだしも人間が絵画に凍りつけば
どうなるかわかりませんよ」
全身を痙攣させつつジュンは鼻で息を吐いた。確信があるのか恐れているのか自分でも分からない。「…それが狙いさ」
闇が侵食し、水晶城か全体がついに崩れ始める。
落ちる水晶の破片はいよいよ大きいものへと変わり、岩サイズといっていい程の大きさの断片が地面に落下してきては叩く。
「どうした、急げ!」ジュンは両手の拳を握り緊めて構えるポーズをした。
「あなたが絵画になったら…」雪華綺晶の伸ばした両腕から棘がのび、それがジュンに纏わりつき出した。「せめて紅薔薇の隣
に飾って差し上げましょう。お父様が見てもすぐに分かるように。"これは愚かで罪深き五番目と、そのマスターだ"と」
ジュンは答えた。「それはありがたいね」
ピシィという音がしたその刹那、視界が暗転した。
全身にサランラップがきつくぴっちり密着するような圧迫感を覚え、ジュンは身体が全く動かせない状態になったことを悟った。

289 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:53:31 ID:gX6lhtC4
133

せっかくそこらじゅう蜘蛛の巣さながら張り巡らせた雪華綺晶の白い棘を、雨あられと降り注ぐ水晶の断片群があちこちぶち破る。
ついに雪華綺晶自身のぶら下がる棘をも断ち切られ、彼女は顔面から床に突っ伏した。
やはり蜘蛛のようにべったり床の上に伏してしまう。顔を上げるも今度は髪が邪魔をする。
掻き分けてみれば、真紅のマスターが、棘に絡まれた状態で絵画に後姿が映っている。
「罪深く…蒙昧で…強情で…」雪華綺晶は独り言を呟いた。「それでいて…不思議な紅薔薇のマスター…」
それを聞く者は誰もいないはずだったが、思いよらず突然ラプラスの魔の声がした。
「はてさて、これは一体どういう幕回しでしょうか」声に気付いた雪華綺晶は一瞬ラプラスを睨みつけ、身体を起こすと再び
その場に座った。「か弱き薔薇乙女達の運命は?あの少年は?そして白薔薇は?」
「私とあなたが"同じでない"ことが決められましたね」いきなり雪華綺晶はラプラスにそう告げた。
「おや」ラプラスがひどく演技っぽい驚きの仕草をした。「いずこのどなたがそんなことを?」
それ以上雪華綺晶はラプラスを相手にしようとはしなかった。顔を上げ天を見つめる。ついに闇が彼女を包みこみ、夜が訪れた。
冷たく長い夜が。

「箱の中の猫が生きているのか死んでいるのかそれは夜が明けてのお楽しみ」
誰かが聞くか聞かないかに構わずラプラスは自己満足でそんなことを口に出していた。

闇が空間を包み込んだが、全く何も見えないという訳でもない。うっすらおぼろげに、かすかな月明かりが照らしているように
あたりの光景を見ることはできる。だがこれが永遠に私を凍らせる光景になる。
凍てつく死のゲームに訪れた無限の夜だ。

「舞台裏の暗がりと言ったところでしょうか」ラプラスはふりかかってきた闇に対しそう感想を述べた。
それから手にグラスを持ち出し、指に挟んで持つと、闇の中心に一人たたずむ雪華綺晶に向かって差し出す。「死すら叶わぬ愁哀。
ウィスキーはいかが?」確信犯なのかグラスは空だ。雪華綺晶は全く反応を起こさなかった。
「ああ、アラバマの月よ。昔のような良きママを失った」ラプラスは言い降参したように両手を挙げてグラスを落とした。

「そうここはいま舞台裏。メインの劇はいま別のところで起こっているのかもしれません…」

290 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:55:24 ID:gX6lhtC4
134

何も見えない。
だがジュンは、"何も見えない"と分かること自体が恐らく絵画に封じ込められた自分の意識が、まだ働くことを示してくれる
ものだと思った。

"真紅!"叫んでみる。当然ながら声はでない。恐らく自分の頭に響いているだけだ。"翠星石!雛苺!いないのか!?"

このまま永久に意識だけ生かされたままで時を過ごすのかと、一瞬怖くなる。"みんないないのか!?真紅!!"

"そんなに喚き散らさなくても聞こえているわよ…" よく知っている声が聞こえてきた。

"真紅!?"  真紅と意思が通じるとわかったジュンはかつてないほどの喜びを感じた。 "いるんだな!?"

"まったく…" その声は呆れ気味に呟く。 "あなたってなんて恩知らずな下僕なの?愚劣にもほどがあるのだわ"

"ど、どういうことだよ!" せっかくここまできてやったというのに。

"あなたを七体目から護るために私がどれだけの犠牲を払ったと思っているの?" 真紅の声が答える。 "いいえ…もういいわ。

あなたは来てしまった。七体目の罠の綱に。あなたは逃げ切れなかったのね"

"いやそうじゃない" ジュンは否定した。 "僕から進んで七体目にお願いして絵画に入れてもらった"

"なんですって!?" 真紅の声がとびきりに上ずった。 "あなた、えっ、何を考えているの!?あなたまさか七…"

"お前らを追ってここまできたんだよ!" ジュンはすかさず反論する。 "そのお前に犠牲を払ってでも護ってくれた僕の身の

使い道は…やっぱり真紅達をこの手で救う他あるわけないじゃないか"

" …… " むこうはしばし黙す。それから諦めたような声が帰ってきた。 "…仕方ないわ…。でもどうやって私達を救うつもりなの?"

"聞いてくれるなよ…" 思わずジュンは答えた。姿形は全くみえなくとも、相手が即効失望したのが手に取るように分かった。

"ねぇジュン、ねぇジュン" ふいに雛苺が聞こえ、ジュンは心を驚かせた。 "私達どうなっちゃったの?ここはどこなの?"

"ああ…そうか…お前は最初に茨に沈んだから自分がいまどうなっているのかわからないんだな" 

少し迷ったが、ジュンはそのまま言うことにした。

"僕たちはいまみんな絵の中に閉じ込められてしまっているみたいだ。なんとかしないと永遠にこのままだよ"

"ほー…それは…" 雛苺の声はジュンの予想に反して楽しげだった。 "ずっとずっとジュン達と一緒ってこと?アリスゲーもなしに?"

"バカね!「ずっと」が一番考えてはいけない七体目の罠なのよ!!" 

間髪入れず真紅の鋭い叱責が聞こえた。  "そんなこと思っていたら本当にあなた永遠にこのままよ!"

"なにか決定的な「動き」が必要なのかもしれない。「ずっと」じゃなくて"

そう言い、ジュンは考えた。何か動きが…つっても全く身動きできやしない…どうみたって絶望的な状況だ…

291 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 04:56:33 ID:gX6lhtC4
と突然、ジュンの脳裏にある言葉が蘇ってきた。あの雪華綺晶がPC画面に現れたときの言葉が。

「nのフィールドへの入り口は鏡だけとは限られません。知っていましたか?そこへいけるかどうかは、向こう側に突き抜け
られるかどうかだけなのです」… 向こう側に突き抜ける…向こう側に…鏡だけじゃない…

まさか?奇妙な考えが浮かんだ。
この絵画の罠のトリックというか、その正体は実は絵に閉じ込められているとか"そういうのじゃないのかもしれない"。大体いくら
実体のないアストラル体なんてものが出てきても、巨大な白い薔薇が人間を吸い上げるなんてことがあったとしても、果たして
本当にそれまで三次元に生きていた人間が突然二次元の絵の中にぴったり入るなんて話しがあるのか。
自分達の姿を映したあの絵画そのものがその実"偽り"の光景で、自分達はまんまとそれに騙され絵画の中に封じ込められたと
"思い込んでいるだけ"じゃないのか。本当は絵画の中にいるのではなく、もっと別のところにいたとしたら?雪華綺晶のやりそうな
ことじゃないか…

"おい……真紅" ジュンは試してみた。 "僕の声はいまどっちから聞こえる?"

"え?何?前からも後ろからも右からも左からも…方向なんて分かるわけないでしょ"

"よくきいてみろよ!"

"何をいっいるのか…えっ?" 信じられないというような真紅の声がこだました。 "まさか右から?"

"ボクは左から聞こえる。雛苺は?"

"わからないの…ジュンもう一回いってみて"

"後ろからきこえたような…雛苺、僕の声は前から聞こえるんじゃないのか?"

"ジュン、あなた一体何を考えているの?"

"僕たちが触れ合えるほどに近いところにいるんじゃないかってことさ"

"無理よ。私達はそれぞれ別々の絵画の中に…"

"いや違う。真紅。僕たちは絵の中に閉じ込められてなんかいないと思う。たぶん…それは七体目の作った「嘘」さ"

"どういうことよ?"

"自分達がもし絵画の中に閉じ込められていると「思い込んで」いるのなら、脱出なんて到底不可能だと思って諦めるだろう?

そういうきっと「思い込み詐術」みたいなものだよ。例えるなら…マジックショーなんかで箱に入った人が分断されたりするけど、

あれは「箱の中にひとりの人間がすっぽり収まっている」と思い込んでいるから箱が真っ二つに割れたときに驚く仕掛けなんだ。

実際には人の足や手に似せたよくできた模型の方が離れているだけなのに"

"もしそれが本当だとすれば…" 真紅が考えを編み出す。 "恐らくここは絵画の中ではなく、あの茨の中に沈められたその下とでも?"

"そんなところじゃないのかな。そう思ったほうが気楽だろう"

292 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:03:28 ID:gX6lhtC4
"でも…" 真紅は身動きを試しているようだった。 "動けないわ"

"茨まみれになっているんだろ。お前の馬鹿力でどうにかならないのかよ"

" … " 一瞬、恐ろしげな沈黙が流れた。 "あのね、ジュン、まさか忘れたとは思わないでしょうけど、私は薔薇の誓いを

解いたのよ。指輪を持たぬか弱き乙女なのよ。力なんてないのよ"

"僕も真紅も割と近いところから茨に捉われたと思うから、位置がずれてさえいなければ、もう触りあえるくらい近いと思うんだけど…"

"手をのばして…"

やはり体は動かない。とはいえ絵画が嘘だと疑い始めてきたあたり、一寸の隙間なくなにかに体が敷き詰められているような
違和感を感じることが出来た。ようはコンクリートの中にでも埋め込まれた感覚に近い。
「感じるか?僕達やっぱり何かに埋め込まれているだけみたいだぞ」
「…そう考えるとしましょうか…」真紅もジュンに持論を譲ったらしい。「ホーリエー…いるの?」彼女が人工精霊を呼ぶ。
反応はない。「全く…こんなときに主人をおいてどこにいるというの」
真紅は毒づいたが、そのしばらくののちに、なにか闇と闇の細かい隙間をかきわけるようにして近づこうとしている赤い仄かな
光が彼女の目に入った。ホーリエが姿を現したのだ。「ホーリエ!私達がいまどこにいるかわかる?」彼女は人工精霊に聞く。
「え?…白い薔薇の根の下ですって…?」
やはりか。あの巨大な薔薇の下の根のところに自分達は入れられているらしい。
「七体目の持つ趣味の素晴らしさがまたしても証明されたな!」ジュンは皮肉っぽく言った。「人と人形を根っこの中に入れて
バラの花の養分にしてくれる発想はハリウッドが総力あげても思いつかないよ」
「でもどうすれば…」と、人工精霊のホーリエがその持ち前の光で真紅の視界を照らした。「ありがとう…見えるわ」
明るみにでた自分の身体を見下ろし、真紅は改めて全身を茨に拘束されていることを悟った。同時に絵画はやはり偽りであった
ことも分かった。ここはあの茨の罠に沈められたあとの地下だ。
「ジュン…あなたはすごいわ。よくこんなことに気づけたわ」ジュンが言ってこなければ自分はここで一生絵画に閉じ込められたのだ
と思い込み、永久にここで白薔薇の養分となり続けていただろう。
「明るささえあればある程度体を動かせるな。茨と茨の間を見極めて掻きわければ。ホーリエのおかげだよ」ジュンはいい、身動きした。
茨と茨の隙間から手を伸ばし、真紅に触れる。「ここまですれば絵画は完全に嘘で決定だ」
触れてきたジュンの手に真紅は自分の指先をあてた。「そうね…でもこれから何をすれば?問題はまだ山済みよ」
「なんとかして力だせないのかよ。力があったころの真紅なら花弁で壁に穴を開けるくらいざらだったろうに」
「今は無理よ」
「契約なしで僕の力を真紅に分け与えることとか、できないのか?」
「想いが繋がっていれば…信じあっていられれば…て、なんて恥ずかしいこと私に言わせるの」
ジュンは顔を赤くした。いままで真紅と過ごしてきたこの一ヶ月ほどのうちで、最も最悪なことを考えてしまったからだ。
だが他に方法があろうか。そうするしかない。ここまで来ておいて何を躊躇する必要がある。絵画の中に入れろと自分から宣言
までしてこんな不様なところにいるんじゃないのか。
もうとっくに僕の"人間としての尊厳なんて失われてしまっているではないか"。

293 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:04:39 ID:gX6lhtC4
生唾を飲み込み、これが人生最期の賭けになると覚悟しつつ、もう一度だけ真紅の言葉を思い出した。
"想いが繋がっていれば"。それを証明できる行為がただ一つだけある。

そして決断した。
信じがたい選択を…

茨の中より身を乗り出し、ジュンは真紅の唇に自分の唇を重ねた。チクチクと刺さる茨のトゲをものともせずに顔を近づけて。
白薔薇の茨のトゲに取り巻かれ、二人は痛みをも乗り越えてキスをする。
「なっ…なん/・t;p]っ…」沸騰するように真紅の顔が赤くなった。 「なん…なに??」
「こ…これで力が出るだろ」ジュンは口を離したあと、ぎこちなく言った。
彼女の青色の瞳があちこちに走る。全身を震わせ、羞恥心を溜め込んでいる。「やだ…やだ…あなた…」

そして、何かが彼女の中で噴火した。「なんてことをするの!!!!!!?」

我を忘れた真紅が叫ぶ。
「ふご!」
正気を失った真紅によってジュンは強大なアッパーを顎に食らわせられた。首が仰け反り上がる。
身体が勢いよく茨の中より打ち上げられていく。次から次へとしがらみを突き破り、衝撃によって上へと昇り詰めていった。

294 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:05:48 ID:gX6lhtC4
135

雪華綺晶と巨大な白い薔薇。白薔薇は二つあり、正しく上向きに咲いているもの。そしてもう一つ向き合うように逆さになって
下向きに咲いているもの。
そのうち上向きに正しく咲いているほうの白薔薇の中から、突然吐き出されたようにジュンと真紅や翠星石、雛苺が白い茨によって
一つに繋がれたまま躍り出てきた。
四人は茨で絡めあったまま宙を飛び、やがて重力にまけては落下する。
ふわっと、真紅達を吐き出した白薔薇が花弁をゆれ動かし、それと同時にあたりを覆っていた闇が突然やんだ。
世界が再び昼の明かりを取り戻す。

歯車が一つ動く。それが次の歯車へと影響を及ぼし、連動してそれが動力となり軸を動かし出す。ゲームの盤に活力が戻る。
運命の糸車が再び糸を巻き始めた…雪華綺晶は自分でも限界と感じるほどに金色の目を見開いた。夜が終わりを告げた?

茨の根の下よりなんとか脱出を果たし、茨と棘まみれでボロボロのジュンは傷ついて床に転びつつ、雪華綺晶を見つけると
いきなり声を出した。
「おいっ七体目、おまえ!よくもさっき"ドールならまだしも人間が絵画に入ったらどうなるか"なんて大嘘ついてくれたな!
絵画なんて最初から嘘っぱちじゃないか!あのなぁ…!もう少し他人ってものを信用してくれても」

雪華綺晶はよく分からなそうにかぶりを振った。しゃがんだまま半立ちの状態だ。「私は本当に − 」白の髪が揺れる。
「ブラボォ!」
彼女の言葉を横切り、ラプラスの魔が突然手を叩くと大声を出した。「エッシャーの技巧はなされました。種明かしの時間です」
ジュン達を映すあの四つの絵画が、まるでラプラスの意思に従うかのように独りでに動かし出し、彼の両隣に並んだ。
「はてさて夢は現。現は夢…」
「ラプラス、まさかこれはお前の…」猛烈に認めたくない予感を覚えつつジュンは唸った。踵を返して雪華綺晶を一瞬見やる。
彼女は自分の右手を見つめながら平を返したり表にしたりしている。「…絵画は七体目のものじゃなかったのか?」
「さあ、それはえほんの主人公となったあなた方がよくご存知のはずでは?」ラプラスはステッキを取り出し、それを使って
まずは右隣、つぎに左隣の絵画をトンと叩くとたちまち空気に溶けていくようにして消えた。「しばしの休憩の末に思いついた、
これは兎の次なる悪戯だったのかも、しれません」

戦慄の寒気がジュンの背筋を貫いた。二週間ほどまえ、実体をまだ持っていた薔薇水晶が自壊したときの、ラプラスの"次のおもちゃ
が見つかるまで、しばし休憩を"という言葉を思い出したからだ。

ラプラスは薔薇水晶に引き続き、雪華綺晶まで欺いたのか?この雪華綺晶までおもちゃにして?
にわかには信じがたい話だ。「どうしてそんなことを…」
「然れども私はアリスゲームの案内役。アリスゲームが永久に止まることなど、あってはならないことなのです」
「お前はまさか…僕にヒントを与えていたのか?」ジュンは放心状態になりかけた。
ただひとつ余ったように残され何も映していないあの絵画を見つけなければ、ジュンは真紅達を追ってあそこまで行こうとは
思いつかなかっただろう。いやそれでけではない…この絵画の偽りをラプラスが雪華綺晶に予め"買い与えておく"ことによって…
姉妹を殺して美しくなるという七体目独特の狂気と衝動の抑制にも役立っていた。
真紅がジュンとの契約を解除したとき、もし"絵画に閉じ込めたという偽り"がなければ、雪華綺晶は予想外のことが起きたことへの
意思違反とその美的衝動によって真紅にこの上なく残酷な死を与えていただろう。真紅だけでなく自分に触れる者見れる者全てに
究極の死を…翠星石を茨に絡めて全身をバラバラにしたかもしれないし、雛苺に至っては直接喰らっていたかもしれない。
姉妹全員を殺した雪華綺晶は全てのローザミステティカを集めることは可能だが、アストラルの七体目はそれでアリスになることが
できない。ドールの契約者を全て集めていない段階の七体目が姉妹全員を殺してしまったときこそが、本当にアリスゲームが
完全停止するときだ。

姉妹を絵に封じ込めたという偽りによる歯止めがあったからこそ雪華綺晶はそれを諦め抑えることが出来たのだった。
結果としてアリスゲームは動力が死ぬそのぎりぎりの境界線の上を保ち続け、ジュンによってそれが再び最前線へと戻され、
ゲームは復活したのだ。
ラプラスはそこまでアリスゲームのことを、そしてドールの内情を知り尽くして考えていたのか。
伊達にアリスゲームの案内役を名乗ってはいない。

295 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:07:30 ID:gX6lhtC4
136

真紅は大きな白い薔薇の花弁の上に立ち、雪華綺晶を見下ろした。腕の先を彼女へ向けて伸ばして言う。
「ジュンを私の契約者として奪えなくなったあなたはもう永久にアリスになれはしない。観念して、閉じ込めた他のマスター達
も開放しなさい」
ゆっくりと雪華綺晶は立ち上がりゆっくりと顔を振り向いた。「あなたこそ薔薇の指輪を放棄したのなら、永久にアリスになれない」
「あなたはやはり人の話しを聞かない子のようね。私の願いはさっきも言った通り、私の方法でアリスゲームを終わらせること」
「それはもう水泡に返しました」
「どうかしら?」真紅は天井の水晶に閉じ込められたマスター達を見上げた。「もしかしたら白薔薇、私はこれから、あなたに
とても感謝することになるのかもしれないわ」不穏に笑顔を作ってみせる。
「あなたはなぜ…」
きょう雪華綺晶はあらゆることに欺かれ裏切られすぎ、挙動と言動には更なる混沌が目立ちはじめている。「薔薇の誓いを解き
もはや薔薇乙女でなくなったのに、未だ力を出せるのです」

白薔薇の上に立ち乗ったまま、真紅はそれに答えた。「いまからそれを見せてあげるのだわ」目を閉じ、胸に両手を抱えるように置く。
「私はいま私の持っている五つのローザミスティカを、それぞれ本来のあるべきところへ返す」言い、体が暖かな光に包まれ始めると、
真紅自身のを除く、計五つのローザミスティカが胸より宙へ浮き出てきた。それらは空中で輪を作っている。
「さあ、帰りなさい。あなた達の本当の居場所へ」真紅はローザミスティカへ向けてそう囁きかけた。
ローザミスティカたちは応えるように、それぞれどこかバラバラな方向へ独りでに飛んでゆく。
雪華綺晶の目にはそれが真紅のただの意味もない虚しい徒為のようにしか映っていないようだった。「それらの多くはもう持ち主
を失っているのに」
「いいえみんな持っているわ。帰るところを」ふっと確信満ちたように微笑みかけ真紅は続ける。「ローザミスティカは彼女たちの
マスターの心へと帰っていくのよ。心を通じ合わせた、マスターのところにね」

宙を飛び回るローザミスティカのうち一つが美しい光を放ちながら天井へと上り詰めていくと、吊るされた水晶の中へと溶け込み、
内に閉じ込められていた草笛みつの胸元へと収まった。
また別のローザミスティカも、同じように天井の水晶の中に溶け込んでゆき、眠り続けたままの芝崎元治の胸元にそれが収まる。

「蒼星石のローザミスティカは蒼星石のマスターの元へ、金糸雀のローザミスティカは金糸雀のマスターの元へ」
真紅は言う。「ローザミスティカは薔薇乙女の魂であり心。その心がマスター達をあなたの偽りの夢の檻から助け出すのよ」

"みっちゃん。目を覚ましてなのかしら。いまみっちゃんが抱えているのは私ではないのかしら。七体目に騙されないで"
「え…カナ?」水晶の中で草笛蜜が目をさます。彼女を閉じ込めていた水晶にひびが入る。

"マスター。起きてください。起きてください。あなたはいま、薔薇乙女の姉妹のうち一人の創り出した偽りの夢に騙されています。
あなたの心を奪い取ろうとしているのです。目を開けてください"
「そ、蒼星石?」柴崎元治が目をあけ、閉じ込めていた水晶にひびが入る。

また別のローザミスティカも一つ天井へと上り詰め、柿崎めぐが眠る水晶の中へ溶け込むとその胸元に収まった。

"めぐ。目を開けなさい。あなたはまだ死んでなんかいないわ。目覚めなさい。ホントの正真正銘のお空とやらを望むのならね"
「え?て…天使さん?」めぐが目覚め、やはり閉じ込めている水晶がひび割れる。

真紅のもとを離れた翠星石のローザミスティカは、本来の持ち主である第三ドールの横たわった身体の中へと溶け込んでいった。
彼女の身体が光に包まれる。ローザミスティカが戻った翠星石は再び目を開ける。「…私は…」

最後残された雪華綺晶のローザミスティカが宙をふわふわ浮遊し、遠慮がちに雪華綺晶自身の前へと戻ってきた。雪華綺晶は
それを手に握りしめた。だが身体に入れようとはしない。もはやそれは必要ないものだ…

296 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:08:51 ID:gX6lhtC4
137

マスター達三人を閉じ込めていた水晶は全てついに砕け、開放されたみつ達がそれぞれゆっくりと浮遊するように地面に降り立ってきた。
三人ともそれぞれ契約していたドールのローザミスティカを胸に抱えている。

「カナの声が聞こえたわ…」みつは呆然と呟き、あたりを見回した。まだ頭が回っていないらしい。「ここはどこ…?」
ジュン、真紅、翠星石…みんないる。そして、いつしか金糸雀を探していたときに出会ったあの白いドールが目に入った。
あの白いドールが金糸雀の居場所を知っているといって…案内してもらって…それから…
「カナは…」みつは仇敵によって隅に追い詰められたときのような危機感を覚えていた。「カナはどこ…?」
だが白い人形は黙ったままで何も言わない。

つぎに口を開いたのは柿崎めぐだった。
「私…」胸元に収まるローザミスティカを抱え不思議そうに見つめている。「眠り姫になった夢をみてた…」

翠星石もまた、何が起こったのかを思い出そうとしていた。記憶のなかで一番最後に残っていること。真紅がマスター達を救う方法が
ただ一つあるといい、それをするように勧めたら…そこで真紅の手が自分へ伸びてくると同時に意識が闇に落ちたのだった。
彼女は一瞬真紅に対して恐怖心を覚えたが、まわりに柴崎を初めとする草笛みつやその他人間がいることを見てみると、本当に
真紅はマスター達を第七ドールから救ってのけたらしいことを認知した。改めて翠星石は真紅という第五ドールには敬服してしまった。

「翠星石、ごめんなさい。他に方法はなかったの…」
すぐに真紅が駆け寄ってくる。
「い、いえ…、真紅、…真紅はやっぱすげーやつですよ」やっとの思いで翠星石は答えた。「マスター達を救ったのですね。
白薔薇は?」
「私にもいえることかもしれないけれど、彼女は気の毒に、永久にアリスへの道を絶たれた」
遠く壁際の雪華綺晶を見つめながらこれまでの経緯をごく簡潔に話した。「私は指輪を放棄し誓いを解いたわ…ジュンはもう私の
マスターではなくなった」
「そ…そうしてジュンやマスター達を護ったのですか…」彼女はどうにか真紅の行動を理解することが出来たが、何より驚いた
のはそれを実際に行動に移す真紅の勇気と度胸だった。マスターを護るためにそこまで出来るものなのか。

一方、せっかくここまで集め閉じ込めたマスター達を解き放たれてしまった雪華綺晶はそうした真紅に敵意を剥き出しにした。
丸い瞳を細めて睨む。

その刹那、床の茨の罠が再び力を取り戻したように活発になり、真紅の身体を何重にも縛り付けた。「う…!」
「真紅!」
「ふふ…ふふふ…」
雪華綺晶は壊れたようにしかし静かに笑いながら茨の床の上を一歩一歩進み、真紅ににじり寄りだす。「ふふふふ…お姉さま…
紅薔薇の…美しいお姉さま…私のたった一人のお姉さま…」

まずい…!
絵画の偽りが消えたいま、雪華綺晶の殺しの本能欲と衝動に歯止めをかけるものがない。
一瞬どうするべきなのか分からなくなり、ジュンはもう一度助けを求めるかのように顔の向きを変えてラプラスに視線を送った。
だがラプラスはただ凛とそこに起立しているだけで今度は何もしようとしない。まるでこの先どうなるかを既に知っているかの
ようだ。彼はもうあてにできない。

297 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:10:02 ID:gX6lhtC4
そうもしている間に雪華綺晶と真紅の距離が縮まる。真紅は茨に縛られ身動きが出来ない。
「まだです…まだ私は私を補うの…殺すの…綺麗になるの…殺し続けるの…美しいお姉さま。終わりまで。終わりまで。終わりまで。
終わりまで」

