5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

リリカルなのはクロスSSその62

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:47:38 ID:RkiUMhMy
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
ゲット・雑談は自重の方向で。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその61
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1208175328/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ35(避難所で進行中)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6053/1208083521/
まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/

NanohaWiki
ttp://nanoha.julynet.jp/

R&Rの【リリカルなのはStrikerS各種データ部屋】
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/index.html



2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:48:50 ID:RkiUMhMy
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
 http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
 http://janestyle.s11.xrea.com/
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は感想・雑談スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
 前の作品投下終了から30分以上が目安です 。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。

【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
 議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
 皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
 著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
 いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
 追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。





3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:49:39 ID:RkiUMhMy
【警告】
・以下のコテは下記の問題行動のためスレの総意により追放が確定しました。

【作者】スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI
【問題の作品】「スーパーロボット大戦X」「スーパーロボット大戦E」「魔法少女(チェンジ!!)リリカルなのはA'S 次元世界最後の日」
【問題行為】盗作及び誠意の見られない謝罪

【作者】StS+ライダー ◆W2/fRICvcs
【問題の作品】なのはStS+仮面ライダー(第2部) 
【問題行為】Wikipediaからの無断盗用

【作者】リリカルスクライド ◆etxgK549B2
【問題行動】盗作擁護発言
【問題行為】盗作の擁護(と見られる発言)及び、その後の自作削除の願いの乱用

【作者】はぴねす!
【問題の作品】はぴねす!
【問題行為】外部サイトからの盗作

【作者】リリカラー劇場
【問題の作品】魔法少女リリカルなのはFullcolor'S
【問題行為】盗作、該当作品の外部サイト投稿及び誠意のない謝罪


4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:55:41 ID:/LQnmvz/
>>1
なんというドジっ子……何はともあれ乙です。

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:56:48 ID:mIauUCPW


6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:57:36 ID:YozAjbTN
>>1
ユーノ乙

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:58:02 ID:A5rJthRh
>>1
乙です。

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 21:59:55 ID:G27rFvXx
乙です、>>1
しかし、盛大だったなww

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:04:27 ID:7MOJBXH+
乙w

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:06:44 ID:7MOJBXH+
sage忘れてました↑すいません

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:09:51 ID:srj4dJHq

ユーノ「こんな人が大勢いるところでさらすなんて……恥ずかしいよ…。」

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:12:38 ID:jx2JNQQw
乙です
誤爆と見せかけて1は巧に洗脳しようとしてないか?

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:15:11 ID:zkeTVCdM


>>11
ユーノ君がなんかエロいwww

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:16:26 ID:eSNXflgg
三度目の正直乙

>>11
ショタコンお兄さん達の餌食になっちまうぞw

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:18:19 ID:Gw+XhM4H
>>1 乙だ。そう、乙だ。本当に、ユーノ司書長はエロカワイイwwwwwwww

16 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 22:21:19 ID:JKmqQ4li
>>1
どうも、お久しぶり……というか久しぶりすぎて覚えている方がいるかどうかすごく不安なXtSです。
新スレということで、XtrikerS第二話Aパートを落としたいんですけど大丈夫でしょうか?

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:22:42 ID:Gw+XhM4H
先ほどサンダルフォン殿が現れていらしたから少しお待ちした方がよろしいかと。

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:23:29 ID:ZBmhjzoS
598 名前:リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw [sage] 投稿日:2008/04/23(水) 19:58:09 ID:/LQnmvz/
やぁ。お久しぶりです。

ようやく『運命の探求』後編Bパート、完成しました。
というワケで、今夜十時半頃に投下予約してもよろしいでしょうか?





でござる。

19 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 22:24:01 ID:JKmqQ4li
>>17
わかりました。もうしばらく待機してます

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:24:37 ID:ZBmhjzoS
>>17
重複スマソ

21 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:29:47 ID:/LQnmvz/
ではそろそろ投下を開始します。
ご支援のほど、よろしくおねがいします!orz

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:30:22 ID:Gw+XhM4H
支援だ!

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:30:25 ID:A5rJthRh
まかせて、ダディ! 支援

24 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:30:35 ID:/LQnmvz/
◆◆◆

『運命の探求』
後編Bパート

◆◆◆


「どういうことだ……!」


第97管理外世界の平行世界(パラレルワールド)と時空管理局に認識されたこの地球(ほし)の衛星軌道上で待機している次元艦アースラの艦内で、
この船の艦長であるクロノ・ハラオウンは驚愕に満ちた声で忌々しく呟いた。
艦内のオペレーター、クルー達も不安げな表情を浮かべつつも全力で“その事象”を解析すべく動き続けている。
なれどその強固であり未知であり絶対的なその事象は、人間の範疇では決して納まりきれない位階にまで達していた。
何故、この様な事態に成ってしまったのか。先ほどまではほぼ順調であり、たとえいかなる問題が出てこようとも対処できる布陣であった筈だ。
だのに―――手も足も出せないとは、如何いう事か。
焦るクロノに、オペレーターがこの異常事象に困惑しながらも現状を報告する。


「現場の無人島を中心に半径数十kmに渡って次元断層と類似する、未知なる隔絶空間壁が何重にも展開されています! これでは転移魔法はおろか、物理的な干渉すら不可能です!」

「何とかその隔絶空間壁の“穴”を見つけろ! どんな小さな穴でもいい、異相次元率を同調させて無理やりにでも抉じ開けるんだ!」

「りょ、了解ッ!」


クロノは前例の無い異常現象に歯軋りしながら、それに至るまでの過去を振り返る―――それは、突如舞い込んできた指定ロストロギア探索及び確保の命令。
今回は高町なのは、八神はやて及びヴォルケンリッターの面々が別任務で動いていた為、フェイト・T・ハラオウンを中心に編成した部隊でその任務に当たる事となっていた。
だがそれも昨今から続く時空管理局所属魔導師の人員不足が祟り、僅か一個小隊による任務遂行を挑まざるをえなかった。
その為、実力的にも階級的にも頭角であるフェイトに先陣を切らせ、他の小隊を後続させるという手合を取るに至ったのだが……フェイトを転移させることに成功し、後続させようとした瞬間に、この“異常事象”が舞い込んだのだ。
つまるところ……今、あの島の中にいる管理局所属の魔導師は―――フェイトしかいない。

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:31:21 ID:A5rJthRh
風は虚ろな空を往く 支援

26 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:31:28 ID:/LQnmvz/
(っ……! こういう時に限って、僕は何も出来ないのか……ッ!?)


義妹の安否さえ解らぬ原因不明のトラブルに愕然と打ちひしがれながら、クロノは己が無力さを呪う。
ようやく次元断層と類似する隔絶空間壁の内部から発せられる魔力反応を何とか索敵できたが、その中にあるフェイトの魔力反応はついぞ見つけられなかった。
あるのは、正体不明の何者かが極僅かな魔力を燃焼させる反応と、文字通り無限に、無尽蔵に沸き立っていく膨大な魔力反応の二つのみ。
客観的に捉えればフェイトの生存率は絶望的である。


(いや! まだだ……まだ、“諦めてはいけない”! 出来ないと決め付けて、無力と嘆くには未だはやい!) 


だが―――クロノは己が無力を呪いながらも、未だその眸は絶望の色に染まってはいなかった。
まだ……まだ彼女がそうなってしまったという確証は取れていない。彼女は絶対に、生きていると。其処に確かに居るのだと、クロノはらしくもない曖昧な願いを心の内で叫んでいた。


(無力かどうかなんて結果で決まるもの……やれるだけの努力は常にやるべきだ。そう……まだ、絶望するには早すぎる!)


そう―――“否”と叫ぶその意志こそが、闇黒の狭間に煌く新たな光芒(ほし)を創造(つく)るのだ。


◆◆◆


だがその叫びさえも女は悉く卑下し、闇黒の狭間にて嘲笑した。


『ハハハハハハハハっ! 言うじゃないか少年。だけど無駄だよ。急造ではあるが、この僕が拵えた“柵”を討ち破ることなんて“彼ら”くらいしか出来ないのさ!
ただ一点にのみ絞られて施されたこの多重次元断層壁は、干渉遮断という一点だけみればあの『クラインの壷』と同等の断絶結界だ。君たち如きでは万が一でも破る事は叶わない!』


嘲りながら悶える異形の肢体は余りに淫靡な風体。
其れは原理さえも侵す毒といえる。そう……この異形の闇さえも侵しうる窮極の毒。
毒は己に抗う存在を蔑みながら、彼らに絶望という猛毒を魂に流し込んでゆく。
舞台を自分の思うとおりに引っ掻き回す事を至上命題とする彼女は、舞台の外にいる役者でさえも己が手の内で踊らすのだ。

そう―――これは『人形劇(グランギニョール)』。
総ては作り手の思うが侭。どんな無理無謀な設定でさえも己の都合で極大解釈して無理やり捻じ込む、子供の遊戯に似た、つたない舞台劇。
故に、誰からの介入も在り得ない。これは自分だけの世界。自分だけの物語。自分が楽しめればそれで良い。そんな、狂った無邪気を振り撒く混沌の戯れ。



“―――やっぱテメェのシナリオは糞つまらねェよ、ヘボ監督! テメェが作る物語なんざ、何度でもリテイクを要求してやらァ!!”
“―――観客はそのような結末など望んではおらんだろう。いい加減自重という言葉を覚えた方が良いな、邪神!!”

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:32:20 ID:A5rJthRh
声は絶えよ 支援

28 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:32:22 ID:/LQnmvz/
だが―――そんな絶対不可侵の遊戯でさえも打ち壊す、“窮極のご都合主義”が、突如としてこの『人形劇』の舞台外にて爆誕した。

遥か闇の彼方で爆砕が起き、極光が顕現する。
闇黒の世界でさえも一瞬だけ塗り替える刹那の光輝。その中で―――『男』と『女』、そして『神』が悠然と降臨を果たした。

女は……『混沌』はソレを知覚した。瞬間、彼女の嘲笑に歪んだ口元により一層、亀裂が奔った。それは……あまりに嬉々と歪んだ、狂える愛情とすら解釈できる微笑だった。


『ふふ、―――アハハハハハ! やはり……やはり来たか!! よくもまぁこんなトコロにまでやってきたね。ご苦労なことだよ、ほんとに。
僕の“人形劇(グランギニョール)”をことごとく打ち壊す、荒唐無稽な“ご都合主義(デウス・エクス・マキナ)”! 愛しい愛しい、我が、“我等”が怨敵よ!!』


彼は……彼らだけは例外だ。
なにせそれは“彼女自身がそう望んで創り上げた”、神のシナリオさえも三流のハッピーエンドに挿げ替える窮極のご都合主義を体現した刃なのだがら。



『ならば今一度打ち砕いて魅せよ! この僕に……僕等に再びその理不尽を討つ刃を振り翳して魅せてくれ! ―――最も新しき神よ!』



そう……闇黒に侵された物語を三流のハッピーエンドに落とす“ご都合主義”は、無限螺旋を超えてなお叫び続ける。
闇黒神話を討ち破る、荒唐無稽な御伽噺はセカイすら超えて紡がれる。遠く旧きより来たる、刃金の咆哮が木霊した。


“―――言われなくても、やってやるさ!!”
“―――だが、その前に『やること』がある。邪神よ、汝との闘いはその後だ!!”


だが神は邪神の意志に反してその場から消失……否、自らを再度別次元へ転送した。
向かう先は……運命の名を持つ少女のもとへ。

彼らが闘う場所は“あの舞台ではない”。もとより“彼女がその役目を担うべき”なのだから。
救うのだ。そして、伝えなければならない。
人間の強さを。理不尽な邪悪に打ちひしがれながらも、毅然と立ち向かう……脆弱な人間だけが持ちうる無敵の意志を伝える為に。

伝えるべき言霊はただ一つ。



“―――汝、魔を断つ剣となれ”



◆◆◆

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:33:00 ID:A5rJthRh
歌は消えよ 支援

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:33:18 ID:uSGRzD1v
支援

31 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:33:32 ID:/LQnmvz/
フェイトの意識は闇の中をたゆたっていた。
右も左も上下も無い、ただ其処に自分が居ると言う事だけしか感覚的に理解できない、牢獄の中に閉じ込められている。
指の一本すら動かせない。右手に持っていた筈の相棒(バルディッシュ)も何処へ消えたのか。闇の中、彼女はたった独りだけ幽閉されていた。
段々、彼女は彼女の存在を固定出来なくなっていく。身体は脳を省いて総て石化され、動こうにも動けず、ただただ理不尽に侵されて行くのみ。
四肢に取り付いた触手は己自身を石化の呪術を内包し、解呪(ディスペル)しようにもその人知を超えた複雑な術式を前に打ちひしがれる。
何度も何度も、繰り返しそれに挑むも、何もかもが成す術が無く、唯一動く脳内の思考に構築された術式が霧散し、いつしか彼女の心の中は絶望の色が浮き出てきた。


―――もう、無駄だ。


そう思う。あの邪神に対しては、なにをしようとしても無駄になる。無へ唾棄されてしまう。
この邪悪を打ち倒すという意志も。それ以上の圧倒的な邪悪の前にして折れてゆくだけだ。
あの邪神狩人と呼ばれた老壮の男ですら、神を召喚して尚、邪神相手にあの有り様ではないか。
陰鬱たる思念は新たな陰鬱を呼び、彼女を絶望の闇に誘っていく。


―――勝てる筈が無い。あんな異形に、勝てる筈が無い!


理解を超えた恐怖の奈落に、彼女は心の中で、絶望の涙を流す。
闇の狭間、絶望に灼かれた彼女の流す涙の煌きは。
邪悪に打ちひしがれ、無力に泣くその涙は、本当に無駄なのだろうか。



『無駄なんかじゃないさ』



否と。その闇の中、聞き覚えのない男の声が毅然と響き渡った。
この冷たい闇において光り輝くソレは、言い様もなく暖かく、心地が良い。

―――なんで? どうやっても無意味なのに。どんな事をしたって勝てっこ無いのに。

―――怖くないの? 私はとても怖い……怖いよ!! 

疑念と憧憬に似た感情が沸いた。
この絶対的な絶望の中、その絶望に屈せず煌きを放つ存在に、どうしても興味が沸いてしまった。
男は見た目相応に若く、慈愛と勇気、何よりも信念に満ち足りた声色で、その絶望の最中で希望を口にする。


『怖いさ。―――けど全部が無駄だから何もしないで、やっぱりその通りになる方がもっと怖い。……そんな後味悪ぃのはアンタだって嫌だろう?』

32 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 22:33:33 ID:JKmqQ4li
支援!

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:33:47 ID:A5rJthRh
涙はッ! 支援

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:33:50 ID:srj4dJHq
支援


35 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:34:33 ID:/LQnmvz/
それは余りに一直線過ぎて馬鹿らしいとさえ思える、単純明快な希望。
後味が悪いから行動をおこすだなんて、どうしてそこまで子供っぽい事を口にするのだろうか。
世界は何処までも邪悪に冒されて、成す術なく絶望に屈するだけだというのに。こんな筈じゃないことばかりなのに。
けど……フェイトはその言葉に、言い様も無く打ち震えた。絶望に屈しかけていた彼女の心に、淡い光が顕現を果たす。
すると何処からとも無く、その男の隣に少女の様な影が現れる。少女は不遜な態度でありがなら、優しく彼女に応えを放った。


『その絶望の涙は、決して無駄ではない。それは絶望を知る者だけが流す、次の希望を渇望する者が流す正しき涙。憎悪の空よりおちる無垢なる涙。
 ―――女! フェイト・T・ハラオウン! 汝(なれ)はその涙をおとした。故に……未来の希望を切り拓く、斬魔の刃を手にする権利を得た!』


勇壮な言霊が響き、それが波濤と成って、異形たる闇の世界に亀裂が奔った。
亀裂は段々と大きくなってゆき、その狭間から希望に満ち足りた光がフェイトを照らし上げる。

『オレ達がしてやれるのは、コレくらいだ。此処は“アイツ”の検閲が激しすぎる。だけど……最後に』

その光の彼方。彼女に言葉を送った男と少女の背中が見えた。フェイトは思う。それはまるで連理の枝。明日へ向かう希望の比翼。
絶望の闇を祓う、眩い極光の果てに立つ二人が同時に手を差し伸べて、誓いの言霊が咆哮された。



『『―――受け取れ! 我等の意志を!! 魔を断つ剣(意志)を!!!』』



其の彼ら二人の並び立つ狭間より、一つの光が現出し、フェイトの胸元まで真っ直ぐに移動してきた。その光に触れる。とても暖かく、優しい、祈りの輝きだった。
その輝きを知り、彼女は絶望の闇から生還を果たす。あれ程まで彼女を幽閉した闇の呪縛が光の粒子となって消え失せ、信念の煌きが彼女の身体を包み込んだ。

―――嗚呼。この人達の言うとおりだ。全部が無駄だからって、何もしないなんて事は私には出来ない。なら……やるしかない。いや――やってみせる!

決意を纏った彼女の顔に、もはや絶望の色は消え失せていた。
それを見届けた男と女は笑みを浮かべた。もはやなんの心配も要らないと悟り、彼らはその場を後にする。
二つの影は眩い光輝の彼方へ歩んでゆき、まるで消しゴムで掻き消された様に、その場から消失した。
フェイトは理解するよりも速く、感覚だけでそれを知る。彼らには彼らの戦いがあることを。この場の戦いは、自分に託されたのだと。

ならば―――絶対にやり遂げて見せよう。それが、彼らに救われた者の、唯一の報いだから。
彼女はその場に落ちていて相棒(バルディッシュ)を手に執った。待機状態からすぐにアサルトフォームに変換、そして……彼女はさらに形態を変化させる。
ソレは金色の刃。明日の希望を齎(もたら)す優しい輝き。天をも切り裂かんと猛る、巨大な愛剣。
その名をバルディッシュ・ザンバーフォーム。勇壮に滾る希望の刃が、今此処に破邪の剣となり、顕現を果たした。
更にフェイトのバリアジャケットが急速に粒子化し、そして新たな形態へ変化させてゆく。それは―――バリアジャケットの呪術的防御力を極限まで削ぎ落とした、余りに流麗な戦闘装束。
何処までも速さを追い求め、人の身でありながら真実『雷光』に至る為の、彼女自身最大の切り札にして窮極の礼装、諸刃の剣。
それは未だ完成に到達しえない姿……ソニックフォーム。閉ざされた闇夜を幾重にも切り裂く雷光は、彼女がその姿を顕現させた瞬間に歓喜するかの様に祝福の怒号をあげた。


「そうだ……確かに怖い。怖いよ。けど……それが本当になってしまう方がもっと怖い。だから―――」


そして彼女は飛翔する。あの邪神が佇む戦場へ。未だその邪神の猛威に抗う、狩人のもとへ。
その圧倒的な理不尽を共に断つべく。理不尽を討つ為の理不尽(つるぎ)を掲げ、彼女は空へ向かう。



「―――まだ、“諦めない”」



―――魔を断つ意志は未だ折れず。彼女はその刃を執り、神の摂理に挑む。

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:35:05 ID:A5rJthRh
流れぬまま枯れ果てよ! 支援

37 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:35:34 ID:/LQnmvz/
◆◆◆


アンブロシウスを駆るラバン・シュリュズベリイは残り僅かな魔力を燃焼させながらも、果敢に邪神と相対する。
もはや先ほど切り刻んだ筈の巨躯は、召喚された時と変わらぬ堅牢さを持ちえ完全新生を果たしていた。
ミード残量が絶望的なまでに少なくなっているアンブロシウスでは、どう足掻いても倒しきれぬ事は、誰が見ても明白な事実として突き立つ。
だが、アンブロシウスはそれすら振り切って完全新生を果たした邪神ガタノトーアに向かってその疾風を吹き荒んだ。不屈に燃える狩人の魂は、未だ消え失せる事は無い。


「ぐ、ぅぅ……ッ! ハスターの爪よ!!」


シュリュズベリイは五指に己が信仰する風の魔力を解き放つ。
それと連動……呼応して、アンブロシウスの腕より巨大な風の刃が発生。襲い掛かるガタノトーアの触手を切り刻み、鮮血を舞わせた。
だが、幾重にも……波濤じみた触手の群れがまた際限なく襲い掛かる。これでは鼬(いたち)ごっことそう変わらない。
シュリュズベリイは変化が見られない現状に苛立ちながらも残り少ない魔力を行使して魔風を呼び起こし続け、幾億分の一に在るか否かの反撃の機会を今か今かと模索し続けた。
鬼械神アンブロシウスが必滅の奥義『凶殺の魔爪』は確かにガタノトーアの体を幾重をも刻み曝し、抓んでやった。
だがその分子以下の世界で、あの宝玉から発せられた膨大な字祷子等が結晶化し、分子どころか原子構造の過程から新しく再構成し今の傷一つ無い姿を顕現させている。

そして―――その細胞分裂に似た術式は今も尚続けられ、今や傷一つ付けた瞬間にその傷が『新生』してしまう始末だ。
幾ら刹那の内に切り刻んだトコロで、数刻すれば復活を遂げてしまう。
あの宝玉と邪神の身体を分離させようとも、生憎と宝玉(ソレ)はガタノトーアの額にある時点で絶望的である。
宝玉を抓みだそうとすれば、ガタノトーアは確実に抓みだそうとした存在を視覚し絶対堅牢なる複雑術式を用いた神威の石化呪法で今度こそ此方が石像になってしまうのがオチだ。
最早、彼等が持ちうる手札の数も底を尽き掛けていた。

『駄目……っ! もう、ミード残量が殆ど……!!』

鬼械神を動かす為にくべられた蜂蜜酒(ミード)も、最早全体の二割以下に激減し、飛行能力が著しく低下。
ハヅキの悲痛な叫びと共に、希望の灯火が潰えそうになる。だが―――


「“諦めるな”! 私達は未だ何も成してはいないぞ! 
 最後の最後まで……喩え魔力が尽きようとも、諦めなければ未来永劫に戦える!! 億分の一の勝機を手にするまで―――諦めてはならんッ!!!」


シュリュズベリイの闘志は依然と燃え続けている。
そうだ。彼は如何にしてこの外なる邪悪どもと戦う決意をした?
彼の脳裏に焼き付けられたおぞましい闇黒の怪異。あんな物を人々の眼に入れさせれはならない。
今は無き、自らが抉った眼球に映し出された、昏い怨嗟の塊を滅さなくてはならない。このかくも美しき世界を、闇黒の混濁に沈めさせるワケにはいかないと。
人間を、人類を破滅に追いやらんとする邪悪を討つ為に彼は外道の知識を以って戦い続けた。そう―――故に、彼は諦めない。彼の魂に突き立つ剣は、決して折れはしないのだ。



だからこそ―――彼女が、間に合った。

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:36:11 ID:A5rJthRh
ここが・・・最果ての空 支援

39 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:36:27 ID:/LQnmvz/
『……これは、魔力反応? だけど、この反応は……ッ!?』


ハヅキがその魔力反応に気付き、驚きの声をあげる。
その瞬間、アンブロシウスの後方より迫っていた邪神の触手は雷の魔弾により引きちぎり、寸断されていく。断面に濃く残る電撃の爪痕は、その再生能力を一旦停止させる程の圧力を誇っていた。

突然の事態に何事かと、シュリュズベリイもその魔力反応を感知した方角に顔を向けた。
彼が盲目の眼窩で“視えた”のは、地上から暗雲に向けて飛び立つ、金色の軌跡の一つ。彼が知る煌き。
その光が、シュリュズベリイらに向かって、溌剌とした声色で叫んだ。


「―――シュリュズベリイ先生! ハヅキ! 大丈夫ですかッ!?」


そう……それは紛れも無い、ガタノトーアによって呪縛された筈の女性、フェイト・T・ハラオウンの姿。
巨大な刃を手に飛翔する彼女の眼は、遠くから見ても誰だってわかる。アレは―――未だ諦めぬ、不屈の剣を持ちえた者だけが持つ決意の瞳だ。 


(あの邪神の呪縛を、自力で解呪(ディスペル)したというのか……!)


シュリュズベリイは驚嘆しながら、満身創痍でありながら笑みを零す。
彼女から湧き出る魔力は、全快のシュリュズベリイよりも及ばないだろう。技術面においても、能力面でも、人を邪悪に侵す圧倒的な異形と戦う知識をとっても、総てが彼よりも劣っている。
だが――彼女が掲げた切なる意志。決して諦めぬ不屈の魂。その一つにして総てが、世界最強の邪神狩人ラバン・シュリュズベリイと同等……いや、それ以上に燃え滾っていた。
故に彼は笑みを零さずにはいられない。この世界に……否、人類の邪悪に抗う為の意思は無限に連鎖してゆくモノだ。
彼が今まで教え子達に指導してきたのは、その“覚悟”。そしてその覚悟を持って然るべき知識と技術。その連鎖がついに、彼女に……フェイトに受け継がれた。


「私達は大丈夫だ、フェイト君! にしても……よくあの呪縛を解呪出来たな。君の才華には驚かされるばかりだ」

「えっと……どうやって解呪出来たかは自分でもあやふやなんですが……とりあえず、こっちは無事です!」

『悠長に無事を確認しあってる場合じゃないよ、二人とも!』


ハヅキの怒気が含まれた声により、復活の再会を素直に嬉しんだ両者の顔が真剣なものとなる。
眼前に佇むは、傷一つ無く新生を果たした邪神。龍頭に似た触手を幾重にも蠢かせながら、アンブロシウスとフェイトに狙いを定めているのがはっきりと解る。
今の状態では、予想以上に機敏な動きを見せる幾十の触手によってアンブロシウスとフェイトといえど捕縛されて石化されてしまうのが目に見えていた。
そう―――それは、持久戦に持ち込められてしまったらの話だ。ガタノトーア自身、それすらも視野に入れてのしつこい攻撃に出ていたのだろう。
あの宝玉……『ロストロギア』による無限新生の前では、奴の持久力は正しく無量であり無窮であり無尽蔵。
何事にも限界が存在するフェイトらにとって、そんなガタノトーアと持久戦に持ち込まれてしまえば、その果てに蹂躙の限りを尽くされてしまうのは自明の理であった。


「今の我々は自らの尻尾を追っている様な不実であり不毛な戦況だ。こちらが幾ら攻撃しようにも、あの宝玉から湧き出る魔力が総てを始まりに戻す。
 ―――厄介なものだ。我々が有する魔力総量を圧倒的なまでに凌駕し、尚も持て余している。くわえてガタノトーアの堅牢な防御力……もはや、死角と呼べるものは無い、か」

『残念だけど……今回ばかりは流石に危ういよ』

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:36:58 ID:A5rJthRh
カルコサの夢を抱いて眠れ  支援

41 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:37:43 ID:/LQnmvz/
シュリュズベリイが言うとおり、邪神ガタノトーアの肌はこの世に存在するどんなモノよりも強固。
それに加え、たとえアレの身体ごと微塵にしたとしても肝心の『宝玉』が魔力粒子を再結晶させて新生させてしまう。
邪神の堅牢な防御力はこちらの最大の攻撃を行使してやっとのことで破砕することを可能とするが、あの『宝玉』の所為でそれも一切合切が無駄と化し……その『宝玉』という単語に、フェイトは思考を止めた。

―――宝玉。ガタノトーアの身体を一から構成し直し新生させてしまうほどの莫大な魔力を有する媒体。
時空管理局からロストロギア認定を受けた代物。名称は未だ決定されてはいない未知なる遺産。
だが、それはロストロギアなのだ。そういったモノに関してならば、彼女は百戦に至るほど任務を完遂させてきた。ならば、そのロストロギア確保はどうやって行ってきたというのか。

そしてフェイトは、ようやくその術(すべ)を見つけ出した。

(―――っ! そうだ、こんなの“いつものこと”だよ。そう……アレを止める方法は、ただ一つ……!)

故に、フェイトは“それ”をシュリュズベリイらに告げる。


「シュリュズベリイ先生、“作戦”があります……億分の一の勝機を掴み取れる、唯一の作戦が」


◆◆◆


「では―――よろしくお願いします」

フェイトは勇壮に燃える破邪の意を胸に、アンブロシウスと別方向にむけて飛翔した。行く先は遥か天空。
その飛翔を見送ったシュリュズベリイとハヅキは、彼女が提案した“とある作戦”について思案する。
それは余りに荒唐無稽で無茶苦茶で、蛮勇と唾棄し蔑まれても当然と言える、無謀な作戦であった。
だがそれでも。依然とその眼にやどる闘志の炎の猛りは留まることを知らない彼女を見て、シュリュズベリイは無言で聞き受けた。
シュリュズベリイはその突拍子も無いが大胆かつ単純明快である方法を打ち出した彼女の事を考えたとき、不意に笑みが零れてしまった。
それは純粋な喜び。教育者としてのシュリュズベリイが見せる、無垢な歓びだった。


「ハハ……教え子の成長ぶりを見るのは、いつ見ても良いものだ」

『ダディ、本当にいいの? あんな作戦を採用するなんて……』


ハヅキは呆れながら主を諌める。
だがその声色はどこか、彼と同じく嬉しそうに上擦っていた。
つまるところ、そう口では言い咎めていたとしても、内心で想う心は同じと言う事。
だからこそシュリュズベリイは無言でハヅキに微笑んだ。そう――諦めるのは、まだ速い。


「では……私達も征くとしよう。レディ、あと“どれくらい”だ?」

『三分間。それだけなら全力でこの子は頑張れるよ。それ以上は―――』

「充分だ―――最後の足掻きにして、最強の鬼札。人間の諦めの悪さを存分に披露してやろう」

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:38:18 ID:A5rJthRh
我は勝利を誓う刃金 支援

43 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:38:40 ID:/LQnmvz/
シュリュズベリイがそう言った刹那、アンブロシウスは超次元的な変形を行う。
間接部分とも取れる部分が在りもしない方向へ折り曲がり、ある部分は身体の中に内蔵されていってしまう。
瞬く間に起こった超次元的な変形が終わり、アンブロシウスはその形状を以前のそれと遥かに逸脱した形状(フォルム)へ移行されていた。


それはより鳥に近くなった刃金。霊子の大海を渡る翼神。紫紺に彩られた、ヒアデスの風を体現する存在。
そう――これこそがアンブロシウスが別形態(モード)『エーテルライダー』。音速すら超える神速を征く為の翼である。
起動するフーン機関。コレまでのダメージの蓄積により、機関(エンジン)自体の損傷も激しい。だがそれの意を介する事無く轟音がおののく。
そして……その音速を超えた世界の中で、毅然と吼える声が聴こえた。紛れも無い、ラバン・シュリュズベリイの咆哮だ。
彼は再び宣言する。邪悪を討ち滅ぼす為に。我が書(子)と、運命の名を持った教え子と共に。烽火(のろし)が再び、天に昇る。



「では再び始めるとしよう――――諸君、反撃の時間だ!!」



シュリュズベリイの意志と共にアンブロシウス―――エーテルライダーが翔けた。
もはやミード残量も残り僅かで、魔術回路も汚染され外部も内部も満身創痍の限りであるのに、それを無視するかのような速度で駆けぬける。
それでも音速を超えた飛翔を持って、再生したガタノトーアの周囲を円を描くように高速で旋回し、近づく触手達を引き千切る。
やがて巻き起こす風の軌跡はその軌道に沿って自ら動き、波濤となって渦を巻く。音速を超えた速度によって繰り出された竜巻はガタノトーアの全視界を遮り、蠢く触手の総てを斬り尽くしていった。
劫と唸る大竜巻はそれだけでもありとあらゆる物質総てを切り裂く刃となって、邪神の甲殻を抉り狩っていく。魔風の冴えは未だ衰える事を知らない。
……が、その矢先に膨大な魔力を循環させてその堅牢な肌を再生させてゆくガタノトーア。それをシュリュズベリイはさして気にもせず鼻で笑った。


「攻撃を行えば、すぐに再生をおこなう……“ただそれだけ”だ。まるで馬鹿の一つ覚えだな!」

『そんなのばっかりじゃ、単位はやれないね!』


エーテルライダーの内部より叫ぶ二つの声が更に魔力の猛りを顕わとする。
僅かな魔力を一気に燃焼させ、遂にその風が刃を超え、地球の重力をも遥かに超えた全周囲引力が、ガタノトーアを中心として発生させる竜巻の中枢に顕現する。
文字通り総ての方向から引き千切らん限りに蹂躙する魔風の猛りにもはや術式、技術、位階などの些細なステータスなど意味をもたない。

それは……ただただ破壊の中で破滅を熾す、暴虐無尽の神威に他ならなかった。
破壊し、再生され、粉砕し、新生し、破滅を熾し、転生を廻す。
本当ならばその神威の風によって討ち棄てられる邪神の塵骸は魔京を築ける程に斬り刻み続け果てた筈である。
だが、築けど築けどガタノトーアの巨躯はあの宝玉……フェイトが言う『ロストロギア』より流れる文字通り無尽蔵の魔力により新生、新誕してしまう。

そう、如何な攻撃を持ってしても、アレを絶命させる事など出来はしない。―――元より、絶命に至らしめる事など考えていないのだから。

音速の風による全方位視覚阻害の壁。これならば幾らガタノトーアと言えど“あそこ”に到達するまでは視界にその存在を確認することなど不可能。
故に、彼女の存在に気付くことなど、出来ることもない―――!!



「さぁ―――征きたまえ、フェイト君!!」

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:39:13 ID:A5rJthRh
我は禍風に挑む翼 支援

45 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:39:56 ID:/LQnmvz/
◆◆◆


彼女……フェイト君が提案した作戦。それは余りに無茶であり無謀な作戦だった。それを聴いたときは一瞬ではあるが柄にも無く驚愕を顕わとしてしまうほどに。
邪神ガタノトーアの額に埋め込まれた魔力媒体である宝玉―――彼女が言うには『ロストロギア』と呼ばれる太古の文明の滅びた技術によって生み出された遺産。
もとより彼女はそれを確保する為にクナアへ訪れたと聞く。危険なロストロギアの封印。それこそが彼女が所属する『時空管理局』の上層部からの命令事項。
その為に―――『この世界』に訪れたのだと。

端的でしか聴けなかったが、彼女……フェイト・T・ハラオウンはこの世界の住人では無い。
確かに平行世界、別世界の存在は魔術的に解明されてはいたが、初めて聞いたときは流石に驚きを隠せなかった。
だがそうだとすれば色々と説明が付く。彼女の行使する魔術理論は我々が使うモノとは別系統。
我々のように外道の知識を以って行使する魔術ではなく、彼女が使うのはあくまで人間の知識によって編み出された魔術だ。
多少なりとも喉元に引っ掛かっていた何かもごっそりと抜けた。疑問が氷解する時ほど私にとって嬉しいことは無い。


話を戻そう。
彼女が提案した作戦、それは簡単に言えば『ロストロギア』の封印だ。
邪神ガタノトーアの尋常じゃない転生能力は、私たちが睨んだとおりそのロストロギアから顕現される膨大な魔力によるものである。
これのお陰で、いくら我々が外殻から邪神を殲滅したとしてもすぐに新生させてしまう。ならば、どうやってその輪廻を断つことが出来るのか。

―――答えは容易、その流れを元から断てばいい。
つまり、転生能力の元凶であるロストロギアを先に封印しえれば魔力の流出は遮断され、膨大な魔力のみで形成されたガタノトーアを一気に滅する。
成功してしまえばそれで此方は勝利をもぎ取って終了だ。
だが……この概要は極めて簡単に要約したモノであり、実際に行おうとすれば余りに危険すぎる作戦である。
確かに私もミスカトニック大学のアーミティッジ博士より承った危険な古代遺産(オーパーツ)の封印はある程度行ってきたが、相手はロストロギアと呼ばれる根も葉も違えた異界の遺産。
根本からして我々が知りうる呪術式で完全な封印を成しえるかどうかは余りに可能性が曖昧だ。
その点に加え、フェイト君は数多の次元世界で数多くの古代遺産を封印し続けてきた時空管理局の一員だ。ロストロギア封印に関して言うならば、我々の技術を大いに上回っている。

つまり……ロストロギアを封印する為には、彼女があのガタノトーアの眼前に立たなくてはいけない。
だが相手はあのガタノトーア。ヤディスの魔王にして、神域さえも生温い位階に達する『石化の魔眼』を持ちえた存在だ。
邪神の額に埋め込まれたロストロギアを封印するよりも先に必ず彼女を其の眼が捉え、再度彼女を石灰の牢獄に堕としうることなど造作も無い筈である。
それは文字通り命を、魂を賭した勝負。億分の一の勝機を勝ち取る為の行為とはいえ、いくらなんでも無茶が過ぎる。


だが――私はそれを“否”とすることは出来なかった。
視える筈の無い私の視覚が、彼女から沸き立つ光輝を視てしまったからだ。
この私の眼に。この私の虚ろな眼窩に。彼女の身体の奥底から滲み出る、諦めを踏破しうる輝きが焼きついてしまったのだ。

年甲斐も無く、その非現実的な感情に惑わされてしまった。……いや、感化されてしまったという方が正しいだろう。
そう……彼女から沸き立つその光は、絶望を知りながらも諦めず、前へ進む意志の篭められた、不屈の輝きだ。

その輝きを、私は否定することは出来ない。故に私はその作戦の提案を肯定した。
我が娘が横から批難の声を多少あげつつも、不承不承に合意を示した。ならば、私は彼女の為にその“活路”を示さなくてはならない。
そうだ。今このガタノトーアを包み込んでいる竜巻はその“活路”だ。ガタノトーアの魔眼の注意を彼女に移させることなく、彼女がロストロギアの眼前に立つための道筋だ。
ハスターの魔風によって発現されたハリケーンの遥か上空、文字通り台風の目に位置する空から仕掛けるたった一撃の強襲作戦。

やり遂げなくては成らない。やり遂げる為に私は最大限の活路を見出すのだ。


彼女の―――魔を断つ意思に応える為に。


◆◆◆

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:40:41 ID:A5rJthRh
無窮の空を超え 支援

47 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:41:28 ID:/LQnmvz/
シュリュズベリイの口訣が響いた刹那、竜巻が舞い起こる丁度真上の空。そこに彼女は居た。
金色の大剣を掲げたフェイト・T・ハラオウンが、星の煌きの下に、かの邪神を断つべく神速を以って降臨する。



「ハアアアァァァァァァァァァァァァァァ―――――ッッッッ!!!!!」



乾坤を賭した咆哮。
吹き荒ぶ大嵐の猛威に抵抗し、フェイトは己が現時点で可能な最高速度で遥か下降、ガタノトーアがのさばる大地に向かって飛翔した。
魔風が猛る嵐の最中、一つの雷光が天より飛来する。その姿は何処までも真っ直ぐであり、総ての魔を断つ無垢なる雷へと成り果てる。
だが、この魔風の中ではいくら防御魔術を強いたところで人間が耐え得るには限界がある。
ハスターの魔風は、触れる総てのモノに対して険悪である。触れれば途端に四肢を切り刻み、その血をもって贖わせることだろう。
……だがフェイトはそんな防御術式など敷かず、総てをザンバーフォームの冴えと己のスピードに魔力を集中させているのだ。
それがソニックフォームのただ一つにして最大の欠点。必要最低限まで鎧を削ぎ落とし、ただ速さという一点のみを求めた結果、一撃でも攻撃を喰らえば凄惨な結末が待っている。
だがフェイトはソレに臆する事無くまた速度をあげる。およそ人間が耐える事の出来ない刹那の速度。加えて魔風の刃が彼女の身体を傷付けていく。
一本、また一本と皮膚と血管が千切れ、纏っているバリアジャケットが所々破れてゆき、曝け出した肌からは数え切れない裂傷が現れ、其処から鮮血がまた一つ流れて散っていく。



だがこんな痛みじゃ止まれない。
まだだ。
まだ速さが足りない。
圧倒的なまでに速度が足りない。
この程度じゃ、容易にあの邪神に視覚されてしまう。
もっと。
もっと速く。
相手が知覚できぬ程速く。
己でさえ知覚出来ない位の疾さを。
神に迫る速さを。
神さえ超える神速を。


―――その願いは空しく、彼女の第六感から悪寒が生じた。


「―――ッ!?」


吹き荒ぶ魔風の猛威の最中、在り得ざる角度からそれはフェイトを追撃していた。
ガタノトーアの触手である。邪神は自らの触手を石化し、この魔風の猛威すらも耐えうる異質な触腕として再構成し、
様々な角度から、鋭角な軌跡と曲線を描いたような軌跡を残すように幾重に幾重に幾重に幾重に………一つの触手の先端からまた新たな触手が十に増え、その中の触手の一本の先端から、またしても触手が十増え………、その連鎖。

それはあまりに醜悪過ぎる儀式である。触手より湧き出た、この世のモノとは思えない瘴気を纏う異臭が彼女の意識を朦朧とさせていく。
神速に至った彼女でさえその瘴気によって意識が徐々に剥奪されてゆき、だんだんとスピードが落ちてゆく。……このまま行けば、確実に失敗する。


だが、諦めない。諦めるわけにはいかない。
彼女の心の内は、そのような理不尽を断じて赦さないと、最後まで抗う意志を掲げていた。


………その諦めぬ心が、魂が。絶望を覆すご都合主義を呼び起こすのだ。



「スティンガーブレイド・エクスキューション・シフトッッ!!!!」

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:41:55 ID:A5rJthRh
霊子の海を渡り 支援

49 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:42:43 ID:/LQnmvz/
フェイトの耳に聴きなれた声が。この場に居る筈の無い、男の声が聴こえた。
瞬間、文字通り百に至るであろう触手の束は、遥か天空……台風の目から突如として降り注いだ百、いやそれ以上はあるだろう光の刃によって断罪されてゆく。
それでもなお降り注ぐ光の刃はガタノトーアのほぼ全身どころか、大地にまで突き刺さり………爆砕した。
光が爆ぜ、閃光と硝煙が竜巻の内部で乱舞する。フェイトに襲い掛かる数多の触手は一気に消滅し、ガタノトーア自身も爆発して発生した閃光によってその魔眼を閉じえざるをえなかった。

フェイトは驚愕よりも先に疑問が浮かび上がる。
……この魔法。そしてこの練り込まれた術式。それは正しく彼女の義兄が繰り出すものに他ならない。
嵐の狭間で停止し、フェイトは上空を見上げる。
シンボルカラーである黒を主張としたバリアジャケットを纏い、デバイス『デュランダル』を携えた魔導師……『クロノ・ハラオウン』が、其処にいた。


「く……クロノ!? アースラはどうしたの!?」
「それは後で話す! 今は……アレをどうにかするのが先だ」


念話で会話をするのだが、驚愕と疑問に彩られたフェイトの声は存外に大きかったのか、クロノは顔を顰めながらのたうつ邪神を見据えた。
今まで相対してきたどんなモノよりも醜悪であり邪悪な存在だ。彼自身、その姿をみて身を震わせてしまう。デュランダルを握る掌に汗が滲み出た。
瞬間、クロノとフェイトの念話の外から、別の念話の回線が無理やり繋がれた。クロノの耳に聞きなれない老人の声が聴こえた。

『其処の少年よ、助かった。もしや君も時空管理局とやらの一員かね?』

敵意は微塵にも無い。
管理外世界の魔導師が何故こんな場所にいるのかは全くわからないが、フェイトと共にガタノトーアと戦っていたところから敵ではないと認識する。
時間は余り無い。手短に彼の事を知る為にクロノは最低限の回答と質問を投げる。

「時空管理局所属、L級艦船『アースラ』提督及び執務官クロノ・ハラオウンです。貴方は、一体……」
『私の名はラバン・シュリュズベリイ。詳しい自己紹介はすまないが後に取っておいてほしい。君の言うとおり今は―――あの邪神をどうにかするのが先だろう?』

言葉少ない返答。だがその中にも真摯な感情が篭められていることを悟ったクロノ。
彼の言葉に「違いない」、と笑みを浮かべて再度念話でシュリュズベリイに呼びかけた。


「……なら、僕はフェイトの後方支援に回ります。貴方は?」
『私はただ、彼女の為に“道筋”を作るのみだ。もう、僅かしか魔力が残ってないのでね』


そうして両者は互いにいったいどのような性格をしているのかが理解できた。
少なくとも……緊急事態ともいえるこの状態の中では、絶対の信頼を預けれる相手だということは。
シュリュズベリイは友愛の情を篭め、激励を言い渡す。


『では……健闘を祈るぞ、クロノ・ハラオウン君』
「了解しました。貴方も、ご武運を」


そこで念話は途切れた。
クロノはバルディッシュをたずさえたフェイトを見据える。
その表情は、勇壮でありながら優しさが織り交ぜられた決意の笑みだ。
突然現れた義兄に困惑しながらも、その顔をみて……言葉を交わさずとも、理解できる。
だがクロノはそれを口にする。理解して尚、決意と信頼をたてる為に。


「心配しなくていい。僕が……僕達が、君をあのバケモノの眼前にまで届けてみせる。そこからは―――」


―――君の仕事だ、と。
フェイトの耳にまではっきりと聞こえた。

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:43:29 ID:A5rJthRh
翔けよ、刃金の翼!  支援

51 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:43:49 ID:/LQnmvz/
フェイトはしばし呆けたものの、唇を綻ばせて微笑んだ。絶望の色の影もない、無垢なる希望に彩られた微笑みである。
そう……いつだってこのような理不尽が襲い掛かろうとも、彼女達の“諦めぬ意志”が、こんな陳腐過ぎるご都合主義を何度も何度も呼び起こしてきたのだ。
今回だってそうだ。かの盲目の賢者が教授してくれた、邪悪に立ち向かう意志、決して折れぬ不屈の想い。
それでも折れそうになってしまった心を、希望と決意によって矯正してくれた、二つの光。突然現れ、己の危機を救ってくれたクロノの優しさと信頼。
それらが彼女の心の中で淡く煌いた。―――嗚呼、なんて心地良い滾りだろう。これならば、どんな敵が襲いかかろうとも、勝てそうだ……否、勝てる。
彼らの想いが、彼らの期待が、そして彼女自身の不屈の信念が。こんなにも心地良く己の魂を灼いてくれる。
負ける筈が無い。
億分の一の勝機? 充分だ。その程度、必ず掴み取ってみせる。
人間によって作られる荒唐無稽なご都合主義(デウス・エクス・マキナ)はいつだって、いつの世だって無敵なのだ。


「………わかったよ、クロノ。ありがとう」


想いは決意に。決意は誓いに。
フェイト・T・ハラオウンは飛翔した。
暴虐の嵐の中を。乱舞する閃光の果てを、魔を断つ意思と共に征く。



「――――――――――ッッッ!!!!」



その速度は彼女の叫びすら遥か彼方へ置き去りにするほどの臨界へ。
魔風すら寄せ付けず、閃光すらも追い付けぬ神威の次元へと。
其の形容は、まさしく雷光。
絶望の闇を切り裂く、一筋の雷光だ。

再生した触手達も追いつけない。
追撃しようにも、盲目の賢者が繰り出した吹き荒ぶ険悪の魔風と、黒衣の魔導師によって降り注がれる断罪の光刃がそれを阻んでしまう。
ありとあらゆる障害を寄せ付けず、屠り去り、抹消させ。……遂に彼女は邪神が佇む姿を間近に肉眼で捉えた。

一層に膨れ上がる魔力。それら総てをスピードに費やして、一気に封印し殲滅する―――筈であった。



『―――ガtaの祷ア、羅ァン=tegoスゥゥゥ……孵ザ・うぇiiィィ……ッッ!!!!!』



人語じみた人外の言語が邪神の声帯器官から響き渡り―――滑(ぬめ)りと、邪神の瞼(まぶた)が再び開眼された。
先ほどの石化呪法とは比べ物にすらならない無尽蔵の魔力の猛り。世界が刹那の勢いで灰色に染まってゆく。

彼女の思考がそれに気付いたのは奇跡的だったといえよう。
だがそんな灯火すらもその呪術は無慈悲に蹂躙し凌辱してゆく。
バルディッシュの光刃の先端部分から侵食するように灰色の影が這い上がってくる。

――だがフェイトは先ほどとは違い、臆する事無くそのまま降下。
魔術回路が瞬く間に汚染されてゆく。バルディッシュの内に流れる機関(パイプ)から侵食されてゆく石化の術式は魔力の流れさえも石に変えていった。
――それでもフェイトは躊躇い無く疾駆する。
肉体が、精神が、魂が成す術なく蹂躙されつつも、彼女の眸に宿る光輝はそれに比例してより一層燃え滾っていく。

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:44:15 ID:A5rJthRh
舞い降りよ――アンブロシウス! 支援

53 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:44:55 ID:/LQnmvz/
『させるものか!! 貴様如きの眼で、彼女を蹂躙し尽せると思うなッッ!!』


……その滾りに応えるかの様に、しわがれた老人の声――ラバン・シュリュズベリイの叫びと共に、フェイトの眼前に紫紺の巨影『エーテルライダー』が竜巻の中で鋭角の軌跡を描いた。
限界近くに超過熱を加えられたフーン機関は、その機体ごと真っ白な閃光に包み上げ、傍から見れば光の風が乱舞している様にも見える。
光の風は五度、鋭角な軌跡を描いて……術式が完成された。
其れは幾何学的な紋様であり、遥か古より伝えられた、最も新しき光の結印。煌く五芒星。そう、これこそは―――



『第四の結印は“旧神の印(エルダーサイン)”!! 脅威と敵意を祓い、我が盟友を護るもの也!!!』



そう口訣が響いた刹那、フェイトはその魔法陣の光輝に包まれる。
汚染された魔術回路は瞬く間にその清浄なる光輝によって浄化されてゆき、彼女自身に宿った魔力も、その深遠なる煌きによって莫大に膨れ上がった。

ガタノトーアの魔眼さえも跳ね除け、フェイトは再び神速の領域へ。
闇黒に冒された理不尽たる邪悪さえも、その光輝を目の前にして難なく看破されてしまう。

……終(つい)ぞ、邪神の眼前に肉薄した。

バルディッシュを振り翳す。先ほど突き抜けた『旧神の印』によって膨れ上がった魔力を総て流し込む。
爆ぜる光輝。煮え滾る輝きは太陽にすら見えてしまう。目の前には、驚愕に眼を開けた、邪神の姿。


「――――雷光、一閃」


顕現されるスフィア。凄まじい威力を孕んだまま帯電し、神速に至る彼女の周囲に顕現する。
それらがフェイトのその言霊によってバルディッシュの刀身に其の稲妻を送り込む。もはや視認することさえ出来ない光輝。
だがそれですら足りないと言わんばかりに、スフィア以外の場所から稲妻が供給されてゆく―――エーテルライダーによって巻き起こった竜巻と共に発生された雷だ。
世界は白に包まれ、それ以外の色彩は総て絶えた。


それでも………そんな白に支配された世界の中で、毅然と彼女が最後の咆哮が轟く。




「プラズマザンバー…………ブレイカアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ――――――――ッッッ!!!!!!!」






54 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:45:52 ID:/LQnmvz/
限りなく零距離に近い場所から放たれた、最大火力の一撃。
ガタノトーアの顔面はその絶対的な熱量によって瞬時に蒸発し、堅牢な甲殻さえもたった一撃で吹き飛んでいく。
確実な勝利に見えた。

だが………まだ終わっていない。
この雷光の中でもあの『宝玉』は未だ健在。再び無尽蔵の魔力が溢れ出し、無理やりガタノトーアの構成術式を構築していく。
しかしそれでもプラズマザンバー・ブレイカーの咆哮と波濤は一切、途切れる事無く。宝玉による再生が追いつく事無く、刹那の内の永劫で、それは拮抗し続けられる。


限界などすでに突破している。だが……これほどまでの魔力を叩きつけて尚、再生を繰り返そうとするあの宝玉の脅威。
その恐怖に怯えながらも立ち向かう。そう……諦めなければ、必ず―――勝利は勝ち取れるのだから。

其れに応えるかのように、金色の刃が白い光輝の最中で、何かを叫ぼうとしていた。


(………? バルディッシュ―――どうしたの?)


フェイトがその違和感に勘付く。
破滅と新生の鬩ぎ合いの最中、手に持った相棒に宿った熱量が一気に膨れ上がった。
バルディッシュは音さえ超えた超次元の拮抗の最中――――その名を、全世界に響けと言わんばかりに、静かに紡ぐ。



◆◆◆


『I'm innocent rage.』
『I'm innocent hatred.』
『I'm innocent sword.』

我は憎悪に燃える空より産まれ落ちた涙。
我は流れる血を舐める炎に宿りし、正しき怒り。
我は無垢なる刃。

『I'm―――――』

我は―――………


◆◆◆




バルディッシュがその聖句を読み上げる前に、
白に包まれた世界が、音もなく軋みをあげて、爆砕した。




NEXT TO EPILOGUE

55 :リリカルサンダルフォン ◆ZFYhPjiPGw :2008/04/23(水) 22:47:05 ID:/LQnmvz/
真逆のCパート突入決定。
サンダルフォン本編を愉しみにしていた皆さん、申し訳ありませんorz
とりあえず次回はエピローグとなります。次回こそ本当に完結です。
近日中にうpしますので、待っていていただければ幸いでございます。

それではこの辺で。また次回!


追記:
いきなり誤字を発見orz
wiki編集は初めてだけど、頑張ってやってみます!

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:47:52 ID:srj4dJHq
GJ!

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:48:33 ID:A5rJthRh
GJでした!

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:49:12 ID:Gw+XhM4H
GJだこのやろう!!!wwwwww

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:49:55 ID:z5FwvDVv
サンダルフォン氏乙!
ガタノトーアときいてガタノゾーアを思い出したのは俺だけでいい

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 22:53:36 ID:JKmqQ4li
GJ!

61 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/23(水) 22:54:39 ID:lCwmXJQd
クロノかっこいいよ、クロノ!
教授最高!

そして、魔を断つ剣で羽ばたけフェイト!

まさかのCパート! お待ちしてます!!


あとすみませんが、リリカルなのはXtS氏の次に投下予約してもよろしいでしょうか?
エンドラインを投下したいのですが。

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:02:33 ID:srj4dJHq
>>61
16 名前:リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E 投稿日:2008/04/23(水) 22:21:19 ID:JKmqQ4li
>>1
どうも、お久しぶり……というか久しぶりすぎて覚えている方がいるかどうかすごく不安なXtSです。
新スレということで、XtrikerS第二話Aパートを落としたいんですけど大丈夫でしょうか?


が入ってますよ


63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:04:01 ID:zkeTVCdM
>>62
いや、彼は「XtS氏の後に」とちゃんと言ってる

64 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:05:27 ID:JKmqQ4li
サンダルフォン氏お疲れ様です!
Cパートにも期待しています!

それでは、サンダルフォン氏の投下も終わったので、11時20分頃から投下したいと思います。

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:05:46 ID:sZdxDj/i
>>62
よく読めw
ええい、>>1からしてこのスレはドジっ子だらけかw

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:06:35 ID:srj4dJHq
>>63
あ!すいません。見間違えでした。
お騒がせしました。


67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:11:07 ID:/LQnmvz/
結局wiki編集が出来なくて困ってしまった。
容量が多すぎと来たか……orz

>>59
大丈夫だ。
実はぶっちゃけガタノトーア書いてるときに想像してたヤツはティガのアレですからw

>>61
まさにご都合主義。
クロノかっこいいと言ってくれてありがとうございます!
彼はもっとstsで活躍してもいいと思うんだ……!

はい、まさかのCパートです。
近日中に投下しますので、頭の片隅に投下されるのを覚えててくれたら幸いですw

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:12:27 ID:Gw+XhM4H
なんか、>>1 のせいでみんながドジっ子属性?! そんな存在でも僕は萌えることができます!!

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:18:03 ID:z5FwvDVv
>>67
しかしガタノのモチーフはクトゥルフだ罠
まぁ小中千昭がクトゥルフ神話大好きだからな・・・・

70 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:21:00 ID:JKmqQ4li
では、これから投下を開始します!
どうか支援お願いします!

71 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:21:52 ID:JKmqQ4li
人影にいち早く気がついたガロードはティファを連れて素早く岩陰へと隠れた。
岩に背を預けたまま顔を覗かせ、背後の様子を窺う。
彼の視線の先には四人の魔導師がいた。
内、二人は金髪の若い男。
もう二人は女性で、片方はどう見ても子供だ。
そのことに一瞬戸惑いを感じたがガロードだが、時空管理局は才能と本人の意志さえあれば入局出来ることを思い出す。
恐らくあの子供もそういう者の一人なのだろうと結論付け、再び様子見を始めた。
幸いにもまだ誰にも見つかってはいないようで、ガロード達を探して辺りを見回している。
更に後方にはガロードが潜入した白い船が停泊しており、それを見た彼には魔導師らの目的が容易に想像出来た。

(あいつら……ティファを連れ戻しに来たな)

一難去ってまた一難。
ガロードは緊張を解いた体を再度引き締め、GXを持つ手に力を入れる。
手と額にはうっすらと冷や汗が滲んでいた。

一方、ティファを追って来た四人の魔導師達――正確には二人の魔導師と二人の騎士――
大破したガジェットを囲み、燦々たる有り様を目の前にしていた。

「I型とは言え、AMFを持ったガジェットをここまで見事に破壊するとはな」

その内の一人、ヴォルケンリッターが将・シグナムはその場にしゃがみ込み、ガジェットの破損具合を見極めていた。
ガジェットの状況や傷口から、破壊した人物の情報を少しでも得るためだ。
先程まで激しく燃えていたであろう炎も今は納まり、今は黒い煙だけが立ち上っている。
しかし破損状況は思ったよりも酷く、ガジェットの残骸から得られる情報は無いに等しかった。
唯一解ったことと言えば、鋭利な刃物で両断されたということ位。
ある意味予想通りの結果に溜め息をつき、シグナムは立ち上がった。

「こりゃ、久々に骨のある相手と戦えそうだぜ!」

その横で、白と赤が目立つバリアジャケットを着た魔導師が己の闘志を燃え上がらせていた。
彼の名はウィッツ・スー。
ジャミルに傭兵として雇われおり、二丁のライフル銃型ストレージデバイス『ガンダムエアマスター』を操るフリーの魔導師である。
根が熱い性格であるウィッツは強い相手と戦えるとあり、任務を忘れて気分を高揚させていた。
そんなテンションの上がるウィッツを、少し離れた所から冷めた目で見ている魔導師がまた一人。

「ウィッツの奴、張り切っちゃってまぁ。やることだけちゃっちゃとやって、ギャラ貰うのが大人じゃないのかねぇ?」

濃い緑のバリアジャケットを身に纏い、腕、肩、足など体中を兵器型のデバイスで武装しているのは、ウィッツと同じくフリーランスで魔導師をやっているロアビィ・ロイ。
体中に装備された様々な兵器型デバイスの管制・運用を行っている高処理性能ストレージデバイス『ガンダムレオパルド』の所有者で、彼もまたジャミルに腕を買われ雇われていた。
ウィッツとは対照的にクールな性格のロアビィは敵の魔導師に大して興味がなく、一見するとやる気がないようにも見える。

「お前! 口動かしてないでさっさと探せよな!」
「はいはい、分かってるって」

その姿勢が癪に障ったのか、すぐ側でティファの捜索をしていたヴィータはロアビィに向かって怒声を浴びせた。
愛機グラーフアイゼンを振りかざして懸命に威嚇するも、残念な事にあまり怖くない。
ロアビィはヴィータを軽く受け流し、ティファの捜索を再開した。
四人はゆっくりと、ゆっくりと、ガロード達へ着実に近づいて行く……


72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:22:27 ID:POnpEllW
支援

73 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:23:09 ID:JKmqQ4li
 

第二話「あなたに、力を…」


(来る……っ!)

スラッシュフォームに変形させたGXを握り、ガロードはシグナム達の動きを伺っていた。
少しずつ近づいてくると同時に緊張も高まってくる。
相手は四人、こちらは実質一人。
圧倒的に不利な状況の中、現状を脱出できる最良の策を必死になって考える。

(ここから逃げても見通しがいいから見つかっちまう。見つかっても逃げきれる方法! なんか、なんかないか!?)

考えれば考えるほど思考は泥沼化し、一向に良い案など浮かばない。
更に刻刻と近づく足音がガロードから落ち着きを奪っていく。
すぐそこまで迫る複数の足音。
頭を抱えて悶え苦しむガロードだったが、ふと、一つの名案が迷走する頭に閃いた。
……この場合、迷案と言った方が正しいのかもしれないが。
兎にも角にも、もう一刻の猶予も残されていない。
ガロードはこの状況を脱するべく立ち上がった。
横ではティファが心無しか不安げな表情を投げ掛けていたが、安心させる為に笑顔で答える。
シグナム達がいるであろう方を向き、ガロードは隠れ蓑にしていた岩に飛び乗った。

「やーいっ!! お前達!!」

開口一番、大声を張り上げその場にいる全員の視線を集めた。
見た目からして腕利きの魔導師三人(ヴィータは数に入れていない)を前にしても、ガロードの声色は全く変わらない。
一人でアフターウォーを生き抜いてきた彼にとって、こんな状況はさして珍しくないのだろう。
大きな賭は慣れっこなのだ。

「出やがった、なぁっ!?」
「が、ガキンチョだぁ!?」

対するウィッツ達は未知の魔導師の登場に驚愕し、同時に落胆した。
ガジェットを撃破した魔導師がこんな子供という事実に。
特にシグナムとウィッツは久々に実戦で魔導師と手合わせ出来ると踏んでいただけに、落胆の具合も半端ではなかった。
ロアビィとヴィータに関しては呆れ果てて物も言えない。
目の前がそんな状態になっているとは露知らず、ガロードは一世一代の賭け始めた。

「もし攻撃したら恐ろしい事になるぞ! いいか、よーく聞けよ! このデバイスにはなぁ、おっそろしい魔法が記録されてるんだぞ!!」
「ほぉ……それは興味深いな」

かかった!
シグナムの呟きを耳にしたとき、ガロードはそう確信したという。
残念な事に、その言葉に含まれていた大きな皮肉の意を全く理解せずに。
妙な自信をつけたガロードは更に続ける。

「だから! それを使われたくなかったら大人しく……」
『Rifle bullet』
『Grenade launcher』
「ん?」

不意に、デバイスの音声が響いた。
ガロードが音声の発生源を見ると、ウィッツとロアビィが自分に向けてデバイスの銃口を見せている事に気がつく。


74 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:24:50 ID:JKmqQ4li
銃口にはそれぞれ魔法陣が展開されていた。
……まさか。
冷や汗が頬を伝った瞬間、光の銃弾と高密度魔力弾がガロードを襲った。

「おわああぁっ!? ととっ!?」

急に仰け反った為バランスを崩し、そのまま岩の横へと倒れ込むガロード。
それが幸いし、ウィッツのライフルバレット、ロアビィの放ったグレネードランチャーを奇跡的に避けることが出来た。
が、代わりに左半身が硬い地面に直撃。
少し高さがあった事も手伝い、鈍痛がガロードの体を駆け巡る。

「馬鹿か! んな見え透いた嘘が通じるワケねぇだろ!!」
「嘘はイケないなぁ、嘘は!」

くだらない嘘を聞かされ怒りが増し、今にもガロードを撃ち殺さん勢いで怒鳴るウィッツ。
続くロアビィも言葉こそは軽いが、強い呆れが聞いて取れる。

「く、くそぅ……なんでバレたんだ?」

バレていないとでも思ったのか。
ウィッツ達は痛む脇腹をさすりながら立ち上がるガロードに冷めた視線を向けた。
……人を騙すにはそれなりの材料とシチュエーションが必要になる。
今回ガロードには、相手に秘密兵器を持っていると思い込ませるだけ材料の不足していた。
更に騙す側が冷静さを忘れてしまっていたのだから、この結果は至極当然と言えるだろう。
一世一代の賭け、早くも終了である。
それでもガロードは立ち上がり、GXの刃先をウィッツ達に向けた。
飽くまでも対抗する気らしい。

「ったく……さっさと伸して船に連れ帰っちまおうぜ。ガキの相手なんかしてられっか」
「待てよ」
「あぁ?」

痺れを切らしたウィッツがエアマスターの銃口を再びガロードに向けようとした時、その行動を止める人物が現れた。
邪魔をされたウィッツは露骨に嫌そうな顔で止めさせた人物を睨み付ける。
意外にもそれは、普段血の気の多いヴィータであった。
ウィッツの睨みにも全く動じることなく、寧ろ睨み返している。

「相手はまだ子供だ。んな目くじら立てなくても、話し合いでどうにかなんだろ。ここはあたしが説得してやる」

エアマスターの銃口を無理やり下ろさせると、ヴィータはウィッツを押し退け一歩前へ出た。
ウィッツは不満に顔を歪めていたが、言い争うのも面倒だと早々に諦める。
因みに、「お前も子供だろ」と思ったのはここだけの秘密だ。

「ヴィータにしては珍しいな。高町なのはに触発されたか?」
「るせぇ」

シグナムの嫌味を流しつつ、ヴィータはグラーフアイゼンを待機フォルムへと変形させた。
実際、ヴィータは『高町なのはの一件』以来確実に大人の対応が出来るようになってきている。
『話し合いの場には武器を持ち込まない』という10年前の自分の言葉を律儀に守っているのも、その影響なのだろう。
発端はともかく、シグナムはヴィータがこの数年で変わってきた事を、将として内心嬉しく思っていた。


75 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:26:36 ID:JKmqQ4li
 
「おい、お前」
「な、なんだよ!?」

ガロードはGXの魔力刃を見せつけ、急に声をかけてきたヴィータを威嚇する。
だが彼女は全く気にした様子もなく、涼しい顔で言葉を続けた。

「誘拐、並びにデバイスの窃盗。これだけでも結構な罪だ。普通だったら即逮捕、だな。だけどな、おまえが浚った少女をこっちに渡せば、お前にはまだ弁護の余地ってやつがある。武装を解除して素直に」

投降しろ、とヴィータは言おうとしていた。
――この後数分間押し問答を繰り返し、最後には自首させる。
どうしても話し合いに応じない場合にのみ、なのは流で『お話する』――
それがヴィータの考えだった。
しかし、それはガロードの爆弾とも言える発言の前に脆くも崩れ去ったのだった。

「うるせえっ! 『チビ』の癖に難しい事ゴチャゴチャ言いやがって! 『ガキ』はお家に帰ってお人形遊びでもしてろよっ!!」

ブツンッ。

ガロードが言い放った刹那。
その場に、張り詰めた糸が、千切れたような音が響いた。
直後、先程まで涼しい顔をしていた筈のヴィータの様子が急変。
腕が微弱に痙攣し、額には血管が浮き出る。
目もつり上がり、まるで鬼の形相かと見紛う程だ。
そして何より、怒りの対象であるガロードだけでなく、無関係のウィッツやロアビィまでもが鳥肌を感じる程の、炎のように赤い殺気を全身に漲らせていた。

「お前ら、引っ込んでろよ……」

腹の底から絞り出したような低い声で後ろの三人を威圧するヴィータ。
既に彼女の手にはハンマーフォルムとなったグラーフアイゼンが握られている。
そして次の瞬間。

「こいつはあたしがぶっっっっ殺す!!!」

阿修羅と化したヴィータがガロードに突撃した。
話し合いを持ち掛けた方がこれでは、もう話し合いも何もあったものではない。
後ろで傍観していたシグナムは、己の考えを直ちに訂正したという。
やはりヴィータはヴィータか……と。
一方、急に襲われたガロードはヴィータを迎えうち、激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。

「くっ……!」
「うぉおりゃあああ!!」

ヴィータのとてつもない気迫に押されて行くガロード。
グラーフアイゼンとGXの刃の交差部からは激しい火花が飛び散っていた。

――このままじゃやられるっ!

