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リリカルなのはクロスSSその69

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 21:05:25 ID:aQGiH9Qd
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
ゲット・雑談は自重の方向で。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその68
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1212406596/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロス感想・雑談スレ38(避難所で進行中)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6053/1212250295/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/

NanohaWiki
ttp://nanoha.julynet.jp/

R&Rの【リリカルなのはStrikerS各種データ部屋】
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/index.html


2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 21:06:17 ID:aQGiH9Qd
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
  http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
  http://janestyle.s11.xrea.com/
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は感想・雑談スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
 前の作品投下終了から30分以上が目安です 。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。

【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
 議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
 皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
 著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
 いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
 追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 21:06:46 ID:aQGiH9Qd
【警告】
・以下のコテは下記の問題行動のためスレの総意により追放が確定しました。

【作者】スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI
【問題の作品】「スーパーロボット大戦X」「スーパーロボット大戦E」「魔法少女(チェンジ!!)リリカルなのはA'S 次元世界最後の日」
【問題行為】盗作及び誠意の見られない謝罪

【作者】StS+ライダー ◆W2/fRICvcs
【問題の作品】なのはStS+仮面ライダー(第2部) 
【問題行為】Wikipediaからの無断盗用

【作者】リリカルスクライド ◆etxgK549B2
【問題行動】盗作擁護発言
【問題行為】盗作の擁護(と見られる発言)及び、その後の自作削除の願いの乱用

【作者】はぴねす!
【問題の作品】はぴねす!
【問題行為】外部サイトからの盗作

【作者】リリカラー劇場
【問題の作品】魔法少女リリカルなのはFullcolor'S
【問題行為】盗作、該当作品の外部サイト投稿及び誠意のない謝罪

4 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/10(火) 23:01:03 ID:aQGiH9Qd
正式に教官となったストーム1の部屋は、薄汚い病室に代って新しい部屋が宛がわれていた。
そこには無駄な私物が一切なく、あるのは、書物の少ない本棚に簡素な事務机、
ふかふかとはいかないが、布団がしかれたベッドに衣類が全く入っていないスカスカのクローゼットだけ。
部屋は散り一つないほど掃除が行き届いており、
『士官たる者つねに清潔を重んじ、部下の模範となるよう日々を過ごすべし』
というEDFの心得を忠実に守っていることがよくわかる。
良く言えばシンプル。悪く言えば殺風景。
そんな無個性とも言える部屋の中。ストーム1は事務机の前に座り、机上に浮かぶホロスクリーンを複雑な表情で見詰めていた。

 そこに写っているのは、この後ナンバーズに配布する予定の新装備。
ヘルメットに記録されていた映像とライサンダ―Zの技術を使って作られた武装の設計図である。
そのほとんどがEDFで使用されていた武器のコピー品であり、スペック上ではオリジナルと同じ性能を引き出せるとされている。
カタログスペックはあくまでも実験上の数値であり、実際の戦場でも同じように扱えるとは限らない。
しかし、奴が整備したライサンダ―Zをテストしたところ、以前と変わらない威力を発揮できたことから期待を持ってもていいだろう。
全く……よくあれだけの情報で開発に成功したものだ。
奴の事は気に入らないが、科学者としての『能力だけは』認めてやってもいいかもしれない。
そう、あくまでも『能力だけ』は。

 スカリエッティを人間として認められない理由。その一つが、部下であるナンバーズの存在だ。
人の体を機械と融合させ、戦闘能力を飛躍的に高めた科学の申し子。戦闘機人。
しかも、彼女等は自らの志願ではなく、最初から機人となるべく遺伝子を操作されて産み出された存在らしい。
見た目は十代半ばのウェンディやノーヴェすら、そこらの幼稚園児よりも歳下なのだと言う。
それらを訊いたとき、ストーム1は深いショックを受けたことを今でも覚えている。
戦闘機人、戦うために作られた兵器。
だけど、彼女達だって感情はある。泣きもすれば笑いもする。姿形もそれぞれ違う。性格だって、一部の例外はあるが、千差万別だ。
彼女達と出会ってからまだ少ししか経っていないが、それでも、ストーム1はナンバーズを命ある存在だと断言できた。
だからこそ、己の欲望のために不当に命を作り出すのは、しかも、人生で一番大事な幼少期を取り上げ即席の兵器として誕生させることは、彼には許すことはできなかった。



5 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/10(火) 23:01:58 ID:aQGiH9Qd
もう一つの理由は、教官になって一ヶ月以上経ったのに、未だに自分が戦うべき存在を知らされていないことだった。
わかった事といえば、ミッドチルダの基礎知識と、ナンバーズの顔と名前と能力くらい。
それから考えるに、一番可能性が高いのは『時空管理局』という組織だろう。
そして、一番ありえない……いや、ありえないと思いたいのは『異邦人』だ。
二人を助けた洞窟で遭遇した黒蟻の群れ。あれがなぜあそこにいたのか。
あれは、自分と同じようにこの世界に飛ばされてしまったのだろうか。
だとしたら、あの群れだけがこっちにきたとは考えにくい。
ひょっとすると、自分と同じように黒い霧に包まれていた『星舟』もミッドチルダのどこかにいるのだろうか。
もしそうだとしたら……この世界にとっては最悪の展開だ。
ストーム1は元の世界で『異邦人』に対する主要な作戦のほとんどに参加している。
彼はそこで、『異邦人』の地球人類に対する無差別攻撃を嫌と言うほど見続けてきた。
だからこそストーム1は、これから起こりうる最悪の展開を簡単に想像することができた。
全てのものを無に帰す砲撃、強酸、レーザービームの雨霰。
戦火に追われて逃げ惑う民衆。彼等に追い討ちをかける飢餓と病。そして、世界の崩壊……。

 そのとき、出し抜けにドアをノックする音がして、ストーム1はそちらに目をやった。
入ってきたのはチンクだった。
彼女はストーム1の治療を手伝っていたことから、その後も彼の世話役を任されていた。
ストーム1にとって、彼女は副官のような存在であり、ウェンディ以外で普通に話が出来る唯一の部下でもある。
「どうしたチンク、何か用か?」
「ドクターからの伝言だ。装備の引渡しの用意が完了したので取りに来て欲しいそうだ」
 時計を見ると集合までまだ三十分もある。
それだけあれば、向こうで装備の簡単なチェックくらいは出来そうだ。
ストーム1は「わかった。すぐ行く」と答え、ホロスクリーンを消してスカリエッティの元へと向かった。

 装備を受け取りブリーフィングルームへ向かうと、すでに全員が揃っていた。
集中する視線。その先にあるのはストーム1が運んできたカートの上にあるものだ。
ケースや暗幕に包まれているナンバーズの新しい相棒達。
ストーム1は全員の顔を見渡し、腕に巻いたデジタル時計で時間を確認する。
今の時間は集合時刻の五分前だ。

「まだ少し時間はあるが、もう全員そろっていることだ。すぐにはじめよう。まずは、ナンバーズの新編成についてだが……」
 ストーム1は懐から小さな電卓のような物を取り出した。携帯用のホロプロジェクターだ。
それについているボタンの一つを押すと、装置の上に直径一メートルほどのホロスクリーンがくっきりと浮かび上がった。
画面の中に映し出されたナンバーズの部隊編成。それが以下の陣容だった。


6 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/10(火) 23:02:33 ID:aQGiH9Qd
第一分隊 ストーム1
     ノーヴェ
     ウェンディ

第二分隊 チンク
     ディエチ
     オットー
     ディード

第三分隊 トーレ
     セッテ

スカウト セイン

管制官  ウーノ

電子支援 クアットロ


「以上がナンバーズの新しい部隊編成だ。戦場ではこの編成を基本として行動してもらうことになる。次は各分隊の役割を説明する。
 第一分隊は最前線で敵とやり会う危険度の一番高いポジション。わかりやすく言えば前衛の部隊だ。
 第二分隊は後方支援。第三分隊は航空支援専門。それぞれの分隊長にはチンクとトーレを指名する。
 後、もしも俺に何かあった場合はチンクがナンバーズ全体の指揮を取ることになっている。全員それをよく覚えておけ。
 スカウトの役割はISを生かしての偵察と工作活動だ。あとの二人については言わなくてもわかると思うが――」
「少しよろしいですか。教官」
 ストーム1の言葉を遮る低く冷たい声。声の主はトーレだ。
彼女はナンバーズ最古参の一人であり、実戦経験も他と比べると豊富にある。軍隊で言えば熟練の下士官と言ったところか。
本来ならば真っ先に味方にすべき存在なのだが、彼女の役割であった指揮官兼教官役をストーム1が奪ってしまったため、トーレは彼を快く思っていなかった。

「どうしたトーレ、質問か?」
 トーレは目に威圧的な光を宿し、じっとストーム1の目を見返した。
「その編成はドクターの了承を得て作られたものですか? それに、貴方が我々を指揮すると言った所で、我々がそれに従うと本気で思っているのですか?」
 ストーム1は少しも怯むことなく即答した。
「当たり前だ。お前達への指揮権も正式に奴から譲り受けている。今後、俺の命令は奴からの命令だと思って行動してもらおう」
 そう言われればトーレも引き下がらざるをえない。
ナンバーズ。中でも古参であるトーレら四人にとってはスカリエッティからの命令は絶対だ。
ウェンディのような後期組にとってはさほど重要ではないようだが、それでも彼女達を律するには十分な効果があるだろう。
現に、トーレに呼応して声を上げようとした数人も、それを聞いた途端に黙りこくってしまった。
(部下を指揮するにも奴の威を借りねばならんのか……)
 ストーム1は心底情けなくなった。このことが後々響いてこなければ良いが。

「では次に装備品の支給を行う。まずは第一分隊の二人、前に出ろ」
 ストーム1が言い、前に進み出た二人にカートの上の装備を手渡す。
ノーヴェには金属製のケースを二つ。ウェンディには、暗幕に包まれた大人の身長ほどもある物体。
装備を受け取った二人は、その場でケースや包みを開いて中身を取り出した。



7 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/10(火) 23:03:36 ID:aQGiH9Qd
「……あれ?」
 それを見たとき、二人は驚いたような、呆れたような様子で同じ言葉を口に出した。 
ノーヴェのケースから出てきたのは、リボルバーのシリンダーに手首をくっつけたような形の金属製の手甲。
そして、足首にギアがつけられたエンジン付きのローラーブレード。
ウェンディの装備は、先端部に銃口が装着された巨大な盾だった。
二人が呆れるのも無理はない。それらは、彼女達が以前に使用していた装備と全く同じ物だったからだ。

「ガンナックルと……ジェットエッジなのか? 形はちょっと違うけど」
「これって、ライディングボードッスよね?」
「違うな。正確な名称は、ノーヴェの装備はAFガンナックルとジェットエッジ改。ウェンディの武器はライディングボードMFだ。
 両方ともEDFの技術を応用して改良されたものだ。ジェットエッジ改は耐久性を強化しただけだが、それ以外はエネルギー式から実弾式に変更され、威力も大幅に向上している」
 彼の話を訊き終えた二人は装備の点検を始めた。
一通りいじくった後、ノーヴェがAFガンナックルを右腕に装着して天井に銃口を向けた。
試し撃ちでもしたいのか。まだ弾は装填されていないが、今のままでも空撃ちくらいは出来るだろう。
だが、なにも起こらない。
裏返したり、振ってみたり、銃口を覗き込んだりしてみても、撃鉄が落ちる音すら聞こえない。

「なんだよこれ、なんで撃てないんだよ?」
 途方にくれるノーヴェの隣にぴたりと立ち、無言のままで彼女の右腕を掴んだ。
そして、AFガンナックルの向きを変え、左の横腹についているつまみを指差した。
「これを見ろ。ここについているのが安全装置だ。見ての通り、今は一番上にあるからどれだけやっても弾は出ない。
 撃つときはこれを一つ下に下げろ。そうすればセーフティーが解除されて好きなときに撃つことが出来る」
 ストーム1はつまみを一つ下に動かした。
すると上部についているランプの色が赤から緑に代わった。
「この武器は『AF−100アサルトライフル』を元に作られているから、弾は最大で百八十発まで撃てる。弾切れになった場合はこのボタンを押せ」
 ストーム1が右の横腹にあるスイッチを押すと、AFガンナックルの上部がガシャッと音を立てて開いた。
「空になった弾倉はそのままにして、ここから素早く次の弾倉を装填することだ。
 ボタンを間違って押してしまっても、弾が残っているうちは弾倉は排出されないから安心しろ。
 簡単な説明は以上だ。これ以上のことは今後の訓練のときに説明する」
「えっ? 訓練はもうしないって言ってただろ。食堂で」
「あれは基礎訓練は今日で終わりという意味だ。これからはそれぞれの装備や分隊に応じた訓練と模擬戦を中心にやるつもりだ」
 続いてウェンディに装備の簡単な説明をすませると、第二分隊へ装備の支給を行った。
 
 チンクに支給された武器は、グレネードランチャー『スタンピードXM』
無数の小型爆弾を撃ち出し広範囲の標的を吹き飛ばす、今は亡き彼の恋人も愛用していた大量破壊兵器だ。
砲撃手であるディエチにはイノーメスカノンの改良型『イノーメスカノン二式』が支給された。
こちらは実弾式ではなく、前と同じエネルギー式が採用されており、中距離の物量戦にも対応できるよう『とあるしかけ』が施されていた。
残りのオットーとディードへは何も支給されなかったが、二人はこの後ISを強化する手術を受けることになっている。


8 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/10(火) 23:04:07 ID:aQGiH9Qd
「次は第三分隊だが、さっきも言った通り、この分隊の主な任務は航空支援。
 上空直掩はもちろん、時には敵軍や敵陣地への対地攻撃をしてもらうこともある。
 そんなお前達に支給する装備は、これだ」
 差し出された装備を見た二人はあきらかに落胆した様子だった。
なぜなら、ストーム1が取り出した物はどこにでもあるただの手榴弾だったからだ。
だけど、それはもちろんただの手榴弾ではなかった。
その手榴弾――ハンドグレネード『MG30』はEDFが開発した最強の手榴弾だ。
威力はハンパではないが、爆発半径があまりに広いために自爆する者が相次ぎ、急遽生産中止となった曰く付きの武器だ。
しかし、陸戦兵なら使いにくいこの武器も、爆風が届かぬ上空からなら有効な対地兵器として運用できるだろう。

「セインの武器は、これだ」
「これって……これぇ!?」
 セインは悲鳴を上げて、ざざっと後ずさって距離を取った。
カートに残っていた最後の武器。それは弾幕突破訓練でさんざんナンバーズを苦しめた三脚の歩哨銃。

――『ZEXRーGUN』

訓練の時は非殺傷のペイント弾を使っていたが、それでも当たると結構痛い。
それに赤色のペイント弾を使っているので、当たると本当に負傷し血だらけになっているように見える。
セインはこの訓練で毎回戦死判定を食らっているので、これの弾幕が軽いトラウマにでもなっているのだろう。
彼女には偵察の他にも、敵中でこれを起動させて相手を混乱させるという危険な役割を担ってもらうことになっている。
普通なら戦死確実だが、セインにはIS『ディープダイバー』があるので危険度はかなり軽減されるだろう。

「それでは全員、そのまま俺の話を訊いてくれ」
 ストーム1は、自分が何を言うのか、期待半分不安半分といった様子の彼女達の顔を見回した。
まだまだ訓練は続くが、部隊が発足し、装備も支給し終わったことだし、彼はここで最後の訓示を行おうと思っていた。
気の利いた隊長ならば、ここで格好良い演説をして、ナンバーズ全員の心をがっちりと掴んでしまうことだろう。
しかし、残念ながらそれはストーム1の得意とする所ではない。
彼は演説にはなれてなかったし、言葉遊びも不得手である。
(さて、どうしたものか)
三秒経ち、五秒経ち、十秒経ち。
さんざん悩んだすえに、彼の述べた言葉はこのようなものだった。

「知っての通り、俺はミッドチルダの住人ではない。この世界についても知らないことがほとんどで、魔法だって使えない。
 もしかしたら、今後俺はナンバーズの誰かを先生と呼び、土下座をして教えを乞うことだってあるかもしれない。
 そんな俺が皆に言えることはただ一つ。絶対に死ぬな。かと言って、命惜しさに逃げ惑うような卑怯なことは断じてに許さん。
 どんなことがあっても、退かず、怯えず、立ち止まらず、勇敢に戦い、生き残り、勝利しろ。俺の言いたいことは、それだけだ」

 案の定、訓示を終えた彼に、拍手も歓声も敬礼も返って来ることはなかった。

 これが、後にミッドチルダの双璧と呼ばれる部隊の一つ。

『ストームチーム』が誕生した瞬間だった。


『星舟』活動再開まで後――15日――


To be Continued. "mission9『英霊の帰還』"


9 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/10(火) 23:07:44 ID:aQGiH9Qd
投下終了です。ナンバーズの追加装備についてはキャラの持ち味を壊さないように考えた結果、
見方によってはとても地味な結果になりました。
それと分隊については、軍事に詳しい人、お願いだからマジツッコミはしないでください。
私は軍事にあまり詳しくないもので。
それでは、続きはまた出来次第投下します。

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 23:08:43 ID:pJzCDWzu
>>1


11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 23:27:45 ID:SQ7Emdph
GJっす!
うううう・・刻々と迫るスーパー星舟降臨タイムにちょー期待しています!


12 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/10(火) 23:30:35 ID:63lFf1b3
GJです!そして先ほどお答えありがとうございました。
こんどは待ちに待ったハイパー星舟タイムですか!?楽しみです。


それで、感想レスもあるでしょうから50分あたりに予約したいのですがよろしいでしょうか?

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 23:42:23 ID:zBvlG0zD
いっちゃえ、支援

14 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/10(火) 23:47:40 ID:63lFf1b3
すいません。ちょっとトラぶって。10分程時間を延長させてください。

あと今回は長くなりそうです。支援お願いします。

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 23:52:18 ID:Fn8Q4uI9
支援します。


16 :コミコミ:2008/06/10(火) 23:57:13 ID:lX8C4UcT
EDF氏 お疲れ様でした!
スタンピードXM アリ駆除にお世話になりました。
ハンドグレネード『MG30』 これのおかげでなんど死んだことか。

次回は星舟光臨ですね! ミッドチルダ発祥以来空前の阿鼻叫喚の地獄が目に浮かぶぜ!
局員「さ、酸だーー!!」(サンダー!!)
  「ぎゃー、なんだこの糸は!?と、溶ける〜!ひッ!く、くるな〜!!ウグァ〜!!」バグッ!!
・・・想像して怖くなったのは俺だけじゃないだろう。


17 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/10(火) 23:58:14 ID:63lFf1b3
それでは行きます。支援よろしくです。


新暦0071年 4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港


燃え盛る劫火。空港敷地内の全てを焼き尽くす炎の中、一人の少女が居た。
「お父さん・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・」
呟くのは愛する家族の名。しかし無情にも彼らは少女と離れ離れである。
「きゃっ!?」
瞬間、爆音が響き、壁の一部が吹き飛ぶ。か弱き少女は破片に呑まれ、小さな体躯は投げ出される。
「うううううう・・・・・・・」
女神を象った像の前、幸いにも少女に大事は無かったが、未だ火の中にいるのは変わらず、絶望的な状況だった。
「痛いよ・・・・熱いよ・・・・もうこんなのヤダよ・・・・」
たとえ今は生きていても、本能が死が目前である事を告げる。幼い故に明確な死のイメージが湧かなくとも、迫りくる恐怖に少女は涙を流す。
「もう、帰りたいよ・・・・・・・・」
物が燃え、次々と炭化していく音だけが響くなか、少女の言葉を聞くことの出来る『人間』は居なかった。ただ、女神の向こうに燃え盛る体躯を持つサソリの如き姿をした異形以外は・・・

「Hahahaha・・・・・・人間は全く弱き生き物だな・・・・・・・」

少女の耳にその独白が聞こえる事は無かった。そんなことより、女神像が今にも倒れんばかりにボロボロであることの方が彼女に関係のある事だっただろう。
「誰か・・・・・助け・・・て・・・・」
か細い声を遮るかの如く、女神の土台は音をたてて崩れていく。そして、女神の体は万物の理に従うように地へと倒れていく。『少女の居る方』へと。
背後より迫る象、それに少女が気づくのは遅すぎた。
「ッ!!」
万事休す。目を瞑り、やがて来るであろう衝撃、苦痛、死の恐怖に体が縮こまる。
だが、女神が地に体を付けることは無かった。
「え・・・・・・?」
目を開けた彼女が見たのは、桃色の光網に幾重にも縛られた女神の姿。そして聞こえてきたのは

「はあ、はあ、はあ・・・・・・間に合った・・・・・・」

それを見た少女、『スバル・ナカジマ』はその時の事を忘れない。己が命を救ってくれた恩人、力強い姿と共に。


魔法少女リリカルなのは DEVIL HUNTERS  第2話 「邂逅」




18 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/10(火) 23:59:02 ID:63lFf1b3
「よしっ!!」
あの時の気持ちは忘れない。いつか自分もあんな高みに。そして人を救える力を得たい。眼下にリニアレールの姿を捉え、スバルは気合いが入っていた。
「スバル」
「うん!」
傍らに立つのは親友が、後ろに控えるは新たな戦友たちが。
「スターズ3!スバル・ナカジマ!」
「スターズ4!ティアナ・ランスター!」
そして今
「「行きます!!」」
若き戦士の卵達は戦場へと身を投げる。
「次!ライトニング!気ぃ付けてな!」
「「ハイ!」」
様々な物を背負いながら
「う・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・一緒に降りよっか」
「え・・・・・・・・・?」
それが身を引かんとする負の物でも
「うん!」
今は仲間を信じ
「ライトニング3、エリオ・モンディアル」
「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエとフリードリヒ」
「キュクルー」
正義を信じ
「「行きます!!」」
前へと進んでいく。

「いくよ。マッハキャリバー」
「お願いね。クロスミラージュ」
「ストラーダ!」
「ケリュケイオン!」

「「「「セットアップ!!!!」」」」」


かくして彼らは戦衣を身にまとい、戦場へと降り立つ。

19 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:00:10 ID:63lFf1b3

「ふぅん・・・・・・・」
スターズ、ライトニングスがリニアに乗り移る頃、車両の中に彼は居た。
「面白いおもちゃだったな。ま、存分楽しめたかどうかは別だけどな」
ダンテ。彼は計画どおりに貨物リニアに侵入した。地形を考えればベストの場所。しかし、こういうときに限って邪魔が入るものだ。
ガジェット。自立機械兵器は侵入してきたダンテを仕留めようとアームを伸ばし、光線を浴びせるが、彼にとってそれらの動きは緩慢過ぎた。
ただの機械のアームなど、人間の動きに比べれば単調。確実に当てられるまで射撃のタメを作るなど破壊してくださいと頼んでいるようなもの。
両手に握る黒鍵と白鍵の名を冠す二丁拳銃・エボニー&アイボリーは敵へと数多の弾丸を吐きだし、背負った反逆の大剣・リベリオンはまるで菓子を切る様な滑らかさでガジェットを両断する。
「歯ごたえのない奴らだぜ」
笑みを浮かべながらダンテは進む。目指すはこの先、重要貨物室。目当ての品はそこにあるはず。
「さて、愛しの宝石ちゃんとご対面といこうか」
扉の前に立とうとしたときだった。
「っ!!」
突然、目の前の扉が血の様に染まった網のようなものに覆われる。壁、背後の扉も同様だ。

封印結界。対象を閉じ込め、地に染めるべく戦いを強要する結界。そこから逃れる術は一つ。戦いに打ち勝つ事。
そして、この『魔』の『法』を使うのは
「「「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」」」

「・・・・全く、きちんと言葉を喋れよ。アルファベットはABCからだぜ。『魔界』じゃ教えてくれないのか?」
『悪魔』。悪に染まった異形達。闇を纏った犬のような獣が叫びを上げる。古ぼけた人形が操り人形のような歪な動きをしながら迫る。鎌を持ち、仮面を被った地獄の断罪人が濁りきった目を向ける。
・・・・・・ダァァァァンテェェェェェェ・・・・・・・・
闇から聞こえる怨みの声。それは同族を狩り続ける狩人への果てなき憎悪。
「OH!いつものパターンか!父さんか俺の名前で何時も始まるなオイ」
周りを取り囲む悪魔たちを前にしても、ダンテの笑みが崩れることはない。そこにあるのは絶対的余裕。彼に怯えなど存在するはずがない。
その様子に絶対的な数を上回るというアドバンテージがあるはずの悪魔たちが逆に様子をおかしくする。
「ヘイヘイヘイ!!俺は何もしてないぜ!?You are winp!(お前たちはヘタレな腰抜けどもだな)」
その挑発に怒りを覚えたか、悪魔たちが一斉にダンテへと襲い掛かる。
「Come on baby!! 遊んでやるぜ!!」
「ライトニングF、八両目突入します!」
管制のシャーリーの声が司令室に響く。
「全くもって準用やね」
「はい」
そして部隊の長、はやてが安堵の声を上げ、副官のグリフィスが同感の意を示す。新人たちはうまくやっている。はやてはとても安心していた。
「っ!!エンカウント!新型です!」
しかし、戦いは何が起こるか分からない。今は安心できても、その身を脅かす禍はすぐそこにやってくるのだ」


「くっ!!・・・・・・・硬い!」
ガジェットの新型・V型。大型のそれはT型・U型とはケタ違いの耐久力を持っていた。アームのひと振りでフリードのブラストフレアを弾く。
しかも今、高みからその落下エネルギーを加えた渾身のエリオの一撃は強固な装甲によって阻まれた。火花を散らせ、力を込めてもストラーダの刃が食い込むことは無い。
そしてガジェットも反撃を開始する。レーザー発射口とセンサー部分が怪しく光を帯びる。その行動は眼前のエリオ、そして後方で支援するキャロの魔法を打ち消してしまう。
「AMF!?」
「こんな遠くまで・・・・・・」
『アンチ・マギリンク・フィールド』。効果領域内の魔力結合・効果発生を無効化する、人が扱えばAAAランクに匹敵するフィールド系上位魔法。
超一級の高ランク魔道師ともなれば対処もできるが、未だ幼い二人には無理な話であった。
「ぐっ!・・・・・・・」
大穴の空いた車両内、さらに壁を打ち抜きアームを伸ばしてエリオから本体部分の距離を離すガジェット。
適度に力を伝達できる体勢を整えたガジェットの前で、魔力の補助のない若干10歳の少年が単純な力比べで勝てるわけがなかった。そしてそれを心配そうに見るキャロも同様に非力だった。
「・・・ぐ・・・・くそ・・・・・」
「あ・・・あの・・・・」
「大丈夫!・・・・任せて・・・・・」

20 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:01:13 ID:63lFf1b3
非力ながら助けようとする彼女にこたえるエリオの言葉は完全に痩せ我慢だった。むしろ勝てなくても話ができる程度に拮抗している事自体、頑張っているといえるだろう。
そんな彼にレーザーの照準が合わせられる。それに気づき、一瞬のうちにガジェットの後ろへと飛ぶ。それを追うように光線が放たれ、外れたそれは天井を焼き、貫通する。
「うあっ!!」
無事着地しても待っているのは向きを変えたガジェットの更なる攻撃、すんでのところで横に転がる。しかし、それは大きな隙を作ってしまった。
アームが高く上げられ、振り下ろされる。そしてその先はもちろん
「うああああああああああああああ!!!」
体勢を崩したエリオ。まともに一撃を喰らい、壁へと叩きつけられる。
「はっ!?」
その姿を見やるキャロ。この身は非力だ。何もできない、しかし助けたい。そして脳裏に浮かぶのは絶望から希望へと移り変わった記憶。
幼い体には不釣り合いな程の力を持ち、故に制御しきれず、施設をたらい回しにされ、そこに手を差し伸べてくれた親代わりとも言える人の姿。
「それは君がどこに行きたくて、何をしたいかによるよ。キャロはどこへ行って、何をしたい?」
今度はどこへ行けばいいのかという問いに対するフェイト・T・ハラオウンの言葉。彼女は居場所をくれた。それまで、己の安息の地など存在するなど考えたことも無かった。
いつも目の前に、自分がいてはならない場所があった。それをフェイトは、拠り所をくれた。自分がしても良い事を教えてくれた。

「ううううう・・・あああああああああああああああああ!!!」
そしてエリオの身はガジェットのアームに包まれ、天井に空いた隙間より崖へと放り投げられる。
「あああ!!」
赤毛の髪の男の子。知り合ったばかりの同僚。しかし、一緒にいてくれて、安心感をくれる人。
「エリオくーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!」
諦める事など出来ようか。『今この瞬間』助けられないのなら、『助けられる状況』を作るのみ。
キャロはエリオを追うべく、空中へ身を投げた。


「ライトニングF!飛び降り!?」
「あんな高高度でのリカバリーなんて!?」
その光景をみた指令室では通信士のアルトとルキノの叫びが聞こえる。
「いや、あれでええ」
しかし、はやては飛び降りを是とした。その言葉にシャーリーは気づく。
「そっか!」
そしてその答えはなのはの言葉。
「そう。発生源から離れれば、AMFも弱くなる。フルパフォーマンスの魔法が!!」

「(守りたい。やさしい人、私に笑いかけてくれる人たちを・・・・・・自分の力・・・・・・・守りたい!)」

≪Drive ignition≫

「いくよ・・・・・・竜魂召喚!!!」
桃色の魔法が辺りを包みこむ。キャロの口から紡がれるは、聖なる呪文、ル・ルシエの一族の力の具現。

「来よ!我が竜フリードリヒ!!!」

白き閃光。そして現れるのは小さきフリードの真の姿。

「これが・・・・・・」
「そう。キャロの竜召喚。そのちからの一端や」
「あれが・・・・・・チビ竜の本当の姿・・・・・・」
「かっこい〜〜〜〜」
「あっちの援護が必要ないですね。さ、レリックを回収するですよ」
初めて目にする者達は驚きを隠せない。それを知るものは心から誇りに思う。その雄々しき姿に。
そして白き竜は大空を舞う。

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:02:19 ID:jDkKQhqV
支援

22 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:02:28 ID:8FHGEzbr
「・・・ド派手にやってくれるぜ」
振動と爆音が伝わる。悪魔の寄り代、人形と砂が飛び散り、ガジェットの散乱する中、ダンテは呟く。
自分が侵入したすぐあとに乗り込んできた管理局部隊。聞けば機動六課というロストロギア専門の部隊らしい。
「さて、お宝とご対面だな」
貨物室の扉を開ける。中には、それなりの大きさのコンテナやケースが幾つか置かれてあった。それを見まわした時、懐の通信機が音を鳴らす。
「トリッシュか」
相手は獲物の情報を仕入れてきた相棒だった。
「ダンテ。首尾はどう?」
その言葉にちょうどいい答えが返せるダンテだった。
「ああ、今ちょうど獲物がある場所さ。さっさと見つけてオサラバするさ」
「そう。それなら心配ないわね。けど、一応気をつけてね」
「わかってるさ」
切られる回線。ダンテはすぐさまコンテナを調べることにした。

「こいつは・・・・・・違う・・・・・これも・・・・・違う・・・・・・これは・・・」
サイズ的に考えるとケースの方だと目星を付けて次々と開けてみた時だった。開けた物の中に一つの宝石があった。綺麗にカットされ、真っ赤に輝くそれは獲物に近い姿をしていた。

「こいつがレリックって奴か・・・・・・確かに似てるな」
目当ての品・オリハルコンに確かに酷似している。だがあちらはここまで綺麗なカットはされていないが。
「こないだ奪った時にやたら管理局の奴らが騒いでたのもうなずけるな」
やたら騒がれた理由を分析しながら次々とケースを開けていく。そして
「お、見つけたぜ」
獲物は見つかった。神石オリハルコン。レリックとはまた違い、それは神々しくも禍々しい光を放っていた。それをダンテはポケットに仕舞いこむ。それで今回の仕事は終了だ。
「Mission Complete.  さて、ついでに他のも見ていくとしますか」
そう言って残り数個のケースを開けたが、そこに入っている物を見て、ダンテは目を見開く。
「魔道書か・・・・・・・・」
魔道書。それは『魔導書』にあらず。そこに記されていたのはダンテの世界、すなわち地球の魔道について。俗に言う黒魔術と称される部類の物だ。
悪魔の知識を記し、闇の力の行使を手助けする書物。本来ならヴァチカンあたりが禁書指定にして世から秘匿するのだろう。
だが、それを逃れる物も存在し、事実ここにあるのだ。それは英語で書かれ、赤黒い表紙が禍々しさを倍増させていた。
「まさか・・・・・・」
残っていたケースにもそれはあった。魔道書。イタリア語と英語で記されたものが。
「こいつはキナ臭いな・・・・・・」
時空管理局からすれば地球は管理外世界。基本的不干渉だ。そこの世界の、しかも数が少ない・古いという観点で見れば貴重な書物が管理局行きの荷物と共に輸送されているのはおかしい。
「こんなものは・・・・・・っ!」
取りあえず銃で蜂の巣にしようとした時だった。ダンテの背後の天井が打ち抜かれ、そこに現れたのは二人の少女と一機のユニゾンデバイスだった。

「あれ!?ティ、ティア!リィン曹長!」
「解ってる!そこのアンタ!とりあえずおとなしくしなさい!」
「時空管理局です!こんな所で何をしてるですか〜!」

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:03:38 ID:jDkKQhqV
支援

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:04:26 ID:ExsXBTyu
支援せざる得ない、ってことで支援します。

25 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:08:34 ID:8FHGEzbr
ティアナ、スバル、リィンフォースUの三人である。
はたから見れば犯罪者の立場、退路上には管理局、宜しくない状況だがダンテはいつもの軽口を叩く。
「Oh!こいつはこいつは驚いたぜ。上から降ってきたのは将来が楽しみな可愛らしいお嬢ちゃんに妖精さんってか?なかなかについてるな」
状況に合わない不謹慎な言葉にそして『可愛らしい』という科白に思わず顔を赤くするスバルだったが、他の二人は違った。管理局員としての任務に忠実で、逆に怒りすら覚えた。
「くだらないこと言ってないで武器を捨てて投降しなさい!!」
「それにリィンは妖精じゃないです〜!」
思わず気の抜けるようなリィンの言葉が混じっていたが、緊迫したこの空気のなかでは些細なことだった。

「ふうん・・・・まずはそっちのおチビちゃんの質問に答えるとすれば」
そういってポケットから取り出したのは先ほどのオリハルコンだ。それを目にして三人に動揺が走る。
「レリック!?」
しかしスバルの叫びはリィンとティアナによって否定される。
「いや、違うです〜。似てはいるんですが」
「そうね。微妙に違う。でもここにあったってことはロストロギアには変わりないんだろうけど」
その姿をみてダンテは鼻を鳴らし、オリハルコンを戻す。
「そして、そっちのツインテールのお嬢ちゃんのセリフだが・・・・・・・」
そう言って右手が後ろへと向く。握られているのは黒鍵(エボニー)。魔道書に向かって弾丸が発射される。
「「「!!」」」
突然の銃撃に驚く3人。その間にもダンテは射撃を続け、残ったのは見るも無残に散らばった本の残骸。
「質量兵器・・・・・・」
ティアナが呟いたその瞬間。
「悪いが、捕まるわけにはいかないんでな!!」
顔をかすめる様に3発。慣れない敵の武器に必要以上にバックして回避する3人。その隙を突き、天井から脱出するダンテ。
「っ!!追うわよ!!」
「う、うん!!」
「でも気をつけなきゃです〜!」
すぐさまあとを追う3人。そして余裕をみせ律儀にも離れたところで止まっていたダンテの姿を捉えると、ティアナは魔力弾を連発する。
「当たれ!」
しかし、それは本物の銃弾によって撃ち落とされる。
「え・・・・・」
硝煙を吹き、ガンアクションを披露しながら語るダンテ。
「まだまだだなお嬢ちゃん」
「くっ!」
「はあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ティアナが苦虫を噛み潰した様な表情を見せる瞬間、スバルのブリッツキャリバーが唸りを上げ、ナックルはシリンダーを回転させる。彼女の渾身の突撃(チャージ)。
「えっ!?」
だが、ダンテはそれを受ける事もせず、それどころか崖下にその身を躍らせた。意外な行動にスバルも呆ける

「残念だったなお嬢ちゃん。時間切れだ。また今度遊んでやるよ」
突然の事に崖下へと落ちてゆくそのダンテの姿を三人は見ていることしかできなかった。

「Adios senorita(じゃあな、お嬢ちゃん)」

26 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:10:04 ID:8FHGEzbr
すぐに彼の姿は落ちていき、やがて見えなくなった。

「こちらスターズ4。レリックは確保しましたが・・・・・・・・」
取り逃がしてしまったことを報告しようとするが、通信を受けたはやては特に咎めることはしなかった」
「ええよ。状況が状況や。しかたあらへん。取り敢えず、みんなと合流して戻ってきて」
「・・・・・はい」
「「「・・・・・・・・・・・」」」

スバル、ティアナ、リィンの3人は、ただ、沈黙するのみだった。


ダンテが悪魔を仕留めた車両。残骸が転がっている。
先ほどまで転がっていた悪魔の残骸はなく、ただ、赤黒い魔法陣が薄く輝き始めていた。

リニアレールはそれでも関係なく走る。だが、制御は戻った。やがて減速し、止まるだろう。

「ダンテ・・・・・・・うまくやったか・・・・・・・・」
崖の上でリニアを一人の青年が眺めていた。

「露払いは任せておけ。約束した手前だからな」

To Be Continued・・・・・・・・・

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:10:30 ID:ZGn8Y7H+
>>25
スバルのはマッハキャリバーじゃなかったっけ?

28 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:13:30 ID:8FHGEzbr
てなわけで投下完了です。ありがとうございました。

ダンテは敵として出会っちゃいましたね〜六課からすれば凶悪犯罪者ですよ。他の場所での前科もあるし。
しかしダンテだけにはしません。

次回予告
生意気悪ガキ、脱ぐと早い人の後ろからズドン!


ありがろうございました。

29 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M :2008/06/11(水) 00:14:42 ID:8FHGEzbr
>>27
ほんとだー!!!!!!すいません!!!!!
なんでこんな間違いしちゃうかな〜。気をつけてはいるんですが。

修正お願いします。すいません

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:17:51 ID:PpXZZK6z
何はともあれGJ!
こういう自由なダンテを待っていたんだ!

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:26:22 ID:Iu+2ot4h
GJ!!です。
次回は不意打ちなのかw


32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:30:21 ID:/MD+3xs1
支援

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:31:13 ID:vVZl/5mB
GJでした!
後ろから撃つの楽しみです!

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:31:15 ID:/axcSDWT
0:45に予約します

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:33:24 ID:mfJlPh6a
>>34
どちら様?
コテないってことは新顔さんか?

