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あの作品のキャラがルイズに召喚されました part130

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 08:12:13 ID:bf2No99n
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?
そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part129
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1208011257/


まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

--------------------------------------------------------------------------------

    __              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ  .    ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.    ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
               ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

--------------------------------------------------------------------------------

     _        ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ       本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l       ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
               ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、       ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’      ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
                姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
               SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
               レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 08:26:59 ID:enxMgxEA
1乙

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 08:42:00 ID:LxVVR0D2
●     「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃  ●  ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘  よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃         おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃          (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃           どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃            たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃             ね・え・かたをっかしてよっ
┃              す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃               き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃                ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃                 だからすぅきぃよっなんていわない
┃                  のんのんのんどっこかへいったら
┃                   ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん  ・・・だぁって
┃                    ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃                     あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 08:57:55 ID:MgBieLxT
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち>>16

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 08:59:01 ID:MgBieLxT
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 08:59:24 ID:esjIurNz
>>1
朝から乙

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 09:00:19 ID:MgBieLxT
姉妹スレ一覧

【アニキャラ総合】
【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚80人目】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206915020/l50

ソードワールドのキャラがルイズに召還されました
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1199900690/l50

ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204128590/l50

ハガレンのエドがルイズに召喚されたようです
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1181052298/l50

型月のキャラがルイズに召喚されましたpart5
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1207152628/l50

【カオス】ゼロのルイズが以下略【召喚70002人目】 SEED
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204218994/

【漫画サロン】
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part6
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1207560191/l50

【旧シャア専用】
ガンダムキャラがルイズに召還されました 2人目
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1205871030/
(『もしルイズが召喚したのがトレーズ様だったら』の次ぎスレです)

【エヴァ】
もしルイズが召喚したのがシンジだったら 第弐話
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/eva/1190887727/l50

各スレまとめ一覧

ゼロの奇妙な使い魔 まとめ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html
ゼロ使×型月クロスSSスレまとめwiki
http://www13.atwiki.jp/zeromoon
ハガレンのエドがルイズに召還されたようですまとめサイト@wiki
http://www34.atwiki.jp/fgthomas/pages/71.html
新世紀エヴァンゲリオン×ゼロの使い魔 〜想いは時を越えて〜@ ウィキ
http://www10.atwiki.jp/moshinomatome/pages/1.html

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 09:00:50 ID:MgBieLxT
157 :削除申請:2008/02/14(木) 20:56:50 ID:kMFXiYvI
管理人様
以下自作品の削除をお願いします。
(本人証明として、自ブログの方も削除致しました)

長編:1編
「ゼロのgrandma」
短編:2編
「色鮮やかな空へ」
「四系統だけど」

色々とご迷惑をお掛けしました。以降、忘却願います。






夜天の使い魔 第一部
夜天の使い魔 第二部

http://rein4t.blog123.fc2.com/

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 13:20:34 ID:J+a9RJFm
※注意
>>4はテンプレではありません。次にスレを立てる人は注意してください。

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 14:53:35 ID:Kh3WgI4I
>>8 もそうだろ? なにこれ、嫌がらせ?

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 15:23:56 ID:Dz16d1f4
ヒント:春

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 15:45:11 ID:fyK6u+ct
……ともかく>>1

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 15:47:22 ID:EFy8OFyL
>>1

まとめサイト見てたらSO2が更新されてたんで来ちまったぜ

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 16:48:04 ID:jxdM1nio
>>1


15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 17:41:07 ID:w/qq0d/R
>>9
>>3もだな

ともあれ>>1

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 17:44:36 ID:AAFvQXp5
>>1乙。
誰か98'甲子園のピッチャー召喚してくれないかなぁ。

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 17:48:36 ID:c8CWZ80X
薔薇乙女第二部
島田某青年からハルケギニアのジュンからメールが届くとこから見たい

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:28:18 ID:xBofhQ4z
>>17
それは普通に三次創作…、
ああいや、「薔薇乙女も使い魔」の人が続き書けばいいのか。
そうでなくてもルイズが中坊ジュンを召喚したという設定で
改めてYJローゼンを再構成するって手もあるな。

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:40:56 ID:NLW1dhqp
>>18
悪いけど正直あの人じゃな…

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:45:11 ID:LRP25Cvq
あれはあれで綺麗に終わっているから
まだほとんど情報が出ていないYJのと繋げるのは当分無理だろ。

21 :ゼロの使い魔はメイド:2008/04/17(木) 18:49:19 ID:MtPCAOuB
第3回、今より投下してもOKでしょうか?

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:51:58 ID:uEd97GOt
しえんだ!

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:52:17 ID:AAFvQXp5
たしかに、まだジュンが大学生で何故か記憶が変とか、わからんし。
再開間も無い今は情報が少ないよな。
せめて半年から一年は待とうぜ。

24 :ゼロの使い魔はメイド:2008/04/17(木) 18:53:50 ID:MtPCAOuB
 シャーリー・メディスンが魔法の世界ハルケギニアに召喚されて、数日がすぎた。
 少しずつ新しい環境にも慣れ、少女は元気に毎日を生きている。
 召喚主であり、雇い主であるルイズのメイドとして。
 本来はメイジを守る使い魔と召喚されたわけだが、凡庸な十三の少女にそんなものを求めるほうが間違っている。
 というわけで(ルイズにすればやむなく、だが)、シャーリーはメイドになった。
 元もとメイド志望であった少女は、予期せぬことながらも、一応希望通りの職につくことができたわけである。
 ある意味結果オーライというやつかもしれない。
 時刻はお昼前。
 まだ主人が授業を受けている間、シャーリーは洗濯にはげんでいた。
 ルイズの分は早朝時に終わっている。
 これは、他のメイドの手伝いだ。
 他の使い魔は主人と一緒に教室にいるものもけっこういるが、シャーリーの場合は主人から、
 「部屋の掃除でもやってて」
 ということで、基本として授業中は別行動。
 ルイズとしては、失敗魔法をシャーリーにあまり見られたくなかったということもあった。
 「……」
 シャーリーは手際良く洗濯をしながら、時々手を止めて、右や左を見る。
 それから、また洗濯に専念する。
 こういったことを何度も繰り返していた。
 水汲み場周辺は、軽い動物園状態になっていたのだ。
 犬や猫、小型のクマや狼、鳥やカエル。
 地面から顔をのぞかせる大きなモグラ。
 目玉のお化けや、蛸人魚やら脚のたくさんあるトカゲ。
 紋章から抜け出したような怪物たち。
 そんな連中がたむろしている。
 幸いみな一様におとなしく、襲ってきたり暴れたりということはないのだが、シャーリーの心境は複雑である。
 正直言ってけっこう、いやかなり怖い。
 犬や猫ならまだしも、目玉お化けや火を吐く大トカゲなどはあまりお近づきになりたくない。
 いない時を見計らって洗濯をしても、使い魔たちはいつの間にかウヨウヨ集まってくるのだ。
 この使い魔というのは、
 (猫みたいに集会でもつくる習性があるのかな?)
 というようなことを考えながら、シャーリーは洗濯にはげむ。
 ほどなくして。
 ぱしゃぱしゃ。
 「?」
 隣で水音がした。
 他のメイドでもきたのか、と思い横を見やると、
 「!?」
 シャーリーは驚くべきものを見た。
 横にいたのは人ではなく、おそらく誰かの使い魔であろうアライグマであった。
 だが、問題はそこではない。
 問題なのは。

 後に、シャーリーはルイズにこう語っている。

 あ…ありのまま目の前で起こった事を話します…。
 『水音がするので誰かきたのかと思ったら、隣でアライグマが洗濯をしてました』。
 な…何を言ってるのか、わからないと思いますが、私も何が起こってるのかわからなかったです……。
 催眠術だとか幻覚だとかそんなもんじゃ絶対ありません…。
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました…。

 アライグマが洗いものをしている。
 そんな冗談のようなことが、シャーリーの目の前で起こっていた。
 よく見てみれば、洗っているのはまだ洗っていない洗濯物。
 「あ…」
 一瞬止めようと思ったが、観察してみるとけっこうちゃんと洗っている。
 なまじの人間がやるよりもうまいかもしれない。
 (使い魔って、こんなこともできるんだ……)
 魔法の薄気味悪さ……もとい、便利を改めて知った気のするシャーリーだった。

25 :ゼロの使い魔はメイド:2008/04/17(木) 18:55:13 ID:MtPCAOuB
 「はあ……」
 洗濯を続行しながらため息をついていると、
 ちゅうう。
 シャーリーの肩でハツカネズミが鳴いた。
 その不思議な行動から、これも使い魔のうちの一匹であろうと思われるが……。
 時々シャーリーのもとに現れるこのネズミ、誰かの使い魔なのかシャーリーはまだわからない。
 サイズと身軽さゆえか、シャーリーと一番接触の多い使い魔仲間の一人ならぬ一匹。
 やがて。
 アライグマの手伝い(?)もあって、洗濯は早めに終わった。
 シャーリーが洗濯を終えて水汲み場を離れると、使い魔たちもすぐに散り散りになっていった。

 集会が終わった後、ハツカネズミもまた本来の主のもとに戻っていた。
 トリステイン魔法学院の本塔最上階・学院長室。
 「おお、戻ったかモートソグニル」 
 ハツカネズミの主、オールド・オスマンは水キセルをくわえながら使い魔を迎えた。
 ちゅうちゅう。
 モートソグニルはちょろちょろと机を駆け登り、次いでオスマンの肩を駆け上がる。
 「最近よう遊びにいくが、どこにいっとるんじゃね? あんまり一匹で遊びにいかれると寂しゅうていかん。気を許せる友達はお前だけじゃからな」
 オスマンは冗談めかした言葉をつぶやきながら、使い魔の小さな鼻をつつく。
 ちゅうちゅう。
 ちゅうちゅう。
 「ほう、新しい友達ができたとな? しかも若いメイド……」
 ハツカネズミの鳴き声を聞きながら、オスマンは面白そうにうなずいた。
 「ふむふむ。何となく気が惹かれると……。なに? 他の使い魔たちも? それは不思議じゃのう。しかし、そんなメイドがうちの学院におったかなあ? 十二、三歳の……はて」
 オスマンはしばらく自慢の髭を弄っていたが、
 「もしやミス・ヴァリエールの使い魔となった異国の少女かのう? ほう、やはり間違いないようじゃな。しかし、見たところ普通の少女としか思えんが………使い魔には特殊な力が備わることも多々あるからのう。もしや、それかもしれん」
 ちゅうちゅう。
 「わかった、わかった。別にその子をどうこうしたりはせんよ。なに……馬鹿モン! 誰がそんなことをするか! わしにそんな趣味はないわい! わしの趣味は素敵なヒップをしたオトナの女性じゃ。たとえば、ミス・ロングビルみたいな、のう」
 むっほほ、とオスマンは笑った。
 ちゅうう……。
 呆れたような、そして疑うようなモートソグニルの鳴き声が、室内に小さく響いた。

 昼食時。
 ルイズが黙々と昼餉を取っている横で、シャーリーは給仕などを行っていた。
 やたらと貴族であることを主張し、煙たがられるルイズであるが、食事をする様子は非常に綺麗なものだった。
 作法がものすごくいいのだ。
 ほとんど完璧といってもいい。
 魔法が使えない分、より貴族らしくあろうという努力の賜物なのだろう。
 そういった部分が、シャーリーにとっては好ましく映った。
 やがて、食事が半分ほど終わった頃である。
 「はぁい」
 ひらひらと手を振りながら、シャーリーに近づいてきた者がいる。
 なまめかしい褐色の肌と燃えるような赤い髪をした女。
 キュルケだ。
 「…………」
 一瞬どう対応していいかわからず、シャーリーは曖昧に頭を下げた。
 シャーリーは、彼女が苦手だった。
 主人と部屋が隣同士ということで、よく顔をあわせるのだが、ルイズとことあるごとに喧嘩しているし、何より雰囲気が……。
 貴族の生まれにふさわしく、確かに特有の気品はある。
 しかし、その過剰なまでに色香を強調するスタイルは、貴族の令嬢というより高級娼婦か何かのようだ。
 「あら、そんなに脅えないでよ?」
 キュルケはふふと笑って、シャーリーを見つめる。
 蕩けるような笑み。
 普通の男であればたちまち主導権を奪われたであろうが、同性であるシャーリーには効果は薄い。
 「良かったら、今度一緒にお茶でもしない?」
 「え。あ、あの……」
 シャーリーはあわてる。
 この人は一体何を言っているんだ?
 「ちょっと、キュルケ!? うちのシャーリーにチョッカイ出さないでくれる!?」

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:55:42 ID:AAFvQXp5
アライグマ偉いなw 支援

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:56:08 ID:qAkxUWOr
メイドガイか!?支援!!

28 :ゼロの使い魔はメイド:2008/04/17(木) 18:56:34 ID:MtPCAOuB
 すぐさま、不快な表情を隠そうともせずルイズが割って入る。
 「この子はねえ!? あんたみたいな淫乱女と違って、清楚で初心なんだから!!」
 そんなルイズに、
 (まるでお姉さん気取りねえ)
 キュルケは内心苦笑した。
 確かに実年齢はルイズが上だろうが、体型的に両者にほとんど際はなく、同い年といっても通りそうだ。
 精神年齢にいたっては、むしろシャーリーのほうが上かもしれない。
 「大体シャーリーは女の子よ。声かける相手を間違えてるんじゃなくって?」
 「あら、そんなことないわ。お姉さん、シャーリーとお話がしたいなあ」
 キュルケはルイズの抗議などどこ吹く風。
 シャーリーに近づくと、その指でついとシャーリーの顎を持ち上げる。
 そのままキスにでも持っていきそうな雰囲気だ。
 無論、雰囲気だけだが。
 「あ、あの、な、なんで……」
 シャーリーは緊張のあまり声をぶれさせる。
 「ふふふ」
 艶っぽく微笑み、キュルケはシャーリーを見る。
 一見ただのメイド。
 しかし、彼女には何か秘密がある、とキュルケは睨んでいる。
 シャーリー自身も気づいていないかもしれない、何かが。
 使い魔のフレイムが、どういうわけかこの少女になついている。
 フレイムだけではない。
 学院長のモートソグニルも、ギーシュのヴェルダンデも。
 シャーリー自身はわかっていないのだろうが……。
 こんなこと、普通はまずありえない。
 そのわけを知りたいと思うのは、自然なことではないのか。
 それが、あの『ゼロのルイズ』の使い魔であるなら、なおさらに。
 「それはね……。興味が、あ・る・か・ら・に決まってるでしょ?」
 息がかかりそうなほどに顔を近づけ、キュルケは言った。
 恋という名のゲームで得てきた。相手を口説き落とすテクニックの一環。
 だが。
 この場合はそれが失策であったことを、キュルケはすぐに痛感させられることになる。
 「あ、あんた……」
 ルイズがものすごい眼でキュルケを見ている。
 ドン引きしているといってもいい。
 他の女子生徒たちも、
 「まあ……」
 「いやだ……」
 ひそひそと囁き合う。
 顔を赤らめて。
 男子生徒も変な顔というか、何を想像しているんだとつっこみたい顔をしている。
 幸いというべきか。
 シャーリーはよくわかっておらず、きょとんとした顔つきだった。
 (興味があるって、なんだろう……)
 しまった。
 キュルケは後悔するがもう遅い。
 「ええと、誤解のないよう言っておくけど……。そういう意味じゃないわよ?」
 弁解したが、無駄だった。
 ルイズは猛スピードで幼子を守る母のように、シャーリーをキュルケから引き離した。
 「この色魔! シャーリーに何する気よ!!」
 「ちょっと、誤解しないで…………私はね!?」
 「誤解もヤスデもないわよーーー!!」
 小さなメイドをめぐっての言い争い。
 それは、ぱっと見には痴話喧嘩に見えなくもなかった。

 数日後。
 キュルケが同性愛に目覚めたらしいという噂が学院が流れることになる。

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 18:57:39 ID:TXtaOKpk
待ってました!支援!

30 :ゼロの使い魔はメイド:2008/04/17(木) 18:58:08 ID:MtPCAOuB
 「まーったく! あのツェルプストーの女は何を考えてるのかしらねー!」
 湯船から時折音が響く中、ルイズは呆れたように言った。
 かぐわしい匂いが湯気と共にあふれる。
 湯に張られた香水によるものだ。
 大理石で作られたローマ風呂のごとき代物。
 ルイズはその中でのびのびとくつろいでいた。
 「あー。生きかえるわー……」
 その近くでは、シャーリーが桶などを手に立っている。
 いつものメイド服ではなく、濡れても構わない格好で。
 貴族専用の風呂に、平民は入れない。
 しかし、入浴・体を洗うのは手伝うのは別だ。
 やがてルイズが湯船から上がると、その背中をシャーリーが洗い始める。
 念入りに、丁寧に。
 「ねえ」
 不意にルイズは言った。
 「今日、キュルケに変なこと言われちゃったけど……。あんたは、そのないの?」
 「……え?」
 「だから、恋をしたこととか」
 「……いえ」
 かすかに頬を赤らめ、シャーリーは否定した。
 「そう」
 しばらく無言。
 「私も、ないわ。小さな頃に憧れてた人はいたけど……あれは、恋とまでは言えないなあ、多分」
 ふうとルイズは溜め息をつく。
 社交界でも、この学院に入ってからも、ゼロだゼロだと馬鹿にされ、ボーイフレンドはおろか、友人さえできなかった。
 もっともそれは攻撃的なルイズの気性が原因ではあるのだが。
 唯一話す相手は、忌々しいことにあの仇敵たるツェルプストー家のキュルケくらいだ。
 ふと、ルイズは想像してみた。
 もしも、召喚した相手が女の子ではなく、男の子だったら?
 シャーリーの男の子版を想像してみる。
 うん、これもなかなか悪くないかもしれない。
 魔法は使えない。
 護衛もできない。
 でも、自分を馬鹿にすることなく、一生懸命仕えてくれるけなげな働き者。
 悪くはないじゃないか。
 しかし――
 ルイズの脳裡には何故か。
 やたらに無礼で反抗的、おまけに他の女にデレデレするわ、主人に夜這いをかけるわというトンデモネー少年の姿が浮かび上がった。
 ぶるぶるぶるぶる。
 冗談じゃあない! 何でそんなやつを使い魔にせんといかんのだ。
 ルイズは妄想を振り払うように首を振った。
 そんな主人を、シャーリーは不思議そうに見ていた。

31 :ゼロの使い魔はメイド:2008/04/17(木) 18:59:29 ID:MtPCAOuB
3回分これにて投下完了であります
支援いただき感謝です

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 19:00:07 ID:O41Lb7wI
カップを割ったときだったかの「・・・あー」が可愛くて仕方がない支援

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 19:00:53 ID:TXtaOKpk
動物にかこまれるシャーリー…
想像しただけで癒されますなw
投下乙であります!

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 19:04:15 ID:xBofhQ4z
>>28
> 「誤解もヤスデもないわよーーー!!」
ちょ、分かりにくいだろそれwww 支援。

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 19:08:02 ID:fyK6u+ct
>>34終わってる終わってるw

投下GJっした。しかし時空を越えてルイズの脳裏に浮かぶサイトww

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 19:35:42 ID:gRxsrScV
何かカイム(42歳ver)とかの召喚もいいんじゃないかと思った
元王子・ドラゴン並みの戦闘能力・ダンディだし
以外に面倒見良いからルイズとも相性良いかも

37 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:28:13 ID:+phpjAu2
10分後に投下してヨロシおま?


38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:30:14 ID:eX+hx0g0
待っていた

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:34:39 ID:+M3IHzXg
支援準備OK


40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:36:49 ID:d70krgzh
>36
しかしDOD2での(ピー!)後としても契約済みなわけだから
しゃべることが出来ず意思疎通には苦労しそう。

そしてV3支援

41 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:38:32 ID:+phpjAu2
.
「まったく、やられましたな」
 そうぼやきながら、羽帽子の男は、エール酒のジョッキをあおる。
 ニューカッスルから単身、脱け出してきたワルド子爵であった。

 ここは、ニューカッスル包囲軍の本陣近くの、とある天幕。
 空になったワルドのジョッキに酒を注ぐのは『土くれ』のフーケ。そして、その様子を冷ややかな眼差しで、額にルーンを刻まれた風見志郎が見ている。
 そして、ひとしきり酒で喉を潤した彼は、ジョッキを置き、テーブルの上座の位置に座す、漆黒の僧衣を纏った男に目を向けた。無論、その僧形の男の傍らにはシェフィールドが、気配さえ感じさせぬままに侍っている。

 レコン・キスタ最高貴族院議長にして、アルビオン貴族派連合軍総司令官オリヴァー・クロムウェル大司教。……事実上のレコン・キスタの領袖であるが、彼自身は一人の私兵も一寸の領地さえも持たない、ただの神官くずれに過ぎない。
 
「あのヴァリエール家の旗は、やはり何とかならないかね、子爵」
「何をいまさら。無視を決め込むには、もはや遅きに失したと言うべきでしょうな」
「呑気なことを……!! 君ほどの者が付いておって、何故あのような旗を掲げさせたのだ!!」

 もはやレコン・キスタの名で、トリステイン王政府と公爵家に、正式な問い合わせをしてしまっているのだ。無論、それはクロムウェルの指示ではない。貴族としての常識を持った、とある騎士の独断だ。
 結果、そのメイジは軍法会議にかけられ、禁固刑を言い渡されてしまった。もっとも彼自身は、戦時国際法に照らし合わせ、何一つ後ろめたい事はしていないと、最後まで主張していたが。

 問い合わせた以上は、回答を待たねばならない。その回答が返って来るまでは、貴族派としても、迂闊に城を攻められない。いや、レコン・キスタ首脳部の本当の悩みどころは、そんな王党派の時間稼ぎではない。
 クロムウェルのこめかみに、じわりと大粒の汗が浮かぶ。
「あの旗が揚がっている以上、気の短いヴァリエール公爵の私兵隊が、いつ我らが陣中の後背を衝くかもしれんのだぞ!!」

――そう、そこだ。
 王女アンリエッタが、ヴァリエール家の末娘にこの任務を与えたのは、あくまでお忍び。公爵本人や、公爵家に何ら筋を通したわけではない。宰相のマザリーニさえ預かり知らぬ、アンリエッタ個人の私的任務なのだ。つまり、非は一方的に王家サイドにある。
 そうなると、王家に次ぐほどの兵力と資産を持つという公爵家サイドが、可愛い末っ子を死地に追いやった王政府に反発して、独断でアルビオンに攻めかかってくるという可能性は、かなり大きい。
 枢機卿がアンリエッタに代わって、公爵家に詫びを入れても、彼はトリステイン貴族に人望が無いため、怒り狂った公爵が聞き入れ、矛を収めるとは思えない。
 もしそうなってしまったら、トリステイン王政府も指を加えて見ているわけには行くまい。国権の長たるプライドから、そしてヴァリエール家への義理から、必ずや正式な派遣軍をアルビオンに送り込んでくるはずだ。
 その際、トリステインと攻守同盟を結んでいるゲルマニアが、どう動くかは未知数だが、皇帝アルブレヒト3世は、度重なる政争の果てに帝位を掴んだような、アクの強い男である。黙って見ているとは思われなかった。

 そう考えると、ニューカッスルへの総攻撃など、とても出来るものではない。今すぐにでも包囲網を解体し、陣を組み直さねばならない。なにせ、アルビオンの貴族派は全軍で、このニューカッスルを囲んでいる。
 逆に言えば、首都ロンディニウムはおろか、軍港ロサイス、街道の要衝シティオブサウスゴータなど、軍勢の背後は、全くがら空きになっているのだ。
 かといって、王党派をここまで追い込んでおきながら、いまさら和議を結んで停戦するほど、貴族派はめでたくは無い。テューダー王家がアルビオンにある限り、レコン・キスタは、いつまでたっても反逆者・簒奪者の汚名から脱け出せないのだから。
 まさしく、圧倒的な優勢から、旗一本で膠着状態に持ち込まれてしまったのだ。


42 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/17(木) 20:39:38 ID:dk/KsP5r
支援

43 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:41:54 ID:+phpjAu2
.
 だが、ニューカッスルから単身脱出してきたワルドの態度は、飄々としたものだった。
 彼は、クロムウェルの焦りをよそに、ぬけぬけと『喉が乾いた』と言ってエール酒を要求し、いまも、声を荒げるクロムウェルを前に、表情一つ変えない。
 つまり彼は、
「策はありますよ」
 と、こう言い切ったのだ。

「……」
 クロムウェルは、さすがに一介の神官から、浮遊大陸を席巻する一大勢力の首領となった男である。そんな内実が伴うか不明な言葉に、ほいほい喜ぶような底の浅さを見せる真似はしない。
 ただ、蛇のような目で、鋭くワルドを睨んだままである。
「聞かせてもらおうか」
――くだらぬ話なら、この場でその首、叩き落すぞ。
 僧帽の下から薄く光る眼差しが、そう言っている。
 その眼光は、逆に言えばいかにクロムウェルが、これから吐かれるワルドの言葉に耳を傾けているか、その証明でもあった。
 そしてワルドは、そんなクロムウェルの目を見て、――笑った。


「レコン・キスタとしては、今宵にでも、総攻撃をかけられませい」


 クロムウェルの眼光が、鋭さを増した。
「……なにぃ?」
「ヴァリエールの末娘にしても、使いようによっては、公爵家をトリステイン王家から離反させる手駒として使えましょう」
「人質、か……?」
 クロムウェルの表情が緩む。安心から発生した微笑ではない。
――この男も所詮はこの程度か。そんな嘲りが混じった笑いだ。
「甘いな。仮にもトリステイン第一の家格と伝統を持つヴァリエール公爵家が、たかが娘一匹と引き換えに、国家反逆の汚名に甘んじると、本気で考えておるのか?」
 だが、ワルドは冷静だった。

「それは閣下の解釈でござろう。わたしの考えは少し違います」

 どうやら、ただの希望的観測ではないようだ。だが、話を最後まで聞くまではクロムウェルとしても、何も言いようがない。
「閣下は、ヴァリエール公爵の人となりを御存知でない。あの方が、魔法もロクに使えぬ末っ子に、どれだけの深い愛情を注いでおられるか、閣下は御存知でない」
「……」
「ですが、わたしは違います。――仮にもわたしは、ルイズ・フランソワーズと婚約まで結んでいた身ですからな。一時期は、家族同然に扱っていただいた覚えがあります。つまり公爵も、公爵夫人も、ルイズを含めた三人の娘たちも皆、等しく“知って”おります」
「ヴァリエールの末娘は、人質になり得る……そういうことか……!?」
 そのクロムウェルの問いに頷くワルドの笑みには、もはやふてぶてしいと形容すべき毒素が、十二分に含まれていた。少なくとも、ルイズは、婚約者のこんな獰猛な笑顔を見たことは無いはずだ。
「不肖の子ほど可愛いと一般にも言われますが、それは何も、平民や町民に限った話ではありませぬ。ましてや、そんな我が子を戦場に直接送り込んだ責任は、王女その人にあることは明々白々。そんな王家に、あえて忠誠を尽くすほど公爵は穏健ではありませんぞ」

「……」
 確かに、ワルドの言い分には説得力がある。
 だが、クロムウェルとしても、よし分かったと気安く頷くわけにはいかない。
 ワルド自身が言ったように、クロムウェルはヴァリエール公爵に関する情報を、何も持っていないからだ。
 公爵が、娘一人と国家反逆を天秤にかけて、こちらの思い通りに動くような男かどうかは、圧倒的に未知数である。いや、むしろ分が悪い賭けだと言ってもいいだろう。
 だが、分が悪いからといって、このまま手をこまねいているわけにはいかない。『何もしない』という事こそが、いま一番最悪な選択肢である事は、誰の目にも明らかなのだから。



44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:43:03 ID:joLQpakF
ダブルタイフーン支援

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:43:46 ID:ZlF9jiwX
紫煙

46 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/17(木) 20:43:54 ID:dk/KsP5r
声援支援

47 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:45:30 ID:+phpjAu2
.
「……ワルド君」
「はい」
「分かっているとは思うが、今一度、念のために訊こう」
「なんなりと」
「ニューカッスル総攻撃にあたり、問題点は二つ。一つは、ルイズ・フランソワーズの身柄に、傷一つ付けてはならぬということ。そしてもう一つは――」
「短期決戦、でございますな?」
 クロムウェルは、大仰に頷いた。
「――そうだ。仕掛ける以上は、次なる攻撃こそを最終攻撃とせねばならない。ヴァリエール家がどう出ようが、トリステインがどう動こうが、やつらがアルビオンに出師する前に、ニューカッスルを陥とさねばならない。絶対に。何があっても絶対にだ」
 しかし、ワルドの微笑は、その獰猛さを隠さない。
「ご安心を。伊達にトリステインの大使を名乗って、ニューカッスルに潜り込んではおりません。すでに攻略法は考えてあります。それに、どのような乱戦になろうとも、小娘一人を守り切るなど、この『閃光』のワルドには、いと雑作もなきこと」

 つまり、貴族派がニューカッスルに乱入しても、敢えてトリステインのワルド子爵として戦い、ルイズを守るとワルドは言っているのだ。どちらにしろ小娘の眼前で、裏切り者の仮面を脱ぐ事は出来ないから、捕虜になるまで戦うしかない。
 どうせやるなら、そこまで徹底しなければ、芝居も意味を失ってしまう。ワルドとしても、今の段階でルイズの信頼を失うわけには行かないのだから、そこのところは考えてある。
 貴族派が欲しい首は、あくまで王党派首脳部の首であり、トリステイン大使ではないのだ。むちゃくちゃな抵抗さえしなければ、自害に追い込まれる事も無いだろう。

「なるほど、流石はトリステインの魔法衛士隊を預かるだけの事はある。大した自信だ。――ならば次は、君が言うニューカッスル攻略法とやらを聞かせてもらおうか?」
「はい」
 ワルドは、エール酒を一口飲むと、再び口を開いた。
「閣下は、ニューカッスルの地下に、浮遊大陸の真下から通じる大穴が存在するのを御存知ですか?」

――今晩中に王党派の息の根は止めてやる。
 ワルドは心中で呟いた。
 そして、
(だがクロムウェル、貴様がその地位にいられるのも、今宵限りだ)
 と、いう一言も。



「そうか。やっぱり……ここには、『俺』がいたんだな……?」
 うめくように声を上げる風見志郎に、ティファニアは黙って頷いた。

 ここはシティオブサウスゴータと港町ロサイスを結ぶ街道から、少し外れた森の中にある小さな集落――ウェストウッド村。
 壮年以上の大人たちは誰も住んでおらず、このティファニアと名乗るハーフエルフの少女と、彼女が面倒を見る孤児たちが暮らす、村と呼ぶのもはばかられるほどの、十軒ほどの小さな村。
 風見志郎は、その一軒にいた。
 自分の事を『ブイスリー』と呼びつつ、物怖じせずにまとわりついてくる子供たち。だが、少女が『彼は疲れているのよ』と言うと、全員仲良く外に出て行ってしまった。
 残ったのは、けげんな顔をしている美少女――ティファニア一人のみ。

「正直に言って、わたしには、あなたが何を言っているのかサッパリ分かりません。ですが……わたしたちの知るブイスリーと、あなたが別人であるという事だけは、どうやら信じざるを得ないようですね……」



48 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/17(木) 20:47:54 ID:dk/KsP5r
しえん

49 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:49:54 ID:+phpjAu2
.
 森の中でワイバーンから助けてやった時に、彼女の見せた反応。明らかにこの少女――ティファニアが、『自分』に面識があることは、風見にも分かっていた。
 それほどティファニアの初対面の行動は、風見の予想を超えていた。なんとイキナリ、胸に飛び込まれ、わんわん泣かれてしまったのだ。
 V3の姿に怯えて流した涙ではない。ワイバーンから助かった安堵の涙でもない。 
 逢いたかった信じていたと、再会を祝う涙を流されては、彼としても戸惑う以外に為す術はなかった。自然、この美少女が『V3の姿をした何者か』と、自分を勘違いしていると考えるのが筋であろう。
 そう考えることに、いまさら風見は矛盾を感じていなかった。
 なんとなれば、ついさっき、愛車たるハリケーンを“逆ダブルタイフーン”で撃墜した、もう一人のV3の姿を、彼自身が目撃していたからだ。

 最初、この美少女は、ここにいる風見志郎が、彼女の知る何者かとは明らかに別人であるという事実を、なかなか信じようとはしなかった。
 まあ、無理はない。
 顔も同じ。声も同じ。同じ特殊能力を持ち、変身後の姿も、何もかも同じ。
 何しろ、彼女らの知る“ブイスリー”と、ここにいる風見志郎は、生物的には全く同じ人間なのだ。
 そんな人間がぶらりと現れて、おれとそいつは別人だ、などと言ったところで、誰が信じるだろう? 普通はまず、その人物の言い分を聞く前に、正気を疑うのが先だろう。
 だからティファニアが最初にした事は、あなたは疲れているのよ、とにかく家に帰りましょうと言って、風見をこの集落に引っ張って来ることだった。

 だが、風見のことに、うすうす違和感は覚えていたらしい。
 彼女曰く、その“使い魔”は、風見ほどの無愛想さを身に纏ってはいないらしい。
 そして、風見の左手に刻まれたルーンを見たとき、初めて少女の瞳にあからさまな警戒が浮かんだ。

「あなたは、いったい誰なんです……? わたしが召喚したブイスリーは確か、そのルーンを左手ではなく、胸に刻んでいたはずですが……?」
「ようやく会話が成立しそうだな」
 風見は、怯える少女に、にこりともせずにそう言った。
「その前に聞かせてくれないか。君が召喚した“使い魔”のことについて、詳しく」

「あの人は……1年ほど前に、わたしがサモン・サーヴァントで召喚したんです。まさか、人間が召喚されるなんて思わなかったですけど……」
 彼女は、それまで自分をメイジと認識すらしていなかったらしい。
 魔法が全く使えなかったわけではない。だが、彼女が使用できる呪文は一つだけ。親代わりに面倒を見てくれた姉も、やがて魔法を教える事に匙を投げ、それ以降、魔法とは殆ど関わりのない生活を送ってきたのだという。
 そんな彼女が、“サモン・サーヴァント”を試してみようという気になったのは、彼女が面倒を見ている孤児の一人が、森で野獣に食い殺されてしまった時。血は繋がっておらずとも、『我が子』が非業の死を遂げた悲嘆と孤独に耐えかね、彼女は――

「で、試しにやってみたら、『俺』が現れた、というわけか」
 ティファニアは、その台詞に無言で頷いた。

「でも、ゲートの中から現れたあの人は、何も自分の事を覚えていませんでした。一切の記憶を失っていたんです。覚えていたのは、“ブイスリー”という名前と、変身の能力だけ……」
「怖くなかったのか……? そいつは、――いや、俺たちは、普通の人間じゃないんだぞ」
 そう問われて、少女の顔に初めて、うっすらとした笑顔が浮かぶ。
「わたしはエルフの血を継ぐ者です。怖がられる事があっても、わたしが誰かを怖がる事はありませんわ。ましてや、わたしがこの手で召喚した、大切な家族を怖がるなんて」

 こっちに召喚された『風見志郎』は、上手くやっていたらしい。少女の笑顔を見て、風見はそう判断した。日本の記憶を失っていたことが、どうやらプラスに働いていたようだ。
(ラッキーな奴だ。帰るべき世界の記憶がなければ、未練の持ちようが無いからな)
 だが、気になるのは、そこから先だ。
 この少女は確か、“ブイスリー”はニューカッスルに行ったと言っていた。
 つまり、言わずと知れた貴族派と王党派の戦場である。そんなところへ改造人間が何をしに行ったのか。

「……はい。ウェールズ殿下から密かに打診されたのです。王家のために、そのブイスリーの力を貸してはくれぬか、と」



50 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/17(木) 20:50:46 ID:dk/KsP5r
沿い円

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:53:46 ID:0iQgbbDh
sien

52 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:53:57 ID:+phpjAu2
.
 思わず風見は立ち上がっていた。
「ばかな……!!」
 この俺が……たとえ記憶を失っていたとしても、この俺が……“仮面ライダー”たる誇りをドブに捨てて、醜い内戦ごときに力を貸しているというのか……!? 権力の犬となって、改造人間のパワーを、ただの人間相手に振るっているというのか……!?
 風見にとって、その一言は、まさしく寝耳に水であった。

 だが、その風見の剣幕は、ティファニアを怯えさせるには充分だったのだろう。ひっ、と息を飲み込むと、いかにも済まなさげに、事情を説明し始める。
「ウっ、ウェールズ殿下は、マチルダ姉さんが出て行ったあと、密かに何かと、わたしたちの面倒を見てくれた恩人でもあるんです! 殿下は、王家再興の暁には、ふたたびモード大公家の名誉を回復すると約束して下さいました!! だからブイスリーは……」
 だが……。
 わたしが止めるのも聞かず、行ってしまったのです。そう言った時、少女の瞳は涙に濡れていた。おそらく、いま彼女の胸のうちでは、彼を制止できなかった自分の無力さを苛む声が、轟くほどの音量で暴れ狂っているに違いない。
「……」
 風見は、そんな少女に、かける言葉を持たなかった。


 

「しかし、本当にいいのかいルイズ? ぼくたちはあくまでお忍びでアルビオンに来ているんだよ。それを……あんな旗を、この城に掲げるということが、どういうことか本当に分かっているのかい?」
「いいんです。もう仰らないで下さい、子爵さま」
 ワルドの言葉を切って捨てたルイズの声は硬かった。
「これは、わたしが決めた事なんです。姫さまだって、お父様だって、きっと分かって下さいますわ」
 そう言い切った小さな背中は、婚約者の方を振り返りもしない。そのまま靴音を響かせて、ウェールズの部屋に向かっている。
(やれやれ……)
 ワルドは、心中呟いた。

「殿下、ルイズ・ラ・ヴァリエールとワルド子爵にございます」
 扉をノックし、二人は室内に通された。
 ルイズは二度目だが、ワルドは初めてだ。この皇太子の私室にしては、呆れるほどに簡素な室内を見て、ワルドは声すら出なかった。
 だが、ルイズはそんな事にお構いなく、王子に本題を切り出す。

「殿下。何か、このわたくしにお預けになりたいものがあると伺いましたが……」
「ああ、これだよ。これを是非ともアンリエッタに渡して欲しいんだ」
 そう言って、ウェールズは、例の手紙が入っていた小箱から、一冊の小冊子を取り出し、ルイズに手渡した。
「これは……?」
 ウェールズは顔色も変えずに答えた。


「我がテューダー朝アルビオンが滅亡の一途を辿った、その過程を、僕なりに分析して記したものさ」


「殿下……!?」
 ルイズが絶句する。
 形こそ違うが、これはどう考えても遺言ではないか。
「亡国の王子が、この地上に遺せる最後のものだ。何があっても絶対に、アンリエッタのもとに届けてくれたまえ」
「殿下……殿下は、もう、覚悟をお決めになられてしまわれたのですか?」
 少女は、王子に詰め寄った。が、ウェールズの微笑みは崩れる気配さえない。



53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 20:54:35 ID:ZlF9jiwX
支援

54 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 20:57:32 ID:+phpjAu2
.
「この政策メモには、本邦衰亡の原因究明以外にも、――国家を興すとはどういう事か、民を牧すとはどういう事か、それを僕なりに頭を捻って、僕なりの答えを書いたつもりだ。きっとアンリエッタの役に立つだろう」
 だが、勘違いはしないでくれたまえ。ウェールズは悪戯っぽくそう言うと、
「僕は、これでもニューカッスルで死ぬつもりは、断じてない。この世でテューダー王朝を再興できる者は、この僕以外にいないのだからね。石にかじりついてでも、この包囲網を脱出してみせる」
 ウェールズは、ルイズに『亡命はせぬ』と言い切ったその口で、こともなげに王家の再興を宣言する。いや、口だけではない。彼の目からは満腔の自信が溢れんばかりに放たれている。おれならば出来る。彼は真実それを全く疑っていないのだろう。

――何という男だ……!!
 事ここに及んで、未だ望みを失わざる、その覇気。
 それでいて、失政の原因をおざなりにせず追求する、その為政者としての目。
 ワルドは、このウェールズという男と、もっと違う出会い方が出来なかった事を心底悔やんだ。少なくとも、これほどの男が、同志としてレコン・キスタにいたならば、どれほど心強いか知れたものではない。
 だが、もう遅い。
 遅いのだ。
 ワルドの偏在がニューカッスルを脱け出して数時間になる。
 今頃は、レコン・キスタの本陣で、この城を陥落させるための最終作戦会議が行われているはずだ。そして、もうそろそろ、城の真下の大穴めがけて貴族派の艦隊が発進することだろう。

「分かりました殿下……。この手記は、必ずやアンリエッタ姫殿下に手渡させて頂きます」

 ルイズが、口を真一文字に結んで誓う。
(何をばかな……トリステインに持ち帰ったところで、宝の持ち腐れよ)
 ワルドとしても、明晰で知られるウェールズが記した貴重な政策メモを、アンリエッタごときに呉れてやる気はさらさら無かった。テューダー王家滅亡後のアルビオン統治計画に於いて、このメモは計り知れぬ価値をもつであろう。
(安心しろウェールズ。お前の政策は、すべておれたちが引き継いでやる。共和政の名のもとにな)


 その時だった。
「殿下! 失礼致します!!」
 扉をノックした、その声は、いつかの少年兵のものであった。
「使い魔たちから連絡が入りました。叛徒どもが、叛徒どもが動いたそうです!!」
「空襲か?」
 ウェールズの問いに、少年兵はむしろ目を輝かせて答えた。
「いえ、それが――貴族派の艦隊は、アルビオンの直下へ向かっている模様です!!」
「えっ!?」
 反射的にルイズが声を上げる。
 早すぎる!? ヴァリエール家の旗は、もう少しレコン・キスタの諸侯たちを釘付けに出来ると思ったが、甘かったということ!? って言うか、貴族派が何で地下の縦穴を知っているの!?
 だが、次の瞬間、ルイズはさらに頭脳がフリーズしてしまう。

 ウェールズが、声を立てて笑ったのだ。

「そんなに不安そうな顔をしないでくれたまえ、ヴァリエール嬢。こんなにも早く、僕の言葉を証明できる機会が来てくれた事を、つい始祖に感謝してしまったのさ」
 むしろ、その言葉に愕然とするのは、ワルドの方であった。
 どういうことだ!? それは一体どういうことだ!? 地下の大穴こそが、このニューカッスルの死命を制する弱点だったのではなかったのか!?

「まったく、このニューカッスルの地下港をようやく発見してくれたのか……。無能すぎる敵だと逆にこちらの計算が伴わぬゆえ、困っておったのだが……ふふふふふ……!!」
「はい、――これでようやく、謀反人どもに目にモノ見せてやれまする」


55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:01:59 ID:e9ESywtc
もし風呂に入っている途中で召還されていたら
全裸でキスされていたかもしれないサイト

56 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 21:02:26 ID:+phpjAu2
.
――虚勢ではない!?
 ウェールズも、そしてこの少年兵も、まさしく勝利を確信した笑みを浮かべていた。
 だが、まだワルドには、ウェールズの腹の内が分からない。
 一体どうするつもりなのだろう。艦隊と平行して、包囲軍も動き出しているはずだ。三百少々しか手勢を持たぬ王党派が、それら貴族派全軍を向こうに回して戦えるわけが無い。

「全軍に通達せい!! 『イーグル』号、『マリー・ガラント』号は十分後に艦隊を組んで出航!! 残りの全戦闘員は、武装に身を固め“虎ノ門“に集結! 号砲と同時に地上に攻撃を開始せよ!!」

「はっ!!」
 少年兵が退室すると同時に、ウェールズは、獰猛な笑顔で振り返った。
「ついて来られい大使殿よ。これより奇跡を御目にかける」



「きゅいきゅいっ、もう、もうっ、限界なのねっっ」
 シルフィードの声の後に、ばたりと人が倒れる音がした。
 そして、ごちりと何かが堅い物を打つ音も。
「いたいっ、いたいのねっ!! おねえさま、可愛い使い魔に暴力を振るうのは、ダメなのねっ!!」
 だが、シルフィードが愚痴を垂れるのは、ある意味、仕方が無い。
 何せ、彼女は竜なのだ。
 それが、魔法で人間に変身して、ただでさえ疲れ易いこの暗闇の狭い地下道を、慣れない二足歩行で、一行と共に歩いているのだ。普段している四足歩行に比べて、二重の意味で疲労が溜まるのは当然だろう。
 さすがに黙っていられなくなったのか、才人は口を出した。
「おいっ!! 待てよタバサっ!! シルフィの言う通りだ、そろそろ休憩を取ろう!!」
「まだ早い」
「いや、でも――」
「さっき休んだばかり」
 しかし、いい加減疲れていたのはシルフィードだけではない。ギーシュやキュルケも、かなり疲労が溜まっていたので、絶好のチャンスとばかりに才人とシルフィードに肩入れする。
「まあ、そう言うなよタバサ。あまり無理をしても行軍速度が遅くなる一方だと思うよ」
「仕方ないわね。あたしは別にそれほど疲れてないんだけど、ギーシュやサイトが、そう言うんなら、小休止を取るにやぶさかじゃないわよ」

 ふん。
 暗闇の中、タバサが溜め息を洩らす音が聞こえる。
「なら、10分休憩」
 その声は、冥界のような暗黒の中でも、彼ら三人にとっては、天使の吐息のように聞こえた事だろう。キュルケ、ギーシュ、才人は安堵の息を吐きながら、闇の中に腰を降ろした。
「きゅい〜〜〜」
 先程から寝転がりっぱなしのシルフィードも、喜びの声を上げる。

 タバサは焦っていた。
 ニューカッスルまで、およそ20リーグ。
 まともに歩けば一日の距離。シルフィードで飛べば一時間の距離だろう。
 だが、ヴェルダンデが掘り出した、この地下道を歩き出して、そろそろ二日目になろうというのに、一行は、まだ道程の三分の二も踏破していない。
 このままのペースだと、最悪ニューカッスルの陥落に間に合わない可能性もある。
 だが、無理を強いる事は出来ない。
 タバサとしても、この一寸の光さえ差さない闇中行軍が、これほど人間の体力を削ぐとは思ってもいなかったからだ。夜の闇より更に深い暗黒の中を、手探りで歩く。――これが夥しいほどの集中力と体力を要する作業である事を、彼らはまさしく思い知ったのだ。
 だからといって、この迷いようも無い一本道で、無意味に“ライト”の魔法を使うなど、魔力の無駄遣いもいいところだし、かといって松明を燃やすなどさらに論外だ。

 だが、タバサ自身の不安要素は、まだ存在した。
 そう。実は、口にこそ出さなかったが、タバサも疲労の度合いは、ギーシュやキュルケたちよりもさらに重いものであった。
 何しろ彼女は、常に魔法を使って、酸欠防止のためにトンネル内の空気を動かしながら進んでいるのだ。ただ歩いているだけの他の連中より疲れていても当然だろう。
(でも、もう……いまさら引き返すわけにも行かない)
 タバサは、自らが立案したこの地下道行軍に、少なからぬ不安を感じ始めていた。



57 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 21:04:29 ID:+phpjAu2
.
「10分経った」
 そう言うと、タバサは立ち上がった。
 いつまでも休んでいるわけには行かない。時間がない、ということもあったが、あまり横になったり腰を落ち着けたりしていると、体全体に蓄積した疲労が下半身にきてしまう。そうなると、本格的にやばい。もう歩けなくなってしまう。
「きゅいきゅい〜〜」
 いかにも嫌そうなシルフィードの声が響く。
 やれやれ、どっこいしょ。といったギーシュの声や、あとどれくらい歩くのかしら、といったキュルケの声も聞こえて来る。さすがに『あと6リーグちょい』とは、タバサとしても言えないので、黙っておく。

 いま自分たちが、何リーグ歩いて来たのかは、歩幅と歩数で見当は付く。
 142サントのタバサの体格なら、やや小股で歩幅は50サント程度と換算すれば、あとは歩数計算で現在位置は割り出せるからだ。歩数のカウントは、タバサは魔法を使いながら、ほぼ無意識でやっていた。
 だが、そんな無意識行為が、彼女の集中力をより消耗させているのも、また事実だ。
(あと……6リーグ……!)
 腰がふらつき始めたタバサには、その距離は、果てしないものに思えた。

 その時だった。

 恐ろしいほどの地響きと同時に、凄まじいまでの地震が、この地下道を襲ったのだ。
「……なっ、!!?」
 まるで地面の下で、大爆発でも起きたかのような轟音が響き、そして……

「ああっ!!」

 ギーシュが叫んだ。
 地下数メイルの坑道の天井に、巨大な亀裂が走ったのを、土系のメイジである彼だけが感じたのだ。
「まずいぞ!! このままじゃ、僕たち――」
「オイ赤毛の嬢ちゃんっ!! 天井をぶち抜いて脱出だっ!!」
 ギーシュの言葉を遮る形で、それまで黙っていたデルフリンガーが喚き立てる。
 だが、天井をぶち抜けば、そこにあるのは敵陣である。いくらキュルケでも、はい分かりましたと答えられる指示ではない。
「早くしろっ!! このままじゃ、俺たち全員生き埋めだぞっ!!」

 キュルケとしても、そう言われてしまえば、さすがに黙ってはいられない。
「タバサっ……!?」
 とっさに松明代わりに、小さな炎を灯し、タバサを振り返る。
 この面子の中で、坑道の天井を吹き飛ばせるほどの破壊呪文を使えるのは、『火』のトライアングルたるキュルケのみだ。だが、キュルケは自分の呪文以上に、タバサの冷静沈着な判断力を評価していた。こんな異常事態ともなれば、なおさらだ。

 そして、タバサは――キュルケを見返し、頷いた。確たる意思を込めた瞳を光らせて。


「ええ〜〜い!! しょうがない!! みんな、目をつぶって耳を塞ぎなさいっ!! ボッとしてたら鼓膜をやられるわよっ!!」



 ルイズは、何が起こったのか分からなかった。
 ただ、耳をつんざくほどの爆発音がして、その爆発がまるで花火のように、次から次へと拡がったかと思うと、遥か真下の大洋から、何かが水面に叩き付けられる音がひっきりなしに響き、……そして数分後、ようやく静寂が訪れた。


58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:05:03 ID:oXILvmhd
マントなりかけられるだろう常考…
それか裸にルイズがファイヤーボールなりかけて全身吹っ飛びスプラッタだろう…支援

59 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 21:08:29 ID:+phpjAu2
.
 アルビオンの直下に潜り込む航路を取った貴族派艦隊。これまで座礁を恐れて浮遊大陸の真下には決して進軍して来なかった貴族派のフネが、敢えてその進路を取ったのは、ニューカッスルの大穴の存在に気付き、それを封鎖・占領するためであろう。
 それを迎撃するために、ニューカッスルの地下港から出航した『イーグル』号。
――ワルドとともに『イーグル』号の艦橋に入室を許されたルイズだが、それ以上は分からない。何かが起こった。いや、王党派艦隊が何かを起こしたのは間違いないようだが、爆発音と着水音からだけでは、ルイズの脳では、事態を推測し切れない。
 なにせウェールズをはじめ、艦橋にいる王立空軍の士官たちは、説明どころか、空を睨み据えたまま言葉一つ発しないからだ。いや、ルイズと同じく蚊帳の外に置かれているはずのワルドさえも、苦虫を噛み潰したような表情のまま、沈黙を守っている。


「伝令!! 伝令です!!」
 そこに、例の少年兵が飛び込んできた。
「作戦は成功!! 敵艦隊は、およそ四個艦隊を大破・墜落させた模様です!!」
 その瞬間、艦橋は歓声に包まれ、ルイズとワルドを除く、すべての士官・船員が飛び上がって喜悦の表情を見せた。


「よぉし!! 『イーグル』号はこのまま前進!!アルビオンの地上に出て、敵残存艦隊に攻撃をかけるぞっ!!」
 ウェールズの声に、その場にいた全員が咆哮を上げる。
 ちんぷんかんぷんな顔をしているルイズを、ほったらかしにして。

(ウェールズめぇ……!!)
 ワルドの奥歯が、ぎしりと音を立てそうになる。
 有能な軍人であったワルドには分かっていた。王立空軍が、一体何をしたのかを。
「ねえ、子爵さま、いったい殿下たちは何をなさったの? 四個艦隊が全滅って、さっきの爆発がそうだっていうことなの?」
 ルイズが、どこまでも素朴な質問をしてくる。
 ワルドは、舌打ちを懸命にガマンしながら、口を開いた。

「浮遊大陸の真下の岩礁部分に、おそらく“火の秘薬”を仕込んであったのだろう。それを大砲で、一斉射したのだと思うよ」
「……?」
「爆発が爆発を呼び、吹き飛んだ岩礁が、それこそ無数の『砲弾』と化して、その下を進んでいた貴族派の艦隊を襲ったのさ。座礁すればフネさえも沈める巨大な岩礁に、雨あられのごとく降られては、貴族派としても死の川を渉る以外に道は無かったろうよ」
「そんな……だって、浮遊大陸の真下は、光一筋差さない暗黒地帯なのよ? どうやって貴族派の艦隊を補足したって言うの?」
「おそらく使い魔にコウモリでも飼っているメイジがいるんだろう。いや、スクウェアクラスの風メイジならば、たとえ暗闇でも、風を見て艦隊の位置を特定する事は、決して出来ない相談じゃない」

「ご名答!!」

 ウェールズは笑っていた。
 一分の曇りも無い、まさしく勝利を確信した笑い。
「そして、我らが王党派の軍団は、たったいまの爆発音を合図に、地上へ躍り出て、貴族派の包囲軍の尻を衝いているはずさ」
「尻――ですと!?」
 もはやワルドの敬語は、勢い的にカタチだけだ。
 だが、勝ち誇ったウェールズは気にもせずに笑い続ける。
「そうさ! 君たちはニューカッスルの地下宮殿が、どれほどの規模のものか知らないだろう? 城から一番遠い鍾乳洞の隠し出口は、なんと城の本丸から直線距離にして5リーグのところにあるのさ!!」

――城の本丸から、直線距離にして5リーグ……!!

 ワルドは慄然とした。
 彼は、ニューカッスルを包囲する、貴族派の正確な布陣を知らないが、5リーグといえば包囲網の、文字通り陣中の真っ只中だ。もし、そんなところから、王党派が不意に、地面を突き破って出現したとしたら……!! 
(包囲網は、いや貴族派は、大混乱になるだろう……!!)
 
「地上に出ますっ!!」

『イーグル』号は、『マリー・ガラント』号を引き連れて、いま、アルビオンの上空に姿を現した。久しぶりに見る双月が、まるで彼らの勝利を祝うかのように、やわらかい月光を放っている。


60 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 21:11:48 ID:+phpjAu2
.
「よぉし! 艫綱を切れぇ!!」
 ウェールズの号令一下、火を放たれ、硫黄を満載した『マリー・ガラント』号が、ゆらりと落下し始める。――クロムウェルの本陣とおぼしき地点に向けて。
「叛徒どもよ! くだらぬ贈り物だが、是非受け取ってくれ。かつての主君からの心尽くしだ!!」

 その瞬間、先程にも勝るとも劣らぬ大爆発が地上を包み込んだ。

 二隻しかないフネの一隻を、こんな自爆テロまがいの使い方で……!?
 ルイズは唖然とウェールズを振り返る。
 だが、それだけに、確かに威力は凄まじいだろう。なにせ、天幕でびっしり埋められた陣中真っ只中に、火薬を満載したフネが墜落したのだ。おびただしい被害が出たのは間違いないはずだ。
 ルイズは、思わず下を覗き込んだ。
 火炎地獄の中を、人がまるで蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑っている。いや、もう貴族派の包囲軍はズタズタだ、と言い切ってもいい。
 だが、ウェールズはなおも容赦しない。

「全砲門を開けぇっ!! 今のうちに、貴族派の残存艦隊に総攻撃を仕掛ける!! 奴らの指揮系統が回復しないうちに、出来る限りフネを沈めておくんだぁっ!!」

 そのときだった。


「サ、イト……!?」


 見間違いではなかった。
 紅蓮の炎に包まれ、大混乱に陥ったレコン・キスタ。
 地面を吹き飛ばし、突破口を確保し、そこから敵陣を中央突破してゆく王党派の陸戦隊。
 だが、
 彼ら王党派と、全く見当違いの地面から、のそのそとモグラのように這い出てきた少年少女たち。
 泥まみれで、顔の判別さえつかないが。――いや、それ以前に、ルイズの視力では、この距離から、彼らを識別する事など不可能なはずなのだが、……それでもルイズには分かった。



「サイトぉぉぉっっっ!!」



「っ!? 何をする気だルイズ! 自殺する気かっ!?」
 ワルドが、少女の矮躯を懸命に取り押さえる。
「離してぇっ!! あそこにサイトが、サイトがいるのよっ!! 離してぇぇっっ!!」
 



61 :もう一人の『左手』(その25) ◆utAARsQ0ec :2008/04/17(木) 21:13:18 ID:+phpjAu2
今回はここまでです。
御支援有難うございました。

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:16:05 ID:0iQgbbDh
乙だぜ! ますます混迷を深めるな…。

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:31:16 ID:LRP25Cvq


64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:34:17 ID:4tP2djvf
GJ!
早く続きを! と切望せざるおえない展開ですね!
左手氏、乙でしたー!!

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:35:11 ID:4tP2djvf
前スレ<<945

マシンロボのロム兄さんならすでに召喚されています。
…ながらく更新されていませんが(泣)

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:35:39 ID:hgvl5YpO
GJ&乙そして続きへの期待を。どーなるんだこの合戦

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:41:11 ID:7QwBm5Np
GJ
ウェールズかっこよすぎるwwwww

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 21:58:32 ID:kll7FfVy
良いお話でした!

ううむ、体があちこち痛い。鼻水ぞうぞうだし
数日執筆できそうにないなあ。

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:08:29 ID:FePT0T7q
ホットワインが効くよー

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:16:30 ID:0VBabfxk
『ボボガビ…バレンジャベゲ!ボソグ…ボソギデジャス!ビジャガセッ!!ガンダールヴ!!』

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:16:43 ID:ozc245PJ
>>69
ぐーたら元帥じゃないんですから

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:20:19 ID:Hobx/nVO
>>69
ホットワイン粗挽き胡椒入りだろ
破壊された味だけど

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:20:58 ID:fyK6u+ct
新規投下者なのですが22:30頃に投下予約よろしいでしょうか
クロス元は2chでは不名誉な方向に有名な『劣化の炎』です


74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:22:12 ID:zsYnmTbz
劣化…まずは避難所へ行くことをすすめなくはない

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:27:50 ID:bf2No99n
仕事から帰ってきて読み込んでみたら
透明あぼーんばかりかよw

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:29:19 ID:N0RQYe6p
人生オワタ

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:33:22 ID:fyK6u+ct
んと、避難所の方でやるべきでしょうか?

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:34:20 ID:b5pyxzBz
>>73
避難所投下推奨

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:38:19 ID:yzEzTrwm
書き手自らが差称を使う、そのような愛情すら感じられないものに期待が持てるだろうか?

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:42:23 ID:SIn5lAZ2
あの、避難所は、そーゆーところではないと思うのですが
あくまでにエロ、バイオレンス系の、本スレにそぐわない内容だったと思うのですよー

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:50:32 ID:zsYnmTbz
確か、「SS練習用」ってスレもあるはずだが

叩かれても大丈夫ならここでもいいんじゃないかな
出来がよければ歓迎するし

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:55:35 ID:l/J6cP6X
わざわざ劣化の炎とか言っちゃうのはどうなのよ

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:55:49 ID:iK4CK/Lw
>>79
ただのタイポじゃね?
わざわざわざわざカギカッコで区切ってるのが怪しいけど。

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:58:35 ID:OoA602G5
ところでなんで烈火の炎が不名誉な方向に有名なんだ?

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:59:10 ID:lI05wgbl
>>84
そりゃ幽遊白書の露骨な以下略

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 22:59:26 ID:fyK6u+ct
2chでは差称しか使われないんでこっちのほうが良いかと……やっぱり不味かったなぁ

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:00:29 ID:G+NZiQ7a
今は亡きマースレを見られれば大分理解できると思う

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:01:37 ID:LRP25Cvq
>>84

幽々白書のパクリという評価で定着してるからじゃない。
結構好きだったからバカにされると嫌な気はするが。

仮に間違いでもそれぐらいの誤字に気付かないあたり
不安に思われるんじゃないかな。

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:08:53 ID:yzEzTrwm
>>86
ちゃんとしたものを書いたつもりなら投下すりゃいい。

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:20:53 ID:g+f7pa96
作品への愛がないのに書くのはどうかと思うけどな

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:23:18 ID:qpSIijYm
個人的には好きだったけどな烈火の炎。少なくとも最後がしっちゃかめっちゃかになった幽白よりはマシな様な……

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:25:41 ID:fyK6u+ct
まともな物は書いたと思うので投下します。
30からよろしいでしょうか。

>>90両方とも大好きですとも、ただたんに私が2ch(このスレ)に対して未熟でいらんこといっただけです。

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:27:35 ID:LRP25Cvq
好きな作品だったので期待しております。

支援

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:29:48 ID:SJMVIQHc
定着してるからって差称を使っちゃヤバイって。

それはそうと、支援

95 :風神が使い魔 0:2008/04/17(木) 23:40:51 ID:fyK6u+ct
「役に立てなくてゴメンな。あとたのんだ」
 そう言って力なく笑い、風子は魔元紗の肩に引っ掛かっていた風の爪を外す、止め具をなくした風子の身体は眼前にある黒い穴の

形をした空間に飲み込まれて行った。穴が風子を飲み込み、収縮し元の空間に戻ったあとに残るのは魔元紗の高笑いの響き声と、火

影メンバーの絶望の表情だった。

 (……で、ここはどこデスカ?)
 長くうねったような空間を抜け、落ちてきたら目の前には見たことのない髪の色をした外国の方々、具体的には青とか赤とか桃色

? とか。落ちた時の衝撃で片足を挫いたような気がするけどそんな少々の痛みは目の前の光景のインパクトには霞んだ。地面にへ

たり込んだ状態で辺りを見回すと草原としか言いようのないところにぽつんと大きな洋館が建っている。徐々に頭も冴えてきたので

周りの声に耳を傾けてみる。やけにヒートアップした少女が一人、コッパゲなオヤジに食って掛かってるみたいだ。
「召喚をやり直させてください!」
 一瞬意識が遠のいた。しょうかん、召喚って言ったのかこの小娘は、頭は大丈夫か、ここは明らかに日本ではないけど地球上のど

こかではあるはずだ。多分。
「残念だがそれはできない、ミス・ヴァリエール。この春の使い魔召喚の儀式は――」
 なんかまた同じ言葉を聞いたよ今。こっちのコッパゲはマトモそうに見えたのにいったいどういうこと?
 ちょっと意識を飛ばしてたら目の前に小娘の顔、なんか目を瞑って近づいてくる。もちろん避けた。避けた。避けた。避けた。で

、避け続けてたら頭を捕まれた。
「い、い、か、ら、大人しくしてなさい、……私だってはじめてがこんなのなんて嫌なのに」
 しゃがんで頭を掴んだまま頭ごなしに叩きつけるように言い放ってきたルイズ。
「いやだね。ってかここはどこさ。あとはじめてってのはなにさ、場合によってはただじゃ済ませないよ」
 捕まれた頭を振りほどき真っ向から睨みつける風子。
「ここ? トリステイン魔法学校に決まってるじゃない、あんたみたいな平民は本当なら一生来れない所にいるんだから感謝しなさ

い。それとはじめてってのははじめてよ、私だっていやだけど貴族の私が我慢するんだからあんたも我慢なさい」
 負けずに睨み返したルイズ。立ち上がり突きつけるように指を胸に向け語気荒くして反撃。
「トリステイン? 聞いたこともないんだけど、ヨーロッパのどこかとかじゃないの? あのさ我慢とかそういう問題じゃないよね

全力でこの場から逃げたくなってきてるんだけど」
 風子も立ち上がり、言い返した。立ち上がるときに挫いた足に一瞬顔を顰めたがコルベール以外は誰も気付かない。
「逃げるんじゃないの、私を困らせたら困るのはあんたでしょう?」
「何で私が困るんだよ! というかあんたみたいな小娘一発殴って黙らせてから行ってもいいんだけど?」
「いいじゃないの! やってごらんなさいよ、そんな事をしたら最後、ヴァリエール公爵家の名に賭けてあんたを追い詰めるわよ!