危機感を覚えたガロードは全力を持ってグラーフアイゼンを押し返す。
しかしヴィータが後退する気配は微塵もない。
寧ろヴィータの力は増していき、ガロードの方が更に押し返されていた。
それに気づいたガロードはとっさに分が悪いと判断。
押し返すのではなく受け流そうとGXの刃を傾ける。

76 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:27:41 ID:JKmqQ4li
 
「うおっ!?」

これは思いの外うまく行った。
真正面に膨大な力が掛かっていたグラーフアイゼンが魔力刃の上を滑るように振り下ろさる。
そのままガロードの体ギリギリを素通りし、地面に小さなクレーターを作った。
ヴィータもグラーフアイゼンと共に大きく前へ仰け反り、大きな隙が生じる。
チャンス到来だ。
ガロードはがら空きになったヴィータの背にGXを振り下ろした。
だがヴィータもこのまま黙ってはいない。
地面を抉って無理やりグラーフアイゼンを引っ張り出し、柄でGXの刃を防ぐ。

「なっ!?」
「ヌルいんだよっ!!」

ヴィータの力技に驚愕し目を見開くガロード。
その瞬間今度はガロードに隙が生まれた。
ヴィータの鋭い目線がそれを捉える。
GXをガロードごと押し返すとグラーフアイゼンを大きく振りかぶった。

「しまっ……!!」
「おらあああああああ!!」
「飛龍一閃!」

鉄槌の一撃がガロードを襲うかと思われたその時。
二人を紫の光龍が襲った。
光龍を素早く視界の端に認めたヴィータはその場から後ろへ跳躍し難なく交わす。
しかし反応が遅れたガロードは直撃こそ免れたが、衝撃波をまともに受けた。
吹き飛ばされ、背中から地面に滑り落ちる。
そのままティファの隠れている岩陰まで砂埃を上げながら引き擦られていった。

「引っ込んでろっつっただろ!!」

今のでヴィータの怒りの矛先が変わったのか、彼女は魔法が飛んできた方を睨みつける。
視線の先にはシグナムが涼しい顔で立っており、愛機であるレヴァンティンを鞘に納めていた。

「お前こそ熱くなりすぎた。我々の任務は飽くまでティファ・アディールの保護。このままお前が暴れれば、近くに隠れているであろう彼女にも危険が及ぶぞ」
「ちぇ! わぁってるよ!」

シグナムの忠告をすんなりと受け入れたものの、やはり怒りの熱(ほとぼり)は冷めないらしい。
つまらなそうに吐き捨て、グラーフアイゼンを肩に担いだ。
吹き飛ばされたガロードはというと、シグナムがヴィータに説教をしているうちに岩陰のティファの下へ戻っていた。
ヴィータの怒りが籠もった攻撃を受けた手は、デバイド越しだったというのに未だに少し痺れている。
ガロードは手を強く振って痺れを紛らわし、同時にヴィータを戒めるシグナムの言葉にしっかりと耳を傾けていた。
そしてシグナムの説教が終わった直後、新たな策がガロードの頭に閃く。

(そ、そうか、あいつらティファを狙ってるんだっけ。それじゃあ……)

なんとかこの場を切り抜けるため、ガロードはティファに向き直った。

一方、ヴィータの暴走により蚊帳の外へ追いやられたウィッツとロアビィは、ティファが隠れている岩陰のすぐ側まで近付いていた。
既にティファを視認しており、今にでも確保出来る程の距離だ。

(しっかし、シグナムさんも策士だねぇ。ヴィータちゃんの暴走餌にして、その隙に俺達が目標を確保しろってんだから。出来る女って、俺好みかも)


77 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:30:08 ID:JKmqQ4li
(そうかよ。……そろそろ行くぜ、あのガキ戻って来やがった)
(おっ、それはちょっと不味いね。じゃ、1、2の3で行こうか?)
(ガキか。まぁいい……1)
(2の……)

――3っ!
念話をそこで切り、ウィッツとロアビィはガロード達へと襲いかかる。
いや、襲いかかろうとした。

「っ! 待て!」
「何ぃ!?」

ロアビィが声を張り上げウィッツを引き止めた。
ウィッツも目の前の光景に思わず目を見開く。
なんと、再び岩の上へと躍り出たガロードがティファの首に魔力刃を突きつけているのだ。
驚いたのはウィッツ達の反対側にいるシグナム達も同じで、絶句したまま動けないでいる。

「これでどぉ? 撃てるもんなら撃ってみる!?」
「このヤロっ!」
「おおっと動かない。この子に傷がついちゃってもいいわけ?」
「くっ!」

ティファの首に突きつけられた魔力刃を強調するようにちらつかせ、ガロードは強気の態度でヴィータを脅す。
頭に血が上っていたヴィータも、今度ばかりは迂闊に手が出せないでいた。
そしてヴィータの反応を目の当たりにしたガロードは、今度こそ自分が優位に立ったことを確信し、更に畳み掛けるように言葉を続ける。

「やっぱ撃てないよねぇ? なんたって、あんた達の狙いはこの子なんだから! 少しでも下手なことしたら、どうなるか分かってるよね?」
「ちぃっ! 卑怯なマネを!」
「なかなかやるじゃない」
「ハートのエースはこっちが握ってるって事、お忘れなく!」
『Reflector wing』

シグナム達四人にただならぬ緊張感が漂う中、ガロードの背に銀色に輝く『X』を象った魔力の翼が現れる。
するとどうだろう。
ガロードの体がティファと共に二、三センチ程地面から浮き上がった。

「じゃあね!」

シグナム達に軽くウインクし、ガロードはティファを抱えたまま岩の上から飛び上がった。
そのまま地面に着地し、ホバリングのように地面から少し浮いて一目散に森へ疾走する。
スピードはなかなか速く、滑走した後に砂埃を巻き上げていった。
しかし、それを黙って見つめている程ウィッツの気は長くはない。

「あの餓鬼っ! 馬鹿にしくさって!!」
「待てっ!」

エアマスターの銃口を向け今度こそガロードを狙撃しようとした時、今度はその行動をシグナムによって制止させられた。

「何回も何回も止めんじゃねぇっ!!」
「今攻撃すればティファ・アディールにも確実に当たるぞ!」
「っ! ……くそっ!!」


78 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:33:50 ID:JKmqQ4li
 
いい加減に嫌気がさしたウィッツは激情し、シグナムに食ってかかる。
だがシグナムの尤もな意見の前に、ウィッツの怒りはまたも不発に終わった。
溜まった鬱憤をぶつけるように足下の小石を思い切り蹴飛ばす。
そうこうしている内にガロードの姿は既に無くなり、舞い上がった砂埃だけが虚しく漂っていた。
その光景に溜め息をつき、ロアビィはウィッツに話し掛ける。

「俺は一度フリーデンに戻るよ。契約がある間はデバイスのメンテとかタダだし。あそこの技師、腕いいんだよね」
「俺も一服するぜ。……ったくよぉ、一休みしないと腹の虫が収まらねぇ!」
「あたしもだ!」

内から湧き上がる殺意を隠そうともせず、ウィッツとヴィータはフリーデンへ向かって飛び立った。
そんな二人に呆れたのか、シグナムは小さな溜め息をつくと同じくフリーデンへと飛び立つ。
ロアビィはその後を追うように、足に装備したローラー型デバイスで地面を疾走していった。

その頃、上手くシグナム達を撒いたガロードはすぐさま魔力刃を消し、抱えていたティファを降ろた。
辺りの安全をしっかり確認し、バリアジャケットを解除する。
青白い光がガロードを包み、一瞬の内に元の赤いジャケット姿へと戻った。
そしてティファへと向き直り、すこし不安げな表情で彼女の顔を見る。

「……ごめんな、怖くなかったか?」

首に傷がついていないか確認し、心底済まなそうに謝るガロード。
それ対し、ティファは口元を緩ませ仄かに微笑む。

「信じて、いたから」

ティファのこの一言に、ガロードの心が一気に軽くなる。
不安は安心へと変わり、こそばゆい気持ちにティファを直視できなくなる。

「……うん」

照れくさそうに頬を掻きながら、ガロードもティファに微笑み返した。
人質にしたのだから流石にティファも自分に不信感を抱いたのではと不安に思っていたガロードだったが、それはいらない心配だったようだ。

そんな和やかな雰囲気の中、二人を茂みの中から見つめる人影が一つ。
鋭く光るその視線は、ガロードの手にしているGXに注がれていた。

(へへへっ……こりゃ、久々に透き通った酒にありつけるぜ)


-AFTER WAR LYRICAL NANOHA XtrikerS-


79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:34:54 ID:YozAjbTN
しえん

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:34:59 ID:eb6W+NLh
おっすんげぇ久々だ、支援!

81 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/23(水) 23:37:58 ID:JKmqQ4li
以上です。
お見苦しい文章失礼しました……orz

今回の投下物は本当に第二話の「半分」なので、もう半分は完成次第載せたいと思います。
少なくとも、今までのように数か月放置なんてことにはならないよう善処したいです;
では、Bパートでお会いしましょう。

P.S.ガンダムXスパロボ復活おめでとう!!

82 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/23(水) 23:46:53 ID:lCwmXJQd
じゃあ、自分は12時20頃から投下します。
ギャグの癖に前後編になりそうです。

そして、最後に一言。
月は出ているか! GJですw
次回も楽しみにしてます!

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:49:37 ID:YozAjbTN
GJ!
ガロードはやっぱ戦闘センスあるわ〜頭もよく回るし。
だてにこの世界で生き抜いてきてないぜ!
お待ちかねのサテライトキャノンは次回か?
ショルダーバルカンを始めとするマイナー武装やプラモ付属武装の魔法化にも期待!

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/23(水) 23:55:42 ID:Gw+XhM4H
>>81 GJ!!

スパロボZなんだカンダで楽しみですよねー


リリカル!夢境学園さんの後の30分後に上下短編クロスssを投稿予約させてもらってもよろしいでしょうか。

美女揃いのリリカルなのはと、ある池袋を舞台にした軽い短編なんですが。

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:02:44 ID:mBxQz6s5
支援

86 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 00:05:48 ID:xrq33Wn3
へ ぶ し
書きあがったけど予約一杯・・・
うし、気合入れの為にも予約だけ

明晩8時に投下します
ゴメン、明日早いorz

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:10:18 ID:IdysuEBX
>>86
うむ、緊急連絡だ!

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:15:15 ID:MHE3Mi6O
>>86
おあずけだとおー!?
くそお、俺にはおあずけがお似合いだとでも言うのかバトー博士!

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:19:28 ID:M1OtfZPy
>>86
なんていう焦らしプレイ……恐ろしい子!

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:20:40 ID:F0vsDVpB
>>86
今日は徹夜するしかないなw

91 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/24(木) 00:22:48 ID:t8jq7JkP
ええと、そろそろ投下してもいいかしら?
今回壊れギャグです。
エンドラインの番外です。

なのに、前後編(え?)

主役はヴァイス兄さん+エリオ。
そして、バイド汚染注意。

投下してもいいでしょうか?

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:23:34 ID:PoZsn1ye
どんときなさい支援

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:23:46 ID:LpniGn9T
スカ博士は笑わない 支援

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:24:54 ID:mBxQz6s5
支援

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:26:34 ID:1xmiu6eO
支援っす!

96 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:27:09 ID:t8jq7JkP
最初に警告。
シリアスなど期待してはいけません。
悪魔注意報。
女難注意報。
バイド汚染注意報。
以上の点を注意してご覧下さい。






 
 刃を鳴らせ。
 剣を上げろ。
 殺意を、殺意を、怒りを、憎悪を撒き散らし。
 咆え猛ろ。
 殺せ、殺せ、殺せ。
 罪には購いを、罪人には惨き罰を与えよ。
 怒りながら、拳を握る。
 冷徹な瞳で、銃を構える。
 侮蔑しきった表情を浮かべ、剣を振り上げる。
 笑顔を浮かべながら、杖を構える。

 さあ、狩りの始まりだ。


                        ――ケラケラと笑い出す修羅たちを目撃した哀れな事務員の後日談より


【行け行け 迷?探偵ヴァイス!】(タイトルだと思われる)


97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:29:14 ID:+clRxui0
遅いけどサンダルフォンの人
いい仕事してますねえ

98 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:30:04 ID:t8jq7JkP
 
 事件は唐突に始まり、そして理不尽に開始された。

「吐け」

 ドスンという物々しい音が響いた。
 その瞬間、彼の目の前に見えたのは顔が映るほど綺麗な金属の刀身だった。

「は?」

 それに間の抜けた声を上げたのは食堂でカップメンを食べていたヴァイス・グランセニック(当年26歳)だった。
 管理世界では珍しい隊長陣の出身世界の代物である割り箸を使い、ズルズルという音を立ててメンを啜っていた彼。
 その目の前に、剣が突き立っていた。
 それはレヴァンテインと呼ばれるデバイス。西洋剣の刀身に、紅の意匠が施された騎士剣。鍔の部分にカートリッジシステムが
搭載されたガンソードと呼ぶべき代物。
 それが元先輩であり同僚だった女性、現在ライトニング分隊の副隊長であるシグナムが使うアームドデバイスだった。
 ……のはいいのだが、何故それが目の前で食堂の机に刀身をめり込ませて立っているのだろうか?

「えーと、姐さん?」

「吐け」

 そう答える何故か騎士甲冑姿のシグナムの目は据わっていた。
 なんかこう、許可さえあれば目の前のヴァイスを躊躇いも、怒りも、悲しみももたずに両断しそうな雰囲気で。

「な、なにがすか?」

 一瞬、自分とレジアスとの繋がりがバレたのか思ったが、どうやら違うらしいと瞬時に気付く。

(なんかヤバイ予感がするんだが)

 猛烈なシグナムの表情に腰が引けながらも、ヴァイスは事態を把握するために返事を返す。
 そして、同時に周りに視線を走らせる。

 ……気が付けば誰もいなかった。というか、全員が全力疾走で食堂の扉から駆け出している姿が見えた。

 ――逃げやがった?!

「真実をだ」

 自分の命惜しさに逃げ出した同僚達に怨嗟の呪詛を心の中で吐き散らすヴァイスに、シグナムはゾッとするほど美しい笑みを浮かべて、
その蠱惑的な唇から優しい声を紡ぎ上げた。
 それは本来ならば心踊るような声であり、ヴァイスにとっては至福とも言える言葉の蜜。
 しかし、何故か無性に背中に怖気が走った。
 幾多の死線を越えてきたヴァイスの第六感が「逃げろー、逃げろー、逃げなきゃウマウマされちまうぜ☆」と奇妙な警告音を上げていた。
 ウマウマってなんだ? と自分で突っ込みをいれつつ、ヴァイスは勇気を振り絞って声を上げる。


99 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:31:42 ID:t8jq7JkP
 
「い、いやマジで話が見えないんすけど……」

 ジリジリと気付かれないように、机で隠れた足先に力を篭める。
 シグナムとは長年の付き合いである。
 この体勢から繰り出されるレヴァンテインの間合いと速度は予測できるし、一撃目を躱し、なんとか食堂の外まで逃げれば
他の隊長陣が救援に来てくれるはずだ。

「じ、実はな……」

 などというヴァイスが自らの脱出計画を密か考えているとも知らずに、シグナムは鬼気迫る表情から……ポッと顔を赤らめた。

 ――何故顔を赤らめる?

 ブルーからレッドへの急激過ぎる変換にヴァイスが内心手の平突っ込みしたい衝動を押さえつけ、最大限の警戒を行いながら
シグナムの呟きに耳を固める。

「わ、私の……」

「わたしの?」

 シグナムの?


「し、し……下着が盗まれたのだ」


「…………」

 世界が止まった。
 世界よお前は美しい。故に止まれ! むしろ、止まってください! つうか動く必要なし!
 そんな絶叫が聞こえたような気がして、同時にガンガンと浮かぶ上がってくるいつものフラッシュバックとは違う頭痛がヴァイスに響き渡る。
 パッポーパッポーと。


100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:33:57 ID:PoZsn1ye
えろーい支援

101 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:35:14 ID:t8jq7JkP
 
「一つ言わせてください」

「う、うむ」

「馬鹿にしてます?」

「わ、私は真面目だ!!!」

 バンと机が叩かれる。
 思わぬことに感情が爆発したのか、筋力強化までされた手の平の一撃で、ミシリとヒビが入った。
 ああ、予算が嵩む。六課の予算残高まだ余裕あったよな、つうかあれぐらいあったらもう少し武装隊に回せよ、本部。
 などという恨み言がブツブツと唇から漏れ出して。

「というわけで、事情を聞かせてもらうぞ。ヴァイス。お前、今日の午前中何をしていた?!」

「いきなり犯人扱いッスか?!」

「目下今日の午前中にフリーだった六課メンバーで男はお前しかいない!」

 ブゥンと風を切り裂き、レヴァンテインが鼻先に突きつけられる。
 烈火の将にして古代ベルカの騎士、シグナムの振るう太刀筋は苛烈な業火のように荒々しく、同時に焔のように美しい。
 例え、それが下着泥棒扱いな同僚に向ける太刀であっても。

「ま、待て。というか落ち着いて、姐さん。俺が、そんなことするわけないじゃないですか!」

「私は信じている……いや、信じていたというべきか」

 悲しげに、
 嘆くように、
 シグナムは告げる。

「しかし、私は知っているぞ。ヴァイス。お前が訓練後のランスターの背中を目で追っていたり、時々アルトと二人っきりで
話していることをな!」

「前者はたまたま、後者は単なる打ち合わせなんだけどー!!!」

 ヴァイスの絶叫とシグナムの斬撃は同時に迸った。


102 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:38:01 ID:t8jq7JkP
 
 剣が奔った。
 剣腹で打ち下ろそうとするレヴァンテインの軌跡から、ヴァイスは転げ落ちるように避けていた。それを追撃。
 爪先だけで跳躍し、シグナムが机の上に飛び乗る。
 ヴァイスは受身を取り、転がるようにして、床に指を這わせ、何度となく過去に訓練した武装隊仕込みの動きで移動し、
なんとか間合いを取って立ち上がる。

「いい、動きだ!」

「ってぇ!?」

 机を蹴り飛ばし、騎士が走る。繰り出されるは追撃の剣戟。剣腹の打撃が、縦横無尽に打ち込まれ、それをヴァイスは蹴り上げた
食堂のパイプイスで受け止めた。
 金属音が散る、散る、散る。
 パイプイスが一撃ごとに大きく歪む。平和な食堂はどこだ! と叫びたく衝動を抑えて、ヴァイスは手に持ったイスを
シグナムに投げ飛ばし、それが切り飛ばされるのを確認しながら、さらに足で引っ掛けたイスを投げ飛ばし――

「ぬぅっ!?」

 逃げた。
 明日への自由のために逃げ出した。
 というか、付き合っていられなかった。
 大きく明日への跳躍とばかりに机の上に飛び上がり、グルリと前転の要領で大きな食堂の机を乗り越える。
 ダンと机の上から床への段差のある着地に若干ビビリながらも、ヴァイスは全力で食堂の出口へと走り出した。
 床を踏み締め、蹴り飛ばす。
 迫る狂った騎士から逃れるために、彼は走った。

 そう、それは自由への逃亡だった。

 そして、食堂の開け放たれた扉。
 その出入り口に人影が見えた瞬間、ヴァイスは喜んだ。

「あ、高町たいちょ――」

 白い、白い衣装。
 手には長い杖、機械仕掛けの杖、紅い宝玉を蓄えた戦杖。
 そして、その女性は両脇に長い髪をなびかせて、“微笑んでいた”。
 アルカイックスマイル。
 無垢なる笑み。
 それは感情を突き抜けた菩薩の、或いは悪魔の笑み。

「た、い、ちょ、う?」

 思わず足を止める。
 冷や汗が止まらなかった。
 汗が、脂汗が吹き出した。
 ヤバイと感じる。
 これは危機だと生きるための本能が叫んでいる。


103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:38:05 ID:EMReKot7
支援!


104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:39:01 ID:F0vsDVpB
バイド汚染作品支援

105 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:41:25 ID:t8jq7JkP
 
「ヴァイス君……」

 笑み。
 笑顔。
 それは全てを許す、笑み。

 ――なわけがない。

「少し頭冷やそっか?」

 そして、彼は捕まった。

 容疑者“2”として。




 ――被害者レポート1 スターズ03より

 え? あ、はい。私も被害にあったんですよ。
 えーと、具体的に言うと、着替えがなくなってたんです。
 毎朝訓練前にロッカーに入れておく着替えです。
 え? 下着……ですか? いや、下着はないですよ?
 え? なんでって?
 いや、実は私たちの訓練服ってバリアジャケットに換装し易い特別なものなんです。
 バリアジャケットって簡易的なものならともかく、六課でのバリアジャケットはそれぞれ特別なプログラムで組まれていて
その分消費魔力とかも多いんです。
 それを軽減するために特別に分解、再構築しやすい感応繊維で出来た訓練服を着て日夜訓練に励んでます。下着は邪魔なので着けられないんです。
 なのはさんたちぐらいですと、もう普通の服で常時展開出来ますからその分羨ましいです。
 えっと、それでですね被害に気が付いたのは、ええと午前中の模擬戦が終わってシャワーを浴び終わった時でした。
 よくティア――じゃなった、スターズ04に怒られるんですけど、私よく服を脱ぎ散らかしてしまうですよね。
 あとちょっとせっかちで。
 だから、ロッカーに脱いだ服を入れて、すぐにシャワーを浴びて、そのあとようやく気が付いたんですよ。
 ロッカーに入れた脱いだ服を寮母のアイナさんに出すために畳んで、その後着替えようと思って……なかったんです。
 朝入れておいたはずの着替えが。
 どこにもなくて途方にくれて、このままバスタオル姿のままでいるわけにはいかないから、スターズ04に相談して、一時的に
彼女の予備の着替えを借りました。
 でも、その時気が付いたんですけど、腰の方は余裕があったんですけど、スターズ04の服だと自分胸のサイズがきつくって、
自分の訓練服に着替えるまでちょっと呼吸しにくかったです。
 ってあれ?
 なんでスターズ04、じゃ、じゃなくて、ティア、なんでアンカーガン振り被ってるの!?
 あイタ! やめて! グリップで殴るのはやめてよう!!


106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:43:03 ID:mBxQz6s5
支援

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:43:37 ID:GMH6iIbl
ぱんつ はいて ない
支援

108 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:44:06 ID:t8jq7JkP
 


 ――被害者レポート2 ライトニング03より


 わ、私か?
 私も同じようなものだ。
 フォワード陣たちの模擬戦相手になるために、私も六課の更衣室は利用している。
 とはいえ、隊長陣専用のだがな。
 フォワード陣たちと隊長陣では更衣室が分かれているのだ。なんとも贅沢な話だが、まあ更衣室でフォワード陣たちの
教導方針などを高町やヴィータと話すことも多いから重宝している。
 と、すまん。話が逸れたな。
 で、盗まれた服なのだが……
 む? それに下着は含まれているか、だと? うむ、含まれては……いる。
 午前中の訓練が終わり、私はすぐに着替えて交代部隊とのミーティングに出ようとしたのだが、その時ロッカーの中にあったはずの着替えがなくなっていることに気が付いてな。
 今のところ、三着しかない六課用の制服ごとだ。
 スーツは高いんだぞ。それに、下着も最近新調して胸に違和感がない新しい奴でな。気に入ってたんだが……
 っと、それはどうでもいい。むしろ忘れろ。いいな?
 だから、到底許せるものではない。
 犯人を必ず捕らえて、レヴァンテインの錆にしてくれる。





109 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:44:42 ID:t8jq7JkP
 
 ――被害者レポート3 スターズ01より

 え?
 私? うん、被害にあったよ。
 今日は副隊長の皆に任せて、久しぶりに休暇を取ったの。
 ユーノ君とちょっとお出かけしようと思って、3日ぐらい悩んで買った新しい服。
 フェイトちゃんやはやてちゃんには散々からかわれたけど、可愛いよって褒めてくれた服なの。
 でもね。
 でもね。

 それがシャワー浴びたら――なくなってたんだよ?

 許せるかなぁ?
 許せないよねぇ。

 私が出かける時間まであと四時間。
 ユーノ君とお食事するための出発時間。
 それまでに見つけ出すよ。
 
 うん。盛大に頭を冷やした後にね。





110 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:45:41 ID:t8jq7JkP
 
「とりあえず以上だ。しかし……他にも様々な女性の被害報告が出ている、それらに釈明はあるか?」

「いや、あの、なんというか……決め付けはよくないんじゃないかと思うんすけど」

 ズラリと並んだ殺意漲る女性陣。
 その中でバインドされて縛られ、拘束&視姦プレイ続行中なヴァイスはおずおずと声を上げた。

「というか、なんで……彼までいるんすか?」

 ヴァイスが横を見る。

「僕も分からないです」

 そこには大人しくイスに座った彼――エリオが居た。

「いや、実行可能な容疑者を集めただけなんよ」

 女性陣の中心で悪そうに手を組んだはやてが告げる。
 まさしく悪の首領といった雰囲気だった。
 周りが怖すぎる所為で。

「まあ疑わしきは罪ってわけで捕らえたわけなんやけど……」

 パチンと指を鳴らす。
 すると、ヴァイスのバインドが解除された。

「まあ私は二人を信じとるよ。二人がそんなことするわけもんな」

 はやてがニッコリと笑み。
 それは人間不信に陥りかけたヴァイスの心に一筋の光明が差し込み。

「ところで、ここまで尋問しても反応はなかってことは白か?」

 その心を一瞬で闇が覆った。

「そうみたいです、はやてちゃん。クラールヴィントでモニターしてましたけど、脈拍数とか全然変化してません。
どっちかというと恐怖? みたいな変化はありましたけど」

 信じてられてない。
 まったくもって信じてない。
 全てが疑心で固まっている。


111 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:46:34 ID:t8jq7JkP
 
 彼女達の道理は通じない。
 疑わしい=悪になっている。

 ヴァイスは泣いた。
 やっぱりこいつらじゃなくて、レジアスの大将の正義を信じていてよかったと歓喜した。
 もの凄くどうでもいいことだが。

「ん、まあ、冗談はさておいてやな」

「え? これで終わりじゃないんですか?」

 さっさと帰って、布団被って寝たい。
 それがヴァイスの本音だった。

「いやな、これだけ被害あると管理問題に発展してしまうかもしれへん。仮にも法を護る私らが窃盗にあいましたなんて言えると思うか?」

「いや、そりゃあいえないでしょうが」

 窃盗である。
 犯罪を防ぐ現場で、犯罪が行われた。
 それは管理維持と現場の治安に問題あると指摘されかねない事態である。

 で、それが何故ヴァイスと横のエリオにかけられたかというと。

「一応私達でも犯人を捜すんやけど、ヴァイスくん、エリオ。二人共手伝ってくれへん?」

「え?」

「は?」

 二人が目を丸くする。

「とりあえずあれや」

 はやてが笑みを浮かべる。
 周囲の修羅たちと同じ笑みを。

「自分の嫌疑は自分で晴らしてーな」


 それがヴァイスとエリオ。
 二人の男による下着泥棒捜索班の誕生だった。





 後編に続く。
 続くったら続くのだ。



112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:48:20 ID:mBxQz6s5
GJ!!です。
アホだwでもそれがいいw
エリオが追いたて、ヴァイスが仕留めるチームか・・・w

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:48:20 ID:enjEvqf7
ライトニング03はエリオのコールサインだぞ

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:49:11 ID:1xmiu6eO
GJですったら!wwww いいっすねwww

115 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:50:30 ID:t8jq7JkP
と、投下完了w
過去に無く盛大に壊れましたw

文句は受け付けます。
エロパロレベルではないですが、これぐらいならセーフだと思いました。
後悔してません。
次回はちょっと違うクロスも混ざるかもしれません。(一発限りで)
こんな夜分にこんなものを投下してすみませんw

あとすみません。これを忘れてました。
一応タイトルは
あんりみてっど・えんどらいん2.5? 【行け行け 迷?探偵ヴァイス!】 です

支援ありがとうございました!

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:51:14 ID:1xmiu6eO


ってことで、01:16ぐらいに短編ネタを投稿させてもらいます。
クロス先はデゥラララ!です。そんでは時間まで〜www

そしてもう一回。>>115 GJ!!!



117 :アンリミテッド・エンドライン:2008/04/24(木) 00:52:55 ID:t8jq7JkP
>>116
針山さんに続き、デュラララ!まで来た!
首なしライダー期待ww

あと三十分ルールなので、一応1時20分まで待ってもらえると嬉しいです。
期待してます!

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 00:54:13 ID:1xmiu6eO
うおっと。>>117 ミスってた。おれは今眠たくなってるかもしれない…・

00:46に見えていた…

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 01:06:00 ID:1xmiu6eO
ごめんなさい。用事が入ったので予約の時間を延ばさしていただきます。

本当にごめんなさい。

2:30に投稿予約します。ほんとにすみません。

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 01:07:48 ID:t8jq7JkP
待ってるぜ!

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:33:43 ID:IBrcb5hI
さて2:30を過ぎたわけだが

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:35:12 ID:1xmiu6eO
用事が…終わったので投下します。
デゥラララ!×魔法少女リリカルなのは
のクロス作品短編上下。

リィリカル! を投稿させてもらいます。もし、起きてらっしゃる方がおるのであれば、支援。よろしくお願いします。

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:35:24 ID:6e6uuClw
>>59
ティガのラスボスか!懐かしい。
思えば平成ウルトラで数少ない良作であった。OPは特に。
でもネオバルタンも捨てがたい。


124 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:37:39 ID:1xmiu6eO
高町なのはは、違う世界で教導官として働いている。
フェイト・T・ハラオウンは執務官として働いている。
八神はやてはは、課長として働いている。

みんなは覚えているだろうか。かつて彼女たちは3人組ではなく、5人組の仲良しグループだったことを。

そう、魔法関係者三人と魔法使いとは関係のない二人の仲良しグループ。

そのグループにいたのはアリサ・バニングスと月村すずか。ある家のお嬢様である二人で平凡に大学に通う女性たちが。
平凡、そう、これは平凡な話。だけど少しおかしな話。

池袋、そこで起きる奇妙な人間たちが繰り出す喜劇さ。

 
短編『リィリカル!』 上編


125 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:39:19 ID:1xmiu6eO
―――――1――――――
『とある寿司屋での一風景。〜黒人と白人の店員と、美女とバーテンダー〜』


 奇妙な名前の寿司屋。名前こそは奇妙だが、味は確か。しかし、奇妙なのは名前だけではなく中にいる人間も奇妙だ。
寿司屋にも関わらず白人と黒人が寿司を握っている。黒い肌に青と白の割烹着。何とも不思議な服装だろうと初めて来た人は言うだろう。
しかし、今ここにいる二人は初めて来た人間ではない。二人は出てくる寿司を待っている。

 美女の服装、それは気合いが入った服装だ。胸が軽く開いているので少し谷間が見える。
ただ、谷間がすごく出ているほどの裕福な胸でもないので出しても悲しみが増えるだけなのかもしれないがそれを補うプロポーションと容姿。
どこかのバーで一人飲んでいても絵になるような女性。いや、女性というにはまだあどけなさが少し残っている。彼女こそ、花の大学生、アリサ・バニングスだ。

 その横にいるバーテンダーの服を着た男はボーっと彼女の話を聞いている。二人だけを見るようにするとそこだけバーの様だ。少し、視界を開くと混沌の状況である。

「ねぇ、静。いつも思うんだけど私の話を聞いていて面白い?」
「いや、そんなに」
「なら、何でいつもずっと話を聞いてくれるのよ」
「暇つぶし、それに友人と話すときに面白い必要はないよ」

サイモンが静雄の言葉を聞いて大きく笑った。

「ハハハ、アリサとシズオは仲良しグループだナ」

 そういって、彼らはまたアリサにお酒を渡す。今日は奢りだ。どんどん飲んでくれと言い、サイモンは静雄にお酒を渡し続けていく。

 静雄が仕事で事務所に戻らなければいけない頃にはアリサは酔いつぶれて寝てしまっていた。静雄はそれを見て、軽くため息をつくと背中に担いで事務所へと運んでいく。
事務所に入るとトムさんは静雄が女の子を連れてきたことに少し驚いきを隠せないと言った感じだった。トムさんの勧めで奥にある休憩所に横になっていてもらうということで静雄たちは仕事へと出ていった。

 これがアリサのはじめての所在不明となる“お泊り”の原因であり、またなのはとフェイト、それにすずかがこの狂気の街・池袋に来る理由となる。



126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:41:53 ID:IBrcb5hI
支援

127 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:42:42 ID:1xmiu6eO
―――――2―――――
『とある道路での風景 〜首なしライダーと一緒にバイクにのっちゃったの〜』

アリサちゃんが一日、どこにいるかわからない状況で家に帰ってきてないという知らせを聞いたのは今日の朝だった。
朝、久しぶりの休日である今日。私は久しぶりに家族と過ごすために家で寝ていたのだ。
横になりながらも眠たい目をこすりながら、私は自分の携帯電話がなっていることに気がついてそれを手に取ったんだったっけ…。
寝ていたから記憶が正確ではない。ただ、すずかちゃんが言っていたことはすぐにわかった。

『アリサちゃんが池袋に行ったまま帰ってこないの』

『池袋』、私たちからしたらの都会の街であり、夜は東京だから少し怖いところというイメージがあるけど。
そこからアリサちゃんが帰ってこないとなるとそれは心配になるのだろうと私も思った。それこそ、私自身も心配だったから。1時ころに一緒に池袋で落ち合うって探しに行く約束をして、私はそこで電話を切った。


でも、今の状況は何でこんなことになっているのだろう。
私は黒いバイクの後ろに乗っている。真っ黒で、ライトもついてないバイクに乗る女性だと思う人の後ろに乗っているのだ。経緯はこんな感じだった。

 彼女を追ってきた悪い人たちが彼女を見失ったときだと思うの。その時に私を見つけて話かけてきたんだ。
最初は無視を決め込んでいたんだけど無理に腕をつかまれて体をひっぱられた所で男の方によろめいてしまった。
魔法を使うにもこんなところで使ったら被害も大きいからうかつに使えなかった。
でも、私にもこれを回避するだけの力はあったし、こんな状況よりももっとも危険な状況に陥ったことはいくらでもあったから。

 でも私が何かをする前に、黒い影が。すべてを覆い、そして私の前に現れた。
携帯電話のようなものを見せてそこの文字を私に見せる。そこに書いてあった言葉は


『●●●●●=〜…乗って!』

前の部分は早すぎてよくは見えなかった。
だけど、急を要しているということだけがわかったので私は彼女に言われるがまま黒いバイクの後ろにまたがった。


128 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:43:49 ID:1xmiu6eO
そして、今の状況。

「す、すみません! なんで、私をのせたのですか!?」

ヘルメットの向こうにある耳に向かって私は声をかけた。
彼女から声が聞こえてくると思っていたが彼女はおもむろにまた携帯電話のようなものを取り出して、それを打ち込み私に見せてくれた。

『あそこに置いたままだったら、たぶん私が助けた後も同じことを繰り返されると思ったからだよ』

あー、なるほど。そうか、私は普通に見ればあのようなことには対抗できない女性に見えるのだろう。
それはしょうがないことだと思う。久しぶりに女性扱いされてうれしかったなんて言うのは気にしなくていいの。
そんなことを考えてると私の前にまた画面が現れた。そこに書いてあったのは
『どこに行こうとしてたの?』
「あ、池袋駅!」

そう言われると彼女は急にバイクを止めて、急旋回した。急すぎる動きでついつい、私は振り落とされそうになる。

『池袋駅か、反対方向に進んじゃったな。今からそっちに急いでいくから、ごめん』
「あ、いえ。いいんです、助けてもらったのはこちらですし。それとあの…聞いてもいいですか?」

急旋回したときにヘルメットの中がちらっと見えた気がした。いや、正確には何も見えなかったのだが。
いや、もっと正しく言えば、普通は見えるはずの顔すらみえなかったのだ。

「もしかして、今噂の…?」
そう言うと彼女はおもむろにヘルメットをはずしてくれた。そこにはあるはずのもののない存在。
『化け物に送られるのはいや?』
「い、いえ。とんでもないです!ただ、きになっただけで」
『そう、よかった。そしたら急ぐからもう少しつかまっていて』

そう言われるとバイクは急に唸り出し、スピードを上げた。

ねぇ、みんなに自慢できるかな。私、噂の首なしライダーさんと一緒にいるよ?


129 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:48:13 ID:1xmiu6eO
―――――3―――――
『とある公園での風景  〜名前すら与えられないSランク魔道師と白バイ〜』

 くそっ!見失った…、
エースオブエースを見返すためにあいつの弱点を探るために俺はあいつを追いかけていたはずなのにいつの間に見とれていて…じゃなくて、あいつに目をとられていた。
なんてこった。あいつを見返すのじゃなかったのか。そのために弱点を調べる必要があったんだ。
同じランクにもかかわらず、男にもかかわらず、負けた俺に手を差し伸べたとき俺はあいつにの笑顔に惚れ…じゃなくて、いらつきを感じたんだ! だから見返す。
見返すんだ。しかし、なんだ、先ほどの罠は! 突然現れたチンピラ。そいつらからまるでマンガのようにエースオブエースを助けてラブストーリーに発展す…じゃなくて、恩を着せようとしたのに風とともに突然現れたあいつは!? 
あの風で待ったエースオブエースのスカートがめくれ、中にはいていたTバッ…じゃなくて、下着が見えててしまって眼がとられて…じゃなくて、砂が目に入ったじゃないか!

 これでまた彼女を見失った。くそ、あとを追わなくては。彼女のこの後のは予定は何だ…たしか、池袋という地名の場所に行くと話していたな。
それなら、今からそこに…


「おい、あんた」

 何かエンジンの音が後ろでするのはなんだ? やけに近くないか?

「あんただ、そのポケットに入っているものと手に持っているものを見せてもらおうか」

 確かに、私のバイクのエンジンもかかっている。でももう一つあから様にエンジン音が聞こえるじゃないか。後ろをふりむくとそこには白いヘルメットをかぶった男が一人。

「新手の下着泥棒か、ストーカーのたぐいだな。管轄は違うかもしれないが捕まえさせてもら」

 言い切る前にアクセルを私は切っていた。なぜだ、なぜ私は彼から逃げようとしたのだ。やましいことなど何もないはずなのに!

「道路交通法違反…俺の管轄か。先日、黒バイクを逃がして機嫌が悪いんだ。早めにつかまってくれよ」

 いやいや、目が怖い! 目がおかしいだろ!なんだその強い人を見つけたときのシグナムさんよりも鋭い眼は! 
いや、あれは違う!強い人を見つけた時のあの人の眼じゃんくて、八当たりの相手を見つけたときの目じゃないか!?
いやいや、っていうより早い!なんで、普通のバイクが管理局特製のバイクに追いつけるんだ!?

「おい、スピード違反に、信号無視。これはかばいきれない暴走運転だ」

 いやだぁああああああああああああああああああ!!!!

「はん! 速度を上げようが逃がすか!」

 最強白バイ、逃走する犯罪者を追跡中。

130 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:55:53 ID:1xmiu6eO
―――――4―――――
『とある駅での話 〜金髪美女と紫の美女〜』

 二人は目立っていた。それこそ、周りから見たら相当なものだ。

 モデル体型の二人。豊満なバスト、整った容姿。それにくびれた腰と柔らかそうな尻。それは道行く男たちをひきつけていた。
男たちはほぼ順番に声をかけていき、順番に撃沈されていく。それがまる1時間近く続いた。


「…まだ来ないね。なのは」
「フェイトちゃん、さすがにここで待つにしては不便だし…携帯電話にメールを送って、すぐ近くの店で待たない? なのはちゃんもあと少しでくると思うから…正直、もう疲れちゃって…」

 そういうのは顔がつかれているすずかだった。フェイトの顔もどこからしら疲れている。
しかし、この街ではただのナンパとは違った話しかけた方をしてくるやつらがいる。

 そう、今彼女の前にいる二人みたいに。女性と男性。男性は手に何やらアニメのキャラクターが印刷されたビニール袋を持っている。それを急にフェイトの方に向けて彼は頭を下げた。


「よろしくお願いします!」


 急に何かをお願いされたフェイトはきょとんとした顔で相手を見た。よくみると相手の男性はどこか日本人離れをしたような趣を感じる。いや、日本人離れどころか…

「いや〜こんなところで金髪できれいなまるで二次元の世界から出てきたような女性に出会うとは思いませんでした。
なので、この魔法少女の服装してください。よろしくお願いします。なおかつ、この服のモデルになっている魔砲少女リリカルマジカルの主人公の友達にそっくりなあなたにやってもらうきわどい服装がみたいです。
そのキャラはどんどん進むにつれ闘う服装が薄くなっていくんですよ。真ん中ぐらいの時が実は一番エロくて、それが何とも言えないほど」

「ちょっと、遊馬ちゃん。それは違うよ、あのソニックウェーブフォームのすごいのは腰にまかれたベルトだよ。あれこそ、真のエロであり、至宝だと思うの」

人間離れで泣く3次元離れの人間である。



131 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:56:34 ID:1xmiu6eO
 フェイトの眼は丸くなるばかりキョトンとしていた眼はそれはそれはどんどん丸くなて行く。
 無理やり押し付けられた服装もいつの間にか手にとってしまっており、断りづらい。そんな状況でどうしろと? と思ったところで思わぬ方向から助け船が入ってきた。

フェイトの前で話し続けていた二人組の後ろから違う男性がきて、その二人を止めた。

「おまえら、自分の感性を押し付けるのもやめろと何でいついってもわからない。それと、そのコアな話とか、変な話を道の往来で話すな。そして突然人に話しかける内容じゃないだろ」
「いやいや、そこは! …ごめんよ、ドタチーン」

その男は二人組を車のようにいくように促すとフェイトとすずかに声をかけてきた。ただし、その言葉はナンパではなく、謝罪。

「すまない、こちらの連れが迷惑をかけた」
「い、いえ…」
「悪気はないんだ。許してくれ、多分あんたみたいなきれいな人を見て舞い上がってしまったんだよ。そう思いたい。おれでも少し緊張しているぐらいだ。それじゃ」

彼は軽い言葉を残してそこを去っていった。
すずかはため息をついて、もう一度店に入ることを進めた。
次は何も邪魔が入ることなく、そのケーキ屋に入ることができた。しかし、ケーキ屋はあまりにも混んでいた。
さすがに相席でないと待つ時間が長いといわれ、なおかつここが一番わかりやすいところなので、そこ以外を探そうとは思わない彼女たち。
そもそも、疲れているので座ることさえできればいいと考えているのだ。だから彼女たちは相席でいいからそこに案内してほしいと頼んだ。

そう、相席。ある人物との相席。


「相席、よろしいでしょうか?」
「あ、構わないよ」
店員の言葉に軽く、微笑んでいるはずなのにいやな笑みを浮かべる男。つい、フェイトはその顔を見てスカリエッテを思い出してしまった。

相席した男、その男は池袋では関わってはいけない二人の男達の一人。新宿に拠点を移しているはずの男、折原臨矢だった。



132 :リィリカル!:2008/04/24(木) 02:58:58 ID:1xmiu6eO
以下、投稿終了です。

時間軸は聞かないでください…リリカルの方は一応本編終了していると考えてくれるとうれしいですね^^
すみません、短い文章ですが、読んでくださったかた。ありがとうございます。下編は今週末には書き上げと推敲が仕上がると思うので
待ってくれる方はぜひ待っていただいたら幸いです。

前回の禁書の一発ネタの失敗は繰り返してないはずだ!!……推敲してるのに自身がなくなってきた…

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 03:02:43 ID:6e6uuClw
>>132
GJです!割り込み申し訳ありませんでした。

134 :一尉:2008/04/24(木) 13:07:21 ID:vA1mm8SP
よしOKたな。支援

135 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 19:26:11 ID:xrq33Wn3
ただいま戻りましたー
8時よりR-TYPE Λ、第十一話を投下させて頂きます
第一次戦後処理、完結編です

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 19:26:53 ID:gOHur7qL
よし、GOだ!

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 19:36:58 ID:4Evext2Q
>>135
進路クリア、いつでも投下どうぞ!

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 19:49:49 ID:PoZsn1ye
支援だ!!

139 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:00:15 ID:xrq33Wn3
それでは投下します



時空管理局本局、20番ドック。
XV級次元航行艦クラウディアの艦長室にて、クロノは複数のウィンドウを展開し、表示される情報に随時視線を走らせる。

新暦54年、L級次元航行艦エスティア撃沈時の映像解析資料。
戦略魔導砲アルカンシェル発射時に於ける、空間歪曲及び反応消滅発生理論。
先の戦闘に於いて確認された各種不明機体情報及び、回収された残骸の解析経過報告。
クラナガンを襲った人型兵器の残骸及び、「乾燥した」パイロットの死体、もしくは「無人」のコックピットを写した記録映像。
魔獣によって喰い千切られたかの如き凄絶な跡を残し、広範囲に亘り文字通りに消滅した本局構造体の解析結果。
クラナガン西南西20kmの地点に穿たれた、直径30m、深さ40kmにも達する「穴」に対する調査活動の中継映像。
大型機動兵器の残骸、ゆりかご及び他の次元航行艦に対する画像解析結果。

それらのウィンドウを見据えるクロノの表情からは、一切の感情というものが抜け落ちていた。
人形の様に無機質。
機械の様に冷徹。
彼を良く知る者ならば、すぐに気付いた事だろう。

クロノ・ハラオウンは今、脳髄を焦がさんばかりの憤怒に支配されているのだと。
感情の爆発ではなく、魂すら凍て付いたかとすら思わせる冷徹さこそが、クロノという人間の怒りを表現する手段であった。

『秘話回線5517、接続を申請』
「許可する」

新たにウィンドウが展開、プログラムがクロノ宛ての入電を告げる。
回線の接続を許可すると、ウィンドウに相手の顔が表示される事はなく、音声のみでの通信が開始された。

『ハラオウン提督、私だ』

男性の声。
些か慇懃無礼な印象を受けるが、クロノは気にも留めずに声を返す。

「結果は?」
『単刀直入に言う。君の懸念は正しかった』

沈黙。
クロノはウィンドウの1つ、アルカンシェルに関する論文を見やる。
ややあって、彼は言葉の先を促した。

「具体的には?」
『弾体炸裂時の反応消滅だが・・・こいつは机上の空論も良いところだ。空間歪曲による範囲限定型高密度次元震の人為的発生により対象を分子レベルで破壊する、との事だったが』

更に展開される複数のウィンドウ。
其処にはアルカンシェル発射時に於ける魔力量の変動値、弾体魔力素の拡散経路、空間歪曲時の魔力輻射範囲等が表示されている。

『・・・とてもではないが、広域破壊を伴う次元震の誘発には魔力が足りない。次元航行艦搭載型の魔力炉程度では、精々が大規模転送止まりだ』
「転送?」

思いもよらぬ言葉を聞いた、とばかりに眉を顰めるクロノ。
通信の相手は、特に感慨も無いかの様に言葉を続けた。


140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:04:26 ID:A3Jigxi5
待ってたよC¥

141 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:04:29 ID:xrq33Wn3
『そうだ。過去、アルカンシェルの炸裂点はいずれも、大規模反応消滅によって空間ごと抉り取られ崩壊した、と考えられていた訳だが』

一旦言葉を区切り、深く息を吐いて続ける。

『実際には、転送によって何処とも知れぬ空間へと吹き飛ばされていた、という事だ』
「・・・何処だ、その空間とは」
『正確には解らない。だが、予想は付く』
「・・・虚数空間か」

苦々しく呟くクロノ。
その声に応えるかの様に、通信の向こうからも疲れた様な声が発せられた。

『ご明察。プレシア・テスタロッサの時と同じだ。但しこちらは、正しく数秒の内に其処へと放り込まれる事となるが』
「物理破壊を伴わない戦略魔導兵器か。とんだ欠陥品だった訳だ」
『そうでもない。少なくとも今までは、それで問題は無かった。一切の魔力素が無効化される虚数空間に放り込まれれば、例えSSSランクの魔導師だろうが、真竜クラスの生命体だろうが、戦略魔導兵器を搭載した次元航行艦だろうが関係ない。
例外なく無力化され、いずれは朽ち果てる』
「闇の書は? 新暦だけに限っても、4回はアルカンシェルの砲撃を受けている。だが、あれは転生を果たしているぞ」
『恐らく虚数空間を感知した時点で、転生機能が発動していたのだろう。間違いではない。虚数空間への沈降は、例えロストロギアであろうと死以外の何物でもないだろうからな』
「しかし例外があった」

溜息。
疲労を吐き出さんとするかの様なそれが、通信独特のエコーを伴って艦長室に響き渡る。
やがて発せられた声は、何処か諦観の滲んだものだった。

『・・・例外というよりも、規格外だな。虚数空間を自在に航行し、尚且つ通常次元世界への転移を任意に行える存在。そんなものは「アルハザード」の遺産でもなければ有り得ない筈だったが・・・』
「よりにもよって一切の魔法技術体系を用いずに、次元間航行を実現した技術体系が存在した。成程、初めから魔力など用いてはいないのなら、虚数空間も通常次元世界も関係ない、か」
『そして彼等が普遍的に虚数空間を活動圏としていたというのならば・・・空間歪曲兵器が実用化されてからの400年余り、次元世界は彼等の許に「不法投棄」を繰り返してきたという事になる。
それが彼等にとって災厄か、それとも望外の幸運だったのかは解らないが』
「幸運だと?」

場違いな言葉に、クロノの声に険が混じる。
しかしそれとは逆に、通信の相手は何処か楽しげなものへと声を変えた。

『おや、違うのかね? 管理局としては、その方が都合が良い筈だが』

クロノは押し黙る。
その言葉は的確に、管理局の真意を突いていた。
だからこそ、迂闊な事は言えない。
しかしそんなクロノの心情を量る事もなく、或いは意図して無視しているのか、男性の声は嘲笑の感すら含みつつ紡がれ続ける。

『彼等の技術体系がロストロギアを基に発展したものであれば、それがいずれ来る強制執行の理由付けとなる・・・第97管理外世界を、管理世界の総意を以って統治下に置く為のね』

沈黙。
言葉は続く。


142 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:06:10 ID:xrq33Wn3
『管理局にとって、第97管理外世界は取るに足らない世界であると同時に、常に警戒せざるを得ない世界だった。
氾濫する質量兵器、単一世界とは思えぬ程の人口、多宗教・多民族・国家間に亘り継続される壮絶な内戦・・・管理世界は常に、ある種の強迫観念に取り付かれている』
「・・・強迫観念、だと?」
『惚ける必要はない。ミッドチルダに程近い世界では、誰でも知っている事だ』

男性の言葉によって抉られる、管理局とその管理世界に付き纏うとある懸念。
クロノ自身もその可能性を危惧しつつ、しかし同時に、決して現実になる事はないと確信していた事柄。
なって欲しくはないと、無意識下に目を瞑っていた可能性。

『いずれ独自に次元世界への進出を果たすであろう第97管理外世界によって、再び質量兵器による戦火が立ち上るのではないか。
純科学技術体系の異常進化の果てに、魔法技術体系によって成り立つ管理世界の安寧を脅かすのではないか。この50年余り、管理局は常にその可能性を恐れていたのだろう?』

返す声は無い。
クロノは無言のまま、消滅した第14支局にて解析されていた不明機体「R-9A ARROW-HEAD」の画像、同ウィンドウ内に表示された「PROJECT R-TYPE」の文字を見つめる。
異常な技術、異常な力。
管理世界の理解を越える存在に、そして過去より帰還せし艦に刻まれた、管理外世界の言語。
通信の声は止まらない。

『君とて気付いている筈だ。あの世界の「異常性」に。その秘められし「危険性」に』

沈黙。
クロノは静かに瞼を下ろす。

『文明レベル「9」、ミッドチルダと同レベル。珍しい事じゃない。管理世界に於ける先進文明は大概がそうである上に、これからもその数は増え続けるだろう。
だが発展の下地、基礎技術体系の先駆けとなる先天的魔力制御因子保有種すら存在しない世界がそのレベルに達するなど、管理世界広しといえども存在し得ない・・・その、筈だった』

軽く握られる拳。

『ところが、第97管理外世界・・・所謂「地球」は、それを成し遂げた。一部の極稀な例を除けば、魔力制御因子を身に着けた訳ではない。管理世界から技術が持ち込まれた訳でもない。
独自に発展させた、科学技術のみによって』

新たに展開されたウィンドウに、1人の人物が映し出される。

『そして何より異端なのは、その異常極まる進化の速度だ。この約百年間に於ける、急激な科学技術の発展。
次元世界が魔法技術体系を礎として数百年の時を費やし発展させ、以来千数百年に亘り保持してきた・・・悪く言えば停滞期へと至ったそれと同等のものを、彼等は独力で、しかも僅か百年余りの内に創り上げた』

ウィンドウの表記に光る、取調室の文字。

『技術だけではない。同時に文化も、それに見合うものへと変貌を遂げている。まあ、これは取り立てて見るべきものでもないだろう。
文化的衝突の相手には事欠かなかった訳であるし、決定的な破滅を回避せんとするならば、たとえ建前上ではあっても相互理解と統合的な文化の進歩は不可欠だ』

握られた拳へと、更に力が篭められる。


143 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:07:32 ID:xrq33Wn3
『そして何より進化が顕著であるのは、彼等の軍事技術だろう。ミッドチルダと然程変わらぬ狭い世界で、あれだけの武力衝突を重ねれば否が応にも技術は進化するだろうが、それを考慮に入れても異常としか言い様がない。
金属薬莢の開発から200年足らずだ・・・たった200年。それだけの時間で彼等は、自らの世界を完膚なきまでに破壊し尽くす程の力を手に入れた。かつてのミッドチルダ、そしてベルカが、800年もの時を費やして完成させた力をだ』

クラナガンの惨状を映し出すウィンドウに表示された犠牲者数、その5桁目に当たる数字が更に2つ数を増す。

『今回の一件で、我々はその行き着く先を垣間見た。これから「地球」が辿り得る、可能性のひとつを。そして管理世界の武力が、彼等の力を前に如何に無力な存在へと成り下がるのかを。
あの不明機体群といい、ゆりかごを支配下に置いている勢力といい、我々の思想では到底、理解出来ぬ存在だよ』

接続中との文字のみが、変わらず表示されたままのウィンドウ。

『あのガジェットを見ただろう、ハラオウン提督。2年前のあれは、暴力の徒ではあっても殺戮の尖兵ではなかった。武装ひとつ取っても、その運用及び設計思想は、管理世界のそれからは掛け離れたものだ。
私は自身が一般的な思考の持ち主とは考えていないが、それでもあれの創造者よりは幾分管理世界寄りだと思える。あれは「勝利」を目的としてはいない。只々、対象の「殲滅」のみをその存在意義としている。
どちらかといえば先史時代・・・古代ベルカが次元世界を席巻していた頃の兵器に近いな。尤も、ゆりかご内部にあったガジェットの原型でさえ、あれ程までに徹底した殲滅機構を備えてはいなかったが。
突き詰めて考えれば、ゆりかごを現代に蘇らせたところで、端から我々の手に負えるものではなかったという事かな』

その言葉に、クロノはゆっくりと瞼を見開き、射竦める様な声で以って言葉を発した。



「・・・貴様がそれを言うか、「ジェイル・スカリエッティ」。あれを蘇らせた貴様が」



返されるは、此方もまた重圧を滲ませる声。

『そうとも、クロノ・ハラオウン提督。ゆりかごを蘇らせたのは、他ならぬ私だ。だからこそ、私はあれを良く知っている。ゆりかごに虚数空間を航行する能力は無い。
その様な機能は備わってはいないし、第一に古代ベルカがそんな超高度技術を開発したという事実すら確認されてはいない』

其処で、男性・・・ジェイル・スカリエッティは一旦言葉を区切り、更に続けた。

『無論、ゆりかごが「2隻」存在したなどという記録も無い』


144 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:08:43 ID:xrq33Wn3
クロノが更に眉を顰め、新たに2つのウィンドウを展開する。
其々に映し出されるは、クラナガン上空に浮かぶ濃紺青の艦体と無数の次元航行艦、そして本局及び不明機体群に対し自爆型ガジェットによる無差別攻撃を仕掛ける、同じく濃紺青の巨艦と艦隊。
それだけならば、問題が無い訳ではないが、未だ理解の範疇だ。
しかし、双方の映像には、決して有り得ない筈の共通点があった。
あってはならない表示。
誰もが機器の故障を疑ったが、結果的には最も非情な現実が露呈しただけだった。



クラナガンとゆりかごの映るウィンドウ、時刻表示「77.10.27 14:43」。
本局外殻装甲記録映像、時刻表示「77.10.27 14:43」。
2つの記録映像は、全く同じ時を刻んでいた。



「模造品、か」
『どちらがコピーなのか、或いは2隻ともコピーなのか・・・それは分からない。
ひとつだけ確実なのは、彼等がゆりかごを造り上げるだけの、そして虚数空間航行能力を付加するだけの技術力を持ち、管理局のみならず、恐らくは未来の第97管理外世界をも敵対的に認識しているという事だけだ』
「彼等は地球の人間ではないと?」
『少なくとも正気を保った人間ではあるまいよ。自軍の機動兵器に死後数ヶ月が経過した死体を載せ、或いは無人のままに戦場へと送り出す。有人兵器をだよ? にも拘らず、あれらは管理局と不明機体群を相手取り互角に戦線を展開した。
非常用の無人制御システムが、独自に機体を操ってね。AIユニット内部に付着していたゲル状物質が機体制御に干渉していた可能性が浮上してはいるが、詳細については検証中だ。
だが、機体そのものは第97管理外世界のものであるとみて間違いあるまい。
機体各部及び内部機構の表示、その全てにあの世界の言語が用いられていた。あの人型兵器と大型機動兵器は、第97管理外世界にて製造された兵器だよ』
「それでも確定ではないと?」
『闇の書の件を忘れたかね? エスティアだけではない。あのロストロギアは過去に於いて、幾度となく現地文明のシステムを侵蝕している。例え「外殻」がとある文明の産物であるとして、「中身」までもが同郷の徒であるとは限らない』

クロノの脳裏に、掠れて消え掛けた光景が過ぎる。
父の記憶。
幼い自分を肩に乗せ、クラナガンの公園を散策した、夢か現かも判然としないそれ。
振り払う様に、言葉を紡ぐ。

「・・・エスティアは地球に管理されていた形跡がある」
『不明機体は、そのエスティアを追っていた。其処で君の艦と鉢合わせ、交戦の末に拿捕された訳だ。だが恐らく、その一部始終は地球側に観測されていた』
「その結果がこれか」
『君は管理局艦艇を撃沈した所属不明機を調査しようとしただけだろう。しかし考えてもみたまえ。クラナガンと本局を襲った勢力は、ゆりかごや古代ベルカ及びミッドチルダの艦艇、果ては管理局鑑定までをも支配下に置いている。
アルカンシェルにより虚数空間へと消えたエスティアが、どういった経緯で地球によって管理されるに至ったのかは不明だが、その後にあの勢力によって更に拿捕されたのだとしたら? 有人兵器を無人で運用する様な連中だ。有り得ない話ではない。
不明機体は拿捕されたエスティアを追撃中にクラウディアと遭遇し、管理局への敵対と判断した同艦によって拿捕された』
「クラウディアの行動は、エスティアを運用していた勢力に対する加勢と捉えられた」
『そしてエスティアを支配下に置いていた勢力が、闇の書の様に他の存在を侵蝕し制御下に置く、文明にとって天敵ともいえる異質な存在なのだとすれば・・・』


145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:08:56 ID:Vsv2WA9D
支援


146 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:10:45 ID:xrq33Wn3
スカリエッティが、言葉を区切る。
一拍の間を置き、クロノは続く言葉を発した。
最悪にして、恐らくは最適の考察を。



「クラウディア・・・延いては時空管理局、及びミッドチルダは・・・「汚染体」と判断された、という事か」



恐らくは、との返答を耳にしつつ、クロノは天井を仰ぐ。
管理局は既に、不明機体との遭遇に際しての彼の対応を、的確なものとして判断していた。
しかし当人にしてみれば、自らが一連の戦闘の引き金を引いたとの認識が消える訳ではない。
それを責める者は居らず、またこれからも表立って現れる事は無いであろうが、それでもその認識は影の様に付き纏う。

不明機体が明らかに攻撃態勢を取っていた事、エスティアが通常の状態でなかった可能性があったなどと知る由も無かった事から、クロノの取った行動はあの時点に於いて最適であったとしか言い様がない。
不明機体のパイロットに対する事情聴取が為されれば、また別の可能性も浮上したかもしれないが、当の人物は隠し持っていたナノマシン型の毒物により自殺してしまった。
彼が何を目的としてエスティアを撃沈したのか、何を根拠にクラウディアを敵対勢力と断じたのか、それらを知る術は永遠に失われたのだ。
恐らく彼は、自身に対する精神干渉を疑ったのだろう。
情報漏洩を避ける為、自ら命を絶ったと考えられる。

現在、本局内に拘留されている7名のパイロット達は、クラナガンでの拘束直後に毒物を押収されていた。
情報を入手する為に、彼等の自殺を未然に防ぐ必要があったのだ。
無論、彼等が大人しく情報を明け渡すと考える者は、1人として存在しなかった。
時を置かずしてヴェロッサ・アコース査察官の派遣が決定され、希少技能「思考捜査」による脳内情報の奪取が実行されたのが昨日。
結果は、誰もが予期しなかったものとなった。

アコース査察官の昏倒。
パイロットの1人が軟禁された部屋の隣室から思考捜査を実行した彼は、魔力による侵入経路を逆探知され、意図して転送された膨大な情報の流入によるオーバーフローを起こしたのだ。
すぐさま彼は医療班に引き渡されたものの、今に至るまで意識を取り戻してはいない。
並列思考をすら可能とする魔導師の脳を圧倒する、電子的・機械的強化を施された不明機体パイロットの脳。
挙句、侵入を図る魔力経路を電子的情報処理技能によって辿り、侵入者の脳に対する破壊工作を実行するその異常性。
最早、搦め手は通用しない。

『まあ、これは単なる憶測に過ぎない。何にせよ、管理局が新たに拿捕したパイロット達が貴重な情報源となるだろう。君達にそれを引き出す能力があるか否かは分からないが』
「極秘とはいえ、司法取引に応じた貴様が言う台詞ではないな、ジェイル・スカリエッティ。現状に不満を持つのは贅沢というものだ」
『確かについ3日前まで、与えられた研究内容はつまらないものばかりだったがね。だがこれは・・・これは、実にエキサイティングだよ、ハラオウン提督』
「何だと?」
『生命操作技術の完成・・・私はその為にゆりかごを欲した。かの船の武力を背景に、何者にも束縛されぬ空間を得る為にだ。ところが、何処とも知れぬ空間より現れた闖入者達は、既にその域へと到達した技術を持っていた。
兵器としての利用ではあるが、「完璧な生命」の創造を成し遂げていたんだ』
「待て・・・「完璧な生命」だと? 何の事だ?」

思わず、スカリエッティの言葉を制止するクロノ。
唐突に現れた「完璧な生命」との言葉に、彼は思い当たる節が無かった。
通信越しのスカリエッティは暫し沈黙し、ややあって納得した様に言葉を紡ぎ出す。


147 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:11:57 ID:xrq33Wn3
『そういえばまだ言っていなかったかな・・・不明機体が備えていた球状兵装、あれを覚えているかね?』
「・・・ああ」

スカリエッティの問いに、短く答えを返す
忘れる訳がない。
クラウディア艦橋を襲い、クルーに重傷を負わせ、内1名の命を奪った、あの球状兵装。
禍々しいオレンジの光を放つそれが、瞼を下ろす度にクロノの脳裏へと浮かび上がる。
しかし続くスカリエッティの言葉に、徐々に湧き起こる怒りが一転、驚愕へと取って代わられた。



『あれは只の高エネルギー収束体などではない。我々の理解を超えた、既存のあらゆる生命の頂点に立つ存在。正しく「完成された生命体」だよ』



凍り付く思考。
クロノのそれは、あの球体が生命体であるなどと、容易に受け入れる事ができるほど柔軟ではなかった。
否、恐らくは大多数の人間がそうであろう。
光学兵器を放ち、次元航行艦の外殻装甲を破壊し尽くし、艦橋を押し潰した球状兵装。
果たしてそれが生命体であるなどと、どれ程の人間が受け入れられるものだろう。
そんなクロノを余所に、スカリエッティの興奮した声は続く。

『あらゆるエネルギー、あらゆる物理的存在を喰らい、同時に外部より向けられたエネルギーを選択的に触媒し増幅させ、自らは一切の変化なく存在し続ける・・・これを完璧と云わずして何と呼ぶ? あれこそが、私が目指した先に存在する技術の結晶。
あらゆる禁忌を用い、あらゆる倫理を無視し、あらゆる生命の尊厳を踏み躙り突き進んだ先にしか存在し得ない、生命操作技術の極致。それを用いて創造された最上位の生命体、正しく絶対生物。敢えて呼称するならば、そう・・・』

恍惚とした感すら滲ませる、スカリエッティの声。
クロノは割り入る言葉を持たず、只々耳を傾けるばかり。
そして2年前と変わらず、その身に狂気を秘めし科学者は、迷う事なくその名を口にした。



『「人工の生ける悪魔」』




148 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:13:05 ID:xrq33Wn3
複数のウィンドウが閉じられ、入れ替わりに新たなウィンドウが展開される。
映し出される人影は、紺青の髪に白衣を纏った男性。
広域次元犯罪者にして、時空管理局第5支局ラボ主任、ジェイル・スカリエッティ。
何処か歪んだ笑顔に慈愛の色すら浮かべながら、彼は楽しげに言葉を紡ぐ。
哀れむ様に、しかし同時に、祝福する様に。

『何も問題は無い、ハラオウン提督。あれは管理局にとっても、正しく宝だ。全て解決してみせよう。アルカンシェルも、魔導師と彼等の戦力差も、AMFへの対抗手段も。私に任せてくれるならば、全てを・・・尤も』

彼は、悪魔の誘惑を発する。

『間に合うのならば、の話だがね』

スカリエッティの後方、魔力障壁と強化ガラスの向こうに、第14支局跡より回収されたオレンジの光を放つ球体が、禍々しく胎動を繰り返していた

*  *  *

取調室へと入室するや否や、八神 はやては違和感を抱いた。
不明機体パイロット、黒髪の男性は、ミッドチルダの雑誌を読んでいたのだ。
彼がそれを希望し、数刻後に差し入れられた物だとは聞き及んではいたが、それでも違和感は拭えなかった。
男性はモーター誌の頁を捲り、その誌面に目を走らせている。

念話を用い、ウィンドウ越しに室内の様子を窺っている面々に、異常が無い事を確認。
聴取の様子は、リンディ・ハラオウン総務統括官を始めとした、複数の人物へと中継されていた。
その理由は言うまでもなく、不明機体の1機が用いた砲撃、戦域へと映し出された幻影だ。

「・・・気に入ったものはありましたか?」

差し当たって、はやては取り留めの無い話題から入る事にした。
地球とミッドチルダに共通する話題のひとつ、彼の読む雑誌に載せられた車についてだ。
男性はちらと視線を上げると、特に感情を浮かべる事なく答えを返す。

「ああ」
「どれです?」
「・・・このオフロードタイプかな。俺の車に似ているんだ」

それだけ言うと、男性は雑誌を机の上へと置いた。
はやても表情を引き締め、名乗り始める。

「私が貴方の聴取を担当する、八神 はやて二等陸佐です。貴方は時空管理局に対し・・・」
「失礼、ヤガミ陸佐。その内容はもう何度も聞かされている。本題に入っては如何だろうか?」