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:37:44 ID:/axcSDWT
>>35
新規ですので、予約の時点でこてをつけるのはどうかと思い、あえて省略しました
不愉快に思われたなら申し訳ありません

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:42:46 ID:/MD+3xs1
>>28
GJ。ダンテ犯罪者か。まあ冤罪とはいえ経験者だしなww
ネロに期待してるぜ

>>32は誤爆orz

38 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/11(水) 00:46:30 ID:/axcSDWT
それでは投下します。



 全てがうまくいく方法なんてない。
 そう言ったのは誰だったのか。そんな記憶すらこの時の狭間の中に消えていく。イデアシード――人の記憶を
高純度のエネルギーへ変換させる遺失技術。自分自身すらも生贄に捧げ、何もない空間で一人クロノ・ハーヴェ
イは時を壊す災害へと立ち向かっていた。
 辺りはただ白く、ただ広く、そして何もない。時間も空間も意味もなさないこの場所に一人立つという恐怖に、
しかしクロノはどこか安心感すら覚えていた。
 全てを凍てつかせる時の災害、ヒドゥン。それを退けるために今までどれほどの犠牲をミッドは払ってきたの
だろうか。
 数百人の命、数十人の命と一つの国。どれもとてつもなく大きくて重い。
 だが、クロノを動かしたのはそんなものではなった。彼はただ、守りたかったのだ。ミッドを。そしてそれを
愛する母を。そのために自分の記憶と命を差し出したのだ。母がその身を犠牲にする前に。
 だから、他の何を犠牲にしても、クロノにはそれでよかった。強い決意がクロノの胸にはあった。
 いや――嘘だ。
 クロノは弱い。力ではなく、心が弱い。自分が悲しむことが嫌で、誰かを悲しませるのも嫌で。だからきっと、
彼がなのはの記憶を奪ったのは彼女を悲しませたくないからで。そして今こうして消えようとしているのは、自
分が悲しむのが嫌だから逃げようとしているだけに過ぎない。
 後悔は数え切れないほどある。もっと母と一緒にいたかった。なのはの笑顔を見たかった。桃子のあの暖かい
料理を食べていたかった。
 何より、自分を覚えていてもらいたかった。この大切な記憶を皆と共有していたかった。
 しかし、その全てを奪ったのはほかならぬクロノ自身だ。どこにも救いはない。
 そうして、大切だった記憶も徐々にイデアシードによって失われ、それを悲しいと思う心すらも消えていく。
 あとはただ、イデアシードの力を使ってヒドゥンを退けるだけの機械となって――
 しかしそれでも最後に一言だけ呟いた。

「なのは……どうか、幸せになって」


 時空の狭間。それは決して一つではなく、どこにでもあるありふれたものだ。存在そのものは確立した時空に
比べいささか不安定ではあるが、ただあるだけならば問題はない。
 ヒドゥンはあくまでも時空の隙間から忍び寄る災害であり、狭間そのものがその本質ではないのだ。
 だから、そこに拠点を構えようとする存在がいようとも、不思議などどこにもなかった

「ああ、アリシア」

 その拠点の最深奥。様々な機械に繋がれたフラスコが鎮座する部屋の中央で、プレシアは一人熱に浮かされた
ように呟いた。つらりと愛おしげにフラスコを撫でるその様はどこか狂気じみている。
 しかしそれを咎めるような、あるいは心配して声をかけるような無粋な輩は存在しない。
 さもありなん。ここにはプレシアのほかは誰一人立ち入ることはできない。聖域なのだ。プレシアにとって、
そしてフラスコの中の少女、アリシアにとって。
 だから部屋の中の計器が異常を示し始めたときのプレシアの取り乱しようは、尋常なものではなかった。
 アリシア、とプレシアが呼ぶフラスコの中の少女は既にして死んでいる。彼女は死体なのだ。もはや生きては
いない。だというのに彼女がいない人生を認められず、プレシアは彼女の遺体の埋葬を許さなかった。
 痛まず、崩れず、ただいつでも美しく。いつか自分が生き返らせると決意を胸に、プレシアはアリシアの体を
保存し続けてきたのだ。
 その危機にどうして正気を保っていられよう。半狂乱になりながらもアリシアの名を叫び続け、壊れんばかり
にタッチパネルを乱暴に叩きつける。その所作がどこまで正確であろうと、いや、だからこそ、プレシアの異常
性はことここに極まっていた。
 どうして正気を取り乱した人物が正しく動けよう。だというのにプレシアはただアリシアを守る。その一点に
おいてどこまでも正確だったのだ。機械もかくや。そこに鬼気迫る感情もあれば機械すらも上回ろう。
 幸いにして、混乱はすぐに収まった。まるで何事もなかったかのようにレッドアラートの鳴り響いていた室内
は静寂を取り戻していた。響くのはただ荒いプレシアの呼吸のみ。

39 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/11(水) 00:47:51 ID:/axcSDWT
「は、あ……」

 そうして深く息を継ぎ、ようやくプレシアは人心地ついた。少なくとも当面の危機は去ったのだ。これが管理
局による強権的な操作ならば気を抜く暇などないのだが、かつてその籍を置いていたプレシアにはこの騒ぎは管
理局とは無関係であると経験と直感からわかっていた。
 では、次は何をすべきか。管理局の急襲に備える必要がない今、プレシアの急務は二つだ。一つはアリシアの
安全を確保すること。そしてもう一つは、この混乱の原因を突き止めること。

「ふ、ふふふ」

 プレシアの口から笑いがついて出た。それは決して愉悦からのものではない。
 アリシアを、愛しい我が娘を傷つけるに等しいその愚行。彼女が許せるはずもない。ただの事故ならばよし。
だがもし人為的なものならば。
 プレシアの口がいびつに歪む。

「殺して、あげる」

 低く小さく、そして殺意だけは十分に呟いた。
 仄かに光さす薄暗い部屋の中、凶相を顔に張り付かせながらプレシアは計器のデータを分析し始める。静かな
室内にどこかリズミカルで、それでいて不協和音なパネルを叩く音が小さく響く。
 その中にあって歪んでいたプレシアの表情が、算出されたデータの意味を理解した途端、全ての意味を失った。
 虚数空間において乱数がでたらめに並び立つところが意味するのはただ一つ、次元震に他ならない。
 なぜ、どうして。顔色を失ったままプレシアはさらにその原因を探る。次元震、ひいては次元崩壊は彼女の目
的とするところだ。それをどうして見過ごせよう。
 ただの事故。そんなことはありえない。次元は人が思う以上に堅牢だ。そこには確実に何らかの要因が複雑に
絡んでいる。それが目の前で起きたというのなら、原因を探るのはプレシアにとって義務にも等しい。
 そうしてタッチパネルを操作するプレシアの指先がぴたりと動きを止めた。原因を、見つけたのだ。
 奇妙なほどに口元が開く。毒々しい唇の奥からは血のように真っ赤な舌が覗く。蛇のようにうごめきながら、
プレシアは小さく「見つけた」と呟いた。
 映し出されたスクリーンには、死んだように――しかしバイタルは確認されている――目を閉じて城の外壁で
倒れている、黒の少年の姿が映し出されていた。




 フェイト・テスタロッサはその名が示す通りプレシア・テスタロッサの娘である。少なくとも、彼女は自分を
そうだと信じて疑わないし、プレシア自身からも否定されたことはない。
 フェイト・テスタロッサ。母と同じ名を抱いていることは、フェイトにとって数少ない拠り所だった。自分の
努力を認められずとも、鞭で打擲されようとも、胸に残るわずかな温かみさえあればそれで十分だとフェイトは
固く信じて疑わない。疑っては彼女の人格自体が成り立たない。
 事実、心優しく人を傷つけることを好まないはずの彼女は、愛らしい子猫――といっても、その体躯は巨大に
なっていたが――へ呵責なく攻撃を仕掛け、それを守ろうとした現地の魔導師をも力ずくで排除した。
 それは情深き彼女らしからぬ行動であり、そして同時に母の愛に背中を押されたが故にどこまでも彼女らしい
行動だった。そう。彼女は愛に飢えている。母のその手に優しく頭を、頬を撫でられる光景を幻想すれば、フェ
イトはどこまでも残酷になれたのだ。
 心が痛まなかったと言えば嘘になろう。後悔したか問われれば肯定しよう。しかしそれ以上にフェイトの胸の
内は期待に踊っていた。
 だから、ロストロギア・ジュエルシードの収集の任務も半ばだというのに呼び出されても、彼女がそれを拒む
可能性などはどこにもなかったのだ。
 心配する使い魔の声もそぞろに聞き流し、フェイトは一人次元の狭間に建てられた城の中を歩いていた。
 その足取りはわずかに軽い。母に会える。それだけで彼女の胸は躍る。
 かつり、と黒いブーツが硬い回廊の床を鳴らす。広い、どこか廟のような空気をかもし出す廊下に虚ろに鳴り
響いたその音は、その実フェイトには祝福の鐘のようにすら聞こえていた。
 静謐な神殿を犯す邪魔は、どこにもいない。
 足を止めるとフェイトは、母が待つ部屋の扉を一つ、二つとノックする。


40 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/11(水) 00:48:20 ID:/axcSDWT
「入りなさい」

 入室を許可するプレシアの声にはフェイトを迎合する雰囲気などどこにもなく、どこまでも硬く、寒々しい。
 それに気付くことなく、あるいは気付く素振りすら見せず、フェイトはそのまま扉を開くと部屋へと足を踏み
入れた。
 普段はそこで足を止め、母の顔色を伺う。何が上手く出来たか、何を失敗したか。そんなものは報告しない。
初めはそうしていたのかもしれないが、今は違う。ただプレシアの顔色を伺い、問われるまま、請われるまま、
フェイトは母の言葉通りに動くことしか出来ない。でなければ、母の愛を得られないと固く信じて疑わない。
 それはまるで妄信にも似ている。いつか自分が愛されることがある。愛されないのは自分が至らぬせいだと
思っているのだ。
 だから、フェイトの世界は母と自分――それと使い魔のリニスとアルフだろうか――としか存在しない。
 その狭い世界に異物が存在することなど、フェイトの短い人生の中に置いて一度もあったことはない。
 だから、それはフェイトにとって初めての経験だった。
 目の前に、見知らぬ誰かがいる。それも母の隣に位置だって。
 その時のフェイトの心情はいかほどだっただろう。怒りか、嫉妬か、驚愕か。あるいは悲しみか。そのどれも
が当てはまらず、そのどれもが正解で。
 全てを混ぜてしまうのが一番真実に近かったろう。しかし、近いだけで真実そのものではない。
 混乱を胸に、フェイトはこの場において、初めて自分からプレシアに問いかけた。

「母さん、そこにいるのは……誰?」

 プレシアは、目を見開き、唇を戦慄かせるフェイトを思うこともなく、ただ純然たる事実を告げる冷たい声で
こう告げた。

「この子に魔法を教えなさい。ジュエルシードを探す合間に」

「え、でも、それは……」

 プレシアの言葉はまるで不可能に近い。ある程度地域が特定できてはいるが、ジュエルシードは広範囲に散ら
ばっている。その片手間に誰かを指導しろなど、素質はあれどその経験もないフェイトにできるはずもない。
 しかし、それはプレシアとてわかっていた。何しろ彼女を育てたのはプレシアの使い魔なのだ。だからこそ、
できることとできないことなど、優れた科学者たる彼女にはたやすく理解できていた。

「安心なさい。この子を成長させろ、などとは言わないわ。ただ魔法を教える。それ自体が目的よ。それなら、
あなた程度にも十分出来ることよね、フェイト」

 私を、失望させないで頂戴――そうねっとりと、まるで蛇のように低い声で言われたその内容に、フェイトは
プレシアの傍らに立つ子が誰かに思考を巡らせることすら思いつかず、ただ頷くことしか出来なかった。
 科される体罰に怯えたのではない。母に愛されない。ただそれだけがフェイトに恐怖を覚えさせていた。その
様子を見て、プレシアは満足そうに頷く。あくまで、そうにだ。心の中は虚ろに満ち満ちている。
 名も忘れ、自己の確立すらままならぬ黒の少年は、ただ一人それをどこか醒めた目で見つめていた。
 どうしようもなく、蚊帳の外――異邦人だった。

41 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/11(水) 00:51:03 ID:/axcSDWT
以上、第一話終了です
クロス元はリリカルおもちゃ箱(の某END)
時期は見てわかる通りの第一期

42 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/11(水) 00:52:30 ID:/axcSDWT
書き忘れ
テキストは基本50字で区切っていますが、文字コードのせいで行末が乱れています
申し訳ありませんが、ご了承願います

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 01:47:11 ID:LNjxTmJw
これはまた展開が気になる作品が。なのは見てどうリアクションするんだろ。
GJでした。

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 02:15:51 ID:eDdj0CVx
げげえー黒歴史!?www

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 10:49:52 ID:54OtpFk1
>>41
これは面白そうですね。GJでした。

>>9
GJ!
ストーム1は正義感ある好人物ですね、とても好感がもてました。
朴訥な味わいもよかったです。

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 11:30:07 ID:t5B8+IgD
GJですー。

記憶を失っていらしい異邦人ハーヴェイがどう動くか楽しみです。

47 :一尉:2008/06/11(水) 13:59:52 ID:kNZBQU35
記憶支援

48 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 15:13:35 ID:A6V9LuJL
昨日の今日ですが、夜の十時にEDFの投下を予告します。
今回の話は本来、前回のストーム1の訓示の後につけるはずの部分でしたが、
容量が大きくなりずぎたため、急遽加筆修正して九話として完成させました。
今回、なのは世界にあの御方が降臨します。

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 15:35:11 ID:HtUtB9xp
……象? おじいちゃん?

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 17:52:50 ID:nPMSKxbL
大穴でヴァラク(怪獣)かもしれんぞ。

51 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 18:13:29 ID:t5B8+IgD
「アレェェーーーーース! 私は帰ってきたぞ!!」

そんなノリですが、今日のコネタはライドウクロスです。
15分より投下。

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 18:14:46 ID:a+kyN5T7
ライドウかよwww支援

53 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 18:16:44 ID:t5B8+IgD
召喚師ルーテシア 悪魔使役編

 ゲンヤ・ナカジマは駄目な親父である。本人は断固として否定しているが、事実だ。
近頃、この男は時空管理局を退職した。辞職だった。長年勤めた地上本部を退職した理由は、謎に包まれている。
ある日突然、ゲンヤ・ナカジマ三佐は大声で言ったという。上司と部下と娘の前で、大見得を切った。

「今日で、こんな職場は辞めたっ!」

そう言い、あまりのことに呆然とする陸士108部隊の面子の前で辞表を上司に提出。
これの内容がまた凄まじく、上層部への不平不満がびっちりと呪詛の如く書き込まれ、<海>への誹謗中傷じみた意見と嘆願書もたっぷり同封されていた。
これによって激怒した時空管理局の総意により、彼の辞職は異例のスピードかつ満場一致で認められた。
本人曰く、

「俺はもう若くねえし、辞めてもいい頃だ」

だそうであるが、無論この意見は娘二人に切って捨てられた。
長女ギンガは言う。それはもう、しかめっ面で。

「父さんはこれからが出世時なのに……」

次女スバルは言う。何かもう、諦めきった顔で。

「何考えてるか、さっぱりわからないよ……母さんも草葉の陰で泣いてるよ」

第一、娘二人は未成年だ。いくら時空管理局で働いているからと言って、養う義務がある筈である。
それもこのオヤジ曰く、

「あいつらは俺がいなくても大丈夫だ」

この一言で済ませた。面の皮が厚いとか、そういう問題じゃないと当時彼の部下、ラッド・カルタスは言う。
温厚なこの人物も、当時の混乱を思い出したのかすごく嫌そうな顔をした。ゲンヤも引継ぎの準備をしたうえでの辞職だったが、
それでも108部隊の職務は繰り上げ昇進したカルタスに押し寄せ、多大な負荷となった。
苦労人である。

「いやもう、当時のことは思い出したくありません。あの後の事後処理、全部私がやりましたから。
何故、ゲンヤさんがあんなことをしたのか、今でもわかりかねます」

さて、ゲンヤ・ナカジマは職を辞した後、どうしたのか――わかりやすく言うと、自営業になった。
詳しく言えば、何を思ったか探偵に再就職した。
間借りしたビルディングで、小さなオフィスと広い応接間、そして居住スペースのある中々豪勢かつモダンな建物である。
ちなみに、この物件を用意するのにゲンヤは己の貯金を使った。無論、使い切る勢いで。
娘二人に金がかからなくなったとはいえ、それでいいのか二人の親父。
ちなみに、ゲンヤはズブの素人で、探偵業のなんたるかなんぞこれっぽっちもわからない。
普通なら優秀な探偵に弟子入りするなり、プロを雇うなりするところだが、ここでこの男が雇った探偵というのがまたすごい。

ルーテシア・アルピーノ。
紫色の髪の毛を長く伸ばし、黒い衣装を着た無口な《美少女》。
このとき、僅か9歳である。契約の際の謳い文句は《学童探偵》――ネーミングセンスも酷い。

これだけでも十分駄目な匂いがするが、この男の恐るべき点は他にもある。
まず、自分では決して動こうとしない。これだけだと名探偵の貫禄――いわゆる《座椅子探偵》というやつだ――十分だが、
その実推理など自分でしないだけである。基本的に事件は《仲魔》なる存在を使うルーテシアが解決し、ゲンヤはそれの礼金を受け取る役。
依頼人との折衝はもっぱらゲンヤの仕事だが、実質的な探偵業は9歳児の仕事だった。

この事実が周囲に認知されるのに、数ヶ月。
半年後には、時空管理局のやり手左官から、ものすごい駄目親父にゲンヤ・ナカジマの評価は堕ちた。
これは、クラナガンにある悪魔関係はお任せの「ナカジマ探偵事務所」の物語である。

54 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 18:19:06 ID:t5B8+IgD
ズガーン、という轟音。コメディじみた勢いで探偵事務所のドアが開かれ、ギンガ・ナカジマがずかずかと入室した。
この年17歳の、花も恥らう乙女である。現在は時空管理局地上本部に勤務、半年前までゲンヤの部下だった娘だ。
母親譲りの青い長髪と美貌を持つ彼女だったが、今日このときばかりはご立腹だった。
怒声が響き渡る。

「父さんっ! いるんでしょ、一回お話に応じ……」

「今ゲンヤはいない……何の用?」

囁くような声で喋るのは、ルーテシア・アルピーノ。
この事務所に住まう9歳児で、今は探偵をしている子供だ。

「ル、ルーちゃん……何時からいたの?」

「初めから」

「そ、そう……」

すごく、気まずい。ギンガは話題を探したが、無い。この娘との接点など、探しても見つかりそうになかった。
結果、無難なやりとりを選択する。話題――このごろの生活。

「最近、どう? ちゃんとご飯食べてる?」

こくり、と頷きながらルーテシアは牛乳を飲みほし、牛乳瓶をとんっ、と台所のシンクの中においた。
ああ、相変わらず可愛らしいなあ、と思いつつ、ギンガはこの無口な少女の経歴に思いをはせた。

ルーテシア・アルピーノは孤児である。
なんでも地上本部のエース、ゼスト・グランガイツが殉職した事件でシングルマザーだった母親を亡くし、
それ以後は《でびるさまなぁ》なる人種に引き取られ育てられたのだという。
彼らは《悪魔》という存在を召喚し、使役するというが、時空管理局も実態は知らないという謎に満ちた職業集団だった。
この謎めいた集団に育てられた少女を、一体何処からゲンヤが拾ってきたのか、まったく不明だ。
つまるところ、わかってないことだらけであり、そこがまたギンガの好奇心をかきたてる。

「父さんも、どうして探偵なんか……」

「ゲンヤは私によくしてくれるし、良い人」

そう言って貰えるとありがたいのだが、いかんせん9歳児を探偵として使ってる時点で駄目だと思うのだ。
ギンガは密かに溜息をつくと、事務所所長の椅子に座り込んだ。父ゲンヤが普段座っている椅子であり、中々洒落た机とセットになっている。
モダンなビルディングと相まって、とても居心地が良い。
だが、よく考えるとこの建物と家具を買い揃えるのには父の貯金が使われているわけなのだが――。

(ちょっと高過ぎないかしら? 父さんの給料で一式揃えたら、貯金なんて無くなってしまう気がする……)

事実、集められた家具は皆ミッドチルダ以外の次元世界で作られた逸品ばかりで、職人による精緻を極めた彫刻の施された座椅子など、
ギンガの今の給料で買ったらあっという間にすっからかんだろう。
室内の照明はどうやれば依頼人に頼もしく探偵が見えるか、という点に苦心され取り付けられており、非常に演出効果に富んでいるといえよう。

(ああ、何かいらいらしてきた。父さん、何処から予算引っ張ってきたんだろう?)

ギンガが疑問符を抱いていたときである。
ナカジマ探偵事務所の扉が、勢いよく開かれた。

「おう、今帰ったぞー、ルーテシア」

べろんべろんに飲んだくれてやがる。
どうもこの親父、酒場か料亭で飲んでいたらしい。ちなみにツケ払いである。

55 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 18:20:36 ID:t5B8+IgD
瞬間的デバイス装着――ローラーブーツ《ブリッツキャリバー》、鋼の篭手《リボルバーナックル》。
バリアジャケットを展開し、一気に父へ接近。当身を食らわせるべく急激加速。
ゲンヤ、驚きつつこれを回避――ひらり、と軽いフットワークを発揮する。
車輪を逆回転させて急激旋回しながら裏拳を繰り出す――しゃがみによって回避された。

「お、落ち着けギンガァ! 管理局員が一般市民に暴力を振るうな、お前それでも治安組織の一員かっ!!」

非常に理に適った意見だったが、今この場では火に油を注ぐだけだ。
追撃――独楽のような回転の後、脚払いをかける。
ゲンヤはこれを跳躍して回避し、ルーテシアの傍まで駆け寄った。
情けない声をあげる。

「おおい、助けてくれ、ルーテシア」

ルーテシアは学童服を翻し、一言。

「……MAGが勿体無い」

「生体マグネタイトと俺の命、どっちが大事なんだ、おいっ!」

「MAG」

「即答かよっ! 落ち着けギンガ、クイントが悲しむぞ!!」

ぶちぃ、とギンガの堪忍袋の尾が切れた。
青筋が立ち、見る間に恐るべき闘気(オーラ)が放たれる。

「ふふふ……こんのぉ、駄目親父ぃ……情けない場面で母さんの名前を使うなあっっ!!」

「どうでもいいが俺は駄目親父確定かっ!」

無言の重圧ともに、《リボルバーナックル》が魔力を纏う。
直接打撃による一撃必殺――その名は。

「ナックルダスタァァァ!!」

「おちつけぇぇぇ!!!」

拳がゲンヤに直撃コースで迫った刹那、ルーテシアは学童服のポケットから銀色の管を取り出した。
封魔管と呼ばれる道具である。
緑色の生体マグネタイトに満たされた管のキャップを開き、《仲魔》を呼び出す。
召喚するのは――。

「オルトロス」

全力全開の拳は、巨大な四足獣に受け止められていた。
緑色の鬣、逞しい四肢、2つある獅子の顔、甲殻に覆われた長い尻尾――双頭の巨獣オルトロス。
火炎魔法と肉弾戦を得意とする《悪魔》だ。
そいつが、グルルル、と鳴いた。

「喧嘩両成敗……」

轟――爆音とともに繰り出される魔法マハ・ラギ。
広範囲を襲う火炎が吹き荒れ、ゲンヤとギンガは仲良く真っ黒になって気絶した。
後に残されたのは、どうやってか無傷で切り抜けたルーテシア一人。

「……やり過ぎ?」

『サマナー、少シやりスギ』


56 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 18:21:58 ID:t5B8+IgD
役者はそろい、ついに動き出す物語。


二人のデビルサマナーの出会い。

「……あなたは?」

「キャロ・ル・ルシエです! こちらが――」

蠢くは、巨大な亀頭――ご立派なイチモツ。

『恐れられる祟り神、ミシャグジさまじゃ、ほえ、ほえほえ』


都市でまことしやかに語られる《怪人赤マント》。

「これが……怪人?」


動き出す『超力兵団計画』。

「我々は――<陸>は! この《超力兵団》によって強化されることだろうっ!」

開発コード《アインヘリアル》。

建造される《超力戦艦》《超力戦車》《超力光線》。


紅い憲兵が都市で暗躍――質量兵器と軍刀で武装した不死身の兵士達。

「この戦いだけは……負けられない」

降りしきる雨の中、デビルサマナーは激突する。


地上の平和を賭けた戦いが、始まる。


デビルサマナー ルーテシア対超力兵団 始まるかもしれません?

57 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 18:23:06 ID:t5B8+IgD
投下完了です。

ミシャグジさま召喚編と微妙にリンクしてますw
ではではー。

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 18:55:19 ID:U/lYFrh8
>>9
GJ!ストームチームの活躍にwktkが止まりません!
新装備の活躍に期待。
そして、星舟の最初のターゲットは!?
>>48
おお!仕事が早い!
>>57
GJ!
駄目だ、この親父…早く何とかしないとwww

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 18:56:56 ID:IrpSPU0c
なんともいい難い微妙センスの二つ名の数々を思い出す

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 19:28:02 ID:a+kyN5T7
GJです!ゲンヤさんがニート役かよ!
そしてキャロはそのお方でいいんですかwそれに、ここのゆりかごは勿論変形するんですね?
業魔殿の主はスカ博士として、数の子の立ち位置…メアリ?
よければ続きをぜひお願いします!

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 19:52:00 ID:/5hr9u5P
GJ!
14代目以上の無茶ぶりに期待w
400m級の戦艦を刀一本で切り倒すぐらいに

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 20:02:18 ID:FIrUshSm
DHS
いや、ダンテはやっぱりアウトローでないとw
六課もスカ一味もきりきり舞いにして欲しいですね。

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 20:16:43 ID:C8+uIHN8
GJでした!面白いです!

ルーテシアが主役ってのが良いですね!
なんかルーが格好いいです。探偵って職業が似合ってそうです。

>ルーテシア対超力兵団
このネーミングが素敵だったりしますw

64 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 20:23:59 ID:t5B8+IgD
レス返しー
>>58
鳴海さんほど駄目人間じゃありません、まだw
>>59
アレはひどいw 苛めに近いと思います、あれは。
>>60
ハハハ……お楽しみにー。
>>61
ルールーの得物を考えてますw

65 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 20:35:07 ID:t5B8+IgD
と、一人見逃した?!

>>63
ありがとうございます。
あのネーミングは原作どおりにw

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 21:22:12 ID:dp7lQvyR
>>65
…まとめの番号飛んでますよー(ボソッ

67 :一尉:2008/06/11(水) 21:25:10 ID:kNZBQU35
まとめ支援

68 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/11(水) 21:40:11 ID:t5B8+IgD
>>66
へぶっ!
うっかりさんのようです、直しときます。ご報告ありがとうございますー、

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 21:55:09 ID:mfJlPh6a
>>57
ゲンヤさんにライドウが乗り移ったのかwwwww
それにしても俺の好きなライドウでクロスつくるとは・・・
いいぞもっとやれ!(オイ)
ついでにだれかP3でクロス作ってくれ。
それとゲッター氏はGJ

70 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:01:31 ID:A6V9LuJL
そろそろ時間なので投下します。
晴れ時々地震。ところによりニ○動ネタ警報。

71 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:02:25 ID:A6V9LuJL
魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――"mission9『英霊の帰還』"

――二〇一八年 五月十三日 〇時九分 星舟内部――

 目を覚ますと、彼女は金属製のベッドに横たわっていた。
そこはベッド以外は何もない、四方を銀色の壁に包まれた部屋だった。
窓や扉はおろか通気口すら見当たらず、ライトもないのになぜか部屋の中は明るかった。
どこかで機械が動いているのか、微かにゴゥンゴゥンという音も聞こえてくる。
彼女はベッドから上半身を起こした。
そこで彼女は、自分がEDFのボディアーマーではなく下着姿で寝そべっていたことに気がついた。

(なんでここにいるんだろ。確か、あたしはあの時……)
 彼女は『星舟』との戦いで、自分が一体どうなってしまったのかを思い出そうとした。
そして、すぐに彼女は思い出した。
東京決戦の折、自分の受けた苦しみ、その果てに待ちうけていた己の最後の瞬間を。
体中の血液が沸騰し、脳髄を蒸し焼きにされていく激痛。
四肢をもがれ、生きたまま肉と骨を炭に変えられていく絶望。
体が、心が、魂が、自分を構成する全てのモノが爆風と共に四散していく圧倒的恐怖。
一秒にも満たない刹那に感じた全ての苦痛を、彼女は鮮明に覚えていた。

 そうだ、自分はあのとき死んだはずなのだ。
今まで自分が葬ってきた人間や『異邦人』と同じように。
惨めに、無様に、呆気なく、しかも自爆という最悪の死に方で。
なのに何故、自分はここでこうして生きている?
得体の知れない恐怖を感じていた彼女だったが、ふとあることに気がついた。
それから、自慢じゃないがそれなりの豊かさを持つ己の胸にそっと手を当てる。
右、左、胸の間。首筋や手首にも手を当て、そのことをはっきりと確認した彼女は驚きのあまりに目を見開いた。

 普通、怖いときや不安なときは、心臓が早鐘のようにバクバク脈打つものだ。
なのに、今の彼女はどこに手を当てても鼓動はおろか、脈拍すら感じることはなかった。
つまり、心臓が全く動いていないのだ。
やっぱりあたしは死んでいる? だとしたらここはあの世なのか?
あたしはこのまま地獄に堕とされるのか? 説教厨のロリ閻魔やおしゃぶり咥えたチビ閻魔に裁かれて。
ありうる。自分が今までしてきたことを考えると、地獄行きも十分ありうる。
彼女は口に溜まった唾をごくりと飲み込んだ。額を流れる冷たい汗。
普通の人間なら、混乱と恐怖の余り発狂したり泣き喚いたりするところだが――



72 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:04:00 ID:A6V9LuJL
「ま、いいかー」
 彼女は笑いながら再びベッドに寝転がった。
そっか、自分は死んだのか。だったらもうどうでもいいや。
天国行きなんてとうの昔に諦めてたし、行けたとしてもあんな退屈そうなとこには絶対ぜっったい行きたくない。
それよりも地獄に行った方がエキサイティングでいろいろと楽しそうだ。
地獄の鬼をふっ飛ばしたり、血の池地獄に浸かって一杯やったり、ヒトラーやスターリンからサイン貰ったり。
閻魔倒して自分が閻魔になるってのもいいかもしれない。
それよりまず最初にやるべきことは、死神が骸骨の大鎌持ちか、黒装束を着た変形式の日本刀持ちかを確かめることだな。
これから始まるあの世での生活に思いを馳せて、迎えが来るまでここでもう一眠りすることにした。

 そのとき、視界の端に何やら象形文字のような字列が浮かび上がった。
目を閉じたり色々なところを見回したりして、それが目の中、あるいは脳内に直接投影されていることがわかった。
その文字の読み方を彼女は知らない。
なのに彼女は、その文字がどんな意味なのかを瞬時に理解することが出来た。

『デバイス『グランドファーザー』を起動せよ』

 床の一部が開き、そこから伸びたアームが彼女に金属製のカードを差し出した。
彼女は体を起こしてそれを受け取り、しげしげと観察する。
カードは掌より少し大きく、色は夜闇のようにどす黒い。
中心部分には紫色の宝石が埋め込まれていて、その周りにはまるで四葉のクローバーを鋭角化したような模様が刻まれていた。
表も裏も同じデザインの、何やら禍禍しい雰囲気が漂うカードだった。

「これがデバイス……『グランドファーザー』?」
 何気なくカードの名前を呟いたとき、突然宝石が紫色に光輝き、模様にそって光の線が走った。
カードが心臓のように脈打ちはじめ、徐々に熱を帯びていく。まるで人肌に触れているようだ。
彼女は呆然とした様子でカードの変化を見守っていた。
不気味な光はますます輝きを増し、鼓動の強さはまるで鳴り響く太鼓に触れているよう。
表面の熱は温かいを通り越して、火傷しそうなほどに熱かった。

『マスター登録完了 『グランドファーザー』起動確認』
視界の端に再び文字列がせりあがり、全ての異変が止まった。
宝石からのまばゆい光はウソのように消えうせた。
鼓動も感じず、表面はまだ温かいが、これ以上熱くなることはないだろう。
部屋の中が再び静寂に包まれる。
彼女は瞼をしばたたかせ、一体カードに何が起こったのかと顔を近づけた。


73 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:04:44 ID:A6V9LuJL
『う……うぅ……』
 中心の宝石が光り、そこから男の声が聞こえてきた。
こんどは眩しいほどの輝きではなく、声に合わせて喋っているように点滅している。
周りを見回しても、声を発するような物は何一つない。
声は本当にこのカードから発せられているらしい。
『うぅ……ここは……わしはどうなって……』
 声の主は明らかに混乱しているようだ。
低く重い、年を取ったジイサンの声。彼女は声の主を知っている。
彼女の恋人の祖父。七十歳にして『インパルスの名人』と呼ばれた歴戦の老兵。

「ジイサン。まさか、あんたなの?」
『おお? なんじゃ嬢ちゃんかい。おはようさん……ってなんてかっこしてんじゃお前さんは!」
 やっぱりだ。部隊の中でも彼女を『嬢ちゃん』と呼ぶのはジイサンしかいない。
『そんなかっこでいたら風邪引いちまうぞ! さっさと服着んか服! だ、第一お前さんだって女子なんだから恥じらいってもんをじゃな……」 
 しかも、下着姿を見ただけでこのウブな反応。間違いない。
「しっかし、そんな姿でこっち来るって。ジイサン、あんた善人面してどんなえぐいことやってきたのよ」
『そんな姿ってどう言うこった?』
「わかってないんだ……」 
 彼女はカードとなったジイサンを掴んだまま、冷たい床に足をつけた。
銀色の壁はほとんどが歪んでいるが、場所によっては歪みが少なく、鏡のようにこちらの姿を写し出す所もある。
彼女は一番歪みのない所に達すると、手に持ったジイサンを大きな鏡に向けた。
「ほら、これが今のジイサンの姿よ」
『なんじゃあ、わしの今の姿……って……』
ジイサンは視界に入ったものがなんなのか、理解できなかったらしい。
しかしそれもほんの一瞬。それを理解した瞬間――

『な、なんじゃごりゃああああああああああああああ!』

 絶叫。半狂乱を通り越して全狂乱とも言えるほどに叫ぶ叫ぶ。
無理もないか。ついこの間まで人間だったのに、こんなおもちゃみたいな姿に変えられたのでは。
「ジイサンも災難よねぇ。死んですぐにこんな目にあうなんて」
『な、なんだってぇ……わしが……わしが……し、死ん……』
「そ、ジイサンは死んであの世に来ちゃったわけ。ゆっくり思い出しなよ。あの戦いのことを』
 ジイサンは黙り込んだ。最後の瞬間を思い出しているのか、時々嗚咽のような唸りを発している。
『嬢ちゃん。お前さんも、本当に死んじまったんかい?』
「たぶんね。だってあたし心臓動いてないし」
 そうかい。と言って、ジイサンはまた黙ってしまった。
もしもカードに顔が浮かべば、きっと苦渋に満ちた表情をしてることだろう。


74 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:06:17 ID:A6V9LuJL
「信じらんないんならさぁ。触って確かめてみる? ほんとに動いてないか」
 彼女は悪戯を思いついた子供のようににんまり笑って、ジイサンを自分の胸に近づけた。
『んな、何を言っとるんじゃあ! そ、そんな破廉恥なマネ……』
「なあんちゃってー。冗談よ、じょ・う・だ・ん。もしかして、本気にしちゃった?」
『な……』
 彼女はジイチャンを吐息がかかるほどに唇に近づけ――
「ごめんねぇ。あたしはそんな軽い女じゃなーいの。残念だったね、おじーちゃん」
 真ん中の宝石を優しく指でピンっとはじいた。
『お、おおお前って奴ァーー! 今はそんなことをしちょる場合かぁーーー!』
 空気を読まない彼女の所業にジイサンは大層ご立腹なようだった。
信号機のように宝石をチカチカ点滅させながら、貞操がどうの近頃の若いもんがどうのと声を荒げて喚いている。
彼女の体は震えていた。もちろん、怒られていることに恐縮しているのではない。
笑いをこらえるのに必死だったのだ。

 まったくもって、ジイサンの家系はからかったら面白い。
あいつだって、付き合い始めたころは面白い反応をしてくれた。
今はいろいろ悟っちゃってちょっとだけ詰まらなくなったけど、そんなあいつも味があって結構良い。
今ごろあいつは何やってんだろ。
生きてるのか、それとも死んでるのか。
あいつはどんな奴でも殺せなかったし、きっと今ごろは『星舟』倒して勲章でも貰ってんだろうな。
もしも、万が一にも死んでたとしても、自分と違ってあいつは天国行きだろう。
どっちにしても会えないままだけど、まぁいいや。
未練があったらあの世には行けないらしいしね。
でも……でも、あと一回だけでいいからあいつの顔、見たかったかも。

『データ送信開始』
 物思いにふけっていた彼女の視界に、またもや例の文字列が浮かびあがる。
圧倒的な量のデータが彼女の脳に直接送り込まれて行く。
その超高密度の情報量は人間の脳の容量を遥かに上回っており、
ほどなく、彼女は脳髄をぐちゃぐちゃに掻き回されているような激痛に、苦しみの声を上げながら頭を抱えて倒れ込んだ。

『おい、どうしたんだ嬢ちゃん! 気をしっかり……ぐぅ!』
 ジイサンにも同じ量のデータが送り込まれているようだ。
だけど彼女にはそんなことを気にする余裕はない。
頭を滅茶苦茶に掻き毟り、腰まで伸びた亜麻色の長髪を振り乱し、塩をかけられたナメクジのようにのた打ち回る。
そして、彼女とジイサンは激痛の大波の中で全てを理解させられた。


75 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:06:54 ID:A6V9LuJL
『ミッドチルダ』『時空管理局』『魔導師』『ミッド式』『ベルカ式』etc……etc……

それから、今自分がいる場所があの世ではなく『星舟』の腹の中であることもわかった。
自分達が、一体何の為に黄泉の国から連れ戻されたのかも。
自分が、どんな体に作りかえられたのかも。

 程なくして、脳を焼き尽くさんとしていた痛みも収まり、データの送信も止まった。
頭がまだズキズキ痛む。未だに朦朧とする意識の中なんとか立ちあがろうとしたが、体がうまく動かない。
しかたなく彼女は荒い息を整えながら、じっと床に横たわっていた。

『冗、談じゃ、ない』
 全ての痛みが引き、やっとのことで立ちあがれそうになった時、ジイサンが腹の底から怒りを込めて呟いた。
『冗談じゃないぞい! なんでわしが侵略者の手先にならんといかんのじゃ!
 わしだってEDFの一員じゃい! そんなことは絶対出来るわけなかろうが! おい、嬢ちゃん。わしも力を貸すぞい。
 今から一緒にこいつをぶっ壊して世界を守るんじゃ!』
 体中の力を振り絞り、彼女は立ちあがるとジイサンを拾い上げた。
だけど彼女は、ジイサンを肯定もしなければ否定もしない。
ただ黙って、じっとジイサンを見詰めているだけだ。

『おい、嬢ちゃん。どうしたんじゃい。なんでだまっとる?』
 さて、どうしたものか。
自分はジイサンやあいつのように、EDFであることに誇りをもってるわけじゃない。
ただ、少なくない額の給料を貰えて、衣食住に困らず、地球防衛の大義の元に合法的に破壊活動が出来るというから入っただけだ。
だから、彼女は世界がどうなろうと、誰が死のうと知ったことではない。
自分が『異邦人』に味方するために甦ったことを知っても怒りを感じることはない。
このまま『異邦人』に味方してもいいとさえ思っている。

 しかし、EDFには仲間が居た。
いつも喧嘩ばかりしていたが、なんだかんだ言っても大好きだった親友?の谷口。
暇つぶしに自分の弟子にしてやった、元アイドルの天海春香。
今はこんな姿になってるけれど、部隊に居るときはいろいろと世話になったジイサン。
そして、隊長である彼女の恋人。
『異邦人』につくということは、世界の為に戦ってきた彼等全員を裏切るということだ。
それを思うと、心の中にほんの少しの迷いが産まれ、彼女の決断を妨げる。

『嬢ちゃん。まさかお前さん、こいつらにつくって言うんじゃなかろうな?』
 煮え切らない彼女を急かすジイサン。そろそろ決断しないと。
仲間のこと、自分のこと、これからのこと。
いろいろなことを思い浮かべてから、彼女は「よし、これでいこう」と思いを決めた。
なにやらうるさいジイサンを無視して、彼女は迷うことなく、喋り続けるジイサンを思いっきり指で弾いた。


76 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:07:32 ID:A6V9LuJL
『ぬおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!』
 ジイサンは天井で跳ねかえり、落ちてきたジイサンは床に当たってバウンドしながら部屋の中を跳ねまわる。
強く弾きすぎたか。それとも壁が柔らかいのか。
やがてジイサンは部屋の隅で止まり、くるくるとしばらく回転した後、動きを止めた。

 困ったときの運だのみ。
彼女はコイントスならぬデバイストスで自分の今後を決めようと思ったのだ。
自分で決められないなら運を天に任せるのが一番だ。
『表』が出たら『異邦人』の味方に、『裏』が出たら時空なんとかの味方に。
さて、どっちが出たのやら。

『ちょ、おま……年寄りは……だ、大事に扱わんかい……』
 そこらの若者よりタフなくせによく言うわ。
 目を回しているであろうジイサンに近付き、見下ろした。
「あっちゃあ……」
 彼女は自分の失態に溜息を吐いた。
そうだった、このデバイスは両方とも同じ模様だったのだ。
どっちかに傷をつけてもう一回弾こうか。
ダメだ。表面が固くて引掻いたり殴ったりしたくらいじゃ傷はつけられない。 
だったらもうちょっとだけ考える?
いやいや、いつまでもうじうじ悩むなんて自分らしくない。
だったら……うん、もういいや。
前から悪役ってのも興味あったし、正義の味方はもう飽きちゃったんだから、別に良いよね。
ジイサンはうるさそうだけど、協力してくれるに違いない。
だってこいつは、もうあたしがいなきゃなんにも出来ないただの道具なんだから。

 そして彼女は――現世に舞い戻った最凶の守人。
 
 地球防衛軍一の狂犬、涼子は決断した。
 
 己にとっては最高の、世界にとっては最悪の決断を。

「うん、もういいや。両方とも『表』だったってことで」


『星舟』活動再開まで後――4日――

To be Continued. "mission10『セカンドアラート』"


77 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/11(水) 22:08:09 ID:A6V9LuJL
投下終了。そして涼子姐さんってだあれ?って人の為に解説を少々。

 30秒でわかるニコニ○ストーム1講座

No1 涼子姐さん

ニコニ○動画で活躍したストーム1の一人。
主な装備はスタンピードXM、スティングレイMF、ジェノサイドガン等と爆発系の武装を好む。
戦術はいったってシンプルで、基本的に徒歩やヘリで敵地に突っ込み爆発物をばら撒くだけである。
しかしその標的は敵だけとは限らず、味方をふっとばす事も珍しくはない。

戦闘終了後に生き残った味方をスタンピードでふっとばす。

一緒にプレイしていた谷口さんを『ルイージウゼエwwww』と敵ごとふっ飛ばして「フルーチェに溺れて氏ね」と言われる。

四足要塞の背中に乗って、ジェノサイドガンを使って一緒に街を破壊する。

等の破壊者っぷりに、いつしか彼女は

『歩く爆心地』『魔砲少女ジェノサイドシスター』

と呼ばれるようになる。
そんなフリーダム&ジェノサイダーな彼女も『星舟』との戦いで因果応報的な最後を遂げることになる。
最終決戦ではフォーリナーへの応援メッセージが多く寄せられ、彼女の死因となったガンシップには惜しみない拍手と声援が送られた。

なお、私のSSに登場する姐さんは、あくまでも動画を元に作成したキャラであり、現実のご本人とはなんの関係もありません。

次回は六課の話です。

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:16:27 ID:c/zxK62m
…なんと言う軽いノリでなんと言う悲劇的な道を…
まぁ元ネタがアレだから仕方ないか

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:17:33 ID:qylcpySL
GJ!
なんてこったい/(^o^)\
最悪の展開!爺さんの頑張りを応援するぞ!涼子にEDFの意地を見せてくれ!