?」
「あー君たち、そんなに熱くなる事はないだろう。ちょっと落ち着きなさい」
「うるさい!」
「ちょっとだまってろ!」
 にべもなく黙らされるコッパゲ、それでもめげずに話を続けた結果取り敢えず二人を落ち着かせることには成功した。

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:44:11 ID:o7zJl/Dr
支援

97 :風神が使い魔 0:2008/04/17(木) 23:45:22 ID:fyK6u+ct
「……それで、なにが聞きたいんだ?」
 いまだ機嫌の直っていない風子の視線を浴びながらコッパゲは答えた。
「取り敢えずは君の名前を聞きたいんだが、それとヨーロッパというのは地名のことなのかい? このハルケギニア大陸ではそんな

ところは聞いたことがないのですが」
 首を傾げて探るような視線に切り替えながら風子も答えを返した。
「名前は霧沢風子、日本在住の十六歳、ピチピチのじょしこーせいだい!」
「キリサワフウコ、ですか、珍しい名前ですね……。それでニホンというのはどこのことなのでしょうか? やはり聞いたことのな

い地名なのですが」
「そうね、ニホンっていう地名は聞いたことがないわ、それに名前の響きも珍しいし。あとあんた十六歳ってことは私と変わらない

じゃないの、小娘ってのは訂正しなさいよね」
 話が繋がらないことに若干の違和感を双方ともに感じ始めているのが解るのではあったがまだ若干ではあった。

 確かめるように話を続けていくと解ったことが幾つか、一つ目はここは風子にとって『異世界』と呼んでいい世界であり、魔法と

いうゲームの中でしか存在していないものが当然のようにあること。二つ目は自分が使い魔として呼ばれていて先程の『はじめて』

というのが契約の方法、コントラクト・サーヴァントであったこと、三つ目は自分の元いた世界に帰る方法など存在しているかどう

かが疑わしく、困難であること。この辺までのことが解った時点で大分風子の顔色は悪かった。
(死ぬよりはマシだけど、あんまり変わらないレベルでご勘弁願いたいことになっちゃったよ……)
 と、こんなことを考えていた。
 もう少し話を続けていくと、どうも使い魔として自分が召喚された以上風子は目の前のいけ好かない小娘の使い魔としてしかこの

世界では生きていけそうになく、コルベールという教師の話によれば最低限生きていけることは保障できるとのことだった。
「あー……悪い、ちょっと考えさせてくれない」
 頭を抱えて腰を折りぐしゃぐしゃと髪を掻き回す風子。
「往生際が悪いわね、私の使い魔として召喚されたんだから、大人しく私の言うことに従っていればいいのよ!」
「うるっさいなあ、私の人生は私が決めるんだ。はいそーですね。つって大人しく人に従えるかっての」
「しかし、君はこちらの世界について何も解らないだろう? それならば今はルイズ君の使い魔になって帰る手段を探すのが無難だ

と思うんだけどどうだい?」
 横からコルベールという名前らしい中年がいらないことを言ってきた。
(確かにいまんとこ私はこの世界について何も解ってないし、取り敢えず生きてけないとなあ)
 自分の考えを纏めた風子は顔を上げてコルベールを見ながら言う。
「しょうがない、死にたいわけでもないし今はあなたの言葉にしたがっておくかな」
「そう、懸命な判断ね。それなら私の方をみながら言いなさい? 私を使い魔にしてくださいって。わ、た、し、があなたのご主人

様になるのよ?」
 自分より多少小さな身長で目一杯ふんぞり返っているルイズというらしい小娘、正直こんな奴に従うのは心底から嫌だが、こんな

状況じゃ仕方がない。溜息を一つ吐いてルイズに視線を合わせた。

98 :風神が使い魔 0:2008/04/17(木) 23:50:11 ID:fyK6u+ct
「……私を使い魔にしてくださいルイズ様」
 丁寧に腰を折り頭を下げる風子、直前に溜息を吐かれたのは気になったもののこれには満足したのか打って変わって機嫌のよくな

ったルイズはコルベール先生に確認を取った。
「コルベール先生、こうして確認も取れたことだし、コントラクト・サーヴァントを行っていいですよね!」
「ああ、しかし他の世界から来る使い魔なんて聞いたこともなかったね、けど、こうして話も纏まったことだし問題はないだろう」
「はい! ありがとうございますコルベール先生」
 目には見えない重圧が多少は晴れたように笑ったルイズはすぐに風子に視線を向ける。
「それじゃあ今からコントラクト・サーヴァントをするわよ、繰り返し言うけど私だって嫌なんだからね」
「はいはい、もーいーからどうにでもして……」
 いきなり異世界に放り出され、唐突に使い魔になることが決定し、生きてはいるもののこれからのことがまったくの未定状態に陥

っている風子は今非常に気力が減退していた。なので、目の前に目を瞑ったルイズが近づいてきていても気付くのが普段より遅れて

しまった。しかし、
(あー……これがコントラクト・サーヴァントってやつかぁ……なるほど、ほんとうにゲームみたいな契約の仕方だあ)
 と、無気力な状態のまま諦め、自分も目を瞑る。徐々に息が近づいてくるのが解って今からでも逃げ出したくなっているが、なん

とか思い留まる。
(なんというか――はぁ。しかしファーストキスをこんなことに……風子ちゃん悲ちみで死んぢゃいそう)

 むちゅう

 クチビルはやわらかかったです マル

99 :風神が使い魔 0:2008/04/17(木) 23:52:58 ID:fyK6u+ct
以上で投下は終了です。こんな阿呆に場所をお貸しくださりありがとうございました。

しかし、見事なまでに「召喚しただけ」だなぁ

100 :風神が使い魔 0:2008/04/17(木) 23:55:05 ID:fyK6u+ct
ってうっわメモ帳からコピペしただけなのになんでこんな変な文に orz[

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:55:58 ID:zsYnmTbz
投下乙、邪魔してすまん

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:56:52 ID:SJMVIQHc


風子でしたか

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/17(木) 23:57:36 ID:LRP25Cvq
お疲れ様です

専ブラ使って投下前に一度折り返しの確認をお勧めします。

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:02:12 ID:PfuJ7sqI ?2BP(30)
>>100


まあ、次から気をつければいいさ。
その辺はまとめに載せるときに修正でもすればいいしね。

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:15:04 ID:gSx8hn74


これって「風神が使い魔」がタイトルの0話?
それとも「風神が使い魔 0」までがタイトル?

106 :名無しさん@お腹いっぱい。::2008/04/18(金) 00:20:19 ID:lG8YrJcq
ルイズの属性は風?

107 :風神が使い魔 第0話:2008/04/18(金) 00:22:19 ID:X27CjLmA
が正式タイトルということで orz

108 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:27:38 ID:p5gkSQzx
投下予告。

今回は石森プロが誇るダークヒーローが二名出まっせ。

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:29:19 ID:tHSmLVkB
ハカイダーとあと誰?
支援

110 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:32:58 ID:p5gkSQzx
朝も昼間も夜もトリステインは エキサイトしてる
ついて来るならそっと君だけに 教えてあげよう

雨が降っても晴れてても 陽気にfunny walkin

此処で出くわす全ての物には エネルギーがある
目には見えない不思議なpowerを 浴びにでかけよう

追いかけて来る 銃士にゃ
ちょいと御用心! ハプニング!

パズルみたいな 迷路解き明かせば
みんな誰でも 魔天郎のヒーローになる

パズルみたいな 迷路解き明かせば
みんな誰でも 魔天郎のヒーローになる


第五話「白い国へ行こう」

厳重なことで有名なチェルノボーグの監獄。
フーケと、彼女の使い魔が投獄されていた。
使い魔の方は2日前のダメージが残っていたのか、動かなかった。
「そろそろ頃合いかね……」
フーケが呟いた直後、使い魔は動き出し、再び狼の如き姿になった。
「ゴールドウルフ、遠慮はいらないよ。思いっきりぶち壊してやりな」
「はっ」
ゴールドウルフが牢屋の鉄柵を一撃で破壊し、フーケは悠々と出てきた。
「マチルダ様、杖はどうします?」
「取り戻す!」
「その後は?」
「一旦ウエストウッド村に帰る!」
フーケとゴールドウルフの脱獄が成功するのは、それから数分後であった。

111 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:33:49 ID:p5gkSQzx
ルイズは夢を見ていた。
池のほとりに浮かぶ小船の中で、毛布に包まり一人泣いていた。
母が自分を呼ぶ声にも耳を貸さず、ひたすら小さくなっていた。
そこに、一人の青年が近づいてきた。
「泣いているのかい?」
「……子爵様!?」
そこにいたのは、自分の婚約者、ワルド子爵であった。
ワルドが差し出した手を取り、安心するルイズ。
しかし、ワルドはルイズが自分の手を取った直後、ルイズの手を握る力を強めた。
「し、子爵様!?」
「僕のルイズ、僕は全てを手に入れる! この国も、聖地も、君の力を借りて。さあ、一緒に行こう」
邪悪な笑みを浮かべるワルドを見たルイズは、恐怖の余り手を振り解こうとしたが、ガッチリと掴まれたため出来なかった。
更に、ワルドの背後には大小さまざまなロボットたちがいた。
その中には、ワンセブンに破壊されたものもあった。
「助けて、助けて、助けて……。ワンセブーン!!」
泣きじゃくりながら使い魔の名を叫ぶルイズ。
それに呼応するかのごとく巨大な鉄の塊がワルドを吹っ飛ばした。
バゴグチャーン!
「うごふへ!」
ワルドは無残なバラバラ死体になってから吹っ飛ばされた。
ルイズが見上げると、そこにはワンセブンが立っていた。
ワンセブンがワルドを思いっきり蹴飛ばしたのだ。
そしてワンセブンは、ロボットたちに向かって突撃した。
ルイズの夢は、そこで途切れた。

「……」
「ルイズちゃん、どーしたの? 夜明けにはまだ早いよ」
「……そう、じゃあもう一回寝るわ」
いきなり寝ぼけた状態で起きたルイズは、ニヤニヤしながら再び眠りに突いた。
ロボターは唖然としながらルイズを見つめた。
寮の近くで待機している要塞ワンセブンの甲板では、シルフィードが寝息をたてていた。

朝、食堂にて。
「ルイズちゃん、今度はどうしたの?」
えらく上機嫌に朝食を食べるルイズを見て不審に思ったロボターは、思い切って上機嫌な理由を聞いてみた。
「今朝、速達で王宮のほうから連絡が来てね。フーケが使い魔と一緒に脱獄したせいで、私のシュヴァリエの爵位授与が取り消しになったのよ」
余り役に立っていなかった自分には授与が認められ、一番の功績者であるワンセブンと、ロボターの授与が拒否された事に憤慨していたルイズは、それはもう狂喜した。
「なるほど……。でも喜びすぎじゃない?」
「そう?」
ちなみに、他の捜索隊のメンバーの爵位授与と、タバサの精霊勲章の授与も取り消しになったのだが、ルイズには関係なさそうだった。

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:34:54 ID:iMWZSEMr
ガイ・スラッガー

113 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:34:56 ID:p5gkSQzx
「ミス・ヴァリエール」
「何でしょう、ミスタ・コルベール?」
「何故ミスタ・ギトーは倒れているのですかな? ひょっとして、君が持っている銃と関係が?」
「その通りですわ」
礼服を着て、派手なヅラをつけたコルベールの疑問に、ショットガンを手にしたルイズが得意げに答えた。
ルイズによると、いつも嫌みったらしいギトーが前々から嫌いだった上、今日はいつも以上に自分に食って掛かってきたので、ワンセブンが作ってくれた「ショットガン」という銃で撃った、とのことであった。
なお、使用した弾は殺傷力皆無の特殊なもであった。
ルイズから事情を聞いたコルベールは、ギトーのことは放っておいて、今日の授業の中止を告げた。
「皆さん、アンリエッタ王女殿下が来ることになったので今日の授業は中止ですぞ」
生徒たちがどよめく中、コルベールが事情を説明した。
「明日の品評会に特別審査員として出席なさるそうです。皆さん、歓迎の準備をいたしますぞ」
こうして、学院全体が慌ただしくなった。

学院へと続く街道では、ユニコーンが引く馬車が歩いていた。
街道に沿って立つ民衆からは口々にこの国と、アンリエッタへの万歳三唱が響いた。
その中にマザリーニへの万歳三唱もあったが、これは少数だった。
さらに、「ジロー王子殿下万歳!」との声も上がった。
義兄への万歳が聞こえたのが嬉しかったのか、アンリエッタは妙に上機嫌だった。
「姫殿下、急に機嫌が良くなられましたが、一体何が?」
「ニワトリゾンビ、耳を澄ましてみなさい。聞こえるでしょう? 兄上への万歳が」
「……なるほど」
上機嫌であっても自分を本名で呼んでくれないアンリエッタに呆れながらも、マザリーニは納得した。
「聞いたか、ご主人? 今日の姫は枢機卿をニワトリゾンビって呼んだぞ」
高笑いする自分の使い魔を諌めながら、カトレアはマザリーニに詫びた。
「サブロー、やめなさいな。枢機卿、この子の無礼、代わりにお詫び申し上げます」
カトレアがマザリーニに詫びたためか、サブローは微妙にバツの悪そうな顔をしていた。
「ご主人と契約した際に情報を手に入れてはいたが、ジロー兄貴が本当に王子になっていたとはな……」
「私も驚きましたわ。まさか兄上の御実弟がいたなんて。……あら? この間まで兄上のことを呼び捨てにしていたのに、何故今になって敬称を?」
「カトレアが注意したのだよ。「実の兄を呼び捨てにするのはだめですよ」って」
アンリエッタの疑問に、仮面の男が朗らかに答えた。
「ご主人には頭が上がらん……。魔天郎、何故笑っている」
魔天郎が笑ったことが面白くなかったサブローは、学院に着くまで本を読んでいた。

「おー、ユニコーンだ」
「ロボター、はしたないわよ。ところで、ワンセブンは?」
「自己改良中。グラビトンの発射インターバルをもっと短くするって」
「そう」
ユニコーンが引く馬車が正門をくぐり、アンリエッタが姿を現すと、歓声が湧き上がった。
それに続きサブロー、そしてカトレアが馬車から出てきたため、ルイズは思いっきり面食らった。
「あの人って、確かカトレアさんじゃ?」
「そうよ。……でもなんで姫様と一緒に。それにあの黒ずくめは誰?」
「カトレアさんの隣にいる黒ずくめ、あいつは……」
「知ってるの?」
「……魔銃の本当の所有者だよ」
「ええ!?」
二人が軽いパニックに陥っている間、魔天郎も馬車から出てきたが、彼の姿に注目した者は何故か少数だった。

114 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:35:47 ID:p5gkSQzx
夜、ワンセブンの内部サロン。
「ルイズちゃん、どうした?」
「へ?」
呆けていたルイズは、ワンセブンの呼びかけにすぐに反応することが出来なかった。
「お姫様とカトレアさんが来てから、凄く反応が鈍くなった」
「……」
ルイズが再び呆け始めると、エレベーターのドアが開いた。
入ってきたのは、サブローと魔天郎、そしてフードをかぶった二人の女であった。
突然の珍客たちに気付いたルイズを他所に、その内の一人が杖をふった。
そして唱えられたルーンと、周囲を舞う光の粒から、ルイズは気付いた。
「ディティクト・マジック!?」
「念には念を、ですわ」
杖をふった女はそう言って、もう片方と一緒にフードを取った。
女の正体は、アンリエッタとカトレアであった。
「姫様に……ちい姉さま!?」
刹那、アンリエッタはルイズに抱きついた。
「ルイズ、ルイズ、ルイズ、ルイズ、ルイズ」
「……姫様?」
怪訝に思ったルイズは何とかアンリエッタを引っぺがしたが、今度はカトレアが抱きついてきた。
「ちい姉さま……」
「会いたかったわ。私の小さなルイズ」
カトレアがルイズに抱きつく光景を見ていたロボターは、思わずこう洩らした。
「おおー、眼福じゃー」
このおバカ発言に吹き出したらしく、魔天郎は声を殺しながら笑い始めたが、直後にサブローに注意された。
「おい、魔天郎」
「す、すまん。余りにもいきなりだったからつい……」
二人を見たルイズは、疑問をアンリエッタにぶつけた。
「姫様、この二人は?」
「彼ですか? 黒いヘルメットをかぶっている方はサブローさん。仮面をつけている方はマテンローさんですわ」
アンリエッタによる簡単な紹介の後、二人は改めて自己紹介した。
「よろしくルイズ。俺はサブロー、わけあってカトレア嬢の使い魔をしている」
「ちい姉さまの使い魔!?」
「嘘だと思うなら、後でご主人に直接聞いてみるといい」
「では今度は私の番だな。私は魔天郎、ワンセブンが元いた世界で怪盗をしていた」
魔天郎のこの言葉に、ワンセブンは即座に反応した。
「待て、私は貴方のことは知らないぞ」
「……当然だな。私があの世界で怪盗を始めたのは、君がこの世界に召喚されてから数年後だ」
「何だと?」
「更に言うなら、サブローは私が活躍していた時代から、十年以上経った後のあの世界から召喚された」
驚愕するワンセブンに、魔天郎は更に付け加えた。
「君より少し後に召喚された者が、君がいた時代の存在とは限らない、そして逆もまた然り、という事だ」
「……」
「もっとも僕の場合、あっちの方に迷い込んだだけなんだけどね」
急に喋り方を変えた魔天郎は、帽子と仮面、そしてカツラを取った。

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:37:52 ID:tHSmLVkB
支援

116 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:41:04 ID:p5gkSQzx
現れたのは、青い髪の美丈夫だった。
その顔を見たルイズは即座に反応した。
「え!? 貴方は確か死んだはずの……!!」
「察しがいいね。僕の本名はシャルル・オルレアン。君の言うとおり、死んだはずの男だ」
「シャルル・オルレアン。「場違いな工芸品」を調べていた際に事故死。しかし、巷では実兄である現ガリア国王、ジョゼフにその実力と人格を妬まれ暗殺されたともっぱらの噂」
ワンセブンが淡々と言うと、シャルルはさっきとは比べ物にならないほど語調を荒げた。
「兄を、僕の兄さんを悪く言うな!」
シャルルの激昂ぶりに、全員が面食らった。
「兄さんは悪くない。むしろ被害者だ! あんな事をするまで追い詰めた、王宮の連中と両親の被害者だ! みんな王宮の連中と両親が悪いんだ!!」
一通り叫んだ後、平静を取り戻したシャルルは、先ず謝罪した。
「……すまない。取り乱したりして」
「はあ……。ところで、シャルル殿下は何故向こうの世界に?」
「……それは、後々話そう。あのときの事を最初に思い出す羽目になるから。それはそうと、アンリエッタ、ここに来た目的を告げないと」
強引に話を切り上げ、シャルルはアンリエッタに話をふった。
「……はい。ルイズ、我々がここに来た理由が分かりますか?」
「いえ……」
アンリエッタは深呼吸してから、こう告げた。
「今から四日後、私たちはプリンス・オブ・ウェールズを亡命させるため、アルビオンに行きます。ルイズにも同行して欲しいのです」


俺は凶器 アンドロイド〜

暗闇色のスーツの下に〜
流れる電流〜 血の火花〜

新たに電子頭脳得て
狙うは次兄 名はジロー

木枯らしに似た口笛は〜 死神の唄う子守唄〜
俺はサブロー ハカイダー……

117 :大使い魔17:2008/04/18(金) 00:43:40 ID:p5gkSQzx
投下終了。
魔天郎がダークヒーロー? とお思いの人も多いかも知れんけど、個人的にダークヒーローと見なしてるので。
後、魔天郎の正体は結局最後までハッキリしなかったので、魔天郎と落合先生は別人、という事にしました。

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:47:35 ID:GJoIHLlf
sic補正済みのやたらムキムキなメタルヒーロー達が浮かんで困る乙

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 00:54:08 ID:GEfuL/9F
乙です
こうなるとハンチング帽ブレザーな刑事の登場も期待

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 01:11:36 ID:p6OzxM1q
乙。って、タバサパパン生きてたのか!しかもしっかり地球へ行って、子供達を癒す国を作る
ための怪盗をやってたってか!?この後の展開が楽しみです。

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 01:38:08 ID:AajpPyjy
こうなると、さすらいのヒーローが出てくるのも時間の問題だな

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 02:21:09 ID:vIJw8QD5
泣ける話って需要あるのかしら(´・ω・`)

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 02:29:53 ID:GDQuxR4x
小ネタの「虚無義士伝」はちょっとホロリときてスキだった

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 02:33:09 ID:UqVqkJJ7
あるよ。

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 07:30:52 ID:9mdvRdQ/
大使い魔の人乙です
・アンリエッタ自力でアルビオン潜入
・生きていたタバサパパ
・サイトが教皇の使い魔
と今までに無い設定が乙です
すかすカトレア様元気なとこ見るとやっぱ改造…?
サブローの脳が光明寺博士、ギルのどちらとしてもカイゾーニンゲンの一人や二人…
ポワトリン、ミス・アメリカもいいですが
直る=腐る
がデフォらしいカトレア姉様は電波少女タックルとなってアルビオン軍に電波攻撃で淫夢を…

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 07:39:30 ID:yNkkWgrr
>>121
さすらいのヒーローは石ノ森原作じゃなかったっけ?

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 11:57:30 ID:kFF7EgcM
こりゃあ島村ジョーかサナギマン来襲も近いな

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 14:47:50 ID:5AMGtDlW
エキセントリック少年ボウイとかモナーw

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:04:25 ID:xYVhptdH
すんません、突然ですが質問。SSのネタについて

タルブ戦役後、アルビオンが早期に艦隊を再建出来た理由に
「保護していた森林を伐採したから」
というのがあったと思うんですが

そのくだりって本編のどこだったか分かる人いませんか?

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:14:29 ID:mCpZdHPU
ちょっと新規でやりたいんですけど、投下予約ありますかい?

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:20:50 ID:mCpZdHPU
時間的に無さそうなんで、軽くおっぱじめます。

 「サモン・サーヴァント」の呪文を唱え終わり、その後に起きた派手な爆発と共に現れた一人の男の姿に、ルイズはこの世の終わりを感じていた。
 儀式の失敗の方がまだ救いがある。どう考えても平民にしか見えない男を、使い魔として召喚などしてしまったのは、完全に想定外の出来事だ。やり直しの効かない一発勝負で、とんでもない事をしでかしてしまった。
彼女は大きく肩を落とし、呆けた顔で目の前の男に目を向けた。

「なんや、わしはヘリコプターに捕まっとったはずやぞ?」

 挙動不審気に回りをきょろきょろと見回す男は、身長180サント余り、手入れのされていないボサボサ黒髪に、見慣れぬ汚らしい黒いコートとズボンに身を纏っている。これでは平民というよりはまるで貧民だった。
広場に集まっている他生徒達は、ルイズの呼び出した使い魔の姿を見て、しばし呆気にとられていたが、気を取り直した一人の生徒が、すぐさま彼女に向けて冷やかしの声を上げた。

「ゼロのルイズが平民を呼び出したぞ!」

 その一言と共に、広場にどっと大きな笑い声が巻き起こった。
 かつてない屈辱にルイズはキリキリと歯を噛み鳴らして俯く。
 こんなはずではなかった。これは何かの間違いだ。
 いまだ辺りを見回しながら、混乱した様子を見せる男を他所に、ルイズはどうしたものかと困った表情を浮かべている教職員のコルベールに詰め寄った。

「ミスタ・コルベール! 儀式のやり直しを要求します!」

 鬼気迫る雰囲気で言うルイズに、コルベールは憐憫の視線を送ったものの、返した言葉は彼女にとって、ある種死刑宣告の様なものであった。

「残念だが、春の使い魔召喚にやり直しは認められない決まりとなっている。それだけ重要な儀式なのだからね」
「そんな!」
「決まりには従ってもらわないと」

 こうして話している間にも、生徒達から次々と飛んでくる野次は止まる気配が見当たらなかった。どうにかして場を収めようと、コルベールが声を上げようとした瞬間、

「やかましいわジャリ共! 落ち着いて物も考えられへんやろうが!」

 呼び出された男が、轟く様な大音声で場の人間に対し一喝を浴びせた。その場にいたほぼ全員が、その声に身体を竦ませる。
 耳慣れぬ訛りで吐き出された言葉には、彼の見た目同様の野蛮さが滲み出ており、貴族等の反感をその一身に買うことになった。白い目で見据えられる男は、それも何処吹く風と言った様子で、なにやらブツブツと独り言を呟いている。

「……と、とりあえず、契約を済ませなさい。ミス・ヴァリエール」
「…………」

 ルイズも、彼が発した声に身を竦ませていた一人だが、コルベールに背を押され、男の目の前へと恐る恐る足を踏み出した。
 すると、

「って、人がおるやないけ! そうやそうや。人に聞けばええんや。おう、そこのピンク色のチビ。ここは一体なんや?」
「なっ!?」

 自分の発想を天啓か何かとでも思っているのだろうか? 男は丁度目の前に現れたルイズに対し、ぶしつけな口調で尋ねた。
 自分が呼び出した使い魔に、かくも失礼な呼ばれ方をしては、誰であろうと怒りが先立つと言うもの。ルイズは顔を真っ赤にして男に向けて言った。

「ご主人様に向かって何て口の聞き方よ! 使い魔のくせして!」
「ああ? 誰がご主人様で、誰が……ええと、なんじゃい? その使い魔言うんは」
「私がご主人様で! あんたが使い魔よ! 使い魔も知らないの!? この平民!」

 ルイズの剣幕とは裏腹に、男は首を傾げて彼女の言葉を反芻し、肩をすぼめて、

「何や、わけ分からんわ」

 と、にべもなく返した。
 我ながら何と言う使い魔を呼び出してしまったのかと、肩を落として脱力するルイズに、男は続けざまに言う。

「ああ、一つだけ言うたる。わしの名前は溝口誠じゃ。平民とか使い魔とか、わけの分からん呼び方すんな!」


132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:23:02 ID:wIkRnjNR
一応最初に作品名とキャラを宣言した方がいいよ支援

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:23:45 ID:mCpZdHPU
 怒りたいのはこちらの方だ、と言わんばかりの形相で、男――溝口はポケットに両手を突っ込んで、ルイズに凄む。非常に暑苦しい顔を急に突きつけられ、彼女は思わず顔を背けた。とてもじゃないが、真正面から見つめていたい顔では無い。
 しかし、契約を完了させないといけないのが事実。ルイズは背けた顔を正し、意を決して契約の呪文をつむいで行く。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
「ああ? 何をわけの分からん事抜かしとるんじゃ、このチビ」

 目を瞑ったまま詠唱するルイズの顔を、怪訝そうな表情で溝口は覗き込んだ。
 その時である。ルイズの小さな唇が、溝口の大きなそれにそっと重ねられた。
 突然の事に、溝口は目を大きく見開き、反射的にルイズを突き飛ばしてその口を拭った。意を決して行ったファーストキスに対する反応では無い。ルイズは突き飛ばされて尻餅を着いた状態で、きぃっと声を上げた。

「痛っ! ちょっ、何すんのよ!」
「な、なんちゅう破廉恥なチビや! い、いきなりちゅーなんぞしよってからに! ……って熱ぅっ!」

 溝口の左手に光が宿り、契約のルーンが刻まれていく。その際の痛みに彼は思わず呻き声を上げた。

「……ルーンが刻まれてるのよ。これであんたは名実共に私の使い魔ってわけ」
「はぁ!? せやからわけが分からん言うとるやろうが!」
「わけが分かんなくてもそれが事実なの!」

 ようやく契約が成立し、ほっと胸を撫で下ろしたコルベールは、騒がしい周りの野次を、儀式終了の一声と共に収める。溝口の左手に刻まれたルーンに、物珍しそうな表情を見せた後、

「では、皆教室に戻ろう」

 そうコルベールは言った。
 解散の宣言を受け、生徒達は様々な冷やかしの言葉をルイズに残し、フライの魔法で空を飛んで教室へと向かっていく。尻餅を着いたままの彼女は、その声に反応する事も無く、呆然とその場で俯いていた。
 溝口はと言うと、人が空を飛ぶ光景を目の当たりにし、その目を何度も何度も瞬かせている。

「な、何の手品やこれは!? そ、それよりもここは一体何や、っちゅうわしの質問はどないなっとるねん!」
「あー! もう、うるさい! 今はお願いだから黙って!」

 かつてない脱力感が、ルイズを襲っていた。
 彼女は今にして思っていた。悪い夢なら早く覚めてくれと。


134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:26:50 ID:mCpZdHPU
     ※

 わけの分からぬまま、流れに身を任せている間に、一日の大半が終了していた。
 その中、ルイズという自分を呼び出したピンク色の髪をした少女と話す事により、溝口は軽いパニックに陥っていた。言うまでも無く現状について認識を深めた結果である。
 それも当然の事。常人が、気が付いたら月が二つある、良く分からない世界に飛ばされていました、夢ではありません、等という状況に放り込まれれば、パニックの一つや二つ起こして然るべき物だ。
 だがしかし、常人と溝口の間には、深い深い隔たりが存在している。
 それは、頭の中身だ。
 溝口という男、高校生と言う肩書きを持っているものの、その年齢は既に三十路に達しようかと言う頃合である。十回連続で留年しているという事実から、大よそ察しは付くと思うのだが、彼は頭が良い方では無かった。
オブラートを外した言い方をすると、トンでもない馬鹿なのである。
 パニックに陥っていたのは、ほんの数秒間の事であった。彼の足りない脳味噌が現状に対して弾き出した対処方法は、

「まぁ、とりあえず何とかなるやろ」

 何もしないと言う事だ。ルイズから元の世界には戻れないという事実を聞き出している以上、今はどうしようも無いのだ。(ルイズとの会話で、彼が理解したのはその部分だけであったのは余談であるが)元の世界では、正に全地球爆拳闘大会の真っ只中である。
今は無理矢理に参加させられそうになったそれを抜け出る事がラッキーだった等と、楽観的に物を考えていた。
 さて、時は宵の口を回ろうという所。ちんぷんかんぷんな話を聞かされ、茹った頭を冷やす為に溝口は一人、学園の広場で夕涼みとしゃれ込んでいた。
 夜空に輝く二つの月を見上げ、ここが異世界であると実感しながらも、その表情に陰が差す事は無い。
 世界最強の格闘家を目指す自分にとって、これはいい武者修行の機会なのではなかろうかと思う。ネガティブな考えを一切持たない溝口は、常に視線は上か前にしか向かないのだ。

「どっせい!」

 掛け声と共に、真っ直ぐに拳を突き出す。そしてそのまま、流れる様でいて、力強い動きで彼は蹴りや突きを繰り出していく。
 今にして思えば、今日は自身の鍛錬メニューをこなしていない。丁度いいとばかりに、演舞から腕立て、腹筋、背筋といったトレーニングを溝口は始めた。
 たゆまぬ自己鍛錬こそが、喧嘩百段と言う彼の実力を保つ大きな秘訣だ。
 たっぷり二時間程汗を流した後、彼は仕上げとばかりに、地に膝を付いて左腕に力を込めた。
 腰溜めに添えた左腕を右手で支え、その身体に気を漲らせる。
 (何や、えらく身体が軽いのう)
 何時も通りならば体力が底を尽いて、息も絶え絶えになる程のメニューをこなした後だと言うのに、不思議と息一つ上がっていない事に気付き、溝口は溜めていた気を更に高めた。その際、自身の左手の甲に刻まれたルーンが光を発している事には、彼は気付かなかった。
 構えたポーズから、空へ手の平を突き出して黄金色の光を放つ。
 タイガーバズーカ。虎の形をした気の塊を相手にぶつける、溝口の必殺技である。
 常よりもさらに巨大なそれが、夜空に走る。

「何や何や!? ものごっついタイガーバズーカやのう」

 嬉しそうに言う彼の姿を、寮にある窓から覗く一つの影があった。
 翌日、妙な噂が学園に広まる事になる。
 曰く、ゼロのルイズの呼び出した平民が、杖も無しに魔法を使った、と。


以上です。作品名が普通に思いつきませんでした。
次来る時にはとりあえずDODの続きと作品名持ってきます。

あじゅじゅしたー。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:34:13 ID:wIkRnjNR
投下乙
しかし作品名が無いと呼びにくいな
ならばこのブロッケンがゴッドファーザーになってやろう。
そうだなファイターズヒストリーダイナマイトから召喚された溝口という意味の
『ダイナマイトな使い魔』というのはどうかな!!

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:41:13 ID:6wgLPdph
みぞぐっちー召喚ですか   乙です

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:43:00 ID:9mdvRdQ/
>>16
こんな感じですね。

>国立トリスティン魔法学院二年生ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールさん

ルイズ「お、おで、史上最高のメイジになるんだど!」
キュルケ「やかましい!」
ボカっ

タバサはさすらいの賭博師

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 15:51:31 ID:quXa1JDr
>>137
容易に想像できるぞ、その光景が………
最高だ!書いてくれ!

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 16:23:54 ID:empRIHvU
>>137
久しぶりに読みたくなったぞ、どうしてくれる。
今度の休みに漫画喫茶でも行くか……。

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 16:56:27 ID:DTIEFnWQ
>>137 いいセンスだ

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 17:06:28 ID:egI5hJ4y
そういや美鳥のAAってないの?

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 17:11:14 ID:egI5hJ4y
すまん誤爆だったわ

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:28:22 ID:TKBqJcd5
>>129
アルビオンは革命戦役後に艦隊の再建は出来ておりません。
至近が尽きたのか、葉柄の維持に精一杯だったのか。理由は不明ですが、
少なくとも戦列艦の新規建造はしておりません。

6巻だったか7巻だったかで円卓会議しているときの報告で、
アルビオンの戦列艦はいずれも艦齢が古い、従わなかった
ベテラン水将兵を沢山粛清した上に残ったベテランはタルブで失った、
と述べております。

そのため、艦齢が新しく攻撃力の高い戦列艦が多い連合艦隊と同数で
戦った折に敗北しています。

なお、戦列艦の数はレコンキスタ保有のもので60隻となっています。
しかし、戦闘に参加したのは40隻だけでした。

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:31:28 ID:TKBqJcd5
変換ミススマソ
×至近が尽きたのか、葉柄の維持に精一杯だったのか。理由は不明ですが、
○資金が尽きたのか、傭兵の維持に精一杯だったのか。理由は不明ですが、

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:37:59 ID:PfuJ7sqI ?2BP(30)
ちょいと質問。
同じ世界のシリーズ物の多重クロスとかはあり?
それとも避難所?

例えば、
クロノトリガーとクロノクロス
ゼノギアスとゼノサーガ
.hack無印とG.U

とか。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:39:31 ID:adzKJ8Qk
>>145
避難所向けかもね


てかゼノギアスとサーガは同列にしないで。会社も否定してるし

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:40:54 ID:PfuJ7sqI ?2BP(30)
>>146
うむ、
すまん。
物の例えだ。
許してくれ。

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:41:40 ID:TKBqJcd5
禁止とは言わないですが、それではルイズの召喚したゼロの使い魔ではなく、
他の世界から「多数」が「大挙して押しかけてくる」という話では。

かなりの技量が必要とされるかと。
最低でも中盤までのプロットを作り、テンプレ展開的に言うならギーシュ戦
くらまでは書いてから投下したほうがいいかと思います。

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:43:33 ID:TO6WLzAU
>>131-134
喧嘩百段乙
これでも彼女持ち(詳細は不明だが)なんだよな溝口…それ知ったらマルコリヌあたり発狂しそうだ

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 18:50:35 ID:0piYC751
クロノトリガーものならモンモランシーがカエル召喚した話あったか
あれももう続きないのかな

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:06:48 ID:IBNyGCuK
>>145
多重クロスとか複数召喚はプロットとかもそうだけど、きちんとゼロ魔とクロス先のキャラとの出番や見せ場を
取りあえず出来る限りでいいから均等に配分出来るとかでない限り止めといた方が無難。
その辺を怠ると、下手するとテンプレの

・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。

こいつに引っかかる恐れが出てくるからね。

召喚されたキャラが多ければ多い程、その辺の配分は難しくなるから、あんまりここでは受け入れられないかも
知れない。


152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:09:34 ID:VkajuvlD
>>145
エスコンからMOBIUS SQとGALM TeamとRazgriz SQが召喚されるような感じか?

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:19:46 ID:Y9wjWqUM
ヒーロー戦記と第四次とFとOGsからギリアム・イェーガー召喚しても多重クロスだろうか

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:20:44 ID:7L7JdqoN
>>153
確か全員同一人物じゃなかったか。(少なくともヒーロー戦記とOGは)

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:24:36 ID:9wyESYzJ
それはドラクエ4とトルネコの大冒険と大冒険2と大冒険3からトルネコを召喚するようなもんだ

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:33:19 ID:klB41Isj
ラングリッサーシリーズから何か召喚して欲しいものだ。


157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:33:50 ID:TKBqJcd5
仮面ライダーX3が似たようなことしてるな。
それだけの力量が君にあるか!?
と問われたら、俺は無いと答えると思う。

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:34:26 ID:D6I0+isz
>かなりの技量が必要とされるかと
その技量がある良い例がもう一人の『左手』だな

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:34:43 ID:NSI05veZ
>>151
クロスキャラはテファあたりに召喚させて、
ルイズ・才人コンビと上手くバランス取っていけばいいんじゃないかと思ったりはする。
才人の代わりにクロスキャラ(しかも複数)だとゼロ魔勢が割を食うけど、
ゼロ魔側も主人公格が揃っていればそうそう食われないんじゃないかね。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:39:46 ID:adzKJ8Qk
スパロボってすごいんだな

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:47:51 ID:Dcq7syRj
我々は>>95が何故このような糞SSを書いたのかという疑問を解決するため、
>>95の故郷である群馬県に向かった。
「まだ日本にこんなところがあったのか」
思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。
小人が住むような小さな家、ツギハギだらけの服を着る農夫たち、そして
彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
高度成長だの、神武景気だの、オリンピックだので浮かれていた我々は改めて
農村の現状を噛み締めていた。
ボロ屑のような家に居たのは老いた母親一人
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに「息子が申し訳ありません」と
我々に何度も土下座して詫びた。我々はこの時初めて>>95を許そうと思った。
誰が悪い訳ではない、農村の貧しさが全て悪かったのだ。
我々は>>95の母親から貰った干し柿を手に、
打ちひしがれながら東京へと帰路についた

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:51:31 ID:wIkRnjNR
>>159
そのパターンでルイズと才人がそれぞれ別の人物に好意を寄せるようになる展開を見てみたい俺

……やっぱ荒れるかな?
『“微熱”の使い魔』の序盤で、才人がルイズ無視でエリーにちょっかい出してた時は
避難所で非難轟々だったのは覚えてるけど

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 19:52:35 ID:D6I0+isz
>>159
元が既に超人的だったり人外だったら別にミョズとかにはせずに敵側のメイジが偶然召喚したのに
ルイズとサイト達が立ち向かっていくっていうのも見てみたい。
ウェールズの亡霊を操ってたのがガリアが召喚したハーメルンのバイオリン弾きのオル・ゴールだったとか

>>160
考えてみると確かにそうだよな。あんだけドッサリ詰め込んでるのに

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:07:42 ID:r6z7Ri7q
>>162
毒吐きに垂れ流されてる糞尿は何らあてにならんぞ。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:08:29 ID:TKBqJcd5
だからこその名作なんだよね、スパロボって

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:12:05 ID:r6z7Ri7q
ゲームだから誤魔化せてるだけだろ、スパロボは。

あんなもん、漫画なり小説でやったら突っ込み処満載だし。

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:14:21 ID:NSI05veZ
>>163
クロスキャラvs才人は面白いかも。

ガンダールヴの設定って、岡田斗司夫いうところの「バカ系」で、
すなわち根性とか友情パワーみたいな「思いの強さ」が勝敗を左右する世界観。
なので内面の演出さえしっかりすればどんな敵が相手でもそれなりに渡り合えることにしちゃって良いんじゃないかと思う。
極論、才人がフリーザを倒したって一向に構わないと思う。

「俺には惑星一つ壊すような無茶苦茶な力はない。
 だが俺はルイズの使い魔として、お前には、お前にだけは、負けるわけにいかねぇっ!!」
「行け! 相棒っ!!!」
「ば、ばかなぁっ!!」

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:16:11 ID:6lKILD7K
オーガスの超時空振動弾ネタなら全ての異世界召喚系世界が同一惑星状に存在してまう
スーパーラノベ大戦とか見たいな

ハルケギニアとブラントラントと眞魔国が地続きになてまう話とか

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:16:26 ID:eYqma79X
ばかやろう、フリーザ様が地球人なんかに負けるはずがない!
両さんみたいなギャグキャラならべつだが。

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:21:09 ID:eaaNgHAQ
>>168
『スーパーSF大戦』でぐぐるとちょっと幸せになれるかもね

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:22:17 ID:3qGv0R3t
>>168
才人君が紫のオーラを纏って突っ込むんですか?

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:29:38 ID:8CEbsOio
>>168
次期据え置きスパロボにオーガスでるぜ。
他のメンツもいろいろとカオスな顔ぶれだがw

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:30:57 ID:gMjoKTqv
>>172
無限拳がレクイエムにぶち込まれるんですね、分かります

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:31:49 ID:J0KYgKDV
フリーザ様程の個性の強い相手となると
内面の演出を何処まで完成度上げなくてはならないかで頭が痛くなりそうだがなw

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:36:34 ID:6lKILD7K
フリーザ様は姉妹スレのDIO様召喚でチラッと宝物庫におられたが、結局あれはなんだたのだろう?

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:38:56 ID:Y9wjWqUM
>>166
名作のテッカマンブレードと、あわわな出来のテッカマンブレードIIを上手くリミックスしたじゃないか

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:53:09 ID:doUIWXlQ
>>168
サイトの強さは肉体が強化されるわけじゃないからデコピン一発でも致命傷だろ
武器を自在に操れるってだけで同じ武器を使う敵より強いってだけで

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:53:47 ID:doUIWXlQ
間違えた>>167

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:56:06 ID:Lplk/WAK
>>159
ガンダムXとのクロスで、サイトはそのままでシエスタの祖父母がガロードとティファ
破壊の杖がGコンでGXが封印されている。

というのを考えたけど、GX起動までの展開もそれ以降も思い付かない

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 20:58:41 ID:TKBqJcd5
今待ってる更新がしばらくなっぽいSSシリーズ

ゼロの独立愚連隊(ギーシュの成長が見たい。ゴーレムメックとか)
豆粒ほどの小さな使い魔(あのルイズを適切な助言で努力を報われるようにした展開は素敵だった)
ゼロのアルケミスト(ルイズの性格が変わってないのに反応が真逆なのが良い)
るいずととら(ルイズの力の覚醒を早く見たい)
狼と虚無のメイジ (原作どおり口車で相手を煙に巻くホロが良い)
規格外品0号(力の制御をルイズに託したのが良い)
使い魔は剣士カエル(カエル、魔王を仲間にしちゃうと救われない。この世界では幸せになってくれ)

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:06:58 ID:ZmcJ1RSe
>>180
ゼロの独立愚連隊は今月始めに来ていたと
他は止まってるけどね

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:10:26 ID:0N4fAeiL
(ボソッ)爆熱…

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:18:58 ID:iRDxqn1g
けっこう止まってるSS多いよなぁ
カービイ召喚のやつも楽しみにしてるんだが。

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:23:14 ID:b8gUsnnD
FF5のバッツ召喚の続きを楽しみに待つ今日この頃

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:25:41 ID:oI2H43dH
>>183
まあ、プロじゃないからしかたがない
もっともプロでも筆止まるからなあ

佐藤とか森岡とか

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:28:01 ID:8QqW7QdO
あのエロゲデブへの怒りは収まらんな
噂に過ぎないが、漫画版打ち切りになった理由の一つらしいし

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:32:54 ID:eYqma79X
皇国は・・・
世界樹でガン太とトラに新城とチハヤって名づけたのは、
自分だけでないはず。

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:38:22 ID:HmTwuonj
>>180
 こうしてみると、物語って完結させるのはスゲー大変なんだって分かるな
 完結作品の貴重さが分かる

 ご立派様は、本当にご立派様だった
 薔薇乙女も「説教ウゼエ」「キャラ増えすぎてグダグダ」でも、ちゃんと綺麗にラストをまとめたし
 「使い魔を買いに」みたく、完全に我が道を行くのが吉だな


 ゴルゴ13は作者が『ラストを常に思い浮かべているから続けられる』と言っていた
 やはり、ラストを先に考えてこそ、物語は書けるのだろう

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:55:17 ID:tBI5Xp2Z
あ〜前の板でキカイダー単独で召喚ってのがあったから、書いてみたんですが
投稿、よろしいですか?

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 21:57:29 ID:tuwHs730
>>188
行き当たりばったりで書いていると続きが書けなくなる罠。
魔法使いキャラを左手なんかにするから……確かに物理攻撃でも一撃必殺とかがあるけどさ
orz

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:05:54 ID:wIkRnjNR
>>189
いいですとも!!

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:06:15 ID:MqufAL8p
>>189
投下支援!! バッチコーイ!!

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:07:18 ID:6lKILD7K
>>189
スイッチオンで支援
特撮版でつか原作版でつか?

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:10:38 ID:tBI5Xp2Z
それじゃ、投下始めます。
ちなみに原作版です

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:11:55 ID:p5gkSQzx
風天和尚の寺で座禅しながら支援

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:13:12 ID:YSCVHy/U
イナズマンを通ってないと危険がデンジャーで生存確率がイムパッシブルだなぁ。
服従回路(イエッサー)を起動させつつ支援。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:13:42 ID:tBI5Xp2Z
「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに答えなさい!」

少女の高らかで力強い詠唱と共に、サモン・サーヴァントは行われた。
直後、爆発音と共に舞い上がった土煙が広場を覆う。風に煽られ、少女の桃色の髪は荒々しく舞いあがり、黒マントの下の真っ白なブラウスとグレーのブリーツスカートが土埃で汚れる。
しかし、それはいつものこと。少女にとって、そして周りのものたちにとって見慣れた光景、結果は魔法の失敗。しかし、今回はどうやら違うようだ。
舞い上がる土煙を払いながら、少女は爆発地点へと目を向けた。すると、そこに黒い影を見つけた。その光景を少女は歓喜の笑みを浮かべ、周りの者たちは驚愕した。

「やった……」

少女、ルイズは小さく誰にも気づかれないように、拳を握り喜んだ。召喚に成功したのだ。後は土煙が晴れるのを待ち、自身が召喚した使い魔の姿を確認するだけだった。
妙にしつこい煙が晴れると次第に黒い影の輪郭もはっきりしてきた。そして、完全に晴れたとき、ルイズの歓喜の笑みを一気に絶望の淵へと叩きのめされ、周りのものたちは「やっぱりか」といわんばかりにため息をつき、嘲笑へと変わっていった。

「な、なんで?」

ルイズの目の前には神聖でもなんでもない、ギターを背負った、妙な恰好をした一人の男が立っていた。

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:14:39 ID:tBI5Xp2Z
ふと気がつけば、そこは見知らぬ土地だった。
何の冗談かと思ったが、先ほどまで自分がいたのは何もない山道だったはずだ。そんな質素な景色から随分と様変わりした光景を見れば、もしかしたら自分は何らかの原因でこの場所に転送されたことになる。
周りを見れば黒尽くめのマントを羽織った集団で埋め尽くされていた。さらに自分の目の前にはその集団と同じく黒マントを羽織った桃色の髪の少女がいた。
どういうわけか、酷く落胆しているような印象を受けた。

「あの……」
「ミスタ・コルベール!」

事情がよくわからない為、取り合えず目の前の少女に質問をしようとした矢先だった。
問いかけは少女の声にかき消され、当の少女は大股で禿頭の男の下へと向かっていった。何か言い合いをしているようだ。

「もう一度召喚をやり直させてください!」
「それは無理だ。春の使い魔の儀式は今後のメイジの人生を決める役割を持つ神聖な儀式だ、例外は認められない。君の好む好まざる関係なく、彼と契約しなければいけない」
「そんな! 平民を使い魔にするだなんて聞いたことありません!」
「確かに、だがやり直しは認められない。それは君もよくわかっているだろう?」

耳に聞こえてくる会話はハッキリ言ってなにを言っているのか理解できなかった。
ここが日本でないのは目の前の集団の顔を見れば一目瞭然、恐らくヨーロッパあたりの人間だろうと推測できた。しかし、彼らの会話を聞く限り、どうもおかしい。

『召喚』、『平民』、『使い魔』

どれも物語などでしか聞かないような単語が飛び交っていた。
一体何が起きたのかと考えていたら、桃色の髪の少女が何かを諦めた様子でこちらへと戻ってくる。
目の前に立つや否や、キッとこちらを睨みつけてきた。向けられているのは敵意ではない。だが、明らかに好意的な意思は見られない。

「あの……」
「わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る大いなるペンタゴン、この者に祝福を与え我の使い魔となせ!」

またもや少女の大声で問いかけはかき消された。しかも今度は杖を取り出して、自分に向けてなにやら叫び始めた。内容はまるで魔法の呪文だ。
呪文らしき言葉が終わると、ほんの少し静寂が訪れた。最初に口を開いたのは、少女の方だった。

「何をしているの、しゃがみなさい!」

いきなり怒鳴られた。こうなってくると、さらに訳がわからなかった。

「なんでそんなことしなければいけないんだい?」

当然の問いかけ。
いきなり見知らぬ土地に飛ばされ、目の前で叫ばれて、しゃがめといわれれば、誰だって聞き返す。
だが、少女はそんな態度に腹が立ったのか、顔を真っ赤にしながら、地団駄を踏みながら、先ほどの大声異常の声で怒鳴った。

「ふざけないで! いいから、しゃがみなさい!」

以前の自分なら恐らく躊躇なくしゃがんでいただろう。だが、今の自分はそうは行かない。

「いきなり失礼じゃないのか? 人にものを頼む態度とは思えないな」

そんな言葉をかけた瞬間、何故か周りが一斉に大笑いし始めた。
それにまぎれて、周りからは野次が飛んでくる。

「さすがゼロのルイズだ! 平民に説教されているぞ!」
「あっはっはっは!」

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:16:40 ID:tBI5Xp2Z
一つ例外だったのは、桃色の髪に少女―恐らく名前はルイズだろう―だった。彼女は真っ赤な顔をさらに赤く変化させた。
ルイズはジローの襟首を掴み、引き寄せようと引っ張るが、服が伸びるだけで、ジローの体はまったく動かない。
しかし、このまま服が伸びるのも、注目の的になるのも嫌だったので、ジローは仕方なく体を屈めた。
次の瞬間、恐らく一秒と立っていなかっただろう。ルイズは杖をジローの額に当てると同時に唇をあて、すぐさま離れた。

「なにを? ……ッ!」

ジローは突然のことに驚き、立ち上がりながら、後ずさった。
さらに左腕に違和感を感じたジローはすぐさま左腕へと目を向ける。そこには奇怪な紋様が左手の甲に刻まれていた。徐々に浮かび上がる紋様と同時に左手からは『人間』で言う痛みが走った。さらにまたすぐに別の違和感がジローを襲う。

「がっ……!」
(馬鹿な! プログラムが書き換えられているだと!)

胸を押さえ、体を屈めると、ジローは次々と下される『指令』に苦しんでいた。
『従え』、『従うな』と言ったまったく正反対の命令が二つの回路から下されていた。
『従うな』という命令が勝り、すぐさま苦しみからは解放された。
さっきのは一体なんだったんだろうと思いながらジローは舌打ちしようとしたが、目の前で心配そうな顔を向けるルイズが視界に入り、それは止めた。

「ちょ、ちょっと大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫。持病見たいなものだから……」

とっさに嘘をついて、その場をごまかす。今では平然とつけるようになった嘘だが、それも以前では出来なかったことだ。
随分と『人間』らしくなったと半ば自嘲気味に苦笑いを浮かべた。

「ふむ、変わったルーンだが、無事契約は済んだようだね」

いきなり目の前に現れ、ジローの左手に刻まれた紋様をまじまじと見つめる禿頭の男。
彼に少し、苛立ちを覚えたが、文句を言う暇もなく男は踵を返した。

「さぁ皆教室に戻るぞ」

男とそしてルイズを除く他の黒マントたちは宙を浮いた。
その光景を見て、ジローは柄にもなく驚いた。
人間が宙を浮いた?
常識ならば考えられないことだった。少なくとも彼の知る人間の中で単独で空を飛ぶ人間はいない。

「お前は歩いてこいよ!」
「フライもろくに出来ないんだからな!」

口々にルイズに対するからかいの言葉を残して、彼らは去っていった。
唖然と宙を浮き、城のような建物に消えて行く集団を見送り、ジローはゆっくりとルイズの方へと向いた。
同じようにルイズもジローの方を向いていたのか、ばったりと二人の視線が合う。
さて、どうしたものかと考えているとまたもルイズがこちらを鋭い視線で睨み、恨み言のようにブツブツと何かを言っていた。

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:18:02 ID:tBI5Xp2Z
「何であんたみたいな冴えない男が……」
「悪かったよ」
「悪いと思うんだったら、召喚されないでよ!」

いきなり無茶を言う娘だなと、ジローは目の前で本日何度目かの大声を上げる少女を見た。
召喚とやらをしたのは君だろう? といいたがったが、先ほどまでの彼女の性格を見ると、そんなことを言うとまたこの少女は怒るだろうと思い、止めた。

「まぁ、いいわ……」

諦めたような声を出しながら、ため息をつき落胆するルイズを見てさすがに可哀想だとは思ったが、自分に何をしろと思うのも事実だった。
ふと、ジローは自分の背負っているものの存在を思い出す。背のギターを構えると、ジローは弦をはじきながら、チューニングを始める。

「なにしてるの?」
「こんなことしか出来ないけどさ……」

そういいながら、ジローは弦をはじきながら、音楽を奏でた。
けして明るい曲調ではなかったが、その音色を聞いたルイズは不思議と心が静まるような感覚に陥った。

「あんた、楽士だったの?」
「ウン? まぁそんなところかな?」

事実を言ったところでルイズが信じるとは思えない。話をあわせながら、ジローはギターを弾く。



ルイズはもちろんのこと、他の者たちも気がついてはいなかった。
彼女が召喚したのは、神聖ではなく、むしろ神聖を冒涜するような存在、醜く、そして非力な使い魔であるということを。


201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:18:20 ID:YSCVHy/U
三原則回路は確かなかったよなぁ。支援

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:19:53 ID:tBI5Xp2Z
短くてすいません。一応、一話はこれで終了です。
念のために、クロス元は原作版のキカイダーです。

ちなみ、題名は『ピノキオの大冒険』といいます。

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:21:19 ID:tuwHs730
人の姿をしているけど人ではないという存在はあそこの宗教観ではやはり異端なのかな?
彼の正体を知った時の周囲の反応に期待します。

何はともあれ乙。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:22:26 ID:wIkRnjNR
投下乙です
やっぱり原作終了後ですか
この状態だと人間相手でも手加減しないんだっけ?

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:25:37 ID:b/PLhDGz
というと、ジェミニィ&イェッサー入りか。これがどう働く物やら。

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:26:49 ID:M6yZrvk2
今更なんだがテンプレにある

・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。

最近の作品でこれを守ってる作品あったか?
一方的なのばかりな気がするが

207 :ゼロのルイズと失望の使い魔:2008/04/18(金) 22:26:55 ID:i0Mc+jed
感想が終わり次第、投下しても宜しいでしょうか。
四十分を目安にします。

208 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 22:27:33 ID:tMumEp6D
キカイダーの方、乙であります。
他に予約なければ、感想タイム挟んで22:50頃から19話を投下したいと思います。
後、イザベラ様とタバサの協力プレイに到達するにはまだフラグが足りませんので、もうしばしお待ちください><

209 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 22:28:39 ID:LwgbSS2F
それではその次に予約。


210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:28:48 ID:HmTwuonj
キカイダーに原作なんてあったのか・・・
TV版しかしらない


つーかスレの連中、お前等ほんま年幾つや!?


とりあえず、投下乙&かもーん

211 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 22:29:13 ID:tMumEp6D
ありゃ、ヘリオンの方申し訳ありません
ヘリオンの方の投下終了30分後ほどに投下しに戻ってまいりまする

212 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 22:30:52 ID:LwgbSS2F
ぬお、ジェットストリームアタックwww

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:31:06 ID:6lKILD7K
>ピノキオは人間になれて本当に幸せだったのだろうか
乙でした
イナズマンと出会う前でしょうか?

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:32:31 ID:6lKILD7K
>>210
原作準拠のアニメ版は比較的最近

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:34:29 ID:GDQuxR4x
投下予約の皆様支援

216 :ゼロのルイズと失望の使い魔 第二話:2008/04/18(金) 22:34:52 ID:i0Mc+jed
 すたすたすた。
 私の靴音が廊下に響く。
 使い魔と親交を深めましょう――銀髪の教師がにこやかに告げた時、全身が熱くなる思いがした。
 足下を強く踏みつけ、枕でも合ったら思わず壁に投げつけてしまいそうだ。
 今は、公爵家の淑女としてのプライドで怒りを押し込めつつ歩いている。
 その時、別の足音が耳に届いた。
 振り返ってみると二つくくりの髪を跳ねさせて、緑を基調とした使用人の服に身を包んだ――私が召喚した使い魔が駆けて来た。
 表情は温良に緩み、はきはきと明るい笑顔を浮かべて、真ん丸に口を開いた。
「あるじさま!」
 高い、見た目通りの破瓜期の少女を思わせる声音。
 私が何も言わないままじっと見ていると、背筋をぴたっと伸ばし緊張の面持ちを浮かべる。
 その小動物を思わせる態度に私は吹き出した。
 しばらく肩を震わせて俯いていると、使い魔の少女が下から覗くように見上げてきた。
「あの、何かおかしなことを言いましたか?」
 きょとんとした表情とは違い、声色は大変不安げだ。
 だけども、その仕草も妙にツボに入ってしまい口元の緩みを隠せない。
 やがて笑いも収まってくると、すっかり困りきった面持ちを相手がしていたので悪いことをしたと思って頭を下げた。
「ややや、謝らないでください」
 私の態度に、逆に少女が悪いことをしたかのように同じ仕草をする。
 ぺこりぺこりと、このまま堂々巡りをしそうなところで笑い声が廊下に響いた。
 私達は自己紹介をするために部屋へと戻り、二人並んでベッドに腰かけて。
 まずは、と私が切り出した。
「私の名前はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、あなたの主ってことで良いわね?」
 少なくとも出会い始めの一声が“あるじさま”だったし。
 ミスタがどのような説明をしたかは後で聞くとしても、悪い印象は持たれてない事は分かった。
 それだけじゃなくて、これから良好な関係を築けそうな、そんな予感がする。
「はい。その通りですルイズさま。それで、私の名前はヘリオン・B・ラスフォルト、ヘリオンとお呼び下さい!」
 元気の良い返事と同じ笑顔を浮かべながら、力強く頷いた。
 ただラスフォルトという家名は聞いたことはない。
 ハルケギニアでも田舎なのか、未開なのか。
 でもそれを聞くのは憚られた、格好から察するに使用人の立場に身を窶しているのだろう。
「よろしくヘリオン、仲良くしましょう」
 感情を出さないように外向けの笑顔で手を出す。
「はい、お願いしますルイズさま」
 手をつかんでからぺこりと頭を下げる。
 ふんわりと暖かな感触に包まれて、心に亀裂が走るような痛みを感じてしまった。
 その気持ちを押し込めるように、一つ咳払いをする。
 しかし私の行動を見たヘリオンは、手を引っ込めて和やかだった表情に緊張が走る。
 コロコロと面持ちが変わるのを見ると、良い教育を受けているのか、単に子どもっぽいだけなのだろうか。
 分からないけれども、あまり何かを言って慌てさせても可哀想だ。
 ここはちょっと話題を変えてみようか。
「あまり肩肘張らずに聞いてね、使い魔の仕事なんだけど」
 素直に何度も頷くのを見ながら説明を続ける。
 単純にいえば、私の身の回りの世話に警護、後の一つは追々にする。
 別に今の私には必要のないことであって、そのことを説明したことで自らのコンプレックスを意識せざるをえないからではない。
 ごまかしているわけでも、ない。断じて。
「身の回りの世話と言うと、具体的には食事や寝床の確保ですか?」
「ううん、そういうのじゃなくてもっと簡単な事よ。洗濯をしたり、朝……」
 朝起こして、と言おうとして言葉に詰まった。
 ヘリオンが小首を傾げるのを見ながら、私は精一杯に言い訳を探す。
 私は寝起きが悪いから朝起こしてください……いや、威厳がまったく無い。
 朝起きれない難病……いやいや。
「朝に主人を起こすのはハルケギニアの使い魔にとっては最大の名誉で」
「分かりました! その役目精一杯努めさせて頂きます!」
 ごまかすために嘘を吐いた。
 人と言うのはこうして罪深くなっていくものなんですね、始祖ブリミル。
 ヘリオンが力強く頷くのを横目で見ながら、その一生懸命さと同じくらいの溜め息を心で吐いた。

217 :ゼロのルイズと失望の使い魔 第二話:2008/04/18(金) 22:35:26 ID:i0Mc+jed
 聞いてみると、へリオンは詰所に居た時も同年代や年下の子に世話を焼いていた上に、洗濯も引き受けていたらしい。
 詰所というのがなんだか分からないが、使用人が集う座敷のようなものなのかと勝手に思う事にした。
 私が感心して頷いていると、ふと気がついたかのようにヘリオンが顔を上げた。
「あ、それで警護についてなんですけど……」
 これ以上に仕事を求めたらバチが当たりそうだと思う。
 だけども、過去に使用人の立場にいたヘリオンに対して、命を張って私を守れなんてさすがに言えないというのもある。
 それに見るからにして弱そう……正直まったく戦闘能力は期待できない。
 なのだが、
「わたしは剣を持っていたんですけど、お掃除の最中邪魔なので置いてきてしまいまして」
 申し訳ないです、と頭を下げるが私にとっては意外な言葉だった。
 こんな子にまで武術を? と思いながらも私が今こうして、魔法を学んでいるのと同じなのか。
 なら幼そうに見えるけど案外年上だったり? そんな風には見えないけど。
「それはざんねんね」
 あまり気持ちがこもっていない声で言ってみる。
 一瞬ぼぉっとしたけども、信じてないと気付いて頬を膨らませた。
 一度へリオンに向けていた意識を止めて、窓の方を見る。
 陽は陰り赤の光が差し込んでくる、夜になれば二つの月が空を照らす。
 さて、と一区切り付ける様に話してから立ち上がった。
 と、その拍子にヘリオンの食事に考えが及ぶ、ふと何気ない時に重要な事って思い出すものだ。
 これでヘリオンがどうしようもなかったら、粗末なスープと固いパンをぽいっと与えて己の身分を理解させるんだけども。
 もちろんそんなことをするつもりはない。 
「ルイズさま? どうされたんですか?」
 肩越しにヘリオンがひょいと顔を出す。
 私は腕を組んで考えながらも、一向に答えが導けないので思い切って聞いてみることにする。
「ヘリオンの食事をどうしようかと思って……」
 このままじゃ埒が明かないと思って出した言葉だが、そうしたことによって悩みが一瞬で解決することになった。
「食事はこの学院にいる使用人の方に世話して貰うようにと、コルベール先生に教えて頂きました」
 その言葉を聞いて、私が授業に向かってから怒りつつ帰ってくるまでの十数分間に良く説明できたと思わず感心した。
 あまり威厳を感じない(主に髪が)が、実は只者じゃないのかも知れない。
 じゃあ食事の時は別行動、と心に留めておく。
 するとコンコンと控えめにドアを叩く音が聞こえてきた。
「あ、私が出ますね」
 ヘリオンはノックをした相手に見当がついているのか、ひょいと一飛びでドアに到着する。
 ……あれ? 今背中に羽みたいなものが見えていたような気がするけど。
 気のせいよね? 見間違いよね? ……そうよね!
 うんうんと一人で頷いていると、ドアが開いたその先に一人の使用人が立っていた。顔は生憎と知らない。
 ヘリオンが小さな手を引き、促されるようにしながら部屋に入ってきた。
「お初にお目に掛かります、ミス・ヴァリエール。私は、ヘリオン様の身の回りの世話を任せられました、メイドのシエスタと申します」
 メイドとやけに強調している点以外は普通の自己紹介だった。
 恭しく頭を下げたシエスタに対し私も言葉をかけた。
 自分で言うのもなんだが人を見る目はある方だと自負している。
 彼女にならヘリオンを任せても良さそうだろう。
「ええ、任せるわ。早速だけど食事をどうにかしてもらえる?」
「はい、承知しております……ヘリオン様、参りましょう」
 シエスタはヘリオンに視線を向けると、二人は頷き合って部屋から出て行く。
 私はその背中を見送りながら、ちょっと前まで怒りに身を任せていた自分を思い出す。
 召喚をしたときにはどうかと思ったけど、こうして話してみると性格も穏やかだし、私もちいねえさま気分が味わえて楽しい。
 これからを想像すると、自然と頬が緩む。
 人の使い魔と言うのも悪くないかもしれない――私も食事を採るために静かに部屋を抜け出した。

218 :ゼロのルイズと失望の使い魔:2008/04/18(金) 22:36:37 ID:i0Mc+jed
投下終了です。
ここまで投下予約が重なるとは思わず、驚きました。
お待たせしてしまって、申し訳ないです。

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:40:53 ID:Gd+BrUKT
月が二つあったら
潮汐の差とかどうなんだろうか

生命誕生に月は大きく関わっているから
生命進化が地球とは大きく違うかもしれん

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:41:47 ID:ma5RU3N1
乙です。
やっぱり使い魔と仲が良いとほっとします。

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:42:40 ID:tuwHs730
>>210
章太郎先生の漫画版があり、文庫版も出ています。

222 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 22:42:53 ID:tMumEp6D
ヘリオンの方、乙であります。
(;´Д`)よもやさらに重なっているとわ
では、僭越ながら23:05頃から投下開始したいと思います

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:48:05 ID:xFZoWXMA
投下祭りだじぇヒャッホーィ!!!
支援支援支援支援ッッ!!!