割り入った男性の声に、はやては罪状を読み上げる声を止めた。
改めて男性の様子を窺い見れば、彼は組んだ手を脚の上に置き、何処かしら醒めた目で彼女を見据えている。
下手な搦め手は無用だと判じたはやては、男性から机を挟んで対面の椅子へと座し、単刀直入に用件を切り出した。

「前置きは必要ない様ですね。貴方がたの所属は? 都市、そしてこの艦を襲った理由は?」

意外にも、答えは間を置かずに返される。


149 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:14:18 ID:xrq33Wn3
「国連宇宙軍・第17異層次元航行艦隊所属、669攻撃隊。同艦隊所属、363部隊機が敵性体追撃中に所属不明艦艇により撃墜・拿捕された件を受け、司令部より都市及び大型艦艇に対する制圧任務が下され、我々は都市に対する軌道降下・強襲を実行した」
「地球の軍事組織なのですね?」
「そうだ」
「現在の西暦は?」
「2174年」
「敵性体とは?」
「363部隊機が追撃していた、所属不明艦艇だ。あれは貴女がたの保有艦艇だったらしいが、既に「汚染」されていた」
「・・・「汚染」?」

思わぬ言葉を聞いたとばかりに、自身もその音を繰り返すはやて。
しかし男性は、それについて語る事は無いとばかりに押し黙ったままだ。
それを察したはやては、すぐさま別の質問に移る。

「・・・大型砲台に対する砲撃の後、積極的攻勢に入らなかった理由は?」
「作戦目標は都市の無力化だった。あれ意外には、明確に兵器と判断できる目標はなかったからだ。何より「人間」が居るとは思わなかった・・・その人間が生身で空を飛び、高エネルギー砲撃を放つとは、更に予想外だったが」

流石にその言葉には内心、苦笑を浮かべざるを得ない。
彼等の驚愕、そして警戒も無理からぬ事だ。
はやてとて魔法の存在を知らずに魔導師を前にすれば、それは自身にとって脅威以外の何物でもない存在として映るだろう。

その後も、互いに表立って敵意を見せる事もなく、聴取は実に順調に進んだ。
そして管理局によって有益な、しかし同時に多数の謎を秘めた情報が引き出されてゆく。

不明機体が「汚染」されたエスティアを追い、その結果クラウディアにより撃墜された事。
一連の経緯は国連宇宙軍艦隊によって観測されており、彼等はクラウディアを追跡、本局及びミッドチルダを発見した事。
ミッドチルダに対しては、アインヘリアルの迎撃能力を警戒し、偵察活動を最小限に留めた事。
なのはと彼等の交渉中に戦域へと突入し、クラナガンに対する無差別攻撃を実行した勢力こそが「汚染体」であり、あれらの兵器群はいずれも「地球製」である事。
クラナガンに多大なる被害を齎した大型機動兵器は「モリッツG」とのコードネームを持つ、旧式の対汚染生態系局地殲滅兵器である事。
「モリッツG」は2164年の時点に於いて、「汚染」により軍の手によって破壊されている事。
独自の判断により司令部からの命令を放棄し、管理局部隊との共闘を開始した事。
ゆりかごを中心とした艦隊もまた「汚染体」である事。
彼等を撃退した戦略級大規模砲撃が、他の攻撃隊によるものである事。

そうして2時間程が経過した頃、はやては一息入れるべく通信を繋いだ。
念話は使用しない。
口頭で会話を行う事で、対象の警戒感を削ぐのだ。

「少し休憩しましょう。何か飲み物のリクエストは?」
「・・・貴女は日本人・・・で良いのか? ゲータレードは分かるかな」
「ああ、似た様なものはあります。ご安心を。軽食は如何です?」
「結構だ。3時間前にBLTサンドの差し入れがあった。中々に美味かったよ」
「それは光栄ですね。此処でも人気の店が誇る一品なんですよ」
「ああ、ベーコンの焼き加減が最高だった。尤も、一番美味いBLTサンドは、マディソン・スクエア・ガーデンの店で出すやつだが」


150 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:15:56 ID:xrq33Wn3
男性の口数が増している。
良い傾向だ。
はやては、より男性の警戒心を削ぐべく、会話を重ねようとする。

「そうなんですか? いずれ私も口にしてみたいですね。こう見えても、料理には五月蝿い性質なので」
「ああ、そいつは無理だ」

しかし、男性から返された言葉は、はやての想像を超えるものだった。



「ニューヨークは、とっくに消し飛んじまったからな」



それきり、再び沈黙する男性。
暫し呆然としていたはやてもまた、スポーツドリンクとアイスティーを持って来るよう指示すると、言葉も無く男性の観察を始めた。
そして、数分後。
ドアが開き、2人分の飲み物を手にした人影が入室する。
はやては特に反応を返さなかったが、男性はその人影を捉えるや僅かに目を見開き、驚愕をその表情へと浮かべた。
スポーツドリンクとアイスティーが机の上へと置かれ、人影は居心地が悪そうにはやての後方へと控える。
やがて、はやてが真剣な口調で言葉を発した。

「私的な事ですが、私は貴方に感謝しています。貴方は彼女達を助けてくれた。この2人・・・私の家族を」

その言葉とほぼ同時、人影の背後から小さな影が現れる。
本当に小さな、玩具の人形の様な影。

「紹介します。ヴィータ三等空尉、そしてリインフォースU空曹長です」
「・・・ヴィータだ」
「リインフォースUです。リィンとお呼び下さいね」

はやてが2人の名前を告げた後、ヴィータは何処となく気後れするかの様に、リィンは微笑みつつ挨拶をする。
男性はすぐに平静を取り戻したらしく、まじまじと2人を眺めていた。
はやては畳み掛ける様に言葉を重ねる。

「貴方が2人を助けて下さった経緯は聞き及んでいます。既に実質的な共闘態勢にあったとはいえ、貴方は2人を信用してくれた・・・有り難う」

そう言うと、男性に向かい頭を下げるはやて。
特に反応を返さない彼に向かって、ヴィータとリィンが口を開く。

「アタシも・・・アタシからも礼を言わせてくれ。アンタはアタシとリィンと・・・アタシの友達を救ってくれた。その・・・礼を、言う」
「あの時・・・私達の言葉を信じてくれましたよね。ヴィータちゃんが、化け物の所まで連れて行けって言った時・・・無視する事もできたのに、私達を乗せて行ってくれました・・・嬉しかったんです。私達を信じてくれた事が、本当に・・・貴方に、感謝を」

2人が感謝の言葉を伝え終えると、はやては頭を上げて男性の目を真っ直ぐに捉え、言葉を発した。
それは捜査官として培った打算と、しかし同時に、それを呑み込まんばかりに心底より沸き起こる切望の声。
情報を得んとする管理局捜査員としてではなく、八神 はやてとしての願いだった。
冷徹なる判断力と真実を見抜く力が必要とされる捜査官としての活動の中に於いて、異端ながら無数の心を動かし希望へと繋げる事のできる、はやてとその友人達、彼女の元上司や部下達にも宿る熱い想い。
彼女は真っ向から、それをぶつけた。


151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:17:50 ID:Vsv2WA9D
支援

152 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:17:51 ID:xrq33Wn3
「私達は不幸な誤解から、戦端を交えるまでに至りました。しかし、やり直す事はできる筈。貴方がたのいう「汚染体」は、私達にとっても脅威なのです。貴方がたが都市上空で目にした大型艦は、2年前に撃沈された筈のものです。
名を「聖王のゆりかご」。遥か古代の船であり、次元世界に多大なる被害を齎した災いの船。とある事件により復活し、貴方がたが降下した惑星を含む複数の世界を危機に陥れた、危険な兵器です。
私も、この2人も、事件の当事者でした。あれの危険性は、良く知っているつもりです」

流れる様に紡がれるはやての言葉を、男性は沈黙を保ったままに聞き続けている。
その目はヴィータとリィンに向けられたままだが、はやての声を無視している訳ではないだろう。

「次元世界に対する貴方がたの認識が何処まで進んでいるのかは存じませんが、あれは多次元に対する脅威そのもの、人の手には余る代物なのです。貴方がたのいう「汚染体」について、私達の知るところは余りに少ない。
しかしそれが、全ての次元に於いて最も危険な存在を取り込んだ事は明白です・・・お解かり戴けましたか? 貴方がたの地球は、今まさに危機的状態にある。ゆりかごの力は、解っているだけでも破滅的なものです。
時代は違えど、私も地球の人間。1人の地球人として、故郷の未来を守りたい。話しては戴けませんか。「汚染体」とは何なのか、如何なる存在なのか。時空管理局は、次元世界への進出を果たした全ての世界を等しく歓迎します。
無論、その世界に対する援助も。今回の様な件ならば尚更です。貴方がたは次元世界に進出して間も無く、この災厄に見舞われたのでしょう。時空管理局は、助力を惜しみません」

穏やかに、しかし毅然と、はやては語り掛ける。
男性は彼女へと向き直り、その目を見つめた。
伝わっている。
自身の言葉は、その想いは、確かに伝わっている。
確信を得て、彼女は更に言葉を続けた。

「私達は貴方がたに、この世界についての理解を深めて欲しいのです。次元の海は広い。新たに次元世界への進出に成功した地球に対して、私達は出来得る限りの知識と技術の提供を・・・」
「其は奇跡なり」

唐突に発せられた声。
それが紡いだ一文に、はやての言葉が止まった。
その唇は次の言葉を発する直前のままに凍り付き、見開かれた目は微動だにせず男性を視界へと捉え続ける。

「勇猛なる古き騎士、正義に殉じし戦士、災いに消えし幾多なる生命。虚空の果てに消えし者共、虚空の果てより蘇り、主なき船を道標とし、我らが前へと凱旋す」

紡がれる詩。
ヴィータとリィンが息を呑む気配が、はやての知覚へと伝わる。

「率いたるは我らが王、真に蘇りし翼を駆りて、我らが前へと現れる・・・番となりて現れる」

念話を通じ、聴取の様子を窺っていたなのはやフェイト、リンディやレティ提督、その他にも複数の人物からの警戒を促す言葉が、僅かな動揺を孕みつつはやての脳裏へと飛び込んだ。
驚愕を隠し切れない彼女の目を覗き込みつつ、男性は感情の窺えない声を発する。

「・・・口上が止まったな、ヤガミ陸佐?」


153 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:19:07 ID:xrq33Wn3
混乱するはやてを嘲笑うでもなく、男性は無表情に彼女を見据え続ける。
それでも然程に間を置かず状況を理解したはやては、先程とは打って変わり厳しい表情を浮かべると、男性を詰問した。

「・・・その詩を、何処で?」

返答。
男性の声に淀みは無く、躊躇も無かった。

「ヴェロッサ・アコース査察官」

軽く握られたはやての拳が、きつく握り締められる。
その目に浮かぶのは、異常な状況により僅かに露呈し始めた怒り、そして理解できない現状に対する不安。
男性の言葉は続く。

「全てではないが、「彼の脳」は色々と教えてくれた。時空管理局の設立に至る経緯、活動理念。魔法技術体系、ミッドチルダ、第97管理外世界」

息を継ぎ、続ける。

「ロストロギア、古代遺物管理部機動六課、スターズ分隊、ライトニング分隊、ロングアーチ」

有り得ない。
はやての思考を占めるのは、その言葉のみ。
ヴェロッサの脳が不明機体パイロットによって攻撃された事実は知っていたが、しかし同時に彼の記憶までもが解析されていようとは、誰もが予想だにしなかった事象だ。
彼等の脳がナノマシン及び移植型電子機器により、機械的・電子的に処理能力及び強度を異常強化されている事実は判明していたが、それが魔法による脳内介入に対応可能であるとは思いもよらなかった。
結果としてヴェロッサは、脳内へと強制的に送り込まれた異常な量の情報を処理し切れず、許容限界を超えた脳はオーバーフローを起こし、彼は昏倒。
それだけでも有り得ない事象ではあったが、目前の男性から放たれた言葉は、それ以上の驚愕をはやてへと齎していた。

「ジェイル・スカリエッティ、戦闘機人、アルハザード、レリック、聖王、カイゼル・ファルベ」

有り得ないのだ。
この男が、それらの情報を知り得ているなど。
決して有り得ない、その筈なのだ。

「プレシア・テスタロッサ、プロジェクトF.A.T.E、ジュエルシード、時の庭園」

何故なら、ヴェロッサが思考捜査を行ったのは。
彼の脳を破壊せんとした不明機体パイロットは。
彼の脳から情報を得る事ができた人物は。

「エスティア、アースラ、闇の書、ヴォルケンリッター、夜天の王」



「この男ではない」のだから。



「リインフォース」
「ヴィータッ!」


154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:20:06 ID:PoZsn1ye
支援だ。

155 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:20:22 ID:xrq33Wn3
それは、男がその名を口にすると同時だった。
はやての叫びに応え、ヴィータが男の背後に回り腕を拘束、その頭を机へと叩き付ける。
同時にリィンが、念話を用いて各方面へと警告を発した。

『緊急事態! 不明機体パイロット間に於いて、何らかの通信手段が確保されています!』

警報。
ウィンドウが開き、はやてはその画面へと手を伸ばして操作を始める。
念話、通常通信、共に反応なし。
未知の科学技術を用いた個体間通信の可能性大。

「・・・擬人化した実体投射機能搭載型攻性プログラムか。良い家族を「持っている」な」

呟く様に発せられた言葉に、3人の視線が男へと集中する。
最早、彼女達の目は先程とは異なり、欠片ほどの親しみも、穏やかさも込められてはいなかった。
それは「敵」を見る目。
はやては漸く、入室時に抱いた違和感の原因へと思い至った。

彼は明らかに、雑誌の「文面」を目で追っていたのだ。
ミッドチルダ言語で書かれた文を、自ら達と同等の速さで。
読み飛ばすでもなく、解析を試みているのでもない。
ごく自然に、その文面を辿っていたのだ。
即ち、ミッドチルダ言語を「理解」していたという事。

はやてが、口を開く。

「・・・それ以上、私の家族を侮辱する事は許しません。そのまま大人しくしていなさい」
「怒ったのか? 済まないな、リィンフォースの思い出を穢してしまったか」
「その名を口にするなッ!」

ヴィータが男の頭を持ち上げ、もう一度、机へと叩き付ける。
咄嗟にはやてが叱責しようとするが、それより早く彼女は叫んだ。

「お前がッ! 部外者のお前がッ! その名前を口にする事は許さねぇ! 何も、何も知らない奴がッ!」
「ヴィータ、止めぃ!」
「ヴィータちゃん!」
「アタシ達の大切な、大切な記憶に踏み込んでッ! 踏み荒らすんじゃねぇッ!」

ヴィータが一際大きく叫び、はやてが彼女を取り押さえようと歩を進めた、その時。

「異層次元」

またも、男の声が響いた。
聞き覚えの無い単語に、再び3人の目が男へと向けられる。

「平行世界観測」

要領を得ない言葉。
それだけが、淡々と紡がれる。

「電界26次元」

ゆっくりと顔を起こし、男ははやてへと問い掛けた。

「どれか1つでも、貴女がたにとって馴染みの言葉はあるか?」


156 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:21:41 ID:xrq33Wn3
その問いに、彼女は戸惑う。
ヴィータ、そしてリィンもまたその表情に疑惑の感を滲ませていた。
一体、何を言っているのか?
疑問に思いつつも、はやては答える。

「・・・いいえ」
「時間跳躍現象は?」
「いいえ」

問いは、更に続く。

「エバーグリーン、バースディ・ウォー、デモンシード・クライシス、サタニック・ラプソディー」
「いいえ、存じません。一体、何を言っているのですか?」

男は尚更に醒め切った目をはやてへと向け、その答えを口にする。
それは凍て付く刃と化し、彼女の心、その奥底へと突き立った。



「貴女がたも同じだ。何ひとつ知らないにも拘らず、全てを知った気でいる。俺達の脳内を覗き込み、記憶を踏み荒らし、地球文明圏が全てを注ぎ込む戦争にまで踏み入るつもりでいる。救済者気取りは結構だが、目障りだ」



刃は、更に振るわれる。

「貴女は「地球人」ではない。ミッドチルダ、管理局の人間だ。償いの為と銘打って、地球を未開の世界と見下し、切り捨てた。同郷を騙るのは止めろ」

ヴィータが、拘束の力を緩める。
男が身を起こし、姿勢を正して腕の具合を確かめ始めるが、ヴィータのみならず、はやてもリィンも何ひとつ言葉を挟む事は無い。
男の言葉は、彼女達の意識に確かな衝撃を与えていた。

「そもそも「次元」という空間に対する認識が、我々と貴女がたでは大きく食い違っている。貴方がたはこの空間を次元世界と、各地の惑星を個別の世界と認識しているが」

スポーツドリンクの満たされたコップを一瞥、しかし手を着ける事なく視線をはやてへと戻す。

「この空間は異層次元の1つに過ぎない。虚数空間も然り。貴女がたが確認している次元は、この2つのみだ」

男の言葉が、はやての意識を通じ念話として、或いは通信ウィンドウを通じての画像・音声として、管理局各所へと浸透してゆく。

「虚数空間は航行不能、浅異層次元潜行も不能。全領域対応型機動兵器の不所持。質量兵器の廃絶に伴う個人資質への依存。これだけの問題を抱えているにも拘らず、貴女がた管理局が「バイド」との戦いを終結に導く? ふざけるのも大概にしろ」

その痛烈な言葉とは裏腹に、男の声には怒りも敵意も、興奮すら僅かにも浮かんではいない。
只々、つまらないものを見るかの様な醒め切った視線と、平淡な声だけが取調室に響き渡る。

「そして、ヤガミ二等陸佐。貴女は一度として、本当の目的を語ってはいない。最も知りたい事であろうに、警戒心を抱かせまいと遠回りな質問ばかりをする」
「本当の、目的?」

ヴィータが、小さく呟き返す。
止めろと言いたかった。
それ以上、口にするなと叫びたかった。
しかしその意思に反して、はやての発声器官は何ひとつ音を発する事は無い。
否、できない。
彼女の声を、男の放った言葉が封じ込めている。
宛ら、幼かった頃に彼女の自由を奪っていた、あの呪縛の様に。
そして男は、真実を刃と化して、彼女達へと突き付けた。

「22世紀に於ける第97管理外世界の技術体系とは、ロストロギアを基に発展したものではないのか。そう、訊きたかったのだろう? 例え否定しても、最終的にはそう判断するのだろうが」
「何を、言って・・・」
「そうでなければ困るのだろう? 管理局の存続に対する脅威は、早めに取り除かねばならない。21世紀の地球を強制執行により管理世界へと加盟させ、直接統治下に置く事で独自の技術発展を防ぐ為にな」


157 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:23:20 ID:xrq33Wn3
それは、真実。
はやて個人としても最善の策として容認していた、第97管理外世界への対応策である。
だからこそ、彼女は男の「地球人ではない」との言葉に衝撃を受けた。



彼女の中であの世界は既に、故郷としての「地球」ではなく、管理局がその存在を観測する「第97管理外世界」に過ぎないものと化していたのだ。



自身ですら意識しなかったそれに気付き、彼女はうろたえる。
男の言葉は、何処までも冷徹に核心を突いていた。
自分は最早、「地球人」ではない。

男が、視線を逸らす。
何も無い中空へ、不可視の受像システムへ。
ウィンドウの向こうで息を呑む全ての人物へと、男は語り掛けた。

「知りたいんだろう? 俺達の敵が何なのか。「バイド」とは如何なる存在か」

冷徹に、無感情に、機械の如く。
男は、忌むべき存在の名を口にした。

「話すとも。気の済むまでな」

そして、地獄が語られる。

*  *  *

『トロイカよりロック・ローモンド。669からのデータ転送を確認』
『ロック・ローモンドよりトロイカ。各員のバイタルサインは正常か?』
『443、172のサインが異常だ。重傷を負っているらしいが、しかし命に別状は無い・・・送信終了。669からの返信を確認。離脱する』
『ロック・ローモンド、了解』

時空管理局が本局と呼ぶ超大型異層次元航行艦艇。
その程近い空間から1機のR-9E2が、浅異層次元潜行状態のまま離脱を図る。
艦艇内部に収容された攻撃隊隊員との「通信」を終えたその機体は一路、同じく浅異層次元へと潜行した母艦を目指し飛び去った。
通信の内容は、艦隊からの指令。

管理局に対する情報提示の許可。
複数の情報操作指示。
バイド出現に至る経緯の捏造、26世紀地球に関する情報の隔離。
艦隊の作戦能力偽証示唆。



国連宇宙軍・第17異層次元航行艦隊。
時空管理局。
2つの巨大組織は、互いに多くの情報を得た。
それが虚構に満ちたものか、自らの技術体系に基く偏見に満ちたものかの違いこそあれど、同じく多くの情報を。


158 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:24:42 ID:xrq33Wn3
そして、一方は隔絶された異層次元空間にてバイドとの交戦を繰り返し。
一方は自身の損失回復と戦力の招集に力を注ぎ。
双方は交わる事なく、ただ時間だけが流れる。

事態が再び動き出すのは1ヵ月後。
遠方に位置する各世界との交信途絶、各管理世界及び管理局所有の、軍用・民用問わず無数の次元航行艦艇消失。
第61管理世界「スプールス」周辺空間を呑み込んだ、未知の異常空間発生。
それらの事態に対し、「バイド」に関する情報を得た管理局は、半ば追い立てられる様に攻勢作戦を発動。
そして第17異層次元航行艦隊もまた、同じく「バイド」殲滅を目的としてスプールスへと進路を取る。

彼等は其処で、生命の尊厳を踏み躙り、希望を嘲笑い、狂気が高らかに凱歌を謳う、異形の世界を目の当たりにする事となる。
全てを喰らい、際限なく増殖を続ける生態系。
主無き船が跋扈する、亡者に支配された空。
悪夢の記憶より這い出でし、歪なる生命の巣窟。



鋼鉄と肉塊に覆われし胎内にて、異形の胎児は「出産」の時を待つ。
「人工の生ける悪魔」。
義憤と復讐に燃える管理局。
疑念と憎悪に取り付かれた地球軍。
例え次元を違えようとも変わらず世界を満たす人類の狂気に、それは四度、歓喜の雄叫びを上げた。



各々の狂気が交錯するまで、あと僅か。


159 :R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA :2008/04/24(木) 20:26:02 ID:xrq33Wn3
投下終了です
支援、有り難うございました

スカリエッティは狂ってるけど、仕事は妥協しない人
司法取引に応じて、支局で監視されながらデバイスの素敵性能を追求しているという裏設定
フォースを手に入れた事により、社長砲の実現に向けて一直線です
アマジーグ先生は2段QBで鬼畜なのでAMSから光が逆行してご退場
今は夢の国でススと「ファ・・・ファーティマ・・・」してます

そして石川県民、華麗にフラグブレイクの巻
幼女と妖精さん、狸とのイヤーソでアハーソな展開を期待していた皆様、申し訳ありませんでした
3人の告白はピュアなハートごと足蹴にされてブロークンです
こう、パイルバンカー喰らった中型バイドばりに

今回の話は、地球や管理局に対する、お互いの捉え方の違いに焦点を当てました
管理局と管理世界にとっては、発狂じみた進化を遂げる質量兵器が氾濫し、魔法が使えないのに次元間航行技術を持ってしまった異常な世界である地球
地球にとっては、自分達の虎の子の技術と軍事力を否定し、更にあわよくば統治下に置こうとする異常な力を持った人間の集団である管理局
地球と管理局、お互いに対する疑心暗鬼とが描けていれば幸いです

そして遂に、地球軍艦隊と管理局がお互いの事について知りました(但し虚構多し)
管理局は石川県民から、バイドについて26世紀地球製であるという事以外は大方知り得ています
R-9WFについてはまた後ほど
アルカンシェルの欠陥は、ゆりかご他の登場に関するファクターとして入れました
アレとか、コレとかです

そして次回より、スプールス(エリオとキャロの勤務地)地獄編突入です
自然って、スゴイねぇ(藤岡 弘風に)

次回予告
脱ぐと速い人、あの頃に戻る
スカリエッティ、科学者の夢(こんな事もあろうかと!)実現



製鉄所と生態兵器研究所、どっちがよりトラウマかなぁ


160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:30:59 ID:o7TxGpOV

第97管理世界ってなのは達の世界と同じ名前ですが、R−typeと同じ世界なのですか?

あの頃にもどってしまうというのは不憫ですね……。
せっかく良くなったのに…。

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:31:45 ID:Vsv2WA9D
GJ!
まあ、全く異なる技術を使って自分達と同じことしてる連中がいたら怖いよね
それにしてもエリオとキャロにバイド地獄はきつすぎると思いますぜ

162 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 20:42:37 ID:GechXre0
乙です。
そして今までの職人の皆さんGJです。
10時頃にグラヴィオンStrikerSの第2話を投下したいのですが構いませんか?
少し長いので支援もお願いしたいと思ってます。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:43:58 ID:o7TxGpOV
押忍

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:46:12 ID:OPCFdKSB
GJ!
個人的にこういう作品が読みたかった

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:50:15 ID:dC4g3k5l
>>159
>脱ぐと速い人、あの頃に戻る

フェイトさんのことかーっ!!wwww

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:53:33 ID:C2ZBvL0A
>>159
GJ
スカさん、ガンバレー
八神家の連中は、いじめられるのが似合うw

167 :一尉:2008/04/24(木) 20:54:55 ID:vA1mm8SP
あの頃かな。支援

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 20:57:32 ID:YzS8qE+L
お美事、GJでござる
フラグ?何それ貫けんの?な石川県民は素敵すぎw
あとスカは生まれる世界を間違えたんだなーとつくづく再認識
まあバイド汚染された数の子は見たく――や、それも悪くないか?w

個人的に生態兵器研究所を1プッシュ

169 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/24(木) 21:02:21 ID:PoZsn1ye
こんな地獄を、いい男を、描ける貴方を、尊敬するッ!!
こういうドシリアスっていいですねー。
いいぞお、もっとやって、キャー(黄色い悲鳴)

さて、グラヴィオン氏の前に、エロスを投下していいですか、先輩!

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:03:29 ID:gOHur7qL
良いぜ、イっちまえ!

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:07:55 ID:qJYKkSVW
乙!GJ!今回はほぼリアルタイムで読めたぜっ!
「地球人じゃない」ってのはごもっとも。正にパイルバンカーの如く貫かれ。
FINAL WARS(名指し失礼)での博士暗躍をこっちでもやるかもと薄々感じていました。そして的中。

エリキャロの安否を含め、次回に期待します。
ただ、『あの頃』に戻るって、どういう意味でっしゃろ?

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:09:49 ID:Doi8CTDX
>>158
>「電界26次元」
IIIの最終面は電界25次元ですよー。あのゴキブリ硬すぎ。
GJ!
懐かしい単語が連発で嬉しい。
管理局はスカさんを投入、しかしスカさん大興奮しすぎだwwwTEAM・R-TYPEとはきっと気が合うぜ!
そしてなんというパイロットの強化人間っぷり、まあ超感覚レーダーとか作ってるしなあ。
ケルベロスの使ったヒステリックドーンについても説明したのだろうか、、この上バイドが26世紀地球製とは明かせんよな。
あれですかスプールスは歪んだ生態系ですか。ついに生物系バイドが来ますか。
製鉄所の逆戻りはマジビビる。

173 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 21:11:29 ID:GechXre0
>>169
いいですよ。こっちは遅くなっても構いません。
もしも都合が悪くなったら明日にしますよ。

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:14:07 ID:o7TxGpOV
地球人じゃないはショックやのう。

175 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/24(木) 21:14:26 ID:PoZsn1ye
ありがたきお言葉。
えーとね、かっこいいクロノくんのあとでごめんよ! オレ、壊れちまったみたいだ(爽やかな笑顔)
キャラが崩壊気味です、ご注意くださいー。

18分より投下を行います、サー!!


176 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/24(木) 21:18:41 ID:PoZsn1ye
魔法少女リリカルなのは 闇の王女 番外編
オモイカネの企み 中編

 果たして、それは思考プログラムのバグだったのか―――。
何故、今己がシップマスター、高町なのはの服(下着含む)を持って逃走しているのか、<オモイカネ>自身にも把握しかねた。
おかしい。
自分の目的は、この宇宙一最悪な性悪デバイス、レイジングハートを懲らしめることで、おぺれーしょん地位向上作戦を実行している筈だったのに。
ちょっと電子の海で首を傾げつつ、呟く。

『で、僕はなんでシップマスターの服を持っているのでしょうか』

レイジングハートのシャウト。なにやら悲痛だ―――馬鹿に自分の運命を握られているからか――。

『I don't know!! いいから放しなさい』

『……嫌です。かなり』

『何がしたいんですか、貴方は!』

<オモイカネ>の脳裏で、「大変です、大変です、ちょっとうちの子がエロをこじらせちゃって!だから、うふふ。やがて、うふふ!!」と言って美少女に向け爆走する、
全裸の黄色い怪人がフラッシュバックした――それも、「音速丸、音速丸!!」謎のエコー付きで――別に会ったことがあるわけではないが。

では、何故かといえば――それはお天道様のみが知る事実であり、ここで語れるのは推論でしかない。


推論一。

年頃の男の子が、思わず女湯を覗いてしまう真理(誤字に非ず)。
すなわち動物的本能の至極真っ当な発現であり、これは健全な成長の証拠である――。
ぶっちゃけ、男が誰しも通る道を通ったと言うものだ。

つまり、エロをこじらせたのだ!!

――プログラム人格に男の子の成長があるかは微妙だが――。というか、多分無い。


推論二。

<オモイカネ>のデバイスマイスターが、思わずエロい妄想の果てに作ってしまったのが<オモイカネ>、という説。
可能性を検証しよう―――某MMR的に。
<オモイカネ>をアルファベットで書くと「OMOIKANE」。ここに重要と思われる「R」と「E」を足し、ノイズと思われる文字を除去すると――。
「EROIKANE」、つまり、<エロイカネ>――エロスを思わせる単語になる。

これが何よりの証拠である――。


推論三。

黄色い和尚――全裸のエロい人の霊が乗り移った――それはもう見事に。


以上の、三つの推論が、<オモイカネ>の思考にあがり、消えていった―――。
やっぱりこのコンピュータ、駄目かもしれない――。


177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:18:43 ID:Tjd4S5Gm
>>159
GJ!
割と大人しい回なのに実にわくわくしました。
石川県民は、まぁそう見るよねぇと。
なのはにせよはやてにせよ、特に夢なんてなかったところに自分達が活躍できる舞台と救える人々を見つけて飛び込んでったわけだし。
スカさん……幾らエキセントリックでも扱える技術の総量は良く考えた方が……

>製鉄所と生態兵器研究所
生態兵器研究所に一票。いや、製鉄所の巻き込まれ系もショッキングではありますが。

178 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/24(木) 21:25:16 ID:PoZsn1ye
ところで、さっきから、ほぼ全裸に近い格好で<オモイカネ>を追い回してる女性がいる。
何を隠そう、この船のシップマスターである高町なのはである。先ほどから彼女は、背中まで伸びた、艶の良い栗色の髪の毛を揺らし、
整った顔立ちを怒りと羞恥心で真っ赤にして<オモイカネ>を追跡していた。身に付けているものといえば、精々バスタオルくらいであり、破廉恥このうえない。
無論、好きでこんな格好をしているわけではない。
上着からパンツに至るまで、<オモイカネ>操る掃除ロボットに持って行かれてしまった上、唯一無二の相棒であるレイジングハートを持ち出された為に、
服を取ってくる暇もなかったのである。
かもしかの様にしなやかな太腿が、バスタオルの隙間からにゅっ、とのび、なんとも言えず色っぽかった。
この場にクロノかユーノがいたならば、1秒で悩殺、ノックダウンされていたことだろう。

―――太腿は偉大である―――。

閑話休題。

陶磁のように白い肌も、今日このときばかりは血が通い、健康的にほんのり色づき、生を感じさせる躍動感があった。
アースラの廊下を駆け抜け、脚を一歩、また一歩と踏み出す度に、バスタオルで隠し切れない、丸い尻がふるふると揺れ――ひどく魅惑的だった。
その光景を目の当たりにし、騒ぎに何事かと駆けつけた、黒い二足歩行の召喚蟲、ガリューは――ちょっと照れた。
頭を掻いて、眼福、眼福と頷く。

―――尻は偉大である―――。

―――いいから手伝えよ、とか思ってはいけない。ガリューもまた、オスなのだ―――。

ちなみに、この後ガリューは頭を盛大に冷やす羽目になった。
女性陣二人を敵にまわしたのが、敗因だった――。

さて。
それはともかく、なのはもただ追いかけていたわけではない。
途中から、フェイントを交えながら追い込みをかけ、見事、袋小路に追い詰めたかに見えた。
なのはが、妖しく笑う――凄惨な笑みを浮かべて。背中まで伸ばされた栗色の髪も、こころなしか逆立っているようである。
さしずめ、猛り狂う雌豹といったところか。

「さて、<オモイカネ>? お話、聞かせてもらおうかな――勿論」

びきびきと拳が鳴った。

「ただじゃすまないよ、覚悟は、いいよね?」

<オモイカネ>が恐怖に震え、これでやっとマスターの元に帰れる、とレイジングハートが安心しかけたとき――アクシデントは起こった。
転送ゲートが、転移術式行使に備えて、魔力の燐光をちらつかせる。

―――そう、なのはが追い詰めたのは、転送ゲートのある通路だったのだ。

「え?! ちょっと待った―――」
慌てふためくなのはを尻目に、転移魔法が完成し――<オモイカネ>が、小憎たらしくアナウンスした。
このコンピュータ、中々いい性格をしている。

『クロノ・ハラオウン提督がいらっしゃいました』

疾走。なのはの脇をすり抜け、掃除用ロボットは見事に逃げおおせた。

かくして、不幸な犠牲者は増えた。ああ、神よ―――貴方は何処まで残酷なのですか――。

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:26:45 ID:Doi8CTDX
エロス支援

180 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/24(木) 21:27:09 ID:PoZsn1ye

「やあ、なのは―――って、へ?」

なんとも締りの無い、間抜けな登場になってしまったが、それも無理からぬことだった。
何せ、来てみればいきなり目に飛び込んできたのは、バスタオル一枚で身体を隠した――それもところどころ隠し切れていない――なのはの姿だったのだから。
ちらり、とバスタオルの隙間から覗く魅力的な引き締まった太腿――そして、胸元。
ちょっと、独り者には刺激が強すぎた。

「ち、違うの、クロノ君――これには深い事情が―――」

なのはが、両手を振って必死に色々な嫌疑――露出狂疑惑とか――を否定した。
なんかもう、顔が羞恥で真っ赤である。
そして―――支えを失ったバスタオルが、床に落ちた。露になるなのはの裸身。

沈黙。

寒い空気が、あたりに漂った。

―――女体とは、偉大である―――。

このときの、クロノ君の脳内思考は――。

(ぴ、ぴんくだ―――う、美しいッッ!!)
何がだ。
ちょっと思考回路がショート気味である。思わず、見惚れていた―――。

次の瞬間、渾身の右ストレート――もちろん殺さない程度――が、クロノの顔面を直撃していた。

「く、クロノ君の馬鹿ぁぁぁぁ―――ッッ!!」

もんどりうってぶっ倒れたクロノの顔は、何処か幸せそうだった―――。
なんていうか、極楽浄土を見た人間の顔だ。今だったら悟りを開けるに違いない。

半泣きでバスタオルを引っ掴み、前を隠しながら、なのはは逃走した<オモイカネ>を追った。



そして、捨て台詞と高笑い。
『ハハハハハ、安心してください。ロートルは今から廃棄処分決定です!』
『何処がどう安心できるんですか?!』

なのはが怒鳴った。それはもう、鬼気迫る形相で。

「勝手に廃棄処分とか、だめぇぇぇぇッ!!」

おぺれーしょん、「ロートル廃棄作戦」開始。地位向上は何処行ったのか。

闇の王女の復讐は、えらく阿呆らしい理由で頓挫しようとしていた―――。

181 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/24(木) 21:31:19 ID:PoZsn1ye
以上で投下終了。
おかしいなあ・・・前後編の筈だったのに―――。

何故、中編とか書いてるんだ、私。
あと、ガリューは別に、ステルスを利用してエロいことしてるわけじゃないので、あしからず。
え、エロが足りない?
・・・苦情は受け付けるとも!
避難所行けと言われぬことを願いつつ、退散ー。

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:34:51 ID:Doi8CTDX
GJ!
なんというストリーキングwww

183 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 21:36:48 ID:GechXre0
GJ!
思わず「オモイカネ」に向かって「何やってんの!?」って言いたくなったり、クロノに向かって「コンビネーション、クラッーーーーシュ!!」って言いたかったですね。wwww
自分の作品の前にこんなに面白いの投下されては自分の作品が薄れてしまうかも…。それでも投下はします。

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:36:53 ID:F0vsDVpB
GJ
>>144の管理局鑑定は誤字?
バイドとの戦争の歴史は覚めない悪夢との戦いだからな
狂気に走らなければ生きることすらできないし
スカリエッティの頑張りに期待

それにしても、このスレは再びバイドに侵食されてしまったか
最近はコジマ汚染も進んでるようだけどw

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 21:40:32 ID:gOHur7qL
>>181
ふふ、GJですよ。
とりあえず普通にRHが心配な俺がいる、デバイスは普通の待機状態じゃただのオブジェだからな。

それにしても真っ黒クロスケめが、羨ましい奴よのぉ。

186 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:00:53 ID:GechXre0
それでは投下いきます。支援をお願いします。

187 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:03:08 ID:GechXre0
 第2話 使命、そして迷宮



「『グラヴィオン』。正確な名前は『ゴッドグラヴィオン』です」
「ちょっと待て。あれは質量兵器ではないのか?」

 レジアスが合神したグラヴィオンの姿を見てヴェロッサを問い詰める。

「ご心配には及びません。あれは魔導機械です。質量兵器ではありません」
「だったら何故先ほどのミサイルやバルカンなどが出た! どう説明する!?」

 レジアスはヴェロッサに突っかかるが、ヴェロッサをそれを受け流すように答える。

「あれはグランディーヴァが魔力を具現化させ、ゼラバイアに対して有効な攻撃を行うのに適した形を取ったに過ぎません。それにあれは完全独立権を持つ聖王教会のものです。これ以上難癖をつけないでいただきたい」
「くっ!」

 聖王教会の力は絶大であり、時空管理局から完全独立権を手に入れており、基本的に何をしても問題はないのだ。
 レジアスはその事に怒り、歯切りしを立ててモニターを見つめる。


「何がどうなってんの〜〜〜〜!?」

 スバルは突然ロボットに乗せられた上に合体までさせられて混乱し、思わず操縦席を離れてしまう。

「危ないから、ちゃんと席に戻って……」
「え〜〜〜、キャア!」

 スバルはシャーリーに文句を言おうとしたらゼラバイアの攻撃を避けようとしたためにグラヴィオンが揺れてしまい、スバルはコックピット内で転んでしまう。

「いててて…」
「だから言ったのに…」
「もう〜、わかりましたよ」

 スバルはまた転ぶのが嫌なので言われるがままに再び操縦席に座りレバーを握る。

「スバルだっけ?」

 ドゥーエがスバルに通信を入れる。スバルは先ほど出会ったシスターだと気付くがドゥーエの姿は先ほどのシスターの格好ではなく、戦闘スーツのようなものを着ている事を尋ねようとする。

「あなたは確かシスターの…」
「ドゥーエよ。スバル、あんたのGアタッカーからバルカンを発射させて、ちなみにGアタッカーは今はグラヴィオンの右脚だからね」
「でもどうやって武器を出すんですか?」
「あんたから見て右の方にボタンが二つあるでしょ。その右側のボタンよ」

 スバルはドゥーエの言うとおりにボタンを押そうとしたが、間違って左側のボタンを押してしまう。
 するとグラヴィオンの右脚からはミサイルが発射されるが、それはゼラバイアではなくグラヴィオンに被弾してしまう。

「馬鹿スバル! ミサイル出してどうすんの!」

 スバルの失敗に思わずティアナが怒鳴り声を上げてスバルに通信する。

「ごめん、ティア。こっちだね」

 スバルは気を取り直して、今度こそ右側のボタンを押してバルカンを発射させて、グラヴィオンに近づいてくるゼラバイアに当てて周りに煙が立ちまる。

「やった!?」

188 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:03:46 ID:GechXre0
 スバルは確認しようとするが煙でよくわからない。スバルの予想とは逆にゼラバイアは無傷であった。

「そんな〜」
「まあ、バルカンはけいせいみたいなものだからね」

 スバルとは反対にティアナは予想通りの展開だと考える。

「でもそのおかげで距離が取れた。グラヴィトン、アーーーーーーーク!!」

 グラヴィオンの額から高エネルギー波が発射され、ゼラバイアに命中。外傷は見当たらないがゼラバイアはよろけているところから見るとダメージは通っている。
 なのははこれを好機と見て、ティアナに指示を送る。

「いくよ! ティアナ! グラヴィトントルネードパンチ!」
「はい!」

 グラヴィオンの左手の先端にGドリラーのドリルが展開される。それにあわせてグラヴィオンの両足の踵からはアンカーが現れ、地面に食い込む。これはパンチの反動を抑えるためである。

「「グラヴィトン、トルネーーーードパーーーーンチ!!」」

 グラヴィオンの左手はティアナを乗せたまま発射され、ゼラバイアは両腕を使ってパンチを防ぐが、
 トルネードパンチのパワーに耐え切れず、そのドリルパンチはゼラバイアの体の真ん中を両腕ごと突き抜け、ゼラバイアは爆発、消滅する。
 ティアナを乗せた左手はコードみたいなもの現れてグラヴィオンの左手部分に戻る。

「ふ〜う」
「ティアナ、お疲れ様。後、スバルもね…」
「………、あ、はい!」

 スバルはほっと一息ついていてなのはの言葉をうまく聞けていなかったが、少し遅れて返事を返す。
 その戦いの様子を聖王教会で見ていたレジアス達は色々な事をヴェロッサやクロノに尋ねる。

「何であんなものがこのミッドチルダに現れる!?」
「君はあれが現れるのを知っていたようだったけど何故だ!?」
「詳しく聞かせてもらいたい!」
「皆さん落ち着いてください」

 ヴェロッサが興奮している上官達に落ち着くように指示する。

「詳しい事は言えませんが、ゼラバイアはまたミッドチルダに現れます。人類を滅ぼすために…」
「何だ(って)と!?」

 ヴェロッサの発言に皆が驚きを隠せない。

「そしてその話などは後日にでも……。今日のところはお引取り願います」

 ヴェロッサがそう言いながら指を鳴らすとシスター達は正門を開けて、管理局の上官達にお辞儀をしながら待っている。
 上官達はヴェロッサの言われるがままに聖王教会を後にするが、レジアスは帰り際にヴェロッサに言う。

「必ずだ! 必ず、お前達の知ってる事は話してもらうぞ!」
「はい…」

 レジアス達が帰り、聖王教会の門が閉じる。ヴェロッサとクロノは広間を後にして司令室の方へと向かう中、クロノがヴェロッサに聞く。

「本当にいいのか? あんな事を言って…」
「構わないよ。いずれはわかることだ。それより今は……」
「ああ、Gアタッカーのパイロットの事だな」



189 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:05:08 ID:GechXre0
 ヴェロッサとクロノが司令室に着く。そこにはオペレーターのシャーリー、アルト、ルキノだけでなく、先ほどの戦闘から帰ってきたなのは、フェイト、ティアナ、ドゥーエ、そしてスバルが待っていた。
 スバルはヴェロッサを待っていたかのように急いでヴェロッサの元に近づき、ヴェロッサに聞く。

「何なんですか!? あの敵! あのグラヴィオンって! それになんであたしが? それにギン姉は!?」
「落ち着いて下さい。とりあえずこれでも…」

 ヴェロッサは自分の手を握り締めながら、スバルの前で手を開くとケーキが現れる。

「あ、どうも……って誤魔化さないで下さい!」
「ごめん、ごめん。それじゃあまずはゼラバイアの事から話そう…」

 ヴェロッサはまずはゼラバイアの事からスバルに説明し始めた。
 ゼラバイアはどこの世界か宇宙かわからない。どこからからともなくやって来た機械生命体であり、目的は人類抹殺であり、すでにいくつもの世界や星が滅ぼされてしまった事。
 ヴェロッサは次にグラヴィオンの事を話す。
 グラヴィオンとはグランカイザーと4つのグランディーヴァが合体して出来る巨大ロボットの名前であり、正式名称は『ゴッドグラヴィオン』。
 グランカイザー及びグランディーヴァを動かすにはリンカーコアの中にあるG因子と言う特別なものが必要であり、スバルをGアタッカーに乗せたのはそのG因子があった為である。

「じゃあ、最後にギン姉はどこですか!? ギンガ・ナカジマ。あたしの姉はここにいたってギン姉から連絡があったけど…」

 ギンガの名前を出されて、ヴェロッサとクロノの表情が重くなる。

「彼女は……、彼女はいないんだ」
「え?」
「彼女は行方不明。正確には消えてしまったんだ」

 その発言にスバルはつっかかる。

「消えたって……、ギン姉が消えたってどういうことですか!?」
「すまないけど、これ以上は言えない」
「とにかく、君はグラヴィオンに選ばれ、『機動六課』の『グランナイツ』に入ってもらうよ」
「『機動六課』? 『グランナイツ』?」

 スバルは聞きなれない言葉を聞いて頭に「?」マークをつける。

「『グランナイツ』、このグラヴィオンを動かす者達の名称だよ。そして『グランナイツ』を含むこの聖王教会が持つ組織の名前は『機動六課』」
「君にはそこにいてもらいたいけどいいかな?」

 ヴェロッサがスバルに尋ねるとスバルは考えながらヴェロッサに聞いてみる。

「『機動六課』。ここにいたらギン姉のことがわかるの?」
「ああ、それは約束できる」
「……だったら、残ります。ここに。ティアもいるみたいだし、ミッドチルダ、ううん。あたしは皆を守りたい。そしてギン姉を見つける」
「じゃあ話は決まりだね。すぐにでも君をここの配属にするよう手配しよう。その前にグランナイツメンバーの自己紹介をしておいてくれ」

 スバルはヴェロッサの言われたとおり自己紹介をする。

「改めまして、スバル・ナカジマ、15歳です!」
「こちらこそ改めまして、高町なのはだよ」
「フェイト・テスタロッサです」
「ドゥーエよ」
「まあ、あたしはいっか…」

 ティアナはすでにスバルとは知り合いなため、自己紹介をはぶく。

「明日から君にもグランナイツとしての訓練をしてもらいたい…」
「あの、その事で私から提案があります」

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 22:06:16 ID:2vd0dLVN
支援

191 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:20:20 ID:GechXre0
 ヴェロッサがスバルに説明をしようとするとなのはが横槍を入れるようにヴェロッサに提案する。

「何か?」
「スバルをグランカイザーのパイロットにしてください」
「?!」
「本気か!? なのは!」

 なのはの発言に皆が驚き、クロノがなのはに真意を聞く。

「本気だよ。私は遠距離砲撃型の魔導師。だけど聞いた話だと、スバルは私と違ってれっきとした接近戦で格闘系の魔導師。私よりグランカイザーをうまく動かせれると思う」
「しかし、グランカイザーは他のグランディーヴァと違って、操縦法が難しい。それはなのはも知ってるだろ…」

 クロノがなのはを説得しようとするが、なのははクロノの静止を聞かない。

「知ってる。けど、スバルなら出来る。私はそう信じてる」
「なのはさん…」
「けど、決めるのはスバルだよ。どうする? スバル…」

 なのはがスバルの方を向いて、スバルに尋ねる。
 スバルは少し考えて、数分後ようやく答えを出す。

「私、乗ります! グランカイザーに!」
「それはなのはのためか?」

 クロノがスバルに尋ねる。

「そうじゃないと言えば嘘になります。けどなのはさんだけのためじゃないんです。私自身のため、ギン姉を見つけるため、そして皆のためにもです」

 スバルの決意は固い。ヴェロッサとクロノはそれを悟り、納得する。

「わかった。だったら明日からはグランカイザーに乗れるための訓練に変更しよう。言っておくけど、一番きつい訓練だから覚悟しておいてよ」
「はい!」

 スバルは元気よく返事をする。

「それでは、解散! 皆、今日はゆっくり休んでくれ。それとスバルの部屋を案内しないとね……」

 ヴェロッサがそう言うと、まだ(5〜10歳くらいの)幼いシスターが3人現れる。

「金髪でオッドアイの子はヴィヴィオ。こっちの紫色の髪の子はルーテシア。ピンク色の子がキャロだよ。三人ともしばらくはスバルの世話をしてやってね」
「「「はい!」」」

 三人は元気よく返事をして、スバルの腕を引っ張りながらスバルを部屋へと案内する。
 そしてスバルは三人と別れて、部屋で一人っきりになる。
 スバルは部屋の電気を消して一人ベッドで寝そべりながら考える。

(今日は色々あったな…。ゼラバイアにグラヴィオンか……。そんでティアがここにいて、ギン姉はいなくなってる…。ギン姉、絶対見つけるからね!)

 スバルは仰向けの状態で、右手を大きく天井に振り上げて拳を握り締めながら決意を固め、そして眠りについた。



 翌日、スバルは目を覚まして洗面所に行って顔を洗おうとするが、洗面所にセンサーがないことに気付く。

「あれ? どこだろ? と言うかこれは何?」

 スバルは洗面所の水道管についてるものが何なのかわからず、思いっきり回してみたら回した途端に水が大量に溢れ出し、
 水道管の出口はスバルの顔を向いていために大量の水がスバルの顔を目掛けて流れ出す。

「うわああああああ!!」

192 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:21:21 ID:GechXre0
「「どうしたの!? スバル!」」

 スバルの悲鳴を聞いたなのはとティアナが急いでスバルの部屋に入ろうと閉じた扉を開けると、スバルが出した大量の水がなのはとティアナにも襲いかかる。

「「きゃああああ!!」」

 数分後、何とかスバルとティアナとなのはは大量の水を止めるが、スバル、ティアナ、なのははびしょ濡れ。ティアナはスバルに対して怒る。

「スバル! あんたどうしてくれるの! 服がびしょびしょじゃない!」
「ごめん、ティア…。あたしその蛇口って言うの知らなくて……」

 スバルはティアナに蛇口についての説明を受けた後、懸命にティアナ向かって両手を合わせて頭を下げて謝る。
 ティアナはスバルのドジっぷりを知っているので、スバルの謝罪を受けてようやく怒りを静める。

「ふん! まあいいわ。あんたのドジは今になって始まったばかりじゃないしね…。でもこれじゃあ風邪を引いちゃうわ。お風呂に入らないと…」
「ねえ、だったら、ティア…」

 スバルがティアナの発言した「お風呂」と言う言葉に反応をしめす。

「何って…、まさか……」
「一緒に入ろうよ。お風呂…」

 スバルの発言にティアナは再び怒りを顕わにし、スバルの体をしがみつくように技を決める。

「馬鹿スバル! 何でそうなるの!」
「痛い。痛い。ちょっとした触れ合いをしようとしたのに…」
「でもいいんじゃない。一緒にお風呂入るのも…。だからティアナ、スバルを離してあげて…」
「わかりました」
「そうですよね……」

 なのはがスバルをフォローするような発言し、ティアナもしぶしぶなのはとスバルの言うとおりにした。
 それからまた数分後、なのはとスバルとティアナは一緒にお風呂に入って体を温めた。
 お風呂から上がり、新しい着替えを着るとスバルは教会を見て回ると言い出す。
 スバルはヴェロッサとクロノがギンガの消息不明について何か隠し事をしているのだとにらみ、探し出そうと考える。
 なのはは10年以上もこの教会にいるので道案内としてついていき、ティアナは自分のかつてのパートナーにあきれながらもついていくことになった。
 聖王教会は大きく5つに分けられており、北館、南館、西館、東館、中央館があり、スバル達グランナイツは東館で暮らしており、西館は現在立ち入り禁止状態である。
 スバル達は西館が怪しいと踏んで、西館へと続く廊下を歩いていると突然、床が抜け落ち、スバル達はどこかの部屋へと落ちてしまう。

「スバル、ティアナ。大丈夫?」

 うまく着地できたなのはが着地に失敗して転んだスバルとティアナに声をかける。

「いたたたた。何とか…」
「もう少し用心して進みなさいよ。スバル」
「ごめん、ティア……」

 スバルとティアナが立ち上がると突然部屋の電気がつく。そして明るくなった部屋を見るとそこには何やら小型の機械兵器が10体近く置いてあった。

「何ですか? これ…」

 スバルがなのはに尋ねる。

「これはね…。私が昔訓練で使ってた魔導機械。ガジェットって言うんだよ」
「そう言えば少し聞いたことがあります。なのはさんは昔ここでグランカイザーに乗るための特訓をしてたとか…」

 ティアナは昔聞いた話を思い出そうとすると、突如ガジェット達が動き出す。

「え? 動き出した?」
「スバル、ティアナ。動かないで。これは近づいて来るものを感知すると攻撃してくるからね…」
「だったらあたしもやります!」

193 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:21:58 ID:GechXre0
 スバルがなのはの横に並ぶ。

「スバル…」
「これがなのはさんの通った道なら、あたしも通ります。グランカイザーに乗るのなら尚更です」
「…、わかった。でも無理はなしないでね」
「はい!」

 スバルは元気よく返事をし、なのはとスバルは分かれてガジェットの殲滅に入る。
 この部屋に置かれているガジェットは2種類有り、一つは細長いもので、もう一つは真ん丸い形をしている。
 細長いものは砲撃系しかないが、丸いのは砲撃の他にコンベアーのような手を持っている。なのははその事を知っているが、スバルはその事を知らない。
 なのははうまくガジェットの攻撃を巧みに交わして、魔力弾や魔力で高めた拳でガジェットを破壊する。
 スバルはガジェットの攻撃に苦戦を強いられながらも、何とか1体、2体と倒す。なのははスバルの戦い方を見て改めて思う。

(まだ戦い方は不慣れみたいだけど、やっぱり私よりグランカイザーをうまく乗りこなせれるかも…)

 スバルが3体目を破壊した時に、突然教会全体に緊急警報が鳴り響く。

「え? 今度は何?」
「まさか……、なのはさん!」
「ゼラバイア……」

 そうこの警報はゼラバイア襲撃を知らせるものだったのだ。
 警報と同時に残っていたガジェットは全機機能を停止し、その部屋の扉が開き、ヴィヴィオとルーテシアとキャロが迎えに来る。

「皆さん、ゼラバイアです」
「早く行って……」
「頑張って!」

 なのはとスバルとティアナは急いで部屋を出て、ティアナはGドリラーの方に行き、スバルはグランカイザー、なのははGアタッカーに乗り込む。
 出撃する前に、ヴェロッサがスバルに通信を入れる。

「スバル、もしこちらの方で無理だと判断したらすぐになのはと交代してもらう。いいね」
「はい!」
「それでは…、グランナイツ発進せよ!」

 ヴェロッサの言葉により、グランナイツ全員が発進する。
 グランカイザーとグランディーヴァは教会近くにある山の中から現れ、ゼラバイアの元に飛んでいく。

「スバル、無理しないでね」

 なのはがスバルに念を押すように言う。
 そんななのはにスバルは笑顔で答える。

「大丈夫ですよ。さてこのままGO!」


 ゼラバイアはまたグラナガンを襲っていて、今度のゼラバイアはさっきまでなのは達が相手をしていた細長いガジェットのような姿をしている。
 ゼラバイアの装甲は当然の事ながらあまりに厚いゆえに魔力弾は愚か、他の魔法攻撃でも通用しない。

「くそ! 俺達は無能だってのかよ!?」

 ヴァイスは自分達の非力さを怨む。するとそこにグランカイザーとグランディーヴァがやって来た。

「へ、真のエース達の登場か…。頼んだぜ!」

 ヴァイスはゼラバイアをグランナイツに任せて自分達は撤退をする。
 グランカイザーに乗るスバルはまだ試運転すらやっていない状態の為に、腕などを動かすのにも体力を消耗していた。

「はあ、はあ………」

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 22:22:06 ID:9Z9/wjOA
支援

195 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/24(木) 22:24:56 ID:IV2mYCxO
しえん

196 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:30:56 ID:GechXre0
「スバル、大丈夫? やっぱり私と変わろうか」

 なのはがスバルの状態を見て、交代を勧めるがスバルはその勧めを断る。

「大丈夫ですよ。これくらい訓練校にいた時はもっとつらかったですから……」
「そう。ならいいけど…」
「スバル。敵は進化していて昨日の奴より強い。一気に合神してくれ」

 ヴェロッサがスバルに指示を送るが、スバルは合神方法を知らない。

「あの、合神ってどうやるのですか?」
「前のパネルに向かって『エルゴフォーム!』って言いながら押してくれ。そしてその後に『超重合神!』と言えば出来る。やってみてくれ」
「わかりました…。エルゴフォーーーーーーーーーーーム!!」

 スバルは強く叫びながら、正面のパネルに向かって拳を当てる。
 するとグランカイザーを包み込む重力子が現れ、グランディーヴァがそれに引き寄せられていくようにグランカイザーに近づく。

「グランナイツの諸君、合神せよ!」
「超重、合神!!」

 ヴェロッサの承認、スバルの叫びと共に、グランカイザーの手には二つに分かれたGドリラー、右脚にはGアタッカー、左脚にはGストライカー、そしてGシャドウが胸に合神する。
 スバルを乗せたグランカイザーはゴッドグラヴィオンへと合神した。

「ち、かっこいいぜ! 俺もあんなのに乗ってみてえな……。頼んだぜ、グラヴィオン!」

 ヴァイスはグラヴィオンの姿を見て羨ましさと憧れを抱く。


「スバル、言っておくけどさっきのグランカイザーとグラヴィオンはフィードバックシステムだからね」
「フィードバックシステム? 何ですか? それ…」

 なのはがスバルに説明をするが、スバルはイマイチわかっていないようなので簡潔に言う。

「簡単に言うと、グラヴィオンもグランカイザーもスバルの動きに合わせて動いてくれる。でもダメージを受けたらスバルにもダメージが来るから注意してね」
「わかりました。頑張ります!」
「あと、それと『重力子臨界数』には気をつけて」
「え?」
「昨日の戦闘は問題なかったけど、実はゴッドグラヴィオンは常にエルゴフォームを纏ってるの」
「あれって合体の時だけじゃなくて今も何ですか?」
「そうだよ。それでグランカイザー以外のグランディーヴァはエルゴフォームに耐えられる限界値があるの。
それでその『重力子臨界数』がゼロになると強制的に分離してしまうの」
「つまり、それって……」
「簡単に言うと、強い武器を使ったり、敵からダメージを受けると強制分離されるってことだよ。だから本当に気をつけてね……」
「はい!」

 スバルはなのはの忠告を受けながら戦闘に入る。

「グラヴィトンバスターーーーー!!」

 スバルの叫びと共にグラヴィオンの両手を合わせて、両手からバスターが連射されるが、ゼラバイアは後ずさりする様子もなく、グラヴィオンに体当たりをする。

「うわあ!」

 スバルは体当たりの反動で、後ろに倒れてしりもちをつく。

「いてててて、どうして?」
「あのゼラバイアは進化しているみたいですね。グラヴィトンバスターに耐えれるように…」

197 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:31:30 ID:GechXre0
 ヴェロッサが冷静に状況を分析する。

「進化って何でですか〜?」
「相手は機械だけど同時に生命もある。生物なら進化をする事ができる。それはゼラバイアも同じなんだ。
そしてあのゼラバイアは進化して、この前受けたグラヴィトンアークに耐えれるように進化しているからグラヴィトンバスターに耐えられるんだ。多分グラヴィトントルネードパンチも効かないだろうね…」
「大変です。重力安定指数30%。今の攻撃で重力子臨界数が2978ポイントを切りました」
「え!?」
「早い! でも、な、何で!? なのはさんの時は問題なかったのに…」
「恐らく、スバルが不慣れなためにうまくG因子との結合が出来てないからだと思われます」

 オペレーター達は冷静に状況分析をする。
 その間にゼラバイアは体から触手を出して、グラヴィオンの体に突き刺さり、触手から電流が流れ出す。 

「ああああああああああ!!」

 スバルやティアナは電流に苦しむ。なのはは電流で苦しみながらもGアタッカーからミサイルを発射させようと頑張ってスイッチを押そうとする。

「グラヴィトンミサイル、フルバースト。発射!!」

 なのはの指はミサイルのボタンに届き、Gアタッカーからミサイルが大量に発射され、ミサイルは触手を破壊する。

「ありがとうございます。なのはさん」
「別に…。それより今は……」

 スバルはなのはに礼を言うが、なのははスバルにゼラバイアに気をやるように呼びかける。

「こうなったら、グラヴィトンアークで…」
「ダメ。さっきヴェロッサも言ってたけど、グラヴィトンアークに耐えられるように進化してる。ただ単に重力子臨界に近くなるだけだよ」

 ティアナが提案するが、なのははその提案を却下する。そこにヴェロッサが別の提案を出す。

「まだ手はあります。『グラヴィトンソード』を使いましょう。スバル、グラヴィトンソードと名前を呼んでください」
「……、わかりました。グラヴィトン、ソーーーーーーーーーーーード!!」

 スバルの叫びに反応して、グラヴィオンの胸のパーツが一部外れ、それは剣の柄のようなものになり、スバルが腕を伸ばすとグラヴィオンも腕を伸ばして柄をとる。

「そして、ブレイズアップと言ってください」
「ブレイズアップ!」

 スバルが「ブレイズアップ」と言うのと同時に柄から剣が現れる。

「はあああああああ!!」

 グラヴィオンは勢い高く、飛び上がりグラヴィトンソードをゼラバイアに向けて振り下ろす。
 その剣はゼラバイアを切り裂く。

「エルゴ、エーーーーーーーーーーンド!!」

 そしてゼラバイアは大爆発を起こし消滅した。
 スバルは敵を倒したとコックピット内で一息つこうと座ろうとする。

「ふう、終わった〜〜」
「スバル、危ないから座らない!」
「え?」

 スバルはティアナの言葉で座ろうとするのをやめる。そしてほんの少しの間をおいてスバルは気付く。
 スバル自身が座ろうとしたらグラヴィオンもそれに反応して地面に座ろうとしたのだ。
 今グラヴィオンの回りには人や物は存在しないが、もしも何かあったら大惨事である。

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 22:31:52 ID:9Z9/wjOA
支援

199 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:31:55 ID:GechXre0
「スバル、もう少し気をつけようね」
「…ごめんなさい」

 スバルはなのはや他の皆に対して謝った。


 聖王教会に戻ったスバルは自分の部屋のベッドで一息ついているとなのはが部屋にやって来る。

「スバル、今いいかな?」
「なのはさん…、いいですよ」

 スバルのOKをもらい、なのはは部屋のドアを開けてスバルの部屋に入る。
 スバルはベッドに横たわっていたが、なのはに失礼だと判断してベッドから起き上がり、ベッドに座る。
 なのはそのスバルの隣に座る。

「あの…、なのはさん……」
「スバル、どうだった? グランカイザーに初めて乗った感想は……」

 なのはがいつもの明るい顔でスバルに尋ねるとスバルもいつもの明るい表情で答える。

「正直、少しきつかったです。なのはさんはいつもあんなきつい機体に乗ってたんですね」
「訓練とか模擬戦でなら何度も乗ってるけど、初戦闘は昨日が初めてだったんだよ」
「そうですか……」

 スバルはその言葉を聞いて少し落胆したような顔をするが、なのはは救いの手を差し伸べるように語る。

「でも今日のスバルの動きは私が初めてグランカイザーに乗った時以上にいい動きだったよ。私が初めて動かした時は手足を少し動かすのがやっとだったんだよ。
でもスバルは手足だけじゃなくて、体全体を動かしてたし、グラヴィトンソードもうまく使いこなせた。すごい事だよ。やっぱり私の見込んだとおりだよ」
「えへへ、そうですか……」

 スバルはなのはに褒められて、片手を頭の後ろにやって頭をかいて照れる。

「でも油断はいけないよ。今日みたいに落ち着こうとして座ろうとしてもしも人がいたらその人に迷惑がかかるからね」
「はい…、ごめんなさい」

 スバルはションボリする。

「でも動きとかはよかったよ。もっと訓練すれば私以上になるよ。きっと……」
「なのはさん…。はい! もっと頑張ります!」

 スバルはなのはの言葉を胸に秘め、翌日からの訓練に一生懸命取り組むのであった。

200 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/24(木) 22:32:14 ID:IV2mYCxO
支援

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 22:32:14 ID:9Z9/wjOA
支援

202 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/24(木) 22:34:29 ID:GechXre0
投下完了です。
そのままだと面白くないと思い2話分を一緒にしてます。(今後もこう言った2話分の話ありの予定)
グランカイザーははっきり言ってスバル向けだと思ったので、スバルをメインにしました。
ちなみに後々でもなのはがグランカイザーに乗ったりします。
次回はGシャドウのパイロットの登場になります。

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 22:36:08 ID:9Z9/wjOA
GJ!
行方不明のギンガってこれはwww
6課の構成メンバーもwww

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 23:30:30 ID:mBxQz6s5
>>159
亀ですがGJ!!です。
R戦闘機乗りがやってくれましたね。確かにはやて達の思考は管理世界、管理局の
物になってしまっているから『地球人』じゃないといわれても仕方が無いのかも。
戦力数は管理局が上でも、宇宙や次元の航行技術も破壊効率も97管理外世界が上か。
そりゃ化け物と生存競争しているからなぁw
そして、スカ博士の活躍に期待してますwスカ博士から見ても地球人は頭がおかしいと
認識されたのにニヤリとしましたwww



205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 23:49:31 ID:DXlZ9kBk
>R-TYPE Λ氏
GJでした!面白かったです。
SS全体に漂う絶望感・狂気が素敵です。
スカも動き出したみたいで、ついに管理局も狂気の世界に
足を踏み入れるんですね。
R−TYPE原作は知りませんが、開発者達はACの企業と同じ方向の
変態なんでしょうね。
はやてがミッド・管理局人って話は興味深かったです。
彼女、なのはと違って地球に両親とかいませんから、
そういう認識は頷けます。なのはもどうなんでしょう?
子供の頃から管理局で活動してるから、愛国心というか
地球への所属感がない、あるいは少ないかも。
違う世界の、現在地球を警戒している組織に所属しているのだから。

今回石川県民のとっつきに心を貫かれました。
この調子で沢山の人の心を貫いてほしいです。
では。

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 23:49:32 ID:m9eYosMj
皆さんGJ!

そしてェエエエエ!
やってくれましたR-TYPE氏!!

俺たちが言えなかったことを平気でSSにした!
そこに痺れるあこがれるゥうう!!!

これぞッ
まさにいいッッ

クロスSSの醍醐味ッッッ!!!

何気に攻殻風味の電脳シーンに感動w
主義主張以前に、根本的技術体系が違うが故に、ついに交わることの無い管理局と地球軍に絶望 orz


生体バイド地獄の次回に期待!