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:20:14 ID:2zx4BsvA
やりすぎだwwwwww

敵に回すと恐ろしい人がホントに敵に回っちまうとはw

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:24:03 ID:s2TIoemN
GJっす!
最悪だ・・最悪だーーーーー!!これもうスーパーミッドチルダ・オワタ・タイム
発動だよ!!
ストーム1頼む!彼女を止めてくれーーーー!!

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:27:28 ID:oj1cLwU+
今回に関してはGJと言えんなぁ…
や、彼女は大好きなんだけどね?
なんつーか作品にキャラが合ってないというか

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:30:37 ID:WRCBknf3
>>82
こういう戦闘ジャンキーみたいなキャラもイイと思うけど。

84 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 22:33:53 ID:cDhrPp1S
GJっす。
何か色んな意味でやべぇよミッドチルダ……w


さて、L4話後編が出来上がりました。
予約も無いようですので、23:30頃より投下したいと思います。
前編同様ちと長いので、よければ支援をお願いいたします

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:35:02 ID:c/zxK62m
カモーン

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:38:23 ID:F6zNfHIc
・魔法兵器ならミッド住人を改造した方が効率よくね?
・兵器なら元の人格まで再現する必然性がなくね?
・爺ちゃんをデバイスに移植した必然性がry
・姐さんのキャラはシリアスに合わなくね?

ちと今回に関しては評価しかねる

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:49:58 ID:WRCBknf3
>>
マブラヴオルタじゃないけど…その辺はフォーリナーの人間研究ってことで納得したよ、俺は。

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 22:56:48 ID:vpy4J3+g
ジャムみたいだな。

>>84
待ってます。

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:08:29 ID:kvBWyNYB
なんというミッド終了のお知らせ…GJ

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:21:19 ID:9owYjhyQ
涼子姉さんねぇ。
別にあの動画は嫌いじゃないけど、この作品に出すのはどうかと。
まぁ、取り敢えず投下乙とだけ。

91 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:29:14 ID:cDhrPp1S
それでは、時間が来ましたのでこれより投下を開始いたします

92 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:31:00 ID:cDhrPp1S
(もしも容疑者が、絞られている四人の内誰か一人としたら……どうしてアリバイ工作もしなかった?)


L change the world after story

第4話「初事件・解決編」


Lは、この事がずっと気がかりでならなかった。
ここまで念入りな犯行をするなら、何故アリバイの方にも手を回さなかったのか。
まずこの犯行そのものが、突発的なものとは思えない。
それなりに計画を立てた上での犯行なのは明確……それなら、アリバイに気を回さないのはおかしい。

(今挙げられている四人は全員白で、ちゃんとしたアリバイがある者が逆に犯人か……
 いや、とにかくこの四人に関してまずは調べてみるべきだ。
 家宅捜索をしてみて、決定的な証拠そのものは出てこなかったとしても、証拠を処分した痕跡が出てくるかもしれない。
 もしも出てこなかったならば振り出しだが、出てきたならその人物に絞って推理は可能だ)

何はともあれ、やはり家宅捜査に出るしかない。
令状を発行出来次第、容疑者四人の自宅に乗り込んだ方がいいだろう。
Lは板チョコを全て食べ終わり、口周りを軽く拭いて綺麗にする。
とりあえず今は、この四人のうち誰かと仮定して推理を進めるとしよう。

(仮に、アリバイ工作が出来なかった理由が犯人にあるとすると……いや。
もしかして、出来なかったのではなく敢えてしなかった?)

犯人には、アリバイを作れなかった原因があったのではなく、敢えてしなかったのではなかろうか。
ふと、そんな考えが過ぎったが、それにはデメリットだけで一切メリットが無い。
まずありえないだろう、そう考えてここで一度この事を考えるの打ち切る。
今は、別の事柄に注目して推理を進めた方がいいと判断しての結果である。

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:31:28 ID:U9+uBD6R
支援

94 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:34:41 ID:cDhrPp1S
(犯人は、被害者を公園に呼び出した……犯行時刻は夜中の三時。
この四人の中で、そんな時間に呼び出しが可能な人物は1人……被害者の恋人しかいない)

Lが注目したのは、深夜の三時頃という死亡推定時刻。
考えてみれば、四人の中でこんな時間に被害者を呼び出せそうなのは恋人ぐらいなものである。
例え親しい仲であるとは言え、職場仲間や恋人の妹から呼び出されたとして、果たして被害者が応じるだろうか。
絶対にないとまでは言い切れないものの……恋人に比べれば、可能性はかなり低い。

(恋人が殺害したというのなら、さよならというあのメッセージの意味も一応分かるは分かる。
そして、もしあのメッセージに他に意味が、それも私の思っている通りのものがあるとしたら……そうだ。
それなら、アリバイも解決できる)

ここでLは、先程デメリットしかないと考えた己の考えを打ち消した。
ほんの僅かではあるが、状況次第ではアリバイが無い事が逆にメリットとなる可能性があるのだ。
そしてそれは、見事なまでにこの状況と一致している。

(ここは、クロノさん達に、家宅捜索に出てもらいましょう。
それでもしも何かが出てきたら、黒と見ていい……もうこれは、徹底的に調べ上げるしかない)

Lは給湯室から出て、再び無限書庫に向かっていく。
現時点で一番怪しいのは被害者の恋人……ここは賭けに出て、彼女に狙いを絞ってみよう。
そして少しでも疑わしい要素が発見でき次第、徹底的に調べ上げる。
かつて、夜神月がキラであると断定した時の様に……僅かでも何かを感じさせられる相手には、積極的に挑むのが一番である。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「すみません、今戻りました」
「あ、Lさん」

Lは無限書庫のドアを開き、中に足を踏み入れる。
すると……そこには、新たに一人の来訪者がいた。
先程、書類を提出しに出て行っていたなのはが戻ってきていたのだ。

95 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:36:18 ID:cDhrPp1S
「どうも、なのはさん……その様子だと、お話はユーノさん達から聞いたようですね」
「はい……何だか、大変な事になっちゃってますね」
「ええ、結構大変です。
 今も、どうするべきか考え中です……クロノさん、そちらの方で何か進展はありましたか?」

Lはすぐにユーノの側まで浮き上がって、モニターを覗き込む。
すると……そんな彼に対して、二人はある吉報を告げた。
たった今、丁度事態に進展があったのだ。

『それなんだが、被害者の自宅を調べていた局員から連絡があったんだ。
 どうやら、妙な写真があったらしい』
「写真……それ、今すぐ見られますか?」
『そう言うと思って、もう準備は出来てるよ』

エイミィはすぐさま、被害者の自宅から見つかった一枚の写真をモニターに映し出す。
そこに写っているのは、手を繋ぎながら互いに微笑みあっている一組の男女。
そして男性の方は、他でもない被害者である。
だがこれはどこからどう見ても、仲が良いカップルの写真にしか見えない。
一見、妙な点など何も無さそうだが……しかし。

「この写真、一緒に写っているのは、恋人さんじゃないですね?」
『ああ、そうなんだ』

すぐにL達は、その妙な点に気が付いた。
被害者と一緒に写っているのは、被害者の恋人ではない別の誰かだったのだ。
局員達も、聞き込みの時点で恋人の顔を確認しているので間違いない。

「二股、浮気。
 そういうことですね」
「でも、元恋人って可能性もあるんじゃないんですか?
 昔付き合っていたけど、今は違うとか……」
『いや、それは考えにくい。
 写真の裏にバックナンバーが入っていたんだが、それは丁度一週間前のものなんだ』

クロノがそう言うと同時に、エイミィが写真の裏側を映し出す。
そこには確かに彼が言ったとおりに、丁度一週間前のバックナンバーが入っていた。
つまり、この写真は一週間前のものであると同時に、被害者とその女性との関係を証明している。

96 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:37:58 ID:cDhrPp1S
「被害者と恋人さんとは、半年前からの付き合い。
 しかしこの女性は、被害者と少なくとも一週間前には関係があった。
 これで被害者の恋人が、尚更怪しくなりましたね」
「メッセージと、犯行時刻の事とでですか?」
「ええ、ユーノさんもお気づきでしたか」

ユーノもどうやら、Lと同様の理由で恋人が怪しいと考えていたらしい。
そして、ここにきて被害者の浮気が発覚するという事態。
動機としては十分であり、さよならのメッセージもこれで筋が通った。
もうここまできたら、他の者達は横に置き、彼女一人に狙いを絞るのみであるが……
もしも本当に、動機が浮気だったとしたら、一つだけ確認すべき事がある。
Lはモニターに目を向けたままの状態で、なのはへと尋ねてみた。

「なのはさん、一つ質問します」
「はい、何ですか?」
「もしもあなたが仮に、ユーノさんと付き合っているとして。
 そのユーノさんが他の女性と親しくしている所を目撃したら、どう感じます?
 無論、友人としてではなく異性としてで」
「ふぇっ!?」
「ちょ、ちょっとLさん!?」

いきなりの発言に、なのはとユーノは顔を赤くして驚いた。
一体、こんな時に何を言い出すのか。
二人とも、そう反論しようとするが、対するLの表情はかなり真剣なものであった。
しかしなのはにとって、これはそう簡単に答えられる質問ではない。

(ユ、ユーノ君と私と……確かにユーノ君とは、昔からずっと一緒だったし。
よく皆からも、付き合ってるんじゃって言われるけど……)

自分に最も近しい異性であるユーノ。
そんな彼に対し、好意を抱いているか否か。
Lの質問には、この様な意が含まれている。
確かに、ユーノに対して他の男性とは違う感情を少なからず抱いているのは事実であるが……そんな事、すぐにここで言えるわけがない。
それは告白も同然の行為である。

(なのはが、僕の事をどう思ってくれてるか……
もしも、僕となのはの気持ちが同じだったとしたら……)

そしてそれは、ユーノの方も同様であった。
彼もまた、なのは同様に顔を赤くして、完全に言葉を失っていた。
そんな二人の様子を見て、周囲の司書達はニヤニヤと笑っている。
予てから様々な噂があったこの二人だが、果たしてここで何か進展があるのか。
誰もがそれを期待していたが、残念ながら今はそれどころではない。

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:39:09 ID:Iu+2ot4h
支援w

98 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:39:31 ID:cDhrPp1S
『やれやれ……Lさん、もっと普通に言ったら?』
「ええ、どうやらそうした方が良かったみたいです。
 一応、一般的な女性の意見もと思ったのですが」

ここで、エイミィが二人に対し助け舟を出した。
正直な話、彼女もこのままどういう反応を二人が見せるのかというのは、興味があった。
だが残念ながら、今は事件の方を解決させるのが優先である。

『お前らしくもないな、ユーノ。
 Lが何を言いたいのか、少し考えれば分かるだろ?』
(じゃあクロノは、あんな質問されて冷静でいられるのか?)

内心、ユーノはクロノに毒づいた。
ここでそれを口に出さなかったのは、なのはの事も考えてであった。
しかし、そんなクロノもこの様子では、どうやらLの言葉の意味には気づけたらしい。
すぐにユーノは冷静さを取り戻し、Lが何故あの様な質問をしたかということについて考えた。
そしてその答えを出すのには、然程時間はかからなかった。

「被害者の恋人が犯人で、且つ、動機が浮気だったとしたら、普通は浮気相手に対しても殺意を抱く筈だって事ですか?」
「ええ、そうです。
 大概この手の事件というのは、浮気をした恋人とその浮気相手と、両方に対して犯行を行うものです。
 しかしながら、今この時点における殺人事件についての報告は、この事件に関して以外管理局には入っていないと」
「それってまさか……?」
『近々、浮気相手の方も殺害する計画を立てているということだな』

犯人は更に罪を重ねる危険性がある。
Lが言いたかったのはこの事であり、同時にこの最悪の事態を危惧してもいた。

「昨日の今日ですから、流石にすぐ犯行には及ばないでしょう、ですが。
 逆に言えばそれは、時間が経てば危険だという事です。
 恋人さんが犯人でさえなければ、そもそもありえはしないでしょうが、現状犯人である可能性が一番高いだけに警戒すべきです」
『じゃあ、そろそろ家宅捜索に入って事実を確認してみるか?』

ここでクロノは、そろそろ家宅捜索に入るべきかどうかを尋ねてみる。
現在の状況を考えれば、動き出すには十分すぎる理由がある。
状況証拠的に、被害者の恋人を最重要参考人として扱うことは大いに可能。
そうなれば、家宅捜索には容易に踏み切れる。
事実Lも、先程まではそう考えていた……だが。

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:40:35 ID:U9+uBD6R
支援

100 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:41:06 ID:cDhrPp1S
「いえ、もう少しだけ待ってもらえませんか?
 今出てきた事実ですが、もしかすると私の引っかかりと繋がる可能性があります。
 行動に出るのは、それをはっきりさせてからにしたいです」

しかし今は、先程までとは少し状況が変わった。
先程は、それ以上の推理材料が全くなかったからそう考えていた。
だが今は、新たな推理材料が出てきてくれた。
これが、己の中で引っかかっていたことに見事に結びついてくれたのだ。

『引っ掛かり?』
「ええ、今のを聞いて完全に分かりました。
 犯人が何故アリバイを用意しなかったのですが、する必要がなかったからです。
 考えてみてください、犯人がこれで連続殺人を犯したとして、その片方の犯行時刻にアリバイがあったとしたらどうします?」
「あ!!」

Lの言わんとしている事を察し、なのははやや大きめの声を出して驚いた。
彼の言うとおり、犯人が新たな犯行を計画しているとする。
そして、そちらにはちゃんとしたアリバイ工作を考えているとしたら、犯人を挙げるのは極めて難しくなってしまう。

『あのメッセージを次の犯行時にも現場に残せば、完全な連続殺人ということになる。
 外部には一切公表して無い以上、便乗した者の犯行という線は完全に消えてしまう。
 そうなれば、局員が犯人ででも無い限りは流石に同一犯による犯行として処理されざるをえない。
 そして、その時にもしもアリバイがあってしまえば、例え前の犯行時にアリバイが無かったとしても無意味になる。
 これが犯人の狙いか……!!』
「両方共にアリバイを用意しなかったのは、それが不可能だったから。
 もしくは、自分を特別視されないように仕向ける為でしょう。
 それぞれにアリバイが有るのと無いのとでは、逆に完全に無いのよりも、怪しまれる可能性は少なくなります」

犯人は敢えて一回目の犯行のアリバイを用意しないで、二回目の犯行で己の無実を証明するつもりでいる。
これは、かつてのキラ事件において、己が監視されている事に気付いた月と同様の行動である。
完璧すぎては逆に怪しまれるかもしれないと判断し、そうならない様にアリバイを有る場合と無い場合と、二つ用意してきたのだ。
だとすると、このままではまずい。

101 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:43:02 ID:cDhrPp1S
「当たり前の事ではありますが、二度目の犯行はこれで尚更防がなければならなくなりました。
 しかし、現時点での逮捕は難しい。
 同行してもらったとしても、長期の行動制限は状況的に少々厳しい、はっきり言って最悪です」
『だったら、その浮気相手の方に常時監視をつけといて、犯行の現場を押さえるとか?
 それなら殺人未遂の現行犯で逮捕できるしさ。
 何も起こらなかったら、まあそれはそれで何も無くて良かったってことで』
「それが妥当な判断ではあるでしょう、ですが。
 厄介な事にそれだと、一度目の犯行に関しては裁く事が出来ません」
『だが、それでも新たな犯罪を防ぐ事は出来る』
「しかしそれでは、私の気が治まりません。
 こんな形で犯人を逮捕するのは、はっきり言って嫌です」
『なっ!?』

Lのこの発言には、誰もが驚き呆れさせられた。
あろう事か彼は、自分が嫌だからという理由で犯人逮捕に踏み込まない気でいるのだ。
これは以前にも月達から指摘されたが、Lは完全な勝利を目指そうとする傾向がある。
その悪い所が、今ここで露出してしまったのだ。

『ふざけるな!!
 人命がかかっているのに、何を言い出すんだ!!』
「そうですよ、Lさん!!
 確かに、気持ちは全く分からない訳でもないですけど、そんな事を言ってる場合でもないじゃないですか!!」

当然ながら、これにはなのはやクロノ達が猛反論する。
ユーノとエイミィも、二人ほどではないにしても勿論Lに対して不満を告げた。
Lとしては、当然ながら不満な展開である。
しかしながら、それでも人命が第一というのは分かっている。

「……そうですね、人命は大切です。
 分かりました、何としてでも一回目の犯行を立証する方法を考えますが、一応お願いします。
 浮気相手の方が何者なのかを早急に調査して、所在が分かり次第気付かれないよう監視を」
『……一応、か』
「ええ、一応です」

102 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:45:15 ID:cDhrPp1S
Lの言い方に対し、クロノは少々苛立つ。
先程はマイペースだと言ったが、ここまでくると流石に度が過ぎている。
一気に場の空気は一変し、険悪なものへと変化した。
このままでは流石にまずい。
そう判断し、とっさにエイミィが口を挟む。

『え、えっとさ。
 家宅捜索の方は結局どうするのかな?』
「勿論お願いします。
 これで証拠を始末した痕跡すら見当たらなければ、今までの議論は無駄になりますが。
 それを確かめる為にも、実行しませんとね。
 一応任意でですから、断られる場合を想定して、令状等の準備も。
 まあ犯人の考えがこちらの予想通りでしたら、寧ろ断らずに受け入れてくれるとは思いますが」
「案外、動かぬ証拠とか見つかるといいんですけどね。
 こう、見落としていた何かとか」

ユーノもとっさのフォローを入れる。
実際に、何か意外な証拠が見つかるという可能性はゼロではない、だから気を落とすなと。
そしてそこへ、なのはも続けて口を開いた。
彼女もまた、何気ないフォローのつもりであった……しかし。

「それにもしかしたら、焦った犯人が口を滑らせるかもしれませんよ?」

その一言は、Lに行動へと移させる引き金となった。

「……そうですね。
 それでいってみましょうか」
「ふぇ?」

なのはの言葉を聞いたと同時に、Lの中で考えが纏まった。
犯人をどう逮捕するか、完全に策が出来上がったのだ。
やや強行的な手段であるが、同時に効果的でもある方法が。
出来るならば、もう少しだけ物的証拠を出して追い詰めたかったが、仕方がない。

103 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:47:17 ID:cDhrPp1S
「Lさん、もしかして?」
「ええ、上手くいけば犯人を逮捕出来ると思います。
 クロノさん、少し家宅捜索の前に準備をしてもらってもいいですか?」
『準備だと?』
「はい、ここからは魔法の出番です」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「家宅捜索ですか?」
「ええ、犯人の疑いがある方には全員一斉に検査を行っています。
 けどまあ、安心してください。
 逆に言えば、これで何も見つからなければ、あなたは犯人ではないということですから。
 それにこれは任意ですから、無理ならば断ってくれても構いませんよ」

それから数十分後。
クロノは数人の局員を引き連れ、容疑者―――被害者の恋人の自宅へとやってきていた。
Lの指示通り、家宅捜索に入ることにしたのだ。
ちなみにここで、全ての容疑者宅を一斉に検査をし始めたといったのは真っ赤な嘘である。
行うのは彼女一人に対してだけであり、彼女の警戒心を抑える為にワザとこの様に言ったのだ。

『口が巧いなぁ、ハラオウン提督』
『流石っていうか、何と言うか。
 でもよ、何で提督が自分から動き出したんだ?
 Lさんから聞いた策は、別にそんなに難しいことじゃないってのに』
『確かにそうだよなぁ……』

局員達は、クロノの口の巧さに感心する一方、何故彼がこうして動いているのかが気になっていた。
非番の所を付き合ってもらっているとはいえ、彼は提督である。
この様に自ら動くというのは、地位を考えればどうにも考えにくかったのだ。
一体どうして、クロノはこうしているのか……それは言うまでもなく、Lが原因である。

(L……お前の策が本当に上手くいくかどうか、目の前で見せてもらおうじゃないか)

クロノは先程のLの発言により、一気に彼に対しての不快感と敵対心を覚えた。
しかしながら、彼の実力を認めていることもまた事実であった。
ここまで状況を整理できたその推理力は大したものであり、世界一の探偵というのも頷ける。
憎めない奴、というのは少々妙な言い方ではあるが、何とも言えない気持ちを覚えたのは確かであった。
だからだろうか、こうして目の前で彼の策を見たくなったのである。

「そうですか……分かりました。
 それじゃあ、その間私は外の方にいればいいでしょうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。
 寧ろ中にいてもらった方が、質問等がある時に楽ですから」
「分かりました。
 それでは、中へどうぞ」

104 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:49:19 ID:cDhrPp1S
相手は家宅捜索に素直に応じてきた。
この反応に、少々ではあるがクロノは眉を細める。
普通、あなたには容疑がかかっている、だから家宅捜索をさせてほしいと言われ、こうもすんなり受け入れるだろうか。
例え犯人で無かったとしても、自宅に踏み入られるとあれば堪ったものではない。
何かしらの戸惑いや、もしくは拒絶反応を確実に見せるはずである。
そうなれば仕方が無い、令状を発行するなり、それなりの手続きを取らなければならない。
いや、寧ろそうしなければ普通はこんな真似などできない。
はっきり言って、相手も完全に同意してくれる場合というのは極めて稀なのだ。
だからクロノは、この段階では捜索を断られるのを覚悟していた。
しかし彼女は、至って冷静に、驚く様子も無く自分達を受けいれてきたのだ。
これではまるで、自宅を捜索されるのが分かりきっていたかのようである。
自分が怪しまれるというのを、見越していたとしか思えない。

(やはり、か)

これでより一層、この女性が怪しくなった。
クロノはすぐさま、他の局員達へと念話でその旨を伝える。
その後、彼等は彼女に案内され、家屋へと足を踏み入れようとする……が。

「……」
「おい、どうした?」
「あ、ああいや、その……少し緊張しちゃいまして」

一人、やけに緊張している者がいた。
オレンジ色の髪の毛をツインテールにした、若い女性である。
クロノはそんな彼女を見て、優しく微笑みかけた。

「大丈夫、肩の力を抜いて。
 気持ちは分かるが、落ち着いてやれば大丈夫だ」
「は、はい……ありがとうございます」

クロノの言葉を聞き、彼女は一度大きく深呼吸する。
そして、ホンの少しだけ天を仰いだ後、気を引き締めて中へと入っていった。
これで、被害者の自宅に入るという第一関門は突破。
後は証拠を始末した痕跡をどうにかして見つけ出し、策を実行すればいい。
すぐに局員達が一斉に動き出し、家の中を隅々まで捜索し始める。
Lの言うとおりならば、確実にある筈だというある物を探して。

105 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:51:24 ID:cDhrPp1S
『これは……提督、ありました!!』
『本当か!!』

そして数分後に、一人の局員がそれを発見した。
庭先に置かれていた、恐らくは次のゴミの回収日に捨てる予定であろうゴミ袋。
その中には、Lが言ったとおりの物―――大量の灰があったのだ。
この念話を受け、クロノは即座に全局員へと同じく念話で指示を出す。
準備は完全に整った、後は策を実行するのみである。
早速クロノは、容疑者の女性と共にその場へと向かっていく。

「すみません……この灰は?
何か、それなりの量の物を燃やしたみたいですが」

クロノは部下からゴミ袋を受け取り、その中にある灰を手に取った。
紛れも無く何かを燃やしたという証拠であり、そして推理通りならば燃やした物は犯行当時の衣類。
上着、ズボン、手袋、靴下、靴。
返り血が付着してしまったであろうもの全てである。

「ああ、これは昨日間違えて燃やしてしまったんです。
 洗濯物を干していたんですけど、ストーブの火の不始末で……ほら、奥の部屋も、畳とかが駄目になってません?」
「そうですか……それは災難でしたね」
『やはり、素直に認めるわけが無いか……部屋はどうだ?』
『言うとおり、黒く焼け焦げた痕跡があります。
 本当に不始末では無いのなら、恐らくは自分の手でやったものだと思われますね』

女性の言うとおり、奥の部屋には畳が焼け焦げた後があった。
どうやら、これはかなりの念の入れようである。
御蔭でこの問題は、これ以上追及するのは難しいだろう……ただし。
それはあくまで、普通の場合である。
Lの考えた策は、この普通を覆すとんでもない代物なのだ。
そしてクロノは終に、その策の実行へと踏み切る。

「それじゃあ、いきなり家宅捜索に出てしまった御詫びも兼ねまして、我々の方で修復しましょうか?」
「え……?」

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:53:29 ID:U9+uBD6R
支援

107 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:53:38 ID:cDhrPp1S
修復。
クロノの口から出たその一言を聞き、被害者の顔が一気に凍りついた。
まさか、そんな馬鹿な。
彼女は、まさにそう言わんばかりの表情を露にしていた。
そしてクロノはそんな状態の彼女へと、容赦無しの追い討ちをかける。

「ええ、修復魔法ですよ。
 この程度の量の灰でしたら、何とか燃える前の衣類に戻す事が出来ますしね」
「そ、そんな魔法があるんですか?」
「はい、結構皆さん驚かれるんですよ。
 まあ、信じ難い魔法でしょうから無理は無いですがね」

女性の悪い予感は、完全に的中してしまった。
灰を元通りにするなどという魔法があるなんて、思いもよらなかった。
このままでは確実にばれてしまう。

(そんな……でも、断れない。
断ったら、それは私が犯人だって言うようなものじゃないの……!!)

自分の不始末で失ったものが元通りになると言われ、それを嫌がる者などまずいない。
ましてやこの状況では、別に修復などしなくていいと言えば完全に怪しまれる。
自分は証拠を燃やして処分しましたと、そう言ったも同然なのだから。
しかし、それをせずともこのままでは証拠が出てしまう。
最早……逃げ道は無かった。

「それじゃあ、はじめますよ」

クロノはゴミ袋へと掌を向け、そっと目を閉じる。
すると、その直後。
ゴミ袋は一瞬眩く光り……そしてその光が収まった時。
その中には灰は一粒も無く、代わりに彼女が最も恐れている代物―――血塗れの衣類があった。

「そんな……」

108 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:55:53 ID:cDhrPp1S
女性はその表情に絶望を露にし、膝から床に崩れ落ちた。
己が罪を犯してしまったという事実が、完全に発覚してしまった。
ここからの言い逃れは、もはやどう足掻いても出来ない。

「どうやら、決定的な証拠が出てきてしまったな」

クロノはそんな彼女へと、無表情で言葉をかける。
それと同時にバインド魔法を発動させ、手錠代わりとしてその両腕を即座に拘束した。
女性はこれに対し、全くの抵抗を見せない。
己の罪を、完全に認めていた。

「完璧だと……思ったのにね。
 対して驚いてるようには見えないけど、やっぱり最初から私に狙いをつけてたのね?」
「ああ、そちらの考えが全て分かったからな。
 あのメッセージも、今後の事を考えてやったもので間違いはないんだろう?」
「ええ、そうよ。
 次にあの女を殺す時、私には完璧なアリバイがある様に考えてたわ。
 連続殺人なんだから、これで私は容疑者から外れる。
 晴れて白って思ったんだけど……残念ね」
「一応、メッセージの意味も聞いて構わないか?」
「そのまま、さよならって意味よ。
 あれでも一応、好きだった相手だったものね」

己の目的と、そしてメッセージの意味。
女性はクロノの問いに対し、素直に答えていく。
全てがばれた以上、隠し事などしていても無駄だと悟ったからだ。

だが……彼女はこの時、己が墓穴を掘った事に気付いていなかった。
そしてその事実を認識するのは、このすぐ直後である。

「まさか、こんなに巧くいくとはな」
「え?」
「あれをよく見てみろ」

クロノは女性に対し、ゴミ袋を指差しながら呟いた。
女性はすぐにそれを見て……そして、驚き声を失った。
それも当然である。
何故ならそのゴミ袋には、血塗れの衣類など入っていないのだから。
先程と同じく、大量の灰が入っていた状態なのだから。

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:56:41 ID:Iu+2ot4h
支援
正義のためなら多少の汚いこともって事か。

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 23:56:59 ID:U9+uBD6R
マジック支援

111 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:58:36 ID:cDhrPp1S
「え……え!?
 ど、どういう事?」
「修復魔法なんて、そんな便利なものは最初から無かったという事だ。
 そういう風に見せかけてた……幻術を使ってな」
「幻術!?」

先程の光景は全て、幻術で見せかけた偽物である。
女性はそんなクロノの答えに、大いに驚愕した。
これこそが、Lの考えた策。
犯人に対して幻術を用い、その自白を促すという強行手段である。
効果は見ての通り絶大……しかし。

「で、でも自白じゃ完璧な立証にはならないわよ!!
 それにこれなら、強要されたって取る事も……!!」

自白だけでは、逮捕に踏み切るのは不可能。
ましてや状況的には、そう言う様に強要されたとも取れる。
これを武器に、言い逃れる事は出来る。
そう思い、彼女は開き直ったのだ。
だが……それも無駄な足掻きに終わる。

「いや、残念ながらあなたの有罪は確定だ。
 犯人であるという決定的な証言が出てきてしまったんだからな」
「証言って、何を根拠に……あっ!?」

ここで女性は、己がとりかえしのつかないミスを犯した事に気付いた。
先程のクロノの問いに対し、つい素直に答えてしまったのだ。
自分が犯人でなければ知りえない情報……犯行現場に残されていたメッセージについてを。
まんまと乗せられてしまった。
見事なまでに、嵌められてしまったのだ。

「現地の捜査に当たっている局員以外にあの情報は開示していない。
 唯一例外としてあれを知っているのは、書き残した犯人だけだ。
 そして君は、それの意味についてまでも完璧に答えてしまった。
 こうなっては最早、言い逃れは出来ないぞ?」

立証は出来た。
これで、全て終わったのだ。
女性の顔に再度絶望の色が浮かび、そして地面に両手をついて崩れ落ちた。

112 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/11(水) 23:59:50 ID:cDhrPp1S
「……結構えげつないわね、管理局のやり方って」
「だそうだぞ、L」

クロノは軽く溜息をつき、通信機器のモニタースイッチを入れる。
ここまでのやり取りは、実は全て無限書庫にも筒抜けであったのだ。
ただし、犯人に余計な警戒心を覚えさせぬ様、モニターの電源は切って音声のみにしてである。
そして今、ようやくモニターが入ったわけなのだが……

『お疲れ様です、クロノさん』
「……おい、何だこれは?」
『モニターの電源をお切りになられている間に、ユーノさんに用意してもらいました。
 一応、人前に姿を現す時は、こうするのが私のスタイルでして』

モニターに映し出されたのは、無限書庫の風景などでは無かった。
それに代わって、真っ白な背景に特殊な字体で『L』の一言が唯一書かれているだけの、一枚絵が映し出されていたのだ。
聞こえてくる音声も、肉声ではなく機会音声になっている。
これは、Lがこれまでの活動で己の顔を隠す為に使い続けてきたものである。
彼はクロノがモニターを切っている間に、これをユーノに用意してもらっていた。
こうして被害者の前に顔を出す際、万が一の事があっては困るからという配慮である。

『今回の一番の功労者はあなたです。
 ありがとうございました、ティアナさん』
「いえ、そんな……私こそ、お役に立てて光栄でした。
 ありがとうございます!!」

Lはこの逮捕劇における最大の功労者―――ティアナ=ランスターへと礼をした。
先程、やけに緊張をしていたあの少女である。
彼女は実は言うと、捜査に当たっていた局員ではない。
いや、それ以前に局員ですらない民間人なのだ。
そんな彼女が何故、この場にいるのか。
その話は、つい十数分程前に遡る。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「クロノさん、そちらで幻術魔法を使える方はいませんか?」

113 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:00:55 ID:P1qVt/wk
『幻術だと?』
「ええ、犯人を追い詰めるにはこれが必要不可欠なんです」

Lは己の策を実行するに当たって、幻術魔法が必要不可欠であるとクロノに告げた。
一体、幻術を使って何をするつもりでいるのか。
先程のなのはの発言を聞き、何かを思いついたようではあるが……ここでクロノが、ある最悪の可能性に気付く。

『まさかお前、被害者に幻を見せて脅すつもりか?』
「脅迫はしませんが、その考えで正解です。
 まず今の状況を整理しますが、犯人は十中八九被害者の恋人と見て構いません。
 しかし犯人は、殺人の証拠を一切残していないと思われます。
 だが……証拠を処分したという証拠は確実に有ります、それこそが犯人の最大の弱点です」
『それって、どういう事?』
「この証拠が殺人の証拠であると犯人に見せ付けられれば、言い逃れは出来ないということです。
 しかし残念ながら、私が先程までこの書庫内で見た資料の中には、それが可能そうな魔法はありませんでした。
 ですから、ここはそれがある様に見せかけます」
「……もしかして、Lさん!?」

Lが何を言わんとしているのか、真っ先にユーノが気付いた。
それは、脅迫等よりも遥かに性質が悪い代物。
正真正銘の問題行為……幻術による証拠の捏造である。
少しばかり遅れて、クロノ達もそれに気付いた。
無論、賛成など出来はしない。