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:53:54 ID:iRDxqn1g
今日はいい日だ

支援

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 22:54:21 ID:IT6eMl1v
>>219
潮汐力自体は太陽の方が強いから、そんなに影響は無いかもな

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:01:50 ID:UyGIWXwJ
>>225
あの大きさならかなり影響あると思うぞ。

227 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 23:05:10 ID:tMumEp6D
待っている方もいらっしゃるので、手早く投下したいと思います

イザベラ管理人第19話:炎の色は・前編


ガリア王都の片隅にある薄汚れた場末の酒場。
そこでは、昼日中にも関わらず数人の男女が思い思いに酒を飲み、食事をしている。
やる気のない主、華やかさの欠片もない内装…どう見ても堅気の者たちが集まる場所ではないことがわかる。
華やかなガリアの王都といえど、裏町がなくなるわけではない。むしろ、巨大な都であるからこそ、こういう場所は多い。
そんな酒場で、一人の30がらみの男が酒をちびちびと舐めるように飲んでいた。
彼の名はセレスタン・オリビエ・ド・ラ・コマンジュ…名前からもわかる通りメイジである。
だが、彼はメイジ…すなわち、貴族と呼ぶには薄汚れすぎていた。
長髪を後ろで無造作にまとめており、着衣は薄汚れた革の上着に擦り切れたズボンとブーツ。
彼がメイジであることを示すのは、ベルトに挿してある長剣のような形の杖だけだ。
そう、貴族は全てメイジであるが、逆はその限りではない。
貴族としての栄誉を失い、その力のみを頼りに傭兵や盗賊に堕する者がいる。彼はその類であった。
だが、それだけに彼の実力は折り紙つきと言える。
貴族のように非効率的な名誉や外面に縛られない分、彼はどんな戦術でも取れるし、純粋に火のトライアングルとして、魔法の実力も高い。
その力を見込まれて、以前は非公式な騎士…すなわち、北花壇騎士団に所属していたこともある。
それほどの力を持つ彼が何故こんな場末の酒場で浮浪者のように酒を飲んでいるかというと…やはり、影の騎士は影に過ぎないという現実のおかげであった。
正規の花壇騎士ととある事件で一悶着あったのだが、その事件のせいで彼は一人だけ責任を取らされ、あえなく首になってしまったのだ。
「まったく、これだから親の七光りで叙された名ばかりのお坊ちゃん騎士は困るぜ…」
獲物がかち合った騎士にちょっとばかり現実を教えてやっただけでこれだ、権力とは魔法など比べ物にならない厄介で巨大な力である。
その時、入り口の扉が軋んだ音を立てて開かれた。
どうせ、またぞろ浮浪者や荒くれ者が無聊を慰めるためにやってきたのだろう。
彼は気にせず酒を舐めていたが…手元に影が落ちたことに気づいた。
席はガラガラに空いているというのに、新しくやってきた客は彼の元にやってきたらしい。
「ああ?なんだよあんたは」
ただでさえ不機嫌なのに、酒さえも邪魔されてはたまったものではない。
だが、彼の元にやってきた人物は…
「な…なんであんたが…!」


昼下がりの王宮ヴェルサルテイルの一角、プチ・トロワはイザベラの自室。
エルザを膝に乗せた耕介は、先日イザベラに話した過去の話を、今度はエルザに話させられていた。
「学生時代は、兄貴と仲が悪くて、会う度に派手にケンカしててさ。ガキだったから、そのイライラを発散できなくて、手当たり次第に不良にケンカ売ったりしてたんだよ」
その隣では、イザベラが横目で二人を気にしつつ、やってきたフクロウの足にくくりつけられた手紙を開いている。
耕介の昔語りは、彼にとってあまり吹聴したくない時代に突入していた。
それは無論、彼が変わる決定的なきっかけとなった事件である。
「えー!じゃあ、そのヒトミって女の人に投げ飛ばされちゃったんだ!もったいないなぁ…ね、お兄ちゃん、寂しいならエルザが慰めてあげるよ?」
そう言ってエルザは外見に似合わぬ妖艶な笑みを浮かべる。
耕介はとりあえずエルザの額をぺしっと叩いておいた。
この程度で取り乱すようでは、個性的過ぎるさざなみ寮の住人を相手取る管理人など勤まらぬのだ。
「軽々しくそういうことを言うんじゃありません。ま、それで俺は全治2週間で入院したわけだ」
「へー…お兄ちゃんみたいに大きい人を投げ飛ばすなんて、その女の人凄く強いんだねー」
「護身道っていう武道をやってたからな。公園の地面に叩きつけられてバウンドして、柵に激突したよ」
過去の醜聞を何度も披露するのは勘弁願いたいところであったが、『おでこ姫には話したのに、エルザには話してくれないの…』と潤んだ金色の瞳で見つめられては話さざるを得ないというものだ。
そして、更なる暴露話をエルザが催促した時、それを遮る声が上がった。
「ちょいと待ちな、エルザ。コースケ、ちょっとあんたに頼みたいことがあるんだ」
先ほど現れた伝令フクロウから受け取った手紙を難しい顔で読みふけっていたイザベラだ。
彼女の表情は苦渋と決意に満ちており、さしものエルザも耕介との時間を邪魔された不満を表すのは表情だけにした。
「どうした、イザベラ?」

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:05:53 ID:GNRvgiHb
ゼロのガンパレードの人来てくれないかな?

支援

229 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 23:06:27 ID:tMumEp6D
耕介も気を引き締めてイザベラに問う。相変わらず膝にはエルザが乗って足をブラブラさせているので、あまりシリアスには見えないのが難であるが。
イザベラは、しばし迷うように口を開いたり目を伏せたりしていたが、やがて話し始めた。
「まず、シャルロットの所属が正式に父上の直属になった。事実上、あたしがシャルロットに与えられる任務に干渉することは出来ない」
正式な書類としての通達が来たらしい。
先日のジョゼフとのやり取りからこうなるとはわかっていたが、こちらから何も手出しが出来ないと突きつけられるのは、やはりやるせない思いを抱いてしまう。
「そう…か…」
沈痛な面持ちで顔を伏せ、唇を噛む耕介。
だが、イザベラの声は全く沈んでいなかった。
「ふふん、何を弱気になってんだいコースケ。確かに直接手出しは出来ないさ。けど、間接的になら可能だ」
「間接的…?」
耕介の訝しげな視線が捉えたイザベラは、自信満々に不敵な笑みを浮かべていた。
そして、その笑顔に相応しい、規則の穴をついて悪戯を仕掛ける悪童の声で言い切った。
「シャルロットに与えられる任務に手出しできないなら、それに関わるように動けばいいのさ!例えば、シャルロットに退治任務が与えられたなら、その獲物に関わるような任務を設定して補助してやるのさ」
「あはっ!悪戯っ子の理論だね、おでこ姫!」
「う、うるっさいよ、エルザ!」
イザベラ自身も屁理屈であることは自覚していたらしく、エルザの指摘に論理的な切り返しはしなかった。
そのままいつものごとく舌戦に突入する二人に、耕介は微笑ましい気持ちになる。
父親との一件からある程度は立ち直っているとはいえ、やはり尾を引いていないというわけではなかったからだ。
何が決定的にイザベラを立ち直らせたのか、耕介自身明確には理解していない。
彼にとっては当然のことを積み重ねただけであるのだから、当然だ。
だが、一度は折れかけたイザベラが、新しいものを軸にして立ち直ろうとしていることはわかる。
それが嬉しい。彼女は、召喚された当初の余裕のなさが嘘のように、明るい笑顔を浮かべるようになった。
その手助けをわずかばかりでも自分が出来たと思うと、誇らしさを覚える。
「あーもう、エルザ、話の腰を折るんじゃないよ!」
「うふふ、ダメだよおでこ姫、お兄ちゃんとエルザの時間を邪魔したんだから、早く要件を済ませてくれないと〜」
「こんの…あんたが混ぜっ返してんだろうが!」
舌戦の勝敗については言わぬが花ということにしておこう。
イザベラとエルザはことあるごとに舌戦を展開するが、そこにネガティブな感情はない。
言うなれば、じゃれ合いといったところか。案外いいコンビなのかもしれない。
「ったく…それで、シャルロットに注意しろって連絡したんだけど、まだ反応がない。監視用のガーゴイルから合図がないから、シャルロットの身に何か問題が起こったってわけじゃなさそうなんだけどね…」
「じゃあ、俺はタバサの様子を見に行けばいいのか?」
「ああ、そうだ。単にまだ返事を書いてないだけなのかもしれないけど…ちょっときな臭い感じがしてね」
「きな臭い?」
イザベラは、自分で言っておきながら自信がなさそうにしている。
違和感程度だが、どうにも無視することは出来ない…そんな様子だ。
「アルビオンで内戦やってたってことは知ってるだろ?それの決着がついてね、王家側が倒された。今アルビオンを牛耳ってるのはレコン・キスタっていう貴族連合なんだが…そいつらが今度狙ってるのがトリステインなのさ」
「アルビオンって、空に浮かんでる大陸だっけ?一度見てみたくはあるなぁ…ん?トリステインって…タバサがいる学院のある国じゃなかったか!?」
「その通り。事前に結んでた不可侵条約を破って、レコン・キスタはトリステインに奇襲をかけたんだけど、ものの見事に敗北してね。今度はトリステイン側が軍を整えて、逆襲しようとしてるのさ。
 けど、レコン・キスタの首領はなかなかの食わせ者らしくてね…不可侵条約を破るなんて手をあっさり使う奴だ、なりふり構わず卑怯な手も使ってくるだろう。もしかしたら…貴族の子女が通う魔法学院に部隊を送り込んで人質にとる…なんてやるかもしれない」
「そんな…!」
耕介は平和な日本で生まれ、つい数ヶ月前まで暮らしてきた。
御架月の主として対悪霊などの個人戦闘をこなす程度で、戦争などという大規模な戦いは想像もつかないし、考える必要もなかった。
それはハルケギニアに来ても変わらなかった。ガリアは現在のハルケギニアでは最大の国で、魔法技術においても最先端を行く強国であるからだ。

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:07:38 ID:SKXKN7jH
支援

231 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 23:08:52 ID:tMumEp6D
リュティスで情報収集をしたり、リュティス魔法学院の図書館に異世界に関する書物を探しに行ったりした際、別の国で内戦が起こっていることを噂程度に聞いたことはあるが、それだけだ。
戦争が起こっていることには心が痛むが、耕介に出来ることは何もないし、関わる必要もなかった。
だが、そこにタバサが関わるとなると…話は違ってくる。
「でも、魔法学院は当然メイジが多いだろ?そこをわざわざ襲って人質にとるなんて、かなりの戦力が必要になるんじゃないか?それほどの戦力に国境を越えさせるなんて…」
耕介の指摘は尤もな話だ。
魔法学院は貴族の子弟に魔法を教える場所、確かに人質としての価値は計り知れない。奇襲に失敗したレコン・キスタがほしいのは何よりも軍を立て直す時間だ。それを稼ぎ出し、あわよくばトリステイン軍の弱体さえも狙える。倫理を考慮しなければ、かなりの良手だ。
だが、学院に通うのは全て貴族…ということは、学生全員が戦力となりうるということだ。トリステイン魔法学院の規模を耕介は知らないが、そこを制圧するとなるとかなりの戦力が必要になるということはわかる。
そして、そんな大戦力に国境を越えさせる程度の防衛力しかないのなら、トリステインは最初の奇襲で敗北を喫しているはずだ。
「それが、アルビオンに限ってはその限りじゃない。忘れたのかい?アルビオンは空に浮かぶ大陸だ。地上の国々と交易するために高められた造船技術は間違いなく世界一。
 どこから降りてくるのかわからないフネを警戒するなんて無理な話さ。それが1隻2隻となれば尚更ね。
 加えて、今のトリステイン魔法学院は平時よりも圧倒的に戦力が少ない。何故なら…トリステインは学生まで徴兵してるからさ。志願制ってことにはなってるけどね、プライドの高さで有名なトリステイン貴族だ、教師も含めて男どもはほとんど志願したと見ていい。
 となれば…学院に残ってるのは、女と平民ばかりってわけさ。これなら小規模の戦力で制圧でき、人質としての効果も充分に期待できる」
あまりのことに、耕介は声を出すことさえ出来なかった。
まさか戦争に学生を動員するとは…!
「い、いったい何考えてるんだ、そのトリステインって国は!学生に戦争させようなんて!」
「士官不足なんじゃない?エルザがあちこち放浪してた間もトリステインって戦争してなかったし、何十年ぶりの戦争じゃ、軍人さんも減ってて当然だよねぇ」
耕介とイザベラのやり取りを全く興味なさげに聞き流し、耕介の胸に耳を当てたりとじゃれ付いていたエルザが突然そう言った。
聞くだけは聞いていたらしい。しかもその意見は、人間社会とメイジの動向に通じている吸血鬼らしい的確なものであった。
「そういうことさ。ましてや実戦経験のある士官なんてほとんどいないだろうし、いたとしても皆高齢。それなら、即席でもいいから数を揃えようってわけさ。レコン・キスタはなりふり構わないって言ったけどさ、トリステインも似たようなもんだ。
 ま、今はそのことはいい、あたしらが介入できることでもないしね。レコン・キスタが魔法学院を狙うってのは、別に確たる情報があるわけじゃない。あくまであたしの憶測だ。
 でも、ないと断言も出来ない…だから、シャルロットの様子見がてら、コースケに行ってきてほしいんだ」
「あ、ああ…わかった」
耕介はイザベラほどに割り切ることは出来ないが…それでも、今は意識を切り替える必要がある。
戦争という大きなうねりを相手に耕介が出来ることなど何もないし、それは実権をほとんど持たないイザベラも同じことだ。
故に、今は危険があるかもしれないタバサのことを考えねばならない。
だが…学生まで戦争に動員されるという現実に、耕介はやはり切ないものを感じてしまう。
「適当な任務をでっち上げて竜騎士を用意したから、そいつにトリステイン魔法学院まで運んでもらいな。前庭に待機してるよ。んで、これがもしもの時のための旅費」
机の上に置いてあった皮袋を取り上げると、イザベラはそれを耕介に投げ渡した。
受け取った耕介が袋の口を開くと、中には金貨5枚と手のひらサイズのフクロウ人形が入っていた。
「帰りはその袋に入ってるガーゴイルを飛ばせば、一両日中には迎えの竜騎士が出せるよ」
「わかった。他には何かあるか?」
耕介は特に他意なくそう言っただけであったが、イザベラは言いにくそうに口ごもり、意味を成さないうめきのような声をあげる。
それはちょうど、この話を始める前と同じ態度だ。
今までの話に、イザベラが口ごもるような要素はなかったはずだ。ならば、本題はまた別にあったということか。
しばしの間の後…イザベラは覚悟を決めたようだった。
「あー…コースケ。あたしは…あんたに、言わなきゃならないことがあるんだ」

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:09:00 ID:Gd+BrUKT
OMEGA TRIBEからハル・・・

233 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 23:10:29 ID:tMumEp6D
それでも、幾度か口ごもる。よほど言いにくいことらしい。
耕介はあえて促さず、イザベラを待つ。
「えっと…シャルロットからきた手紙に書いてあったんだけどね…もう一ヶ月くらい前なんだが…」
いつも歯切れよく話すイザベラらしからぬ、弱気と恐れを混ぜた声。
顔を伏せ、上目遣いにチラチラと耕介を見上げてくる。おそらく、なんらかの理由で黙っていたことに気が引けているのだろう。
内容を聞かないことにはなんとも言いがたいが、少なくともイザベラが恐れるようなことにはならないという意味を込めて耕介はイザベラに微笑みかけた。
耕介の微笑みを目にした途端、イザベラの顔が瞬間湯沸かし器にかけられたかのように真っ赤になって俯く。
エルザが耕介をジトっとした半眼で見つめていることに、彼は気づかなかった。
やがて、イザベラはぶるぶると頭を振って熱を逃がしてから顔を上げると、耕介の目を見て話し出した。
「シャルロットの同級生が呼び出した使い魔が、あんたと同じ国…ニホンの人間らしい。向こうも同じ国から来たあんたと会いたいって言ってるそうだ」
それはまさしく、耕介にとって青天の霹靂であった。
巧く回らない頭で、情報を吟味していく。
だが、改めて考えるまでもない。この世界にニホンという地名は存在しない。であるならば…答えは一つだ。
「ニホンから来た…日本人が俺以外にも呼び出されてたのか!?」
耕介の脳裏を驚愕と共にいくつかの感情が駆け抜ける。
まずは喜び。まさか自分の他にも召喚された人間がいて、かつ日本人とは、まさしく僥倖。
次に、怒り。そんな重要なことを黙っていたイザベラに、隠しようのない怒りを感じる。
そして…最終的に耕介が表に出した表情は、苦笑だった。
「その…コースケ…だ、黙ってて…悪かった…」
謝罪するイザベラは、叱られた子犬か、萎れかけた花のように力なく俯いて、不安げにしている。
まったく、そんな表情で謝られては、怒りなど雲散霧消してしまうではないか。
「ふぅ…イザベラ」
一つため息をついて、耕介はイザベラへと左手を伸ばした。
耕介の呼び声に従って顔を上げたイザベラの額に一撃、デコピンを入れる。
「いた!」
「これからは、隠さないでくれよ」
イザベラは呆然と額を押さえて耕介を見上げるしかない。思考が停止してしまっているのだ。
優しい微笑を浮かべた耕介は、そのまま左手をイザベラの頭上に伸ばして頭を撫でる。
「イザベラみたいな寂しがりやの女の子を放って帰れるわけないだろ。だから、そんなに不安そうな顔をするな」
「コー…スケ………うん…」
イザベラは呆然としたまま撫でられるに任せる。
やがて、彼女は花が綻ぶように安心しきった無垢な笑顔を浮かべた。
イザベラがほしくてほしくて堪らなかった、温かな絆。この穏やかな時間は、それが具現したものだ。
同時に、自身を恥じる。耕介はこんなにもイザベラを想ってくれているのに、自分は隠し事をしてしまった。
次は、イザベラも彼の優しさに答えなければと強く思う。
だが、そんな穏やかな時間も長くは続かなかった。
「いってぇ!」
耕介の素っ頓狂な声で、雰囲気がぶち壊されたのだ。
その原因は…忘れ去れていた彼女であった。
「お兄ちゃん、トリステインは遠いんだから、そろそろ出発しないと」
半眼で耕介を見上げて憮然としていたエルザが、太腿を抓って存在を主張したのだ。
「あ、ああ…そうか、隣の国だもんな」
膝からエルザが飛び降りるのを待って、耕介が立ち上がる。
機嫌を損ねたエルザに、帰ったらご馳走を作ることを約束して許してもらう。
「それじゃ、行って来るよ、イザベラ」
「き…気をつけていってきな」
準備のために部屋を出る耕介を、イザベラは言葉少なに見送った。
自分がどれほどに無防備な表情をしていたかを思い出して、今更ながら恥ずかしさを覚えたせいである。
胸に手を当て、深呼吸を繰り返して頭に上った熱を逃がすことに集中する。
だが、幾度繰り返しても熱は逃げてはくれなかった。
耕介の掌の温かさが、微笑が、蘇ってくるせいだ。
目を瞑るだけで感触を明確に思い出せる。その温かさを反芻し…
「ねぇ、おでこ姫」
一撃で断ち切られた。
「え、エルザ!?」
いつの間にか、エルザが目前に来ていたのだ。
彼女は腕組みをし、半眼でジトッとした視線をイザベラに送ってくる。
「もう、せっかくお兄ちゃんとお話してたのに、おでこ姫のせいで台無しだよー。それで、おでこ姫はどうするつもりなの?」
まだいまいち頭が回っていないイザベラは、エルザの言葉の意味が判らず首をかしげた。

234 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 23:11:17 ID:tMumEp6D
意図が伝わっていないことを察したエルザは、深いため息を一つつく。
「ハァ…だからぁ、お兄ちゃんを元の世界に帰すつもりあるの?ってこと!」
イザベラは、背筋に氷柱を刺し込まれたような寒気を感じた。
先ほどまで感じていた温かさがそのまま反転し、加速度的に体が冷えていく。
「エルザはお兄ちゃんがしたいことを手伝うし、元の世界に帰るなら一緒についていくけど。おでこ姫、なんにも考えてなかったでしょ?ちょっと違うか、考えたくなかった、だね」
「それ…は…」
イザベラは悄然と俯いた。エルザの言葉が完璧にイザベラの心中を言い当てていたからだ。
耕介は、あくまでも異邦人なのだ。
イザベラの使い魔ではあるが…彼は元の世界に戻りたがっている。そして、そこには彼を待つ家族たちがいる。
彼はイザベラを放っておけないと言ってくれた。それは、帰る手段が見つかっても、しばらくはイザベラの元にいてくれるということだろう。
だが、それはあくまでも”しばらく”の話だ。いつかは耕介はこの世界からいなくなる。
それでも、彼の優しさに答えるのならば、イザベラは全力を尽くして元の世界に帰る方法を探すべきだ。
果たしてそんな方法が存在するのかはわからないが…仮に見つかったとしたら?
耕介は元の世界に帰り…そして、自分はどうすればいい?
やっと手に入れた絆が再び消えてしまう…そう思うと、どうしようもない寒気を感じる。
けれど、耕介の望みをかなえてやりたいとも強く思う。
またもイザベラを苛むのは二律背反。
始祖の与える運命はいつもイザベラに過酷な選択を迫る…本当に、始祖に嫌われているのかもしれない。
「ま、結局はおでこ姫が自分で決めなきゃいけないことだからエルザはあんまり言う気はないけど…」
イザベラを見つめるエルザの目が細められる。金色の瞳から、凄まじい圧力が放たれた。
それだけで、小柄で華奢なただの少女であったエルザが、狩猟者たる吸血鬼へと変貌する。
「いくらおでこ姫でも…お兄ちゃんの不利になるようなことをまたしたら…容赦する自信ないよ?」
そう言い残して、エルザは部屋を出て行った。おそらくは耕介のベッドで眠るつもりだろう。
一人取り残されたイザベラは、どうにもならない恐れを抱いたまま、考え続ける。
脳裏を過ぎるのは、先ほどの耕介が与えてくれた微笑。
それが最後の一押しになった。そうだ、最初から答えなど決まっているではないか。
「あいつを…元の世界に必ず帰す!」
耕介はイザベラにたくさんのものを与えてくれた。
今度はイザベラが耕介に返す番だ。それだけの話だ。
イザベラは早速、手紙を書き始めた。
まずは、やれることからやり始めねば。


煌々と冴え渡る双月から降り注ぐ月光が不意に翳り始めた。
徐々に双月に雲がかかっていく。
無粋な雲は、そのまま双月を侵食し、ついには覆い尽くしてしまった。
月光の恩恵を失った人間は弱いものだ。
真なる闇を前にして、出来ることなどはちっぽけな灯りをつけることだけ。
それはメイジにしても同じことである。
だが、トリステイン領に密やかに舞い降りた一隻のフリゲート艦は違った。
強力な風のメイジによって風を与えられたフネは、その巨体にも関わらず滑らかに飛んでいる。その進路は完璧なまでに正確にトリステイン魔法学院を目指していた。
突然月光を失ったせいで近くのものにしがみついて闇に怯える平民の船員たちを尻目に、一人の筋骨隆々とした大男が淀みなく甲板を歩いていく。
驚くべきことに彼は灯りもつけずに歩いていた。
やがて舳先につき、男の口元が吊り上る。まるで亀裂のような、怖気を奮う笑みであった。
「トリステイン魔法学院…貴族のガキどもが通う学院…。ククク…ガキどもの焼ける匂いはどれほどに芳しいのだろうなぁ…」
その時、双月を隠していた雲が晴れ、再び二つの月がその恵みを地上に降り注がせた。
光を必要としない男にも、その恩恵は分け隔てなく降り注ぐ。
その男は白髪のメイジであった。大柄で傭兵のように逞しい体に相応しい鉄のメイスのような巨大な杖を持っている。
だが、何より目を惹くのはその顔だ。額の真ん中から左目を包み、頬にかけて彼の顔を覆っている火傷の跡。それに加え、右目には眼帯をしている。
彼こそは”白炎”のメンヌヴィル。戦場において、恐怖と共に語られる力ある火のメイジ。
彼の前に立つ者は、老若男女の区別なくその白い炎によって焼け爛れるしかない。
ピクリとも動かぬ左の眼球が見据える先に、彼らが目指す場所…闇に沈むトリステイン魔法学院が眠っていた。

235 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/18(金) 23:12:40 ID:tMumEp6D
結論から言えば、イザベラの憶測は全く的確だった。まさしく慧眼と言っていい。彼女の、父に認められたい、誰からも文句の言われぬ貴族になりたいという思いで始めた勉学は、正しく彼女に政治家、軍略家双方の目を育てていた。
しかし、たった一つを除いて、他の全ての要素がかみ合わなかった。
まず、彼女はトリステインに与する者ではなかった。次に、彼女は単に魔法学院襲撃を可能性の一つとしか考えていなかった。最後に、予想以上にレコン・キスタ側の動きが早かった。
ならば、いったい何がかみ合ったのか…それは、耕介を向かわせたことであった。
こんな深夜にまで、無理を言って竜騎士に飛び続けてもらった理由といえば、一言で言えば不安だ。
イザベラは憶測と言っていたが、それでも戦争に学生が巻き込まれているとなると、いても立ってもいられない。
加えて、そこにタバサまでもが関わっているとなれば、一刻も早くそばにいってやりたいと思う。
竜騎士は不満そうではあったが、王女の直属として紹介された耕介の言葉に反抗などできようはずもない。
結果、耕介を乗せた竜は間に短い休憩を挟んだ程度でほとんど休みなしに飛び続ける羽目に陥っていた。
だが、その甲斐あって月光に照らされたトリステイン魔法学院はもはや目と鼻の先だ。
そこで、耕介は違和感を覚えた。
「ん………なんだ?灯りがついてる?」
塔の一角に灯りがついているのだ。
こんな時間に学校で灯りがついている…そんなことがありえるのか?
違和感は一瞬にして胸騒ぎに変わった。
嫌な…とてつもなく嫌な予感がする。
「何度も無茶を言ってすまないけど、もう一度頼まれてくれ!あの灯りがついてる塔に突入する!」
「え、えぇ!?わ…わかりました…」
働き通しの風竜が不満げな鳴き声を上げるが、騎士の手綱に従って塔へ急降下を始めた。
急速に巨大な塔が近づいてくる。
凄まじい速度で飛行しているため、ビョウビョウと風の鳴く音がするが、騎士が風を遮断してくれるため、風圧で吹き飛ばされることもなければ、目を開いていても眼球が乾くこともない。
「…!このまま飛び降りるッ!」
「えええ!?」
塔から漏れ出す灯りと、月光に照らされた広場に、何人もの人間が倒れ伏していた。
そして、その中に…信じたくはないが、あの見慣れた鮮やかな青い髪が見えたのだ。
もはや一刻の猶予もない。耕介は風竜の上から飛び降りた。
慌てて騎士が《レビテーション》を耕介にかけ、落下速度を和らげてくれた。ついで耕介は霊剣・御架月を抱え込んで体を丸め、背中から着地する。
だが、風竜の速度に加えて重力に引かれているのだ、あっさりと止まってくれるわけがない。そのままごろごろと転がって、茂みに突っ込んでやっと止まってくれた。
全身を激痛が貫き、意識を失いそうになるが、唇を噛み締めて強引に繋ぎとめる。
素早くダメージを計測する。体中が痛むが、どうやら骨は折れていないらしい、全く僥倖だ。咄嗟に《レビテーション》をかけてくれたあの騎士には感謝してもしきれない。
「こ、耕介様、無茶しすぎですよぉ!」
霊剣から光が溢れ、御架月がこちらの世界に来てから無茶ばかりする主に半泣きになりながら治癒をかける。
耕介は答える間さえも惜しんで、痛みを精神力で抑え込んで立ち上がると同時に霊剣・御架月を抜刀、広場を睨みつける。
そこには、およそ正気とは思えぬ方法で乱入してきた耕介を見つめる二人の男がいた。
耕介には状況はさっぱりわからないが、やらねばならぬことはわかる。
「タバサから離れろッ!」
冴え冴えとした月光が降る広場で、3人の戦士の戦意がぶつかりあう。
一人は、神咲流剣士にして霊剣・御架月の主、槙原耕介。
一人は、”白炎”の二つ名を持ち、つい先ほど銃士隊数人と強力なトライアングルメイジであるタバサ、キュルケを一瞬で倒してみせた盲目の傭兵メイジ、メンヌヴィル。
そして、最後の一人は…トリステイン魔法学院に唯一残った男性教師、戒めとして封じていた破壊の炎を解き放った”炎蛇”のコルベール。
子どもたちが大人になるためにたくさんのものを学ぶはずの学院は、炎と血に彩られた戦場へと変わり果てていた。


以上で投下終了になります。
ウィザードリィの方、お待たせして申し訳ありません

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:14:51 ID:klB41Isj
乙です〜


237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:22:54 ID:lVpwJEQk
乙ですー

238 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:24:43 ID:LwgbSS2F
乙〜。
乙女だねぇ、イザベラ様。

さざなみのひと、早いもの勝ちなんでお気になさらず。
こちらは30分から投下予定。第四話前編です。

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:27:59 ID:ma5RU3N1
乙です。今日も良いイザベラが見られて満足です。

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:29:07 ID:xFZoWXMA
ウホッ!いいイザベラ様でした!

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:30:46 ID:TKBqJcd5
いいイザベラでした!

242 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:31:39 ID:LwgbSS2F
そこは暗かった。異国の神殿か、或いは聖域。厳かな雰囲気の中にも禍禍しい気配が漏れ出している。
ショウとルイズ、そして仲間達は邪気の源である巨大な怪物と対峙していた。
圧倒的な敵を前に、だが怯む者は一人もいない。特にその両手に構えた刀から迸る妖気とそれをも上回って刀身から放たれるショウの"気"は、怪物の邪気に比してもけして劣ってはいなかった。
気迫を込めてショウが叫ぶ。

「村正二刀流で100万パワー+100万パワーの200万パワー!」

両手の刀を共に大上段に構える。

「いつもの2倍の威力の死神憑きで200万パワー×2の400万パワー!」

その体からいつもの"気"とは違う、明らかに危険な。しかし恐るべき力を秘めた気配が漏れ出す。

「そしてソウルクラッシュによるいつもの3倍の攻撃回数を加えれば400万パワー×3の! ナインテール、お前を上回る1200万パワーだーっ!」

ショウの体が光の矢となり、巨大な9本の尾を持つ怪物に突っ込んでいく。そして網膜を焼くような閃光。白い闇がルイズの視界を埋め尽くした。




むくり、とルイズが身を起した。

「・・・なに今の」

周囲を見回す。神殿でも塔の中でも暗雲に包まれた王国でもない。見慣れた自分の部屋の、見慣れたベッドの上だ。
外はまだ暗い。日の出と共に起き出す(らしい。ルイズはそんな時間に起きているはずもないので見たことはない)ショウでさえも自分のベッドで静かに寝息を立てている。

「寝よ」

ひとつ溜息をつき、再びルイズはベッドに倒れこんだ。



   第四話 『邪教徒』





243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:32:02 ID:VKc1V8Dz
さざなみさん投下乙です

244 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:35:25 ID:LwgbSS2F
「学院のご理解とご協力に感謝いたしますよ」
「ふん、王宮の勅命に理解も協力もないでな」

トリステイン魔法学院本当最上階にある学院長室。執務机についたオールド・オスマンがわずかに不快感をにじませて杖を振る。
たった今オスマンが署名した羊皮紙がくるくると巻かれ、宙に浮いてその前に立つ一人の貴族の手に収まった。
持って来た書類に記されたオスマンのサインを確認し、気障ったらしく一礼するのはどこか人を小馬鹿にしたような表情の、壮年の貴族だ。
年のころは三十過ぎと言った所か。逞しいというほどではないが、贅肉の無い均整の取れた体に洒落た衣装を纏っている。
高価な香油を塗って形を整えた髪と巻きひげ、穏やかさを感じさせるそこそこ整った顔立ちではあるが、人を見下したような目つきと口元の軽薄な笑みがそれを台無しにしていた。
彼の名はジュール・ド・ラ・モット。トリステインの伯爵にして王宮勅使である。
もう一度、慇懃無礼に一礼すると彼は身を翻して学院長室を辞した。
ドアの外に控えていたミス・ロングビルが一礼する。
その顔から胸元に無遠慮に視線を滑らせる。好色そうな笑み。

「今度食事でもどうです、ミス・ロングビル?」

一瞬返事に間が空いた。

「それは光栄ですわ、モット伯」
「うむ、楽しみにしているよ」

最後にもう一度、ねっとりとした視線をロングビルの全身に絡みつかせてモット伯は去っていった。
ふん、と顔を背けてロングビルは学院長室に戻る。

「王宮は今度はどんな無理難題を?」
「なぁに、くれぐれも泥棒に気をつけろと勧告に来ただけじゃよ」
「泥棒?」
「聞いたことはあるじゃろう。"土くれのフーケ"じゃよ。この魔法学院には秘宝"破壊の剣"をはじめとしたさまざまな宝物があるからの」
「破壊の剣・・・物騒な名前ですこと」

書物を整理していたロングビルが笑みをこぼす。彼女の背中を見るオスマンに、その笑みは見えない。

「ま、大丈夫じゃろ。フーケがどれほどのメイジかは知らぬが、ここの宝物庫にはスクウェアクラスのメイジが幾重にも固定化を掛けておる。王宮の取り越し苦労じゃよ」

言いつつ、オスマンが机の上の、人差し指を伸ばした手を模した文鎮を宙に浮かべた。
だらしなく細められたその目は、本棚の整理をするロングビルの背中と尻に注がれている。

「ひぃぃぃぃっ!?」

オスマンが杖を振る。続いてロングビルの悲鳴。
つつつ、とロングビルの背中をなぞった指の主は、勿論先ほどオスマンが浮かべた文鎮であった。
いたずらが成功したのが嬉しいのか、ほっほっほと笑うオスマンの笑みが次の瞬間ひきつる。

「ま、待て。待つんじゃミスロングビル。話せば分かる、話せば・・・」

高く足を上げた見事なフォームから繰り出される文鎮の剛速球。学院長室にオスマンの断末魔が響いた。
まぁ、この学院ではもはや日常の光景ではある。






245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:38:26 ID:SKXKN7jH
ささやき・・・えいしょう・・・いのり…しえん!

246 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:38:32 ID:LwgbSS2F
「詳しいことは知らない。ルイズがラグドリアン湖に行くと言ったから付いて行ったまでの事だ。おれはルイズの使い魔だからな」
「私はタバサが行くって言うから付き合いで。それ以上何が知りたいの、ミスタ?」
「自分、使い魔ですから」
「ギーシュは重い心の病だったし、それを秘密裡に治すには強い薬を作るしかなかった。であるならば水の精霊の涙はほぼ唯一の選択肢」
「うるっさいわね! いちいち細かいこと聞かないでよ!(聞かれたらボロが出るじゃない)」
「そのですね。ええと・・・そう、病気! ギーシュが病気だったからなんです! 私はポーション作りが得意だからそれで彼の病を治そうと」

「では君で最後だ、ミス・ヴァリエール。他のみんなにも聞いたが、まず君たちは何故ラグドリアン湖まで行ったのかね?」
「わ、私はその、ギーシュの病気を治すのに水の精霊の涙が必要だって言われたので・・・」

前回の騒動から数日後。ラグドリアン湖に向かったメンバーは一人ずつ呼び出され、コルベールと差し向かいで面談を行っていた。
建前としては無断欠席・外泊に対する質問であるが、タバサは何とはなしに危険な物を感じていた。
しかし他のメンバーはその危機感を共有していない。例えば今コルベールと向き合っているルイズのように。
勿論惚れ薬の一件(ギーシュの「病気」を治すために精霊の涙を取りに行った、ということで口裏は合わせてある)は隠し通すつもりだが、この面談の裏にそれ以外の何かがあるとは思ってもいない。

「では次の質問だ。ラグドリアン湖では何があったのかね?」
「えと、その。水の精霊と接触が成功したあとにキメラとゴーゴンが出てきて、皆で戦ったんです。
 タバサと、タバサの使い魔のリリスがみんなを指揮して、リリスがすごい炎の魔法でキメラの一頭を倒し、ショウが残りのキメラを、ヤンがゴーゴンを倒しました。私は爆発で援護しました」
「ほう、爆発で」
「う、嘘じゃありません! 確かに倒したわけじゃありませんけど、キメラを怯ませてショウを助けたんです」
「落ち着いて、ミス・ヴァリエール。私は君の言葉を疑っているわけじゃない。その事ならリリス君からも聞いているよ。よくやったね、おめでとう」
「あ、ありがとうございます!」

恐らく生まれて初めて魔法を褒められたルイズが有頂天になるのも、またコルベールのにこやかな笑みに隠された演技に気づかなかったのも無理はあるまい。
もっとも後者を見抜けるのは海千山千のタバサだけであったろう。
優しい言葉とささやかな賞賛でルイズの心を開かせ、コルベールはなおも面談と言う名の尋問を続ける。
世間知らずのお嬢様や純朴な田舎者の心を手玉に取ることなど、彼にとっては赤子を焼き殺すのと同じくらい容易い。
昔と違うのはただひとつ、殺し切れない心の痛みだけだ。




247 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:42:21 ID:LwgbSS2F
「ふむ・・・スクウェア並みの炎の呪文に、呪文も杖も用いず離れたところから敵を切り刻む見えない刃、か・・・」
「はい。ミス・ヴァリエールの話によればミス・ツェルプストーの使い魔も同じような力を発揮したそうです。彼らの国では高度ではあっても珍しい技術ではないとのことですが・・・」
「どちらにしろゴーゴンやキメラといった魔獣を一撃で倒すなど、よほど腕の立つメイジでもそうそう出来る事ではないわい」
「それを剣一本で可能にするとはさすがはガンダールヴ、と言ったところでしょうか」
「ガンダールヴの力があるから強いのか、ガンダールヴに選ばれたから強いのか、これだけでは判然とせんがの」

こちらは昼下がりの学院長室。
先日に続き、オスマンとコルベールがまたもや密談を交わしていた。
コルベールが無断外泊について問いただすとしてあの湖に行った一行を一人ずつ尋問した所、惚れ薬のことこそ話しはしなかったものの、なだめ、すかし、或いは脅して断片的に話させた事を総合し、ラグドリアン湖で起きた事態については概ね把握する事ができている。

「まさかこんな所で昔覚えた技術が役に立とうとは」
「なに、技術なんぞ道具にしか過ぎんよ。要は使いようじゃ」

叶うならば忘れてしまいたい過去の残滓を、しかも自分の生徒達に対して使ってしまった事を悔んでいるのか、自虐的な笑みをこぼすコルベール。
対するオスマンは平然とした顔でぷかり、と水ギセルを吹かした。このへんは人生経験の差であろうか。

「にしても、ミス・ヴァリエールの失敗魔法が実戦で役立つとは意外じゃったの。魔法とハサミは使いよう、といったところか」
「その点についてはミス・タバサの使い魔が色々とレクチャーをしていたようです。召喚した時も感じましたが、彼女はかなりの修羅場を踏んでいますね」
「君と比べてどうじゃね?」
「・・・私は鈍りました。普通にやったらもう勝てないでしょう」
「ふむ」

それ以上のコメントをせず、オスマンは再び水ギセルを吹かす。

「虚無の使い魔二人にエルフの娘・・・規格外が三人も揃った意味は一体なんじゃろうのう」

紫煙と共に溜息を吐き出すオスマン。
ミス・ロングビルが居る間は吸うことが出来ないので、鬼の居ぬ間の何とやらとばかりに煙の味を満喫する。後で臭いでばれて冷やかに睨まれるのはご愛嬌だ。






248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:45:00 ID:OhWFMng9
支援仕る

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:46:28 ID:tUNAZr+I
ドラゴンに首ったけ! 『お熱いのはお好き?』(ゼロの使い魔+巣作りドラゴン)
蚕鳴 (2008-04-18 19:24)
http://talker.sakura.ne.jp/denpa3/izumimain/1208514284_26851.html

250 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:46:29 ID:LwgbSS2F
学院の外の平原でショウとヤン、そしてギーシュが戦闘訓練を行っていた。ここのところ、授業が終ってからギーシュも加わるようになっている。
ワルキューレを仮想敵として提供し、代わりにギーシュはショウやヤンから実戦の心構えを聞いたり、戦術を学んだりしている・・・というのが一応の理由ではあるが、実の所例の一件のせいで学院に居場所が無いのである。
そして休憩の間は概ねギーシュの愚痴にヤンが付き合うのがお定まりになっていた。

「そりゃあね、僕だって自分に原因があるのはわかってるよ? だけどさ、よりによって男に惚れさせる事はないじゃないか? 相手がモンモランシーなら甘んじて受け容れるけど、それ以外の、よりによって男だなんて!」
「・・・ひとつ言っておくが、お前だけが恥をかいた訳でも不快な目にあったわけでもないぞ。大体結局はお前の自業自得だろう」
「まぁまぁ、ショウ君。ギーシュ君も。そのうち噂も消えるって」
「人の噂も七十五日と俺の故郷では言うからな。三ヶ月も辛抱してれば誤解も解けるだろうさ。その間ゆっくりと自分の行いを反省してろ」

ヤンは苦笑しながらも、ショウをなだめつつギーシュを慰める。
一連の騒動が原因で石にされた上に死亡したにも拘らず、嫌な顔ひとつ見せないあたりが底抜けの善人である。
一方言い方はきついがいちいち相手してやってるあたり、ショウも結局は人がいいのだろう。


休憩も終わり、槍と盾を構えたワルキューレと大上段に木刀を構えたヤンが対峙する。
双方が動いたと見えた次の一瞬、鈍い音を立てて青銅の女戦士の胴体がひしゃげ、首が折れた。
そのままワルキューレは力無く崩れ落ち、動きを止める。
袈裟がけに振り下ろされたヤンの木刀の仕業であった。
しかしヤンとショウの表情は優れない。

「駄目だ、やっぱり出来ないや」
「出来ませんねえ」
「どこがいけないのさ? 青銅のワルキューレを、しかも木の棒一発で粉砕したんだぜ?」
「んー、見てないと分からないだろうが・・」

先日ラグドリアン湖でゴーゴンと戦い、"気"を見事に使いこなしてこれを一撃で屠って見せたヤンであったが、その後何度練習してもあのときと同じどころか、まともに木剣に"気"を溜める事すらできなかった。

「あの時の気の扱いは俺から見てもかなりのものだと思ったんですが・・・」

普段なら事細かに説明をしてくれるショウにも理由はさっぱり分からないらしい。
彼らはまだ、自分たちの拳に刻まれたルーンの意味と、その能力を知らない。




251 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:50:24 ID:LwgbSS2F
「ムカツク! ムカツク! ムカツクぅぅぅぅっ! 何様のつもりよ、あのくるくるドジョウヒゲっ!」

一方食堂にはキュルケの怒声が轟いていた。
タバサは我関せずとばかりに本を読んでいたが、ルイズとリリス、及び周囲の生徒たちはあからさまに嫌そうな顔をしている。
喚き散らしている内容を繋ぎ合わせるに、今日学院を訪れたモット伯爵とやらがキュルケの家の家宝である書物を所望したらしい。
それも露骨にゲルマニア人を見下した高圧的な態度で。

「トリステイン伯爵だからどうしたってのよ! 王宮勅使ならそんなにえらいのかっつーの!」

ますますヒートアップするキュルケの息が酒臭い。既にワインの空き瓶が二本、テーブルの上に転がっていた。
今は三本目を左手に持ち、時々ラッパ飲みにあおっている所である。

「金貨の袋で横っ面をはたくような舐めた真似してくれちゃって! こうなったら何がなんだろうとあたしの目が黒いうちは譲ってなんかやらないわよ! 譲るくらいなら灰になるまで焼き尽くしてあげるわっ!」
「・・・・ねえタバサ、キュルケってお酒飲むといつもこうなの?」
「普段は嗜む程度。一定量を超えるとたまにああなる」

本から目を離さず、タバサが淡々と答える。
リリスが溜息をついて赤毛の友人に目を向けると、丁度ルイズが捕まった所だった。
もがくルイズをベアハッグに捕らえ、すりすりと頬摺りをしている。

「ねぇ、ヴァリエールぅ。このかわいそうな私を慰めてぇ」
「放しなさいよツェルプストー! 酒臭いのよこの胸おばけっ!」
「胸おばけなんてひどいわぁ、私だってね、好きでこんな胸をしてるわけじゃないのよぉ?」
「むぐもがっ!?」

そのままルイズの顔を自らの胸に押し当て、きつく抱きしめるキュルケ。
ボリュームのある物体が柔かく変形して顔面を塞ぎ、じたばたするもののルイズはもう声さえ出せない。
酔ってはいてもキュルケの力は強く、体格が一回り以上違う彼女では脱出はほぼ不可能だ。
しょうがないとばかりにリリスは助け舟を出してやることにした。

「ねぇキュルケ。その嫌な貴族がそんなに欲しがった本ってどんなものなの? ちょっと興味あるな。それととりあえずルイズ放しなさい」
「ん〜? ああ、別にどーってことない代物よ。一応家宝だなんていってるけど大したものでもなくて、頭下げて頼むなら譲ってやらなくもなかったんだけどさー。
 何でもある魔法使いが偶然召喚して、うちの先祖がそれを買い取ったって言うんだけど、誰も読めないのよ。そんなものをありがたがって家宝にする神経がわからないわねー」

ぴくり、と本を読みつづけるタバサの耳が動いた。
一瞬考えこもうとして別のことに気づき、本から顔を上げる。

「キュルケ」
「何よタバサ。貴方も私を慰めてくれるのー?」
「ルイズが動かなくなってる」
「あら」
「あらじゃないわよキュルケっ! だからルイズを放しなさいって言ったでしょ!」

幸いルイズは意識を取り戻した。
何故かマシュマロの海で溺れる夢を見ていたらしい。






252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:51:53 ID:xZG0p/R8
支援

253 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:54:21 ID:LwgbSS2F
数日後。朝食の後学院長室に出勤してきたミス・ロングビルの顔を見て、オスマンはわずかに首をかしげた。
普段とはうって変わって何か物言いたげな表情の中にどこか憂いを含んだ風情。
物思いにふける美人は絵になるのうなどと密かに喜ぶ内心はおくびにも出さず、心配を滲ませた声を出す。

「どうしたのかね、ミス・ロングビル」

オスマンの問いにしばらくためらった後、ロングビルは口を開いた。

「厨房のマルトー氏から話を聞きました。その、下働きのシエスタという娘を、王宮勅使のモット伯が引き取っていったとか」
「そのことか」

一転してオスマンが苦い薬を飲んだ時のような表情になった。
以前から目をつけていたのだろう、先日学院を訪れたモット伯爵はその王宮勅使としての権限と財力に物を言わせ、シエスタを自らの館に引き取ることをシエスタ本人に半ば無理矢理に承認させたのである。
念の入ったことに勅命という形で人事権を持つオスマンが反抗できないようにして、だ。
そして、シエスタが学院を離れたのが今朝のことであった。
本来は後一週間ほど先になるはずであり、オスマンはその間に勅命をどうにか撤回させようと働きかけていたのだが、今日になって急にモット伯の使者が現れ、半ば拉致同然にシエスタを引き取っていってしまったのである。

「そういう事でな。残念ながら今の時点では儂にも如何ともしがたかった」
「そう、でしたか・・・」
「しかし何故君が彼女の事を? ひょっとして知り合いじゃったかね?」
「そういう訳ではありません。その、少し気になりましたもので」
「そうか」

それきり、両者とも押し黙る。重い沈黙が部屋の中に立ち込めていた。
オスマンは厳しい表情で物思いにふけっている。
一方雑務の処理をしながらロングビルは、いや、マチルダ・オブ・サウスゴータは妹と同じ緑色の瞳をした少女のことが頭から離れなかった。
特に親しかったわけではない。遠くから顔を見たり、給仕をしてもらうときに一言二言会話したり、その程度だ。
ただ、その妹とそっくりな緑色の瞳は否が応でも目に付いた。容姿はまるで似ていなかったが、純朴さのにじみ出る笑みも妹を思い出させた。
仕事柄めったに会う事が出来ない妹の面影を、無意識に彼女に求めていた事に今更ながらに彼女は気づく。
モット伯は有名な漁色家だ。それも貴族を口説くのではなく、平民を買い入れて弄ぶ事を好む。今まで彼の館に連れて行かれた娘が帰って来たことはないという。
それどころかもっと悪い噂もある。モット伯は実は悪魔崇拝者で、買い集められた娘達は実は黒ミサの生贄にされてしまっているのだと。
両親と貴族の名を失って以来ではないかとも思える程どす黒い物が、胸の奥に沸き上がってくる。どうにももどかしい、最悪の気分だった。






254 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/18(金) 23:57:21 ID:LwgbSS2F
同じ頃、厨房でそれを聞いて顔色を変えている少女がいた。

「え・・モット伯って、あのモット伯ですか!?」
「ああ、噂くらいは知ってるだろ。あの下衆貴族さ」

吐き捨てるようにマルトーが言った。
それを聞いて真っ青になったのはケティ・ド・ラ・ロッタ。
"燠火(おきび)"の二つ名を持つ学院の一年生であり、かつてのギーシュの浮気相手でもある。そしてギーシュに振られた時に慰めてもらって以来、シエスタとは身分を越えた友人とも言える仲であった。

「学院長にも言ったんだけどよ、あの人にもどうすることもできねぇって・・・あんないい子がよう、なんであんな野郎のところに行かなけりゃいけねぇんだ」

ケティもモット伯の噂くらいは知っている。新教徒であるとか、異端の信仰の持ち主だとか、悪魔崇拝者であるとか、彼の館に連れて行かれた娘は恐ろしい淫らな儀式の生贄になるとか、その手の噂は限りない。
ケティが二の句を告げないでいる内に、怒りの発作に襲われたか、マルトーが突然壁に拳を叩き付けた。

「畜生、貴族ってのはいつもこうだ! 俺たち平民を何だと思ってやがる! 俺たちゃ切り売りされる牛や豚じゃねえんだぞ!」

咆えるマルトー。びくり、と怯えてケティが一歩後ずさる。

「あ、すまねえな。あんたはシエスタと仲良くしてくれてたってのに・・・」
「い、いえ」

子供相手に当っても仕方ないと思ったのか、我に返ったマルトーがすまなそうに頭を下げる。
その顔をケティは直視出来なかった。出来るはずもない。自分も、貴族なのだ。彼らからすればモット伯と同類の人間なのだ。
結局、彼女に出来たのは逃げるようにその場を立ち去ることだけだった。

彼女には力がない。
彼女の系統である火は戦いに向くと言われる(正確には戦い以外の用途が殆どないのだが)が、彼女はドットの中でも平均以下の実力でしかない。
彼女にはコネもない。
彼女の実家は猫の額ほどの小さな領地を持っているだけの下級貴族であり、爵位すら持っていない。学院の授業料ですらそれなりの負担になっているくらいだ。
思い余って行ったオールド・オスマンへの直訴も功を奏さなかった。偉大なメイジは沈痛な表情で、ただ「すまんの」とだけ彼女に告げた。
なんとしてもシエスタを助け出さなくてはならない。だが友達を救うために頼れる人間はもう、一人しか思いつかなかった。






255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/18(金) 23:58:36 ID:xFZoWXMA
支援支援支援支援支援支援支援ッ!!!

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:00:10 ID:J0KYgKDV
支援を行なう

257 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:00:11 ID:LwgbSS2F
ケティがギーシュを見つけたのは、彼が丁度三人での稽古から帰って来て、リリスに回復呪文を掛けてもらっている時だった。
他の二人と違いギーシュは勿論体は動かしていないのだが、長時間集中してゴーレムを操作していたことによる精神的疲労がある。
リリスが試しに快癒(マディ)を掛けてみたところ、この呪文には精神的な治療効果もあるせいか、こうした精神的疲労を回復させることも可能な事が判明した(但し魔法を使うための精神力が回復するわけではない)。
今ではギーシュ自身、精神も肉体もリフレッシュするこの呪文による治療が結構楽しみになっている。
リリス達の世界でこの呪文を掛けてもらったら、最低でも金貨100枚を越す高額(額は患者のレベルに比例するのでショウやリリスなら1600枚超)を吹っかけられるという事実は知らぬが花であろう。

閑話休題。

ケティに最初に気づいたのは、やはり気配に鋭いショウであった。一方ショウにつられて振り向いたギーシュは、彼女の姿を視界に捉えた瞬間わずかに顔をひきつらせる。
無論嫌いとか苦手とかいう事は無いが、只でさえ複雑な関係であるし、ケティが今までに見たこともないような思いつめた顔でこちらを見つめていてはなおさらだ。

「それじゃね、ギーシュ。私たちこのあとタバサ達と約束があるから」
「え、ちょ、」

ギーシュに反論の隙を与えず、リリスはショウとヤンの背中を押して強引にその場から離れる。

「リリスさん、約束なんて・・いてっ!」
「余計なこと言わない。野暮介はドラゴンの尾ではたかれるわよ」
「ああ、やっぱり?」
「どう見たって、でしょう」

三人が去り、その場にはギーシュとケティだけが残された。
しばらく逡巡したあと、少なくない勇気を振り絞ってギーシュがケティに話し掛ける。

「や、やあケティ。そんな思いつめた顔でどうしたのかな?」

無言のまま、ケティはじっとギーシュを見つめている。

「どうしたのさ、そんな顔をしていたら君の美しさが台無しだよ!」

ケティの表情は変わらない。固い、張り詰めた表情のまま目だけが感情を湛えてギーシュを凝視している。

「えーと、その。そうだ、最近一緒にいるシエスタって子はどうしたんだい? 君と一緒にいないのは珍しい・・・」

さっとケティの表情が曇った。まずいことを言ったかとギーシュは言葉を途切れさせる。

「お願いです、ギーシュ様!」
「は、はい!」

突然、ケティが大声を上げる。
思わず姿勢を正すギーシュ。

「シエスタを・・・シエスタを助けてください!」
「はい?」



258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:00:16 ID:H7QoSdLP
ケティ嬢が背景を脱しているとは!
読めなかった、このリハクの目を以てしても!

259 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:03:39 ID:hZGRhGEP
ギーシュの手をケティがつかむ。
女の子とは思えない力で手を握られ、内心ギーシュは焦った。

「シエスタが、シエスタが!」

その後、興奮の余り支離滅裂に語るケティからなんとかギーシュが意味のある話を聞き出したのは10分ほどたってからのことであった。

「それで、シエスタがモット伯爵に引き取られていったから僕になんとかして欲しい、って事かい?」
「はい」

先ほどの自分が恥ずかしいのか、顔を俯けながらケティが言葉を続ける。

「あ、あのねケティ。僕にだってどうにかなる事とならない事が・・・」
「もうケティにはギーシュ様以外に頼れる人がいないんです! お願いです、私はどうなっても構いません! ギーシュ様の欲しいものは何でも差し上げます、シエスタを助けてください!」

何でも。

何でも!

何でもっっっっっっ!?!?

その一言はまさしく雷の如くギーシュの全身を貫いた。
全力で平静を装い、殊更に落ち着きのある表情を作ってケティに確認を取る。

「それは本当だね? その、何でもというのは」
「もちろんです! シエスタが戻ってくるなら、惜しいものなどありません! 私に差し上げられるもの、出来ることならば何であっても、ギーシュ様のお望みのとおりに致しますわ!」

これがとどめだった。

「いいだろう、任せておきたまえケティ! このギーシュ・ド・グラモン、必ずや君の友を連れ戻そう!」
「ああ、ギーシュ様!」
「はっはっは、この僕に任せておきたまえ!」

気がつくとギーシュは学院の厩舎から馬を借り出し、全速力でモット伯の屋敷に向かって走り始めていたのである。

「うおおおお、愛の騎士ギーシュ・ド・グラモン、参るっっっ!」

ぱからっぱからっぱからっぱからっ。
ギーシュの雄叫びと馬蹄の響きが草原にこだまする。彼は今(主観の中では)英雄譚の主人公そのものだった。

「バカばっか」

どこかで青い髪の少女が呟いたような気がしたが、気のせいだ。たぶん。






260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:06:17 ID:utsib7Ha
支援

261 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:06:28 ID:hZGRhGEP
そしてしばらくの後、街道を駆けながらギーシュは考えていた。
どうすれば何事もなく、かつ体面を保って事を終えられるだろうかと。
「何でも差し上げます」の一言に舞い上がり、安請け合いして飛び出してしまったが、勿論何か考えがあったわけではない。
頭が冷えてくると同時に自分が何を約束してしまったのかを理解し、早くもギーシュは及び腰になり始めていた。
相手は伯爵、対してギーシュは元帥の息子とはいえ下級貴族の四男坊。しかもモット伯は王宮勅使であり水のトライアングルメイジでもある。
正直このまま帰りたくて仕方ないのだが、残念ながらトリステイン貴族の例に漏れず彼は見栄っ張りであった。
勝ってくるぞと勇ましく(と当人は思っている)飛び出していきながら「怖くなったので帰ってきました」では面子が丸つぶれなのだ。
シエスタを取り戻せずに戻るにしても何かそれらしい理由をつけてからでなくては、などと考えている内にも馬は全力で駆け続け、森の奥に沈みゆく夕日に照らされた塔が見えてくる。
まさしくモット伯の屋敷であった。




ギーシュが妙にピリピリしている門番に名前と来訪の目的を告げると、しばらくして中に通された。
玄関ホール正面の階段を下りてくるモット伯を見上げ、緊張の余り乱れていた呼吸を整える。

「ようこそ、ギーシュ・ド・グラモン君。はじめまして、私がジュール・ド・モットだ」
「お、お初にお目にかかりますモット伯爵閣下。ギーシュ・ド・グラモンです」

衛兵の見守る中、ギーシュはモット伯と握手を交す。
紳士的な物腰のモット伯からはともかく、衛兵達からも何とはなしに敵意めいた物が感じられて落ち着かなかった。

「それで、グラモン元帥のご子息が私のわび住まいに何の御用かな? 申し訳ないが今夜は大事な用があるのでお相手する訳にはいかないのだよ。出来れば後日改めてということでお願いしたいのだがね」
「いえ、お手間は取らせません。その、シエスタというメイドを学院に帰してはいただけないでしょうか」
「シエスタ・・・ああ、今日から働いてもらうことになったあのメイドかね」

いぶかしむような表情になるモット。
が、ギーシュの次の言葉を聞いてにやり、と得心したような嫌らしい笑みを浮かべる。

「シエスタは、あー、僕の友人なのです。ですから、彼女をその、お妾になさるのをお考え直しになって頂けるとありがたいのですが。失礼ながら伯爵閣下であればもっと美しい女性もよりどりみどりでありましょう」
「言わんとすることは分かるが私は彼女が気に入ってしまったのだよ。だから正式に学院から引き取ったのだ。
 残念ながら今回は『早い者勝ち』と言う事で諦めたまえ。学生である君にはこう言う真似は出来なかったかもしれないが相手は平民、力ずくという手もあったろうに。
 余計なお世話かもしれないがグラモン家といえば代々色の達人を輩出することで高名なお家柄だ。そのご子息であればそう言ったことも理解せねばやっていけないのではないかね」

むかっときた。
こいつは自分を二重の意味で侮辱していると思った。
まずギーシュとシエスタの関係については友人以上のものではなく、下衆の勘ぐりと言う奴だ。
もっと許せないのはギーシュのみならずグラモン家までを侮辱したことだ。
確かにギーシュだって貴族である事を当然だと思っているし、平民は貴族の役に立つべきだと思っている。
もちろん女性が大好きなのは言うまでも無い。
だが彼も、父も、その父も、手当たり次第節操なしに女性を口説きこそすれ、暴力や権柄ずくで女性をものにしたことだけは無い。
表情からそのギーシュの心中を読み取ったか、モット伯は愉快そうに目を細める。



262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:08:12 ID:KRJ/0ddY
紫煙

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:08:59 ID:Bnq7K3tC
馬鹿でいいじゃないか。燃焼する愚かさがなくては何事も成し遂げられはせん。
支援。

264 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:09:25 ID:ujP5ouVd
「はは、青い、青いなギーシュ君。我々は貴族ではないか。始祖の教えと道を継ぐ我らに、平民は全てを捧げて然るべきなのだよ」
「で・・ですが」

少し前までのギーシュならそれに素直に頷いていたかもしれない。
だがほんのわずかとは言え、今のギーシュはそれに賛同することに抵抗を感じていた。
何かが心の底でちくちくとそれに抗っている。
ケティと楽しそうに話す彼女を覚えている。
自分がどん底にあった時に、励ましてくれた事を覚えている。
その、優しい笑顔を覚えている。
それに気づいたとき、怒りが込み上げてきた。
ああそうか、とギーシュは理解する。
これが、理不尽に対して憤るということなのだと。
そのギーシュの変化にまたしても目ざとく気づき、モット伯はますます愉快そうな顔になった。
一方、ギーシュは歯を食いしばるようにして言葉を紡ぎ出す。

「ではその、仮にですがシエスタがこちらで働く理由がなくなった場合、再び学院に戻って働いてもらうことなどは可能でしょうか」
「はは、まあそういう事もあるかもしれないね。だがそういう事はたぶん君が在学中にはないだろう。あの体は実に素晴らしい。今からそれをじっくりと味わうのが楽しみなのだよ」
「で、ではモット伯」

それでも言葉を続けようとしたギーシュをモット伯が身振りと言葉で止める。

「それにだ、ギーシュ君! 君は彼女に大層ご執心のようだが、われら貴族にとって平民など、いくらでも代えが利く食器のような物だ。
 お気に入りのティーカップが割れればその時は落ち込むかもしれないが、結局のところ、そんなものが割れたからと言って人生に何か変化があるのかね? どうと言う事は無いだろう?
 つまるところ、生きようが死のうが我々の役に、引いては始祖の聖なる教えの役に立てるならばそれが彼らの幸福なのだよ!」

その言葉に何かを感じたのか、ギーシュの目が大きく見開かれる。
思わず一歩、二歩と下がり、震える声で言葉を紡ぐ。

「モット伯・・・まさか、まさか貴方は」

そうやって買い入れた平民の娘たちを殺してきたのか、とはさすがに恐ろしくてギーシュには口に出せない。
だがその瞬間、モット伯の雰囲気が変わった。傲慢で好色な、だがそれでも紳士的な貴族ではなく、狂気に近い何かを目に湛えた危険人物。

「・・・おっと、これは失言だったかな。だがギーシュ君。余計な事は口にしないほうが身のためだぞ?
 シエスタはどうしても我々に必要な人間なのだよ」

口調は変わらぬまま、だがらんらんと目を光らせてモット伯は言葉を続ける。



265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:11:20 ID:KRJ/0ddY
マヂでアブねーヒトだ……ってもーすでにヒトじゃないのか?試演

266 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:13:05 ID:hZGRhGEP
「それに何を考えたかは知らないが、だとしたらどうだというのかね? 王宮勅使の私に楯突いたとあれば、いくら元帥の子といえども、いや家そのものも無事では済まんぞ、ん?」

見透かしたかのようなモットの言葉、それも彼個人ではなく「家」と言った事にギーシュは怯んだ。
彼に限らず貴族は家を出されると弱い。彼らにとって「家」とは構成員全員で守るべき運命共同体であるからだ。
言ってみれば現代の地球で会社員が自分の会社に対して抱くそれに似たものを、貴族は自分の家に抱いている。
それは家族愛に近いものだったり、また純粋に自分の居場所としての家そのものに対する愛着もあれば、社会の一員として収入を得るために必要だという現実的理由まで、諸々ひっくるめた上で彼らは家を守るのだ。
例え会社に不平不満があろうが、ただ給料を貰うために在籍しているだけであろうが、自分の会社が潰れて無職になることを喜ぶサラリーマンはそういまい。
そして家が潰れ家名を失った貴族は悲惨である。正社員がフリーターになるどころの騒ぎではない。
魔法が使えるだけの平民に堕し、特権も豊かな生活も、職や社会的信用すら失った状態で生きていかなくてはならない。
貴族本人のみならず使用人たちも貴族のお雇いと言う実入りのいい仕事を失って路頭に迷うことになる。
父も、母も、兄達も、使用人までもギーシュの行動のせいで全てを失う。王宮勅使として権勢を振るうモット伯ならば可能であるし、また彼ならば実行に移すであろう。
今ギーシュに突きつけられているのはそう言う選択であった。
父ならどうする、あるいは兄達ならばどうするか。
一瞬目を閉じ、そして答えは自然に心の中から浮かび上がってきた。

『命を惜しむな、名を惜しめ』

その言葉を思い出した瞬間、彼の中からあらゆる打算は消えていた。
なにやら口の中でもぐもぐ唱えていたかと思うと、居住まいを正しモット伯に深々と一礼して、恭しく言葉を紡ぐ。

「失礼致しました。では私より申し上げることがひとつございます」
「ふん、申してみよ」

愉快そうに先を促すモット伯。だがギーシュの放った次の一言で、そのにやけ顔は凍りついた。

「あなたは下衆だ、ジュール・ド・ラ・モット」

絶句。
そしてモット伯に視線と薔薇とを突きつけ、ギーシュは畳み掛けるように高らかに謳い上げる。

「貴方には金輪際分かるまい。男子たるもの、平民であろうと貴族であろうと女性を守り慈しまねばならぬ。
 そしてもうひとつ教えてやろう。誇り高きグラモン家の一員が、例え末子と言えどそのような脅しに屈する事などありえない!
 トリステインのため、麗しの王女殿下のため、そして貴様の犠牲になった全ての女性たちのため、このギーシュ・ド・グラモンが貴様を討つ! 駆逐せよ、ワルキューレッ!」




第四話後編に続く

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:13:17 ID:Ph3avBQ7
 やるお起きてきたか             / ̄ ̄\              γ::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
 ちょっと風呂掃除してきてくれないか?/   ⌒   \             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                       | ⌒(○)-(○)          γ:::::::::人::::人::人::::人:::::::ヽ
                       |    (__人__)           (:::::::::/⌒    ⌒  \::::::)
        ___             |    `Y⌒y'ノ           \:/(○)  (○)  \ノ
     /   u \           |     ゙ー }             |   (__人__)      |
    / u  u   \          ヽ       }    _.■____冊_\  `Y⌒y'    /
  / u  u  u   \          ヽ     ノ   / .■ ヽ冊 )  /   ゙ー´    \
  |   u    u u u |         /    く   / /  ヽ (.サ.){(⌒_(   (    i  !
  \ u   u  u   /         |     \/  l六-0l .} ソ { )  ̄/      (⌒ ノ
    ヽu   u__ ,/              |    |ヽ、二⌒)l==l(.ポ.)  /
    /  u  u  \                      ゝ--ィ ゝ-イ
    | i u   u i  |             やるお、お風呂の掃除にはこのサンポールと入浴剤使ってね    
    | |  u    |. |             やる前にこの入浴剤入れてサンポール混ぜると汚れがよく取れるみたい       
    | |u u  u  |. |             窓やドア締め切ってやらないと臭いが取れないから閉めてやってね 

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:15:50 ID:Bnq7K3tC
ギーシュ・ド・グラモン起つ!こいつは最初からクライマックスだずぇー!
ショウ・ヤン・リリスがどう動くかも楽しみだ。

269 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:16:13 ID:hZGRhGEP
ちなみに最初のルイズの夢の元ネタは「ウィザードリィ・オルタネイティブ BUSIN-0」(PS2)です。
作中の通り攻撃力が倍倍に増えていくウォーズマン理論が実際に可能なので、暇な方はお試しあれ。
なお3倍というのは村正二刀流の将軍+村正持たせたモンクが二回ずつ攻撃するので2+1+2+1で村正二刀流の3回分、という勘定です。
そーいやこれも「ゼロ」ですな。ルイズに呼ばせて面白そうなキャラがぱっと思いつきませんけど。
にしても隠しダンジョンのテバイードの塔長過ぎる!
固定以外のモンスターとの戦闘なしで10時間かかったよ・・・。

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:20:18 ID:vJqBU6v+
>>269
投下乙、そしてGJw
ギーシュがちょっとカッコイイ

俺もやりましたよ、そのウォーズマン理論
BUSIN最強の悪魔、マイルフィックでさえ屠れるという凶悪なものでしたが

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:20:31 ID:KRJ/0ddY
ショウリリスヤンの人&耕介の人にGJ&乙&次回への期待。
避難所のるるるといい、今夜は燃える話が多く読めて嬉しい。

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:22:10 ID:G/ldMBgw
ギーシュ覚醒編キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:22:21 ID:apO1ckwL
今宵は投下が多いな。
全員GJ!