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 23:51:51 ID:2e6nCPfI
>>202
GJ!
レジアス中将涙目ww
メイド三人組の代わりはシスター三人組ですかwww

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 00:10:01 ID:5i4gWvjW
スカは地球に組した方が絶対欲望を満たせるよなーとつくづく思った

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 00:38:49 ID:6hxM1EVC
>>159
遅まきながらGJ!!
跳躍26次元や逆流空間にも期待してしまいます!
でもスカさん、その「人工の生ける悪魔」が敵で…22世紀の地球はずっとそれ相手に戦ってるんだ。
しかも26世紀の地球人はクリーンな兵器としてバイドを造ったんだから恐れ入る。
管理局と地球軍、両者の隔たりはマリアナ海峡より深い。地球軍にしてみればお前ら何言ってんの?状態。

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 01:58:54 ID:Q6PuXpzI
>>159
遅いですがGJです!!
石川県民が地獄を語ったシーンを出来れば読んでみたい。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 10:04:45 ID:yYyBj8wS


>>205
二人共生まれてから15歳まで地球で育ったんだから、普通に帰属心はあると思うんだがなあ。
外国に行っていたほうがかえって母国に対する愛国心や帰属心が高まると聞くし。



212 :一尉:2008/04/25(金) 10:57:14 ID:5SsLxvvD
うむ愛国心たな。支援

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 11:08:43 ID:6yz9hA3U
>>212
何故お前は何度もスレをageるんだ
>>211
それは禿げ上がるほど同意だな
でもトリプルブレイカーズはどの位地球に戻ってるのかね?
3人とも階級がかなり上位になってるからおいそれと
休みを取ったり出来ないだろうけど

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 11:40:20 ID:HlLD/iaI
>>213
荒らしに触るな。

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 11:44:00 ID:PQ9WeK20
>>213
俺はNGにしてあるから見えんけど、age荒らしだろ

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 12:23:27 ID:h3UKTRBI
そういやRtype氏のはウーノも保釈されているのだろうか?
管理局に協力しない理由もスカさんに従う事しかないと生きる理由はないだから。
拒否する理由はもうなくなっているはず。クアットロはわからないが。

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 12:25:11 ID:h3UKTRBI
そいつは昔からいる奴で相手はしないほうが良い。


218 :一尉:2008/04/25(金) 12:46:48 ID:5SsLxvvD
ふむ相手はしない方が良いたな。支援

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 12:54:45 ID:0Dlv9/9r
もしかして自分の事言われてるのに気付いてない?
濁点も使えない可哀相な人だしなぁ。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 13:12:41 ID:8Ou6jX/b
たんに意味不明な書き込みしてれば荒らせてると思って喜んでる蛞蝓だ。気にするな

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 13:37:53 ID:6yz9hA3U
みんな御免よ。
NGにして次からスルーすることにする
それは兎も角後半のブレイカーズの帰省の程度はどう思う?
俺は2、3か月で一回位と思うんだけど、皆の意見求む

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 13:43:27 ID:NOiSFUhe
>>221
設定議論いったほうがいいんじゃね?

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 14:11:27 ID:mo1zWIAN
>>221
ぶっちゃけ、職人のさじ加減で良いと思うんだが。
書く人が、このくらいだろう、と思ったくらいの程度でいいんじゃね?

224 :一尉:2008/04/25(金) 18:34:07 ID:5SsLxvvD
設定決めようかな。支援

225 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:25:28 ID:iq/TdMwU
ご無沙汰しています。
予約無いようですので30分から時の地平線第二場を投下しようと思います。

226 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:32:28 ID:iq/TdMwU
魔法少女リリカルなのは×諸葛孔明 時の地平線

第二場



燃え盛る炎の中、孔明の前に現れた二人の少女。
あまりにも場違いといえば場違いな光景に、一瞬孔明の思考は呆けた。
二人ともまだ十代半ばといった容姿だ。凛々しさの中にあどけなさが残っている。
一人は白地に青のラインが所々に入った可愛らしい服に、胸の辺りに赤いリボンを着け、長い茶色い髪を左右に分けて結んでいる少女。
もう一人は紺色の――服自体は白服の少女と似ている――服に白い外套を羽織った少女。
しかし何よりも孔明が驚いたのが黒服の少女の髪……腰まで届くその長い金髪である。
これまでの人生で数々の民族と接してきた孔明だが、これほど鮮やかな金髪の持ち主には今まで会ったことが無かった。
そして二人の手には杖……と呼んでいいのだろうか。先端に宝玉がついた一風変わった杖を持っていた。

(魏や蜀の人間じゃない……異国の者か……?)

一瞬孔明は思案するが、ならば何故その様な、しかも女の子がこのような場所にいるのか。
また彼女達の周囲に見える桃色の空間……。目の錯覚なのだろうか?
考えれば考えるほど思考は袋小路に迷い込んでいく……。

なのはとフェイトもまた、予想していた感じとは違った人物に少々戸惑っていた。
背は自分達よりかなり高い。180センチ以上はあるだろう。肩までかかる茶髪は無造作に下ろされている。
年の頃は20代後半だろうか……整った顔立ちはファッション雑誌に載っても遜色はないだろう。
そして彼の着ている入院患者の様な白い服――それはミッドチルダにあるような服ではなく、なのは達の世界―地球―の着物に酷似していた。
観光客や……勿論職員等とは明らかに雰囲気の違う人物。
しかし一刻を争う今、余計な事を考えている暇は無い。すぐさま二人はその人物に声を掛けた。

「時空管理局です!」
「貴方を助けに来ました」

凛とした声に孔明はハッと我に返ったが、聞いた事の無い単語に再び混乱しかける。

「え……?」
「ここは危険です。早く脱出しましょう!」

イマイチ反応が鈍い青年に二人は益々違和感を感じた。
通常このような状況下で助けに来てくれた人物に対して、大なり小なり反応を起こすはずである。
ところが目の前の人物は殆どアクションを起こさない。むしろ状況を飲み込めていない…と言った方が良いのかもしれない。
兎も角脱出が第一。二人は直接孔明に近付いて彼をバリア内に引き入れた。


227 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:33:33 ID:iq/TdMwU
「な…何だこれは……!?」

薄い桃色の空間内に引き込まれた孔明。彼が驚いたのは強引に引っ張られたからではなく、
空間内部の状況にである。今まで炎のお陰で灼熱地獄だった大気。それが内部は嘘のように快適に保たれている。
この桃色の壁が綺麗な空気を作り出している……?
否、熱を遮断していると言った方が正しいのか。
内部の状況は直感的に掴んだ孔明だが、その原理はどうなっているのか全く見当がつかなかった。
そんな事を考えている彼の耳に白服の少女の声が聞こえてきた。

「ちょっと飛ばします。安全ですのでじっとしていて下さい」
「飛ばすって……うわ!?」

孔明がその意味を聞こうとした時、突如として体の感覚が軽くなったかと思うと、周囲の景色が高速で動き出した。
いや違う。自分達が飛んでいるのだ。それも凄いスピードで。
かなりの速さが出ているにも関わらず、壁や天井には全く接触していない。
そして建物の景色があっという間に消えたかと思うと、次の瞬間には満天の星が煌く空を飛んでいた。


(空を……飛んでいる??)

見上げれば綺麗な夜空。眼下を見下ろせば海と、燃えている建物。
自分の足は地面の遥か上空を彷徨い、火災現場から離れていっている。
そしてこれらの事象を起こしていると思われる二人の少女。
次から次に起こる状況の変化、不思議な事柄にもう言葉も出ない。
却って冷静になってしまった孔明は、今起きている事を心の中で纏めようとした。

(五丈原の陣中にいたはずのオレは……何故か炎の中に、しかもどこか違う所にいて……
 壁が壊れて中から女の子が二人現れて……確か……管理局とか言ってたっけ……。
 それで助けに来た、脱出しましょうって言われて変な空間に入れられて……今こうして空を飛んでいる)

……何だか真面目に考えるのが馬鹿らしくなってしまった。というよりありえない。
こんな事を考えている自分は頭が可笑しくなったのか?
いっそ呪いか悪い夢じゃないかと考えた方が気が楽である。楽ではあるが……。

(夢じゃないとしても……自分は何故ここにいるのだろう)

そう孔明が思った時、ふと彼が最初に思い出したのは先程の『熱』である。
この世の物とは思えなかったあの『熱』。それは建物を燃やしていた炎とは全く別の存在……。
ひょっとしてあの『熱』が自分をここに運んできたのか?


228 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:34:33 ID:iq/TdMwU
(……段々非現実的な考えになっているな)

思わず嘆息したが、これまでの経緯を思えば仕方のない事ではある。
ただ一つ確実なのはここが死後の世界では無いという事、自分はまだ生きているという事。
そう感じていた孔明は、またもや不思議な光景を見る。いや聞くと言った方が正しい。

「こちら教導隊01、本局02。ターミナルの要救助者、男性一名を保護しました。」
《了解! さすがなのはちゃんフェイトちゃんやね。首都航空部隊も到着したし、こっちももう一踏ん張りや!》

白服の少女が何も無い前方に話しかけたかと思うとどこからともなく元気な返事が返ってきた。
口調といい声質といい横の金髪の少女ではない。別の誰か……だが当然周囲を見渡しても誰もいない。

(遠くにいる人と話している……? そんな事出来るわけ――いや……出来るのかもしれないな)

主な通信手段が伝馬か狼煙だった彼の時代を考えれば、遠く離れた相手と直接話すという事自体が非常識なのだが、
今の状態が常識の遥か外にいるという事が、彼に非常識を考えさせる土台になっていた。

「そういえば……」

白服の少女が思い出したように呟いた。

「フェイトちゃん、私達まだ名前言ってなかったよね?」
「あっ……」

フェイトと呼ばれた金髪の少女も失念していたという表情でこちらに顔を向けた。

「私なのは。高町なのはです」
「フェイト=テスタロッサ=ハラオウンです」
「あなたのお名前は?」

白服の少女――なのはと、金髪の少女――フェイトが挨拶をした。
今まで常識外の事が立て続けに起きていた中、突然の常識的な挨拶に孔明は一瞬反応できなかった。
だが挨拶をしてきた相手に挨拶を返さないのは失礼にあたる。それに状況的に見ても二人の少女は自分を助けてくれたのだ。
礼を言うためにも、孔明は自分の名を発しようと口を開けた。

「オレは……」

だがその瞬間、これまでの疲労か、それとも別の要因か。
全身が鉛のように重くなったかと思うと、そのまま孔明の意識は途切れた。
意識が消える直前、自分の身を案ずる二人の声が聞こえた気がした――。






229 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:35:48 ID:iq/TdMwU
首都クラナガンから遥か東方――周囲を山に囲まれた森林地帯。
一見すると何の変哲も無い穏やかな地域だ。森林浴には絶好の場所だろう。
だがここの地下へと目を移すと状況は一変する。
地下に広がる空間はおよそ自然の物ではない。
所々岩肌が見えるが、無機質な壁が大半を支配する内部は研究施設と言えなくもないが、どう見てもまともな施設ではない。
地上に近いフロアには、今から2週間前になのは達が交戦した機械兵器――後に管理局からガジェットドローンと呼称される――が待機状態にあり、
地下深くにはガジェットの生産工場や、人造魔道士の素体らしき物が保管されている。
そして中間部は広大な空間に様々な設備がある。恐らくここで研究を行っているのだろう。
その研究施設の一画――巨大なモニターが置かれている場所。
人の何倍もの大きさのモニターには、先程ミッドチルダ北部で起きた空港火災の様子が細かく映し出されていた。

「ほう、これは……」

モニターの前には男が一人。紫の髪に黄色の瞳、スーツに白衣を羽織った典型的な科学者や研究者の出で立ち。
この施設の主――ジェイル・スカリエッティである。
何故彼が空港火災の様子を眺めているか……答えるまでもないだろう、彼こそこの事件を引き起こした張本人だからである。
空港内に紛れ込んでいたロストロギア『レリック』を手に入れるための所業――。
爆発事故を起こしたのは証拠を残さないため……というのもあるが、この男の一種の戯れという理由の方が大きいのかもしれない。
彼が作り出した戦闘機人達も上手く事を運んでいる。
これまでの経過に満足していたスカリエッティだが、そんな中突如モニターに映った龍に彼は思わず感嘆の声を上げていた。
勿論予想外の事態に対してだが、それ以上に一科学者としての好奇心の方が高かったのかもしれない。
そんな彼に近付く影が一つ。

「ドクター」

スカリエッティの秘書にして戦闘機人の長姉ウーノ。いかにも報告に来た、といった雰囲気である。

「なんだい?」

だがスカリエッティは彼女の方を向かずモニターを見たままそれに答えた。
彼女も特に気にしていないのか、そのまま報告に入る。

「潜入していたドゥーエ達からの報告です。レリックは無事回収、現在帰還中と」
「そうか」


230 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:36:45 ID:iq/TdMwU
淡々と読み上げるウーノ。スカリエッティは相変わらず画面を見たまま短く返す。
……少し様子が変だと思ったのか、ウーノがもう一度呼び返す。

「ドクター」
「なんだい?」

先程と同じ呼び掛け、同じ返事。だが彼との付き合いが最も長いウーノは、彼の短い返事の中に僅かに別の感情が入っているのを感じた。

「何か楽しいことでもありましたか?」

目の前のモニターに移る光景は一般的には楽しいとはかけ離れている。
だが相手はスカリエッティ。何らかの発見に対して楽しみを見出しても不思議ではない。
だからこそ彼女は問いかけてみた。
その問いに対し彼は初めて彼女の方を向き答えた。

「楽しい? ああ、確かにその気持ちもあるかもしれない。だが興味の方が強いかもしれないねぇ」
「興味……ですか?」

少々意外な返答に思わず彼女は聞き返した。
一体あの火災のどこかに興味のある事でも見つかったのだろうか。
それよりも事件の規模が少々大きくなりすぎている事の方が彼女には気にかかっていた。

「ですがドクター。いくら足跡を消すためとはいえ、ここまで大事になっては逆に危ないのではないでしょうか?」
「なあに、たまにはでかい花火を打ち上げるのも一興だろう? それともウーノは妹達を信じられないのかい?」
「いえその様な事はありませんが……」
「そうだろう? それにあの炎は思わぬ副産物を生み出してくれたのだよ」

副産物……思っても見ない言葉に彼女は戸惑った。

「副産物……ですか?」

その反応をみたスカリエッティは、どうにも要領を得ていない彼女に愉快そうに聞いてみた。


231 :時の地平線 ◆gIPWFRjycg :2008/04/25(金) 21:39:07 ID:iq/TdMwU
「おや……君にはあの光景が見えなかったのかい?」
「あの光景? 妹達からも特に変わった報告は聞きませんでしたが」

『あの光景』と言われてもウーノはピンとこなかった。
彼女も別の場所で火災の様子を見ていたが、特に変な物は見えなかった。
しいて言えば途中収まりかけた火が急に盛り返したくらいだが、それとて大勢に影響があるとは思えない。

「いや、見えなかったのならそれで良いさ。どの道状況に変わりはない。下がりなさい」
「分かりました」

これ以上彼女は聞き返さない。ドクターがもう良いと言えばもう良いのだ。
既に用件を終えているウーノはその言葉を聞くと奥へと下がっていった。
彼女が下がっていったのを確認するとドクターは再びモニターの方を向いた。
それを見るスカリエッティの表情は、唇を吊り上げ人を嘲笑する様なものだったが、
瞳には僅かに新しい玩具を見つけた子供の様な感情が混じっていた。

(どうやらアレが見えたのは私と……あの三人だけの様だな。
我々もまだ表舞台には出られないが……いつか相見える事になるだろう。
その時は精々楽しませてくれよ、イレギュラー君)

彼の見つめる先にはなのはとフェイト、そして彼女らに助け出された孔明が映し出されていた。





投下終了です。
知らない人と仲良くなるためにはまず挨拶……するまえに孔明は気絶しましたが。
次回ははやてを入れた三人と孔明の挨拶と今後について。
出来る限りペースを早められればと思います。

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 22:09:55 ID:D0shoUyG
GJ!


233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/25(金) 22:42:10 ID:viQvWR8z
GJ
まさしく別世界だろうが、孔明がんばれ。



234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:17:06 ID:W+P34GG7
階級コテはDQNだということでわかっています。
少佐とか、ベンゼンとか。
階級が高いほどな。

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:22:10 ID:Bn3Xqp3k
しばらく見ないうちにテンプレが酷いことに・・・・・・・・・・・

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:23:52 ID:O6iceZls
当然の結果だ

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:27:13 ID:lTNjbfWU
投下します

238 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:28:51 ID:lTNjbfWU
第1話 トンネルを抜けるとそこは…。

「…次元に乱れ?」
 スカリエッティ事件から数ヶ月。
 突然呼び出しを受けた高町なのはとフェイト・T・ハラオウンは八神はやての前に顔を出し、話を聞いていた。
「ここ最近、急激に次元の断層にヒビみたいなものが走っててな。このままやと…次元が割れる恐れがある」
「…それを私とフェイトちゃんで調査しろってこと?」
「緊急を要するからな。ベテランの2人に任せてみよう、おもってな。本当ならうちもいきたいんやけど…」
「わかってるよ。はやては自分の仕事をがんばって。この件は私達がなんとかするから」
「すまんな…」
 はやては今度のスカリエッティ事件において、
 事件の後始末および、第二、第三のスカリエッティを出さないよう、また出ても管理局が危機に陥らないよう、防衛案の仕事に奔走していたのである。
「それでは、高町なのは…」
「フェイト・T・ハラオウンは、調査に向かいます」
 2人はしっかりと敬礼をしてその場を後にした。
 敬礼を返すはやては息をついてイスにもたれる。
 その部屋の出入り口の影に見えるオレンジの髪と青い髪の少女が2人…。
「私達を置いて、なのはさんたち…面白そうな調査に…」
「あんたねぇ…なのはさんたちの後をついてきたまでは良かったけど、立ち聞きは感心しないわよ?」
「そういってティアだってきちんと聞いてたじゃん」
「そ、しれは…あんたが変なことをしないよう、私がきちんと見張ってるのよ」
 ティアナはスバルの言葉に顔を背けて口をすぼめてつぶやく。
 そんなティアナを見てニカっと白い歯を見せて笑うスバル。
「それじゃー…しっかりと見ておいてよね」
 そういって駆け出すスバル。
「ちょ、ちょっと!スバル!?」
 ティアナはスバルの考えていることがわからない。


239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:29:32 ID:fjgAmGoC
支援、ガンダム種とのクロスじゃないよな?

240 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:30:22 ID:lTNjbfWU
 はやてはそんなことまったく知らず、次元の乱れが今まさに広がりつつある、その次元の断層の構図を画面で眺めていた。
 次元が割れることなど、相当の力でなくてはありえない。
 かつてフェイトの母親だったプレシアが別の世界に行くために作為的に行おうとしたことがあった。
 …だとすると、誰かが意図的に?

「久しぶりに2人での任務だね、なんだかずっと昔を思い出すな」
 なのはは隣にいるフェイトを見て言う。フェイトは少し照れているのか、うつむいてなのはを視線だけ上げてみる。
「本当に、もう随分と立つんだよね、私達が最初に出会ってから」
 フェイトは今の自分がいるのはなのはのおかげだと思っている。
 自分を母親の鎖から解き放ち、フェイトとして認めてくれた最初の友達…。
「いこう?フェイトちゃん」
 なのはとフェイトは探査船に乗り込み発進する。
 次元断層部分では、既に数機の探査線が到着し、状況を見ていた。
 次元断層には確かにヒビがはいり、そこからは光が漏れている。
 次元が割れることなど、本来ならありえない。
 自然発生的におこることではないからだ。
「こちら…探査船α-012。現場を調査します」
 フェイトはなのはと息を合わせて、その次元断層に探査線を近づける。
 漏れる光がまぶしい。
「おもったよりひびが大きいよ。なのは」
「そうだね…探査船を後退させて、状況をもう一度確認…」
 なのはが船を後退させようとしたときだった、ガラスが割れるかのように、次元が割れた。
 割れた次元は光を放ち、探査船を飲み込んでいく。
「コントロールが効かない!?」
「フェイトちゃん!!」「なのは!!」
 探査船はそのまま光に飲み込まれた。


241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:30:29 ID:26mq0V/T
スカリエッティを生んだのは管理局じゃ(ry

242 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:31:30 ID:lTNjbfWU
惑星エアル

 巨大な科学が世界を滅ぼしかけた星…エアル。
 幾度となく訪れた破滅を、人々がギリギリで踏みとどまってきた場所。

 ナギ・ダイ・アルタイ大公がおこしたヴィントブルーム事変より一年後…。
隕石にのってやってきた惑星破壊兵器との戦いから…1月。
事件後、惑星破壊兵器が最初に落ちたとされる隕石の破片落下地域に大規模な調査団が送られることになった。
諸外国からの合同調査団として、
ヴィントブルーム王国から、マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルームとそのオトメであるアリカ・ユメミヤ。
オトメ養成学校ガルデローベからは、科学者であり、サイボーグでもあるガル教授と、その補佐イリーナ・ウッズが同伴する。
また、護衛としては鴇羽舞衣とミコトも一緒に行くことでマシロを守ることとなった。



243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:32:40 ID:TuFbmLQj
>>234
新シャア専用にあるACスレの名無し上級大将のことですね

244 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:32:46 ID:lTNjbfWU
 一同は砂漠を移動することが可能なホバークラフトでの移動により、現場にへと到着。
 調査を行っていた。
「あれから、結構立っているせいか、ここ以外のクレーターはほとんど、砂で埋もれてしまっていましたね」
 探査機をつかってあたりを調べるイリーナ・ウッズは、夕日に照らされたオレンジ色の岩肌の中、
 ぽっかりとあいたクレーターの中を調べている。
「問題ナッシングね。ここがマイスターシズルが襲われた場所だから、ココがベストな場所よ」
「そんなこといわないでくださいよ…」
 イリーナは苦笑いを浮かべつつ、他の作業員と供に仕事を行っている。
「…今日はここで野宿ね〜。たまには、野外食っていうのも悪くはないかしら」
 鴇羽舞衣は車の外から出て、大きく背伸びをすると、なんにもないその場所を眺める。
「確かに、こんなところじゃ何が出てもおかしくないわ」
 舞衣はあたりの気配を探るが、今はまだ何もいないようではある。
「舞衣さん、どうかしましたか?」
 それはアリカ・ユメミヤだ。
 最速のオトメ…蒼天の青玉を持つオトメ。
 彼女により、この世界は何度も救われた。
「うぅん。大丈夫よ。もうそろそろ夕食だから用意しよっか?」
「はい!」
 元気良く返事をするアリカを見て笑う舞衣。
 すっかり自分もお母さんになっちゃったわ。
 そんな事を思いながらも、決して悪い気はしない舞衣。
「すいませーん。舞衣さん」
 それはイリーナの声である。
「どうしたの?」
「実は、こっから数キロ先に、何か熱源を確認したみたいで」
「それじゃー私、見てくるね」
「すみません」
「いいの、いいの」
 舞衣は車内でぐっすり眠っている猫神様と呼ばれているミコトの口を自分の耳にあるGEMにあてる。


245 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:35:25 ID:lTNjbfWU
 マテリアライズをして、ローブの姿を見に纏うことで、普段の何十倍の力を使うことが出来るようになるオトメ
 …舞衣は、イリーナに言われたとおりの場所にへと空から移動する。
 地上に降り立つ舞衣。
 あたりは岩肌だらけで、先ほどの場所と区別がつかない。
 だが、そこで違うものが確かにあった。
「…なによ、これ」
 それは、巨大な機械の船が地面にめり込んでいる光景だった。
「落ちてきたわけ?」
 舞衣は頭上を見上げる。
 そこには夕日に照らされ、星がかすかに見え始めている空しかない。
「…誰かいる〜?生きていたら返事してほしいんだけど」
 舞衣はその乗り物にゆっくりと近づいていく。しかし人の気配はない。
 随分と凄い乗り物であることはわかるけど、こういったものはガル教授たちのほうが詳しいだろう。
「まさか…また隕石のバケモノっていうんじゃないでしょうね」
 脳裏に浮かぶのはあの惑星破壊兵器…。
 すると突然、その機械から誰かが飛び出してくる。
「!」
 舞衣は慌てて身構えるが、姿を現したのは予想していたものとは違った。

「ひと?」

「これはビューティフルなものね」
 ガル教授はその機械を見ながら、熱心に調べている。
 あれからすぐに駆けつけたガル教授達、調査団は、一生懸命になって調べている。
 食べ物を食べる暇もないほどに。
 舞衣にはそういったことはよくわからないので、その機械から出てきた二人の人のほうと話をしているわけだ。
「スバル・ナカジマとティアナ・ランスター…ふ〜ん。私達の世界の名前と似たり寄ったりだけどね…」


246 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:36:34 ID:lTNjbfWU
 舞衣はその2人にラーメンを与えて事情を聞いている。
 マシロ女王もヴィントの財政問題と目の前の好奇心とが勝負をして好奇心が勝ち、二人を眺めている。
 アリカは勿論。ミコトはラーメンを食べている。
「まさか…別の世界に飛ばされるなんて」
 スバルは肩を落としながら、ラーメンを食べている。
 落ち込んでいるのかお腹がすいているのかわからない。
 そんなスバルを見ながらティアナはラーメンには口をつけず、目の前の舞衣やアリカたちを見ている。
「もう、スバル…これに毒がはいっているとしたらどうするのよ?」
「そんなことしないわよ」
 舞衣は警戒心の強いティアナに笑って答える。
「どうだか…。私は、こんな知らない世界に飛ばされて、何も信じることなんか出来ない」
 まるでナツキのようなことを言うんだなーと思いながら舞衣はティアナのラーメンを一口食べる。
「毒味すれば平気?」
「……」
 ティアナは舞衣から橋をとると、ラーメンをようやっと食べ始める。
「…舞衣さんとティアナさんの声って似てますね」
 アリカが突然そんなことを言い出す。
「うむ。わらわもそれをずっと思っておった。声が似ているということなどあるものなのか」
 マシロ女王も興味深々にティアナと舞衣を見比べている。
「…興味の先はそこ?」
 ティアナは美味しいなーとラーメンを食べながらも、目の前にいるアホっぽい2人を見てつぶやく。


247 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:37:34 ID:lTNjbfWU

一方、なのはとフェイトは砂漠の中を彷徨っていた。
船は壊れてしまい、発信機だけはつけておいたので、場所には戻れる。
誰かに修理を依頼しなければならない。それとともに、必要なこと。
なぜ、次元が割れたかを調査する必要もあった。
なのはとフェイトは、砂漠の中を夜の闇とともに歩き続ける。
「…まったく何も見えないね」
「風も強いし…どこか休める場所があれば」
 なのはとフェイトはあたりを見回しながら進んでいく。
 そんな2人を見ているものの姿…。
「…頭領」
 アスワド…呪われた民といわれ恐れられている彼らの中でサイボーグの身体を持つラドが、その2人を見ていた。
「こっちにきそうか?」
「このまま進めば…あるいは」
「準備だけはしておけ。いかなるものであろうとも…この地にはいろうとするものは、殺せ」
 頭領であるミドリは、闇の砂漠の中、言い放つ。
 

 なのは、フェイト、ティアナ、スバル。
 まったく別の世界にへとまぎれこんでしまった4人は無事、帰還することが出来るのか…そして次元を崩壊させた元凶とは?


248 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 00:37:56 ID:lTNjbfWU
以上。

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 00:56:56 ID:fjgAmGoC
GJ!!です。
なのはたちも、マテリアライズできるのか?w
できなかったら・・・w

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 01:06:11 ID:kStM4tYg
その後、>>249の姿を見た者は・・・・・・

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 01:07:24 ID:iliv5dIm
>>248
あの・・・ちゃんと投下予告しましたか?
してないっぽいですね・・・
それと、何のクロスかきちんと書かないと分からない人もいると思います。
投下するだけ投下して、後はそのままっていうのは
印象悪くなると思うので気をつけたほうがいいですよ。

まあ、とりあえずGJを。
自分もこの連休で何か書けたらいいなぁ・・・

252 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/26(土) 01:32:35 ID:lTNjbfWU
忘れた。
舞乙HiME×リリカルなのは
投下予告は投下直前じゃまずいんですか?

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 01:35:45 ID:fjgAmGoC
予約が入ってなければ、早々問題ないと思いますけど。
投下したいのですか?って聞いて反応なかったら、もう投下でよろしいのでは?

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 01:36:09 ID:TqKZQSIx
>>252
直前は予告じゃないっしょww
他の人が予約してることもあるから、そういう意味を踏まえても15分くらいは前の方がいいよ。
いきなり投下しちゃうとやっぱりアレみたい。

あと乙。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 10:08:03 ID:RdSPwfU/
>>252
返事がくるまで待てて予約が入ってた場合そっちに譲れるんなら直前でも構わないと思う
できなきゃ総スカン食うハメに。

一番いいのは自分でスレ内検索して予約状況を把握することか

256 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 14:53:08 ID:kg89EjGH
さてー、ゲッター六話投下していいでしょうかー?
ロボが出てきません、ほとんど。

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:08:44 ID:drt/ZQ4w
支援しようか

258 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:14:18 ID:kg89EjGH
微妙にアークが絡んできます。

第六話「戦士の宣言 前編」

 ミッドチルダ首都、クラナガンに現れた鬼獣を、青き機械仕掛けの巨人が倒したそのときから、10年前――。
全ては、あのときから―――否、<この>宇宙の生誕から始まっていた―――。

金髪の髪を持つ、青白い顔をした女性――病んでいるのだろうか――が、崩壊する<時の庭園>に巻き込まれ、約束の地<アルハザード>への旅路を夢見ながら、
娘の亡骸を抱いて、虚無に満ちた暗黒の空間、虚数空間へと堕ちていった。
彼女の名は、プレシア・テスタロッサ。大魔導師を自称する、魔導の使い手である。
幾重にも刻まれたしわが歪み、狂笑を形作る。遥か頭上で、友情ごっこをしている、己を「娘」と思い込んでいた人形を、嘲笑う。

(アリシアは―――きっと蘇る! 誰にも私の旅は、邪魔させないわ)

狂気じみた妄執だった。
娘の亡骸を、あくまで復活の為の<それ>だと――まるで古代の王族が、己が亡骸を魂の帰る場所だと信仰し、宝玉と防腐剤で骸を覆っていた様な、愚かしさ。
だが。
強い意志は、ときに奇跡を招き寄せる――たとえそれが、弱肉強食の理を説くものであっても。
虚数空間―――全ての魔法が、魔導技術が否定される空間で、淡い緑色の燐光が、プレシアを包み込んだ。

(これは――――?)


それは、生命に進化を与えてきた存在。

進化には<意思>があり、それを促す存在にもまた、<意思>がある。

一瞬のうちに、プレシアの脳裏を、万物の記憶が――<意思>が反響した。

宇宙が炸裂し、空間が生まれ、時間と言う概念が発生し、生命が全次元で芽生え―――命の歴史が、始まった。

巨大な竜種が大地を闊歩し、滅びを迎え、四足獣が栄え、衰退していった。

猿が大いなる進化の光を浴び、ヒトへと生まれ変わり――人類種の歴史が始まり――火が、水が操られ、魔導の民が生まれた。

そして、プレシアは理解した。
生命の意味を。

娘の死の意味すらも―――刹那、意識が、途絶した。時空を超えて、その体は虚数空間から消滅し――とある世界へ跳んだ。

時空管理局のあずかり知らぬところで、静かに、事態は進行していた。


259 :一尉:2008/04/26(土) 15:15:33 ID:KluH1+7O
まかせとけ支援

260 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:16:13 ID:kg89EjGH
赤茶けた、乾ききった大地を、無数の鋼鉄の兵団が移動していた。
戦闘機、戦闘ヘリ、戦車、大型装甲車両、機械化装甲歩兵。宇宙進出を果たして数千年が経った人類の尖兵達。

そして、真紅の巨人――全長五十メートルの戦鬼、ドラゴンと呼ばれる機種の群れ。
戦斧や大型のガトリング砲、リニアカノンを持った、鋼鉄の巨人が、兵団の上空を航空機と共に飛行していた。
荒れ果てた荒野には、生命の痕跡一つ見当たらない。それもその筈だな―――と、男は思い、酷薄な笑みを浮かべた。
この惑星は、34551日前に、惑星規模文明殲滅兵器ダーク・デス―――俗称「汚い死」を衛星軌道上から撃ち込まれたのだから。
ゆるやかに広がった猛毒の嵐は、瞬く間に薄汚い原住生物――人類種の敵である昆虫人を抹殺し、その母星を文明の墓場へと変えた。
ダーク・デスの猛威が去った今では、残るのは虫けらどもの死骸だけ。
後は、人類の入植地としてこの地を開拓し、数え切れないコロニーの資源供給基地として稼動させるだけだ。

砲声。
蟲のつくる蛹のようなシェルターの一つ――ダーク・デスによって機能を破壊された避難施設を、ドラゴン部隊の砲撃が吹き飛ばした。

敵性文明の名残を、容赦なく叩き潰しながら、男達は一斉に吼えた。
地鳴りのような、勝利の咆哮。
また一つ、「敵」の拠点を潰してやった、という、喜びの雄叫びだ。
人類に栄光あれ、という声が何処からかもれ、兵士達全員に広がった。男―――巴武蔵は、司令官として、声をあげた。
異様な風体の男だ。
短足だが、全身これ筋肉、といった風情の男で、横幅がひろい、恰幅のいい体型。
軍服の上からマントを羽織り、頭にはゴーグルのついたヘルメット。顎のがっちりした顔が、精悍な顔つきになる。

「全員、気をつけ!! 人類はまた一つ―――敵を叩き潰した。諸君らの勇戦のお陰で、人類は版図を広げ、宇宙から悪を消すことに成功したのだッ!
大いなる意思に導かれし聖戦はまだまだ続くが――今宵は虫けらどもの墓標を肴に、歌い、踊ろうではないかッ!!」

『はいッッ!!』
男達が、勇ましく答えたときだった。空が、光り輝いたのは。敵襲かと臨戦態勢に移行する兵団。
武蔵が大声で喚いた。

「何事だッ?!」
「上空のゲッター線値が急速に上昇しています! これは……時空超越です!!」
武蔵が顔を顰めた。
「ゲッター線汚染の危険ありッ! 全機留意せよ!!」
燐光が武蔵の前に現れ――その中から、一人の女性と、少女の亡骸が姿を現した。
すぐさま、武蔵の腰からリニアガン――小型の電磁飛翔体加速装置が引き抜かれ、女性に向けられた。
見た目は拳銃のそれだが、厚さ数十ミリの鉄板をぶち抜く代物である。何時でも射殺できるようにという、戦闘に特化した思考の結果だった。
すぐさま歩兵部隊が突然の乱入者にバトルライフルを向け、命令を待った。

検査機器を持った男が、機器の先端を女性に向け、計測開始。
各種生体情報を入手―――データと照合開始。
「……人間のようです。敵の擬態ではありません。細菌、ウィルスの類も存在しません」
報告に、部下の構えをとりあえず継続させながら、武蔵が命じた。

「この女性を艦に運び込めッ! 大いなる意思、ゲッターのお導きだ。いずれ―――」
にやり、と笑った。
一波乱あるのを期待するような、獰猛な笑みだった。

「―――何か起こるな」

かくして、異界の魔導師とゲッター艦隊分遣隊は出逢った。
廻る。廻る。
運命の歯車が。
進化の意思が。
絡み合う無限の運命の糸。紡がれるのは、終焉への序曲。
宇宙すら喰い尽くさんとする異形の機械文明と、質量兵器を自ら禁じた魔導文明の出会いまで、僅か―――。

261 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:17:05 ID:kg89EjGH
 暗黒。無限に分岐する宇宙――多数の宇宙、平行世界の並ぶ時空――の中でも、とびっきり深い、奈落の底の様な空間。
そこに、無数の影が在った。大小さまざまなそれらが、一斉に啼いた。否――泣いた。
あるものは金切り声をあげて。あるものは強酸性の体液を振りまいて。あるものは口が無いにも関らず、光学器官をぎらぎらと輝かせて。
仲間の死を感じ取り、影達――異形のものども、鬼が吼える。全ては、憎き■ッ■■エ■ペ■■、■■ターの眷族への恨み、殺意。

殺せ、犯せ、蹂躙しろ。人類という種を。根絶やしにするのだ――。
鬼達のいる空間は、まさしく地獄と呼ぶに相応しいものだった。
煮えたぎる溶岩、灼熱の大地。虹色に歪む空。凍結と融解を繰り返す海。狂った生態系――歩き出す魚、空を飛ぶ四足獣、数百メーターはある大王烏賊と殺しあう、
全身から腕を生やした鯨によく似た生き物。

ぎちぎちと、空間に虫食い穴が開いた―――次元震。

ぐわん、と時空が揺さぶられ、何匹かの鬼が次元の穴――彼らを安住の地、または牢獄から救い出すもの――に吸い込まれ、異次元へと旅立った。

全ては―――人類を討ち滅ぼし、再び安寧を手に入れる為に――。



闇の中――白衣を着た、金色の瞳を持つ怪人が愉快そうに笑った。
彼が見ているモニターには、巨大な異形の姿が映っており、今まさに、その異形、鬼が、巨人――鋼鉄製の機械仕掛けの怪物に打ち倒されるところだった。
怪人の脇に立っている女性――ウーノは驚きの声をあげた。男と同じ、黄金色の瞳が見開かれ、驚嘆の溜息がもれた。
「ドクター……あれは、なんなのです? 管理局があのようなものを造ったとは、信じられません」
ふふふ、と笑いながら、ドクターと呼ばれた人間が答えた。ゆれる紫の髪。
愉快犯といった風情の、整った男の顔が喜悦に歪む。

「調べはついてるよ――あれを造ったのは、管理外世界の人間さ。非凡な発想の男だよ――そうだな、一度、話がしてみたいな」
「セッティングをしますか?」

「うん、頼むよ。彼のような人材は、是非仲間に引き入れたいな――最高評議会にはばれない様に、ね」
ウーノが、一瞬心配そうに顔をしかめた。無表情な彼女には、珍しいことだ。
それに気づいたドクターこと、スカリエッティが、不思議そうに尋ねた。

「どうしたんだい? ウーノ」
はい――と頷き、言った。

「―――潜入していたドゥーエからの定時連絡が、途絶えました。現在、変装したナンバーズに接触ポイントで捜索させていますが、今のところ……」
スカリエッティが、一瞬顔を曇らせた。

「そうかい――でも、大丈夫さ。ドゥーエは強い――何時もどおりに、そのうち顔を見せてくれるよ――」
「はい……」
ウーノが長髪を揺らして頷き、高速でキーボードを叩き始めた。
二人は知らない。ドゥーエが今まさに息絶えようとしていることを。


262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:18:04 ID:drt/ZQ4w
支援

263 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:18:16 ID:kg89EjGH
降りしきる雨は止み、天空の雨雲が引いた頃。
一人の男が、濃紺のコートに身をつつみ、びしょ濡れになりながらも、歩いていた。長身痩躯の男で、黒い前髪を長く伸ばしている。
コートが雨に濡れ、てかてかと輝いていた。防水加工がしてあるらしいコートの表面を、雨の残滓――水滴が流れ落ちる。
手足には針金のように綿密な筋肉が通っており、強靭そのものといった印象。
手には大きなトランクケース。黒塗りのそれにずっしりとした重みの何かを包み込み、男は歩く。
のっそり、と何処までも冷静に、足音を消して。水溜りがブーツに跳ね、表面を濡らした。
無表情に周囲を観察していた男の眼が、霞がかかった一軒の洋館に向き、止まった。
男が、呟いた。
いぶかしむように、警戒するように。

「ここか………」
こつん、と足音。男が音のしたほうに目を向けると、そこには紫のかかった髪を短く切り揃えた、背の高い女が立っていた。
紺色のジャケットを着た、顔立ちの整った娘だ。肌着代わりにボディスーツを着ているらしく、整った体型が服の上からでも窺えた。
女が、口を開いた。

「ジン……神隼人様、ですね?」
女の短い問いに、男――神隼人はああ、と頷き、

「ドクターは、この中か?」
問い返した。トランクケースを相手に見せるようにして。
女が頷き返し、己の名を名乗った。敬愛すべき『ドクター』からつけられた、唯一の名を。

「はい。私のことはトーレと御呼びください」
女の名――数字で3を意味する、無味乾燥な名を聞いても、隼人は眉一つ動かさなかった。

「わかった。ミストーレ、ここを待ち合わせ場所に指定した意味は、なんだ?」
トーレが、困ったように眉をしかめた。手を焼いている、という風に。

「ドクターはそういう儀式――というか様式を好む方なんです。それ以上の意味はありません」
つくづく困った、と言う風に溜息をついてみせるトーレ。こればっかりは、本音だったらしい。

「そうか……いくぞ」
歩き出す隼人を先導するようにして、トーレが歩き始めた。
引き締まった身体が、無駄に揺れることなく隼人をリードし、それに一瞬隼人は目を細めて感心した。
(この女、できる、な)
猛者と見ての、警戒の念。テロリストとして多くの人間を見てきた、隼人ならではの観察眼だった。

  大きな庭を抜け、たどり着いたのは大きな扉を持つ洋館の玄関前だった。
よく見ると、屋敷は所々の壁が染みになっており、窓硝子は割れ、窓としての役割を果たしていない。何処からどう見ても、廃墟だ。
こんなところだと、人目を気にする必要はなさそうである。
密談には、もってこいだ。
隼人はドアをゆっくりと開け、中に入った。埃っぽい空気を吸い込む羽目になるのかと思っていたが、意外と新鮮かつ清浄な空気だった。
意外と手入れされているらしい、内部は。
トーレに導かれるままに洋館の廊下を歩き――途中幾つかの自律機械に出会った――内部を隈なく観察し、一際大きなホールの扉を、開いた。

中にいたのは、一人の壮年男性だった。
紫の髪を綺麗に切り揃えた男で、顔立ちも整っているほうだろう。
口元には、数年ぶりに親友に出会ったような微笑。
この部屋だけが綺麗な内装で、天上にはいやに豪奢なシャンデリアがぶら下がり、室内を照らしている。
ホールの中心で、椅子に座り、優雅にグラスを傾けていた男が立ち上がり、隼人に声をかけた。

「待っていたよ、ジンハヤト――君の造り出した青い巨人、あれに私は一目惚れしていてね。是非君とは話がしてみたかったんだ」
「こちらこそ。あの広域指定次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティからお呼びがかかるとは思わなかった」
くくく、とスカリエッティが笑った。
童の様な笑みだった。

「いやあ、かの地上本部にまで私の名が知れ渡っているとは、光栄だよ」
笑み――自己顕示欲と喜悦の入り混じった色。


264 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:20:39 ID:kg89EjGH
隼人が口を開いた。

「それで、本題はなんだ?ドクタースカリエッティ」
うんうん、と頷いてスカリエッティがスクリーンを展開した。
画面に映る、三機の戦闘機―――玉突き事故の様に合体し、手足を生やして強大な巨人へと変形していく。
放たれる短距離用集束魔力砲――ディバイン・バスター。
四十メートルのボディに、XV級戦闘艦並の火力。魔導師を遥かに越えるパワー、スピード。

―――全てが、ミッドにおける魔導技術の常識を超えていた。

「素晴らしい……素晴らしいよジンハヤト。君の造り上げた巨人――あれこそ、科学の偉大な成果だ。魔導師には真似できないもの――そこで、だよ」
もったいぶって、スカリエッティがグラスのワインを飲み干しながら言った。

「君達の――力を貸してほしいんだ、ジンハヤト。私の理想郷――科学が認知される世界にするには、どうしても君のような優秀な人物が必要になるんだ」
勿論――と言ってスカリエッティが脇から黄金のインゴットを取り出した。

「資金は私が負担するし、戦闘機人――彼女達やガジェットの関連技術も提供しよう。あの怪物たちと戦うには、悪くない選択だと思うよ?」
「私が従うメリットとしては、浅いな」
「そうかい? これを見ても、そう言えるかな?」
スカリエッティがスクリーンのウィンドウを閉じ、新たなウィンドウを開いた。
画面に現れたのは幾つものカプセルだった。
半透明なそれの中には、人影。

隼人が、前髪を一房揺らして驚いた。見開かれる目。

「これは……戦闘機人か……?」
「ああ、そうだとも。彼女達がいれば、地上本部の戦力も、魔導師などに頼らずともいいようになるさ―――それに」
愉快そうに笑いながら、そう言いグラスをテーブルの上に置くスカリエッティ。紫の髪が、はらり、と揺れた。

「君とて敵は多いだろう? かのレジアス中将も、最高評議会を通じて私を援助している。断る理由など何処にも無いし、元々選択権は君には無い」
「なるほど、な」
「それに、だ。戦闘機人ならば、君の造り上げた巨人のパイロットも務まるよ。見たところ、パイロットの負担は相当大きいはずだが――。
おそらく、あれのパイロットは、戦闘機人タイプゼロ、なんだろう?」

感心して頷く隼人―――素直な賞賛。

「たいしたものだ。あれだけの映像データからそれだけ読み取るとは、な。貴方も優秀な科学者のようだ」
スカリエッティの言葉――愉快そのものといった顔。
「なあに………私の手にかかれば、軽いものさ―――さて、受けてくれるかな、この密約を」
隼人もまた、愉快そうに笑った。いかにも、了承した、という風に。



265 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:22:24 ID:kg89EjGH
「ああ、そうだな」
「そうかい、それじゃあ―――」
スカリエッティの言葉が、続けられることは、無かった。

「だが、断る」
コートの内側から引き抜かれる拳銃――大口径のリボルバー。敷島、と銘打ってある漆黒のフレーム。
撃鉄が起こされ、回転弾倉に詰まったお化けのような大きさの弾丸が、きらり、と輝いた。
500S&Wマグナムの怪物――火薬をこれでもか、と増やした強装弾仕様の薬莢。
常人ならば撃っただけで手首が痺れて使い物にならなくなるような、狂気じみた代物だった。それの引き金が引き絞られ―――轟音。
一瞬で砲声に等しい銃声が室内に響き渡り、空気を振るわせた。
トーレは、咄嗟に自身のIS――超高速機動、ライドインパルスを起動させ、スカリエッティの身体を脇に抱えて跳んだ。
刹那、スカリエッティの胴体があった空間を、銃弾が通過し、ホールの壁に大穴を穿つ―――轟音。
直撃していれば、臓腑を撒き散らし、惨たらしく死んでいたことだろう。
スカリエッティが、驚愕して喚いた。

「正気か?! 君は管理局員だろう、質量兵器など!」
隼人がにやり、と嗤った。残虐性の感じられる笑みだった。肉食獣が小鹿を食らうときの、獰猛な笑み。
白い歯が、酷薄に口元から覗いた。
リボルバーを腰のホルダーに戻しながら、トランクケースの蓋を開く。

「これが―――これこそが、特務だッ!! 超法的な実戦部隊――貴様らを叩き潰す刃だ、ジェイル・スカリエッティ!!」

トランクケースの中身――情報端末などではなく、中に入っていたのは銃身を切り詰めた自動小銃だった――が、素早く隼人の右手に握られ、構えられる。
5.56ミリのライフル弾を吐き出す銃口が、トーレに抱えられたスカリエッティに照準された。

「やれるか! ジン、ジンハヤトォォッッ!!」

スカリエッティが咆哮し―――戦端は開かれた。

266 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:26:17 ID:kg89EjGH
投下完了。
プレシアさんを拾ったのは、人類が宇宙進出を果たした後の艦隊です。
人類以外は殲滅するという、ぶっ飛んだ思想の狂信者達に拾われたプレシアの運命はどうなるかー。
後編では、トーレの超高速機動VS隼人の戦闘術。
サイボーグに戦士の直感は通じるのか?!

感想等よろしくお願いしますー。

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:35:59 ID:drt/ZQ4w
GJ!
隼人はいい感じにぶっとんでるなw
アークは作者死去のせいで続きが絶望的だっけ?

268 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/26(土) 15:47:24 ID:kg89EjGH
>>267
最強の敵、バグの前に人類絶望

超進化したゲッタードラゴンが登場「でたな、ゲッタードラゴン!!」

決戦だ(ド ワ オ)

で作者様が死去という、かなり気になるところで終わりです……。
泣けます。

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 16:13:53 ID:csu/+8tl
死去ではありません
ゲッターに取り込まれたのです

270 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 17:41:36 ID:piz+ZjEc
こんばんわ。
予約は無いみたいなんで、Missing第一話投下よろしいでしょうか?

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 17:44:08 ID:ECwgthqB
石川先生の作品で、虚無って無いのはゲッターぐらいだったんだがなぁ

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 17:56:35 ID:U8rN+xEb
>>270
どうぞ。キリよく6時に投下するというのはどうでしょう。
前投下から30分経過しますし。

273 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 18:00:11 ID:piz+ZjEc
では行きます。


魔法少女リリカルなのはMissing

第一話

「……あ……ぅ…?」

村神俊也が目を覚ました時、目に映ったのは見知らぬ天井だった。

(…俺は……生きてるのか…?)

 朦朧としている意識の中で、俊也はそんなことを思う。

「……ここは…?」

 意識を覚醒させつつ、周りの様子を窺ってみると、どうやら自分は病室のような場所のベッドに寝かされているらしいことが分かった。
 もちろん俊也はこんな場所に来た覚えはない。
最後の記憶は、幼馴染みである空目恭一と、それに付き従うようにしていたあやめの、異界への旅立ちの姿だ。
それを思い出して、僅かに表情を曇らせながら、俊也は身を起こした。

「…………?」

違和感。
何でもない動きのはずなのに、何故か俊也は自分の身体に違和感を感じた。
首を傾げつつ、シーツを退けてベッドから降りる。服が入院中に着るような白い衣に着替えさせられていたが、見れば自分の着ていた服がすぐ側の机の上に置かれているのが分かった。靴もそこに揃えられている。

「……ああ、なるほど」

床に立って、俊也はようやく自分の感じた違和感の正体に気が付いた。 自分はあの時、腹部を刃物で刺されていたのだ。にも関わらず、その痛みが全くない。
それ以前に、

「傷跡すら消えてやがる…」

着替えるために服を脱いだ俊也が見たのは、殆ど致命傷だったはずの怪我を負ったとは思えない、綺麗な肌だった。

「どうなってんだ…?」

自分がここにいるのは、気絶していたところを助けられたと考えれば、まだ納得出来る。だがあの傷をここまで完全に治療するなど、よく知らないが相当なことなのではないだろうか?

(とりあえず、誰か探すか)

分からないことだらけだが、誰もいないこの部屋にいても仕方がない。少なくとも自分を助けた人間はいるはずだ。
そう思って、俊也は自動扉らしい出入口に向かおうとした。
しかしその時、ウィンという小さな軽い音と共に、自動扉が開かれた。


274 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 18:01:43 ID:piz+ZjEc

「うお」
「おっ?」
「あっ、気が付きましたか?」

そこにいたのは、二人の女性だった。白衣を着た金髪の女性と、それよりも少し年下に見える、しかし俊也よりは僅かに年上と思われる少女だ。
 二人共何かの制服のようなものを着ている。

「そろそろ起きる頃かと思ってましたけど、タイミングよかったみたいですね。私は機動六課医務担当のシャマルと言います」
金髪の女性…シャマルは微笑みながらそう言った。

「あ、私部隊長の八神はやてです。よろしゅーな?」

それに続いて傍らに立つ少女が、やけに軽い調子でそんな名乗りをする。


「あ…ああ、俺は村神俊也だ。着ていた服を見たならだいたい察しは付くだろうが、学生だ」
機動六課、部隊長などという穏やかではなさそうな単語が聞こえたが、とりあえず俊也はついさっき着替えた、私立聖創学院大附属高校の制服を見えるように手を広げて言った。

「はい、よろしくお願いします。もうどこか痛む所はありませんか?」
「…いや、それは別に大丈夫なんだが」

シャマルの問いに答えつつ、俊也からも質問する。

「ここはどこなんだ?」

適当に思い浮かんだ予想として、自分はあの機関≠ノ一時的に保護されている、と考えていたのだが、目の前の二人の女性からは、今まで会ったことのある機関≠フ人間から発せられていた、使命に取り付かれたような雰囲気は感じられなかった。

「ああ、それは…」
「あー、多分話長くなるやろし、食堂行きません? 村神さんお腹空いてるでしょ?」

一瞬迷うような表情の後、シャマルが答えようとした時、はやてがそんなことを言い出した。
言われて初めて、俊也は自分の空腹状態に気付いた。今までかなりの時間寝ていたようだから当然か。

「村神さん復活祝いです。奢りますわ」

そんな俊也の表情を見て、ニコリと笑ったはやてがそう言った。


275 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 18:03:40 ID:piz+ZjEc



そんな訳で食堂。

「そんな訳で、ここは村神さんが元いた世界とは別の次元っちゅうことですよ」

こんもりと大皿に盛られていた焼きそばを全て食べきった俊也に、はやてとシャマルはあらかたの状況を説明し終えた。

「……なるほどな、道理で見覚えのない場所な訳だ。異世界なんだから、当たり前だよな」

溜め息を吐きながらも、割とあっさり今までの現実を揺るがす説明を受け入れた俊也に、二人の方が驚いたような顔をする。

「ん? どうした?」
「い、いや、こうも簡単に話を聞いてもらえることは珍しいんで…。あ、それじゃ村神さん。簡単ついでに一ついいですか?」

なんてことないように話しかけて来た俊也の様子に何を思ったのか、調子を取り戻してはやては話を続けた。

「村神さん、何で自分がこの世界に、あそこの森に飛ばされたか分かります?」

 食堂から見える、訓練場の一部として使われている森林を指で示す。
 数日前、あの森の入口に、俊也は倒れていたらしい。
 腹部から血を流し、失血死寸前の状態だったらしいが、シャマルの治療が的確だったのと、運も味方につけたらしい俊也の奇跡的な回復力によって、後遺症も残らず完璧に治っているとのこと。

「いや、分からん。ってうか、さっきの説明だと次元漂流は大抵事故みたいなもので、原因究明は難しいんじゃなかったのか?」
「はい、確かにそうなんですけどね。……ないんですよ」

至極当たり前の俊也の問いに、はやては首を傾げて言う。
俊也の言う通り、次元漂流者の多くは、突発的な次元震や、不安定な状態での転移魔法使用…暴走の際に発見されることが多い。次元震によって他の次元世界との境界が曖昧な時や、
転移させるべき目標が不鮮明な時に、全く別の場所にいる無関係の人間がそれに巻き込まれたりする訳だ。
しかしそれらの場合、絶対ではないが、ある条件がつきまとうことになる。


276 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 18:04:56 ID:piz+ZjEc

「…リンカーコアが……ないんですよね…」
「…………?」

単独で次元空間を越えるには魔法を使うのが主だ。つまり魔力が必要である。当然、魔力の源であるリンカーコアの存在は不可欠。
だがはやてと同じ、第97管理外世界の出身と思われる村神俊也には、はやてと違い、というか殆どの第97管理外世界の住人と同じように、リンカーコアは検出されなかったのだ。
もちろん次元震はれっきとした次元災害の一種である。ミッドチルダの魔法技術でも予測出来ないことは多いし、実際には魔力を持つ人間が影響を受けやすいというだけで、リンカーコアがなくても巻き込まれる時は巻き込まれる。
だがそれでも、

「何かきっかけみたいなのはなかったんかな…と」
「…………」

何が聞きたいのかは何となく分かった。

「村神さんの怪我…あれはナイフか何か、刃物で刺された傷ですよね?」

 今まで何故聞かなかったのかと思っていた質問を、ここでしてきた。

「アレ、どうしたんですか?」

もしかしたら、明らかに訳ありだろう俊也を気遣って、最初はそのことを聞くつもりはなかったのかもしれない。しかしどうやら、俊也の物分かりがあまりにも良過ぎたのが、かえってはやての警戒心を煽ってしまったらしい。
先程までの軽い雰囲気は健在だが、その目は探るようなものになっている。
ちらりとシャマルの方を見ると、彼女困ったような顔をしながらも、俊也の答えを待っているようだった。
つまりこういうことだ。
村神俊也は意図的にこの世界にやって来ていて、何か企んでいるのではないか……そう疑われている。

(……面倒だな…)

しかしそれを悟り、俊也が思ったのはそれだけだった。
俊也にとって、もはや現実にあるものなど、その殆どがどうでもいいものでしかない。それが他人からの不信であっても変わりはない。
異界≠ニの接触によって、俊也はそんな風に『壊れて』いた。


277 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 18:05:51 ID:piz+ZjEc
 しかしそれはともかく、

「……何で俺はよく人から勘違いされんだろうな…?」

ナイフを持って俊也に挑んで来た、二人の少女を思い出し、つい零した俊也の言葉に、はやてとシャマルの怪訝そうな顔をした。

「いや、何でもない」

苦笑しつつ、俊也は言う。
 勘違いからまた刺されるのは御免だ。

「いいだろう。話してやる。だが話してる途中余計な茶々は入れるなよ?」

全てを話すつもりはないが、この場を誤魔化せるくらいの驚くようなことを話せば、後はどうにでもなるだろう。
 そう考えて、俊也は自分の体験した物語の幾つかを話した。
 案の定、聞いている間、はやてとシャマルはずっとポカンとしていた。



ちなみにその頃の機動六課隊長室、

「はやてちゃぁぁぁん! まだですかぁぁぁ!?」

『ちょっとシャマルと一緒に例の子の様子見て来るわ。五分くらいここ頼むでー』と言って出ていったはやてを快く送り出して数十分、リィンフォースUがその小さな身体を動かして、必死にはやての書類を片付けていた。


278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 18:08:10 ID:fYEbSySy
メルヘン支援

279 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/26(土) 18:09:32 ID:piz+ZjEc
以上です。
なんか短いですね、ギン姉出てきてないし。
……頑張ります。
出来たら感想よろしくお願いします。

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 19:26:11 ID:72o2FK2c
続きがきになるぅううう!!
GJでした。

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 19:28:01 ID:NqJX2BDs
>>268
 最近ネオゲッターロボって、クロス先にゲッター線を利用できる技術が無い場合に使われますよね。カタログスペックならゲッターGも凌駕する良い機体なのに扱いが不憫だ。

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 19:30:31 ID:RHiNy/Fx
GJ!
ここで村上が出てくるとは思わんかった。
リンカーコアがないこととモチベーションの低さから六課に加わることはないかもしれんけど
魔女が出てくる以上、関わらざるを得ないんだろうなあ……。
怪異やら魔王陛下が出てくる日が待ち遠しいぜ。


そしてさりげなく放置プレイ中のリィンに萌えた。

283 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 20:37:05 ID:7C7VnV9x
こんばんは〜前回チラッと書いたギアスとのクロス。
短編の予定だったのですが……ちょっと楽しかったので続編?と言うか同設定で書いてみた。
またもや好き勝手w とりあえず9時から投下したい。

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 20:41:17 ID:VBhpYErB
おk

285 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:02:55 ID:7C7VnV9x
ティアナ・ランスター執務官補佐はその仕事の話を、上司であるフェイト・T・ハラオウン執務官に聞いた時は反応に困った。
『第一種特殊管理対象世界』
特殊管理世界と言う存在は管理局がその扱いに困っている、もしくは手間取っている世界の事をさす。
そしてその第一種に指定されている世界は現在一つだけ、あの……管理局員ならば誰もが知るだろう屈辱の地。

『極東事変』 『サクラダイト』 『神聖ブリタニア帝国』 『ナイトメア・フレーム』

聴きたくない単語を数多生み出したあの世界。もはや名前すら無意味、あそこはそういう場所だと言う事実だけが重要なのだ。
管理局が始めて経験した手痛い敗北、揉み消しようが無い最強の不祥事。魔道師こそが力だと声高に叫んできた根幹を揺るがす事態。

もう触れたくない……それが管理局の総意であり、体の良い封印指定・放置指定こそが第一種特殊管理対象世界と言う名称なのだ。なのに……

「あそこで……任務ですか?」

管理局は完全にあの世界を放置していると言う事をティアナは知っている。七年前からそうであると訓練学校でも学んだ。
その事を告げるときの教官の顔を忘れられない。人生最大の苦虫を再び噛み潰したような顔だった。

「秘密のお仕事だよ」

機動六課に居る時は見せなかった上司の冷たい声色、動かない表情がこの仕事の意味を一瞬で理解させた。
無言で渡された書類の表紙にはデカデカと赤い印字でこう記されていた。

『極秘任務』


内容を捲っていけばソレは決して戦闘をメインとした任務ではない事がわかる。
当然だ。あの世界には既に管理局勢力は居ない事になっているし、並みの魔道師ではナイトメア・フレームには勝てない。

「潜入捜査……ですね?」

因縁の場所 日本、現在はエリア11と呼ばれる占領区の租界、ブリタニア人の居住区域に偽造IDで潜入。
エリア11や神聖ブリタニア帝国の情報を管理局に伝えることが任務の内容だ。しかし任務内容の下方に示された項目がティアナを不安にさせる。
つまり単独任務であり、緊急時以外は連絡が週一であり、そして無期限の長期任務であると言うことだ。

「不安?」

「……はい」

嘘をついても始まらないのでティアナは素直に肯定の意を示した。
フェイトはそんなティアナに視線を僅かに合わせて、すぐさま虚空へと戻す。
そして実に詰まらない事を言うように呟く。





286 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:03:42 ID:7C7VnV9x
「ならそれまでだよ」

「え?」

「これは極秘任務。その資料も確認後、破棄されることになっている。全てが無かった事になる。
 貴女は管理局があの世界に干渉することも忘れて生きていく。それだけ」

まるで自分が面白くない、もしくは役に立たない人間であると言われている様で、ティアナは唇を噛み締めた。
そんな彼女の葛藤を理解しているからだろうか? フェイトは抜群の言葉を投げかけた。

「記録には残らない。でも……あの世界関連の任務を進めているお偉いさんの記憶には……貴女のことが残るよ」

「それは……それはどう言う事でしょうか?」

「この先の出世、執務官への道が一気に開ける」

それはティアナの夢。兄の背中と共に追い続けていた憧れ。その扉が一気に開く?

「っ!? でも……」

「執務官試験は公正、コネも何も関係ない……なんて思っていた?」

「……違うんですか?」

「……」

向かい合う形で座っているのに、フェイトの顔をティアナは見ることが出来なかった。
でも大体想像する事ができる。冷たくて、苦い顔をしているに違いない。無言のソレは自分の言葉に対する肯定だろう。

「結論を今出して、ティアナ・ランスター執務官補佐。貴女がダメならば次を探す。代わりは幾らでもいる。
 特別になりたいなら特別な事をしなさい。最初にこの話が来た幸運……生かすか殺すかは貴女次第だよ」

『乗せられている』
執務官補佐として真っ当なだけの仕事をしてきたわけじゃない。話術と言うものにも精通してきた。
自分はいま確実に上司の口車に乗って、面倒で危険な任務に就かされようとしている。
だけど……前回受けた執務官試験の事が脳裏を過ぎる。ボロボロな結果が脳裏を掠める。
アレではダメだ! 直感などではない。手応えからの確実な理解。あの調子では……何時まで経っても執務官には成れない。

なら!!


「やります、やらせて下さい」

「その口答での了解を持って、貴方に特務極秘任務NO1035を与えます。
その指令書は熟読後、破棄。明日の1800に第六ドッグへ出頭せよ」

「はいっ!!」





287 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:04:57 ID:7C7VnV9x
ティアナが退室し、薄暗い自室にはシャワーを浴びてきたのか髪を濡らし、バスローブに身を包んだフェイトだけが居た。
不意にディスプレイに光が灯り、映し出されたのは十年来の親友 高町なのはの姿。
だが映し出された親友の姿は管理局の教導官には到底見えない。まるで……

「まるでテロリストだね? なのは」

「その通りテロリストなんだよね、フェイトちゃん」

古ぼけた私服とそれにマッチする廃ビル内部の映像がバックに映りこむ。
なのはも顔だけ見て埃に汚れ、髪もボサボサ。ただ胸に輝く彼女の相棒だけが何時もと変わらない。
そう……彼女がいま居るのは、エリア11のナンバーズがすむ荒れた土地、ゲットー。
役職はテロリスト。いや、テロリスト養成キャンプの教官だろうか? 文字だけならばかなり悪者な役職だ。

「どう? 訓練は順調?」

「う〜ん、やっぱり難しいかな。魔力弾を撃つ、障壁を張る。ソレくらいの動作を出来る人は結構居る」

この世界の魔力資質はゼロではない。むしろ僅かな魔力資質を持つ人口の割合は多いほうだろう。
そしてその僅かな魔力資質を持てば起動、運用させられるのが管理局を打ち破った傑作兵器 ナイトメア・フレームなのだ。

「でも本当の魔道師戦が出来そうな人、ナイトメア・フレームとやりあえそうな人となると……」

「人材不足は管理局も同じだけど、悪夢が相手じゃ求める質が上がるから、厳しくもなるよ。
 奇跡の藤堂さんクラスを求めるのは酷って事か……」

悪夢とは管理局や日本軍がナイトメア・フレームを呼ぶときに使う通称。
本来ナイトメアとは『騎士の乗る牡馬』と言う意味なので誤訳だが、その性能は悪夢といわざる得ない
そして藤堂とは極東事変で唯一、ブリタニア軍を打ち破った日本の軍人にして知将、腕利き魔道師の名前だった。
もしあのクラスの魔道師がゴロゴロしていたら、日本と管理局はブリタニアに負けなかっただろうか?
イヤ……問題はソコではない。それでも敗北が長引くだけだろう。あの時、管理局は戦争を忘れていた。
重要なのは『物量であり、ソレを運用する戦術』だ。


「でもね! 一人だけ見込みがある子が居てさ〜」

「おっ……随分嬉しそうだね、なのは先生」

自分の暗い考えを吹き飛ばすように、なのはが投げかけてきた言葉にフェイトは苦笑。
嬉しそうにその教え子の事を語るなのはに相槌を入れながら、バスローブの上からフェイトが触れるのは鎖骨の僅か下。
今は隠れて見えないがソコには七年前に付けられた傷がある。
『本当ならば自分が行きたい』
視察を名目に訪れた時に再会した七年来の仇敵、結局決着がつかずにお互いに退いてしまった。

あの興奮をもう一度……そして決着を!