恐怖心を振り切り、真紅と七体目の間にジュンが割って入ろうとしたその時 −

ピンク色の閃光が爆発したようにあたりを包み込み、その中に真紅と雪華綺晶が消えた。
吹き荒れる爆風にジュンは襲われる。「うわっ…!」
翠星石や雛苺もその風から身を庇っていた。「っく…真紅…!!」
光は図太いレーザーのように直線にのび、奥の水晶の壁をも突き抜けて大きな穴を開ける。
マスター達も含め、その場の全員が光の中へ飲まれた2人を見守っていた。

298 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:11:10 ID:gX6lhtC4
138

しばらくの時間が経つ。
ピンク色の光は薄らぎ、散り散りになると、それはピンク色の花弁となってゆっくりと床へ舞い落ちた。
大量の花弁が茨の床を覆いつくし、そこだけ一面、しろの茨の床をピンク色に染め上げてしまっている。

「いまの光は真紅の…?」
光が完全に消え去ってしまい、静かになると、以前と全く同じところに真紅が立っていた。もう身体に巻きついている茨は一本
もなく、完全に自由を取り戻している。
「雪華綺晶はどこにいったんだ…?」
七体目が見当たらない。
真紅は、自分でも自分が信じられないというように自分の手を見つめていた。「この力…?指輪の誓いを解いたのに…?」
どばっと、ピンク色の花びらまみれの床から雪華綺晶が顔を出した。花びらの下に埋もれていたらしい。頭にも服にも全身ピンク
の花びらまみれになっている。

「真紅…!おまえ、大丈夫なのか?」
ジュンは駆けつけ、ひざをつくと真紅の肩に触れた。彼女もそれに答える。「大丈夫…それどころか…なんだか力がわいてくるわ。
なんだかあらゆる所から力が私へと流れ込んでくるように」彼女の身体はほのかな赤色の光を放っている。
「力が流れ込んでくるように?でも真紅はもう、指輪を持っていないのに」
「…ええ…」真紅はおぼろげに応じ、自分自身を不思議がるように頬に手を触れた。

その後まったくの不意に、ジュンは誰かに名前を呼ばれた。「桜田君!」
「柏葉…」
巴は、さっき真紅のぶちあけた穴より水晶城の中へ入ってきていた。槐を連れている。
「さっき桜田君たちがみんな下に落ちていっちゃって…それで…」巴は申し訳なさげに口を開いた。「自分だけかろうじで落ちず
にすんで、どうしようか迷ったけど、どうしても槐さんのことが心配で…」
槐は廃人になりかけていた。ほとんど頭の中で何も考えてない。長期に渡る雪華綺晶と契約した状態のなかで、心をほとんど
吸われてしまっているのだろう。彼はただ呆然という。「ここはどこだ。薔薇水晶はどこだ」
そしてあたりを見回し、壁際に立つ白い人形である雪華綺晶を見つけると、いきなり槐は声を張り上げて巴を離れた。
一目散に雪華綺晶を目指して駆け出す。
「薔薇水晶!」槐の目には雪華綺晶の姿が薔薇水晶に見えているのだろう。「薔薇水晶!」
「だめ!いってはなりません!」その行路を真紅が塞いだ。小さな身体で槐の長身の足元にしがみつき、動きを抑える。「だめです!」
ジュンも真紅を手伝い槐を前から止めに入った。両手で彼の体を押さえつける。
「あなたの創った薔薇水晶はもう、いないのです!目を覚ましてください。お父様の弟子の人形師であるあなた!」
真紅は槐に説得を試みる。「あれは薔薇水晶ではなく、別のドールです。あなたに偽りと幻をかけて惑わし、心を我が物に喰おう
としているのです。近づいてはなりません!」
「誰だ。誰なんだ」だが槐の意識には薔薇水晶の姿をした雪華綺晶以外にない。「私と薔薇水晶に隔てるものは誰なんだ。師よ、
あなたか、ローゼン、あなたなのか!」
しばらく彼は力を振り出してジュン達の抑えつけを振りほどこうとしていたが、やがて力を失ったようにその場にばたんと膝を
ついた。
いまにも涙を流しだしそうな絶望の目をして呟いている。「薔薇水晶がなくなった…?」
彼の動きが収まったことを察した真紅は、手を離してゆっくりと槐の前に移動した。伴ってジュンが横にずれる。

299 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:12:19 ID:gX6lhtC4
その青色の瞳で真紅はまっすぐ槐を見据えた。「私達ローゼンメイデンと、あなたの薔薇水晶は最初から戦いあう必要など本来なかった
のです」彼女の手が槐の頬に触れる。「とても悲しいことに…」槐の目に真紅が映る。「あなたの薔薇水晶は、ローゼンメイデン
本来の第七ドール、雪華綺晶というドールに利用されていたのです…いえ違います、利用されているのは"あなた"です」
できるだけ優しく口調で言葉を掛ける。「薔薇水晶は砕けた後も、ずっどずっとあなたのことを想い、その魂が残っていました。
第七ドールに心を喰われそうになっているあなたを助ける為に…ずっと…しかしその魂も遂に果て、最期私にその想いを託して
くれました。彼女のためにも、私はあなたを助けなければりません。それはあなた自身の為でもあるのです」
槐の瞳に生気が戻った。「…お前は、第五ドール…真紅…」それからおぼつかなく顔をあげ、薔薇水晶だと想っていた白いドール
を見る。「薔薇水晶じゃない…あれはなんだ…私の心を喰い物にしていただと…?」
「現に戻ってきてくれましてね」真紅は槐に微笑んだ。「もう大丈夫です。あなたは七体目の幻を自分でうち破ったのですから」
いまいち槐は事態を理解していないようだった。だが次の瞬間、何かに気づいたように左手を持ち上げると顔の前に持っていった。
「指輪が…いつのまに…?」知らず内に左手に嵌められていた雪華綺晶との契約の指輪だ。「な、なんなんだ…?」
槐の顔にたちまち混乱が広まる。だがどこか歓喜しているようにも見えた。「聞こえる…薔薇水晶の声が…私に訴えかけてくる…」
急に何かに気づかされたように、槐の顔が真紅を見つめる。「真紅?お前は…」

「え…!!?」
そのときまったく別のところから大声を出したのは真紅でもジュンでも雪華綺晶でもない、柿崎めぐだった。「これは何…!?」
声に反応した真紅とジュンが彼女を見る。
めぐの左手に嵌められた指輪は、あろうことか"赤色"の光を発していた。本来めぐの契約したドールは水銀燈なので、指輪が光を
放つなら第一ドールの色である紫色を放つはずなのだか、どういう訳かいまその指輪は真紅の色である赤色に輝いている。

水銀燈はもういないのでその時点でめぐの指輪は消えてもおかしくはなかったが、その直前に彼女は雪華綺晶に捕らわれたので
その指輪が残っている。雪華綺晶がめぐから心を奪おうとしてときにそれの中継点にしていたのだ。
だがいま指輪は契約もしていないはずの真紅の為に赤色に輝き、真紅に力を与えている。それがさっきの真紅の爆発的な力へと
繋がっていたのだった。

「え…私も…」
続いて草笛みつの声がし、ジュンと真紅は釣られて彼女の姿を見た。驚いたことに、みつの嵌めた指輪まで真紅の色を示す赤色
に輝いている。本来はみつの契約した第二ドールの色に法って黄色に輝くはずなのだが、またしても指輪は赤色に光り輝いている。
「聞こえる…いや伝わってくる…」みつは言った。「カナの気持ちが…真紅を信じてって…」
ドールの心であり魂であるローザミスティカが、マスター達の胸の中で囁きかけている。真紅を信じて。雪華綺晶は偽りなの。
真紅はみんなを七体目の手から護りにきてくれた。真紅を信じてと、その気持ちが − 声がマスターへと届き、ドールは
自分にかわって真紅に力を与えるように指輪に呼びかけていた。マスター達へ、真紅に力を与えるように伝えている。

「これは…」
芝崎元治の指輪。やはり赤色に輝いている。契約していたドールは蒼星石だったが、いまでは蒼星石もローザミスティカを通じて
マスターへ真紅に力を与えるように呼びかけている。

真紅を憎み、最後溶岩へ身を投げていった水銀燈ですらいま、ローザミスティカを通じてめぐに真紅に力を与えるようによびかけていた。
どんなに憎くても、水銀燈にとって真紅は初めてできた友達でもありライバルだった。そして水銀燈はいま、自分のマスターで
あった柿崎メグを雪華綺晶の手から救った真紅に"礼"を表しているのだ。
「水銀燈が…真紅を信じなさいって…七体目に騙されるよりかはって…」赤く煌く指輪を見つめつつ、めぐは呟いた。「この光…
暖かい…苦しくならない…むしろ胸が優しく包まれるように優しい…」

300 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:13:39 ID:gX6lhtC4
そしてローザミスティカを持っていなかった薔薇水晶も、最期自分の想いを託し信じた真紅に力を与えるように槐に訴えかけていた。
彼に嵌められた七体目のものであるはずの指輪もまた、真紅の赤色の光を発しているのだった。

"本当に想いが繋がれば契などいらないのだわ
指輪がなくなっても繋がっていられる…信じていられる"

真紅を信じた草笛みつ、柴崎元治、柿崎めぐ…槐…そしてジュンはそのマスター達を見回した。
「これは…」真紅の肩を依然触れ続けながらも、ジュンはその信じがたい奇跡をどうにかして言葉にしようとしていた。
だが、なんとうまく言えばいいのか一向にでてこない。「もしかして…」

赤色に煌く四つの指輪が、真紅とジュンを取り囲んでいる。真紅を包み護る五人の契約者たち。
五人のドールの契約者全員がいま、真紅を信じ力を与えている。契約という形式を乗り越えて。


   "ドールズ全員の契約者の力を以ってアリスへ昇華する。"


真紅はその条件を果たした。

「アリスゲームが…………終わる……」

301 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:15:35 ID:gX6lhtC4
139

自分に降りかかってきたことがまだ実感しきれていないように、真紅はただ自分の両頬を触っていた。

「真紅が…真紅が…アリスゲームに…勝った…」
感動したように言う翠星石の頭の上で、雛苺が歓喜の声を上げた。「真紅、すごいのなのー!」

「ジュン…ジュン…私…」まるで10代の少女そのものの笑顔のように紅潮した顔で、真紅が横隣のジュンを見上げる。「私…」
「ああ、真紅。」ジュンは相槌をうち真紅の代わりにそれを言ってあげた。「お前がアリスゲームを制し、終わらせた。お前が
これから、アリスになるんだ」
「アリスに…」いまだそれが真紅には信じ切れないようだった。「至高の少女に…どんな乙女よりも気高く美しい少女に…」

雪華綺晶はなんとかして立ち上がり、真紅のピンク色の花弁まみれの一帯から逃れようとしていたが、身体に精力が篭らなかった。
第七ドールは元よりドールの契約者の心を奪いその力を糧に活動をしていたが、いまその全てを真紅に奪われてしまった。契約者全てが
いま雪華綺晶ではなく真紅に力を供給している。動力の源を断ち切られた雪華綺晶に残された力は残り僅かだ。
最低でも望んだことはこの花弁にまみれた一帯から抜け出すことだったが、花弁はまるで呪縛の沼を張っているように
そこから雪華綺晶を逃そうとはしなかった。彼女が動けば動くほど、それは手足に纏わり付く。

「雪華綺晶…」
哀れむような口調と瞳の真紅が彼女を見つめる。「偽りであるあなたは…マスター達の生命の望みを理解することはできなかった…」

伏したままの雪華綺晶は顔だけ持ち上げ真紅を目に収めた。ピンクの花弁にまみれた顔。その顔から花弁が目や鼻などをつたって
舞い落ち、まるでそれと一緒に欠落していくように、右目に差された白薔薇が一枚一枚散ってゆく。
白とピンクふたつの色の花びらが互いを崩し合っていくように滑り落ち、床に溜まりだす。

契約者から力を借りれなくなった雪華綺晶の最期にそれは思えた。
ところが突然、ジュンが真紅のもとを離れて走りだすと、雪華綺晶の所へ急ぎ出した。
花弁まみれの彼女の手をとり、引っ張り上げる。「いくな!」
ジュンに引き上げられた雪華綺晶は花びらの沼を脱出する。「いくな…!もうこれ以上だれもいくな…!」放心したように天を見つめ
床を転げる雪華綺晶に向かってジュンが言う。「お前は悪くない!お前はただローゼンにそう創られて、ローゼンにそうやるように
言われているから、そうやっているだけなんだ。人間の心を奪ってアリスになるように命令されたからお前はそうしているだけなんだ。
悪いのはお前じゃない。そしてそれももう終わった。お前の生はきっとこれからだと思う…きっと姉妹たちも分かってくれる」
おどろいたことに、雪華綺晶の持つ左手の指輪まで赤色に煌き始めた。右目の白薔薇の舞い落ちがぴたとおさまる。

302 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 06:17:56 ID:gX6lhtC4
そのジュンの後ろから、真紅がゆっくりと歩きよってくる。コツコツと足音をたてながら。彼女はジュンの横に並ぶと雪華綺晶に手を
差し伸べた。「ジュンの言うとおり…あなたはお父様に与えられたあなたの運命に従っていただけ。でもそれももう終わったのだわ。
これからは普通の姉妹として…あなたと振舞えるようになることを…切に願うわ」
続けざま、翠生石と頭にのっけた雛苺もそこへやってくる。
真紅は続ける。「やはり私はあなたに感謝しなければならない、雪華綺晶。こうしてアリスゲームを終わらすことができたのは
あなたのおかげ。あなたがドールのマスター達をここまで集めたことで、私達とマスターは一つになることができた。最もあなたが
ドールのマスターにしようとしたこと自体は多少おいたが過ぎたけれどね。でもいいの。全てはもう終わったのだから」
翠星石は面食らっていたが、アリスゲームの宿命から開放されたこと嬉しさについ口走った。「ま、まあ、淋しかったらまた
ジュンの機械の箱の前にでも顔を出すといいですよ。どうせお前にはそういう感性なんてないでしょうが!」
「けど姉妹を殺して自分を美しくしようだなんてことはもう考えるなよ。真紅にしかられるぞ」ジュンは少し心配げに鼻をかきながら
そう付け加えた。
雪華綺晶は虚ろに天を見つめ続けていたが、やがて金色の目がぎょろっと動くとジュンを見据え、言った。
「紅薔薇のマスター…あなたのおかげで私は本当に還るところを失くした…」
チクリとジュンの胸が痛んだ。確かに、彼女は正真正銘永遠に霊体のままになってしまう。死ぬことも眠ることも適わずに。
ある意味でのそれは雪華綺晶の"消えぬ罪"なのかもしれない。真紅や姉妹が例え許したとしても、金糸雀を殺したことや水銀燈を
はめ死へ導いたことに変わりはない。その事実の罪が消えない限り、彼女は死すら許されないまま魂を彷徨わせ続けるのかもしれない。
それはあたかも、イエス・キリストを磔刑にした罪で死と眠りを許されなくなったユダヤ人であるかのように。
「エルサレム…」雪華綺晶は呟いた。「私はこれより私の罪が消えるところを探すのでしょう…そこが私の還るところ…」
「天国の王都エルサレムはきっと見つかる」ジュンは励ますように言った。「なんなら手伝ってもいい。お前の罪を消すことの
できる場所を探すための旅の手伝いに」
隣の真紅も優しげに微笑んだ。

「さぁて、」翠星石は一仕事やり終えたという感じに右手をあげ伸びをした。「アリスゲームも終わったことですし、帰ると
するですかぁ。白薔薇のせいでくたくたですよ」
真紅がふっと大きく笑う。「全くだわ。ここ二日まるまる紅茶も飲んでいないのだもの」
せっせと壁に開いた穴から水晶城の外に出て行く翠星石、雛苺、ジュンを追っていた真紅は、突然ピタと歩きをとめた。「…え…?」
「真紅?」「どうしましたか?」「うゆ?」
「お父様が…呼んでいるわ」
「なんだって?」ジュンは身体の向きを翻した。
真紅の顔には畏れと戸惑いが浮かび、声は震えていた。「私は…私はいかなければならない」
「そんな」「真紅!」翠星石たちも声を上げる。
「すっかり忘れていた…私はアリスになったということを…」
その言葉にジュンもはっとしてような顔になったあと、認めたくないというように激しく困惑した顔を見せた。
「でも、でも、お前はいまなんの変化も起こってないじゃないか!」
「え、ええ…」真紅は腰を動かして改めて自分の体を見つめる。彼女は彼女のままだった。何一つ変わっていない。これが人形師
ローゼンの数百年間求め続けたアリスなのだろうか…?

303 :Rozen Maiden Latzt Regieren Z:The Civilization:2007/12/02(日) 07:27:13 ID:gX6lhtC4
「その答えは全てあなたを創り上げた人形師ローゼン自身の口から語られるでしょう」
ラプラスの声。いつもいつもそれは思わぬときに耳に轟く。彼女たちはその声の持ち主を探した。「聞きたくば会う事です。
アリスゲームの勝者が出たいま人形師ローゼンはだれかと会うつもりである。かれがあなた方の必然をすべて明かすことでしょう」
ラプラスは少し離れたところに一人たっていた。その彼の後ろには、透明の水晶でできた大きな舟が無意識の海に浮かんでいる。
「あれは…」巴はそれをさっき見たばかりだった。あの白いドールが乗っていたはずのものだ。
「人形師ローゼンはドール達全てに来るように仰せられております」ラプラスは頭をさげ丁寧にお辞儀の動作をした。「真紅、
翠星石、雛苺、雪華綺晶。あなた方はこれより水晶の舟に乗り、答えの探求(クエスト)の旅に出ます。アリスゲームの答え、
アリスの答え、人形師ローゼンの望んだものの答え。全てあなた方はそれを知っている。
あなた方はただそれを"忘れさせられている"だけなのです。ですからこの水晶の舟より、答えを思い出す為の遡航の旅に出発する。
先にはあなたがたローゼンメイデンの創立主である人形師ローゼンはもちろん、記憶の根源と再生に辿り着くことができるのです」

[:弑殺 The End に続く

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 09:57:57 ID:3IR3NUaq
次で終わりなのか・・・早く読みたいような読みたくないような

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:25:48 ID:EgzK71uS
本気でこの話を元に第3期の脚本を書いちゃえばいいんじゃないかと思った漏れ
次のタイトルが『The End』という事だが、それはアリスゲームが終わりってだけでこの話はもうちょっと続くのさ

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:25:29 ID:Cc3JbfBW
なんということだ・・・わっふるわっふる!!1

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:43:37 ID:fKVqrk69
She has wisdom and
knows what to do
She has me and
She has you

She lives on Love
street………

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:28:50 ID:i5+riech
本当に乙です!

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:02:04 ID:wZcLVuOn
ぷふー。
凄い大作だ。
ラストを楽しみに待ってるよ。

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 23:24:53 ID:e2mEoqcg
保守

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 15:57:42 ID:erkJCkb4
息抜きに誰かくだらんネタSS投下してくれ

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 18:39:34 ID:5uDusyNk
いい加減にこの連載終わらせて欲しい
ここはショートストーリーのスレなんだし
複数スレにまたがるような話なら自分でブログでも作ってそこでやって欲しい
賛美レスも内容に踏み込まない短いレスばっかで作者が自演で褒めてるとしか思えん

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 20:46:36 ID:RSHVbyHs
また金糸雀信者のSS批判か

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:57:16 ID:l801b7jv
>>312
自分が気に入らないレスは何でも自演なんですね^^^

お前この作者に嫉妬してんだろwwww

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:59:42 ID:6JPkmlDV
>>311
雛苺「ね〜ジュン〜、この箱なあに?」
ジュン「その昔、SSというゲーム機があってだな…」

316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 09:08:47 ID:dS9cjBR0
原作のように秀作でありながら作者が望まない形で終わって欲しくない
長さなんて意識するな!
どうか作者さんの望むままにこの大作を完成させてくれ!!

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 11:58:13 ID:DN4b/dmk
まとめサイトにのらないのかなこの大作

318 :ローゼンメダロット:2007/12/09(日) 18:45:20 ID:gozQLX9k
真紅のがむしゃら行動!ソード!
薔薇水晶は脚部で防御した
脚部パーツに47ダメージ

薔薇水晶のねらいうち行動!サクリファイス!
真紅の右腕パーツにクリティカルヒット
右腕パーツに30ダメージ
右腕パーツは壊れた
頭パーツに貫通した
頭パーツに50ダメージ
頭パーツは壊れた
薔薇水晶は反動で左腕パーツが壊れた

真紅は機能停止した

薔薇水晶に右腕パーツを奪われた


がむしゃら使うと回避できないしクリティカルヒットしちゃうんだよね

319 :ロックマンJUM:2007/12/10(月) 18:12:45 ID:wZJ9MuvN
    ,',i><iヽ
    /((ノノリノ))   
   ((ミi!゚ ヮ゚ノ|ヽ,---、|ヽ
     ノ_リ(⊃ヽ ヽ▼/ ノ
    (ム!__lつ_>*・∀・|)
 まあ『バーロン茶』でも飲んで落ち着こうぜ
         ( つ旦O   
         と_)_) 旦旦旦旦旦


そしてそんな俺はずっとスランプ気味さorz

320 :ロックマンJUM:2007/12/10(月) 18:14:52 ID:wZJ9MuvN
JUMの首がズレちまったorz

これじゃ名実共に「テツクズ(ジャンク)」じゃないか


321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/12(水) 01:20:20 ID:iusoxg2g
ttp://yui.cynthia.bne.jp/newanime/img/1196178521_0002.jpg
銀様、他所でなにしてるんですかw

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:33:44 ID:IQrwhBN8
はやく続きを〜

323 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 04:51:52 ID:PLn+YDxi
140

last episode.The End

Fan Fiction/Side story ... by RozenMaiden


みずぼらしく薄暗い部屋に、2人の男がいた。
この部屋は何百年も前より、明確で揺るぎようのない目的を持ち実行し計画するための部屋であった。
秘密は守られ、ヨーロッパの一般衆の詮索や作り話は耐えないが、この場所の本当の意味を言い当てたものはまだいない。

「きいたか、フラメル」
フラメルと呼ばれた男はそう呼んだ男に比べれば、階級的にかなり下に位置していた。本当に秘密の全てを握る者は、ほんの
一握りしかいないことでこの組織は知られている。
「表のやつらがまた新しい伝説を作ったぞ − ガリレオ・ガリレイのイルミナティ?」
フラメルと呼ばれた男が振り返る。「今度はどんな内容です?」
「なかなかよくできている」もう一人の男はその論述のかかれた古びた紙を読み上げる。「科学の進歩がカトリック教会に弾圧し
迫害されることに密やかに対抗して、科学の啓示を求める科学者だけの、教会に弾圧されずひそかに科学の啓示を求め活動する
秘密組織を作った − だと。そういえばそれでも地球は動いている、って悔しそうに言ってたな。いや、いや。ここまでは我々
にとってはなんら問題のない話だ。ここからがおもしろい」
そして男は意味ありげにそこで喋りをやめてしまう。もどかしそうにフセメルは言った。「続きはなんです?」
待ってましたとばかりに男は微笑んで続きを読む。「この啓示の教会イルミナティ…実はフリーメイソン繋がりで薔薇十字団とも
関係を持っており、互いに協力し、イルミナティの提供する科学と、薔薇十字の持つ古来よりの錬金術の力…二つを合わせて
カトリック教会をも覆す強大な力を生み出そうとしている、一般の人のしられざる恐るべき真実だとか。いいね、是非うちにガリレオ
の科学を無償で提供してもらいたいものだ」
フラメルは笑った。そしてきく。「それで、あなたの進み具合はどうなんです?」
「…もう少しだ。これをわれわれが使う真の目的も、お前はもう知っているだろう」



     … …


    "組織の裏切り者だ!"

やつらは私を狙っている。もう人里には戻れない

    "探せ!我らが錬金術を、やつは盗み出した。偽名を語り我らが組織に潜入していた。探せ!"