274 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 00:22:53 ID:hZGRhGEP
支援感謝。これにて投下終了、このひと誰?な展開です。
後編はもう完成しているので、おさるさんにならないよう適当に時間を見計らって、あるいは明日にでも投下します。

>>270
でも低レベルでやると一発ロストのリスクが有る諸刃の剣。まさしく鳳龍の剣術!(爆)>死神付きで威力2倍!

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:24:12 ID:zz/aDpCV
カッコイイッ!カッコイイぞ!
ギィーシュ・ド・グラモン!

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:33:34 ID:XFpM+er/
投下乙ですー

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:34:06 ID:SS8yigEA
投下乙です


278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:36:43 ID:Ph3avBQ7
投下乙です

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:40:01 ID:Gf2OTZ0t
相変わらず良い読みごたえ。乙です。
うーむ、俺もウィザードリィやってみようかなぁ。面白そう。

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:44:18 ID:V1Kxv4ea
このギーシュは紛れもない黄金の輝きを持っているっっ!

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 00:45:41 ID:vggFzwns
おお、「黄金」のギーシュ降臨?
でもなあ、ドット対トライアングルだしなあ

282 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:03:48 ID:hZGRhGEP
予約がないようなので連投。後編です。


283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:06:11 ID:a5xcOnA8
壁の中から支援


284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:06:20 ID:nhfMEbFW
早速キタw支援

285 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:06:48 ID:hZGRhGEP
「貴方には金輪際分かるまい。男子たるもの、平民であろうと貴族であろうと女性を守り慈しまねばならぬ。
 そしてもうひとつ教えてやろう。誇り高きグラモン家の一員が、例え末子と言えどそのような脅しに屈する事などありえない!
 トリステインのため、麗しの王女殿下のため、そして貴様の犠牲になった全ての女性たちのため、このギーシュ・ド・グラモンが貴様を討つ! 駆逐せよ、ワルキューレッ!」

衛兵達が動くよりも早く薔薇を振り下ろし、先ほど口の中で唱え終わっていた呪文を完成させる。
はらはらと散った薔薇の花びらが、またたく間に7体のワルキューレとなった。
ありえない、と頭のどこかが囁く。
快癒(マディ)の呪文を受けて精神的疲労は回復したとは言え、今日はショウたちとの戦闘訓練で既に5体のワルキューレを使用している。
時間を置いたことによる多少の回復はあるにせよ、自分の魔力では普通なら一日に7体が限度のはず。
どう考えてもこれはおかしい。今自分はなにか普通でない状態なのではないか?
だが、と高揚した心が叫ぶ。このままやっつけてやれ、と。ただそれだけを考えろ、と。

「然り。今はただ、この心が燃え猛るままに貴様を討つのみだ、ジュール・ド・ラ・モット!」
「ほう、大口を叩いてくれるなドット風情が。だがこの私は水のトライアングル。その力とくと味あわせてくれよう! 燃える心とやら、我が波涛で飲み込んでくれるわ!」

そのままモット伯も杖を振り上げ、素早く詠唱を行う。衛兵達は慣れた様子でその前に立ちはだかり、槍を構えた。
言うだけのことはあり、本人のメイジとしての実力も、衛兵の腕も一目置くべき物がある。
だが、その余裕も次の瞬間消え去った。
ワルキューレが二体ずつ、モット伯の左右を固めていた衛兵にタックルして槍と腕を抱え込み、別の一体が槍で頭を殴るというやり方で瞬時に、そしてあっさりと無力化する。衛兵は昏倒し、膝から崩れ落ちた。
先日ショウから教わったばかりの白兵戦の兵法「三位一体」の一手だ。
これは本来戦場で雑兵が三人一組となり一体の敵に当たるものである。
あたりまえのことだが、多少腕が立つ程度では白兵戦で三対一に追い込まれたらまず勝てない(勿論ショウなど10レベルを超えるような達人はまた別である)。
だがこれを実践するには三人が同時に、かつ連携して動かなくてはならない。
ショウの世界でもこれを実際に活用する事例が少なかったのは訓練に手間暇がかかるからである。
そしてかつてのギーシュでは、いや、殆どの土のメイジにはゴーレムでこれを実行することはできない。
自律行動が可能なガーゴイルならともかく、ゴーレムは基本的に全てを術者が操るのだ。
当然、そのコントロールには多大な集中力と熟練が必要とされる。
戦場におけるゴーレム使いは巨大な物一体を操るのが常識であり、多数のゴーレムを兵として用いるものがいないのは、ひとえに術者のコントロール能力の限界にある。
が、ギーシュはそれをやってのけた。
左右から同時に衛兵の腕に組みつき、両手と動きを封じたそのタイミングで脳天への正確な一撃。しかもそれを二組同時にやってのけたのだ。
そうでなかったら衛兵達も、少なくともモットが詠唱する間くらいは、ワルキューレの攻撃を凌げていただろう。

そもそもドットながら、ギーシュのコントロール能力は元より特筆すべき物であった。
人間大とはいえ七体のゴーレムを同時に操るなど、ラインやトライアングルでもそうそうできない真似である(もっとも、金属製とはいえ七体の人間大ゴーレムより土で出来た10メイルのゴーレム一体の方が単純に強いというのも事実だ)。
クラスはドットと低いが、一方でコントロールの技術とセンスに関しては目を見張る物がある。
言ってみればギーシュは本来力の差を技で補うべき特性を持ったメイジなのである。
五体のワルキューレを同時に動かして模擬戦を行わせる様子を見てショウは三位一体の戦術を伝授し、ここ十日間ほどそれに集中して訓練させていたのだが、当然彼がこれらの事実を知っていたわけではない。
が、集団戦を意識させた戦術はギーシュの持つそうした特性とすこぶる相性が良かったといえるだろう。



286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:07:32 ID:SS8yigEA
支援だ!

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:09:15 ID:Ph3avBQ7
 己の肉体と武術に限界を感じ
 悩みに悩み抜いた結果
 彼がたどり着いた結果は
 アルバイトであった
 自分自身を育ててくれたファミリーマートへの限りなく大きな恩
 自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが
 一日一万回 感謝の 僕、アルバイトォォォォ!!
 機を整え
 拝み
 祈り
 叫び
 カウンターへ飛び乗る
 一連の動作を一回こなすのに当初は5〜6秒
 一万回をこなすまでに初日は18時間以上を費やした

 2年が過ぎた頃
 異変に気付く
 一万回飛び乗っても日が暮れていない
 齢55を超えて完全に羽化する
 感謝の僕、アルバイトォォォォ!!一万回
 1時間を切る!!
 かわりに残業時間が増えた
 
 どこかの研修所
 大勢の新人アルバイトの中で僕、アルバイトォォォォ!!を見せる
 強盗が押し入った時彼の 僕、アルバイトォォォォ!!は
 防犯カメラを置き去りにした

288 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:11:36 ID:hZGRhGEP
一方モットも、普通ならばてんでばらばらに殴りつけるだけのゴーレムが、一糸乱れぬ見事な連携を見せたことには驚嘆を隠せないでいた。
だがさすがにトライアングルメイジ、動揺しながらもワルキューレが自分に襲い掛かる前に呪文を完成させる。
ごとり、と音を立ててホールの隅に飾られていた花瓶が絨毯の上に落ちた。十分に厚い絨毯だったため割れはしないが、その代りにモット伯の呪文に応じてその口から水が飛び出す。
花瓶の水は水流となって蛇のように唸り、水の鉄槌となって宙を飛びギーシュに襲い掛かる。
だが、ギーシュはそれも読んでいた。
攻撃に参加させなかった七体目のワルキューレを水流と自分との間に素早く割り込ませ、両手を顔面の左右に掲げてガードさせる。
鈍い音が響いた。
水流はワルキューレの胸甲を5サントほどの深さに抉り、ワルキューレをよろめかせはしたもののギーシュには傷ひとつつけられない。
ギーシュが笑みを浮かべた。今日の自分は敵の動きが見えている。このままなら、本当にモット伯に勝てるかもしれない。

必殺の一撃を外された水流はモット伯の舌打ちと共にそのまま宙を飛び、衛兵を倒した6体のワルキューレとモット伯との間で宙に渦を巻く。
次の瞬間、しゅっと言うモット伯の鋭い呼気と共に水流が斜め上四十五度に伸び上がった。
今度は上から来る。
そう直感したギーシュは先ほどガードに使ったワルキューレを再び自分の前に出し、盾にする。
自らはその影にしゃがみこみ、同時に前衛の六体をモット伯に突進させた。
この時点でギーシュは勝利を確信していたかもしれない。まだ衛兵はいるかもしれないが、それが出てくる前にモット伯をワルキューレで取り押さえれば、と。
だが、やはりモット伯とギーシュとの経験の差は大きかった。
先ほどと同じように一筋の鉄槌の如くなり、ギーシュを打ち据えようと急降下してきた水流が、突然飛散した。
強い勢いで降り注ぐ無数の水滴の多くは盾になったワルキューレの全身に当ってしぶきを散らしたが、いくつかは細身のワルキューレの体を抜け、その影から様子を伺っていたギーシュの顔面に直撃する。

「うわっぷ!?」

勿論、土砂降りの雨より少し強い程度の勢いで水滴が当ったからといって、怪我をするわけが無い。
だが思わず目をつぶってしまったギーシュは負傷よりよほど重要なアドバンテージ・・・時間を敵に与えてしまった。
コントローラーであるギーシュが目をつぶってしまったため、目標を見失った六体のワルキューレは立ち止まり、モット伯はその隙に身を翻して赤い絨毯の敷かれた廊下を屋敷の奥に逃げてゆく。

「出会え! 出会え! 曲者だ!」
「くっ!?」

すぐに立ち上がり、ギーシュはワルキューレと共にそれを追う。
だが、モット伯の足が意外に早い。
加えてワルキューレは青銅であるから、実は走るスピードは遅い。
結局、ギーシュとワルキューレが廊下を半分も行かない内に十人ほどの衛兵がギーシュの行く手を遮った。
その後ろで、モット伯が息を整えながら余裕たっぷりの笑みを浮かべてみせる。

「本当に君は、現れて欲しくないときに現れてくれたな。今夜の儀式は我ら選ばれしもの達による理想郷の建設の、大いなる一歩だったというのに!」

緊張と興奮で限界を超えて回転数を上げているギーシュの頭の中で、かちり、と音を立ててパズルのピースがはまった。
若い娘。殺人。儀式。選ばれしもの。理想郷の建設。狂信者。邪教徒。

「貴様は・・・貴様らは『牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)』かっ!」

ぽかんと口を開けてモット伯が言葉を止め、一瞬の後破顔一笑する。その表情に狂気の影はいよいよ濃い。

「いや、いや、いやいやいや。本当に君は勘がいい。さすがはグラモン元帥のご子息、出来れば我々の仲間に加えたい位だよ」
「ふざけるな! 恐れ多くも国王陛下のお命を奪い、始祖ブリミルの教えを歪める悪党共めっ!」



289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:12:46 ID:kHQbdLa9
そーいや、ギルは牙の教会のさらに異端だったな。 支援。

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:13:12 ID:RnNzxowH
支援でごんす

291 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:14:10 ID:hZGRhGEP
牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)とはここ数十年でハルケギニアに現れた宗教結社である。
元は新教の一部派閥であった物が始祖直筆の経典を手に入れたと称して尖鋭化。
始祖ブリミルに選ばれし者による統治を掲げ、各国の王族の命を狙い続けていた。
一般にはトリステインの前王を暗殺したことで知られている。
そして彼ら自身ですら知らないことだが、彼らのルーツは実はこの世界にはない。
ましてやそのルーツとショウ達に関係があるとは思いもよらぬギーシュであった。

「それは違うぞギーシュ君。今の聖職者共の教えこそ歪みきっているのだ。我ら牙の教徒こそが始祖の教えをもっとも純粋に受け継ぐもの達なのだよ。そもそも牙の教徒の経典は、始祖が手ずからお記しになったものなのだ」
「そんな出鱈目っ!」
「ふん、まぁ君に言っても分かるまいがね。さあ者共かかれっ! 我らが敵を打ち倒せ!」
「「「我らが理想社会の為に!」」」

その一声と共に、衛兵達が一斉に動く。
舌打ちし、ギーシュはワルキューレに迎え撃たせるべく、指揮杖の如く薔薇を振る。
戦いはすぐに乱戦になった。
ワルキューレと衛兵、それにギーシュが入り乱れての肉弾戦である。
もうギーシュも戦術を駆使している余裕はないし、モット伯のほうもここまで敵味方が混じって激しく動いてしまうと魔法での援護は出来ない。
既にギーシュも肉薄され、ここの所ショウとヤンに影響を受けて一人でこっそり特訓していた「ブレイド」の魔法で応戦している。
元が純粋に軍用の魔法だけあり、軍人である彼の父や兄たちはいずれもかなりの使い手で、彼も子供の頃から手ほどきを受けている。
もっとも飽きっぽい彼は当時余り熱心に稽古はしていなかったのであるが、それでも今はそれなり以上に戦えていた。
何しろ相手からしてみれば切れ味が鋭すぎて槍で受け止めることも出来ず、また重さが薔薇の造花の分しか無いため、振りは普通の剣よりはるかに早いという反則的な武器である。
剣と槍の間合いや彼我の白兵戦技量の差を埋めて有り余るアドバンテージであった。

自分が白兵戦に巻き込まれながら、それでもまだ七体のワルキューレを操りつづけているという驚くべき事実にギーシュ自身は気がつかず、ただモット伯だけが驚嘆と焦りを露わにしている。
術者本人に攻撃を仕掛ければ操作は乱れるだろう、という彼の目論みは見事に外れていた。
勿論息のあった連携など出来ず、出鱈目に槍を振り回しているだけなのだが、それでも一瞬精密な動きを取り戻す事があり、そうしたワルキューレに腹を貫かれてもう数人の衛兵が倒れている。
ギーシュ自身も何箇所か手傷を負っているが、戦いの興奮がその痛みを感じさせない。
もう無我夢中で自分が何をやっているかもわかっていない。

敵が槍で殴り倒そうとしてくる。
それをよけようともせず、ギーシュは“ブレイド”を真っ直ぐに突き出した。
槍の柄が左の肩口をしたたかに打ったが、右手の“ブレイド”は胸当てを貫き、衛兵は鮮血を吹いて倒れた。
相手が「牙の教徒」とはいえ、もしギーシュが正気だったら、自分が何をしたか理解していたら、真っ青になって薔薇を取り落としていたろう。吐いていたかもしれない。
だが今は戦いの狂気が彼を突き動かしている。
衛兵と槍でつばぜり合いをしているワルキューレのすぐ後ろに踏み込み、そのまま“ブレイド”を振り下ろす。
そのワルキューレは左腕を失ったが、衛兵も右腕を槍ごと失った。
だが衛兵は怯まない。残った左腕でワルキューレに組みつき、首をねじ切ろうとして、ギーシュが脇腹に“ブレイド”をねじ込んだ所でようやく動きを止めた。
こうした異常なまでの戦意を見せるのはこの衛兵だけではない。
その証拠に、鉄の剣でもそうそう傷つかないはずの青銅のワルキューレ達が、最早軒並み満身創痍である。
狂気に駆られているのはギーシュだけではない。衛兵達もまた信仰という狂気に駆られて戦っていた。



292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:14:50 ID:kHQbdLa9
支援

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:15:17 ID:0LiaSxDi
そーいやサンザの嫁も牙の教徒だったね支援

294 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:19:48 ID:hZGRhGEP
だが、明らかに戦況はギーシュのほうへ傾いていた。
いくら狂信という鎧を纏っていても、青銅のワルキューレと切られれば血の出る人間では耐久力が違う。
剣で青銅を両断するほどの腕があればともかく、そこそこ腕が立つ程度ではこの差はどうしようもない。
しかもギーシュは自分の手が空くたびに錬金を唱え、損傷の度合いの大きいワルキューレを改めて作り直している。
一気にギーシュを倒せない以上、ジリ貧になるのも当然であった。
衛兵が一人また一人と突かれあるいは殴られて昏倒し、残りが三人になったところで再びモット伯は仕掛けた。
気づかれないように、そしてギーシュから死角になるように慎重に廊下の花瓶から水を呼び出し(そもそも廊下に花瓶が置いてあるのはこの屋敷のどこででもモットが戦えるようにする為だ)、再び宙を飛ぶ水の鉄槌を生み出す。
狙うのはギーシュが衛兵を倒して気の緩む一瞬。
頃合を見計らっていたモットは、衛兵の一人が槍に殴られ、昏倒したその瞬間を狙って杖を振った。
倒れた衛兵の逆側、死角となる方向から低く、鋭く水流が走る。
奇襲は完璧だった。標的は忍び寄る脅威に全く気づいていない。
しかし、今日のギーシュはそれすらもかわしてみせた。
勿論ただの偶然である。首のあった空間を斜め下から水流が貫こうとした瞬間、ギーシュが視界を確保するために僅かに右側に身を乗り出したのだ。
水のノミが左の鎖骨を浅く抉り、マントとシャツ、そして肉を削ぐ。

「くっ!?」
「ちっ!」

僅かに苦痛の声を上げながらも、ギーシュは踏みとどまる。
だが、偶然とは言え今の一撃をかわしたのは大きかった。本来なら喉を抉られて絶命していたはずである。
一方、モット伯は完璧だったはずの奇襲がかわされた事に舌打ちしながらも素早く水流を反転させ、二の太刀でギーシュを屠ろうとする。
それを廊下に転がって辛うじてかわし、ギーシュは勝負に出た。
最初の衛兵と同じように、残りの二人に対して同時にそれぞれ二体のワルキューレにタックルさせる。
一人はワルキューレの槍を脳天に受け、あえなく昏倒した。
しかしもう一人の左腕を捕らえようとしたワルキューレは疲労によるコントロールミスからタイミングを合わせることが出来ず、その衛兵は咄嗟に右腕のワルキューレを盾にして振り下ろされる槍から身を守った。
だが、最後の衛兵の頑張りもそこまでだった。
残りのワルキューレに押し潰され、押さえつけられた所で拳の連打をガードも出来ずに顔面に浴びる。
彼が動かなくなったのを確認し、ギーシュはワルキューレたちと共に立ち上がった。

「逃がさないぞ・・・モット・・・」

その視線の先には再び廊下を走り去るモット伯の姿があった。
衛兵が残り一人になった瞬間、いっそ賞賛したい位の思い切りのよさでこのトライアングルメイジは再び逃げ出したのだった。
当然水流もコントロールを失い、今は廊下の絨毯の染みになっている。
“ブレイド”を消し、薔薇を持った右手で槍に打たれ水流に削られた左肩を抑えながら、ギーシュは歩き始める。
ワルキューレを率いて廊下の奥へ、モット伯を追うべく。




295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:21:27 ID:kHQbdLa9
ヤバイ、ここまで来ると死亡フラグがネオンサインになってる。支援。

296 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:25:44 ID:hZGRhGEP
殴られて意識を失ったギーシュが再び目を覚ました時、彼はマントと杖を奪われた上で壁に繋がれていた。
枷に両手首を固定され、磔にされたような姿勢である。
体中の痛みを堪え、腫れて塞がりかけた目を苦労して開くと、そこは落とし穴で落されたのと同じような、しかしはるかに広い部屋であった。天井も王宮の広間と見まごうほどに高い。
ギーシュの正面、部屋の中央に腰の高さほどの壇があり、そこに裸身に薄布一枚掛けただけのシエスタが横たえられていた。
そしてその周囲を見たこともない形の法衣をまとったモット伯他数人の男達が取り囲んでいる。
モット伯の手には聖典に似た、禍禍しさを感じさせる一冊の黒い書物があった。

「シエスタっ!」
「ほう、目が覚めたかね」

モット伯が振り向き、あの人を見下すような笑みを浮かべた。
一方シエスタは薬でも使われているのか、目を虚ろに開いたまま天井を見上げるばかりで、ギーシュの言葉に全く反応しない。

「シエスタに何をした! 彼女をどうするつもりだ!」
「それはもちろん、君が考えているとおりのことさ」

にまり、と笑みを深くするモット伯。
今あいつの顔をぶん殴ってやれるのなら1000エキュー払ってもいい、と半ば本気でギーシュは思った。

「そこで見ていたまえ、無謀な騎士よ。君が救おうとした姫君が無残に殺されるのをね」

ぎり、と歯を軋らせるギーシュを見てモット伯はついに声を上げて笑い出した。

「そう、それだ! その顔が見たかった! 我ら牙の教徒に仇為す君のその顔! さぞや始祖ブリミルもお喜びだろう!
 そして今、始祖に逆らいし血筋の女を生贄に捧げ、我らは大いなる力を得る!
 始祖よりつかわされし使徒のお言葉が成就する!
 この『召喚の書』によってな!」



297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:26:51 ID:kHQbdLa9
ゲェーッ!?まさかギルの前の所持者か!? 支援

298 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:29:13 ID:hZGRhGEP
始祖に逆らいし血筋? シエスタが? 一瞬そんな考えがギーシュの脳裏をよぎるが、次の言葉でそんな思考は消し飛んだ。
獣のように暴れ、叫び、枷を外そうと両手に力を込める。
だがオーク鬼ならいざ知らず、ギーシュ程度の力では当然びくともしない。
手首から血が流れる。
それでもギーシュは暴れることを止めない。
モット伯はその様子を見てひとしきり笑いこけた後、シエスタに向き直った。
その手には先ほど見た黒い書物。もう片方の手には、いつの間にか大きく湾曲した、まさしく牙のような鋭利なナイフが握られていた。
暴れるギーシュを最早毛ほども気にせず、モット伯はその顔に恍惚すら浮かべてナイフを振り上げ。
その瞬間、地下室の扉が木っ端微塵に吹き飛んだ。
そして先頭を切って走りこんできたのは。

「ルイズ! ショウ!」

桃色の髪をした魔法使い。黒い髪の剣士。
ゼロのルイズとその使い魔、ショウであった。
彼らが何故ここにいるのか。
それを知るために時間をやや巻き戻すことをお許し願いたい。




「「「『牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)』っ!?」」」

思わず叫んだショウ、ヤン、リリスが互いの顔を見合わせた。

「やだ何、あいつらそんな昔から存在してたわけ!?」
「千年経ってもまだ活動してるのか、奴らは」
「偶然の一致の可能性もあるけど、ねぇ・・・」
「ちょっと、何を通じ合ってるのよ! 後ショウとリリス、顔近すぎ!」

むっとしてルイズがショウの袖をひっぱった。
だがそんなルイズに構っていられないほどに、ショウたちは驚きを隠しきれない。
そう、牙の教徒はショウたちの世界にも存在していたのである。
やっていることも変わらない。
神に選ばれたものによる統治を標榜し、各国の王族や貴族を暗殺する邪教徒集団。
ショウの時代に既に彼らは存在しており、リリスの時代の遥か後に起こる「イアリシンの宝珠探索」でもその姿は確認されている。
千年以上の長きに渡って世界の暗部に救う、文字通りの暗黒の徒たちであった。
一方でキュルケは首を傾げている。



299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:30:02 ID:kHQbdLa9
支援

300 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:32:36 ID:hZGRhGEP
「牙の教徒。聞き覚えはあるんだけど、なんだったかしら。タバサ、知ってる?」
「知らないの!? トリステインじゃ三つの子供だって知ってるわよ!? これだからゲルマニアの乳だけ女はっ!」
「・・・あら、言ってくれるじゃないルイズ」

などと睨み合う二人は意に介さぬが如く、いや事実意に介さずタバサが説明をはじめる。

「牙の教徒は一言で言うと新教徒の過激派。『選ばれし者による理想的統治』を掲げて各国で国王や王族の暗殺を仕掛けている。トリステインの前王を暗殺したのも彼らの仕業」
「そうよ! 前王陛下を害したその大罪、絶対に許さないわ!」
「他にもアルビオンの王弟モード大公やガリアのオルレアン公シャルルを暗殺したという噂もある」
「あ、トリステイン王の。それで聞いた事があったのね・・・え?」

一瞬、キュルケは目をしばたたかせた。オルレアン公の名前を上げた瞬間、二つ名の如く常に冷静沈着な親友から、一瞬だけ暗い炎が迸ったのを確かに彼女は見た。
キュルケが戸惑う間も、タバサの言葉は続く。

「それと牙の教徒は主にロマリア、そしてガリア、トリステイン、アルビオンで活動している。恐らくブリミル直系の国が優先的に標的とされているのだと思われる。
 そのせいでこれらの国では忌み嫌われているし、ゲルマニア出身のキュルケが良く知らなかったのも無理はない話」
「ふーん、そうだったの」
「分かったかしら? 頭どころか胸も無いトリステイン貴族さん?」
「こっ、この・・・!」
「いいかげんにしとけ、ルイズ」
「はいはいストップ、今そんなことやってる状況じゃないでしょ」

一触即発になりかけた二人の間にショウとリリスが入って場を収める。
実際のところ、確かに口論などをしている状況ではない。

「だがそれはそれとして、こっちの世界でもやってる事は全く変わらないんだな」
「全くね。まぁ千年も同じようなことやってる連中だし」

呆れたようにショウが呟き、その後をリリスが引き取った。




301 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:35:26 ID:hZGRhGEP
事の発端はショウ、リリス、ヤンの三人がギーシュと別れた直後の事だった。
三人が女子寮に向かって歩いていると、塔の窓のひとつから影が二つ飛び出し、続けて炎が噴き出した。

“仮睡(カティノ)!”

咄嗟にリリスが呪文を唱える。おそらく“フライ”であろう、空を飛んで逃げようとしていた影の片方がバランスを崩し、地面に落ちた。
意識は失っても呪文は効いていたのか、自由落下よりはかなり緩やかな落ち方である。
続けてショウも呪文を唱えようとするが、その頃には影のもう片方は気による斬撃や呪文も届かない位置にまで行ってしまっていた。

「で、何がどうしたのよ?」

本人は無事だった(部屋はあまり無事ではなかった)キュルケの話によれば、自室の扉を開けてみると怪しげな二人組が部屋を物色していたので、問答無用でファイアーボールを叩き込んでやったとの事。
相手はすぐに逃げてしまったが、先日話に上ったキュルケの家宝の書物を奪われてしまったのだと言う。
その後タバサの尋問により、盗賊は自分がモット伯の配下かつ『牙の教徒』の一員であり、盗んだ書物は牙の教徒にとって非常に大事なものであることを白状した。

ちなみにタバサの尋問がどのようなものであったかは分からないが、覗き見ていたルイズが

「やめて! 思い出させないでー! 私が悪かったからーっ!」

と、トラウマになってしまうようなものだったらしい。
以降ルイズがタバサに一歩遠慮するようになったのは余談である。

閑話休題。

「で、どうするんだキュルケ。モット伯のところに乗り込むのか?」
「そうしたいけど、さすがに牙の教徒のアジトとなると、無策で突っ込んでいい相手じゃないわね。書物自体は惜しくないけど・・・」
「相手は王宮勅使でもある。あの盗賊を証人にして法的にどうにかしてもらうほうが得策」

そうやって話しながら本塔に戻る道を歩いていた一行は、学院の正門前でうろうろしている一人の少女と出会った。
言わずと知れたケティである。ギーシュに頼みこんだはいいものの、やはり不安で追いかけようかどうか悩んでいたのだ。



302 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:38:43 ID:hZGRhGEP
「どうしたの、あなた。さっきギーシュに用があった子よね?」

びくり、とリリスの声に身を震わせるケティ。そしてリリス自身(彼女がエルフだということは学院中に知れ渡っている)に怯えながらも話していいものかどうか迷っている様子だった。

「その、シエスタが・・・」
「シエスタ? 誰それ?」
「あーっと、たしかメイドの一人だよ。黒髪で緑の目をしたそばかすの子」

怪訝な顔をしたルイズの疑問に答えたのはヤンだった。
この中で唯一掛け値なしの平民である彼は、学院で働く使用人たちともそれなりに仲がいい。
そして次の瞬間、その表情が凍りつく。

「・・・そう言えば確か、今日モットって奴の屋敷に引き取られていったって」
「なんですってぇー!?」
「ご存知なんですか!? それでギーシュ様がそれを助けに行って下さるって先ほど馬で」
「「「「「なにーっ?!」」」」」
「間の悪さもここまで来ると最早芸」

こうなるともう躊躇している余裕はなかった。

「あの馬鹿はなんだって毎度毎度毎度迷惑かけるのよ!?」
「言っても始まらないだろう! 追うぞ!」

ギーシュが戻ってくればいいが、戻ってこなかった場合学院や騎士団に動いてもらうには到底時間が足りない。
ケティに木に縛り付けたままの盗賊の事をオールド・オスマンに伝えるように言うと、一行は半ば無理矢理に厩舎から馬を引き出し、一路モット伯の屋敷へ駆けた。
そして到着するなり屋敷から漂う血の臭いにタバサが気づき、邸内へ突入。
そのまま家令に剣を突きつけて地下室まで案内させ、ショウが扉を破るなり吶喊したルイズと、続いてショウが慌てて駆け込み、今に至ると言うわけだ。






303 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:43:36 ID:hZGRhGEP
「ルイズ! ショウ!」
「ギーシュ!・・・・ひどい!」

ギーシュの姿と声を見て安心したのも束の間、腫れ上がった顔と傷だらけの全身を見てルイズが絶句する。
続いて駆け込んできたほかの面々も同様だ。
きっ、とルイズがモット伯を睨む。

「貴方がモットね! 私の・・・私の友達にここまでの事をしておいて、ただで済むとは思わない事ね!」

一瞬言いよどむ物の、怒りと共にルイズは言葉を叩きつける。
その視線をモット伯は余裕の表情で受け止めた。
ルイズたちの後ろにいるキュルケ達のそれをも涼しい顔で受け流し、ぱちりと指を鳴らす。
ローブ姿の衛兵三人がモット伯の前に出て剣を構え、一拍遅れて地下室が重い地響きに揺れた。
ルイズ達から地下室の向かって奥、巨大な扉が開き、「それ」が姿を現す。
まず毒々しい紫色の肌からして人間、いや真っ当な生物ではありえない。
その上背は見上げんばかりの高さ。5mはある天井に頭がつかえそうになっており、その筋骨逞しい肉体を覆うのは腰布一枚のみ。
それが四体。
モット伯らを守るかのように前に出た。

「トロル?! それともオーガー鬼!?」
「違うな。これぞ始祖が操った『古きものども』の一種族、ポイゾンジャイアント! 貴様ら程度では手も足も出まい!」

リリスの顔が真っ青になる。
だが彼女が何か指示を出すよりも、キュルケとタバサが先ほど唱えておいた呪文を発動するほうが早かった。

「ファイアーボール!」
「ウィンディ・アイシクル」

渾身の力を込めた火球と氷の槍がそれぞれ炸裂し、爆炎が収まった後には、全く無傷の巨人が変わらず立っていた。

「な!?」
「皆、逃げるわよ!」

リリスが叫ぶのに一瞬先んじ、再びモット伯が指を鳴らした。
リリスが身を翻した瞬間、その眼前で扉のあった場所に鉄格子が下りる。
退路は絶たれた。



304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:44:39 ID:k/LEtgej
支援

305 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:46:33 ID:hZGRhGEP
「御覧いただけたかな、若きメイジ諸君。こやつらには全く呪文が効かない。そしてその毒の息はあらゆる生命を死に至らしめる。つまり君たちにはもう死しか残されていないわけだ。
 だが私は慈悲深い男だ。杖を捨て軍門に下るなら命は助けてやってもいいぞ?」
「くっ、塵化(マカニト)さえあれば・・・」

ネズミをいたぶる猫のような物言いに、リリスがほぞを噛んだ。
確かに今の状況では打つ手が無い。
ショウが一体、そして幸運に恵まれてヤンがもう一体を倒したとしても、残りの二体に毒のブレスを吐かれた時点で恐らくショウ以外は即死する。
ポイゾンジャイアントに対する唯一の切り札である、呪文無効化能力に左右されない毒ガス生成呪文「塵化(マカニト)」をまだリリスは修得していないし、ショウもそうだろう。
せめてショウに匹敵する前衛がもう一人いればともかく、今の状態では1%の勝利の可能性もない。
なおかつ逃走も不可能と来ては降伏以外に選択肢は無いのだが・・・。

一方、ショウは全く別のことを考えていた。
どのみち降伏しても命が助かる保証は無に等しい。
ならばいちかばちか、賭けに出てみるべきだろう。
リリスは塵化以外に対抗策が無いようなことを言っているが、彼に限って言えばそれはあった。
人をして殺戮兵器に変えしめる修羅の技。
命を削り取り、死をもたらし不幸を呼ぶ剣術。
ポイゾンジャイアント四体を一撃で屠りうる禁じられた侍の奥義。
有り余る才を持ちながら自身嫌悪するその技を、使うのならば今しかない。
それでも現時点での成功率は3割。加えてシエスタを巻き込んでしまう危険性も高い。
例えリリスが生き残っても、冒険者で無いシエスタが一度死ねば蘇生は絶望的だ。
そしてモット伯の好色そうな目つきを見れば、彼自身はともかくルイズ達も降伏すれば命だけは助かる可能性がある。
3割の勝利に全員の命を賭けるか。敗北を受け容れてでも望みを繋ぐか。
戦場往来の古強者とはいえ、十三歳の少年が選ぶには余りにも難しい二択だった。

リリスも、ショウも、タバサもキュルケもヤンも動けない。
モット伯のみが喉を震わせて忍び笑っている。

「さあ、どうするね? 降伏すれば命だけは保証してやるぞ?」

だがこのとき、一人だけ動いたものがいた。

「決まっているわ、答えはノンよ!」

ルイズである。一歩足を踏み出し、モット伯に杖を突きつける。

「ルイズ!?」
「ちょっとヴァリエール、状況を考えなさいよ!」

リリスとキュルケが泡を食って振り向いた。



306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 01:49:19 ID:vggFzwns
パープルヘイズ(紫煙)

307 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:50:00 ID:hZGRhGEP
「わたしは貴族よ。魔法が使える者を、貴族と呼ぷんじゃないわ」

だがルイズは胸を張る。だからこそ胸を張る。
杖を握り締め、巨人の向こうに隠れて他人を見下しているモットに、自らの誇りを突きつける。

「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」

一瞬間を置き、モット伯が爆笑した。

「いや、最高だ! さすがはヴァリエール公爵家の三女、気が強い! ますます貴様らを・・・」

その時、風が吹いた。

「何・・・?」

そよ風も吹かぬはずの地下室に、空気が渦を巻き風を呼ぶ。
つむじを巻き、ルイズたちのマントをはためかせ、風が吹く。
その渦の中心は、ショウだった。

「ショウ・・?」
「下がっていろ、ルイズ」

かすかに、ショウが笑みを浮かべる。

「危ないからな」

その左拳のルーンが、まばゆい光を放っている。
一方モット伯は困惑を隠し切れないでいた。

「じゅ、呪文も唱えずに風を・・・? それにその光は?」

しかし戸惑いながらも、生来の危険に対する敏感さでモット伯はそれの危険性を察知した。
なら虫けらを叩き潰すように、完膚なきまでにそれを潰してしまうのみ。

「ええい、何をする気か知らないが、ならばやってしまえ!」

命令に即座に従い、ポイゾンジャイアントが大きく息を吸い込む。
胸郭が鳩のように膨れ、肺に空気を満たす。
後は呼気を思い切り吐き出せば、体内の毒が混じった猛烈な息はこの世のあらゆる生物の命を奪う猛毒のブレスと化すだろう。
だが、それが猛威を振るう瞬間はもはや訪れない。
ショウの周りを渦巻く大気はいよいよ激しくうねり、轟く。
それはもはや空気ではない。
ショウの生み出す、大いなる気の渦。


308 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:53:38 ID:hZGRhGEP
今やショウははっきりと笑みを浮かべていた。
死の恐怖に怯えながらもはっきりと「逃げない」と宣言したその勇気、その覚悟。
初めて、彼はルイズに好もしい物を感じていた。
ならば、その覚悟に彼も全力をもって応えるのみ。
左拳のまばゆい光とともに、彼は己の全力を解き放つ。

"鳳龍――"

「キャッ!」
「ウワッ!?」
「何これ!?」

大気の渦が解放される。
今までとは桁違いの風が吹き付け、ルイズ達は或いは顔を腕で庇い、或いはバランスを崩して尻餅をつく。
そして解放された"気"の渦は同時にポイゾンジャイアントたちの周囲を取り巻く、もう一つの気の渦を作り出す。

"烈風斬!"

後は一瞬だった。
巨人どもの足元から立ち上る無数の細い竜巻。
石の床をも削り、天井を穿つその気の渦はそれ自体複雑に絡み合ってポイゾンジャイアント四体を飲み込み、その肉体をあっという間にちぎり、押し潰し、うねり、引き裂いた。
祭壇のこちら側にいた法衣の男のうち二人もそれに巻き込まれ、あっという間に原形を止めぬ肉片となる。
血霧が舞い、グズグズの肉の破片が天井に張り付く。
ルイズ達はただただ呆然と、その様子を眺めていた。

「訓練所の教官から聞いたことがある――かつて、侍には秘技があったと」

いつの間にかキュルケを支えていたヤンが、呆然とした表情のまま呟く。

「それは己の命すら燃やし尽くす、禁断の侍の奥義だと」

その言葉と共に、ショウが崩れ落ちるように座り込む。

「ショウ? ショウ!?」



309 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 01:57:25 ID:hZGRhGEP
ルイズが顔色を変えてショウに駆け寄るのと、我に返ったリリスが呪文を詠唱するのとが同時だった。

"彫像(マニフォ)!"

僧侶系2レベルの行動阻害呪文、彫像(マニフォ)によって残ったモット以外の法衣三人のうち、二人が硬直する。
素早く詠唱されたタバサのエア・ハンマーが残りの一人を吹き飛ばし、石畳に叩きつけられた男はそのまま動かなくなった。
続けてキュルケが一歩踏み出してファイアーボールの呪文を詠唱しはじめ、ヤンは目にも止まらぬ踏み込みで距離を詰め、モット伯に一太刀浴びせようと振りかぶって・・・その剣を止めた。

「く、くふふふふ。馬鹿め、切り札は最後の最後まで取っておく物だよ!」

モット伯のナイフが、シエスタの白い喉にぴたりと当てられていた。
いつの間にか腰を抜かしていたモットはシエスタの喉からナイフを離さないように立ち上がり、後ろから彼女の体を抱え込んで立たせる。

「さぁ、どくのだ! この娘の命が惜しければ手出しはしないことだ! 私が安全な場所まで逃げたらこの娘は解放してやろう!」

そんな保証がどこにある、と毒づきたくてもシエスタの喉元に刃が突きつけられていては何も出来ない。
先ほどまでショウの肩をゆすり、その名を繰り返し呼び続けていたルイズも、今は息を詰めてその刃を見つめていた。

「動くなよ、動いたらこいつの命は無いぞ!」

ショウの穿った石畳の穴を避け、朦朧としたシエスタを無理矢理歩かせてゆっくりと歩くモット。
誰も手が出せない。
ぱらり。
そのモットの視線が、ふと上を向いた。
ぱらり。
小さな石の粒がモット伯の顔に当る。
その顔がひきつった。
先ほどのショウの技の余波か、削られた天井の石組にひびが入っていた。
しかも見る見るうちに加速度的に広がり、一瞬後には崩落が始まる。
思わずモット伯がナイフを持った方の手で頭を庇ったその瞬間。

「え、ショウ・・・?」

モット伯の抱えたシエスタの腹部に、ショウの左の手の平が当てられていた。


 "鳳龍透過波"


不可視の力がシエスタの体を通り抜ける。
ショウの手の平から発せられた力はシエスタの肉体に全く傷をつけることなく、その後ろのモット伯だけを直撃し、吹き飛ばした。
内蔵に直接殴打を受けたような衝撃を感じ、モット伯は先ほどショウが烈風斬で穿った大穴の中央あたりまで弾き飛ばされ、叩きつけられる。
その目に最後に映ったのは先ほど抉られた箇所を中心に全面的に崩落をはじめた天井の石組と、そこから落ちてきた一抱えほどもある石材だった。






310 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 02:00:34 ID:hZGRhGEP
支えるだけの力は残っていないのか、シエスタを床に横たえてショウが立ち上がる。

「よっこらしょっ・・・と」
「ショウ・・・大丈夫なの?」
「さっきから耳元で喚かれちゃな。うるさくて、寝ていられねえよ」

憔悴は隠し切れていないが、なんとかショウが笑みを浮かべてみせる。

「そう」

ぱんっ、と気持ちのいい音がした。
無言で、ルイズがショウに平手打ちを見舞ったのだ。
完全に不意を打たれたショウは、呆然として彼女を見た。キュルケ達も余りのことに固まっている。

「馬鹿っ!」

ルイズが、拳でショウの胸板を叩く。
二度、三度。
いつの間にか、その頬は涙に濡れていた。

「心配したんだから・・・馬鹿・・・馬鹿っ! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」
「そうだな。すまない、心配かけた」

ルイズの両肩に静かに手を置き、ショウが謝罪する。胸板を叩く拳の音がやんでからも、ルイズの泣き声はしばらくやむ事がなかった。




「おーい。主従仲がいいのは結構なんだが、そろそろ僕を助けてくれないかなぁ」

無粋と思いながらも、我慢しきれなくなってついにギーシュが声を上げたのはそれから10分ほど経ってからの事である。


そして壁一枚隔てた場所の喧騒を聞きながら、溜息をついて杖をもてあそぶ女が一人。

「ったく、あたしも焼きが回ったかねぇ? あの子はテファじゃあないってのにさ」

ミス・ロングビル、いや今は怪盗"土くれのフーケ"か。
少し考えればわかることだが、先ほどのような崩落がそうそう都合よく起こるはずも無い。彼女が錬金で土と石を変形させて地下室の天井の石組に力を掛けた結果である。
とりあえずモットも死んだみたいだし後は自分たちでどうにかするだろう、とフーケは退散することに決めた。
最後に一度だけシエスタとリリスというエルフの少女をちらりと見、彼女は身を翻した。

ふと、気配を感じてショウが振り向く。
だが鉄格子に閉ざされた入口の向こうには、もはや何者の影も残ってはいなかった。






311 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 02:03:54 ID:hZGRhGEP
「さて、これでどうにか一件落着ね」

ギーシュとシエスタに治療を施し、リリスがうん、と伸びをした。
本人は無用と言ったが、ショウにも快癒を掛けてある(効果は無かったが)。

「それで、今のはなんだったのよ? ちゃんとご主人様に説明しなさい!」

ルイズがショウに指を突きつけている。顔が赤いのは先ほど泣いたせいと、その照れ隠しもあるのだろう。

「ダーリンは『命を削る技』なんて言っていたけど」
「あれは俺の家に伝わる秘伝で『鳳龍の剣術』と言う。そうだな、端的に言えば"気"を操る技の強力な物だ。威力は見ての通りだが、それだけに消耗も大きい。
 限界を超えて使用すれば良くて灰(アッシュ)、悪ければ消失(ロスト)――つまり、蘇生不可能なレベルで死ぬということだ。命を削る技というのは全くもってその通りだな」

地下室の中が静まり返った。
ヤンが度々実証しているとおり、ショウたちの世界では死者を蘇生させる呪文が存在する。
死亡(デッド)した後蘇生に一度失敗すれば灰(アッシュ)、そこからの蘇生にも失敗すれば消失(ロスト)となるのは以前にも述べた通りだ。
だが、死亡を飛び越えて灰や消失の状態に行く事は普通ない。
例えばドラゴンのブレスで灰になるまで焼かれたり、死後肉体を喰われたりすれば灰相当の状態になることもあるが、そうそうない事である。
鳳龍の剣術は"気"を用いて敵を討つ。
"気"を消費したからといって負傷したり魔力を消耗したりするわけではないが、"気"の根源は即ち生命力そのものである(負傷を治癒する呪文が気の消耗に効果がないのもこれが理由だ)。
大量に消費すれば生命そのものを消耗させ、また限界を越えれば即座に消失(ロスト)する。
まさに使用者の命を削りとる技と言うに相応しい。

「馬鹿っ! なんでそんな危険な技を使ったのよ!」

そして当然というべきか、再びルイズが沸騰する。ただし、今度の平手はショウも余裕を持って見切ることが出来た。

「避けるんじゃないわよこの馬鹿っ!」
「無茶を言うなよ。あのなルイズ。俺はこれでも鳳龍宗家の人間だ。どれだけの技を使えば危険かは理解しているさ。
 それにさっき言っていたろう。『敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶ』と。ならば、後ろを見せずに勝つ方法はあれしかなかった」
「う・・・」

その言葉が、沸騰したルイズの頭を一瞬で元に戻した。言ってみればあの時のショウの行動にはルイズにも責任があったのだ。
その機を逃さず、ショウが畳み掛ける。

「別にそれをどうこう言う気はない。俺も同意見だからな。だが、馬鹿というならお前も同じだぞ」
「なんでよ!?」
「結果的には上手く行ったが、状況を考えろ。あの場であのセリフを吐いた勇気は賞賛するが、勇気も行き過ぎればただの無謀だ。自分と相手の力量を正確に判断することも重要だぞ」
「・・・わかったわよ」

口を尖らせながら渋々とではあるが、ルイズは頷いた。後ろでキュルケが「まぁ、素直」などと驚いているのは拳を震わせつつも無視する。
その時、さっきから黙っていたシエスタが恥ずかしそうに口を開いた。

「あの、そろそろ外に出ませんか? ええと、出来れば帰る前に着替えたいんですけど」



312 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 02:07:23 ID:hZGRhGEP
他に羽織る物も無いのでしょうがないのだが(平民が貴族のマントを羽織ると不敬罪になる)、未だに彼女は薄布一枚巻きつけただけの格好であった。
殆ど風呂上りにタオルを巻いているのと変わりない。
こつん、とルイズがギーシュのすねを蹴った。

「ちょっとギーシュ。わざわざシエスタを助けに来たのは褒めてあげるけど、それなら最後まで紳士らしく振舞いなさいよ」
「何を言うんだい、ルイズ。僕は常に紳士的な貴族たらんと心掛けているよ」

言いつつ、シエスタの胸元や半ばまで露出した太ももにちらちら視線を向けているのでは全く説得力が無い。

「い、いえそのミス・ヴァリエール。いいんです、ミスタ・グラモンは私の命の恩人ですから・・・」
「あなたのその心掛けは偉いと思うけど、元気になった途端これじゃあね。モンモランシーも苦労するわ」
「全くね。そこへ行くとうちのダーリンは、」

あたりを見回して、キュルケの言葉が途切れた。

「って、ダーリン? あれ、ダーリンは?」

くいくい、とタバサがキュルケの袖を引っ張る。

「なんかヤな感じね、このパターンは・・・」

そろそろ学習したのか、キュルケが諦めたように溜息をつく。

「正解」

タバサの杖が指した先、崩落した石組と土砂の中からヤンの右腕とカシナートの剣だけが飛び出していた。




ヤンをちゃっちゃと蘇生させた後、一行は乗ってきた馬に分乗して帰路についた。
消耗しているショウはルイズの、馬に乗れないシエスタはギーシュの後ろに乗る(服はさすがに着替えている)。
シエスタと密着しているギーシュの表情がでれでれと非常に見苦しい物になっていたが、一同も今日だけは見て見ぬ振りをしてやることにした。






313 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 02:10:13 ID:hZGRhGEP
馬蹄の音が闇の中に消えた頃、モット伯の屋敷の門前で声がした。
闇に隠れて数はおろか姿とて定かではないが、人影の一人の手にあったのは、まさしくモットの持っていた『召喚の書』。

「モットはいい人形になるかと思ったのだがね」
「あれが攻撃を司る虚無の担い手の使い魔、ガンダールヴか」
「やれやれ、とんでもない化け物だね」
「心配するな、何もお前たちに殺れとは言っていない」
「・・・」
「殺るのは、この私だ」

それきり声は途絶え、屋敷の喧騒だけが遠く聞こえていた。




途中で学院のほうから馬を走らせてきたコルベールと合流し(彼が大いに安堵したのは言うまでも無い)、一同は無事学園に到着した。
夜遅いだけあってもう大部分の明かりも消えていたが、正門前でケティと、そしてオールド・オスマンが待っていた。

「ギーシュ様!」
「やあ、ケティ。約束どおりシエスタは連れて帰って来たよ。まぁ、ルイズ達に助けてもらったんだけど」
「ほっほっほ、謙遜せんでもよろしい。少なくとも君が行かなければミス・シエスタが戻って来れなかったのは確かじゃ。儂からも礼を言わせて貰おう。胸を張って自分を誇りたまえ。じゃが、無茶は大概にせんといかんぞ?」
「はい、オールド・オスマン!」

ありえないと思った直々のお褒めの言葉に完璧に舞い上がるギーシュ。人生に絶頂があるとしたら、彼にとっては今がまさにその時だった。

「その、ギーシュ様」
「ん、なんだいケティ?」
「お約束どおりお礼を・・・何でも差し上げますわ。その、私の大事な物でも」

頬を染めつつ、流し目でギーシュのほうを見るケティ。オスマンが一瞬心底羨ましそうな顔を見せる。
彼女の表情と視線にしばらく夢見心地を味わった後、ようやくギーシュは周囲の冷たい雰囲気に気づいた。

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん。縁も縁もない平民の女の子を命がけで助けに来るなんて大した物だと思ってたわ。随分見直したのよ? でも、こう言う裏があったのね」
「る、ルイズ。違うんだよ、その」
「まぁ、そういうのもアリとは思うわよ? でもやっぱり評価は下がるかしらねぇ・・・いっぺん上がっただけに下げ幅は大きいわね」
「キュルケ! だから違うんだ! たたタバサ、君ならわかってくれるよね!」
「女の敵」

一縷の望みを込めて懇願するようにタバサを見るも、返って来たのはルイズのそれよりもよほど冷たい、雪風の凝視。

「この・・・女の敵! スケベ! 変態! 死んじゃえ!」
「ぶべらっ!」

とどめに顔を真っ赤にしたリリスの連打鉄拳制裁を喰らい、先ほど以上に顔面が酷いことになるギーシュであった。
加えて後日どこからかこの話が漏れ、再びモンモランシーに振られかけたらしい。
故人曰く、九仞の功を一簣にかく、とはまさにこの事であろう。






314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 02:12:00 ID:JKFK+zu2
支援

315 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 02:17:27 ID:hZGRhGEP
そうした様子を塔から見下ろす影があった。
ショウたちより先に学院に帰っていたロングビル、いやフーケである。
牙の教徒の巣窟に殴りこんだというのに、もう呑気に騒いでいる様子がおかしく、こっそりと笑みを漏らす。
自分自身も馬鹿なことをしたとは思うが、気にはならなかった。村に帰る以外では本当に久しぶりに、少しだけ心が軽くなった気がした。
そのまま自分の部屋に戻り、着替えようとした所で彼女の後ろから声がかかった。

「いや、見事な手並みだったよミス・ロングビル、いや土くれのフーケ。誰も君が消えたことになど気が付かないだろう・・・無論、この私を除いてだがね」

肝を潰して振り向いたフーケは、扉の脇に仮面をつけた男がもたれかかっているのに気づいて慄然とした。同じ部屋に居たのに、気配を一切感じなかったとは!
袖口に隠していた杖を構え、油断なく男の様子を窺う。
一方の男は悠然と、腕組みをして壁にもたれかかったままだ。

「さて、挨拶も終った所で本題に入ろうか。我々に協力しろ、土くれのフーケ」
「どこのどなた様か知らないけど、あんたらに手を貸す義理が何かあるとでも? 言っておくがあたしのことをばらしても意味はないよ。姿を隠せば済むことさ」
「お前は我々に協力せざるを得んさ、マチルダ・オブ・サウスゴータ。大事な妹のためにもな」

その一言が彼女の動きを止める。
自分に選択肢は残されていない事を、絶望と共にフーケは悟った。




さあう"ぁんといろいろ 第四話『邪教徒』 了

316 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 02:21:00 ID:hZGRhGEP
投下終了。ギーシュが受け容れられるかどうか不安でしたがそこそこ好評のようで安堵w

んで書いてて思いましたがブレイドの魔法強いですねー。
「岩をも断つ」という形容が誇張でないなら、多少の白兵スキルの差は問題にならないですよこれ。
なんせ重さがない上に普通の剣で受け止められないんですから。

なお原作の口絵ではティファニアの瞳は青かったり緑だったりするのですが、
黒いはずのシエスタの瞳が口絵では青という事を考えると微妙に信用できない(サイトの瞳も場合によっては青い)ため、
アニメ第二期に準拠してこのSSではティファニアの瞳は緑ということになっております。

それでは支援と掲載に感謝しつつ、また忘れた頃に。

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 02:37:25 ID:APYUWIBp
うんこだった


318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 02:38:30 ID:HZGVQ7S2
さあう"ぁんといろいろの人乙でした。

とうとう出た「鳳龍の剣術」
いつ、5つの禁術が出てくるかが楽しみです。
(ショウが育ってないし、武具がないので無理でしょうけど…)

あと、萌えない妹もきたのか?

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 03:12:41 ID:A0GGs6un
話しぶった切って悪いけど
此処で出た作品に限らず、ゼロ魔のクロスで完成度の高いSSってどれ?
できれば長編で30話以上続いてて完結してるのを教えて欲しいんだけど。
元ネタは何でも良い。当然wikiのは既読済み。

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 03:46:01 ID:UAivgGBy
>>319
それは君の心の中に

321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 03:57:55 ID:aO/y3fMY
教えてあげないよ ジャン♪

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 04:48:58 ID:tEQAdQma
ポリンキー乙

323 :さあう"ぁんといろいろ:2008/04/19(土) 04:49:55 ID:hZGRhGEP
ぬあはー!? ギーシュが負ける場面入れ忘れてるーっ!
つーわけで追加。>>294 >>296の間に入ります。すんづれーすますたーっ!


廊下の正面突き当たり、贅を尽した執務室にモット伯はいた。
巨大な樫の一枚板を使った最上質の執務机に、体力を使い果たしたかのように身を預けてギーシュを睨んでいる。

「ここまでたどり着いたか、小僧が・・・」
「シエスタを・・・返してもらうぞ」

ギーシュの息も荒い。負傷と疲労がその体力を奪っている。
だが、戦意だけは全く衰えていない。手負いの獣のような状態だった。
対するモット伯は手詰まり。水の魔法は攻撃に使うには単調であり、直線的なのが弱点だ。
当然トライアングルであるモットは水に風を混ぜたウィンディ・アイシクルのような呪文も使えるが、それで手数を増やすことは出来ても直線的という弱点は解消出来ない。
つまり、ワルキューレという盾を駆使できるギーシュには一撃必殺足りえないのである。
ギーシュはそう判断していたし、事実それは正しかった。
だが、もし彼がこれほど疲労していなかったら。
あるいはもっと経験豊富な戦士であったなら。
モット伯の態度に何か不審なものを感じ取ることが出来たかもしれない。

部屋の中央まで進んだギーシュは、薔薇を振ってワルキューレを散開させ、モット伯を確実に捕らえようとする。
その瞬間、今まで疲労困憊の態を見せていたモットが素早く後ろに飛び退り、窓のカーテンの、否、そう偽装されていた紐を引く。
その瞬間、ギーシュとワルキューレの大半を巻き込んで床に大きな穴が開いた。
咄嗟にレビテーションを唱えるギーシュ。
だが魔法は効果を表さないまま、ギーシュは石畳にしたたかに叩きつけられた。
呻くギーシュ。彼に受身の心得はない。辛うじて動く右手で薔薇を振り、一緒に落ちたワルキューレを動かそうとするが、青銅の兵士達は床に横たわったままぴくりとも動かなかった。
落とし穴の上からモットの声が響く。

「そこは消呪域! いかなる大魔法使いであろうが魔法は発動できず、魔力で何かをコントロールすることもできん! 死ぬまでの短い間、私に逆らった愚かさを悔いるがいい!」

消呪域。
始祖ブリミルの時代には既に存在した物の、現在では既に廃れつつある技術である。
ある特定の閉鎖空間内に特殊な結界を張ることでその中では一切魔法を使えなくする。
現在でも互いへの信頼を表すために貴族同士がそうした部屋で会見を行うことはあるが、反面そうした部屋は平民による暗殺の絶好の機会であるため、よほどの事がない限り使われる事はない。
またメイジ用の牢獄として使うには余りにコストが高く(それ以前に杖さえ取り上げれば魔法は使えない)、こうした言ってみれば貴族の自己否定にも繋がるような技術を、何故始祖が生み出したのかは謎とされている。
先住魔法への対抗策だったと唱える学者もいるが、真偽は定かではない。
そしてモットの高笑いと共に地下室の扉が開き、衛兵が二人現れる。
魔法という武器を失ったギーシュに、彼らに抵抗する術は既に無かった。







324 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:10:31 ID:KDBBvHkD
か〜な〜り、お久しぶりです。
投下よろしいでしょうか?

325 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:11:58 ID:KDBBvHkD
や、まだでしたか?
さあう"ぁんといろいろの人、乙ですよ。

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 05:12:05 ID:4Ya919sn
コンナ時間だけドどんとこい

327 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:18:22 ID:KDBBvHkD
使い魔は剣士カエル 第2話=サイトとカエル=

 ドモ。サイトです。永遠に17歳です(オイオイ)。
 アルヴィーズの食堂を出てすぐ、俺とルイズは声をかけられました。
「ミス・ヴァリエールですね。はじめまして」
 そいつはどこから見ても直立したカエルでした。
 サラマンダーの次はカエル人間か。つくづく異世界ファンタジーだなぁ。
「か、かかかカエルが私に何の用よ! ち、近寄らないでくれる!?」
 声がうわずってる。ルイズよ、カエルがそんなに恐いのか?
 ドラゴンとか欲しかった奴がカエル恐くてどうするんですか。
「う、うるさいわね。カエルだけは昔からダメなのよっ!」
 小声でルイズが返してくる。しかも俺の後ろに隠れて。
 ちょっとかわいいかも・・・ってこんな風に思ってるから流されてるんだよなぁ、俺。
「使い魔の彼に話がありまして、少しよろしいでしょうか?」
 俺? まぁ俺だよな。ああ、誰からも使い魔って認定されてるんだな。
 朝会ったキュルケってのもシエスタも、俺の事を使い魔って言ってたし、俺はこんな化け物と同類なのか・・・・・・。
「わ、わかったわ。サイト、後は任せたからっ!」
 逃げるように走っていくルイズ。あっという間に居なくなりました。
「聞いた通りカエルがダメらしいな」
 弱点発見。後で何かに利用しよう。待遇改善要求とか。


「ところで俺に何の用ですか? ええと・・・」
「カエルだ。主人からはロビンと呼ばれている」
 ロビンとカエル。まぁ普通に考えてロビンが名前ですよね。
 でもこの人まずカエルって名乗ったけど、何をもってまずカエルって言ったんだ?
 実はカエルって名前? この世界の標準的なカエルだから?(何て嫌な世界だ)
 とりあえずロビンさんって呼んでおけば問題ないか。
「俺はサイトです。平賀才人。よろしくお願いします、ロビンさん」
「まぁ立ち話も何だ。調理場に頼んでサンドイッチを作ってもらったから、そこで座って食わないか?」

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 05:18:47 ID:Cl76WpeZ
しえんだ!

329 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:19:25 ID:KDBBvHkD
 バスケットを顔の高さに持ち上げて見せてくれる。
 パンのいい匂いがして、そのまま腹がグーっと鳴ってしまった。
 ケロケロ鳴くロビンさん。笑っているの?
「え、ひょっとしてそのために呼び止めてくれたんですか?」
「まあな。あれじゃ足りないだろう?」
 ケロケロと鳴いてるのやら笑っているのやら、表情はよくわからない。
 でも、悪いカエルじゃないみたい。助かる。
 ベンチに腰掛けて、バスケットを開けて中身のサンドイッチを確認。
 きれいに並んだサンドイッチ。おう、素敵な君。もう離さないよ! もうサンドイッチしか見えねぇ。
 は? 目の前にカエル? 居ましたっけ、そんなの。


※しばらく会話が成立しなくなりました。


 ホレ、とばかりにコップを差し出してきた。
「牛乳でもあれば良かったんだけどな。この辺は飲み物と言えばワインらしい」
「いや、助かりました。実は昨日からまともに飯を食ってなくて・・・ってこの辺の人じゃないんですか?」
 意外な言葉だった。
 けど、よくよく考えて見れば、異世界にもそれなりに地方とか国境とか、お国柄ってものがあっても当然だよな。
「俺はガルディア王国から来た。ここみたいに魔法使いイコール貴族なんて制度が無い国だよ」
「はは、俺の居た世界と同じッスね」
 そもそも魔法使いが居ないんですけど! そう言ったら意外な反応が返ってきた。
「俺の国にも魔法使いは居なかったな。少なくとも人間は使わなくなっていた。
 俺が魔法を使えるのもAD600年から抜け出して教えてもらったからだしな」

 ・・・ADって西暦?

 まさかな、とは思ったけど、ちょっと気になる。
「俺は2008年からなんですけどね。ひょっとして同じ世界から来たのかな?」

330 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:20:59 ID:KDBBvHkD
 カマをかけてみる。
「ほう。それだと随分な未来から来た事になるな。ロボはどのくらいの事が出来るようになったんだろうな」
 普通にくらいついてきた。しかもロボの話題って、そんな古代からロボの概念ってあったの!?
「え、えと・・・普通に二足歩行が出来るようになりました。あと、会場案内する奴とか居ます」
「それはすごいな。大変なんだろう? 二足歩行って」
「え、ええ。て言うかどうしてそれが分かるんですか? 600年から来たんですよね?」
 もう既にその辺の概念ってあったの? アインシュタインだったか、アーノルドだったか忘れたけど、天才が居たとか?
「さっきAD600年から抜け出した、と言ったろう? ちょっとした事件があってな。2300年の未来にまで行った事があるし、逆に6500万年前の原始時代にも行った」
 これは予想外の答えだった。
 歴史に詳しくない俺でもわかる。タイムトラベラーが歴史に名前を残した事は無い。
 違う。言ってる事が異世界過ぎる!
「ひょっとしたら同じ世界の住人かもと思ったんだけど、違ったか」
 よく考えたら当然なんだけどな。俺の世界にこんなカエル人間は居ないし。
「いや、俺は元・人間だぞ? 呪いをかけられてカエルにされただけだ」
 魔法は無いのに呪いはあるの!?
「そうじゃない。人間は魔法を使わなくなったが、魔族は魔法を使うんだ」
 何か決定的になってきた。
「魔族かぁ。俺の居た世界にはそもそも異種族が存在しませんでしたよ」
「そうか。俺の居た世界には6500万年前には知性を持った恐竜が居たし、昔から異種族が居たな」
 これで始祖ブリミルが居たらこっちの世界と地続きの何処かって方向で確定かな。
「いや、俺の居た世界では12000年前に古代魔法王国が存在したが、別にそんなものは無かったな」
 魔法王国・・・・・・言葉だけで聞くとかっこいいけど、それって今俺が居る世界だよな。
 でも俺がちっともかっこよくないのは何故でしょう? 答えは使い魔だから! 魔法なんて関係ない平民だから!
 ・・・いや、じゃなくて。これはこれで異世界っぽいけど、ルイズの説明とかみ合わない。
「異世界人?」
「君もだろう?」
 あ、そうか。じゃなくて、ええと・・・何て呼べばいいの?
 脳内で『あ〜な〜た〜もサザエさん♪ 私もサザエさん〜♪』と歌が流れてきた。やべえ。
「それはそうと、サイトに提案がある」
 何でしょう?