288 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:06:05 ID:7C7VnV9x
「そう言えばティアナは了承したの?」

危ない方向へ思考を飛ばしている親友を連れ戻すため、なのはが口を開いた。思い出したようにフェイトは視線を戻し、答える。

「うん、執務官試験での優位を教えてあげたら、あっさりと……ね」

「も〜フェイトちゃんったら悪女だな〜」

『アッハッハ〜』とお互い軽い気持ちで笑いあっているが、部下を厄介な任務へ送り込むには余りにも軽薄だろう。
だが二人の会話はそれだけの冷たさでは終わらない。

「結局私とスバルがこっちに来ている事は言ってないんでしょ?」

「うん、スバルにもティアナが行く事は伝えないで」

「りょ〜かい。どちらかが捕まって、もう一人の事を喋られたら困るもんね」

スバル・ナカジマ、ティアナと同じく機動六課のフォワードを経験した若手エース。
訓練学校以来からチームを組み続けてきた二人にとって、お互いの存在は面倒な任務の中で大きな支えと成るだろう。
しかしこれは極秘な潜入任務。自分以外に何処に誰が来ているか。そんな事を末端の人間が全部知っていて、その情報が漏れたら……
この世界での管理局の情報網はバラバラに破壊され、抵抗勢力への資金・技術提供すらも出来なくなってしまう。

フェイトはティアナには貴方で最初などと言ったが、もうかなりの数の局員がアチコチに派遣されている。
ティアナ、強いて言うならばエリア11の統率役の一人であるなのはさえも、大きなクモの巣を支える糸の一角に過ぎない。

これが……組織なのだ。


「さてと……今週のレポートはもうメールに添付したよ。それとこれからの予定だけど。
 私はエリア11中を飛び回らないといけないから、シンジュクゲットーにはスバルを残す」

「うん、この頃中華連邦の援助が北陸を中心に盛んだから、無駄なゴタゴタには気をつけて」

「分かっているよ。最優勢事項としては第二皇女コーネリアの軍の再整備状況、及び……」


「「ゼロ」だね」

通称オレンジ事件でその姿を現した、黒いマントとフルフェイスの仮面に包まれた謎のテロリスト。
唯のテロリストと言い切るには余りにも劇場染みた自称正義の味方。
その腕前もクロヴィス第三皇子の暗殺などで証明されてきている。

「オレンジ事件のジュミレア辺境伯の不可解な対応も気になる……」

「ゼロがまた何かをしたら最優先で連絡するね。その真意と腕前を見極めたら接触を図る事に成りそう」

「キョウトにもその辺は言っておくよ。それじゃ……」

「うん、おやすみフェイトちゃん」

「おやすみ……」

どちらから落とされる通信のチャンネル。そして奇しくも二人して同じ事を考えた。


『ア〜ァ、世界はこんなはずじゃない事ばっかりだ』と





289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:06:17 ID:VBhpYErB
支援


290 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:08:07 ID:7C7VnV9x
「ティアナ・ランスター、よろしく」

無謀な密名を受けて数日後。彼女はエリア11の中心、トウキョウ租界でもっとも著名な学校、アッシュフォード学園に居た。
場所は教室、時間は朝のホームルーム、眼前に居並ぶ学生、そして輝く好奇の瞳。実に分かり易い転入生お迎えの構図。
次々と飛び出す想定範囲内の質問にティアナは予習通りに答えていく。彼女が用意したものですらない完璧な嘘を。
主に重要になるのはこれまでの経歴、転校の理由、家族構成、現在の状況などだろう。
IDや転校関係の書類などは完璧に偽装しているが、それを説明する事ができなければ怪しまれる。


「ランスターさんって結構サバサバしてるよね?」

「そう?」

席が近かったこと、似たような髪の色であったことから話が弾んだシャーリーとの会話死ながら思う。

「うんうん! 何かカッコいい系?」

だが問題がそれだけで全てクリアーされたわけではない。
ある種もっとも重要で、こればかりは用意された設定を鵜呑みに出来ない事項が残されている。

「イヤ……ツンデレだな」

「黙ってください、変人」

「グサァ〜凹むな〜」

そう……性格だ。最初の名乗りを上げるまでティアナは悩んでいた。つまり『猫を被るべきか?』と
自分の性格は万人受けするかと考えたらYESとは言い難い。自己分析では赤の他人には少々事務的に対応してしまう所がある。
今はサバサバしているという好意的な評価だったが、それを悪い方に取られることもある。
友好関係を築いてもどこかトゲがあるらしい。そのトゲを先ほど言われたツンデレと言う事葉を用いた戦友には制裁を加えておいた。
そんな制裁を加えてしまう辺りも潜入し、情報を収集するという目的には相応しくないのではないか?と

「も〜リヴァルったら〜」

「でもそういうズバっとモノを言えるのって憧れるよ」

しかし……だ。別に全てに受け入れ難いとは言え、何も全員に嫌われるわけではない。
学生全てに受けたところで、得られる情報に大きな増加は得られないだろう。学生の所有する情報の質に大きな違いは有るまい。
そして猫など被ってしまえば、当然ソレが見破られる心配が付き纏う。心配が生まれれば人との接点を減らそうと考えるだろう。
人との接点を減らす事、減る事に対する対応策として猫を被るならばまだしも、それ以外ではマイナスだ。
それならば特定の人物、自分の素の性格で深く付き合える人物に接点をある程度限定し、より深い情報を得るのが得策。

まあ……そこまで考えて居たティアナだが、いざ学生の群れの中に飛び込んでみると地の自分が出ている事に気がつく。
自然と弾む会話、嘘では再現できない独特のリズム。もしかしたら自分はこういう生活に憧れていたのかもしれない。





291 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:10:23 ID:7C7VnV9x
「生徒会?」

もとより努力家であるティアナは授業で困る事は無く、全ての授業を終えて放課後を迎えた。
そんな彼女が帰り支度をしているとシャーリーが告げた提案。

「どうかな? 顔出すだけでも。学校に慣れるのも早くなると思うの」

シャーリーからしてみれば実に気軽な提案だった。もっともそれだけティアナが気に入ったと言う事も考えられた。
そう言った事柄も踏まえて……ティアナは再び深い思考を一瞬の間にめぐらせる。
生徒会……いわゆる学園の運営を補助する生徒の組織。クラスという枠以外にも接点を持っておくことは有効だろう。
しかし気合の入った体育会系の運動部では時間の制約が余りにも大きすぎる。
となれば文化部と言う選択肢もあるのだが、自分には運動神経以上にそう言った感性の死滅が疑わしい。
生徒会と言えば所詮は生徒の許容範囲内の仕事だから、他の捜査に割く事ができる時間も確保できるだろう。
だが同時に学園内の情報が集まると言う考え方も出来る。悪くない……

「でも良いの? 私みたいな新参者がいきなり……」

「全然問題ないよ! わ〜新メンバーがランスターさんか〜楽しみだ〜」

シャーリーを押しのけて現れて勝手に盛り上がるリヴァルを見て「もしかしてM?」と言う疑問を抱きつつ、ティアナは更に視線を動かす。
不意に目が合ったのはシャーリーとの会話中に出てきた人物。ブリタニア人としては珍しい黒髪とアメジスト色の瞳の男子生徒。
名前は確か……ルルーシュ、ルルーシュ・ランペルージ。

「良いんじゃないか? だがあの生徒会に入る条件が三つある。
一つは仕事ができること。二つ目は精神的にゆとりがあること。最後は……会長に気に入られる事だ」

「え?」

最初は何となく分かるが残りの二つがいまいち理解できない。特に最後。

数分後……





292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:11:08 ID:VBhpYErB
しえん

293 :リリカルギアス 潜入のティアナ ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:11:18 ID:7C7VnV9x
ティアナ・ランスターは山のような書類と格闘していた。
内容は生徒会としてのモノだから学園の運営に関することなのだが、余りにも幅が広すぎる。
どうみても生徒会という定義を超えた実権を持っているのは自明の理。
そして書類の山に紛れ込んでいる何だか解らない書類。『ネコ祭り』……? なんだそのイベントは。

「おぉ〜ルルーシュに負けない仕事量じゃない!
これから学園祭の準備も控えてるからね〜我が生徒会はまた一人計算できる戦力を手に入れたわ!!」

……なんていう声まで聴こえてきたら、ティアナは自分をこんな所に連れ込んだ原因達に恨めしい視線の一つ位送ってやりたくなる。
それに気が付いたシャーリーが書類整理の手を止め、拝むように手を合わせて頭を垂れた。
本当に申し訳ないという様子にタメ息を吐きつつ、仕事に戻ろうとしたティアナはその様子を見ていたらしいルルーシュと視線が合う。

「なに?」

「ツンデレと言うのは『何時もは刺々しいが認めた相手には甘い』と言う意味らしい」

「だから?」

あからさまな不機嫌を宿したティアナの瞳を、僅かな皮肉を宿したルルーシュのソレが受け止める。

「リヴァルが君を評した言葉もハズレではない。そう思っただけさ」

「……それは貴方も同じじゃないの? 身内にはトコトン甘い」

「っ!?」

言われてみて、言ってみて気がつく事がある。
ティアナは自分がこの少年に興味が引かれた理由を、ルルーシュは会ったばかりの人物にキツイ言葉を投げつけた理由を理解した。


心の内で呟く。

『『似た者同士』』





294 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/04/26(土) 21:14:03 ID:7C7VnV9x
以上です。
なんと言うか、「フェイトそん悪巧み」部分の方が潜入している部分より長いw

この先も「リリカルギアス ○○の○○」と言う形で気が向いたら書いて行きたい。
しかしギアスのキャラって書くのが難しい〜


295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:16:01 ID:VBhpYErB
GJ!
黒い、黒いよフェイトそんw

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:25:25 ID:K4w/t9Mk
GJ!
そうだよなあ、戦争ってやっぱ物量なんだよなあ

297 :一尉:2008/04/26(土) 21:25:47 ID:KluH1+7O
黒いよ支援

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:27:26 ID:FBMonlJ+
GJ!
フェイトそんの傷がどのくらいか気になる。
お嫁にいけるぐらいならいいが……。

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:28:22 ID:zOCPXWfE
GJ!でした。
黒いぜ、フェイトさん。
キャロが千年リングを〜のほうも執務官試験が、
こんな感じになってるのかな。

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:39:07 ID:6NJhS7V2
GJ
うん、戦争は数だよと弟が言ってた通り
しかし悪夢って聞くと未来線を読む方を連想するw


301 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 22:57:27 ID:7otNjVy5
すみません、今予約空いているでしょうか?
11時半からエンドラインの投下予約をしたいのですが。


302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 23:05:47 ID:kg89EjGH
ばっちこーい。

303 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:30:33 ID:7otNjVy5
そろそろ投下時間ですが、よろしいでしょうか?
今回は短く4KB。
そんなに支援は必要ないです!

今回はアンリテッド・エンドライン
ビスケット・シューター――過去編です!

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 23:33:00 ID:2uYrVzox
やばい、ついさっきカンフーハッスルを見たせいで太極拳・少林拳とか習いだした中将と陸士隊が
ガジェットを次々と粉砕していくというありえねぇ〜展開を思いえがんでしまった。


305 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:33:01 ID:7otNjVy5
返事は無いですが、時間ですので投下します。
今回はプロローグです。





 それは始まりにして、終わり。
 入り口もない、出口もないメビウスのような物語。
 どこから始まるのか、どこで終わるのかも分からない物語。

 それはどこまでも続く過去と未来の間に抜け落ちたミッシングリンク。

 消された物語。
 誰かが塗り潰した過去であり、未来へと繋がっていたはずの現在。

 そこで演じられるのは、描かれるのは果てのない、終わりの無い、物語の序章曲。
 続くかもしれない。
 途切れるかもしれない。
 けれども、先の分からない未来を走りぬいた人物達の軌跡。

 それは――




「未来が見えない、それは素晴らしいことではないのかね?」

 降り注ぐ雨の中。
 音も無い、光もない、真っ暗な廃墟の下で、黄金色の瞳を浮かべた男は呟いた。
 永遠の渇望を。
 永遠に満たされない欲望を抱いた男。

「黙れ」

 それに答えるのは生気を失った青年。
 未来を失った瞳。
 闇しか見えぬ、血塗られた手で鋼の銃器を携えた青年。
 幾多の傷に血を流し、幾多の絶望に嘔吐し、ただ一つ見えた希望にすがりつく亡者。

 彼には希望なんて見えない。
 彼には明日なんて見えない。
 彼は壊れながら、彼は狂いながら、彼は毒を孕む。

 痛め、痛め、痛めと自分を呪う。


306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 23:34:14 ID:2uYrVzox
あっ時間だ、支援!

307 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:34:43 ID:7otNjVy5
 
「なるほど、中々に重症だな」

 黄金色の怪人は嗤う。
 嗤いながらも、それは馬鹿にしない。
 ただ青年を見つめ、憐れんだ。

「まあいい。彼から紹介されたのだ、未来を貫くための刃として」

 それは宣言。

「100年の平和、残される業を貫くための弾丸として」

 それは世界への敵対宣言。

「君は戦う覚悟があるかね?」

 彼は問う。
 汚名を被りて、己の正義を信じることが出来るかと。
 そのためならば、世界すらも敵に回す覚悟があるのかと。
 ただただ壊れ続ける覚悟があるのかと。
 彼はたった一個で無数に問いた。

「あるさ」

 そして、返ってきたのは無数の、無限にも近い問いを全て両断するたった一つの答え。
 生気を失いながらも、歪まない瞳。
 雨に濡れながらも、揺らがない声。
 幾多の血に手を染めながらも、ただそれだけは、と誓い続ける決意。
 それらをたった一言の言葉に篭めて、叩きつけた。


308 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:35:54 ID:7otNjVy5
 
「なるほど、なるほど」

 それに怪人は笑う。
 楽しげに、嬉しげに、そして祝福するように笑う。

「ならば認めよう」

 手を鳴らす。

「ならば称えよう」

 手を鳴らす。

「君の覚悟を、君の意志を、私は尊重する」

 手を叩いて――彼は見る。
 青年の瞳を“視た”。

「けれど、私は興味がある」

 怪人は手を振り上げる。
 ゆっくりと、手を伸ばし、虚ろな瞳の青年に手を掲げた。

「少しだけ、見せてもらおう」

 始まりを。
 始まりを。

「私が信じるに足りるか、君が何故その決意をしたのか」

 全ての始まりを。

「君の旅を見せてくれたまえ」

 そうして、青年は見る。
 青年は抉られる。
 刻まれる。
 己の過去を、傷を、痛みを、そして――過去を。





309 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:37:08 ID:7otNjVy5
 
 それは一人の男の登場から始まった。

「ティーダ。ティーダ・ランスターだ! これからよろしく!」

 それはニコリと笑い、珍しい変則型デバイスを使う青年。
 それは青年の友となる人物。
 類稀なるデバイス使いだった青年。

 ――これから死に逝く人。


「まだまだ修行が足らんな。もっと努力しろ、ヴァイス……お前は私のパートナーなのだから」

 それは厳しい言葉を告げる女性。
 同僚であり、先輩で有り続けた一人の騎士。
 憧れていた人。
 決して挫けない誇り高き女性。

 ――いつか戦う人。


「面白いな。君は、私を撃つのかね?」

 それは出会ったことすら忘れていた怪人の笑み。
 対峙したはずの敵。
 悪を自称する偽悪者。
 底知れぬ渇望を抱えた男。

 ――いつか交わる人。


「戦わねばならん。この地上の安堵を手に入れるために、我らは血を流しながら、刃を振り下ろさねばならんのだ!!」

 そして、それは己が尊敬する人物。
 平和を願い、そのための己を犠牲に、立ち上がり続ける人。

 ――いつか尊敬する人。


 そして。
 そして。


「護ってやるさ。お前も、姐さんも、全部、俺が護ってやるよ!」

 未来を知らない。
 光しか知らない若者の言葉。

 いつかの自分。


310 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:38:22 ID:7otNjVy5
 
 それはいずれ来たる世界の敵との始まり。
 もう一人の世界の敵の敵の物語。

 対峙するは【反逆】
 地上が終わらぬ闘争に明け暮れていた時。
 人の目に知らぬ場所で混沌が渦巻いていた時代。

 そこで、語られぬ物語があった。


 この物語に魔法少女は現われない。

 ただ戦いが、願いが、希望が、闇が、敵が、入り混じるだけ。

 戦乱の時代に、三人の戦士が駆け抜けた。

 闇が踊り、欲望が笑い声を上げた。

 悪夢が踊り、反逆の狼煙が上げられた。

 これはそんな戦いの記録。




【アンリミテッド・エンドライン】

 『アナザーレコード・ミッシングスタート』



311 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/26(土) 23:40:34 ID:7otNjVy5
短いですが、これにて投下完了です。
明日午後8時よりミッシングスタート、第1話を続けて投下します。
外伝だらけのアンリミテッド・エンドラインですがどうぞよろしくお願いします。

支援ありがとうございました。

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 00:17:59 ID:p+blr8uo
イェア!
期待してお待ちします。

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 00:28:18 ID:61Uyx1lQ
>>311
GJ!!です。
魔法少女なんて存在しない、血みどろの過去に期待してますw

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 00:51:45 ID:X9dWckWn
GJ!
ヴァイスかっこいいなw

315 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:04:19 ID:zNZhG9xr
1時10分を目どにリリカルZOIDS第二話投下いきたいのですが、空いてますよね


316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:07:03 ID:49BLpzCi
>>315
大丈夫だと思いますよー。
リアルタイム支援。

317 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:16:42 ID:zNZhG9xr
では、投下行きます
リリカルZOIDS第二話です

>>316
支援ありがとうございます。

318 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:17:24 ID:zNZhG9xr
Another View(Raven)

「それは困るな」
そう言いながら銃を向けるが、正直、全く撃つ気はなかった。
それはそうだろう。
何せ相手は、幼くなってしまった自分と同じ、いや、もしかするとさらに年下かもしれない少女達なのだ。
昔の自分ならいざ知らず、今の自分に彼女達を撃つことはできない。
とはいえ、状況は好転したかというとそうではなく、むしろ悪化したといってもいいだろう。
先程の彼女達の会話から察するに、今、床に転がっている奴らとは別の部隊がいるようだ。
離脱し、追跡を振り切ることはできるだろうが、面倒なことには変わりない。
おまけに、何故このような場所にいるのかさえ分からないままときている。
下手に騒ぎを大きくするより、目の前の少女達から情報を入手するほうが良い。
そう判断して、口を開こうとした時だった。
「お前がやったのか・・・?」
真っ赤なドレスに身を包んだ方の少女が戦鎚をこちらに向けて問いかけてきた。
だが、放っている気配は幼い子供のそれではなく、一人の戦士―――しかも数多の戦場を駆け抜けてきた――――の纏うものだ。
間違っても唯の子供であるはずがない。
もうひとりの白服の少女に目を向ける。
相方と違い、こちらはそこまで闘志を感じられないが・・・
(位置取りが上手いな)
心の内で嘆息する。
彼女の立っている位置、それは恐らく前衛であろう相方をうまくフォローできる位置である。
それをなんの打ち合わせもなく、ごく自然に行っているのを見るだけで分かる。

彼女達は強い。

先程、面倒を見てやった連中とは比べ物にはなるまい。
さらに敵の攻撃手段を自分はよく分かっていない以上、間違っても油断できる相手ではない。

(さて、どうするかな・・・)


Another View End(Raven)



319 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:18:34 ID:zNZhG9xr
「それは困るな」
その言葉と共に銃を向けてくる少年とその傍らで唸り声をあげる飛竜を見据えながら、なのはとヴィータは念話で作戦会議中だった。

(とりあえず、あの銃をどうにかしなくちゃだね)
(そーだな。それにB班の連中がどうしてああなったのかもちゃんと聞き出さねえと)
(それにあと10分もしたら、C班の人達とも合流できるし・・・。今は時間を稼ぐ事を優先しよう)
(お、おう。んじゃ、フォローは任せたぜ)
(まっかせといて!!)
(・・・?やっぱり変だな)
ヴィータは、先程からずっと感じていた違和感の正体を、おぼろげながらにも把握してきていた。


なのはが消極的なのだ。弱気といってもいい。


先程のことにしてもそうだ。
仲間のピンチには誰よりも早く行動するなのはが、自分にかなり遅れるようにして、この部屋に飛び込んでいった。
いまの念話にしてもそうだ。
時間稼ぎという作戦は確かに理に適っている。現状ではベストと言ってもいいだろう。
しかし、なのはにしては、時間稼ぎという考えに辿り着くのが早すぎる。
(いつものなのは・・・だよな?)
ヴィータは思わず横目で確認してしまったが、そこには“全力全開”をモットーとする高町なのはがレイジングハートを構えているだけだった。


(ま、誰にだって調子の悪い日はあらーな。今はそれよりも・・・)
目の前の少年に注意しなくては、と、ヴィータは起動させていたグラーフアイゼンを構え直し、
「お前がやったのか・・・?」
地面に横たわっている隊員を示して問い質した。
最後の通信から想像するに、彼らはそこの黒い飛竜にやられたのだろう。
そしてその飛竜は目の前の少年の使い魔と見て間違いあるまい。
しかし、分からないのは何故使い魔に襲わせた隊員達を介抱したかという事だ。
ヴィータは、彼の意図している所が全く掴めなかった。


320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:18:58 ID:4YiwsvFN
支援

321 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:19:38 ID:zNZhG9xr
そのヴィータの質問に対し、少年は
「ん?ああ。あのまま放っておいても無事だったろうが、こっちにも非はあるからな。一応、介抱しておいた」
とあっさり認めてしまった。

「分からねーな。一度は襲わせといて、何で助けるような真似をするんだ?」
「いや、俺は足止めするように命令しただけだ。なにも殺そうとしたわけじゃない。情報元がなくなってしまうからな。・・・まあ、シャドーがここまでするとは俺も思ってもみなかったが」

(・・・シャドー?それがあの飛竜の名前か)
(そうみたいだね。それにあの子のお話を信じるなら、そんなに悪い人じゃなさそうだよ、ヴィータちゃん)
(でも油断はできねえぞ。嘘の可能性もあるし、なにより銃を持ってるってだけで信用でき・・・、何!?)
(!?)

なのはとヴィータは驚愕した。
なんと目の前の少年が銃を足元に落とし、両手を挙げたのだ。
シャドーという竜も羽をたたみこみ、唸り声をあげるのをやめている。
一連の行動の意味が分からない程、二人は馬鹿ではない。

「降伏するってのか?」
「ああ。俺は、現状が全く把握できてないんだ。とりあえず、ここはどこなのか。後、君達が何者なのか説明して欲しい。こいつらに聞くつもりだったんだが、シャドーがのしてしまったからな」
「「・・・?」」

思わず顔を見合わせる二人。
彼の言葉を信じるなら、この遺跡の事、また、自分たち時空管理局のことを何も知らないということになる。

(どーゆーこった)
(わ、私に聞かれても困るよ。でもやっぱり、悪い人じゃなさそうだね)
(なのは、おめーは相手の言うことを信じすぎだ。罠かもしれねーんだぞ)
(ヴィータちゃんは疑いすぎだと思うけどなぁ)
と念話で会話しつつ、なのはは両手で構えていたレイジングハートを左手に持ち替え、右手を自分の胸にあてながら少年に微笑みかけた。


322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:19:40 ID:7Ij1wHCT
支援



323 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:21:00 ID:zNZhG9xr
「と、とりあえず、初めましてだね。私は高町なのはっていうんだ。こっちはヴィータちゃん」
「ヴィータだ」
にこやかななのはとは対照的に、ぶすっとしながらも、自己紹介をするヴィータ。

「俺はレイヴンだ。こいつはシャドー」
そう言ってなのは達の自己紹介に答える少年―――レイヴン――――は、苦笑していた。

「てめー、何がおかしい?」
「ん?いや、悪いな。おまえの性格が分かりやすいもんだからつい・・・」
「んだとぉ!」
「ちょ、ちょっとヴィータちゃん!落ち着いて」

それを聞いてレイヴンに向かって一歩踏み出そうとするヴィータを後ろから羽交い絞めにするなのは。
レイヴンはといえば、相変わらず苦笑しながら彼女達の様子を眺めている。
それを目にしたヴィータは、さらに頭に血が上ったようで、なのはから逃れようと体をよじらせた。
どうやらこの二人、相性はよくなさそうである。

「ヴィータちゃん、落ち着いてったら!!もう!!レイヴン君もからかう様な事言わないの!!」
「・・・!」

すると、なのはのその言葉の何処に驚くところがあったのか、レイヴンは表情から苦笑を消し、半歩ほど後ずさった。
その予想外の反応に思わずなのははヴィータへの拘束を緩めてしまった。
しかし、解放されたヴィータもレイヴンを訝しげに見据えるだけで、突っ込んでいくようなことはしない。

「あ、あのっ。わ、私、何か変な事言ったかな?」
「・・・いや。別にそういう訳じゃない」

レイヴンはそう言いながら、自身のとった態度に気が付いたのか、再び苦笑を滲ませた。
しかし、その笑みは先程のからかう様なものではなく、どこか自嘲を含んだものだった。

「そんな呼び方をされるのは初めてだったからな。少し驚いただけだ」
「・・・?」
「・・・(こいつまさか)」

その発言と表情に何か感づいたヴィータと、全く意味が分からないなのはが、同時に声をかけようとしたその時だった。


324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:22:00 ID:7Ij1wHCT
支援

325 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:22:04 ID:zNZhG9xr
「高町隊長!ヴィータ副隊長!ご無事で!?」

大声を上げながらC班の隊員達が雪崩れ込んできた。
位置的には、レイヴンを挟んでなのは達の反対側。
つまり、図らずして挟み撃ちできる位置に到着したのだ。
既に全員がデバイスを起動しており、戦闘準備は万端といった様子だ。
しかし、彼らがまずのは目にしたのは、床に倒れ伏したB班の隊員である。
勿論彼らは、なのは達からの連絡を受けていないのでB班全員が無事である事を知らず、また、レイヴンとシャドーが彼らの視線を遮る様な位置にいた為に、隊員の状態を確認することは困難だった。
その為、なのは達と向かい合う様に話していたレイヴンとシャドーに敵意の篭った視線を向けた。

「何!?」
「子供!?」
「そんな馬鹿な!」
「飛竜にやられたんじゃなかったのか!?」

皆が様々な事を口走るなか、リーダー格の男が一歩前に踏み出してレイヴンを睨み据えた。

「なあ、坊や?パパやママにやって良い事と悪いことがあるって教わらなかったのかな?それと、足元の銃を拾う様な事はするんじゃないぞ。拾ったら最後、次に目を覚ますのは病院のベッドの上だ」

と悪意たっぷりに言い放つ。
しかし、レイヴンは返事の代わりにこれ見よがしに溜め息を吐くだけだった。

「貴様・・・!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」

声を荒げる隊員から険悪なものを感じてなのはが声を掛けた。

「彼は、レイヴン君っていうんですけど、反撃の意思はないそうです。それにB班の皆さんは無事です」
「そーいうこった。こいつも悪いけど、子供相手にいつまでも目くじらたててんじゃねー。それよりも、おめーらはさっさとB班の奴らを運んでやれよ。A班とD班の奴らには私が連絡しとく」

なのはに続いてヴィータも声を掛ける。
さすがに隊長の言葉を疑う訳にもいかなかったのか、C班の隊員達はレイヴンの横を警戒しつつも通り過ぎ、B班のもとにたどり着くと、気絶している隊員達に浮遊魔法をかけ、遺跡外へと運び出すべく動き出した。
その間、なのはとヴィータは、銃を回収するべくレイヴンへ歩み寄った。

「悪いんだけど、銃は預かるね。分かってると思うけど、ミッドチルダでは所有するのも禁止されているから、もしかしたら返せないかもしれないよ」
「後、バインドもかけさせて貰うぞ。アースラ―――私らの母船の次元航行艦に戻るまで我慢してくれ」

そう言いながら、声を掛ける二人。
しかし、レイヴンは返事をしない。
怪訝に思ったなのはがレイヴンを見ると、彼は何か驚愕したような表情で、運び出されていくB班の様子を見ていた。



326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:23:14 ID:7Ij1wHCT
支援

327 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:23:23 ID:zNZhG9xr
「レイヴン君?」
「あれは、一体何だ?どうやって人を浮かばせている?」
「え?いや、唯の浮遊魔法だけど・・・」
「魔法?」

レイヴンは信じられないという様に頭を降った。

「そんな物が現実に存在するなんてな」
「ひょっとして・・・」

なのはがある予感を感じながら、レイヴンに問い返した。

「魔法の事、何も知らない・・・?」
「ああ」

即答だった。
それだけでなのはとヴィータは、ある程度レイヴンのおかれた状況が分かり始めてしまった。

(魔法の事を何も知らないって事は、もしかしたら、レイヴン君はここの世界の人じゃないのかな?)
(もしかしなくてもそーだろ。つーか、こんな無人の筈の遺跡の奥深くに子供と使い魔一匹いるってだけで充分おかしい。たぶんだけど、何かのロストロギアでいきなり転送されたんじゃねーのか?)
(じゃあ、捜査対象の魔力反応は・・・)
(そのロストロギアが発生させたもんだろーよ)
(でもおかしいなあ。ここの遺跡を調査したのってユーノ君だよ。ユーノ君が、ロストロギアを見落とすことなんてあるかな?)
(私が知るかよ。でも、もしかしたらそのロストロギアはレイヴンの世界だけにあって、各世界へ勝手に飛ばす物かもしんねーだろ。それだったら、この遺跡からは何も出てこねーじゃねーか)
(あ、そーか。ヴィータちゃん、あったまい〜)

そう、念話でなのはとヴィータが話し合っている間、レイヴンも現状の把握に努めているようだったが、如何せん情報が全くと言っていいほど少ないため、結局なのは達に尋ねることにしたようだ。
「とりあえず、魔法があることは分かった。君達やあいつらも魔法を使う組織に属してるんだろう。じゃあ、何で関係のない俺がこんな所にいるんだ?」
もっともな疑問である。



328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:24:40 ID:7Ij1wHCT
支援

329 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:25:03 ID:zNZhG9xr
「あ、うん。それはね、私たちがロストロギアって呼んでる、古代遺産のせいだと思うの。たぶんだけど、レイヴン君がこの世界に転送された時に発生した魔力の調査の為に私達は、この遺跡にやって来たんだ」
「・・・?つまり、古代遺産の転送装置のせいで俺はここにいる、ってことか」
「現状ではそれくらいしか理由が思いつかないよ。レイヴン君がもといた世界に、何か変わった物はなかった?」
「いや、特にそれらしきものはなかった」
「それじゃあ、この遺跡に転送されてきた時、側には何もなかった?」
「その筈だ。少なくとも、俺が通ってきた道には何もなかった。シャドー、お前は何か見たか?」

しかし、傍らの黒竜は首を横に振るばかり。

「・・・だそうだ」
「もしかしたら、見落としてるかもしれねーしな。調査の続きもしなくちゃいけねーから、レイヴンの出てきた場所まで行ってみるか。道順は覚えてるか?」
「問題ない」
「じゃあ、さっきも言ったけど銃は預からせてもらうね」
「あとバインドもな。両腕を前に出してくれ」

そう言うと、なのはは足元に落ちていた銃を拾い上げ、BJのポケットに仕舞い込んだ。
続いて、ヴィータがレイヴンの両手首にバインドをかける。

「なるほど、これも魔法か。便利なもんだな」
「ごめんね。しばらくこのままになっちゃうけど」
「構わないさ。そうされても仕方がないことをやったんだからな」

苦笑しながら返すレイヴン。

「ほー、意外と聞き分けがいいじゃねーか。さっきまでの態度はどーしたよ?」
「ふん。やっぱり分かりやすい性格だなお前」
「っんだと!」
「もーう、だから喧嘩は駄目だってば!」

しかし、喧嘩は続くことはなかった。
なぜなら・・・・


330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:26:08 ID:7Ij1wHCT
支援

331 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:26:58 ID:zNZhG9xr
「こちら、C班!遺跡入り口周辺にて、アンノウンと交戦中!至急救援を!繰り返す!現在、アンノウンと交戦中!至急救援を!なお、敵は、微弱ながらもAMFを纏っています!」
「「「!?」」」

突如として飛び込んできた、通信になのはとヴィータは顔を見合わせ、レイヴンに向き直った。
その表情から何を聞きたがっているかを察したレイヴンは、二人が口を開くより先に

「悪いが俺は何も知らない」

と言い放った。
なのはと違い、事の真偽を質したそうなヴィータだったが、すぐにそれが本当のことである事に気づかされることになった。
突然、シャドーが通路のある方向へ向き直り、唸り声をあげ始めたのだ。

「どうしたシャドー?」
「「?」」

何が起こっているか分からないままに、警戒態勢をとる3人。
そして次の瞬間だった。
シャドーが羽を広げるやいなや、何も見えない空間に向かって突撃していく。
そして80m先で金属のひしゃげる様な嫌なおとが響いてきたと同時に、なにもなかった筈の空間に突如として小型の機械が転がり出た。

それはまるで蜘蛛の様な機械だった。
鋭角的な胴体にカメラアイ、そして3対の足を持っている。
否、持っていたのだ。つい先程まで。
もはやそこにあるのは、ただの鉄屑だった。
カメラアイは粉々になり、5本の足がひしゃげて地面に転がっている。

そしてそれを行った張本人は、通路の先を警戒するように睨み据えていた。




332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:27:43 ID:7Ij1wHCT
支援

333 :リリカルゾイド ◆rjU.EEAJoQ :2008/04/27(日) 01:28:47 ID:zNZhG9xr
以上で今回は終了です。
支援ありがとうございました。
しかし、自分の頭の中にある映像を文にして書き出すのがこんなに難しい作業だとは思ってもみませんでした。
精進あるのみですね。
それでは失礼します。


334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 01:29:01 ID:49BLpzCi
うおwwwいつの間にか時間経ってる!?ww
支援しまっす!

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 02:07:36 ID:49BLpzCi
ってwwwもう終わってるしorz
支援した意味ねえよwww

ついにガジェットktkr
スカ博士は相変わらず秘密基地で観察でもしてるんでしょうかね(笑)
GJ!続きも楽しみです。

336 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:06:33 ID:JyA5m82n
こんにちは、天元突破第6話投下よろしいでしょうか?

337 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:08:10 ID:JyA5m82n
 海岸沿いに建つ真新しい建物――機動六課隊舎へと続く、舗装されたばかりの道を、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエは並んで歩いていた。
 卸したての制服は二人とも袖が余り、十歳という年齢相応の幼い顔立ちとも相まって、服を着ているというよりも服に着られているような印象を周囲に与える。

「スターズ隊の前衛って、どんな人達なのかな……?」
「上手くやっていけると良いね」

 不安そうに俯くキャロに、エリオはそう言って笑いかけた。
 右手でキャロの左手を取り、元気付けるようにぎゅっと握り締める。
 初めての職場のまだ見ぬ同僚に、不安や緊張を抱くのは仕方がない……それはエリオも同じである。
 しかし、自分達ならば上手くやっていけるという自信もエリオにはあった。
 初めて会ってから数日しか経っていない自分とキャロはもう友達になれた、他の六課の仲間ともきっと一緒に頑張っていける。

「一緒に頑張ろう」

 屈託なく笑うエリオにキャロも顔を上げ、「うん」と笑顔で頷いた。
 握った右手がキャロからも握り返され、掌を通じて体温が伝わってくる。
 いつの間にか足は止まり、互いにじっと見つめ合う少年少女……。
 完全に二人だけの世界に入ってしまったエリオとキャロに、キャロの傍らを飛ぶ白い小さな龍――フリードは呆れたように火を吐いた。
 往来の真ん中で人様に迷惑だとかお前ら初日から遅刻するつもりかとか、言いたいことは山程あるが、しかし今の二人の間に割って入るだけの度胸はフリードには無い。
 どうしたものかと天を仰ぐフリードは、その時、蒼天の彼方でキラリと光る何かを見た。
 流星だろうか……徐々にその大きさと輝きを増すその「光」に、フリードは現実逃避でもするようにぼんやりと思考を巡らせる。
 段々と近づいてくる光を眺めながら、フリードはふと気付いた……あれ、これってもしかして直撃コースじゃね?
 青ざめるフリードが警告の鳴き声を上げようとした、その瞬間、一枚の巨大な光の「壁」がギロチンのように二人と一匹の眼前に突き刺さった。

「うわっ!?」
「きゃあ!!」

 地を揺るがす衝撃と舞い上がる土煙に、エリオ達は思わず悲鳴を上げる。
 二人の目の前にそそり立つ巨大な「壁」――否、空を切り裂き、雲を貫き、轟音と共に地面に垂直に突き立ったそれは、巨大な、余りにも巨大な……「道」だった。
 不測の事態はまだまだ続く。
 空へと続く光の「道」――その向こう側から、何かが来る、何か巨大なものが駆け下りてくる。

「赤い、ロボット……?」
「顔のお化けだ……」

 呆然と呟くエリオとキャロ、二人の言葉が全てを語っていた。
 二人の頭上を飛び越え、地響きと共に着地した「道」の主、それは赤を基調とした鋼の巨人だった。
 鬼を思わせる額の一本角、爬虫類のような尻尾、そして胴体部分を占領している第二の「顔」……。
 その全てが、禍々しい。
 

338 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:09:21 ID:JyA5m82n
 混乱した思考は徐々に落ち着きを取り戻し、二人は接近する異形の巨人の正体を冷静に推測する。
 凶悪な外見に、機動六課の正式稼動直前の隙を狙ったかのようなこのタイミング。
 この「道」にしてもよくよく考えてみれば、自分達を狙った奇襲攻撃と思えなくもない。
 敵であることは最早明白、ならば自分達のするべきことは一つ……

「起きろ、ストラーダ」

 エリオの呼びかけを受け、右手首に巻かれた腕時計――ストラーダの液晶が明滅する。
 キャロの左手首を飾る二つの腕環――ケリュケイオンも、主の闘争の意思を感じ取ったように淡い輝きを発している。
 エリオがキャロを見る、キャロもエリオを見ている。
 軽く頷き合うだけで互いの意思を把握し、二人は固く握っていた手を離す。

「ストラーダ!」

 エリオが右手で拳を握り、

「ケリュケイオン!」

 キャロが左手を高く掲げる。

「「――セットアップ!!」」

 凛とした主の声に応えるように、二つのデバイスは光と共にその真の姿を現す。
 フリードも臨戦状態に入ったのか、可愛らしくも雄々しい咆哮を上げた。
 機動六課は自分達が守る……熱い誓いを胸に抱き、少年少女とその他一匹の戦いが始まろうとしていた。
 
 


339 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:10:29 ID:JyA5m82n
 
 
 同時刻、機動六課隊舎部隊長室。
 来客を告げるブザーの音に、はやてとリィンフォースUは顔を上げた。

「はい、どうぞ」

 はやての了承の声と共に自動扉が開き、機動六課の制服に着替えたなのはとフェイトが姿を現す。

「お、二人ともキまっとるやん」
「お似合いですー」

 口々に褒めるはやてとリィンフォースUに、なのはとフェイトは照れたように笑みを浮かべる。

「この部屋も、やっと隊長室らしくなったね」

 そう言って部屋の中を見回すなのはに、はやても笑顔で頷く。
 最初は何も無い、ただ広いだけの部屋だった。
 そこにまず机が運び込まれ、続いて書類や他の備品、その他様々な物資が部屋中に無秩序に置かれていった。
 山のように積み上げられた段ボール箱を一つ一つ開き、必要なものを必要な場所に整理していく――そうして漸くオフィスらしい体裁を整えきったのが、昨日の夜遅く。
 この部屋がこの部屋らしくなるまでの一連の流れは、はやてが機動六課設立のために奔走したこの四年の月日そのものだった。

「……やっとや。やっとこれから、始まるんや」

 感慨深そうに呟くはやてに、なのはとフェイトが同意するように首肯する。

「高町なのは一等空尉」

 背筋を伸ばし、管理局員としての名を名乗るなのは。

「フェイト・T・ハラオウン執務官」

 表情を引き締め、魔導師としての名を告げるフェイト。

「本日只今より、両名共機動六課へ出向となります」
「どうぞ宜しくお願いします」

 そう言って敬礼するなのはとフェイトに、はやても敬礼と共にこう応える。

「こちらこそ、よろしくお願いします。なのは隊長、フェイト隊長」

 形式通りの就任挨拶を終え、久々に同じ制服で揃った幼馴染三人は、懐かしさと気恥ずかしさに笑い合う。
 中学校卒業と共に正式に管理局に入局した三人は、それぞれ別の道を歩き始めた。
 なのはは教導官、フェイトは執務官、そしてはやては捜査官。
 違う色の明日を目指して別たれた三つの道は、しかし再び一つに繋がった。
 それが一瞬の交錯に過ぎなくても、目指す明日は違うままでも、もう一度三人で「今」を生きられる。
 たったそれだけのことが、三人には堪らなく嬉しかった。

「頑張っていこーか!」

 気合いを入れるはやてになのは達も力強く頷こうとしたその時、非常事態を告げるサイレンの音が隊舎中に響き渡った。
 

340 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:11:22 ID:JyA5m82n
『緊急事態です。八神部隊長』

 動揺する三人の前にウィンドウが開き、眼鏡をかけ落ち着いた物腰の青年――グリフィス・ロウランの顔が映し出される。

「グリフィス君! これは一体何事や!?」

 絶妙なタイミングで現れた副官に、はやてが詰め寄る。
 その剣幕に気圧されながらも、グリフィスは己の仕事を全うするべく口を開いた。

『報告します。機動六課敷地内で中規模の戦闘発生、現在隊舎前でライトニング隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が戦っています』

 グリフィスからの報告に、はやて達の間に緊張が走る。
 正式稼動前とはいえ敷地内、それもこの隊舎前まで敵の侵入を許した上、迎撃に出ているのは経験の浅い新人四人……分が悪いにも程がある。

「これは、ちょっとマズいかもね……」

 ぽつりと呟かれたなのはの言葉に、はやても青ざめた顔で頷く。

「グリフィス君、敵の種類や数は? エリオ達は何と戦っているの?」

 はやての横からウィンドウを覗き込み、フェイトがグリフィスに問い質す。
 エリオもキャロもまだ十歳、その上戦闘の経験も皆無である。
 そして何より、フェイトにとって二人は部下である前に大切な家族なのである。
 泣きそうな表情でウィンドウを見つめるフェイトに、グリフィスは何故か複雑そうな顔で目を逸らした。

「……グリフィス君?」

 副官の不自然な行動にはやてが怪訝そうに眉を寄せる。

『いえ、ですから……「ライトニング分隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が」戦っているんです』

 言い辛そうに、本当に言い辛そうに繰り返されるグリフィスの報告――先程と同じ、しかし決定的に何かが違うその言葉に、なのは達は先程とは別の意味で息を呑んだ。

 まさか……。

 唖然とした顔で顔を見合わせる三人の前に、新たなウィンドウが表示された。
 外の様子を映し出したそのウィンドウの中では、……確かに「ライトニング分隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が」戦っていた。
 
 

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 12:13:15 ID:AXuEWvKM
支援

342 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:13:16 ID:JyA5m82n
 
 
「皆は僕達が守るんだああああっ!!」

 槍型のデバイス――ストラーダのブースターを噴かし、怒号と共にラゼンガンに突撃をかけるエリオ。
 砲弾のようにラゼンガンに体当たりし、そして吹き飛ばす。
 全長20mの巨体が宙を舞い、土煙を上げて地面に叩きつけられる。

『ぁ痛たた……こらー! 話を聞きなさいよ、この馬鹿ガキ共!!』
『そうそう! あたし達を誰だと思ってるの!?』

 憤慨したようにティアナとスバルの声で抗議するラゼンガンに、エリオは問答無用とばかりにデバイスを構え直した。
 その足元に展開される魔方陣――加速と防御の呪の込められたキャロの補助魔法が、エリオに力を与える。
 エリオの目つきが刃のように鋭くなり、瞳の奥では覚悟の炎が燃えている……再度突貫する気満々である。

『ティ、ティア! やっぱりウィングロードで人身事故起こしかけたのを怒ってるのかなぁ!?』
『アンタ馬鹿ぁ!? そんな悠長なこと言ってる余裕なんて無いでしょ!!』

 狼狽える上の顔を一喝する下の顔、その一瞬の隙をエリオは見逃さなかった。
 ストラーダのブースターを全開で噴かし、そして自身も全力で地を蹴る。
 一瞬でトップスピード――キャロの魔法の加護でそれ以上の速度域まで加速したエリオが、弾丸のようにラゼンガンに迫る。

『この馬鹿ガキ……いい加減にしなさいよ!!』

 怒髪天を衝く――寧ろ怒リル天を突く。
 ティアナの怒声と共にラゼンガンの全身からドリルが突き出し、触手のようにうねりながらエリオに襲いかかった。

「うわっ!?」

 咄嗟に防御陣を展開するエリオだが、迫り来る無数のドリルの触手の猛攻に抗しきれずに墜落、限界を超えた突進速度そのままで地面に叩きつけられた。

「エリオ君!?」

 撃墜されたエリオにキャロが悲鳴を上げながら駆け寄る。

「だ、大丈夫……!」

 そう言ってデバイスを杖代わりに立ち上るエリオだが、墜落のダメージで膝は震え、強がるような言葉とは裏腹に全然大丈夫そうには見えなかった。

 ラゼンガンからの思わぬ反撃、その事実に一番動揺していたのは、他ならぬラゼンガン自身だった。

『ちょっと、ティア!? 何反撃してるの!?』
「黙れ馬鹿スバル! アンタこの状況が解ってないの!?
 所長もはやて部隊長も言ってたでしょ? やらなきゃ殺られる、戦わなければ生き残れない……そう、これは戦争なのよ!!」
『その相手が根本的に間違ってるよーな気がするのはあたしの気のせいかなぁっ!?』

 絶叫するスバルを無視して、ティアナはラゼンのモニター越しにエリオ達を睨みつけた。
 この生意気なガキ共に灸を据えてやる……頭に血が上った今のティアナの思考は、その衝動一色に染まっていた。

「スバル、躾ってさ……ついハードになっちゃうものよね?」

 静かな、まるで凍てついたように静かなティアナの声に、スバルは思わず身を震わせた。
 ヤバい、このままじゃ洒落にならない……通信ウィンドウに映るティアナの顔から危険な何かを感じ取り、スバルはラゼンガンの制御を奪い取った。


343 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:14:47 ID:JyA5m82n
「えーと、あのね……」

 暴力はいけないと思うから話し合いで解決しよーと続く筈だったスバルの思いは、しかし言葉になる前に喉の奥で消滅していた。
 キャロが――白い小さな龍を従え、傷ついたエリオを守るように立つ桃色の髪の少女が、ラゼンガンを――否、そのコクピットシートに座るスバルを、睨みつけている。
 幼い瞳に浮かぶのは、大切な人を傷つけられた怒り、傷つけ合うことしか出来ない哀しさ、そして傷つき傷つけてでも大切なものを守る決意。
 覚悟の炎が、燃えていた。

「フリード」

 傍らを飛ぶフリード――卵の頃からずっと傍にいてくれている小さな「家族」に、キャロは優しい声色で語り掛ける。

「ごめんね、窮屈な思いをさせて……」

 フリードのこの小さな身体は、本来の姿ではない。
 大き過ぎるが故に恐れられ、偽りの器に押し込めた本当の力と姿――白銀の飛龍。

「私は自分の力が嫌いだった。フリードのことも、もしかしたら嫌いだったのかもしれない……」

 それは偽らざるキャロの本心だった。
 制御不能な力はキャロから居場所を奪い、孤独と恐怖を押しつけ続けた。
 破壊しか生まず、奪うだけで何も与えてくれない己の力――そしてその象徴、フリードリヒ。
 嫌わぬ筈が無い、憎まぬ道理が無い。

「でも……」

 しかし今、嫌っている筈のフリードの力を、憎んでいる筈の自分自身の力を、キャロは何よりも欲していた。
 奪われないために。
 守り抜くために。

「私はもう逃げない! フリードからも、自分自身からも!!」

 それは決意だった――自分自身と真っ直ぐに向き合う、そんな覚悟。
 それは覚悟だった――どんなに大きな力でも背負ってみせる、そんな覚悟。
 そしてそれは誓いだった――自分のこの力で優しい人を、自分に笑いかけてくれる人達を守り通す、そんな誓い。
 故に少女は力を求める、傍らの半身に力を請う。

「だからお願い、力を貸して……フリードリヒ!!」

 その言葉と共にキャロの足元に巨大な魔方陣が展開され、フリードが歓喜するように咆哮を上げる。
 名前は力を持つ――地球やキャロの出身世界アルザス≠ネど、次元世界各地に残る伝承である。
 魔法理論の発達した現代では迷信として廃れた思想だが、嘘の筈は無いとフリードは思う。
 現に名前を、自分の本当の名前を呼ばれただけで、自分はこんなにも力が湧いているのだから……。
 フリードの小さな身体が光と共に弾け、代わりに地上の魔方陣から巨大な影が浮上する。

「これが、フリードの本当の姿……?」

 呆然と呟くエリオを一瞥し、キャロは最後の仕上げに入る。
 名前は力を持つ――故郷アルザスに伝わる言い伝えを、キャロもまた信じている。
 ここ一番の大舞台に名乗りは不可欠、名前を飾る口上も欲しい。
 故にキャロは告げる、この名前を。
 自分の力を、自分達の存在を、世界に宣言する。

「白き閃光蒼穹を奔り、銀の翼が天を翔ける! 龍魂召喚フリードリヒ、私達を誰だと思っているの!!」

 凛としたキャロの名乗りに呼応して、白銀の飛龍――フリードリヒの咆哮が轟く。
 宝石のような瞳に輝く、闘争の炎と理性の光――かつて幾度となく暴走し、その度に何もかもを壊し続けてきたフリードリヒの力を、キャロは完全に制御していた。


344 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:16:36 ID:JyA5m82n
 初めての龍召喚成功。
 それはキャロにとっても、機動六課にとっても、本来喜ぶべき結果であろう。
 惜しむらくはその矛先が、龍使いの少女とその半身が敵意の牙を向けるその先が、他ならぬ機動六課の仲間であるということである。
 誤解という名の運命の皮肉に気付くことなく、指し手のいない盤上の駒達は最悪の結末へと進もうとしていた。

「ちょっとちょっとちょっとちょっとぉっ!?」
「何よアレ? 何よアレ!? あんなのアリ!?」

 巨大化したフリード――フリードリヒの姿に、スバルとティアナはラゼンガンのコクピットで、狼狽えたように声を上げる。
 フリードリヒの大きさはラゼンガンの半分程度、しかしその存在感は圧倒的である。
 白銀の飛龍の口元に光と炎が集い、激烈な輝きが周囲を眩く照らす。

「……やるしか、ないっていうの!?」

 血を吐くようなスバルの叫びと共に、ラゼンガンの全身から突き出したドリルが右腕に絡みつき、一本の巨大なドリルとして融合成長していく。

『ちょっとスバル、それはっ……!!』

 通信ウィンドウに映るティアナが血相を変えて叫ぶが、スバルは止まらない、止まれない。
 コンソール中央の渦巻き状のゲージ――スバルの螺旋力を示すそれは一向に上昇の気配を見せない。
 それはある意味、当然である。
 攻撃に迷いのある今のスバルに、自分を信じていない今のスバルに、螺旋力の発動など出来る筈が無いのだから。
 にも関わらず、右腕のギガドリルは巨大化を続けている、膨張を続けている。
 まるで風船のように外側だけが膨らみ続ける、中身の無い空っぽのドリル――それは今のスバルの心そのものだった。
 しかしそれでも、砲撃を貫き飛龍の大きくも小さな身体を貫く程度のことは、この空っぽのドリルでも可能なのだ。

 極限まで膨れ上がる二つの敵意と殺意が、次の瞬間、爆発した。

「ブラストレイ!!」

 キャロの号令と共にフリードリヒが火球を放つ。

「ギガドリルブレイク!!」

 スバルの絶叫と共にラゼンガンのギガドリルが咆哮を上げる。

 駆け引きも何も無い、純粋な力と力――想いと思いの正面衝突。

 そして次の瞬間……、

「え……?」

 その気の抜けたような呟きは、果たして誰の発したものであったのだろう。


345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 12:17:36 ID:AXuEWvKM
さらに支援

346 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:18:03 ID:JyA5m82n
 どちらかを必ず滅ぼす筈の二つの必殺の一撃は、しかしどちらを滅ぼすことも、それも互いに届くことすらなく、両者の中間で止まっていた。

 ……否、止められていた。

 背中合わせにラゼンガンとフリードリヒの間に立つ、二人の乱入者によって。

『なのはさん……?』

 桜色の防御陣でギガドリルを受け止める、亜麻色の髪の魔法少女がいた。

「フェイトさん……?」

 金色の防御陣で火球を押し止める、金の髪の魔導師がいた。

「皆……少し、頭冷やそうか」

 能面のように無表情な顔で、氷のように凍てついた声で、なのはがラゼンガンー―スバルを見下ろし、そう口にする。

「やんちゃが過ぎる子には、おしおきが必要だよね……?」

 額にうっすらと青筋を浮かべ、フェイトがエリオとキャロ、そしてフリードリヒを順番に眺め遣り、そう告げる。

 それは実質的な死刑宣告だった。

「「フルドライブモード」」

 二人の号令と共に、レイジングハートが槍型に、バルディッシュが大剣型に変形する。
 そして間髪入れずに魔力の充填を始める二人のオーバーS級魔導師に、四人の顔から血の気が引いた。
 慌てた四人が言い訳する余裕も、逃げ出す隙も与えることなく、二つの必殺を超えた超必殺魔法が、解き放たれる。

「スターライトブレイカー!!」
「サンダーフォール!!」

 その瞬間、桜色の光の奔流と金色の雷が、二人と一匹と一体を呑み込んだ。
 
 

347 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:19:00 ID:JyA5m82n
 
 
「……まさか運用初日から、しかも味方相手に限定解除使う羽目になるとは、流石に思わへんかったよ……」

 ウィンドウに映し出される、焼け焦げ、大きく穿たれた地面。
 その中心で目を回すライトニング隊前衛の二人と一匹と、ガラクタ同然まで破壊されたスターズ隊所属の巨大ロボの姿に、はやては万感の思いを込めて嘆息した。
 ウィンドウに映るグリフィスも呆れたような表情を浮かべている。
 四年越しで実現したはやての夢――機動六課。
 しかし待ちに待ったその船出は、早速悪天候どころか嵐に見舞われることとなった。
 新人四人への説教やら本部への始末書やらを思い遣り、はやてはもう一度大きく息を吐いた。

「……色々と波乱万丈やね、うん」

 現実逃避するようにそう零しながら、はやては手元のメモ用紙にペンを走らせる。

 ――第一回機動六課分隊対抗ガチンコバトル。
 ――結果:両分隊隊長の独り勝ち。

「負けんでぇ……ウチはこの程度では折れへんでぇーっ!!」

 自棄になったようなはやての空虚な雄叫びが、部隊長室に響き渡った。



天元突破リリカルなのはSpiral
 第6話「色々と波乱万丈やね、うん」(了)


348 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/27(日) 12:22:57 ID:JyA5m82n
以上、投下完了です。
今回の話は人によって好みや意見が分かれるかもしれませんが、言いたいテーマは「喧嘩両成敗」それだけです。

前回GJコールくれた方々、今回支援してくれた方、この場を借りてありがとうございます。

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 12:56:15 ID:61Uyx1lQ
GJ!!です。
勘違いでバトルとはどうしようもない。貴重な限定解除が・・・勿体無いな。
喧嘩を止めて成敗するのはいいが、やりすぎると備品の破壊などのせいで始末書の嵐と減給だwww

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 12:59:12 ID:RT/JJ+p7
なんという予想外の展開…w
強い時には宇宙最強、弱い時にはデカいだけ!
これぞ螺旋ロボ! …て感じでしょうか、うん。妥当な結末なんじゃないかな?

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 14:42:34 ID:rvOON0El
GJだよ!双方の勘違いがここまでなるとは。後、はやてどうやら先は厳しそうですなぁ!

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 15:22:04 ID:zP7j52CP
ただ今予約が空いているようですので、15:30から19氏のDBZクロスの代理投下を開始します。
書いてありませんでしたが、二十一話のようです。

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 15:31:57 ID:V68E2Ho/
進路クリア、投下どうぞ

354 :19氏代理投下 0/9:2008/04/27(日) 15:33:00 ID:zP7j52CP
では時刻になりましたので、代理投下を開始します。9レスです。

355 :19氏代理投下 1/9:2008/04/27(日) 15:33:22 ID:zP7j52CP
「どうする?もうやめるか?」
「まだやれます!!」
「そうか…。なら掛かって来い、トランクス!!」
「はい!!」
そう言った後、高速で俺に近づいて接近戦を仕掛けてくる
それを防御と回避で凌ぐ
ある程度防いだ後、トランクスの放った拳を体を傾けて回避し足払いを掛ける
「わ!!」
そして足を掴んで上空に投げ飛ばす
ある程度飛んだ後、体勢を立て直してブレーキを掛けて空中に留り
「はあ!!」
両手を合わせてエネルギー波を放ってきた
それを左手で弾き飛ばす
その瞬間トランクスは俺の背後に現れて跳び蹴りを放つ
俺は体を前に倒して避けて、その体勢のままトランクスの顎を蹴り上げ、回し蹴りで蹴り飛ばす
「うわあ!!」
トランクスはある程度吹き飛ばされた後地面に手を付け体を反転させ瞬時に体勢を立て直す
それを見た後、高速で近づき接近戦を仕掛ける
トランクスは俺の攻撃を防御で凌いでいる
…前に修行を付けた時よりずっと強くなってる
俺と同じように一人でもかなり修行をしてたみたいだな
「く!!」
そろそろトランクスの体力も限界かな…
俺は一旦攻撃をやめ、トランクスの方を向いたまま後ろに下がる
数瞬遅れてトランクスは俺を追いかけて来る
そしてトランクスの間合いに俺が入った瞬間
「だあああああ!!」
トランクスは拳を放つ
その拳が俺に当たる瞬間、俺は残像を残すように高速移動をする
「え?」
俺の残像はトランクスの攻撃が当たった瞬間に消える
その瞬間俺はトランクスの背後に現れて、トランクスを蹴り上げる
「うわああああ!!」
トランクスは渦が巻いている海に落ちていった
「わ、わぷ!!た…助けてえ!!」
「何だ、もうバテのか?」
あれくらいならすぐに上がってくるだろ
………思った通り数分も掛からないうちに上がってきた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
「ほら。」
そう言ってトランクスにタオルを渡す
「あ、ありがとうございます。」
少し経った後、トランクスが顔を拭き終わる
「あの、悟飯さん。」
「ん?どうした?」
「ボク…ちゃんと強くなってますか?」
「ああ、ちゃんと強くなってるさ。」
「そうですか。」
そう言って嬉しそうに笑った
「でも…まだ超サイヤ人にはなれないんですよね。」
「前にも言ったように超サイヤ人になるには強い怒りが必要なんだ。」
「怒り…。」
「………そうだな…」
そう言って俺は歩きだす
トランクスも俺の後を付いてくる

356 :19氏代理投下 2/9:2008/04/27(日) 15:33:44 ID:zP7j52CP
少し歩きに西の都が見える所で足を止める
「例えば俺やブルマさんが何者かに成すすべもなく殺されるところとか、
ここから見える大分復興が進んできた西の都が破壊されるところを想像してみろ。」
「は、はい。」
………少しずつトランクスの気が膨れ上がってくる
「ぐ…ううううううう!!」
纏っている気の色が青白い色から金色に変わる
「あああああああああああ!!」
髪の毛も逆立ち始めた
「もっとだ!!もっと怒れ!!」
トランクスの気がどんどん膨れ上がる
「あああああああああああああ!!!!」
あと少しだ…あと少しで超サイヤ人になれる
「あ!!」
纏っていた気が消え髪の毛も元に戻り、トランクスは膝を衝く
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「大丈夫か?」
「は…はい…。…くそ、どうして超サイヤ人になれないんだ…。」
「もう少しだ、トランクス。俺の父さんもベジータさんも、勿論俺も超サイヤ人になるのに
物凄く苦労したんだ。大丈夫、おまえは必ず超サイヤ人になれるさ。」
「………あの、悟飯さん。」
「ん?」
「ボクの父さんってどんな人だったんですか?ボクが生まれてすぐに死んじゃったし、
母さんもあまり話してくれなくて…。」
「…あまり優しさとかを表に出す人じゃなかったな。でも、おまえとブルマさんの事は
いつも気に掛けた。そして凄く強くて誰よりも誇り高い戦士だった。」
「………悟飯さん。」
「どうした?」
「ボク、もっと強くなります!!今度何かあった時は悟飯さんと一緒に戦えるように!!」
「そうだな…ずっとこの平和が続くのが一番いい。だけど…いつまたとんでもない奴が
現れるかはわからないからな…。トランクス、その時は頼りにさせてもらうぞ。」
「はい!!」
「さて、ブルマさんが朝ご飯作って待ってるだろうし戻ろっか。」
「はい。」

「ただいまー。」
「お邪魔します。」
「お帰り。もう出来てるから座っちゃって。」
そう言われて俺とトランクスは席に付く
「まだ食べ物とか十分に手に入らないけどその辺は腕でカバーしてるつもりよ。」
そう言った後、ご飯を持って来てくれた
「さ、食べて。」
「「いただきまーす!!」」
ご飯に味噌汁にサラダに肉など色々な物を食べていく
ブルマさんの料理もおいしいなぁ
「おかわりお願いします!!」
「ふふ、やっぱそっくりね。」
「え、何がですか?」
「その胴着着て、そんな食べ方してるとお父さんの孫君そっくり。
それに孫君と同じように世界を救っちゃうなんてね。」
「この胴着は父さんのようになれたらって思って作ったんですよね。
後…人造人間を倒せたのは俺一人の力じゃありませんよ。」
「それって、悟飯さんが前に言ってた別世界の出会いってやつですか?」
「そう。あの出会いが無かったら、多分俺は人造人間に殺されてただろうな。」
はやてに出会って…一緒に暮らして…シャマルさん、ヴィータ、シグナムさん、ザフィーラさん
と一緒に戦って…なのはやフェイト達と戦って…リインフォースさんの自殺を止めて…

357 :19氏代理投下 3/9:2008/04/27(日) 15:34:05 ID:zP7j52CP
あれから…もう…九年になるのか…
「私も前にその話を悟飯君に聞いて研究してみようと思ったんだけどね…」
「気にしないでください。今の状況じゃしかたないですよ。」
俺が17号、18号を倒して九年になるけど…奴等の残した爪跡は大きかった
食べ物、エネルギー、物、人…何もかもが足りてない
ここ、西の都は比較的余裕があるけど殆どの地方は食べていくだけで精一杯って感じだ
この状況を何とかするためも、やらなければならないことは山ほどある
…そう言えばけっこう前にブルマさんが『時間移動の理論は出来てるのよねぇ。』って
言ってたっけか
そのうち本当に別世界にいく機械とか作りそうだな…
「そういえば悟飯君の噂、よく聞くわよ。世界中飛び回って復興作業を手伝ってるんだってね?」
「ええ、まぁ。」
俺は17号、18号を倒してからは世界中を飛び回って復興作業を手伝ってる
みんなが少しでも失ったものを取り戻せればって思って始めたんだったな
勿論修行も続けてる
「偉いわねぇ。」
「はぁ…。」
「家のトランクスも毎日西の都の復興手伝ってるのよねぇ。私の手伝いもよくしてくれてるし。
よく悟飯君のようになりたいって言って一人でも修行もしてるみたいだし。」
…トランクスに修行をつけ始めたのは七年前…トランクスが六歳の頃だったな
トランクスが自分に修行を付けてくれって言ったのが切欠だったな
最初の頃はどう教えていいかわからなくて武天老師様によく相談してたな
そういえば…より厳しい修行を付けてくれって言い出したのは四年前だったな
四年前…俺が13号、14号、15号と戦った時…
トランクスも俺の気を感じて氷河地帯に来ようとしてたみたいなんだけど、ブルマさんに
『今のあんたが行っても悟飯君の足手まといにしかならないわよ!!』って言われたらしい
悔しかったんだろうなぁ
その気持ちはよくわかる
だから今では俺の持ってるもの全てを叩き込む気で教えてる
護りたいと思ったものを必ず護れるように…
後、ブルマさんは俺がトランクスに修行を付ける事に反対はしていない
曰く、『こんな時代だしやりたい事はやらせてあげたいのよ。それに、サイヤ人が
どういう生き物なのかよくわかってるつもりだしね。これくらいでどうこう言ってたら
ベジータの妻なんて務まりっこしないわよ。』と言う事らしい
ブルマさんらしいや
「母さん、ボクもおかわり!!」
「はいはい。ホント、あんた達はよく食べるわねぇ。」

「それじゃ俺はそろそろ行きますね。」
「今日はどこに行くつもりなの?」
「とりあえず一回家にに顔を出してからここの反対側辺りに行こうと思ってます。」
「そう。ちゃんとチチさんにも顔を見せなさいよ。前会った時も悟飯君のこと心配してたわよ。
最近顔見てないけど大丈夫なんだろうか?って。」
「あー…気をつけます。」
ちょっと忙しかったからなぁ…気をつけないと
「悟飯さん。」
「何だ、トランクス?」
「ボク、もっともっと強くなります。次に会った時悟飯さんがビックリするぐらいに。」
「それは楽しみだな。」
そう言ってトランクスの頭を撫でる
「えへへ。」
「頑張んなさいよ、トランクス。」
「うん!!」
「それじゃ、また近いうちに来ますね。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「気をつけてね。」

358 :19氏代理投下 4/9:2008/04/27(日) 15:34:25 ID:zP7j52CP
トランクスとブルマさんに見送られて西の都を後にした

やっぱ空を飛んでると風が直接当たって気持ちいいな
少し遠くを見てみれば鳥が楽しそうに飛んでる
平和ってホントにいいなぁ
下を見下ろしてみると………あれは………
しょうがないな、まったく
少しスピードを上げて前に出た後、急降下して着地する
「「「わー!!」」」
目の前で三体のマシンが止まる
「いい加減悪いことは止めろ、お前達。」
「あー!!貴様は!!」
「奴です!!孫悟飯です!!孫悟空の息子の孫悟飯です、ピラフ様!!」
「ど、どうするんですか?ピラフ様〜?」
「くー!!何度も何度も親子揃って我々の邪魔をしおって!!」
「邪魔されたくなかったらこんなことはもう止めろ。」
「黙れ黙れ!!人造人間を倒してくれた礼を言ってやろう!!だがしかーし!!
世界を支配すのこのピラフ様だ!!行くぞ!!シュウ!!マイ!!合体だ!!」
「「おー!!」」
そして三体のマシンが合体する
「喰らえ!!ミサイル発射だ!!」
合体したマシンからミサイルが放たれる
それを蹴り上げて斜め上空に飛ばした後エネルギー弾を当てて破壊する
「なあ!?」
「はあ!!」
合体したマシンの右肩部分にエネルギー波を当ててその部分を破壊する
「た、大変ですピラフ様!!超特殊装甲SPが一撃で破壊されました!!」
「いちいち報告せんでもわかっとるわ!!こうなったら秘密兵器発動だ!!」
そう言った後辺りにピンク色のガスが充満する
俺は鼻と口を腕で覆いバックスッテプで距離を取る
「く、毒ガスか!?」
「誰がそんな恐ろしい物使うか!!これはな…吸ったらクシャミが止まらなくなるガスだ!!」
…クシャミ………それはそれで厄介だな…
「どうだ、手も足も出まい!!なーっはっはっは…ハックション!!な、どういうハックション!!」
「破壊されハックション!!部分かハックション!!ガスが入ってハックション!!来てハックション!!」
「ハックション!!シュウ!!あハックション!!ボタハックション!!押せハックション!!」
「ハックション!!赤ハックション!!ですハックション!!」
「ま!?」
突如合体したマシンが大爆発を起こす
「あーーーーーーれーーーーーーーハックション!!!!」
「もうこんなのヤダ…ハックション!!!!」
「覚えていろーーーーーーーーーハックション!!!!」
三人とも爆発でどっか飛んでいった
………さて、家に帰るか

「あ、そうだ。」
少し進路を変えて店を探す
たしかこの辺りに…あったあった
着地して店の中に入る
「すみませーん。」
「はーい。」
定員さんが返事を返してくれた
「そこにある白い花の花束、八つください。」
「わかりました、少々お待ちください。」
少し待っていると、白い花の花束を袋に入れて持って来てくれた

359 :19氏代理投下 5/9:2008/04/27(日) 15:34:45 ID:zP7j52CP
「合計で八千ゼニーになります。」
「あ、はい。」
「丁度ですね。ありがとうございました。」
お金を払い店を出た後、空に上がりパオズ山に向かう

「お久しぶりです。」
俺はパオズ山で一番見晴らしがいい場所…
父さん、ピッコロさん、ベジータさん、クリリンさん、ヤムチャさん、天津飯さん、
餃子さん、ヤジロべーさん…みんなが眠る場所…みんなのお墓がある場所に来た
「少し日が空いてしまってすみません。」
みんなのお墓に花束を置いていく
「父さんとベジータさんとヤジロベーさんは花より食べ物の方がよかったでしょうけど…我慢してくださいね。」
みんなの墓石の汚れてる部分をタオルで拭っていく
「あれから…もう九年も経ちました…。」
風が少し吹く
「沢山の命が失われて…沢山のものが失われて…沢山の人が泣いて…。」
風が止んで音が無くなる
「だけど…平和が戻って…ちょっとずつですけど…元に戻ってきています。」
雲が流れたようで影が出来ていた部分が無くなる
「この平和は…何が遭っても…俺が…俺達が必ず護っていきます。」
みんなの墓石を見つめる
「父さんの息子として…ピッコロさんの弟子として…サイヤ人として…地球人として…。」
脳裏にみんなの顔が過ぎる
「だから…安心してください。」
「クアー。」
「ん?」
声がした方を見るとハイヤードラゴンが来ていた
「ハイヤードラゴン!!」
「クアー!!」
俺の傍に着地して擦り寄ってきた
「久しぶりだな。元気だったか?」
撫でてやりながらそう尋ねる
「クア。」
「そうかそうか。」
ふと見ると手に八本の花を持っていった
「そっか…お前も花を持って来てくれたんだな。」
「クア。」
ハイヤードラゴンはみんなのお墓に花を置いて俺の隣に立つ
「黙祷しよう。」
「クア。」
そう言って一緒に目を瞑る
………………………………………
目を開けてまたみんなのお墓を見る
「また…近いうちに来ます。」
そう言った後、ハイヤードラゴンと一緒にお墓を後にする
「俺はこれから家に帰るけど、おまえはどうする?」
「クア。」
ハイヤードラゴンは少し屈んで俺に背中を向けてきた
乗っていけってことか
「お前に乗るも久しぶりだな。」
そう言ってハイヤードラゴンの背中に乗る
こいつも大きくなったなぁ
子どもの頃より背中がずっと大きいや
「それじゃ頼むぞ、ハイヤードラゴン!!」
「クアー!!」

360 :19氏代理投下 6/9:2008/04/27(日) 15:35:05 ID:zP7j52CP
「お、速い速い!!」
体の大きさだけじゃなくスピードもかなり上がってるなぁ
家にはあっという間に着いた
「ありがとう、ハイヤードラゴン。」
「クア。」
ハイヤードラゴンは少し離れた所に歩いていった
…気を遣ってくれたのかな
ドアを開けて家に入る
「ただいま。」
「悟飯!!」
母さんが俺に近づいてくる
「ただいま、母さん。」
「悟飯、怪我とか病気とかしてねえだか?」
「大丈夫ですよ、母さん。俺は元気です。」
「今何か飲み物を淹れくるから、そこに座ってろ。」
「はい。」
俺は椅子に座って少し立った後、母さんがお茶持って来てくれた
俺は持って来てくれたお茶を飲む
「あ、このお茶おいしいですね。」
「前にブルマさんに会った時に貰ったやつだ。ブルマさんのお勧めの一品らしいぞ。」
「そうなんですか。」
しばらく母さんと談笑する
「………悟飯。」
「なんですか、母さん?」
「やっぱりまだ………。」
「………すみません、母さん…。」
湯のみをテーブル置いて母さんに向き直る
「平和が戻って大分たったとはいえ復興には…昔にのようになるにはまだまだ掛かります。
ドラゴンボールももう無いですから神龍に頼んで元に戻してもらうことはできません。
人も資材も何もかもが全然足りてないですけど、それでもみんなで何とかしいかねばなりません。
俺の持ってる力は復興とかにも使えますし…。それに…」
「それに?」
「もしまたとんでもない奴が現れても…今度はちゃんと護れるように…今度はなんの犠牲も
出さないようにするためにも…修行はずっと続けていきます。」
「………。」
「せめて、もう少し復興とかが形になるまでは一緒には暮らせないと思います。」
「………………………………。」
「………………………………。」
「………………もういいだ。」
「母さん?」
「まーったく、顔つきや体格が悟空さ似るだけならまだしもオラの言うことちっとも
聞かねえとこまで似ちまってよ。しかも悟空さと同じで一銭も稼がねえし。」
「いや…その…それを言われるとその…色々…心苦しいですけど…。」
「まあいいでねえだかチチ。」
「お祖父ちゃん!!」
「おっ父!!」
ドアを開ける音と同時にお祖父ちゃんが入って来た
「悟飯、しばらく見なかったけど元気だっただか?」
「はい。あ、荷物俺が持ちますよ。」
「悪いだな。」
お祖父ちゃんの持っていた荷物を戸棚の近くに置く
「チチ、子どもはいつか親の前から巣立っていくものだ。それに悟飯は自分の行く道を
自分で決めてるだ。それなら親は笑顔で見送ってやんねえとならねえ。」
「わかってるだよ。」

361 :19氏代理投下 7/9:2008/04/27(日) 15:35:26 ID:zP7j52CP
母さんは俺に近づいて俺の肩を掴む
「オラはもう何も言わねえ。おめえの好きにしたらええ。でもこれだけは約束してけろ。」
「約束?」
「ぜってえ死なねえって。」
「大丈夫ですよ母さん。俺は死にません。何が遭っても。」
「そうか。ならええだ。」
「ほんと、子ども成長は早えだな。ちょっと前まではこれぐらいだったのに、もう一人前の
男の顔するようになっただ。」
「お祖父ちゃん…。」
「せっかくだ。みんなで写真でもとるべ。」
「そうだな。そうするべ、悟飯。」
「はい。」
母さんは椅子に座って、俺がその隣に立ち、カメラのセットの終わったお祖父ちゃんが
後ろに来て俺と母さんの方を掴む
そしてカメラの鳴る音がする

「体には気をつけるんだぞ、悟飯。」
「はい。」
「こっちのことは気にしなくていいだ。よくハイヤードラゴンが遊びに来てくれてるから
あんま寂しくねえだからな。」
「そうなんですか。」
ハイヤードラゴンにも色々気を使わせてるなぁ
「それじゃ、できるだけ近いうちに帰ってきますね。」
「楽しみにしてるだ。」
俺は空に上がり家を後にする

「クアー。」
ある程度飛んでいるとハイヤードラゴンが声を掛けてきた
「ハイヤードラゴン。」
近くに行って顔を撫でる
「何かおまえにも色々気を使わせてたみたいだな。」
「クア。」
気にするなって言ってるようだ
「できるだけ近いうちに帰ってくるからその時一緒に遊ぼうな。」
「クア!!」
「それじゃ、またな。」
「クア。」
ハイヤードラゴンは手を振って見送ってくれた

かなり上空を飛行しながら飛んでいる
ここまで高いと翼竜とかとぶつかりそうになることはない
でも最近は飛行機とかヘリコプターとかも飛ぶようになってる…
航空路とかには気を付けないといけない
「ん?」
急に大気の震えを感じて一旦止まり辺りを見渡す
「何もないな…。」
今度は上を見てみる
「な!?巨大隕石!?」
何でこんな物が…いや、考えるのは後だ
気を開放して隕石を受け止める
「ぐ!?」
思ってた以上に衝撃が強い
止まらずに徐々に地上に向かっていく
こんなものが落ちたら…
「はあああああああああああ!!!!」

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 15:35:44 ID:4YiwsvFN
支援

363 :19氏代理投下 8/9:2008/04/27(日) 15:35:46 ID:zP7j52CP
気を爆発させて超サイヤ人になる
「な…ぐ!?」
まだ止まらない
速度は遅くなってるが地上にぶつかるのが先だ
こうなったら…
「かぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…はぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…」
こいつをかめはめ波で消し飛ばす
「波あああああああああああああ!!!!」
零距離で放った俺のかめはめ波は隕石を飲み込み徐々に崩壊させていく
よし、これで…
「な!?」
ある程度崩壊したら隕石は爆発し、俺はそれに飲み込まれた




















「ん?」
気絶してたみたいだ…
ここは…どこだ…
知らない場所だ…
明るさからみて…夜ってことはわかる
今の俺の状態は…胴着がボロボロってことぐらいで特に異常はないな
だけど…気絶していて気が付いたら知らない場所いるっていうのは…
これで三回目か…
「ここは…鳴海…か?」
だけど今居る場所は見たことのない場所だ…
しばらく歩いて様子見たほうがいいな
俺は道なりに沿って歩き始める

歩き出して少したったけど…町とか村は見えないな
せめて看板でもあれば…
気を探すというのもあるけどどこに居るかわからない以上この星全部を探ることになる
その中からはやて達の気を探すとなると…かなり厳しいぞ
魔力を探ることはできないし…みんなの気も一般人と同じくらいだからなぁ
近くにいるんか場所がわかるんならともかく…せめて大体の位置さえわかればなぁ…
俺の居た世界と違って飛んでるところを見られたら騒ぎになるだろうし…
うーん…今日はこのまま野宿かな?
ん?
後ろの方で車が止まったな…
人が降りて来た…

364 :19氏代理投下 9/9:2008/04/27(日) 15:36:07 ID:zP7j52CP
「悟飯…?」
降りて来た人は…
この気…そしてあの顔つき…
「はや…て…なのか?」
「悟飯!!」
「おっと。」
はやてが飛び込んできたので受け止める
「はやて?」
「う、うえぇぇ…ひっく…うう…ひっく。」
「はやて!?」
泣いてる!?
「あ、いや、その、はやて、えと…。」
言葉が出ない
結局はやてが泣き止むまでこのままの状態で待つことにした
しばらくするとはやてが顔を上げて俺の方を見てきた
「悟飯…。」
「?」
「おかえり。」
「ただいま。」

365 :19氏代理投下 あとがき:2008/04/27(日) 15:36:54 ID:zP7j52CP
343 名前:19[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 02:50:09 ID:uglQrDQM
投下完了です

sts本編に入るのは次かその次ぐらいかなと思ってます
もう少しペース上げれないかな…
時間が欲しいな…







以上、代理投下を終了します。19氏乙でした。

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 16:00:56 ID:aDlulzEO
GJ
やっと御飯ははやてと会いましたか……感慨深いですね……。
StS編が待ち遠しいです。


367 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 17:31:05 ID:HbdPHhY8
乙です。
自分も夜の9時ごろにグラヴィオンStrikerSの第3話を投下したいのですがいいですか?