私が錬金術を盗んだのは究極の少女を完成させたいからだった。いや最初からそれが目的で組織に入ったんじゃない…

    "錬金術で不老不死を得たとか?シバの女王やソロモン王と話した事もあるそうですわ"

    "バカバカしい嘘に決まっている サンジェルマン伯爵はただのペテン師だ"

それは突発的な願いだった。だがそれは毎日のように私を蝕み、全身それそのものにした。私は組織を抜けた。究極の少女アリス
以外のこと、もうなにも頭に入らない。…自分の本当の名前すら…忘れてしまった

    "あれがカリオストロ伯 教会に逆らう不届き者のペテン師だ"

ついに生成した。私のローザ…

待っておいで私の娘。いまに本当の命を与えてやろう…

324 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 04:54:46 ID:PLn+YDxi
141

無意識の海に浮かぶ大きな水晶の舟。
その傍らに立つラプラスの魔。そのラプラスの前に並ぶ真紅、翠星石、雛苺の後ろに並ぶは薔薇乙女の五人のマスターたち。
ジュン、めぐ、みつ、槐。さらにジュンの横には巴が並んでいる。

「船員のクルーがあと一人足りませんね」ラプラスは言った。恐らく第七ドール雪華綺晶のことだろう。「はて彼女とて忘れた
記憶は取り戻したいものと思ったのですが」
その場の多くの人間とドールが、まだ七体目が水晶城から出てこないとこの穴を見つめた。

雪華綺晶がその場に現れないことはさておき、真紅はラプラスにこれからのことを聞こうとしていた。
「ラプラス、私達が出るという記憶のクエストとはどういうこと?その水晶の舟に乗って航海した先にはお父様が?」
「コンラという若者がいました」するとラプラスは何の脈絡もなく、神話のようなものを語りだした。「その水を飲むと知恵が
増すという井戸を持つ彼は英雄として慕われていました。しかしながら彼は不老不死の女神を愛してしまい、別れることの
辛さから、自らも不老不死になるため不老の国"ティル・ナ・ノーグ"へ渡る決心をしました。コンラは海と豊穣の神"マナナン・
マクリル"から、思い通りに動き、空をも飛べる"水晶の舟"を与えられ旅立つのです」
真紅は改めて水晶の舟を見上げた。「それがこれなの?」
「彼は水晶の舟にて海を渡り、ティル・ナ・ノーグを目指しましたが、それは二度と戻って来れない航海だったのでした…」
「言いたいことはそれね」真紅は言った。この舟は恐らく帰りのない航路を進むのだろう。「あと一つ聞きたいことがあるわ」
「なんでしょぅか」ラプラスは淡々と応じた。
真紅は目を閉じ、落ち着かせるように一度深呼吸すると目を再び開き、口にそれを出した。「"私はアリスになったの"?」
「おや。まだ思い出せませんか。ならば舟にのり、記憶のクエストに出れば分かることでは」
「結局いかなければならないのね」真紅の口調は落ち込んでいた。「アリスゲームも変わり、本当に重い荷から開放されると
思っていたのに」
「アリスゲームが終わった今…」翠星石も暗い顔をしている。「私達の宿命もまた消えた…お父様が私達を待っている…お父様は
私達を呼び戻そうとしているのです…」
「ジュンの家には?」間の雛苺が真紅と翠星石をあたふたと見上げる。顔には混乱と不安が見て取れる。「ヒナたちもうオウチに
帰れるんじゃなかったの?」
真紅も翠星石も顔を落として答えない。

痺れを切らしたジュンは、雪華綺晶を呼びに水晶城の中へもう一度入っていこうとした。
が、一歩足を動かしたところを真紅に制された。「…私がいくわ。仕方のない子」
ジュンは動きをとめ、一人水晶城へコツコツと向かっていった真紅の後ろ姿を見つめた。他の人やドールも同じように彼女の城へ
向かっていく姿を見守る。

325 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 04:58:09 ID:PLn+YDxi
水晶の壁に開いた穴から、真紅は城にもう一度入る。
「雪華綺晶、私達薔薇乙女の終わりはもう少し先まであるみたいだわ。いつまでもそこにはいられない。たとえあなただとしても…」
第七ドールの様子を発見した真紅の眉がひきつった。彼女は水晶城のなかで、自分に白い棘を絡めて繭のようなものを形作ろうとして
いる最中だった。
「なにをしているの…」
この様子では自力では動けまい。いや自分で動き気がもはやないに違いない。「そのいばらを自分から解きなさい…」反応はない。
真紅は深々とため息をついた。ほんとはこんなことしたくないと言いたげの目をする。「あなたには謝りたいことと、話したいこと
がある。それはいまのような形ではしたくないのだわ。だから」真紅はいい、雪華綺晶の体を絡める棘のうち一本を手に掴み取る
とそのまま引き摺るように七体目を運びだした。「だからあなたには悪いけれど、いまは嫌でも来て頂戴」
雪華綺晶は自分が第五ドールに引かれているのに気づいたが、ほとんど繭にも近い状態なので動けない。
顔をあげて真紅を見る。「エルサレムの十字路はもう私を呼んだの…?」
七体目を引き摺りつつ真紅が答える。「お呼びなのは水晶の舟よ」
引き摺られ床を滑りつつ雪華綺晶はまた言う。「ああ私はどこにつれいかれるのかしら…」
「そんなわるいところではないはずよ。少なくともあなたにとっては。恐らくね」

ジュンと翠星石たちはその2人をなんともいえない気持ちで眺めていた。
真紅が第七ドールをまるで旅行用の荷物のように引いて歩いてくる光景と、それを待つ側のこの気持ちをどう言葉でいい表せというのか。
ただ分かることは真紅にはもう特に雪華綺晶を咎めたりしようとする気持ちはないということだった。引き摺ってはいるが顔に
は罪悪感かやるせなさにもちかいものがある。七体目が自ら動こうとしないからの苦肉の行動なのだろうか。

ようやく水晶の舟のそばまで戻ってきた真紅は、翠星石たちと目を合わせそのなんともいえない行間を味わった。
こ、こうするしかなかったのよ。
「七番目のお嬢さんもお揃いですね」ただラプラスの魔だけが淡々とした様子で言った。
「さあ。まだ立つつもりはないの…?」全身いばらだらけ状態の雪華綺晶を真紅は立つよう促す。
雪華綺晶は寝転がったまま後ろの水晶の舟を見上げた。「これも魔の目の偽り?」
「真実はきっとこれから確かめるのよ」いいながら、真紅は果たして七体目と会話がかみ合っているのか不安に思った。
業を煮やして雪華綺晶の手をとり、引っ張り上げる。不気味にしなる棘の動きは相変わらず油断ならないが、いまは害はなかった。
すると驚くほど軽々しくふわっと雪華綺晶は立ち上がった。まるで重力を感じさせない動きで。長く広くひろがる白い髪が大きく揺れ、
体に巻きついていた棘がしゅるっと収まっていく。左目の瞳はすでに真紅を見てはいない。どこか遠く無意識の海の先を見つめている。
「あなた、私のことをバカにしているの…?」おさまっていた真紅の感情は再び燃え滾りそうになった。「立てるじゃないの。
こんなにもたやすく」

雪華綺晶の立ちあがったところをみた草笛みつは、急に動き出した。ずっと言いたいことがあったらしい。七体目に近寄る。
「嘘をついていたのね!」みつは雪華綺晶にせまる。「カナの場所を知っているなんていっていて…カナはどこなの!?」
雪華綺晶は答えない。世界のほとんどのものが彼女の瞳を見捨ててしまったように雪華綺晶はみつはおろか何も見てはいない。
偽りの夢を抜け出し、現に戻った柿崎めぐがこちらを見つめている。その死に憑かれた瞳と目を合わせた雪華綺晶は急に体
に毒を含んだようにふらっとよろけバランスを崩し倒れかけた。
真紅が代わってみつに寄り、辛そうに口を開いた。「これが…私達のアリスゲームだった」
「真紅ちゃん、アリスゲームって、なんなの?私はずっと姉妹達でするなにかのゲームごっこだと…」
「私達は究極の少女アリスを目指して創られた。アリスの誕生には犠牲を伴った…あまりにも大きかった。誰の望まないはずの犠牲
だった…そのゲームが終わったいまも、私としては本音をいうと…あるところむなしさを感じてしまうのだわ…」
「そんな、そんなことって?」
みつは自分の今までの人生が全て嘘だったというような顔をした。「究極の少女?そんなことって…?」

326 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:01:03 ID:PLn+YDxi
「ねえねえ、直立歩行の兎さん!」その一方で、柿崎メグがはしゃぎ気味に突然ラプラスに飛び寄り頼んだ。「私もこの水晶の舟にのって
どこかへ連れて行ってもらえないの?」
突拍子に願いを申し入れられたラプラスに驚く様子はない。「よろしいのですか?これは帰りのない旅になると申したはず」
「いいの!」むしろ目を輝かせていうめぐ。「現実世界なんかゼッタイに帰らないんだから…私夢みてたのよ。こんな水晶の
舟にのって、並みの人間なんかとは違った死に方をすることを!」
「死だと水晶の舟の行く先は限っておりませんが」ラプラスは言う。「神話のように事実不老の国であるとしたら?」
めぐは笑いつつかぶりを振った。「きっと天使さんがまた私をやってきてくれるの」
「あの…あの私も」次に寄ってきたのは、みつだった。「このまま帰っても、カナに示しがつかない…こんなアリスゲームの
ことを私…こんなにも軽いことと勘違いしてて。このままじゃ私も帰れない。その先になるがあるかは分からないけど…」
「乗りたくば、ご自由に」ラプラスはただそう答えた。
「わたしは…」次に、元治。「わたしはもうこの先長くはないが、家にマツを一人にしてしまっている。現実の家に帰らなければマツ
が淋しがってしまう。すみませんが兎さん、私の店へと、帰る道はないのですかね?」
「もちろん、あります」ラプラスはパチンと腕を鳴らす。水晶の舟とは別に、ある扉がどこからどもなく出現した。「扉を通れば
あなたは元の世界へ帰ることができましょう。ここはまだ私の手の届く、第七ドールの領域に過ぎなかったのですから」
雪華綺晶はまるで自分の器に慣れていないかのようにぎこちなく奇妙な動作をする。少なくとも僕から見れば。

元治はラプラスにおじぎをし、それから扉に向かって歩きだすと、急に思い至ったかのように方向を変えて真紅の前に座った。
「わたしをうつつに目覚めさせてくれたお礼に」
彼は自分のポケットの中に手をいれると、小さな古びた時計を取り出した。「こんなもので真紅のしてくれたことにはとても
釣り合わないが、わたしにはこれぐらいのものでしか感謝の印をあらわせられないよ。すまないね…」言い、真紅の手の平に小さな時計
を置き、真紅の手をとって彼女にそれを握らせる。「わたしの昔からとっておいた時計…そしてこれからのことも、蒼星石のことも、
どうかかんばっておくれ…」真紅は時計をしかと大事そうに抱え、返事をした。「はい…ありがとう…柴崎さん」
元治は立ち、最後にもう一度だけ真紅に頭を下げると踵を返し、彼は現実世界への扉に向かっていた。扉をあけ − その先に消えた。

「あなたはどうしましょうか?」次にラプラスが聞いたのは槐だった。
「白崎…貴様…」ラプラスは元々、ドールショップで人間の姿をし店員になりすましていた。「当然現実世界などにかえるものか…
我が師と決着をつけてやる。見てろよ…白崎…いや"しろうさぎ"」ラプラスをにらめつけ槐は言った。

「さて残るはあなた。あなたはどうしましょうか?」ラスト僕自身へ質問がくる。
「僕は…」口ごもる。この先いけば帰り道はない。だか現実世界に帰れば、真紅たちには二度とあえない。大切な毎日を作って
くれた姉妹達に。「桜田君…」となりの巴が不安の眼差しを向けてくる。
「ジュン、あなたは、あなたの世界に帰るべきだわ」そこへ、真紅が重々しくだがしっかりと述べてきた。「ここからさきは
もとより、わたしたち薔薇乙女のみに与えられた宿命。あなたはこれ以上私達に関わってはいけない。あなたにはあなたの、生活
があるのだから」
「そ、そんな…真紅」僕はうろたえた。いつかくるのだろうとは思っていたが、いざこうなると急すぎる。「真紅達には
二度とあえないのか?」
「いつまでも家の中だけで人形相手に生活堪能してんじゃねーです」翠星石。顔をおとし、隠している。「いつまでもそんなことが
続くかと思えば、大間違いなのです、人間。もうお別れのとき…ですよっ。だから…っ…です」声が小さくなってゆき、
後半は聞き取れなかった。
既に泣きそうな雛苺。「ジュン…ジュン…!」足元でズボンを引っ張る。「いやなの。なんでなの?なんで会えなくなっちゃうの?」

327 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:02:27 ID:PLn+YDxi
「と、ドラマチックな別れ歌が奏でられるところ申し訳ございません」急なラプラスの二言目。「実は、真紅の契約者が来るか
来ないか、この質問は契約者自身ではなく人形師ローゼンへの問いかけでした」
全員がそこで凍りつく。「どういう意味…?」
「つまりのところ」ラプラスの赤く鋭い目が契約者を見据える。「人形師ローゼンは、真紅の契約者であり真紅を"アリスゲーム
の勝者へと導いた契約者"も共に舟にのり、自分の下へくるようにと、質問に答えられました」
「え?」僕は一瞬、ラプラスのいったことの意味が飲み込めなかった。
「そんな…ラプラス!」すると真紅は懇願めいた悲嘆の口調でいう。「ジュンにはジュンの、人間として本来の世界での生き方
があるのだわ!もうこれ以上、薔薇乙女の縛りには巻き込まないで!」
「私にいわれましても、人形師ローゼンがお望みのことですから」
そう返されてしまうと、真紅も反論の言葉を失う。「…お父様が…」
「ねぇねぇ」柿崎めぐは、真紅達やジュンのやり取りにはからっきし興味ないといった感じで、首を長くしていた。「兎さん、
はやくこの水晶の舟にのって、私を二次意識の世界へ連れて行ってよ。水銀燈はどこなの?あっ、これ!」めぐはなにかをみつけ、
それに飛びついた。「これって、天使さんのよね?」めぐが持ち出したのは、水銀燈の剣だった。それだけが今も残っている。
「近くにいるんだわ!」
一方、柿崎めぐに急かされることもなく真紅に説得されることもなくラプラスの魔はただこう続けた。
「真紅の契約者は人形師ローゼンの意思により、舟の旅に同行することとなります。現実世界に帰ることはありません。本人に
その気がなくとも、いまここで現実世界への扉そのものを消してしまうことも手のうち」
そう言いラプラスはさっき柴崎の通っていった扉を指さした。
思考が停止してしまっていたが、僕はついに答えた。「あ、ああ…わかった、いくよ…」
まるで甘い香りに誘われサラセニアに落っこちていくアリの気分だった。その傍らで真紅が暗く顔を落としていた。

こうして結局、四人のドールズと蒼星石のマスターを除く四人のマスターが水晶の舟の旅へと出ることになった。

すると自分だけ居場所のなくなった巴が、そこにはいた。「桜田君…いっちゃうの…?」
「あ、ああ…」巴のあまりの淋しげな瞳に、どきっとしてしまう。「行くよ…ローゼンが僕も呼んでいるみたいだし…」
彼女と目を合わせづらくなり、横に顔をそむける。
「そう…なら、桜田君が無意識の向こうにいってしまうその前に」横を向いていたから、巴が急接近してきたことに僕は気づくのが
かなり遅れた。「一度だけ…」
彼女によって、僕は突然抱かれた。「え…」
「な…」「お…」翠星石と真紅も同じような反応をした。

出港直前の水晶の舟を前にして抱き合う、巴とジュン。
「帰ってきて…くれるよね?」驚くほど身体のすぐ近くで、巴はいう。頬には涙が伝っていた。
「帰ってこれると…思う…」あまりのことに僕は嘘をついてしまった。「戻ってきたら…手紙かくよ」

ジュンたち計八人を乗せた水晶の船が、ついに無意識の海の上を動き始める。
巴は地上から舟の上のジュンを見上げ、ジュンは舟から地上の巴を見ていた。時間が経つにつれてどんどん距離は離れてゆく。
もう互いの顔の輪郭がはっきりと見えなくなるところまで離れてしまう。

世界にただ一人取り残された巴は、水晶の舟が遥かな無意識の白い境界線の先に消えてしまうまで、何時間も見送り続けていた。

328 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:03:47 ID:PLn+YDxi
141

「一度目、愛しい心は巡って」
水晶の舟の艦尾付近のところで狂ったように歌っているのは、雪華綺晶だった。
「二度目、愛しい心は廻って」
タップダンスするようにブーツで床を蹴り、リズミカルに音をならして続けて歌う。
「三度目、愛しい心は憎んで」
それを憎たらしげな顔で見つめる翠星石と、ただ呆然と見上げる雛苺、他。
「一から三までぐるぐると、それはあなたのつみ。殺したってつみは消えないのに。あなたを縛るそれは愛。私のつみ」

「ええい、誰か白薔薇のヤツを黙らせるです」堪えず翠星石は仲間のドールたちに耳打ちした。「あいつだけ全然場の空気って
ものが読めてませンよっ!しみじみとした雰囲気が台無しですッ。」

舟の一番うしろ、いわゆる艦尾の部分には雪華綺晶、中間あたりに真紅達三人のドール、左舷に位置しているのは人形師、槐。
その前に草笛みつ、愉快そうに行ったりきたりしているのは柿崎めぐ。艦首、一番前の尖った部分に足を組んで座るラプラス
というクルーたちの位置あいだった。僕はというと一人外れて右舷にいた。ずっと巴のことを考えていた。自然とみんなが僕に
間を開けてくれたのは、気を遣ってくれているのかもしれない。

「一から三までぐるぐると、ぐるぐると…一から三まで」
雪華綺晶がどんどん回る。急に目を廻して気を失ったかのように、バタンと舟の床に倒れ込んだ。
「おっと、気をつけなされ。七番目のお嬢さん」ラプラスは艦首から面白がるように忠告した。「もしこの旅の途中、舟から
落下して海に溺れるようなことがあれば、永久に海の底で息を吸えませんよ…」
それを聞いた僕は身震いした。「だから、nのフィールドってところはいちいち危険すぎるんだよ…」
「いいわっ。素敵ねぇ…」一方そんな危険すぎる旅だと知っためぐは更に喜んだようだった。うっとりして水晶の舟の縁に顔を両手で
支え持つ。「一緒に乗っている人間たちがちょっと気に食わないけれど…天使さんの再来はまだなの?」
水銀燈がまた来る。彼女はそれを信じ込んでいる。不思議だが、なんとなく僕にもそんな気がした。あの執念深く誰よりもお父様を
愛した第一ドール。その魂がまだどこかに残り、近くに息づいているような覚えがしてならない。そしてもしそうだとしたら、
いまだ消えず残っているあの水銀燈の剣だ。人間をも殺した剣。もしかしたらこの剣がまだ持ち主を失っても消えていないのは
雪華綺晶同様、"消えぬ罪"に繋がれているからなのかもしれない。剣は眠ることも許されず、いまも進行形で還るところを求めて
水晶の舟の旅に同行している。

この水晶の舟が進む先、まさにそこが罪を清めるエルサレムへと繋がっている気がした。ラプラスは不老の国といっていたが。
いずれにせよ、確かなことはこの旅の終点では人形師のローゼンがそこで待っているということだ。薔薇乙女達にアリスゲーム
を課し、数百年アリスの完成を待ち続けたローゼンが。
ゲームの勝者となった真紅を見てローゼンはどうするのか、アリスゲームを姉妹達に命じたことをどう思っているのか、
これまで水銀燈や雪華綺晶の犯した罪はきえるのか。疑問は沢山ある。
僕は、次第に人形師ローゼンと対峙したい気持ちが大きくなってゆきつつあったのだ。

329 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:07:09 ID:PLn+YDxi
水晶の舟の進むスピードは思った以上に速い。
アリスゲームの最終舞台となっていた雪華綺晶の水晶の城はすでに遥か後ろへと遠のき、白いシルクの霧の中へとやがて消えた。
いまとなっては四方いっぱいに白い霧と無意識の白い海のみが広がっている。舟が北に進んでいるのか東に進んでいるのか全て
白色に囲まれ、全く方角の見当もつかない。ここで舟から落下すれば本当に一生置いてきぼりなのだろう。泳ぎで追いつける
舟のスピードでは到底ない。

みんながそれぞれローゼン本人との対峙を望んでいる気がした。
ローゼンの弟子であった、槐。彼もまたローゼンと再び会って直接対話したいことがあるのではないのだろうか。
ドールたち。真紅、翠星石、雛苺、雪華綺晶。
彼女達もそれぞれまた自分達のお父様であるローゼンには山ほど話したいことがあるに違いない。だがローゼンはアリスとしか
会わないという…真紅にはまだ何の変化もない。彼女のままだ。ゲームに勝った真紅が、最後ローゼンと直接あって、そこで
アリスへと昇華する儀式が行われるとでもいうのだろうか。

「真紅がアリスとなったら」翠星石が真紅に話し掛けていた。「残った私達はどうなるのでしょぅか?これはもう帰りのない
終わりへの旅。お父様は真紅とだけ会って、私達はおいてきぼりなのです…?だとすればなぜ私達全てがお父様に呼ばれたと
いうのですか?」
「わからないわ…」真紅は答える。「それはこの水晶の舟の行き先が濃い靄で覆われているように…なにも見えてこない」
「でも、これだけは確かだと思うんです」翠星石は遂に本音を口に出した。「もう私達の薔薇乙女としての生は、長くないって」
しばし真紅は黙り込んだ。アリスゲームは終わった。薔薇乙女が生きることは終わった。ローゼンが追い求めるのはアリスのみ。
真紅以外のドールはもう長くないのかもしれない。
「翠生石…」真紅は翠生石の顔を見つめると、手を伸ばし肩に触れ言う。「私がもしお父様に会ったら、その時はお願いして
みるつもり…これ以上姉妹は失いたくないことを」
優しい真紅。またしても翠生石は思ったが、気休めに過ぎないとも案じた。最初からそのように願いがお父様に通るなら、とっくの
とうにアリスゲームだって終わっていたはずなのに。
「お父様がどんなお人なのか…私は七体目と少し話さなければならないことがあるわ」すると突然真紅は立ち上がってその場を
あとにした。不安に満ちた顔で翠生石はその真紅を見上げる。七体目と何を話すつもりなのか。

真紅は水晶の舟の上を足音立てながら歩き、踊りをやめて舟の縁から海面をじっと見下ろしている雪華綺晶の隣に座った。
「雪華綺晶…あなたと話したいことが。それから謝りたいこともあると、さっき言ったのを覚えているかしら?」真紅は緊張していた。
雪華綺晶は顔を上げた。右目の白薔薇が真紅と対峙する。相する左のまん丸の金色の瞳が真紅の顔を収める。雪華綺晶は首を真横
に真紅を見つめ返していた。伴って髪が垂れ下がる。
相変わらず不気味な七体目の反応だったが、雪華綺晶はすぐに首の向きを元に戻すとまともに真紅と対峙した。
一瞬瞳に憧れのようなものが篭り、それから驚いたことに緊張気味な目をしたが、ついにはいつもの虚ろな瞳に戻った。
「まずは…そうね、謝るわ。本当にごめんなさい」真紅はそう切り出した。「私があなたのことをお父様に妥協されて創られた
なんてと言ってしまったこと…あのときはあんなこと言うしか…本当は他にもあなたについて考えていることがあったの」
雪華綺晶は何にも答えず、ただ首を上げて空を見上げたりする。アリスゲームについては饒舌に色々語ってきた彼女だが、それが
終わってしまったいまでは話す話題が大してないのだろう。

330 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:08:29 ID:PLn+YDxi
「確かにお父様はあなたを偽りの存在…幻として創った」真紅の話に雪華綺晶は上の空だが、それでも声だけは聞いてもらえる
ことを思いつつ真紅は言う。「でも…」言葉がつまる。一度言ってしまった暴言を、どうすれば許してくれるのかかなり困難
しているように見えた。「あなたという存在そのものに…お父様のマエストロの奇跡を感じずにはいられない。純粋という枠をも
超えた…怖いほどの美しさがある」雪華綺晶の様子に変化はない。真っ白な空を茫々と見上げている。
「本物でないとと分かっていても、もし空想の望みが全て適うようなところが世界のどこかにあるとしたのなら、」それでも
真紅は言葉を続ける。どうにか聞き入れてもらえるように。「その魅惑はあまりにも甘く、美しい。誰もが持つ弱さを、
見えないところから誘っている。もちろんそんな理想郷のようなところはないはずなのだけれど、あなたはマスター達の夢に
それを幻として造り上げた。お父様があなたを作ることで、本当にそのような世界を独自に本物と造り上げようとしていたのなら、
私のしたことは…、マスター達をあなたの夢から戻させたことは…それは私の犯した妨害と破壊の行為ということになるのね」
すると、ついに雪華綺晶は真紅の会話に応えた。「そんな天命は私にない。私が究極の少女となるのに、それが要るというだけです」
「……そうね」
結局私達薔薇乙女個々の答えなど、それに他ならないのかもしれない。
「ラプラスは、私達は知らないのではなく、"忘れさせられている"といっていたわ。その意味がなぜだか私にはとても怖い。
もしそれが本当だとすれば、再び失われた記憶をこの手にとるのが、それが…取り返しのつかないようなものが私達から抜け
落ちているような気がして。私達は一体なにを忘れているというの?お父様のこと?…あなたはお父様のことをどれくらい覚えている?」
雪華綺晶の瞳に一瞬軽蔑が篭った。
「貴女はお父様によって一番最後に創られたドール」真紅は続けて声をかける。「私達の知らないお父様をあなたは見たはず。
貴女は以前自分でも言っていた。最後のドールである貴女を創り終えたあとのお父様のこと。よかったら聴かせて頂戴」
「この舟の行き着く先あなたはとお父様に逢うのでしょう。記憶なら幾らでも糸と吸い取る」
「雪華綺晶の口から聞きたいわ」真紅は退かなかった。本当に七体目を知るとしたらいましかないとも思っていた。「私達の
見なかったお父様を、あなたは見ているのでしょう…?」
沈黙。
七体目がこれに答えてくれるにはもう少し深い問いかけが必要かと思って次の言葉を捜しかけた、ちょうどそのとき。
「……声……手の動き…」透き通る水晶の下、無意識の海を眺めつつ雪華綺晶は言った。「お父様の神の業は神秘の魂を完成
させました…。お父様の手をいまいちど触れるとき、私はわたしを忘れることができる…わたしを忘れることができる…
でも、私は本当はお父様が怖かったのです…」
「お父様が怖かった…?」
まるで恐怖をテーマに創られたようなドールである雪華綺晶ですら万が一怖れるものがあるとすれば、お父様には他ならない。
「でも、どうして…?」
「お父様は私が生まれたあと…お父様は…私を殺そうとしていたのです」第七ドール雪華綺晶がそのお父様に纏わる禁断の記憶
の一片を出しつつある。彼女は右手をもちあげ、それを見つめながら続ける。「何度も何度も…五十回くらい…五十と一回くらい…
でも刃でも斧でも私を殺すことはできなかった。実体がないから…。ついに殺すことができなかったお父様は、私を眠らせました」
「そんな、どうして、そこまで?」
「…ここから先は、覚えてはいない…そこまでです」
真紅は息を呑んだ。七体目を創り終えたお父様に、普通じゃないことが心に起きたことはほぼ間違いない。実体のないような
精神世界の存在を創り上げることは、技術の問題より心の面に大きな影響を与えてしまうものだったのではないかと不安になった
が、もしそうだとすれば、この続きは確かに考えるに恐ろしい。
より一層、彼女はこれから船旅の先お父様と会うことに緊張を覚えてしまうのだった。

331 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:09:46 ID:PLn+YDxi
僕はラプラスに用があった。
ラプラスは舟の艦首で腰掛けたまま、じっと前を見つめている。その先は無意識の海とシルクの霧が広がっているだけなのに。
彼だけが行く先の道しるべを知っているかのようだ。
「ラプラス…」
「お呼びですかお坊ちゃん」彼は降る返ることもせず応じる。
「アリスゲームが終わった今…真紅や他の薔薇乙女の中で、何が変わったというんだ?」
「はて随分と変わった質問です」ラプラスはステッキを持ち出す。「人形に変わったかどうかを聞くなどと」
「確かに真紅達は人形だが、でも戦って生きていた」
「その通り。しかしそれでも人形です。人間が戦って生きる場合と、人形が戦って生きる場合…いきつく結果はどう違うのか。
それを兎風情に語る術などどこにありましょう」

332 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:11:35 ID:PLn+YDxi
143

水晶の舟は航海を続ける。

刻は夜となり、あたりは仄かな暗がりが覆う。その夜のど真ん中、海に浮かぶ小さな舟。
夜とはいうが、ここはnのフィールド、それも人形師ローゼンがいるような深奥地へと向かっているので、時間的な昼とか夜という
ものではない気がする。いまここが夜なのだとしたら、それは彼がそうなるように望んでいるからだ。

証拠をあげるならば…空を見上げみると、雲ひとつないくせに月が見あたらない。世界は冷えこみ、ひんやりとした空気が立ち込める。
クルーたちは小さな舟の上でそれぞれのやり方で時間を潰していた。あとどれくらいしたら、この航海は終わるのだろう。

人形師ローゼンの直接の弟子であった槐。水晶の舟の上を座ることもなくいったりきたりしている。落ち着きがない。
時々第七ドールの雪華綺晶を睨みつける。雪華綺晶もそれに気づいている。自分の最高傑作と師が最後残したドールがそっくりで
あることに未だ甚だ敵意を覚えている。再び師と対決したくて仕方がないはずだ。

「私は…だぁれ…」視線を他所に、雪華綺晶は無意識の海の水面と睨めっこしていた。「だぁれ…」
四つん這いで舟の縁から身を乗り出し、何度も呟く。「だぁれ…」海面には何も移っていない。雪華綺晶のような実体のない人形は
鏡や水晶、水面を見ても自分の顔が映し出されない。だから、彼女は自分の顔を知らない。薔薇水晶と似ていることは知っている。
「私はだぁれ…私の罪は…きえるの…?」
「わっなんだオマエっ」いきなり四つん這いのまま這いよって来た雪華綺晶に僕は心臓の飛び出る思いがした。
かなり怖い。何されるんだか。「なんなんだよ!?」
「私が見るその瞳に」彼女はさらに乗り出し、こちらににじり寄ってくる。「私が見える…」
思わず僕は後ずさりして尻をついた。「僕に恨みがあるのか?うわぁ、助けて!」
声をきいた真紅と翠生石が振り返った。「ジュン?」「あぁ!、白薔薇のヤツが!」
真紅のスピードを超越して飛ぶように僕と雪華綺晶の間に割って入ってきたのは、翠星石だった。「なんの真似するつもりですか!」
「雪華綺晶、あなたジュンに何の用があるの?」次に横で冷静に問い掛けるのは、真紅。
「あら緑色のお姉さまに紅薔薇のお姉さま、私はもうアリスゲームに置かれた身ではありませんわ」
さっきの態度とまたまた打って変わって違う。ニコニコ笑っている。「紅薔薇は五人もマスターをお持ちではありませんか。
いまランカスターに対してヨークが立ち向かったとしても多勢に無勢"なのだわ"」真紅の口調を真似る。
「……」一応筋の通る話には聞こえたが、どこか真紅は気に喰わないようだった。「どうもあなたの喋りにはいつもいつも棘みたいな
のがあるのよね…こう…頭が痛くなるような…で、そうでないのならジュンに何の用があるの」
すると雪華綺晶は首を動かして再度僕を見据えた。またしても心臓に悪い想いをする自分。
「一度私自身の姿をみてみたいのです」こっちを見つめたまま彼女は真紅に答える。「鏡や水に私の姿は見えないのですから。
でもかれの目には私が見えている。映っているかもしれないでしょう…?それと…ドールの目は役立たず」
勘弁してくれ。僕は心の中で悲鳴をあげた。
「まあ……いいんじゃないかしら」だが、ゴホンと許可してしまう真紅。
そんなバカな!ドールとマスターの絆はどうした!?
そうも思っているうちに第七ドールは近寄ってくる。白い髪の毛が妖気を帯びたように重力に反して舞い上がり、宙で渦模様
を作っている。
「うわぁ…」ホラー映画はコイツを見習えばいい。「やっぱりこわいよおまえ…もっとこう、普通に振舞えないのか」
「普通に…?」雪華綺晶は僕の目の前にしゃがむ。じっと僕の目を見上げている。相当もどかしく、目のやり場に困る。野性の豹
と隣り合わせに座っている気分だ。この近さと角度だと、白いドレスの露出された胸の部分があまりにも目に入りやすい。
その後も彼女はじっと僕の目を見つめ続けていたが、やがて興味をなくしたように離れると水晶の上を寝転がった。自分の両頬を
さわり、あるいは左目の目蓋を弄って無理やり閉ざしたりしている。僕の瞳に彼女は映っていなかったのだろうか?