331 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:22:52 ID:KDBBvHkD
「武器、要らないか? 見れば丸腰で異世界に来てしまって苦労しているようだしな」
 言ってる意味がわからないんだぜ。
「主人を守る盾にならないといけないんだろう?」
 無理ッスよ。武器を持ったら強くなるわけでもないし。
 いや、でも武器をもったら今よりマシになるのか?
「いきなり武器を持ったら強くなるって事は無いだろうが、防具も身に付ければかなり違うぞ」
 防具! 武器と防具は装備しなければ役に立ちませんよって偉い人が言ってる。俺の夢の中で。マジでやべえ。
 ああ、そうだ。俺はルイズを敵から守るために戦わないといけないんだ。
 きっとアイツはニートで、俺は現実と戦わないといけないんだよな? ・・・そんな訳無いか・・・
「お、俺はどんな敵と戦う事になるんですか?」
 怖い。ホント勘弁して下さい。
「さあ? 俺もこっちに来たばかりだからわからんが、他の使い魔を見た感じそんなに強いのは居ないみたいだからな。無理しなくてもいいんじゃないか?」
 そ、そうなんですか?
「ああ、フクロウとか、でっかいモグラとか・・・・・・」
 あ、弱そう。
「確か学院長の使い魔は小さなネズミだって話だ」
 良かった! これなら使い魔だからって理由でいきなりドラゴンと戦えとか、街でインネン付けてきたチンピラ相手にしろとか無理な事言われても断れる!
 何となく無理な命令をされる気がしたんだ。
 王国最強の騎士を倒せとか、体長30メートルのゴーレムが殴るけど何とかしろとか、7万の兵に剣1本で立ち向かえとか!
「そんな事は流石に言わないだろう。そもそも学生という身分で敵なんて居るのか?」
 ですよねー。
 でも、それじゃあ何故アナタは俺に武器と防具を渡そうと思っているのデスカ?
「俺が思うに、人間が使い魔になった場合、出来る事は秘薬の材料探しになると思う」
 でも俺秘薬の材料なんて何処で取ってくればいいのか知りませんよ?
「最初はそうかも知れない。でも、人間なら後から学習出来るだろう? 大抵の場所に問題なく出入りも可能だろうしな」
 ああ、そうかも知れませんね。
「そうなると護身用の装備が必要だろう? 外には野生の獣がいるだろうからな」
 なるほど。
「どうも先日は色々と言われていたみたいだが、この辺で見返してやれ。人間って奴の便利さでな」
 そうか。この人俺がルイズに役立たず呼ばわりされるのを聞いてたんだ。

332 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:23:57 ID:KDBBvHkD
 いきなり奴隷扱いを受けたと思いきや、あれも出来ないこれも出来ないで、かなり失望されたみたいだもんな。
 もっと役に立つ使い魔を呼ぶ決意をされる事だってあるかも・・・死ねと言う事か!?
 い、いや。まさかいきなり殺すとかは無いにしても、今より待遇が良くなる事は無いだろう。嫌過ぎる!
「ありがとうございます! ルイズに見せてやりますとも。人間の底力って奴をっ!!」
「そうか。頑張れよ」
「でも、秘薬の材料についてどうやって勉強すればいいですか? 俺、こっちの文字は読めないんですけど」
「その辺は俺に任せろ。多分、契約の関係で秘薬の材料について妙に詳しくなった。一緒に探しに行こう」
 あれやこれやとありがたい。
 それにしても、どうしてこんなに良くしてくれるんですか? 俺、普通の人間ですよ?
「普通の人間だから気になるんだ」
 どうして?
「俺も元・人間だが普通じゃない。他の使い魔も見た限り人間は居ない。そもそも人間が使い魔になる話は聞いた事も無いらしい」
 そうらしいですね。どうせなら俺もカエルだったら良かったのに。
 俺がカエル・・・カエルなら、カエルの方が上等・・・。
「おいおい、落ち込むな。よく考えて見ろ。これってすごい珍しい事なんじゃないか?」
 ・・・・・・はい?
「普通の人間はお前だけなんだぞ。世界で1人だけの使い魔って事じゃないのか?」
 それはそう・・・とも言えますか。
「しかも、使い魔は特別な力を授かる事もあると言うじゃないか」
 そんな話があるんですか?
「興味があるんだよ。お前は本当は何か特別な存在かもしれない。そんな気がしてるんだ」
 それは無い・・・・・・無いと思う。思うけど・・・嬉しい。
 そんな風に俺の事を買ってくれる人が居るなんて思いもしなかった・・・。
「俺と手を組まないか? 剣の出来る奴が居なきゃ話にならないだろ」
「はい・・・お願いしますっ!」

 遠くから爆発音が聞こえた。

「な、何だありゃ?」
「もう少ししたら分かるさ。だから・・・しばらくは放っておいてやれ」
「は、はあ・・・・・・そうなんですか?」
「サイト、お前も気の毒な奴かもしれんが、お前のご主人も気の毒な奴なんだぞ・・・・・・」
「何の話ですか?」
「・・・そのうち分かる」
「???」

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 05:25:55 ID:Cl76WpeZ
しえーん

334 :使い魔は剣士カエル:2008/04/19(土) 05:28:26 ID:KDBBvHkD
投下終了です。ご支援ありがとうございました。
久しぶりなのでみんなオイラの事忘れているかなと思っていたのですが、
不思議と話題に出てるので嬉しくて泣きましたぜ。
是非とも次も書かせて下さいまし。
それでは失礼しました。

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 08:23:05 ID:u6Se4J1n
ううおおお!!!
来た!
カエル来た!
すごくいい和みカエル来た!
いいぞロビン!
水魔法でサイトを癒せ!
魔王と一騎撃ちすらするその実力、見せてやれ!

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 08:24:03 ID:u6Se4J1n
ていうか、良く見たら明け方に続けて来ている!?
すげえ!

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 10:07:46 ID:qUYzKdaN
カエルの人、乙です!楽しみに待ってて良かったー!

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 10:41:40 ID:Ph3avBQ7
地球に生まれてよかったーーー!!!

339 :ゼロの武侠:2008/04/19(土) 10:52:02 ID:V+zMlGWs
55分から投下します。

340 :ゼロの武侠:2008/04/19(土) 10:55:44 ID:V+zMlGWs
例えるなら、それは獲物を定めた獣の気配。
万雷の歓声に紛れ、己が身を潜める確かな殺気。
気を緩めれば、瞬く間に静寂を打ち破り喉下を喰らわれる。
そんな感覚を覚えたワルドは静かに自分の杖へと手を掛けた。
誰にも悟られぬよう、されど一息で敵を迎え撃てる態勢を作り上げる。

自分の存在が伝わった事を確信して、梁師範は立ち去った。
その場に取り残されたのは状況を理解できなかったルイズのみ。
周囲を取り巻く生徒達もアンリエッタ姫以外に目はいっていない。
唯一人、違和感に気付けたのは興味なく手元の本に視線を落としていたタバサだけだった。


夜の帳が落ちる頃、再びワルド子爵はその場に現れた。
それは自身に恐怖を与えた存在を探る為に。
明らかに相手は自分を誘い出そうとしている。
だが、彼はあえてその挑発に乗った。
昼間のような状況で奇襲を受ける危険を考えれば、
多少の事があろうと敵の存在を計るべきだと判断したのだ。

「よう。待たせたな」

張り詰めた空気を放つワルドに親しげに話しかける声。
振り返った先にいたのは奇妙な服装をした見覚えの無い黒髪の平民。
しかし、薄暗闇の中から現れた男の視線にワルドは覚えがあった。
殺意を滾らせた獰猛な獣の眼。よもやそれがただの平民のものだったとは……。
手に掛けた杖から手を離し、彼は下らなそうに笑みを浮かべた。
その刹那、空気が弾けた音が周囲に響く。

「真面目にやれ。でなきゃ……死ぬぞ」

緊張が解けかけた直後、ワルドの前髪を揺らす風。
それは魔法ではなく、目の前の男が放った拳圧によるもの。
顔が確認できる距離とはいえ、互いの間は3メイルは離れている。
今の拳を、もし腕にでも受けていれば枯れ木でも折るように砕かれていた。
男の危険性を理解しワルドは再び杖に手を伸ばして引き抜いた。
メイジであろうとなかろうと眼前の敵の脅威に変わりはない。
その確信が彼から慢心を削ぎ落としトリステイン最強のメイジへと変える。


341 :ゼロの武侠:2008/04/19(土) 10:56:36 ID:V+zMlGWs
だが、そうではなくては困る。
ただワルドの命を狙うだけならば不意を突き、
未知の技術である剄を駆使して戦えば負ける事はないだろう。
梁が望んだのは互いの全力を尽くして戦う死闘。

「何故、僕を狙う? 恨みかそれとも誰かに雇われたのか?」

見た事のない構えを取る梁にワルドは問う。
魔法衛士隊の隊長となれば内外を問わず多くの人間から怨み妬まれる。
事実こうして暗殺者に命を狙われた事もあった。
しかし相手に杖を抜く時間を与える相手は初めてだ。
そして意図を理解できぬワルドに返された答えは意外な物だった。

「お前が強そうだったからだ」
「何を…?」
「相手が強いと知れば手合わせてしたくなる。
どちらが強いか確かめたくなる。全力を以って戦いたくなる。
……お前にあるだろう、そんな気持ちが」

それは決して消せない格闘家の性。
世界が変わろうと決して揺るがない。
ただひたすらに強さを追い求めて道を突き進む。
ワルドとてそれを笑い飛ばす事は出来ない。
かつて彼が憧れた貴族達も、そんな下らない理由で決闘に赴いた。
それは失われた過去の栄光の記憶。
だが、この男は尚もそれを守り貫き通しているのだ。
なんという純粋なる意思と覚悟だろうか。

「……もしも僕が応じなかったらどうするつもりだったんだ?」
「そうだな。その時はお姫様でも襲って無理矢理にでも引っ張り出すか」
「なるほど。となれば魔法衛士隊の隊長として放置しておく訳にもいかんな」

楽しげに冗談を交わした時間も一瞬。
殺気を纏わせて向かい合う両者に言葉は要らない。
あるとすれば、それは唯一つ。

「トリステイン王国グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド」
「西派白華拳最高師範、梁」

互いの名を心に刻み付けるかの如く名乗り合う。
これからの死闘を未来永劫忘れる事なきように、
たとえどちらかが倒れようともそれを誇りとする為に。

「参る!」

その言葉を発したのどちらだったのか、
あるいは両方だったのか、戦いの幕はその一言で開かれた。


342 :ゼロの武侠:2008/04/19(土) 10:58:05 ID:V+zMlGWs
神速の域に達しているであろう梁の踏み込みをワルドは迎え撃つ。
『閃光』の二つ名を持つ彼の戦い方は意外にも守勢にある。
相手の動きを見、その手を窺い、万全を期して彼は攻勢に打って出る。
迂闊に動けば実力の劣る敵にさえ倒される事があると熟知しているが故の戦法。
そして、何よりも彼には相手よりも遅れて発そうとも間に合う『速さ』がある。
相手の詠唱を見極め、それに先んじて魔法を完成させる。
それでは如何なるメイジでさえも敵う筈はない。
仕掛けた瞬間、己が何をされたかも分からずに打ち倒されるだろう。

しかし至近から放たれた寸打をワルドは驚愕と共に避けた。
切り返すべき隙などない。続け様に放たれる連打を辛うじて凌ぐ。
絶対の自信を持つ速度において同等あるいは凌駕する相手と杖を交えた事はない。
困惑を押し殺し、彼は梁師範を引き離そうと背後に跳躍した。
だが、それこそが梁師範の狙い。
着地と同時に避けようのない剄での一撃を放ち勝負を決める。
両手で印を結び、剄の呪文を口にする。

「煉精化気煉気化神…」

追撃をせずに足を止めた梁師範に違和感を感じつつも瞬時にワルドはルーンを紡ぐ。
先に完成したのはワルドのエア・ハンマー。
内気より剄を練り上げる動作は彼から見れば致命的な隙。
互いの立場は逆転し、未だに詠唱を続ける梁師範に空気の塊が襲い来る。
受ければ完全武装の兵士とて昏倒せしめる威力を秘めたそれと、
真っ向から梁師範の掌底が激突する。

「破ッ!」

破裂するような衝撃音と巻き起こる風。
自身の魔法が徒手で打ち砕かれた事実にワルドは凍りついた。
それも見えない筈の一撃をああも事も無げに…。
ワルドの疑念は確信へと変わった。
この平民は魔法ではない“何か”を有していると。


(危ねえ危ねえ……死ぬかと思った)

睨むのにも似た視線を浴びながら、悟られぬよう梁師範は動揺を隠し通す。
まさか先に魔法を打たれるなどとは思いもよらなかった。
そもそもルイズしか比較対象がいなかったのだから仕方ない。
見えない攻撃を受けれたのもライフルと対峙した時のように、
杖の先端と放たれるワルドの殺気から判断しただけだ。
運が悪ければ、ここで敗れていてもおかしくなかった。

呼吸を整えて梁師範は再び剄を練り上げる。
だが、それ今しがた放った打透剄ではない。
己が両手に剄を纏わせて武器と変える西派の基本。
魔法を詠唱させる隙を与えれば確実に敗北する。
互いの手を知らない者同士とはいえ引き出しの多さは恐らく向こうが上。
まるで中国でのペドロ達の戦いを真似るように彼はワルドの懐へと飛び込んだ。


343 :ゼロの武侠:2008/04/19(土) 10:59:04 ID:V+zMlGWs
引き離そうとするワルドと喰らいつく梁師範。
その合間に放たれる両者の攻撃は互いに必殺。
ワルドのエア・ニードルが拳法着を掠めれば、梁師範の手刀が羽帽子に切れ目を入れる。
返しで見舞われた蹴りを避けながらワルドは舌打ちした。
分が悪い。相手が両手足使えるのに対して、こちらは杖一本。
それ以外の部位で受けようとすれば容易く切り落とされるだろう。
気迫の込められた一撃を前に、防衛本能がそう告げていた。

魔法を使わせぬ為、杖を狙ってきているのは分かっている。
だからこそ、今まで一撃もマトモに受けずに済んでいるのだ。
このままでは持久戦……体力勝負ともなればどちらに転ぶかは分からない。

平民相手に負けたとなれば自身の名誉は傷付くだろう。
何よりもワルドは確実に勝つ事を是としている。
一か八かの勝負に全てを賭けるつもりは毛頭ない。
だからこそ彼は必勝の手に打って出た。
エア・ニードルを解き、彼が唱えたのはフライ。
旋風脚を放った梁師範の頭上を飛び越えて、彼は寮塔の上へと降り立った。

「悪いがこれで勝負を決めさせて貰う」

詠唱するのは彼の持つ魔法の中でも高い殺傷力を持つライトニング・クラウド。
放たれた雷雲は如何なる強者であろうとも避け難い。
ここは決して拳足の届かぬ場所。
仮に駆け上がって来れたとしても魔法の完成には間に合わない。
故に、絶対の安全地帯とワルドはそう思っていた。

しかし、彼は知らない。
梁師範が手足に纏わせていた剄を放てる事を、
フライで頭上へと逃れた直後から彼が呪文を唱えていたのを、
そして今ワルドがいる場所は彼にとっても絶好の距離だという事実を。

「三華聚頂天花乱墜…」

組まれた印を中心に、体を巡る膨大な内気が剄へと変化し収束していく。
西派の中でも知る者は限られている究極の奥義。
剄を破壊力に変えるという一点においてこの技を超える物はない。
一度放てば体力を消耗し立ち上がる事さえままならぬ諸刃の剣。
故に必殺必倒。この技が放たれたのならば、そこには勝利か敗北しかない。

ワルドの眼が驚愕に見開く。
足元で構える男の両の掌が太陽の如き眩き光を放つ。
それこそが魔法ではない“何か”の正体だと彼が確信した直後。

「百歩…神拳ッ!!」

眼下より放たれた一条の光がワルドもろとも寮塔を貫く。
その刹那。寮内に響き渡った轟音が寝入っていた生徒達に危急を報せた。


344 :ゼロの武侠:2008/04/19(土) 10:59:35 ID:V+zMlGWs
以上、投下終了です。

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 11:39:15 ID:uTAx7cvj
この肉のぶつかり合い!
お見事でござった!

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 12:18:09 ID:xmIhz8fO
ボルト・クランクがルイズに召還されました

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 12:29:37 ID:KJMkJwXx
俺は冒険屋だ、使い魔じゃない
報酬は一億リドだ

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 12:33:00 ID:pS9KZdMW
>>346
正体はあの世界の創造神だっけ?

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 12:39:40 ID:urY1nVu+
梁師範、強い!
お疲れ様でした!

そして和みカエルの方、次も期待してます!


350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 13:00:12 ID:KwyYUN/W
乙です。
梁師範は気を操れるとはいえぎりぎり人間の範囲内の強さだから戦いに緊張感があっていいなぁ。

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 13:10:16 ID:tx2fU3Nh
和む、といえば…『動物のおしゃべり』からナチュラルボーン・ヴィンダールヴな5歳児、ミカちゃん召喚。
彼女の目にはフレイムやヴェルダンデはどう映るんだろうか。
『ヒントでみんと!』からみんとを召喚しても面白いかもしれない。不完全なヒントが与えられる程度の能力を持った小学生。

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 13:16:01 ID:MeamUjYL
タバサの元に、きゅいきゅいの代わりに
某化粧品会社関連企業所有のガルフストリームG550を召喚。

何故か背景で流れるLearn To Fly/Foo Fighters。
何故かパイロットの制服で現れるタバサ。しかも無駄に颯爽と。
コックピットの左席でサムズアップしながら
タ「Let's go!!」
才「ノエ○アのCMだ…」

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 14:24:13 ID:NArbEsfu
>>351
あー、ミカちゃんいいな。
バトルシーンのない、ほのぼのとした作品になりそう。


354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 14:25:23 ID:c5SbO/cI
「国立!トリステイン女子魔法学院」

後白河法行です。両親が死んで遠縁の家に引き取られる事になったんですけど、銀色の鏡が現れて、異世界の女子校に来ちゃいました。
男子は俺一人? しかも桃色髪の女の子がいきなりキスしてきて使い魔になれとか迫ってくるし、褐色の肌の女の子には誘惑されるし、ギーシェとかいうレズの女の子には決闘を迫られるし。
何か面倒な事になっちまったなぁ。どうする俺?

佐藤ケイの三十三間堂学院から、後白河法行を召喚してくれる奴はいないか?
もちろん、全ゼロ魔キャラは女の子設定で。

ごめん、毒の話題をこっちに持ってきてはいけないとはわかっているが、我慢が効かなかった。

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 14:30:45 ID:Aa/luQPu
>>145
ネバーランドシリーズからゼロスとナイヅとヒロを呼ぶような感じ?

問題無いんじゃない?
この場合の場合はせっかく丸くなって好中年になったナイヅが再び捻くれる可能性があることだが…

>>156
兄貴とかうみにん?



356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 14:58:19 ID:kmwKKRl3
>>354
別に荒れネタでなければ持ってきてもいいぞ
問題なのは、わざわざ隔離された場所である毒吐きで言ってる文句を
本スレに持ち込む荒らし行為だ。

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 15:10:47 ID:ZRLapHcX
>>354
んーとさ、

>もちろん、全ゼロ魔キャラは女の子設定で。

この改変はイラネって言うかぶっちゃけゼロ魔でやる必要性自体がないだろ。
小ネタとかならまあ別にいいかなとは思うが。


358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 15:26:05 ID:Y02hruzV
>>354
ジャンヌ・ジャクリーヌ・フランシス・ド・ワルドお姉さまですね、分かります。

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 15:28:48 ID:xmIhz8fO
黒歴史SSを量産しているナデシコから天河アキトを召還

「はいよ、テンカワチャーハソ一丁」

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 15:40:31 ID:eFPPM3za
女体化ネタなんて毒吐きの垂れ流しと同じくらいに糞。
持ち込むな。

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 16:02:56 ID:Yoad6JDK
>>359
本編第一話でボソンジャンプする前にアイちゃんと一緒に召喚された後
使い魔を兼ねつつ学院の食堂で働く話なら考えたことはある
ナデシコ世界ではナデシコが完成するのに時間が掛かって戦争が長引くけど
あの二人が本編より幸せならどうでもいいのさ俺w

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 16:03:41 ID:WcJfEkfu
ルイズが映画ジュマンジに出てくるゲームボードを召喚するSS考えているが、、、、なかなかむずいな

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 16:06:18 ID:/i+02kTR
>>354
せめて娘溺泉の水でも召喚されてその場に居合わせたやつらがぶっかかるとかにしろや

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 16:11:54 ID:S/fGWBJd
>>362
あのシューズ工場で働いていた黒人警官の勇姿は忘れない。

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 16:56:22 ID:m8qSQhwz
東方からHを召喚

頭が悪すぎて使い魔が何なのかわからないという出オチになりそう

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 16:57:42 ID:S/fGWBJd
>>365
案外チルノなら書き手次第でいい作品が出来そうだな。

ところがどっこい!小ネタでもう召喚されています!

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:06:04 ID:Z4rZ0tLz
中世ヨーロッパからの召還って以外に無いな。

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:10:04 ID:eFPPM3za
そら”中世ヨーロッパ”っぽい世界からの召喚ならともかく、
中世ヨーロッパからの召喚じゃ実在した人物になるじゃんか。

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:15:26 ID:Y02hruzV
>>368
実在の人物でもアニメやドラマになってればいいんじゃない?
中世じゃないけど、アニメ三銃士からダルタニャン召喚とか。

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:30:51 ID:PQ2Ywapx
ダルタニアンってポジション的にはアニエスと同じぐらい?

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:34:44 ID:xmIhz8fO
錬金出来ても鋳鉄並の品質のものしかオーダーメイド出来ないのは
固定化の魔法があるせいで技術の発達が阻害されているからなんだろうな・・・

そもそもあの世界に労働基準法というのが無さそうだから
共和制になったとしても平民には全く関係の無い話だな


372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:38:47 ID:aO/y3fMY
>370
銃士隊の「隊員」だからアニエスより下だろ
サイトとは同じくらいか
同ポジなのはトレヴィル隊長だな

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:48:02 ID:VMuwqoYn
スレイヤーズ新作でるらしいけどルイズに召還されねえなあ
リナとか召還したらまあ使い魔やらねーか

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 17:58:58 ID:yK/dvcmZ
>>370
ダルタニアンと聞いて「金色のガッシュ」の変態大学教授を思い出した

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:18:23 ID:S/fGWBJd


376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:19:54 ID:KJMkJwXx
>中世ヨーロッパからの召還って以外に無いな。
「ノートルダムの鐘」からカジモド召還とかどうだろう

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:20:43 ID:aO/y3fMY
いっそジル・ド・レーを

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:25:44 ID:2hPpG49+
ヴィットーリオにムツゴロウ(畑正憲)召喚させるような、物好きはいないのかな?

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:26:29 ID:m8qSQhwz
>>377
その人は別スレの管轄に入る気がせんでもない

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:28:11 ID:Y02hruzV
「アーサー王の死」からガラハッド卿を召喚。
タルブにあるのが聖杯で、卿はタルブの戦いが終わったあたりで
聖杯を奉じて元の世界に帰っていく、とか。

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:28:48 ID:Y02hruzV
>>378
アズーロに指を噛み千切られるんですね、分かります。

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:29:54 ID:qvpEVU9h
>>367
修道士カドフェルはどうだろう。

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:31:26 ID:KJMkJwXx
エイジオブエンパイアを召還
なんの損得もなく自分の命に従って死ぬ平民と軍隊を手に入れるルイズ
原住民と交易したり同盟組んだりするルイズ
貴族と平民の板ばさみになりまくるルイズ
7万の軍勢に自らの兵を率いて戦争を仕掛けるルイズ

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:33:31 ID:RLYqf7bL
>>373
なんやかんやで仲良くはなりそうだけどな。
キャラ的にはゼロス召喚でも面白いと思うけど。

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:38:04 ID:ZRLapHcX
>>378
実在、しかも存命の人物は色々面倒の元になりかねないからなぁ。


386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:38:07 ID:WcJfEkfu
ゼロスよりあの金髪の竜の方が、、、、名前忘れた

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:41:27 ID:KRJ/0ddY
原作のミルさん?アニメのフィリア?

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:41:52 ID:Y02hruzV
>>385
「ムツゴロウが征く」から召喚したという建前で。

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:45:50 ID:pS9KZdMW
>>388
それでも止めておけ。

どうしてもやりたいのなら避難所にしとけ。

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:46:53 ID:iyXdxWC9
>>389に言われんでも分かっているだろ。
ネタをネタと(ry

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 18:53:29 ID:aO/y3fMY
>386
L様召喚

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:00:48 ID:xmIhz8fO
重金属を錬金出来るのは高レベル土メイジだという仮説が正しいとするとアルミニウムを使うだけでもアドバンテージになるな
ちょうどサイトが財布に一円玉を入れていたら同じのを錬金して貰えばいいだろうし
ノートパソコンには各種金属が使われているから
マグネシウムとアルミは錬金出来るだろう
ニッケルは500円硬貨に含まれているし
高校生なら腕時計くらいしていると思われるから
チタンも錬金出来るんじゃ無いの

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:02:45 ID:2yybYxmU
おおおカエルだ!
更新乙様です、頑張ってください><

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:26:31 ID:c5SbO/cI
スレイヤーズのキャラは扱いにくい。

短編のキャラなら小ネタにしかならないけど、
高笑いする人外乳や、刃物キチのねーちゃんとか
動物を売り払って金稼ぐ動物使いとか、最強の良家の奥様とかいいキャラいるんだけどな。

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:31:26 ID:Y02hruzV
>>394
>高笑いする人外乳
テファが召喚して、自分の胸が異常と疑わなくなる展開を。
結果的には皆幸せになれるはず(テファの胸に触らないことになるだろう才人も含めて)。

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:32:30 ID:KRJ/0ddY
>>394
メインキャラはほぼデフォで強力な魔法が使えるし、生活力も旺盛だしなあ。
逆にスレイヤーズ世界(願わくばすぺしゃる方面)に召喚事故起こしたルイズ達が飛ばされるって方がまだやり易いかも。スレの趣旨からは外れるけど。

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:41:11 ID:AL5pfBqb
強力な魔法のほとんどは黒魔法だからハルケじゃ使えないだろう
問題はそこじゃなくてどのキャラもルイズに従わなさそうなところ
ガウリィならどうにかなるかも?w

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:42:08 ID:Aa/luQPu
>>386
大蛇丸?

気さくで女好きでばくち好きな永遠の青年だったっけ?


時間は一杯有るから引き受けてくれそうではある
他の女の子を口説きながら戦闘もこなしてくれるね。


399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:44:44 ID:Y02hruzV
>>396
> 逆にスレイヤーズ世界(願わくばすぺしゃる方面)に
> 召喚事故起こしたルイズ達が飛ばされるって方がまだやり易いかも。
> スレの趣旨からは外れるけど。
時々思うんだけど、「ゼロ魔IF総合スレ」みたいなのを立てたら
需要とか供給とか(主に作家さん的な意味で)あるかな。
逆召喚や多キャラ召喚などのクロスオーバー全般を扱うようなのとか、
才人を召喚したのがルイズ以外だったら、みたいなのとか。

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:49:40 ID:KRJ/0ddY
>>399
避難所の投下スレじゃダメなのかな?
ゼロ魔だけで完結するifモノだというならどうだか分からないけど。

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:50:14 ID:s8GibiqU
このスレは必ずルイズに召喚されなければいけないから
テンプレイベントをこなすだけのSSしかないしな

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:51:58 ID:FjF3spVF
8時ごろに投下してもよろしいでしょうか?
クロス元はSFCゲーム「LIVE A LIVE 」
魔王オディオ召喚で書いてみました。

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:52:35 ID:nBmLL/eZ
sien

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:53:20 ID:wn4JQG0d
中世ヨーロッパならやっぱりジャンヌ・ダルクじゃね

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:54:31 ID:Z07VuUR9
sageてね

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:54:57 ID:Ph3avBQ7
下らないルールを押し付けるみたいで嫌だけど

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 19:55:26 ID:S/fGWBJd
おk、ドンと来い支援

408 :ZERO A EVIL:2008/04/19(土) 20:00:23 ID:FjF3spVF
魔法が存在し、それを使える貴族と使えない平民という二種類の人間が住む世界ハルケギニア。
そこに貴族でありながら魔法が使えない少女がいた。
少女の母親は「烈風カリン」と呼ばれた凄腕のメイジであり、二人の姉も優秀である。
なのに少女だけが魔法を使えない。
優秀な家族の中で自分だけが劣っているという事実は、幼い少女の心を傷つけていった。
また、少女が名門公爵家の三女という事も災いした。
地位が高ければ高いほど、人の妬みや中傷を受けやすい。
魔法が使えない少女の存在は格好の的だった。
他の貴族だけならまだしも、魔法が使えない平民にさえ少女は陰口を叩かれていた。
それでも、公爵家の領内にいたころはまだ良かった。
少女には、いつも優しくしてくれたすぐ上の姉がいたし、遊び相手を勤めた姫様の存在もあった。
そしてなにより、少女の心の支えとなったのは許婚でもあった憧れの子爵様。
子爵様に無様な姿は見せられないと少女は努力していたし、魔法が使えなくても常に前向きに進んでいく事ができた。
だが、少女がトリステイン魔法学院の生徒になり、学院の女子寮で暮らすようになってしまえば、もう少女の心を守ってくれる者はいない。
学院での少女は魔法が使えないという理由で馬鹿にされ続け、親しい友人もできなかった。
教師達の多くも魔法が使えない少女を見捨てた。
それでも少女は、何か一つでも魔法が使えるようにと授業も人一倍熱心に受け、夜に一人で魔法の練習も行っていた。
誰よりも努力していた少女だったが、結果はいつも同じ。
失敗して爆発するのみであった。
少女の魔法は失敗すると爆発する。このことが他の生徒達との溝を深めていく。
授業では失敗魔法で教室を滅茶苦茶にし、夜には爆発を起こし睡眠を妨害する。
少女の努力は何一つ報われる事はなく、少女への誹謗中傷となって返ってきた。
そして少女に二つ名が付けられる。
少女が魔法を使えない事を如実に現し、侮辱する呪いの言葉。
『ゼロのルイズ』と。
このころからある感情がルイズの心の中で大きくなっていく。
人間ならば誰もが持っている感情だが、大きくする事によって争いを生むもの。
その感情の名を『憎しみ』という。

409 :ZERO A EVIL:2008/04/19(土) 20:01:49 ID:FjF3spVF
そしてルイズは使い魔召喚儀式の日を迎える。
召喚された使い魔はメイジにとって生涯のパートナーになるものであり、そのメイジに相応しいものが召喚される。
ジャイアントモール、カエル、ヘビ、フクロウ、バグベアー、スキュア……
様々な使い魔が召喚される中、最後にルイズの順番がやってきた。
が、やはりうまくいかずに失敗し、爆発を起こすばかりであった。
他の生徒達から、いつものようにルイズをからかい、馬鹿にする言葉が発せられる。
「あと何回爆発起こせば気が済むんだよ!」
「ルイズの呼び掛けに応えてくれる生き物なんていないってことなんじゃない?」
「とっととあきらめて実家に帰ればいいのに…」
侮辱の言葉を受け、ルイズの心が生徒達への憎しみで溢れていく。
そして、あの言葉が発せられる。ルイズにとって呪詛にも近いあの言葉が。

「やっぱり無理なんだよ!ゼロのルイズには!」

憎かった。
自分の苦労を何も知らず馬鹿にし続ける生徒達と自分を見捨てた教師達が。

(みんな嫌い、嫌い、嫌い、大ッ嫌い!)

口から憎しみの言葉が溢れそうになるのを誤魔化すように、ルイズはやけくそ気味に杖を振る。
そして一際大きな爆発が起こった後にそれは現れた。

それは大きな騎士の石像だった。
まだ完成してないのか足の部分は岩の塊のままである。
立派な鎧と兜を身に付けているが、顔の部分は兜に覆われておりよく見えない。
動く気配はなく、どうやら未完成のようだ。

生徒達は最初こそ、ルイズがゴーレムを召喚したと思いしばらく静観していた。
だが、未完成な唯の石像だとわかると口々にルイズを馬鹿にし始めた。
「なんだ、動きもしない作りかけのゴーレムじゃん」
「外見だけが立派なところはゼロのルイズにぴったりだな」
「あはは、言えてる〜」
いつものように生徒達に馬鹿にされるルイズだが、そんな事はまったく気にならなかった。
気になるのは自分が召喚したこの石像である。
確かに未完成だが、完成している部分は見事な騎士の像を形作っている。
もしこの石像が完成しているゴーレムであったなら、自分を襲う様々な困難から守ってくれる存在になったであろう。
このまま何も召喚できなければ、ますます馬鹿にされて惨めな思いをするところだったので、すでに自分を救ってくれたとも思える。

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:02:07 ID:2JSvba6e
LAL過去に投げられてるっぽいし
是非頑張って続けて欲しいぜ

411 :ZERO A EVIL:2008/04/19(土) 20:03:30 ID:FjF3spVF
「皆さんお静かに!」
使い魔召喚儀式の監督をしていた教師のコルベールが騒いでいた生徒達を注意する。
「ではミス・ヴァリエール。続いてコントラクト・サーヴァントを」
ルイズが召喚のやり直しを要求してくると思っていたコルベールだったが、意外にもルイズは文句一つ言わずに落ち着いている。
ゴーレムですらない唯の石像など、使い魔にするには問題があるように思える。
が、本人が納得しているのならばとルイズに契約を促すことにした。
石像の兜はたいぶ高い位置にあるため、コルベールはレビテーションでルイズを兜のあたりに浮かせる。
ルイズはぽっかりと開いている兜の隙間を覗き込んでみるが、そこに有るべき顔はなく、ただ真暗な空間が広がっているのみであった。
仕方がないので兜に口付けすることにし、コントラクト・サーヴァントの呪文を唱えた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そして、兜の口に近い部分に口付けする。

「え!?」
口付けした瞬間、石像の兜の隙間から二つの目が怪しく光を放つ。
そして、ルイズの脳裏に様々な者達の姿が映し出された。

鋭い牙と長い尻尾を持ち獰猛な目をした翼の無いドラゴン。
頭に2本の角を生やした恐ろしい表情の顔だけの悪魔。
鍛えられた肉体を持つ上半身裸で坊主頭の長身の男。
大きな筒状の杖のような物を持つ大男。
紫の髪を逆立てた武道家風の男。
ヘビを首の部分に巻き付け服を着た巨大な醜いカエル。
背中に6枚の羽を持ち鳥の顔と手足をしているゴーレム。

そして、全てに裏切られ絶望したかのような暗い瞳を持つ金髪の青年。

突然の出来事にルイズは戸惑うが、それらは一瞬で消えてしまった。
再び石像の兜を覗き込んでみるが、やはり暗闇しか見えない。
「何?今の……くうっ!」
困惑していたルイズだが、急に体が熱を持ったかと思うと、左手の甲に焼けるような激痛が走った。
様子がおかしいルイズを心配したコルベールが慌ててルイズを地面に降ろす。

412 :ZERO A EVIL:2008/04/19(土) 20:04:46 ID:FjF3spVF
「ミス・ヴァリエール!大丈夫ですか!」
コルベールは急いでルイズに駆け寄る。
最初は苦悶の表情を浮かべていたルイズだが、徐々に落ち着いてきたようだ。
ルイズは恐る恐る激痛が走った左手を見てみると、甲の部分にルーン文字が浮かび上がっているのに気付いた。
「ななな、何で?」
「これは一体?」
普通は使い魔に刻まれるはずのルーンが、何故か召喚者であるルイズに刻まれている。
こんな事は前代未聞であり、コルベールもどう対応すればよいのかわからない。
とりあえずルイズに刻まれたルーンを見てみるが、普通のルーン文字と違いあまり見た事がない。
調べてみる必要があると思い、持っていた紙に書き記した。
続いて石像の方を調べてみたが、動く様子もなく何も変化はないようだった。

異変に気付いたのか、遠巻きに眺めていた生徒達が騒ぎ始めた。
「何かあったのかな?」
「ルイズのことだから、きっとコントラクト・サーヴァントに失敗したんだよ」
「拒否でもされたんじゃないの、作りかけのゴーレムに…ぷっくくくっ」
ルイズにルーンが刻まれているなど知りもしない生徒達は、ルイズがまた魔法に失敗したと思っているようだ。
中には笑っている者もいる。

「お静かに!皆さんは早く教室に戻りなさい!」
コルベールは騒ぎ始めた生徒達に指示を出す。
一刻も早く学院長にこの事を報告しなければならない。
「ミス・ヴァリエール、私は先に学院長に報告しに行きます。後で学院長室に呼びますので、しばらく待っていてください」
そう言うとコルベールはフライの魔法で学院に戻っていった。
生徒達もルイズを残してフライで学院に戻るようだ。
「じゃーな!がんばって歩いて帰ってこいよルイズ」
「フライもレビテーションも使えないなんてかわいそ〜…くくくっ」
「その使い魔、ゼロのあなたにお似合いよ」

去り際にルイズを馬鹿にして帰って行く生徒達。
突然の事態に混乱していたルイズだが、馬鹿にされた事で悔しさに唇を噛み、両手を強く握り締める。
心に浮かぶのはあの感情。
憎しみであった。

その時、ルイズの左手のルーンが僅かに光を放っていることに気付いた者は誰もいなかった。

413 :ZERO A EVIL:2008/04/19(土) 20:05:59 ID:FjF3spVF
短いですが、以上で投下終了です。
支援してくださった方、ありがとうございます。
LIVE A LIVEのゲームで真の魔王というのは人間の憎しみだと私は思うんですよ。
オルステッドもいろいろあって魔王になっちゃった訳だし。

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:10:15 ID:Yoad6JDK
投下乙です
ガンダじゃなくて記すのも憚られるほうが良かったような気も……

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:13:15 ID:2hPpG49+
乙です。
悪堕ちに期待。

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:16:17 ID:VMuwqoYn
恐竜とか宇宙船のコンピューターとか
憎しみとは関係無い気がするのもいるけど
基本負け組の憎しみみたいな物だから
初期ルイズならオディオになれそうだ

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:17:00 ID:KRJ/0ddY
雰囲気がおっかないなあ、それだけにどう展開するか気になる。

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:28:00 ID:7FvGEv52
>>380
アーサー王つながりなら、ダブルクロスリプレイヴァリアントから、
平安京の鬼・嵯峨童子こと円卓騎士サー・ガウェイン(の亡霊)はどうだ!
時間を超え、空間を超え、聖杯を求め続ける遍歴の騎士。
見た目はがらんどうのプレートアーマー。
実は現代でパワードスーツ+リアクティブアーマーに換装済み。
その内に愛用の聖剣をレーザーチェンソーに未来で換装予定。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:29:36 ID:7FvGEv52
>>392
あの辺は錬金学的に見て、貴金属と卑金属の違いじゃないかね?
鉛を低レベルで作れるかどうかわかればはっきりするんだけど。
魔法を科学から判断するのは限界があるさ。

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:31:27 ID:qnZQiXyO
LIVE A LIVE乙

セントアンリエッタやりそうだ……w

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:32:05 ID:O6pDnUpY
荒野に獣慟哭すのキャラで一本書きたいが 残念ながらオレには文才が無い
誰か書かない?

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:32:49 ID:7FvGEv52
>>397
でも、異世界の魔法をTRYで普通に使ってたよ?TV準拠なら大丈夫じゃない?
原作だと最終巻で異世界に近い異空間でないと、異世界の魔王の呪文は使えない的なことを
言ってたから微妙だけど。

>>398
スレイヤーズのキャラじゃないだろ、それ。天外魔境か?

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:34:59 ID:TLucYkVT
天外魔境からは召喚ありそうなのになかった?

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:38:32 ID:VMuwqoYn
一日寝ればどんな傷も治る火の一族はやばい

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:40:19 ID:IvyiFnO1
LIVE A LIVEの人、乙でしたー!

そういえば随分前に同作品から召喚された人がいましたよね。
そちらの方は長いこと更新されていませんが(汗)

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:40:25 ID:mKivhJBx
遅レスですが原作版キカイダー乙でした
ジェミニ(良心回路)、イエッサー(服従回路)のせめぎ合いの不安定な精神状態にどうプログラム・ガンダールブがからんでくるか楽しみっす

>ジロー脳内
ジェ「だめだよ!人間を傷つけるなんていけないことだよっ!」
イ「うるせえなっ!邪魔するやつは全部ぶっ壊しちまえばいいんだよっ!」
ガ「あ〜〜〜、とりあえずルイズはんさえ守ってもらえればうちはどうでもええんやが…」
賛成 1
反対 1
条件付賛成 1

民主共和制でいいじゃないか

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:42:52 ID:Zbcs9i2/
>>426
何故にガンダ関西弁w

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:45:16 ID:YTM7BRTx
中の人つながりでコスモス荘のエーデルワイスを呼んでも良いかもなぁ。
ウィークポイントの粘土細工はギーシュに造形を習うってことで。

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:46:24 ID:r3eRRjt+
>リナ・インバース
ドラスレは使えるんだよね……設定上。


430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:48:12 ID:t7dK/n7X
歴史上実在の人物ながら、経歴に謎の多い柳生十兵衛や荒木又右衛門(表向き病死という
ことになっているが、実は藩の密命で隠密となるための隠れ蓑との説も古来高い)など
も召喚の候補になりうるかも。

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:49:58 ID:VMuwqoYn
黒魔術は魔族の力借りて使うもんだから
異世界でも魔力の通り道でもありゃ使える

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:53:27 ID:IvyiFnO1
虚無=L様と考えればギガスレイブとラグナブレードなら使えるだろーなと思案。

…デモンブラッド無くなった原作終了後じゃ、ラグナブレード使えないか。

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:55:19 ID:Ba+DsKdH
あのう。
異世界の魔王を力の源にした魔法をリナは普通に使っていたような?
ですから、黒魔法なら問題なく使えるのではないかと。

最終巻で言及されたのは、異世界に近いから強力な未完成の魔法を
使えてしまう、という点だったかと。

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:55:21 ID:pS9KZdMW
そういえばナーガに影響されて性格変わったらしいエルフがいたな。

テファに会わせればきっと彼女も前向きにな性格になってくれるでしょう。


435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 20:58:37 ID:7FvGEv52
>>429
リナの中に部下Sがいるかどうかは確定してないぞ?
オリジナル要素として使うんなら、原作ファンに叩かれるのを覚悟しておいたほうがいいな。

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:00:00 ID:Yoad6JDK
>>426
これがMAGIの原型かw

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:05:18 ID:RnNzxowH
おいっす
久々にキートン投下していい?

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:05:44 ID:pS9KZdMW
お久しぶりッス

支援

439 :ゼロのMASTER 14 1/7:2008/04/19(土) 21:06:18 ID:RnNzxowH
ヴァリエールの屋敷に入る二人であったが、屋敷の内装もまた美しいものだった。整列していた使用人達が一斉に迎える。
「…予想以上に凄いね」
当然でしょ、と胸を張るルイズ。ふと、キートンが前を見ると、階段の踊り場に金髪の女性が立っている。
凛とした感じの女性である。ルイズの身内であろうか?
それならば、これから暖かく彼女を迎えるのだろう……と思ったのであるが、どうやらそういったものではないらしい。
正確には、"仁王立ち"と言っても良い感じである。何故ならば、その女性は腕組みをしたまま、キートンらを睨んでいるのだから。
「あー、ああ、うん。…お姉さん?」
ルイズの耳元で囁くと、俯いたまま無言で頷く。先ほどの元気に胸を張っていた時とは打って変わり、完全に意気消沈といったところか。
恐らく、これから自分に降りかかるであろう災難を予想しているのだろう。

──そのとき、キートンは己の背後から迫る人の気配を覚る。貴族の屋敷の中であるにもかかわらず、襲い掛かってくるつもりらしい。
すかさず、キートンは自分に向かって来た気配の主の腕を取り、地面に引き倒した。
腕を極めたのもあり、その気配の主は悲鳴を上げたのだが……。

「あ、あだだだだ!馬鹿者、何をする!放さんか!」
「父さま!」 「お父さま!!」
ルイズと金髪の女性が同時に叫ぶ。…どうやら、自分はとんでもないことをしでかしたらしい。
組み敷かれている男はずうっとキートンを睨んでおり、使用人達といえば、殺気満ちた表情で自分をぐるりと囲んでいる。
はたして、僕は生きて帰れるのだろうか…。
組み敷いたまま、キートンは俯いた。

「まあ、今回の所は特別に不問ということにしておこう。特別にな」
やや白が混じったブロンドの髪、立派な髭、豪華な衣装に身を包んだ、ルイズの父──ラ・ヴァリエール公爵が威厳に満ちた表情をしながら語る。
食堂の間にて夕食を摂っているのはラ・ヴァリエール公爵、ルイズの母であるカリーヌ・デジレ、長女エレオノール、次女カトレア、そしてルイズとキートンであった。
先ほどの一件もあり、非常に気まずい。
ルイズに向かって、「挨拶の接吻をしてくれ」などと言っているときは多少の笑顔こそ見せてはいたが、それぐらいのものである。
食事の量も、キートンの分だけあからさまに少ないのがわかる。


440 :ゼロのMASTER 14 2/7:2008/04/19(土) 21:07:10 ID:RnNzxowH
先ほどは、娘に声をかけようと思い、忍び寄っただけだ――
公爵自身はそう説明するが、
(その割には、妙に殺気立っていたような気が…)
「何か言ったか?」
「いえ!」

公爵はごほん、と咳払いをする。
「大体の話は娘から聞いておる。使い魔としてそれなりに主の為に貢献してはいるようだな」
「ありがとうございます」
とりあえず、キートンは相槌を打つ。
というよりも、この場合、相手に合わせなければどうなるのかは目に見えている。
そういった場の流れを変えようとしてか、ルイズが口を挟んだ。

「あの、父さま。領内は落ち着いていますか?」
「うん?なんだ、ルイズ。前に帰ってきたときも、同じことを尋ねたではないか。…まあ、今の所は平穏だな。国境の向こうの連中もちょっかいは仕掛けて来ん。ただ…」
「ただ?」
「あの忌々しいアルビオンの方が気がかりといえば気がかりか。陛下も気にしておられるようだし、五月蝿い枢機卿も軍の再編成について口出しをして来ておる」
ヴァリエール家の当主であるヴァリエール公爵は既に軍務から退いている身ではあるが、領内の豊かな物資、兵員の動員などを目当てに軍への再復帰を願う声が宮廷内には多い。
しかし、当の公爵自身は軍への復帰は勿論のこと、娘達を戦に参加させる気は毛頭無い。

「食事中ぐらい、そういった話は後にして下さい」
カリーヌがそう言うと、公爵は黙り込む。再び、気まずい空気が流れる。ルイズにとっては場の雰囲気を変えるつもりが、藪蛇だったようだ。
(父さまったら、以前にも増してお悩みみたい。それにしても…)
『陛下』という言葉を聞き、ルイズは考え込む。トリステイン王国王女である、アンリエッタ・ド・トリステインはルイズの幼馴染ということもあり、彼女が大いに悩んでいるであろうことは容易に想像できる。
アルビオンが不穏な動きをしているというのも、その悩みの種の一つであろう。

夕食が終わり、それぞれの部屋に戻る…と、思いきや、なぜかキートンだけが公爵の私室へと呼ばれることとなった。
どうやら、二人だけで話したいことがあるらしい。
「なんだろうなぁ…」
公爵の私室の椅子に座らされたキートンが一人呟く。肝心の公爵自身はいまだに現れず、キートンのみが部屋で待機している状況だ。
ジェロームという名の執事に連れてこられたのは良いが、なんとも言えない緊迫感が漂う。
外はすっかり暗くなっており、ランプの灯がゆらゆらと揺れている。


441 :ゼロのMASTER 14 3/7:2008/04/19(土) 21:08:08 ID:RnNzxowH
「待たせたな」
そう思っていると、公爵が入ってきた。慌てて立ち上がろうとするキートンに対し、公爵は、そのままで良いと一言告げた。
公爵は黙ったまま椅子に座ると机からパイプを取り出し、マッチを擦る。
辺りに独特の香りが漂う。紙巻煙草とはまた違った懐かしい感じである。
「本当は、あまり吸わんのだ。妻に言われていてな」
「あの…、どのようなご用件でしょうか」
公爵はパイプを持ったまま、静かに語り始めた。
「娘だ」
(ルイズのことか…)
組み伏せたことについての説教では無いことに、キートンは内心ホッとする。
しかし、娘のこととなると…、やはり、"使い魔"ということになっている自分に聞くのが良いと公爵も思ったのだろう。
使い魔ゆえに、主人の内心も知っているだろうと考えたのである。

「知っているとは思うが、あの子は…。ルイズは、系統魔法がまだ目覚めておらぬ。ゆえに、学院で孤立していないか、気がかりでな」
「私はこちらに来てから、まだ日が浅いのですが…。彼女は、友人達ともうまくやっていると思いますが」
「思いますが、ではない!」
公爵がくわっと目を剥いて怒鳴る。あまりの剣幕にキートンは椅子から倒れそうになった。
ふうっ、と煙を吐き出すと公爵は窓辺に向かい、夜空を見上げる。
「しかし、人間の使い魔とは古今聞いたことが無いがな。よもや、娘に手を出したりなどは…」
「してませんよ!!」
キートンが慌てて反論すると、公爵は急に笑顔になった。どうやら、キートンを少しからかっていただけのようらしい。
「冗談だ。思えば、あの子の表情が以前よりも明るくなったような気がするからな。聞けば、お主も妻子がいるのだろう?」
どうやら、キートンが思っているよりも、ルイズは家族に色々と話しているようだ。
(…妻とは別れました、とは言わない方が良さそうだな)
そう考えていると、公爵がキートンの方を向き、話を続ける。
「わしはな、あの子に婿をとらせようと思っておる」
「はぁ…」
「先ほどは娘達の手前、ああは言ったが…、ここ最近、国外の情勢は不安定の一途を辿っておる。我が国向けの輸送船が度々、何者かに沈められておるからな」
公爵は、また夜空を見上げると、溜め息をついた。
「仮に戦乱を始まったとしても、わしはあの子達を戦争に参加させたくはないのだ。そういったものに触れずに、生涯を送ってほしい。喜び勇んで、向かわせる親もいるが…。大抵は、陰で泣いておるのだからな」
厳しそうな人だけど、やはり根は優しいのだろう。
しかし、"婿をとる"など、あのルイズが了承するであろうか。いや、天地がひっくり返っても無いであろう。
キートンが一人考えていると、公爵は『ルイズに見合う男を既に見つけてある』と自身ありげに胸を張った。
どうやら、公爵の話からその人物は相当立派な男性らしい。


442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:08:10 ID:TGBte45U
>433
異世界とはいえ根っこは同じ世界だから使えたと考えるべきでは

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:08:26 ID:pS9KZdMW
支援

444 :ゼロのMASTER 14 4/7:2008/04/19(土) 21:08:58 ID:RnNzxowH
「やれやれ…」
ようやく、公爵から解放されたキートンはルイズの私室へと向かう。
部屋の指定などは、特に受けていないので、同室で寝ろということなのだろう。
しかし…、婿の件は、ルイズに話してよいものだろうか?部屋へと繋がる通路を腕組みしたまま、キートンは考える。
そもそも、こういった話は、本人の意思が重要なのだが…。
公爵の態度から、恐らく有無をいわさずに婚約させる気なのだろう。
(…ルイズが納得するかどうか)
そう思いつつ、ルイズの部屋のドアをノックする。

「ルイズ、いいかい?」
返事は無い。その代わり、変な声が聞こえる。泣き声の様な、或いは呻き声の様な、そんな感じの声だ。
「ルイ…」
部屋に入ったキートンは、その有様に一瞬呆気に取られた。
食卓でも一緒だったルイズの姉であるエレオノールが、そこにいた。いたのだが…。
別に、妹と談笑している訳ではない。見れば、ルイズの頬を抓っている。漫画の様に頬を引っ張られたルイズが泣きながら姉に許しを請うており、もう一人の姉であるカトレアがそれをなだめている。
どうやら、またもや大変なときに顔を出してしまったらしい。

「あ、あの…、とりあえず乱暴は…」
「ら・ん・ぼ・う?」
エレオノールの目が光る。いや、どちらかといえば、眼鏡がキラリと光ったというべきであろうか。
迂闊だった──
仕事柄、こういった発言は非常に不味いのはよく承知しているのだが、この世界に連れて来られてから、どうにも油断していたらしい。
「平民がわたしのやることに口出ししようなんて、い〜い度胸じゃないの、んんん!?これは乱暴じゃなくて、お仕置き!」
そう言いつつ、ますますルイズの頬を抓る。お仕置き…ではない、どう見ても。
凄むエレオノールの迫力はなかなかのもので、さながら女傑といったところか。公爵の話によると、エレオノールの婚約が間近らしい。それもあってか、ピリピリしているのだろう。
公爵曰く"今度こそ"だとか。

「まったく!わたしの婚約も近いというのに、おちびったら未だに魔法が碌に使えないなんて!こんなのじゃ、バーガンディ伯爵に紹介出来ないわよ!」
「はぁ…。その、素晴らしい方だそうで」
キートンが相槌を打つと、一転、エレオノールは嬉しそうに目をキラキラと光らせながら喋り始めた。
余程の激情家なのだろうか。
「そうよ、愛しのバーガンディ伯爵様…!ようやく、めぐり合えた人!今度こそ…」
聊か、ルイズから注意が離れたらしい。それを見計らってか、カトレアが泣きじゃくるルイズを連れて、部屋から出て行った。
すかさずキートンもそれに続き、部屋から去る。

「…だから、あなたもしっかりしなきゃいけないでしょ、おち…」
話しつかれたのか、エレオノールが部屋を見渡す。
静かな部屋の中で一人、残されていた。


445 :ゼロのMASTER 14 5/7:2008/04/19(土) 21:09:49 ID:RnNzxowH
「どうもすみません、助けて頂いて」
キートンが一礼すると、カトレアはくすくすと笑いながら答えた。
「慣れたものですから。それよりも、大丈夫?ルイズ」
カトレアがハンカチでルイズの涙を拭う。エレオノールには頭が上がらないのだろうが、このカトレアには懐いているらしい。
見た目通り、包容力のある優しい人といった感じであるカトレアは、ルイズにとっては憧れなのだろう。
(…だけど、どことなく病弱みたいな気もするな)
元気そうに振舞ってはいるが、時々咳き込むカトレアを見て、キートンは思う。
持病でも患っているのだろうか?

ルイズも落ち着いたようで、カトレアと話し始めた。
今日は、カトレアの部屋で一緒に寝るらしい。
「僕はどこで寝たらいいのかな」
「納戸」
「…本気?」
ルイズはこくりと頷く。曰く、使い魔ならばそこで寝るべし。曰く、父と母に大目玉を食らっても良いのか。曰く、屋敷の使用人が殺気立っているので、刺激をしない方が良いと。
がっくりとうな垂れたキートンが部屋から出て行くと、カトレアはルイズの方を向き、またくすくすと笑い始めた。
「無理をしないで、自分の部屋で一緒に寝てあげたらいいのに」
そう言う姉に対して、ルイズは真っ赤になる。
「だって…、父さまや母さまに余計な誤解を与えたくないもの。それに…」
「それに?」
「キー…、あの人の立場が悪くなったら、嫌だから」
優しいのね、というカトレア。
「キートンさんって、わたし達とは違う世界から来たのよね?」
「うん…」
ルイズはキートンから聞いたことを話し始める。
遠く離れた人と会話したり、はるか遠方の国でも短時間で行けたり…。
"ジドウシャ"と呼ばれるもので移動したり、様々な国や、遺跡があったり…。
「凄いのね…。でも、一番驚きなのはルイズね」
「え?」
「以前と比べて、表情が明るくなったって。お父さまも言ってたから」
カトレアによると、父がそのことで喜んでいたらしい。子供の笑顔が増えることは、親にとっては何よりも喜ばしいことだろう。
だが、そんな父が娘の為に良かれと思って進めている事案をカトレアは知っていた。
「ルイズ、お父さまはね、あなたに―――」


翌朝、納戸から起きてきたキートンは、「ルイズがいなくなった」とカトレアから告げられた。
昨晩は一緒に寝たのだそうだが、起きてみると既に姿が消えていたという。
「失敗だったわ…。やっぱり、言わない方が良かったのかしら」
「何か、彼女に言ったんですか?」
カトレアが焦燥を浮かべながら話す。
「昨日、あの子に…。お父さまが婿を取らせようとしていると言ったんです。傷付けるつもりはなかったのに…。迂闊だったわ」
唇を噛むカトレア。
良かれと思って言ったつもりが、予想以上にルイズを追い詰めてしまったのではないか。
困惑するカトレアにキートンは笑顔で返した。
「私が探しに行きます。大丈夫ですよ。彼女は強い子ですから、心配は要りません」


446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:10:12 ID:dguk49wY
キートンと聞くと山田を思い出すのは俺だけでいい支援

447 :ゼロのMASTER 14 6/7:2008/04/19(土) 21:10:30 ID:RnNzxowH
ルイズは中庭の池を一人眺めていた。ここは、自分が『秘密の場所』と呼んでいる所…。
悲しいときには、いつもこの場所で池を見る。澄んだ色をした池は、悲しい気持ちにある自分をいつも落ち着かせてくれる。
昨晩、姉が自分に対して伝えた言葉…。
父は、自分の為にと思い、婿を取らせようと思っているのだろう。しかし、自分はまだ結婚する気など微塵もない。
まだ四系統魔法のどれかにも目覚めていないのだ。成長しないまま、誰からも認められないまま、結婚して人生を送るなど真っ平御免だ。
「ここにいたんだね」
不意に声がしたので、後ろを振り向く。そこには、バスケットケースを持ったキートンがいた。
「…本当に、あんたからは逃げられないわね」
「足跡があったんでね。朝御飯食べてないみたいだし、一緒に食べようか」
そう言いながら、ルイズの横にキートンが座る。
言われてみれば、ルイズは空腹だった。朝食も摂らずに飛び出したのだから、無理もない。
キートンから差し出されたサンドイッチを受け取り、頬張る。
「綺麗なところだね。故郷を思い出すよ」
「故郷?」
懐かしそうな目で池を眺めるキートンをルイズは見つめる。
興味が湧いたルイズは、故郷について尋ねてみることにした。
「あんたの故郷って、どんな処だったの?」

「うん…」
キートンはサンドイッチを齧りながら、遠くを見やる。
「なんというか、二つあってね。一つは母がいた国の故郷、もう一つは父がいた国の故郷。その…、僕が五歳の頃に、両親が別れてね」
「…ごめんなさい」
「いや、気にしなくてもいいよ。昔のことなんだから」
キートンの家庭は、ルイズが思っていたよりも複雑なものらしい。キートンが妻と別れたのは聞いてはいたものの、その両親まで別れたとは、さすがに予想しなかった。
「両親が別れた後、僕は母に連れられて、母方の故郷に帰った…。父は、そのまま残って事業のやり直しをすることになった」
「故郷に戻ったとき、寂しかった?」
「うーん、寂しくなかったといえば嘘になるかな。慣れない土地だし、同世代の子達ともなかなか合わなくってね」
そう言いながら、キートンは苦笑する。子供の頃から気丈で、なんでもこなす人―――
少なくとも、ルイズ自身はキートンのことをそう思っていた。
自分を悪漢の手から助けてくれたこともそうであったし、何よりも元軍人だということから、はじめから強い人物だと、そう考えていた。
だが、今の話を聴いているうちに、その考えも変わってきていた。

「卒論でDマイナーを付けられたこともあったからね」
「それって悪いの?」
「…落第点だよ」
なにそれ、と悪戯っぽく笑うルイズに対し、キートンもまた笑いながら返した。
「でも…。あの人のおかげで、僕は立ち直れた訳だから」
「あの人って誰?」
「前に言った僕の恩師。ユーリー・スコット先生だ。先生は教員用の書庫を貸して下さったんだ」
「で、成績を持ち直したんだ?」
キートンは頷く。
「思えば、あのときが一番楽しかった…。学ぶということがあれほど素晴らしく感じられたのは、あのときが初めてだった」
ルイズはキートンの言を頭に思い浮かべる。学ぶということ。"学ぶこと"が楽しいと考えたことは今までになかった。
キートンが来るまでは、ゼロゼロと嘲られ、魔法の実験では失敗ばかり。正直、学院での生活は…楽しかったのだろうか?
自信を持っては言えない。
「立派になる為に勉強するのは間違いなのかしら」
「うーん、間違いだとは言えないと思うよ。でも、それだけじゃ、なんか寂しいしね」
キートンは少し黙ると、隣にあった花を摘み、眺めながら言う。
「僕は勉強したけど、いまだに中途半端なままさ…。それでも、まだまだやりたいことがあるからね」
「文明の起源…だっけ。それの証明を目指してるのよね」
「ああ…」


448 :ゼロのMASTER 14 7/7:2008/04/19(土) 21:11:13 ID:RnNzxowH
「父さまから聞いたんでしょ。わたしに婿を取らせるって」
ルイズは小石を握ると、池に向かって放り投げる。ぴちょん、という音と共に石が水の中に沈み、波紋を作り上げていく。
「君のお父さんは、いい人を見つけているって言ってたけど」
「相手はわかっているわ」
溜め息をつくルイズ。
「ワルドって人よ。ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド」
昔を思い出す。かつて、自分はワルドと共に遊び、共に過ごした。親同士の話がトントンと進み、"けっこん"という言葉を何回も聴いたのを覚えている。
そのときはまだよく理解できなかったが、今になって突然、結婚話が持ち上がってきたのだ。
勿論、自分だって何時かは誰かと婚約をすることになるのだろう。だが、いざそう言った話が出てくると、動揺してしまう。
10年前に別れて以来、ワルドとはほとんど会っていない。勿論、好きか嫌いかで言えば、今でも好きだ。
とは言え、結婚して将来付き合っていく上での"好き"なのかと言うと、はっきりとは断言出来なかった。

「わたし、どうしたらいいのかしら」
再び、池に小石を投げる。
「残念だけど…。僕の方からは何も言えないな」
「…もう少し、気の利いたこと言いなさいよ」
こういった方面は不得意らしい。
そう思っていると、キートンが石を投げた。
石は綺麗に池の上を跳ねていく…。水切り遊びではあるが、自分はまだ一度もうまくいったことがない。
とはいえ、キートンに『教えて』というのもルイズにとっては何か癪であった。
「教えるよ。やってごらん」
そんなルイズの心を見透かしてか、キートンが笑いながら言ってきた。
少し顔を赤くしたが、言われた通りに体勢を直し、狙いを付けて石を投げてみる。
「あ」
すると、先ほどと比べ、僅かだが水面を跳ねるようになった。
(…ほんと、遊びが上手いのよね。キートンって)
自分と共に水切り遊びに興じるキートンを見ると、幾分気持ちが軽くなった。
「そろそろ戻ろうか。親御さんも心配しているだろうし」
頷くと、屋敷の方に向かおうとしたのだが―――
がさっ、という音と共に茂みが揺れた。動物でも迷い込んだのだろうか?
ルイズが走り寄っていくと…
「きゃ……!」
そこには少年が倒れていた。少年と言っても、見慣れない服装に身を包んでいる。
だが、ルイズよりもっと驚いているのはキートンの方だった。
少年は気絶しているようであり、キートンは彼を背負うとルイズに叫ぶ。
「部屋に連れて行く。君は薬か何かを持ってきてくれ」
そう言うと、走り去って行ってしまった。後に残されたルイズも慌てて付いていく。
少年を背中に背負いながら、キートンは一つのことを考えていた。
自分だけではなかったのだ、と。


449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:11:36 ID:RnNzxowH
以上でっす
支援ありがとうござましたー

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:12:47 ID:dL+KHfFp
>>431
聖地がリナたちの世界とつながっていて、
物語の最後で本来の力を取り戻したリナが大暴れですね。


ぶっちゃけ、リナって黒魔法が使えなくてもハルケギニアじゃ最強クラスだと思うんだが。

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:13:25 ID:J7EQQldK
太一支援

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:14:53 ID:pS9KZdMW
キートン氏乙


453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:15:06 ID:KRJ/0ddY
キートンの人、GJ&乙っス。誰がいき倒れてたのかが気になる。
あとエレ姉様が疎ましくも不憫だ……w

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:17:23 ID:0LiaSxDi
乙でした

サイトかな?キートンが日本語喋れてよかった

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:26:32 ID:epsnpMsq
スレイヤーズ世界だとコモンマジックに当たる魔法が正確に発動しないというのがほぼありえない世界だからな。
魔法の丸暗記で発動可能だし。

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:28:45 ID:SS8yigEA
キートンの方投下乙です
大好きな作品更新されると吐血しそうな位嬉しいですね

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:29:14 ID:r3eRRjt+
>435
ゼロスから強奪したタリスマン、アレは異世界の魔王の力を借りる物だろ?
逆に、魔王級の力が有れば、異世界でも力を行使できると
もっとも、金色の王の力で吹き飛ばした方が手っ取り早いと思うけれどw

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:31:01 ID:1ZOPPHNj
キートン乙ですー
好きな作品が投下されると嬉しいねぇ

もっと頻繁に投下して欲しいですm(_ _)m

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:39:07 ID:gQkMNWmJ
>>432
完全版のラグナブレードなら、ブースト無しで使える。
原作でも完全版の方はタリスマンの補助は一切使ってなかったし。

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:44:12 ID:mKivhJBx
乙だが、サイトではガンダ無しではつらかろう…
ここは大穴で若き日のジゴローを…「使い魔の道は一日にしてはならずぢゃ」著
キートンの娘と柔は同じ大学にいるから両作品は同一世界…

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:45:34 ID:Y02hruzV
>>460
実はヴィンダになっていて
カトレアが飼ってる動物たちを一手に世話しているとか。

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:46:23 ID:mKivhJBx
>>460

失礼!
キートンの娘はオックスフォード志望
キートンの娘の友人が柔と同じ大学

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:46:30 ID:SS8yigEA
あのタリスマンは増幅機ではなかったですかね?どちらにしてもルイズの手に渡ったとしたら大変な事になりそうだな

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:50:47 ID:dL+KHfFp
増幅器というよりは、アストラルサイドに自分の意思を伝える作業の仲立ちをしてくれるアイテムなんじゃないかと思う。
ゼロスが聖霊魔法を使った一件とか、最後のい世界の魔王の力を呼び出す触媒としての効果を見ると。

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:51:24 ID:mKivhJBx
>>137
たろー召喚でもええが
ここは姉妹作の「ペナントレース やまだたいちの奇蹟」より「太一菌」を召喚し
学院中がこせきこうじ風に感染して逝くというのが…

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 21:56:09 ID:ThOmezPk
スレの魔法だと、術者を中心に360度カバー出来るのあるから
ワルド涙目…


467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:04:10 ID:4H6DeDE9
シュウ・シラカワ召喚
生身でもデモンゴーレム作ったりできるし、かなり強いぞ

素直に使い魔になってくれそうな主人はテファくらいな気もするが

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:05:45 ID:F0QyFiFq
ジョセフとかいけるんじゃね

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:06:36 ID:VXD5h/CN
ばいばいアースからアドニス召喚(一巻頃)とかどうだ?
ガンダールフつけて、300本の剣を使いまくるw

デルフがいらない子になりますがw

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:11:35 ID:r3eRRjt+
十本刀の連中だと……
宗次郎以外は使い魔にならないか

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:13:16 ID:PfrIgB6u
>>470
ニコニコしながらギーシュの首はねちゃったりしてなwwww

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:14:08 ID:ZRLapHcX
>>467
テファだろうと誰だろうと、奴はどう考えたって絶対に従わないだろうね。
つーか、使い魔にしようとした途端ガチで主を殺しにかかるね、間違いない。


473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:14:45 ID:nh118WHN
>>430
召喚された先は、貴族が全員忍者なハルケギニアですね。


474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:16:50 ID:CTbJIqnx
>>467
アイツは自分の自由を侵害するヤツには容赦ないし、契約は無理だろ

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:17:34 ID:7FvGEv52
>>468
だから、「絶対の自由」だけを求め、「自分を利用したり、支配しようとしたりする奴はぶっ殺す」主義
のシュウ・シラカワが誰かの使い魔になるわけが無いと、何回ループすればいいんだ?