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 17:52:12 ID:lxttvJ5q
GJ!!
大人悟飯がこれからどう頑張っていくのか楽しみです。
しかしどう考えてもスカ一味は涙目にww




369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 18:12:08 ID:lJShCD5u
>>367
いいと思いますよ!
予約はないから、支援するぜ!

370 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 18:13:00 ID:c1BIzlHN
ドラゴンボールとは懐かしい!しかも私の好きな悟飯とはwww

さて、自分も1830ごろに投下したいのですがよろしいですか?

371 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 18:21:16 ID:lJShCD5u
ドラゴンボール……
スカ博士はドクターゲロぐらいに開き直らないと勝てないなw
GJです!

そして、THE OPERATION LYRICAL氏の次に投下予約しても構いませんでしょうか?

372 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 18:30:57 ID:c1BIzlHN
時間になったので投下します〜。

ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL



第6話 リボン付きと銃士


銃士は振り返らない―故に自分を省みない。


まだ焦げ臭い匂いが鼻を突くホテル・アグスタ周辺の森の中。
破壊されたガジェットの残骸を調べて回る管理局の人間たちに混じって、メビウス1はある探し物をしていた。
「上から見た限りじゃ、この辺に落ちたんだが…」
携帯式のGPSを手に、メビウス1は周囲を注意深く見渡す。
彼の探し物とは、撃墜した敵戦闘機タイフーンの残骸だった。ほとんどの敵機は皆空中で四散してしまったが、唯一シグナムがレヴァンティ
ンで撃墜したものだけは比較的形を保ったまま地面に落ちたはずだった。
「しかし墜落の衝撃でばらばらになっている可能性が大きい―何か気になるのか?」
同行するのはシグナム。彼女としては、何故メビウス1が撃墜された敵機を探すのか理解しかねるところがあった。
「ああ、ちょっとな」
適当に返事をして、メビウス1は森の奥深くへと足を進めていく。
やがて、並木がぐしゃぐしゃに薙ぎ倒されている光景が目に映る。同時に、パイロットの彼にとっては嗅ぎ慣れた航空燃料の匂い。
もうすぐだな―歩みを進めていくと、予想通りだった。完全にバラバラになったタイフーンの残骸が抉られた地面に散らばっていた。
「これは―酷い有様だな」
「ヒコーキが落ちるとこんなもんだぜ」
自分が落としたとはいえ、原形を留めている部品がほとんどないタイフーンの成れの果てにシグナムは少し顔をゆがめた。
一方でメビウス1はほとんど動揺もせずただ一つだけ、どこの部分であったか判別できる残骸―コクピットに近寄っていく。
「…やはり、か」
ひび割れの入ったキャノピーの奥を見たメビウス1はため息を吐いた。
「どうした?」
「見なよ、こいつは幽霊でも乗っていたのかって疑いたくなる」
彼に言われて、シグナムはコクピットに近付きキャノピーを覗き込んで我が目を疑った。
もし、このタイフーンをパイロットが操縦していたのならコクピットにはその遺体でも転がっているはずだ。
それなのに、コクピットには誰も座っていない。
「無人機ということか」
「ああ。それも、非常に高度な奴だ」
無人機、と言うこのタイフーンの正体にメビウス1は自分の世界にあった無人機の存在を思い出す。
―いや、あれは全てスカーフェイス1が撃墜したはずだ。
よくよく考えればガジェットも無人機だ。タイフーンもそのシステムを応用して無人化されたのだろう。
「シグナム、この残骸回収できないか?六課で調査して欲しいんだが」
「分かった。これほどのものを回収するにはヘリが必要だな、ヴァイスを呼ぶ」
まさか、な―彼女の返答に頷きながら、しかしメビウス1は胸のうちの疑念を払いきれなかった。

373 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 18:32:17 ID:c1BIzlHN
純粋に悔しかった。
ホテル・アグスタから撤収してその日のうちに、まだ疲労の残る身体を動かしていた理由はただそれだけ。
ティアナは六課の敷地内にある森の中、ひたすら自主練に励んでいた。
周囲に浮かぶ擬似目標の光球を、クロス・ミラージュで射撃。もちろん実際に魔力弾を撃つ訳にはいかないので、クロス・ミラージュが命中
判定を出す。
「はっ…はっ…はっ」
無限に出現を続ける光球を落とし続けてもう4時間。自主練は夕方から始めたが、辺りは暗くなっている。
「…ぷはっ」
クロス・ミラージュが外れの判定を下し、ティアナは動きを止めて地面に寝転がった。
目を瞑ると、脳裏によみがえってくるのは火の鳥となって特攻を仕掛けてくる敵機の姿。それから必死に逃げようとする自分。
そして、そんな自分をあざ笑うかのように敵機を撃墜する味方のはずのF-22。
「認めない、絶対に―」
各部は疲れ切っていて抗議してくるが、無理やり彼女は身体を奮い立たせると訓練を再開させる。
彼女が戦闘機―質量兵器を忌み嫌うのは管理局員としてもだが、それ以上に大きな理由があった。

「あれ、これって―」
一連のガジェットによる襲撃事件の首謀者の調査のため、過去の事件を洗い直していたフェイトは偶然、見覚えのある名を見つけた。
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「なのは、これ…」
過去の事件のリストおよび資料を取り出すのを手伝ってくれたなのはに、彼女はその名の載ったファイルを見せた。
ファイルは数年前に多発した、ある質量兵器による破壊活動をまとめたものだった。事件の対処に当たった管理局側の被害も事細かに記載さ
れていた。
その中に、名前があった。ティーダ・ランスター1等空尉と。
「ああ―うん、ティアナのお兄さんだよ」
「殉職されてたんだ…」
フェイトの言葉に、なのはは沈痛な面持ちで頷いた。
その質量兵器は構造は管理局のデバイスに比べればはるかに原始的だったが、誰でも短期間で完璧に扱えて、しかも故障はまったくないとい
う管理局にとって厄介極まりないものだった。
ティーダはこの質量兵器に真っ向から立ち向かい、そして死んだ。至近距離から弾丸をフルオートで浴びせられたため、遺体は見るも無残な
状況になっていたという。

穴だらけになって、変わり果てた兄の姿を見たティアナは信じられない言葉を聞いた。曰く「武装隊の恥さらし」、曰く「管理局の面汚し」、
曰く「役立たずの能無し」。
だから、彼女は質量兵器と言う存在を憎んだ。兄を奪うどころか、兄を侮辱する人間すら生み出したその禍々しい存在に。
それなのに質量兵器に二度も助けられた自分。
「情けない―!」
またしてもクロス・ミラージュは外れの判定。先ほどから照準にブレが大きくなっている。
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて、彼女はクロス・ミラージュを待機モードに戻した。
さすがに今日はここまでだろうか。身体に圧し掛かる疲れは尋常なものではない。
そんな時、突然森の外から拍手する音が聞こえてきた。
「よう―頑張ってるな、ランスター」
は胸のうちの疑念を払いきれなかった。

374 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 18:34:39 ID:c1BIzlHN
愛機F-22の点検を終えて、自室に戻ろうとしていたメビウス1は森の奥で不規則に消えたり浮かんだりする光を見つけた。
気になって足を運んでみると、ティアナが拳銃らしきもので―あれが彼女のデバイス、いわゆる魔法の杖らしい―光球を追っていた。
なるほど、あれは訓練なのだ。そう思ったメビウス1は感心しつつ、拍手をしながら彼女の前に現れたという訳だ。
「こんな時間まで練習とは仕事熱心なことだ」
「…必要と感じたので」
純粋な気持ちを口に出したのだが、ティアナはぶっきらぼうに答えて、またクロス・ミラージュを起動させた。
嫌いな人間の前で無理にでも強がっているのかもしれない。もっともメビウス1はそんなことに気付かず、彼女の訓練を見ていた。
「しかし―もう夜も遅いぞ?続きは明日にして、今日は休んだらどうだ?」
時刻はすでに深夜と言ってもいい。メビウス1も自室に戻ればシャワーでも浴びてさっさと寝床につくところだった。
「お構いなく。あたしにはあたしのリズムがあるんで」
しかし、なおもティアナは訓練を続けた。なんだか返事も先のものに増して無愛想だ。
―関わって欲しくない、って感じだな。まぁ俺がアレに乗ってるのが大きいんだろうが。
以前も自己紹介の時、ティアナは自分に対して嫌悪感のようなものを露にしていた。それはやはり、自分がこの世界では禁忌とされている質
量兵器を扱っているところが大きいのだろう。
「―君が、俺のことを気に食わないのは分かってるつもりだ。質量兵器を扱ってる訳だし」
メビウス1の言葉に、ぴたりとティアナの動きが止まった。
「だが休める時は休むべきじゃないのか?それも仕事のうちだし、何より動きたい時に動けなくなる」
「……あたしは、凡人ですから。人よりずっと多く練習しないと、動けても役に立てません」
「凡人?冗談よしてくれ」
メビウス1は苦笑いを浮かべた。少なくとも彼の世界でティアナのような存在がいたら非常に重宝されることだろう。リニアレールでは落ち
てきた爆弾を迎撃し空中で炸裂させ、ホテル・アグスタではF-117を一機撃墜しているのだから。
「君ほどの人間が凡人だったら世界がひっくり返るぞ」
「―あなたに、何が分かるって言うんですか」
振り返り、こちらを見つめてくるティアナ。見つめるというよりは、明らかに睨み付けると言った方が正しい眼力だった。
「あたしは凡人だから、人より練習しないとダメなんです!今日だって、未熟だからあの戦闘機を落としきれずに…」
「いや、あれは―」
「あたしは兄を殺した質量兵器の助けなんか受けたくない!だから、もっと練習しないと…帰ってください、集中できない」
声を荒げて、ティアナはメビウス1から視線を離すとクロス・ミラージュを構え直して訓練を再開しようとする。
だが、そんな彼女の肩をメビウス1の手が掴んだ。

375 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 18:35:52 ID:c1BIzlHN
「ランスター、事情は知らんがお前が俺の助けを受けたくないのは分かった。だがな、戦闘はゲームじゃないんだ。あいつの支援は受けた
くないです、でやられたらどうする。その時死ぬのはお前だけだがお前の穴は誰が埋めるんだ」
まっすぐに彼女の瞳を見据えて、メビウス1は力強く言った。もしかしたら、多少怒気が入っていたかもしれない。
今のティアナはかつての自分に似ていた。まだ愛機がF-4Eファントムだった頃、黄色中隊の攻撃で後席の相棒を失い、復讐鬼となりかけてい
た自分に。
「…やられないために、こうして練習してるんです」
ティアナはメビウス1の手を振り払い、彼から少し遠ざかる。
「違うな。今のお前は自分を見失ってるだけだ。嫌いな奴に手助けされたから、自分は未熟だと思い込んでる」
「なのはさんやスバルたちに比べれば実際に未熟です」
「だから違う…あー、ったく。ああ言えばこう言うんだな」
なのはは普段教導隊員―俗に言うアグレッサーとして教官をやっていると聞いたが、その任務の辛さが分かったような気がした。
どれだけ正しい教導も相手が理解せず拒絶してしまえば、まったく意味はないのだ。
「―よし、こうしよう。明日の訓練が終わったらまたここに来い。俺と模擬戦だ」
「……え?」
メビウス1の思わぬ言葉に、ティアナはキョトンとしてしまう。
「もちろんF-22と対決しようって訳じゃない。相手は俺自身だ。生身ってことだよ」
「生身って…あなた、確か魔力はないハズでは…」
「こっちの世界の技術は凄いもんでな」
そう言って、メビウス1が懐から取り出したのは一見何の変哲も無いISAF空軍正式の九ミリ拳銃。発射するのは通常の弾丸ではなく、マガジ
ン内の魔力から生み出される殺傷、非殺傷設定選択可能な魔力弾だ。性能はともかくこれなら魔力のないメビウス1でも扱える。
本当にやる気だ。ティアナは思わず、息を呑んだ。
「お前が勝てば俺はもう何も言わん、好きにするんだ。ただし、俺が勝ったら…そうだな、原隊に復帰しろ」
「!」
元はと言えばティアナは陸士三八六部隊からはやての勧誘を受けて六課に配属されたのだ。原隊復帰とは、元の部隊に戻ることを意味する。
要するに彼はこう言っているに等しい。「負けたら荷物まとめて尻尾巻いて帰れ」と。
「軍人とは言え俺は歩兵じゃない、パイロットだ。そんなのに負けたらお前はお前の言うとおり凡人ってことだ。六課に凡人は必要ない。心
配するな、お前がいなくても俺がカバーしてやる…どうだ、やるか?」
「…誰があなたになんか」
闘争心に火がついた、とはよく言ったものだ。ティアナの瞳には燃え滾る闘志が宿っている。
―と、勢いで言ってしまったが正直どうしよう、かなり、いや無茶苦茶怖い。
一方メビウス1は、虚勢を張っているものの内心非常に恐れていた。最後に地上戦闘の訓練をやったのはいつだったか、もう記憶の片隅に追
いやられてしまっている。
結局この日はそれでお終い、メビウス1とティアナは別れて翌日に備える。
片や闘志を胸に秘め、片や布団の中でガタガタ震えながら。
そして太陽が顔を出して、対決の日が訪れる―。

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 18:37:25 ID:sDFzweqr
支援

377 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 18:38:11 ID:c1BIzlHN
投下終了。
ちなみにスカーフェイス1は「ACE COMBAT2」の主人公で、世界観はAC04の6年前です。

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 18:46:04 ID:lJShCD5u
支援をしようと思ったら既に終了していた?!
GJです!

次回メビウス1VSティアナですかw
幾らなんでも戦闘機パイロットと陸戦魔導師だとティアナに分があるような……
メビウス1も自覚してますけれど、さらに幻術という知らないファクターもありますしね。
メビウス1頑張れ! といいたいけど、メビウス1が勝つとティアナが抜けてしまう……
この問題をどう解決するのか。
そして、ティーダを殺した質量兵器が少し気になります。
次回も楽しみにしています! 頑張ってください!

379 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 18:58:20 ID:lJShCD5u
それでは、自分は19時10分から投下させていただきます。
よろしいでしょうか?
内容は前日から引き続き、ミッシングスタートです!

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 18:59:03 ID:XUiDwgIH
>>378
フルオートとだからアサルトライフル系か機関銃系じゃないか?

381 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/27(日) 19:05:38 ID:c1BIzlHN
オメガ11、支援!

382 :Strikers May Cry:2008/04/27(日) 19:06:53 ID:aLPK0RG1
OK、じゃんじゃか投下すべし。

そして俺も今日中にリリカル・グレイヴの番外編の後編を投下できそうだぜ。
たぶん無境学園氏の投下終わったら完成できる。

383 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:10:34 ID:lJShCD5u
そろそろ時間ですが、投下してもよろしいでしょうか?
容量12KB!
そこそこ長いので支援よろしくお願いします!




384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 19:14:44 ID:NPmX+6o3
>>363
↑すまん初心者なんでリンクの付け方解りませんorz。御飯の台詞が「ここは…海鳴…か?」
が海鳴じゃなくて鳴海になってました。まとめる時は注意してください。続き楽しみにしてます!

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 19:18:20 ID:NPmX+6o3
>>384
すみません、リンク付けるの成功しました。まだ2ch投稿三回目ぐらいなので、お騒がせしました。

386 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:20:55 ID:lJShCD5u
時間ですので投下開始します。
支援よろしくお願いします。



 

 それは未熟な若人の視点から語られる物語。
 ただ一人、スコープから見続けた若者が語る物語。

 その始まりはやはり闘争からだった。



【Unrimited EndLine】

 AnotherRecord/MissingStart_1

   別れを告げろ、バイバイってな。





 空は晴れていた。
 太陽は昇り、風は爽やかな香りと共に舞い踊り、注がれる光は等しく万人を照らし出す。
 明るい、良い天気。
 爽やかな一日。
 けれど、世界は平和なんかじゃなかった。
 平和だったら――この鋼の銃口なんて必要ないんだから。

(ヘイ。ルーキー、そっちの様子はどうだ?)

 明るい声が脳裏に響く。
 何時もの同僚の念話。そして、その姿は覗き込む彼のスコープの中にも見えていた。

「真面目にやってくださいよ」

 彼はため息を付いて、無線で返事を返す。
 実力はあるけれど、遊び癖のある同僚。
 立場的には先輩に当たる同僚。何かと似た境遇のため気が合うのだが、仕事中に無駄口を叩く癖はどうにかして欲しかった。

(いや、本隊が乗り込むまで暇でな。暇潰しだ)

「切りますよ?」

(ジョークだ。こっちはポイントに着いた、伏兵の様子はないか?)

 少し真面目な口調で念話が帰ってくる。
 それに応じて、彼は狙撃銃――型のデバイスのスコープから目を外し、懐から出した光学式スコープで周囲を観察する。

「問題ないです。人の気配もなし、気付かれてませんよ」

(了解。じゃ、本隊にOKだと連絡してくれ)

「ラジャー」


387 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:30:04 ID:lJShCD5u
 
 そう告げて、彼は胸の辺りに見に付けた機器のスイッチを押し、それが点灯されたのを確認してから、デバイスを持ち直す。
 肘の骨で銃身を支え、スコープを覗き込み、不自然な体勢で一時溶接。それは撃ち抜く為だけの姿勢。
 彼の目に見えるのは小さなスコープの中の世界。
 切り取られ、拡大された世界。
 そこに見えるのは灰色に塗色された壁、鋼鉄の扉、その横に立つ同僚。その両手に掲げられた二挺のデバイス。
 それらを構えながら、同僚は待っている。時間を。その時を。
 自分もまた埋没する、照準を手動で調整し、息を飲む。
 呼吸は邪魔だ。震動になるから。
 瞬きも邪魔だ。視界を閉ざすから。
 思考も邪魔だ。引き金を引く速度が落ちるから。

「」

 息を細く、細く、吸う。
 スコープを覗いていない片目から意識を外し、覗き込む目に全てを集中させる。
 片目は瞑らない。それだけ意識が阻害されるから。
 合図を待つ。

「!」

「――!!」

 無線から響く無数の声を無視し、狙撃に集中する。
 予定は変わらないのだ。
 聴く必要はない。
 ただスコープの片隅で笑う同僚を、開かれるであろう扉を見ればいい。
 待つ。
 待つ。
 待つ。

 そして、それは数秒も経たぬ時間経過。

 唐突に、そう突然。
 斬ッ、と“建物が切り裂かれた”。
 見えぬ建物の向こう側から鋭い轟音と紅の一線が建物を鋭くなぞったように思えて。

『突入っ!』

 無線から、“聞きなれた咆哮が聞こえた。”
 上がる悲鳴。
 上がる歓声。
 まったくもって逆ベクトルの声と声の大合唱。
 ビリビリとコンクリートで作り上げられた建物が響き揺れ――それでも彼は動かない。
 スコープの中の同僚が笑っているのを目撃しながらも、動かない。
 そして、そして、そろそろ出番かと思考の片隅でスイッチを入れて。

 彼は――呼吸を止めた。


388 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:31:12 ID:lJShCD5u
 
 無音、無動になり、固まる。

 響く響く、動乱の音。
 騒ぐ騒ぐ、狂乱の響き。
 踊る踊る、騒乱の破砕。

 時は来た。

 彼はまるでスローモーションのように、加速された意識の中で見る。
 何の脈絡もなく、蹴り空けられた鋼鉄の扉。
 そして、そこから飛び出してくる無様な表情で逃げ出そうとする見知らぬ誰か。
 それを――撃つ。
 反射的に、そう反射的に、けれども幾度も繰り返した訓練通りに正確に彼は銃口の角度を合わせ、引き金を引いていた。
 純粋魔力弾。
 微細な衝撃を伴い、魔導師ならリンカーコアにダメージを、魔導師でなければ異物な魔力による侵食で電撃を浴びせられたかのように仰け反る弾丸。
 それが逃げ出す無様な男の胸に叩きつけられ、遥か後方の彼には聞こえないが、無線から僅かに聞こえる無様な悲鳴。
 一応魔導師だったのか、地面に転がり、醜い痙攣をしながら突然の状況に混乱したかのように、立ち上がろうとして。

『じゃなっ』

 無線から聞こえた同僚の声と共にその後頭部に、純粋魔力弾が叩き込まれる姿が見えた。
 それは言うなれば平手で思いっきり叩かれたかのような衝撃だったろう。男の顔面が硬い床に叩きつけられ、ビクビクと痙攣している。

『扉まで来た。迎撃する、援護ヨロシクッ!』

「ラジャー」

 無線からの同僚の声に、こちらも無線で返す。
 そして、同僚は踊るような手つきでデバイスを握り締め、内部から魔力弾が吹き荒れる扉の中へと突入していった。

 彼はそれを見つめ――響く轟音に、息を吐く。

「逃がさないって、難しいんだよな」

 壁を突き破り、檻を食い破らんとする者。
 それら目掛けて、彼は銃口を向け、スコープの世界に取り込んだ。





389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 19:32:46 ID:XUiDwgIH
支援!

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 19:33:06 ID:gDP37KTG
支援

391 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:33:36 ID:lJShCD5u
 
 吹き荒れる魔力弾。
 それらは突入した侵入者を狙ったものでもあるし、或いは単なる流れ弾でもあった。

「危ねえなっ」

 眼前を通り過ぎた魔力弾。焦げ付く大気の香り。物理影響を持った魔力弾による発熱。
 それらに二つのデバイスを握り、武装隊のバリアジャケットを纏った赤毛の青年は不敵な笑みを浮かべ、疾走する。
 奥へ、奥へと走る青年。

「こっちからも敵だ!」

「撃て、撃て、撃てぇえええええ!!」

 そんな彼の姿を捉えた者の咆哮が響き渡った。
 そして、扉から繋がる廊下の奥、そこに杖型のデバイスを一列に構えた魔導師の姿。
 砲撃魔導師はいないらしく、単純な誘導弾であり、直進弾。
 それらを障壁である程度はいなすのは容易いが、防ぎ切るほど強固な障壁は彼は張れない。
 故に。

「ニッ」

 彼は笑って――“直進する”。
 むしろ力強く床を踏み締めて、姿勢を低く、“音も無く床を蹴り飛ばした”。
 砲弾のように飛び込む青年、

「正気か?!」

 その光景に、うろたえる声。

「殺せぇえええ!」

 そして、降り注ぐ無数の魔力弾。
 それぞれ異なる魔力光の奔流はプリズムのように美しく、同時に無作為なマーブル模様となって視界を毒々しく汚す。
 毒々しい光は牙を向き、床を、壁を、大気を食い散らかしながら、その凶暴な牙を走りこむ青年へと突きたてようとして――

 “すり抜けた”

 魔力の奔流が、青年の体を“通過”する。
 まるで霧でも貫いたかのように。


392 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:36:17 ID:lJShCD5u
 
「なっ!」

 驚愕の表情。
 一瞬手が止まり、事態を理解しようと魔導師たちの思考が目まぐるしく動き出し――数瞬の空白が生まれた。

「はい、ご苦労」

 それで十分だった。
 “床ではなく、天井を逆さに走る青年にとっては十分すぎる時間”。

 ――マズルフラッシュ。

 火薬の炸裂による噴出炎ではなく、魔力弾による発砲の煌きが無数に瞬く。
 上空から大量とも言える黄色い、銃撃の雨が思考で凍りついた魔導師たちのバリアジャケットを貫通し、吹き飛ばす。
 純粋魔力弾と物理影響弾、それらを交互に混ぜた弾丸は魔導師たちの肉を吹き散らし、衝撃を走らせ、彼らの意識と肉体にダメージを負わせた。
 同時に床を走っていた青年の姿が掻き消え、天井で笑いながら二挺のデバイスを振り翳す青年の姿だけが残る。

「幻術、だと?!」

 唯一障壁を張り、難を逃れたまとめ役の魔導師が叫んだ。
 幻術。
 ミッドチルダの魔法で現存する魔法としては使い手の少ない魔法である。
 その効果は単純に視覚を騙すこと。擬似的な映像を他の空間に投射したり、或いは風景と同じ映像を自身に投射し透明化したり、
様々なことに応用が聞く魔法である。
 しかし、その大幅なメリットに反して使い手が少ない理由はただ一つ――“制御の難しさと膨大な処理リソース”である。
 たかが映像であっても、それらをリアルタイムに投射し、同時に周囲の雰囲気とは違和感のないように分析し続け、映像を構成する。
 それだけで通常のストレージデバイスならば処理リソースの大半が喰われるほど、大幅な演算が必要となる魔法なのだ。
 さらには一旦構成すればいいだけの障壁や魔力弾などとは違って常時展開し続けなければならないため、瞬間的な消費魔力量は対した事無くとも、持続し続けることによる消費量は馬鹿にならない。
 故に使い手は少なく、使うとなればただそれだけの専門職となるのが大半なのだが。

「おお当たりー」

 “彼はその例外だった”

「景品は」

 処理を続ける“左手のデバイス”を放置し、彼は右手の【Less】と彫り込まれたハンドガン型のデバイスを向けて。

「これでくれてやるよ!」

 発砲。
 ただ一つの銃身を持って“三発の弾丸”が打ち出され、障壁へと直撃する。

「なっ!」

 一発目が障壁と激突し――四散。
 二発目がそこに激突し、四散した魔力と結合しながらさらに障壁へと食い込んで――三発目の弾丸がそれを叩き込んだ。


393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 19:42:24 ID:/13I5kBA
規制か? 支援

394 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:46:56 ID:lJShCD5u
 
 そして、その結果は貫通されたシールドとその軌道上にあった左肩の肉が爆ぜる音。

「が、ぁあああああああああ!!」

 血が吹き出る。
 痛みにもがく。
 左肩を押さえ、魔導師の男が呻き声を洩らしながらも、さらに怨嗟の声を上げようとして。

 カチリ。

 額の前に突きつけられた銃口の冷たさに、声を閉ざした。

「これでこっち側は大体全員か?」

 噴き出す脂汗の男。
 それに構わず青年は尋ねる。冷たく、先ほどまで浮かべていた皮肉げな笑みを消して。
 冷たい表情が、男の目を射抜いた。

「あ、ぁあ」

 頷くことも許されない。
 下手に動けば撃たれる。
 それを理解し、彼は呻き声で返答し。

「そうか。じゃ、これで終いだな」

 青年は引き金に力を篭めていく。
 それを見て、男は叫んだ。

「なっ! や、やめろ!!」

「なんでだ?」

「と、投降する!! もう抵抗はしない! 管理局に従うから!!」

 武装隊特有のバリアジャケット。
 それを見て、男は青年を管理局の武装隊だと判断し――

「で?」


395 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:47:59 ID:lJShCD5u
 
「は?」

「それで、お前は優雅にムショ暮らしか? 最低だな」

 青年は笑う。
 侮蔑しきった顔で、僅かな私怨を持って、彼は告げた。

「お前らのせいで、何人の中毒者が出てると思ってやがる」

 額にデバイスを突きつけられた魔導師。
 それが所属する組織は中毒性の高い麻薬を売りさばき、幾人もの中毒者を出していた麻薬組織。

「な、やめ」

「じゃあな」

 左手のデバイス【B】
 右手のデバイス【Less】

「別れを告げろ」

 それで額と胸部――リンカーコアに銃口を向けながら彼は告げる。
 冷酷な笑みを。
 冷たい言葉を吐き捨てて。

「バイバイってな」

 さようならと。
 
 引き金を引いて――閃光が火花のように散った。







396 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:49:15 ID:lJShCD5u
 
「終わったのか?」

 倒れ付した男の前で青年が佇んでいると、奥から鮮やかな衣装を纏った人影が姿を見せた。
 騎士服――ミッド魔導師でいうところのバリアジャケットを纏い、その手に肉厚な騎士剣を佩いた女性。

「シグナムか。終わったぞ」

 薄い紅色の髪を一本に結い上げ、ポニーテールの髪型としてなびかせたシグナムと呼ばれた女性は、軽く周りを見渡し、
そして最後に青年の足元に転がる男を見て呟いた。

「ん、“死人は出てないな”」

「ああ」

 純粋魔力弾。
 それをゼロ距離で、しかも額とリンカーコアに叩き込まれた男は泡を吹きながら倒れ付していた。

「無事鎮圧できたようだな」

「ああ、お前が退路を潰してくれたおかげだ――“ティーダ”」

 ティーダと呼ばれた青年――ティーダ・ランスターは照れたように笑みを浮かべ。
 耳元に付けた無線に手を当てた。

「そっちは無事終わったか、“ヴァイス”」

『五人仕留めた。今確認したが、もういない』

「了解」

 ティーダは嬉しそうに笑い、最後にこの一言で締めくくった。

「ミッション・コンプリートってか」


 こうして彼らの戦いはまた終わる。
 何度の何度も繰り返される戦いの日々。

 けれど、それは充実した日々だった。

 不敵な実力者にして、空戦魔導師 ティーダ・ランスター。

 確かな実力を持つ古参的な武装隊ベルカ騎士 シグナム。

 そして、まだまだ未熟な狙撃専用陸戦魔導師 ヴァイス・グランセニック。


 彼らが生きていた時代。

 共に駆け抜けていた時代。


 それはかの悲劇が起きる二ヶ月前にして、今の年月より六年以上昔のことである。


397 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/27(日) 19:53:04 ID:lJShCD5u
投下完了です。
ちょっとトラブッて投下が長引いてしまいました。
すみません。

この物語はエンドラインの過去に当たる時間軸で描かれます。
首都航空防衛隊だったヴァイス、ティーダ、シグナムの三人が中心となり物語は動いていきます。
これからの本編とも密接にリンクしていますので、どうぞお楽しみに。
支援ありがとうございました。

そして、最後に一言。
――スカ博士はもちろん登場します!

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 20:23:40 ID:aLPK0RG1
う〜んGJ!

そしてスカが出るのに超期待!! 早く見てえっす。

399 :Strikers May Cry:2008/04/27(日) 20:29:53 ID:aLPK0RG1
よし書き上げた! そろそろ投下しますか。
今は特に予約ってないですよね?

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 20:31:05 ID:lJShCD5u
九時から魔法重力神氏が予約しているだけですよー。

401 :Strikers May Cry:2008/04/27(日) 20:32:12 ID:aLPK0RG1
では投下します。

リリカル・グレイヴ番外編「ツギハギと幽霊と女の子」の後編です。
やっと番外編の話が終わります。

402 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:33:16 ID:aLPK0RG1
リリカル・グレイヴ 番外編 「ツギハギと幽霊と女の子」(後編)


港にある古びたビル。
煤けた壁に埃臭くそしてあちこちにヒビが入った壁、どう見ても数年はまともに使われてはいない。
誰も使わないだろう廃ビルだろう。
しかしだからこその使い道というのもあるのだ、例えば誘拐した少女を監禁するとか。

ビルの一角にキャロはいた。
少女は手足を縄で縛られ、猿轡をはめられた状態で自由を奪われている。
その傍らには銃を手にした麻薬組織の下っ端が見張りについている。
下っ端の男達は数人、キャロの傍で酒を飲み、タバコを吸いながらくっちゃべっている。
男達はくだらない話をしながらいかにも三下らしい会話をしていた。するとビルの外、港の方から爆音が鳴り響いた。
それは外で始まった十二とビリーを相手にしたドンパチの音だった。


「なあ、外騒がしくねえか?」
「ああ、どうもあのツギハギ野郎とギター男がヤりはじめたんだろうぜ」
「なんかヤバそうじゃねえか?」
「大丈夫だろ。こっちはあの人数だし、サイボーグの猛者共だって雇ってあんだ」
「でもよ〜、あいつら半端ねえ強さだぜ?」
「そん時ぁ、さっさとトンズラこきゃ良いだろ?」
「それもそうだな‥‥ところでよぉ、そろそろヤらねえか?」


男の一人がそう言いながら、縛られていたキャロに視線を移す。
その眼光は邪で嗜虐的な光に満ちており、まるで餌を前にした獣のような瞳だった。
男が何を思ってキャロにそんな視線を投げるかは説明するまでもないだろう。男は立ち上がるとキャロに近づいていく。


「へへっ、お前も好きだねぇ〜」
「こういう小さいガキも悪くねえんだぜ? お前も試してみろよ」


男は舌なめずりしながらキャロの頬を撫でた。
蛇のような執拗でいやらしい手付きにキャロは恐怖して暴れる。だが拘束された状態ではろくな抵抗などできはしないし、口が塞がれている為に助けを求める事もできない。


「んううっ! んううっ!!」
「そう嫌がるなよ嬢ちゃん、これから凄く“イイコト”してやるんだからよ〜♪」


キャロは涙を流して必死に抵抗するが、相手はそれを気にかけるような善人ではない。
そしてキャロの服の中に隠れていた若き飛竜は、少女の恐怖に呼応して瞳を輝かせ始めた。





夜の帳の下りた漆黒の闇夜、無法者達が支配する港に銃火の嵐が巻き起こる。
常人ならば明白なる窮地、だがそこを駆ける二人の死者ビリー十二は笑みすら帯びて余裕を保っていた。

サイボーグ化されたならず者が手の銃火器を振り回し、鉛弾の洗礼を眼前に立つ二人の死者へとお見舞いする。
それは正確にサイティング(狙い)を付けられた射撃だった、しかし対峙した死人にはあまりにも無意味。
十二はコートを翻して高速移動して回避、風の如く動く彼の動きを捉える事など有象無象のサイボーグには不可能でありかすりもしない。

403 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:34:06 ID:aLPK0RG1
ビリーの身体はそもそも実体ではないので弾丸はすり抜けていく、幽霊の彼を滅ぼすのならば実体であるギターを攻撃しなければならないが、それを敵が知る事は永久にないだろう。


「オラオラオラァァァアァ!!!!」


急接近した十二は手にした得物、銃と刀の合体した武器二本のガンブレードの刃を翻す。
赤い刃が閃光の如く閃き、敵であるサイボーグの四肢を細切れに斬り裂く。
さらに銃口から火が吹き乾いた咆哮を響かせて銃弾の掃射も加わり怒涛の猛攻を成す。
瞬く間に十数人の敵が五体を刻まれて身体をスクラップにされた。


「チクショオォォ!! ツギハギ野郎が、クソ! 死にやがれクソ!!」


サイボーグの一人が口汚く罵声を吐きながら手の小銃で十二に狙いを定めるが十二は既に風と動き次の標的に接近して刃を振るっている。
仲間に流れ弾が当たる可能性に一瞬躊躇して逡巡、その隙にもう一人の死者が電撃と共に現われた。


「おっと、コッチも忘れんなよ?」
「なっ!?」


ビリーの陽気な声と共にエレキギターが弦から小気味良い音を奏でながら光を放つ。
そして弦より放たれた電撃が弾け飛び、無数のサイボーグ化された敵の身体を穿ち貫く。
雷撃に四肢を砕かれた哀れな敵はその場にくず折れた。

時間にして数分、それだけ経てばそこに立っていたのは二人の死者だけだった。
四肢砕かれたサイボーグのならず者達は無残に地べたのオブジェとなっている。
上手く手加減がされていたのか、全員とりあえずは息はあるようで情けない呻き声を漏らしていた。


「くそ‥‥たった二人に‥ここまで‥」


その中の一人、黒いボディスーツに覆われたサイボーグの一体が呻きながら悪態をつく。


「しかもどうやら全員生きてはいるらしい‥それがまたヒジョーに屈辱的だ‥くそ‥くそ畜生!」


サイボーグの男はそう言うと、音を立てて背中のパーツを開き内部からミサイルを展開した。
巨大なボディに収納されていただけあってそれなりに巨大なサイズを誇り、相応の破壊力を想像させる。


「スーパーアルティメットタイガーファミリーの最後の意地‥とくとご覧になりやがれ!! おおいキサマら!!」


男の絶叫にも似た言葉に十二とビリーが振り返って視線を送る。
自信満々でのたまうサイボーグ男、ミサイルは音を立てて屹立し狙いを定めていく。


「よくぞやった! ほめてやる! だがな戦いというのは常に非常なものだ。こいつは既にあの小娘のいる建物にロック済み! 大どんでん返し大残念大会なワケだ!!」


サイボーグの男に十二が機嫌悪そうに口を開いた。


「やめろ」

404 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:34:58 ID:aLPK0RG1
「いーーーや! やめねえッ、俺達のかいた恥はそれ程大きい。おまえらの身内の命でせめて償わせてやろう。わははははは」
「アホ! 俺らの苦労はどうなんだタコ!!」
「はぁ!? 知るかボケ!! 知るかボケ!! 知るかボケ!! 泣き叫び狂い死ねこのボケナス祭りが! うははははは!!」


十二とビリーを無視して発射段階を終えるミサイル、推進部に火が付いて遂に飛び立とうとする。


「目にやきつけろこの大逆転。いくぞーいくぞー、今! 月輪の光をあびてまごうことなき必殺の ミ サ イ ル ジョニーシューーート!!」


発射されようとするミサイル、だが十二は明後日の方向に向かって叫んだ。


「やめろっつってんだろクソメス!!!」
「メス?」


サイボーグの男が疑問の声をあげた瞬間、男に向かって黄金の雷光が降り注ぐ。
正に自然界の起こす天変地異にも匹敵するような豪雷が閃き、閃光が男を襲った。
爆音と爆炎に包まれ、その中に黒衣を纏った金髪の美少女が下り立つ。


「撃ち落せたっつうだよクソメス」
「かもしれませんね。でも非殺傷設定の魔法のほうが危険はありませんよ」
「そうかよ」


現われた金髪の女性の言葉に十二は相も変らぬ口調で答える。
少なくとも殺す気のなかった十二とビリーは少しだけ安堵した。自分の為に誰かが死んだと知ったらきっとキャロは悲しむだろうから。

そして黒き戦斧を手にした金髪の執務官、フェイト・T・ハラオウンが二人の死者と初めて出会った瞬間だった。
互いに手にした得物を構えて、張り詰めた空気の中で睨み合う。


「私は時空管理局執務官、フェイト・T・ハラオウンです。武器を捨てて事情を話してください」


まず口を開いたのはフェイト。目の前の男達が持っている武器が質量兵器系統の純粋火器と察して武装解除を促した。
だが対した十二はまったく気にした風でも無く、クルリと踵を返して先ほどミサイルが機首を向けていた建物に顔を向ける。


「おいRB。さっきあの野郎が狙ってたのはあっちで合ってるな?」
「ああ」
「んじゃあ、ちょっくら行って来る」


十二は手のガンブレードを軽く払って刃に付いた血とオイルを飛ばすと、その俊足の脚力で駆け出した。
自分の事など眼中にない男の態度に慌てて彼らの会話に割って入った。


「ま、待ちなさい! こっちの話はまだ‥‥」


405 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:35:24 ID:aLPK0RG1
「うっせえクソメス! こっちは忙しいんだボケが!!!」


十二は威勢良く吐き捨てるとそのまま走り去って行った、その速度はかなりのものですぐに彼の姿は見えなくなる。
そして後にはビリーとフェイトだけが残された。


「いやぁ〜、すまないね可愛いレディ(お嬢さん)。あいつは見ての通りせっかちでね、なに話なら俺がちゃんと聞かせてあげるよ。俺の名前はロケットビリー・レッドキャデラック、ビリーって呼んでくれ♪」


何とも気さくな笑みを浮かべた幽霊はペコリと頭を下げて会釈して挨拶する。
フェイトはその笑みと敵意のない様子に思わず毒気を抜かれてしまった。





屍十二は走った。
眼の見えぬ彼はそれ以外の五感で世界を認識している、嗅覚・聴覚・味覚・触覚そして気配や意を察する第六感。
その全てがキャロの存在を微かに感じ始めていた、あと少しで彼女の下に辿り着く。


(ったくメスチビが。手間かけさせやがって‥‥)


十二は心中でそう悪態をつきながらも、キャロがまだ生存している事に安堵していた。
あの薄幸の少女の事をなんだかんだと言いながら心配している、屍十二とはそういう男なのだ。

そして十二は1分と経たずにキャロの存在を感じる廃ビルに辿り着いた。
彼がビルの中に入ろうとした瞬間、凄まじい爆音が鳴り響いた。
巨大な爆炎が舞い上がり、ビルの壁が砂糖細工のように脆くも吹き飛ぶ。


「なんだぁ!? この気配と匂い‥‥もしかしてあのチビ竜か?」


増大する攻撃的な気配はキャロと共にいた小さな召還竜、フリードリッヒだろう。
あの小さな竜種が実はもっと強大な身体と力を持っているとは聞いていた十二は感じた気配と状況を察して推察する。
十二は手のガンブレード構えてビルの内部の飛び込む、今はグダグダ考えている暇は無いのだ。

五感の誘導に従って歩を進めれば即座にキャロの下に辿り着いた。
辿り着いたのは広大なフロア、そこは天井から壁に至るまで様々な箇所が吹き飛ばされて夜空を覗かせている。
そしてフロアの中央には縄で四肢を拘束されたキャロと彼女を守るように立っている巨大化したフリードがいた。
周囲にはフリードに吹き飛ばされたのか壁際まで吹き飛ばされて気を失っている男が数人いる。この状況からキャロを守ろうとしてフリードが暴れたと易く想像が付くだろう。


「大事にはなってねえみてえだな。おいメスチビ、チビ竜助けに来た‥」


十二が話しかけた瞬間、彼に向かって竜の吐いた火炎が飛来した。
彼の反射速度を以ってすれば回避は容易く被弾には至らなかったが、さしもの死人もこれには驚いた。
なにせ、せっかく助けに来たというのに帰ってきた返事は火炎の固まりだ。
回避動作と同時に反射的に構えたガンブレードの銃口を向けながら十二は牙を剥いて吼える。


「てめえ! なんのつもりだクソ竜!!」


十二の言葉に対するフリードの返答は火球の第二射、それも先ほどとは比べられない強力な威力を内包している巨大なものだった。


406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 20:35:53 ID:lJShCD5u
相手涙目支援w

407 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:35:54 ID:aLPK0RG1
回避した十二にはかすりもしなかったが、背後の壁は凄まじい爆音と共に爆ぜ飛ぶ。
ここが廃ビルなどの多い朽ち果てた区画でなければ大災害になっているところだった。
その破壊力に驚く暇も無く、十二に追撃の火球が次々と飛来する。


「おいコラ! このクソメスチビ、危ねえだろボケがぁ!! さっさとチビ竜なんとかしやがれ!!!」


左右への高速移動で飛来する火球を避けながら吼える十二、だが四肢を縛られ口を塞がれたままのキャロは答える事は出来ない。
いや、それ以上に少女は制御しきれない力に対する恐怖に震えてそれどころではなかった。

キャロは赤子のように丸くなってひたすら涙を流しながら、その小さな身体を小刻みに震わせている。
幼い少女には強すぎる恐怖、その感情が伝染した使役竜もまた恐慌状態なのだろう。


(もしかして制御できてねえのか? クソが!)


心中で毒づきながら回避と共にフリードに急接近する十二、その巨体の懐に潜り込むと同時に跳躍して強烈な蹴りを飛竜のアゴに叩き込む。
その衝撃に牙の並ぶ口腔から鮮血が飛び散る、常人ならば死すら容易い破壊力の打撃を受けてフリードは足元をふらつかせる。
十二は蹴りの跳躍と同時にガンブレードを翻し、その赤い刃をその喉元へと走らせた。

瞬間、神域の可聴域を誇る彼の耳に塞がれた少女の口から漏れた哀願が届いた。


『ころ‥さないで‥』


普通の人間ならば絶対に聞く事のできない程の残響だったが、その小さな言葉は死人の耳を確かに打った。
竜の首を刎ねんと迫った刃は死人の膂力で急静止がかかり寸前で止まる。

だが暴走した飛竜に遠慮など欠片もありはしなかった。
鞭の如くしなる竜の尾が宙空の十二に迫り、強烈な打撃を叩き込んだ。


「ぐおっ!!」


十二は崩れかけたコンクリート壁に吹っ飛び、盛大に壁をぶち抜いて転がる。
何度か転がって床を舐めると、即座に追撃の火球が襲い来る。十二は転がる惰性の力を利用してそのまま横っ飛びに攻撃を回避した。
火球を数発喰らったが気にせず、回避を続けると同時にガンブレードの銃口をフリードに向けるが、頭に先ほどキャロが漏らした言葉がノイズとなって引き金を引くのを阻害する。


「クソがっ!!」


殺さずに相手を制するのがこうも難儀するとは。しかも相手は人間をはるかに超える巨体の竜である、並みの攻撃では黙ってくれない。
十二はともかく反撃すべく接近を敢行、飛び交う火球を左右へのランダムな回避動作で避けつつ俊足で駆け寄る。
荒い狙いの火の玉など物の数ではなく、数秒もかからず十二は再びフリードの懐に入った。
接近が成功すると、駆け寄った勢いを利用して強力な後ろ回し蹴りをフリードの腹部に叩き込む。


408 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:36:28 ID:aLPK0RG1
風のようなの速さと死人の怪力を乗せた蹴りが竜の身体に深くめり込んで、その巨体を地に倒した。


「ふぅ、でもこれじゃすぐに起きちまうぞ」


倒れてヒクヒクと震えている竜をみながら十二は呟く。
確かに一時的に動きを封じたが、相手はこの程度で気を失ってくれる程ヤワではない。

十二は様々な考えを巡らせながら縛られたままだったキャロに顔を向ける。
視覚の無い十二でもよく分かるくらいキャロは怯えていた。
小さな身体が震える振動と塞がれた口から漏れる嗚咽が空気を振るわせ、流れた涙の匂いが死人の嗅覚を刺激する。
少女の恐怖が消えぬ限り使役される竜の暴走は止まらない。

十二は両手のガンブレードを懐に仕舞うと、キャロに近づいて彼女の拘束を解いた。
手足を縛る縄や口を塞ぐ薄布を丁寧に解いて少女を自由にする。


「大丈夫か?」
「‥‥はい‥‥屍さん‥ごめんなさい‥ごめんなさい‥」


キャロは泣きながら何度も頭を下げた。
フリードの攻撃で傷ついた十二の身体がキャロの心を容赦なく抉る。
自分の使役竜を制御できず大切な人を傷つけた罪悪感、その重圧に少女の心は悲鳴を上げていた。

十二は一つ溜息を吐くと、そんなキャロの頭を優しく撫でた。


「気にすんじゃねえよ。こんなもん死人にゃかすり傷だ」
「でも‥‥でも‥私‥‥」


まだ何か言おうとするキャロだったが、それ以上言葉を続ける事は出来なかった。
十二は静かに口を開いて、普段からは想像も出来ない優しい声で少女に語りかけた。


「大丈夫だ、俺もお前も。俺は死人だから簡単に死にゃあしねえ、お前は俺が守るから誰にも傷つけさせねえ。だから大丈夫だ、そんでもう泣くな」
「屍‥さん‥‥‥でも‥それじゃあ私屍さんに何も‥返せない」
「チビがいっちょまえにナマ言ってんじゃねえ。ファミリーってのはな‥‥それで良いんだよ」


十二はキャロの頭を優しく撫でながら少し苦笑して、照れ臭そうにそう漏らす。
もうそれ以上キャロに言葉を紡ぐことはできなかった。


409 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:37:27 ID:aLPK0RG1
涙と嗚咽が会話を否応なく阻んだ、でもそれは悲しみや罪悪感ではなく喜びで流れるものだった。

竜の暴走は終わり、長いようで短い夜は終わりを告げた。





「で、なんの用だクソメス?」


テーブルの上に足を乗せた十二が最高に、いや最悪に不機嫌そうにそう問う。
正面に座ったフェイトは頬を若干ヒクヒクさせて一応は笑みを保っていた。
二人の隣に座ったキャロとビリーは一触即発の状況に冷や汗を垂らす(ビリーは幽霊だが細かい事は言いっこなしだ)。

騒ぎの終わった十二とビリーは管理局執務官を名乗る女性、フェイト・T・ハラオウンから話を聞きたいと言われて、小さな喫茶店で事情を話す事となった。
無論、十二は気が乗らなかったがキャロとビリーに説得されてやむなく事のいきさつを語る事となる。
三人は今までの珍道中の事やら根無し草な生活の事を包み隠さず語った。


「それ‥‥全部本当の話ですか?」
「てめえに冗談なんぞ言う訳ねえだろボケ」


あまりにぶっ飛んだ話に呆れ気味で聞き返すフェイト、そんな彼女にキッツイ返事を返す十二。
フェイトは失礼千万な十二の態度に、フェイトは少しばかり眉を寄せて咳払いする。


「そうですか‥‥オホン。それはそうとして、あなた達に一つ提案があります‥」
「自首しろなんてほざきやがったら服だけ刻んでそこら辺に捨てるぞクソメス」
「そんな事言いません、どうせ言ってもあなたは絶対に聞かないでしょうし。そうじゃなくてその子の事です」


フェイトはそう言いながら視線をキャロに移す。
突然自分に話を振られたキャロは恥ずかしそうに顔を伏せた。
フェイトは慈母のように優しい笑みでそんなキャロに話しかける。


「あなた、キャロって言ったっけ。私と一緒に来ない?」
「え? あ、あの‥‥“一緒に来る”っていったい?」
「私と一緒に来てくれれば、根無し草みたいに生きるよりずっと良い生活が出来る。だから私と一緒に管理局に来てくれないかな?」


フェイトの問いは当然といえば当然の話だった。
血と硝煙の匂いをさせた危険で愉快な二人組みと旅をさせるよりも、少女には穏やかに生きる道がたくさんある。
そして自分はそうやって幼い子供を導く力がある、だからフェイトは少女に手を指し伸ばした。
だが帰ってきたのは明確な拒絶だった。


「嫌です!!」


410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 20:38:01 ID:yXMQamt9
支援

411 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:38:04 ID:aLPK0RG1
「え? ど、どうして!? だってそんな生活するより普通に生きた方が良いよ、それにあんな危険な目にだって‥」
「私もう屍さんとビリーさんと離れたくない! もう離れたくないんです!!」


キャロはその瞳をうっすらと涙で濡らしながら力の限り叫んだ。
周りの客の視線が集まるがそんな事は構わない、少女は二度目の家族と離れる事などできなかった。

その時、彼女の隣に座った死人が口を開いた。


「おい。お前、こいつと一緒に行け」
「え?‥‥屍さん‥何言ってるんですか?」
「この女と一緒に行けって言ってんだよ。二度も言わせんな」
「でも‥でも私は‥‥」


キャロは駄々を捏ねる子供のように、いや彼女はその言葉の通り駄々を捏ねる子供となって十二の提案に渋る。
十二は今までフェイトに悪態を吐いた口から出たとは思えない程に穏やかな声で少女を諭した。


「こいつと一緒に行けば今までみてえに臭い飯や寝床とオサラバできる、まともな暮らしができんだ」
「別に良いです! ダンボールの中で寝るのも、パンと水だけのご飯でも我慢します! だから‥‥だから私を一人にしないでください‥」


キャロは涙交じりの声で十二すがり付いて哀願する。
彼女の脳裏には里から追われて孤独となった思い出が悪夢の残響となって蘇っているのだろう。


「勘違いすんな。お前は一人じゃねえ」
「でも‥‥屍さん達と離れ離れなんて‥」
「“キャロ”‥‥俺達はファミリーだ、どんだけ離れててもな」


初めて十二の口から自分の名前を呼ばれた。
その言葉には不器用な彼の優しさが全て込められていた、キャロはそれ以上反論する事はできなかった。





次元航空船舶の移動や次元世界間の移動に使われる港とでも言うべきターミナル。
そこに四つの影がある、言うまでも無くフェイトと彼女と一緒に旅立つキャロそしてそんなキャロを見送りに来た十二とビリーである。


412 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:39:11 ID:aLPK0RG1
キャロはもう既に涙で顔を少し濡らしていた。


「えぐっ‥屍さん‥ビリーさん‥‥ざようならでず‥」
「ああ、ちょっとだけサヨナラな。っていうか顔ふきなよキャロ」
「‥ぐすっ‥‥はい」


そうビリーに優しく言われて、キャロはフェイトに差し出されたハンカチで涙を拭い、ついでにチーンと盛大に鼻をかんだ。
結構お気に入りのハンカチが鼻水の侵食を受けてフェイトは密かにショックを受けたが、そこは鉄の精神で耐えた、執務官の精神は鋼の如く強いのである。

惜しむように別れを告げると、キャロはフェイトに手を引かれて去っていく。
何度も後ろを振り返りながら十二とビリーに視線を投げる姿が寂しげだ。
そんな時、今まで口数の少なかった十二が去り行く少女に声をかけた。


「おいキャロ」
「は、はい」
「何かヤベエ事が起こったら‥‥連絡してこい」


そっけないが、優しく頼もしい言葉。
それは男がこの世でファミリーにだけ向ける誠意と誓いだった。
十二の言葉に繋げるようにビリーもキャロに声をかける。


「真っ先に駆けつけるってよ」
「おいRB」
「もちろん俺もだ♪」


茶化すような言葉だが、この幽霊もまた優しく熱くそして強い意志を言葉に込めていた。
キャロは思ったそして知った、自分はもう一人ではないと。
そう分かれば少女の目から涙は消えて、咲き誇る花のように満面の笑みが宿った。


「はい、ありがとうございます‥‥ビリーさん‥“十二”さん」


自分を名前で呼んでくれた優しい死人に応えるように、少女もまた彼を初めて名前で呼んだ。





別れを済ませた少女はそのまま優しい執務官の女性と共に去って行った。
残された二人の死者は染み入るような分かれの余韻にしばらく浸かると、踵を返して歩き出した。


「さて、んじゃ行くか」
「そうだな。にしてもガラにもなく浸ってたなぁ〜ジュージ、そんなに寂しかったのか?」
「うっせえぞRB! 茶化すんじゃねえ」
「はいはい。それでこの先はどうするんだい?」
「決まってんだろ。シードと“グレイヴ”を探す」

413 :リリカル・グレイヴ:2008/04/27(日) 20:39:39 ID:aLPK0RG1
「そうかい‥‥でもまあ、シードはともかくグレイヴはどうやって見つけるんだよ? まったくアテがないだろ?」


二人が放浪の旅で捜し求めるモノ、それは忌まわしい因縁の薬物であるシードそしてかつて共に戦った仲間である死人兵士ビヨンド・ザ・グレイヴである。
浅葱ミカの死去と共に姿を消した彼を捜し求める旅はもう何年も経っていた。


「その内見つかるだろよ、あいつは血と硝煙の匂いの先にいる」
「だな」


二人の死者はそう言うと、また当てど無い旅の一歩を踏み出した。
彼らはこれよりしばらくの後にふたたび召還師の少女、そして捜し求めたかつての仲間と出会う。

だがそれはまた別の話。

終幕。


414 :Strikers May Cry:2008/04/27(日) 20:43:55 ID:aLPK0RG1
投下終了です。

スランプ病が治らないので最近は友人宅で延々とガングレイヴのアニメ版DVD鑑賞中。
ブランドンの素晴らしい活躍を見て英気を養ってました。

しかしアニメ版見てると昔のミレニオンのキャラ出したくなってくる。
GUNG−HOと一緒に出しちまおうか?