333 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:13:31 ID:PLn+YDxi
「ジュン、大丈夫ですか?」翠星石がすぐに心配げに聞いてきた。「白薔薇に幻覚みせられたり私達の聞こえない水面下で声
を発信したりとかされませんでしたか?」
「ああ…大丈夫だよ」
僕はどうにか答えた。本当に何もされていないのだが、雪華綺晶と目をあわせた数秒間、異様に疲れた。「お前らはほんとに…
大変な姉妹だな。長女から末っ子まで問題児ばっかじゃないか」
「いま私まで含めませんでしたか?」
僕は適当に流した。「気のせいだろ…ちよっと休ませてくれ」
だが、次の瞬間僕は翠星石に足先を踏んづけられた。「いて!」
「チビ人間、この翠星石をいま軽くはぐらかそうとしましたね?なめんじゃねーですよっチビ人間め!」
何度も何度も踏んでくる。「ややややめろ!痛いまじで痛い!」
逃げ出す。「ちょっとこの翠星石が目を離している間に随分と図にのってやがるです!いまからオマエをちょっとたたきなおして
くれるです!えい!」
「やめろったら!この舟からおっこちたらどうする!」
「おっこっちまえですぅー」
「そんなんだから問題児いわれるんだろー!いたぁ!ああ、人形師ローゼン!あなたはなぜこんな問題児ばかりを…ウゴ」

翠星石に転ばされ、のしかかられながら僕が見たものは、その僕たち2人のやり取りを微笑みつつ見つめる真紅の姿だった。
僕の背中に乗った翠星石は、足をとって関節技をしかけようとする。顔が苦痛に歪んだが、僕はなんとか真紅に笑みを返してみせた。
本当に久々な、それは普段のみんなの姿だったのだから。
ふっと僕はさきほど真紅とキスしてしまったことを思い出し、顔をあかくした。必死にそれをかき消そうとする。
「なにニヤニヤしてるんですかチビ人間!!」すると上の翠星石が声を張り上げた。「まさか人間、こういうことされて喜…」
「オマエじゃないって!!」
しかもそこに雛苺が加勢する。「わぁい。ひさびさのジュンのぼりなのー!」

「たくさんのドールに囲まれて、羨ましいわ」ジュンたちを見つめながら真紅の隣に腰かけてきたのは、草笛みつだった。
真紅は一瞬目を落としたが、やがて答えた。「ええ…」
彼女は金糸雀を失ったことの悲しみからまだ立ち直れないに違いない。それを隠している。
「あれが夢にまでもみたローゼンメイデンW(ダブル)ステージ…」

「いーち・に・さん!」翠星石に押し伏せられた状態の僕の隣で、雛苺が数字を数える。「翠星石の勝ちなの!」
「二十万時間前に出直してきれがれですぅー!」ベルのエフェクト音がなる。
「う…」僕は立ち上がるのにもやっとだった。「こいつら…くそ…人をおもちゃにしやがって…本来は逆だろうが!」
目を細めて笑い、翠星石は僕を指差していう。「チビ人間如きに扱える私達薔薇乙女ではないのです〜」

334 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:14:43 ID:PLn+YDxi
柿崎めぐはちょっとした興味本位から、雪華綺晶に話しかけていた。もちろん彼女にしてみればあの水銀燈のような天使と
こんな白い人形、比べ物にならない。
「ねえ、あなたは死後の世界を信じる?お空を飛べると思う?」
雪華綺晶は無視する。
「ねえ」めぐが雪華綺晶に接近する。「ここまで来たんですもの。この水晶の舟…もしかして、私はもう死んじゃっているのかな?
それにしては天使さんのお迎えがこないし…いま手をのばしてここから飛び出したら鳥のように飛べるかな?水銀燈は私をあの
お空の上で待っていて、ホントは私を試しているのかも?」
「死ねば消える。それ以上私に言葉の糸を繋がないで」雪華綺晶はいい、起き上がると這ってめぐから離れていこうとした。
が、その足をめぐは捕まえた。「ねえってば!」雪華綺晶の顔に突然嫌悪が広がる。柿崎めぐの、死んだ後にこそ生を見出そうとする
心は、七体目には本当は嫌で嫌でたまらない。「私から離れて。手を離して。ドクダミの種が薔薇の花に紛れ込む!」
だが、めぐは面白がっているふうだった。「面白いたとえ表現するのね…うっふふ、じゃあこうしたら?」
めぐはさらにもう片方の足も捕まえ、両手で引っ張ってみた。「いぃ…」雪華綺晶の歯が剥き出る。「根が…根が毒物を絡め取った!
毒物…毒物…歯車と歯車の間に入り込んだ冷たい鉄くず…」
「おっもしろー!」めぐは雪華綺晶で遊ぶことに目覚め出したようだった。ひきよせ、耳元に言ってみる。「死んだあと、
私は天使さんに連れて空を一緒に飛ぶの。そしたら心臓に黒い羽たくさん生やして、私の命を一気に吸い取るの」
「蜘蛛の糸を手繰り昇るかたつむりの列…!自ら進み、やがて巣で絡めあって、死ねずにいる…」
めぐが行動を起こすたび、雪華綺晶の口から毒々しい比喩が機械的に出力される。
「イカレ度を比べあうのなら、あなたとはいい勝負かできそうね」めぐは言い、とうとう雪華綺晶から手を離した。「でもやっぱ
天使さんかなぁ…近くにいるのは分かるのに、どうして姿を現してくれないのかしら?」目を輝かせる。「私をきっと焦らして
いるんだわ…水銀燈、そこにいるのは分かっているのよ!」

この水晶の舟の上で、僕は薔薇乙女とマスター達が一つになりつつあるのを感じ取った。

335 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 05:16:00 ID:PLn+YDxi
144

舟の旅はまだ続いたが、夜は退き朝となった。感覚でいえば船旅の二日目といったところなのだろうか。
ただ二日目は、一日目よりも環境が悪い。普通でさえ視界の悪かったあたりに、より濃厚な白い霧が加わった。
霧は気づけばあっという間に舟のクルーたちを包み込んだ。唐突なことに互いに顔を見合わせるドールとマスターたち。

「なんだか…空気が痛くなってきてる…」白い靄のなか翠生石が口を開いた。
「なんだかとっても重たい気持ちになってしまうの」雛苺。
「きっと…」真紅はみつとの話しを終え、翠生石たちのところへ戻ってきていた。「私達はだんだんとお父様へと近づいてきて
いるのだわ…私も感じる…数百年間、ずっと究極の少女アリスを求め、絶望したお父様の嘆きと哀しみが…空気と伝わってくる…」
ポツンと、水滴が彼女たちの頬を差した。「雨…」薔薇乙女達は濃い霧で覆われている空を見上げた。「これは、お父様の嘆きの涙
のように…思える…」
「悲しいけれど…どこか優しい感じもします」翠生石は手のひらに雨を受ける。「痛みのフィールドに降り注ぐどこか懐かしい雨…」
「水晶の舟を濡らす…」

ガツン、と音がなり水晶の舟が震撼した。「うあ!」慌てて縁にしがみつくクルーたち。
舟がなにかにぶつかったらしい。
みると、氷山さながらに海面から突き出た水晶の一角が、舟のすぐ右を通過していく。これがタイタニック号よろしく衝突したらしい。
「これ沈んだりしないよな?いつしか氷山にあたって沈んだ豪華客船みたいに、呪いのエジプトのミイラを積んでいる訳でも…」
言い終わる前に、再びガツン。さらにもう一度ガツン。氷山だらけの険しい航路を水晶の舟は辿っているみたいだ。
突き出した水晶はまさに氷山という表現が正しいといえた。さっきまでの雪華綺晶の世界に見られた透明で光っていたものとは違い、
真っ白に染まった不透明な、ロウの塊にもみえる水晶の山が乱列している。
この舟はその間をうまく掻い潜りながら進んでいるみたいだ。

「まるで…」真紅がその光景をこの述べた。「舟の行く先を水晶が拒んでいるよう…。お父様が薔薇乙女を拒み、アリスだけ
を求めたのと同じに…」
さらに霧が濃くなる。視界は10メートルとない。…いやまた濃くなった。もうクルー達はお互いの姿の確認すらままならない。
「霧が濃くて…何も見えなのぉ…」ガツン。また舟が氷山にあたって震撼する。
「しっかり縁につかまるですぅ…っ」ガツン、ガツン。
その後も立て続け激しい氷山との衝突と振動が続いた。視界が極度に悪いこともあっておびえるドールたち。

だが、やがてそれは止んだ。ある一線を超えたとき、まるで自分達を認め、迎え入れるようにして白い霧が急に薄れては晴れる。
障害となっていた水晶の氷山もない。山場を越えたらしい。
霧が綺麗になり、視界が戻るとクルーたちはすかさず互いの姿を見合う。さっきの激しい揺れで舟から脱落してしまった者は
いないみたいだ。

気づけば、さっきまで降りしきっていた雨もやんでいた。

336 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 06:19:18 ID:PLn+YDxi
145

人形師ローゼンは近い。
彼はすぐそばにいる。姿は見えないが、その存在を感じることができた。水晶の舟は何かに吸い込まれるように無意識の海を進み、
水が奥へと戻っていくようだった。何が起きるにせよ、もはや真紅や雪華綺晶が考えていたようなものではない。

舟の進む無意識の海の先に僕は何かを見つけた。
海の水面に何かが浮いていて、ゆっくりとこちらへ流れ着いてきている。
視界のなかでそれはどんどん数を増やていった。舟がその物体に接近していくにつれ、霧に隠されていたその正体が分かった。
それは海に流された大量の人形の部品だった。手、足、顔…分断された部品の数々。それがむこうより流れ着いてきている。
数は知れず、進めば進むほどそれは増していくようだ。

アリスを完成させようとして手掛けた人形師ローゼンの、それまでの失敗作だというのだろうか。
そして、自分達がその一つとならなかったことの意味を改めて真紅は痛感されられるのだった。
「ジュン…私はどうしたら?。気持ちが落ち着かないわ…」
見れば見るほど、真紅は緊張していた。何百年もの間、アリスの完成を待たせ続けた自分の創った存在に、ついに再会する。

何の前ぶれもなく、視界に隠されている霧の先から、建物らしき影がうっすらと姿を現してきた。次に地面が現れ、続けざま野原
らしきものも見えてくる。
僕たちは、水晶の舟の旅の終点にいきついたのだ。

"終わりだ…これで終わりだ…"

「聞こえる…真紅、いま…ローゼンの声が聞こえなかったか…?いや…肌に感じなかったか?」
「え…?」真紅は呼吸を乱していた。

"アリスは空想の鏡の先から私へ微笑みかけ、私はただ棘に縛られ続けている…私の長年かけたアリスへの蓄積は脆くも崩れ 
失われし苦痛の荒野で 絶望の見知らぬ救いを求め待つ…" 

「感じる…身に染みてくる…。声としては聞こえなかったけど、直接心に響いてくる。僕の心まで沈んでしまいそうなほど
重たい…とても重たい」
水晶の舟は、野原の広がる陸地に沿う海岸のところで止まり、僕たちに旅の終わりを知らせた。
ドールズもマスターも、全員がその先を見つめた。廃れた大地と、屋敷。人形師ローゼンの屋敷…古びて、廃れている。
到底人間の住めるような建物には思えなかった。ほとんどの者がその場で息を呑んだ。

唐突に、ラプラスの魔は体を舟の艦首から向きを翻した。
「ご心配には及びません!クルーの皆様!」
大きな声でみんなに呼びかける。「緊張することもありません。あなたがた八人は全て、残らず人形師ローゼンによって既に
承認されています。さあさあ、舟から降りて、地を踏みましょう。ただし土地は少々荒れ果て、薔薇の棘が多いようです…
トゲには気をつけて。そうそう…可愛いトゲたちですがね。美しい薔薇の花の茎には棘がある…はて、しばらくみないうちに、
随分と変わってしまわれたもの」
思い出すようにラプラスは言い、軽やかな動きで宙返りしながら地面についた。

ついていくように、そわそわと水晶の舟から降り立つクルーたち。段差はかなり大きい。
真紅と翠生石は同時に縁より乗り出し、船から飛び降りた。踵を返して次に上から降りてくる雛苺を胸にキャッチする。
「ここが…」
「お父様のいるフィールド…」
最後、第七ドールの雪華綺晶が水晶の舟より降り立った。

337 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 06:21:53 ID:PLn+YDxi
ラプラスは人形師ローゼンのフィールドを見回している。
「やっぱりローゼンは真紅としか会うつもりはないのか?」僕はラプラスに近づき、ここで彼にもう一度だけ聞いてみた。
「会う…?」
ラプラスはその聞き返しの口調で、ごく普段から使われてきたはずのこの表現がここでは異端なものであるということを僕に示唆した。
「よろしいですか、坊ちゃん。ローゼンに会うのではなく、ローゼンにご披露目するのですよ。人形師ローゼンはそう!古典的な
意味で彼は詩人であり哲学者でもあり、そして優れた芸術家なのです。自分に関するすべてのことでかれらを失うときに、
誇り高く顔を上げていられるなら、みんなが自分を疑っているときに、自分自身を信じることができるなら……つまり、
わたくしにはそんなことはできない。彼に比べればほんのしがない、無力な道化師なのですよ。かれは偉大なお方です。
いっそ魔法をかけられてギザギザした一対の蟹鋏になって、音もない海底を走り回るほうがましに思えるぐらいですよ…ククっ」
ラプラスをそこまで思わせるほどの人物なのか。ローゼンは。
「しかし…、おかしいですね。アリスゲームの勝者が出たというのに、かれはお留守のようです」
不思議そうにラプラスは呟く。それから振り返って真紅にお辞儀をし、次の言葉を出す。「人形師ローゼンとの対面にはもう
しばしだけお待ちを。彼と探し、私は話してきましょう。アリスゲームに真紅が勝利を収めたということを」
「お父様と話すの…?」今までに無いほど真紅の表情は強張っている。
「然様。もしかすれば、時間がかかるかもしれません」ラプラスは答える。「それまでの間、好きにこのフィールドを散歩する
なりして時間を過ごすのも許可されています。屋敷の中に入ることも一向に構いません」
ぴょんとラプラスは何処かへ飛んでゆき、廃れた屋敷の中へとあっという間に消えた。

元々は綺麗な薔薇の咲くここは薔薇園が広がっていたのかもしれないが、いまでは花は一つもなく、トゲトゲしい茨のみが靴底を攻撃する。
「お父様がいない…ここに私はきたのに…」いまにも真紅は涙を流し、崩れ落ちそうだ。「アリスにはやはり、届かなかったの?」
真紅は本来雪華綺晶がしようとしていた例外的な方法でアリスゲームを終わらせた。ローザミスティカは全て集めていない。
アリスになるためには、まだ不十分だというのだろうか…?
「でも…」果たしてこの言葉で彼女を慰められるのか僕は自信がなかった。「そうだとしたら…どうしてローゼンは僕達をここに
呼んだんだろう…?」

とりあえず僕達は茨のない、落ち着ける平地へととまず移動した。
そこに腰掛ける。枯れ果てた土地。廃れた屋敷。何もかもが人形師ローゼンの絶望を物語っていた。

338 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/16(日) 06:25:04 ID:PLn+YDxi
真紅と翠星石に雛苺。それと三人のマスター達と僕らがその場にいたのだが、いつの間に雪華綺晶がいないことに気づいた。
「七体目がいないぞ…」
「え」「そういえばですっ」姉妹たちは焦る。しばらく大人しくしていた末の妹が、ここにきて何をしでかすとも限らないからだ。
「でもお父様はまだ姿を私たちの前に現そうとはしないはず…」冷静さを保とうとする真紅。
「いえ、まつですぅ!」何か最悪の事態に気づいたように、翠星石がまた叫び声をあげた。「お父様の弟子の、えっと…名前が…
名前がでてこないですぅ…えっと、エンケイ?、いえエンジュ、エンジュもいないです!」
「なんだって?」僕はあたりを見回した。確かにあの槐の姿もない。本物の第七ドールと、偽の第七ドールを創った人形師。
その2人が同時に消えている。それは僕らに悪い事態を予感させるには十分すぎる条件だった。
「2人して落ち着きのねーやろーたちです!探しにいくですよ!」翠星石は立ち上がり、いまにも走り出そうというポーズを
とったとき、戻ってきたラプラスの声がした。
「人形師ローゼンの意表が明らかとなりました」ラプラスは言う。
「いまそれどころじゃないです!引っ込んでろです白兎!」
ラプラスの横を通り過ぎていこうとする翠星石。
「第五ドールの真紅は、アリスゲームの勝者と認める。だが、アリスとは認めない。だそうです」
「え…?」言葉の持つ強靭な魔力に翠星石の足が凍った。
真紅の顔に驚きと落胆が広まる。
「そんな…なんでだ?」僕は訳がわからなかった。「アリスゲームに勝ったのにアリスではないだって?そんなことってあるのか?」
「はてしかし人形師ローゼンのご決断です。私はそれ以上は何も応えられません」
「じゃあどうして、ローゼンは僕らをここに呼んだんだ?納得できない。納得いかない!くそお、直接ローゼンと話をさせろ!」
僕はそんなことを言っていたのだった。
「いいですよ」そして、それが運命の刻だった。「人形師ローゼンはあなたと会いたがっているようです。第五ドールをアリスゲーム
の勝者へと導いた契約者である、あなたと」
「…」
一瞬沈黙が流れ、ドールズの視線が僕に集まる。思いかげず口走った言葉に血の凍りつく思いをした。
「僕とローゼンが、会う…のか?」
「そんな、そんな、でも」真紅は混乱していた。「いままでアリスとしか会わないはずのお父様が、ジュンと…?私たちにも会わずに?」
「お望みなのでしょう。それを」だが容赦なく話しを進めてしまうラプラス。「入り口はあの階段をのぼった先。
彼はあなたを待っておいてですよ、少年。あそこから入れば、あなただけに彼の場所が分かるよう案内してくれるようです」

僕と人形師ローゼンが合うことが、偶然の巡り合わせでなかったことに数年も前に気づいていたのなら、僕はどう行動していただろうか。
彼の物語が実は独白であるように、自分の物語もまた独白だったのことに、数年前より気づいていたら。

「ささ、ぼっちゃん。屋敷の入り口はあちら」


339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:07:53 ID:05OpjxLt
ふうー今読み終わった
朝からGJです!

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 08:56:56 ID:CogrltS5
よし、続く。

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 02:24:57 ID:UlskVQgd
パソコンで読んでGJ!って書こうと思ったら何故だか規制くらってた……orz

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 18:21:40 ID:Fz9ImgYl
この長編糞つまんね
さっさとカナのSS書けや

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 19:39:39 ID:JM1+qm9z
>>342
死ね

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 21:04:18 ID:5TGsNLBX
おや、まだアンチ活動続けてたんだ、相変わらず稚拙な演技だな


しかしやばいやばい、やばすぎるよこれ・・・
誰か同人描いてくれる人描いてくれよまじで
クオリティによっては1冊1万までなら出すぞこんちくしょう

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/19(水) 22:30:39 ID:Fz9ImgYl
作者乙

346 :アリスゲーム最大トーナメント:2007/12/20(木) 00:09:01 ID:kjRAIOMK
全選手入場!!
巴殺しは生きていた!!更なるわがままを積み人形凶器が甦った!!!子神!!雛苺だァ――――!!!
(薔薇が)組み付きしだい食べまくってやる!!妹代表雪華綺晶だァッ!!!
お父様の土産にアリスとはよく言ったもの!!長女の奥義が今実戦でバクハツする!!黒羽流柔術水銀燈先生だ―――!!!
アリスになりたいからここまできたッキャリア一切不明!!!!槐のドール薔薇水晶だ!!!
庭師の力に更なる磨きをかけ”夢切り”蒼星石が帰ってきたァ!!!
特に理由はないッヒロインが強いのは当たりまえ!!ジュンにはないしょだ!!!日の薔薇開山!真紅がきてくれた―――!!!
武術音楽はこの女が完成させた!!薔薇乙女の切り札!!金糸雀だ!!!
若き王者が帰ってきたッどこへ行っていたンだッ大人気ッッ俺達は君を待っていたッッッ翠星石の登場だ―――――――ッ

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 00:58:28 ID:SElktdvV
htp://www.geocities.jp/sittodesuka/episo-do/

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 19:36:17 ID:iQ+LsyTf
この大作完成したらどこかの絵師に頼んで挿絵描いてもらって本にするんだ!
とらのあなあたりで委託販売してくれたら俺絶対買うから

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/20(木) 23:06:39 ID:Myk794JV
カナのSSまだ〜?