『一体何を考えているんだ!!
 そんな方法、例え犯人を逮捕できたとしても……』
「いえ、これで逮捕するつもりは毛頭無いですよ」
『何?』

しかし、Lはそんなクロノ達の言葉をあっさりと流した。
彼とて、己の為そうとしている事が問題行為である事ぐらい分かっている。
これで犯人を逮捕すれば、逆に自分達が糾弾される事になるであろう事ぐらい予想できている。
だが……これが決定打で無いのならば、話はまた別である。

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 00:01:32 ID:U9+uBD6R
L文字支援

115 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:02:03 ID:P1qVt/wk
「幻術で証拠を捏造する目的は、逮捕ではなくあくまで自白です。
 自分が犯行を行ったと、そう発言させられさえ出来ればいいんです」
「一体、どういう事なんですか?」
「犯人の逮捕に必要なのは、何も証拠だけではありません。
 なのはさんが先程言ったように、捜査上我々と犯人しか知らない証言があれば、それでもOKです。
 そして現在、それに最も適しているものが一つあります」
『適している……そうか、犯行現場のメッセージ!!』
「ええ、犯人があれの存在を口にするように誘導させられれば、それでチェックメイトです。
 おまけに犯人は、こちらがメッセージの筆跡を頼りに迫ってくるのではと思っている可能性が高い、逆にそこを突きます。
 犯人が自白するまで一切メッセージの存在は口にせず、ギリギリの所でさりげなくその意を尋ねる。
 これ以上ない、理想的な攻撃です」

証拠を捏造する真の目的は、犯人を自白させた上で、更に決定的な証言を得る事であった。
そしてその証言は、捜査に当たっている局員と犯人以外に知る者がいない、あのメッセージについてである。
己が完全に敗北したと思いこんでいる相手から、それを聞き出すのは容易い。
皆がこの方法に納得し、そして最善であるとも思った。
だが……現状、これを実行するのには問題が一つある。

『駄目だ、L。
 確かに効果的な作品だとは思うんだが……これを実行に移すのは不可能だ』
「まさか、いないのですか?」
『ああ。
 残念だが、捜査に当たっている局員には一人も、幻術を使える者がいないんだ』

今この場には、幻術魔法を使える魔道士が一人も居ないのだ。
これでは、幾ら策を実行に移したくとも不可能である。
尤も、Lとてこの状況を全く想定していなかったというわけではない。
使える者がいないならば、すぐに探すまでである。

「なら近隣の担当に連絡して使える方を、いえ、いっそこの野次馬の中にいるかどうか聞いてください。
 この程度の事でしたら、民間人がご協力しても問題は無いはずですよね?」
『お前……さりげなく、とんでもない事を言ってくれるな』
「駄目ですか?
 なのはさんやユーノさん達も、元々は民間の立場でありながらも管理局に協力し、その後管理局入りしたと聞いてますが」

行動を移すならば早い方が断然いい。
Lはインターネットで仕入れた情報を武器にし、クロノと交渉をする。
ユーノ達の様な前例があり、更に彼等の時と違って格段に危険度は低い。
断られる理由は無い。
無論、これで使い手が居なければ素直に局の方へと要請はする。

116 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:03:33 ID:cDhrPp1S
『だが、もし相手が犯人でなかったら責任問題だぞ?』
「ですから、犯人であると100%確信出来た状況で使いますよ。
 まあ、それでも万が一という可能性も一応考えて、失敗した時には報告書にこう書いてください。
 無限書庫司書長が人質に取られ、無理矢理やらされた、と」
「ちょっと、何言ってるんですか!?」
『……自分がどうなるか、分かって言ってるのか?』
「ええ、私の推理が正しいと確信して言っています」

Lは己の推理が正しいと確信しているからこそ、この様な無茶な発言をさらりと言う事が出来た。
もはやこれには、ユーノ達も溜息しか出ない。
こうなれば、どう言っても彼は己の意見を曲げないだろう。
尤も、彼の推理が正しいであろう事は皆分かっている。
ならばここは、やるしかないだろう。

『……こちらで無茶と判断出来次第、作戦は中断する。
 この条件でいいな?』
「ええ、ありがとうございます。
 それでは早速、お願いできますか?」
『ああ、分かった。
 エイミィ、いなかった場合に備えて近隣の部隊にも連絡を頼む』
『はいはーい、もうやってますよっと』
「仕事が早くて助かります、エイミィさん」
『ま、クロノ君の考えは御見通しだもんね』

エイミィの手際の良さに感心をしつつ、クロノ達は局員に指示を出す。
もしもこの野次馬の中に幻術の使い手がいてくれれば、それ程都合のいい事は無い。
そうなってくれる事を願いつつ、Lは報告を待つ事にした。
しかし、待っている間に何もしないというわけではない。

「ユーノさん、今のうちに少しお願いしたい事があります」
「何ですか?」
「私の声を機会音声に変更する手段を、すぐに用意してもらえますか?
 それと、少しペイントソフトを使わせてください」
「機会音声にペイントソフトですか?
 一体、何を……もしかして顔を隠す為ですか?」
「ええ、ここからは一般の方と、そして犯人を相手に姿を見せる可能性が高くなります。
 それに備えまして……」

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 00:03:37 ID:U9+uBD6R
スーパーLタイム支援

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 00:04:08 ID:9wvyYIdc
まさかの凡人デビュー支援

119 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:05:36 ID:P1qVt/wk
『L、見つかったぞ。
 幻術魔法を使える者が一人いた』

Lが己の考えを告げようとした、その瞬間であった。
クロノから、幻術魔法の使い手が見つかったという報告が入ったのだ。
それを聞くと同時に、Lは素早くポケットへと手を伸ばし、先程食べていた板チョコの包み紙を取り出す。
そしてそれに指で覗き穴を空け、簡単な仮面を作ったのだ。
まさかこんなに早く見つかるとは思っていなかったので、この場はこれで代用しようというわけである。
傍からすれば、異様な事この上無い訳ではあるが。

『……何の真似だ、L?』
「いえ、気にしないで下さい。
 それよりも今は、事件の方をどうにかするのが先です。
 それで、後ろの方がそうですね」
『ああ。
 すまないが、自己紹介を頼めるかな?』

クロノは、後ろに立つ一人の少女へと声をかけた。
彼女が先程見つかった、幻術を使える一般人。
Lが求めていた人材である。

『はい、初めまして。
 私はティアナ=ランスターといいます』



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『それじゃあ、僕達は現場の後始末に入る。
 ユーノ、L、色々と助かった』

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 00:08:40 ID:b8Dm10RP
気になるよwwしえん

121 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:10:30 ID:P1qVt/wk
そして話は現在に戻る。
犯人の女性は局員に連行され、事件は無事に解決した。
残るは事後処理だけであり、ここでL達の役目は終了する。
ティアナに関しては、後日に感謝状が贈与される事となり、彼女も大変嬉しく感じていた様であった。
ちなみに、これは同様の立場であるLにも当てはまる事ではあるのだが、これはL自身が断った。
尤も、その代わりとしてちょっとした要求をしたわけなのだが。

「それではクロノさん、エイミィさん、お願いしますね」
『……あまり期待はするなよ。
 幾ら犯人逮捕に協力してくれたとはいえ、無茶な要求なんだからな』
『こっちはまあ、問題無さそうだよ。
 使い古しのなら、それなりに良いのがありそうだしね』

クロノには、ここ数十年の間にミッドチルダ内で起きた事件に関する資料を。
エイミィには、使い古しのもので構わないので、パソコンを要求を。
それぞれ、報酬としてLは要求したわけである。
最初は、それはどうかと思ったが、Lがいなければ犯人は捕まえられなかった。
その為、出来る限りの事はしようと二人はLへと告げたわけである。

(それにしても、ティアナさんのあの喜びよう。
気持ちは、分からないでもないですが……)

Lはここで、ふと事件解決時の事を思い出す。
あの時のティアナは、かなりの様で喜んでいた。
あれは、感謝状を貰える事に対してというよりも、自分自身の力が役に立ったという事を嬉しく思っていた様に見えた。
思い返してみれば、野次馬の中から彼女が見つかったのもやけに早かった。
彼女は局員達の問いかけに対し、何の抵抗も示さず、素早く立候補したのではと考えられる。

(今この場で言うべきことではない、が。
ティアナ=ランスターさん、少し引っかかりますね)

気にしすぎかもしれないが、Lにはどうも彼女の事が引っかかっていた。
ティアナという名前、いや、ランスターという性に関して、後でユーノに調べてもらうのがいいかもしれない。
何も無ければそれに越した事は無いのだが、もしもという可能性があるからだ。

122 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:11:59 ID:P1qVt/wk
(ユーノさんも、何か感じたのでしょうか?)

ふと、Lはユーノの表情を伺う。
彼ももしかしたら、自分と同じ様に考えているのかもしれないと思ったのだ。
しかし、残念ながらユーノは何かを考えているといった様子ではない。
単に彼女から何も感じなかったのか、それとも感じてはいたが気のせいであると考えたのか。
どちらにせよ、後々この事は話すつもりではあるが……

(ん……なのはさん?)

ここでLは、なのはが何かを考えているらしい様子であったのに気が付いた。
ユーノではなく、彼女の方が自分と同じ事を感じたのか。
しばし、彼はその表情をうかがってみる。
だが……どうも彼女は、自分とは違う事を考えているらしい事にすぐ気付く。

(ティアナちゃんかぁ。
幻術は十分な腕前だったみたいだけど……)
「なのはさん?」
「あ……すみません、何ですかLさん?」
「いえ、何か考え事をしていたように見えましたので。
 ティアナさんの事、ですか?」
「ええ、ちょっと。
 幻術以外にも、何か魔法が使えるのかなって思って」

なのはが気にしていたのは、ティアナの使える魔法についてであった。
状況の把握こそ音声だけでしか出来なかったものの、彼女の幻術が高いレベルである事は十分認識できた。
それ程の腕前の持ち主なら、他にもそれなりに魔法が使えるのではとふと考えたのだ。
そしてLは、そう考えたその理由を即座に見抜く。

「なのはさんは、ティアナさんが将来管理局入りするのではと思ったわけですね」
「……凄いですね、Lさん」
「まあ、今のは直感みたいなものです」

Lは驚くなのはへと、大した事ではないという風に答える。
しかし、実際のところは直感ではなく、ちゃんと考えてこの答えは出してある。
彼女の先程の喜び様は、将来管理局に入りたいと思っており、その管理局に協力できたからではと、そう考えたのだ。
それならば、一応分からなくは無い。

123 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:13:35 ID:P1qVt/wk
「しかし、どうしてその様にお考えを?」
「大した理由は無いですよ。
 ただ、いい魔道士になれるんじゃないかなって思ったから」

なのはは微笑を浮かべてLに答える。
ティアナは将来、優れた魔道士になれるのではと直感した。
それは紛れも無い事実である……が。
実はこの時なのはは、昨日告げられた親友のある一言についても、同時に考えてもいたのだ。


―――私、自分の部隊を持ちたいんよ


(自分の部隊かぁ……もしはやてちゃんがここにいたら、今から狙いをつけてたりしたかもね)

彼女ならやりかねない。
そう思って、なのはは思わず苦笑してしまった。
勿論、そんな彼女の夢には喜んで賛成している訳ではあるのだが。

(でも……強ち、笑い話でもないか)

なのはは、静かにLへと視線を向ける。
昨日の空港火災に続き、今し方見せた見事な推理力。
彼程の能力を持つ者など、そうはいない。
もしも同じ部隊で共に戦う事となれば、相当の力になってくれるだろう。
恐らくは、はやてもそう考えている筈である。

(はやてちゃんはきっと、Lさんを自分の部隊に入れたいって思ってるだろうね)

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 00:20:42 ID:b8Dm10RP
支援

125 :L change the world ◆ga/ayzh9y. :2008/06/12(木) 00:23:01 ID:P1qVt/wk
以上、投下終了です。
まず最初に、誤字が幾らかあった事に今更ながら気付きました……申し訳ありません。

後編はなのはらしく(?)、魔法を使っての事件解決とさせていただきました。
少々ずるい手段ではありますが、Lからすれば寧ろ普通ということでまあ、そこはご了承ください。
また、本編開始時に何故なのは達がティアナに目をつけていたのかに関して、この様にしてみました。
Lと六課メンバーとの関連付けという意味でも、ちょうど良いと思いましたので。

それでは最後に、支援してくださった方々、大変ありがとうございました。

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 00:24:32 ID:b8Dm10RP
GJ!
こんなところでティアナとの繋がりが、これでスバルのおまけは返上ですね。
Lの知能と魔法の組み合わせはまさに無限の可能性だ!

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 02:14:35 ID:sjmBMEmU
606 名前:322 ◆tRpcQgyEvU 投稿日: 2008/06/12(木) 00:35:43 ID:ETWtv9h2
先程は私の拙作のせいで皆様方に不快な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません。
あの二人が登場することは連載初期から決まっていたことでした。
そんな愚考を思い付いた理由は、ストーム1に仲間がいるという設定にするんだからその何人かが敵に回ったら面白いだろう。だったらタダの仲間じゃなく、肉親や恋人だったら悲劇性も増すだろうな。というものでした。
涼子さんは今後ヒロインの二人と絡ませたり、なのはさんがお話を聞こうとしても理屈通じない、常識通じない、話通じないで、結局は戦うしかなくなる、という展開にするつもりでした。
しかし、そんな軽率な考えの元に執筆した結果、私は自らの手で作品をぶち壊すという暴挙をしてしまったようです。
物書きとしては最低の行いかもしれませんが、『第九話英霊の帰還』は永久破棄ということでお願いします。
今後はニコ動ネタもお遊びの要素も入れることなく真摯な気持ちで執筆に取り組むつもりです。
もう一度、スレの皆様、そして私の拙作に期待してくださった全ての方々に深くお詫びします。
本当に申し訳ありませんでした。


128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 04:03:48 ID:TgMHmZ/a
なんというZOO1
これまでの作風と180度違う書き方したのが不味かったな
ニコ動ネタとか使ったりしないで真面目に狂気や絶望感描いてれば受け入れられてただろうに
パロ的なおふざけでやるならともかく本編でやられちゃうとちょっとね

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 08:16:28 ID:v9YcQBrG
>>127
個人的には結構良かったのですが。一服の清涼剤のような感じがして……
いまさら言っても遅いのですが。

130 :129:2008/06/12(木) 08:40:34 ID:v9YcQBrG
うーん良く考えたら、爺ちゃんは清涼剤になっても
涼子さんはならんかもしれん。

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 10:40:21 ID:eE2vPVEu
GJ参謀主人公などで進むのも面白いですね。
しかも過度なマンセーや神視点とかの推理で無いのが良い。

>>127やっぱり オリキャラでメインで戦闘員 作風が違うキャラという要素だと
雰囲気ぶち壊しになってしまいます。改訂版期待して待っております。 

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 18:41:10 ID:JYZvMKTV
直ったかなtest

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 18:42:19 ID:g+0Dyy75
直ってるぅ〜〜〜〜〜♪
やったねNE☆

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 18:44:50 ID:CjYpAukI
よっしゃーーーーー



135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 20:15:49 ID:EIWpF/J7
うおしっ。

136 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/13(金) 21:13:42 ID:TF3WlPUV
それでは、復帰一発目予約します
20分ごろに投下します

137 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/13(金) 21:20:33 ID:TF3WlPUV
 聖堂のように大きな廊下をクロノとフェイトは言葉もなく歩いていた。靴底が床を蹴るたびに不規則な足音が
壁に反響し幾重にも耳を打つ。
 時折フェイトは背後を確かめるように振り向いてはいるが、やはり話しかけるだけの勇気は持たず、クロノも
記憶を持たないためにどう反応すればいいのかわからず、沈黙を保っていた。
 クロノはそっと胸の奥にあるデバイス、と呼ばれるらしい高速演算杖・S2Uに手をやった。
 これは間違いなくクロノのものだった。大破寸前のS2Uからデータをサルベージし、なおかつほぼ完全に近い
――あくまで外見だけだが――形で修理したプレシアが断言したのだから、それはほぼ間違いない。
 プレシアは今、クロノ以上にクロノのことを知りえていた。とはいえ、彼女が最も欲している情報は、壊れた
S2Uからは得られなかったのだが。
 だからこそプレシアはフェイトにクロノを預けたのだ。でなければどうして重要な手がかりを手放せよう。
 クロノはそのようなことは預かり知らない。プレシアの目的も、彼女がクロノの失われた記憶を欲しているこ
とも。
 クロノはただ与えられた過去の縁(よすが)に手をやって、白い靄の先にある過去に思いを馳せているだけだ。
 きっとその心情は誰にも理解できない。過去がないということは今がないということだ。そんな特異な人物が
そうそういるはずもない。
 結局、二人はトランスポートまでの間、言葉一つ交わすことはなかった。光り輝く円を前にして、フェイトは
ここに至りようやくその口を開いた。

「乗って。転送する」

 どこまでも無機質で事務的な言葉。クロノもまた反応一つ見せることなく言葉に従った。九歳の子供同士とは
思えない冷たいやり取りだ。不幸なのは、当人たちがそれをいかほども不思議と思っていないことだろう。
 そして、それを教えるべき誰かはここにはいない。
 クロノがポートに入ったのを確認すると、一つ頷いてフェイトは宙空のパネルをいくつか操作しプログラムを
起動させた。白い光が二人を包み込み、その眩しさに負けないよう瞳を閉じる。
 ディスプレイの電源を落としたかのような鈍い音が部屋、そして脳内に直接響き、遅れて一瞬の浮遊感がやっ
てくる。重力が正しくその働きを取り戻した時には、転送は既に終わっていた。

「フェイトー。おか――」

 トランスポートの転送先は、言うまでもなくフェイトとその使い魔のアルフの拠点だった。フェイトにとって
は仮の宿であり、そしてアルフにとってはそれ以上に特別な意味を持っている。
 フェイトを苛めるいけ好かない女から離れられ、体を休めることが出来る唯一の場所。借り物に過ぎぬことは
理解していても、この一室はアルフにとっては狼で言う巣にも等しい。
 だからそこに異物を認めた途端、アルフが言葉をとぎらせ、瞬時に警戒を顕にしたのは至極陶然の反応だった。

「フェイト、そこの小坊主は誰だい」

 数瞬前に浮かべていた笑顔はどこにもない。どうして漂わせる空気一つでここまで攻撃的なものに変わるのか。
同じように牙を見せているとは思えないほどの変貌振りだ。
 しかしフェイトは笑って――それは初めてクロノが見る笑顔だった――アルフの元まで歩み寄ると、そっとそ
の頭を撫でた。

「心配しないで、アルフ。母さんから魔法を教えるように言われただけだから」

「無茶だ! 今だってフェイトは全然寝てないし食べてないじゃないか。それなのにこんな餓鬼に貴重な時間を
使うなんて、アタシは反対だよ! なんならアタシが今からあの女に文句を言いに行ってもいい!!」

「大丈夫だよ、アルフ。魔導師として鍛えろって言われたわけじゃないから」

「でも!」

 居所がないのはクロノだ。記憶がないとはいえ、言葉や基本的な知識の一部はいまだクロノの中に残っている。
その残されたわずかな価値観は、眼前の光景を気分が良いものではないと受け取っていた。まして、その原因が
自分にあるともなればなおさらだ。かといって口を挟めるような問題ではない。
 クロノにはもはや行くべき場所などどこにもないのだ。不思議と記憶を取り戻したいという欲求はなかったが、
プレシアにこうしろと言わればそれを拒むだけの理由もない。
 だからクロノは居心地の悪さを覚えつつも、彼女たちの言い争い――アルフが一方的に抗議しているだけだが
――を眺めていることしか出来なかった。


138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 21:20:40 ID:FOct2bv+
>>127
禁止事項も守れない奴が謝っても信じれないよ。こいつも追放しようぜ。

139 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/13(金) 21:21:35 ID:TF3WlPUV
 経過した時間はクロノの主観に反し、その実五分にも満たなかったろう。
 アルフはどれほど諌めてもフェイトがプレシアのことを悪く思うことなどありえないことを知っている。逆に
アルフが悪しきざまに言えば言うほど態度を頑なにしてしまいかねない。先に折れるのはいつだってアルフだ。
 だからアルフは矛先を変えた。その相手が誰かなど、言うまでもない。

「あんた、もしフェイトを困らせたり悲しませるようなことをさせてごらん。そっ首喰いちぎってやる!!」

 滲むどころか溢れんばかりの殺意をアルフはクロノに叩きつける。脅しではありえない純度の高さを前にしか
し、クロノは怯むことなく頷いた。
 それを勇気の表れ、と受け取るほどにはアルフは鈍くはなかった。豪放で楽天的ではあっても、彼女の本質は
聡明で繊細だ。いや、彼女でなくとも誰もが気付こう。
 クロノの表情は能面然としていたのだから。
 人であればこうはいかない。機械であればもっと無機質だ。虚ろは人にしかありえない。しかし、限度という
ものは何事にもある。どこまでも、クロノの表情は人らしさからはかけ離れていた。
 人でもなく、機械でもなく、しかしどうしようもないほど人間で。人として大切な何か、あるいはその全てを
失ってしまった。そんな悲しい人間だ。
 それを悲しいと思う心――いや、記憶を失っていたとしても。

「あんた、一体……」

 アルフの顔にもはや敵意は浮かんでいなかった。あるのは昼間に幽霊でも見たかのような呆然とした表情だけ。
しかし、その正体は枯れ尾花などではない。確かに眼前にそれはいるのだ。人の形をした人ではないものが。

「フェイト、この坊主は何なんだい!」

 誰、ではなく、何。
 本質を問う言葉に、フェイトは答える術を持たなかった。彼女とて魔法を教えるように言われた以外のことは
知らないのだ。それを確かめるだけの余裕など、その時はなかった。そして知りたくもなかった。
 その因果がこれだ。大事に思う使い魔の言葉に答えられず、そして自身も彼女と同じ疑問を持ったというのに
それを解消する術がない。
 一度は切り捨てたというのに、今更どうして問うことが出来よう。それほど無恥になれるはずもない。
 しかし、それはフェイトの煩悶であり、クロノにはどこまでも関係なかった。フェイトがうつむき、拳を握り
締めているのを認めると、クロノは初めて自分から沈黙を破った。

「僕の名前はクロノ・ハーヴェイ……と、言うらしい」

 そこで言葉を区切る。反応はクロノの予想と同じだった。自分の名をらしいなどと、おかしな言い草だ。だか
らどこか誤魔化すように矢継ぎ早に、あるいは勢いの助けを借りるように言葉を繋いだ。

「僕はね、記憶喪失なんだ」

「え?」

「な!」

 二人は同時に驚愕した。記憶喪失などと告げられては無理もない。そして疑念もよぎる。どうしてプレシアが
クロノを助けたというのか。
 クロノの思考はその先にも回っていた。

「プレシアさんが言うには、僕は非常に優秀な魔法技師だったらしい。だから魔法を教わることで記憶が回復す
るかも、と考えたんだ。
 僕の記憶は大きな助けになる。プレシアさんはそう言ってた。ただ、忙しくて手を回せないから、娘の君に頼
んだのだと思う」

140 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/13(金) 21:22:26 ID:TF3WlPUV
 これがクロノが今知りえる自身のほぼ全てだった。
 自分が誰かもわからなければ、立ち居地すらもままなるまい。だから、クロノはここにあってここにない。存
在が希薄なのだ。
 そうしてアルフはようやく気付く。目の前の坊主はどこにも居場所がない迷い子なのだと。
 わずかな罪悪感が彼女を襲う。折りしも主たるフェイトも同じ感情を抱いたせいか、共鳴したそれは何倍にも
なって胸を打つ。
 フェイトは、そんな弱い彼に嫉妬した。それでも、母の助けになれる彼が羨ましくてたまらない。
 アルフは、こんな弱い彼に牙をむいた。それでも、プレシアの差し金かと思うと警戒せずにはいられない。
 受容も反発も出来ず、そんな複雑な胸中を持て余し――しかし、フェイトはやはり優しさを捨てられなかった。
 母に言われたことも大きかった。その助けになるというもの無視できない。それでもやはり最後に背中を押し
たのは、眼を逸らせば消えてしまいそうな少年への思いやりだった。
 そっと、フェイトは手を差し伸べる。その顔に柔らかい笑みを浮かべて。

「一緒に、母さんを助けよう」

 一瞬逡巡する気配を見せたが、クロノもまた小さく頷くと手を伸ばし、フェイトの手を握る。

「うん」

 小さくか細い声。しかしそこには、確かな意志がある。
 その二人の様子を、アルフは主を取られたかのような嫉妬半分で見つめていた。
 残りの半分は――言い知れぬ不安。少年がフェイトを傷つけるのではないか。クロノもまた、プレシアに打た
れないだろうか。少年が傷付けずとも、傷付けられずとも、また別の何か悪いことが起きるではないか。
 心配の種は尽きることはない。しかし、アルフの瞳に迷いはなかった。彼女は使い魔だ。牙も爪も、あるいは
その毛皮でさえ主を守るためにある。
 燃えるような決意を胸に、アルフはそっと二人の手にその鼻先を寄せた。この握手が裏切られることがないよ
う祈りながら――

141 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/13(金) 21:24:51 ID:TF3WlPUV
以上、第二話終わりです
というか、実質ここまで含めて内容的には第一話とも言えるでしょう
ここまで書き上げてから第一話を投下するべきだったような気がしてなりません

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 21:46:32 ID:2QiXhD8Q
>>138

追放すべきと貴君が主張なさる心算ならば、堂々と議論スレにお越しください。本スレでは
空気を悪くするだけで、一部の利も無いと思われます。
それと、テンプレにある事項について違反しているとおっしゃるのならば、貴君の行動も

・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。

を十分に踏みにじっていると思いますが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
わざわざ投下予告時間に被せている当たり、誠に失礼ですが、作為的なものを感じずには
いられないのですが……
お時間の都合がつけば、その辺りについてもぜひお話を聞かせていただきたいものです。



>リリカル×リリカル氏

前回分と続けて読ませていただきましたが、とても面白いです。語彙や言い回しなどを見ていると、
文章が洗練されているような印象を感じます。
心情も細やかに描かれていて読みやすいですし、これからが非常に楽しみです。是非頑張ってください。

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 21:52:12 ID:U7nG0iE9
リリカル×リリカル氏GJです!
 プレシアが役に立つと判断したのは確かこっちと違って確かな技術でなく想いを魔法に変える
からなのかな?

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:01:17 ID:tAhuK8np
>>142
おおかた、今まで追放されてきた奴等の一人だろ。
相手にするだけ無駄無駄断固無視していきましょう。
>>141
原作はやったことが無いのでよく分かりませんが、文章と描写がよく期待が持てます。
これからも頑張ってください。

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:04:43 ID:2QiXhD8Q
>>144
でしたね。
少し熱くなり過ぎたようです。申し訳ありませんでした。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:12:10 ID:EIWpF/J7
GJクロノは記憶が戻り 帰る事が出来るのだろうか。

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:12:18 ID:ngWg3In+
>>144
憶測で決め付けるのはよくないぞ。

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:32:50 ID:DpngHRcL
別に今後一切そのキャラを出さないorネタにしないってのを守って反省してくれればそれで良いが

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:40:29 ID:dcYwcFe1
何でそんな事をわざわざ約束しなきゃいけないのかとw
キャラ性格に改変入れるだの、別方向からのネタにするだの対処法腐るほどあるやんけ

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:43:56 ID:Cq/HEY4d
>>138
禁止事項云々言う前にsageろよ。まずはそこからだな。

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:44:25 ID:I2IPGAaN
議論スレ行け

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:00:03 ID:EIWpF/J7
もう良いだろこの話。ここでする話じゃないし。
氏本人もそのネタ出さないと言ってるから、言質あるだろ。
作品で荒れたからとか作者に責任感じさせて追い出す算段か?

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 08:26:13 ID:o2U6/6Nf
>リリカル×リリカル
いいですねぇ、第一話もリアルタイムで読んでいましたがクロス元からして斬新な作品だと思いました。
完全な他作品とのクロスと違って、ある程度世界観が似通っているというのがまた新しい描き方が出来そうで面白そうだと思います。
クロノ本人同士の邂逅もそうですが、なのはやリンディとの初対面で一体どんなことが起こるのか。
普通の他作品キャラでは出来ない展開がありそうで、すごくワクワクしますw
そういう意味で、まずフェイトサイドに持ってきたのはナイスだったと。っていうかこの位置焦らしプレイには最高じゃね?
こっちの世界のなのはとは最初は敵対する位置なわけですし、記憶喪失の要素も相まってなんか今からすでにモヤモヤしてるんですけどw
プレシアが何か企みがあってクロノを助けたって点も気になりますし、ただでは話が進んでいかない雰囲気が満々で異常に先が気になりますね。
文章力も文句なしだと思いました。今回のフェイトとアルフとの邂逅では記憶喪失という部分を上手く描いて二人と溶け込ませていると思います。
惜しむらくは内容量か。もうちょい文を省略してストーリー進行に当ててもいいかも。
いや、個人的な要求ですけどね。このまま少しずつ進んでいったら、多分なのはとの邂逅あたりで先が気になりすぎて自分が死ぬでしょうw
今後の展開に期待大! 頑張ってください。

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 08:41:49 ID:CR4hesla
リリカル×リリカル氏GJ!!
よくクーデレのクロノを出してくれました
今までリリちゃとのクロスは殆ど見たことが無いので、凄く新鮮です
それに、最初がフェイト達と一緒なのは上手いと思います
期待しています、頑張ってください!!

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 13:07:35 ID:PUT7HB+w
支援


156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 13:22:59 ID:rIModeVt
↑の馬鹿及び狂信者達のせいで
作家さんたちが投稿してこんなorz
少しは考えようぜ
作家さん支援

157 :メガトロン:2008/06/14(土) 14:17:59 ID:fTS3lxHy
オイース!
職人みんなGJだ!
リリカル×リリカル氏、クロノの活躍が見れるとは俺様、生きていてよかったー。次回を期待している。
さて、久しぶりのBeastStrikerS。みんな投下良いかなー?

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 14:32:26 ID:2Y6fRsv9
支援でごっつんこ!

159 :メガトロン:2008/06/14(土) 14:32:55 ID:fTS3lxHy
ごめーん。ちょっと直し発見したからまた夜にきますね。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 14:33:56 ID:W+RVFDv7
// // ///:: <   _,ノ`' 、ヽ、_ ノ  ;;;ヽ  //
///// /::::   (y○')`ヽ) ( ´(y○')    ;;|  /
// //,|:::     ( ( /    ヽ) )+     ;| /
/ // |:::     +  ) )|~ ̄ ̄~.|( (       ;;;|// ////
/// :|::       ( (||||! i: |||! !| |) )      ;;;|// ///
////|::::    +   U | |||| !! !!||| :U   ;;; ;;;| ///
////|:::::       | |!!||l ll|| !! !!| |    ;;;;;;| ////
// / ヽ:::::       | ! || | ||!!|    ;;;;;;/// //
// // ゝ:::::::: :   | `ー----−' |__////

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 16:06:08 ID:dHVzeqXM
>>157-160
ふいたw

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 17:01:55 ID:wKCc2c85
なんと言う生殺しww

163 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 17:34:18 ID:fTS3lxHy
メガトロン「この後はIQサプ−−」
クアットロ「わあぁぁぁ、BeastStrikerS!」

トーレ「どんなIQ問題が出るんだ……。」
ウーノ「まちがい探しが楽しみね。」
クアットロ「お姉様まで……。」

164 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:05:05 ID:fTS3lxHy
ガルバトロン「貴様ら!久しいな。俺はデストロン破壊大帝、ドラゴンのガルバトロンだ。画面を見るときは眼のためにできるだけ明るい場所で見ろ。あとな寝る時はちゃんと歯を磨け。健康な未来の為に魔法少女リリカルなのはBeastStrikerS、始まるぞ。」


第12話「よげーん!」

フェイト「そういえば、英語テストの日本語を英訳する問題あったよね?」
なのは「うん。懐かしいね♪」

フェイト「『貴方は未来で犬の散歩をします。』って何の預言なんだろう?」
ラットル「そこはツッコミいれちゃダメだって……。」


コンボイ「前回のBeastStrikerSは−−」


レジアス「タランス、クイックストライク。駅前でアイスクリームを迎えに行ってこい。」
タランス「了解っス♪白と赤と青のソフトクリームっスね。」

レジアス「いや、それ何味だ?」

スタースクリーム「野望を果たすのはメガトロンではなくこのスタースクリームだ!」

メガトロン「スタースクリームめ……動いたか。ライオコンボイ!真っ黒になった西武の白ライオンの力を見せてやれ!」

ルーテシア「矛盾って言う言葉って知ってる?」
メガトロン「う、うるせぇ。俺も今後悔してんだよ!」

幾重にも張り巡らされた互いを潰すための謀略……。
それは少しづつであったが確実にメガトロンの望む形へと進んでいた。

クイックストライク「な、何だ!身体が……俺の身体を通して出る力が−−」
タランス「身体を通して出る力ってアンタ。そんなもんトランスフォーマーにあるんスか?」

スタースクリーム「この俺がぁぁ!」
人々が何時ものように利用していた新歴0071年 4月の臨海第8空港でスタースクリームもブラックライオコンボイに敗れ去り。
その上空にクイックストライクに乗っ取られていたボディを取り戻し。永き眠りから眼を覚ました機械竜が、マントのような翼を風に靡かせて姿を現した。

ガルバトロン「我は、破壊大帝ガルバトロン!」




165 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:09:36 ID:fTS3lxHy
「どうしたんだろう……」
妹とはぐれてしまい、アナウンスしてもらうために受付に身を寄せていた一人の少女が、辺りが騒がしいことに首を傾げていた。
何人かは逃げるように走り。何人かは空を見上げて恐ろしそうな表情をしている。

「ドラゴンだ!ドラゴンのロボットが飛行機を!」
「きやぁぁぁ!!」

「え……。」
信じられないような声を聞き、少女は言葉を無くす。
ドラゴンが飛行機を……?

それは直ぐに自分の眼で確認する事になった。
直後−−

〔〔ドガアァン!!〕〕
爆発音が遠くから耳に入り、空港の窓から閃光が走る。


「っ!?」
刺すような余りの眩しさに少女は手で眼庇う。それは爆発の光……。

次第に光は収まっていき、少女は手を退かせる。
そして、窓から直ぐそこを一体の機械竜の姿が横切っていくのが視界に入った。

少女−−ギンガ・ナカジマは今のアレが、コンボイと同じトランスフォーマーだと悟る。
(まさか……コンボイさんが言っていたデストロンなの!?)


それは正解であった。

『アンゴルモアキャンプファイヤー!!


男性の荒々しい声が空港一体に響いた瞬間。
民間施設で起きてはならならい事態が起きる。

それは何も起きていないような無音で、空港を真っ赤な焔が包みこみ。窓が割れ、爆発が置き始めた。

「……スバルは?スバル!!」

ギンガは未だ見つからない妹の身に危険を感じ、その場を走り出す。




「ウシャシャシャ、圧倒的っスねガルバトロン様は♪」

滑走路に散らばる破壊された飛行機の残骸を丸鋸型のライフルで撃ち消しながらメタルスタランスはおもしろそうにガルバトロンの後ろ姿を見ていた。



166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:12:02 ID:2JhpD098
チョーさん支援


167 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:14:52 ID:fTS3lxHy
くふふふ、もっと壊すっス。メガちゃんがこの事態を読んでいたならロストロギアは確実にこの空港のどっかにあるっス。
そして壊すっス♪
「く、クモの化け物……」
おや、お猿さんまだ生きてたんスか?