415 :Strikers May Cry:2008/04/27(日) 20:53:02 ID:aLPK0RG1
ちょいとミスった。

>>409
フェイトは失礼千万な十二の態度に、フェイトは少しばかり眉を寄せて咳払いする。
        ↓
フェイトは失礼千万な十二の態度に少しばかり眉を寄せて咳払いする。

です。


416 :一尉:2008/04/27(日) 20:53:27 ID:X72RK3Qc
支援たな。

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 20:57:59 ID:j/7I1NYY
GJです。
まぁ、リヴィオに爆砕されるよりかはよっぽど幸運だなジョニーよ。

418 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 20:59:53 ID:HbdPHhY8
SMCさんが投下されたようなので、投下完了の30分後の9時15分頃に投下しますね。
容量は17KBと少し長めなので支援をお願いしたいと思ってます。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 21:09:02 ID:gD4MqcLh
>>378
>幻術という知らないファクター
同じ部隊員なのに互いの情報を共有してないってことはいくらなんでもないだろw

420 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 21:17:00 ID:HbdPHhY8
それでは投下します。支援お願いします。

 第3話 笑わない姫君



「スバル、いい動きになってきてるよね〜」

 風呂上りのシャーリーやアルトやルキノ、ヴィヴィオにルーテシアにキャロがスバルの話をしている。
 スバルがグランカイザーで出撃してから1週間が経つ。スバルはグランカイザーに本格的に乗るための訓練を初め、スバルの動きは最初に乗った時よりも動きが格段によくなっていた。

「もしかしたら、本当になのはさん越えもありえたりしてね〜〜」
「なのはママは強いから、簡単に越えられないよ〜〜」

 ヴィヴィオは孤児であり、数ヶ月前に聖王教会に拾われ、最初は誰にも懐こうとしなかったがなのはにだけは何故かよく懐くようになり、1週間くらいでフェイト、
 それからは今のように他の人間にも懐いている。特になのはとフェイトに懐き、なのはを「なのはママ」、フェイトを「フェイトママ」と呼ぶ事がある。

「まあ、なのはさんは確かに強いよ…」
「スバルがなのはさんを越えるのはまだまだかもね…」
「うん?」

 シャーリーやアルトがヴィヴィオをフォローしていると、ルーテシアは何かを見つけたような顔をする。

「どうしたの? ルーちゃん」

 キャロがルーテシアの顔を見て、ルーテシアに尋ねる。

「今、あっちに何か通った気がしたの…」

 ルーテシアが指を指す方向は、電気がついていない薄暗い廊下であり、ルーテシアが指差した方向を皆で見ていると突然その廊下を何かの影が通り過ぎるのを全員で目撃する。
 その廊下を通り過ぎる影を見て、皆は恐怖して叫び声を上げる。

「「「「「「きゃああああああああああ!!」」」」」」


「北館の方に幽霊がいる〜?」

 キャロはさっきまでの事をスバルとティアナに話す。

「そうなんです。それは突然その廊下に現れて横を通り過ぎたら突然消えたんです」
「あんた達、その影の後を追った?」

 ティアナがキャロに質問をする。

「いえ、怖くて…」
「そっか……」
「それじゃあ、おやすみなさい…」

 キャロは話すことを話して自分の部屋に戻る。

「ねえ、ティア…」
「何よ、まさかあんたも幽霊がいるって言うんじゃないでしょうね……」

 ティアナがスバルに聞くが、スバルは真剣な表情をして言う。

421 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 21:17:47 ID:HbdPHhY8
「その影ってひょっとしてギン姉かも……」
「……まあ、その可能性はないとは言えないわね」
「だからさ…、あたし達も行ってみようよ。その北館。今からさ……」
「い、今からーーーー!?」


 スバルとティアナはキャロ達が幽霊を見かけたという、北館付近の廊下にやって来る。

「ねえ、ティア」
「な、何?」
「ティア、ひょっとしてこういうの苦手?」
「馬鹿いわないでよ。別に問題ないわよ」

 二人がそうこう話していると、薄暗い廊下に何かが通り過ぎるの見る。
 二人はその何かが小さいものであることに気付く。

「ねえ、ティア…」
「わかってる…」

 二人が用心しながら暗い廊下の方に向かい、そしてその影が通った方を見る。
 するとそこには一匹のフェレットがいた。

「何だ、フェレットか…」
「でも何でフェレットがこんなところに……」
「ごめんなさい」
「「え?」」

 突然の声にスバルとティアナは驚く。

「ど、どこ!?」
「どこから声が……」
「ここです。君達の下です」

 スバルとティアナが言われるがままに下を向くとそこにはフェレットがいる。

「「まさか………」」
「僕です」

 二人はフェレットが喋っている事に気付いて思わず悲鳴を上げる。

「「きゃあああああああああ!!」」
「お、落ち着いて…。今、元に戻るから……」

 するとフェレットの体が光だし、フェレットから一人の男性にと姿を変える。スバルとティアナはさらに驚きの声を上げる。

「「えええーーーーーーーーーー!? フェレットが人になった……」」
「こっちが本当の姿だよ……」

 フェレットだった男の人はスバルとティアナを落ち着かせようとする。
 それから数分後、スバルとティアナはようやく落ち着く。

「僕はユーノ・スクライア。無限書庫の司書長をやってるんだ」
「え〜と、ユーノさんでいいのかな?」
「無限書庫の司書長が何でこんなところにいるんですか?」

 ティアナがユーノに尋ねる。

「ヴェロッサに頼まれてこの教会にいるんだ」
「そうですか…。でも何で?」
「それは……」

422 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 21:19:01 ID:HbdPHhY8
 ユーノがもう少し事情を説明しようとすると、ユーノはスバルとティアナの後ろに誰かいることに気付く。

「あ、ごめん。ちょっと待ってね」

 ユーノはそう言うとまたフェレットの姿になる。ユーノはフェレットのままスバルとティアナの下を通り過ぎてスバルとティアナの後ろの方に走る。
 スバルとティアナはユーノの後を追いかけると、目の前には小さな女の子が立っていてユーノはその女の子の肩の上にいた。
 その少女の髪は銀色で長くて綺麗なものである。服はシスター服ではなく、どちらかと言うとバリアジャケットのような服だった。少女はスバルとティアナを見ても無表情であった。

「あの、ユーノさん。その子は…?」
「それは後で説明するよ。けどここじゃまずいからとりあえずこの子の部屋に行こう」

 ユーノは少女の肩から降りて、壁の方に向かって手を置くと、壁が開いてそこには上へと上がる階段があった。

「すご〜い」
「さあ、行くよ」

 ユーノは再び少女の肩に乗って、少女は階段を上る。スバルとティアナは少女の後について行く。


 スバルとティアナは少女の部屋に着く。少女は窓の外を眺めていて、ユーノは先ほどの人間の姿になっていた。

「ユーノさん……」
「わかってる。さっきの続きとこの子の事だね」

 ユーノは少し間をおいて説明を始める。

「まずはこの子の事を話すよ。この子の名前はリイン。Gシャドウのパイロットなんだ」
「この子が……」

 リインと言う少女がGシャドウのパイロットであった事を知ったティアナは驚きを隠せない。まだキャロやルーテシアとそんなに変わらないくらいの少女がグランディーヴァに乗っているのだ。

「この子は記憶喪失みたいなんだ。リインって名前以外は何も覚えていない。それで僕はこの子をサポートをして欲しいとヴェロッサに頼まれたんだ」
「そうだったんですか……」

 スバルとティアナがユーノの話を聞いていると、突然部屋のドアからノック音が聞こえる。

「リイン、いいかい?」
「あ、ヴェロッサさん……」
「とりあえず、二人とも隠れて。まだリインの事は秘密にするつもりみたいだから……」

 ユーノは急いでスバルとティアナを部屋のクローゼットの中に入れて隠し、自身はフェレットの姿になる。
 そしてヴェロッサが部屋にと入ってくる。

「リイン、体調はどうだい?」
「大丈夫です」

 スバルとティアナは初めてリインの声を聞く。リインの声には感情がないように冷めた声であった。

「ユーノ先生、さっきここに君以外に人がいたような気がするけど……」
「気のせいですよ…」

 ユーノは表面には出してないが、内心焦っている。
 ヴェロッサはその事を見抜き、部屋を探索し、クローゼットのドアを開けるとドアが開くのと同時にスバルとティアナがクローゼットから出てくる。

「ヴェロッサさん……」
「ごめんなさい……」

 スバルとティアナはヴェロッサに向かって頭を下げて謝る。

423 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 21:19:57 ID:HbdPHhY8
「いいよ、別に怒ってないよ。それにGシャドウのパイロットのリインの事を隠してた僕も悪いしね。君達にばれたから明日の朝、皆にもリインの事を紹介するよ。だから今日は部屋に帰って休んでるといいよ」

 ヴェロッサのその言葉に二人は安堵して、各自の部屋に戻り眠りにつく。
 そして翌朝、機動六課の面々が広間に集められて、ヴェロッサがリインを紹介する。

「今まで黙ってたけど、彼女がGシャドウのパイロット」
「リインです」

 リインは頭を下げて自分の名前だけを紹介する。

「私、高町なのは。よろしくね、リイン」
「フェイト・テスタロッサだよ」
「ドゥーエよ」
「改めましてスバル・ナカジマだよ。リイン」
「ティアナ・ランスター。よろしく、リイン」

 グランナイツの五人はリインに向かって自己紹介をするが、リインは何の反応も示さない。
 リインはそのまま広間を後にしようとすると、スバルがリインの肩を軽く叩いてリインを止める。

「ねえ、リイン。このままあの部屋に戻るのもどうかと思うんだ」
「何がいいたいのですか?」
「だからさ、グランナイツのメンバーでバーベキューでもして、親交を深めようと思うんだけど一緒にやる?」

 リインは黙りながらも首を縦に振る。

「それじゃあ、決まりだね」
「でもスバル、バーベキューするにしても場所決めてる?」
「あ………」

 スバルは突貫で思いついたことなので、場所なんて当然決めてない。

「それなら大丈夫ですよ」

 話を聞いていたヴェロッサが反応する。

「聖王教会の敷地は広いんですよ。敷地内でバーベキューはいいんじゃないですか? そうですね、場所はここから歩いて5分くらいの場所の山がいいと思うよ。あそこには近くに湖もあるしね…」
「ありがとうございます!」

 そしてスバル達はバーベキューの準備をし、リインと共にヴェロッサの勧める場所へと向かう。
 その様子をヴェロッサやクロノ、シスター達が見送る中、クロノがヴェロッサに尋ねる。

「ロッサ、本当にいいのか?」
「彼女もグランナイツのメンバー。ああやって親交を深めるのはいいことだと思いますよ。それに…、ユーノ先生もついてるしね。心配はないと思うよ」


 ヴェロッサに勧められた場所に着いたスバル達は早速バーベキューの道具の組み立て準備をする前に、リインの肩に乗るフェレットのユーノについて皆と話す。

「え? じゃあ、なのはさんとフェイトさんはユーノさんの事は知ってたんですか?」
「うん。私とフェイトちゃんとユーノ君は10年前からの幼馴染なんだよ」
「でも驚いたな。ユーノもこっちにいたなんて……」
「ごめんね。二人に連絡も入れないで……」

 ユーノがなのはとフェイトに向かって頭を下げる。

「別にいいよ」
「そうそう。またユーノ君と一緒っての楽しいしね」
「え? またって?」
「昔、ある事情でね。ユーノ君、私の家に棲んでた事があったの。その時もフェレットの姿だったんだよね。人間になった時は驚いたよ……」
「な、なのは…。その話は今は置いといて、準備をしようよ」

424 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 21:30:55 ID:HbdPHhY8
 ユーノはなのはの話を中断させてバーベキューの準備に戻らせようとする。

「ごめんごめん。それじゃあ、スバルはこっちを持って……」

 そしてグランナイツのメンバーでバーベキューの道具を組み立てて、組み立てが完了して、具を網に置くところまで用意が出来る。

「それじゃあ、火をつけるわ」
「……、あ、待って!」

 ユーノが制止を呼びかけるも、ドゥーエはコンロに火をつける。すると突然リインが怯えだす。

「あ、ああああああああ!!」
「しまった! リイン!」
「いやあああああああああ!!」

 リインは叫び声を上げて、森の奥へと走り出してしまう。
 皆突然の事で唖然するが、ドゥーエが冷静に考えて答えを出す。

「あの子、火が苦手なのね…」
「そうなんだ。でも赤い火は大丈夫なんだ。何故かは僕もわからないけど、あの子は蒼い火を見ると怯えるんだ」
「迂闊だったわ」
「それは僕もだよ。その事を言うのが遅すぎた…」
「と、とにかく、皆でリインを捜しましょう」

 スバル達はリインを探しに、全員で手分けして森の奥へと入る。数分後ようやくティアナがリインを見つける。

「リイン、よかった……。さあ、戻ろうか…」

 ティアナがリインの手を掴んで戻ろうとするが、リインは動こうとしない。

「嫌です」
「え?」
「あんな怖いのは嫌です」

 リインは涙目になりながらティアナに訴える。

「とりあえず、話を聞くわ。何があったの?」

 ティアナとリインは座れる場所を探すと、小さな小屋を見つけてそこに座ってティアナはリインから話を聞く事にする。


「リインは見つかった?」

 なのは達がひとまず合流してリインが見つからないと悩みこむ。
 するとスバルはティアナがいないことに気付く。

「ティアがいない…。もしかしてリインを見つけたのかも…」
「とりあえず、リインを捜しながらティアナも捜そう」

 なのは達はリインとティアナの捜索に行き、全員ようやく小屋にいるティアナとリインを見つけるが二人が何か話をしているようなので、こっそりと茂みから聞くことにする。

「リインは記憶がないんです」
「ユーノさんから聞いてるわ」
「でもこれだけは覚えてるんです。蒼い炎がリインの大事なものを奪ったんです。多分、その時にお父さんにお母さんも……。だからリインは怖いんです…」

 ティアナは哀れむような目でリインを見ながら、そっと自分の手をリインの肩にやる。そしてティアナは自分の事を話す。

「リイン。あんたもあたしと同じで家族がいないのね。あたしの両親はあたしが小さいうちに死んでね。兄さんが一人であたしを育ててくれた。でもその兄さんも2年ほど前に死んだの。ゼラバイアに殺されて…」
「え?」

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 21:49:23 ID:x5OoMfWy
支援

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 21:58:12 ID:7pFZIypS
支援

427 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 21:59:54 ID:HbdPHhY8
 スバルは茂みに隠れながら驚く。ティアナの兄はちょっとした犯人の追跡任務で殉職したと聞いていたが、その聞いていた話とは少し違う事に気付く。

「ティーダ兄さんは逃走犯の追跡任務中に殉職したって世間では言われたけど、本当は違うの。殉職は本当だけど、殉職した理由が違うの。
兄さんもG因子があったみたいで、ヴェロッサさんに頼まれて表向きは航空隊だけど、本当は機動六課所属だったの。それで半年ほど前に次元航行空間でゼラバイアと遭遇。
ゼラバイアの事をいち早くヴェロッサさんに報告して、自分はゼラバイアと戦ったの。兄さんの最後の言葉は「ゼラバイアと遭遇。迎撃します」って……」

 その事実を聞いたスバルは頭の中を整理してある答えを導き出す。

(だからヴェロッサさん、ゼラバイアが来る事を知ってたんだ……)

 ティアナは立ち上がる。

「あたしもゼラバイアが怖い。兄さんを殺したゼラバイアが…。でもあたしは守りたいの。兄さんが守ろうとしたこの世界を…。だから一緒に戦おう」

 ティアナがそっと自分の手をリインの前に伸ばす。リインはその手を掴もうとすると突然通信が入る。

「ゼラバイア出現! 今度はグラナガンから南へ約10キロの地点です」
「ティア!」

 スバル達もゼラバイア出現を聞いて、茂みから姿を現す。

「スバル…。なのはさんにフェイトさんにドゥーエさん…。それにユーノさんも……」
「行こうよ。皆で…。皆でゼラバイアを倒そう!」
「わかってるわよ! リインも行くわよね!?」
「……、はいです!」
「それじゃあ、僕が転送魔法で一気に格納庫に飛ぶよ」

 ユーノは自分の周りに魔法陣を展開させて、それはスバル達の足元まで広がっていき、ユーノは皆を転送させて、スバル達は各自の機体に乗り込んで発進する。


 ゼラバイアは街で暴れる。例のごとく地上部隊などが迎撃に回るが返り討ち。
 そこにようやくスバル達が到着、ヴェロッサの承認と共に合神し、ゴッドグラヴィオンになる。

「何か、今度の敵はトンカチみたいですね」

 スバルが敵のゼラバイアの姿を見てそう口に洩らす。でもスバルの言うとおり敵はトンカチを巨大化させたもののような姿であった。

「敵がトンカチでも油断しない。相手はゼラバイアなんだから…」
「わかってますよ、なのはさん! グラヴィトンソーーーーーード!!」

 スバルは胸のグラヴィトンソードを取り出す。

「はあああああああああ!! エルゴ、エーーーーーンド!!」

 グラヴィオンはゼラバイアに向かって思いっきり剣を振り下ろすが、剣はゼラバイアには通じない。
 相手の耐久力に負けたグラヴィオンの手からはグラヴィトンソードが離れ、それはその土地にあったタンクに突っ込む。

「あれは……」
「ここは硫酸ガスが溜められている工場です」
「いけない!」

 ヴェロッサが思わず声を上げる。しかし時既に遅し。グラヴィトンソードが刺さった事により火花が発生し、ガスに引火。
 連鎖爆発を起こし、辺りは蒼い火の海と化した。

「あ、ああああああ」

 リインは蒼い火の海を見て怯える。

「ああああああああああ」
「リイン、しっかりして!」

428 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 22:00:23 ID:HbdPHhY8
 ティアナがリインを落ち着かせようと通信を入れるがリインにはティアナの言葉が聞こえていない。

「あああああああ」
「こうなったら……」

 ティアナはGドリラーのコックピットのハッチを開けて外に出る。

「熱いわね……」
「ティア、どうする気!?」

 スバルが外に出るティアナに向かって通信する。

「リインが怯えてる。このままじゃ負ける。だからあたしがリインを落ち着かせるわ。リインのGシャドウに一番近いのはあたしだし……。きゃあ!」

 グラヴィオンが揺れたためにグラヴィオンにしがみつくティアナは思わず振り降ろされそうになる。

「ティア!」
「こうなったらティアナに頼むわ」
「気をつけてね…」

 ドゥーエやフェイトもティアナに託す。
 ティアナは何とかGシャドウのコックピットを外部から開けて、Gシャドウのコックピットに入る。
 Gシャドウではリインが青い火の海をを見て、頭を抱えて怯えていた。
 ティアナはそっとリインのそばに近づき、リインをなだめる。

「リイン、怖がらないで。あんたの力が必要なのよ。ゼラバイアを倒すためにも…。そしてこれ以上あたし達のような人を作らないためにも……」

 ティアナは手をリインの肩にやる。

「皆が守ってくれる。あんたが怖がる事なんて何もないのよ…」

 リインはティアナの優しい言葉を受けて、自身の心にあった恐怖がなくなっていくのを感じる。

「リイン、やります!」

 リインはグラヴィティクレッセントの発射体勢に入る。
 グラヴィティクレッセントとは、Gシャドウの翼をブーメランのようにして投げる技。Gシャドウの搭乗者のリインはゴッドグラヴィオンの背後の方にいるため、有人のブーメランではない。
 リインはグラヴィティクレッセントの標準を敵ゼラバイアの真ん中にセットする。

「グラヴィティクレッセント」
「「シュート!」」

 リインはティアナと共にシュートの掛け声をし、掛け声と共にグラヴィティクレッセントは投げられ、ゼラバイアを切り裂き、ゼラバイアは爆散する。

「ゼラバイア、爆散を確認」
「やったわね。リイン」
「はいです!」

 リインは今までのような暗い雰囲気とは反対の元気よく返事をした。
 グランナイツは戦闘後再びピクニックに戻り、皆で楽しくバーベキューをする。
 バーベキュー中、誰も知らないがリインは楽しいと感じて笑ったそうだ。



429 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 22:00:46 ID:HbdPHhY8
「これが先日の戦闘で回収されたゼラバイアの破片の一部の解析映像だよ」

 地上本部ではレジアスが科学者のジェイル・スカリエッティに調べていたゼラバイアの事を尋ねていて、スカリエッティはゼラバイアの破片の一部の映像を見せながら説明する。

「これは至って複雑な分子式で作られた重金属加工物の集合体で、硬度はダイヤモンドと呼ばれる宝石以上だよ」

 スカリエッティは淡々と説明を続ける。

「驚くべきことに、ナノレベルに組み込まれたフィードバックプログラムを備えていてね、自己保存、修復、そして解体機能も持っているのだよ」
「簡単に言え。どう言う事なんだ?」

 レジアスが説明のみをするスカリエッティに簡潔に述べるように求めると、スカリエッティは興奮しだそうように言う。

「つまり、これは金属でありながら生命体の特性を持っているのだよ。これを見たまえ! これは今見せた物質の7日目の映像だよ。時間と共に化学変化を起こして、無害な有機物になってるのだよ」
「面白い、さしずめ世界に優しい次元怪物と言ったところかね?」

 レジアスは笑い出すが、その答えは正解だった。

「その通りだよ。ゼラバイアは活動が停止すると生態系システムに取り込まれるようになっているんだよ。そう誰かにケミカルプログラムされたかのようにね!」

 スカリエッティの答えを聞いて、レジアスがある答えを導き出す。

「ではゼラバイアは何者かが送っているというのか?」
「そうですね。現段階ではそう見るのが妥当でしょうね」

 レジアスはゼラバイアだけでなく、ゴッドグラヴィオンの事もスカリエッティに調べさせており、グラヴィオンの事も尋ねる。

「あれもすばらしいものだ。ミッドチルダの技術、いや、この私の技術さえも遥かに凌駕している」
「……、それは何故だ?」
「さあね、それはまた今度と言ったところだね。だがあれは質量兵器ではなく魔導機械なのだけは確かだ。今回はここまでにしておこうか」

 スカリエッティの話を終えて、レジアスは自室に戻る中グラヴィオンの事でなく、ヴェロッサの事を考えていた。

(聖王教会はまだいい。だがヴェロッサ・アコース、奴は何者なのだ……?)

 レジアスの疑念は積もるばかりであった。

430 :超魔法重神 ◆9GEivQ5qZc :2008/04/27(日) 22:03:26 ID:HbdPHhY8
投下完了。支援ありがとうございます。
ようやくGシャドウのパイロットが登場しました。
避難所でまたイベントが始まるみたいですね。
どうせなら本家グラヴィオンのメンバーも出したいと考えているので4月中にでも番外編で本家グラヴィオンキャラを出そうと思ってます。
やはりイベントで活躍するサンドマンが見てみたいので…。www

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 22:18:54 ID:m5SvihnR
このスレゼロ魔クロスから来たけど
盗作とかやりやがるのが5匹もいるのか。
なのは厨の本章がよくわかる。ゼロ魔スレのなのはクロスもこっちで引き取れよ。


432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 22:28:33 ID:Wzg6Xgd7
わざとらしすぎてふいたw

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 22:42:30 ID:rvOON0El
GJ!!やはりロボットですな。あと、ゼラパイアの正体とか謎が気になります。リアルに原作知らないけど楽しめます。

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 22:47:54 ID:6X479cO4
>アンリミテッド・エンドライン
知らなかった……ティーダの声って子安がやってたんだ(ぉ
何故かそのボイスが当て嵌まるほど、気の利いた台詞の憎いランスター兄でしたね。
幻術を使ったシーンでは、原作のティアナと姿が重なって見えましたよ。
原作ではすでに故だったから、あまり印象なかったけど。やべ、これ読んだらなんかティアナの幻術に思い入れ強くなったw
何気にお兄ちゃん二挺拳銃やってますしね。
っつか、この兄貴は誰も無能扱いできないだろw

>リリカルグレイヴ
オイオイ、殺し屋(ツンデレ気味)と美少女(薄幸風味)の組み合わせは俺の好物だって、もう分かってるんだろ?
前回十二とかが無双してたから安心してたけど、意外とピンチだったよキャロ!
しかし、気のせいか。キャロってクロス作品だとよく襲われるね(性的な意味で)
ミッドチルダにはロリコンしかいないのか!? クソ、なんて時代だ…っ!
しかし、僕らの変態ブレイカー、紳士竜フリードリヒがやってくれました。
原作ではキャロが力を恐れる描写はありましたが、具体的な暴走の恐ろしさがイマイチ伝わってこなかったので、今回のその点を実に分かりやすく表してましたね。
そらもー、あんな小さな子が暴行寸前なんて目に遭ったら制御も出来なくなりますって。
意識あるんだから攻撃やめさせるくらいできるんじゃね? とか楽観してましたが、考え甘かったですねぇ。キャロの怯えに呼応するフリードの一連の描写は胸が痛みます。
まあ、それも我らがツンデレ死人がクソ速攻で解決してくれたんですがw
っつか、今回ついにフェイトとの邂逅が明かされたわけですが、十二のキャラが原作通りで良すぎるwwやっぱ『クソメス』で固定なのねw
トライガンの小ネタにもニヤリとしましたが、改めて話し合う際のチンピラぶりが実に素敵。台詞も「服だけ刻んで〜」の辺りが如何にもらしくて、脳内ボイス再生余裕でした。
でも、やっぱりラストは渋く切なく締めましたねぇ。まあ、本編で結果だけは明かされてたので、分かってたことなんですが。
裕福な暮らしより、貧しくとも十二達との生活を望むキャロもいじらしいですが、そのキャロを思って人並みの生活へ戻してやる十二はマジナイスガイ。
ラストのRBと十二との掛け合いは、男だけだけど全然むさ苦しくない。こいつらこそハードボイルド。内藤節を垣間見ました。
万感の思いを込めて、GJです。
それじゃ、ちょっとエンディング流しながら地平線に向かって走り続けてくるわノシ

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 23:05:29 ID:61Uyx1lQ
>397
GJ!!です。
ティーダは優秀だから、裏社会の人間に恨まれそうですねw
厄介だから殺しとくか的な感じで。ティーダ殺害犯が管理局で勤めてたりしたら、
別の意味でニヤッとしてしまうw
>414
GJ!!です。
フェイトそんwクソメスがあなたの固有名詞ですwww
フェイトそんがMじゃなくて良かったwよばれるたんびに恍惚の表情をうかべてるのもいいけどw
キャロの制御ができないところがわかりやすくて面白かったです。

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 23:24:27 ID:S+Ma0FQ8
亀だが…
ドラゴンボールZクロス、セルとスカの連合がでることを期待

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 23:39:12 ID:WL3rmXtU
DBZクロス久しぶりの投下ですねGJです!
StS編も楽しみにしてます。



438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/27(日) 23:41:41 ID:cuuNotkD
>>>436
16号あたりでなごませるとかどうです?

439 :仮面ライダーリリカル電王sts:2008/04/27(日) 23:53:38 ID:rvOON0El
久しぶりに仮面ライダーリリカル電王sts外伝を投下したいのですがよろしいでしょうか?

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 00:03:56 ID:dX49umvC
OKさw
予約なーし、クリアー!

441 :仮面ライダーリリカル電王sts:2008/04/28(月) 00:05:26 ID:jd+Fr0Gt
反応ないんで掛け合い漫才投下いたします。

仮面ライダーリリカル電王sts外伝第五話
「ある日のシャーリー」

「う、う〜ん!終わったぁ」

一人の女性、シャリオ・フィニーノは書類を完成させ、くつろいでいた。
彼女は自分が作り上げたシステムの書類を作っていたのだ。

「終わったのか…。コーヒーだ飲むといい」
「あ、ありがとうございます、アインさん」

銀髪に黒い帽子を深くかぶった女性、アインからコーヒーを受け取りシャーリーは再び書類に目を向けた。

「それにしてもすごい。画期的なシステムです。これならイマジンも…」
「ああ…。元よりその為のシステムだからな」
「そう言えば、アインさん」
「なんだ?」
「アインさんは起動後の姿は知らないんですよね?」
「そうだな…。実際に見たことはないからな」
「じゃあ、見ます?」
「良いのか?なら、見せてくれ」
「御安いごようです!」

そう言うとシャーリーはキーボードを操作し複数のモニターを出した。

「まずはスバルから。スバルのはややスピード特化してます」
「どんなアーマーなんだ?」
「スバルのは胸部、脚部、肩部に赤色のアーマーが装着されて鉢巻きも赤くなります。
後、これは全てに共通するんですけど顔に仮面はつけてないんです」
「何故なんだ?」
「だって仮面つけたら可愛くないじゃないですか」
「それだけの理由か…」
「後、泳げません♪」
「良いのかそれ…」
「次はエリオ」
(流したな…、確実に)
「エリオのは青色の亀の甲羅の様なアーマーが装着されて、顔の横にアンテナがセットされるんです」
「なんだそのアンテナは?」
「デンソナーと言って言わばソナーシステムですよ」
「小型のレーダーと言う訳か」
「後、このアーマーだけ背部にデンスクリューと言う物があって泳げるんです。ただ…」
「ただ?」
「キック力と防御力以外スペックは、最弱なんです」
「おい、良いのか?」
「いいんですよ。ほら、可愛い男の子がボロボロになるのが良いんですよ♪」
(段々、危なくなってるのは気のせいだ、気のせい。)


442 :仮面ライダーリリカル電王sts:2008/04/28(月) 00:14:00 ID:jd+Fr0Gt
「次はキャロ。キャロの場合は金のアーマーが装着されて、帽子が黄色になるんです。
この帽子は自動で飛んだりするんですよ。後…」
「後?何があるんだ?」
「帽子にはリイン曹長が乗り込んでて空を飛んだり盾になったりするんです♪」
「どこのスーパーロボットだ!どこの!」
「て、言うのは嘘で本当は防御力とパワーが高いんです」
(まともなのがないのか)
「で、ラストがティアナ。これは紫色のアーマーでキック力と起動力が最も高いんですよ」
「最後が一番まともだな…」
「あと、ターゲットスコープも搭載してるんですよ。後はキャストオフをつければ…」
「待て、それ以上は色んな意味で待て!」
「性能が…」
「少し、静かにしろ。いいな!!」
「は、ハイッ!!」

有無を言わさぬ口調でシャーリーを黙らせるアイン。
そこへ、ドアをノックする音と共に声が響いた。

「シャーリー、差し入れ」
「入っていいよ!」

シャーリーが返事をすると一人の人、いやイマジンが入って来た。
黒いローブを身に纏い黄金のカラスの様な顔立ちのイマジンであった。

「はい、どうぞ。差し入れのおにぎり。さあ、召し上がれ」
「いつもありがとう、デネブ!アムッ、美味しい〜っ!!」
「ささ、アインもどうぞ」
「いただこう」

そう言って一口おにぎりを食べ、アインはこう洩らした。

「美味しいな…」

彼女は感慨にふけっていた。昔を、思い出し…。
(思えば、十年前まではこうやって食べることもなかったな…)
「あれからもう十年、か…」
「どうしたんですか?気分でも…」
「大丈夫、少し考えこんでいただけだ」
「なら、いいんですけど…」

感慨にふけっていたアインにシャーリーは心配し声をかけてきた。
アインが答えると少し安心したようにそれ以上は聞いてこなかった。
ちなみに余談だがアーマーのデザインはシャマルとシャーリーがノリノリでデザインしたらしい。

443 :仮面ライダーリリカル電王sts:2008/04/28(月) 00:21:45 ID:jd+Fr0Gt
以上、投下終了でございます。最近は外伝しか書いてねぇ…。

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 08:35:14 ID:Nh8uJ3hx
GJ
この強化が活躍したり活躍しなかったりする日が楽しみです。

>>434
まああの高官にしてみれば、いくら優秀でも
任務に失敗または味方に損害を与えた=無能
という扱いなのでしょうね……。

445 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:22:46 ID:ucSgTCNP
乙です。

10時30分ほどから投下します。

446 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:31:47 ID:ucSgTCNP
次元の狭間に落ちたなのは、フェイト、スバル、ティアナは惑星エアルに飛ばされてしまう。
その中でなのはとフェイトは次元を破ったものを探す。

第2話 エアルの歩き方

 闇の中、風の強さから砂があたりを舞う。
 この状態では空を飛んでも意味がないだろう。
「どこか休める場所さえあれば…」
 フェイトとなのはは砂漠の中を歩いていく。
「!?」
 なのはとフェイトは突然の弓矢の攻撃を避けようとしたが、足が砂でうまく動くことが出来ない。
 ふたりは体勢を低くする。
「突然、攻撃してくるなんて穏やかじゃないね」
 なのはは、レイジングハートを取り出すと、姿を変える。
「くっ…こっちは戦う意思はないのに」
 フェイトもバルディッシュを展開させ、姿を変える。
 2人は空を飛んで、攻撃をしてくる方向にへと向かう。
 攻撃をしているほうには、既に人の姿はない
「逃げたか…」
 フェイトは岩肌の見張り小屋のようなものを見て、確かに人がいるであろうことを知る。



447 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:33:09 ID:ucSgTCNP
「…どこの国のオトメだ、ここをアスワドとしってのことか?」
 その声に振り返るなのはとフェイト。砂漠の中、顔を銀色の仮面でかくした女…ミドリがたっている。
 その隣には巨体を持つサイボーグ…ラド。
「私は、時空管理局からきた高町なのは。事故に合ってこの世界に飛ばされてしまったの。どうか話を聞いてほしいの」
「じくうかんりきょく?」
 その聞いたことのない名前にミドリは眉間にしわを寄せる。勿論、その姿はなのはやフェイトたちにはわからない。
「ラド、どう思う?あの格好といいオトメとは少し違うようだが」
「あぁ。オトメと違う存在でありながら、オトメと同等の能力を持つもの。
 興味はあるが、村に近づくものは誰であろうと配乗するのがおきてだ」
「…そうだな。しかし、話を聞きたいところでもある」
 ミドリはなのはたちのほうを見る。
「話を聞こう。場所を変えさせてもらうぞ」
 ミドリはそういうと、なのはたちをある場所にへと案内する。

 それは洞窟…アスワドの村がある場所から少し離れたところにある。
 ミドリは、村に外部の人間をいれないため、それでいて無用な争いを避けるため、ヴィント事変後作り上げた場所であった。
 これも自分の民を守るため。
「…ほぉ。お前達の話を聞く限り、御伽噺にしか聞こえないな」
 ミドリのバカにした口調にムッとするフェイト。
「だが、あながたち笑ってばかりもいられないな。お前達の武装を見る限り…我らの科学を遥に超えるもののようだ」
「…いろいろと教えてほしいの。この世界での出来事と、何が起きたか」
 なのははこの世界のことを何も知らない。
 無知は無益な争いを生み出しかけない。
 一刻も早く次元が割れた原因を探らなければいけない。
 それはこの世界の危機でもあるのだ。
「条件がある」
 ミドリはなのはたちを見る。
「お前達の持つ科学を我らにもらおう」
 アスワドが前世紀の戦争により、身体を蝕まれる病を持ち続けている。
 それがアスワドが忌み嫌われし民といわれる由縁だ。
 そのためにサイボーグとして生きた屍となり、過ごしている。
 ヴィント事変以後、ガルデローベからの段階的科学力提供が行われているが…。
「私たちの科学力で…助けろというの?」
「これは契約だ。我らは助けを請わない」
 ミドリの隣に立つラドが言う。
「…私たちの科学は魔法を使って行うもの。それは他の人に扱いきれるものかどうかはわからない」
「出来るか出来ないかを聞いている」
 ラドの威圧的な言葉に、フェイトは睨みをきかすがラドは応じない。
 なのはは、ミドリを見つめ頷く。


448 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:34:30 ID:ucSgTCNP
「後に正式な手段をもって、必ず支援をします。ただし…約束は出来ません。私達の上層部に掛け合わないといけません」
「話にならないな。そんな約束ともいえぬ話では」
 ラドは腕を組み、なのはやフェイトを見下す。
「…いいだろう。要努力してもらおう」
 ミドリの言葉にラドは驚く。ミドリはなのはの目をじっと見つめたまま、言葉を続ける。
「お前と同じ目をしたものを私は知っている。苦悩を乗り越えたものの目だ」
 ミドリが覚えていた、その目の輝きを持つもの…それはアリカ・ユメミヤである。
 彼女がヴィント事変のとき、ここに来て、立ち去るとき見せた目。
 それと同じ輝きをこのなのはという女も持っていた。
「…それに、もしお前達の話が本当だとすると、それはこの星も無事で住むとは思えないからな」
「感謝します。頭領…」
 なのはとフェイトは頭を下げた。


 場所は変わり、スバル、ティアナがいる、隕石探索隊が待機している場所…。
 日も落ち、疲れていたのかスバルはそのまま目を閉じ眠っている。
「スバル、スバル…」
「うぅ…なのはさん…もうそんなに食べれません…」
「なに寝ぼけてるのよ!」
 ティアナはスバルの頬をたたいて起こす。
 スバルは目を擦りながら身体を起こす。
 二人は逃げられないように外から鍵をかけられた別の車に移されていた。だが、彼女達が本気を出せば、この程度、なんでもない。
「逃げるわよ」
 ティアナは声を潜めながらスバルに言う。
「え?どうして?」
「このままだと、私達、あいつらに検査ばかりされて帰れなくなるんだから」
「…船も壊れているみたいだし。なんとかしないといけないけど…。協力してくれるんじゃないかな?悪い人じゃなさそうだけど」
「どうだか…あの人たちは、良い人かもしれないわ。でも、彼女達の上はわからないじゃない」
 ティアナのいっていることはなんとなくわかるが。折角助けてくれた人を裏切るようなことをスバルはしたくない。だが…。
「いくわよ。スバル」
「う、うん」
 2人は変身する。
 これぐらいのもの、変身せずとも破れるが、その後のことを考えて念のためだ。
 スバルは扉を突き破り、外に出る。
「随分と早いお目覚めね?お二人さん」
 その声は扉のすぐ隣から聞こえた。
 振り返る2人。
 それは鴇羽舞衣…ラーメンをつくってくれた胸の大きな人である。


449 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:35:34 ID:ucSgTCNP
「ちっ…このまま捕まるわけには」
 ティアナは銃型のデバイス、クロスミラージュを舞衣に向ける。
「ティア!」
 スバルはティアナを止めようとする。
「別に止めないわよ。私は」
 舞衣はティアナを見つめ答える。
「発信機でもつけてるの?」
「はいぃ〜!?そんなことしないわよ…もぅ、随分と疑われたものね」
 舞衣は苦笑いを浮かべて答える。
「ティア、行こう…」
 スバルはティアの腕を取って、はやく立ち去るよううながす。
「……」
 ティアナは何も言わず、そのまま立ち去っていく。
 舞衣はそんな二人を見送る。舞衣に向かって手を振るスバル。
「あんたは…」
 ティアナは大きく息をついて、呆れた表情を浮かべ、そんなスバルを見る。
「これからどうするのさ?」
「そうね…船が回収されてしまった以上、別の手段で帰る方法を見つけるしか…それか、なのはさんたちと合流したほうがいいかもしれない」
 ティアナは移動をしながら岩肌だらけの場所を見回す。
「それはまずいよ…私達が密航していたことバレたら何をされるか」
 スバルはなのはが怒ったときの事を思い浮かべる。
「…無事じゃすまないでしょうね」
 ティアナも、いつの日か起こった恐ろしい事態のことを思い出していた。
 そんな2人に轟音が聞こえてくる。
 砂煙を巻き上げながら、それは巨大な砂を走る船である。
「乗せていってもらおう。どこか街に行けばなのはさんたちの情報が手に入るかもしれないし」
「…でも、とまってくれるかしら?」
 スバルとティアナは目の前に迫ってくるものを見つめる。
 ティアナとスバルが眺めている船…大きなその航砂船は数隻の隊列を組んで移動をしていた。


450 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:36:43 ID:ucSgTCNP
 アスワドの砦…
 なのはとフェイトは目を開ける。
 そこには、数人の若い女性が食事を置いていた。
「あ、ありがとうございます」
 なのはは疲れていたのか、すっかり眠ってしまっていて、その様子を見られてしまっていたことに、顔を染める。
「気にする必要はない…疲れていたのだろう」
 若い女性の隣に立つミドリ。フェイトもようやっと目をこすって身体を起こす。
「お前達の力も、ここでは争いの種となるかもしれない。あまり見せびらかすことはするな」
 ミドリはそういうと、洞窟から外に出る。既に朝日が昇り、あたりは暑い日ざしがあたりを照らしている。その中で砂煙が上がっているのが見える。
「ちっ。またあいつらか…」
「あいつら?」
 なのはもまた、洞窟から外に出て、砂漠と空が交わる場所にあがる砂煙を見る。
「…最近ここら辺を調べている奴らだ。私達を警戒してか、ここまでは来ないようだが」
 アスワドの持つ科学…それらは常に狙われている。
 昨日のミドリの話で聞いたものだ。
 彼女達に仇をなしたものは、それが誰であろうと復讐の対象となる。
 それをあの人たちも知っているのだろう。
「…あっちの方向は」
 フェイトはポケットから、自分達の船の場所が分かる発信機を見る。
 確かに船のある場所に、あの砂煙をあげるものたちは向かっている。
「なのは…」
 フェイトの声になのはは頷く。
「ありがとうございます。頭領。約束は出来ませんでしたが…でも、必ず」
 なのははもう一度頭を下げると、フェイトとともに、姿を変え飛び立つ。
「…あいつらもまた、せわしなく旅立ったか」
 ミドリはアリカとなのはたちをかぶせてみてしまっていた。


「ヒッチハイクとは、こんな砂漠の中、さぞ大変だったでしょう」
 ティアナとスバルの前に現れる緑色の左右非対称の髪の女性は、白い女性用のスーツを身につけ、2人の艦橋にへと案内した。
「私、ガルファ・コンツェルンの秘書をやっています。トモエ・マルグリットと申します。以後お見知りおきを」
 トモエは笑顔をティアナとスバルに向ける。
 2人は舞衣たちといたときとは比べ物にならない。
 その船の大きさに驚きながら、案内された艦橋を見渡す。
「そして、この方がガルファ・コンツェルン代表取締役社長…」
「レイ・ガルファという。異世界からの客人…よくいらっしゃった」
 スキンヘッドで黒スーツ、赤いネクタイをした男は、ティアナとスバルにそう声をかけた。


451 :魔法少女リリカルなのはDESTINY〜伝説の乙女〜:2008/04/28(月) 10:38:29 ID:ucSgTCNP
【リリカルなのは×舞乙HIME】
以上。
レイ・ガルファ…元ネタ、電童からゼロ。
舞HiMEDESTINY〜龍の巫女〜から神埼零のスターシステム。

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 14:01:52 ID:IJ1W+B5+
予約がないようなので14時にデゥラララ!とのクロス短編を投下させていただきます。



453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 14:02:36 ID:IJ1W+B5+
もうしわけございません…SAGEにチェックが外れていることに気がつきませんでした…

454 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:07:10 ID:IJ1W+B5+
先ほどは失礼しました。投下、させていただきます。

『とある事務所 〜起床したら朝を通り越して夕方だった〜』


ン…ンンゥン…チョッ…そこは…

ソファーで悶える女性。彼女は一体どんな夢を見てるのだろう。おそらく、夢うつつに現実と夢が混ざっているのかもしれない。だからうかつにも彼の名前を呼んでしまっただろう。

チョッと…静…そこは…ダメ…

「あぁ?」

軽く開きかけていた眼は覚醒。彼女は顔を真っ赤にしてそのまま顔を毛布で隠してしまった。いや、彼女が不思議そうになぜ毛布なんかを持っているのか気がついた。それに自分が家でないどこかにいることに気がついた。

(もしかして…私、静の家に泊まった…?)

「おい、静雄。起きたか? 事務所に寝かせておけるのはあと少しだけだぞ?」
「あ、大丈夫です。トムさん、今起きたみたいですから」

事務所という単語を聞いてすこしだけ落ち込むアリサ、それと同時に自分が何をきたいしていたのか想像してしまいまた顔が熱くなるのを感じて余計くるまっていく。そして、毛布の中から彼女は静雄に声をかけた。


455 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:07:54 ID:IJ1W+B5+
「さっきの…聞いてた?」
「何を?」

(よかった、聞いてない)

 胸に安堵の息を吸い込み、彼女は大きく息を吐いた。そして、勢いよく立ちあがると、彼女は扉に向かって歩き出した。

「家に心配かけてると思うから、帰るわよ。ばいばい、静。あと、迷惑かけました」
 そういってアリサはトムに頭を下げた。トムも美人にそうされるのは嫌じゃないらしく軽く返していたのだった。


456 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:09:56 ID:IJ1W+B5+
『とある有名ケーキ屋 パルフェにて  〜駆け引き大好き変人と美女〜』

 もくもくとチーズケーキを食べる俺。いや、別にチーズケーキが好きでここに来たわけではない。
もともとの目的も違う。ただ、高町士朗の血縁者と関わりのあるものが池袋に来ると聞いたので正確には待ち伏せをしていたのだけ。

「何も頼まないの?」
「あ、い、いえ…」 

 戸惑っているのは月村という人物か。確か、彼女の家はとても特殊だったね。
そう、彼女を見ているとやはり池袋はいろいろな物が集まる街だと思うよ。しかし、彼女のことはいいがその横にいる女性はなぜ俺のことをみているのだろうか。

「なにか?」
「いえ、」

 いやいや、なぜ彼女はこんなにも僕のことを見ているのだろうか。まるでその眼は親の仇を見るような嫌悪感を感じるよ。
いや、悪魔でも例え話だな。しかし、彼女のことはよく知らない。10歳以前の情報が全くないってまるで裏社会の人間のような存在だな。
でもそこら辺の情報を手に入れようとすればできるが、そこでも糸口すら見つからない。高町士朗と関係しているのかと思えば、彼自身仕事をしたのはあの事件で最後だからそんなこともない。俺が知らない事件でもそこにあるのか?

「ふーん…、その細かいことはわからないけど、そんな目で見られると食べにくいんだけど」
「その、ごめんなさい」
「いやいや、謝らなくてもいいですよ。そう、そういえば俺ビジネスをしているんですけど話をしませんか? ハラオウンさんと月村さん」
「ビジネス…ですか?」

457 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:11:00 ID:IJ1W+B5+
 ハラオウンさんが気ついたようだな。余計に目がきつくなっている。いやいや、力づよい目だ。何かそちらの仕事をしているのか。しかし、それでも彼女のことがわからないのは説明にならない。まぁ、いい。今はとりあえず。

「気がついたのですね。ハラオウンさん」
「…えぇ、そちらは最初からこちらに近づく予定だったのでしょ」
「いえいえ、近づく予定ではなかったよ。ただ、こちらでも情報が入ったし、そっちも欲しいと思うものだと思ってね」
「情報?」


月村さんが不思議そうな顔をしてるなぁ。しかし、その横にいる彼女が顔を険しくする。本当に、いい顔だ。

「あんたたちはアリサ・バニングスを探しに来たのだろ?」
「っ?!」

急に立ち上がったハラオウンさんのせいで周りが注目してしまった。ははぁ、恥ずかしいのは彼女だけなんだけどね。

「いや、場所を知ってるだけだよ。ただ、おれじゃ案内できなんだな。これが。だから今からある女性にあってもらうよ。その人に案内してもらえばいいから。いや、なに。変な人じゃない。高町なのはさんと一緒にいる人だよ、どうやら偶然助けたらしいよ」

 驚いている。はは、驚いているな。でも彼女たちはこの提案を拒否しない。
それは、目標である女性の手がかりがここにあるのだから。しかし、高町なのはさんには気をつけなくちゃなぁ…何も見つかってないが、御神を使える可能性があるわけだし。
もし使えたら罪歌よりも厄介だ。まぁ、いい。こちらはただ単に高町士朗の現状を知りたいだけだ。裏世界に流れているそんな信憑性の低い情報より、明確な話を。彼を使って火種に加えることができるならそれも一興。

こっちの案に乗ってきたか。それならこちらもセルティに連絡するとしよう。

待ち合わせは駅でいいかな。

458 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:11:47 ID:IJ1W+B5+
『バトル ―白バイVS名もない魔導師―』

 俺は今、急カーブを曲がった。大きく体を傾けるとこのスピードでは日頃曲がることも厳しいカーブでも曲がることができる。しかし、愛車のフレームが地面すれすれになり、時よりこすれてしまう。
 ジリジリ、っという音が聞こえてくる。その音お聞きながら俺は急カーブを曲がり切り、急カーブの後にあった交差点を右に曲がりカーブしていた道を見た。白バイの姿は見えなくなっている…予定だった。
しかし、白バイはカーブを曲がるときにフレームが触れるかどうかの境目ではなく、確実に触れた状態でアクセル全開にして曲がってきたのだ。スピードは落ちない。フレームにかかる摩擦より、アクセルで前に行こうとする力の方が強いからだ。

 背中に冷たいものを感じた。これは、恐怖か。そう、この恐怖は覚えている。たしか、エースオブエースが最後の攻撃をしようと―――――

「待っててくれるとは、うれしいことだ。観念したか」

 アクセル全開。直進スタート。
昔を思い出している余裕があるなら、逃げた方がいい。おれの思考はそこでまた逃げることに戻っていった。左腕の袖に重みを感じる。何かがついているのか、いや、向かい風のせいで腕に重みを感じているんだな。
 ちらっとそちらを見る。すぐに眼を戻す。おれは何も見てない。何も見てないんだ。


459 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:12:36 ID:IJ1W+B5+
そこに白バイの腕がしっかりと俺のことをつかんでるなんて見てないんだ。

「ああああああああああああああああああああ!!!!!」
『set up!』

 俺があまりにも大きな恐怖に発狂すると首に下げていたデバイスが自動的に発動する。
おそらく、おれの恐怖にあおられて発生したのかもしれない。しかし、それは好都合だった。俺の服装が普通の服からバリアジャケットに変わる一瞬の間、白バイの腕はそこから離れる。それからにげれば!

 離れた。よし!

「…またあいつのような存在か。しかし、それで俺から逃げれると」

『Lock on…. Short!』

 デバイスは白バイが何かを言う前に自動的に魔法を放つ。いや、違う。こいつはこいつで俺を守ろうとしているのかもしれない。おれが怖がっているのに気がついてその元を断とうとしているのかもしれない。


460 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:14:58 ID:IJ1W+B5+
その魔法は白バイのヘルメットに向かって飛んでいった。
しかし、白バイはそれに驚くどころかひるむこともなく、体制を傾けてこちらの魔法を軽々とよけた。そして、また俺の腕に重みを感じる。

 と、ともに俺はバイクから投げ出されていた。宙を舞う。どう考えたって死んでしまうようなスピードで俺はバイクから投げ出されてしまったのだ。
しかし、こちらもSランクの魔道師。これぐらいの窮地は避けることができる。普通の人間には不可能だろ。相手が俺が着地したときに驚くのを利用して――――

「おい、それぐらいでお前が屈しない可能性も考慮している。だから、下らん真似をしようと――――」

 いつの間にか宙を舞っていたはずなのに次は地面すれすれに俺の顔がある。いや、鼻が触れるか触れないかの瀬戸際。それぐらいまで俺の顔は地面に近づいているのだ。

恐怖、初めて感じる死の恐怖。たしかに、ロストギア関連の仕事と相まったときに死を感じる仕事はあっただろう。
しかし、鼻先2cmに死の恐怖を感じたことなどない。おれはその男の腕を無理に振り払い、空を飛ぶ魔法をデバイスにするように伝えた。

 急に空に上がる俺を見て、下にいる白バイはただ俺をにらむだけ。その眼には獲物を逃がそうとしない狼の目のように見える。おれは何かを確認する前にその場を離れようとした。


こんな恐怖、もう二度と感じたくないと。
そして、下を見る。そこには見たことのある黒バイクとポニーテール。それをみつけ、おれはそちらに飛んでいった。

これ以上の恐怖、そんなものを感じるのはこの先ないだろう。うん、あれを超える恐怖をこうも簡単に寄せ付ける存在なんていないだろ。



このとき魔道師は楽観視していた。まだ、彼は池袋には最強の化け物が生息していることを知らない。


461 :リリィカル! 中編:2008/04/28(月) 14:16:26 ID:IJ1W+B5+
投下終了です。

すみません、SAGE忘れをしてしまって…

デュラララ!とのクロス作品です。それでは、また。

池袋が舞台なので魔法対魔法はおそらくしないと思います。

魔法対暴力はありますけど…それでは!

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 16:27:06 ID:FEMzsZ1W
えぇと……わざと?>デゥラララ!

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 17:16:17 ID:IJ1W+B5+
>>452の方は素間違えです^^; すみません;;


464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 20:40:15 ID:Y0fApaKj
CCさくらとのクロスってありませんか?

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 20:43:38 ID:pK0BBtBO
>>464
まずググれ。話はそれからだ。
ついでに言うとココにはない。

466 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:02:44 ID:hpvy8pTb
こんばんは。

三十分後位に天元突破第7話投下予約よろしいでしょうか?

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:09:56 ID:ShTHQFfx
支援いたす。お前のドリルで天を突け!

では、その更に三十分後ぐらいに投下予約させていただきますw

468 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 21:12:43 ID:ShTHQFfx
失礼。魔法少女リリカルなのはStylishの十二話です。

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:18:39 ID:Q03MVg4g
Stylishキターーーー!!!

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:19:43 ID:P16qUsTI
両方とも超支援

471 :なの魂の人 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 21:26:44 ID:SGO7gvu7
OK、それでは23時30分ぐらいに投下予約していきますね

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:30:30 ID:Q03MVg4g
おぉ、なの魂まで来るとは。
なんだか今夜は興奮して眠れなさそうだぜ!

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:30:52 ID:LoWfmyhn
うおー3連チャン支援

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:31:18 ID:ShTHQFfx
なの魂キターーー!
やったねパパ、今夜はモニターにかぶりつきだ!w

475 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:33:59 ID:hpvy8pTb
時間になったので、投下いかせてもらいます。

476 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:34:46 ID:hpvy8pTb
 朝焼けに染まる無人の街を、白い閃光が駆け抜ける。
 桜色の魔力弾を周囲に従え、鋼鉄とコンクリートの森の中を縦横無尽に飛び回るなのはを、スバルは必死に追っていた。

「ウィングロード!」

 スバルの声と共に出現した光の「道」――ウィングロードが、なのはの行く手を阻むように回り込む。
 一巡、二周、そして三重……まるでリボンで包装するかのように、ウィングロードが幾重にもなのはの周りを取り囲む。
 それは最早「道」ではなく、獲物を捕らえる一つの「牢獄」だった。
 ウィングロードの網の目を潜り抜け、無数の魔力弾がなのはへと撃ち込まれる。
 ティアナの狙撃か……迫り来る敵の凶弾を周囲で遊ばせていた自身の魔力弾で相殺しながら、なのはは冷静にそう分析する。
 待ち伏せ……まんまと罠に嵌ったという訳か。

「でも……これだけじゃ全然甘いよ!?」

 吼えるなのはの周囲に新たな魔力弾が生成され、前後左右、あらゆる方向に撃ち出される。
 一見出鱈目に放たれた無数の魔力弾は、しかし周囲を取り囲む魔法の「檻」に正確に着弾し、まるで紙切れのようにズタズタに引き裂いた。
 牢獄から解放されたなのはは、しかし次の瞬間、消えかけるウィングロードを高速で駆け上るスバルの姿を見た。

「リボルバー……!」

 なのはの攻撃により途中から途切れたウィングロードを蹴り、デバイスを装着した右拳を振り上げながらスバルが跳ぶ。
 撃ち落とすべくデバイスを構えるなのはの耳に、その時、

「龍魂召喚! フリードリヒ!!」

 凛としたキャロの声が飛び込んできた。
 驚愕の表情で背後を振り返ったなのはは、翼を広げた巨大な白い龍――フリードリヒの姿を認めた。
 その口元には光が集束し、いつでも砲撃出来る態勢である。

「こんな街中でこんな大技を、しかもスバルまでいるこの距離とこのタイミングで……!?」

 下手をすれば――否、どうしようとも、フリードリヒの攻撃がスバルを巻き込むことは確実である。
 暴挙としか言えないようなキャロの行動に歯噛みするなのはに、そんなものはお構いなしとばかりにスバルの拳が迫る。

「――シュートッ!!」

 気合いと共に打ち出されるスバルの拳を左手で受け止め、なのははデバイスを握る右手を掲げ、防御陣を展開した。
 スバルをこのまま掴まえたまま、自分が盾となってフリードリヒの砲撃から守り抜く――この状況で教え子を救う方法を、なのははそれ以外に思いつかなかった。
 全身全霊を込めて防御陣に魔力を注ぎ込むなのはの目の前で、その時、フリードリヒの姿が陽炎のように歪んだ。

 幻術!?

 動揺するなのはの思考を肯定するように、フリードリヒの虚像を突き破り、エリオがデバイスを振り上げながら姿を現した。
 未だ空中を漂うウィングロードの切れ端を飛び石のように伝い、ジグザグな軌道を描きながら、エリオは防御陣の死角――なのはの頭上へと辿り着く。
 エリオの足元に展開される加速用の魔方陣――ラゼンガンとの戦いで見せた、キャロとの連携戦術である。

「ストラーダ! 全力突貫!!」

 号令と共にブースターを点火し、エリオは流星のようになのはに突撃した。
 ストラーダの推進力に加えてキャロの補助、更に重力までをも味方につけて、エリオがなのはに迫る。
 上空から降下してくるエリオという名の人間砲弾、しかし脅威はそれだけではない。
 なのはに掴まえられたスバルの右拳、その周囲に、環を描くように魔方陣が展開される。

「ディバイン――」

 スバルの声に合わせて魔方陣が回転を始め、激烈な光を放ちながら加速していく。
 しまった……なのはは咄嗟にスバルの手を離し、後方へと飛び退いた。
 なのはとスバルの間――本来なのはのいた場所を、エリオが空しく突き抜ける。
 なのは拘束から解放されたスバルも、ウィングロードという足場を失い、重力に引かれてゆっくりと落下を始めた。

477 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:36:30 ID:hpvy8pTb
 
 奇襲失敗……しかし、これで終わる二人ではなかった。

「ストラーダ……逆噴射!!」

 怒号するエリオの指示に従い、ストラーダはブースターを逆方向――地上に向けて噴かした。
 極限まで加速したエリオの突進力は一瞬で相殺され、偽りの無重力状態を作り出す。
 無論、そのような無茶をして代償が無い筈が無い。
 急激なGの変化に全身の骨が悲鳴を上げ、衝撃で胃液が逆流する。

 しかし、まだだ……まだこれだけでは終われない。

 デバイスを両手で握り直し、エリオは雄叫びと共に魔力を込めた。
 ストラーダの穂先に魔力刃が出現し、のびる、伸びる、延びる……!!
 己の身長の数倍、10m近い大きさまで達した魔力刃を、エリオは次の瞬間、あろうことかスバルへと振るっていた。

「スバルさん!」

 叫ぶエリオの振り上げた魔力刃を、スバルは両脚でしっかりと踏み締めた。

「いっけえええええええええっ!!」

 スバルの乗った魔力刃を、エリオは気合いと共に一気に振り抜く。
 魔力刃の射出台から打ち出されたスバルが飛ぶ、そして同時に、スバルは跳んでいた。
 重力の壁に風穴を開け、遥か上空に浮かぶなのはを目指して、ひたすら空を突き進む。
 右手首を覆うタービンが、その周りを巡る魔方陣が、まわる、回る、廻る……!

 そして遂に、スバルはなのはの許まで辿り着いた。

「――バスター!!」

 拳と共に至近距離から撃ち出されたスバルの砲撃魔法を、なのはは防御陣を展開して受け止める。
 しかし尚も進み続けるスバルの勢いを殺し切れず、なのはの身体は徐々に後方へと押し飛ばされていく。
 そして次の瞬間、なのはの背中が何かにぶつかった。
 背後を振り返ったなのはは、次の瞬間愕然とした。
 背中越しに広がる巨大な桜色の魔方陣――フリードリヒの虚像相手になのは自身が作り上げた防御陣である。
 このままでは潰される……なのはは背中の防御陣を消滅させ、そしてスバルへの防御に集中した。
 未だ勢い衰えぬスバルの拳となのはの防御陣がぶつかり合い、激しく火花を散らしている。

 スバルの攻撃はなのはを押している――しかし今の状態では文字通り、物理的に「押している」だけに過ぎない。
 スバルが拳を押し込めば押し込む程、それだけなのはは後方に退がる――それだけだった。
 まさにジリ貧、決着のつかないこの攻防は、しかしスバルにとっては圧倒的に不利な状況だった。
 砲撃呪文の効果が尽きれば攻撃を支えていた推進力は消え、空を飛ぶ術を持たないスバルは再び重力の鎖に囚われ、ただ落下するしかないだから。

「あたしは……」

 しかし、スバルは諦めない。
 拳を押し込んだだけ後ろに退がられるのならば、退がられる前に突き破れば良い。
 向こうが一歩退がるのならば、自分は二歩進めば良い。
 もっと強く、もっと速く。
 一途な思いを拳に乗せて、スバルはひたすら前に進み続ける。

 ……鼓動が聞こえる。
 アンダーウェアの下のコアドリル、『あの人』に貰った宝物が脈動している。
 

478 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:37:56 ID:hpvy8pTb
「あたしの拳は……!」

 ピシリ……なのはの防御陣に亀裂が入った。
 瞠目するなのはの目の前で、亀裂は段々と広がっていき、遂に防御陣全体を蜘蛛の巣のように覆い尽くす。

「――天を、突くっ!!」

 咆哮と共に打ち抜かれたスバルの拳に耐え切れず、防御陣が音を立てて砕け散った。

「あたしを誰だと思ってる!!」

 粉々に弾け跳ぶ防御陣、桜吹雪のように舞い散るその残滓を全身に浴びながら、スバルは不敵な笑みを浮かべて決め台詞を口にする。
 しかし目の前の相手が自分の直属の上司、しかも命の恩人であり憧れの人でもあることを思い出し、

「――んですか!!」

 スバルは慌ててそう付け加えた。

 ともあれ、これで邪魔な防御は打ち破った。
 後はこのままなのはに一撃与えれば――もっと手っ取り早く言えば、このまま殴り飛ばせば、この戦闘は終了である。
 もう一度拳を振りかぶるスバルに、なのはも最後の抵抗を見せるようにデバイスを構える。
 停滞、或いは後退を考えるのならば、足場の無いスバルが不利である。
 しかしそれ以外の選択――このまま前進するのならば、何の問題も無い。
 なのはが呪文を使うと前に、デバイスを武器代わりに振るう前に、己の拳を届かせる自信がスバルにはあった。
 チェックメイト……しかし油断はしない。
 何故ならば、相手はなのはなのだから。

 刹那にも満たない静寂――しかし向かい合う二人には永劫の時間のように感じられた。
 二人の間の時間が止まり、そして再び動き出す。
 最初に動いたのは、スバルか、なのはか――否、そのどちらでもなかった。
 廃ビルから放たれた一発の魔力弾、完全な不意打ちとして撃たれたそれは、防御陣の消えたなのはの無防備な背中に吸い込まれ、純白のバリアジャケットに焦げ跡を作った。

「……ちょーっと卑怯臭かったかな?」

 タイミングを崩されたことで空振りし、そのまま落下するスバルと、慌ててスバルを掴まえに降下するなのはを見ながら、ティアナはそう呟いた。
 全く悪びれた様子の無いティアナの言動に、隣のキャロとフリードが嘆息する。

「ティアナさん……空気読みましょうよ」

 こうして、この日の早朝訓練は終了した。


 

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:38:49 ID:ShTHQFfx
やはりスバルには突撃が似合っているw支援

480 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:40:03 ID:hpvy8pTb
 


 朝日に照らされたハイウェイを、黒い車が疾駆している。

「おぉー、あの子ら意外とやりおるなぁ」

 カーナビの液晶に映る戦闘映像――スバル達の早朝訓練の様子を眺めながら、はやては感嘆したように声を上げた。
 隣でハンドルを握るフェイトも、同意するように首肯する。

 四人の中で一番足の速いスバルが追い込み役となり、他の三人の潜む待ち伏せポイントまでなのはを誘い出す。
 本来足場として使用するウィングロードを包囲網として応用し、なのはの足を止めたところで、ティアナの幻術――偽のフリードリヒを投入する。
 キャロにフェイクの召喚呪文を叫ばせることで虚像を本物であると思い込ませ、更にスバルを特攻させることでなのはの思考から余裕と選択肢を殺ぐ。

 防御魔法は全部で三種類――受け止めるバリア系、弾いて逸らすシールド系、そして身に纏って自分を守るフィールド系。
 スバルもいるあの状況でなのはの選べる選択肢は、バリア系かシールド系の二者択一、更に訓練場の仮想空間とはいえ、周囲の被害も考えれば選べるのは一つ。
 バリア系――それも障壁が半ば物質化程高密度に魔力を練りこんだ強固なもの。
 しかし如何なる魔法にも長所と短所があり、バリア系及びシールド系防御魔法の例で言えば、一方向にしか展開出来ないという弱点がある。
 その弱点を衝き、虚像のフリードリヒの後ろという死角からエリオを特攻させ、バリアの効果の及ばない頭上からなのはを強襲させる。
 更にスバルにも攻撃魔法を使わせることで一方に集中した対処という選択肢を奪い、チェックメイト。

 結局はなのはに逃げられたという結果からも分かる通り、まだまだ甘い部分も多々あるが、それでも戦術としては十分及第点として評価出来る。
 寝惚け頭でよくもまあ……この作戦を考え出したであろうティアナに、はやては内心舌を巻いた。
 最後の不意打ちのことも鑑みるに、意外とえげつない性格なのかもしれない。

 軌道六課が正式稼動を開始してから、二週間が経とうとしていた。
 誤解、それから潰し合いという最悪の出会いを果たしたスバル達前衛四人だったが、今回の戦闘映像を見た通り、その後のチームワークには何の支障も出ていない。
 全力のぶつかり合いが良い方向に影響を与えたのかもしれないし、始末書という共通の敵を相手に戦ったことで連帯感が生まれたのかもしれない。
 何にせよ、「雨降って地固まった」という訳である。

 それになのはとフェイトの介入により喧嘩両成敗という形で幕を下ろしたあの戦闘も、問題は山積みであったが全くの無意味という訳でもなかった。
 ラゼンガンはフルドリライズモード――なのは達で言うフルドライブモード、キャロは完全制御状態でのフリードリヒの召喚に、共に成功している。
 初陣を控えた機動六課前衛陣にとって、この二つの戦力の底上げは喜ばしい誤算である。

 ……と、本部に提出した始末書の中で、はやてはそう言い訳した。

「……辛うじて「不幸中の幸い」に引っかかるかどうかーってトコなんよね、本音を言えば」

 事ある毎に「ラゼンガンとフリードリヒのどちらが強いか」という口論を展開し、その度に再戦を申請してくる新人達を思い出し、はやては疲れたように息を吐いた。
 パイロットとしてのスバルの矜持も納得出来るし、家族に良い格好をさせてやりたいというキャロの気持ちも理解出来る。
 分かる、解るが……「お前ら子供か」とはやては声を大にして言ってやりたい。
 スバルは兎も角キャロの方は本当に子供なのだが、それはそれ。
 通常業務に加えて初日の不始末の事後処理で忙しいというのに、その上さらに仕事を増やそうとする新人達に、はやては笑顔と青筋を浮かべて申請書を握り潰すのだった。
 この軋轢のせいでチームワークがガタガタになってでもいれば、雷を落としてそれで済むのだが、通常の連携には何の問題も出ていないのが逆に厄介なのだ。
 己の部隊の前衛の実態を改めて思い起こし、はやては再び嘆息を零す。


481 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:41:48 ID:hpvy8pTb
「……そ、そう言えば、新人の皆への新デバイスの受け渡しって、確か今日だったよね?」

 沈んだ表情のはやてを横目で見遣り、フェイトは話題を変えるべく口を開いた。
 その言葉にはやては顔を上げ、幾分か明るくなった表情で首肯を返す。
 機動六課の誇る前線メンバーとメカニックスタッフが、技術と経験の粋を集めて完成させた、四機の最新型デバイス。

 ローラーブーツ型インテリジェントデバイス――マッハキャリバー。
 拳銃型インテリジェントデバイス――クロスミラージュ。
 槍型インテリジェントデバイス――ストラーダ。
 グローブ型インテリジェントデバイス――ケリュケイオン。
 後者二つは未完成だった素体を調整完成させた正式版である。

 部隊の目的に合わせ、そして使い手それぞれの個性に合わせて造られた四機の専用デバイスは、更に別の意味でも「特別」だった。
 魔力炉と超小型螺旋エンジンのハイブリッド機関――実験的に搭載されたその新型動力炉が、実力や限界を超えた所謂「火事場の馬鹿力」をも本当の力に変えてくれる。

 あくまで理論上は、であるが。

 ともかく、これで新人達も実戦の用意が整った。
 これで予想外の緊急事態にも対応可能な、確固とした下地が完成したのだ。

「これで漸くカリムにも顔上げて会えるわ……」

 安堵したようにそう呟き、はやてはシートに背中を埋めた。

 聖王教会の騎士、カリム・グラシア――機動六課の後見人の一人であり、人材集めに奔走するはやてに代わり機動六課立ち上げの実質的作業を引き受けてくれた恩人。
 八年前、教会騎士団の仕事に派遣された時以来の付き合いとなる、上司というよりは姉のようなその人物に、はやてはどうも頭が上がらない。

 そのカリムからはやては緊急の召喚を受けた。
 騎士として聖王教会の中で高い地位にあるカリムは、その立場上聖堂から自由に出歩くということは出来ない。
 よって何か用事がある場合は必然的にはやての方が教会に出向くことになるのだが、今回の召喚には何か不穏な予感が付き纏う。
 少なくとも、呑気にお茶を飲んで無駄話するだけでは、とても終わりそうにない。


482 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:43:05 ID:hpvy8pTb
「……カリムの占いはな、よく当たるんよ」

 粛然とした表情で口を開くはやてを、フェイトはちらりと一瞥した。
 カリム・グラシアの保有するというレアスキル預言者の著書=\―詩文の形で未来を予言する能力のことを言っているのだろう。
 はやてから又聞きした話では「よく当たる占い」のようなものらしいのだが、カリムが後見人として自分達機動六課に関わる理由も、その予言が大いに関係しているという。
 当たるも八卦、当たらぬも八卦という占いとは違い、確かな力があるということだろう。

「ウチもな、一つ予言してやろ思う」

 真剣な表情を崩さぬまま、はやては続ける。

「これからウチらの向かう先には……何かあるで」

 確固とした口調で断言するはやてに、フェイトは思わず固唾を呑んだ。

「何かって……何が?」

 震えそうになる声でそう尋ねるフェイトに、はやては真顔でこう答える。

「何かや」
「…………」

 それは予言ではなく単なる勘というのではないだろーか……喉の先まで出かかったツッコミを、フェイトは辛うじて飲み込んだ。

 言葉は力を持つ――第97管理外世界地球°ノ東、はやての故郷日本≠ノ伝わる、「言霊」という概念である。
 ミッドチルダ北部、ベルカ自治領。
 そこはやて達を待ち受ける、はやての言うところの「何か」の存在に、二人はまだ気付いていなかった……。



天元突破リリカルなのはSpiral
 第7話「これからウチらの向かう先には……何かあるで」(了)

483 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/28(月) 21:45:03 ID:hpvy8pTb
以上、投下完了しました。

前回GJコールくれた方々、今回支援してくれた方、この場を借りてありがとうございます。

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:50:29 ID:Q03MVg4g
GJ!
今回は前段階って感じでしたね、しかしどうも文で読むとグレンラガンのあの「俺を誰だと思ってやがる!」が浮く気がするのは自分だけでしょうか・・・

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:51:52 ID:scarpCk5
GJ
着々と準備が調っていく中、次はどうなる!?