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 00:38:53 ID:wWTlNRoA
金糸雀アンチの作者しかいないこのスレに期待しても無駄

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 06:45:58 ID:iLkH0X9o
>>349-350
糞キム信者消えろ

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/21(金) 20:54:00 ID:d57T8BlJ
ドールズ一嫌われ者のキムのSSなんて誰も見たくねーよwwwwwwwwwww

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 02:36:45 ID:iOPJaHOS
しばらく見かけないと思ったらまた変な奴が湧いてきたな

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 03:02:29 ID:qywIh1dg
規制解けたみたいだな

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 07:00:12 ID:ATaXrPdK
半島に帰れ

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 23:09:09 ID:drrjHLhx
キム信者は一生規制されてろ

357 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:03:10 ID:Kar7fNnI
146

既に第七ドールの雪華綺晶と槐が、ジュンがそこへ入る前、ローゼンの屋敷の中へと進入していた。
屋敷の中は見放されたように明かりが一つもついていない。細長いアーチ型の窓から差し込む光だけがなかを照らす。
その廊下で、雪華綺晶と槐は十フィートほどの距離をおいて向き合っていた。二メートル近くある長身の人形師と、1メートル足らず
の白い人形。ぶつかる視線のラインはその高度の落差より斜めの直線を描いている。

「私が薔薇水晶に手かげる前…」先に槐が口を開く。「そうだ…思いだしたぞ…私の夢の中にお前が姿を現したな…この私を
お前のアリスゲームに利用していたのか」
雪華綺晶は顔を持ち上げ彼を見上げると、答えた。暗がりの中、窓ガラスから差し込む光だけが彼女の顔を明るみに出し金色の瞳を
あらわにする。「あなたはお父様の弟子の人形師になるときから…アリスゲームの糸に捉われている」
「…薔薇水晶に命を吹き込んだのはお前なのか」
「巡る運命の一つ…"でした"」
槐は片手で頭の額を抱え、雪華綺晶を睨もうと試みる。だが、自分と薔薇水晶のことを利用したその張本人だとしても、薔薇水晶
にあまりにも似た雪華綺晶の姿に槐は形見の感情を持たずにはいられなかった。似ている…似すぎている。
彼女の姿が薔薇水晶と重なってしまう。「う…くそ」
憎しみと懐かしみの親近感、交差する感情と戦いながらどうにか彼は続けていう。その様子を雪華綺晶は少し面白がっているようにも
見えた。「…ローザミスティカもない薔薇水晶がなぜ生きた人形のように動き出したのか、当時はあまり気にもしなかった…薔薇水晶
と話せることが嬉しかった…だが全てはお前の思惑の内だったのか」
無音のままただ雪華綺晶はきいている。
「そうだとしたら…お前にお願いがある」槐は言った。自分達をはめたことへの憎しみより、結局薔薇水晶への気持ちが勝った
のだった。「私はもう一度…薔薇水晶を創りなおしたい。そのときはまたお前から薔薇水晶に命を与えてほしいんだ」
当然、自分の運命のことしか頭にない雪華綺晶にはその願いの意味すら分からなかった。
「その糸はもう切れました」
「ならば、せめて…」槐の目に狂気じみたものが走る。「お前は薔薇水晶に似ている…そう、似ているんだ…だから…薔薇水晶の
ドレスをいまここで着てくれないか。ああ、右目の薔薇はそのままでいい…」
雪華綺晶は笑った。愚かな人間の心の一端を、またしてもこの左目を通じて見れたわけだ。

358 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:04:21 ID:Kar7fNnI
147

僕は枯れた薔薇園を通り過ぎ、階段を何段も何段ものぼった。すると見えてくるローゼンの屋敷の入り口。
扉は既に開かれている。人形師ローゼンは本気で僕を迎え入れ直接会う気でいるらしい。
僕のことが気がかりなのか、或いはローゼンのことが気になるのか、薔薇乙女達は僕の背中の後ろについてきていた。

「もう、いやですよ、真紅。私はもういやです。もうやめにしましょう…真紅」
階段を登りながら、翠星石は自分の中のなにかのダムが耐え切れず崩壊したように、これまでの疑問と蟠りを仲間の真紅に掃射していた。
「もうアリスゲーム…いえ、もうアリスはやめにしましょう。真紅。もう無理ですよ。アリスゲームだって終わったのに、
まだ究極の少女には行き届かないなんて。最初から無理だったんです。もう私はこんなこと踊っていられませんよ。真紅、
私達は目を覚ますべきです。アリスなんてほんとは誕生できっこないなんです。どんな少女よりも美しいったって、具体的に
彼女はどんな顔をしているのか真紅には想像できます?どんな花よりも気高いという彼女の振る舞いのたとえをいってみてください」

それらの翠星石の言葉のほとんどは、もはやお父様…人形師ローゼンが薔薇乙女に命じたことそれそのものへの疑問だった。
理不尽なことをおしつけてきても、それでも自分達を創った存在である彼を信じて、これまで誰も口にしなかったその疑問を、
仲間であり信頼できる真紅に、翠星石は自分を解き放ってそれを口にしているのだった。

「もう帰りましょう、真紅。私はかえりたいです。そりゃ…そうです、お父様には会いたいですが、もう逢ってはくれないのです。
アリスとしか − お父様はアリスとしか会わないのです。でも、アリスなんて存在できっこないんです!お願いです聞いて。真紅。
要するに私達のしていることは…ありもしない偶像を拝めている邪教徒ってことなんですよ!あたりを見回してみてください。
こんなこと狂ってますよ。真紅、ここは虚無の糞溜めに違いありません。」


僕は意を決し、入り口の扉を通り屋敷の中に入った。
内部より醸し出される闇の空気が奥へと誘っている感じもする。
後ろについてきた薔薇乙女たちも入り口の扉をくぐろうとする。だがその直前、ラプラスが右手を間に差し入れてそれを止めた。
「おっとドールの方々はまだローゼンに会ってはなりませんよ。屋敷に入ることまでは勝手ですがね」
「なかに入るだけだわ」真紅は弁論した。
ラプラスは右手を踏み切りのバーのように上げなおすと、道を開けた。「ならば、兎は止めはしません」

そうして僕と三人のドールはローゼンの屋敷の中へと入った。
まずなかを見て圧倒されたのは、飾られた無数の絵画だった。いろんな人を映した絵画が飾られている。
特にその中でも目立つ正面の大きな絵画。名前がこのように刻まれていた。

   "Christian Rosencreutz"  "ローゼンクロイツ"

他にも色々な人の絵画が飾られているが、僕に分かる人たちはガリレオ・ガリレイとカリオストロくらいだった。
まだまだ沢山あるが、他の絵画を見ても誰なのか僕にはピンとこない。ヴァイスハウプト、ソロモン、サンジェルマン、ワーグナー、
クリストフ・ベゾルト、ニーチェ…

薔薇乙女達は僕とは別行動をしだした。僕にはついてこれないことを認めているのだろう。正確には、ローゼンには会えない
ということを。

しかし何処にいけばローゼン本人には会えるのだうか?
僕だけに分かるように案内するとラプラスは言っていた。たがそう言ったラプラス本人はいない。僕一人でローゼンを探し当てろというのか。

仕方がないので、僕はあてもなくローゼンの暗い屋敷を無断で覗き回った。
ローゼンが数百年間、アリスを求めて何をしにきたのか…何を考えてきたのか…。
全てこの屋敷の中のものが物語っている。

359 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:05:33 ID:Kar7fNnI
廊下から適当にある部屋に入った僕は、机の上で広げられたままの本を見つけた。内容は、進化論を唱えたダーヴィンのものだ。

"では、次に、存在闘争について、もう少し詳しく論じることにしよう...すべての生物はきびしい競争にさらされている...
生活のための普遍的な闘争が真理であることを言葉で上で求めることほど容易なことはないが、同時に、この結論を常に心に
止めておくこと以上に困難なことはない...だが、この結論が徹底的に心に染み込んでいるのであれば、自然の経済全体...
はおぼろげに認められるにすぎないが、あるいは全く誤解されてしまうものであろうと、私は信じる。われわれは<自然>の顔が
喜びにかがやいているのを見る...だがわれわれは、われわれの周囲でのんきにさえずっている鳥がたいてい昆虫や種子をたべて
生きており、こうしてたえず生命を滅ぼしていることを見ない。あるいは、それをわすれている。われわれは、それらの鳴鳥や、
その卵や、雛鳥などが、肉食鳥や肉獣によっていかに多くほろぼされているかを忘れている。"

その次のページには、赤い字でこう書きなぐられていた。ローゼン自身による落書きではないか、と僕は推測した。

"かれは反対意見の波に応ずることに恐怖を抱くあまり、反対事象とその説明をあまにりも論文に多く上げている。
何が本当にかれが言いたいことだったのか途中でわからなくなるほどだ。かれは、恐れるあまり、結局その恐れに埋もれたのだろう"

それ以外特に目に留まるものもない質素な部屋だったので、僕はそこをあとし廊下に戻った。廊下は奥へ進めば進むほど暗さを
増していき、知られざる呪われた空間に足を踏み入れていく気分になる。
そして実際その通りであることを僕は悟った。廊下の進む先についに僕はそれを見つけたのだ。

…人形師ローゼンが人形を創作していた、その作業場への入り口を…

あそここそが世界の最奥部である錯覚がした。薔薇乙女たちの生まれた、原点の場所。
水銀燈も真紅も、翠星石もみんなあそこでローゼンによって作られ、あの場所で生まれた。きっとアストラル体の雪華綺晶
の生まれたところもあの先だ。
そこにローゼン本人があるかどうかを別にして、僕はその作業場を覗かずにはいられず、誘われるままに入るとき、
自分にかけられているこの呪文の正体を知らなかったのだ。

360 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:08:17 ID:Kar7fNnI
148

作業場に入った僕は暗い夢の世界にいるみたいだった。
ありとあらゆるものがそこには揃っていた。文句のつけようのなく…ここが薔薇乙女が生まれた場所であると説明するに全てのものが
ここには事足りていた。道具、古びた人形のパーツ、部品、彫刻、作業用の机。それらに留まらない…彼女たちのドレスを作った
であろう裁縫の道具。
裁縫に関しては僕も少し知識があった。この作業場にあるその裁縫の道具が、僕の家にあるような市販のものとは次元違いに
優れた品であることは瞭然だった。それこそ神業級の腕を持つ職人の遣う道具に相応しいもので間違いない…。
だが残念ながら、それら道具や置かれている人形の部品はどれもがかなり年代物をうかがわせるもので古びており、人形師ローゼンが、
それこそ何百年間もここには足を運んでいないことが予想できる。彼はここにいない。
糸に吊るされた無数の人形の腕や頭…。小さいが、薔薇乙女サイズだ。
以前、確かに槐の人にそのドールショップの作業場で実際に人形が作られるところを見たことがある。だからここもそれを
連想させる作りではあったが、まず量が桁違いだった。何段にも連続する棚に置かれる数え切れない道具と部品…本当にたとえ
何十年、何百年かかろうとアリスの完成を求め続けた彼の姿勢がうかがえる。だが、これほどの素材と道具を残しておいて何故
かれは薔薇乙女第七ドールを創り終えた時点で人形作りをピタリとやめてしまったのかはまだはっきりとしない。

作業場の開いたスペースである隅っこや壁際にも、大量の人形の作りかけがまんべんなく置かれている。ほとんどが分厚い埃
にまみれているが…。これら作りかけのうちの一つであった水銀燈がローゼンを追って動き出し、あのような第一ドールへとなった
話を思い出すと、僕はいまのあの作りかけたちも僕を睨み独りでに突然動き出すようで恐ろしかった。
そう彼女達は全て一度ローゼンの愛を受け彼の指先の業をうけたドールたちなのだ。

人類未開拓のエジプトのピラミッドの地下空間を探検するような気分で、ぼくは作業場の奥へ足を踏み入れた。
最寄の机を覗くと、驚いたことに、ローゼン本人がかいたであろう薔薇乙女のイラストがかかれていた。第一ドールの水銀燈、
金糸雀、それから真紅に雪華綺晶まで。簡潔でとびきりに分かりやすいイラストだった。
既に薔薇をモチーフとしたドールシリーズを創ることは決まっていたらしい。
その隣の紙のメモに僕は目を移らせた。英文でこんなことがかいてある…

  Give me a R.
  Give me a O.
  Give me a Z.
  Give me a E.
  Give me a N.
  Give me a M.
  Give me a A.
  Give me a I.
  Give me a D.
  Give me a E.
  Give me a N.

361 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:09:48 ID:Kar7fNnI

What does it spell?

RozenMaiden?−no. ROZENMAIDEN? - No.

  A - L - I - C - E - G - A - M - E .

T-Minus 15.193792102158E+9 years until the universe closes!

彼のアリスを追い求める心は一途だとか病気的だとかの人間の感情で言い表せられる領域を超えていると思う。
宇宙が終焉を迎えるまであと15193792102158と9年だと?僕は彼のことを何百年という規模で考えていたが、甘かったらしい。
彼が待つのはアリスの完成か宇宙の終焉だ。そうでなくともこのスペルの謎めいた文章といい、彼を普通すぎる人間と同レベルに
判断してはいけないことは十二分に分かった。

隣の作業机と移る。
人形師ローゼンの作業場をみればみるほど、彼への畏怖の念が増した。彼のドールのドレスのデッサンがそこには沢山書かれている。
彼は天才だ。描かれているドレスはどれもそう…最高に素晴らしい。僕の書くドレスのデッサンなど赤子に見える。
薔薇のつぼみをイメージしたスカート…雪華綺晶や薔薇水晶のドレスだ。ローゼンメイデンの着ているもの以外にもここにはある…
見たこともない美しい秀逸なドレス…

何かが擦れるような物音が鳴り、僕ははっとした。何処かで人形と人形の部品同士がぶつかったのだろうか。
それはいまはここから出て行けという意図であり、人形師ローゼンを探しに行けという命令にも受け取れる、と僕はそうひとりで
納得したのだった。

362 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:11:33 ID:Kar7fNnI
149

ローゼンの作業場をあとにする。そこにローゼン本人を見つけることは出来なかった。
見当もつかない。この屋敷の何処かにすることは確かなのだが、見えない目で、僕は一方的に向こうの彼より居場所を知られている
気がする。

暗い廊下を進み、角を曲がって元の比較的明るい場所に戻ろうとしたその刹那に…突然雪華綺晶が目前の廊下に別の部屋の出口
より出てきた。思わず声を出しそうになる。やはりもう屋敷の中にいたのか。
彼女はなにやらでかい本を胸に抱え持っている。いや本がでかいんじゃない…七体目が他の姉妹と同じように小さな背丈であることを、
今更になって気付くのは奇妙な感じがした。不運にも彼女の左目と目があってしまう。

やり場に困った僕は、彼女の胸に抱えられる本について聞いてみることにした。
「よ、よう…何の本を読んでいたんだ?」
素直に本を差し出してきた彼女に少し驚きながら、その本をみてみた。「あー、やっぱり日本語じゃないのな…まてよ、これ!」
僕は二重に驚いた。「僕の家の物置部屋にも置かれていた本じゃないか…真紅が読んでいたような。錬金術とかの本だろう。
表紙にかかれた、薔薇の花びらの中心にキリスト十字が描かれているこのシンボルに見覚えがあるんだ。一体どういう意味なん
だろう」
「…知らないのですね」雪華綺晶は本を自分の手元に返した。「これは薔薇十字。ローゼンクロイツとその友愛団の象徴ですよ」
「薔薇十字?友愛団?」すでに話しについていけない気がした。
「そう…。これは薔薇十字の秘密を語る本…ローゼンクロイツの話が書かれている」
「そこにローザミスティカの創り方とかが書いてあるのか?」僕はそのとき、不覚にも何か歴史的ですごい秘密と対面しているようで
興奮を感じていたのだった。
「ふふ…ふふふ」そして雪華綺晶はそんな僕を笑う。「真紅のマスター、かわいそうに。薔薇十字とその錬金術の話はそのほんとど
が偽りの語りでできているのですよ。アンドレーエの書いたとんだ嘘ばなし。ローゼンクロイツ自体もほんとうは架空の偽りなの
ですから。でもこの薔薇十字の象徴だけは彼の寓意には含まれなかった」
面食らったが、僕は少し粘った。「でも、屋敷に入ったとき、そうだ、ローゼンクロイツってかかれた絵画があったじゃないか。
それにそうだとしてもだ、じゃあ結局お前らのローザミスティカはなんなんだ?」
「お父様はこの屋敷に嘘をたくさん仕掛けている。屋敷を飾られている…」
雪華綺晶は首を上げて屋敷のなかを見渡し、言った。「架空の話…架空の存在…お父様はどんなおひと…」
「会いたいんだな」
ところが彼女は照れているのかどうか、それには答えずこう続けた。
「そう錬金術の話しは偽り。でも薔薇乙女にはローザミスティカが事実与えられている。実体を持たない薔薇乙女がいる。
それはこの私でも分からないことなのです。偽りということの本当の意味を…本当の意味を知っている者は、…あなたでもなければ
私でさえもない。としたのなら…?」

363 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:12:43 ID:Kar7fNnI
なんて哲学的な話なんだ。ここらへんで本のはなしは一件落着としてしまおう。
そう勝手にきめつけた僕は、すっかり忘れていた心配事をいまようやくいま思い出した。
「お、おい七体目、そういえば急にいなくなってたからって他の姉妹が心配してたぞ」
「真紅は全てのマスターの力を集めてゲームを制した。そして私はあらゆる糸から切り離されて空中を溺れているの。鉢を飛び出して、
死を泳ぐドールと話しているあなた」
僕は七体目の訳の分からない比喩表現的な部分は全て聞き流した。「槐となんかあったりしてないだろうな?槐の人もお前と同時に
何処かへ消えたんだが」
「…」彼女の作る不穏な笑みに、僕は最悪のケースを覚悟した。「…きっといまごろ…私の影を追っているのでしょう…
これがまだアリスゲームだったのなら、また偽りの夢に抱かせてさしあげるのに…」
「や、やめろよ」慌てて言ったが、まだ彼が無事であることを理解したのはその数秒後だった。「手を出してないんだな」
「アリスはもうでる。いまごろ私はどこか水面の下に溶け込むはずだった…」
一瞬不思議に思ったが、すぐに合点がいった。ラプラスの魔が話していたときそこの場に雪華綺晶はいなかった。
「いや…ラプラスが言うには真紅はアリスゲームの勝者ではあるが、アリスではないらしい…まだ届いていないだとか…」。
「なんでして?」雪華綺晶は、急に頭の中が白紙に戻ってしまったような様子を見せた。「どうしてでして?真紅がアリスじゃなかった?
どういうことです?本気でお父様がそんなことを?何が止めてしまったのです?何が…?それで…それでお父様は私については何も
言わなかったの…?」
突然、七体目は僕ではなくむしろ自分自身と会話しだした。「私は真紅がアリスゲームを制した方法をずっと前から知っていた。
それのみを花に以って動いてきた。…その花がアリスでなかったというの…?」
自分の中に初めて生まれてきた何かに戸惑うような顔を見せつつ彼女は続けた。
「始めから私の花など存在しなかったことに…?アリスは物質世界のしがらみを持たなかったはずなのに。どうして?
なにかがおかしい。これはどういうこと?わからない…。運命は私をこうは導かなかった!ああ…ほんとうに、
アリスは存在し得るのです…?」

アリスが本当に存在するのか。雪華綺晶までそんなことを言い出した。もはやどの薔薇乙女もそのことを考え、創立主の人形師ローゼン
に問いかけ始めていた。
アリスゲームのルールが変わる。薔薇水晶が消滅したその瞬間から、ドール達はそれに気付き始めていた。ローザミスティカを奪い合う
だけのアリスゲームでなくなり、それ以外にも方法があったことは、ローゼンが自らドール達に告げたことだ。
ところが、今のこの状況は…。どのドールも想像つかなったことだろう。チェスの盤に、黒と白だけでなく緑や青や赤まで加わって
しまったかのようにアリスゲームのルールはこれまでにない程破綻してしまっていた。ドール達は完全に行く先を見失い、ローゼン
がすぐそこにいる場で何も出来なくなっている。
もう自分なんか彼女の目にはろくに映っていないと思った僕は、雪華綺晶をあとにローゼンの探索を続けることにした。

結局それは、よけいにローゼンと会いたいという僕の気持ちを強めるだけだったのだ。

364 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:14:25 ID:Kar7fNnI
150

人形師ローゼンが実際に僕と会おうとしていることはいよいよ確信になり始めている。
アリスゲームの源泉。死と殺し、狂気、悪夢……。

暗闇の廊下。歩みを進めていると、墨と黒だけの目立っていた空間に、一つの白い点をみつけた。
白い点はチカチカ光り、ちょこまかとあちこち羽虫のように飛んでいる。もう見慣れたそれは、人工精霊の動きだった。
しかし…この色の人工精霊は…。
「おまえは…たしか、スゥーウィ…だったか?」
七体目の人工精霊。雪華綺晶から離れてひとり単独行動しているらしい。
「ここでなにしてるんだ?」
もちろん、そんなこと問い掛けても人工精霊に意思伝達なんてことはできない。だが精霊たちは、時たま動きだけでその所思を伝える
ことがある。
スゥーウィはしきりにチリチリと自分自身を点滅させる。他の精霊より色が白であるせいか、光が若干強く眩しい。
マグネシウムリボンと酸化鉄が反応して激しく白色に輝き燃え上がるあの光を思わせる。触れれば熱そうだ。
その光で、スゥーウィは廊下の行く先を照らそうと躍起になっていた。
「おまえは…ローゼンの居場所をしっているのか?」僕だけに分かるように案内とは、こういうことだったのか?
雪華綺晶はスゥーウィのことを能無しのものぐさと思っているみたいだったが、実はこの人工精霊には誰も思いのよらなかった
ような秘密を人知れず隠し持っているのかも、と心の中で考えたのだった。
いやあんがい…、雪華綺晶の前でドジしたのも、自分を遇に見せるためわざとした事だったのとしたら…?考えすぎか。

既に闇が身体を捉え、縛り、何処かへ運ぼうとしていた。スゥーウィが真っ白に煌きながら僕を屋敷の奥…闇の奥へと案内していく。

あまりにも白く輝くスゥーウィに照らされる廊下は、逆に暗い部分の影の闇を強く強調する。白く照らされる部分と影に隠れ暗闇
の部分。その落差が激しく白黒しすぎているのだ。

"長く夢見る者は、自分の影それに似てくる"

そんな言葉を、スゥーウィから伝えられた気がした。
迷宮並みの廊下を導かれるまま進み、いよいよスゥーウィはある扉を掲示された扉してきた。
生唾を飲み込む。いよいよローゼンとの対面・・・なのか?
すでにスゥーウィはその扉のみをチリチリと照らし続け、扉を開けろと命じている。
その扉は重厚そうなゴシック様式のものだ。みるに装飾の数が半端ない。失われし王室の入り口みたいだ。

僕は扉の前にあるきより、取っ手を握って開いた。

365 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:15:33 ID:Kar7fNnI
151

その部屋の中は真っ黒だった。光のない暗さというよりももっと絶望的な暗闇にそこは支配されていた。
ローゼンが例え本当にここにいるとしても、その姿をみることは決して出来そうにない。なるほど、これでアリスとの初待遇を
保障するつもりだろう。
僕はその場でひざまずき、目を瞑ってローゼンの声を待ってみた。方向感覚を失い、どっちから部屋に入ってきたのかも分からなくなる。
もしローゼンがここで僕に声をかけてくれなかったのなら、永久にここから出れない気がした…

「少年。年はいくつだ?」
間違いない。これはローゼンの声だ。それは闇の向こうから響いてくる。彼の声を聞くのは初めてだったが、僕がずっと考えていた
声とそれはほぼ一致していた。そうまるで人間という人間、物質という物質を超越したような存在の囁く声だ。僕は跪いたまま答えた。
「16です」
僕はすぐに果たして僕の声がローゼンに届いたのか不安になった。声は瞬く間に闇の中へと吸収され、どこか別空間に流れていく
気がしたからだ。
しばらく時間が経過すると、それは不要な心配だったと分かった。ローゼンの声が僕に返って来る。
「名前は?」
「桜田ジュンです」
「真紅の契約者か?」
「そうです」
「スゥーウィは正しく行いをしたようだ。出身はどこだ?」
「…日本です」
「日本か。私も日本を訪れたことがある…ドール達の名前はこの国の言葉で考えた。私はありあらゆる敵と危機から逃れるため、
シベリア鉄道からウラジオストク経由で日本の土地へと到着した。もうずっと昔のことだ…私は日本のセンポースギハラに命の
貸しがある。入国のためのビザを書いて貰ったのは彼からだった。あれから何百年も経ってしまったゆえ覚えてはいないが、
ドール達に名前を日本の言葉で与えたのは、スギハラとその生み出した国への敬意か謝恩かだったのかもしれない…少年、
センポースギハラは後生どうなったのだ?」
闇から届いてくるローゼンの声はまるで神の声だ。何百年も生きているのに、歳はピタリと止まり進んでいない、時代を超越した
存在の声。どこから聞こえてくるのかその方向も掴めず、ローゼンがいま、自分の前にいるのか横にいるのか後ろにいるのか
こちらからはまったく分からない。
しかし…センポースギハラ。杉原千畝さんのことか。ビザを書いたことで数千人のユダヤ人を救った人だ。ローゼンもその一人
だったということなのだうか。
「僕の知っていることは…彼は日本に帰国したあと…外務省から解雇されて…でもその後イスラエルの政府からお礼の賞が与えられた
としか…」
僕は答える。ローゼンはしばらく恐らく考え込むように黙した後、返答してきた。相変わらず、その姿は闇に溶け込んで見る
ことは叶わない。
「…そうか。…日本に着いてからの私が見るもの聞くものはその全てが新しさで満ちていた…天国がクチナシのかたちで降りて
きているようだった…美しい山々、川で遊ぶ自由の子どもたち…」
そこで彼は喋りを止めて口を閉ざしてしまった。僕がなにかを答えるのを待つかのように。
けれどもなんと言えばいいのか分からない。日本についてのこと?思考をめぐらし、それがまたたくま間に複雑にこんがらがり、
途方にくれると、ローゼンの次の言葉が聞こえた。

「ドールたちは、アリスゲームで戦うように命令した私のことを何と言っている?」

僕はどきっとした。ついにローゼン本人より、アリスゲームそのものの話題が振られてきたのだ。

366 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:16:40 ID:Kar7fNnI
「互いにローザミスティカを奪い合う宿命を彼女達に課した私を、ドールたちはなんと?」
僕は答えた。
「"それが薔薇乙女の運命であり誇りでもある"と、言っていました…"私達は闘っているから、生きている"と」
沈黙。
果たしてこの答えがローゼンにとっての正解なのか不正解なのか、恐ろしい間が流れる。
「…少年、ではお前はドール達に戦いを命じた私のことをどう思っている?」
次なる問いかけ。
「…それは…」
僕は目頭が熱くなるのを感じてしまった。
「ローゼンは…アリスに届かなかった七体の薔薇乙女たちをどう思っているんだろうと疑問に思っていました」
「お前は何を期待している?」
容赦のない質問ぜめだ。心臓が高鳴る。
「…僕はただ…ただあいつらに…闘って欲しくないだけです」
バカで愚かな受け答えだった。もうとっくに闘いなんか終わっている。もし今のことを誠に話すとするならば、何と言葉で表せば
良かったのだろうか?
「お前は私の薔薇乙女たちのことをどう思っているのだ?お前にとっての薔薇乙女はなんだ?」
「…いまではかけがえのない…存在です」
「どういう意味でだ?」
まるで神の尋問にかけられているみたいだ。ふと脳裏にイエスの"最後の審判"が浮かぶ。
「彼女達は…僕に勇気を与えてくれます。その…彼女達が戦い、気高く、究極であろうとする姿…一方、僕はただの引きこもりで、
何もできない奴だったんです。そんな僕に声をかけてくれる彼女達…。僕も応えなければという気持ちが出てくるんです。」
そこでローゼンは再び黙した。
暗黒の空間であるここに取り残されたまま、永久のときが流れるかと錯覚しかけたとき、僕は目撃した。
闇の中でわずかにうごめく影を。
「お前のような人間がドールの契約者として現れてくると思っていた…。そう…それでいい。人形は人の心を癒すもの。
たとえ薔薇乙女の存在理由がそうでなかったとしても。私はアリスを追い求めて薔薇乙女を創り続けてきた…」
アリス。とうとう、ローゼン自身からその単語を僕は聞いた。
「…ローゼンにとっての、アリスとは一体どんな存在なのですか?」
僕は質問した。恐らくこれが薔薇乙女たちの求めてきた答えであり、彼女達に先駆けて問い掛けてしまった僕に果たして本当に
ローゼン自身からの答えを聞く資格があるのか自信はなかった。
「…全てだ」
だが、どうやら僕は答えを聞く権利を与えられたらしい。
「いま私の全てはアリスの為に注がれている。アリスは完璧で、究極の美貌を持つ、至高の"少女"だ。どんな乙女でも適わない…
誰の見た夢よりも美しい。そして、アリスは優しい。ああ…私に優しい。数百年間、嘆き苦しめられた私の心を癒せる優しさが
アリスにはある…。アリスだけにある…。アリスが誕生するとき、私は本当の..本当の愛をようやく注ぐことができるだろう。
…その心に一点の穢れもなく…ダイアモンドのように無垢だ。完全無欠さ…私は夢を見ているか?少年…お前には見えないか?」
「薔薇乙女達には…何が足りなかったというのですか?」
僕は質問に質問で返していた。
「アリスになる為に足りなかったものがドール達の足りなかったものだ。その不足が埋められ、完全な少女が完成するまで
アリスゲームは決して終わらない。やめることができようか?今の盤を終わったと断言できるものをお前は持っているか?
これは覆してはならぬ歴史なのだ。それが必然だとしても、偶然と現すことができても、薔薇乙女がアリスの"然り"を超える
ことは決してない…アリスが誕生するまで」。


367 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:17:25 ID:Kar7fNnI
152

僕は部屋から出して貰った。ローゼンには他にやらなければならないことがあるらしい。一体いまになっても何をしているのか、
考えるだに恐ろしい気がする。廊下に出るとスゥーウィーはもういなかった。
もし、薔薇乙女達がいまのローゼンの話を聞いたらどう思うだろうか?
みんな自分自身に誇りを持っている。みんな自分を生み出してくれたローゼンを愛している。でも、その愛は決して返されない。
頭が疲れきった状態で屋敷の廊下を渡り、角をまがって入り口近くまで戻ってきた僕は、壁際に腰掛けている真紅に一方的に
話している雪華綺晶を見かけた。
僕がローゼンと話しているあいだに、2人は屋敷のなかでふっと出くわしたのだろう。