自身の姿に恐れる声。タランスは頭だけをくるりと背後にいる存命者達を見。ライフルを彼らに向けてエネルギー弾を発射する。

「うわぁっ!?」
「ひぃぃ!」

しかし、タランスは直撃しようとしなかった。その理由はただ一つ。

「これは悪い夢なんス♪悪い夢っていうのはさんざんビビり味わってから覚めるんスよ〜。ウッシャシャシャ!」

タランスの悪魔のような笑い声が辺りに響き渡り、存命者達はもはや助からないと諦めた。

「管理局は、管理局は何をやっているんだ……」
「そうよ……こんな時に限って……」

良いっスね良いっスねソレ♪もっと恨むっス。そうすればアチシにとって万々歳っス。

クイックストライクを失ったのは惜しいっスけど、ガルバトロン様が新しい相方なら。芸風を変えることも訳無いっス。

「これで貴族の格好でワイングラスをチンするっス!てゆーかアチシ今輝いてるっス♪」

「ダー!それなら俺が輝かせてやるぜタランス。」

「ウッソ、マジで!?ありがたいっス……よ……。」

突然聞こえたその声。
タランスは聞き覚えがあった。
メモリーに浮かぶのはこの声の持ち主に眼からビームとか、剣でズタズタにされたり。ろくな眼に会わされていない……。

もちろんそこにはあのラプトルが居た。
「だ、ダイノボット!?アンタ何でいるんスか!」

「どーでも良いじゃねぇか。ダイノボット変身、ダー! ホーラ、お望みのチンだ……よ!!」
ロボットモードに変身し、ダイノボットはタランスを捕まえ。尻尾から取り出した愛用の剣を彼のお尻に刺す。

「アッーーーーなんか眼がシバシバするっスよこれ!!」

「さらに至近距離で眼からビーム!!」
「至近距離でギャー!」

絶対に破壊しようとはせず、ダイノボットはタランスのライフルを撃ち落とし、彼を滑走路に押し付ける。



168 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:23:11 ID:fTS3lxHy
「ダー、アイツは誰だぁ……タランス!?」
「さ、さぁ!?知らないっス!」

「至近距離で眼からビーム!その2」
「至近距離でギャー!その2 あ、あの方は破壊大帝ガルバトロン様っス。そんなことより、コッチの人間達やアッチほっといて良いんスか!?」

タランスの指摘にダイノボットはクイっと顔で見るように促す。

視線を向けると飛行機の残骸から顔を出していた存命者達にはシールドが張られて。
さらには白と黒。二人の魔導師とゴリラとチーターの二体のメタルストランスフォーマーがガルバトロンの射撃を妨害していた。




「く、あの時以来だな。ガルバトロン!」
「コンボイか……憎たらしい奴が憎たらしい人間共を連れて現れるか!!」

「アクセルシューター! 何の為に貴方は空港を!?」
「両手で撃つべし!」
「貴様らごときがこの俺に戦いを挑むか!」

なのはから放たれるアクセルシューター、チータスから放たれるエネルギー弾を長い尾でことごとく払い落とし。二人にガルバトロンはそのまま体当たりを行う。

「うそっ!?」
「ノーマル攻撃キタじゃん!」

「でんきショック−−じゃなくて疾風迅雷!!」

その彼の背後に回り込み。フェイトは攻撃魔法を放ち、直撃させる。
しかし、ガルバトロンの装甲は中々に厚く、かすり傷程度しかついていないことにフェイトは驚く。

「そんな……」

「貴様らと俺達トランスフォーマーでは格が違うというのが理解できたか。」



169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:23:18 ID:Ir/XXVV5
聖王教会の騎士ダイノボット支援。

170 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:28:02 ID:fTS3lxHy
そう告げ、ガルバトロンはドラゴンの顔をなのはに向けて先の質問に答える。

「よく聞くが良い。眠りから醒めた今、デストロンにとって忌ま忌ましい人間が眼の前にいるのだ……これを狩るは破壊大帝の責務よ!」
「そんな……!」

「ならばガルバトロン、それが貴様の責務であると言うのなら大切な命を護るのが我々の責務だ!!」
「よく言った、コンボイ君。校長先生もうれしいぞ!それじゃ俺もやるじゃん!」
「いや、待てチータス!」
チータスの肩に手を置き、コンボイは空港を促す。
「逸る気持ちは解るが、まずは救助が最優先だ。」
「ながさわくん家みたいになったじゃん……空港。」

「うるさいよ。この空港施設は規模が長い……チータス、お前とフェイトは反対方向から救助だ。私となのはでガルバトロンを片付ける!」

コンボイの指示に、「了解」と答え。チータスとフェイトは素早く反対側へと飛び去る。
二人の飛行速度はなかなかに高く、すぐに豆粒のように小さくなっていく。


「悲しい思いは私が撃ちます!」
強く決意を現らわにするなのはに、ガルバトロンは険しい色を消してニヤリと微笑む。

「フハハハ、このガルバトロンが相手をするに値しない器。だか名を聞いてやろう……人間よ。」

「時空管理局教導隊、高町なのは二等空尉です。貴方を逮捕し、責務を果たします。」

「しかと覚えた。ならばその責務を果たし、見事人間を救い出してみろコンボイ、高町なのは……トランスフォーム!」

そして……新たな舞台で目覚めたドラゴンからここで初めて変身の駆動音が響き、複雑なドラゴンモードから本来の破壊大帝ガルバトロンの姿が現れ、
「行くぞ……。」と呟くような声で告げ、飛び掛かる。
右手に握られたガルバアックスをなのはに振るい。
膝のガルバガトリングでコンボイに弾丸の嵐を放つ。




171 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:34:32 ID:fTS3lxHy
「貴様は近接戦は苦手なようだな……高町よ。」
「ぐっ!!」

瞬時にガルバアックスをレイジングハートで受け止める。だが、アックス越しに伝わる彼の力に押されてしまう。


「うおぉぉぉぉ!プラズマシュット!」
なんとか弾幕を切り抜け、コンボイはガルバトロンの気をなのはから逸らせるべくにブラスターガンに攻撃魔法を重ねて撃つ。
しかし、彼はそれに臆する事もせず突き進んでコンボイに左手のガルバアックスで斬り掛かり、なのはへとそのままアックスを投擲する。

「ぬうっ! ガルバトロンめ……。」
ブラスターガンを退き、棍棒でアックスを受ける。が、それは読まれ。ガルガトリングがコンボイを撃つ。


攻撃をわざと受け、相手が怯んだのを利用してさらに攻撃に展開するガルバトロンに彼は相手の厄介さを噛み締めていた。

−流石は、ライオコンボイを追い込んだトランスフォーマーか……。


「あれは絶対改造コードの力なの!」
「違う、なのは!あれはチートだ!」


「教えてやろう、この力は我が身に刻んだ戦いの数……そしてアンゴルモアパワーよ!」

見せ付けるかのようにアックスを握っている右手を掲げ、ガルバトロンは笑みを零す。

そして、ガルバトロンから告げられた名に一同は騒然となり。なのはとコンボイが呟く。

「も、モンゴルアンパワー……?」
「朝青龍?いや違う……アンゴルモアパワー。史上最大最強の力を持つロストロギア。」

「フハハハ、流石はコンボイの名を継ぎし者だな。アンゴルモアパワーに勝る力などないわ……その力を見せてくれる!トランスフォーム!」

再び、ドラゴンの姿に変身し。ガルバトロンはゆっくりと空高く舞い飛ぶ。

「ガルバトロン!一体何をする気だ!?」
「このパワーを今再び見せてやろうと思ってな……。枯れ木を四角形に組め、修学旅行の醍醐味を再び味わえ……アンゴルモアキャンプファイヤー!!」

「フォークダンスはさせないの!ディバイーン−−」
『burster!!』

空から長く逞しい首を立たせて空港全てを見下ろし、その口から放たれた妖しき炎。


172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:38:06 ID:Ir/XXVV5
流石は破壊大帝ガルバトロン支援。

173 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:41:33 ID:fTS3lxHy
しかし、それは白き魔導師から放たれた桜色の魔力砲で完全に掻き消されることなく。残った炎が再び空港へと直撃し……妖しき赤の光と熱がさらに拡がってしまう。

「っ!?そんな!」


「ウッシャシャシャシャ♪敵ながら手際の悪さはあっぱれっスね。」
一部始終の光景を面白そうに皮肉るタランスにダイノボットは憤怒する。

「てめぇら!!」
「これが悪役ってヤツっス、マシンガン喰らうっス!」

組み付かれたダイノボットを掃うためにタランスは胸元の複眼から何百もの弾を放ち、彼を牽制する。

「ウッシャシャシャシャ!もう時間の問題っスよ♪」
「何だと!?」
タランスから告げられた話にダイノボットは驚きながらも、放たれるマシンガンをシールドで防ぐ。しかし、それは囮であった。

「ウッシャシャシャシャ、この空港のどこかにロストロギアがあるっス。今のアンゴルモアファイヤーに引火したらでっかい人間花火が打ち上がるって寸法っスよ〜♪
転送、蜘蛛の雲隠れっ♪上手い!」
「山田くん、タランスの座布団全部没収。ダー」

腕に備えられた簡易転送装置を作動し、タランスはその場から溶け込むように姿を消す。

そして、赤く空を染める燃える空港を見下ろしていたガルバトロンに通信が入る。
『ガルバトロン様、遅かれ早かれ被害は拡がるっス、ここは退散するっス。』
「タランスか……まだ、俺は闘えるが?」

『力による平和の為にもここは力を温存し、来たる時に奴らを潰すっス。』
タランスのその説得にガルバトロンは渋々頷く、。内心ではまだ暴れ足りなく、また、タランスのような参謀はいらない。このまま迎え撃つだけ……だが、
『ガルバトロン様と気が合いそうなヤツが居るっス……目の前のアンポンチキチンズが所属している時空管理局に。』と彼が付け足した言葉にガルバトロンは考えを改めて『了解した。』と頷き、コンボイとなのはに向き直る。
「サイバトロン、時空管理局。また闘おう……フフフ、ガハハハハハハ!」

「ガルバトロン!」
コンボイが名を叫ぶが、タランスの転送の方が早く。日が落ちはじめた景色には笑い声が残る。



174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:46:39 ID:Ir/XXVV5
武力統一による平和を考えているガルバトロンは、レジアスと気が合いそう支援。

175 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:48:40 ID:fTS3lxHy
ガルバトロンが消えた事をセンサーで感知しコンボイはなのはの肩に手を置き、声をかける。
「悔しいが私達にはやるべきことがある……大丈夫だな?」

「あ……はい。コンボイさん。救助に行きましょう」
「ああ行こう。」
「「デュワッ!!」」


「あ、今日佐藤さん家カレーなの。」
「マジで?カレーかぁ。バナナ入れないとだめだなぁ私は。」




「フレームイン……本番、よーい。スタート!
素晴らしかぁあ!」
燃え盛る第8空港の様子をモニターに映し、メガトロンは椅子に腰掛けながら嬉しそうに叫ぶ。

「ミッドチルダのネット通販で買ったこの新しい空飛ぶ座椅子のなんと心地の良いこと……そして素晴らしき座椅子に腰掛けながら見るこのキャンプファイヤー、思わずフォークダンスを踊りたくなるわ。」
「フォークダンスでごっつんこ?」

傍にいた忠臣からの尋ねに「そうですごっつんこ。」と甲高い口調で答えメガトロンは顎に手を沿えてモニターを再び見据える。
「奴らもこちらの世界に来ているとは解っていたが……コンボイめ。爆発まであと少しとのところでねこ型ロボと管理局の奴らと来るとはな。
それにダーダー五月蝿い恐竜も……。」
ディスクの預言が正しいのなら、あと少しだ……あと少しでドカンとなる。
『機械竜が目覚め、夜天が赤に染まりし第8の空の港、過ぎた技術の結晶が爆ぜ跡に印を遺す。』
ディスクの文章を別に開き、確認し。メガトロンは空港の立体地図をスキャナーを表示する。
それは以前、ノーヴェに取らせたデータと時空管理局に潜入しているジャガーの情報から作り上げた物。
「ならばままよ。」
さらに立体地図に映る一つのデストロンマークの位置を確かめ、メガトロンは突然歌いだす。

「燃えろよ、燃えろーよ♪炎よ燃えろー♪ククク、高野山での枕投げを思い出す……。
ガルバトロンめ良い仕事をしてくれる。油足の古臭い裏切り者にも退場してもらった後は……ブラックライオコンボイに動いてもらうか……。ウーノ、回線を奴に繋げてエビチャーハン!」

メガトロンの指示にウーノは「はい。」と頷き、移動中のブラックライオコンボイとメガトロンの回線を繋ぐ。




176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:51:19 ID:Yh5xT8IT
エビチャーハン支援!

177 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:53:43 ID:fTS3lxHy
「ブラックライオコンボイ。お散歩ですか?レレのレー♪」

『任務中です、メガトロン様。』
「貴様がいる一階から荷物保管庫へ向かえ。レリックを探して出して破壊して俺様の到着を待て!」
『了解。』


回線を切り、一息をつく。そんな彼にウーノは恐る恐るといった感じに声をかける。
「よれしいのですか?レリックを破壊してしまって……」
「インダヨー♪預言によるとこの空港には『闘姫』が居るらしい。そう遠くない未来でこいつは俺様の野望を妨げる……この姫は戦闘機人のようでもある。」

「グリンダヨ?戦闘機人ですか……。」
「戦闘機人などたいしたことはない。が、俺様の天下を妨げるほどの力を持つならば話は別だ……今から探しに行って我が社に入れる。断れば空港もろとも潰すがな。」
ニヤリと悪辣な笑みを浮かべながらメガトロンはウーノに告げる。

そして……。
突然、爆発音が響き渡る。
モニターを見遣るとそこに映っていた燃え盛る空港の一部が小規模な爆発を起こし、さらに火が夜空を赤く染めていた。

「なんと大きな花火だ……ウーノ、空港を上から映せ。」
「はい。」
メガトロンの指示に再び、キーを打ち。火に包まれた空港を上から映し出す。するとそこにはところどころの場所の火が何かの文字を描いているように見える。

「すんばらごい……まさに預言どおりだ。細木ちゃんもびっくらかめさんよ。さて行くかお姫様の迎えついでにサイバトロンと管理局の連中にご挨拶も済ませるか。ルーテシア、アギト、ゼスト、インフェルノお前らも来い」

「了解、メガトロン様」

「ま、ご指名なら行くか。」
「了解した。」
「了解でごっつんこ!」
空飛ぶ座椅子から腰をあげ、ルーテシア達と共に近くにある転送装置へとメガトロンは降り立つ。
「ウーノ、転送開始だ。」
「了解です。」

「待っていろ闘姫、そしてサイバトロンと管理局のお猿ども……。ククク、アッハッハッハッハ!『次回に続く!』ウーノちゃん、台詞を取っちゃだめえぇ!」

「一回言って見たかったんで……へけ♪」
「へけ♪って久しぶりに聞くな(苦笑)」




178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:54:54 ID:Ir/XXVV5
BeastStrikerSのメガトロンは、ムチャクチャ悪知恵が働く策士支援。

179 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:55:53 ID:fTS3lxHy
次回予告

はやて「…………」
シャマル「どうしたのはやてちゃん?」

はやて「いや。最近私ら出番ないなぁって思って」
ヴィータ「そだな……やる気出ねえ。」
シグナム「確かに……我々最近出番がないですね。」
ザフィーラ「テレビでも見るか。」


メガトロン『良いですか?シール剥がしますよカメラさん。出番が増える秘訣はコレ!』
はやて「で、出番が増えるやて!?」
リインII「気になります!」
リイン「ドキドキ」

メガトロン『次回の魔法少女リリカルなのはBeastStrikerS、第13話「出会っちゃった。」を見ること!
次回の魔法少女リリカルなのはBeastStrikerS、第13話「出会っちゃった。」を見ること!大事なことなので2回言いましたよ?。
それじゃあ次回も見てくれるかな?』

一同「いいともー!」

メガトロン『んじゃガルちゃん、サイコロ振っちゃって。』
ガルバトロン『はーい♪』
リイン「洗剤当たってほしいな……。」

180 :BeastStrikerS:2008/06/14(土) 18:59:36 ID:fTS3lxHy
以上です。
メガトロンとガルバトロンは邂逅しませんでしたが楽しんでいただけましたか?
では次回で。

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 19:01:43 ID:Yh5xT8IT
GJです!

相変わらず面白くて感想が追い付けませんがウーノさんの「へけ♪」に萌えましたw

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 19:41:09 ID:LHSlVTd2
BWシリーズをDVD化して欲しい、乙!
あの頃は多忙な学生で途切れ途切れにしか見れなかったんだ、GJ!
地方放送だからメタルス以外はEDと予告をカットされちゃったんだ、これからも期待!

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 20:08:51 ID:2JhpD098
なんというビーストのノリww
千葉トロンが脳内再生されましたとも。
楽しませていただきました。GJです!

184 :なのは×終わクロ ◆WslPJpzlnU :2008/06/14(土) 20:44:54 ID:7lWxHv20
GJ!!モンゴルアンパワーにふいたww

>>182
CG版BWならもう全シリーズDVD化してるYO?メタルスとリターンズなら全巻揃えたぜ!

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 20:45:52 ID:7lWxHv20
>>184
申し訳ない、久しぶりでトリ外し忘れてました……

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 21:25:27 ID:Ir/XXVV5
>>180
ビーストウォーズシリーズ大好きなので、そのハチャメチャなノリになのはキャラ達が馴染んでいるのが面白いです。
サイバトロン側は、なのは達の家族なのがお気に入りです。
特にティアの「兄」なエアラザー、聖王教会騎士になっても相変わらずなダイノボットが。
サイバトロン戦士達のおかげで、なのは達とスバル、ティア、エリオが既に顔見知りですし。
キャロはライオコンボイ&ビッグコンボイ&リインフォースなんて豪華メンバーと顔合わせしてるし。

デストロン側は、強い上に悪知恵働きまくりでラスボスの貫禄十分なメガトロンが素晴らしいです。
メガトロンの存在のおかげで、初代リインフォースやビッグコンボイまでなのは達の仲間にいるのに、それでもデストロン側が優勢なのが凄いです。
武力による宇宙統一理論を持つ武人、破壊大帝ガルバトロンなら彼とも対等以上に渡り合えそうです。
なのは&コンボイの主人公タッグでも苦戦する強さ、それでこそガルバトロン様です。

187 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 22:14:09 ID:/EopycYX
御無沙汰しております。
23:00辺りから×DODの投下をしたいのですが、予約の方は大丈夫でしょうか。

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 22:19:39 ID:yTj9Qbxn
待っていました!!
支援

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 22:30:37 ID:dgKQg6Iq
支援しえーん

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 22:42:23 ID:M6BoqA+z
支援!

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 22:54:48 ID:+x7pbGCg
支援するしかないじゃないか!

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:00:11 ID:uzxeet2l
支援

193 :×DOD ◆OXOWFloLOc :2008/06/14(土) 23:05:01 ID:/EopycYX
では投下を開始します。

194 :×DOD ◆OXOWFloLOc :2008/06/14(土) 23:06:37 ID:/EopycYX
 空と地からの襲撃を機動六課が切り抜けた後は第二団による追撃もないまま、ホテルアグスタに
暫しの時が流れた。
 暖かな陽光が雲を突き抜け風を貫いて、大地のみどりに燦々と降り注いでいる。力に満ちた森が
生命の鼓動を脈々と刻んでいた。
 陽の座が天頂を通過し、地に落ちる木影が徐々に伸びはじめる頃合いであった。
 昼下がりになっていた。

「これが最後か」

 木洩れ日が揺らめき風が木の葉を抱く、ホテルアグスタ周辺に広がる森の中。ドラゴンの肉声を
背後に聞き、リインはふうとひとつ息を吐き出した。
 脇に「蒼天の書」を挟んで宙に浮かび、リインは右手を前方に突き出している。
 細く小さな指の先から妖精のようなサイズの彼女の身体に合わぬ猛烈な勢いで、氷の飛礫と雪の
結晶とを巻く冷風がびゅうびゅうと吹き荒れている。
 妖精と竜が居る森の一角は、本来あるべき木々の緑が失われていた。
 凍てつく旋風が吹き付ける先には、木がちろちろと火をたてて燃えている。
 カイムが火を放ち焼き焦がした、樹木の幹の最後の一本だった。

「よし、これで大丈夫、です」

 さすがに疲れたのだろう。火が消えたのを確認したリインは、やや切れ気味の息でそう声を出し
額にかいた汗を手の甲で拭う。
 一言で言うなら、鎮火作業。
 凍結状態から脱するにはいささかやり過ぎであったかもしれないが、ともあれカイムが解放し、
森を巻き込んだ炎の後始末だった。リインは六課の戦闘メンバーで唯一人扱える氷系魔法を用い、
ドラゴンはその護衛として周囲を警戒しつつ、翼で爆風を叩きつけての。

「面倒をかけた。礼を言うぞ」
「いえ、このくらいっ」

 高潔かつ誇り高きドラゴンにしては珍しく、己以外のものに謝礼の意を告げてみせた。こたえる
リインはやや恐縮した様子だが、彼女と竜の体格差は人間以上なのだから無理もない。
 カイムが焼いた森の地区は、この一ヶ所で最後になる。
 魔力の高まりに応じて、帝国軍と戦っていた頃のそれよりも大幅に威力を増し、爆発じみた熱を
ともなって広範囲に散り広がった「月光と闇」の火炎。
 燃やした領域はかなり広大に渡り、このまま大火事になるかと思われたが、我に返ったカイムが
魔力を抑えたのに呼応して火の勢いは収まり、無事に消火は終了。
 延焼も免れた。

「……」

 竜は黙して、ゆっくりと顔を上げ蒼天を仰いだ。まだ残火が燻っているのだろうか、ここそこに
煙の帯がうっすらと立ち上っている。
 微風が吹いていた。
 煙の帯が揺れて靡き、青空に点々と浮かぶ白雲にかかっている。突き抜ける空に灰色のまぎれた
雲が、縦裂した瞳の中に届いていた。
 汚れを想起し、ドラゴンは目を外す。

195 :×DOD ◆HKg15Jlimk :2008/06/14(土) 23:08:09 ID:/EopycYX
 本来火消しの作業を手伝うべきカイムの姿はこの場になかった。
 保有する技術から考えて消火作業の役に立たぬということもあったが、カイムは同時に、負傷者
でもあった。というのは比喩でも隠喩でもなく、単純にカイムは肉体を損傷していた。
 シャドウの剣に斬られたわけでも、ガジェットの弾をその身に受けたわけでもない。言うならば
自業自得の火傷であった。逆上して我を失い、強引に解放した火炎は、森だけでなくカイム自身の
身体をも、軽度ではあるが焼き焦がしていたのだ。
 魔導師たちのようにバリアジャケットを持たないカイムの魔法防御は、当然ながらその全てが、
体内に流れる魔力と、それによって生じる魔法への抵抗力にかかっている。
 すなわちカイムは、自動的な防御機構を持たないのだ。そしてその抵抗力というものも、魔力が
かかわる以上はやはり、自身の精神の安定に依存するところが大きい。
 彼がドラゴンとともに「母天使」から奪い取り保有する魔力は並大抵の量ではなく、肌を焦がす
程度の火炎を払うくらいは平常なら、高揚して垂れ流す魔力のみで事足りるものである。
 だが、森林に火を放ったあの時カイムは、自分の心を完全に見失っていた。
 理性が感情に消し飛ばされ、激怒と憎悪と戦いの歓びに打ち震えていたあの精神では、己の身を
守る魔力の流れを体の中に作り出すことができていなかったのだ。

「それでですね、えと」

 そのことを思い出し、自分から視線をはずしたドラゴンの大きな顔に向かって、作業を終了した
リインはおずおずと声をかけた。
 思考を読んだドラゴンは視線を落とし、妖精のような姿の向こうに旅の連れにいた口やかましい
フェアリーを思い出しながら、完全に問われる前に答えてみせた。

「あやつは、まだ外に居るようだな」

 任務そのものは、実を言うならまだ終わってはいない。
 第二陣が来ないとは限らない。その考えの下ではやては、少なくともオークション終了までは、
警戒態勢を維持するように全体に向けて通達を発している。
 それを受けて機動六課の魔導師たちは、リインのように別の作業に当たる者以外は、それぞれが
目を光らせるべき本来の配置に戻っていた。ドラゴンがリインに追従しているのはその時はやてに
頼まれたクチだ。
 しかし一度目の襲撃からかなり間隔を空けていることから考えると、第二団は多分ないだろう。
あるにしても今なら時間がある。だから、シャマルの治療を受けた方がいい――そう言われたのを
無視してカイムが今居るのはホテルの裏。木陰の落ちる石造りの段の下であった。

「うぅ……ですから、治療をと……」
「……そっとしておいてくれぬか。ああなった以上はどのみち梃子でも動きはせん」

 しゅんとしおれてしまった姿を見て、あの契約の妖精の振る舞いとはまるで雲泥の差だと内心で
思いながら、カイムの内側に噴き出ている複雑な感情の流れを感じ取ってドラゴンは言った。
 そっとしておいてやりたかったのだ。肉体的な傷は直せても、根本的な癒しにはならぬ。

「でも! 今のうちに冷やしておかないと、もし」
「ところでおぬし、何処にいた。戦場では空にも地にも姿は見えなんだが」
「あ……単独で偵察を試みたんですが、その」
「返り討ちにあっては元も子も無いな。尤も、それはカイムも同じことだが」
「あう」

 話の逸らし方が巧みなのは、齢一万年の為せる業なのかどうなのか。

196 :×DOD 六章一節 3/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:09:32 ID:/EopycYX
 しかしそんな会話もつかの間。ドラゴンはつと口を閉じて、瞼を重ねて首を曲げあさっての方に
顔を隠してしまう。
 リインは今度は、暫く言葉をかけなかった。
 ドラゴンとは今までに数度顔を合わせた程度の面識だが、この竜は会う時いつも凛としていて、
常に荘厳さを纏った者であったと彼女は記憶している。
 その姿に対して今のドラゴンは、力に満ち溢れた本来の雰囲気を失っていた。どこか疲れている
ようにも感じた。
 原因を知っているというわけではないが、ドラゴンが発したのは何かを案じるような声色だった
ようにリインは思う。
 いつも竜のそばにおり、リイン自身も列車で行動を共にしたことのある、竜騎士カイムのことが
気掛かりで仕方ないのだろうとは、簡単に想像がついた。戦闘中の彼の姿を見てはいないが、その
戦闘を目の当たりにしたヴィータから、戦闘中のカイムの様子がおかしかったという事や、筆舌に
尽くしがたい怒りの表情を浮かべていたことだけは聞いていた。
 彼の心中で何があったかを察することは出来ないが、ドラゴンがそれを相当気に掛けているのは
確かだ。リインは何だか居た堪れなくなって話しかけた。

「あの、その、元気、出してください、です。うまく言えないんですけどっ」
「……おぬしの如く小さきものに、そのような口を利かれたくないわ」

 ドラゴンが小さく口の端を上げて、ずらりと並んだ牙を外気に晒す。
 それを見たリインは破顔一笑し、鎮火作業完了の旨をシャマルに念話で伝え、応答と指示を待ち
ながら竜の赤く大きな顎に目を向け続けることにした。純粋に過ぎるその視線を感じて、居心地が
悪そうにドラゴンは顔を背けた。やはりフェアリーとは勝手が違う。

(このような小娘に)

 内心の一部を見抜かれた。その行いはあまりにも竜族らしからぬものであり、激憤の矛を自らに
向けるに値するほどのものでもある。
 しかし同時に、その原因はカイムである、ということに考えが届く。かの男の存在によって己の
在り方が大きく変わってきていることを感じ取って、ドラゴンは怒るに怒りきれず、煮え切らない
思いでただ天を見やるばかりであった。

(甘くなったか、我は)

 在り様が。
 そして認識までもが。そのように考えずにはいられない。
 このまま何事もなく、直っていくものだとばかり思っていた。
 カイムの精神は少しずつ癒えていくのだろうと、ミッドチルダで穏やかな時間を過ごしながら、
ドラゴンはそう思い続けていた。
 僅かではあるが手応えも、確証というべきものもあった。ガジェットの出現により再び剣を抜く
ことにはなったし、それらを相手にしているときは興奮こそしていたものの、心の奥底に深く根を
張る憤怒や憎悪といった激情は確かに鳴りをひそめていた。
 この世界の穏やかさがカイムの精神の中に、失っていた人間らしい感情を呼び戻しつつあった。
その感覚は決して間違いではなかったはずだ。

197 :×DOD 六章一節 4/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:10:55 ID:/EopycYX
 だが目に映る真実に裏打ちされた、この穏やかならぬ予感は嘘ではない。
 かつての敵の再現と、カイムが去り際に言い残した、親友の剣の存在。
 ドラゴンの叡智をもってしても、この世界に何が起こっているのかは見通しもつかない。しかし
少なくとも、暗い影が差し込んでいることだけは確かだ。カイムとドラゴンが生き、戦い、そして
旅立ったあの崩壊した世界が、斜陽の如くに少しずつ、うっすらと影を落としはじめている。
 ドラゴンは思う。その影がもしこの先、万が一ミッドチルダの世界に色濃く巣食いはじめる事が
あるなら、その時こそ戦いは避けられまい。血と炎に彩られた日々が、あの男には再びやってくる。
 いや、もはや「万が一」では済まない。多くの事実が確証として、目の前に散在している。これ
から確実に、何かが起こる。予感を超えた感覚がドラゴンにはあった。
 その中でカイムは、どうやって生きていくのだろう。
 ドラゴンは思う。回復しつつあった正気は、戦いの中で少しずつ削られていく。砂の城の如くに
脆く、それでもやっと保ち続けてきた不安定な精神を、この先人間のかたちに保つことができるの
だろうか。

「……」

 それとも今度こそ、何もかも――そう考えて、かき消すようにドラゴンは唸った。
 牙が軋みを上げた。

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:11:05 ID:UMQ0uJUH
リイン可愛いよリインw支援

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:12:19 ID:uzxeet2l
支援

200 :×DOD 六章一節 5/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:16:07 ID:/EopycYX



 機動六課のホテルアグスタ警護任務は、オークションが終わりを告げると同時に終了と相成った。
 念には念を入れてしばらくこの場にとどまり警戒は行うものの、この上さらに敵がやってくると
いう可能性はほぼ潰えた。オークションに出品された物品は客の手に渡り、もう散り散りになって
しまっている。
 それにホテル内部の警備という任務を終え、完全な戦力により迎撃できる現状、増援を寄越した
ところで無為に撃退されるのは明らかであろう。その辺りが分からない程「敵」は馬鹿ではない。
 つまり、残りは現場検証だけであった。現在機動六課にできるのは万一のために警戒を維持し、
転送される鑑識の到着を待つことしかない。
 その機動六課の戦闘員は隊長陣も副隊長も新人フォワード達も皆、ガジェットの残骸が散らばる
ホテル前の戦場跡にて一同に会していた。
 魔導士たちの目の先にはドラゴンがいる。また彼らの足下には、魂魄を失ったシャドウの死骸、
鈍く光る漆黒の甲冑がひとつ息絶えた瞬間のまま草地の上に横たわっている。

「……じゃあやっぱ、こいつらはアンタたちの世界にいたってのか」

 くろがねの拳が最期まで放さなかった長剣を目を細めて見ていたヴィータは顔を上げ、竜の瞳を
真っ直ぐに見ながら尋ねた。幾多の視線をその身に受けながら、対してドラゴンがちいさく唸る。
肯定の意味であった。
 わからないことばかりだったのはドラゴンもそうだが、機動六課の戦闘員はそれ以上であった。
 何しろ魔導士たちは、今回のアンノウンについての知識を全く持っていない。
 呼称すら知らないのだ。火消しの作業を終えたドラゴンに、それら異形の姿を見、戦った者から
問いが及ぶのは当然だった。

「対策、せなあかんな。ミッドで出現記録はあらへんのやろ? リイン?」
「はい。資料に記述はありませんです」

 はやてが考えを巡らせながら言った言葉に対し、リインが高い声で答える。ヴィータはそれに、
いつになく難しい顔をしながら耳を傾けていた。
 リインを追って場所を変え、ホテル前に帰還した竜に最初に問いを投げかけたのは彼女だ。
 機動六課の面子の中でも、カイムの怒りを最も近くで目の当たりにした彼女はほかの誰よりも、
これら「敵」とカイムたちとの関連については確信めいたものを持っていた。
 そういう意味ではフェイトをはじめ、空でカイムに遭遇した四人も同じような思いはあったが、
彼女たちは彼女たちで上空にて竜の告白を受け森で目にした光景への衝撃から、任務がなかば終了
しつつある今もなお、真っ先に口を開きさらなる問いを投げることが憚られている。
 それに、シグナムはともかく、フェイトやエリオ、キャロと違ってヴィータは、人間が心に宿す
あの種類の憎しみを伴う怒りの激情は、向けられる者にとっても本人にとっても最上級に厄介で、
かつ危険であると知っていた。かつて悪意を向けられ続け、今なお辛い記憶とともに在る彼女は、
カイムとは授受の立場こそ違えど、そのことを己の身をもって理解していた。
 苛烈な過去があったからだろうか。ヴィータの脳裏には戦闘が終了した後も、カイムをして激怒
せしめたあの魔物が、アンノウンであるという以上にちらついて離れなかった。
 そして何よりもカイム本人について、このまま話を聞かずに放っておくことができなかった。

「かつての敵であった。空の石くれ共もな。尤も、こちらは灰も残っておらぬが」

 それゆえにヴィータが問い、リインを通じてそれを聞いたはやてもまた、都合がいいとばかりに
フォワードメンバー全員に召集をかけた。
 そうして集まった面々は皆、食い入るようにドラゴンを見つめて話を聞いている。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:20:16 ID:uzxeet2l
支援

202 :×DOD 六章一節 6/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:21:20 ID:/EopycYX
 またその後方ではなのはが、リインとフェイトに背中をさすられながらこほこほと咳き込み息を
荒げていた。
 魔力ほど体力に恵まれていないのを省みず、オークションが終わりを告げると同時に全速全開で
すっ飛んできた結果だった。今までガジェット以外にレリック絡みで出現した敵は無かったことも
あり、未知の敵と戦う部下を信頼こそすれ、かけらも案ずるなというのは無理な話だ。
 状況が状況だけに気が気でなく、仲間や部下を一番心配していたのは、ホテル内で後詰めとして
控えていた彼女だった。全員が無事というのは伝達から知ってはいたが、やはり一刻も早く自分の
目で確かめたかったのだろう。
 そんななのはの目が己をとらえているのをちらと見て、ドラゴンは彼女の息が整うのを待った。
 暫しの間を置いて息をひとつ吐き出し、なのははフェイトとリインに礼を告げ、膝に当てていた
手を引き顔を上げて言う。

「すみません、続けてください。敵、って」

 む、と唸った後も少し待ち、荒れた呼吸が鎮まってから切り出した。

「我らが世界の秩序を脅かし、調和を保つ封印の破壊を目論んだ、帝国なる輩の手駒であったのだ。
 多くの人間が身命を賭して戦い、我もまたこれらをはじめ多くの異形と戦った。カイムもな」

 その名を聞いたキャロがちいさく顔を伏せ、場全体の空気も微かに動いた。
 しかしその機微には気が付かないふりをして、ドラゴンは続けざまに言う。

「石屑はガーゴイル、鎧の名はシャドウ。共に知性は薄いが鎧の方は堅く、強固な防壁を帯びる。
 我は鎧と相対したことはあらぬが、二種の障壁を持つと聞いた……おぬしは知っていよう?」
「…………ああ」

 カイムを除けばただひとりシャドウと切り結んだヴィータに言の葉が向けられ、快活な彼女に
しては静かな答が返された。
 見たことがない種類のバリアだった。叩いても弾かれ、かといって魔法もその効力を奪われる。
戦う中でそれは別々の防壁が分担しているというのには気が付いていたが、正にその通りだったと
いうことか。

 ――アイツは、知ってたんだ。

 ヴィータはそう思い返す。
 あの時、最後の薙ぎ払いをかける前、カイムは甲冑たちに向かって魔法を放っていた。
 迫る敵をただ迎え撃つのならそのまま剣を振るだけでも、少なくともあの威力ならガジェットは
粉砕していただろうし、シャドウに対しては障壁に亀裂を入れるくらいは十分できていた。
 それをわざわざ魔法で足止めしたということは、自分があの時間ではつかむことができなかった、
障壁の切り替わるタイミングを掌握していた……のかもしれない。
 そのように思い今まで待ったが、ドラゴンの言葉でそれは確実のものとなった。結論も同時に
出たし、竜の話が嘘ではないと確認もできた。
 やはりあの鎧たちは、カイムが知る者だったのだ。
 確信が現実のものとなり、でもその現実は決して当たって嬉しい種のものではないし、謎はまだ
残っているしそれに――と複雑な思いを抱きながら、ヴィータは誰にも聞こえないように深い息を
吐き出した。

「でも、それがどうして、ミッドに」

 そんな胸中の副隊長の背後から、呼吸を回復したなのはが真剣な表情で問いかけた。
 なのはは今回の戦場にこそ出てはいないものの、昨日フェイトを通じてドラゴンから、カイムの
大体の経歴・戦歴は耳にしている。異世界の出であることも勿論知っているし、そこへの行き来は
この世界の魔法を用いても厳しいということも、クロノ経由で知っていた。

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:23:18 ID:uzxeet2l
支援

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:24:49 ID:UMQ0uJUH
支援

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:25:25 ID:S7PkABBg
支援でぃす。

206 :×DOD 六章一節 7/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:26:24 ID:/EopycYX
 というかそれ以前に、そもそも今回のアンノウン――ガーゴイルとシャドウ、これらの魔物の
出現はどう考えても妙であった。
 今の今まで、それこそ前回の列車襲撃事件まで、レリックに絡んで出没する敵兵器は異なる機種
こそあれ、ガジェット・ドローンただ一種のみ。
 ガジェットの出現は以前からあり、機動六課が設立される何年も前から、ロストロギアを狙って
きた。なのはもフェイトもはやても任務中で幾度も戦った敵であり、レリック関係でこれら以外に
目立った敵はなかった。
 その敵の種がここへきて唐突に増え、共に襲いかかってくるとはどういうことか?