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:17:54 ID:3igvkA0V
>>470
富士ならいける気が

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:18:57 ID:7FvGEv52
>>473
「柳生十兵衛死す」かよ。原作より賢ちゃんの方が有名になっちゃったな。

478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:22:40 ID:dL+KHfFp
>>467
性格うんぬん以前に、自分を利用した人間は絶対に許さないお方ですよ。
使い魔召喚システム自体の根絶を目指しそうなんだが。

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:24:24 ID:SS8yigEA
スケ番デカから初代〜三代目アサミヤ サキが各々呼ばれる妄想
勿論 ティファはジンね


480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:27:44 ID:nh118WHN
>>477
宮本武蔵は小ネタで召喚されてたな、10人くらい。


481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:33:56 ID:mKivhJBx
>>479
サキなら原作版を…

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:34:03 ID:3HaFJAq1
>>467
もし無理やり契約したとしても、
ひそかに蘇生の準備→殺されて復活→契約強制解除→契約者に復讐
だろうな。

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:35:33 ID:N7Nb6A00
スレの魔法って、ゼロ魔の世界じゃ黒じゃなくてもどれも一撃必殺なシロモノばかりだよな、それこそフレア・アローやフリーズ・アローですら。
スレの世界は人間でもむやみやたらに頑丈な連中ばかりだし。

普通に考えれば殺傷力が殆ど無いとされる、ディルブランドやバーストロンド(流れ弾食らってコゲたっていう描写があった)でも下手すると死人でかねないし。
アストラル系の精霊魔術使えば反射も効かないだろうし、遍在なんかもエルメキアランス一発で終わるだろうなぁ(囲まれたらガルク・ルハードでおk)。



484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:47:38 ID:Ph3avBQ7
つまりナーガ様を召喚しろと?
ウェールズゾンビも一発で浄化できそうだな。

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:49:57 ID:4H6DeDE9
では、テッカマンエビル召喚ではどうだろうか


…だめだな、7万人が全然脅威じゃない
それどころか2巻でアルビオン防衛可能になる

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:51:01 ID:xmIhz8fO
風来のシレンから迷宮

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:51:47 ID:N7Nb6A00
アンデッドや幽霊、魔法生物系なんかもアストラル系ならどれ使っても一撃だろ。

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 22:54:17 ID:7FvGEv52
>>483
便利魔法だとゼロ魔世界の魔法もいいけどね。
錬金や固定化はリナも興味を持ちそう。

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:04:58 ID:3ZBBlR1E
刻命館シリーズから魔神を召喚。

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:06:02 ID:pEHtWuZl
幻獣の國物語から死にかけの秋津犬を一匹召喚。
……気が付いたら小説版が出て絶版になってるorz

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:06:50 ID:xmIhz8fO
風来のシレン 店主が呼ばれたら
取りあえず部屋にアイテムを置いて店を始めた店主

「秘薬じゃない、使い魔の物は主人の物よね♪」
「ルイズ、いないの?」
ガタ
「何よチェルプストー言われなくても判っているわよ」
「じゃあ先に行くわ」

そして部屋から出てしまったルイズ
数歩で店主に追い付かれ
一撃でHPがゼロ

続きは書けない

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:08:09 ID:ZRLapHcX
>>488
固定化はともかく、錬金はどうだろうな。
原作の一巻で幾つもの宝石を一旦砕いてから、それらを一つに固めて宝石のお守りみたいなもん
作り出したりすると言う一連の作業を魔法でしてるし、ゴーレム創造みたいなのはスレイヤーズの
世界にもあるから。

ただ、それらを抜きにしてもハルケギニアの魔法自体にはそれなりに興味を持ちそうだな。

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:10:39 ID:wuNSQH3F
『スポーン』からバイオレーターを召喚。

放っておけばマレボルギアが迎えに来てくれるだろ、と
自主的休暇を兼ねた使い魔ライフを満喫。
『趣味の悪いダッチワイフ』(ワルキューレ)と戦ったり、
破壊の杖(オーバートキルをブッ壊した銃)を喰らってみたり。

アルビオンでワルドと遊んでる最中に上司と兄弟たちが迎えに来る。
無断欠勤を怒る上司のご機嫌とりにワルドを捕まえ、
ヘルスポーン候補のお土産として持ってゆく。
ルイズはほったらかしでEND。

と思い浮かんだ。

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:11:59 ID:ZQgvF5RU
>>376
まずみんなに驚かれてから笑われるんですね。
…あれ?最初の場面酷似してね…?

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:14:02 ID:/Hrc0W0T
ウルヴァリンみたいな武器内臓野郎が召還されて
ガンダールヴになっても効果は出るんだろうか?

496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:23:20 ID:mKivhJBx
あまりないカップリングの話とか見たいなあ
思うにアルビオン王家は内乱起こらんかったらウェールズの嫁は誰にするつもりだったんだろうかと?
アンリエッタの線は無いような気がする
先代トリスティン王自身がアルビオン王の実弟なんだから、さらに縁故結ばんでも
トリスティンとの仲を強化するんなら、トリステイン王家に代われる血筋で王国一の大貴族、ヴァリエール家あたり?(エレ姉様フラグ)
意外とサウスゴータ太守家の娘が世が世なら?(おマチさんフラグ?)

いやここはガリア王家でしょ!(イザベラ様フラグ)
考えてみればウェールズ婿にすれば労せずして始祖のオルゴール手に入れられそうだし

ジョゼフ(あるいはイベザラ)とウェールズの使い魔が知り合い同士で両王家が仲良く…結果内乱が起きなかった世界希望!

「無理よ! 無理よルイズ! わたくしったら、なんてことでしょう! 
混乱しているんだわ! 考えてみれは、ガリアに潜入してあの憎ったらしいでこっぱち姫の首取って来いやゴラアなんて頼めるわけがありませんわ!」

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:24:42 ID:KRJ/0ddY
>>495
四六時中ガンダ発動状態になって身体壊すんじゃないの?
左手ではそんな描写があったかな。

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:32:40 ID:qgwsSRlz
アダマンチウムがあればデルフいらんな

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:35:56 ID:4UD2JhNw
>>485
オメガ以外の下には付きそうもない気がするが・・・

ひょっとしなくても
コントラクトの時点でルイズ死亡エンド確定でないかい

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:38:24 ID:07CTFM5N
>>472
ただ助けてくださいって言われる位なら手を貸してくれることも多いんだよね
テファとは王の兄弟の子って言うので多少共感ありそうだし裏表無いから

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:44:13 ID:dL+KHfFp
>>500
基本的にいい人ですからね、彼は。
それに、その人の考えに共感すれば、協力者として組織を作り上げたりもしますから、
組織というものが嫌いなわけでもないでしょう。

ただ、召喚前に事情を説明したのならともかく、
とりあえず呼んだ後で説明しても聞く耳持たないと思う。

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:44:18 ID:nh118WHN
>>496
夢のない話で悪いが、トリステインの王冠がもれなくついてくる
アンリエッタが普通に本命だろうと思う。
ジョゼフにしたって外交でオルゴールが手に入りそうにないから
搦め手を使ったんだろうし。

ジョゼフやウェールズが張儀あたりの縦横家を召喚したなら、
違った展開もあるかもしれんが

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:49:38 ID:xr0FDaQ2
やっぱテンプレ展開のSSはつまらんのが多いいな
駄作ばっかだから良作を見つけたときはうれしいけど
暇な学生の身分でない俺のような新参者にも良作を
見分けるポイント投票とかつけて欲しい>>1のまとめwikiに

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:49:58 ID:76Rm+EKL
>>501
目の前に突如出現した得体の知れない鏡に入るぐらい切羽詰まってる状況なら
如何にシュウでもとりあえず話を聞くぐらいはする気がするぜ?

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:54:05 ID:dL+KHfFp
>>504
正直、あの人がそこまで追いつめられる状況というのが思いつかんのだが。
ラグナロクで死んだあと、目覚めた時には既に召喚されていたのなら、あるいは?


もちろん、説明するまでに契約していたらアウトだが。

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:55:34 ID:pS9KZdMW
シュウ・シラカワを呼び出せる状況となると
OGで倒された瞬間あたりぐらいしかないんじゃないかな。

あとシュウの場合は束縛しないのも大事だけど、
退屈させないのも必要なんでは。

暇になると勝手にどこか行ってしまいそうな気がする。

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/19(土) 23:59:38 ID:Lh1Sndg3
>>503
ここ最近はまともなの少ないからなあ
夢の島から探すのも一苦労だったろ
話数が多いのか完結してるのは当たりがおおいよ

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:00:53 ID:xr0FDaQ2
>>507
毒はきで遡上にあがってるのを優先的に読んでる
あらゆる意味でワクテカがともらないw

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:02:17 ID:oBrDuTxG
>>503
「ご立派」お勧め
ただし、一話目読んで無理だと判断したらやめた方が無難

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:06:13 ID:+evE3o/O
>>503
んなもんは作者と信者の工作で意味は無くなる。

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:06:55 ID:dtThRBIz
テンプレ展開を冗長と思うなら
避難所に投下されてる作品を選んで読むとか


512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:08:49 ID:T5PnvWFH
>>499
普通に考えて大虐殺確定だろ。
愛しの兄さんと殺し合う機会を奪われたシンヤなら、怒りに任せて目に付く人間全員皆殺しにしちまうぞ。
ラダムにとって、ラダム以外の知的生命体は侵略対象に過ぎないから、そもそも良心の呵責とか全く無い訳だし。

おまけにテッカマンは核にも耐える事が出来るから、倒す事が非常に難しい。
テックセットを解除した状態で、不意を打つしか方法は無いだろうな。
……まあ、そのテックセット解除状態でも滅茶苦茶強かったりするんだがな。


513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:12:20 ID:RN6GiHKh
>>503
 テンプレ無視がご希望か?

 なら、「使い魔を買いに」。テンプレなんかゴミ箱だぜ。短編だからサクッと読める
 ただいま絶賛投稿中の「ゼロな提督」も。真の意味でデルフリンガーが涙目になるSF物だ
 初っぱなからぶっ飛んだ設定で、かつバタフライ効果でテンプレからドンドン離れていくのは「薔薇乙女」

 でもま、やっぱご立派様か、きさくな王女がお勧めだろうか



514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:17:31 ID:JWK5A5tL
シュウが追い詰められる状況……

直撃スタンショックで1ターンフルボッコもしくはクスハ汁ですかね

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:18:06 ID:sO3Ck2kb
>>503
虚無の唄
エンディングでボロ泣き鮮血の使い魔
あの御方に相応しい世界を用意したと言わんばかりに違和感ねぇ

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:18:08 ID:6fX/sXEp
正直薔薇乙女読むのは時間の無駄

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:20:36 ID:29KNF9Z3
>>514
正直、OGのラグナロクは納得できない。
α外伝もひどかったけどさ。


旧第三次のあの理不尽な性能こそネオグランゾンだろ。

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:23:11 ID:L655rXvo
>>512
決着付いて死に掛けのところを召喚なら大丈夫だと思う
テッククリスタルについては…まあ、宝物庫にでもあるとか
原作だとブレードのクリスタルは砕けてるが、エビルのそれはどうなったか不明みたいだし

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:23:38 ID:lGtrwpn4
>>502
第1王位継承者同士のカップリングは、連合王国樹立が前提じゃなきゃありえないんじゃないか?
政治的にそうしなきゃいけない必然性何処にも無いし。
結ばれないと分かっているからこそ」、愛を秘めてきたんだろうし。

>>512
防御無視のルイズの虚無が対テッカマンに一番有効そうだと思う。

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:23:59 ID:L655rXvo
>>517
中の人の性能だと、ダークブレインなんて足元にも及ばないんだぜ…

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:25:21 ID:s5+48OXI
ペルソナ2の人来ないなぁ・・・


打ち切りなら打ち切りといってくれれば・・・

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:28:38 ID:zQpXs/9N
>>519
但し、エビルっつーかラダムのテッカマンを呼び出した場合の最初の犠牲者はほぼ間違いなく召喚者、
つまり大概の場合ルイズな訳だが。
虚無もへったくれも無いまま出番は終わりだろうね。


523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:28:54 ID:70U7aWBO
これってゆるされるの?
サイトがガンダールヴじゃなくてミョズニトニルンだったりと他の虚無の使い魔。

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:30:21 ID:9aSVwlf0
>>523
細かいはいくつかあるけど面白ければOK

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:31:09 ID:lGtrwpn4
>>501
テファが「す、すいません、動物さんとかが来てくれると思ってたんです」っていきなり謝って、
自分を利用するつもりで呼んだわけではない事を理解すれば、許してくれるんじゃない?
ヴォルクルス補正がかからないシュウは、事故に対して謝ってる人を問答無用で殴るような
人じゃないだろう。
「なるほど。私を利用しようとしたわけでも、私を束縛しようとするわけでもないのですね。
 いいでしょう。
 ……私も少し人間関係から自由になりたくなってきていたところでしたから(遠い目)」

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:37:44 ID:L655rXvo
シュウの場合、救助に来てくれそうな面子はいろいろいるからなー
乱暴な手段だとSRXによる次元斬、穏当な手段だとソラティス神殿からの逆召喚か

そういえばペルソナ2のタッちゃんも中身が子安か
実はギリアム(第四次S)の中の人も子安だが

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:42:17 ID:lGtrwpn4
>>526
シュウなら自力で次元転移装置作って帰っちゃうんじゃない?
召喚の魔法の解析とかもしちゃいそうだし。
魔法も科学も超心理学もOKだから、なんでもありだもの。

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:45:37 ID:L655rXvo
>>527
作るための工作機械が調達できないし
コルベール先生とがんばっても難しいような気が
魔法使えるから端っこ扱いでも貴族待遇だろし、資材とか集めるのには苦労しないかもしれんけど

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:47:07 ID:29KNF9Z3
>>527
単独で時空を超越する存在にはなっていないようだぞ?

本当の意味で、あらゆる次元に自由に干渉するのは、スパロボ世界でもできるやつはいない。
一番近い位置にいるのがα世界のイングラム=クォブレーだな。

まぁ、呼び出した時点で何らかのつながりはできているだろうから、
それをたどって帰還するぐらいなら白河博士になら造作もないでしょうけど。

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:50:20 ID:FFNQJqX4
ガリアにオルゴールや祈祷書のような始祖の秘宝ってあったっけ?

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:53:08 ID:Qn3cT+f1
香炉があるよ

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:54:46 ID:kuDdgWot
ギリアムは昔から田中秀幸でしょ?

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 00:57:09 ID:WJ2IjPqw
田中秀幸といえばF-ZERO ファルコン伝説のバート先生

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:02:50 ID:iVudOOV/
突然だが、「熱血最強ゴウザウラー」からエンジン王召喚を考えてしまった……

あと「絶対無敵ライジンオー」からベルゼブかタイダーとかも、
後者はギャグにしかならないな。

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:16:40 ID:Ma6IwbJN
田中秀幸といえばMGSのオタコン

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:30:59 ID:T5PnvWFH
>>529
COMPACT3だと強力な修羅は自分の力で次元に干渉できるっぽいけどな。
修羅王は修羅界に存在する全修羅及び修羅神を地球に転移させて、その代償に力を使い果たした事になってたし。
それとミザルは修羅王が起こした次元の歪みを利用して、ガイアやバイストンウェルに転移を行ってたはず。

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:31:47 ID:S5MkGEXs
>>485
逆に考えるんだ
アルビオンを防衛しちゃってもいいさ、と
そこから広がる君の物語を見てみたいんだ
基本となる設定は守り、両作品に愛を込めれば、原作をなぞる必要なんてないんだぜ?

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:35:20 ID:76RNWQp+
ガンダールブは盾役ってことで、ドルアーガの塔からジンを召喚すんのはどうだろ?
まだ始ったばかりだから設定は不明な点が多いけど、
あのド真直ぐでアホの子な性格は使えそうな気がする。

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:35:22 ID:42mWOYqP
>>534
宝物庫の中にギルターボが!
そしてタルブにプロトタイプボウエイガーがあるのか!

540 :538:2008/04/20(日) 01:36:46 ID:76RNWQp+
訂正。ジンじゃない、ジルだ。

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 01:56:14 ID:WqYmJTGQ
スティーブン・セガールをガンダールヴとして召喚

タイトルは沈黙の〜になるな

542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 02:26:07 ID:jlU3e+9U
沈黙の学院
沈黙の王宮
沈黙の領地
暴走大陸

こうですか?

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 02:37:46 ID:WwUnUdan
俳優スティーブン・セガールとして召喚されるの?

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 02:39:19 ID:WwUnUdan
それとも沈黙シリーズみたいになんかの役柄?

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 03:02:52 ID:bfBHq0K9
>>544
「セガール」として呼ぶとテンプレに引っかかる。
「最強の〜」とか役柄として呼ぶのはありだろう。

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 03:19:04 ID:ih7Ar5Yt
むしろマルトー親方の正体がセガール

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 03:20:14 ID:3xUsb4k5
>>545
最強のコック@沈黙の戦艦&暴走特急
最強の新聞記者@絶体絶命都市
最強のアルバイトウェイター@絶体絶命都市2

さあ好きなのを選べ

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 03:28:34 ID:9JfTFv21
ネタで、武器としてのデルフリンガーが、剣ではなく巡洋戦艦(第一次大戦のユトランド沖海戦
で活躍)というのはどうだろう?

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 04:07:21 ID:3xUsb4k5
それなら神の盾つながりでタイコンデロガとかアーレイ・バーグとか、こんごうとか(ry

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 05:00:23 ID:bfBHq0K9
さて、船を呼んでその後はどうするんだい?・・・なぁんつってなwww

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 05:20:57 ID:9JfTFv21
>>550

風石と風系メイジを多用すれば、たちまち空中戦艦に早変わり!

木製の船しかない世界で、全金属製かつ後装砲&機関砲(場合によりミサイル)装備の戦闘艦は
有利などというレベルを超える。

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 05:23:11 ID:3xUsb4k5
>>551
最大で数百海里離れたところから一方的にフルボッコできるな

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 05:29:11 ID:BIxDYnnW
浮いてるだけで航行できないけどな。

あの世界の空中船って、推進力は風に頼ってるんじゃなかったっけ。

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 05:52:18 ID:uu+rdacS
浮いてるだけか……

なんかアームズフォート・アンサラー思い出したんだが
それこそ浮いてるだけでハルケギニア壊滅する代物

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 06:03:24 ID:k7TbbyZ6
補給と整備は固定化や錬金で何とかするとして弾が切れたら補給が効きませんよ。

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 06:14:14 ID:EjDJgoDI
サイコアーマー・ゴーバリアンの主人公イサムを召喚とかだと
超能力で創造されて自己修復機能持ちだから色々と便利だな。

557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 07:25:16 ID:ZyBE2gBk
>>554
ジナ姐さんの読んで4系のキャラも出せないとか思ったんだけど、コジマ粒子の設定がどうにもキツイよね
学園内にネクスト一機置いとくだけで大惨事になりそう

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 07:27:56 ID:lGtrwpn4
>>549
アーレイ〈31ノット〉バーグを召喚ですね。

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 07:53:18 ID:uu+rdacS
>>557
まあプライマルアーマー展開しなけりゃいいんだけどね。装甲が段ボール以下になるが。

ノブリス・オブリージュとかアルビオン艦隊戦で映えそうだ。

560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:09:03 ID:xZlObr+o
ACの動力って何だっけ?
動力が核の連中って扱いが難しいよなぁ。

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:17:11 ID:urMu1L5i
何かジパングみたいな流れになってるな
DDH182みらいを召喚・・・してもジパング以下の待遇にしかならんか
本編より補給ができないし

562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:30:07 ID:un3W+phN
>>560
燃料電池だったと思う、ネクストじゃなくても、初代からLRの主人公(イレギュラー)登場の通常のACの場合でも
ACの世界だと一企業を、ゼロの使い魔の世界だと1国や2国潰す事が出来と思う、ネクストだと・・・ゴメンおぞましい光景が見えた

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:40:39 ID:ZyBE2gBk
>>562
アルビオン大陸墜として一億人抹殺ですね?
わかります!><

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:42:13 ID:8y3969Jw
本編読んでても思うんだけどアンアンって政治家に全く向いてないな。
このスレのSSみたく大人しく隣国に嫁いで王子を2人産むのが理想じゃねーの?

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:52:48 ID:3xUsb4k5
>>561
コッパゲ先生に頑張ってもらって石炭から軽油を作ってもらうんだ
メイジ相手なら空飛ぶ蛇くんの応用で127mm砲用の弾もミサイルも作れると思われ。

あとはイージスシステムの利点を生かして遠方からの指揮を主体にするとか。

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 09:57:20 ID:TKqKRQKy
>>564
カリスマ性だけは高いから、実務は官僚がしっかり支えてくれてればよかったんだけどねえ
本人が(極めて悪い意味で)行動力に富んでいるのが・・・

「頼むからあんたは何もしないで座ってて下さい」というのが宰相はじめ家臣の本音だろうな

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:19:08 ID:J0/DTbWY
>>566
それだけ聞くとまるでコンボイ司令官みたいだなw

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:23:14 ID:DxMirSBf
>>566
しかしその行動力こそがカリスマの源泉だったりする罠が。

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:30:02 ID:08elLKIP
この辺の行動力の高さはさすがルイズの親戚だよなー>アンアン

570 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:34:27 ID:MfcMGgGW
逆に有能なアンアンが権謀術数の限りを尽くして戦役を乗り切って行く
SSが書かれてもいいと思うんだ。
使い魔くん千年王国のアンアンは腹黒でなかなか有能だったんだが
今の所最後でポカをやらかしてるから挽回に期待だ。

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:36:36 ID:kLGAqdq1
戦艦ならロストユニバースのヴォルフィード(キャナル)召喚でも面白そうな気が。
んでジョゼフの狂気性がデュグラディグドゥ達を召喚しちゃったからとか

572 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:37:25 ID:lGtrwpn4
>>567
いや、コンボイ司令官の作戦は大抵上手く行ってるんだぞ?
たまに失敗した時ばっかり目立ってるだけで。

573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:47:50 ID:++OKs8fD
現時点まででアンアンのとった行動は、結果的には国にとって有益に働いてるんだ。
ルイズを動かしたり才人に色香使ったりするたびに
(計画通り!)とか(全ては私の掌の上)とか(これで舞台は整った)とか台詞を入れてやれば、
他はテンプレ展開でも一気に無能王女っぽくなると思う。

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 10:59:59 ID:KKa4dla2
アンアンが夜神月召喚

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:04:58 ID:aHeHFDVc
風祭真を呼ぼうぜ

576 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:06:06 ID:wrGkw0fY
>>574
 そしてルイズがL召喚

577 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:07:06 ID:++OKs8fD
うっかり智多星やお人よしの横山魯粛を召喚してやれば
アンアン、ジャゼフの知恵比べ合戦が盛り上がる・・・かも。

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:13:12 ID:QQ+HCQ6Q
UQ1の主人公召喚したらシャドウはガリア、レコンキスタどっちにいる?

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:14:11 ID:29KNF9Z3
>>576
ノートがなければ、案外月はまじめに政治やるかも知れんぞ?
「L」と「キラ」は敵対していたけど、月とLは仲良かったしな。

原作終了後のタイミングであろうと、やっぱり友達に収まりそうなんだが、あの二人。

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:26:45 ID:fNi/CakG
>>579
出くわす

キラのあり方について闘論

拳VS蹴り

仲裁が入る

顔を背けながらもなんだかんだいって協力関係に…

…ありそうだ

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:32:53 ID:29KNF9Z3
>>580
見てみたい気はするが、話の都合上どうしても政治と心理戦がメインになるから、
作者に相当な力量がない限り駄作になるのは間違いないな。

まぁ、キラ&L VS ジョセフ という展開だと、さすがにジョセフがかわいそうすぎるというのもあるが。

582 :ゼロと人形遣い:2008/04/20(日) 11:36:56 ID:UYqk/azI
あまり人が居ないようで
45分ごろに投下予約をさせてもらいます

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:45:23 ID:cfdxVRmu
支援

584 :ゼロと人形遣い:2008/04/20(日) 11:45:38 ID:UYqk/azI
それでは、投下開始です


ゼロと人形遣い 9



昼時のアルヴィーズの食堂、その裏側。
トリステイン魔法学院では、朝食は全校生徒と教師が同時に食べる規則だが、昼食は食事を取りたい者が時間内に食べに来る事になっている。
そのため、厨房はまさしく戦場と言っても過言ではない忙しさだった。

「おい、おまえら!キリキリ動けよ!料理を冷めさせたりしたら承知しねえぞ!」
「へい!」

この厨房を取り仕切っているコック長マルトーの声が響く。
彼は大の貴族嫌いだが、仕事には一切手を抜いたりすることはない。

「マルトーさん、またメインの追加です!」
「なにっ、またか!このままじゃ、ソースが足りなくなるな・・・」
「親父さん、こっちを見てもらえませんか!」
「ちょっと待ってろ!・・・よし、すぐに代わりを用意するから、その大食らいの貴族に確認を取ってきてくれ!」
「なんて言えばいいんですか!」
「趣向変えに、酸味を効かせた味にすると言っとけ!」
「わかりました!」
「親父さん、こっち頼みます!」
「コック長!サラダ用の飾り野菜が!」
「わかったから、ちょっと待ってろ!リタ、上手いこと言っとけよ!クーロイ、飾り野菜は向こうの倉庫にあるから、急いで持って来い!シシィは、ソースを作るための用意を、ビネガーとレモンだ。わかるな!ニック、すぐ行く!」

マルトーは、矢継ぎ早に、指示を飛ばしながらも、自分の仕事もこなしていく。

「忙しいもんなんですねぇ・・・」



585 :ゼロと人形遣い:2008/04/20(日) 11:47:22 ID:UYqk/azI
その姿を横目で見ながら、阿柴花は呟いた。
こんなに忙しいなら、手伝いなど申し出なければよかった。
軽く後悔しながらも、自分に任された仕事をこなしていく。
まあ、仕事といっても、料理など作れないので皿洗いだが。

「アシハナさん、これもお願いします!」
「はいよぉ」

新しく運ばれてきた皿に、洗剤の様な薬品を布につけて洗う。
さっきから、その繰り返しだ。

「はぁ・・・、皿洗いなんてガキの頃以来ですからねぇ・・・。こんなにシンドイもんだったけなぁ・・・」

ブツブツと文句を言いながらも、皿を洗っては重ねていく。
そこに、ガシャと、

「すみません!これもお願いしますね」
「はいはい・・」

すべて洗いきらない内に、また皿が運ばれてくる。
こんなことなら、教室に残っていたほうが良かっただろうか。

「でもまあ、あっちよりはましでしょうねぇ」
「これもです!それからさっきの分は終わってますか?」
「・・・へぇ、そっちにありますよ」
「ありがとうございます!」

いや、やっぱりあっちの方が楽だったかも知れない。




数時間ほど前。
ルイズの魔法によって、地獄絵図に変えられてしまった教室。
やっと暴れていた使い魔たちが静まり、混乱が収まろうとしていた。

「くそ!これだから、ヴァリエールと同じクラスは嫌だったんだ」

生徒の一人が叫んだ。
すると、それに呼応するように、他の生徒達も口々に文句を言い出す。
先程とは違ったざわめきが拡がっていく。

「うるさーーーい!ちょっと失敗したくらいで、ブツブツ言うんじゃないわよ!」

負けじと、ルイズが喚き散らす。
阿柴花はその様子を、教室の後ろから眺めていた。
しばらく野次り合いが続いていると、気絶していたシュヴルーズがフラフラと身を起こした。


586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:49:09 ID:/pSmcJlx
sienn

587 :ゼロと人形遣い:2008/04/20(日) 11:49:11 ID:UYqk/azI

「あっ、先生!」
「ミセス・シュヴルーズ。大丈夫ですか」
「えっ、ええ・・・大丈夫です・・・」

近くにいた女生徒が、気がつき声を掛ける。
それに弱々しく答えて、立ち上がった。
シュヴルーズに、気がついたルイズは、口論を打ち切って駆け寄った。

「ミセス・シュヴルーズ、大丈夫ですか?」
「ええ、ミス・ヴァリエール」

心配そうにたずねるルイズに、シュヴルーズは引きつりながらも笑顔で返事をする。
なんとか教師としての、余裕を保とうとする。
しかし、

「申し訳ありませんでした。ちょっとだけ失敗してしまったみたいで・・・、でも次は上手くできます」
「ヒィ!」

ルイズから、次と聞いた瞬間に、悲鳴が漏れた。
すぐに笑顔で取り繕うと、授業の中止とルイズに罰を言いつけて、そそくさと教室を出て行ってしまった。
授業の中止を聞くと、生徒達は我先に教室から出て行った。
ルイズは、しばし呆然としていた。
しかし、すぐに気を取り直すと、教室の後ろ側に座っている、自分の使い魔へ顔を向けた。

「ちょっと、アシハナ!掃除をしてぇぇぇっえ?」

が、そこには誰も居なかった。


588 :ゼロと人形遣い:2008/04/20(日) 11:51:17 ID:UYqk/azI

阿柴花は、シュヴルーズがルイズに罰掃除を言いつけた時に、嫌な予感がしてさっさと抜け出していたのだ。
そして、シエスタとの約束通り、厨房の手伝いをしに来ていた。
移動してすぐは、まだ昼食まで時間があったので、世間話兼コックやメイドを紹介してもらっていた。
だが、準備を始める時間が来ると、厨房全体が慌しくなってきたので、何かやることはないかとシエスタに聞くと、

「それなら、ケーキの配膳を手伝ってもらえませんか」

と、頬を染めながら言ってきた。
しかし、

「いや、シエスタ。それはさすがに無理がありますよ。アタシはテーブルマナーなんかひとつもわからないんですから」
「そうですか・・・。じゃあ、マルトーさんに聞いてきますね」

シエスタは軽くガッカリしながら、マルトーの所へ向かった。
すぐに戻ってくると、

「それじゃあ、お皿洗いをお願いしていいですか?」
「皿洗いですか。まあ、アタシには妥当なとこでしょうね。そんじゃあ、やらせてもらいますよ」
「はい。それでは、こっちですよ。」




そして現在に至る。
皿を洗うのにも慣れ、厨房もだいぶ落ち着いてきた。
隣で皿を洗っているメイドのソリスと雑談を交わしながら、のんびりと手を動かしていく。

しかし、急に食堂のほうが騒がしくなった。

「んっ?どうしたんでしょうか」
「さぁねぇ。貴族の誰かが喧嘩でもしてんじゃないですか」
「そんな・・・。違えばいいんですけど」
「なんでですか?別に関係ないでしょうに」
「だって、八つ当たりされたりしたら嫌じゃないですか」
「ああっ、ちがいねぇ」

そんな話をしている間も、騒ぎが収まる様子は無い。
と、厨房にメイドの一人が駆け込んできた。

「たっ大変です!」
「どうしなんでぇリタ?」
「シエスタが!シエスタが!」

マルトーは、リタの肩に手をやる。

「落ち着けって、シエスタがどうしたってんだ?」
「シエスタが、貴族に絡まれてるんです!」
「なにーーー!!」


589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:53:14 ID:Y8eGfC6+
しえんぬ

590 :ゼロと人形遣い:2008/04/20(日) 11:55:40 ID:UYqk/azI
かなり短いですが、今回は以上です
次回、やっとこさギーシュの登場です


591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 11:55:56 ID:lhYezOSR
>386
 黄金竜ミルガズィアだな。
しかしルイズよりハーフエルフのテファに召喚されたほうがよくね?エルフと付き合いの長い竜族の長老だし。人里離れて暮らしているけどあっちの世界にはそれ以上の脅威たる魔族がいるからエルフへの偏見ないって話してテファと仲良くなったり。
戦闘になっても飛翔能力はハルケギニアの竜騎士の比じゃないぜ?最終兵器はモチレーザー・ブレスな。


592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:02:44 ID:QQpIZoZO
最終兵器は寒いダジャレに決まってんだろ

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:07:57 ID:6bpRWaKJ
作者さん乙。
人形操りは、かなりの肉体労働だったはず。
直接戦闘の描写は殆ど無かったと思うが……阿紫花さんも、実は生身で強いかもしれない。

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:10:48 ID:29KNF9Z3
むしろ、メティ嬢がテファに召喚されてだな、
内気な性格を直すためにアドバイスを―――

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:11:14 ID:PBxRChxn
乙!
次の使い魔お披露目であるギーシュ戦をどう切り抜けるのか楽しみにしてます

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:28:52 ID:F5t3rTTC
人形遣いさん乙ー。


ところで、おざなりダンジョンからキリマン召喚とか書く人いないだろうか。
モンスターでもアンデッドでもお友達になれるからヴィンダールブになるだろうけど。
あと、ソード・バスターのキートンとか。
理解不能さ加減にルイズ涙目だろうけど。

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:37:07 ID:eD0kd7+S
>おざなりダンジョン
モカ召喚――ケンカ大好き、権力になびかない、ルールも無視。ただし大切なものを見る目と、弱いものいじめしないところ、人をひきつけるところがある。……だめだ、踏み台クロスしか想像できない。
真龍との戦いの際に行方不明となったエスプリ、という点もあるが……夜天の人と同じような展開になるな。
難しいものです。

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 12:50:37 ID:hkUIFaDM
>>597
おざなりは俺も考えたが・・・
無理だな

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:05:00 ID:cuQETu9/
>>597
どのキャラも立ちまくってるからなぁ・・・

ゼロ魔側が喰われっぱなしになるかも

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:09:25 ID:X+yjwJZs
ええい、メイジだ平民だレコンキスタだとやかましい!
戦争なんかしてないでおまえら俺の歌を聞けぇ!


ボエエエエエエエエ!

な彼召喚は駄目ですか?

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:11:35 ID:KKa4dla2
ブルマンなら……コルベールの上位互換になるか
時期によるが、実用レベルの内燃機関の知識はあるし、火薬、爆薬、銃も扱えるはず

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:14:25 ID:3xUsb4k5
>>600
何という新兵器

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:15:28 ID:bZ1xUgnR
>>600
歌いなさい、お前の禁じられた

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:33:52 ID:kLGAqdq1
魔法陣グルグルではキタキタ以外まだ来てないな

605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:54:48 ID:lhYezOSR
>594
 高飛車なテファ?やめてくれマチルダ姉さんのゴーレムに踏みつぶされ(足蹴

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 13:56:33 ID:uc7OUgKP
ダークソードのジョーラム召喚はどうだろう。黄泉の国に行く直前なら、壊れたグェンドリンを保護・治療するのと引き換えに使い魔に。
ダークソードも無いからデルフいらない子にならないし。

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 14:21:11 ID:A9K6uRuW
トライガンからウルフウッド召喚のSSを投下してもいいですか?

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 14:22:39 ID:Qo9mkYQN
いいよ

609 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:38:11 ID:A9K6uRuW
『虚無と狼の牙』
「トライガン・マキシマム」からニコラス・D・ウルフウッド
で投下します。まずは8レスくらい。

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 14:39:50 ID:OEPqhtR+
支援

611 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:40:52 ID:A9K6uRuW
「虚無と狼の牙」1-1

 彼は満足していた。守りたかったものは無事守りぬけた。
取り戻したかったもの――救いたかった人物は無事救い出せた。
志半ばで倒れることが無念でなかったかと言えば、それは嘘になる。
しかし、それでも彼は満足していた。自分が命がけで未来を託した人々に。
二度と帰る事は出来ないと思っていた故郷。そこに彼は帰ってこれた。
その幸福と歓喜に包まれて、そして無二の親友の傍で旅立てる自分は
――おかしいかもしれないが、そのとき世界で一番幸せな人間なのだと心の底から思っていた。
 一つの世界で狼は眠りについた。その牙を墓碑として。そして、もう一つの世界で狼は再び目覚める。



 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは呆然と立ち尽くしていた。
彼女の目の前には、爆風が巻き上げた砂埃の中がもうもうと立ち込めている。
そして、その砂埃が収まるにつれそこにあるものの姿が少しずつ白日の下に晒されようとしていた。
「な、なによ、これ……?」
 ルイズの起こした爆風にむせ返っていた周りの少年少女たちも、ルイズの視線の先にあるものに目を向ける。
そこにあったのは短い棒と長い棒を直角に組み合わせたようなデザインの物体。見たこともない形の物体に彼女は戸惑う。
「何かのお墓? 記念碑?」
 目の前の物体はその長い方の棒を深々と地面に突き立てて、そこに立っていた。
 その頃になると、最初は目の前で起こったことに戸惑っていたほかの少年少女たちも冷静さを取り戻し、ルイズに対して野次を飛ばし始めた。
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』でこんなオブジェを呼び出してどうするの?」
「さすがはゼロのルイズだ。まさか、生物ですらないものが出てくるなんて驚きだよ!」
「ち、違うわよ。ちょっと、そう、ほんのちょっと失敗しただけよ!」
 ルイズは両手を硬く握り締め真っ赤な顔になって、周りの少年少女に言い返す。
「ミスタ・コルベール、もう一回、もう一回召喚させて下さい!」
「え、あぁ、うん。しかし、不思議だなぁ。サモン・サーヴァントで生物でないものが呼ばれるなんて前例、聞いた事がないぞ」
 コルベールと呼ばれた男はあごに手を当てて考え込む。
「で、でも、こんなのとどうやって使い魔の契約を結べって言うんですか!?」
「……確かにそれもそうですね。納得できない部分も多いですが、これでは致し方ありません。もう一度だけですよ、ミス・ヴァリエール」
 コルベールはなおも納得できないように首を左右にかしげながらも、もう一度の召喚魔法の許可を出した。
ルイズは再び例の物体と向き合うような形になり、呪文を詠唱すべく精神を集中し始めた。
「今度こそ……」
 ルイズは大きく深呼吸して、胸の前で杖を構えた。そのときである。目の前の物体が少しだけ動いた。
「え?」
 ルイズは目を見開いて、目の前の物体の動きを観察する。それは右に左にゆっくりとした速度で揺れていた。
そして、ルイズは気が付いた。これはこの物体が動いているんじゃない、この物体の刺さっている地面が動いているということに。
そして、彼女が地面に視線を移したとき、ゆっくりと根元の土が盛り上がって――
「きゃぁー!」
 思わずルイズは大声で悲鳴を上げていた。彼女が思わずしりもちをついた、その前には人の腕が地面から生えていた。
 ルイズの悲鳴に呼応するように周りの少年少女たちからも悲鳴が上がる。突然地面から人の手が生えてきた。
地面から人の腕が生えている、異様な光景である。それを傍で見ていたコルベールも呆然と立ち尽くすしかなかった。
 その腕は黒い服を着ていて、その大きさと形からおそらく若い男のものだということがわかる。しかし、腕が生えてきただけでは事は終わらなかった。
その腕はなおももがくように動き、地面を引っつかむように手をかけた。そして次の瞬間
「ぷはー! なんやっちゅうねん、死ぬかとおもたで!」
 土くれをあたりに撒き散らしながら、若い男が顔を出した。その男はしばらく大きく息を吸ったり吐いたりした後、目の前で腰を抜かしているルイズを見つけて声を掛けた。
「ちょっと、そこのおじょうちゃん。悪いけどワイをちょっと引っ張り出してくれへんか?」
 彼は彼なりにこの不審極まりない状況にて、これ以上不審感を抱かれないよう爽やかに笑ってみせていたつもりだったが、そんなことはルイズには関係なかった。
ルイズはしばらく固まっていたが、やがて唇をわなわなと震わせると、沈黙を破るように大声で叫んだ。
「な、なんでなのよぉー!」


612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 14:42:07 ID:jqQcp4rq
子供好きのウルフウッド支援
まあ、ウルフウッドもガキだが

613 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:43:18 ID:A9K6uRuW


 土の中から現れた男は冷静に服に付いた土を払っている。
男は見た目は二十代後半くらいの若い男で、黒いスーツと開襟シャツ、そして茶色の革靴を履いていた。
ちなみにどれもこの世界ではなじみのないものである。
髪の色は黒く、身長はコルベールより頭一つ分高い。
ルイズの周りにいた少年少女たちは食い入るようにその姿を見つめている。
そんな視線もお構いなしに男は服の土を払い終えると、懐からサングラスを取り出しそれを掛けた。
そして、くるりと隣を振り向くと、人懐っこい声を出した。
「いやー、おっちゃん引っ張り出してくれておおきにな。ほんま往生したで」
 軽く右手を出して、彼はコルベールに礼を言った。
「まぁ、あのまま埋まっておられても、こちらとしても困りますから」
 コルベールは「困ったなぁ」と小さく呟きながら頬を掻いた。
 結局、ルイズは腰を抜かしたままで、男を引っ張り出したのは傍にいたコルベールだったのだ。
 男はそれから辺りをゆっくりと不思議そうに見回した。そうすると、どうやら自分の周りには子供しかいないことに気が付いた。
「なぁ、おっちゃん。ここ孤児院か?」
「んなわけないでしょ! あんた一体どういう目してんのよ! 学校よ、ここは学校!」
 孤児院という彼の言葉に、さっきまで呆然としていたルイズが反応した。
「へー、ここが学校か。はじめて見たわ。割合この辺りは裕福みたいやな。みんなそれなりにちゃんとした格好しとるし、それに」
 男は一人の太った少年に目をやった。
「栄養状態も悪うはなさそうやしな」
 そして、軽く笑った。
「ふざけないでよ!」
 男の態度にルイズがムキになって叫ぶように答えた。
「なんや、そうカリカリすんなや、冷たい嬢ちゃん」
 男はそう言って噛みつかんばかりのルイズを軽く流した。
彼の人生経験上、子供たちが集団で生活している場所といえば孤児院しか思いつかなかったのである。
ちなみに、彼は頼んだのに引っ張り出してくれなかったことをちょっと恨んでいる。
「この格好を見たらわかるでしょ」
「すまん、わからへん」
 悪びれずに答える男の前で、ルイズは杖を両手で折らんばかりに握り締め歯軋りをしている。
「なぁ、あれって平民、だよな」
「そうよね、貴族はあんな格好しないよね」
 そうこうしているうちに彼らの周りにいる少年少女たちはひそひそ話を始めた。
「ルイズー、いくら魔法が出来ないからってそこらへんの平民を連れてくるなよー」
 その中の少年がそう野次を入れると、どっと笑い声が湧いた。
「ち、違うのよ。こ、これはきっと何かの間違い! だって、わ、私の使い魔が、こ、こんな」
 震える手でルイズは男を指差す。しかし、男はそんなものどこ吹く風だ。
「しかし、これが死後の世界いうやつか。なんか、想像していたんとえらい違うというか。なんか、周りはガキばっかりやし、拍子抜けするわ」
 それから、誰にも聞こえないような小さな声で「てっきり外道は地獄に落ちるもんやとおもてたけどな」と自嘲気味に笑いながら、ひとりごちた。


614 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:45:01 ID:A9K6uRuW
「ミスタ・コルベール!」
 ルイズが怒鳴った。何かを考え込んでいたコルベールはその声にゆっくりと顔を上げた。
「なんだね。ミス・ヴァリエール」
「あの! もう一回召喚させてください!」
 召喚? なんやそれ、と男は心の中で呟いた。
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
「決まりだよ。二年生に進級する際、君たちは『使い魔』を召喚する。今、やっているとおりだ」
 使い魔? そう言えばそんなことをこのおじょうちゃんはさっきから言うとるな。
「それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。
一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。
何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。
奸むと好まざるにかかわらず、彼を使い魔にするしかない」
「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません! しかもこんな奴!」
 こんなやつ呼ばわりかい、とボソッと呟きながら男はそのやり取りを他人事のように眺めていた。
「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。彼は……」
 コルベールは、男を指差した。
「ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければならない。
古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。
彼には君の使い魔になってもらわなくてはな」
「そんな……」
 ルイズはがっくりと肩を落とした。
「さて、では、儀式を続けなさい」
「えー、こ、こんな土の中から出てくるような男と」
「そうだ。早く。次の授業が始まってしまうじゃないか。
君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね? 
何回も何回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。いいから早く契約したまえ」
 そうだそうだ、と野次が飛ぶ。
 ルイズは男の顔を、困ったように見つめた。
こうして見つめると、彼の背が高いことがよくわかる。
おそらく頭二つ分は背が高いだろう。ルイズはこんな大きな男性を見るのは初めてだった。


615 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:46:24 ID:A9K6uRuW
「ねえ」
 ルイズは、男に声をかけた。
「なんや、じょうちゃん」
「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。だから、ちょっと顔をこっちに向けなさい」
 なにをするつもりやねん、と心の中で思いながらも男はとりあえず素直に彼女の目線の高さに顔を向けた。
 ルイズは、諦めたように目をつむる。
 手に持った、小さな杖を男の目の前で振った。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 朗々と、呪文らしき言葉を唱え始めた。すっと、杖を男の額に置いた。男は怪訝そうに眉をひそめた。そして、ルイズはゆっくりと唇を近づけてくる。
「ちょ、ちょっと待ちい――」
「いいからじっとしてなさい」
 怒ったような声で、ルイズが言った。
 ルイズの顔が近づく。
「いや、いきなりそういうのはやなぁ……」
 男は少し抵抗しようと思ったが、すぐに死後の世界ってこんなもんなんかな、と思い直す。
そして、されるがままにルイズの唇が、男の唇に重ねられる。
 あの世っていうのはサービスがええんやな。
けど、ワイ別にこういう子供が趣味とかそういうことはないんやけど。そんなことを男は思っていた。
「終わりました」
 ルイズ顔を真っ赤にしている。照れているらしい。いや、もしかしたら屈辱に対する怒りかも知れへんな。
「まぁ、そのなんや。仕事ご苦労さん」
 そう言って、男はルイズの肩をねぎらうように叩いた。その手をルイズは乱暴に払いのける。


616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 14:46:28 ID:jqQcp4rq
パニッシャーの弾はどうすんのかね

617 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:47:52 ID:A9K6uRuW
「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」
 コルベールが、嬉しそうに言った。
「相手がただの平民だから、『契約』できたんだよ」
「そいつが高位の幻獣だったら、『契約』なんかできないって」
 何人かの生徒が、笑いながら言った。ルイズが睨みつける。
「バカにしないで! わたしだってたまにはうまくいくわよ!」
「ほんとにたまによね。ゼロのルイズ」
 見事な巻き髪とそばかすを持った女の子が、ルイズをあざ笑った。
「ミスタ・コルベール! 『洪水』のモンモランシーがわたしを侮辱しました!」
「誰が『洪水』ですって! わたしは『香水』のモンモランシーよ!」
「あんた小さい頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。『洪水』の方がお似合いよ!」
「よくも言ってくれたわね! ゼロのルイズ! ゼロのくせになによ!」
「こらこら。貴族はお互いを尊重しあうものだ」
 そんな喧騒を男は「ガキはどこの世界でもガキやな」と思いながら眺めていた。
 そのとき、男は自分の体の異変に気が付いた。体が熱い。
 なんや、これは。『薬』、か? いや、違う。その感じやない。まさか、さっきので?
「おい、おんどれ、ワイの体に何をした?」
 男は身をかがめて、上目遣いにルイズをにらみつけた。
今での飄々とした男からは考えられない、その殺気に満ちた目にルイズは思わずたじろぐ。
この男は一体何なんだろうか? 
ただの普通の平民とは違うこの、狼のような殺気は? 
目の前の男の殺気に彼女はおびえた。
「それはキミの体に使い魔のルーンが刻まれているんだ」
 動けないままでいるルイズの代わりにコルベールが冷静な声で答えた。
「……さっきから、召喚やら使い魔やらわけのわからんことばかり。悪いけど、説明してもらうで」
「えぇ。あなたにはその権利がありますから」
 コルベールは冷静に男にわかりやすく、召喚と使い魔について説明した。
「ちゅうと、なにか? ワイはこのちっこいおじょうちゃんの使い魔いうのになるために呼び出されたっちゅうことか?」
「そうなりますね。そして、あなたの左手に刻まれたルーン、それが使い魔の証なのです」
「ふーん」
 一瞬はまるで狼のような殺気を放った男も、コルベールの話を聞いているうちにさっきまでの人懐っこい表情に戻り、左手のルーンを目線より高く持ち上げて眺めている。
「まぁ、しゃあない。そうやって現世での罪を贖えという神さんの思し召しかもしれへんしな」
 男はそう一人で呟いて、一人で納得したように頷いた。
「よし」
 そして、男はルイズのほうを向き直ると、右手を彼女に向かって差し出した。
「ほな、じょうちゃん。ワイの名前はウルフウッドや。これからよろしゅうな」
 ルイズはしばらく納得できないように口を尖らせていたが、やがてあきらめたように
「ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
 とだけ言った。そして、おずおずと右手を差し出した。
「ほな、ワイが使い魔ということで一つよろしゅうな」
 ウルフウッドは人懐っこい笑みを浮かべたまま、握手したルイズの手をぶんぶんと振った。

618 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:49:07 ID:A9K6uRuW


 誰もいなくなった校庭をウルフウッドとルイズは歩いていた。
「しかし、人が飛ぶとはほんまおどろいたで」
「あ、そ」
「なぁ?」
「なによ?」
 ルイズは言外に殺気を込めて返事をした。
てっきり、「なんであんたは空飛べへんの?」とでも言われると思ったからである。
実は彼らは使い魔召喚が終わったあと、飛んで授業に向かう他の生徒たちに置いていかれたのだった。
「あんたら、ってひょっとしてプラントか?」
「はぁ?」
 予想外の質問にルイズは素頓狂な声を上げた。
「いや、なんか空飛んだりしてるし、もしかしたらそうかなーっておもたんやけど」
「違うわよ! そもそもプラントって何よ!」
「そうか、ならまぁええわ」
 なら質問してこないでよ、とルイズは思ったが、この男相手に下手に話を蒸し返しても流されてこっちがむかつくだけだということを学習したので、ここはおとなしく引き下がっておく。
「ねえ、あんたのその担いでいるものって何?」
「これか? 十字架や。知らへんのか?」
「知らないわよ、そんなの。なに、あんたの生まれ故郷の特産品かなんか?」
「まぁ、そんなところやな」
 この世界が自分の元いた世界と違うということを認識しているウルフウッドは、ルイズが十字架を知らないという事実にはそれほど驚かなかった。
「あんた、一体何者なの?」
「牧師」
「牧師?」
 ルイズは不思議そうに彼を眺める。
「牧師って、神官みたいなものよね?」
「そやな。ちなみにこの十字架はワイの商売道具」
「って、あんたまさか異教徒?」
 ルイズは驚いた声を上げた。
「異教徒、言われたら、そうかもしれへんな」
「そうかも、ってあんた、それとんでもないことよ! ばれたら異端審問にかけられるわよ!」
「何それ?」
「わかりやすく言えば、死刑」
「おーこわ」
 と対して怖そうではないウルフウッドの態度にルイズはイライラを募らせた。
「あんたね! 本当にそういうのは危険なのよ! 異教徒というだけで焼き討ちされた村もあったりするし」
「大丈夫。ワイ、別に神様信じているわけちゃうから」
「……信じらんない」
 自称牧師から飛び出したとんでもない発言にルイズはあきれ返った。
ウルフウッドはそんなルイズを見て、少し頬を緩める。
そんなウルフウッドの態度が気に食わないルイズはそのまま彼に話しかけることなく、歩く速度を速めた。



619 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:51:25 ID:A9K6uRuW


 空には二つの月が浮かんでいる。赤い月と青い月。
 それを見上げながら、ウルフウッドはここは別の世界というよりもまた別の星なのかもしれないと思っていた。
あれからルイズに連れられるままに、ウルフウッドはルイズの部屋へとやって来ていた。
「あんたどっから来たの? 牧師ってことはロマリアから?」
「ちゃう。その、なんつーか、もっともっと遠いところや」
 ベッドに座ったルイズからの質問に、ウルフウッドは興味なさげに答えた。
「あのねえ。あんた平民でしょ? 平民が貴族にそんな口の聞き方していいと思っているわけ?」
「あぁ、それちょうど聞きたかったんや。その平民ってなんやねん」
 ルイズは額を押さえて大きくため息を付いた。
「こんなことも知らない田舎者が私の使い魔なんて」
「ええから、説明してや」
「あんた魔法使えないでしょ」
「使えへんな」
「なら、それが平民。魔法が使えるメイジが貴族。わかった?」
 ふーん、とウルフウッドは鼻を鳴らす。まぁ、なんとなく納得は出来る話だった。
そして、そこでふとした疑問が湧いてきた。
「それやったら、おじょうちゃんは魔法が使えへんのになんで貴族なん?」
 そう言うとルイズの蹴りが飛んできた。
「なんも蹴らんでもええやん」
「あんたがしょうもないこと言うからでしょ! あんたが悪いのよ、あんたが」
「はいはい」
 ルイズはきーっと歯を食いしばる。この男の堂々超然とした態度が気に食わないのだ。


620 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:52:25 ID:A9K6uRuW
「あんたね、使い魔なんだから、もっと使い魔らしくしなさい」
「それも聞きたかったんやけど、使い魔ってなにするもんなんや?」
「使い魔っていうのはねえ、まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「ちゅうと?」
「使い魔が見たものは、主人も見ることができるのよ」
「ふーん」
「でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、何にも見えないもん!」
「そら、ワイの視界が見えていたらパンツ隠すやろ」
「なっ!」
 そして二発目の蹴りが飛んできた。
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
「秘薬?」
「特定の魔法を使うときに使用する触媒よ。硫黄とか、コケとか……」
「へー、そんなん使うんや」
「あんた、そんなの見つけてこれないでしょ! 秘薬の存在すら知らないのに!」
「無理やな」
 ルイズは苛立たしそうに言葉を続けた。
「そして、これが一番なんだけど……、便い魔は、主人を守る存在であるのよ! その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目! でも、あんたじゃねぇ……」
 ウルフウッドは何も答えずにただ笑っている。
「何よ?」
「まぁ、少なくともガキ一人くらいやったら守ったるわ。安心したらええで」
「ご主人様に向かってガキって!」
「ガキはガキや。昼間かてガキみたいなケンカしとったやろ」
 心当たりのあるルイズは言い返せない。
「もう、疲れたから今日は寝る!」
「おやすみ、ってなにやっとんねん!」
 ここでウルフウッドが初めて驚いた声を出した。ルイズが脱いだ下着を彼に投げつけたからである。
「何って、着替えてるのよ。あと、それ洗濯しといてね」
「男の目の前でか? それに、言っとくけどワイそういうサービスはあんまり」
「別に使い魔に見られたってなんとも思わないわ」
「まぁ、ワイもなんとも思わへんけどな」
「どういう意味よ?」
「そのままの意味や」
「言っとくけど、あんた床で寝るんだからね」
 そう言い放つとルイズは毛布を一つ投げた。
「おう、おおきに」
 ウルフウッドは毛布を受け取ると、そのまま床に横たわった。
てっきり文句か何かを言うと思っていたルイズは拍子抜けして、その勢いのままふて寝した。
 今まで平気で野宿をしてきたウルフウッドにとって雨風がしのげて凍える心配もない寝床は、それだけで十分満足できるものだったのである。
 こうして二人が始めてであった夜は更けていった。

621 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 14:52:54 ID:A9K6uRuW
とりあえず以上です。
続きはまた適当なときに投下します。

622 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 15:01:33 ID:bfBHq0K9
投下乙〜。

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 15:04:07 ID:JlHjeRm0
お疲れさまでした〜〜

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 15:05:05 ID:PBxRChxn
乙〜

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 15:39:26 ID:jJKybhQn
>>553
非常に亀だが...コミック版ではイーグル号はどう見てもネルソンの両舷に翼生やした
デザインだった。搭載砲も連装砲塔(艦底部にもあり)だったし。
あれは風石じゃなくて石炭で動いているとしか思えん。

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:24:08 ID:JlHjeRm0
それはあきらかにコミック版作者の暴走だから。
ノボル神に文句は言うなよ?

627 :ゼロのエルクゥ11 0/5 ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:34:20 ID:/9qjv1RY
予約が無ければ5分後に投下したいと思いますが、よろしいでしょうか?

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:34:45 ID:PDXV0gU8
私は一向に構わんッ!

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:35:20 ID:h7psGmzM
当然支援だ!

630 :ゼロのエルクゥ11 1/5 ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:39:22 ID:/9qjv1RY
「やれやれ、できればもう少しスマートにやりたかったんだがねえ……ま、すぐにバレるだろうが、逃げる間ぐらいは時間が稼げるだろ。ったく、ホントあのクソジジイのセクハラったら……!」

 学院より四半日ほど離れた街道を、ロングビル―――『土くれ』のフーケは、ゆったりと幌付きの馬車で進んでいた。
 周囲に人影が無いのを確認して、懐から何かを取り出し、しげしげとそれを眺める。
 泥のついていない小奇麗なマツタケ。そんな風に見えるキノコだった。綺麗すぎて、どこか蝋細工のようでもある。

「"食べた者に、烈火の如き勇気と力を与えるキノコ"……ま、あたしはそんなんいらないし、いつものように、適当なルートに売り払おうかね」

 自らを匪賊に貶めた連中に対する復讐、なんて感情も、とっくの昔に擦り切れてしまった。
 話によれば、近いうちに自滅するみたいだが……たぶん、あの時にああしなかった貴族―――王族なんて、皆無だろう。良い意味でも悪い意味でも、王というのはそういうものだ。王弟だからと言って手心を加えなかったのは逆に高潔であるとも言える。
 そういう意味では、最初から、別段、特定のどこかや誰かを殺したいほど憎いという訳ではない。代わりに、貴族、なんていうもの全てが嫌いにはなったが。
 高慢ちきなお貴族様が宝物を盗まれてあたふたするのを眺めて楽しむ。そのぐらいで十分溜飲は下がった。

「さって、珍しく安定してた収入はなくなっちゃったし、これからどうしますか……」

 キノコを懐にしまい直して、うららかな陽気に一伸びする。
 目の前では街道が交差し、分かれ道になっていた。

「……キナ臭い話もあるし、秘書の仕事が忙しかったしね。久しぶりにテファのところにでも顔出そうかしら」

 そう呟いて穏やかな笑みを浮かべると、フーケは馬車を北に向けた。

§

631 :ゼロのエルクゥ11 2/5 ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:40:27 ID:/9qjv1RY
 学院は、上へ下への大騒ぎだった。

「ふぅむ……まさかこの宝物庫に賊が侵入していたとはのう……」

 衛視から報告を受けたオスマンは、確かに"烈火のキノコ"が無くなっている事を確認して、大きくため息をついた。

「土くれのフーケ! 貴族達の財宝を荒らしまくっているという盗賊か! この魔法学院にまで手を出すとは、随分とナメられたものですな!」
「衛兵は一体何をしていたんだ!」
「フーケは盗賊とはいえメイジ、平民の衛兵など当てになるか! そもそもいつ盗まれていたのかすらわからないんだぞ!」


 集まった教師連中は、口々に好き勝手な事を喚き散らしている。話は紛糾するばかりで、実のある方向に向かっていく様子はなかった。
 オスマンはもう一度ため息をつき、現場を検分していたコルベールに話しかけた。

「ミスタ・コルベール、書き置きを発見したのは彼等二人なのじゃね?」
「はい。足を滑らせて扉にぶつかった折、鍵が掛かっているはずの扉が開いてしまったので驚いて報告したと。間違いないかね?」
「ま、間違いありません」
「ふぅむ……教師諸君! ここ最近、宝物庫に入ったものはおるか?」

 ざわついていた教師が一瞬静まり返り、顔を見合わせた。
 その内の一人が、おそるおそると手を上げる。

「に、二ヶ月ほど前、授業に使うための『遠見の鏡』を持ち出しましたが……」
「その時には?」
「こ、こんなものはありませんでした。ハイ」
「では、二ヶ月以内に入った者は?」

 再び顔を見合わせる。今度は、手を上げるものはいなかった。

「おらんか。犯行は少なくとも二ヶ月以内に行われた……手がかりナシに等しいの」
「あ、あの」

 衛視の一人が、こわごわと言葉を紡いだ。

「なにかあるのかね?」
「ほ、本日は、ミス・ロングビルがいらっしゃいました。宝物庫の目録を作る、とかで……お昼前ぐらいだったでしょうか。半刻ほどして、何事もなく出て行かれましたが……」
「ふむ……そういえば、そのミス・ロングビルはどこじゃ?」

 見渡してみても、あのぷりんとした尻は見当たらなかった。

632 :ゼロのエルクゥ11 3/5 ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:41:38 ID:/9qjv1RY
「見当たりませんね」
「そのようじゃな。あー、君々、ちょっとミス・ロングビルを探してきてくれんか」
「わ、わかりました」

 所在なさげに教師達を見やっていた衛兵の一人が頷き、早足で駆けていく。

「やれやれ。ガンダールヴといいフーケといい、新学期早々厄介事が続きおるわい」

 オスマンは眉間に皺を寄せて、ため息をついた。
 そのすぐ後、ロングビルの私室から『学院長のセクハラに耐えられないので辞めさせていただきます』という書置きが発見され、オスマンの眉間の皺がさらに深くなる事となったのだった。

 なお、彼の秘書に対するセクハラは公然の事実であったので、ロングビルの予想に反し、誰も"ロングビルがフーケであり烈火のキノコを盗んで逃げたのだ"と言い出さなかったのは余談である。

§

「明日のフリッグの舞踏会が中止ですって? なんで?」
「さあ? 中止っていうだけで、理由は誰も教えてくれないのよ。もう! せっかく特製のドレスでダーリンを悩殺しようかと思ってたのにぃ!」
「……はぁ。ツェルプストーはろくな事を考えないんだから」

 学院に帰ってきたルイズ達を待っていたのは、何やら慌しい雰囲気だった。

「まったく、今日は厄日かしらね、打つ手打つ手が全部裏目に出ちゃうわ。ルイズには先を越されるし、タバサもどこに行ってたのか話してくれないし」
「…………」

 食堂で夕食を取った後、ルイズはキュルケ、タバサと食後の紅茶を飲むのが日課のようになってしまっていた。
 キュルケは自分にとっても一族にとっても天敵だったはずなのだが、耕一が召喚されてからというもの、なんとなく印象が柔らかくなった気がして、話が続いてしまうのだ。(タバサの方は、キュルケが引っ張り込んで一緒に居るだけのようで、ほとんど喋らないが)
 その当人たる耕一は、いつもの通り厨房に行っていて、食堂内にはいない。そろそろ入り口に現れる頃だろう。

「なんでも、宝物庫に盗賊が入ったらしいわよ。あの『土くれ』のフーケ。先生が総力をあげて探してるから中止って話だけど」
「それ本当なの? モンモランシー」

 今日は、長いブロンドの髪を豪奢な巻き毛にした少女―――モンモランシーも、その輪に加わっていた。
 浮気者の恋人をワインボトルでしばき倒した、あの少女である。
 紆余曲折の末によりを戻した恋人が級友の使い魔に妙に傾倒しているので、彼女もその主人と交友を持つようになっていた。
 彼女自身、ルイズの事を内心バカにしていた一人で、使い魔とギーシュの決闘というのも見ていないのだが、プライドはえらく高い方であったあのギーシュが、あれ以来ルイズにも酷く丁寧に接するので、なんとなくそんな気持ちは薄れていたのだった。

633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:41:43 ID:PDXV0gU8
支援

634 :ゼロのエルクゥ11 4/5 ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:42:31 ID:/9qjv1RY
「『土くれ』のフーケ……今日街でもその名前を聞いたわ。貴族の屋敷から宝物を次々と盗んでいる怪盗だって」
「トライアングル相当って聞いてたけど……ここの宝物庫から盗み出したとなると、スクウェアクラスかもしれないわね」
「スクウェアの土メイジなんて、エリート中のエリートじゃない。なんで盗賊なんてやってるのかしら」

 フーケの件は厳重に緘口令が敷かれていたが、人の口に戸は立てられぬもの。
 舞踏会の中止が告知されるや否や、それとほぼ同時に、その理由として噂の口に昇っていた。

「ま、ともかく作戦は最初から練り直しかぁ。どうしようかしら」
「もう、ホントに盗賊が入ってたとしたら、そんな悠長な事言ってる場合じゃないでしょ。色ボケもいい加減にしときなさいよ」
「て言ったって、あたし達がピリピリしたって犯人が捕まるわけじゃないわよ」
「それは、そうだけど……」
「…………餅は、餅屋。ルパンに、銭形」
「そういう事。捕り物なんて、先生とか衛士隊とかに任せておけばいーのよ」

 うー、と黙ってしまったルイズを見て、難儀な性分ねぇ、とキュルケは苦笑し、紅茶のカップを傾けた。

「っていうかタバサ、るぱんとぜにがたって何?」
「…………あなたの、心です」

§

「学院長の方も、タバサちゃんの方も、手がかり無し、か」

 本来ならば絢爛な舞踏会が行われていたはずの夜は、しかしいつもの静けさのまま、人々を安らぎの闇に包んでいた。

『すまんのう。図書館の文献を当たらせてはおるが、まだ手がかりと言えるようなものは見つかっておらんのじゃ』
『仕事で遠くに行っていて、もうしばらくは会わせる事が出来ない』

 先程続けてもたらされた話を思い出して、耕一は肩を落とした。
 秘書が辞めてしまったらしく、書類に忙殺されていた老人に無理を言うのは憚られたし、基本的に善意で言ってくれているタバサに至っては言わずもがな。
 元々誰かに当たり散らすような性格ではないが、未だ慣れぬ異邦の世界ではうまく解消する術も無い。耕一は、肩を落とした姿勢のまま、腹に溜まった物を静かに吐き出した。

635 :ゼロのエルクゥ11 5/5 ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:43:55 ID:/9qjv1RY
「ま、そう気を落とすなって、相棒」
「気が利くねえ、デルフ」
「任せな。相棒のためなら気ぐらいいつでも利かせてやるさ」

 腰に差した剣―――デルフリンガーの鍔飾りが、カタカタと鳴る。
 陽気な彼とのお喋りは決して嫌いではなかったので、耕一は鯉口を締める事はせず、常に彼を喋る事の出来る体勢に置いている。
 それを気に入ったのか、彼は耕一を、相棒、などと呼んでいた。

「しっかし、別の世界から召喚された、ねえ。相棒も難儀なこったな」
「まったくだよ。なあ、お前は何か知らないのか? 六千年も生きてるんだろ?」
「残念ながら、そーいう細けえ事まで覚えちゃいねーよ。六千年つったって、最初の頃以外はホントつまんねえ事ばっかりだったしな。何十年も埃の被った棚に放置されたり、何百年も真っ暗な倉庫に入れっぱなしにされたりしてみ? ありゃ気が狂うね。マジで」
「はは、つかえねーの」
「ひでえ。でもま、相棒なら許してやる」
「そりゃどうも」

 広場に出ると、月明かりの中、まだ仕事を片付けている奉公人がちらほらと残っている。

「あ、それで一つ思い出した」
「何を?」
「相棒、俺を抜け」

 言われた通りに鞘から抜き放つと、錆びついていたその刀身が、微かに光り始めた。

「デルフ?」
「最初の持ち主が死んじまってから、ホントつまんなくてよ。世を儚んで、こんな格好にしてたんだが」
「う、おっ……!」

 その光は徐々に強くなっていき、やがて夜を切り裂き、視界を覆うほどに膨れ上がる。
 それが収まった時……耕一の手には、錆び一つ無く銀色に光り輝く、見事な名剣が握られていた。

「最初の頃は、こんなだったんだよ、俺」
「……先に言ってくれ。結構びっくりしたぞ」
「悪ぃ悪ぃ。驚かしたくてよ」
「こんにゃろ」

 広場に残っていた奉公人達が何事かと目を向けてきたので、慌てて女子寮の塔に飛び込む。

「ま、お前さんといると面白そうだからな。俺なりの誠意ってヤツだ。よろしく頼むぜ、相棒」
「ああ、よろしく。デルフリンガー」

 何千年という時を過ごしながらどこまでも陽気な剣の声に、少しだけ気持ちが軽くなった耕一だった。

636 :ゼロのエルクゥ ◆yxbMPy6fic :2008/04/20(日) 16:45:28 ID:/9qjv1RY
以上です。支援ありがとうございました。
短めで特に大きなイベントがありませんでしたが、一巻分が終了したのでキリよく。楽しんでいただければ幸い。

637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:47:12 ID:JlHjeRm0
うお、支援し損ねた!
すまんです!
お疲れ様でした!