「確かに、確かに、あの人間は普通ではない。マエストロの業も間違いはないでしょう。あなたは知っている…お父様は、
お父様は…あの人間を気にいっている。本当に気にいってるのです。」

真紅は放心状態のまま、ただ愛しげな瞳で末の妹を眺め続けているだけだ。
ほとんど自分の言葉が彼女の耳に入っていないことにも気づかずに、雪華綺晶は永延と話を続けていた。
またいま近くに僕がきていることにも気づいてはいない。

「アリスとしか会わないはずなのにお父様はあの人間と会った。はなしをした。関係があるといってもいいかもしれない。
お父様とあの人間のあいだにはなにかある。お父様はあの人間のためになにか心のなかで考えている。気になりませんか?
あなたはどうなのです?…何かが起こりつつある。そうです、お姉さま。あなたが知っていないことを私は知っている。
きっと…お父様は心が死にかけているように見えます。お父様の業は健全で、誰も適わない…私達に愛を注いで…考えが明晰で…
でも、その愛が壊れてしまっている。愛が壊れて…お父様はこうしたこと全てを憎んで、…憎んでいるのです!でも、私達のお父様は…
…あー…お父様は私達に手を触れる。分かりますか?…あの手、あの指先が…。お父様は真紅のマスターを気に入っている。
あの人間について何か計画している。アリスでない者に、会ったのですから。わたし?ちがう。ちがう。わたしはあなたを助けませんよ。
わたしがお父様に関わる役は降ろされた。かれがお父様に関わるのです。かれがお父様をたすけるのです。つまり…
もしかれがアリスの代わりに、わたしたちを止めたらどうなります?お父様は、あなたは、みんなはなんていうのでしょうか?
え?かれはドールを愛していた。強さだけが少女の気高さを決めるものでない。かれはマエストロだった。かれは計画をもっていた。
戦うことなんてまちがっていたの…?とんだ嘘っぱち!こうしたことすべてをひとつにまとめるのはわたしの役目なのかしら…?…
わたしが?……お姉さま、わたしを見てください。ちがう!あの人間がなすのです!」

368 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:18:54 ID:Kar7fNnI
153

いまいえることは恐らく、僕がローゼン本人と会って話せる唯一の者であるから、僕が彼に何か言うことを薔薇乙女は望んでいることだ。
アリスゲームの多くを見てきた。だがそれらは本当に……彼の新しい言葉を聞きだすのに役立つのか分からなかった。

落ち着いてものを考えられる空間が欲しかった。
そうして目をつけた場所は、屋敷の外でも廊下でもなく、彼の書庫だった。そこにある本を見れば、ローゼンをよりよく知る
手がかりににりえるかもしれないと思ったからだ。僕は無断で書庫に入る。

書庫には入ってすぐ右の壁際に、机と椅子を見つけた。誘われるままに腰掛ける。座った瞬間、疲れがどっと体に押し寄せてきた…
ある朝第七ドールにnのフィールドへ誘い込まれてから、ここのローゼンの屋敷に至るまで、約まるまる二日…何も口にしていない。
人間は水さえあれば一ヶ月生きられるとはきいたことがあるが、その水さえない…無意識の海でいいから喉に流しこみたい気分だ。
nのフィールドの海には、塩分ってあるのかな……

しょうもないことを考えていたせいで、僕は一枚の黄ばんだ手紙がずっと、机の上に放置され続けていることに気づかなかった。
ほんの小さな長方形の手紙だ。右の手に取って読み上げる。

"愛しのサンジェルマン伯爵へ"

私が人間であるというのは偏見です。…私はインドに居たころは仏陀でしたし、ギリシアではディオニュソスでした。
…アレクサンドロス大王とカエサルは私の化身ですし、ヴォルテールとナポレオンだったこともあります。
…リヒャルト・ヴァーグナーだったことがあるような気もしないではありません。…十字架にかけられたこともあります。
ディオニュソスより

これはローゼンに宛てられた手紙だろうか?
畜生…少なくとも間違いなく手紙の送り主はイカれている。一体誰が書いたんだ、こんなぶっ飛んだ手紙?
「くそ…ここは最高の天国だな…」
手紙をなげだし、頬を机にべったり落とす。…目を閉じる。まる二日眠っていなかったそのつきが、一挙に襲ってきた。
「ここは…最高…の…」お姉ちゃん、柏葉、いまごろどうしてるかな…
眠りの闇と視界の闇の違いを正しく区別出来る者は、少ない。

369 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:19:44 ID:Kar7fNnI
154

パチリと、雪華綺晶は左目を再びあけた。
「8時間…」
屋敷の入り口付近、壁際にもたれ掛かり、ぼうっとあたりを見上げる。二階の手すり。明かりの灯っていないシャンデリア。
「8時間たってもだぁれも変わらない…。どの扉を開いても、行き止まりばかり…私の前で勝手に開く扉たち…
私の罪は消えずにいる…8時間たったのね…」

雪華綺晶が独り言を言っているそこから少し離れたところ、草笛みつと翠星石が会話しているのだった。
「じゃあ…そのアリスゲームというのは、」
みつはその続きを自分で言うのが耐えようもなく辛そうだ。「互いのローザミスティカを奪い合う…ってことは…、」
「そうなのです…要するに私達はもとより、ずっと壊しあうように言われていたのです…」
「私はずっとカナが、…カナが……アリスゲームを挑みにジュンジュンの家に乗り込むといって、いつもそのあと何事もなかった
ように帰ってくるから…それは真紅ちゃんたちとする何かの遊びだと…思っていた…」
「いえ、真紅や私達は金糸雀のローザミスティカを奪うつもりなんてありませんでした。…けど姉妹全員そうではないんです。
第一ドールとか第七ドールとか…七体目は油断ならないやつですよ。ずっといろんな人を騙し続けてきてるやつです。いまは
わかりませんが……」
翠星石は、実はその雪華綺晶本人もすぐそばにいて、自分の声が聞かれているということには気づいていない。
「第一ドールも七体目にはめられてやられたんです。私達もきのう、みんなみんな七体目に殺されかけたんです。ドールで
一番恐ろしいのと聞かれればあの白薔薇でしょうね!でもジュンと真紅がうまく切り抜けて…七体目は負けた。アリスゲームは、
終わったんです。」
みつは話についていくのに必死だった。
「アリスゲームが終わったってことは…だれかがアリスになった…、ということ?じゃあ…アリスには誰がなったの?」
「ああ、それですね。それはミッドガルドですよ」
「えっ?」
「ミッドガルドです。ミルルの泉のすぐ上の根っこを辿っていったところを、あー…右に動いて、近づいていくんです…そう、
そこにあるです。あれですよ。他になんだと思ったんですか?」

「殺されかけた…みんなみんな七体目に殺されかけた…」
翠星石からの言葉を、エコーするように雪華綺晶は繰り返していた。「みんなみんな、ころされかけた…。」
自分が以前したことの、それは独白だった。「でも…そうしなければ私もまたころされないのに。お父様は私にいうの。
理由を訊いてはならないと。愛のなかにはしばしば、狂気があるのだからと…」


370 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:21:30 ID:Kar7fNnI
155

目を開けると、真っ暗な檻のなかにいた。
冷たい鉄…と鉄格子…檻は上から吊るされている。
檻は一つだけではなかった。同じように鎖によって吊るされた檻…いや正確には鳥かごが、見渡す限り無数に存在していた。
それらの多くは空の檻で…闇のなかに吊るされ浮いている。ここはnのフィールド…夢のなかだ。
「そこにいるのは誰…?あなたは、真の契約者ね……」
聞き覚えのある声がした。おどろいたことに、それはもう久しく姿を見なかった、水銀燈のものだった。
僕とは別の檻のなかに閉じ込められ、そこから呼びかけている。彼女の檻は、僕のところよりも下に吊るされていた。
「これは幻か?」
水銀燈は、一度真紅と仲直りしかけた。だが雪華綺晶がそれを再び決裂させた。それから水銀燈はある人間の男を殺し…その
男の夢のフィールドのなかで、再び真紅と戦った。あのときあの男の夢のなかに入ったときは、過酷な溶岩地のフィールド
だったことを覚えている。そこで行われた真紅と水銀燈の最終決戦は、想像絶して熾烈なものだっただろう…しかしなぜ、
水銀燈はあの男を殺したのか、僕はまだわかっていなかった。
「おまえは第一ドールの水銀燈だよな…?幻でもいいから、答えてくれ。お前はあのときどうしてあの人間を殺したんだ?」
まるで水銀燈は、自分一人だけでずっと悩んできたことをすばり聞かれ、心の内をようやく解き放てることが出来ることに
絶望的な自由感を檻の中で感じているように見えた。「…めぐが…そう望んだから……。めぐは命をやり直すことを望んだから…
あの男は、めぐの父親だった…」
「そういう繋がりがあったのか…あの男に…。お前は意外といいやつなんだな」
「えっ…?」檻の中で、水銀燈は我が耳を疑うように聞き返してきた。それからこう言い出す。「おばかな子ねぇ…。私は悪い
ドールよ。人間を殺したのよ。お父様も薔薇乙女はそんなことする存在じゃないといっていた。私はお父様のお心に背き、
罪の血を体中に浴びたのよ。私を見て御覧なさい!あの男の血が私を染めている。私を怨んでいる。でもこれも当然の裁きよ…
私はそれだけのことをしたのだもの。絶望と悔やみの世界よ。私に相応しいと思わない?」

僕は僕の檻の中から、水銀燈は水銀燈の檻の中から言葉を交わす。

「お前はマスターのためを思って、それをしたんだろう?わりとマスターおもいなドールなんだな、と思ってさ。そこはお前の
お父さんも求めていたドールの姿だったんじゃないか…って。ほらあのあと…お前はしらないか、もっとマスターへの扱いが
ひどいドールとか出てきてさ…。」
檻の中で座り込んでいる水銀燈は目を落とす。「めぐは言った…あいつのせいだって…。自分の命は正しくなかったって…。だから…」
「父親のこと…か。彼女にはなんかあったのか…?」
水銀燈は答える。「めぐは生まれつき病弱な子だった。人間の一番大切なところがぽんこつだって…。父親がめぐの病室に
くるたび、いつもめぐは別人のようになっていた。父親を憎んでいた。ろくに娘の見舞いをしない父親…。母親に見捨てられた父親…
おまえのせいで私はこんなざまなんだって、いつもメグは言っていた。めぐの父親は、そうやってめぐが怒鳴り出すとすぐに
そそくさと病室を去っていったわ…。」
そう語る彼女の口調から、めぐに同情し救いたいという水銀燈の気持ちが伝わってくる。生まれつき病弱で父親に愛されないめぐの
ことは、水銀燈にとって決して他人事ではなかったのだ。
「それでめぐに代わってお前が父親を殺しにいったのか…」
「…」
彼女は黙り込んだ。"父親を殺す"という言葉のもつ意味が彼女には恐ろしすぎたのだ。
「でも…、そのめぐという人の気持ちわかるかもな。僕だって何度か、父親を殺したいと思ったことあるしね」自分でいいながら、
僕はこんなことを喋ってしまったのかと後になって気づいた。
「あなたが…?」
「僕は両親の顔を見たことがない。ずっと僕と姉をおいてどこか出かけてしまっている。勝手な両親ども…そう、あいつら
のせいで僕の人生もめちゃくちゃだ。一度夢を見たことがある。突然夜中に醒めて、姿も知らない父親を殺しにいく夢を…
まあ…、お父さん大好きなお前には分からないよな」

371 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:22:57 ID:Kar7fNnI
「……」
再び彼女は黙り込んでしまった。僕から顔をそらす。どういうことだ?まさか水銀燈までそんな気持ちが在るわけあるまい。
「でも私はもう永遠に…お父様には会えないのよ…ずっとこの檻に閉じ込められたまま…。お父様はひどいわぁ…。最後まで
私にあってくれないなんて…」
もしここで僕が、水銀燈ローゼン本人と会って話したことがるとうっかり口走ったら間違いなく殺されるだろう。
「…お前になにかマスターにいいたいことがあったら、僕から伝えようか?」僕には水銀燈にそれしか出来なかったのだ。
「…」水銀燈は少し黙り込む。「戦いの日々のなかで…あなたは私に安らぎを与えてくれた。めぐにはそう伝えてくれる…?」
「わかった…」
闇が増し、意識がどこかへ連れ去られていく。
もうここにはいられない。
「さようなら、…真紅の契約者…」
ただ水銀燈の声が最後にそう聞こえていた。

「う…」目が覚める。ローゼンの書庫。やはり夢だったのか?ガンガンする頭と再び襲い掛かかってくる空腹。
両手を机につき重々しい身体を持ち上げる。すると僕の目の前に一枚の黒い羽がヒラリと舞い、机の上にチョンと落ちたのだった。
「夢じゃなかったのか…」
天井を見上げる。闇に包まれた天井。僕は黒い羽を手に持った。クルクルとそれを回す。
「父親を殺したい…、か…」僕たち兄弟をおいて家から出て行ってしまった無責任な両親。よくよく考えてみれば、薔薇乙女たち
と自分の境遇はそう終わらないものだったのかもしれない。
まだ朦朧とした頭の状態で、書庫をあとにする。いまが時間帯的に昼なのか夜なのかも全くわからない…

激しいめまいが襲い、軽快で緩慢な死の香りがした。僕は死のうとしているのかもしれない。ここでアリスが完成しない限りは、
少なくともこのローゼンの世界からは絶対に出れないのだ。水を渇望する喉…。

屋敷の廊下を再びあてもなく歩き回る。残された命のエネルギー…ATPとADPの交換が行われ、着実に底へと近づきはじめる。
あいかわらず絵画の両側には、いろんな人を映した絵画がかざられている。

大きな部屋へといきついた。明かりも消えて、廃れてしまっている部屋だが、もしここが人の住処として正常な状態であったのなら、
たいそう豪華な部屋だったに違いない。部屋の隅に置かれた立派なピアノ、並べられた書棚、美しく凝った装飾の窓ガラス…。
薔薇乙女達四人がこの部屋で集合しているのを見つけた。みんな眠っている。壁に寄りかかり、翠星石は雛苺を抱いている。
同じく壁に背を任せ、真紅と雪華綺晶は肩を寄せ合って眠っている。少しびっくりする光景だ。草笛みつさんもそばで同じように
寝ている。

眠りを邪魔するのも悪いかなと思い通り過ぎようとしていたが、真紅が鋭く自分の気配を見抜いてきた。「ジュン…いるのね?」
「真紅」こうなっては仕方ないので、彼女に応じ方向転換する。
真紅は目を薄く開き、眠気と戦っているようだった。「お父様と…話したの?」次第に意識を取り戻し、動き出す。すると真紅の
肩に寄りかかっていた雪華綺晶が重力の支えを失い、すてんと床に落ちた。彼女もすぐに金色の目を開ける。
なぜなら彼女に真の眠りなどないからだ。
「ああ…、ローゼンと話してきたよ」そう薔薇乙女に話すことは、どうしようもなく心を申し訳ない気分にさせた。
そして…、まる三日水滴も含んでいない喉から発せられる声は枯れていた。
「そう…」真紅は答え、視線を下を落とす。「どんな話を…?」
僕は昨日のかれとの会話を思い出そうとした。「お前たちには何が足りなかったのか聞いてみたよ…」
「お父様はなんと?」
「それは…」続きをいおうとすると、翠星石や雛苺までじっと僕を見つめていることにふと気づいた。みんなが僕の言葉に耳を
傾けていた。くそ…、これからの僕になにが起こるというんだ。「アリスに足りなかったものがおまえたちに足りなかったもの
だって…」
「そんなの答えになっていませんよ!」信じられないというように翠星石が悲鳴を上げた。「ふざけるなです!」
「翠星石落ち着いて」真紅がなだめる。「続きを、ジュン」
僕はうろたえた。この続きに真紅は希望を賭けているが、本当の絶望はこっからなのに。鋼鉄より重たい口が開かれる。

372 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:23:51 ID:Kar7fNnI
「アリスが…完成するまでは…薔薇乙女の…歴史は終わらない…って…」
「そんなのできっこありませんよ!」再び翠星石。「いったいなにがどうなればその究極の少女とやらになるのかも分からないのに!」
それから真紅の元にかけより、彼女の手を持つ。「私の言ったとおりです。真紅、私達はかえりましょう!いくらなんでも
ばかげています、こんなこと!ローザミスティカは新しい持ち主を拒絶し、堪えきれず壊れ、また作り直される。そんなんで
お父様は道は開けている、っていうんです。考えても見てください、真紅。誰が気にするってんです?」
「…帰れなどしないのだわ」真紅の青い瞳は絶望の色をしていた。「帰ることなど…できないのだわ…いえ違うわ…
もう帰っているのよ…ここに」
「ジュン!お願いです」
今度は僕に翠星石の矛先が向けられる。僕はどきっとした。「お願いです、ジュン。もうこの糞溜めに梯子をかけられるのは
お前しかいないです、ジュン。お父様に言ってください。目を開けて、閉じ篭ってないで私達をちゃんと見てくださいって!」

「見たところで、どうなるのです?」疑問を持ちかけるのは、雪華綺晶。「それでお父様の憎しみに変わりを齎すことはできない。
かえって増すだけです、増すだけなのです。怖い?怖い?私は怖くはないの。見るだけでは足りない、空っぽな変化だけ。
一言いわせてもらうと…全てかれが連れ去られないかを気に留めているだけですよ。そうならないと私は願いたいけれど」
「頭に白薔薇二個かざした気狂いの言葉なんか聞ききたかねーです!」翠星石はピシャリと遮断してしまう。
「気狂い…?わたしが…?」「自覚なかったのですかぁ!」
「あーー!!」最後に、雛苺が喚きちらした。「アリスはいるの?いないの?ヒナはよくわからないけど、いるならいる、いないなら
いないでもうアリスゲームは終わってほしいの!!えっ?終わったの?アリスゲームが?じゃあ、ヒナ達はいま一体何しているの?」

アリスゲームは泥沼化していた。
薔薇乙女たちの交わす囁きにもはや意味はなく、うつろなる声だけがこだましていた。

373 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:25:32 ID:Kar7fNnI
156

「だが、なぜ……なぜすべてがだれかのものであり、おれのものではないのだろうか? いや、おれのものではないまでも、
せめてだれのものでもないものが一つくらいあってもいいではないか。時たまおれは錯覚した。工事場や材料置き場のヒューム管
がおれの家だと。しかしそれらは既にだれかのものになりつつあるものであり、やがてだれかのものになるために、おれの意志
や関心とは無関係にそこから消えてしまった。あるいは、明らかにおれの家ではないものに変形してしまった。では公園のベンチ
はどうだ。無論結構。もしそれが本当におれの家であれば、棍棒を持った彼が来て追い立てさえしなければ……確かにここはみんな
のものであり、だれのものでもない。だが彼は言う。"こら、起きろ。ここはみんなのもので、だれのものでもない。ましてや
おまえのものであろうはずがない。さあ、とっとと歩くんだ。それが嫌なら法律の門から地下室に来てもらおう。それ以外の所
で足を止めれば、それがどこであろうとそれだけでおまえは罪を犯したことになるのだ。"さまよえるユダヤ人とは、すると、
おれのことであったのか?」

人形師ローゼンは、手に古そうな本を持ち、その内容を床に腰掛け僕に音読していた。
僕はただ黙って聞いている。恐らくそれは日本の書物だとは思うが、僕がさっき初めて彼と会話したときに日本人と名乗ったことから、
彼はこの選出し読み上げているのだろうか。僕がもしイタリア人だと名乗れば、…あるいはアリスゲームの勝者が別の国の時代で
でたときの契約者がイギリス人だったら…彼は別の本を音読していたのかもしれない。

「…家……消えうせもせず、変形もせず、地面に立って動かない家々。その間のどれ一つとして定まった顔を持たぬ変わり続ける
割れ目……道。雨の日には刷毛のようにけば立ち、雪の日には車のわだちの幅だけになり、風の日にはベルトのように流れる道。
おれは歩き続ける。おれの家がない理由がのみ込めないので、首もつれない。おや、だれだ、おれの足にまつわり付くのは?
首つりの縄なら、そう慌てるなよ、そうせかすなよ、いや、そうじゃない。これは粘り気のある絹糸だ。つまんで、引っ張ると、
その端は靴の破れ目の中にあって、いくらでもずるずる伸びてくる。こいつは妙だ。と好奇心に駆られて手繰り続けると、
更に妙なことが起こった。しだいに体が傾き、地面と直角に体を支えていられなくなった。地軸が傾き、引力の方向が変わったの
であろうか?コトンと靴が、足から離れて地面に落ち、おれは事態を理解した。地軸がゆがんだのではなく、おれの片足が短く
なっているのだった。糸を手繰るにつれて、おれの足がどんどん短くなっていた。擦り切れたジャケツのひじがほころびるように、
おれの足がほぐれているのだった。その糸は、へちまのせんいのように分解したおれの足であったのだ。もうこれ以上、一歩も
歩けない。途方に暮れて立ち尽くすと、同じく途方に暮れた手の中で、絹糸に変形した足がひとりでに動き始めていた。するすると
這い出し、それから先は全くおれの手を借りずに、自分でほぐれて蛇のように身に巻き付き始めた。左足が全部ほぐれてしまうと、
糸は自然に右足に移った。糸はやがておれの全身を袋のように包み込んだが、それでもほぐれるのをやめず、胴から胸へ、
胸から肩へと次々にほどけ、ほどけては袋を内側から固めた。そして、ついにおれは消滅した。後に大きな空っぽの繭が残った。
ああ、これでやっと休めるのだ。夕日が赤々と繭を染めていた。これだけは確実にだれからも妨げられないおれの家だ。だが、
家ができても、今度は帰ってゆくおれがいない…」

374 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 01:27:32 ID:Kar7fNnI
「坊や、彼が何を言っているのか果たして分かりますかな?」
僕の前にラプラスの魔が屈み、指を立てて聞いて来た。
「彼が何を言っているか、坊やには分かりますかな?これは簡単な弁証法のたとえ。それも極めてシンプルな弁証法ですよ」
ラプラスの顔をこんなにも近くから見るのは初めてだ。
「さあ、坊っちゃん。クールに振る舞い、リラックスして、かれを理解するんです。至って簡単な弁証法…自分という存在の
位置づけは何処なのか帰るところとは何処なのか、突然朝目覚めたら巨大な虫になっていたことを発見しただとか自分から
自分の名前が逃げ出してしまっただとかそんな変異はまずございません…自分は自分であり続けます。あなたはあなた私は私。
この私がいるときあなたは私でないし私がいればまた薔薇乙女は薔薇乙女。あなたが他のだれでもない限り、あなたはあなた
という罪を担っている。これが弁証法の考えの例えですよ。よろしいですかな?その論理にあるのは愛と憎悪のみ。
愛するか憎しむかだけなのです…」
「黙れ!野良兎め!」
ローゼンは怒りに高ぶった声を出し、手に持っていた本をラプラスに投げつけた。「野良兎め…失せろ…フィールドの
目め…忌々しいフィールドの目め…」

するとラプラスは立ち上がりそわそわと僕の前からこういい残しながら立ち去った。
「それではそろそろ私はずらかるとしましょうか、ソーン。翌日道化師が汽車の踏み切りとレールの間で見つかったりしないようにね。
最後に人を怒らせたりすれば、兎は夜彼の息子のおもちゃ箱に移されてしまう」

ラプラスが部屋を去ってからしばらく。ローゼンも僕もずっと口を閉ざし、沈黙だけが流れた。
ずっと彼と一緒にただ同じ部屋にいる。自分でなにをすべきかは分かっていた。だが、そうはならなかった。
そうもしているうちに彼は本を床に置くと、僕の前から歩き去っていってしまったのだった。一人その場に残される。

「あ、あれは…?」
そうしてローゼンがいなくなったことで初めて、僕は後ろで横たわっているある人影をやっと見つけたのだった。
それはドールショップの店主であり彼の弟子の、槐の姿だったのだ。ずっと闇のなかでローゼンの背中のうしろに隠れていた。

僕は理解した。
槐がもう呼吸をしていないことを…。酸素を吸い生命活動をしていないことを…。彼は死んでいた。
なにがどうしてこんなことになったのか何がしたいのが自分でも分からなかった。ただ顔と頬がどうしようもなく熱くなり、
僕は泣いた。老婆のように泣いていた。…槐と薔薇水晶。師であるローゼンに挑み、薔薇水晶を創り上げ、アリスを目指した
彼と彼女の願いと野望は、こんな形で終わってしまったのだ。自分でも悔しかった。どうしてこんなことに?槐は殺されてしまったのか?
でもだれが?どうして殺されなければならなかったんだ?槐の姿そして薔薇水晶の一途にアリスを目指し戦い続けた姿を思い出す
たび、悔しさで涙は増したのだった。
生まれて初めて、僕は神に本気ですがりたい気分になった。

だが神はおろかこには自分以外のだれもいない。床を這い、手をのばす。取り囲む闇ばかりが方向感覚を失わせ、
ついに体力の限界を悟ったとき、最後視界が完全に閉ざされるまでに見たものは、地に落ちてゆく自分の右手の先だった。

375 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:30:14 ID:Kar7fNnI
157

薔薇乙女たちは再び無言となった。

信じがたい光景。愉快な薔薇乙女たちがいま四人も揃っているのに、この暗さは何なのだ。みつは思った。
自分がなにかしなければならない。するとふと彼女の目に、部屋のピアノが目に留まった。
「そうだ!ねぇ、みんな。みんなはピアノを弾ける?それとも私が弾こうかしら?こう…わたしも実は学生時代に習っていたから…!
なにかリクエストとか、あるかなぁ?」そういい、古びたピアノのほこりを軽く払い、椅子に腰掛ける。
「…」
薔薇乙女たちは沈黙したが、考えているようだった。みつはリクエストされるのを待つ。
最初に真紅が口にだした。「そうね…では、ベートーベン ピアノソナタ 第8番」
「ではここは無難に、トルコ行進曲でも…」次に翠星石。
「ねこふんじゃった〜」雛苺のリクエスト。
「ねこ…」幼稚すぎる選曲に突っ込もうとした翠星石の隣で、雪華綺晶がリクエストを出した。「パルジファル、ワーグナー」
「はぁ〜!?」突っ込みの対象が第六ドールから第七ドールへと反転した。「なにいってんですか白薔薇は?」
雪華綺晶は首の向きを変えて翠星石を見返す。「なにかもんだいが?」
「…」翠星石は一度首を落とし、一撃で相手を撃沈できる言葉を分かりやすくかつコンパクトになるよう頭の中で素早く練り上げると、
やがて首を再び持ち上げて口を開いた。「いいですか。白薔薇。その曲はですね、フルート3、オーボエ3、イングリッシュホルン、
クラリネット3…といった具合にたくさんの楽器が必要なのですよ。あれを見てください。ピアノ一つしかありません。ピアノ
一つで奏でられる曲ではないのです。分かりましたか?」
雪華綺晶はつまらなそうに口を噤んだ。こう答える。「これは聖杯の伝説に基づいた話のオペラなのです。サングレイル」
「……反論になっていません…と、とにかく、リクエストしたいなら別の曲にするです」
するとしばし雪華綺晶は考えた。「それでは…シングシックスペンス・生きた鳥のパイ包み」
翠星石は激しく首を振った。「それもだめ!アクセス拒否です!お前の悪趣味さ満点です!」
「でしたら、アラバマソング…クルト・ワイル、マハゴニー市の興亡」
さらに翠星石は首を大きく横に振る。「だめだめ!だめですっ!それもだめ!ボーカルがいませんよ!」
雪華綺晶は穏やかに笑みを返す。「…ならボーカルは私がやりますわ」
「聞きたくありません!」
「ならばインフェクテッドマッシュルームのエレクトロパニックは?」
「もはやわかりませんがきっとそれもだめです!サイケデリックぷんぷんです!」
雪華綺晶の目に非難と悲嘆が篭った。「グループもの全て却下ではありませんか!」
「だ〜か〜ら〜っ!楽器がピアノひとつしかないんですから〜!グループものなんてよくないに決まってるですぅ!」
負けず劣らずの怒鳴り声で翠星石が言い返すと、きょとんと雪華綺晶はかたまった。それからしばしたって、急に理解したように
彼女はふっと笑いだして言った。
「なるほどそういうことでしての…なら初めからそう言ってくだされば…」「初めッから言ってるですぅぅ!!」

「ただ一つピアノだけで奏でられる曲で、歴史的名作を知っていますよ。きっとお姉さま方も気に召すはず。ふふ…」
不穏に笑顔を作る雪華綺晶。全員が彼女の次の言葉に注目した。

「魔王。シューベルト」


376 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:31:42 ID:Kar7fNnI
158

夜闇と風を切って、馬を走らせて行くのだぁれ?
それは、子を連れた父親でした…
父は子を腕にしっかりと抱きよせている
温もりをわけあって

「ぼうや、何が怖くて顔を埋めている?」父親役は、真紅。
「お父さん、魔王がいるの。王冠と衣をつけた恐ろしい魔王がいるの。」
子供役は雛苺、ある意味適任か。
「ぼうや、大丈夫 あれは夜に揺れる夜霧の影だよ」真紅は役になりきり、出来るだけ自分の口癖を避け男言葉を心かげていた。
真紅の背中のすぐ後ろに雛苺が座り足をだし、2人は馬に乗っていることをイメージしている。

かわいいぼうや ぼくのところへおいで
一緒に遊ぼうよ 楽しいよ!
岸にはお花がたくさん咲いているんだ
ぼくのママに言って素敵な金の服も いっぱいあげるよ

魔王の台詞を読み上げるのは、翠星石。やはり適任かもしれなかった。

「お父さん お父さん! 魔王がヒナに恐ろしい約束を囁きかけてくるの!お父さんは聞こえないの?」一方雛苺は役になりきれて
おらず、自分をヒナと呼んでいる。だが、逆にそれは演劇を熱くさせた。

「怖がるな 大丈夫だあれは木枯らしが風に鳴っているんだ」

美しいな少年よ… さあ一緒に行こうよ
私の娘が きっと君をもてなすことだろう
私の娘が 夜の舞いを踊って
一緒に踊ったり、君を揺すったり、歌を歌ったりしてくれるよ

「お父さん お父さん! あれが見えないの?魔王の娘が、あの暗い闇に現れたなの!」

「息子よ 私の息子よ わからないのかあれは年老いた柳の木ではないか」頬に冷や汗を流しつつなだめる真紅。

君を愛しているんだ 君は美しくて魅力的だ
そしてね 嫌だというのなら無理にでも連れて行くぞ〜!