「わからぬのだ。それが」

 ある程度の答えを期待してなのはが投げた問いであったが、ドラゴンはそれを導くことはできな
かった。

(それだけではない。何もかもが読めぬわ)

 不安をあおる心算はないのだから、そのように言いはしないものの。
 ドラゴン自身どうやってあの母天使が世界を逃走し、何ゆえに向かう先として「新宿」を選び、
何を目論んで「歌」を歌いはじめたのかすらわからない。
 何も知らないままあの異形を追いかけてきたのだ。その途次における魔法の式や構成など覚えて
いるわけがないし、異形の目的も知る由はない。「歌」を相殺したのも、
あの時は無我夢中で、ただその場で対抗魔法をカイムと共に編み、殆ど出鱈目に放っただけだ。
 固より、己以外の同郷の者がこの世界に現れることなど、想像だにしていなかった。
 そういう意味ではこの敵の出現は、ドラゴンにとってもまたイレギュラーであったのだ。それら
「敵」の詳細や武装は知っていても、ミッドチルダにこれが現れる経緯や理由など分かろうはずが
なかった。

「…………」

 出現そのものについての詳細もきっと知っているだろう、と思っていたなのはは意外そうな顔を
した。
 このドラゴンにも、分からないことはあるのか。そんなことを思いながら隣のはやてを見ると、
はやてははやてで竜の言葉に耳を傾けながら思案顔であった。
 そのはやてが、しばらくすると、思い立ったように口を開き言葉をもらす。

「召喚……」
「確かに元凶には、おぬしらが召喚士と呼ぶ輩も居た。ただそれが全てとはどうしても思えぬ」

 はやてが考えた末、唯一残った有り得そうな答であった。しかし対してドラゴンは、全面的には
同意しかねるという様子だ。
 何故と問おうとするはやて。それ以外に何かがあるのだろうか。その口が開く機先を制し、竜は
キャロに向かって問いかけた。

「娘。おぬしの魔術を極限まで高めれば、いかなる世界をも超越して異形を呼ぶことは可能か?」

 頭を過ぎった、僅かな期待であった。
 無条件に世界を超えて、魔物を召喚する技術があるのなら、説明がつく。それならいい。
 己の生きたあの世界を例外とすることなく、あまりにもかけ離れた別世界という障害を越えて、
何物かを呼び出すことができるのなら、それはあくまで愚かな人間の所業だ。それならまだいい。
そうであるならまだ。
 ドラゴンには胸騒ぎがあった。
 見えざる手、聞こえぬ歌。
 予感。

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:27:58 ID:uzxeet2l
支援

208 :×DOD 六章一節 8/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:28:46 ID:/EopycYX
「……どないや、キャロ?」

 少しの間返答はなく、はやてが追ってキャロに言葉をかけた。
 多様な魔法の知識の持ち合わせはあるが、しかしさすがのはやてもこればっかりは分からない。
召喚に関する基本的な情報こそ頭の中にあれ、アルザスの巫女に伝わる何か特殊な術があるのかも
しれないし、竜召喚という秘奥を持つ以上通常の召喚を超えた何かが無いとは言い切れまい。
 しかしそのキャロはどこか、そわそわと落ち着きの無い様子であった。
 視線はドラゴンやシャドウでもなく、ホテルの両壁面に沿って行ったり来たりを繰り返している。
 話に耳を傾けてはいるものの、どこか注意が散漫だ。心ここにあらずと言った様子で、顔色には
半ば焦りすら浮かんでいた。

「竜の娘よ。我の声が聞こえているか」
「え、あ、はいっ、できます、ある程度はっ」

 ドラゴンはそこに向けて凛とした声を投げ掛け、現実へと引き戻した。
 問わず咎めず、続ける。

「……では全く交わりの無い世界ならどうだ? 竜を超越する異形にしか行き来できぬ世界から、
 未知の生ける者を喚ぶことはできるか」
「それは……予め誓約するか、加護を受けていないと」
「あの世界に人間の魔導など届き得ぬ。おぬしらに見つからぬのが証拠よ。況して誓約など」

 希望はほぼ潰えた、と竜は悟った。
 矮小な人間の、愚かな行い。それだけならどんなによかったか。
 どんなによかったことか。

「我らの与り知らぬ何かが……おおいなる意志が働いているのやもしれぬ」
「おおいなる意志?」
「何かは判らぬ。虫の報せよ。杞憂であることを願いたいがな」

 ぽつりともらした言葉の裏には、予感を超えた何かがあった。

「早いうちに伝えておく。『赤き鎧』には近づくな」

 思考を消す。
 今のうちに、とドラゴンは言った。あの場所で知ったこと。何かがあってからではもう遅い。
 無知は死。容赦なく死。
 予めできる限りのことはしておかなければならない。あの世界では不覚の内に事態が動き、空が
崩れ星が壊れた。今回もなにが起こっているのか分からないという点では同じだが、この世界には
崩壊に直結する封印も、神の御使いも存在しないはず。
 何が起こっても不思議ではないし、勿論何も起こらない可能性だってある。しかしいずれにせよ、
時間はある。
 猶予。それがたったひとつの救いであるように、ドラゴンには感じられた。

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:29:57 ID:uzxeet2l
支援

210 :×DOD 六章一節 9/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:31:50 ID:/EopycYX
「『赤き鎧』……こないな魔物、他にも?」

 シャドウの亜種を想像して、黒い鎧に目を落としてからはやてが尋ねるが、そういう種類のもの
とは違う。

「魔物ではない。魔物が纏う、甲冑そのものだ。恐らくおぬしらにとっては最悪の相性であろう」
「見くびらないで戴きたい……と言いたいが、何かがあるのですか」
「魔法のほぼ一切を跳ね返す鎧だ。人間の魔導など相手にもならぬ」

 言葉を引き継いで口を開いたシグナムは、衝撃から気勢を殺がれて言葉を失った。
 驚愕に目を見開いたはやてが、絞り出すような声で言う。

「そないなのが……!」
「あの機械兵にも似たものが居たが、あれよりも数段性質が悪いな。単純に魔法に強すぎるのだ」

 我が爪や牙ならともかく、魔力を込めた程度の炎ではどうにもならなんだ、と付け加える。
 はやては血の気が引く思いがした。そんな物を持つ敵が魔導士に襲いかかってきたら、たしかに
それはもうどうしようもない。
 どう考えても相性が悪すぎる。近接戦闘が可能な者はまだいいとして、クロスレンジでの戦闘の
スキルを持たない魔導士には天敵以外の何ものでもない。それが言葉にせずとも分かってしまい、
まわりで聞いている者たちも皆同様に身体を強張らせた。

「対処法は」
「魔法を使わぬことだ。斬り斃す以外にない。それと見たら、報せてはくれぬか?」

 同じ世界を生きた者として、ある種の責任を感じつつドラゴンが言うのに対し、はやては無言で
頷いた。願ってもない申し出だ。



 それを境として、ドラゴンからの話そのものは最後となった。
 まさか見知った魔物の知識を全て、今ここで吐き出してしまうわけにもいくまい。時間はあるが、
それこそ日が暮れるというものである。
 隊を預かるはやてはまだいくらか質問をしてくるものの、それ以外にドラゴンに話しかける者は
居なかった。新たな敵の出現に、皆ある程度の動揺や衝撃を受けている様子はあるが、それが現在
目の前で襲いかかってきているという訳ではない。そろそろ終いという空気が、魔導士たちの間に
流れつつあった。

「あのっ!」

 しかしここで、声が上がった。
 弾かれたような、切羽詰まったような声色だった。
 反射的に視線が集中する、その先にいたのはキャロであった。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:33:55 ID:uzxeet2l
支援

212 :×DOD 六章一節 10/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:39:40 ID:/EopycYX
「……その……」

 そのキャロはしかし、視線の重なりを一身に受けて、しおしおと勢いを失っていってしまう。
 声をかけられたドラゴンは黙り込んだまま見つめ返すだけで、応じるばかりか口を開く素振りも
見せない。キャロはどう続けていいか分からなくなって、言葉を失い閉口してしまった。
 何かが言いたくて言葉を紡いだのではなかった。
 どうしようもなく突き動かされて、勝手に口をついて出てしまった。そんな感じだった。

「アイツのことだろ」

 そこに向かって、助け船を出したのはヴィータだった。俯いてしまった頭にぽんと手を乗せて、
途絶えてしまった言葉を確認するように、引き継ぎながら問いかける。
 キャロは小さく頷いてみせた。
 この場にきっと姿を見せるだろうと思っていたのに、いつまで経ってもカイムは現れなかった。
ずっと探し続けていたのに、影も見えなかったのだ。

「あいつ、笑ってた。怒ってたのに、笑ってたんだ」

 赤い竜鱗を見上げながらの言葉に、そうか、とだけ竜は答えた。
 名前は出さなかったけれど、誰を指しているのかは皆理解していた。戦場に赴かなかった者も、
彼の鬼気迫る激昂を間接的に聞いてはいた。
 それ故に沈黙が降りた。
 そしてすぐに破られた。

「粗方はそこの黒金に話した。又聞きに聞いた者も居よう」

 まるでざざざっと音を立てるような勢いで、主には又聞きにも聞いていない新人たちの視線が、
今度はフェイトに集中して狼狽させる。
 いいのか。いいのか話して。そんなふうに思いながら、助けを求めるようにドラゴンを見やるも
返答はない。
 実際ドラゴンは、構わないと思っていた。
 カイムの意思がどうだろうと関係なく、このまま戦いが続くのならば、精神の異常性などいずれ
明るみに出るしもう既に知られてしまっている。早いも遅いも、関係ないのだ。
 そんな思いを他所に、なのはやはやてをフェイトが見ても、如何ともし難そうな表情を浮かべる
だけで。
 恐る恐る、フェイトは言葉を選んで切り出した。

「御両親を……その……それで……」
「復讐は蜜の味、ですか」

 フェイトが言うのに合わせて、眉を寄せながら口を開いたのはシグナムであった。
 復讐される者として生きてきたから、彼女をはじめヴォルケンリッターの仲間たちはもちろん、
今まで決して温かい目を向けられてきた訳ではない、彼女たちの主はやてにもわかる。
 人は蜜に酔う。
 蜜は精神を歪ましめ、やがて深き淵へと誘うもの。

「あやつは憎悪に身を委ね、幾千の異形を斬り幾万の人を殺した」

 ドラゴンは頷く代わりに答えた。人殺しのくだりになって、魔導士たちは体を強張らせた。

「人間の脆弱な精神が、戦場で正気など保てる筈がないのだ。戦うたびにカイムは病んでいった。
 その結果があの鬼の面よ」

213 :×DOD 六章一節 11/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:43:06 ID:/EopycYX
「……そうじゃ、ないんです」

 だが、一拍の後、キャロは静かに言った。
 これはさしものドラゴンも分からず、疑問を感じながら、俯いた少女の姿を見下ろす。
 確かに、わからないことだらけではあった。
 でも分からないから、それがどう、っていうだけじゃない。
 そんなふうにキャロは思う。

「話が聞きたい、とか……それもあるんですけど、その、そんなのじゃなくて……」

 聞きたくなかったわけじゃない。
 知りたいか知りたくないかと言われれば勿論知りたい。
 でもそれ自体にあまり意味はないのではないかと、キャロは過去を振り返りながら思ってもいた。
 ただ漠然と、傍にいてあげたいと思ったのだ。
 打ちのめされたり、どうしようもなく心が沈んだ時、自分の傍にはフリードリヒがいた。
 旅を終えてからはフェイトもいたし、優しい同僚たちもいた。
 ずっといつも、誰かがいてくれた。
 そう思い返してしまったのだ。

「……だそうだが、どうだ。カイム」

 総員、はっとして振り返った。
 ドラゴンの視線の先、魔導士たちの背後から、ゆっくりと足を進める者がいた。
 近づくにつれ、輪郭がはっきりと分かってくる。革の外套を身に付け前髪で目を隠す、キャロが
森で目にする、いつもの姿がそこにあった。
 カイムだった。

「気持ちの整理はついたか」

 否と分かっていて何故尋ねるか、とドラゴンは自嘲した。
 カイムは案の定無言で否定し、そのままシャドウの亡き骸の目の前まで歩み寄ってゆく。突然の
登場に対して皆、何と言葉を掛けるべきか分からなくなってしまい、ただ歩みの邪魔をせぬように
道を開けるばかりであった。
 おずおずとキャロが伸ばしたてのひらも、カイムに素通りされて行き場を失った。

「あ……」

 右手を引っ込めながら、冷めきらぬ余怒の気配をキャロは感じた。
 横顔を見ると、目の中にぐちゃぐちゃとした光を見たような気がした。
 次々と記憶を呼び起こし、ごちゃ混ぜに展開しているような、はっきりとしない色をしていた。

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:46:33 ID:uzxeet2l
支援

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:46:42 ID:IvzIsuKX
止まった?支援する。

216 :×DOD 六章一節 12/12 ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:52:38 ID:/EopycYX
「駄目だ。心は読めぬ。人間とは勝手が違うらしい」

 カイムがそのまま草地に膝をついて、シャドウの死骸の胸部、大きく裂けた鉄鋼に掌を当てると
ドラゴンはそう言った。
 話が始まってから随分長く時間が経っているようであった。照り返される陽光が、白色から色を
帯び始めている。
 その様を見ながら、忌々しげに舌打ちを一つ。
 されど何も変わらず。

「少し話したが、良かったか」

 その問いに対しては、隠しきれぬ懊悩の気配を孕んだ『声』が返ってきた。
 豊かな感情を持ち優しい精神を保つ正常な人間たちの姿は、己の異常さを自覚する人格破綻者に
とって苦痛以外の何物でもない。
 彼女たち魔導士は、言うなれば鏡だ。己が異端を空しく確かめさせる存在でしかないのだ。
 ただ声色の根底には、幾ばくかの無関心さも感じられた。別に何を知られたからといって、あの
忌まわしい日を忘れられる訳ではないし、そのつもりも毛頭ない。
 それでも、巻き込んでしまっているという思いはあるようで。
 巻き込まれているという感覚もあるようだった。



 次々と駆け巡る記憶の中、目の光は混沌としたまま揺らいでいた。
 キャロはとうとう、言葉を紡げなかった。
 フェイトもエリオも、魔導士たちも、ただそれを見守るしかなかった。
 陽が傾きはじめた。

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:54:38 ID:qGkMXYoO
しえん

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:55:55 ID:CCMxvmY4
支援

219 :×DOD 六章一節 あとがき ◆murBO5fUVo :2008/06/14(土) 23:56:20 ID:/EopycYX
更新が遅くなってしまい、首を長くしていらっしゃった方には本当に申し訳ありません。
加速度的に忙しくなっているのとそもそも展開自体が難しくなってきているのとで、この先は難産が続くかと思います。
今までのように週一交互ペースという訳にはいかないかと。
それでもまだまだ続くので、というか本当に書きたかったのはこの先なので、どうか見守っていてやってください。



余談ですが武器オールLV4作業中、残りがメイスのみになった時点でついにキルカウント6ケタ達成しました\(^o^)/
ちょうどいいからと他の武器も使ってみているのですが、どれもこれも作り込んであってまだまだ楽しめそうです。
こんなこと言ってると販促野郎みたいですがw


以上、事情により携帯投下でした。遅いペースになってしまい申し訳ありませんでした。
次回更新はピポスバルの方になります。ではまた。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 00:04:13 ID:+N9yH6df
GJ!
敵の正体について語られ、
ついに他のメンバーにもカイムの過去が知られることになりましたね。
どんなドラマが起きるか楽しみです。

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 03:35:01 ID:2D5jVSjW
うわっは、GJ!
赤い鎧……材料が材料だけに量産できないのが救いですかね。
でも魔術師連中も大抵跳ね返すし、連中は30体分身だの戦術級ゴーレムだの使うからなぁ。
中身のグロさ考えるとミッド魔導士にカルチャーショック与えそうだ……

222 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 08:51:42 ID:CEnIlTdG
初投下+短めですが9時半頃に投下さしてもらってよろしいでしょうか?

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 08:57:06 ID:9tOGXyIp
是非もないがまずはクロス先を教えてくれないか?

224 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 08:59:52 ID:CEnIlTdG
一応ARMSで書いたんですが

まだリリなのキャラが出てないと言う……

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 09:01:15 ID:XEvxPslP
GJ、あの反射する赤い鎧、ミッド式だと手も足も出ませんね
なのはやはやてなんかほぼ無力化されるし。落石とか効果薄そうですし。
純粋な質量攻撃が出来るヴィータやシグナム スバル ザフィーラしか対抗手段無いんじゃ。 

226 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:29:53 ID:CEnIlTdG
では、今から投下します

227 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:30:47 ID:CEnIlTdG
私は空を飛べる。
別に狂ってるわけでも虚言癖があるわけではない、本当に私は空を飛べるんだ。


でも…それでも……自力で飛べた事よりも、ずっとずっと嬉しかった事がある。


異世界から来た男の人 巴 武士君 との出会い。
私を外の世界へと導いてくれた、不思議の国のアリスに出る白兎の様な人。
彼の腕の中で見た空を私は一生忘れる事がないだろう。




228 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:31:39 ID:CEnIlTdG
プロローグ『暗転〜ブラックアウト〜』




(せめて…人間の姿のまま死にたかっただろう……)

自分が殺したハインツ達の為に涙を流しながら、自らも満身創痍であった少年-巴武士-はビルに倒れこむ。
ARMS-ホワイトラビット-が即座に修復を始めるが、この重症では流石に再生が遅い。
再生が終わるまでしばらく暇になった武士は仲間の身を案じる。

(高槻君に隼人君は大丈夫かなぁ?)

“バンダースナッチ”を止める為に先に行ってもらった仲間の安否が気になる。
今は滅びの女神となってしまったが、赤木カツミは高槻涼の幼馴染。
いざという時はカツミを殺すと言い切った涼だが、内心複雑だろう。
しかもあの場にはキースホワイトもいた、彼もかなりの強敵なはずだ。
しかし、武士は悲観したりしない。

(あの二人は強い!
僕だって皆のおかげで立ち直る事ができたんだ。
きっと…いや、絶対カツミさんも帰ってくる!!)

武士は最終形態を解いて第一形態となったARMSを見て過去を振り返る。



弱虫だった自分。人間不信だった自分。
そんな僕が今ではアリスの“勇気”を象徴するARMS-ホワイトラビット-に認められるまで成長できた。
短い間だったけどアリスに外の世界を見せる事ができた。
僕は…僕は……っ!!

思い出すと涙が出そうになる。

229 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:32:03 ID:CEnIlTdG
楽しい事も多かったけど、それ以上に辛い思いをしたかもしれない。
でも、僕にとってはこの旅は有意義なものであったと思う。

高槻君、隼人君、久留間さん、カツミさん、アル、アリス、ユーゴー、李さん、
兜刑事、高月君のお母さん、ブルー、キャロル、スティンガー、、父さん、母さん、麻耶
そして――ホワイトラビット。

何人もの人と出会った。
もう会えなくなってしまった人もいる。
それでも、僕はこの人たちから大なり小なり何かを得てきた気がする。
だから僕は生きたい、生きて誰かに何かを貰いたい。
そして、そして僕は誰かに何かを伝えていきたいんだ!


―――あれこれ考えている内に再生は粗方終わったらしい。


「後は高槻君達に任せよう」
『そうだな巴武士よ』

ホワイトラビットと互いの意思を確認して歩き出す。
キースホワイトの他にも敵はごまんといる。
ならば僕はそいつらを食い止めよう!
ブルーメンの皆を守る為に―――


★           ☆           ★


230 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:32:58 ID:CEnIlTdG



「さらばだ…崖…」

修羅となった弟に引導を渡した高槻巌。
しかし彼は油断していた。
ARMS殺しのジャバウォックの爪、これで真っ二つにしたのだからいくらARMSであろうとも死ぬ。
この考えが命取りであった。
崖の執念はARMSの生命力を結びついて最後の一撃を出す力を搾り出す。

空間の断裂、いや、これは空間の穴と表現したほうがいいかもしれない。
今までとは比べ物にならない大きさの空間の断裂が巌を襲う。
その様子を見て満足げな笑みを浮かべた崖は今度こそ塵となって……死んだ。

「私も……これまでのようだな」

傷ついた足ではこの攻撃を避ける事はできない。
目的であった弟を“止める”ことはできたので彼に悔いはなかった。
ただ妻子、そして彼らの仲間は心残りであったが、彼らに伝えるべき事は全て伝えた。
ならば、ここで弟と共に死ぬのも悪くは無い…。

安らかな顔で終焉を迎えようとする巌。
だが彼の目に映った影が彼の死を拒んだ。




自分の身を引き換えに―――




★           ☆           ★


231 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:34:27 ID:CEnIlTdG


あの時僕が見たのは、高槻君のお父さんであろう人が攻撃されている所。
どうやら敵の攻撃は空間の断裂の強化版らしい。
地面や隣接するビルがあっさりと削り飛ばされて何処かへ消えていった。

どうする?
いや、どうするなんて決まっているじゃないか!

ホワイトラビットが本調子じゃない?
それでも行くっ!!

ARMSを動かすのは強い意志!
だから僕は願う…早く!もっと早く!!

高槻君のお父さんを掴んで攻撃を避ける。
後3メートル、2メートル。

駄目だ!間に合わない!!

僕は高槻君のお父さんを前に思いっきり投げた。


どうやら僕の旅はここで終わりらしい。
皆、頑張ってキースホワイトの野望をとめてくれ……


空間の断裂が僕の目の前にきて――――僕の意識は途絶えた。





   ARMS×なのはA'sクロス
『リリカルARMS〜白兎は再び少女と舞う〜(仮)』
      

         始動



232 : ◆2Hhda2DCyQ :2008/06/15(日) 09:36:10 ID:CEnIlTdG
投下終了

ちなみに最後の空間の断裂は分かりやすく言えば
ジョジョ3部のクリームの範囲が広い版みたいなものです

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 13:11:05 ID:WZEJnTvv
時系列がよくわからない…

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 13:24:02 ID:URpAA6Ih
>>232
次回を楽しみに待つよ

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 14:05:33 ID:BzCWMZpD
>>233
ちゃんと読んでれば分かるだろ、てか、これで分からないなんて
お前の読解力は小学生以下か?

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 14:21:38 ID:S+lJ9I6d
これでARMS系連載は二つ目ですね。頑張って下さい


237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 17:56:53 ID:4OpP4Wc2
>>235
言葉を選んだほうが良い、空気が悪くなってしまう。

>>232
乙です。

238 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 20:52:17 ID:QaOVApWt
20:55分から闇王女第七章中編を投下します。

6レスを予定、17.9KB。

239 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 20:57:28 ID:QaOVApWt
そいでは、次のレスから投下しますー。

240 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 20:59:01 ID:QaOVApWt
あの日、君は僕を救ってくれた。

後にして思えば、それこそが君を煉獄に放り込む行為だったのだと思う。

あのとき、僕に君は救えなかった。

今でも、力が無いことの悔しさを覚えている。

始まりは、いつから?

父さんと母さんが、<それ>を見つけたときからか? それとも……

僕は君だけの騎士になりたい。

だから、力を手にしよう――君を守る為だけに振るわれる、剣を抱いて。


あの日、僕は君と再会した。

ぼろぼろに壊れた君は、以前よりずっと儚くて。

復讐という行為でしか、自己を保てなくなった君が愛しくて。

手を、貸した。

その日から、決めたんだ。

僕も咎人になってでも、君とともに在りたいと。


魔法少女リリカルなのは 闇の王女 第七章中編


そろそろかなあ、と男は短く呟き笑った。
なんとも、三十過ぎの壮年の男が浮かべるものとは思えぬあどけない笑みであり、童のそれのように純粋だった。
この男に付き従う豊麗な胸元を持つ美女、ウーノは薄い紫色の長髪を揺らし問うた。

「どうなされたのですか? ドクター」

白衣が翻り、空中に展開されたモニターを触りもせずに操作した。手の甲に模様が浮かび上がり、うんうん、と何かを確かめるように男は頷いた。
ドクターと呼ばれた男――ジェイル・スカリエッティは、金色の瞳を爛々と輝かせて言う。

「いやまあ、そろそろ私達のお姫様が来る頃かな、とね。トーレの《再構築》もしたことだし、私は楽しみだよ。
古代ベルカの遺産たちも動き出した。管理局への対策は味方についた艦隊で持たせるとして、衛星軌道まであと三時間。
チンクの再改造も済んだし、あとは我らが切り札タイプゼロこと、スバルだけなんだが……」

ウーノの擬似感覚――<聖王の揺り篭>の各種センサーと連動する情報処理端末が、接近する人影を捉えた。
ナノマシンによる同調によって高い情報処理能力を得た彼女の五感が、瞬く間に接近する人物を割り出す。光学カメラと擬似視覚を連動。
青い髪、額の白い鉢巻、金色の瞳、整った身体。身体に張り付くようなボディスーツが、鍛えられた人工筋肉を露にしていた。
意志の強そうな顔立ちは嘆きに染まっていたが、今は強い決意を感じさせる面構え。
右手のリボルバーギムレットは高町なのはとの戦闘で破損し、鋼でできた内部機構を剥き出しにしている。
なんとも痛々しい姿だったが、凛々しい雰囲気を持っていた。

「ドクター、スバルです。《封印措置》した記憶を取り戻したことが、チンクとの会話で判明していますが、いかがなさいますか?」

スカリエッティは如何にも愉快で堪らない、という顔になると立ち上がり、言った。
記憶の《封印措置》という安全ピンが外れたことも、この男にとってはどうでもいいことらしかった。
狂人の思考回路に、危険や安全は関係ないということか。

241 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 21:00:05 ID:QaOVApWt
「この世は私を退屈させてくれないなぁ……いやはや、なんとも形容し難い悦びだよ。ウーノ、彼女をここまで通してあげてくれ」

「ドクター?! あまりにも危険です、そう易々と通すべきでは――」

「ウーノ」

スカリエッティが穏やかな声で語りかけた。
紫の葡萄色の整えられた髪を払いのけ、比較的美形と言ってよい目鼻立ちの顔を、笑みで満たし言う。
穏やかな声音にも関らず、聞くものをぞっとさせる言葉だった。
赤い唇がつり上がり、にぃっと歯が覗く。

「私は、彼女に会いたいだけなんだ――わかるね?」

ぶるり、と背筋の凍るような感覚にウーノは慄(おのの)き、創造主と同じ金色の瞳を見開いた。
衣服に覆われた豊麗な胸元が汗ばみ、冷たい汗がつうっ、と肌を滴り落ちる。
背中まで伸びた長髪が汗で濡れ、蝋人形の如く整った怜悧な顔立ちが本能的な恐怖に染まった。

「ドク……ター?」

「怖がることは無いよ、ウーノ。私の《お願い》に応えてくれれば良いんだ」

がくがくと震える手で扉のコントロールを掌握、操作する。
ナノマシンが宿主の異常を感知し警告を脳髄で響かせるが、構わずに導いた。
少しでも早く、この男の放つ強迫観念めいた圧迫感から逃れたかった。もはやなりふり構わずにナノマシンを覚醒させ、船を完璧に感覚する。
先ほど位置特定したスバルに対し、脳波リンクを作動させ無意識のうちにこちらに来るように仕向けた。
こつん、と足音が遠方から響いた。
ようやくスカリエッティの放つ圧迫感から解放されたウーノは、らしくもなく座り込み、荒い息をついた。
ナノマシンの過剰活性化による負荷である。

「ぐ……ぁ。ドクター、申し訳ありま……せん」

苦悶の表情を浮かべる女に、金色の瞳を持つ男は何も言わず手を伸ばし、顔をあげさせる。
冷や汗が滴り落ちる顎に手をかけ、屈み込み――そっと唇を重ねた。すうっ、とウーノの顔から苦痛の表情が抜け、かわって驚愕が襲った。
あまりのことに、事態に追いついてこない思考。何故口づけをされているのかすら理解できぬ、という思念が脳髄を走り、ただ衝撃感だけがあった。
否、次に痺れるような感覚が脳を侵し、今している行為への理解とともに顔が赤く、紅く染まる。
舌と舌の絡み合う情熱的な深い交わりの後、ようやくスカリエッティが口を離した。
ウーノは今や朱に染まった顔で、どこか現実感の伴わぬ視線を泳がせ、己の唇と創造主の唇に繋がる銀糸を眺めた。
唾液だ、とわかっていながら、痺れる脳髄のどこかはそれをスカリエッティと己との絆の証のように捉えていた。
ぶつり、とそれが途切れたとき、スカリエッティの韻韻とした声が響いた。

「ああ……自身の被造物とわかりながら、私はこんなにも焦がれている。この気持ち……まさしく愛だよ、ウーノ。
愛しい、愛しいとも。自分に《作品》という概念と《愛すべきもの》という概念があることを、何処までも私は好ましく思う。
ウーノ、これは愛だ――私から、私の被造物全てへの愛を君に託したい」

依然、宙を彷徨ったままのウーノの視線に白衣の男は目線を合わせ、金色の瞳と瞳とが交差する。
恋焦がれる情念に女は目元をしっとりと潤ませ、愛する男の爛々と輝く瞳を見つめた。
もう、なにもいらなかった。ただ、目の前の男がいれば。

(この人と、共に在ることができるなら、私は)

すぐに、零れ落ちるものに気づいた。これは――。

青い髪の少女は、驚いて呟いた。初めて見る、『姉』と慕った人の泣き顔に。
鉢巻がゆれ、異形の機械義手が金属音を立てた。

「泣いてるの……? ウーノ姉……」


242 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 21:00:59 ID:QaOVApWt
そこで初めて、ウーノという女は己が童女のように泣いていることを悟った。
あああ、という嗚咽と共に、どうしようもなく泣き崩れた。

後には、立ち尽くす青き少女と白衣の怪人が残る。
ウーノの嗚咽を耳にしながら、どちらともなく口を開いた。

「あたしを、ナンバーズの一人として育てた理由は何ですか、ドクター」

「スバル、君は自己の存在理由をここに求めに来たのかね? ならば、不毛なだけだよ。私の行動に意味などないさ。
あるのは刷り込まれた<無限の欲望>だけ。無意味な人体実験やくだらない兵士の量産。
その行動のどれが私の意志で、どれが刷り込みなのか、私自身にも区別がつかない。私という存在は、無価値なロジックの上に成り立つ存在だ」

「自分でもわからない、と?」

「一応の理由は在るさ。あの女、高町なのはのように強く己の意思で羽ばたける存在が、どうしても私は欲しかった。
そのための擬似的家族、姉妹だった。けれど、ね。私のあずかり知らぬところで『娘』たちは成長し、確固たる意思を持っていた。
この私より、ずっと強固な意志を。そして今、娘達は己の意思で戦おうとしている――もはや私の管理を離れて、ね」

ふう、と溜息をつき、この男は笑みを崩した。
代わりに浮かんだのは、哀切。
いずれもこの男らしからぬ、何処か死にかけの蝶を連想させる弱弱しさである。
ウーノの嗚咽だけが、スバルの耳を打った。

「それじゃあ……」

「君が今ここでどうしようと勝手さ。私の命は高町なのはと顔を合わせるまではやれないが、ね。
不確定な認識、不安定な人格――それが私だ。だから永久に自己を保存し、存在意義を問いたい。それが私の存在理由だ」

過剰に繰り返される人体実験。無意味に問う――相手の存在意義を。
あるいはその凄惨な行いそのものが、この男の心があげる苦悶の絶叫そのものだったのではないかと、スバルは思った。
金色の瞳が凛とした佇まいで、真っ向からスカリエッティを見定め、その口が開かれた。

「あたしに……力をください。皆を、守りきれるだけの……力を!!」

「何故だい? 君にとっては偽りに満ち、母の仇である私達を生かしておく理由などない筈だがね?」

青い髪が揺れ、おもいっきり力を入れてぶん殴った。加減を多少したとはいえ、あくまで怒りの篭った一撃だった。
スカリエッティの長身が吹き飛び、床に叩きつけられる。口の中が切れたのか、錆び臭い味がした。
理性の色を崩さずに、皮肉げな笑みを浮かべ言う。

「殺さずに憎むか。器用なことだ」

「違う……! あたしは、母さんのことで貴方を絶対に許さない。だけど、皆は――あたしを育んでくれた、姉妹だ。
ギン姉も、誰も殺さずにあたしは生き抜いてみせる! その為の力を――」

「君の母を直接的に殺したチンクさえ、かね?」

ぴたりと少女の息が止まり、固唾を呑む気配が伝わった。
スバルの凛とした決意が揺れて、それが動揺となって顔に表れた。
スカリエッティの呟き――あくまで無慈悲に。

「まだ決めていないのなら、早く決めることだよ。誰もが、己の命を賭けて戦おうとしている。
仇を討つのか、守るのか――いずれにせよ、選択の時は近いさ」

そのとき、爆音が轟いた。衝撃が最深部であるスカリエッティたちのいるコントロールルームへも届き、机に載ったグラスがかたかたと揺れる。
ウーノの高度な擬似感覚が<聖王の揺り篭>に取り付く無数の船体を捉え、スクリーンに映し出した。
船体に備え付けられた結晶体から放たれる高出力レーザーの前に、次々と撃ち落されて行く小型のステルス機――零れ落ちる人影。

243 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 21:01:58 ID:QaOVApWt
「管理局の武装部隊か――思ったより早かったね」

スカリエッティの言葉も、スバルの頭には入っていなかった。
何故ならば。
零れ落ち、艦内へ侵入する人影の顔は、皆同じだったから。
無表情な一律に人形的に整った顔、強健そうな鍛えられた肉体、灰色の髪。
展開された魔導師の防護服、手に保持された機能的な黒い銃身――質量兵器。

そして、指揮官と思しき女――肉体の時間操作による急速成長。戦闘機人生成技術の一つ。
青い長髪、引き締まった凹凸の多い魅力的女性体、両腕に装備された鋼の篭手《リボルバーナックル・レプリカ》。
脚部を覆うローラーブーツ《マッハキャリバー》――ブリッツキャリバーの模造品。
それは、既に死んだはずの女――冥府から蘇った亡霊。

「母さん……?」

紛れもなく、クイント・ナカジマだった。

――新たな戦禍芽ばえしとき 暗き闇の底より <鋼の戦士>が蠢き――

死人は踊り、予言は成就されんとしていた。
時空管理局最高評議会直下の戦闘機人部隊、侵攻開始。

一方、<聖王の揺り篭>周囲に展開していたベルカ独立過激派<ベルカ解放戦線>勢力下の艦船数十隻は、突然の奇襲に騒然としていた。
旗艦である、時空管理局次期主力艦船XV級『シーザー』は、漆黒の船体を不動にしながら、次々と現れるステルス艇への対処に追われていた。
艦隊司令であるウルリッヒ提督の怒声が飛ぶ。短く刈り込まれた銀髪が光り、皺の刻まれた老練な顔が焦りに染まった。

「全艦、敵ステルス機への対空射撃開始せよ! 聖王陛下の御前へ近づけるなっ!」

雲霞の如き数だった。レーダーで観測できない、のっぺりとした流線形のマンタの如き航空機が次々と<揺り篭>の防御フィールドを
機首の高出力フィールド中和装置で突破、その腹から無数の魔導師と思しき人影を吐き出し、<揺り篭>の外装に着地していく。
最初に異変に気づいたのは、光学センサーでの観測を行っていた観測班であった。
空を覆う黒の機影の群れの異常さに気づいたときには、時既に遅し。ガジェットや対空レーザー砲に迎撃されながらも、半数近いステルス機が着艦に成功していた。
残り半数は捨て駒とばかりに闇雲に飛び、クーデター艦隊の熾烈な砲火の前に叩き落されていくが、そのほとんどは爆弾を満載した特攻型無人機である。
小型の機雷艇や対空迎撃に主眼を置かれて造られた小型艦は、迎撃を終える前に突貫され爆裂した。
なす術もなく落ちていく味方の軍勢を歯噛みしながら見やり、ウルリッヒは、この老獪なベルカ人は航空魔導師の出撃を命じた。

「航空武装隊出撃。教導隊のオーバーSランク――アグレッサーも出せ」

「提督?! あれは時空管理局の本隊との決戦に用いるのでは――」

「今出さねば、こちらの対空迎撃網は壊滅するぞ。最高評議会の糞爺どものシナリオ通りな」

「……ッッ! 了解」

かくして、空中戦の火蓋は切って落とされた。
XV級『シーザー』が各艦に航空戦力の出撃を命じた直後、大規模な転移魔法陣が艦隊の下方に現れるのが、魔力探知機によって確認された。
防空型兵装艦に改造されたL級次元航行艦『ミーティア』がその様子を全ての艦隊へ送信させ、一斉に砲門が蠢いた。
各艦魔力炉から膨大なエネルギーが砲門へ流れ込み、環状魔方陣と共に主砲が装填される。

「提督っ! 敵兵器、転移してきます。艦種不明――いえ、例の事件で確認された船『アースラ』です!」

「魔力砲装填、転移空間座標に向け発射せよ――同志<C>の言う<闇の王女>とやらには御退場願おうか」

発射。
閃光が弾け、転移空間が眩い光の渦――空間湾曲によるエネルギー拡散の閃光が見る者の眼を焼いた。
今やどんな現行艦をも上回る兵装を装備した、悪夢の如き船。
四本のブレードフィンが展開され、広域に防御術式ディストーションシールドを発生させていた。
馬鹿げた出力の《歪める盾》の前に、十数条の魔力の奔流が打ち消され、霧散し大気中に魔力素の粒子をばら撒いた。
次世代型管制デバイス<オモイカネ>によって統制される、白亜の船影がそこに在った。

244 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 21:04:29 ID:QaOVApWt
驚愕と、一瞬畏れににも似た感情がウルリッヒの心中に沸き起こるが、すぐにかき消された。
冷徹な殺意が芽生え、幾多の同胞を焼き殺してきたおぞましき船に向け、すぐに代替プランが練られる。

「アグレッサーを奴にぶつけろ。零距離の砲撃魔法ならどんな化け物も吹き飛ぶ筈――」

「敵艦から魔導師と思しき機影が発進。ッッ、<闇の王女>です」

スクリーンに、魔導師の姿が映し出された。
否、これを魔導師と言ってよいのか、と首を傾げたくなるような異形だった。
魔導師の騎士甲冑を覆い隠すほど巨大な翼――それが、敵の姿。
紫色の機首はさしずめ白鳥の首のように尖り、巨大な翼は慣性操作によって凄まじい超音速の加速――戦闘機をはるかに凌駕するレベル――を叩き出し、
空気抵抗を切り裂き、衝撃波によって周囲の無人ステルス機を薙ぎ払い、崩壊させる。
高機動形態とよばれる、高町なのはの騎士甲冑の超音速突撃形態である。
異形の機影は瞬く間に消えうせ、クーデター艦隊の中心にジャンプ――こちらの防衛網を逆手に取った転移。

「何が起こった?!」

「敵、転移魔法です! 馬鹿な……一瞬で編んだというのか……?」

同士討ちを警戒して対空砲しか撃つことのできない艦隊を、黒い機影が翻弄する。
ガクガクとしたUFOじみた機動の前に対空砲火は面白いように当たらず、当たったとしても強大な見えざる盾に軌道を歪ませられ、
一度としてその騎士甲冑をかすりもしない。まさに白昼夢を見ているような気分になるほど、黒騎士の力は圧倒的。

「ディストーションシールドだと?! 戦艦級の出力です……化け物がっっ!!」

そんな中、乱れ飛ぶ対空砲火の中を音速で飛び、異形に接近するクーデター軍アグレッサー部隊の魔導師。
手には長大な杖が握られ、二十数発の魔力誘導弾が発射される――ディバインシューター。
本来数発が限度の誘導弾は、オーバーS魔導師の手にかかれば数倍の威力と弾数を持つものへと早変わりする。
黒騎士のディストーションシールドの前に全て逸らされ、超音速の衝撃波によって魔導師の身体が宙を舞うが、全ては予定通り。
にやりと嗤い、周囲に展開していた部隊の仲間の砲撃を一点へ集中させるべく、バインドを展開。
全魔力を用いた魔力鎖が絡みつき、その機影を特定の空間座標へ捕らえる。
みちみちと魔力鎖が千切れんばかりに引っ張られ、瞬く間に砕け散っていくも、その動きが一瞬止まる。

「これで終わりだ、黒助! 砲撃照射ァ!!」

魔力が爆発的な勢いで解き放たれ、戦艦の副砲に匹敵する純粋魔力砲撃が、全方位から浴びせかけられていた。
如何にディストーションシールドが強力な――それこそ戦艦の砲撃を弾くほど――防御とはいえ、弱点は多少なりとも存在する。
かの<プレシア・テスタロッサ事件>で、大魔導師プレシアの次元跳躍攻撃がアースラにダメージを与えたように、強力な一転突破型の集中砲火を用いるというやり方。
もしくは、シールドの耐久限界を上回る量の純粋魔力を全方位から浴びせることで、防御術式そのものを崩壊させる、というやり方だ。
この場合、アグレッサー部隊が取ったのは後者の方である。ディストーションシールドそのものを崩壊させ、直接装甲に攻撃をぶち当てる。
オーバーSランク魔導師による編隊だからこそ可能な、最強のフォーメーションだった。
じじじじ、と空気が焼き焦げる音の後、閃光が弾け、爆音と爆風が耳を潰した。
つあっ、とアグレッサー部隊の隊員が呻き、閃光の中心を見やった。続いて、数十発の魔力弾が撃ち込まれ。

――青い輝きが目を焼いた。

知らず、呟きが口から零れた。畏怖と戦慄に満ちた言葉。

「あ、悪魔……」

紫色の翼は消え去り、白鳥の首を思わせる機首は捻じ曲がり、離脱。
だが、それだけだ。黒い剣のような新たな翼は禍津神の、死神どもを統べるそれのように背中から生え、慣性操作によってその身を宙に浮かべている。
身体全体は、以前にも増して装甲圧をました漆黒の騎士甲冑によって覆われ、鉤爪の如き篭手が、
黒い外殻に覆われ、槍のように尖った黄金の矛先を持つ杖、レイジングハート・エクセリオンを保持している。
頭部は鋭角的シルエットと流線形の同居する仮面にすっぽりと飲み込まれ、表情が見えない。
テールスタビライザーが尻尾の如く蠢き、杖を掲げてそいつは宣言した。
くぐもった女の低い声が、響き渡った。

「悪魔でいいよ……我、使命を受けし者なり」

245 :闇の王女 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 21:07:00 ID:QaOVApWt
桜色の魔力光が集束し騎士甲冑胸部が、青い輝きを放った。
杖の先に集まった魔力光が、一閃された。ごっ、と瞬きする暇も無い砲撃が視界を焼き潰し、部隊長の身をを煉獄の業火に似た灼熱感が焼いた。

「うあああああぁぁぁぁっ!」

意識を失い、落下するその身体を確保しようとする者と、攻勢に出る者の二つに部隊が分かれ、隙が生まれる。
両者の勝敗が決した瞬間だった。術式行使――強力なバインドがアグレッサー部隊全員の身を拘束し、数瞬の間固定。
なおも、朗々と謳いあげる――あの日、手にした正義の祝詞を。

「契約の下、その力を解き放て――風は空に、星は天にっっ!!」

包囲網の外へ脱し、砲撃魔法を『高速で』唱えあげた。
レイジングハートが、機械音声で魔法の詠唱を自動化し、手助けする。
風が吹き、冷ややかに黒騎士の装甲を撫で上げ、巨大な魔方陣が展開され、

『Divine』

「バスタァァフルパワァァァァッッ!!」

広域直射型砲撃魔法――ディバインバスター・フルパワー。
十年前、六個のジュエルシードを同時封印する際に用いられたディバインバスターのバリエーションであり、圧倒的な放射域を誇る魔法。
その桜色の魔力砲撃がバインドで固定されたアグレッサー部隊の身体を飲み込み――灼熱で焼き失神させた。
非殺傷設定での砲撃――ルーテシアとの誓いで思い出した、かつての自分。殺すことなど、考えもしなかった自分。

(もう、殺さなくていい)

たった一言がなのはを怨嗟に満ちた地獄から救い出していた。
女は、もう今を嘆かない。

失われたもの――失わせたもの――失わなかったもの、失わせないもの。

すべては、この胸に宿っているから。
墜落していく彼らを見やり、加速して艦隊の最中から脱出し――ぞくり、と首筋の毛が逆立った。
<聖王の揺り篭>の青と金の外装に取り付いた漆黒のステルス機が十数機まとめて爆散し、続いて光が奔った。
それが、なんなのか一瞬判断がつきかねたが、本能的に避けていた。
かする――消え去る。
上昇し、かろうじて致命傷を避けた。
左肩部甲冑が無くなり、再構築されるも、襲い来る閃光の回避に精一杯で反撃の暇が無い。

それは、神の刃の如き光の剣。
リミッターを解除された、出力最大のIS<ライドインパルス>。
手足から数本の光刃を生やした銀色の機影が、なのはの眼前で停止し、ソニックブームで全てをなぎ払った。
咄嗟にプロテクションで衝撃波を凌ぐと、凄まじい圧迫感が目の前の人影から放たれていることに気づく。

銀色の刃物。そう形容するのが相応しい、四肢からインパルスブレードを展開した人影は、身体をボディスーツで覆っている。
今までのナンバーズのものと同じデザイン――しかし、白金色のそれを同一の印象で見ることはできなかった。
顔を鋭角的――戦闘機の機首の如きヘルメットで包み込んだナンバーズの三番目、トーレは、風防を開くと歯を剥きだしにして笑った。

「見つけたぞぉ、高町なのはぁぁっ!!」

銀色のプロテクターを装着した四肢が煌き、眩い光を放って大気を焼いた。
青い髪が風圧に揺れるが、金色の瞳はそんなことを意に介さず、長身をぴんと伸ばす。
豊満な胸からかろうじて女と分かる、銀色の機影は高速機動を再開――なのはに襲い掛かった。

「妹達には、手を出させんッッ!!」

「そこをどけぇぇぇ!!」

超高速戦闘、開始――仮面舞踏会の、始まり、始まり。

246 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/15(日) 21:09:28 ID:QaOVApWt
以上で投下終了です。
トーレさんはなんというかこう、スーパーモードとか、特甲レベル3とかあっち系の
とっても強いモードという感じでご想像ください。

感想等よろしくお願いしますー。

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 22:04:25 ID:qjczm5bY
GJ!
トーレとなのはのバトルキター!