感想は後ほど読んでから!

638 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:50:52 ID:dVrATZy4
乙です!
……フーケの襲来と共に姿を消しておきながら、全く疑われなかったミス・ロングビル。普段の学院長の行動が知れるというものですね。
テファのところに帰るというおマチさん、彼女が出会うだろう楓がどんなイベントを引き起こすのかを楽しみにさせていただきます。

639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:51:08 ID:lGtrwpn4
>>625
コミック見てないんだけど、ネルソンってビッグ7で”最も醜い姉妹”のネルソン?
砲術が発達して、遠距離統制射撃が出来ない限り旋回砲塔採用する意味無いんだけどな。

640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:52:36 ID:ply2GpuF
GJ!
烈火のって、セイカクハンテンダケか

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 16:54:34 ID:JlHjeRm0
読了、なんかものすごくすんなり盗難エピソード終わってますね。
これはこれで斬新ですね。


642 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 17:02:19 ID:jJKybhQn
>>639
その通り。ただし、第1砲塔が3連装で第2砲塔と艦底部砲塔が連装。のデザイン。
帆走じゃなく完全な鋼鉄艦。コミック4巻のP121に側面シルエットが、P123に
ほぼ全形が描かれてる。

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 17:58:31 ID:Xsswo8XN
烈火とキノコでマリオを連想した俺って orz

644 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 18:25:26 ID:u3uGOjtJ
イヤッフー

645 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 18:34:22 ID:JlHjeRm0
発:犬神航空基地指令
宛:類図艦隊司令部
当基地は対地攻撃機18、爆撃機17によりて現地時間18:50にて、
座標130−650付近に対地攻撃を敢行せんとするものなり。
されど護衛戦闘機の不足により、作戦遂行に困難を懸念す。
貴 艦隊艦載機、零式艦上戦闘機による支援は可能なりや否や?

646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 18:46:18 ID:EeLb9S/Q
わかりにくいんだぜ支援

647 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 18:48:36 ID:3G8ccUxp
試験中の艦載型紫電改を付けてやるから安心せよ。

648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 18:49:22 ID:5GcZeGn4
アッチョンブリケ

649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 18:51:53 ID:SEdK2Wo7
さあどうぞ

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 18:55:09 ID:5GcZeGn4
どーぞどーぞ

651 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 18:56:40 ID:JlHjeRm0
支援、ありがとうございます!

それでは、第18話です。実質17話な第18話です。


 チェサピーク領上空で行われた事から、後にチェサピーク空戦と呼ばれる
戦いの終了後、アンリエッタは艦隊旗艦メルカトール号上で、戦勝の演説を
行っていた。戦闘前の演説と同じく、魔法で全ての艦に声が届けられている。

「皆の者、良くやった! 我はそなた達を褒め称えよう! 良く攻撃した、と!
今日はよき日である。そなた達は今日、転換点となる歴史を作ったのだ!
思えばこの数十年、トリスティンはただ攻め込まれ、守りの戦ばかりをしてきた。
外征を一度足りと行えず、領土を切り取られるばかりであった!
さぞや鬱屈が溜まっていたであろう。己が祖国を小国と揶揄することすらあった!
だが我は、本日ただいまよりはその揶揄を捨てることを宣言する!
見よ、8隻ものほぼ無傷な、見事な戦列艦を! 
他にも多数の艦艇をわがトリスティンは手に入れた!
これだけの砲艦を手に入れたとなれば、わが国はすでに小国ではない!
ハルケギニアに胸を晴れる大国である!
しかも、これは我らトリスティンの先遣艦隊のみが勝ち得た戦果なのである! 
後続艦隊が到着すれば、その力はいかほどにまでなるか!
レコンキスタ、恐れるに足らず! 鎧袖一触とはまさにこのこと! 
将兵達よ、誇れ! 胸を張れ! 汝らは強い! トリスティンに栄光あれ!」

 アンリエッタの力強い演説が途切れると、艦上の将兵達の声が唱和した。

「我らは強い!」「我らは強い! 我らは強い! 我らは強い!」
「トリスティンに栄光あれ!」「トリスティンに栄光あれ!
 トリスティンに栄光あれ! トリスティンに栄光あれ!」
「アンリエッタ王女殿下、万歳!」「 アンリエッタ王女殿下、万歳!
アンリエッタ王女殿下、万歳! アンリエッタ王女殿下、万歳!」

 遠く離れた僚艦上からも、アンリエッタを称える声が木霊のように返ってくる。
だが空の上に木霊を返す障害物などあるはずもなく、音速の壁による伝播の
時間差でしかない。全ての僚艦上でアンリエッタを称えているのだ。
アンリエッタが手を上げ、続きを話すことを示すと、唱和は潮が引くように
消え去り、静寂が戻ってくる。

「我は、このよき日に、そなた等に更なる栄光を加えることを許す!
我は今日、3度の勝利を約束する! たった一度の、まぐれの勝利ではなく、
実力による完全なる勝利を証明するに足る、3度の勝利を約束する!
 そのふたつ目の勝利は、2時間後に与えられるであろう! 
邪悪なる背教者、レコンキスタの根拠地と成り果てたスカボロー港!
我らは、これを開放するのである! 皆、急ぎ次なる戦いの準備をせよ!
終わった者より、交代で仮眠を取り、ワイン1杯とパイを食す事を許す!
次の戦いは2時間後の予定である。それまで、英気を養うのだ!」

 怒号のような歓声が上がる。まぐれではなく、実力を証明する更なる勝利!
アンリエッタの約束したものがまさに与えられたばかりの彼らは、
更なる勝利の約束に熱狂していた。

652 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 18:58:20 ID:JlHjeRm0
 演説の後、堂々とした歩き振りで自室に戻ったアンリエッタ王女は。
椅子に座って寛いで…もとい、茹で上がっていた。
「姫様、又顔真っ赤です。」
高空なので結構涼しい、もとい寒いというのにアンリエッタの顔は真っ赤である。
ルイズとともはねが二人して扇で扇いでいるほどだ。
「伝令や戦況監察官も含めて丸ごと拿捕の完勝を記念する、
良い演説でございました。というわけで、次はこの演説をですな。」
と啓太は計画の第5段階を姫に説明して演説草稿を渡している。隣に立った
マザリーニ枢機卿も説明を受けており、自分用の演説草稿を読んでいる。
「やだ…またこんな恥ずかしい演説を!?」
説明する啓太にぼやくアンリエッタを、難しい顔のマザリーニが諭す。
「人の上に立つ者の仕事の一つにございます。おあきらめ下さいますよう。」
「で、でも。」
先ほどの演説も本当に恥ずかしかったらしく、アンリエッタは抗弁する。
戦闘開始前の演説においても、アンリエッタは茹蛸になっていた。
椅子に座っていれば大概の船員に見えない角度だったのは勿怪の幸いであった。
「啓太殿の言うとおりですな。これが一番効果的です。」
「おお、お分かりいただけますかな、枢機卿殿。姫殿下、ご理解ください。
王族には将兵を守り、聡し、導き、時には操る義務がございますのです。」

 かくして、アンリエッタは降伏したレコンキスタ艦に行幸した。武装を解除
され杖を奪われた貴族士官達。武装を解除され、縄をかけられた水兵達。
アンリエッタがまとうのは、啓太が貸した白銀のマント。日の光を浴びて
まるでダイヤモンドで織られたかのごとく、眩い輝きを反射するマントは、
清楚な乙女の身を飾るに実にふさわしく、アンリエッタを引き立てた。
(本当にダイヤモンド製なので当然なのだが)
その両脇に立つのがマザリーニ枢機卿とマンティコア隊隊長ド・ゼッサールだ。
啓太とともはね、ルイズなどはつつましく後ろに控えている。
上空にはいつでも降下ボーディングが可能な位置と砲撃可能な位置に
トリスティン戦列艦が並び、無言の威圧を放っている。

 レコンキスタ艦隊の主だった者と旗艦の水兵を集めたメインデッキを
見下ろすアッパーデッキ上にアンリエッタ達は立ち、演説を始めた。
多数のトリスティン水兵やメイジ達が見張りとして展開している。
その人数は、おおよそレコンキスタ4人につき1人といったところである。
彼らは安全確保の見張りのためという名目でアンリエッタ達に背を向けて
話を聞くことを命じられていた。だがそれは建前。彼らは、各担当の
レコンキスタ将兵の表情を重点して見ていろ、と言われている。


653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:00:54 ID:kKjnAOho
元ネタ知りたい支援

654 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:02:25 ID:JlHjeRm0
 演説の最初は、マザリーニ枢機卿だった。クロムウェルが虚無を
装うためにアンドバリの指輪を使っていること、それは始祖ブリミルの虚無を
冒涜する行為であり、レコンキスタに加担することは背教者として
異端審問にて有罪となるに充分な行為である事を知らしめた。
彼らレコンキスタの将兵に対し、レコンキスタの背教行為を説明したのだ。
(この時、ロマリア教皇の怒りに触れるで“あろう”等と推測形で言っている
だけであり、嘘ではない)

 ついで、ド・ゼッサールが説明し、アンドバリの指輪を使って
心を操る事によって主だった武将を反乱させたクロムウェルの行為を非難し、
操られた上官ゆえに従っていたと考えるものは後で名乗り出よと伝えた。
同時に、突然思考を翻し、操られたと思しき者達の情報提供を呼びかけた。

 最後にアンリエッタが、アルビオン国王の姪として救援に来たこと、
このままでは連合軍によってレコンキスタとその支配地域が
蹂躙されるであろう事、その前に素早く反乱を鎮め、アルビオンを荒廃から
救うために、アルビオンを思うものたちは協力して欲しいと訴えた。
(このままだとトリスティン以外が食指を伸ばすだろうから嘘ではない)

 最初に前に進み出たのは、一人の艦長だった。
「レコンキスタ艦隊重巡洋艦ワシントン艦長サー・ヘンリー・ボーウッド
にございます。私は上司の命令で仕方なくレコンキスタに組していました。
同時に、ロンディニウムの監獄塔に仲の良い同僚や部下達を囚われ、
彼らを人質代わりにされて従ってきたのです。アルビオン王党派よりの立場
だったが故に囚われた、頼もしく頼りになる仲間達でございます。なにとぞ、
彼らをお助けくださいますよう。さすれば私はこの場で従いましょう。」

 救出を訴えるボーウッドにアンリエッタが問いただす。
「レコンキスタは、そなた達に具体的にどう申したのです?」
「は。レコンキスタは、我らが良く働くのであれば牢の待遇もよくなるだろう、
戦後は流刑地に送るが殺しはしない。そう約束しました。ですが。我らが
寝返ったとなれば、生かしておく理由が消えまする。時間がございませぬ。」

 深い苦悩をにじませる訴えに、アンリエッタは、にこりと笑って答えた。
「レコンキスタが約束を守っているのであれば、救出の望みはありますね。
よろしい。我が従兄弟の忠実な部下達を助けるため、出来る限りの
努力をいたしましょう。代償はレコンキスタを叩き潰すまでのそなた達の忠誠。」
アンリエッタは、ついと片手を差し出した。
ボーウッドは、うやうやしくアンリエッタの手に接吻した。
怒号のように歓声が沸き起こる。この瞬間、アンリエッタは
レコンキスタ艦隊将兵の半分の心を掴んだ。



655 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:06:42 ID:JlHjeRm0
>>653
演説の元ネタなら特に無いです。適当に作りました。


 次に名乗り出たのは、フィッシャー砲術長だ。
「私はジョン・アルバスノット・フィッシャー砲術長。どうにも我慢ならぬ
事これあるにつき、恐れながら申し上げたく存じまする。
これを解消していただけるのであれば、姫殿下に忠誠を誓いまする。」

「聞きましょう。どのような不満なのです?」
「ありがたき幸せ。当艦隊には、無能なる将校が数多くおりまする。
中にはレコンキスタ万歳と真っ先に叫んだだけの理由で下士官から副艦長に、
よいですか、下士官から副艦長に昇進した者までおるのです。
このような暴虐非道、天の道理をわきまえぬ人事は、断じて我慢できませぬ。
しかし、レコンキスタに不満を漏らせば牢に入れられ、あるいは降格され
己の部下の中から選ばれたものが後釜に座るだけであるため、仕方なく
従っている者がなんと多いことか! 正当なる人事。これを望みまする。」

「そなた達の不満と鬱屈、確かに聞き届けました。」
 そういって、アンリエッタは居並ぶものたちを見渡し、宣言した。
「レコンキスタによって不当に地位を貶められたもの、不当な上司を
あてがわれたものは申し出るように。見張りの者達が多くいるはずゆえ、
それらに申し出ればよい! 正当なる人事が、直ちに行われよう!
ふさわしい者が遠き牢に囚われ、空いているポストは今は代理を立てよ!
近いうちにそのポストにはふさわしい人物が就くであろう!」
またも歓声が爆発した。アンリエッタの指示は、救出された上司や同僚が
帰ってくる事を意味していたのだ。

こうしてアンリエッタは、残る5割のうち、4割の心を掴んだのである。

 これらの話の間に、レコンキスタ将兵はじっくりと観察されていた。
観察していたトリスティン将兵達は、危険そうな者、反抗的な者、
レコンキスタに組して昇進していた者達等を分別して船倉に追いやり、
残る信頼できそうな者達を本来の地位そのままに使用したのである。
 無論、メイジの杖は取り合えげられていたし水兵の武器も取り上げられていた。
見張りのために、戦列艦に降下した魔法衛士隊員を中心とした
一群が乗り込んでもいたが、他は以前とほとんど変わりない。
信頼され慕われている副艦長などの人事が以前に戻った事を含めれば、
さらに変化は乏しく見えた。しかし、その所属と行動原理はまさしく正反対
となっていたのである。このあたりは、組織というものの長所であり欠点だ。
上に立つもの次第でその性質はいかようにも変わる。
だからこそ人事権を握る事が組織を握ることに等しくなるのである。

656 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:09:41 ID:JlHjeRm0
 レコンキスタの対トリスティン艦隊序列2位の重巡洋艦ワシントンは、
艦名を昔のヴァンガードへと戻した。サー・ヘンリー・ボーウッドは
艦隊指令代理となり、旗艦機能はニューヤーク改めタイコンデロガから
ヴァンガードへと移った。慣れた艦のほうが、指揮に集中できるからである。
“アルビオン親征艦隊”指令兼ヴァンガード艦長となったボーウッドは、
アンリエッタの命ずるままの通信をスカボローにと送っていた。
通信筒を運ぶのはレコンキスタ軍の制服を着たトリスティンの竜騎士である。
道案内として杖を預かられたアルビオンの竜騎士が先導する。
スカボロー港の所定の場所へ無事通信筒を届けた竜騎士達はそのまま艦隊に
とんぼ返りする。通信の内容は、平たく言うと

「現在艦隊指令方が負傷されたため、本官が代理で通信を送る。
トリスティン艦隊と行動を共にしていたガリア艦隊がスカボローに
向かっているので迎撃を求む。現在我が艦隊はトリスティン艦隊の掃討中にて
追撃不能。ガリア艦隊は民間船を装っているので注意せよ。航路は(後略)」

 というものである。直ちにガリア艦隊を迎え撃つために、
スカボロー駐留艦隊が出撃した。偽の情報に合わせた航路をたどって。

 それからしばらくして、次なる通信筒が届いた。平たくまとめると
「無事トリスティン艦隊を撃退するも相応の被害を受けたため緊急に修理と
補給の必要あり、比較的近い貴港にて修理を求む。準備を整えられたし。」
というものである。

 “アルビオン親征艦隊”には、アルビオン水兵服を着込んだ多数の
トリスティン陸戦隊が乗り込んだ。同時に、トリスティン艦隊からもたらされた
多くのうまい食い物…アルビオンの食事は食えればいいという程度で、
他国人からはうまい食材をわざとまずくする調理していると評される…と
うまいエールを与えられてご機嫌で協力を約束した元レコンキスタ陸戦隊とが
いまや遅しと出撃準備を整えていた。目指すは、スカボロー港である。

 大破もしくは中破したスループ船やフリゲート艦を
曳航した“レコンキスタ艦隊”が入港してくると、世界樹の枝には多くの
港湾労働者が群がり、接岸作業に入る。ほぼ全ての接岸作業が終わる頃、
一部の者達が疑問を感じた。艦隊司令部に向かった者達以外、誰も降りてこない。
その事を聞くと、一様に「取り逃がしたトリスティン艦隊が残っていて
こちらに破れかぶれの奇襲を仕掛けてくるかもしれないので下船禁止だ。」
との答えが返ってくる。
そんなものか? と納得していた彼らは目をむいた。
高らかに艦隊司令部のほうから鳴ったトランペットの『いざ切り込む時だ』
の曲と共に、するするとレコンキスタ旗が降ろされ、かわりにアルビオン旗が
掲げられたのだ。


657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:11:59 ID:kKjnAOho
そうなのか支援

658 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:13:16 ID:JlHjeRm0
 同時に、多数の陸戦隊が整然と上陸を始めた。
アルビオン水兵のように、あまりに数の多い下級兵士は、レコンキスタ専用の
制服というものを与えられていない。そこまで大量の制服の発注が
間に合わず、また反乱によってころころと所属が変わるたびに制服を与えるのでは
どうにも対処が難しいからである。よって、新規に制服を与えられたのは
レコンキスタ士官達である。艦の中から走り出て陸戦隊の前に出た士官達は、
一様にトリスティン艦隊の士官服を着ていた。

 港湾労働者に彼らを止められるはずも無く、止める理由も無い。
港の戦力のほとんどは“ガリア艦隊”が向かっているので迎撃されよ、
との偽情報で出払っており、まともな防衛行動は不可能だった。
スカボロー港艦隊司令部には、充分な数の魔法使い達が到着しており、
そのままあっさりと制圧された。そこに、無傷のトリスティン先遣艦隊が接近。
ほぼ無血で、スカボロー港は落ちたのである。味方が血の一滴も流さない、
完全勝利であった。

 陸戦隊を下ろしたトリスティン艦隊とアルビオン親征艦隊は、
一路東を目指した。そちらに、第3の獲物が待っているのである。

 レコンキスタ、タイン陣地艦隊総司令部にて、サックス・コーバーグ・
オブ・サウスゴータ(マチルダの叔父)は、はなはだ不穏当な報告を聞いていた。
「な、なんだと! 対トリスティン警戒艦隊が消息を絶った!?」
「は! スカボローにトリスティン艦隊と行動を共にしていたガリア艦隊が
向かっているので警戒するように、敵は民間船を装っているので注意せよ、
との竜騎士の通信筒による報告を最後に消息を絶ちました!」
「くっ! そういえばスカボローからの情報では!」
「スカボローからは、敵艦隊がこちらに向かっているとの情報を得たため
迎撃後タイン陣地に向かう、ついては集結に遅れるので許されよ、
との伝令が来ております!」
「うぬ、ガリア艦隊が来るはずが無いなどと! サイトとかいう新参者の
言を信じた我が馬鹿であったわ! 複数から発見情報が来ているではないか!
こちらは数で押しているのだ、余計な介入さえ排除すれば充分地上戦で
勝てるというのに、艦隊を移動させてしまったせいで対処しきれん!」

 詳しいアルビオンの切り抜き地図と、ハルケギニアの地図が重ねられた戦況卓。
アルビオンの地図は、時間に従ってハルケギニアの地図上を移動させられる。
その地図上には、いくつものレコンキスタ艦隊の駒が移動中を示す
マーカーと共に置かれている。どれもタイン陣地に向けて移動中であった。
移動中ということは遊兵化している、という意味でもある。
今現在は、敵と戦うことも警戒のため即応体制にも無いということ。
港に駐留している場合と比べて、片方の場所の特定が難しいため
情報の伝達も困難になる。 まさにそのタイミングを狙ったかのように、
敵が連携して同時攻撃を仕掛けてきたように見える。

「まさか敵の狙いはこの状況で叩くことだったのか!?
だとすれば一体何箇所で我らが艦隊が攻撃を受けているかわからん!
くそ! 私はクロムウェル閣下に報告してくる、ここを頼むぞ!」


659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:14:13 ID:eXXAwRLg
支援

660 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:16:13 ID:JlHjeRm0
 この世界に通信機はない。ある種の強力なマジックアイテムを使って
遠距離即時通話が可能な場合もある、という程度の世界である。
当然ながらほとんどの情報は自分でおもむくか、あるいは伝令などを使うしか
集める手段がない。集めた情報は移動にかかった時間の分だけ古いものである、
ということを考慮して使用する必要がある。
タイン川沿いのレコンキスタ本陣で大騒ぎが持ち上がっていた頃、
ガリア船団はレコンキスタ艦隊の接近を確認していた。

 ガリア『艦隊』ではない。ガリア『船団』である。
彼らはラ・ロシェールで異端船拿捕が始まる寸前までに出航した連中である。
啓太が意図的に選別して出航許可を与えるよう指示した船団だ。

「このリスト見るとずいぶんガリアの船が多いな?」
 先日、啓太の私設秘書団の一人と化したレイナールの報告書に、
啓太は疑問を呈し、いくつかの説明を受けた。
「それはもう、戦でもっとも必要なのは火の秘薬、硫黄だからね。
アルビオンには硫黄のまともな鉱山が無くて、買い入れるしかないんだ。
ガリアには火竜山脈という火山地帯があって、良質の硫黄を産出する鉱山が
たくさんあるんだ。なんでもレコンキスタは黄金並みの値を硫黄につけて
買いあさってるそうだよ。」
「なんだと!? 詳しく話せ! というか、詳しい奴は根こそぎ呼んで来い!」
啓太は、ほんの10分の情報収集と指示で、この作戦を展開した。
だが、本当に重要なのは、非常に有効なこの作戦の立案ではなかった。
それについては、後に説明するとして、今は『ガリア艦隊作戦』を追おう。

 商船の選別条件は、ガリア船籍でガリア人傭兵や戦略物資を運び、
船足が同じくらいで特定の同じ港、この場合スカボロー港、が目的地であること、
少しは武装していること、なおかつガリア王直轄商船もしくは異端容疑で脅して
大金をふんだくるのが難しいバックを持つ船、といったものである。
(ようするに、ガリア王ジョゼフに打撃を与えられそうな船)
これらを、「軍事訓練の都合上この時間帯しか出航を許可できない、
次は3日後だ」と通達して同じ時間帯に出航させ、「空賊船が出没しているから
なるべく固まっていったほうがいい」と“忠告”してあたかも一つの部隊として
統制されているかのごときまとまりを持った船団としてしまったのである。

 啓太の出した偽伝令によって疑心暗鬼となっているレコンキスタ艦隊は見た。
通常はばらばらに出航してばらばらにアルビオンに向かう商船団のはずが、
一塊になってスカボローを目指している。掲げる旗は全てガリア国旗。
偽装したガリア艦隊が来た、と誤解させるに充分であった。


661 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:19:41 ID:JlHjeRm0
 しかも、接触の少し前にガリア船団を守るかのように風竜隊が出現した。
先頭を駆るのは、小型の風竜に乗った、青い髪の少女だ。
「良いか、皆の者、この戦いの目的は敵に打撃を与えることではない!
攻撃を受けたという事実を作ることこそが目的である! 
必要の無い戦闘で一騎なりと部下を失うことを私は好まない! 
皆、生きて帰る事を至上とせよ! 攻撃、開始!」
啓太に入れ知恵された無口なはずの“シャルロット王女”が
長口上で檄を飛ばすと、制服を定めず思い思いの飛行服に身を包んだ
風竜隊がレコンキスタ艦隊…の周りを哨戒する竜騎士隊に襲い掛かった。
わずか数分の攻撃。というよりも、かなわぬまでも襲い掛かったが
あっというまに追い返された、とでも言うべき戦闘。
双方とも被害は無く、逃げる竜騎士隊の追撃も、
「深追いするな、ガリア艦隊におびき寄せる罠だ!」
とすぐに止められる。彼らの逃げる先に、遠く“ガリア船団”が見えていた。

 ガリア船団には、多くのガリア傭兵が乗り込んでいた。高い賃金を払う
レコンキスタ軍に雇ってもらうために乗り込んでいるのだ。
傭兵達は、船員達の邪魔にならない甲板上で、思い思いに寛いでいる。
それは、どう見てもガリア軍艦の陸戦隊にしか見えなかった。

 当然ながらレコンキスタ艦隊は問答無用で“ガリア艦隊”を攻撃した。
商船団である、との旗流信号も無視された。しかたなく自衛用のわずかな
大砲で反撃する船が続出したが、レコンキスタの誤解を深めるだけである。
“ガリア艦隊”は蹴散らされ、ほうほうの体で逃げ散ったのである。

 レコンキスタ艦隊が誤解と気づいたのは、完全に“ガリア艦隊”
を蹴散らしてしまった後だった。こんな報告をタイン本陣に送れるはずもなく、
艦隊指令はこのように報告した。

「わが艦隊は卑怯にも商船団に偽装した有力なるガリア艦隊を発見。
竜騎士隊ならびに大砲での攻撃を受けるも撃退、戦闘用スループ船3、
戦列艦1を撃墜、陸戦隊多数を殺傷。他国救援艦隊に補給のために
随行したと思われる輸送船多数を撃破・もしくは拿捕せしむ。」

 ガリア船団の船員達は当然帰った後にレコンキスタの海賊行為を語り伝えた。
これはガリア(国王ではなく)王国とレコンキスタの間に大きな溝を作り、
ラ・ロシェールを使用する商人達の対レコンキスタ感情の悪化を招いた。
レコンキスタ陣営に存在しないはずのガリア艦隊の来襲をしらしめて
ガリアとトリスティン以外の艦隊の実在を信じさせ、弾薬や風石の射耗を強要し、
兵員を疲労させ、拿捕船と言うお荷物を押し付けて動きを鈍くし、
レコンキスタ艦隊を誘引してアルビオン軍への攻撃に参加することを阻止し、
レコンキスタへの今後の補給を阻害した。豊富な資金を持ち硫黄を黄金並みの
値段で買い取るほどだったレコンキスタへの荷が止まったことにより
軍需物資の値段が暴落、トリスティンの物資調達が楽になるだろう事もあろうか。

 かくして、なんら腹の痛まない作戦により、啓太は多くの戦果を得たのである。
だが、最大の目的は、一時的に敵艦隊をスカボローから離れさせ、
その後良い位置で彼らを補足、撃破する絶好の機会を作ったことだろう。


662 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:23:27 ID:JlHjeRm0
 夕方、ガリア船を曳航してスカボローに帰ってきたレコンキスタ艦隊は、
アルビオン親征艦隊と“黒色枢機卿艦隊”の十字砲火とボーディングにより、
実にあっさりと撃破され、降伏もしくは逃亡したのである。

 トリスティン艦隊ではなく、“黒色枢機卿艦隊”によって、である。
啓太は、素早く取り付けられる支柱と畳1枚分程度のベニヤ板を多数組み合わせ、
艦のメインデッキの舷側近くに斜めに板を張り巡らせるプレハブ方式の
偽装装甲を施した。通常の船に翼をつけた艦形のトリスティン艦隊は、
それだけで飛行船型をした新式の船に(少しだが)形が似る事になり、
印象ががらりと変わる。さらに、メインデッキに張り巡らされた
偽装装甲板には両舷にいくつもの砲撃口が開いており、大砲が設置されていた。
ただの大砲ではない。木砲である。これは木製の大砲で、威力も弱く、
砲身の寿命も短く、単なる数合わせに使用されるものであるが、
軽く簡単に作れるのが利点だ。表面を青銅に錬金し、黒い塗装を施したので
傍から見る限りは本物に見える。これで、外形上はまるで別物である。

 さらに艦名を記した銘板をロマリア艦隊風のものに交換させ、ロマリア国旗と
枢機卿旗、司教旗、司祭旗などを掲げさせ、マストにブリミル紋を
白く染め抜いた黒い帆を上げさせたのである。船体は黒くタールで塗らせた。
トリスティン艦隊も腐敗を防ぐためタールを船体に塗っているが、船体に一筋
白い線を描いており、それが視覚的特徴とも言える。その部分を黒く塗らせたのだ。
これは、枢機卿自らが座上する旗艦を持つ場合だけに許される艦隊の特徴だ。

 ちなみに、法的には枢機卿が率いる艦隊ならどれでも黒色枢機卿艦隊となる。
しかし、枢機卿自身が個人として艦隊を持つことなどありえず、
前例から言って必ずロマリアの教皇聖下の命でロマリア艦隊から抽出される。
そこを突いたのである。しかも、ロマリア人司祭達が、各人金貨1枚で
“トリスティン艦を雇い、自分の配下とした”のである。命令は唯一つ
「マザリーニ枢機卿の命令に従え。」
こうして、形の上からはロマリア人の私設艦隊となったトリスティン艦隊は、
慌てふためくレコンキスタ艦隊を夕日の薄暗い光の中蹴散らしたのである。
 
 レコンキスタ本陣に最後に届けられたのは、陥落寸前のスカボロー港からの
報告とスカボロー駐留艦隊が逃走後によこした報告である。それによると、

 トリスティン艦隊を警戒しいていた艦隊はあっさりとトリスティンに
拿捕された、もしくは寝返ってスカボローを襲い、ガリア艦隊は
撃破されたものの実在し、ロマリアの黒色枢機卿艦隊が現れて我がほうの艦隊を
蹴散らしたため再集結しているかもしれない。
トリスティン艦隊はスカボロー出航後行方がわからず、
ゲルマニア艦隊は目撃情報があるにもかかわらず所在がつかめない。

 レコンキスタは戦慄した。明らかに、連合艦隊が来て我がほうに補足されない
様に動いている、しかも、味方艦隊がいつ寝返るかわからない、と。
彼らは集結させようとした艦隊を警戒のため再び分散せざるを得なくなったのである。


663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:23:48 ID:kKjnAOho
しえん

664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:23:55 ID:QwPPD2oO
590 :名無しさん:2008/04/20(日) 19:16:10 ID:LYWj/ef.
噂をすれば何とやら……か。まかり間違ってここ見て投下してやろうなんて気を起こしてやらかしたなら、何かもう色々と一回転して感心するわ。


591 :名無しさん:2008/04/20(日) 19:18:59 ID:R.lVY/hM
いぬかみ、って元ネタ架空戦記物だっけ?

665 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:32:08 ID:JlHjeRm0
 レコンキスタが接収し、司令部としている小さな村。住民はとうの昔に
逃げ出しており軍人のみが闊歩している。その村長宅には司令部が置かれ、
平賀才人に与えられた部屋は少し離れた一軒家にあった。隣には大きな納屋。
「サイト様!」「お帰りなさいませ。」「夕食になさいますか?」
「お風呂を先にします?」「それとも…ワ・タ・シ?」「ちょっと!」
「マノン、あんた昨日抱いてもらったばかりでしょ!」「今夜は私よ!」
「一人なんておっしゃらず私も!」「でしたら私も!」「私も!」
4人もの美女を与えられた才人は、相好を崩したが、一瞬後には顔を引き締めた。
「すまないが、全ては後だ。部屋に一人きりにし、盗聴されないようにしてくれ。」
 美女4人の顔も引き締まった。何度も調べているというのに改めて
調査を行い、魔法を使って調べ、2階の1室に結界を張った。
そこで才人は携帯電話で時間を確かめ、ヘッドバンドを取って
額に刻まれたルーンを露にするとひざまずき、ぶつぶつと独り言を繰り出した。

「陛下。陛下。偉大なる陛下の忠実なる僕、平賀才人にございます。
どうか、お声をお聞かせ願いたく。陛下。陛下。」
額のルーンが、淡く光る。5分ほどもそうしていただろうか。才人の顔が、喜びに輝いた。

 その頃、数日にわたる狩猟から王都リュティスはヴェルサルテイル宮殿に戻った
ガリア王ジョゼフは、部屋で一人となり、人形に向けて一人遊びを始めていた。

「おお、我が忠実なるミョズニトニルンよ。どうだ、そちらの手はずは。
もう王党派を撃破したか? なに? いまだ抵抗している? どういうことだ?
なんと、連合艦隊が!? わがガリア艦隊まで参加しているだと!?
ばかな、では、我のあずかり知らぬ連中が密かに参戦したとでも言うのか?
ふむ、それは面白い、こうまで我の思うが侭では、まったくつまらぬ。
少しは歯ごたえが無くては、ゲームともいえぬ。
なに、これでよいのか、だと?
はははは! かまわぬ、そもそも真の謀略とは、失敗したとて
己の利益となるように用意しておくものよ。
我が此度の謀略で、どれだけの物を得たのか、知っておろう!
 レコンキスタという反王家組織を表の顔として、我がガリア王国に
巣食う我に反目する者どもと接触してその実態の8割を掴んだ。
最近多い我に不満を持つものの暗躍とテロのうち、大きなものは皆事前に
思いとどまるよう誘導し、取るに足らぬ小さなテロや陰謀のみに押さえ込んだ。
 アルビオン王国の戦力を内乱で潰し合わせることによってアルビオンへの
警戒に割く戦力を削り、我に反するものどもへの警戒に回せた!
資金をレコンキスタに援助し、高値で硫黄を買わせることで値を吊り上げ、
我が所有する硫黄鉱山の価値を何倍にもし、硫黄商人たちにも膨大な税をかけて
膨大な利益を得た。その中からレコンキスタへの援助をしていたのは痛快だ。
奴らは、アルビオン貴族の領地を一つ手に入れるたび、溜め込んだ黄金を
我がガリアに流し込んでいることすら気づいておらぬ!
足りない分をまた援助してやれば、我の代理人に感謝して言うがまま。
いつでもレコンキスタを利用できる状態を維持しておる。他の国々も硫黄の
値上がりによって金を我がガリアに供給しておることに気づいておらぬ。
戦とはな、経済活動の一種だ、サイト。すなわち、我はもうすでに勝利しておる!」


666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:35:06 ID:Y6UOJnHX
しえn

667 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:36:10 ID:JlHjeRm0
「なに? それでも、できるだけ当初の予定通りに進めたい?
そんなにも張り切らずとも良いであろうに。我への忠誠のため?
サクシャとやらに弱体化される前に召喚した事への礼という訳か?
おぬしの言うことは時々良くわからぬ。しかしな、我は王党派、
レコンキスタ、どちらが勝利しようとかまわぬのだ。
 レコンキスタが勝てば、我の操る政権が誕生する。金銭感覚を破壊
してやった政権だ。すぐに破綻し、われが征服する下地となろう。
 王党派が勝てば、反旗を翻した貴族達への粛清が始まり、メイジの数を減らした
アルビオンは弱体化し、恨みと反乱の種がまかれ、我が征服する下地が出来る。
 潰しあいの末共倒れになるのであればやはり我が征服するにた易くなる。
 他の国が征服したのであれば、よほどうまく統治せぬ限り反乱の温床となる。
うまい統治などさせねば良い以上、解放者として我が征服するにた易くなるな。
いずれにせよ、我の得にしかならぬ。」

 それは、啓太の教える『リソースは少なく、常に一石二鳥も三鳥も狙うべし』
という方法をさらに1段上回る方法論であった。この段階にいたれば、
結果がどう転ぼうと失敗とはならない。成功し続ける事が可能なのだ。
失敗する場合は唯一つ。まったく予測不能な事態が起き、想定外の
方向に物事が転んでいく、という場合である。
すなわち、イレギュラーに弱いのだ。

 跪いた平賀才人は、一抹の不安を感じていた。ガリアを含む
連合艦隊が突如として救援に訪れるなど、想定外だった。
全ての宮廷で、事前に入念な誘導を仕掛けて救援するにあたわずと
世論を操作していたはずなのだ。それなのに、このタイミングでの
圧倒的な数の増援。ありえない。まったくのイレギュラーが起きている。

今後もそのイレギュラーが連鎖しないと、誰が言えるだろうか?

 無論、救援艦隊が来た以上、アルビオンは領土の一部割譲くらいは
飲まねばならないであろう。そうなれば、ガリア艦隊も来た以上、
アルビオン大陸に橋頭堡ができる事になる。レコンキスタが敗北したとて、
それはそれでめでたいことであり、問題は無いはずではあるのだが。
 才人は、意を決してガリア王ジョゼフに進言した。


「陛下。サイバインまでは必要ないでしょうが、せめてゼロの使用許可を。」



668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:36:55 ID:QwPPD2oO
さっさと投稿おわらせろよ
お前のろいんだよ邪魔なの
わかる?

669 :いぬかみっな使い魔:2008/04/20(日) 19:38:48 ID:JlHjeRm0
以上で今回の分の投下は終了です。
支援ありがとうございました。

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:42:06 ID:Y6UOJnHX
乙。

ただ、ジョゼフの説明セリフ長すぎない?
冗長になるかもしれんが、そこは地の文でやった方が良かった。

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:44:07 ID:2gA7nY1U
サイトがハーレム状態w


672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 19:45:05 ID:KKa4dla2
ウルフウッド乙!
ひょうひょうとしたキャラがいいな〜
戦闘や、聖地に来る最強兵器にも期待してる

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:03:20 ID:eL50cASy
いぬかみの人、乙でした。
それにしても戦記物?になってるw

674 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:09:33 ID:FGVih87Q
ウルフウッドの残りを15分から投下します。

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:12:16 ID:JlHjeRm0
>>673

ゼロの使い魔がもともと戦記物だしね。
あ、ツンデレ成分抜けば。


676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:12:58 ID:5CLhqghY
薔薇より酷くなきゃいいよ

677 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:17:03 ID:FGVih87Q


 翌朝、ルイズは目を覚ましてから、いつものように着替えを取りに行こうとして、床にある何かにつまずいた。
「いたーい!」
 つま先を打ち付けて、涙目でその場に倒れこむ。
何か硬くて大きなものが床に置いてある。
憎憎しげな目でその物体を見た。
そこには見慣れない布にくるまれた巨大な物体が置いてあった。
「……十字架?」
 ふとそんなことを思わず口走る。
「よう、じょうちゃん。おはようさん」
 いきなりそんなふうに声を掛けられて、ルイズは慌ててその声の方角に目をやる。
部屋の隅に黒い服を着た男が、こちらに背を向けて寝転がっていた。
そのまま右手を軽く挙げて挨拶をしている、つもりらしい。
 ここにきて半分寝ぼけていたルイズはようやく昨日の出来事を思い出した。
使い魔、である。彼が、ルイズの呼び出した使い魔なのである。
 ここにきてルイズの頭の中でふつふつと怒りが湧いてきた。
朝から蹴飛ばして痛い目を見たのは、この男の持ってきた荷物のせいである。
それに、そもそも根本的にこの男の態度が気に食わない。
「ウルフウッド! あんたこんなものを床に置いてどういうつもりよ!」
「どういうも、こういうも他に置くとこないやないけ」
 ウルフウッドは背を向けたままでどうでもよさそうに答える。
その態度にますます腹を立てたルイズは、この男を自分と同じ目に遭わせるべく、目の前の十字架を持ち上げてぶつけてやろうとした。
「っつ、ちょ、ちょっと、なによこれ。一体何で出来てるのよ?」
 十字架を掴んで持ち上げようとしたのだが、持ち上がらない。中腰で必死に踏ん張って見てもびくともしない。重い、むちゃくちゃに重いのである。
 そんなバカな、とルイズは思った。昨日、このウルフウッドはこの十字架を何でもなさそうに担いで歩いていたはずである。一体どうなっているのか。
「それ持ち上げるんは、おじょうちゃんには無理やで。重たいやろ?」
 気が付けばウルフウッドがのそりと立ち上がりルイズのほうを見ている。
「あー、もう、一体これは何なのよ!」
 腹立ち紛れにルイズは十字架を蹴飛ばそうとしたが、さっきそれで痛い目を見たことを思い出してあきらめる。
「何って、ワイの大事な商売道具や、って言うたやろ?」
 そして、ウルフウッドはどうでもよさそうにあくびをした。



678 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:18:18 ID:FGVih87Q


 ウルフウッドとルイズはならんで学院の廊下を歩いていた。
不機嫌そうに口を尖らせて先を行くルイズの後をウルフウッドが付いて行く。
 ルイズは不機嫌だった。
朝食の際に、ウルフウッドに自分との立場の違いを認識させてやろうと思ったら、ウルフウッドはあっさりと床に座り込みうまそうに固いパンとスープを食べた。
本人曰く、「黙っててもメシが当たるだけで御の字や」ということらしい。
この男がどういう生活を送ってきたのかは知らないが、この程度の扱いは彼の中では上等の部類に入るらしい。
 結局、仕返しの一つも出来ないままのルイズであった。
「あー、もうなんでこんな奴が使い魔に。けど、一度契約しちゃうと使い魔が死ぬまで新しい使い魔とは契約できないし」
 そんなことをいやみったらしくぶつぶつとウルフウッドに聞こえるように呟きながら、ルイズが歩いていると、ウルフウッドが声を掛けた。
「なぁ、じょうちゃん。使い魔いうのは死なへんと契約が切れへんっていうたよな?」
「そうよ、それが何?」
 ウルフウッドのほうを見ずルイズは不機嫌に答えた。
「ちゅうことはや、使い魔であるということはつまりは生きている、いうことになるんやな?」
「当たり前でしょ。それはそうと、わたしも聞きたいことがあるの?」
「なんや? 答えられることやったらなんでも答えたるで」
「わたしずっとあんたのこと普通の平民だと勝手に思っていたけど、本当にただの平民?」
「どういう意味やねん?」
「だって、あんた土の中から現れたし、ひょっとしたら人の姿をした土系統の幻獣かなんかかもしれないと思って……」
 ルイズはウルフウッドが土の中から現れたという事実に一抹の希望をかけた。
もしも、彼が土の幻獣か精霊の類ならば、さらにそれが人の形をし人語を理解するということになれば、それは非常にレベルの高い使い魔を召喚したということになる。
しかし、その希望はあっさりと打ち砕かれた。
「いや、ワイは人間やで」
 ウルフウッドは敢えて自分を『ただの人間』とは言わなかった。
 期待はずれの答えに、またルイズの怒りのボルテージは上がる。
「じゃあ、なんであんたは土の中に埋まっていたりしたのよ!」
「なんでって、それは多分……」
「多分、何よ?」
「多分、死んでもうたから埋められたんやと思う」
 この衝撃の告白にルイズは固まった。死んだ? 埋められた?
「そういえば、さっきあんたわたしに変なことを聞いてきたわよね? 使い魔っていうのは生きていないとダメなのかどうか、とか」
「うん。正直自信ないねん。自分が生きているのかどうか」
 ルイズは青ざめた顔で両手を固く握り、肩を振るわせ始めた。
「……あんた、わたしから離れなさい」
「なんやねん、いきなり?」
「いいから離れなさい! それでもう付いてこないで、いいわね!」
 ウルフウッドを指差して、言いたいことを言うだけいうと、ルイズはそのまま振り返ることなくその場から走り去った。
 ウルフウッドはその走り去る背中を見ながら「年頃の女の子いうのはむつかしいな」と思っていた。



679 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:19:37 ID:FGVih87Q


 あれからルイズは一人教室で頭を抱えていた。その隣に一人の女子生徒が腰掛ける。
「おはよう、ルイズ」
「おはよう」
 ルイズは顔を上げないまま返事をした。
「ねえねえ、あなたの使い魔って、普通の平民っていう話本当?」
「……違うわ」
「あらー、いっちょまえにとぼけちゃって。そんなことをしても無駄よ。あんたが平民を呼び出したっていうのはもう学院中のうわさなんだから」
「うるさいわね、キュルケ。違うっていったら違うのよ」
「何よ、そんなに平民を呼び出したことを認めたくないわけ?」
「……いっそただの平民のほうがまだマシだったわ」
 ルイズをからかうようなキュルケの口調にも、ルイズはのってこない。一人ただひたすらに沈んでいくだけである。
こりゃだめだ、と思ったキュルケは軽く両手を挙げて、これ以上からかうことをやめた。
「本当にただの平民だったほうがましだったわ。まさか、あいつが、ゾ、ゾンビだったなんて……」
 誰にも聞こえない声でそう呟いたあと、ルイズは机に突っ伏した。

 一方、その頃ウルフウッドは洗濯をしようとしていた。
他にやることがなくてひまだったというのもあるが、一応昨日ルイズに洗濯を頼まれていた手前それはやっておこうと思ったのである。
なんだかんだ言ってもこの男は律儀なのだった。
 けど、いざ洗濯をしようと思い立ったはいいものの、どこに道具があるかわからない。仕方がないので、近くを歩いていた人に声を掛ける。
「そこのメイドのじょうちゃん。すまんけど、洗濯道具がどこにあるか教えてくれへんか?」
「はい?」
 腕いっぱいに洗濯物を抱えたメイド服の少女はその声にウルフウッドのほうを振り返った。そして、ウルフウッドを見てなにかをひらめいたような顔をした。
「あ、ひょっとして、あのあなたはミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」
「そやけど」
 何で知ってんの? とウルフウッドは首を傾げる。
「くす。だって、有名ですよ。ミス・ヴァリエールが平民の人を召喚しちゃったって」
「まぁ、それはそうなんやけど、その平民とか使い魔いうのはやめてくれへんかな。なんかどうもそういう言い方は好かんねん」
「あ、す、すみません」
「いや、別にかまへん。怒ってるわけちゃうから」
 慌てて謝った少女をウルフウッドは苦笑いしながら右手で軽く制した。
「ワイはウルフウッド」
「あ、わたしはシエスタです。このトリステイン魔法学院でメイドをしています」
「ほな、よろしゅうな」
 ウルフウッドはシエスタに右手を差し出して、笑ってみせた。

 雲ひとつない洗濯日和の空の下、ウルフウッドは洗濯板を抱えて洗濯に精を出していた。
「あの、別にわたしの分までやっていただかなくても……」
「かまへん。ちょっとしたお礼みたいなもんやし、それにワイ洗濯好きやねん」
 恐縮するシエスタの隣で、ウルフウッドは黙々と洗濯を続ける。顔に嬉々とした色を浮かべて、本当に洗濯が好きなようだ。
「変わっていますよね。お洗濯の好きな男の人って」
「んー、ほんま言うと洗濯が好きなんと違うて、こういうのが好きなんや」
 不思議そうな顔でシエスタはウルフウッドを見る。こんなに幸せそうに洗濯をする男の人は始めて見た。
「こうやって洗濯なんかしてるとな、昔を思い出すねん……」
 ウルフウッドはそうひとりごちると、どこか遠くを見るように目を細めた。彼の人生の中で、唯一幸せだったとき。何も知らずに幸せだった昔。彼は洗濯石鹸の泡の中に、自らの故郷を見ていた。
 シエスタはそんな彼の横顔を、食い入るように見つめていた自分に気が付いた。
どうしてこの人はこんなに寂しそうな目をするのだろう、と思う。
そして、彼女の視線に気が付いた彼と目が合った。シエスタは思わず頬を染めて視線を彼からずらしてしまう。
彼はそのまま何事もなかったかのように洗濯を続けた。

680 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:21:04 ID:FGVih87Q
「ちょっと洗濯手伝うただけやのに、昼飯ごちそうになって悪いなぁ」
「いえ、いいんですよ。どうせ余ってしまうんですし」
「余るて、もったいないことするなぁ。あのガキ共……」
 ウルフウッドはそれから厨房にやって来ていた。
洗濯を手伝ったお礼としてシエスタにここで昼ごはんを食べさせてもらっていたのだ。
貴族用の豪華な食事は彼にとっては実に久々のまともな食事だった。
「メイドのじょうちゃん、あれだけでこんな風にメシ食わしてもらうのは悪いから、なんか言うてや。手伝うたるで」
「え、っとそれじゃあデザートを運ぶのを手伝ってもらえますか」
「まかしとき」
 こうしてウルフウッドはデザートを持って、シエスタと共に食堂へと向かった。

 ルイズは食堂でもまだ一人で落ち込んでいた。目の前の食事にもほとんど手をつけていない。それくらい彼女にとってはショックだったのである。
「おい、ルイズの奴随分落ち込んでいるみたいだな」
「魔法が出来ないからって平民を連れてきた罪悪感にさいなまれているんじゃないの?」
「ははっ、そうかもな」
 しかし、ルイズの耳には周りのそんな中傷も聞こえてこない。
どうやら土の中からあいつが現れたことも、周りの人間はそうやってルイズがもともと平民を仕込んでいたということで納得されているようだった。
 ルイズは泣きそうになる。周りから馬鹿にされているからではない。彼女が召喚してしまったものを嘆いているのだ。
 普通の平民ならまだよかった。しかし、よりにもよって自分が呼び出したのは普通の平民どころか、その死体。俗に言うゾンビという奴だ。
なんで、わたしの使い魔はそんな気持ちの悪い化け物なのか。
神様、魔法の才能がないばかりではなく、よりにもよってあんな化け物が使い魔なんて。いったいわたしが何をしたというのか。
「こら、出されたメシはちゃんと食わんかい」
 うるさい。こんな状況でごはんなんて喉も通らないわよ。
「おい、こら。無視するな、アホ」
 誰が、アホよ。確かに、今は言い返す元気もないけど、でも人を捕まえてアホはないんじゃないの。
 と、そこでその声が聞き覚えのあるものであることに気が付いた。
「きゃあぁー!」
「な、なんやねん!」
 ウルフウッドの顔を見て悲鳴を上げるルイズ。そんなルイズを見てうろたえるウルフウッド。
「お前、自分の使い魔を見て悲鳴上げるて、どういう神経しとんねん」
「ち、近寄らないでって言ったでしょ! 第一あなたここで何してるのよ!」
「何って、デザート配っとんねん。見たらわかるやろ」
 右手にデザートの皿をもって、左手を腰にあて、ウルフウッドはため息混じりに答えた。
 突然食堂で始まった謎の痴話げんかに周りの視線が集まる。


681 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:22:52 ID:FGVih87Q
「誰もそんなことを聞いてないわよ! この化け物!」
 その一言を言ったとき、ルイズは後悔した。
ウルフウッドの目に一瞬だったが、悲しい表情が見えたからだ。
いや、それは悲しさだったのかどうかわからない。
そこに映っていたのはもっと空っぽなもの、言うなれば虚無が浮かんでいた。
「えっとあの、だって、あなた、死んでるんでしょ?」
 その目にどこかいたたまれなくなったルイズは遠慮がちにそう言った。
 ウルフウッドはここに来てやっと理解した、なぜ彼女が怯えていたかに。
小さくため息を付くと、デザートの載ったお盆をテーブルに置く。そして、空いた両手でルイズの頬に触れた。
「ち、ちょっといきなり何するのよ」
 突然のウルフウッドの行動にルイズは思わず顔を赤くする。一体突然何をするのだろうか、この使い魔は。
「あたたかいやろ」
「え?」
「ワイの手ちゃんとあたたかいやろ」
「……うん」
 彼女の頬に触れるウルフウッドの両手は確かにあたたかかった。その触れられている場所が火傷するのではないかというほどに。
「なんでかは知らんけど、ワイはちゃんと生きているみたいや。多分、きっとおじょうちゃんの魔法のおかげやろうと思うで」
「わたしの……魔法?」
「そうとしか考えられへんやろ? 
だって、ワイはおじょうちゃんの魔法でこの世界に呼び出されたんやから。だから、おじょうちゃんの魔法のおかげでワイは生きとんねん」
 そうやってウルフウッドはルイズの目を見つめたまま、笑って見せた。
 魔法で人を生き返らせる? ひょっとしてそれってとてもすごいことじゃない? だって人を生き返らせる魔法というのはほとんど伝説でしか存在しないような魔法じゃない。水のスクウェアメイジだってそんな芸当は出来ないわよ。
「ふ、ふふ、ふふふ」
 突然ルイズは笑い出した。その不気味さに思わずウルフウッドは手を引っ込める。
何が起こっているのかわからない。とにかく目の前の少女の精神構造が理解できない。
「そうよね。そうよ。よくよく考えたら失敗なんかなわけないじゃない。
わたしとしたことが迂闊だったわ。まさか、自分がそんな伝説の魔法の使い手だったなんて。
いやだわ、まぁ、どうしよう……」
 周りの野次馬もウルフウッドも何が起こったかわからない。
なにせさっきまで深海の底にいるかのように落ち込んでいて、それが叫んだかと思うと、次は何かをぶつぶつと呟きながら不気味に笑っているのだ。
「まぁ、その、なんや。ちゃんとメシは残さず食えよ」
 そう言うだけ言って、完全に自分の世界に旅立ってしまったルイズを置いて、ウルフウッドはその場から逃げ出した。
 ウルフウッドはルイズを励ますためにそのようなことを言ったのだが、彼は一つ大きな見誤りをしていたことには気が付いていなかった。
それは、ルイズはああ見えて意外と単純である、ということである。

 なにやらおかしな世界に旅立ってしまったルイズをほっといて、ウルフウッドは黙々とデザートを配り続ける。
周りの生徒はみんなきょとんとした顔で見つめるが、厄介事には巻き込まれたくないので誰もウルフウッドには話しかけない。
ウルフウッドのほうも話しかけられても返答に困るので、その方がありがたかった。
 そうやってデザートを配っていると食堂の一角に人だかりが出来てることに気が付いた。
持ち前の野次馬根性を発揮してウルフウッドが人だかりを覗き込んでみると、なにやらキザったらしい格好の男子生徒が誰かに絡んでいる。
その絡んでいる相手はウルフウッドの見知った相手だった。
「なんや、メイドのじょうちゃん、なんかヘマでもやらかしたんか」
 目の前の男子生徒はものすごい剣幕でシエスタに「謝れ」と詰め寄っている。
ウルフウッドはシエスタとは知らない仲ではない。それに昼飯を奢ってもらったお礼もある。
ここは仲裁に入ることに決めた。


682 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:23:55 ID:FGVih87Q
「はい、ちょっとごめん。どいてなー。道開けてー」
 野次馬たちを掻き分けてシエスタのほうへとウルフウッドは近づいていく。そこで、シエスタがウルフウッドの存在に気が付いた。
「あ、ウルフウッドさん」
 その声に相手の男子生徒もウルフウッドのほうを振り向く。
「なんだい、キミは?」
「その子の知り合いや」
 ウルフウッドは適当にそう答えて、二人の間に入った。
「そうか、思い出したぞ。確か君はゼロのルイズの使い魔だったね」
 男子生徒はウルフウッドの顔を見て、納得したように手を打った。
「で、平民が一体何の用だい」
「いや、この子がどんなヘマをしたんかは知らんけど、まぁそうカリカリせんとその辺で許しといたれや。女の子いじめるのはかっこ悪いで」
 ここで周りから男子生徒に対して失笑が漏れる。これに気分を害した男子生徒は肩を震わせると、
「このメイドが軽率に、香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついたんだ。
別に僕は彼女をいじめているわけではない。ただ正当な謝罪を要求しているだけだ」
「正当いうんやったら、事情を説明してみいや」
 ここでこの男子生徒は「うぐっ」口をつぐんだ。そうすると周りの連中が囃し立てるように状況を代わりに説明し始めた。
「そら、出来もせん二股をかけるお前が悪い。ギーシュいうたか? そんなんで八つ当たりなんかすんなよ」
 とだけ、あきれ返ったように言い放って、ウルフウッドは「ほな行くで」とシエスタの手を引いてその場を去ろうとした。
「待ちたまえ」
 去ろうとするウルフウッドをギーシュは大声で引き止めた。
「なんやねん。恋の悩み相談やったら、ワイは専門外やで」
 ここでまた回りがどっと湧いた。
「違う、そうじゃない。どうやら君は貴族に対する口の聞き方を知らないようだね」
 はぁー、とウルフウッドは大きくため息を付いた。別に平民とか貴族とかは彼にとってははどうでもいいが、こうもしつこいとうんざりしてくる。
「クソガキ相手に口の聞き方もへったくれもあるか」
「……決闘だ。君に決闘を申し込む」
 ギーシュは頭一つ分大きいウルフウッドを見上げるようにして宣戦布告した。
彼にとっては、ウルフウッドのほうが背が高く見上げる格好になっていることからして気に食わない。
おまけにこのウルフウッド、三枚目っぽく振舞っているが顔立ちはかなり整っている。
それに彼ら男子生徒にはない、野生的な力強さがある。
そんな彼に対して、女子生徒の間でひそかにかっこいいよねという噂が流れている。
それも彼にとっては気に食わない。
「なんや、ここでワイとやるいうんかい?」
「ふざけるな。貴族の食卓を平民の血で汚せるか。ヴェストリの広場で待っている。ケーキを配り終わったら、来たまえ」
 そう言うなりギーシュは踵を返し食堂から出て行った。
「あ、あの……」
 シエスタが不安そうな顔でウルフウッドを見る。
「あぁ、まぁしゃあないわ。ガキのしつけは大人の仕事やからな。ちょっと行って一発しばいてくるわ」
 ウルフウッドは洗濯物を干すときと変わらない笑顔でシエスタに軽く手を振ると、食堂の入り口に置いてあった十字架を担いで外へ出た。


683 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:25:15 ID:FGVih87Q

「とりあえず、逃げずに来たことは、誉めてやろうじゃないか」
 ギーシュは、薔薇の花を手に携えて歌うように言った。
「誰がお前みたいなクソガキ相手に逃げるか」
 ウルフウッドはめんどくさそうに頭を掻いている。
「それでははじめ――」
「ちょっと、待ちなさい!」
 決闘の始まりを告げるギーシュの合図を誰かが遮った。見れば、さっきまで食堂で自分の世界に旅立っていたルイズがこちらに向かって走ってやってくる。
「よう、じょうちゃん」
「よう、じゃないわよ。あんたいったいわたしのいない間に何やってんのよ!」
「ちと、ガキのしつけや」
「ガキのしつけって、あんた自分の状況わかってるの? 平民がメイジに勝てるわけないでしょ。よくて怪我、悪ければ……」
「大丈夫やて。いくらヘンテコな魔法使えたところで、こんなガキには負けへんて」
 ウルフウッドは顔を真っ赤にしてすごい剣幕で詰め寄るルイズの前でひらひらと右手を振ってみせる。
「あんたね――」
「まかせとき。それに命のやり取りやったらワイは慣れとるしな」
 そう言ってウルフウッドは少し唇を歪める。その表情にまたルイズは彼のからっぽな何かを見た。そして、それ以上何も言えなくなってしまう。
「それになんや、使い魔いうのはじょうちゃんの身をまもらなあかんのやろ。やったら、これくらいでビビるわけにはいかへんやろ。まかしとき」
 ウルフウッドはルイズの肩を優しく叩いた。
「……もう、知らない」
 ルイズは口を尖らせたまま、そっぽを向いた。自分にこの男を止められる言葉が存在しないのが悔しかった。
「ご主人様との別れはすんだかね? 使い魔くん」
「おう、待たせて悪かったな。ほなとっととはじめよや」
 そのウルフウッドの声にギーシュは手に持った薔薇の花びらを一つ地面に落とした。
「僕の二つ名は『青銅』。よって、このワルキューレが僕の代わりにお相手するよ」
 そういうやいなや地面が盛り上がり、槍を構えたギーシュの肩ほどの大きさの像が現れる。
「ほぉー、驚いたわ。そんなんも出来るんか、魔法ていうやつは」
「今更感心しても遅いよ。行け、ワルキューレ!」
 そのギーシュの掛け声と共にワルキューレは突進する。槍を構えて一直線にウルフウッドを突く。
しかしウルフウッドは全くたじろぎもせずに、軽く体をひねってその突きを交わすと、ワルキューレの頭に足を掛けて踏みつけるように蹴りだした。
バランスを崩して地面に倒れるワルキューレ。
「なんや、倒れたら自分では立ち上がれへんみたいやな」
 ウルフウッドは地面でばたばたと手足をばたつかせているワルキューレを見て、特に何の感慨もなくそう言い放った。
「どれほどのもんかとおもたけど、動きは鈍い、狙いはばればれ。この程度やったら近所のガキをいじめる程度にしか使えへんで」
「た、たかだかまぐれで一体倒したくらいで調子に乗ってもらったら困るね。これでどうだ!」
 ギーシュは薔薇の杖を振った。辺りに花びらが舞う。そうするとあっというまに彼の周りに七体のワルキューレが現れていた。
「あちゃー、困ったなぁ」
「どうだ、さすがにこれだけの数に囲まれてはどうしようもあるまい」
「なぁ」
「なにかね? 命乞いかい?」
「こいつらいちいち素手でしばいていたら痛いから、ワイも武器を使うてかまへんか?」
「あぁ、構わないよ。銃でも剣でも好きなものを使いたまえ」
「ほな、遠慮なく」
 ウルフウッドは満足そうに笑うと、傍らに突き刺してあった十字架を手に取った。
「ええで。いつでもどうぞ」
「何を取り出すのかと思えば……そんなもので僕のワルキューレが止められると思っているのか!」
 そして、七体のワルキューレがいっせいにウルフウッドに飛び掛った。
周りにいる誰もが、だめだと思って目をつむろうとした瞬間、何かを鈍器で殴る音が七発響いた。
 ルイズもそうやって目を閉じたうちの一人で、こんなことならもっと全力で止めるべきだったと後悔しながら、やっとのことで勇気を振り絞って目を開けた。
そして、そこにいたのは十字架を片手に佇むウルフウッドの姿、だけだった。



684 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:26:58 ID:FGVih87Q
「え……?」
 ルイズは呆気にとられた。自分の使い魔が無事なのはいいことだ。それについては全く問題はない。
けど、ギーシュの七体のワルキューレはどこへ行った?
 そう思った瞬間、ルイズの背後でドスンと何か重たいものが地面に落ちる音がした。それも連続してほぼ同時に複数。
 慌てて背後を振り返る。
そこではギーシュのワルキューレが地面に叩きつけられたせいか、それともそれ以前にやれらたのかはわからないが、半分砕けた状態で七体きれいに折り重なっていた。
「そ、そんな馬鹿な!」
 悲鳴にも似たギーシュの絶叫が響き渡る。
「なんでやろ、おかしいな」
 そして、ウルフウッドもなにやら納得できない表情で自分の右手を見ている。彼自身も何か違和感を感じていたらしい。
「き、君は一体何をしたんだ?」
 ギーシュはそんなウルフウッドに詰め寄った。
「何をしたって、殴り飛ばしただけやないけ。お前のワルキューレちゅうのを」
「ふ、ふざけるな。人間の力であんなことが出来るものか。そうか、わかったぞ。君のその持っている武器だ。
それに何かが仕込まれていると見た。それを検分させてもらおう!」
 ギーシュはウルフウッドの持っている十字架を指差した。どうやら、さっきの出来事はこの十字架のせいであると言いたいらしい。
「かまへんで。ほい」
 そう言ってウルフウッドはギーシュに十字架を投げる。ギーシュはそれを受け止めるが、まるで台風にへし折られる細い木のように、そのままなすすべもなく十字架に押し倒された。
「な、なんだ、これは……重い、重すぎる……」
 十字架にのしかかられて、ギーシュはひぃひぃと息を漏らす。そして、頭の中で納得していた。
そりゃ、こんな重たいもので思いっきり殴り飛ばされたら自分のワルキューレが風に舞うように吹っ飛ばされるのも仕方のないことだと。
 そして、もう一つの恐ろしい事実に気が付いた。こんな重いものを平然と振り回すこの目の前の男の筋力。それはもはや人間のレベルではない。
化け物だ、怪物だ。自分はとんでもないものにケンカを売ってしまった。勝てるわけがないじゃないか。どうしよう。
っていうか、それ以前に苦しい。内臓が潰れそう……
「ま、参った。降参だから、これをどけて」
「ええで。けど、一つだけ条件をつけさして貰うわ」
 ギーシュはこくこくと頷いた。
条件でもなんでもいい。早くこれをどけてくれないと死ぬ、間違いなく死ぬ。
 ウルフウッドはそんなギーシュの反応に満足すると、片手で十字架を持ち上げた。
ギーシュは青ざめた顔で大きく息を吐く。
「ぼ、僕も貴族だ。決闘に負けた以上、潔く君の要求を受け入れよう」
 ほうほうの体ではあったが、ギーシュはなんとか己のメンツを保つべく、出来うる限り落ち着いた声で自らの覚悟を示した。
「おぉ。結構根性あるやないか。その意気は気に入ったで」
 そんなギーシュを見てウルフウッドはどこか嬉しそうに笑う。
「ほな、ワイからの要求や。心して聞け」
「……はい」
 ギーシュは背をちぢこませて、その要求を待った。
死刑を執行される前の罪人というのはこんな気持ちなのだろうか、そんなことをぼんやりと考えていた。
「ワイの要求いうのはな……」
 周りにいた全員が息を呑む。一体何を言い出すのだろうか。どんな恐ろしい要求を突きつけるのか……

「メシはちゃんと残さず食え」

 そう言ってウルフウッドはギーシュの額にデコピンをした。


685 :虚無と狼の牙:2008/04/20(日) 20:28:12 ID:FGVih87Q
以上で第一話終わりです。
長々と失礼しました。

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:28:22 ID:xZlObr+o
相変わらず日曜夜は投下ラッシュ………
俺もモンハンPGとciv4と資格試験と仕事が忙しくなければもう少し投下ペースが上がるんだろうが、ひとまず支援。

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:31:08 ID:Y6UOJnHX
>>686
お前はSSを投下しなかったのだぞ! -4

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:33:29 ID:KKa4dla2
乙です
パニッシャーが鈍器扱いされてる……

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:33:59 ID:uesYpaW1
ウルフウッドの人、うまいね。

ラスト一行が効いてる。続き、期待してます。


690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:35:58 ID:PBxRChxn
乙!
ウルフウッドかっこいいなあw
次も期待してます

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:44:30 ID:Y3UrQ6TD
ウルフウッドの人、乙

狼、ホロの人はどうしてるだろう

692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:46:53 ID:MNNrmQ31
乙です。
ラスト1行に、ウルフウッド「らしさ」を感じた。
ただ、ウルフウッドのデコピン……被弾箇所から煙を上げるギーシュを想像せざるを得ませんね。

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:53:09 ID:QQpIZoZO

テンポもよくておもしろい

694 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 20:57:58 ID:R8SR9JY8
ウルフウッドの人おつですー。
脳内で内藤絵で再生された。

695 :ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:00:41 ID:C9EDp2GZ
ウルフウッドの人おつです。
私も他に予約がなければ、第十話を五分後に投下したいと思います。
宜しいでしょうか?