「お父さん お父さん! 魔王に連れて行かれいかれちゃうの!魔王がヒナひっぱっていくの!」真紅の背中にしがみつく。

クライマックスのナレーターを、その得意の不気味っぽくかつ柔らかな語調で雪華綺晶が締める。

父は震えて 馬を駆った…
喘ぐ子を腕にしっかりと抱きかかえて
ようやく館にたどりつきましたが…
その腕のなか、子供はすでに息絶えていた…

377 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:33:50 ID:Kar7fNnI
159

「なんていうか…あんま時間つぶしにならなかったです…ジュンのヤツは何処にいったです」
ひとしきり演劇をおえ、ドールたちは一息ついた。「みんなかわいかった〜!」ピアノ演奏を終えてからはしゃぐみつ。
「けれど…考えてみれば魔王って」いきなり真紅が問題提起しだした。「結局何者だったのかしら。子供にしか見えなかった
のでしょう?」
「オヤジにも見えていたけど、ガキを安心させるためにそれは柳の木だとか言ってごまかしていたんじゃないんですか?」翠星石。
「いろいろな話がありますね」雪華綺晶。「もともと作詞はシューベルトではありませんてよ。他の作曲家の魔王も。
聞いたことないのですか?作家によって、魔王の正体が変わってくるの…実は魔王とはパパだったとか、おもしろそうな説もある。
パパは息子が可愛すぎて食べちゃったのかしら…?」
ぶるっと、真紅や翠星石は背筋を振るわせた。
「それと、」雪華綺晶はさらに言う。「物語のなかで子供の魔王の扱いが変わっているのを知っています?これは」
「いえ、いえ、もういいですよ」翠星石は両手を振って七体目の話を追っ払った。「お前の音楽の趣味はよくわかりましたから」

「おなかへったなの〜」急にぎゅうとお腹をならし、雛苺は床に転げて呟いた。「最近ずっとなにも食べていないのぉ〜!」
真紅は無言で頷く。薔薇乙女の長い長い一生のうち数えるほどの、それは珍しい雛苺への賛同だった。
「私もここ最近紅茶も飲んでいないのよ…そうだわ!」急にポンと手のひらをグーで叩き、真紅は提案した。「姉妹みんなで
なにか食べられるものを作りましょう。鍋料理のような、みんなで楽しく食べれるものを!」
「さんせーなの!」
「な、なんか真紅が料理の話をしだすと危ない流れになる気もしますが、ここは翠星石も協力せざるを得ないのです。やってやりますよ。」
「みっちゃんさんもどうかしら?」真紅はみつも誘う。
「えっわたしも?いいの?ありがとう!」ここにカナもいてくれれば。みつはぎりぎりでその言葉を心にとどめたのだった。

378 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:36:42 ID:Kar7fNnI
160

「真紅〜、とりあえず食べられそうなものいっぱい集めてきたなの〜」どっかの見つけた来たのか、木製の小さなかごの中に、
見たこともない大量の植物っぽいのを入れて雛苺がやってきた。
「そう、雛苺。ではこっちに運んできて頂戴」真紅はやはりどっから取って来たのか鍋を用意し、蒔きとなる木を重ねた上に
設置している。鍋は、蒔きを囲むように置かれた三つの石に丁度支えられていた。
「いえっさ〜なの」
雛苺が運んできたそれを見て、翠星石は面食らった。「それはなんです、チビ苺」
「きのこに、白菜に、」濃いエメラルド色の植物を指して雛苺はいう。「これはレタスに…」
「ちっげーですぅ!」翠星石は悲鳴をあげ、地を踏みしめた。「いったい何処の惑星からとってきた植物なんです?こんなの
毒はいってますよ毒。ローザミスティカを腐られる効能があるに違いありません」
「いいじゃないの、翠星石。気にしすぎよ」真紅があやしてきた。「お父様だってここにいるんだから、食べられるわよ。
さ、ホーリエ」名前を呼ばれた人工精霊が真っ赤に発光し、蒔きに火をつけた。すでに鍋の湯を熱し始めている。
「な…。ところで、真紅、その鍋の湯はまさか…」
「無意識の海から汲んで来たわ」
「闇鍋をするなんて聞いてませんよ!!」翠星石は叫喚した。
「あら、大丈夫よ。それに他にないんですもの」真紅は自信たっぷりに鍋の中の水をかき回す。「無意識の海だって熱すれば
無難な水ができるに違いないのだわ。知らないの、翠星石?向こうでも海の水は熱して塩分をとれば飲める水になりそうよ」
「そ、そんなバカな…」
「さ、雛苺、それらを入れてしまいなさい。いえ全てではないわ。鍋料理に適したものを私がこの目で選び抜いてみせるのよ」
「ああ…予感は的中したです…。真紅とその地獄の闇鍋パーティーが始まりました…」
「なんかいった、翠星石?」
「いえいえ、じゃあ私はだしになりそうなものでも探してきますよ」
そして踵を返し、進もうとした矢先 −「きゃあ!」翠星石の目の前になにかが空より隕石の如く落下してきた。
「掴まえましたわ!」
雪華綺晶だった。両手には、見たこともない鳥類が握られている。「これもきっと食べられますでしょう!」
「白薔薇はなんか肉系をとってきたですか…まあ雛苺のやつよりはましそうですね…」
「でかしたわ、雪華綺晶」
既に真紅の闇鍋の悪魔的儀式の準備は着々と進められていた。鍋のなかに入れられた怪しげな植物が鍋の湯の中でゆでられ、
出てきたダシが湯を緑色っぽく染め始めている。
「さあ、その鳥をこの鍋に入れておしまい!」
すると雪華綺晶は顔を青ざめさせて退いた。「その鍋はなんですの紅薔薇のお姉さま?」
「名づけて…"真紅オブザハッピネス"よ」
やはり何処からひろってきたのか、小さなおわんの器にスープを入れて味見すると真紅は言った。
「いい具合ね。きっとおいしく出来るわ」

379 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:38:02 ID:Kar7fNnI
ところが、雪華綺晶は明らかにその鍋に恐れを抱いていた。「"真紅オブザダークネス"なのでは?」
「末の妹の癖に生意気な口を叩くわね」そう言って真紅は雪華綺晶を横目でにらみつけた。「さっさとこっちに来て座りなさい!姉の命令よ」
言われたとおりに、恐る恐る雪華綺晶は真紅の隣に座った。まるで未確認生命体を見るような目つきで鍋を眺めている。
不意をついた真紅の手がぱっと伸び、雪華綺晶の手から二匹の鳥を奪い取ると鍋の中に放り込んだ。
「あああああっ!」
雪華綺晶は声を張り上げ、信じられないという風に真紅を見つめた。「何を、何をなさるのです!?せっかくの鳥さんが!」
「なに、あなた、生で食べるおつもりだったの?」
真紅もまた非難するような視線で白い妹を見返す。「鶏肉は煮るとおいしいと思うのだわ」
「なんてもったいない!」
それから雪華綺晶は半べそかきながら身を乗り出し、鍋の中の可哀想な鳥さんたちを見つめた。
「肉は生で戴くものでしょうに?折角の新鮮で赤色の肉が廃れてしまう!」
「肉を生で…」味見しながらリピートし、真紅は雪華綺晶の口元を眺める。
それから、突然その口の中に人指し指を突っ込んだ。
「あがが!」急な侵入にびっくりする雪華綺晶。
「その獣のように尖った犬歯!」真紅はまさに指摘したその犬歯の上に指を置く。「それでも乙女なの?こんな歯をしてるから、
肉を生で食うものだなんていえるのよ!少しはハンバーグだとか上品で高潔な食べ方も知りなさい。あなた今までその歯で肉食獣でも
噛み切ってきたのかしら?」
「ふがーっ!がー!」雪華綺晶は反論しようとするが、歯の上に指が置かれてはうまく喋れない。
憤慨した顔をみせつつようやく真紅の指を口から追い出すと彼女は言った。「既に死んだものなんて喰らっておいしいのですか!?」
「まあ、呆れた!」真紅が口に手を添えて大げさにいう。「思考そのものが獣そのものなのだわ。雛苺よりひどい。やはりあなたは
雛苺より幼い妹ね。というより、幼さの次元がもはや人心を超えてしまおうとしているわ」
「それに、そっちのはなんなのです?」
しかめっ面で鍋の中の別の物体を指差す雪華綺晶。
「ジャ・ガ・イ・モよ!」真紅が言った。「そうだわ、鍋料理というよりシチュー路線なんてどうかしら?」
「…どうとでもするのがいいです」
雪華綺晶は言い捨て、その鍋から離れるとゴロゴロ野原を寝転がった。「ジャガイモ、お姉さまが喰えばいいですわ」
真紅はまた一口スープを味見しするとため息をついた。「はぁ…、救いようがないわね…」

380 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:41:07 ID:Kar7fNnI
161

いまごろ現実世界では天と地がひっくり返っているのだろうか。真紅の闇鍋は成功した。
ドールたちはほとんど鍋料理をみつと楽しく食べ終えてしまった。もとより食材がよかったらしい。というより、唯一その場
の人間だったのみつがどうにか助けて、料理らしい料理になるようへと手助けしたのだった。
さすがに鳥まるごといれたものはドールたちから遠慮されたが、耐え切れず結局雪華綺晶がそれを平らげた。その噛み砕きっぷり
はまたしても姉妹達を恐怖に陥れた。

「いやぁ、びっくりですよ。まさかこんな味が作られるなんて、鍋料理っておいしいんですね」満足そうに言う翠星石は、
まだどこかそれが信じ切れていない様子だ。「いまごろルーヴル美術館のなかでモナリザの顔が怒り狂っているんじゃないんですか?」
「どういういみ?これは必然なのだわ」口元を拭く真紅。「当たり前のことでしょ?」

「あれ、真紅は、それはなんです?」
翠星石はまだなにか残されている長細いビンを指差した。
「ああ、これは…」真紅もおもむろにそれを手に持ち、キャップをあける。「多分なんかの飲み物よ。紅茶はどうしても見つからないから
諦めたけれど、代わりにこれで喉を潤しましょう。さ、あなたも。」
「あ、真紅ちゃん、それ…」みつが警告しようとした時は手遅れだった。
恐らく酒瓶だと思われるそれを真紅は直接口に含んでいる。人形とはいえ10代前半の少女の為の飲み物ではないそれ。
真紅の口からビンが離れた。「ぷは…なに…これ?」
既に真紅の顔の頬は紅く紅潮し、視線が泳ぎ始めている。そして突然、こういった。「おいしいのだわ!」
「え?」
「ちょっとあなたたち!!翠星石雛苺雪華綺晶!こっちにきなさい。すぐに!」
まるで命令口調で言った真紅に2人ほどのドールが振り返ったが、いつもの真紅がそこにはいなくなっていることを悟るのはほぼ
それと同時だった。
「なにしてるの!くるの。い・ま・す・ぐ!」
「マイヤミコンサートでも開くのですかお姉さま」皮肉めいた質問をしてきた雪華綺晶にいきなり真紅がブチ切れた。
「訳の分からないこといってないできなさいっていってるの!!」声の勢いだけで雪華綺晶の白い髪がはためき舞い上がる。真紅は
完全に頭に血が上っていた。雪華綺晶の首を片手でつかまえ、足で彼女の左足を払うと手痛く彼女を野原にたたきつけた。
上から七体目を押さえつけたまま、真紅は自分の飲みかけのビンの残りを無理やり雪華綺晶に飲ませた。
「これで姉のほんとの愛ってのが分かるものよ!!」と真紅。すでに翠星石と雛苺は十分に2人から距離をとっていた。
ビンは空になった。終始見開きっぱなしだった雪華綺晶の目。
頬を紅潮させたまま、上からふっと真紅は悪女っぽく微笑みかける。「どう?最高でしょ?」
「あ…あっつ…」真紅をふりほどき、雪華綺晶は独りでによろよろ立ち上がろうと試みた。「体があつ…でし」
そうしても間にも真紅は二瓶目に手をかけ、やはり直接飲みしていた。もしかしたら本当にそれを心からおいしいとは思っていなかった
のかもしれない。だがアリスゲームを一度仮にも制して尚足りないといわれる自分に完全にぐれ、酒にあけくれるように堕ちて
しまった少女のようにそれは思えた。
「あっつ…胸が…あつい…」一方無理やりそれを飲まされた雪華綺晶はふらふらと野原をふらつきながら自分のドレスに手をかけて
いた。「熱い…脱ぎた…」
「あわわわわ白薔薇のやつほんとにやらかしそうです!」いつかした翠星石の予言をまさに七体目はその通りに実行しそうに
なっているのだった。

381 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:45:24 ID:Kar7fNnI
「どうせ見たいのでしょう!?」
よろめきつつかなりきている台詞を言い出す。胸の露出されている部分のドレスをはためかす。
「私が究極の少女になるかどうかより、そこを気にしているんでしょうが!そうですか!これが気になるのですね!レディー?
レディー?レディー?レー、レー、レー、レー、レー、レー、エあ!わお!wah!ah!oh!hah!」
「いえいえいえいえ誰も気にしてませんからもうこれ以上狂うなです!」
「waahh!」
真紅に続いて雪華綺晶も酒が効き酔っ払い、完全に発狂してしまった。ふらつきながら空に向かって絶叫する。
「コックロビン!ohなくていいこれ以上は!ひとのこころを奪ってアリスに昇華ってなんなの?自分の手ですりゃいいのに!
愛?愛?愛?愛?愛?愛?愛?愛?いまに喰ってしまえファッキラビン!ohブルシットどうせ私の踊る姿が見たかっただけ
だったのしょう??」いままでにない大音量の声でくるくる踊り出す。「踊ればいいのね。ohシット!ぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐる見える見える話したいことはこれだけ!?」さらに驚くほどの大声が発せられる。「まわるわたしはまわるアリスゲーム
はまわるるゲームはまわるくりかえされるなんてなんて無意味なの!!ohシット迷子になる遠くはなれるまたあえる!
ファックアップだれがとめるのこんなこと?ohおとーさまがとめてくれるの?oh−とーさま!6x[:xpo」
そこへ、同じく頬を真っ赤にして酔っ払い状態の真紅が加わった。「しんじてきたただ一つのこと!ずっとねがってきたただ一つのこと!
だれが一番叶えてくれるのかしら?何度も何度もいってるのに絶対わかってくれないのだわ!!」

真紅と雪華綺晶は泥酔状態のまま合流し互いに肩を組み、それぞれ別方向にふらつきながら歌うように続きを叫びだした。

「アアああああああああああああああああああおおおおおおおっっっっっ!!らーらーらーらーらーらーらーらー」

「きいてくださいおとーさま!3le:¥ゲームのおきてに幻でないものがひとつもなかったのです!ともにいって、
死体を焼く蒔き「わたしたちは永遠の姉妹」となって一緒に燃え上がる「ずっとずっと、」のが「ローザミスティカ」美しい…
お父様のばかっ!なぜわかってくれないの??」

翠星石は真紅が雪華綺晶の狂気に同化されてしまったのかと心配になったが、そうではないことが理解できた。
2人して別のあたらしいものに同化しつつあったのだ。きっと近いうち自分もそれになる。いやそれを望んでいるのだった。

「ぜぇ…はぁ…はぁ」真紅と雪華綺晶は力尽きたように床に手を就き、互いに離れた。「嘘だと知っていても…魂に火を点す…」
ふっとなにかに気づいた様子の雪華綺晶があれっと顔を上げる。「私に火が点ったら…融けてなくなるのでは…」
「いっそ融けてなくなりたいわ」真紅の首から上は真っ赤に高揚していた。いまそれを懸命に冷やそうとしている。「ああ…
一度くるってみるって…気持ちいいわね…自分が自分でなくなりそう。お父様はどこ?」
「だから、すぐ近くにいますよ」体を休めるように野原を転げ仰向けになって雪華綺晶が答える。「私なにを喰わされたのかしら…」
「はぁ…、はあ、そう」息を乱しつつ真紅は自分の手をみつめる。「はあ…わたしさっき…お父様のことをなんと…?」

もし四日前の真紅がいまの2人を見たりすれば、顔を手で覆うに違いない。そして何時間も鞄の中に閉じ篭るに心二つを賭けてもいい。
酔いつぶれ地面をころげ、お父様にうっかりばかと言ってしまう姿は薔薇乙女としてはあまりにも相応しくなかった。
四日前までは真紅もこうなることなんて望まなかっただろう。このような糞穴から生まれたことを知ったいまとなる前までは。

「そのミニスカートでドロワーズが見えないってどういうことなの、雪華綺晶?あなた、下着は履いているの?」
「やだ、そんなこと聞かないでください、お姉さまぁ」
雪華綺晶のミニスカートをめくろうとする真紅の手から彼女は野原を転げて逃げる。
ローザミスティカもマスターも糞もなかった。

382 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:47:46 ID:Kar7fNnI
162

「はぁ……ねえ翠星石、雪華綺晶、それに雛苺も」野原に突っ伏した状態のまま真紅は姉妹達を呼びかける。「聞かせて頂戴…
いまのあなた達にとってのアリスゲームって、何?」
「私は…そうですね…いまとなっては、ですか…二度と繰り返したくない過去というか取り戻したい過去というか…です」
「もうアリスゲームはいやなの。でも、いなくなっちゃったかなりあや水銀燈や蒼星石にも戻ってきて欲しいの」
「虚偽な踊り」
「はぁ……」ドレスを地面に密着させたまま、真紅はため息をつく。「翠星石は正しいかも。アリスが完成するなんて夢の
また夢だったのかしら。私は疲れちゃったわ…。ねえもしかしてアリスゲームって、もともとちゃんとしたゲームとして成り立って
なかったんじゃない?」
「そ、そんな根本からひっくり返るようなこと言うなですぅ…」
「だってぇ…」へんな真紅らしくない声を喘ぎ出して、彼女は野原をまた転げていう。「ローザミスティカは集めすぎると壊れるしぃ…
新しい方法が見つかったと思えばそれも没ぅ…マスターたちと一つに繋がってもだめぇ…」語尾を延ばして、まるで水銀燈のように
真紅は喋っている。「そろそろお父様はなぜ私達にアリスゲームを課したのか知りたいわぁ…いまだからいえちゃうけど…
生きることは闘うことといってたのは…そうして自分の気持ちに逆らって私の意向をゲームの宿命に向けさせようとしてただけ
なのだわぁ…本当は逃げたくて逃げたくて仕方なかったの…だって闘う建前でのうのう生きることだって出来たじゃないの…
ああお父様ぁ、どうしてお父様は私達にアリスゲームを課したの?」
「決まっているじゃないですか。アリスを完成させるためですよ」
「ああ…そう、そうよそう…そうだわ。すっかり忘れていたのだわ」ごろっと野原を転げる。「アリスゲームはどうすれば
勝てるんだっけ…?」
「方法など見当たりませんです」
「あら…?私としたことが、どうもおかしいわ。何も思い出せない。アリスゲームの勝者って何故そんなにも求められていたの
かしら?教えてくれる?」
「私達が大地に触れている限りは分かりっこない気がしますよ。これからどうしましょう、真紅?やけを起こしてないで、
大真面目になっていまこそそれを決める時ですよ」

383 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:49:45 ID:Kar7fNnI
163

僕とローゼンが再び対話するときがきた。
体力消耗で一度気絶した自分のもとへ、再びローゼンが闇の中を歩いて迫ってくる。

「お前は真紅と契約してそれ以来…幾度となく恐怖を味わってきたことだろう。生死の危機を、倫理道徳モラルの恐怖を…」

彼の姿は闇そのものとなっており、影と本人が逆転しているのではないかと思ってしまう。
その人の形をした闇の影…ローゼンは僕の目の前に腰掛けて問うてくる。「お前はその恐怖に陥れた真紅や私を憎んだことがあるか?」

いまこの状況で僕に彼と会話しろというのがあまりにも酷だった。きっと四日…四日たったのだ。飲まず食わずが。
枯れきった喉。長い間使われず衰退しきった筋肉の神経。それらを必死に目覚めさせて喋る。
「………僕は彼女達に…合えてよかったと思っています…」

「お前は私の作った薔薇乙女に出会い、真紅と契約し、アリスゲームを見てきた。お前はドールたちを…真紅を愛しているか?」

ローゼンは僕の目の前でじっと顔を見つめる。彼をこんな近くでみたのは初めてだった。こんなにも近いのに、金髪の髪が見える
だけで顔は完全に闇に隠されてしまっている。

「僕は…真紅と一緒に…アリスゲームを終わらせようと協力してきました。その過程で辛いことも…楽しいことも…思い出がたくさん
出来ました。彼女たちのおかげです…」

相手の目を発見できないまま交わすこの会話は、間に一線を引かれたような奇妙な空間での行いに思える。
ローゼンの顎が持ち上がった。なにやら奇妙な種のようなもの持ってを口に含んでいる。

「お前はどんな方法で私のアリスゲームを終わらせようとした?なぜ終わらせることを望んだ?ドールの中に、今頃アリスを諦めた
姉妹や私に会うことを恐れる姉妹が出てきているだろうか?人の愛に疑問を持つということの意味を知らない者に、アリスを
求め続けてきた私の数百年間を言葉で説明することは不可能だ。愛…愛にはその蔓に多くの棘を持っている」

手に見えない薔薇を横に持つような仕草をしつつ、ローゼンは続ける。「愛とは……呪縛だ。愛に捉われたとき、人は自由を失い、
同時にあらゆる目に入るであろうことを失う。愛という名の呪縛を解こうと…、相手の愛を求める心、渇望する心…支配欲、
愛への脅威、それらに必要なものが目に見えないとき…やがて人は愛の対象を殺すことで己を解き放とうとする本能に目覚める
ことがある。多くの人間が心の奥に持っている闇であり…猛獣であり…棘(いばら)だ。"心の棘"とは友にならねばならない。
棘を友に持ったドールこそが全てを殺し、アリスゲームを制することも出来た」

384 :Rozen Maiden LatztRegieren [:弑殺 The End:2007/12/23(日) 02:51:31 ID:Kar7fNnI
ローゼンは間をおき、床の闇を見つめると、再び顔を上げなおす。

「自分が真に生きるていることを明かす為には、愛することと殺すことを知らなければならない。誰かを愛することと、
同時に誰かを殺すことは生きることの本能だ。全てのドールに、お前にも、私にも愛する権利と殺す権利は盤によって与えられる。
愛し殺す権利はな...だが、愛と殺しを美化する権利はない。愛することと殺すことが噛み合わない"心の棘"は…相手と自分…
二つの魂が完全に相容れないときに生まれる」

ローゼンは一端話を止める。次の言葉を考えているようだった。

「本能のみに従って、人を愛し、殺すことの出来る透き通った精神を持つ者が愛の呪縛に捉われた自分自身を開放するために必要
だったのだ。だがその者は決して心と道徳、力の化け物なのではない。彼には愛に満ちていて、心があり..道義心も兼ねている。
誰よりも相手の愛を理解できる。相手の全てを本当に理解し…その上で、だからこそ、その相手を憎み苦しめようとすることでもなく、
哀れむことでもなく、戒めることもしないで、原始的な殺戮本能を発揮して殺せる者だ。それが実現したときのみ、彼は相手の
魂を自分のものとして得ることができるだろう。ドールを倒し、ローザミスティカを奪い自分のものにしたアリスゲームと同じに...
二つの魂は真の純粋さを以って融合できるのだ。それそのものになり、見て触ることが叶い、ついにそれは実現する。
だがもし相手の魂を十分に理解せず、或いは望まない死を相手に与えれば、魂は新しい持ち主を拒絶する。魂に拒絶された身体
と心は永遠に苦しめられるだろう。いかに愛しい存在であっても、愛する者を殺さなければならないとき…それを自分で美化
してはらない。美化せずに、感情を持たず、殺すことの出来る天性的な本能が求められる。なぜなら、有終という意識の瞬間
こそが愛において最っとも恐るべき心の棘の突き入られるところだからだ。」

僕の前でローゼンが顔を揺れ動かした。語調が変わる。
僕は、ローゼンがいま本当の願いを告げようとしているんだと察した。

「薔薇乙女達は、私の催したゲームの意味、私のなろうとしたものを理解できないのかもしれない。もし私が殺されなければ
ならぬ運命にあるのなら、少年…誰かが行って、薔薇乙女達を再生させてほしい…。私のしてきたこと、お前の見てきたことを
使って…なぜなら、ドール達は既に呪縛の連鎖を憎しみ始めているからだ。もしお前がこれらのことに真に理解できるなら…、
ジュン、おまえがそうしてくれ…わたしのために。」

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 07:41:09 ID:eLwNeH9e
相変わらず長いだけでつまんねーな
はよ終われや


カナのSSマダー?