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 22:33:33 ID:yRJ1ExQG
GJ
血と涙のダンスを踊るわけだな
ラストダンスにならなければいいが…


249 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/15(日) 23:44:51 ID:4DxnMdTP
0:00に予約します
少々短いですが……

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 23:59:19 ID:TJWzhUTP
支援
明日からの景気づけにどんときてください

251 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/16(月) 00:00:51 ID:tjJplEKI
それでは、投下します。

 魔法において、室内で覚えること、つまり座学が占める割合は驚くほどに多い。ともすれば、室内はおろか、
横になっていても学べることはかなり多く、種類によっては半分以上にも上ろう。
 これは法を犯し、身を隠すべきフェイトたちにとって非常に都合が良いことこの上ない。結界を張る必要すら
ないのだ。存分に指導に当たれる。
 問題があるとすれば、ただ一つ。わずか数日でフェイトが教えられること――あくまで室内での学習に限って
の話だ――がなくなってしまったなんて、不測の事態が起きたことだった。
 さもありなん。クロノが最後まで維持していた記憶はイデアシードの制御に関わることに他ならない。ならば
どうして魔導の法を忘れえよう。
 クロノはただ自分が魔法を使えることを忘却していたに過ぎない。
 体と脳に刻まれた技術は決して裏切らない。クロノはフェイトに魔法を教わっているようで、実際は埋もれた
過去の発掘を手伝ってもらっていたに過ぎない。
 無論、それとてただ一人で出来ることではないし、数日もの間クロノの技量が及ぶ限り指導をしたフェイトの
知識は九歳の子供としてだけではなく、およそ魔導師一般において非凡なものではないことの証明でもある。
 クロノはフェイトとは異質の天才だ。遺失技術を再生し、それをコントロールせしめる知能と制御技術は既に
唯人の理から外れている。
 それを相手に、記憶を失っていたとはいえ数日もの間理論構築を教えられたフェイトは十分以上に一流だ。誇
りに思いこそすれ、卑屈に思う必要も、まして恐れる必要などどこにもない。
 そもそもがクロノへの指導はフェイトにとって余分なのだから尚更だ。
 とはいえ、それは理屈に過ぎず、その理屈すらも知る者は誰一人いない。
 一を教えるだけで十どころか連鎖するように二十、百と魔法技術を習得する異常を前に、誰もが混乱を抱いて
いた。他ならぬクロノ自身とてその例に漏れず、襲い掛かる既視感を持て余し顔色を曇らせていた。
 これは、良くない。
 理屈はわからねど、本能からの直感でアルフは一人胸中で唸った。
 アルフは別段、それほどクロノのことを思っているわけではない。いまだ警戒が先に立つ。
 それでも、これはよくないと思う。
 仄かに薄暗い――結界の効果か、それとも、住人の心境を映してだろうか――部屋の中、クロノが生み出した
いくつもの魔力光に照らされたフェイトの顔色は優れなかった。
 明滅しながら宙に漂う光がどれほど幻想的か。蛍を例に挙げればそのほどを想像できよう。
 だというのに、それを前にしてフェイトは顔をわずかに歪めているのだ。幻想を人の手で生み出すのにどれほ
どの技量が必要かを知っているからこそ、気軽には喜べない。
 やはり、良くない。
 こと制御において、アルフの見た限りクロノはフェイトの上を行っている。そしてそれは事実だ。これ以上は
室内で教えることはないだろう。
 フェイトの得意分野である攻性魔法は室内でそうそう教えられるようなものでもない。大規模な結界を張ろう
にも、身を隠している彼女たちにそれは不可能だ。
 つまりは手詰まり。しかしこの閉塞感が部屋の中に満ちることを、アルフはよしとしなかった。
 部屋の扉は、外の世界につながっているのだ。小さな箱庭に篭ってばかりいて何になる。
 数日後、人間形態を取ったアルフの手には、海鳴温泉のパンフレットが握られていた。

252 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/16(月) 00:01:30 ID:4DxnMdTP

「う、んーーーーー。いや、いい天気だねー」

 燦燦と降り注ぐ陽光を一身に受けながらアルフはその豊かな胸を大きく反らして伸びをした。天気はもとより、
緑が多いこの場所を気に入っているのだろう。傍目からもその機嫌の良さは見て取れた。
 しかし、クロノは同じようにとはいかず、逆に居心地の悪さに眉を寄せさえしていた。不安と遠慮を胸の内に
しまいきれず、アルフを見上げおずおずとその口を開いた。

「いいんですか、僕も来てしまって」

「何言ってるんだい。アンタ一人を部屋に残せってのかい。いくらなんでもアタシャそこまで鬼じゃないよ」

 からからと笑って手を振るアルフから視線を外し、その横に立つフェイトにも目で問う。気付いたフェイトは
アルフのように笑うことはなかったが、小さく首肯した。

「うん、今まではジュエルシードの探索の時はいつも留守番してもらっていたけど、今回はちょっと長くなりそ
うだから」

「それに――」

「うわっ」

 突如として頭の上に乗せられた手の勢いに思わずクロノは悲鳴を上げた。撫でるというよりはかき回されると
いった具合なのだから仕方がない。乱暴ではあるが、悪意がないのが救いだろう。

「外じゃないと家のフェイトの一番すごいところは教えられないからね。最近ちょっといい気になってる小坊主
に思い知らせてやらないと」

「僕は別にいい気に、わわっ!」

「冗談を真に受けるんじゃないよ。そんなだから小坊主なんだ」

 理屈も何もあったものではないその物言いに、しかしクロノは微笑を浮かべた。やはりそこに悪意はないのだ。
頭を揺らされる程度は愛嬌というものだろう。
 ぐるぐると回る視界の隅では、フェイトも同じように顔を綻ばせていた。そこには数日前に顔を曇らせていた
面影はない。ジュエルシードの探索があるとはいえ、久方ぶりに外出したのがプラスに働いていた。

「それじゃあ、入ろうか」

 フェイトが歩き出す。待ってよ、という声とともにアルフが追いかけ、それに遅れるように額を押さえながら
クロノが続く。
 その足取りはみな一様に軽い。この先に何が待ち受けているかも知らないで。

253 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/16(月) 00:03:47 ID:tjJplEKI
以上です
うえ、4kbほどはあるから、それなりに大丈夫だと思ったのですが、投下すると予想以上に短いです
申し訳ありません

それと、前回、前々回と合わせて感想ありがとうございました
リリちゃとのクロスということで不安もありましたが、励みにしてこれからも頑張って書いていこうと思います

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 00:32:29 ID:5oTc9CZi
>リリ×リリ氏
GJでしたー
こういう感じのSSって結構好きなので、続き楽しみにしてます。
てか、次はなのは達と交戦ですかね。
こっちのクロノの反応が気になります。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 07:19:58 ID:ZwFqzbYw
>リリカル×リリカル
アレ? 何コレ、ここのアルフ見てると胸がドキドキしてくるんだけど?
原作での初邂逅シーンでは、意味深げで余裕な態度でなのはに近づいてきたから「何コイツ、むかつく! 俺が最強オリキャラだったら逆に余裕の態度で原作知識を利用した台詞で迎撃してやるのに!」とか考えてたのですが。
おかしいよ、このアルフとても素敵じゃね?
フェイトより年下なのに姉御肌が魅力的じゃね?
原作ではなのはに対して最初厳しかっただけに、フェイト以外に優しいアルフって新鮮でいいですね。アルフだって全然ヒロイン狙える器だよ。ナイスボディ&犬耳なんだからw
いよいよなのはとの邂逅フラグで先が楽しみです。
話の長さは、まあ確かにちょっと物足りないかも。
投下容量の決まりはありませんが、もう少し長く、場面が多い方が感想も出しやすいと思います。あざとい助言で失礼ですがw

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 10:59:10 ID:pUlAEp6M
Stylishマダー?

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 11:02:03 ID:u45HLA1P
なの魂マダー?

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 11:38:06 ID:BejKvH/U
Λも待ってますよー

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 11:41:54 ID:FyP/YKC4
(0M0)<その二人は俺が飲み込んだ

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 11:53:33 ID:qX+cw5ZA
>リリカル×リリカル氏

いや、誠にGJ!!
短い中にも登場キャラの情景/心象/関係性の微妙な変化
/新たな展開への判り易く且つ魅力的な引きが充分に詰まった
出来で、読み終えた時に喩えで無く「うぅむ!」と唸ってしまいましたよ♪

本来、制限無しで長編を書くよりも
こうして短い中にどれだけのものをスリムに詰め込めて
且つ面白さを減らさせないかの方が圧倒的に技量を要する
ので(下手をしたら只のト書きダイジェストで終わる)ので、
作品の内容と共に筆者の技量にも期待しつつ次回の投下を御待ちしております。(一礼)

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 16:45:43 ID:jKz4P0jY
EDFも待ってるにゃ

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 18:06:56 ID:QsYUZT7z
>「何コイツ、むかつく! 俺が最強オリキャラだったら逆に余裕の態度で原作知識を利用した台詞で迎撃してやるのに!」
ちょwそれは俗にいわれる最低系

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 18:11:52 ID:mg+Q5pHV
>>262
いやいやさすがにジョークだろwww

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 18:15:27 ID:WCpFtOn8
流れを読まずに 
魔法最高思想で侵略行為的に様々な次元世界を管理している状態の管理局に
因果応報とばかりにBETAやらSTMCやら幻獣、降臨者などキャラに侵略されて滅び行く…
そんなSSを希望

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 18:31:03 ID:xAq7OrGL
ケフカが全てのロストロギアを暴走させる、とか。
もちろん最初に死ぬのはケフカで。

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 18:36:09 ID:JsYnHXwN
ウロスでやれ

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 19:03:48 ID:4Pt9A6qj
>>264
星くず英雄伝の世界に放り込んでやれ。

根性で光の速度を超え、生身で大気圏突入し、地上に落下していく宇宙島を支え
元素変換も時間移動も、根性次第で何でもござれの世界だ。

魔法なんぞよりも遙かに万能だ。
しかも背景世界は超光速航行を実用化して半径数千光年に広がって植民星がてんこ盛り。
魔法世界じゃインフラも維持できません。

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 19:26:27 ID:JkY/+BWH
>>260
どっかで見かけたことがあるような…


269 :なの魂の人 ◆.ocPz86dpI :2008/06/16(月) 20:07:19 ID:d/eKF3M/
呼ばれた気がした

まあそれは置いといて、20時30分から
ノリと勢いと懐かしさだけで書き連ねた一発ネタを投下してもよろしいでしょうか

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 20:12:02 ID:u45HLA1P
(0M0)ウェーイ!!
待ってました!

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 20:17:04 ID:OlETsehG
>>270
あれ?
ウェーイは(0w0)じゃなかったっけ?


272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 20:25:27 ID:u45HLA1P

 Σ(0w0)  (0M0)

       ↓
  (゚д゚)   (゚д゚)

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 20:27:19 ID:Rvf4/vwt
>>269
承りました

274 : ◆.ocPz86dpI :2008/06/16(月) 20:32:28 ID:d/eKF3M/
 走る、走る、走る。
 耳障りな電子音と忙しない足音が響くその空間で、エリオとキャロは一心不乱に走り続けていた。
 息も絶え絶え、満身創痍になりながらも、二人が足を止めることは無い。
 一体、どれほどの時間走り続けているんだろうか?
 エリオはふと、腕に装着した待機状態のストラーダ――すなわち、腕時計へ目を向ける。
 現在時刻、二二○○時。
 走り始めたのが二一○○時だから、丁度一時間だ。
 機動六課に所属していた頃から基礎的な訓練は積んできたものの、やはり幼い二人が一時間もぶっ通しで
 全力疾走を続けるのは無理があったようだ。
 疲労のせいで思考すらできなくなった頭の中で、理不尽な感情が首をもたげる。
 何故? Why? どうして?
 一体何をどうしたらこういうことになるのか、エリオ達には全く見当も付かなかった。



 ――そう、事の発端は一週間ほど前のことだった。



 JS事件解決後、二人仲良く第61管理世界で自然保護隊として活動を行っていたときのこと。
 突如として、二人の間に凶報が走った。
 上層部から突然の異動を命じられたのだ。
 しかも異動先は第159管理世界――かなりの僻地世界だ。
 あまりにも突拍子の無い命令に、二人は猛烈な異議を唱えた。
 自分達はマジメに仕事をこなしてきたし、人々の役にも立ってきた。
 そんな罰ゲーム的な異動を受ける道理はないはずだ。
 そりゃ確かに、森の奥で巨大ゴキブリを目撃したキャロが半狂乱になってヴォルテールを召還し、
 山一つ消し飛ばしかけたこともあった。
 近くの湖畔の生態系を維持するために外来魚駆除をしていた時、面倒くさかったので紫電一閃を放ったら
 エラいことになった事もあった。
 でもいくらなんでも異動はないだろう。
 そしてこのことをフェイトに話すと、「うん、さすがに擁護できないね」とばっさり切り捨てられてしまった。
 非常に理不尽だ。
 非常に遺憾だ。
 そして結局、二人は心にモヤモヤとしたものを抱えたまま、上層部の命令に応じることとなってしまった。

275 : ◆.ocPz86dpI :2008/06/16(月) 20:33:35 ID:d/eKF3M/
 


 そして今現在、彼らは異動先の先任部隊の航行艦に乗艦している。
 そして、何故かでっかいウォーキングマシンのようなものの上を全力疾走をさせられている。
 これを理不尽といわず、なんと言おうか。
 肩で息をしながらエリオが後ろを振り向くと、同じように肩で息をしながら、
 こちらへ涙目ですがるような視線を向けるキャロの姿が視界に入った。
 この上ないくらいの哀れみを誘うその姿に、遂にエリオの堪忍袋の緒が切れる。
 視線を戻し、目の前を走る新しい上司の背中を睨みつけながら、枯れかけた喉の奥から、精一杯の声を絞り出した。

「あの……! いつまでこんなことを続ければいいんですか!? ……アムロ一尉!!」

 目の前の男――史上初『人力で動く新型次元航行艦・アーガマ』の操舵手を努めるアムロ・レイ一尉は、
 中世の海賊船に付いていそうな舵を握りながら、電力供給のためのコンベアの上を全力疾走しながら、
 こともなげにエリオの問いに答えた。

「目の前に犯罪者がいるのに止まれと言うのか! とにかく走れ、新入り!」

 そしてそれに呼応するように、彼らの背後――艦長席からアーガマ艦長、ブライト・ノア二佐の怒鳴り声が聞こえてくる。

「その通りだ! 絶対に奴を逃がすな! 今日こそあの密猟者を捕らえるんだ!」

『だから、私はまだ何も取っていないと言うに!!』

 ブライトが指差す正面モニターの先――ドスドスと地響きを鳴らしながら荒野を疾走する、
 人型巨大戦艦『サイコガンダムMK-II』の管制室から、大絶賛広域指名手配中の密猟者、シャア・アズナブルの
 情けない抗議の声が響きわたった。



 非魔導師のみで構成された実験部隊、『第13独立自然保護隊』。
 明らかに場違いなこの部隊に配属されてしまったエリオとキャロの運命やいかに!?
 彼らは元の職場に帰ることが出来るのか!?
 結局フェイトはエリオ達のことは放って置きっぱなしなのか!?
 そしてカミーユやジュドー、クリスの出番はあるのか!?

 〜機動戦士StSガンダム 次元の神秘大作戦〜

 連載予定:ぼっぴん

276 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/06/16(月) 20:36:51 ID:d/eKF3M/
クロス元:機動戦士SDガンダム 宇宙の神秘大作戦

正直反省している
運び屋リ・ガズィとかも書きたかったけど、ちょっとネタが出なかったんで挫折
とりあえずTokyo Boogie Nightは神曲ですね。異論は認めん

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 20:43:55 ID:u45HLA1P
これは実に擁護できないエリオとキャロ。
てか何故人力で動くんだww

なの魂無印最終回&なの魂A'sを楽しみにまっております。

278 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 20:55:35 ID:K+cCVS+v
人力戦艦は、どうやって動いてるんだろう?w
このエリオとキャロはステキです、GJでしたー。

そして、21:10からやたら久々なゲッター昴を投下しますー。
スバルはタイトルに反して出ませんがw

279 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:11:08 ID:K+cCVS+v
第六話「戦士の宣言 中編」

目も潰れるような閃光――比喩でもなんでもなく、実際に肉眼で見たらそうなりかねないほどの爆発が、にわかにオリオン第295惑星系を飲み込んだ。
この惑星系を根城とする昆虫人類どもの要塞惑星が、炸裂する。
爆裂した惑星の破片が超高速でスペースデブリとなって飛び跳ね、蟲どもの打ち上げた人工衛星を叩き潰していく。
幾つかの破片は周囲を航行する巨大宇宙船にぶち当たるが、バリアーによって分解され、宇宙の塵となる。
高濃度のゲッター線を応用した兵器、戦艦搭載型高出力ゲッタービームの直撃――まさしく惑星破壊級の光線は、一撃で地表を溶解させマントル層を貫通。
コアを直撃――その過程で蟲の地下基地群を焼き払い、最終的に典型的な人類居住可能惑星だったそれを、ゲッター核分裂で吹き飛ばした。

その光景をモニター越しに見ていた人類軍第七次分遣艦隊総司令、巴武蔵は獰猛な笑みを浮かべて、部下からの報告を聞いた。
腰には大型の拳銃型電磁飛翔体加速装置。装弾数30発強の、怪物じみた質量兵器だ。
太い筋繊維がみっちりと詰まった腕部を剥き出しにしつつ、空間モニターを操作する。

『敵――<虫けら>の拠点は、これが最後と思われます。出撃したドラゴンタイプ120機のうち、中破が4機。
ポセイドン30機は火力支援任務だった為か無傷です。突入戦を行ったライガー54機は大破1機。パイロットのジョン・マクレガー中尉は戦死しました』

「うわはははっ! そうか、<虫けら>どもは吹っ飛んだか。戦死したマクレガー中尉はゲッターの導きによって、我ら人類の礎となったのだ。
兵士達には十分な量の酒を振舞うようにっ!」

『はっ! ゲッターのお導きがあらんことを』

通信が切れたところで、武蔵はその寸胴の身体を後ろに向け、呆然とモニターを見つめている女に目を向けた。
一週間ほど前に<虫けら>の惑星で拾われた彼女は、肉体年齢が実年齢より非常に若く、なんらかの技術体系によって若さを保っていると思われた。
当初英語に酷似した言語を喋っていた彼女は、『アリシア』という娘に執着していた。
なんでも彼女の娘らしく、命を削ってまでその娘を蘇生させようとしていたらしい。
これだけなら、狂乱した女の戯言で済んだが、事実は違った。
彼女の娘が保存されているカプセルというのが曲者で、なんとカプセル内部は時間の動きが停止されていたのだ。
これにより腐食や腐敗の進行を防いでいるらしい、というのが艦隊技術部の見解で、現存する技術体系と違ったシステムだった。
当初、このカプセルに異常な執着を見せていた女――プレシア・テスタロッサは、不可思議な力を用い抵抗した。
まったく未知のエネルギー制御体系――彼女が魔法と呼ぶ力。
最終的に装甲機動歩兵によって取り押さえられたものの、被害は人類軍にゲッターエンペラーが参入した後、艦隊が歩兵戦で負ったものとしては最大となった。

装甲車両36両が大破。

人員103名が負傷。

元々兵器としてゲッターが運用されるようになった後の歩兵戦は殲滅戦に特化したものとなっていたし、単独で機動兵器級のエネルギーを操る人間など
敵として想定していなかったから当然といえば当然だ。
その後、頭脳侵略式尋問装置――使用後の廃人化は確実――の使用も含めた対策が検討されたが、艦隊司令巴武蔵の一言で、暫定措置が決まった。

《彼女に艦隊の力を見せ付ける》

これが艦隊の総意であり、その為にこうしてわざわざ派手な攻撃をしたのである。
ゲッターロボを百機以上動員した大規模な戦闘であり、ターゲットに設定された昆虫人類<蟲>にとっては、悪夢以外の何者でもなかった。
惑星破壊の後、ゲッター線汚染を防ぐ為の措置が取られ、艦隊戦――否、人類種による異種族殲滅の主戦は終わった。

「これは……なんなの? 貴方達はいったい――」

凄まじい笑みだった。狂笑といって差し支えの無い狂信者の顔に、さしものプレシアも怖気を感じた。
武蔵はヘルメットを深々とかぶり直すと、煙管から煙草の煙を吹いて喋った。
太鼓腹をどんどん、と叩き、快活に笑う。ジャガイモのようにデコボコとした顔が愉快そうに緩む。

「ようこそ、プレシア・テスタロッサッ! 人類の聖戦の真っ只中に今貴女はいるのだっ!!

「人類の……聖戦? この惑星一つを吹き飛ばすような行いが? それ以前に、ここは何処? 私のアリシアはっ?!」

280 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:12:45 ID:K+cCVS+v
まあ落ち着きなさいと言いつつ、武蔵は紅茶の入った茶碗をプレシアに差し出した。
近郊の農業プラントで生成された茶葉で、中々上等な品だった。紅茶を茶碗で出すセンスは疑うべきだが。
アリシアがいないことにより恐慌状態に陥ったプレシアは、無論茶を飲むことなどせずに魔法を演算し始める。
その掌に紫電が燈り、ばちばちと空気を焦がした。

「答えなさいっ! アリシアは――」

弾け飛んだ雷光をひょいっ、と事も無げに避けつつ、武蔵は続ける。
プレシアの放った電撃が司令室のの壁に当たるが、焦げ痕一つ残らなかった。
超合金で構成された部屋の天井や壁、床は高圧電流程度ではびくともしない。

「ゲッターの御業によって複製作業中だ。見てみるか?」

《複製》という言葉にプレシアが反応し、ぎょっとした様子で武蔵を見つめた。
プロジェクトFATEの技術を使ってもついに蘇ることのなかった娘を、複製する。
その行為が如何なる意味を持つのか、判断しかねた。

(少なくともここはアルハザードじゃない……でも、質量兵器を扱ってるってことは時空管理局でもない?
こんな高度文明を持った次元世界、私は確認したことが無いし……いったい、ここは何処?)

そう思案する間にも、武蔵と名乗る男はその野暮ったい見かけに似合わぬ動作で紅茶を飲み、うはははと笑った。
茶碗で茶を飲み、腰に質量兵器と軍刀をぶら下げる様子は、艦隊司令と言うより戦国の世の武将とでも言ったほうがしっくりきた。

やがて、部屋の扉が開かれ、二つのカプセルが運び込まれた。
はっ、と息を飲み見やると、そこには――。

彼女にとって唯一無二の娘が、二人並んでいた。
片方は、プレシアが虚数空間内部にまで持っていこうとした、ミッドチルダの技術で造られた保存ポッドに入った娘。
もう片方は、金の髪を揺らし、ひどく異質な技術体系によって造られた機械の中で培養される娘。
いずれも、中身は寸分違わなかった。

「え……? ア、アリシア?」

ぬははは、と武蔵が笑い、ゲッターの素晴らしさについて謳いあげた。
司令室から見える光景――武蔵の背後では、百数十機の深紅の巨人が宇宙空間を超光速で駆け巡り、蟲の大型機動兵器の残党を潰して回っている。
数百メートルはあるムカデの如き機動兵器が、全身の節に装備された光線砲を稼動させ弾幕を張るが、ゲッターロボの用いる防護膜の前に中和され、
無意味な足掻きに終わる。ゲッター線を高濃度のバリアーとして利用するこの技術は、大抵の射撃武器を無効化する恐るべき盾だった。
十数本の巨人の投げ斧が投げつけられ、ムカデをバラバラに解体――爆散。動力源である核融合エンジンが小型の太陽となって散った。

「驚いたか? すべてはゲッターの御業――」

武蔵の口上も耳に入らず、ただただプレシアは立ち尽くした。
彼女の明晰な頭脳すら想像がつかない事態が、眼前で起こっていたから。

培養ポッドの中の娘が、目を見開き、口を開いた。
紅い瞳がプレシアを夢見るような瞳で見据え、うっすらと呟いた。

『お母さん……?』

果たして、プレシアは狂喜した。静止の手も振りほどき、培養ポッドに駆け寄る。
その冷徹そのものだった顔は狂ったような笑みに歪み、この女のものと思えぬ華やかな声が響いた。

「アリシアッ! アリシア、アリシア、アリシアッッ!!」

あああ、という呟きと共に女はカプセルにしがみつき、黒い長髪を揺らした。ウェーブのかかった髪が風に舞った。
何よりも愛しい我が子を守るべく、息を吐いた。広域結界を張りめぐしながら問う。

「どうやって、この子を蘇らしたの? ここは――」

281 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:14:04 ID:K+cCVS+v
「少なくとも、貴女の言う《アルハザード》とやらではないが、この程度の技術、今の人類にとって造作もないことだ。
その為には、ゲッターエンペラーの記憶に取り込まれる必要があったわけだが、アリシア君の場合、それは実にうまくいった。
エンペラーが必要と認めたからこそ、俺と同じように人造人間としてアリシア・テスタロッサは生まれ変わったっ!!」

「人造人間……?」

プレシアの脳裏に、出来損ないとして見捨てた娘の遺伝子細胞を持つ少女の姿が浮かんだ。
フェイト・テスタロッサ――出来損ないの人形だが、それと今目の前にいるアリシアが同じ存在とは思えなかった。
武蔵が何かを察したように言い放った。

「何も心配することはない――艦隊が本隊に合流すれば、貴女にも全てが理解できる。
彼女は《使いの者》として貴女の故郷ミッドチルダと、我々地球人類の末裔との折衝を担う役となるのだからっっ!!」

「地球……? 第97管理外世界だというの?! ここが」

がたいのいい短足寸胴の男は、軍刀を弄くりながら大笑いした。なんとも愉快そうであり、プレシアにとっては理解の及ばぬ笑みである。
ひとしきり笑うと、このゲッターに忠実な人造人間は真顔で言った。

「正確には、地球から進出して数千年――もはや地球に縛られているだけの生き物ではない。
偉大なるゲッターの意思に恭順した戦士であり、進化の意思に沿って進み続けるもの、それが我々だっっ!!」

かくして、魔法の世界の住人達の与り知らぬところで、事態は動き出していた。
すべては、大いなる進化の意思の命ずるままに動き始め、個々人の力など盤上の駒でしかない。
狂言回しが揃った今、何を躊躇うことがあろうか。
惑星を叩き潰し、異種族を天の星に等しい数滅ぼしてきた、すべての人類種を統べる王の戦艦(いくさぶね)が、烈火の如き赤と共に顕現した。

「見ろっ! これが、これこそがゲッターエンペラーだっっ!!」


次元世界ミッドチルダ首都クラナガン近郊、廃棄都市区画。
駆け抜ける。一陣の風のように、少年の小柄な身体は加速する。
両足を動きやすいゆったりとした長ズボンで覆い、丈を短くした濃紺のコートを身に纏いて駆ける少年の髪は、赤。
燃えるような赤毛をざっくばらんに切り揃えてあり、意志の強そうな瞳と相まって、ひどく情熱的に見えた。
人通りなど無いに等しい無人区画には、少年以外に生あるものはいなかった。
そう、生きているものは。
唐突に、一条の光線が少年のいた空間を焙った。
カプセル型のボディを持つ自律機械、ガジェットドローンT型。
次元犯罪者ジェイル・スカリエッティが製造する自律戦闘機械だ。
会合の舞台である洋館周囲の警戒のために放たれた一体が、少年を捕捉、警告も無く殺傷能力を持った光線を発射したのだ。

高速で地上を浮遊移動するそれの光線が少年を捉えかけた瞬間、数本の細い杭が少年の右腕の袖口から射出されてガジェットに取り付いた。
ワイヤーつきの凶悪な杭に装甲を貫かれたガジェットは、なおも行動を続けようと重力制御型浮遊機関を作動させるも、爆散した。
紫電が少年の掌から走り、ワイヤーを伝ってガジェット内部の動力機関に致命的ダメージを与えたから。
少年は、とある特異な体質を持って生まれた人造生命だった。
魔力変換資質――体内のリンカーコアで生成された魔力を電気に変えるという性質。
その名を、エリオ・モンディアルという。

「こいつらがいるってことは……あそこかっ!」

呻くようにしてエリオは呟き、爆音に続々と集まってきたガジェットへ向け、吼えた。
その叫びは、まるで獣。

「そこを……どけえぇぇぇっ!!」

幾本ものワイヤーが乱舞し、ガジェットを塵へと変えた。屋敷の内部から聞こえた銃声が、エリオを苛立たせる。

(死なれてからじゃ、遅いんだよっっ!!)

282 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:15:06 ID:K+cCVS+v
鬼気迫る表情でガジェットを撃破する少年は、何ゆえここにいるのか。
理由を語るには、話は数年前へさかのぼる。

うううううう、と獣じみた声が声が暗室に響き渡った。口にはめられた猿轡が、声を篭ったものへと変える。
ここは牢獄。彼を束縛し、自由を奪い実験の玩具とするための部屋。目の前には異臭を放つ『餌』入れの容器。
まるっきり家畜と同じ扱いだった。そう、ここでは彼は人ではない。人によって生み出された命。
それゆえの、実験対象――モンディアルの家に生まれた彼は、モンディアル夫妻の今は無き子息の『複製』。
プロジェクトFATEの遺産と呼ばれる、精巧な人体、記憶の複製技術の賜物だった。

それだけなら、彼は実験対象と見なされはしなかっただろう。
しかし、不幸なことに彼は魔力変換資質という特殊な能力を持って生まれた。
オリジナルにはなかった性質――変態的な科学者達にとっては、舌なめずりしたくなるようなご馳走。
最初の彼らの訪問のとき、エリオの両親は受け渡しを拒んだが、二回目のときその態度は一変した。
時空管理局の名が出されたその瞬間から、彼らは庇護者ではなく『敵』となったのだ。

そう、男達は時空管理局の暗部――人体組織の解明を目的とした、人体実験専門の部隊だった。
今のエリオの心にあるのは絶望だけ。
自分を待ってくれる人を失った、幼稚園に通っていてもおかしくない子供の心中としては、至極当然の成り行きと言えた。
おそらく、このまま仮に囚われたままだったなら、彼は実験動物同然の境遇の中で死んでいったことだろう。
だが、彼が囚われて数ヶ月が経った夜半、エリオが絶望することすら忘れ始め、ただ殺意の塊になりかけていた頃。
転機は訪れた。

墨汁をぶちまけたような漆黒の闇を切り裂き、鋼の塊が空気をつんざいた。鋼は装甲車両とヘリである。
爆音と戦闘ヘリのローター音が夜の静寂を吹き飛ばし、悲鳴が上がった。
容赦のない攻撃に極秘の研究施設が吹き飛ぶ。

「実験体を運び出せっ!」

「クソッタレ、何でここを嗅ぎ付けられた?!」

あちこちで混乱に満ちた怒声が響き、慌ただしく研究員達が通路を逃げ惑う。
エリオが拘束されている部屋の前にも、数人の男達が入り込み、エリオを拘束具から外して運び出そうとし――感電した。
殺意の塊のエリオにとって、近づくものは全て『敵』だった。
溜めに溜め込まれた魔力を全て電気へ変換し、接触部分から流し込み、血液が沸騰するまで――。

そのとき、靴音が響いた。

男達が振り返ると、そこには散弾銃を構えた怜悧な顔立ちの男が立っていた。
濃紺のコートが翻り、ポンプアクションの散弾銃が男達に向けて構えられ、静かな警告が放たれた。

「動くな。動けば死ぬことになるが、な」

「貴様っ! 我々が時空管理局と知っての襲撃かっ! ただではすまんぞ」

散弾銃を構えた男が余裕を崩さず笑い、己の名を告げた。
まるで猛禽の笑みだった。

「時空管理局地上本部特務だ。貴様らには人権は無いも同然と知れ、それとお仲間が茹蛸みたいだぞ?」

男達がはっ、と振り返れば既に一人、赤黒い血を穴と言う穴から流して倒れていた。
高圧電流によるショック症状――エリオが、その能力を用いて初めて人を傷つけたときだった。

「魔力変換資質……なるほど。攫った理由はそれか」

淡々とした、何の感情もこもっていない無機質な声。
さっ、と白衣の男達が後ずさり、エリオから離れた。
こつり、と男が歩き――エリオが喚いた。ぼさぼさの赤毛が揺れた。

「僕に触るなっ! お前も、僕を弄くりに来たんだろっっ?!」

283 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:16:00 ID:K+cCVS+v
正常な判断力の失われた少年の瞳から涙が溢れ、頬を伝い床を濡らした。
全身から雷光が放たれ、ばちばちと空気が焦げる匂いがする。大気中の魔力素がリンカーコアで電気に変換され、大型発電機以上の出力を生み出す。
エリオの掌が男に向けられ、雷撃が放たれた。
当たれば、失神、悪ければ大火傷は免れないであろうそれは、弾丸以上の速度で濃紺のコートに着弾するかに見えた。
しゅたん、という軽快な音。長身が跳ね、天井を蹴ってエリオの真後ろに着地した。
すぐさま紫電が放たれるが、男は無視して突進――散弾銃のグリップをエリオの腹に叩き込んだ。
薄れゆく意識の中エリオが耳にしたのは、男の冷ややかな、しかし何処か楽しそうな言葉だった。

「見所があるな……俺はジン、神隼人。目が覚めたら、呼べ」

(誰が呼んでやるか)

そう思いつつ、気絶した。
しかし、まあ運命とは残酷なもので、間もなく彼はこの男と再会することになる。


次に目が覚めたときには、白いベッドの上だった。がばっ、と跳ね起きながら、嫌な予感に顔を引きつらせる。
大勢の看護婦が、目に涙を浮かべながらよかった、よかったと言い、医師が駆け寄ってくる。
白衣に嫌なイメージしか持たないエリオは、大声をあげて彼らを制止した。

「近づくなっ!」

鮮烈な声と共に、エリオは全身から雷光を放つ。
正史においては、ここで彼を包み込む慈愛に満ちた人物、フェイト・T・ハラオウンが現れ、彼は救われる。
しかし、本来いる筈の無い異物の存在が世界を乱し、救いの女神の手は差し伸べられず。
代わって、ある男の手が差し伸べられる。

エリオが運び込まれた病院の入り口――装甲車両が停車。
オリーブグリーンに塗装された車両は水しか排出しないという謳い文句の環境配慮型。
しかし、車両から吐き出されたのは、あかるさまに人相の悪い男達だった。全員が、子供が見れば裸足で逃げ出しそうな屈強な陸士たちであり、
手には無骨なストレージデバイス。環境なんて知ったことじゃねえ、と言わんばかりに煙草をすぱすぱ吸っている。
病院勤務の医師達が、突如として現れたヤクザじみた男達に抗議の言葉を吐こうとするが、長身にコートを羽織った男の言葉に先手を取られた。

「地上本部のものだ。エリオ・モンディアルを確保しに来た――《誰も》中に入れるな」

「ち、地上本部が何の御用ですか?! ここは病院ですよ、そんな無法な――」

「すぐにすむ。地上本部にジンハヤトで問い合わせろ」

そう言うなり、長身の痩せぎすの男――よく切れるナイフといった風情――は、紺色のコートを翻して悠然と進入した。
数分後、時空管理局の若年女性執務官が煙草を吸う陸士たちに足止めされ、一悶着起きたのは言うまでもない。
ちなみにこの執務官、姓をハラオウンという。

嫌な予感とは、的中する――それはもう、吐き捨てたいぐらい。
紺色のコートを羽織った痩せぎすの男は、小憎たらしく右手を上げて挨拶してきた。

「また会ったな、エリオ・モンディアル。これで君とは二回目だ」

歯を食い縛り、放電しながら喚いた。
ぼさぼさの赤毛が揺れ、童顔に殺意が浮かんだ。

「何をしに来たぁっっ!! また僕をあそこに連れ戻すのかっっ?!」

「あそことは? モンディアル家なら、お前のことは見捨てた。とっくの昔にな。管理局はお前のような糞餓鬼に構わんさ。
まあ、つまりお前には3つ道がある。一つ、病院で実験動物同然に生きる。二つ、施設に引き取られ何も見なかったことにして生きていく」

エリオの瞳がかっ、と見開かれ、予想外の言葉に動揺した。
瞬間、放電が止んだ。病院関係者がこの隙に取り押さえようとするのを、隼人は片手で制す。

284 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:16:53 ID:K+cCVS+v
「う……嘘だ」

指を突き出し、告げた。

「嘘をつくメリットがないな――三つ、地上本部で世界に抗う術を磨く。どうするにしろ、お前には地獄を見てもらう。それが――」

高らかに、この痩せぎすの男は宣言した。
エリオには、後々までこのときの光景が忘れられなかった。
白い病室に不釣合いな、悪魔の翼の如きコートの裾が翻る。

「――我々特務の流儀だ」

のろのろと手を伸ばし、エリオが呟いた。
弱弱しい言葉だった。

「……選択肢は、無いんでしょう?」

「御名答」

「絶対に、後悔させてやる――覚えてろ、神隼人」

隼人はにやりと笑うと、「そいつは楽しみだ」と言い、エリオの手を取った。
これが二人の出会いであり、エリオ・モンディアルという少年の分岐点。
運命の歯車が、決定的にずれた瞬間だった。

285 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 21:19:20 ID:K+cCVS+v
以上で投下終了。

エリオ君はフェイトさんに拾われなければ、すごいツンデレだったと思うのです。
というわけで、後編ではスバルの出番は在るのか?! 乞うご期待!!