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 21:52:42 ID:ShTHQFfx
>天元突破リリカルなのはSpiral
うちのティアナがすみません。ワビサビの分からない子でw
やはり、世界観の変化によって四人の戦い方にも向上が見られるようですが、私の場合はやっぱり個性の良さに目がいきますね。
決め台詞を言いながら、やっぱりなのは相手で我に返るスバル可愛いよスバル。
個人的にスバル大好きなんで、彼女の為にあるような螺旋力の影響には今後も期待していきたいです。
グレンラガンの作風を受けたせいか、全体的にノリが良くなってるのもいいですね。シリアスもギャグもw
なのはも若い頃思い出して、もうちょっとはっちゃけてもいいじゃね? 昔は突撃もしてたじゃないw

487 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:25:26 ID:ShTHQFfx
それでは、そろそろ第十二話を投下しようと思います。
投下数は17 あんまり長くないっすけど、出来れば支援を。
赤字氏がなかなか書いてくれないから、もうフェイトとダンテの絡みは自分で書くしかないよ!
内容はそんな感じw

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:26:47 ID:MzfQjtX+
言ってらっしゃーい。支援

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:27:23 ID:dX49umvC
支援するぜ?
支援しないことは許可しないぃいいいいいいい!!

490 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:29:07 ID:ShTHQFfx
「いらっしゃいませ。ようこそ―――っ!?」

 ホテル<アグスタ>の受付に差し出された招待状代わりの身分証明書を眼にした瞬間、男の営業スマイルは崩れ去った。
 今日、このホテルで行われるオークションには各界の著名な資産家達が参加しているが、それらとはまた別の方面に名高い人物が目の前に現れたのだ。
 畏怖すら含む視線を持ち上げれば、見た目麗しい三人の美少女が佇んでいる。

「こんにちわ、機動六課です」

 なのは、フェイトと共に煌びやかなパーティードレスで完全武装。
 プライベートでは女を捨てている我らが部隊長は、清楚な令嬢へと変身を遂げて、完璧な笑顔を作って見せたのだった。
 機動六課。今回の任務は、このオークションの護衛である―――。



 受付から少し離れたロビーの一角で、はやて達三人の隊長陣は一般参加者を装いながら会話を交わしていた。

「それじゃあ、オークションが始まるまでの間に営業済ませとこか」
「うん? 建物の下調べのことだよね」

 はやての妙な物言いに、少々戸惑いながらもなのはが合わせた。
 しかし、その返答にはやてはチッチッチッと指を振る。

「それもあるけど、メインは文字通りの<営業>やな」
「え、他に何かあるの?」
「この場にはあらゆる界隈の資産家が集まっとるんやで? しっかり愛想振り撒いて、各々のアイドル性をアピールして来ぃ! 接待営業や!」
「「ぇえ゛っ!?」」

 サムズアップして衝撃の事実を告げた部隊長に対し、二人の隊長は顔を引き攣らせた。
 なんという無茶な命令。なのはとフェイトの心境は、不落の要塞の攻略命令を下された少数部隊の指揮官に等しい。

「は、はやてちゃん……それ本気?」
「機動六課が実験部隊なのは十分理解しとるやろ?
 色々目ぇ付けられとるし、まだまだ立場も安定せん。こういった場所で、有力な権力者に覚えを良くとしといて損はないよ」
「でも、そんなのどうすればいいか……」
「深く考えんでええよ、フェイトちゃん。普段通り、無自覚なセックスアピールで成金中年の視線を惹き付ければええんや」
「ナニいい笑顔で酷いこと言っちゃってるのはやてちゃん!?」
「無自覚……アピール……」

 予想もしない親友の発言を受けて、ショックで放心するフェイトの代わりになのはが食って掛かる。

「確かにフェイトちゃんは子供の頃から露出癖があったけど、最近はソニックフォームも自重してるし、バリアジャケットのデザインも落ちついてるんだよ!? もう弾けてはいられない歳なんだよ!」
「露出癖……弾け……」
「いや、でももう染み付いたM属性は変えられんやろ? 実は局員の極秘アンケートで、人気ナンバー1なんやで。性的な意味で」
「えむ……性的……」

 二人の親友が抱いていた自分へのイメージが次々と明かされ、どんどん精神的なドツボに落ちていくフェイト。
 なのはが我に返って自分の発言を省みる頃には、仲良し三人組の中でも何かとワリを食うことが多い彼女はかつての暗黒時代を髣髴とさせる虚ろな表情を浮かべて何かブツブツ呟いていた。
 慌ててフォローするなのはを無視して、はやてはあくまで世知辛い会話を進めていく。

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:29:17 ID:OeBa1UMe
支援だ……あぁ支援だとも

492 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:30:02 ID:ShTHQFfx
「まず第一にスマイル。適当な相手見つけたら、軽く挨拶だけでもしとくんやで?
 ターゲットは夫婦連れ以外がええな。私らの顔はメディアで割れとるんやから、機動六課やってことを隠す必要はない。むしろガンガンアピールしとくんや!」
「まるでキャバクラだよ、はやてちゃん……」
「まあ、それに近いな。折角こんな肩丸出しの派手なドレス用意したんやから、有効に使うように」
「<何>を?」
「胸とか尻を。少しくらいセクハラされても騒いだらあかんで?」
「……ううっ、これも隊長の務めなんだね。スバルやティアナ達に、こんな辛い役割押し付けるわけにはいかないもんね」

 涙を呑んで耐え忍びながら、なのはは大人の厳しさを受け入れていた。
 華やかな魔法少女の活躍の裏側で展開されるドラマ。それがここにはある。
 葛藤するなのはの肩を、虚ろな眼をしたフェイトが励ますように叩いた。

「なのは、耐えよう? 私も結構セクハラはされてきたけど、我慢出来たよ」
「って、フェイトちゃん本当にセクハラされてたの!?」
「二度目の執務官試験に落ちた時、試験官の人にホテルに誘われた時は本気でヤバイと思ったよ……フフッ」
「クソ! なんて時代だ……っ!」
「ごめん、フェイトちゃん。さっきの発言は迂闊やった。そんな管理局の裏話があったとは思わんかったわ」

 そして、フェイトのダークサイドは意外と深かった。
 なのははもちろん、はやてすらも大人としての汚れた階段を昇って成長した瞬間だった。



 ―――やがてフェイトも普段の調子を取り戻し、ホテルに配置した副隊長達や新人達への指示を話し合う真面目な会話が続き、そして終わる頃。

「い、いらっしゃいませっ!!」

 明らかに音量と緊張感を増した受付の声が、異様なほど広くロビーに響き渡った。
 その声にはやて達が視線を移せば、受付の男はもとより、周囲の従業員が総立ちで整列して頭を下げている。
 そして、そんな彼らの奇行に対しても、周囲のオークション参加客達は騒ぐこともせず、ただ息を呑んで沈黙するだけだった。
 萎縮するような静寂と緊張の中心に立つ一人の男を、はやて達三人は捉える。

「本日は、当ホテルにお越しいただき、まことに……」

 震えを隠せぬ声を必死に搾り出す従業員を、いっそ憐れに思えるほど全く気にも留めず、その男は受付を素通りした。
 その後に付き従うように、二人の護衛が続く。いずれも女だった。

「あれは……」
「参加者の中でも一番の大物やね。今回のオークションでは、高価な私物も幾つか出品してるとか」

 身に纏った純白のスーツと肩に引っ掛けるようにした羽織ったコート。いずれも惜しみなく金をかけた高級品だったが、それらはあくまで男を飾る物でしかない。
 周囲の人間を萎縮させているものは彼の持つ権威であり、スーツを押し上げる屈強な肉体とその全身から立ち昇る圧倒的な<強者の威厳>であった。

「<アリウス>―――大企業ウロボロス社の経営者であり、管理局認可の単独魔導師でもある男や」

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:30:44 ID:hpvy8pTb
支援です

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:31:05 ID:Q03MVg4g
支援

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:31:15 ID:ihjBKKcg
では全力で支援しよう。
最強の二丁銃ケルベロスを以って奈落の底から!!!

496 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:31:21 ID:ShTHQFfx
 あらゆる意味での<力>を備えた、凶相とも言えるアリウスの顔を見据え、自然と強張った表情ではやては呟いた。
 紛れも無い重要人物であり、このホテルの人間全ての護衛を任とする機動六課にとっても留意すべき人物である。
 しかしその雰囲気や、周囲の人間を気にも留めていない不遜な態度も含めて、三人の彼への印象は共通して厳しいものとなっていた。
 ロビーを横切るように歩みを進めるアリウスは、自然と三人の横をすれ違う形になる。
 そこでようやく、前を見据えていた彼の視線が動いた。

「―――ほう」

 アリウスの視線が捉えたのはフェイトだった。
 しかし、それは決して友好的なものではない。
 浮かべたのは文字通りの冷笑。向ける視線の意味は僅かな興味であり、同時にそれは人間に向けるようなものではなく、まるで珍しい動物に向けるそれであった。

「……何か?」

 警戒と共に身構えたくなるような気分で、フェイトは硬い声を絞り出した。

「貴様は、<テスタロッサ>か」
「そう、ですが」

 アリウスが何故<フェイト>でも<ハラオウン>でもなく、<テスタロッサ>というミドルネームを呼んだのか、三人にはその真意が分からなかった。
 ただ、嘲るような口調は確実に悪意を孕んでいる。

「そうか、お前『も』か。初めて見たな。興味深い」
「……何の話でしょうか?」
「なぁに、少々気になったのだよ」

 訝しげなフェイトの表情を楽しむように鑑賞しながら、アリウスは懐から葉巻を取り出した。
 風紀の類が徹底管理されているミッドチルダではあまり見ない嗜好品の類だ。
 それらの仕草が一連の流れであるように、背後に就いた護衛の一人が動いて、淀み無く火を付ける。ライターではなく指先から生み出した火種によって。
 魔法だ。
 三人の眼には、その何でもない魔法がやけに印象強く残った。
 その服装から背格好まで全く同じで、顔の半分をやはり同じデザインの奇怪な仮面で隠した二人の護衛の異様さと共に。

「―――君と私の部下、どちらの<性能>が上なのかと思ってね」

 背後の護衛二人からフェイトへ、意味ありげに視線を往復させてアリウスは愉快そうに呟いた。
 結局、その真意を問い質す前に、物言いに不快感を露わにする三人を無視してアリウスはオークションの会場へと歩き去っていった。

「なんというか……あの人、わたしは少し苦手かな」
「素直に腹立つって言ってええよ。フェイトちゃん、大丈夫?」
「うん、気にしてないよ」

 案じるはやてに対してフェイトは笑って答えて見せたが、好色な視線とは違うアリウスの瞳を思い出して、僅かに背筋が震えた。
 あの男は、自分を―――。

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:31:24 ID:dX49umvC
フェイトそんw
やっぱり認識は正しかったんだ 支援w

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:31:28 ID:x3qikN5C
露出狂支援

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:32:19 ID:xTDBfqfp
しかしアリウスceoは安酒は口に合わんので一流のもてなしをしなければ支援。

500 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:32:27 ID:ShTHQFfx
「大物には違いないんやけどな、黒い噂も絶えん人物や。管理局でも、一度違法魔導師として逮捕命令が下ったことがあるそうやし……結局、誤認やったらしいけど」
「そんな地位の相手に逮捕段階まで行っておいて、誤認で終わったの?」
「少なくとも事件の記録は、証拠不十分と実際に動いた部隊の先走りで終結しとる」
「……変に勘繰りたくはないけど」
「やっぱり、裏で色々動いとるやろうなぁ」

 金とか権力とか―――。
 はやては言葉の後半を自重して飲み込んだ。どれほど黒に近くとも、実際に口にしていい相手ではない。

「まあ、いずれにせよ私らには色んな意味で遠い人物や。注意だけ払って、下手に近づかん方がええよ」
「そうだね」

 資産家には色々な種類の人間がいる。それを理解する程度には、なのはもはやても社会での経験は積んできた。
 不快感を義務感で押し留め、はやてとなのはは振り切るようにアリウスが去って行った方向から背を向けた。
 ただ一人、フェイトだけがもう見えなくなったアリウスと二人の護衛の後ろ姿を見据え続けていた。

「気のせい、かな?」

 なのはとはやてにも聞こえない小さな呟きは、僅かな疑念を含み。
 本当に気のせいだったのだろうか。
 あの時、アリウスと二人の護衛が自分の前を横切った時―――右手の傷が疼いたような気がした。








魔法少女リリカルなのはStylish
 第十二話『Black Magic』








 ホテル<アグスタ>の地下駐車場の奥には、参加者の車両からは離れてオークション用の商品を積んだ輸送車が並んでいた。
 大小様々なサイズのコンテナを搬入口から運び込んでいく。
 その中でも成人男性でも入れそうなほど一際巨大なコンテナを、作業員が開いていた。
 ウロボロス社のロゴが刻印されたコンテナから引き出された物を見て、作業員の一人が思わず小さな悲鳴を上げた。

「何ビビってんだよ」
「だ、だってよ……」
「仕方ないさ。こんな薄気味悪い物までオークションにかけようなんてよ」

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:33:24 ID:dX49umvC
惨劇の予感w
支援!!

502 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:33:45 ID:ShTHQFfx
 コンテナの中に納まっていた物―――それは人形だった。
 小さく折り畳まれてコンテナに入っていたものの、両肩を吊って持ち上げれば、力なく垂れ下がった両脚を含めて2メートル以上の全長を持つ巨大な操り人形だ。
 風化した枯れ木のような骨組みで構成され、その上にボロボロの衣装を纏った姿は確かに年代を感じさせるが、それ以上に生々しい気配を放っている。
 まるで人骨で作られているかのように錯覚する全容は、薄暗い地下で見るにはあまりに不気味だった。

「ウロボロス社の会長の私物だろ? いい趣味してるよな」
「コイツはサンプルとして会場に持ってくらしいけどよ、実際には同じようなのを30体くらい出展するらしいぜ」

 そう言ってトレーラーの中を指差した仲間に促されて覗き込めば、同じサイズのコンテナが10以上積み込まれていた。
 それら全ての中に、この不気味な人形と同じ物が折り畳まれて入っていることを想像すると、全身が総毛立つ。

「こんな不気味な物、欲しがる変態がいるのかよ?」
「金持ちの考えることは庶民にゃ分からんね」
「おい、さっき別のトレーラーで同じウロボロス社のコンテナの搬入手伝ったけどよ、そっちも錆びた処刑刀だの染みだらけのボロ布だのがギッシリ詰まってたぜ」
「ホラー映画でも作ってるのかよ、あの会社は」

 物が物だけに談笑といえるほど明るい雰囲気にもなれず、ぼやくように会話をしながら彼らは出展用のハンガーへ人形を固定していく。
 言葉を絶やさないのは、彼らの無意識に巣食う不安と恐怖を表しているようだった。
 馬鹿げたことだと冗談のように内心の思いを笑っても、考えずにはいられない。
 雑談を止め、辺りに沈黙が戻れば、その懸念が現実のものとなりそうな不安を、彼らは消すことが出来なかった。
 ふと、その人形の精巧に彫られた虚ろな顔を見てしまった瞬間に子供のような恐れが湧き上がる。
 まるで、本当に今にも動き出しそうに思えて―――。






「オークション開始まで、あとどのくらい?」
《Three hours and twenty-seven minutes.(3時間27分です)》

 バッグのアクセサリとして待機モードでぶら下がっていたバルディッシュの答えを聞き、フェイトはロビーの吹き抜けを見下ろした。
 事前の構造図も含め、既に現場の下見はほとんど終わっている。
 オークションの会場となるホールから始め、出入り口や裏口などへ続くルートを歩いて確認しながら、フェイトははやての言う<営業>もなんとかこなしていた。
 すれ違う客に社交辞令のスマイルと挨拶を無料で振り撒いていく。
 時折向けられる男性の好色を含んだ視線も慣れたものだった。
 しかし、そういった視線を自覚する度にロビーで向けられた全く種類の違う好奇の視線を思い出す。
 アリウスがフェイトに向けた視線の意味。
 あの冷たくも粘度を持った視線の意味を察すれば、背筋に寒気が走り抜ける。
 アレは、人を見る眼ではない。まるで芸術家の作品を鑑定するかのような瞳だった。
 あの時あの男は、自分を人間として見ていなかった。

「ひょっとしたら、私の事を―――」

 知っているのだろうか? この身が、純血の人間では無いと。
 10年前に決着を着けたはずの『自分に対する不安』が思い出したように頭をもたげてくる。
 それを不屈の精神で抑えようとして、故に気付かなかった。自身の根幹に根差すこの不安を消すことなど出来ないのだということを。
 生まれた瞬間に定められた運命は、死ぬ瞬間まで消えはしない。
 友情や決意の中で薄れていったその重みを、ふとした時に思い出すのは決して避けられないことなのだと、フェイトは認めることが出来なかった。
 そうして、己の思考に没頭して歩くうちに人気の無いホテルの裏口まで着いてしまう。
 我に返ったフェイトは慌てて意味もなく辺りを見回した。

「迷子かい、お嬢さん?」

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:34:58 ID:dX49umvC
マリオネットか!
そして、ダンテ来たぁああああ! 支援!

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:35:00 ID:l4qszFVk
支援だ!

505 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:35:14 ID:ShTHQFfx
 まるで自分の動揺を見透かしたかのように唐突に声を掛けられて、フェイトは思わず背筋をピンと伸ばした。
 何も後ろめたいことなど無い筈なのに無意識に恐る恐る振り返れば、男が一人立っている。
 貴族然とした紫色のスーツとコートを来た姿は警備員などではない。表情も微笑を浮かべ、リラックスしている。
 それらを確認して、フェイトは内心で安堵のため息を吐いていた。

「はい。オークションの会場に行きたいんですけど、迷ってしまって」
「それでこんな所まで? 方向音痴なお嬢さんだな」

 淀みなく言い訳を口にして、男もまた嫌味の無い笑い方で答える。
 好感の持てる穏やかな物腰に、フェイトも思わず微笑みを浮かべていた。
 男の口調は若さを感じさせる軽快なものだったが、どこぞの貴公子とも思える秀麗な姿はギャップがあって、奇妙なユーモアを感じさせた。
 見事な銀髪を後ろに撫で付け、左目に嵌めた片眼鏡(モノクル)は黙っていれば随分と年上の印象を与える。
 あのアリウスとは全く違う意味で人の目を惹き付ける男だった。もちろん良い意味でだ。

「だが、こんな見た目麗しいお姫様を放ってはおけないな。アンタには、こんな人気の無い場所よりダンスホールの真ん中を陣取ってた方が似合ってる」

 大げさなようでいて決してお世辞の意味など含んでいない台詞を吐き、男はダンスに誘うように手を差し出した。

「壁の花にするには勿体無いぜ。よければ、俺にエスコートさせてもらえないか? お嬢さん(レディ)」

 そう言ってウィンクする男の仕草は芝居染みたものなのに、ビックリするほど様になっていた。
 妖艶な色気すら感じる仕草と言葉を前に、フェイトは頬が熱くなるのを感じながらも、これまで出会ったことの無いタイプの相手に対して魅力を感じてしまう。

「―――宜しいですか、紳士さん(ジェントル)」

 そしてこちらも全ての男を虜にしてしまいそうな蟲惑的な笑みを無自覚に浮かべると、そっと手を差し出した。
 手と手が触れた瞬間、フェイトの持つ傷が一瞬疼いた。
 しかし、そこに伴う痛みは苦痛などではなく、何処か甘美なものだと錯覚すらしてしまう。それを痛みだと気付かせないほどに。
 そうして歩いていく浮世離れした美男美女の二人を、すれ違う者達全てが羨むように見ていた。






 オークション会場となるホールを見渡していたはやてとなのはの下へ男連れで戻ってきたフェイトに対する二人の驚きは、もちろん大きかった。

「……え? 何コレ? え、職務中に男引っ掛けて来よったよこの娘。え、ナニソレ? それは出会いの無い私への当てつけ?」
「はやてちゃん、さりげなく錯乱しないで」

 何故か予想以上のショックを受けるはやてをなのはが正気に戻し、改めて苦笑を浮かべるフェイトと傍らの男に向き合った。

「ええと、フェイトちゃん。こちらの方は?」
「『迷って』裏口まで行っちゃってたところを助けてもらったんだよ」

 なのはに目配せして、フェイトは口裏を合わせる意図を伝えた。
 別に<機動六課>であることを隠す必要はないが、客の中に溶け込んで護衛をする以上、必要以上に身分を明かすこともない。
 何より、彼の自然と心を許してしまう気安い物腰が、何となく『仕事を挟んだ付き合いでいたくない』という気分にさせていた。
 まるでリズムを感じるような男とのやりとりが、名前すら交わしていないことを気付かせないほど心地良いと思えるからかもしれない。
 会釈するはやてとなのはを見つめ、男は感嘆のため息を漏らして頷いた。

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:35:17 ID:hpvy8pTb
はやて自重しろw
支援

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:35:20 ID:Q03MVg4g
支援!

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:35:57 ID:6Y6f6YMg
   

509 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:36:29 ID:ShTHQFfx
「驚いたね、美人の友達はやっぱり美人ってワケだ」
「お上手ですね」
「生憎とお世辞は苦手でね。綺麗な女を褒める時は、本音で語るのが一番さ」
「そこまでストレートに言われたのは初めて、かな」
「オークションなんて辛気臭いもの止めて、ダンスパーティーにするべきだな。是非踊ってみたいね」
「場所さえ改めれば、わたしも喜んで」

 男となのはの間でリズミカルに言葉が投げ交わされる。
 なのはにとっては慣れた社交辞令なのに、何処か小気味のよい会話だった。
 話す事が上手いのだろう。気障な台詞や比喩を嫌味無く言えて、しかもそれが似合ってしまう。ある種の才能を持った男なのだと思った。
 フェイトが感じたものと同じ新鮮さを、なのはもまた感じている。
 その一方で、こういった会話を一番テンション高く楽しみそうなはやては、出会った時からずっと沈黙を保ったまま男の顔を見つめていた。

「そちらのお嬢さん。俺があんまりいい男だからって、そんなに見つめるなよ。穴が空きそうだ」
「―――あのぉ、何処かで会ったことありませんか?」
「おっと、まさか女性の方から口説かれるとは思わなかったぜ」

 ナンパの常套手段とも言える台詞に対して男は苦笑して見せたが、はやては真剣な眼差しのまま答えを待っていた。
 それに気付いた男は肩を竦めると、首を横に振って返す。

「いいや。残念だが、アンタと会ったことは『無い』な」
「そうですか……いや、でも確かにこんなええ男と会ったんなら例え10年前でもしっかり覚えてるはずやしな」
「ハハッ、なかなか正直に言ってくれるじゃねえか」
「そしてもちろん、私みたいな美少女を見て、忘れるはずもないですしね?」
「ああ、全く同感だね」

 神妙に頷く男とはやては再び視線を合わせ、やがて堪えられなくなったように二人して笑い出した。
 やはり、二人のテンションの高さは奇妙なシンパシーを得るに至ったらしい。
 酷く自然なこの組み合わせを、なのはとフェイトは苦笑しながら傍で見守っていた。
 放っておけば、このまま四人で飲みにも行けそうな和気藹々とした雰囲気だったが、生憎とはやて達三人には職務がある。

「―――さて、このまま潤いのある会話を続けたいところだが、ちょいと野暮用があるんでね。オークションもそろそろ始まる時間だ」

 それをまるで察しているかのように、男がキリのいい所で談笑を切り上げた。

「貴方もオークションに参加するんですか?」
「いや、付き人みたいなもんだな。会場にはいるつもりだが」
「うーん、贅沢な付き人やなぁ。その雇い主さんは、ええ趣味してますね」
「俺もこういうのは苦手なんだがね。オークションが終わったら、今度は私的な再会を是非望みたいな」
「私もです―――それじゃあ」
「ああ、またな」

 今度は社交辞令などではない、僅かな名残惜しささえ見せて、フェイト達はその男と別れた。
 気が付けばお互いの名前さえ知らなかった。
 それを後悔しながらも、切欠を思い出せば別段不思議ではないささやかな出会い。
 しかし、それは三人にとってやけに印象に残る出会いだった。
 知らぬうちに、三人が同じ再会を願う程に。
 そしてそれは、すぐに現実の事となる。






510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:36:35 ID:dX49umvC
もしかしてスーツのデザインはパパンのスーツか?
支援!

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:36:35 ID:x3qikN5C
支援

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:37:03 ID:scarpCk5
支援


513 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:37:33 ID:ShTHQFfx
 三人の美女と別れたダンテは、この不本意な依頼に対して少しだけやる気を取り戻していた。
 ホテルを徘徊する人間は、やはりダンテにとってあまり好かないタイプの成金ばかりだったが、幾つか気に入ったこともある。
 まず第一に、レナードの用意した<仕事着>だった。
 紫を貴重とした貴族のような服は彼の好むロックなデザインとは程遠かったが、黒だの白だののタキシードなどよりはるかにマシだ。コートのデザインも悪くない。
 レナードに言わせれば、これでも仮装パーティーさながらの派手な格好らしいが、それを着こなすセンスと自負がダンテにはあった。
 第二に、なかなか魅力的な出会いがあったことだ。
 間違っても深窓の令嬢が訪れるはずもない俗物の集いだと思っていただけに、裏口で美麗な女性と遭遇した時は一瞬何かの罠かと錯覚するほどの衝撃を受けた。
 思わず声を掛けて、建物の下見をしてこんな人気の無い場所を徘徊していた自分は随分怪しいのではないかと我に返った時にはもう遅い。
 迷子のふりでもするか? と悩む傍で相手が似たような返答を返す。
 自分のことを棚に上げて、そんな彼女がまともな令嬢などではないのだろうと疑ったが、しかしそれこそダンテにとってはどうでもいいことだった。
 若い女。しかもそれが類稀なる美人となったら、無条件で味方をするのが男というものだ。
 女性としては高い身長に、プロポーションもバッチリ。何より、あの長い髪がいい。金髪(ブロンド)は好みだ。
 そんな彼女と連れ立って向かった先でも更に二人の美女と出会えた。
 今回は珍しくワリの良い仕事ではないか?
 あのケチな情報屋の手引きを柄にもなく感謝してしまいそうになる。
 そして何より、第三に―――。

「退屈な時間になるかと思ったが、なかなかどうして……胸糞悪い空気が漂ってるぜ」

 ダンテの持つ第六感が、慣れ親しんだ警鐘を鳴らしていた。
 ロビーのシャンデリアと窓からの太陽光が明るく照らし、穏やかな静寂が満ちるこのホテルで、おおよそ想像もつかないような悪夢が生まれることを予見できる。
 この場にいる人間達の中でただ一人、ダンテだけがそれを感じていた。
 このホテルに潜む、複数の<悪魔>が放つ微細な気配を。

「観客が多すぎるな。派手なダンスパーティーになりそうだ……」

 確信にも近い、地獄の幕開けを予感しながら、それをただぼんやりと幻視するだけで留める。
 自分は預言者ではない。勘だけで危険を予感し、それをあらかじめ警告したところで執りあう者などいるだろうか?
 <悪魔>などと騒ぐだけで狂人を見るような眼を向けるのだ。
 人間は自分の理解の及ばないものを受け入れようとしない。見ることすら耐えられず、知ることにも恐怖する。
 ならば、彼らが<悪魔>の存在を認める時は現実にそれが降り立った時だけなのだ。
 ダンテは自分か、あるいはそれ以外かを嘲笑するように鼻を鳴らし、静かにオークション開始直前となった会場へと足を踏み入れて行った。
 最後の参加者の入室を確認し、静かにホールへのドアが閉まっていく。
 やがて、最後の扉が閉まり―――舞台開始の合図が鳴った。





 人口の密集する喧騒を避け、豊かな自然の中に建てられたホテル<アグスタ>は周辺を森林に囲まれている。
 車の通りが少ない車道を越えて、ホテルの一角を僅かに見上げられる程離れた場所に、その三人は佇んでいた。

「あそこか……」
「本当に、手を貸すの?」

 一際大柄で服の上からでもその屈強な肉体が分かる男と、その男ほどではないにしろ長身で美しく若い女。そして、額に刻印を刻まれた少女。
 親子とも連れ合いとも思えない奇妙な三人組が、人気の無い森の中で息を潜めるようにフードを被ってホテルの様子を伺う姿もまた奇妙極まりない。

「アナタの探し物は、ここには無いんでしょう?」

 男と同じ鋭い視線を目的の場所へ向けていた女は、自分の左手を掴む小さな少女へ柔らかく問い掛ける。
 少女はフードを取り、女を見上げて小さく頷いた。
 悲しいことに、無垢なその顔にはおおよそ表情と呼べるものが浮かばない。
 少女が年相応の反応を失って長い。少なくとも、その女の知る限りは。

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:38:18 ID:ihjBKKcg
ゲームよりこのSSの方が扱い良いアリウス涙目支援!!

515 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:38:22 ID:ShTHQFfx
「ゼスト」

 気を取り直すように、女は傍らの男の名を呼んだ。
 心得たようにゼストは頷く。

「ルーテシアは、何か気になるらしい。この子の感性は独特だ。無視は出来ない」

 不満げな女を宥めるように説明すれば、合わせて少女―――ルーテシアもまたもう一度頷いて見せる。
 目元をフードで、口元を襟で隠した女は、小さなため息で自身の納得と諦めを表現した。

「―――ルーテシアが自発的に動きたいなら、構わない。いくらでも付き合う。
 でも、今回の事にあのマッドサイエンティストの余計な入れ知恵や小ズルイ催促はなかったの?」
「それは……」

 自然と剣呑になる女の問いに答えようとゼストが口を開いた時、丁度話題の中心となる人物から通信が繋がった。
 三人の眼前にホログラムのモニターが出現し、そこに映った人物を見て、少なくとも二人が不快感と警戒を露わにする。
 一方は厳つい顔を更に引き締め、もう一方は柳眉を鋭く吊り上げることで。

『ごきげんよう。騎士ゼスト、ルーテシア、そして―――』

 通信先の人間―――スカリエッティが自分の名前を呼ぶ前に、女は無言で顔を背け、背まで向けた。
 拒絶を超えた敵意故にであった。
 取り付くしまもない仕草に、スカリエッティは愉快そうに忍び笑いを漏らす。

「ごきげんよう」
「何の用だ?」

 相手にもしない一人に代わって、残りの二人が抑揚の無い声と素っ気の無い声で応える。
 
『彼女も君も冷たいねぇ。随分と嫌われてしまったものだ』
「さっさと用件を言え。その彼女の機嫌はお前の話が長引く度に悪くなっていく。モニター越しに斬られたくはないだろう」
『ははっ、本当に在り得そうで恐ろしいなぁ』

 この不穏な会話を、スカリエッティだけが純粋に楽しんでいた。
 苛立ちも悪態も見せず、全くの無反応を貫く女の背中を一瞥して、彼はようやく観念したかのように本題を切り出した。

『事前の打ち合わせ通り―――そろそろ行動開始の時間だ』

 意味深げなスカリエッティの台詞を聞き、ゼストはもう一度ホテルに視線を向けた。
 変わらぬ姿で、そこは静寂を保っている。

「もうホテルの襲撃は始まっているのか?」
『確認は出来ないが<彼>はもう内部に入っているし、今は丁度オークション開始予定時間だ』
「協力する相手と連絡すらまともに出来ていないのか」
『<あの男>とはあくまで利害関係による繋がりだからねぇ。申し訳ないが、今回我々は受身だ。
 内部で動きがあると同時に、こちらもガジェットを向かわせる。後は―――分かるね? ルーテシア』
「うん、分かった」
『良い子だ』

 自分ではなく、あくまでルーテシアに話を振って了承を得ようとするスカリエッティの小賢しさに、ゼストは不快感を隠せなかった。
 この男は、ルーテシアの意見を自分と彼女が無碍に出来ないことを理解して、そこに漬け込んでくる。
 何よりも厄介なのは、このどれほど疑っても足りない胡散臭さを形にしたような狂人を、ルーテシアが意外と好ましく思っているという事だった。
 今のゼストが抱く感情は、娘が軽薄な男と付き合いながらもそれを説得して止める術を知らない親が持つ苛立ちに酷似している。
 そして、そこに殺意を加えたものが、背後の彼女がスカリエッティに抱く感情だ。

516 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:39:38 ID:ShTHQFfx
「……今回は特別だ。現場にも近づかない。
 我々とは、レリックが絡まぬかぎり互いに不可侵を守ると決めたことを忘れるな」

 せめてもの抵抗として、ゼストはモニターの先の薄ら笑いを睨みつけながら釘を刺した。

『ああ、もちろんだとも。それを踏まえて、ルーテシアの優しさには深く感謝しよう。
 ありがとう。今度是非、お茶とお菓子でも奢らせてくれ。もちろん、他の二人も―――』
「話は終わりだ。消えろ」

 高速の一閃が、文字通りスカリエッティの台詞を途中で寸断した。
 空中に照射されていたホログラムを、電子的な手順を踏まずに鋼の一撃によって真っ二つに切り裂く。モニターを形成していた粒子が霧散し、通信は『消滅』した。
 ルーテシアでなければゼストの仕業でもない。
 思わず二人が振り返れば、そこには変わらず背を向けたまま佇む女の姿がある。
 一体、何をどうやったのかは分からない。しかし、会話を切り上げた冷たい声は間違いなく彼女のものだった。

「……<ルシア>」

 僅かに咎めるような感情を含み、ルーテシアは彼女の名前を呼んだ。
 ルシアは苛立ちに任せるように、フードを取り払う。
 そして美しい肉体に吊り合った美貌が姿を現した。
 燃えるような赤い髪を一房の三つ編みにして肩から前へ垂らし、褐色の肌を持つしなやかな女戦士は、少女の抗議に対して小さく鼻を鳴らして見せる。

「いつまでも長々と話してるからよ。あの男の会話の7割は無駄話なんだから」
「だからって斬らないで。<アスクレピオス>の通信機能が壊れる」
「ゴメンなさい。でも、アナタの為でもあるのよ」
「わたしは、ドクターとお話しするの、そんなに嫌いじゃないから」
「ああ、ルーテシア。アナタの男の趣味だけが将来の不安だわ」
「どういうこと?」

 決して穏やかではないが、ルシアのルーテシアに対する態度は先ほどのスカリエッティに対するそれと比べて全然柔らかい。
 まるで妹に接する世話焼きの姉のようだ。
 事実、ゼストの知る限り二人の関係は<姉妹>が一番近い表現であった。
 普段は女である前に戦士であろうとするルシアの物腰の変化も、これでは苦笑を浮かべずにはいられない。
 険悪なやりとりの後で、束の間穏やかな空気が三人の間に流れていた。

「……それじゃあ、そろそろ始める」

 しかし穏やかな時間はすぐに終わり、憂鬱な時間が始まる。
 少なくともゼストとルシアにとって、この少女が自らが行おうとしている所業に何の感慨も感じないまま闇に手を染めるのは憂鬱以外のなにものでもない。
 コートを脱いだルーテシアは両腕のグローブ型デバイス<アスクレピオス>を起動させる。

「吾は乞う、小さき者―――<群れる者>」

 ルーテシアの囁く詠唱に呼応して、足元に闇が生まれた。
 それは比喩などではなく、滲むように広がる虚ろな黒い染みだった。
 ベルカ式でもミッドチルダ式でもない。はっきりとした術式すらなく、故に魔方陣さえ発生しない。魔法の<行使>というより<現象>のような出来事。
 文字通りの<黒い魔法>は、人におぞましさを与える光景を、少女を中心にして繰り広げる。

「言の葉に応え、我が命を果たせ。召喚―――」

 ルーテシアを中心に広がった、暗黒の湖畔から湧き出るように奇妙な煙が立ち昇った。
 目を凝らせば、それらが微細な黒い粒の集合によって形成された煙だった。

「<スケアクロウ>」


517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:40:06 ID:dX49umvC
支援!
スカ博士はやっぱり襲うのか。けど、なんか狙いがある予感支援!

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:41:08 ID:xTDBfqfp
布袋にぎっしり甲虫、スケアクロウ支援

519 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:41:18 ID:ShTHQFfx
 そして、その粒の一つ一つが肉眼ではハッキリと確認出来ないほど小さな未知の甲虫であった。
 無数の虫が群れ、煙や霧としか認識できない黒い塊となって甲虫は動き始める。
 地を這い、空を舞い、何かが擦れるような無数の奇怪な音を波立ててソレは移動していった。
 真っ直ぐに、ルーテシアの視線の先―――ホテル<アグスタ>へと向けて。

「……ゼスト。ルーテシアをお願い」

 人が扱ってはならない禁忌の魔法を目にしていた二人のうち、おもむろにルシアが告げた。
 口元を隠し、再びフードを被り直して、トランス状態で魔法を行使するルーテシアの横顔を一瞥する。
 その視線には、先ほどまでの純粋な暖かさは無い。複雑な迷いを含んだ感情が渦巻いていた。

「行くのか」
「戦闘の混乱の中で目標物を奪うのが目的なら、戦いは見せかけだけでいい。人死には極力避けたい」
「そうだな……会場内部には手を出すな。そこから先は、警備と運に任せておけ」
「私もそこまで善人じゃない」

 ルシアは剣呑な視線と冷笑を浮かべて見せた。
 しかし、彼女の心に冷酷な犯罪者とは無縁な正義の心と見知らぬ他人であってもその死を悼む優しさがあることを、ゼストは知っている。
 そして何よりルシアとゼストの二人には、幼いルーテシアが無自覚に人を傷つけ、殺すことを防ぎたいという意思があった。
 彼女が呼び出し、使役する存在は嬉々として人の命を飲み込むのだ。
 奴らが生み出す闇に、何も知らぬ少女まで引き摺り込ませるわけにはいかない。
 いずれ彼女が本当の人生を取り戻し、自らの罪を自覚した時に、その重みが少しでも軽くなるように。

「それに―――」

 言い淀み、ルシアはルーテシアの足元に広がる闇の世界へと繋がる扉を見下ろした。

「私にとって、やっぱり<悪魔>は敵だ」

 完全な敵意を吐き出して、ルシアは走り去っていった。
 戦場となる場所へ駆けつける戦士の背中をゼストはいつまでも見送り続ける。
 ルシアとは別に、彼の中にも複雑な想いが宿っていた。
 ルーテシアとルシアも含む、娘同然に想う二人の少女が歩む不遇の人生とその将来を案ずる気持ちだった。
 <悪魔>と縁を結んでしまった少女と、その<悪魔>を憎む少女。いずれも闇に関わりを持ってしまった故に平穏な日々から抜け落ちてしまった。
 若い彼女達には未来がある。
 しかし、その輝かしい未来に、もはや既に黒い染みは付きつつあるのだ。
 全てをリセットして普通の人生をやり直すなんてもう出来ない。今後の人生で引き摺っていかねばならない経験を、二人の少女はしてしまった。
 それが痛ましくてならない。かつて、そんな人の未来を守る為に自分は戦っていたというのに―――。

「所詮、私は悪魔に魂を売った死人か」

 無力な己を嘲りながらも、ゼストは祈らずにはいられなかった。

「……神よ。願わくば、地獄に落とすのは私だけにしてくれ」

 全ての罰は魂を抜かれたこの身に。
 彼女達にせめて未来を返してくれたのなら、この生ける屍は喜んで地獄に落ちよう。
 彼女達の人生を狂わせた闇の住人達を共に引きずり込み、本来在るべき場所へ再び封じてやる。
 戦士の悲壮な覚悟を嘲笑うように、視線の先にあるホテルからは黒煙が上がり始めていた。
 地獄が始まる。






520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:42:19 ID:HVzUcm8e
支援

521 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:43:14 ID:ShTHQFfx
『お待たせいたしました。それでは、オークションを開催いたします』

 開始を告げるアナウンスは予定していた時間通りに流れていた。
 客席から起こる拍手の中、二階からホールを一望しているなのはとフェイトは思わず安堵のため息を吐き出す。
 警備はオークションが終了するまで続くが、とりあえず事前に問題が起こることはなかったのだ。
 警戒していた何らかの襲撃の可能性が一つ減ったことは彼女達の緊張の糸を一本解してくれた。

「とりあえず、出だしは順調だね」
「このまま、何事も無く終わればいいけど」

 なのはの安堵にフェイトが水を差すように告げたが、その声に張り詰めたものはない。
 元より確定した襲撃の可能性や、列車襲撃時のような現在進行形の緊迫感はない任務なのだ。
 油断は無くとも、二人には余裕があった。

『―――ではここで、品物の鑑定と解説をしてくださる若き考古学者を紹介したいと思います』

 なのはとフェイトが見守る中、会場に設けられたステージに一人の青年が登場する。
 その青年の姿を見て、二人は思わず目を白黒させた。

『ミッドチルダ考古学士会の学士であり、かの無限書庫の司書長―――ユーノ=スクライア先生です!』

 万雷の拍手を浴びてステージに現れたのは、二人にとって幼馴染であり親友でもある人物だった。
 意外な場所での再会に、なのはもフェイトも言葉を失う。
 停止した思考の代わりに感情がまず何よりも純粋な喜びを湧かせてくれた。

「ユーノ君……」
「なのは、この事聞いてた?」
「ううん、初めて知ったよ」

 なのはの声には隠せない喜びと高揚がある。
 お互い、昔のように簡単に会えるほど自分の立場は軽くはない。
 結んだ絆は切れはしないが、それでも少しずつ距離は開いていくような気がして、そのことに諦めも感じ始めていた。
 六課の発足で忙しくもなり、そんな寂しささえ忘れかけていた時に、このサプライズだ。
 もちろん仕事のことは忘れない。でも仕事が終わったら? 別にちょっと話したり、食事の約束をつけるくらいはいいんじゃない?
 珍しく興奮する親友を見て、フェイトは苦笑した。

「今日は久しぶりに四人で話せそうだね」
「うんっ。はやてちゃんも、早く戻ってくればいいのに」
「配置の指示、遅れてるのかな?」

 ホールの外で、現場のシャマルやオペレーター達と情報を確認し合っているはずのはやてを思い出す。
 出入り口を一瞥すれば、そこはまだ閉ざされたまま誰も訪れることはなかった。
 そうしているうちに、ユーノらしい堅実で当たり障りのないスピーチは終わり、いよいよオークションが始まる。

『まずは出展ナンバー1とナンバー2の商品。かの有名なウロボロス社のアリウス氏から提供された由緒ある逸品です』

 司会の言葉と共にステージの奥から防護ガラスのケースに納められた品物が運び込まれ、ホールに客のどよめきが低く流れた。
 それは感嘆と―――畏怖によるものだった。

「なんだか……少し気味の悪い品だね」
「うん」

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:44:26 ID:Q03MVg4g
しえーん!

523 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:45:07 ID:ShTHQFfx
 なのはの呟きは、客のほとんどが感じている感想の一部を端的に言い表していた。
 ステージに運び込まれた品物は、いずれも歴史と風格を感じる、古い一本の剣と一体の人形だった。
 絡み合う蛇の装飾が施された異常に長い剣も人を殺める武器としての不気味な迫力を放っていたが、何より人形の方が一際異様だった。
 実際は木製のようだが、表面に滲んだ得体の知れない染みと着せられた血のように赤い衣服。そして虚ろな空洞を瞳にした顔が、無機物に生気を宿らせている。
 ハンガーに固定されたその姿は、磔にされた罪人の遺体を連想させた。
 薄ら寒い不安を感じさせる様は、確かに見る者によっては骨董品としての意趣を感じさせるかもしれない。
 しかし、少なくともなのはとフェイトにとって、その人形は悪趣味を超えた怖気を感じるものだった。

『……これは、かなり見事な品物ですね。少なくとも、経過している年月はかなり古い物です』

 ユーノもまたその違和感を感じたらしい。
 しかしもちろん、アリウス本人が何処かにいるはずのこの場で下手な発言はせず、鑑定に集中している。

『こちらの剣は柄に銘が掘られています。名前は<マーシレス> 材質はほとんどが鉄のはずですが、不思議なことに刀身などに劣化が見られません。
 しかし、魔力反応もほとんど無く、武器としては極めて原始的な―――』

 ガシャン。唐突に、ユーノの言葉を遮る音が響いた。
 その音の発生源を、誰もが正確に見つけることが出来た―――人形の入ったケースだ。
 小狭いケースの中で、文字通り崩れ落ちるように人形がハンガーから外れ、関節を奇怪な方向へ曲げて蹲るように倒れていた。

「お、おい! 何してるんだ、早く元に戻せ!」

 オークションの流れを寸断するに足る思わぬ失態に、ステージの脇に控えていた作業員は顔を青くして動き出した。
 自分達にミスはない。しっかりと固定したはずだ。そんな不可解な思いを分かりやすく表情にしながら、数人が慌ててステージの中心へ駆け込んでくる。
 誰もがユーノの解説に聞き入って視線を剣の方へ集中させていた為に、誰もが気づくことはなかった。
 枯れ木のような見た目通りの軽い重量では決して起こり得ない、その人形がハンガーの固定から外れて倒れた原因に。

「痛っ」

 フェイトの手に痛みが走る。一瞬だけ。右手に。
 広げた手のひらに視線を落としたフェイトは目を見開いた。
 古傷を覆い隠す白い手袋から、ゆっくりと広がるよう赤い染み。滲み出るそれが血ではなく、黒い闇のように錯覚する。
 慣れ親しんだ痛みが、フェイトの脳裏に激しく警鐘をかき鳴らした。
 これが意味するものは―――。

「……っ! 全員その人形から離れろォ!!」

 全力で不吉を告げる勘のまま、フェイトが絶叫した。
 惨劇の始まりを目にしたかのような切迫した叫びに、誰もが驚き、身を竦ませ、声の方向へ視線を走らせて―――皆が本来注意を向けるべき存在を理解していなかった。



《GYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA―――!!》



 甲高い悲鳴が、その場にいる人間全ての鼓膜と精神を揺るがした。
 それは確かに<悲鳴>に違いなかった。
 生きた人間が上げるようなものではない。この世の生きる者全てを妬み、恨む、あるいは<悪霊>と呼べるような者達なら上げられるような呪われた叫びだった。
 その声の発生源を囲ったガラスケースは激しく振動し、やがて耐え切れずに内部から破裂して無数の破片を客席にぶち撒ける。
 客が降り注ぐガラス片に悲鳴を上げる中、自由になったソイツはゆっくりと起き上がった。
 ―――糸の無い操り人形(マリオネット)が、見えない生命の糸に吊り上げられるように。

524 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:46:39 ID:ShTHQFfx
「こ、これは……?」
「ユーノ、ソレから離れてっ!!」

 誰もが逃げることすら出来ずに硬直する中、全力で自身に働きかける危機回避本能に従って後退るユーノと、それ以上の意志の強さでフェイトが動いた。
 二階の客席から一階まで飛び出し、持ち前の運動神経で無理なく着地を決めると、ステージに向かって一直線に駆けつける。
 デバイスの補佐なくしては追随出来ない彼女の動きを、なのはは一瞬見送ることしか出来なかった。
 ドレスの裾を振り乱すのも構わずフェイトは駆ける。
 少なくとも人間以外の生命と意思が宿った人形は、自力ではない何者かに操られるような不自然な動きで歩みを開始した。
 その不幸な行き先には、ユーノがいる。
 フェイト以外の誰もが、ホラー映画の中の人物のように目の前で惨劇が起ころうとしながらも凍りついたように動けなかった。
 画面越しの演出された恐怖とは違う現実の恐怖が、彼らの心を鷲掴んで動くことを許さないのだ。

「フェイトちゃん! ユーノ君ッ!!」

 なのはには身を乗り出し、何かに祈ることしか出来なかった。
 ユーノの眼前で人形は懐から錆びた短剣を取り出し、虚ろな殺意を持ってそれを振り上げた。
 怨嗟の雄叫びも、狂気を含んだ哄笑も無く、ただ無機質に殺人が行われようとしている。
 それを止められる者はいなかった。
 ただ一人、フェイトを除いて。

「ユーノォ!」

 美しいだけではない力を秘めた俊足で、フェイトはその致命的な瞬間に間に合った。
 ステージに駆け上がり、短剣が振り下ろされる瞬間にユーノを押し倒すようにしてその場から離す。間一髪、その空間を錆びた刀身が空しく切り裂いた。

「フェイト!? どうしてここに……っ!」
「話は後! 奥に下がって、すぐに逃げて!!」

 唐突な再会を驚く暇すら与えず、フェイトは立ち上がって再びこちらへ視線を向ける人形を睨み付けた。
 先ほどと異なる点は、その人形がユーノではなくフェイトに狙いを変えたことだった。

「バルディッシュ、セット……ッ!?」

 すぐさま戦闘体勢を整えようとデバイスに呼びかけるフェイトの声を、またもやあの呪われた声が遮った。
 人間を模した人形の口が開き、その奥からおぞましい音が響き渡る。それは口というよりも蓋や扉が開くようなイメージを抱かせた。
 耳を覆いたくなるような奇声がフェイトの鼓膜を震わせ、脳が揺れ、背筋に悪寒が走り抜けて気分が悪くなり―――そしてようやく気付いた。

「か、体が……動かないっ!?」

 見えない糸のようなものが全身に絡みつき、体の自由を奪っているのが感じられた。
 強張る筋肉とは裏腹に激しい脱力感が襲い、フェイトは空中へ吊り上げられる。
 まるで自分が操り人形になってしまったかのように錯覚する。自分の意思では全く体が動かせない。
 バインドとも違う未知の金縛りに陥ったフェイトは、短剣を振り上げる人形を睨みつけることしか出来なかった。
 人形の顔の空洞に宿った、血のように赤い眼光を必死で睨み返す。
 親友の危機に、ユーノが硬直した体の戒めを破壊して、なのはがデバイスを発動させながら飛び出す。
 しかし、そのどれもが間に合わない。
 無慈悲な刀身は振り下ろされ、白い肌が鮮血に染まる未来が確定しかかった時―――その男は間に合った。



「ィィイヤッッハァァァーーーッ!!」


 


525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:46:42 ID:x3qikN5C
支援

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:46:46 ID:xTDBfqfp
少なくともダムドのチェスやアゴノフィ二スよりましだと思うよ支援

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:47:37 ID:3NoV8Jdi
ダンテキターーーーーーーー!!
支援!!

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:47:51 ID:dX49umvC
マリオネット来たぁああ!
そして、ルシアだと?! 支援!!!

529 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:48:23 ID:ShTHQFfx
 景気付けるような雄叫びと共に人間ロケットが飛来した。
 ユーノの防御魔法よりも、なのはの攻撃魔法よりも速く、彗星の如く飛び込んできた第三者の両脚がフェイトを襲う人形を吹き飛ばす。
 硬いブーツの靴底を顔面に直撃させ、ステージの壁に激突した人形は、関節を滅茶苦茶な方向へ曲げて崩れ落ちた。
 すぐ傍で呆然としていた司会者がようやく我に返り、奇声を上げて後退る。
 誰もが息を呑んだ惨劇の中へ乱入した―――プロのリングでも通用するような華麗なドロップキックを決めた男は、その場の視線を全て受けながら立ち上がる。

「ア、アナタは……」

 人形が倒れると同時に金縛りから解放されたフェイトは、酷く覚えのあるその長身を見上げた。
 紫色のコートが翻る。
 振り返った男の顔には、悪夢に迷い込んだのではなく自ら飛び込んでみせた自信と戦意が滾っていた。
 男は笑った。初めてフェイトに会った時、彼女に見せたように。

「―――よお、ベイビー。また会ったな。これだけ短い時間で再会出来たんだ、こいつは運命だと思っても構わないだろ?」

 冗談交じりにそう言って、ダンテは不敵に笑った。

「綺麗なだけじゃなくガッツもある。いいね、ますます好みだ」
「……っ! 逃げて!」
「そういう無粋な台詞は釣れないぜ」

 再び緊迫感に満ちた視線を自分の背後に向けるフェイトを苦笑して、ダンテは振り返りもせず、背後に向けて魔力弾を撃ち放った。
 コートの裏から滑るように抜き放たれたデバイスは、立ち上がろうとする人形の顔面を正確無比に捉えて、一撃で顔面を吹き飛ばす。
 頭を失った人形は支えを失ったかのように文字通り崩れ落ちてバラバラになった。

「銃型の、デバイス……」
「怪我は無いみたいだな。そっちの先生も大丈夫かい?」
「え? ええ、大丈夫です」

 余裕すら持って、呆気にとられるフェイトとユーノをダンテは気遣っていた。背後で消滅する人形の残骸になど目もくれない。
 バリアジャケットを纏って援護しようとしたなのはも、ただ呆然としていた客も、誰もがこの突然現れた謎の男を見ることしか出来なかった。
 奇妙な静寂に包まれるホールを、ダンテはステージから一通り見回す。
 何かを探るようなその視線を訝しげに思いながら、フェイトは意を決して話しかけた。

「あの……」
「助けた礼なら後でいいぜ。半分は仕事で、半分は俺のポリシーさ」

 女性には優しくな。
 悪戯っぽくウィンクしてみせる仕草に性的な魅力を感じて、フェイトは思わず頬を赤らめた。感情とは関係ない、若い女ゆえの反応だ。
 しかし、管理局員としてこの疑問を蔑ろにするわけにはいかない。

「アナタは、何者なんですか?」
「そう、いい男にはそういう質問をするのがいいぜ。だが、自己紹介は後回しだ」

 ダンテは軽口を叩きながらも、もう片方の手で二挺目のデバイスを取り出した。
 既に、その眼光は穏やかさを失い、鋭い戦士のそれへと変貌している。
 その意味を理解したフェイトが、同じく警戒を露わにして周囲を睨み付けた。
 いつの間にか再び感じる右手の痛み。

「―――来るぞ」


530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:49:37 ID:MHhEIuFm
支援

531 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:49:45 ID:ShTHQFfx
 ダンテの呟きがまるで予言であったかのように、異変は起こった。
 誰もが予兆を感じることが出来た。
 全身に覚える未知の悪寒。人間の持つ本能的な恐怖は彼らに警告し、そしてそれが全くの無駄であるかのように退路は塞がれる。
 ホールから外部に繋がる全ての扉を覆うように、真紅の結界が発生した。
 表面に幾つもの苦悶の表情を浮かび上がらせたその壁は、呪いのように扉が開くことを封じる。
 もはや誰一人としてこの場から逃げ出すことが出来ないという現実を人々が理解するのは少し後の話。
 ダンテ以外の誰もが閉じ込められたことすら気付かない閉鎖空間の中で、次々と悪夢が具現化し始めた。
 ホールの各所で悲鳴が上がる。
 そこへ視線を走らせれば、見たことも無い魔方陣が発生し、それを<穴>として先ほどの操り人形と同種の存在が次々と現れ出始めていた。

「これは召喚!? それとも、違うの……!?」

 未知の現象に戸惑うなのはは、それでも事態の把握だけは正確に行っていた。
 あの人形は全てが間違いなく敵だ。
 標的はユーノ? フェイト? それともこの場にいる人間全て?
 いずれにせよ最悪の事態が始まりつつあった。混乱し始める多くの客を一望し、それら全てを守りきることへの絶望感が湧き上がる。
 やらなければ。だが、出来るのか―――?

「そこの勇ましいお嬢さんは、このホテルの護衛に来てるっていう時空管理局の人間か?」

 戦う意思を固めたなのはを、この場では不釣合いなほど気安い声が呼んだ。
 視線を走らせれば、既視感を感じさせる珍しい二挺拳銃のデバイスを持ったあの男が不敵な笑みを浮かべたまま悪夢の発現を見据えていた。

「そ、そうですけど」
「なら客の護衛を頼むぜ。避難誘導はやめとけ、あの人形どもを倒さない限り、もうここからは誰も出られない」
「アナタは一体……」
「質問には、このバカ騒ぎが終わったらプライベートなことも含めて答えてやるよ」

 彼は昂然と<敵>を睨み付けた。
 その両手が華麗な舞を見せ、二挺の銃が優雅に、優美に宙を踊り狂う。
 悪魔が取り憑いたかのような人形の群れと人々の阿鼻叫喚。その狂ったステージで、彼のパフォーマンスは驚くほど冴え渡っていた。
 なのはが、フェイトが、ユーノが―――その場で冷静な者全てが、場違いな光景に釘付けになった。
 回転する銃身が上質なタップダンスのように彼の周囲を跳ね回る様。
 なのはの脳裏に連想して浮かぶものがあった。

「……ティアナ?」

 信じ難い呟きは誰にも聞こえず消えていく。
 壮絶な銃の舞はクロスしたダンテの腕の中で終了した。

「子供の頃から古臭い人形劇ってのは嫌いでね。どうせ見るなら爽快なアクション映画だ。そうだろ?」

 誰にとも無く軽口を叩くダンテの元へ、ステージの裏からも複数の人形がにじり寄って来た。
 最初の人形と同じように、搬入されたコンテナの中に居たモノが自ら動き出したのだ。
 なのは達が四方八方に警戒を走らせる中、悪夢の出現は止まり、悲鳴を上げる人々を囲い込むように悪夢の出演者が入場を終える。
 地獄の舞台は整った。
 その中心に立つ男が告げる。

「さあ、始めるとしようぜ」
「……アナタは、魔法が使えるんですね?」

 その男の正体を後回しにして、今はこの事態を共に切り抜ける為に戦いの意思を確認するフェイトへ、ダンテは鼻で笑って見せる。

532 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:50:29 ID:ShTHQFfx


「―――魔法だって? ハッハァ、銃(こいつ)を喰らいな!!」


 周囲の<悪魔>どもに向けて、ダンテはいつものように銃をぶっ放した。







to be continued…>






<ダンテの悪魔解説コーナー>

マリオネット(DMC1に登場)

 綺麗な人形に悪霊が宿って動き出したなんて話は良くあるよな?
 殺人鬼の魂が宿った人形のホラー映画まであるくらいだ、人の形をした物に何かの自我が乗り移るという概念は珍しくはない。
 だからこそ、人は分かりやすく恐怖する。そんな負の感情を利用しようと人形を媒介にして現れたのがこの悪魔だ。
 悪魔狩人としちゃ、相手にする弾丸も勿体無い雑魚中の雑魚だ。誰もが考えるからこそありふれた悪魔だと言える。
 その名のとおり外部からの力で操る仕組みのせいか、人形自体の耐久力も媒介になった物そのままだ。ちょいと手荒に扱えばすぐにぶっ壊れちまう。
 ただし、その非力を補う為か短剣や銃まで使って戦い方を工夫する賢い奴も中にはいやがる。ありふれているからこそ、時代に合わせる柔軟性もあるってワケか。
 そして、中でも<ブラッディマリー>と呼ばれる、自分の服を襲った人間の血で染めた赤い人形は曲者だ。
 黒魔術などでも用いられる通り、血液ってのは魔力や呪いを秘めている。
 その忌まわしい力が、人形に宿った悪魔まで強化しちまうんだ。人間の負の部分を力にする悪魔ってのは、やはり胸糞の悪い存在だぜ。
 殺された人間も、勝手に乗っ取られた人形も、これじゃあ浮かばれない。
 徹底的に破壊してこの世から消滅させてやるのが、そいつらにくれてやれる手向けって奴だろう。

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:52:09 ID:lRoByAAF
ィィイヤッッハァァァーーーッ!!
GJ!!

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:52:50 ID:4aSis4JM
GJ!
何と言う事だ、2のキャラも参戦しているとは・・・。
色々楽しみですね。
ダンテのあのセリフはやっぱいいですね。
「魔法だって? こいつを喰らいな!!」
ダンテらしいです。

535 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/28(月) 22:53:54 ID:8pR6VZ5b
KY覚悟でなの魂氏の後に投下予約します!

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:54:02 ID:3NoV8Jdi
さすがStylish氏!!
まさにGoodな出来です。
隊長たちとの掛け合い、ルシアの登場、ルーテシアもキャロのように悪魔の力を持っているのか。
色々と気になるところがありますが、何より気になるのはティアナとの再会!!
次回が楽しみです。

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:54:08 ID:Q03MVg4g
GJ!
機動六課とダンテのつながりが本格的にできそうな予感!
ティアナとのつながりともなのはが気付き始めていますし始まった感じがしますね!!
これからも楽しみにしてます、頑張ってください!

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:54:38 ID:scarpCk5
GJ
まさかのフェイトさんとの絡みとは。

自分も赤字氏も待ってます……。

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:55:29 ID:SGO7gvu7
なんというDMCオールスターズww
これで兄貴まで出てきたら憤死しますよ、俺はw
しかしフェイトの気苦労っぷりは異常ですな
うん、いつかは大人の階段昇らなきゃいけないんだよ……

540 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 22:55:38 ID:ShTHQFfx
投下終了です。デ、デ、デ、デモンズパゥワー(挨拶
ダンテも本格的になのはとクロスオーバーし始める段階ということで、少しずつ風呂敷広げてみました。
まだもうちょっと広がるよw
なのは原作と見比べれば分かりますが、オリジナル展開入ってきてます。こっちの方が大事ですね。
スカの襲撃目的も変わってますし。まあ、その辺の伏線は後ほど、ということで。
あとルシアの親しい人間に対する口調よくわかんねw育ての親のマティエはやっぱり特別だっただろうし、半分くらい想像で書いてるので、多少の違和感は勘弁してください。
次回はティアナサイドで行こうと思います。
原作でもこの辺はティアナメインの話になりつつあるので、ちょっと小分けしながらじっくり書いていきたいですね。
一度の容量減る代わりに、更新速度上がる…といいなw

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:56:15 ID:UvdK4CH+
GJ!です。
やっぱりフェイトとダンテの絡みは良いですね!
フェイトはダンテの母似w

542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:57:29 ID:l4qszFVk
GJ!
やっぱ文章上手いなぁ。
室内戦+足手まとい多数という状況をどうひっくり返していくのか次回が楽しみです!

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 22:58:52 ID:HVzUcm8e
GJ!
ところで、このはやてはバイド汚染されてない?
主に性的な意味で

544 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/28(月) 22:59:31 ID:dX49umvC
>>540
やばい、やばい、やばいです!
まさかホテルアグスタでフォワード陣ではなく、建物内部のなのはたちが中心になるとは予想外でしたw
外側からはガジェット&悪魔+ルシア。
内部からはマリオネットの集団。
フォワード陣はホテルを護り、なのはたちとダンテは客達を護る。
二重の守りの戦い。そして、外と中で踊る二人のガンスリンガーはどんな狂ったガンショーを見せてくれるのか!
楽しみで狂ってしまいそうです!
これはまだまだ序曲。ブラッディーマリーとはいえ、この程度で終わるとは思えない!
オークション舞台をダンスパーティに変えて、華麗に、スタイリッシュに踊り狂うダンテに期待です!
なんといっても、GGG、GJ!


そして、ちょっと比較になりませんがリリカルなのはXtS氏の後に投下予約してもいいでしょうか?
エンドライン本編です。

……やばい、同じホテル・アグスタだよ。



545 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 23:00:32 ID:ShTHQFfx
>>510
ちなみにダンテの今回の衣装はパパーダのでおk 分かる人居たのねw

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:01:03 ID:UvdK4CH+
現在496KBです。

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:02:05 ID:TRBZTby0
まとめ見終わってさすがに無いだろうっと思いつつスレ見に来たら投下中。なんという幸運。
続きが楽しみでしょうがない。ダンテ最高だよダンテ

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:05:47 ID:xTDBfqfp
GJルー子は虫系悪魔か?虫系は少ないけどノクトプテランやギガピードか
そういやアリウスも召喚やワープ、上位悪魔を従えるなど規格外だな。

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:08:04 ID:ihjBKKcg
まだ、そう“まだ”ホテル・アグスタなのに既に凄い面子になってるGJ。

まさかルシアとは、完全に虚を突かれたとしか言えないぜ。
DMC界では黒歴史扱いの2の要素を上手く取り込んでる氏には感服ですよ。
しかしこのままだとレディやらトリッシュも出そうな勢いだ、ついでに兄貴と司祭も出しちゃいなヨー!
あとネロ、ここ重要。

しかしスパーダ衣装のダンテはきっと閻魔刀使ってるな。

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:08:27 ID:xTDBfqfp
しかし、フェイト以外の隊長陣建物内であること人がいる事で 
自分の攻撃手段がほぼ封じられている状態。大ピンチじゃね?

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:14:47 ID:xTDBfqfp
教皇やアグナスさんは俺は好きだけどな。

552 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 23:15:18 ID:ShTHQFfx
>>546
忠告のとおり、容量がいつの間にかなくなってるので、使い潰した自分が責任持って新スレ建てさせていただきます。

あと、感想毎回ありがとうございます! もうね、ホント次にとりかかる為の燃料ですよw

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:21:34 ID:ShTHQFfx
次スレ
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1209392336/

リリカルなのはクロス63、始まります。

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:23:07 ID:xTDBfqfp
乙です。作品とスレ立てありがとうございます。

555 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/04/28(月) 23:39:13 ID:ShTHQFfx
穴埋めに、少しだけネタバレというか質問に答えさせていただきます。

>>541
マザコンダンテはきっとフェイトが好み、という自論をようやく明かせましたw
>>548
設定的にはアリウスはかなり強力な魔導師なんですよね。魔王の力を吸収しようとしたくらいだし。
そのイメージで、作中でも描いていく予定です。
>>549
まだいろいろ思案中ですが、ネロだけは時間軸上出せないんですよ。彼を出すときはまた別の作品ですねw

多数の感想感謝です。書き進めていくことで応えていこうと思います。

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:00:59 ID:GJyMN4kn
なんか感情だけで展開予想を先走ってる人がいるな。
兄貴出せとかナントカ。そういうのはやめようよ。

557 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/29(火) 00:49:07 ID:bB557Tef
うめ

558 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/29(火) 00:49:25 ID:bB557Tef
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め

559 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/29(火) 00:50:08 ID:bB557Tef
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め梅埋め埋め埋め埋め埋め埋め

560 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/04/29(火) 00:51:09 ID:bB557Tef
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume
ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume ume



501 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1>>1
/test/read.cgi/anichara/1208954858/">★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)