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 08:58:21 ID:f2ziDvQW
>>385
ちゃんと読んではいるんだな。ツンデレw
まあ、冗長に過ぎると言う意見もあるだろうね。
俺は結構楽しんでいるが。

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 10:07:51 ID:hLIgHHRm
長編SS乙です。
まだまだ先はありそうですな。
楽しみが持続した

ところで、>>365を読んでちょっと疑問。
アニメ版ではジュンは高校生だったのか?

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 10:26:08 ID:1F/9UAlq
もう
わけ
わか
らん

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 12:50:55 ID:BlX+C65T
まぁWEB向きじゃあないな。紙媒体なら楽に読めるが、PCのディスプレイで読むにはちと辛いものがある
誤字脱字もやたら多いし。絶対推敲してないよな。勢いだけで書いてるだろ。だからこんなに書けるんだろうけど
内容的には楽しんでるけどね。背景の解釈はスタンダードだが濃いし、ノリとか雰囲気のセンスがかなり好きだ

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 13:12:16 ID:O2fA53Fm
>>384
乙乙乙
面白かったよ

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 14:34:09 ID:YE0Z2Pzj
>>357-384
長編いつもお疲れ様です。これからも頑張って下さい。

>>385
金糸雀アンチ乙。また粘着始めたのか。本当にワンパターンだな
どうせ信者になりすまして訳も無くSS叩いた後はID変えて今度は金糸雀叩きすんだろ
もうお前一人が演じてるってことバレバレなんだよ
相変わらず低能なことやってんのな

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 19:39:07 ID:9DZtFBQt
すごいな
内容も凄いが
ここまで書き続ける根気が凄い

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 20:09:14 ID:kbgMHfSZ
まあキャラの好き嫌いがはっきりしてる人だとは思う

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/23(日) 21:05:51 ID:wyxmwuX2
乙うううう
めっちゃ楽しみにしてたよ

395 :384:2007/12/23(日) 21:28:42 ID:Kar7fNnI
アホ長い長編読んでくれている方々には感謝しています。感想・指摘もありがとうございます。
いつも無言な自分ですが、無視しているわけではありません。タイトルなどへの指摘も、読ませて戴きました。

自分でもいつ終わるのこれと必死だったのですがやっと終わりまでかけました。
ですが、ラスト部分の容量確かめてみたら、24kbあってぎりぎり500kbに収まりきりません。:E
最後の一部分だけにょきっと次スレにでても相当意味不明になってしまうと思うので、今の段階で次スレにいかせてもらっても、
よろしいでしょうか?というより、152のとこから無駄な部分を削った簡潔版作って、ラストまで一気にまとめて次スレで投稿したい
と思っているのです。

そういう流れでどうかお願いしたいと思っています。

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/24(月) 00:00:28 ID:uiySuxju
ここで誰かがAAで埋め立ててくれたりすると
助かったりするのか?

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/24(月) 00:08:49 ID:QXXYDMOg
>>395
>152のとこから無駄な部分を削った簡潔版作って

次スレにいくのはいいけどどうせなら削らないでそのまま投下してほしい



398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/24(月) 00:17:58 ID:uiySuxju
埋めますか?
埋めませんか?

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/24(月) 00:46:21 ID:3P3L9If5
おやりなさい

400 :384:2007/12/24(月) 00:56:00 ID:UA3qEiXL
>>396
はい。ぶっちゃけww

401 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:12:30 ID:UA3qEiXL
44

ようやく見慣れた我が家の光景を目にしたとき、ジュンは急に体の芯から疲れを感じた。
続いて後から続々とドール達が物置の鏡より湧き出てきた。
雛苺、真紅、そして…水銀燈。まだ真紅と何かを言い合っているみたいだが、
疲れがたまったジュンの耳にはもうその内容は入ってこなかった。
「ジュン君!ジュン君〜!」
部屋の先から聞こえてきた声はジュンの姉のりのものだった。
ジュンは慌てて手元に抱えているぼろぼろの翠星石を部屋の隅のスペースに置き、寝たままの翠星石に一声掛けた。
「ごめん。少し我慢しててくれ…」
のりは姉として稀とも言えるほどの弟想いな姉だ。両親が家にいない今、毎日のご飯はほとんどのりが作っている。
不登校のジュンをめげる様子も見せずに励まし続け、見守り続け、最終的にはジュンを学校へ通わせたいと心から願っている。
だがジュンにとって普段それは鬱陶しいものだった。
自立に憧れ始める年頃の一方で、いつまでも姉に世話をされていることに不登校で未来の無い現実をいつも思い知られた。
「ねえちゃん心配しちゃった〜。家に帰ってきたら誰もいなくて…もしかしてジュン君が真紅ちゃん達を
連れて家を出て行ってしまったのかと思っちゃった〜。みんなしてこの物置で何しているの?みんなずっとここにいたの?…あら?」
のりは物置を覗き込むや、見慣れないドールが一体いることに気付いた。
「あの紺のドレスを着た子はだれ?」
「…あいつは水銀燈」ジュンが答えた。「今晩だけウチでお茶のんでくんだって」
「そうなの〜。お客さんってことね!」のりはにこっと笑った。「なんだかとっても真紅ちゃんと仲良さそう」
ジュンは何も言わずに物置を後にしながら、とりあえず今晩の食事が無事で済むことだけを祈った。
いや、無理だろうな。
防弾チョッキでも今すぐ通販で買い寄せるべきかもしれない。

「大体あなたのフィールドに置かれた人形のセンスは異常なのよ。いつあんな悪趣味を覚えたの?」
「全てはあなたからの譲り物よ?もう一度言うけど、私はあなたへの憎しみをただの一度だって失ったことは無いわぁ!」
「まったく。前々から思っていたけど、あなたの執着ぶりは、はっきりいって異常だわ」
「当たり前よ!あなたが私に何をしたのか覚えてる?そして私はアリスとなってお父様に - 」
「アリスになるのもいいけど」
真紅は素早く水銀燈の口元に手をあてて遮った。
「たまには戦いを忘れて姉妹で一緒に紅茶でも飲むのは悪くない。でしょ?」
真紅は水銀燈の口元から手を放し、一瞥してから物置部屋の出口へと歩き出した。
「"おねえさま"?」
とどめの一言に水銀燈は口はおろか体の動きまで完全に封じられ、ただ出口へと向かう真紅を見届けることしか出来なかった。
雛苺も何か楽しげに歌いながら真紅の後についていき、物置部屋には水銀燈が一人取り残された。
「あの女ー!高飛車なところは全く変わってないじゃなぁい!むかつくわぁ!」
その独り言は真紅達の耳に届いたかは分からない。

402 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:15:00 ID:UA3qEiXL
ああ、書き忘れた 没になったシーンでも使って埋めちまいます


「今日の晩飯は何かある?ねえちゃん」
「そうねえ〜お客さんがきてるって話だから花マルハンバーグを作ってあげたいところなんだけどお、材料が足りないわねー。
ねえちゃん今から買って来ようかな」
「別にそこまでしなくてもいいよ」ジュンは言いながら冷蔵庫を開けた。「何か繋ぎだけでもいいから」
冷蔵庫の中はあっけらかんとしていた。飲み物のペットボトル数本と、ヨーグルト、納豆、冷凍食品。
「うーん。確かにこれは寂しいものがあるかもな」

ふと、後から女の人の悲鳴が聞こえた。その直後、より甲高い少女のような声も。
「みっちゃん、大丈夫かしら!?まさかフィールドの出口に逆さの状態のまま入ってしまったなんて、迂闊だったのかしら〜!」
「あー、あいつらか」ジュンは物置部屋へと走り出した。「本当に大変な夕飯になりそうだなあ」
リビングから出た時、水銀燈が一人全く見当違いな方向へと廊下を歩いているのが目に入った。
「おーい、水銀燈」少し緊張しながらジュンは彼女に声を掛けた。「そっちはトイレだぞ」
水銀燈はピクっと体を振るわせた。そしてぎょろっと目をぎらつかせながら振り向いた。
「ひっ…」ジュンは身の危険を感じ、思わず上半身を後に退いた。
「…真紅に言ったら命はないと思いなさい」
そう言って水銀燈はジュンの横を通り過ぎ、別の扉の取っ手に背伸びして手をかけようとした。
「えっと…そっちは洗面所」
水銀燈は手を止め、声を荒げて言った。「一体どこよ!?」
「そそそ、その隣の、扉だよ!」
ジュンはリビングへの扉を指差した。
「そっちにみんないるから!僕は金糸雀たちを迎えにいってくる!」
言い残して、ジュンは逃げるように廊下を走った。
「はぁ、恐ろしいったらありゃしない。奴の羽が心臓を一刺しだよ」
物置部屋に再び入ったとき、ジュンは奇声を上げながら飛び上がった。
「何じゃこりゃあ!?」
「あ、真紅のミーディアム!ちょっと手を貸してなのかしら!」
頭を地面に打ち付けて倒れているみつと、それを必死に起こそうとする金糸雀。
そして、部屋中に人形用のものと思われる衣装が散りばめられている。
驚くほどフリルのついたゴスロリの衣装から、真っ白で綺麗なドレスまで。
そして慌てふためいた様子であちこちを飛び回る、ホーリエとピチカート。
「うーいたたたたた…」みつが頭を撫でながらようやく意識を取り戻した様子で起き上がった。
「あら…ジュン君、今晩は。nのフィールドって、とても怖い所なのね。めがね、私の眼鏡はどこいったの?」
「はぁ…こんばんわ、草笛さん…」ジュンはため息をついて首を落とした。「とりあえずその衣装みたいなのは何ですか…」

403 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:17:23 ID:UA3qEiXL
45

「まず翠星石を僕の部屋のベッドに寝かすべきなのかな…」
ジュンは再び翠星石を抱えた。すでに体から水銀燈の羽は全て抜かれていたが、
それでも服がぼろぼろに破けた翠星石の姿を見ると心が痛んだ。
大丈夫だ。今日はもう水銀燈は他のドールを傷つけたりしない。これからもそうあってほしいと、ジュンは心から思った。
ひとしきり衣装を袋に詰めなおしたみつにジュンは声をかけた。「リビングでみんな待ってます。こっちです」
翠星石を抱えながら廊下を歩いていると、いきなりのりがリビングから出てきて、
ジュンは驚いてすぐ体の向きを逆にした。
「ジュン君、私やっぱり花マルハンバーグの材料買ってくるね。20分で済むから、あら?今晩は。どなたです?」
「金糸雀のマスターで草笛さんと言うんだ」
ジュンはのりに背を向けたまま答えた。
「あ、そうなんですか!ジュンの姉です。よろしくお願いします」
のりは頭を下げながら、何時の間に家に人がいたとを不思議に思った。
「あ、いえいえ。勝手にお邪魔して本当にすいません!」
ジュンが抱えている翠星石の姿に取り乱しつつも、みつはなんとか答えた。
「ジュン君の友達なら、誰でも歓迎ですよ!」のりは笑った。「ジュン君、じゃあ私いってくるね」
「もう外暗いから気をつけろよ」
ようやくのりが家の外に出たとき、ジュンはみつと金糸雀に言った。
「お姉ちゃんに、こんな翠星石の姿を見て欲しくないんだ。家族のように思っているから。今はみんなと楽しくやりたいから。
お姉ちゃんがこんな翠星石を見たら、すごく心配するんだろうな。ましてこんな風にしたのが今家にいた水銀燈だなんていえないよ」
翠星石のことを今話題に出せないのは、みんなの暗黙の了解だった。
今それを話すことは、水銀燈の目前でアリスゲームの話題を持ち出すことを意味する。
折角、またとない和解の機会なのに。
「翠星石を二階の僕の部屋に寝かせてくるよ」
ジュンがそういうと、みつと金糸雀の二人は無言で頷く。
階段をニ、三段登ったところで、ジュンは再び足を止めた。
「アリスゲームのこともいつかは姉ちゃんに話さなければならないと分かっている。けど、今じゃない」

「こんばんわ!真紅ちゃん、雛苺ちゃん、水銀ちゃん!今日はみんな本当にありがとうね!」
みつは満面の笑顔で勢い良くリビングの扉を開けた。
真紅、雛苺、水銀燈の三人は既にテーブルの席についている。
「きてやったのかしらー!」
その後から同じく勢い良くして金糸雀も入ってきた。。
「こんばんわなのー!」両手に箸をそれぞれ一本ずつ握り、それをゆらゆらと楽しそうに揺らしながら雛苺は二人を迎えた。
「いらっしゃい」頭の帽子を取りながら真紅も言った。
「この私をちゃん付けして呼ぶなんてどういうつもり?人間」
一方水銀燈は椅子の上で足と腕どちらとも組んだ体勢で不機嫌そうに言った。
「それから、水銀"燈"よ」
「あはは…ごめんね」みつは苦笑した。「席についてもいいかな?」
「ええ。どうぞ」
真紅は言った。それから水銀燈に意味ありげな視線を送った。「まったく…この場に及んでも相変わらず口の減らない子ね。水銀ちゃん」
「なん…!」
二人は同時にテーブルから立ち上がった。
「あなたって何の本も読んでなさそうだけど、燈の漢字を自分で書けるの?」真紅が先に言葉を発した。
「漢字ぃ?そんなの要らないわぁ。いいこと?すいぎんとうはこの国での私の呼び名でしかないの。
世界の反対側じゃ私の名前は"Mercury Lamp"となるのよ」
「そう?じゃあギリシャでは?"hydrargyrum"?聞くに堪えない醜悪な名前ね」
「黙りなさい!…ねぇ、真紅ちゃん?スペインへ行ってみなさい。あなたの名前は"rojo"よ"rojo"!うっふふふふ!」
「捏造よ!私に授けられた美しい名前がそんな風になる訳ないでしょう!?エル・ピューロ…」
「お前ら、やめろったら!」
二人が声のした方向へ顔を向けると、ジュンが入り口に立っていた。
ふん、と二人は鼻を鳴らして席に着いた。
やはり無理だ。ジュンは確信した。自分ひとりでは無理だ。今夜この家の治安は到底守り切れない。援護が必要だ。援護が…

404 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:18:29 ID:UA3qEiXL
「わーいわーい、ねぇねぇ、ヒナはすぺいんではなんていうの?」
雛苺が楽しげに聞いた。
「ラ・バーカ・ペクナ」水銀燈は笑いが込上げてくるのを必死に堪えて言った。「小さなおバカさん」
「うー、」
雛苺は頬を膨らませ、両手の箸をぶんぶん振り回し始めた。
「ウソ、そんなのウソ!バカといったやつがバカなのお!」
「ええ、それは嘘よ。」真紅は横目で雛苺を見据えた。「正しくは、ラ・バーヤ・ジミニウタ…地味に歌う子」
「う、うにゅ…真紅まで…」雛苺はショックを受け今にも泣き始めそうな顔をした。「ヒナ地味なんかじゃないもん…」
そんな雛苺を尻目に、真紅と水銀燈はいきなり二人して笑い出した。
「あっははははは! "small"を"tiny"にして言葉を直したってわけ?」
そう言って水銀燈はテーブルに両手を置いて顔を近づけ、真紅を嫌らしげな目つきで見上げた。
「真紅の割にはやるじゃなぁい」
「フフフ、簡単なことよ」真紅も水銀燈に倣って体を乗り出した。「本当は"寝ぼすけ苺"にしたかったのだけれど」
金糸雀は信じられくらい意気投合した真紅と水銀燈を見ていた。いまだに不思議な光景だ。けれど、なんとも微笑ましい光景でもある。
勇気を振り絞り、金糸雀は二人の間に割って入った。
「じゃあじゃあ、カナはなんていうのかしらぁ!?」
水銀燈が始めに金糸雀の方を向いた。そのダークピンクの瞳にはいまだに慣れないが、
今回は何処となくいつもの冷酷さが欠けているような気がした。
「あなた…」水銀燈は言った。「名前は何といったかしら?」
「カナエルよ」真紅が答えた。「だからスペイン語では…」
「カナリアかしらぁ!!!」


405 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:19:20 ID:UA3qEiXL
46

「本来この紅茶は夜に飲むものではないのだけれど」
真紅は言いながらポットを机の中央に置いた。
「今日はまあとにかく楽しく飲みましょ」
紅茶は口論を恐れたジュンがあらかじめ既に入れておいたものだ。
ジュンはそそくさと席につき、今一度口論を避けるため、ポットを持ってみんなのカップに注ごうとした。
真紅は首を少し動かしてテーブルを見渡した後、深々とため息をついた。
「ジュン…」真紅は絶望したかのように悲しげな表情だ。「あなたって本当に使えない家来…」
「な、なんだよ…」ジュンはポットを持つ手を止めた。今日はいつもより数段積極的なのに。
「私のカップを持ってきなさい。今すぐに」
「…。そういうことか」ジュンはポットをテーブルに置いた。「少しは自分で持ってこようと思わないのか?」
「つべこべ言わずに。早く」
「分かったよったく!お前の鞄の中だな!?」
リビングの扉を開けて二階へ向かう最中、後ろからもう一声聞こえた気がした。
「私の鞄のくんくんグッズには絶対触らないことも忘れずに」
ジュンは自分の中の怒りパラメーターを必死に沈めようと努力した。

誰の金で払ってると思ってる!通販のくんくんグッズ!

部屋のドアを開けて電気をつけようとしたとき、ジュンは翠星石が自分のベッドでまだ眠っていることを思い出し手を止めた。
暗闇の中で真紅のカップを見つけなければならない。
三個並べられた鞄の中から音を立てないように一つ取り出し、ジュンは鞄を開けた。
鞄をあけると、裏側上部にクレヨンで落書きされた絵が闇の中おぼろげに目に入り、これは雛苺の鞄だと確信した。
探し物はこの中にはない。鞄を縦にして元に戻し、その隣の鞄を開けた。
その途端、くんくんの顔が目に入った。大事そうに底に敷き詰められたくんくんの本。真紅はこれと一緒に寝ているのか。
隅に置かれた黄色の真紅のカップを手に取ったとき、思いがけず後ろから声がした。
「人間…」
ジュンは飛び上がるようにして向き直った。その時、カップを持った手が真紅の鞄の蓋にあたり、
その勢いで真紅の鞄がひっくり返った。くんくんの本が打ち上げられ、鞄の外へと散りばめられた。
「…ま、まずいな」
「人間…ここはどこです?」翠星石はかすれる様な声で言った。「人間…いないのですか?」
ジュンは真紅のカップを置き、本を元通りに戻すのを後にして翠星石の元へ走り寄った。
「ここは僕の部屋だよ」
「ジュンの部屋?」翠星石は状況が飲め込めていないようだ。「みんなは?真紅達は?水銀燈は?」
「真紅達ならそこで寝てるよ。みんな無事で帰ってきたんだ。心配しないで、僕のベッドで寝ていていいよ。僕は下で寝るから」
「そうですか…。なんだか頭がくらくらして私よく分からんです…。もうちょっと寝ます…悪いです人間…」
「おやすみ。全然構わないよ」
そういいながら、ジュンは翠星石を一人仲間はずれにしているような罪悪感に襲われた。
けど、今翠星石を下に連れて水銀燈と会わせたりすれば、死ぬ気で双子の蒼星石を倒されたことへの復讐に出る可能性がある。
そんなことは絶対に避けたい。
翠星石の目が完全に閉じられたのを確認し、ジュンは静かに真紅の鞄の元へと戻った。
ゆっくりと鞄を立て直し、慎重にくんくん関連の本を鞄にしまい始めた。

"四月号 - 世界の通信を傍受・盗聴する政府の秘密施設で起きた密室の殺人事件"

"五月号 - 今蘇る伝説の秘密結社、天使と悪魔の彫像に隠されたダイイング・メッセージ"

"六月号 - 世界警察組織を根底より覆す、驚愕の事件! 人質は2000年の歴史"

ジュンは苦笑した。相変わらず、いや、前にも増して子供向けの人形劇とは思えないタイトルだ。
もはや犬が立ち入っていいレベルの事件の規模ではなくなっている気がする。
最後の一冊を手に取ったとき、ジュンは手を止めた。これだけ一つ異彩を放っていたからだった。

"くりーぷず☆ - くんくんと過ごす一日"

そのタイトルを見た途端、ジュンはぞっとするような寒気を覚えた。
嫌な予感がする。
ジュンはもう一度振り返って翠星石が眠っていることを確認し、視線をその本の元へ戻した。
そしてゆっくりと開いてみた。

406 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:20:29 ID:UA3qEiXL
やはりそうだ。最悪だ。
内容は漫画仕様になっており、暗くて台詞までは読めないが、くんくんの絵は普通とはちょっと違った感じに描かれている。
ジュンはこういう本と特に何と言うか知っていた。パソコンでネットしていれば嫌でも知ることになってしまう世界だ。
特に最近はその浸透率は高い。本職にしてしまう者すらいるとか。

真紅がネット通販をしているなんてことはすぐにでも止めるべきだった!
だが時既に遅しだ。真紅はその世界を知ってしまった。
ジュンは手に持ったくんくん探偵の同人誌を真紅の鞄の底に戻し、鞄も元の位置に戻した。
真紅のカップを手に持ち、重い足取りで暗闇の部屋を後にした。

407 :384 没シーン 本編に関係なし:2007/12/24(月) 02:23:13 ID:UA3qEiXL
47

「みんなー、花丸ハンバーグの材料買って来たよー!」
ジュンの姉のりが右手に大きなビニール袋を抱えて家に帰ってきた。
「おかえりなさいなのー!」雛苺が飛ぶように玄関へと走っていった。「のりー!」
「ただいま!雛ちゃん。これからはなまるハンバーグ作るからね!」
「わーい!はなまるさんなのー!」

「遅いわね、何をもたもたしているのかしら。あの使えない家来。紅茶が冷めてしまうわ」
真紅は苛立ちを覚えながら独り言を口走った。
まさかあの一冊を探り当てたわけでもあるまい。あれは六月号の袋とじに挟みこんである。
ある程度以上深く探りを入れない限り見つけられまい。そしてそこまで探りを入れることをこの私は見逃さない。
鞄ごとひっくり返るなんてことでもおきない限り見つけることは不可能だ。
あのくんくんの絵本…真紅はその内容を思い出しただけで顔が赤らむのを感じた。くんくんが私の手を取って…いやぁっ。
「なに一人で顔赤くしてるの?気味悪い」水銀燈の声で真紅は我に戻った。
はっ。なんということ。よりにもよってこの子の目の前であの本のことを思い出してしまうなんて。
「…別に。」
水銀燈はしばし真紅を見据え続けた。「…変な子」

「おーい、真紅、持って来たぞ」
「遅いわね!紅茶が冷めてしまうでしょ?カップを持ってくるくらいのことで一体何をてこずったというの!?」
ジュンは階段を下りる最中に考え付いた嘘を言った。
「ああ、パソコンが朝から付けっぱなしだったからさ、データを一通り保存して、電源を落としてたんだよ。悪かったな」
パソコンという単語が出たとき、雛苺が一人身を凍らせていたことにジュンは気付かなかった。
「そ、そう」真紅はぎこちなくいった。「まったく、困った家来だわ。と、とにかく、早く注いで頂戴。」
「わかったよ!」
ジュンはまず真紅のカップに紅茶を注いだ。
それから雛苺の分。草笛さんの分。注ぐときありがとうといってくれた。次に金糸雀の分。
そして水銀燈の前に置かれたカップに注ごうとしたとき、水銀燈は手でジュンを制した。「待って」
「?」ジュンは手を止めて水銀燈の次の言葉を待った。
「それは真紅のマイカップって訳?」水銀燈は真紅のカップを指差した。
真紅は得意げに笑みを浮かべた。「ええ、そうよ。19世紀の時にも見たでしょ?」
水銀燈はしばらく黙したのち、突然イスから飛び降りた。そして部屋を見渡すや、のりが調理中の台所へと歩き出した。
「人間の女。それを私に渡してくれる?」
「えっこれ?」のりは水銀燈が指差したカップを手に持った。「でももうあなたのもとにあるじゃ」
「いいから私の言う通りにしなさい」
「は、はいっ」のりはあたふたとした動作で水銀燈にカップを手渡した。
ジュンは無言で席に戻ってくる水銀燈を見つめていた。
(…真紅のマイカップに対抗心燃やしてるのか…?)
「人間。こっちに入れて頂戴」水銀燈はそういって持ってきたカップをテーブルに置いた。
「ほとんど一緒じゃないか」
「私はこっちのカップの方が好みなの。分かる?人間」
「分かったよ!それと、僕の名前はジュンだからな」
ジュンはそういって水銀燈のカップに紅茶を注いだあと、必要なくなったもう一つのカップを持って台所に片付けに行った。
「ねえ、ジュン君」
カップを片付けている時、のりが焼き上がったハンバーグをフライパンから皿へと移しながら小声で言った。
「ああいうのを最近流行の"ツンデレ"っていうの?」
その言葉が耳に入ったとき、ジュンは心臓が止まるかと思った。
「な、ななな、何を言い出すんだよ!」
のりは小さく笑った。「だって、凄く態度がトゲトゲしいじゃない。けどなんかそこが可愛い、くす」
「あのなぁ…」

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そのタイトルを見た途端、ジュンはぞっとするような寒気を覚えた。
嫌な予感がする。
ジュンはもう一度振り返って翠星石が眠っていることを確認し、視線をその本の元へ戻した。
そしてゆっくりと開いてみた。 ノ。鋼鉄より重たい口が開かれる。 分からないよな」 ニいうような顔をした。「究極の少女?そんなことって…?」 ってそれが再び最前線へと戻され、
ゲームは復活したのだ。
ラプラスはそこまでアリスゲームのことを、そしてドールの内情を知り尽くして考えていたのか。
伊達にアリスゲームの案内役を名乗ってはいない。 石に近寄り始める @           じ'ノ'                      1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000,1-1000
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