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:04:24 ID:335iQgEU
カモン 貴方を待っていた

697 :ゼロの戦乙女第十話1/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:06:41 ID:C9EDp2GZ
 ロレーヌと相対したレナスは、まず食堂で昂ぶったまま引きずっている気持ちを完全に落ち着かせた。
 神と人の二つの側面から精神が成り立っているヴァルキリーにとって、人としての感情は時に力を爆発させるための強力な起爆剤になる。
 だが、それは同時に心のバランスを崩す諸刃の剣なのだ。
 様々な事例からそれをよく知っているレナスは、感情のままに神としての力を揮うのを恐れている。
 力を感情に任せて破壊のために使ってしまえば、レナスはロキに続いて第二の破壊者となるだろう。

「君は確かミス・ヴァリエールの使い魔か。同じ魔法が使えない平民同士、随分と中がいいようだね」

「御託はいいですから、勝利条件を説明してください」

 口調を取り繕いながらも、嘲笑うロレーヌの言葉を切り捨てるレナスに、新たに始まりそうな決闘を注視する観衆は度肝を抜かれた。
 ギーシュとの決闘であれだけ気骨を見せたシエスタも、貴族への恐怖を隠し切れてはいなかった。
 その上で反抗しきった覚悟は素晴らしいものだったが、レナスはそもそも怯えておらず、むしろ自分が優位であるかのように振舞った。
 唖然としていたキュルケが、レナスに遅れてようやく広場に到着したルイズを見つけ、声をかける。

「ねえ、ルイズ、あんたの使い魔大丈夫なの? 何か凄い偉そうな態度だけど」

 乱れた気息を整えることで手が一杯で、目の前の光景に目を向けている余裕がなかったルイズは、レナスを一目見るなり目をつり上げた。

「あの馬鹿使い魔! 何やってんのよ、平民が貴族に勝てるわけないじゃない!」

 慌てて決闘を止めようとするルイズに、キュルケの横に座って本を読んでいるタバサが指摘する。

「……でも、シエスタはギーシュに勝った」

「はぁ?」

 ルイズは目の前でタバサが言っているにも関わらず、誰が誰に勝ったのか分からない様子できょとんとした。
 頭の中で言葉の意味を噛み砕いて理解した途端、ルイズは驚愕して叫ぶ。

「嘘!? シエスタがギーシュに!? どうやって!?」

 タバサはしばらく考えると、ルイズに顔を向ける。

「……根性で勝った」

「勝てるわけないでしょ!」

 馬鹿にされているのかと思って憤るルイズを、キュルケが慌てて宥める。

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:07:35 ID:DxMirSBf
 ┌───────┐
 │ 待ってたんだぞ │
 └─∩───∩─┘
    ヽ(`・ω・´)ノ

699 :ゼロの戦乙女第十話2/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:07:55 ID:C9EDp2GZ
「落ち着いて、ルイズ。タバサが言っていることは本当よ。シエスタはギーシュに勝ったの」

 まだどこか疑わしそうな顔のルイズに、キュルケは勝手に話を進めていくロレーヌとレナスの二人に困り果て、頭を抱えているギーシュを指差す。

「信じられないなら本人に聞いてみたら? 晴れ晴れとした顔で負けを宣言してたから、きっと気前よく教えてくれるわよ」

 ルイズはキュルケの言葉ももっともだと思い、口に手を添えてギーシュに叫ぶ。

「ギーシュ! ちょっと来なさい!」

 自分を呼ぶルイズの声に気付いたギーシュは、ルイズに振り返りながらも、心配そうにロレーヌとレナスの様子をちらちらと窺っていた。
 レナスが顔を向けずに片手でしっしと手を振ったので、疲れたようにため息をついてルイズの近くにやってくる。

「どうしたんだい? ミス・ヴァリエール」

「どうしたもこうしたもないわよ。シエスタと決闘して負けたって本当?」

 疑わしそうに尋ねるルイズに、ギーシュはきょとんとしたあと、ルイズが観衆の中にいなかったことを思い出して頷く。

「ああ、そうだよ。あれは価値ある敗北だった」

 晴れやかな顔のギーシュにルイズは呆気に取られた。
 まさか、本当にシエスタが勝つなんて思っていなかったのだ。しかも、負けてギーシュが喜んでいる意味が分からない。
 ルイズは自分が平民と決闘して負ける光景を想像しただけで、腸が煮え繰り返りそうになるというのに。
 困惑するルイズを放っておいて、決闘の場ではロレーヌとレナスの決闘が本格的に始まろうとしていた。

「僕はヴィリエ・ド・ロレーヌ! 風のラインメイジだ!」

 杖を抜き放つロレーヌを横目に、レナスは悠然と佇んだまま辺りを見回した。
 決闘の最後でギーシュが地面に突き立て、そのままになっていた青銅の剣を見つけて歩いていく。

「私はメリルです。ルイズの使い魔をしています」

 メリルを演じるレナスが、剣に手をかけて引き抜いたのを見て、ロレーヌは心の中で歓喜した。
 合法的にレナスを殺す大義名分ができたのだ。
 もともと平民を殺しても貴族に罪が問われるわけではないが、無抵抗の平民を殺すのは貴族でも恥と考えている者がいないわけではない。
 だが、武器を携えた平民ならば正当防衛が成り立つ。
 喜び勇んでルーンを詠唱しようとしたロレーヌを横目に見ながら、レナスは佇んでいたワルキューレを見つけて近寄っていく。
 それに気付いたギーシュが眉を顰めてルイズに尋ねた。

700 :ゼロの戦乙女第十話3/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:09:09 ID:C9EDp2GZ
「彼女は一体何をしようとしているんだ?」

 己の使い魔の行動が理解できないことに苛立ち、ルイズはつんけんした声で答える。

「知らないわよ。剣を持ってるから、試し切りでもする気なんじゃないの?」

 ギーシュは首を横に振り、嘆息する。

「なら愚かというしかない。同じ青銅でも、あの剣とワルキューレでは混ぜてある金属も、密度も違う。剣が折れるだけだ」

 それを聞いた途端、ルイズは慌ててレナスに目を向けた。
 武器が壊れたら、本当に勝ち目なんてなくなってしまうと思ったのだ。
 ハルケギニアの人間であるルイズはレナスの正体を知らないし、シエスタとギーシュの試合も食堂に行くのが遅れたために見ていない。
 故に、ルイズがレナスのことを心配するのは当然だった。
 レナスは右手に剣を握ったまましげしとワルキューレを観察し、観衆に顔を向けて問い掛ける。

「このブロンズゴーレムに、何か名前はついていますか?」

 まさかそんな問いかけをされるとは思わなかったギーシュが、慌てて前に出る。

「ああ。ワルキューレという。僕が錬金で作ったゴーレムだ」

「ということは、やはり戦乙女を模しているのですね。中々興味深い事実ですが……さすがにこれは」

 困ったようにため息をつくレナスは、右腕を閃かせてワルキューレを一刀両断する。

「え?」

 何故かぶった斬った当の本人が、左手のルーンを見て首を傾げた。
 だが、他の人間は見事に真っ二つになったワルキューレを見て唖然としている。
 特にワルキューレを作った本人であるギーシュなどは、唖然を通り越して愕然としている。
 キュルケもまた、故郷のゲルマニアで非魔法技術が進んでいる分、剣でゴーレムを両断することがどれだけ難しいことかを知っている。
 驚きに目を見張ってレナスを凝視した。

「凄いわ。あんなにも見事にワルキューレを斬るなんて」

「……ロレーヌも吃驚して詠唱が中断してる。今がチャンス」

 本から顔を上げ、決闘に注目したタバサが本に栞を挟んで呟く。
 レナスの行動に度肝を抜かれたモンモランシーが、ルイズを見つけて近寄ってきた。

701 :ゼロの戦乙女第十話4/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:10:38 ID:C9EDp2GZ
「あの使い魔、何者なの? ギーシュのワルキューレをあんなにあっさり斬り倒すなんて」

 モンモランシーはギーシュと付き合っていたので、ワルキューレの性能をよく知っている。
 ギーシュのワルキューレは青銅とはいえ、仮にも金属でありとても固く、簡単に両断できるものではない。
 それをあっさりと両断してみせたレナスを、ただの平民だとはどうしても思えなかった。

「私だって知らなかったわよ。あいつ、戦えたんだ……」

 役に立たない平民だとばかり思っていた使い魔が見せた意外な特技に、ルイズは僅かに顔を綻ばせる。
 感覚の共有もできないし、秘薬を集めさせることもできないけれど、少なくとも身を守らせることはできそうだ。
 それに、ルイズが召喚した使い魔がただの平民じゃなかったということは、ルイズ自身にもまだ魔法を使えるようになる余地があるのかもしれない。
 『ゼロ』の汚名の返上を諦めていたルイズにとって、それはとても嬉しい誤算だった。

(あんなに喜んじゃって。よかったわね、ルイズ)

 微かに微笑みながら紅潮した頬を押さえているルイズを、キュルケは苦笑して盗み見る。
 キュルケのツェルプストー家とヴァリエール家は代々続く犬猿の仲だが、個人としてみればルイズのことはそれほど嫌いではなかった。
 『ゼロ』と蔑まれながらも努力する姿を何度も見てきたし、はねっかえりですぐにムキになるところも、何だか手のかかる妹みたいで面白い。
 それに魔法が使えない分、貴族たらんとする気勢は誰よりも強いし、付け加えるなら、からかうと最高に楽しい。
 コンプレックスと誇りが奇妙に同居しているルイズだから、どんな挑発にも間髪入れずに反応してくれるのだ。
 本人に言うことはなくとも、キュルケはルイズのことが気にいっていた。
 小さく微笑むと、キュルケは目の前の決闘に意識を戻す。

「ふ、ふん! 少し剣が使えるからっていい気になるなよ! 本当のメイジの怖さをこの僕が教えてやる!」

 我に返ったロレーヌが何やら吠えているが、レナスはあくまでも冷静だった。
 どうやらレナスの左腕に刻まれているルーンは、剣を握ると身体能力を上昇させ、もっとも効果的な使い方を教えてくれるようだ。
 剣に限るのか、それとも武器なら何でもありなのかは分からないが、随分と親切な効果である。
 だが、剣と弓、槍に限って言えばルーンの効果など関係ない。ヴァルキリーであるレナスは、この三つの使い方は熟知している。
 ルーンに教えられずとも、超一流の使い手として振舞えるのだ。

「くらえ!」

 ロレーヌが放った<エア・ハンマー>を前に、レナスは素早くステップを踏んで跳躍したが、それだけで回避できるとは思えず、衝撃に備えて身構えた。
 しかし、レナスの予想とは違い、<エア・ハンマー>はレナスに当たらないまま真っ直ぐ地面に着弾した。
 実際に避けられると思っていなかったレナスは、少し目を見開いて着地する。

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:11:20 ID:Oi8I3O2m
支援準備OK
どんどんきんしゃい

703 :ゼロの戦乙女第十話5/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:12:07 ID:C9EDp2GZ
「なるほど。こちらの魔法は避けられるのか」

 誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟く。
 ミッドガルドやアスガルドで使われている攻撃魔法は、その特性上例え神々といえども簡単には避けられないようにできている。
 大魔法に至ってはそもそも規模が違い過ぎて、避けるという発想がない。
 基本的にどちらも防御して耐え凌ぐしかないので、魔法を避けることができるという事実はかなり意外だった。

「いきます」

 再び村娘の仮面をつけ、しっかりと声に出して宣言すると、レナスは二十メイルほどの間合いを神速の踏み込みで一気に詰めた。
 風を切り裂いてロレーヌに肉迫したレナスは、身を屈めてロレーヌの足をスライディングで払い、そのまま後ろに滑り抜ける。

「うわっ!?」

 派手にひっくり返ったロレーヌの背後には、素早く身を起こして体勢を整えたレナスが右手に剣を持ち、もう片方の手にロレーヌから奪った杖を持って静かに佇んでいた。
 悪態をつきながら立ち上がり、振り返ろうとした鼻先に剣を突きつけられ、ロレーヌは絶句した。

「動かないでください。もう勝負はついています」

 ロレーヌは屈辱と怒りで顔を赤黒くする。

「馬鹿を言うな! 僕は降参していないし、杖だって落としてないぞ!」

 キュルケの横でタバサがぽつりと呟いた。

「……杖、取られてる」

 表情には微かにしか表れていなかったが、タバサは愕然としていた。
 踏み込みからのスライディングは、距離が長かったためタバサにも辛うじて見えていたが、レナスが杖を取った左手の動きは全く感知できなかった。
 それはレナスが間合いを詰めさえすれば、容易にメイジを殺せる実力を持っているということを表している。
 平民がメイジを圧倒するという事実に、タバサは人知れずレナスへの警戒を強め、表情を険しくする。
 タバサの言葉を聞いたキュルケが慌てて確認すると、確かにロレーヌの右手には杖がない。

「呆れた。ロレーヌは気が付いてないのね」

 勿論キュルケにだって、レナスの動きは踏み込みからして全く見えていなかった。
 だが、仮にもメイジの魂とも言える杖を取られて気付かないなんて有り得ない。
 一方、レナスの神速の動きを見せられたルイズは有頂天になっていた。
 役に立たない平民だとすっかり思い込んでいた自分の使い魔が、実は常識を覆す、メイジを圧倒するほどの剣士なのだと確信したのだ。
 落胆が大きかった分、喜びもひとしおである。

704 :ゼロの戦乙女第十話6/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:13:38 ID:C9EDp2GZ
「あとでご褒美をあげなくっちゃ!」

 舞い上がったルイズは思わず傍にいたモンモランシーに抱きつき、突然抱きつかれたモンモランシーがぎょっとしてルイズを見た。

「どうしたのよルイズ!」

 普段なら有り得ないルイズの態度にモンモランシーは気味悪そうな顔をする。
 キュルケにニヤニヤと笑いながら見られていることに気付き、我に返ったルイズは顔を真っ赤にしてモンモランシーから離れた。

「べべ別に嬉しかったわけじゃないのよ!」

 誰がどう見てもバレバレの言い訳をするルイズは、取り繕うように目の前の決闘に没頭する。
 しかし、すぐに引き締めた口元が綻び始め、心の中では狂喜乱舞しているのが容易に想像できる。

「そっ、それは僕の杖……何時の間に!」

 ようやく眼前に立つレナスによって杖を奪われていることに気付いたロレーヌは、己の右手とレナスの左手を交互に見て愕然とする。
 レナスが降参するのを催促するかのように剣を動かしたので、ロレーヌは慌てて声を張り上げた。

「くそ……僕の負けだ!」

 更なる番狂わせに、貴族である生徒と教師たちが呆然とし、奉公人たちが大歓声を上げた。

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:13:47 ID:Ma6IwbJN
しえn

706 :ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg :2008/04/20(日) 21:16:59 ID:C9EDp2GZ
以上で第十話終了です。
山場はもう過ぎたので、あっさりと流して短めになりました。
拙い私の文章への支援どうもありがとうございました。

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:17:49 ID:Wwp2sk+X
いい戦いではないですか!

708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:18:26 ID:Ma6IwbJN
乙かれー

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:23:28 ID:Oi8I3O2m
乙っす


710 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:23:34 ID:Ma6IwbJN
投下予約させていただきます。
21:30から投下します

711 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:23:50 ID:JQ2TgrTS
ウルフウッド大好きだし、手の暖かさのくだりは、グっとくるモンがありましたわ。
乙でした。

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:28:21 ID:335iQgEU
戦乙女さん投下乙です

蛇さんカモン

713 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:30:33 ID:Ma6IwbJN
それでは投下させていただきます


「機嫌が悪そうだね、使い魔君。」
「そう見えるか?」
「ああ。」
「そうか。…実は機嫌が悪いんだ。」

城のホールでのパーティの席でこんな会話をするワルドとスネーク。
いよいよ明日は最終決戦だというのに随分と豪華なパーティだ。
だがスネークは豪華な料理を前にしても食欲がわいてこない。
機嫌が悪いのもあるが、いやな予感がするからであった。

「あんたパーティくらい笑顔で出席しなさいよ。」
「そんな席じゃないだろう。」

任務も終わっていないのに笑顔で食事など考えたくない。
先ほどのアルビオン国王の演説すらまともに覚えてはいなかった。
頭の中は先ほどからするいやな予感と、任務の事でいっぱいだった。

「食べる時に食べておきなさい。兵士の基本でしょ?」

そんな事をルイズに言われ、ようやく我を取り戻したようだ。

「ひよっこに注意されるとはな。」

スネークはニヤリと笑い、食事に手をつけ始めた。


ルイズが部屋を出る。
その面持ちは満足した、というものではない。
もうこんな部屋にいるのは御免だ、という面持ちだ。
皆この先に待ち受ける暗い死の運命を忘れるかのように騒いでいる。
それがなんだか悲しくて仕方がなかった。

「…スネーク、置いてきちゃった。」

それを少し後悔する。
一人で歩くにはこの城は少し広すぎる。
隣を歩く人間にあの偉そうな使い魔が真っ先に浮かんだ。
ふるふると頭を振ってもう一度想像すると今度は婚約者が浮かぶ。

「私らしくないわ。」

そう考え、そんな妄想を頭から振り払う。
ルイズは先ほど感じた悲しさも一緒に振り払い、明日に控えた結婚の事を考える事にした。
あの使い魔は祝ってくれるだろうか?馬鹿らしいと笑い飛ばすだろうか?
どうせ「任務の途中に何を考えている!」とか言ってくるに違いない。
そう考えると結婚することがおかしくて仕方が無かった。

714 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:31:05 ID:Ma6IwbJN
「楽しんでいるかい?」

座の真中で歓談していたウェールズが近寄って話しかけてきた。
さわやかな笑顔だ。なんだか腹立たしい。

「少し話さないか?」

首肯する。どうやらあまり聞かれたくない話のようだ。
ウェールズに従い、バルコニーに出る。
夜空が綺麗だが、出来れば美女とここへ来たかったと思うスネーク。

「頼みたい事がある。」

またか。俺は何でも屋じゃない。
そう言わずに話を無言で聞く。

「彼女に渡して欲しい。『風のルビー』だ。」

王女がルイズに渡していたものを思い出す。
確かアレは『水のルビー』と呼ばれていたはずだ。
それと関係があるのかどうか気になったが、それに思いをはせるほど興味はない。

「そんなものをどうして俺に託す?途中で売りさばくかも知れんぞ?」
「君はあのアンリエッタの我侭を聞いてくれた。それだけで理由など十分だ。」

あの王女の本当の目的は手紙の回収などではない事などスネークもわかっていた。
手紙など偽造でもなんでも出来るからだ。
アンリエッタがわざわざルイズたちを派遣したのはウェールズに手紙を送りたかったからに他ならない。
それを引き受けたお人好しなら引き受けてくれると踏んだのだろう。

「…縫合キット、包帯、固定具、止血剤。」
「…?」
「報酬代わりだ。前払いで頼む。」

ウェールズが右手を突き出す。どうやら了承したようだ。

「ありがとう。」
「礼を言われるほどじゃない。どうせ帰還報告にも行かなければならない。そのついでだ。」

そう言い放つが、まんざらでもなかった。


715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:31:57 ID:Y6UOJnHX
支援をもてあます

716 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:32:12 ID:Ma6IwbJN
ホールに戻るとワルドが待ち構えていた。

「君にいっておかなければいけないことがある。」
「アンタもか。今日は俺に話したいことがある奴がたくさんいるようだな。」

妙に冷たい声でワルドが言ったため、冷たく言い返すスネーク。

「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる。」

全く予想していなかった事を言われ、目を丸くして驚くスネーク。

「今は任務中だぞ?何を考えている!」
「是非とも僕たちの婚姻の媒酌を、あの勇敢な皇太子に頼みたくてね。殿下も快く引き受けてくれた。」

何を言ってもやめるつもりは無いらしい。
暖簾に腕押しだ。この世界の貴族は何を考えているのやら。

「勝手にしろ。」
「君も出席するかね?」

ぶん殴りたくなるほどに爽やかに笑って言うワルド。
スネークに勝った気でいるのだろう。

「俺は任務に戻る。」
「手紙も無くてかね?」
「ルイズが何とかするだろう。俺は他にも任務がある。」

きびすを返し、指定された部屋へ帰る。
もともと悪かった気分がさらに悪くなり、寝つきは悪くなるだろうとスネークは思った。

717 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:34:27 ID:Ma6IwbJN
暗い廊下をろうそくで照らしながら歩く。
廊下の窓から二つの月が見える。
その月を見ている少女が一人。

「こんな所にいたのか。明日は結婚式だろう?花嫁が寝坊じゃ笑い話だ。早く寝たほうが良い。」

声をかけられて振り向くルイズ。

「聞いたのね。どう思う?」
「何がだ?」
「結婚のこと。こんな時に何を考えてる!とかないわけ?」

先ほどワルドに言ったのを思い出し、苦笑する。
自分の考え方はこんなにも読まれていたのか。

「さっき子爵に同じ事を言った。」
「やっぱりね。そういうと思った。」

軽く微笑むルイズ。
初めてであったときにも思ったが、やはり美少女だ。

「でも私には言わないのね?」
「結婚は本人の自由だ。別に反対はしない。時と場合を考えては欲しいがな。」
「それはそうね。…スネーク、結婚式には来てくれる?」

上目遣いでおずおずと聞くルイズ。
自分にロリコンの気はないと思っていたスネークだが、その考えを少し改めた。

「あいにく服が無いんでね。欠席させてもらう。
 任務も途中だしな。」
「手紙は私が持ってるじゃない。」
「もう一つ受けているものがある。」

だんだんルイズの声が怒気を帯び始める。

「いい?あんたは私の使い魔なのよ?主人の断りもなしに勝手に任務なんて受けてるんじゃないわよ!
 アンタの一番の任務は私の使い魔を勤める事!分かってるの!?」

そこまで言って、しまった、という表情で言葉を切った。

「ごめん。言い過ぎたわ。」
「…大丈夫だ。気にするな。」

とは言っているが目を合わせようとしないスネーク。
彼なりに傷ついているようだ。
案外繊細なのかもしれないと思うルイズ。

「幸せにな。」

それだけ言って部屋へ行ってしまった。
ルイズはやはり声をかけることができなかった。

718 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:35:06 ID:Ma6IwbJN
翌朝
スネークは一番乗りで帰りの船を待っていた。
おいてきたルイズが気がかりだが、あの子爵なら大丈夫だろう。
そう信じて、ルイズを任せたのだ。

「おい相棒、大丈夫か?」
「何がだ?」
「あの娘っ子の事だ。」

背中のデルフがスネークの心を読んだかのように話しかけてくる。

「何が引っかかってるんだ?」
「わからん。だが、嫌な予感がする。」

何か腑に落ちない。
ざわざわしたものが頭の中で蠢いている。
すると、突如左目に違和感。
左目だけ別の景色が見えるのだ。

「これは…、ルイズの視界?」


「新郎 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
 汝は始祖ブリミルの名において、この者を愛し、敬い、そして妻にする事を誓いますか?」
「誓います。」

爽やかに答えるワルド。
ウェールズはルイズに視線を移す。

「新婦、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。汝は…。」

ウェールズは朗々と誓いのための詔を読み上げる。
だが、その言葉が頭に入ってこない。
どうしてか式に集中できない。自分は一体何をしているのか?

嬉しいはずの憧れの人との結婚。
嬉しくて仕方が無いはずなのに心は躍らない。
何故か胸の奥がざわつく。

―逃げろ

そう聞こえた気がした。

719 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:35:37 ID:Ma6IwbJN
「…新婦?」
「え?あ…。」

気がつくと二人ともルイズの顔を覗き込んでいた。

「緊張しているようだね?大丈夫。ただの儀礼だ。
 では、繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名において、この者を愛し、敬い、そして夫にする事を誓いますか?」

だが答えは無い。
ルイズ自身、何故答えないのか分からなかった。

「ルイズ?どうした、気分でも悪いのかね?」

ワルドが怪訝な顔で問いかける。
ルイズは哀しい表情で首を振り、答えた。

「ごめんなさい、ワルド。貴方とは結婚できないわ。」

ワルドの表情が凍りついた。
よほど予想していない言葉だったのだろう。

「ルイズ…嘘だろう?緊張しているんだ…だから、こんな…。」

言葉をさえぎるようにウェールズがもう一度ルイズに聞く。

「新婦、この結婚を望まぬか?」
「…はい。お二方には大変失礼をいたすことになりますが、私はこの結婚を望みません。」

するとワルドはルイズの方を強く掴んだ。
その目は冷たく、まるで氷のような目であった。
その目とは対照的に、熱っぽく叫ぶワルド。

「ルイズ、私は世界を手に入れる!世界だ!そのためには君の力が必要なのだ!」
「私は世界なんて要らないわ。」

720 :蛇の使い魔:2008/04/20(日) 21:36:12 ID:Ma6IwbJN
ワルドが静かに聞く。

「どうしてもダメだというのかね?」
「嫌よ。貴方私のことを愛してないじゃない!
 貴方が愛しているのは私じゃなくて私の魔法の才能よ!」

ウェールズがワルドの肩に手を置いて引き離そうとするが、逆にワルドに突き飛ばされる。

「何たる侮辱!子爵、今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ!
 さもなくば風の刃が貴様を切り裂くぞ!」

黙って手を離すワルド。ルイズは数歩後ずさりした。
ワルドはしばらく呆然として、突然声を上げて笑い出す。
豹変したワルドの態度に身体を震わせるルイズ。

「…何がおかしい?」
「…茶番はおかしいものだろう?もう少しゆっくり楽しんでいたかったが、何せ時間が無い!
 三つのうち一つはあきらめるとしよう。」

ワルドの言葉の真意がつかめない二人。
問いただすウェールズ。

「どういうことだ?」
「まずは一つ目。ルイズ、君を手に入れること。…だがこれは達成されまい?」
「当たり前よ!」

怒鳴るルイズ。

「二つ目はアンリエッタの手紙。そして三つ目は…。」

言葉を切るワルド。
ルイズははっとする。
全てを察知したウェールズが杖を構え、呪文を放つ。
だが、一瞬早く、ワルドが着ていたマントを脱ぎ、投げ捨て、ウェールズと同時に呪文を放った!

二つの疾風がワルドのマントに穴を開ける―

倒れたのは―

「殿下!」

―ウェールズだけだった。

「その腕では現役引退だな、ウェールズ?」
====================================================


今回はこれで以上です。支援ありがとうございました。

721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:40:15 ID:335iQgEU
蛇さん乙です
我儘言えば式場に段ボールでスネークしていてほしかったです

722 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:44:20 ID:wK1pmFIG
ウルフウッドの人、蛇の人、乙でございます。
ウルフウッドの関西弁が最近読んだ、『夢をかなえるゾウ』のおかげで馴染み易いなあ(登場人物の一人が関西弁を喋る)。

今日アニメイトからの帰りにgemを見ると巻頭特集で狼と香辛料が!
「わっちを故郷に送り届けてくりゃれ?」のホロ可愛いと思うと共にホロの人帰って来ないかなあ…と思ったり。ヴィンだから話行き詰まったのかな?
それと今テレビでは映画『ステルス』もやってますね。
そう言えばエディも喚ばれていたのを思い出しあの人も帰って来ないかなあと思ったり。
みんな〜早く帰って来〜い!このスレは良い所だぞ〜!(誰かの物真似)

723 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 21:52:32 ID:1iR7c3Er
皆様、投下乙であります。
引き続いて自分も22時頃から20話を投下したいと思います。

724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 21:53:45 ID:Oi8I3O2m
きんしゃい

725 :大使い魔17:2008/04/20(日) 21:53:50 ID:sGKQXwdZ
スネークさん乙です。

こちらも投下予告。
22時に投下しまっせー。

726 :大使い魔17:2008/04/20(日) 21:55:56 ID:sGKQXwdZ
おわ、重なった。こっちは頃合いを見て別の時間帯に投下しますんで、さざなみさん、カモン!

727 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 22:00:18 ID:1iR7c3Er
>>722 ホロの可愛さは異常
17の方申し訳ありません、手早く投下したいと思います


イザベラ管理人第20話:炎の色は・中編


タバサは己の未熟と迂闊を呪っていた。
相手はあれだけの少人数で、女子どもばかりとはいえ魔法学院に奇襲をかけてきた相手なのだ、決して侮るべきではなかった。
確かに相手の目を眩ませての奇襲は有効だった。
だが、それだけに頼るべきではなかったのだ。
認めざるを得ない。タバサは、この戦いに心の全てを傾けていなかったのだ。
この先に起こるであろう、ジョゼフからの過酷な指令や、母の毒を治す解毒薬の情報を如何に探すかをわずかに考えていた。
その結果がこれだ。
至近距離から爆風を浴びて、内臓がひっくり返ったように気分が悪い。
倒れた拍子に後頭部を打ったらしく、頭がふらついてまともに体を動かすことも出来ない。
咄嗟に空気中の水分を集めて熱は防御したが、隣のキュルケまでカバーできるほどに範囲を広くしたために防御力が不十分で、衣服が燃え上がっていないのが不思議なほどに熱い。
情けなくて口惜しくて、自分に激しい怒りを覚える。
前ばかりを見て、足元をすくわれた愚かな自分。こんな形で、復讐も遂げられず、母を治すこともできずに朽ち果てるなど、無駄死に以外の何者でもない。
さらに許せないのは、大切な友人であるキュルケを護ることも出来ないことだ。
「今まで何を焼いてきた?炎の使い手よ、今度はお前が燃える番だ」
温度で他者を知覚するという、およそ人間とは思えぬ恐ろしい白髪のメイジがキュルケに杖を向ける。
あのメイスのような巨大な杖から生まれ出る炎が、これからキュルケを、そして自分を焼くのだろう。
復讐の炎を凍った心の中心で燃え盛らせ続けた自分が、なんの関係もない第三者に炎で焼き殺される。なんという皮肉だ。
白髪のメイジの杖の先から炎が飛び出した。
それは一直線にキュルケへと向かう。いまだに舌は痺れたように巧く動かず、ルーンを唱えることも出来ない。
母を元に戻してあげたかった。父の仇を討ちたかった。イザベラと一緒に紅茶を飲みたかった。キュルケのお喋りを聞いていたかった。シルフィードの背で風を感じていたかった。
そして…耕介の温かい手で頭を撫でてもらいたかった。
きっと、幽霊というのは、こうして生まれるのだろうと思う。こんなにも未練を残していては、死んでも死にきれぬというものだ。
(今度、幽霊に出会った時は…怖がらずに慰めてあげよう…)
頭痛と激しい怒りと未練が混ざり合って、タバサは冷静な思考が出来なくなっていた。
「…ミスタ?」
キュルケの間が抜けた声が聞こえた。
朦朧とした視界に、いつの間にか誰かが立ちはだかっているのが見えた。
後ろからでも見える肌色の頭頂部に黒いローブ…それは、徴兵にも応えず、この戦時下に教鞭を執り続けた教師コルベールであった。
「私の教え子から、離れろ」
どうやら、彼が白髪のメイジの炎を消し飛ばしてくれたらしい。
タバサの胸に一縷の希望が灯った。
どうやら、まだ自分の命運は尽きていなかったらしい。
せめて魔法が使える程度に回復するまで、コルベールが時間を稼いでくれれば、まだなんとかなるかもしれない。
白髪のメイジが何かを話している。どうやらこの男はコルベールの過去を知っているらしい。
コルベールの杖から現れた巨大な炎が蛇の形をとって飛翔した。それは白髪のメイジを無視し…食堂から魔法を放とうとしていた敵メイジの杖を食らい尽くした。
恐ろしいほどに正確無比で素早い詠唱と操作だった。
彼の横顔が見える。その時、タバサは自分の視界がまだ回復しておらず、幻覚を見ているのかと思った。
いつも柔和な笑顔を浮かべ…悪く言えば昼行灯である普段の彼からは想像もつかない、ゾッとするような酷薄な笑みを…コルベールは浮かべていたのだ。
タバサは瞬間的にコルベールを恐ろしいと思った。確信できる、白髪のメイジの言葉は真実だ。このコルベールという男は…数え切れないほどの人間をその炎で食らい尽くしてきた虐殺者だ。
タバサとて、任務上殺人を犯したことはある。最初に人を殺した瞬間は、何も思うことはなかった。任務のために必要だったからだし、魔法というのは殺人の”手応え”がないせいだ。
だが…その晩、死んだ敵兵の死相が夢に出てきた。それから数日は眠れぬ日々が続いた。
目を瞑る度に死人の顔が夢に出て飛び起き…やがて、そんな感覚は麻痺していった。
もはやタバサは、無表情に人を殺せる。そうでなければ生き残れなかったからだ。

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:01:25 ID:vXDjxOmJ
ぷよぷよ(魔導物語)からティファニアなみに巨乳で、ルイズみたいに魔法の使えない人の召喚は難しそうだな・・・
あの、気を使う技はどうみても魔法www

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:02:04 ID:335iQgEU
投下祭で感激ですが容量確認忘れずに
支援

730 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 22:02:46 ID:1iR7c3Er
そして、このコルベールというメイジは…タバサのさらにさらに先にいる。
必要とあらば、子どもも老人も区別せずに同じ”殺害対象”として無感動に焼き払える…完成された軍人という機械。
あの白髪のメイジと対峙していながら、恐れるでもなく高揚するでもない。ただ、目的を達成するために戦術を立て、それが可能だと判断したが故に浮かべる笑み。
いつか…自分もこのように笑うようになるのだろうか…。
その想像は、タバサの背筋に氷柱を刺し込んだ。
3年前、ジョゼフに抱いた怒りと憎悪と殺意は未だ全く衰えていない。いや、むしろ更なる油を注がれ、燃え上がっている。
この憎悪を晴らす術は、この手をあの男の首から溢れ出るどす黒い血で汚す以外にありえない。
復讐した後のことなど考えたことはない。タバサの目的は復讐と母の心を元に戻す術を手に入れること、この二つだけだったからだ。
母が治ったら、昔のように甘えたいと思う。けれど…血にまみれた自分はもう母のシャルロットではない。
もはや自分は目的のためだけに稼動し続ける人形”タバサ”でしかないのだから。
だが、そんなタバサの覚悟は…甘かったと言わざるを得ない。
復讐を遂げるならば、コルベールのようになるべきだ。だが…心の奥底に封じ込めた柔らかい部分が悲鳴を上げる。
自分の行く末を…こんな冷たい戦場とは無縁な昼行灯だと思っていたコルベールに突如突きつけられ、”シャルロット”が嗚咽を漏らす。
「火が司るものが、破壊だけでは寂しい。私は20年間、そう思ってきた。だが…結局、私は逃れられないのか」
コルベールの声色は、無念を示す言葉とは裏腹に、冷たいものだった。
きっと、回路が繋がったからだろう。
昼行灯のコルベールも、この冷たいコルベールも同一人物だ。ただ、繋がっている回路が違うだけ。
けれど…それだけでこんなにも人は変わる。
恐ろしい。それがタバサには恐ろしい。
いつか自分にもこんな回路が生まれる。いや、もう生まれかけている。そして…それ以外の回路がなくなってしまうかもしれない。
我知らず、タバサはやっと痺れの取れてきた舌と喉を動かしていた。
「コースケ…」
奇しくも、その瞬間に”それ”は飛来した。

最初に異変に気づいたのは、メンヌヴィルであった。
長年探し続けた、自分から光を奪い去ったあの男…コルベールを見つけ、歓喜と共にいざ殺し合おうと杖を構えた時。
彼にしかわからない温度の視界が、飛来する熱源を感知したのだ。
「風竜だと!?」
上空から凄まじいスピードでそれはやってくる。
いったい何者なのか、見当もつかない。王都からの応援かとも思ったが、それにしては来るのが早すぎるし、何より熱源は一つだ。
コルベールの姦計かとも考えたが、コルベールの温度変化が、彼も風竜の出現に気づき驚いていることを伝えていた。
メンヌヴィルたちが乗ってきた艦には竜を載せていないから、味方という線も薄いだろう。
となると、全くの第三者か?そうであるならば、もはや正体を推測するなど不可能だ。
だが、一つだけわかることは…そいつが、この因縁の対決に水を差す無粋者だということだ。
一方、コルベールも困惑していた。
昔の…掛け値なしの”炎蛇”であった頃の自分に回路を繋いだというのに、上空から風を蹴散らして正体不明の何かがやってきたのだ。
王都からの応援とは考えにくいし、メンヌヴィルの反応から敵の増援というわけでもなさそうだ。
いったいこの闖入者は状況にどんな影響を与えるのか…見当もつかない。
結果、同じ部隊に所属していた二人の元軍人は、同じ結論を下した。
すなわち、最大限の警戒を払ったままで様子を見る。
闖入者の素性が不明なのだ、ヘタに動くことは出来ないし…何より、他者に意識を割いたままで勝てるほど、この一戦は甘くはないのだ。
二人が次に起こり得る出来事を想定し、警戒を払い…だが、闖入者は全く予想を裏切る行動に出た。
「と…飛び降りた!?」
速度を緩めずに突っ込んできた風竜から影が飛び降りたのだ。
それはおそらく《レビテーション》の効果だろう、落下速度を緩め、それでも運動エネルギーを殺しきれずに地面に落下、そのままごろごろと転がり、メンヌヴィルの背後にある茂みに突っ込んでやっと停止した。
メンヌヴィルは素早く食堂側に飛びのき、視界にコルベールと茂みを同時に捉えられる位置に移動する。ちょうど3人を頂点にした三角形が生まれた。
この時、二人は同じ疑問を抱いていた。
この闖入者の挙動は明らかにおかしい。メイジならば、《フライ》で飛び降りれば良い話だ。
だが、何故《レビテーション》にした?《フライ》を使わぬ理由がないし、その方が落下によるダメージなど受けずに済むではないか。

731 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 22:04:19 ID:1iR7c3Er
落下のダメージから回復したのか、闖入者が立ち上がった。
そして、やっと二人の疑問は解消した。闖入者…謎の男は、剣を抜いたのだ。マントも羽織っていない。すなわち、平民。何やら男の周囲で光が舞っているのが気になるといえばなるが、それは魔法の光とはどこか違う印象を受ける。
だが、それは新たな疑問を与えた。平民が風竜から一人で飛び降りてくる…?ますますもってわけがわからない。
二人は同時に決断を下した。未だにこの男の正体は掴めないが…男を意識からはずすことにしたのだ。
相手は平民、銃も持っていないのなら、この卓越したメイジ同士の死闘に介入できるはずもない。
邪魔になるならば、もののついでに焼き払ってやれば良いだけだ。
双月に雲が徐々にかかり、光の恩恵が衰退していく。
二人が互いに意識を収束させようとしたその瞬間
「タバサから離れろッ!」
男の叫びが緊迫した空気を切り裂いた。
次いで起こった出来事に反応できたのは、コルベールだけだった。
「ミス・タバサを知っているのか?な…何ッ!?」
コルベールは見たのだ。男の剣が白い炎に鎧われるのを。
まさか、長剣に見せかけた杖とは!
「神咲無尽流…洸牙!」
男の口から聞いたこともない類の呪文が流れ、次いで剣型の杖が横一文字に振るわれる。剣を鎧っていた炎が一直線にコルベールへと飛翔した。
コルベールはメンヌヴィルとの戦闘のために詠唱しておいた魔法を使わざるを得なかった。
コルベールの指揮棒型の杖から巨大な炎の蛇が現れ、白い炎と激突し、相殺された。
恐ろしい威力だ、トライアングルでも上位に位置するコルベールの魔法を相殺するとは、最低でもラインの上級からトライアングルほどの威力。
コルベールは次に起こる事態に備えて、再びルーンを詠唱しながら、まずは試せることを試すことにした。

メンヌヴィルは困惑していた。
コルベールが突然、男に向けて炎を放ったのだ。
邪魔者を先に排除しようというのか?だが、この”白炎”を前にして余所見とは、コルベールらしくもない!
先ほどの男の言葉に何か意味があったのかもしれないが、これは好機であることは間違いない。
「余裕だな、コルベールゥ!」
メンヌヴィルの杖から炎の球が二つ生み出され、コルベールへと飛翔しようとした時。
「何、罠かッ!?」
メンヌヴィルは咄嗟に炎の球を留めた。
先ほどコルベールが放った炎が男との中間点で突然消滅したのだ。
あの炎はコルベールの誘いであった可能性がある。何を企んでいるのかはわからぬが、むざむざ罠にかかってやるほどこの”白炎”は甘くはないのだ。
そう…彼には”見えていなかった”。
男が金属の棒…剣を、明らかな間合いの外から何故か横一文字に振ったことはわかっていたが、その剣が白い炎に包まれていたことには気づかなかった。
当然であろう、その剣から放たれたものは…この世の法則から全く外れた力。温度の視界しか持たぬメンヌヴィルにとって、それは絶対に知覚不可能な攻撃なのだ。

耕介は怒りに駆られながらも、冷静に思考を働かせる。
まずは、タバサのそばにいる男を引き離すことが第一だ。
御架月の治癒によって、未だ痛みは残っているが無視して動ける程度には回復した。
先ほど放った洸牙を追いかけるようにして、男へと走り出す。
洸牙が男の放った炎によって無効化されるが、そうなることは端から織り込み済みだ。
二つの力が激突し、火の粉が舞い散る中を突っ切り、御架月に霊力を叩き込んで最短距離で斬りかかる。
後一歩で一足刀の間合い…というところで、男が声を上げた。
「ミス・ツェルプストー、友人を連れて逃げなさい!」
言葉と同時に、男が食堂側へ飛びのく。《レビテーション》の魔法も併用しているのだろう、助走なしに跳んだとは思えぬ跳躍だ。
だが、そんなことよりも、男の言葉が耕介には引っかかった。
(ツェルプストー……なんだ、どこかで聞いたことがある…どこだ!?)
戦闘用に思考を切り替えていたため、いったいいつどこで聞いた名前なのかが咄嗟に思い出せない。
加えて、こちらの人間の名前はやたらと長いものが多いために、耕介はフルネームを暗記している相手がほとんどいないのだ。
耕介が完璧に覚えているフルネームの中にツェルプストーという名はない。だが、どうにも引っかかる。いったいどこで聞いた名前だったか…?
先んじて食堂側に飛びのいていた白髪の男の杖から炎の球が二つ飛び出した。
それは迷うことなく禿頭の男を目指して飛翔した。
禿頭の男は、空中にいる時から詠唱を始めていたらしく、洸牙を相殺した炎の蛇を生み出してそれを迎撃する。

732 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 22:05:42 ID:1iR7c3Er
これからどうするかを思考していた耕介の視界の隅に、赤い髪が踊った。
その炎のような赤い髪に、耕介の記憶が一気に呼び出される。
「ツェルプストーって…キュルケなのか!?」
そう、ツェルプストーとは、キュルケのファミリーネームだ。キュルケの名前は耕介が知る中でも最長の部類に入るが、最後のツェルプストーだけは記憶の片隅に残っていたのだ。
タバサを抱えて歩き出していたキュルケが、耕介の声に反応して振り向いた。
「え…その声に…それ、カタナ…?貴方、コースケ!?」
キュルケの安堵と驚きが混ざった声を聞き…耕介は御架月を振りかぶった。
「キュルケ、伏せろぉ!」
耕介の視界の端から、いくつもの氷柱がキュルケ達を標的に据えて飛来していた。

コルベールはキュルケと剣を持った青年との短い会話を聞き、疑念を確信に変えていた。
(あの青年は敵ではなさそうだ…!)
キュルケの言葉には、明確な安堵が混ざっていた。あの青年を警戒していないのだ。
ならば、あの青年が何者かはわからないが、タバサやキュルケの味方であることは間違いないだろう。
こちらに最初に斬りかかってきたのも、自分を二人から引き離すためだと考えればしっくりくる。
まずは自分がこの学院の教師であることを伝えるべきだろう…そこまで思考して、コルベールは自分の迂闊さを呪った。
メンヌヴィルと青年にばかり注意を払っていて、食堂側への警戒を疎かにするとは、何たる愚かさ!
雲によって片方が隠されてしまい、独り身になった月から降る月光を、氷柱が反射する。
食堂側に潜んでいたメイジが、逃げようとしていたキュルケ達に向けて《ウィンディアイシクル》を放ったのだ。
「く…間に合ってくれ!」
コルベールは待機させていた炎の蛇を解き放ち、氷柱の群れに追いすがらせる。
「隊長殿、また余所見かぁ!」
魔法を放った直後で無防備となったコルベールの隙を見逃さず、メンヌヴィルが成人男性を一飲みに出来そうなほどの巨大な炎を解き放った!

メンヌヴィルは勝利の確信と共に特大の炎球を解き放った。
”視界”には、部下のメイジが放った魔法を迎撃しようとするコルベールが見える。
どうやら、コルベールは本当に”教師”などというものになってしまったらしい。
「本当に腑抜けてしまったようだな、隊長殿…!」
この”白炎”を前にして、これほどに決定的な隙を見せるとは…自分から光を奪ったあの冷酷な”炎蛇”とは思えぬ甘さ。
昔の彼ならば、あの二人の生徒を一瞬で切り捨てたはずだ。
まずは目の前の最大の敵を打倒し、次に指揮系統を失って動揺した食堂内の敵メイジを殲滅…これが、最も”効率的”な作戦。
戦いに犠牲はつき物だ。たった二人の死と、コルベールの敗北によって発生しうる食堂に集められた90人もの人質に発生しうる危険。
天秤に乗せて量る必要さえもない、単純なリスクの計算だ。
あの”炎蛇”はその計算を誰よりも徹底的に行えるからこそ、メンヌヴィルのような人の命を奪うことに躊躇いを覚えないような冷酷な男達を率いる隊長の座にあったのだ。
メンヌヴィルは運命の残酷さと皮肉さを嘆いた。
20年という時間は、メンヌヴィルに力を与えてくれた。彼はその時間をフルに使って、敵を焼き続けた。
だが、20年という時間は、同時にコルベールから力を奪った。彼は安穏というぬるま湯に浸かり続け、”炎蛇”という冷酷無比な戦士からただの教師に堕した。
20年間、メンヌヴィルはいったい何を追っていたのか?
メンヌヴィルは、信じたこともない始祖に悪態をついた。
まったく、あんたはなんという皮肉屋なのだ!
そう…運命を与えるのが始祖だと仮定するならば、彼はとてつもなく意地の悪い劇作家だろう。
「な、なんだと!?」
メンヌヴィルの”視界”は、確かに何も捉えていなかった。
彼の放った炎は、コルベールを間違いなく飲み込むはずだった。
だのに―――

733 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 22:07:13 ID:1iR7c3Er
「え……?」
キュルケは、今起こっている出来事から現実感が感じられなかった。
今まで、彼女にとって死とは遠いものだった。
彼女の実家はゲルマニアの端にあり、隣接しているヴァリエール領とは幾度も矛を交えてきた家柄だが、ここ最近は国境沿いの小競り合い程度で本格的な戦闘などなかった。
自身、優れた火のトライアングルメイジであるが、彼女はそれを殺しのために使ったことはない。相手がいなかったのだから、当然だ。
それが故の”微熱”。彼女は火の属性の特徴とは、『情熱と破壊』だと標榜しているが、彼女の炎は色恋に向けられるばかりであった。
彼女は18歳とは思えぬほどに豊満なプロポーションをしており、自身もそれが周囲の男達にとってどれほど魅力的なものかを理解して武器にしている。
それは同時に、他の女性達から不興を買うということも織り込み済みであるということだ。
無論、周囲との摩擦が起こるし、学生同士の戯れのようなものではあるが決闘沙汰もあった。
だが、それらは全て本物の”殺し合い”ではない。
彼女は火の使い手ではあるが、火が人間を焼く”匂い”や”感触”とは程遠い存在であった。
そんな彼女の前に突然現れたあの恐ろしい白髪のメイジ。
炎で目を焼かれながらも、人を焼くことをやめず、ついには温度で他者を認識するという異常性を得た男。
あの男は、どうしようもないほどに恐ろしい死の匂いを発散していた。
あの男に、杖を向けられた時、彼女は初めて死の感触を知った。
あの男が発した炎は、自身が操る炎と同じものとは思えぬほどに『破壊』を体現していた。
そして…彼女を救ってくれたコルベールからも同じものを感じた。
二人は知っているのだ。火が人を焼く”感触”を。
だが、コルベールが現れた時、彼女は恐ろしいとは思わなかった。
白髪のメイジは火に酔っていた。だが、コルベールは…自身の火がいったい何を為すかを理解してそれを使い…同時に、恐れていた。
そう、彼は腰抜けと謗られようと、一生己の火を封印するつもりだったのだ。
彼が常々言っていた『火が司るものが破壊ばかりでは寂しい』という言葉は、彼の願いそのものだったのだ。
そんな彼が、何故封じたはずの火を再び燃やす気になったのか?決まっている、彼は護るために杖をとったのだ。
『私の教え子から、離れろ』
敵を燃やし尽くす苛烈な炎でありながら、その炎が彼女を傷つけることはないと断言できた。
彼女はコルベールが纏うその橙の炎に魅せられた。
必ず彼が護ってくれると信じられた。
けれど…その彼は今そばにはおらず、タバサを抱える彼女に向かって、幾本もの氷柱が迫ってきている。
今…掛け値なしに、自分は死のうとしているのだ。
もはや氷柱は目前まで迫ってきており、今更ルーンを唱えたところで、どうやっても串刺しになる方が早い。
助かったと思ったのに…こんなにもあっさりと自分は死ぬのだろうか?
そう思っても、やはり現実感が感じられない。目の前に迫ってくる氷柱は、以前タバサと誤解から決闘沙汰になった時に向けられた氷柱よりも明確な殺意が篭っているはずなのに。
後から思えば、それはキュルケ自身、これに刺し貫かれることはないと無意識にわかっていたからかもしれない。
何故なら、”熱”を感じていたからだ。
ボシュゥゥ!という戦場には似つかわしくない間抜けな音と共に、数秒後にはキュルケとタバサを串刺しにしようとしていた氷柱は後ろから追いすがってきた炎の蛇に飲み込まれて水蒸気を撒き散らした。
「きゃあ!」
至近距離から水蒸気を吹き付けられ、未だにダメージが抜けていなかった彼女の体はバランスを崩して地面へと倒れこんだ。

734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:07:14 ID:PBxRChxn
支援

735 :さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo :2008/04/20(日) 22:10:59 ID:1iR7c3Er
コルベールは、自分が死ぬと理解していた。
あのタイミングで放たれた氷柱を迎撃するには、待機させていた魔法を解き放つしかなかった。
彼の二つ名である”炎蛇”とは、その炎が通常の炎球よりも速い…それこそ、蛇のように素早く、細やかに操作することからつけられた名だ。
彼の炎ならば、あの氷柱にギリギリ追いつけるだろう。
だが、彼の目の前にはかつての部下であり、今では敵であるメンヌヴィルがいた。
メンヌヴィルは彼を殺すことに固執している。それは、『全力で戦いたい』などというものではない。メンヌヴィルは単にコルベールを焼き殺したいだけだ。
結果さえ同じであるなら、過程は問わない。
ならば…目の前でコルベールがこれほどの隙をさらして、そこを突かぬはずがない。
メイジの戦いとは、読み合いだ。
魔法には必ず詠唱がある。メイジとは攻撃するために隙を晒さねばならないという、個人単位の戦闘者としては致命的な欠陥があるのだ。
だが、それでも魔法という力は絶大で汎用性に富んでいるが故に、メイジの優位は動かない。
すなわち、メイジ同士の戦いは手を読まれた者が負ける。
ましてやコルベールとメンヌヴィルは、魔法の力比べをしているのではない。彼らが行っているのは、殺し合いだ。
故に。
「隊長殿、また余所見かぁ!」
メンヌヴィルがその時点で撃てる最大の魔法を放ってくることは当然の帰結。
そして、コルベールにはもはやどうすることも出来ない。
炎の魔法が攻撃力に特化していると言われる最大の理由は、他の魔法よりも圧倒的に高い追尾性が故だ。
知覚しきれる範囲であれば、集中力さえ切れねば確実に炎を操作し、対象に当てることが出来る。
加えて、メンヌヴィルは温度を追尾させるという、他のメイジでは絶対に不可能な手段が取れる。
今から《フライ》で飛んだとしても、数秒の延命にしかならないし、何より氷柱を狙った炎の操作に支障が出る。
すぐ目前に、死の具現が迫る。
あぁ、死んだな…と、コルベールはまるで他人事のように自身の死を予感していた。
だが、同時に満足もしていた。
彼は、確かに人質になっている生徒達の安全を考慮し、キュルケとタバサを見殺しにすると瞬時に決断していた。
ここでコルベールが敗北すれば、メンヌヴィルは満身創痍のキュルケとタバサを易々と殺し、他の銃士達も殲滅するだろう。
あの不可思議な魔法を使う青年がいるが、彼の実力は全くの未知数、考慮に入れることは出来ない。
ならば、90人のために、あの2人を見殺しにしてメンヌヴィルを殺すべきだ。
けれど…冷静な思考がそう決断したにも関わらず、彼の体は二人の”生徒”に迫る氷柱を阻止すべく炎を解き放っていた。
コルベールはとても安らかな気持ちだった。彼は…教師であれたのだから。
思考は確かに”炎蛇”だった。だが、20年間に染み付いた教師としてのコルベールが確かに存在したのだ。
それは、任務の名の下に老若男女を問わず等しく焼き殺し続けた彼が、軍人という機械ではなく…子どもに大切な”何か”を教えられる教師になれたのだという証に他ならない。
それが、ひどく嬉しかった。
彼が放った炎の蛇が、生徒達を狙った氷柱に追いつき、飲み下した。
なんとか間に合ったようだ。これでいい。後は…あの青年と銃士達に任せるしかないのが心苦しいが、生徒達を無事に救い出してくれることを祈るしかない。
”炎蛇”…いや、”教師”コルベールは、信仰の果てに始祖より救いを賜った神官のような心持ちで目を瞑った。
双月が完全に雲に覆われ、周囲に闇が満ちる。
そして、その闇を一瞬だけ、炎の花が鮮やかに花開いて蹴散らし…また、闇が世界を覆った。



以上で投下終了になります、支援ありがとうございました!

736 :大使い魔17:2008/04/20(日) 22:15:53 ID:sGKQXwdZ
乙です。

なんか容量がヤバそうなんでこちらは次スレで改めて投下予告します。

737 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:16:14 ID:eL50cASy
そんな良い所で切るなんて!乙です!

738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:16:16 ID:PBxRChxn
乙!
いいところできるなあw

739 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:16:23 ID:335iQgEU
管理人さん乙です


740 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:48:13 ID:ikwk/6kY
管理人さん乙でしたー。

というか次スレか…どうすんの?

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:49:27 ID:631uU4Yz
建ててみる。テンプレに変更はあるか?

742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:53:45 ID:631uU4Yz
ダメだった。次の人よろしく。

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:57:30 ID:yRQjb2lB
800到達する前に500KB行きそうですな。

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 22:59:22 ID:7b07tiyo
では私がスレ立て行きます。

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:01:11 ID:7b07tiyo
つーわけで立てたっすー

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part131
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1208700023/l50


746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:01:40 ID:631uU4Yz
>>745乙ー

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:02:52 ID:sGKQXwdZ
新スレ乙です

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:02:58 ID:cfdxVRmu
乙。
それでは埋め立てだ


749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:04:27 ID:myMwS5FR
報告、ダブリスレが出ました。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part131
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1208700027/l50

750 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:05:23 ID:Z0OPmw3N
500kbならティファニアなみに巨乳でルイズのように魔法の使えない使い魔が召喚される

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:08:43 ID:wgpEpBS9
なぎはらえー(AA省略)

752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:09:14 ID:Oi8I3O2m
500kbならこいつ↓を召喚

ttp://www.geocities.co.jp/Playtown/4937/models/images/dokuro_1.jpg

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:11:58 ID:335iQgEU
>>750
つまりおっぱいで埋め作業すればよいのですね?

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:16:42 ID:Z0OPmw3N
誰か魔導物語のキャラを召喚してくれないかな。
まぁ誰が来てもやってくれそうにないが。
もしかしたら空腹で死に掛けのシェゾなら飯をくれれば借りを返すためにやってくれるかな。

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:19:10 ID:YD4LEhXw
自分で書けばいいじゃない

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:21:08 ID:nmN8yxIF
500kなら
バルタン星人を希望!

757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:29:50 ID:A+Qf+T80
ルルーさまか女神アルル召喚とか良いかもね

もしくはアルルゥ&ムックル

758 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:32:14 ID:6fX/sXEp
ローゼン再開を記念して500kならゼロのミーディアム再開!
俺は待ってるぞぉぉぉぉぉ!

759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:33:41 ID:4wTE00Yi
おれも水銀燈を待ってるぞ

760 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:33:45 ID:iPmq0NYz
埋めついでに。

原作のゼロ魔をもっと理解しようと、ゼロの使い魔コンプリートを買ったんだが、どうしても想像で補わなきゃならない部分がある。
住んでいる場所とか高さとか衛兵は何処にいるのだとかメイドの人数とか部屋とか……
これってむずくね!?むずくね!?

761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:33:49 ID:Z0OPmw3N
>>757
ルルーさまならきっと素手でワルキューレを粉砕。
そしてアルルなら間一髪でワルキューレを蒸発させる

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:35:37 ID:cfdxVRmu
>>760
逆に考えるんだ。
書き手の自分の都合のいいように設定できる、と考えるんだ。

763 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:38:34 ID:Jzrh8oGq
500kなら銀河英雄伝説のアンドリューフォーク召喚。

読者からも中の人からも嫌われてる最悪の人物は
ハルケギニアでも嫌われ者になるんだろうか?

764 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:38:44 ID:YD4LEhXw
今492kB
まだまだだな

765 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:40:00 ID:QxsfAJlR
500KBならロックオン・ストラトスをデュナメス込みで召喚

766 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:40:38 ID:5GcZeGn4
サイトもオナニーのおかずがあっても
ティッシュが無いから大変だよな
まさかルイズの持ち物の布切れで拭うわけにもいかんだろうし
かわいそうだな

767 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:42:14 ID:RrdgeIpr
>>765
あんな死に様を見たら呼べないだろう
あれこそ真の漢だ

768 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:46:30 ID:4wTE00Yi
リリカルイズの続きも読みたいな
「リリカルイズ」と言い張るタバサは…

769 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/20(日) 23:51:15 ID:xBM2c7h7
500ならのびのびBOY召喚

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:02:45 ID:OeR8Jbsj

       \ヽ, ,、
        `''|/ノ
         .|
     _    |
     \`ヽ、|
       \, V
         `L,,_
         |ヽ、)
         .|
        /                   ,、
   _,,....,,_  /                  ヽYノ
-''":::::::::::::`''.|                 r''ヽ、.|
ヽ:::::::::::::::::::::| :\                ー-ヽ|ヮ
 |::::::;ノ´ ̄ | :::::::\_,. -‐ァ     __   ___`|   ______
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__   ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,'==─-      -─==', i
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'    L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
 (  ,ハ    ヽ _ン   人!      | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
,.ヘ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ    レ ル` ー--─ ´ルレ レ´   ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                                       d⌒) ./| _ノ  __ノ


__                        _,,....,,_
    ̄ ̄ ̄二二ニ=           , '´:::::::::: _":;  _____   ______
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       -=ニニニニ=-   r‐- .,_/::::::::::::; /'r ´          ヽ、ン、
                __.)   `''ァ-ァ'"´, ' ,'==─-      -─==', i
               ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘi イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
              、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐レリイ(ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
              ヽ_/i.  /! ハ  ハ   !!Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |  _,,-''"
              <、 ',. /__,.!/ V 、!__,ハ、L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|,-''";  ;,
               ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /; ;;  ': ,'
               V;i| '"  ,___,   "' 'レ ル`ー--─ ´ルレ  レ´:, ': ,:
               i,.人   ヽ _ソ    , ;,; ' ; ;;  ': ,'   、
               ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ; ' ; :, ': ,:   :' レ´|`)    ,ノ  レ|
                _,,-','"','", ;: ' ; : ': ,:    :'    `ノ´ つ  ヽ、  __ノ

771 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:03:30 ID:UZ3br510
500KBなら海のリハク召喚

772 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:04:35 ID:wgpJXVOs
500KBなら物部景召喚

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:06:53 ID:JOYKVegM
500KBならブラックソード・ゼロ召喚

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:08:27 ID:xvrSbWda
500ならドアラ召喚

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:10:25 ID:qIUbZMIw
500KBならアザトース召喚

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:11:27 ID:J+Mdq1fi
500ならヨーコさん召喚

777 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:11:32 ID:OeR8Jbsj
500KBなら↓召喚
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人_''';;';';;'';;;,., 
> ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!<  ''';;';'';';''';;'';;;,.,
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄   ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
                              MVvvMvyvMVvvMvyv=Vvv、
                            ___ヘ^−^=-__^−^__ヘ^___ヘ
                      __   _____   ______   __   _____   ______ 
                      ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
                  ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 ̄`-ゝ 、_ イ、_,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ 
           ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 ̄`-ゝ 、_ イ、_,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
           'r ´          ヽ、ン、    ヽ 'r ´          ヽ、ン        ヽ、ン、
          ,'==iゝ、イ人レ/_ル==', i/_ル= ,'==iゝ、イ人レ/_ル==', 、イ人レ/_ル==', i
          i イ  (ヒ_]     ヒ_ン ).ヽイ i |ヒ_ン ). i イ  (ヒ_]     ヒ_ン ).ヽイ i|_]     ヒ_ン ).ヽイ i |
          レリイi!""  ,___,   "".| .|、i .||   "".|レリイ!""  ,___,   "".| .|、i .||i ,___,   "".| .|、i .||
            !Y!   ヽ _ン    「 !ノ i |    「 !ノ iY!  ヽ _ン    「 !ノ i |! ヽ _ン    「 !ノ i |
            L.',.          L」 ノ| .|    L」 ノL.',.         L」 ノ| .|'        L」 ノ| .|
            | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /     ,イ| || ||ヽ、       ,イ| ||イ| /       ,イ| ||イ| /
            レ ル` ー--─ ´ルレ レ´´ルレ レ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ ー--─ ´ルレ レ´

778 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:13:37 ID:wX/DcBw+
500kbならガンダルフ召喚

779 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:14:20 ID:VdlZ4vZr
500ならアルルが召喚

780 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:14:51 ID:VdlZ4vZr
500ならルルーが召喚される

781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:16:03 ID:b6QKIdTm
500ならD伯爵(カウントディー)召喚

782 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:18:20 ID:JOYKVegM
500KBならたまには召喚お休み

783 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:18:21 ID:WVXk9jBF
500なら私の陛下を返せ!

784 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:21:36 ID:hFz7b82H
500ならだれもいなくなる


785 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:22:01 ID:nkmUv1nm
500ならこのスレ終わり

786 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/21(月) 00:22:07 ID:l/rbxoBH
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
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>>1

よろしい。ならば今回は「放置」だ。 /a>     スペースインベーダー
>>333     ディグダグ
>>334     バルーンファイト
>>337     アルカノイド
>>347-ト=/test/read.cgi/anichara/1208387533/">★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

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