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 21:24:54 ID:kFR0rBHv
GJ!
さすがは隼人、地獄を見せる男ですね。
そしてプレシアとアリシアの参戦の予感!?

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 21:45:38 ID:ZwFqzbYw
>ゲッター昴
男の子には、これくらい厳しい方がいいんだよぉ!
金髪美女に優しく包まれるはずが、地獄を見せる男に引きずり出されました。前途多難なエリオきゅんに乾杯w
でも、やっぱ男だったぬるま湯より地獄の釜に浸かるべきだと思うんですよね。
美女と美少女に囲まれた生活では、どんな好青年に成長しても恨みが募るけど、こうして鍛えられてく男の子には等しくカッコよさが身につくものです。
泥臭い男同士の出会いに栄光あれ。
なんか、エリオってば不憫な方が男前になるんじゃね?w

288 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:15:04 ID:ZwFqzbYw
ところで、投下予約ってないですよね?
よろしければ。30分にでもリリなのStylishの十五話を投下させていただきたいのですが

289 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/06/16(月) 22:19:07 ID:K+cCVS+v
ないですよー支援&レス返しの術

>>286
参戦時期は結構先ですが・・・お楽しみにw
>>287
エリオ君はすごいツンデレ資質があるに違いないと確信しています。
デレるのが野郎と言うのはアレですがw

290 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:21:33 ID:ZwFqzbYw
了解。ちょっとミスを見つけたので、35分に変更して投下予約させていただきます。
レス数26 容量約65KB 久しぶりに長くなりそうなんで支援ヨロ。
んま、規制ったら避難所いきますんであまりお気遣い無くw

291 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:38:12 ID:ZwFqzbYw
「ティアナ、アンタの『誤射』の件もアリウス氏は穏便に済ませてくれるそうや」

 ホテル<アグスタ>の襲撃事件から既に丸二日が経とうとしていたが、ティアナが部隊長室に呼ばれたのはこれが初めてのことだった。
 ティアナが民間人を――しかも管理局にも尋常ではないほどの影響力を持った人物を撃った事実は、既にはやての元へ報告されたが処罰は先送りされていた。
 あまりに予想外の事がこの一件で起こりすぎていた為だった。
 謎の襲撃事件が多くの資産家を巻き込んだことで事件は一気に深刻化し、その最中でこれまでの記録でも一線を画す<アンノウン>が出現。Bランク魔導師二人を戦闘不能にした。
 加えて一般警備員に死者と、空戦AAA+魔導師のヴィータ三等空尉が重傷を負い、機動六課スターズ分隊は実質壊滅寸前にまで追い込まれた――。
 事件としても一大事であり、現場に当たった機動六課にとっては部隊の存続すら揺るがす状況だった。
 そして現在、ヴィータ三等空尉の容態も安定し、危うい方向へ傾いていた天秤が元に戻り始めている。
 傷が回復したばかりのティアナと上司のなのはが今更ながらに呼び出された背景はそれだ。
 直立不動で総部隊長の言葉を待つ二人を、はやては普段の気安さを潜めた厳格な表情で一瞥する。

「……まあ、実際。当時現場には得体の知れん化け物が徘徊しとったわけやし、脱出を急いで無断で外に出た非も向こうは認めとる。混戦の中で誤射も止むを得ず……」
「誤射ではありません。自分は明確な意思と認識を持って撃ちました」

 はやての説明を遮り、ティアナがハッキリと告げた。
 傍らのなのはがティアナに制止の視線を送るが、それを分かっているのかいないのか、前だけを見据え続ける。
 沈黙が走り、二人の視線が交差し合った。

「……実際、直後に強力な<アンノウン>が出現し、スターズ分隊はこれと交戦することでアリウス氏も無事……」
「敵が出現したのは撃った後です。それに、アレの出現は偶然ではありません。アリウスの仕業です。6年前の事件でも奴は……」
「ランスター二等陸士」

 どこか呆れを含んだ声色ではやてが吐き捨て、静かな視線を向けると、その気だるい仕草からは想像も出来ないような圧力を感じてティアナは思わず黙り込んだ。

「少し黙れ」

 ティアナと、なのはさえも僅かに息を呑んだ。はやての傍らに立つグリフィスだけが銅像のように一貫した態度と沈黙を貫いている。
 今、この瞬間二人の前に立つのは間違いなく機動六課総部隊長八神はやてであり、たった四年で二等陸佐まで上り詰めた実績を持つ冷徹冷静な上司だった。

「ランスター二等陸士の話が全て本当だったとして――で、それが何や?」

 はやては現実の厳しさを突きつけるように問う。

「その生態すら僅かにも知れない正体不明の敵との繋がりがアリウス氏にあるとして、それを証明する術は? そもそもそれを暴く権限が一介の管理局員にあると思うんか?」
「……ウロボロス社からの圧力があったんですか?」
「あったとして、だからそれが何なんや?
 状況証拠も無しに民間人を、管理局員が自らの意思で撃った事態が明らかになって、その責任を自分一人で負い切れると思っとるんか。自惚れるな」
「はやてちゃん、もう少し言い方が……」
「高町一等空尉。私語は控えろ」
「……はっ」

 気まずさを通り越して、軋んだ空気が部隊長室に漂い始める。
 ティアナの事務的な態度に隠れた挑発的な言動に対して、はやてはあくまで厳格な上司として応じ、その狭間でなのはは沈黙するしかない。
 親友とはいえ、互いに管理局で仕事に就く中でその関係が馴れ合いだけで成り立っているわけではないことをなのはも十分理解していた。

「……ティアナ、何故撃った?」

 ほんの少し険の取れた声で、はやては純粋な疑問を口にした。

292 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:40:13 ID:ZwFqzbYw
「私の経歴は、既に調べられていると思いますが」
「6年前の事件のことか。なら言い方を変えるけど――何故撃てた? 後先考えない復讐心だけで撃てるほど、アンタの心構えは脆いものなんか?」

 ティアナは沈黙を貫いた。
 実際に教導を行い、接しているなのはほどではないが、スターズ分隊のメンバーとしてティアナを選んだのははやてだ。
 ティアナには正義に向かう意志が確かにあった。はやてはそれを直接眼で見ている。
 単なる復讐者として生きるのならば、管理局に入る必要などない。
 ティアナは人を守る生き方を選んだ。
 その尊い事実が、どれほど暴走してもティアナの根底に残っていることを察したはやては、だからこそ彼女を庇うのだ。
 一向に答えようとしないティアナの様子に、この問題は自分が解決するものではないと悟ると、何処か寂しげに眼を伏せてはやてはため息混じりに結論を告げた。

「……今回の件は『誤射』で片をつける。これは決定や。従え」
「……はい」
「処罰は追って知らせる。減俸か、誤射及び緊張状態でのトリガーミスに対する矯正訓練の徹底は覚悟せえ。謹慎させるほど暇も人手も余ってないんでな」
「分かりました」
「よし、下がれ」

 敬礼し、ティアナは退室した。その態度と仕草だけは従順で完璧な対応だった。しかし、内心がどうなっているかは全く予想できない。
 はやては憂鬱なため息を吐き、更にもう一つ目の前にぶら下がる悩みの種に視線を向けた。

「っちゅーわけで、今回の『事故』の責任は上司であるなのは隊長が主に負うことになる。……本当によかったんか? ティアナに教えんで」
「うん。ティアナには、気にして欲しくないから」
「独断行動の抑制と立場の自覚の為にも釘刺した方がええんやけどな。
 あまり今回のティアナの行動を楽観的に解釈せん方がええよ。そら、何か事情はあるやろ。でも事情があれば何でもしてええというワケやない」
「……そうだね」

 覇気の感じられないなのはの受け答えに、はやては更に頭を悩ませるしかなかった。
 ティアナの暴走の報告を聞いて、一番ショックを受けているのはなのはだ。おそらく、彼女が最も想定していなかった事態だからだろう。
 普段のティアナを考えれば、何らかの重大な事情があるのは確かだ。それを分かってやれなかったことで、なのはは自分を責めている。
 はやてが親友として知る、なのはの欠点だった。
 何もかも自分だけで抱えようとする。そして、他人ではなく自分を戒める優しさも。

「……なのはちゃん、ティアナはこれまで教えてきた子らとは違うよ」

 はやては友人としての優しさと厳しさを持って告げた。

「優しく接すれば応えてくれる相手やない。
 ティアナのいろいろなことに対する覚悟は相当なもんや。あの娘には漠然とした正義に従うだけやない、明確な意志がある」

 それは、見慣れたものだからこそ分かるものだった。
 なのはやフェイト、そしてはやて自身にも宿る、幾つもの大きな戦いと経験で失ったモノから受け継いできた<魂>だ。
 経験の薄いルーキー達の中に在って、ティアナはそれを既に持ち得ていた。
 そこに至る経緯に何があったのか。
 少なくとも、出会って半年も経たない仲で理解できるほど容易いものではないと、なのは自身も理解していた。
 自分の親友二人が背負うものを、この10年来の付き合いの中でも完全に理解しきれないのと同じように。

「曲げられない意志を持つ相手に、言葉だけで通じなければどうすればええか……なのはちゃんは知ってると思うけどな」
「……もう、子供の頃とは違うよ」
「そうか? 『たいせつなこと』は今も昔も変わらんもんや。人が理解し合うのに、気持ちをぶつけるのは必要やと思うけどな」
「……」
「一度、思いっきりぶつかった方がスッキリするんと違う? 模擬戦でも組んで」

 ティアナの場合を再現するように、実感の篭ったはやての言葉に対して黙り込むなのは。
 スターズ分隊は予想以上の問題を抱えているらしい。
 憂鬱なため息の絶えない部隊長だった。

293 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:42:50 ID:ZwFqzbYw
「まあ、その辺はベテランの教導官殿に任せるけどな。素人の意見や……下がってええよ」
「……失礼します」

 一礼し、なのはも部隊長室を去って行った。
 二人の居なくなった室内。閉ざされたドアの先をぼんやりと眺めるはやてと、これまで微動だにしていないグリフィスだけが残される。

「……あーもー! なぁーにぃーこぉーれぇー!?」

 緊迫した空気から解放され、タガが外れたようにはやては頭を抱えてデスクに倒れ込んだ。

「二回! 出撃したの、これでたったの二回やで!? なのにもう問題が山積みや! 布団と違うんやから、なんでこう叩けば叩くほど埃出てくるかなぁ。うちの部隊ってそんなに問題あった?」

 今にも床でのた打ち回りそうなほど苦悩全開なはやての傍らで、グリフィスは淡々とコーヒーの準備をし始めた。

「あんなギスギスフィーリング、私のキャラやないのに……。少数精鋭ってもっとアレやん、身軽に飛び回ってクールでスタイリッシュに事件を解決っていうイメージやろ? 何で一回動くごとにエンスト起こしとんねん」

 ダラダラと文句を垂れ流す中、コポコポとお湯を注ぐ音だけがはやてに応える。
 はやてはのんびりとしたグリフィスの仕草を恨めしげに睨み付けた。

「……ちょっと、グリフィス君! 聞いとる!?」
「ミルク入れますか?」
「砂糖もたっぷり入れて!」
「では、コーヒーブレイクです。落ち着きますよ」

 本職のウェイター顔負けの流れるような動きでコーヒーカップを差し出し、グリフィスはスマイルを浮かべて見せた。
 あっさりと毒気を抜かれたはやては、その笑顔を卑怯だと心の中でぼやく。
 なんだか自分のあしらい方を十分に心得られているような気がしてならない。
 拗ねたアヒル口で、コーヒーを啜る音だけがしばし部隊長室を支配する。

「……実際、機動六課自体にそう問題はないと思います。外的要因がほとんどかと」

 カップの半分も中身を飲み終えたところで、計ったかのようにグリフィスが言葉を口にした。

「外因って?」
「例の<アンノウン>ですね。いずれの出撃も、アレらの乱入によって事態が悪化しています」
「……まあ、確かにティアナの問題にしてもアレが関わっとるみたいやしね」

 はやてはカップを置くと、デスクの端末を操作して、つい先ほどまで調べていたファイルを表示した。
 6年前の――ティアナの兄<ティーダ=ランスター>の殉職に関わる事件のファイルだった。
 違法魔導師の追跡を行っていたティーダは、その最中で謎の襲撃を受け、部隊の仲間共々死んでいる。
 映像も無く、事件自体の詳細な記録も不自然なほど欠けているが、その内容はこれまでの襲撃事件と酷似していた。
 そして、彼の追っていた違法魔導師がアリウスである。
 この『偶然』の襲撃によってアリウスは追跡から逃れ、そのしばらく後に冤罪が確定。
 無実の罪で捕らわれる過ちは寸前で防がれ、当時の捜査チームは誤認逮捕の責を問われた。追跡した部隊は強引な行動を批判されこそすれ、死を悼まれることもなかった。

「現場責任者のティーダ一等空尉は露骨に『無能』『役立たず』と非難されたそうや。襲撃の痕跡も見当たらず、妄言扱いまでされかかっとったようやな」

 その当時の批判には二重の意味が込められていることを二人は察していた。
 免罪の者を追い回した強攻的な姿勢を責める世論に乗った糾弾。そして、それとは全く正反対に、逮捕にまでこぎつけた大物を現場から逃がし、根回しの機会を与えてしまったという管理局側の本音だった。
 ――例え、死んでも取り押さえるべきだった。
 事件に関わった高官達は、そう断言して憚らない。いずれもアリウスの強大な権力の前に返り討ちを受けた者達だった。

「ティアナにはああ言ったけど、アリウスが限りなく黒なのは当時の事件でも周囲が認めとる」
「やりきれない話です」
「これならティアナも思うところあるやろ。ただ、漠然とした<仇>の正体を随分とはっきり断定しとるところが解せんがな」
「彼女は<アンノウン>の正体を知っている、と?」
「で、その辺の鍵になってくるのがこの人――」

 モニターが変化し、表示されたのはダンテだった。

294 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:46:56 ID:ZwFqzbYw
「訓練校に入る前からティアナと知り合いやったそうや。
 現場でも相手の正体を察するような言動あったらしいし、<アンノウン>の謎に対しては彼が重要な鍵を持っとるやろうな」
「しかし、彼から得た情報では……」
「それなんや」

 続いて表示されたものは、ダンテから事情聴取によって得た情報だった。
 物的証拠などほとんどなく、それらは全て<アンノウン>に対するダンテの独自の説明だけで成り立っていた。

「2000年前に一人の<魔剣士>によって封印された<魔界>と、そこから人間の世界へ現れ出る<悪魔>――か」
「正気を疑いますね。
 彼自身の経歴も不鮮明なものです。戸籍は金で買ったらしい後付のものですし、現在の彼自身廃棄都市街で非合法の便利屋を請け負っています」
「といっても、あのにーちゃんから一番出難いタイプの妄言やと思うけどね」
「それは、そうですが……」

 ダンテと一度でも直接顔を合わせた者ならば共通して抱く感想だった。
 美しさとしなやかさを備えた容貌の中で浮かぶ不敵な笑み。何者にも従わない意志を宿した瞳は、真っ直ぐに迷い無く前を見据えている。
 態度や立ち振る舞いの粗野さは、むしろ彼の一種独特な雰囲気を実に人間臭いものへと変えて、初対面の者の警戒を自然と解いてしまうのだ。
 彼には生まれや身分など関係ない、存在そのものから発せられる強烈な力があった。
 あの男から、思慮の浅い嘘や半宗教染みた妄想など飛び出してくる筈が無い――そう無意識に弁護してしまいそうな雰囲気がある。
 そしてこれもまた根拠もなく無意識にだが、ダンテの語った内容は奇妙な説得力を感じさせるものだった。

「そうか、なるほど<悪魔>か……」

 口の中でその言葉を反芻し、はやては思わず納得するように頷いていた。
 自分も何度か無意識に比喩したが、確かにあの大きさも形も一定ではない奇怪な化け物どもを表現するのに、これ以上相応しいものは無いように思えた。
 今回の事件で確信したことだが、奴らは場所にも時間にも縛られない。
 あるいは塵からででも生まれているのではないか?
 そう思わずにはいられないほど、奴らは唐突に人間の前に現れ、等しく死を振り撒いてきた。
 もし、今回襲撃されたのがホテルではなく管理局の施設だったら? あるいは本部であったなら?
 軍隊では死ぬのにも順番がある。まず尖兵が戦いで死に、敵が進軍していくことで徐々に前線に立つ偉い者から死んでいく。そして最後は一番偉い奴が責任を取る。
 しかし、この<悪魔>どもにとっては違うのだ。
 全てが平等で、奴らの前では人間とは等しく獲物に過ぎない。
 寝静まった夜、管理局の最高責任者の家のベッドの下から這い出してきて、あっさりとその命を奪ってしまいかねない存在なのだ。
 子供が皆一度は暗闇の中で幻視して怯える、モンスター、悪霊――そう、そして<悪魔>と呼ばれる者達がまさにそれではないのか。

「……どうなさいますか? この情報」
「どうって、まさか六課の皆に正式な情報として公表するわけにもいかんやろ。敵は<悪魔>です、聖水と祈りを武器に戦いましょうって?
 ただ根拠や論理的な説明はないにせよ、ダンテさんがこの<悪魔>に対して有効な知識と力を持ってるのは確かや。正式に協力を取り付けて、情報は隊長陣にだけ報告。あとは状況の進行から見定めていくしかないな」
「事件担当の執務官に、一応この情報は送っておきます」
「相手にされんと思うけどね」

 呟き、しかし直接ダンテから話を聞いたらどうだろうか? というとり止めもないことを考えていた。
 もう一度、ダンテの証言に目を通す。

「<悪魔>……<魔界>……」

 得られた情報の中でもキーワードとなりそうなものを一つ一つ、染み込ませるように口にしていく。

「<魔剣士>……そして<スパーダ>か」





魔法少女リリカルなのはStylish
 第十五話『Soul』





295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:47:46 ID:Cew/r4GT
支援

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:49:17 ID:5RoH4yn8
支援

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:50:25 ID:v0af3bl1
支援だぜ!

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:50:55 ID:L5XUxD0R
支援!!

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:51:36 ID:0PV1RnSS
支援

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:51:38 ID:RUXVaZCg
支援


301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:52:23 ID:cJ39PE7n
支援

302 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:54:35 ID:ZwFqzbYw
「へい、お待ち! 機動六課食堂特製の特大ミックスピザだよ!」
「Wao! 待ってたぜ、こいつは美味そうだ!」

 恰幅の良い、いかにも『食堂のおばちゃん』である女性が、本場イタリアも真っ青なピザを目の前に置くと、ダンテは歓声を上げた。
 特製と言うだけだけあって、本来メニューに載っていないその代物はダンテの注文を全て座布団程もある大きな生地の上に載せている。
 香ばしい匂いと共にチーズが音を立てて溶け続け、ダンテと同じテーブルを囲む者達の空腹感まで大いに刺激した。
 彼の盛り上がりようも、決して大げさではない。

「事情聴取だの何だので、丸一日ロクに食ってないからな。こういうのを待ってたんだよ」

 何かと微妙な立場にある身では隊舎をうろつくことも出来ず、気を利かせたフェイトが持ってきたカロリーブロック以外口にしていない。
 ダンテは祖国の伝統ある栄養の偏った塊に嬉々として齧り付いた。

「ん〜、いいね。最高だ」
「おいしそう……」
「スバルさん、涎出てますよ」
「キャ、キャロだって、食べたそうな顔してるじゃん!」
「あの、すみません。少しキャロに分けていただけますか?」
「エリオ君、恥ずかしいことしないでっ!」

 食欲を誘うダンテの食事風景を見ているのは、同じテーブルのスバル達だった。
 いずれもダンテからすれば子供も同然。三人の歳相応な様子に機嫌の良さも手伝って笑みが浮かぶ。

「ハハッ、いいぜ。遠慮するなよ、この幸せは皆で分け合わなきゃな」
「じゃあ、いただきまーす!」

 誰よりも早くスバルが文字通り食い付いた。続いて、礼儀を弁えたエリオとキャロの年少組がおずおずと手を伸ばす。

「すみません、いただきます」
『キュルー』
「あ、うん。フリードのもあるよ」

 奇妙な拮抗状態にあったテーブルは途端に賑やかになった。
 自分の腹を満たしながらも、その和気藹々とした団欒の様子にダンテは穏やかな笑みを浮かべてしまう。
 何処か懐かしい光景が、そこにはあった。
 二切れ目のピザを炭酸飲料で飲み流すと、ようやく一心地ついたダンテは自分の傍らに浮く小さな人影を見上げる。

「ヘイ、お前さんは食べないのか?」
「……生憎ですが、リインはこんな油の塊好きじゃないです」

 愛らしい顔を険悪に歪める行為が全く無駄に終わっているリインフォースUは、精一杯不機嫌を露わにしてダンテに吐き捨てた。
 初対面から二日と経たずに、リインのダンテへの印象は最悪になってしまっている。
 その理由は、この冗談を無意識に吐き続ける皮肉屋が絵本の妖精のようなリインを見てどんな態度を取るか考えれば容易に説明出来た。

「ああ、そうかい。妖精はピザなんて食わないよな。花の蜜とか砂糖菓子とか集めて食うんだろ?」
「リインは虫じゃないですー!」

 つまりは、こういう態度だった。

「だったら、食ってみろって。ダイエットだの健康だのって考えが吹っ飛ぶぜ」
「むぅ……じゃあちょっとだけ」

 トマトのスライスとチーズだけが乗った小さな切れ端を渡すと、リインは渋々齧り付いた。
 ビヨーンと伸びるチーズの旨味と初めての食感に、カッと小さな目が見開かれる。

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:55:55 ID:5RoH4yn8
支援

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:56:13 ID:k5kKlfWH
支援

305 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:56:35 ID:ZwFqzbYw
「こっ、これはああ〜〜〜っ! この味わあぁ〜っ、サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつくうまさですぅ!
 チーズがトマトを! トマトがチーズを引き立てるッ! 『ハーモニー』っていうんですかあ〜、『味の調和』っていうんですかあ〜っ。
 例えるならサイモンとガーファンクルのデュエット! 田村ゆかりに対する水樹奈々! 都築真紀の原作に対する長谷川光司の『リリなのStS THE COMICS』!……っていう感じですよー!」
「……美味いって言いたいのか?」
「まいうーですよー!」

 言葉の意味はよく分からないが、とにかく気に入ったらしい。
 テーブルに腰を降ろして本格的に食べ始めるリインの様子を『まるでハムスターだな』と思い、幸いにも口にするのをダンテは自重した。
 この小動物の分のピザを残して食事を終えたダンテは、ようやく一息つく。
 窮屈な襟元を無意識に緩めた。

「ふう、それにしても制服姿ってのは窮屈だな。性に合わないぜ」
「そうですか? 似合ってますよ、機動六課の制服」
「いい男だからな」

 そう言ってウィンクするダンテの仕草に、スバルは数年前に見た姿と同じものを感じ取って苦笑した。
 着の身着のまま機動六課まで同行したダンテは、あの貴族服以外に持っておらず、未だ正式な立場も決まっていない身の為、目立たないように制服を着るよう言い渡されていた。

「でも、やっぱり目立ちますね」

 エリオもまた実感を持って苦笑するしかなかった。
 ダンテがリインを除くこの場の全員と面識があることは偶然だが、三人が共通して彼との初対面を印象強く覚えていたことは一致している。
 必然だった。ダンテには整った容姿以上に、その存在を相手に刻み込むような特有の雰囲気があるのだ。
 普通の人間の中に在って、目を惹き付けずにはいられない。一種のアイドル性のようなものだった。
 それは服装程度で雑多な中に埋もれるような弱いものではない。

「いい男だからな」

 それを自覚しているのかいないのか、ダンテは悪戯っぽく笑って繰り返した。

「でも、驚きましたよ。トニーさ……じゃなくて、本当はダンテさんか。わたし達三人と皆会ったことがあったんですね」
「ボクは、ダンテさんが魔導師だったことが驚きです。ミュージシャンの人だと思ってました」
「魔導師っていうほど学は無いがね。それに、ロックが好きなのも本当さ。聴いたことあるか?」
「あ、ボクは……その、音楽とかよく分からなくて」
「そいつはマズイな。見たところ坊やにはワイルドさが足りない、今度俺の世界の名曲を聞かせてやるよ」
「ダンテさんは、やっぱり別の次元世界の人なんですか?」
「次元漂流者って言うのか? 詳しくは知らなくてね。……オイ、いつまでも睨むなよ。まだ、あの時のこと根に持ってんのか?」
『グルルル……』
「あ、コラ! フリード! ごめんなさい……」
「いいさ、小動物にはあまり好かれない性質なんだ」
「むっ、今リインのことも含めませんでしたか?」

 腰を据えて三人とダンテが向かい合ったのはこれが始めてだったが、会話は弾むように進んでいく。
 子供特有の素直さは、彼の気安い雰囲気と相性がいいようだった。

「……あの、ダンテさん」
「うん?」

 やがて会話がひと段落着いた時、不意に言葉数の少なくなったスバルが物言いたげダンテの様子を伺った。
 ダンテは持ち前の勘の良さで、その『言いたい事』を察した。
 この二日間、偶然のそれとは別に楽しみにしていた少女との再会が、未だ果たされていないのも気になっている。

「ティアの、ことなんですけど」

306 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 22:58:03 ID:ZwFqzbYw
 スバルは全くダンテの思っていた通りの名前を口にした。
 そして、そのまま息を呑んだ。
 僅かに見開いたスバルの視線を追って振り返れば、食堂の入り口を横切るティアナの姿がある。彼女はこちらを一瞥もしなかった。

「ティア!」

 スバルがすぐさま駆け寄り、同時にダンテが立ち上がる。
 その声にティアナは今気付いたとばかりに顔を向け、まるで義務のように足を止めた。

「ティア……やっぱり、部隊長に怒られた?」

 スバルはティアナが部隊長室に呼ばれた理由を正確に理解している。
 それでいて『処罰』や『修正』といった表現を使わないのは、ただ単に彼女の子供っぽい一面のせいだった。
 そののんびりとした表現が、ほんの少しだけティアナの固まった心を解す。
 自然と小さな笑みが浮かび、ただそれだけでスバルは安堵を感じた。

「そりゃあね。ま、何とか穏便に済みそうだけど」
「そっか。よかった」
「よくないわよ、二度と繰り返さないようにしなくちゃ。……スバル。あたし、これからちょっと一人で練習してくるから」
「自主練? わたしも付き合うよっ」
「あ、じゃあボクも」
「わたしも」

 口々に告げる仲間達のそれが自分への気遣いだと分かり、ティアナは苦笑しながら首を振る。

「あれだけの激戦だったんだから、休むように言われてるでしょ? 二人とも体力面ではどうしても体格的に劣るんだから、十分休みなさい」

 こんな時でも冷静なティアナらしい理屈でエリオとキャロに言い含めると、何処か不安げなスバルの顔を見た。
 現場でティアナの隠された一面を垣間見たからこそ感じる不安だ。

「スバルも……悪いけど、一人でやりたいから」
「あ……」

 しかし、ティアナの静かな拒絶の前にスバルはそれ以上何も言うことが出来なかった。
 悲観的過ぎるかもしれないが、言う資格が無いとすら思っていた。
 あの時、戦場で気を失い、次に目を覚ました時には怪我を負ったパートナーが隣で寝ていた。
 何よりも自分の無力を痛感した瞬間だった。あの負い目が、ずっと足を引いている。

「……うん」

 スバルは、そう力無く言葉を受け入れるしかなかった。
 三人を置いて、立ち去ろうとするティアナ。
 しかしその先に、見慣れた長身が立ち塞がる。

「――ヘイ、お嬢さん。何処かで会ったことないか?」

 ナンパの芝居染みた台詞と仕草で、ダンテは彼なりに久しぶりの再会を喜んだ。
 彼の冗談に対して肩を竦めるだけのリアクションを返すと、ティアナはそのまま無視して通り過ぎようとする。

「無視するなよ、傷付くぜ」

 もちろん、ダンテにとっては手馴れたやりとりだった。
 ティアナの行く先を片腕で遮ると、そのまま手を壁につけて、肩幅の広い体全体で壁と挟み込むように追い詰める。
 周囲のスバル達の方が動揺するほど顔を近づけて見慣れた碧眼を覗き込むと、ダンテは恋人にそうするように囁いた。

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:58:54 ID:0PV1RnSS
リインwww
支援

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 22:59:14 ID:z4D8XvUr
支援


309 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:00:13 ID:ZwFqzbYw
「感動の再会っていうらしいぜ、こういうの」
「……らしいわね」
「本当に冷たいな、オイ。飛びついて来ることも考えて、胸は空けといたんだぜ?」
「悪いけど――」

 誤解以外何物も生まない体勢にも関わらず、ティアナは軽口を聞き流して努めて冷静にダンテの腕を退けると、そこから抜け出した。

「立場上、気安く馴れ合えないから」

 退けられた手を手持ち無沙汰にブラブラさせるダンテを一瞥して、ティアナは去って行った。
 二人のやりとりについ先ほどまで騒いでいたスバル達も声を潜め、気まずげに残されたダンテを見上げている。
 ダンテは、ティアナの触れた腕から伝わる違和感を感じていた。
 別に彼女の手が震えていたわけでもない。だが、ダンテは文字通り肌でティアナの拒絶とそれ以外の何かの意志を感じ取っていた。

「……ヤバイな」
「ヤバイですか?」

 いつの間にか、肩に降り立ったリインだけがダンテの呟きを聞く。

「ああ、ヤバイ……」

 ダンテは自分でも理由の分からないその結論を、確信付けるようにもう一度呟いた。






 やがて時は過ぎ、日が暮れる。
 ティアナが隊舎近くの林で自主訓練を始めてから、既に4時間が経過していた。
 ずっと同じ光景が繰り返されている。
 直立不動のままの姿勢を維持するティアナ。その周囲を複数のターゲットスフィアが浮遊している。そして、その間を誘導魔力弾が忙しなく飛び回っていた。
 クロスファイアシュートを意識した三つの魔力弾は、ターゲットを捉えながら渡り歩くようにティアナの周囲を飛び続けた。
 しかし、時間の経過と共に体力と集中力は消耗し、魔力弾の誘導ミスも増え始めている。
 それでも訓練を止めようとしないティアナの意識をあえて逸らすように、手を叩く音が聞こえた。

「4時間も魔力行使を続けられるパワー配分は大したモンだが、いい加減本当に倒れるぞ」
「……ヴァイス陸曹」

 訪れた意外な人物に集中力は途切れ、片隅に追いやっていた疲労感が襲ってくるのを感じて、ティアナは恨めしげにヴァイスを睨んだ。

「ヘリから覗いてたんですか?」
「……あらら、気付いてたのかよ」

 あっさりと言い当てられ、ヴァイスは末恐ろしいとばかりに内心青褪めた。
 そんな様子を一瞥して、ティアナは何でもないように言い捨てる。

「ただのカマかけです。ヘリポート、ここから見えますし」
「……あっそう」

 本当に恐ろしいね。突きつけられた答えに、ヴァイスは逆に顔を引き攣らせるしかなかった。
 やはり、この少女は一筋縄ではいかないらしい。
 先輩風を吹かせるつもりなど毛頭無かったが、何を思ってこの鉄壁少女に助言などしようとしたのか。ヴァイスは自らの無謀を悔いた。
 しかし。ええい、かまうもんかとその場に居直る。
 夜空の下、一人黙々と訓練を続ける少女の姿をどうしても見捨てて置けないのだった。

310 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:01:30 ID:ZwFqzbYw
「しかし、お前さんにしちゃあ意外な訓練だな。ターゲットトレーニングの応用か」

 本来は周囲を動くターゲットに対して、正確なフォームで素早く銃口を合わせることで、命中精度を高める訓練である。
 射撃スキルの優れたティアナに適した訓練であり、だからこそ、それを誘導弾で行うことで弾道操作能力を向上させようという今のやり方には疑問が感じられた。

「お前さんの魔力弾の特性なら、命中精度の方を重視するべきだと思うんだがな」

 ようやく助言らしきものを言えたヴァイスの安堵の表情を一瞥すると、ティアナはおもむろにガンホルダーからクロスミラージュを抜き出した。
 周囲のターゲットが新しい配置へと変化する。ヴァイスは思わずティアナを凝視した。
 次の瞬間、銃火を伴わない銃撃が始まった。
 ステップを踏むように軽やかに足を動かし、ティアナの体がターゲットの間を舞う。
 両手で左右別々の標的を正確に捉え、命中判定を示す音と瞬きが終わる前に、クロスミラージュの銃口は既に次の標的に向けて動いていた。
 型に嵌らない滅茶苦茶なフォームだが、とにかく正確で速い。ターゲットの反応が連鎖するように次々と起こり、さながら電飾のように派手に光を散らした。
 全てのターゲットを丁寧にも二回ずつ補足し、それらを僅か十数秒の間に終了させると、息一つ乱さないティアナは元の姿勢に戻っていた。
 もはや、ヴァイスは気まずげに笑うしかない。
 他に何か言うことは? 挑発的な視線と笑みを肩越しに向けると、ティアナはデバイスを手の中で一回転させて、ホルスターに滑り込ませた。

「……分かった、分かったよ。俺がでしゃばりだった。もう好きにしな」

 ヴァイスは降参とばかりに両手を挙げる。

「でもな、そんだけ出来るお前さんなら分かってるはずだろ? 無理な詰め込みで成果が上がるもんじゃねえんだ」
「……すみません。焦ってるもので」

 ようやく返ってきたティアナのまともな返答に、ヴァイスは意外そうな表情を浮かべた。

「おい、自覚してんなら……」
「でも――分かってても、止められない気持ちってありますから」

 その言葉に、心臓を鷲掴みされたような気分になった。
 頭では分かってるのに心では受け入れられない――そんな状態が、自分にとって実に身近なものだと、つい先日分かったことではないか。

「今夜は、何も考えられないくらい疲れないと、眠れそうに無いんです」
「……なあ、あのダンテの旦那に会いに行った方がいいんじゃねえか?」

 ここまで来て結局他人に丸投げするしかない自分の不甲斐なさを呪いながら、ヴァイスは告げた。
 一変して、ティアナの呆れたようなため息が返ってくる。

「食堂での一件まで見てたんですか?」
「あの旦那は何かと目立つからなぁ。焦ってる時ほど、聞きたい人の声ってのがあるもんだ。お前の場合、それがあの人なんじゃねえか?」

 ダンテはもちろん、ティアナのこともよく知るワケではない。二人の間に気安く踏み込むつもりもなかった。
 ただ、この一見冷静に見えるからこそ隠された危うさを持つ少女の心を動かせるのは、あの男しかいないと直感していた。

「……そうかもしれません」

 ティアナの声から僅かに張りが失われた。

「これまで、何度も道を誤ろうとした自分を助けてくれたのは彼でした。
 今も、訓練校でもいろいろ教わったけど、彼の傍に居た時が一番恵まれていた。焦りなんて当然のように感じなくて、強くなってく実感があった」
「だったら」
「でも、だからこそダメなんです」

 強い語調が、それまでの穏やかな憧憬を断ち切る。

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:02:20 ID:zCVoyMjX
何という億泰www支援

312 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:02:29 ID:ZwFqzbYw
「これまでずっとそうだった。でも、これからもずっとそのままでいるということは、甘えのような気がしてならないんです。それに――」

 自らを戒める程の厳しさを取り戻したティアナは、ヴァイスに背を向け、虚空を睨み据えながら決意を口にする。

「もう、彼からは十分たいせつなことを教わった。自分だけが持つ力の存在を信じさせてくれた。
 その力が在ることを証明出来なかったのはあたしの不足――。
 焦りかもしれませんが、自分の無力を突き付けられて、それでも余裕を持っていられるほどあたしは冷静じゃありません。ありたくありません」

 頑なほどの断言を聞き、ヴァイスは今度こそ自分の言葉が無力であることを悟った。
 お節介程度の気持ちで動かせるほどティアナの意志は軽くはなく、察せるほど浅くはない。
 ヴァイスもかつては前線に立つ兵士であった。人は、愚かしいと理解していても戦場でただ前に突き進むしかない時があるのだ。
 その覚悟の是非を、他人が決めることは出来ない。
 ただ願うしかないのだ。自らが担いだモノの重みを苦と思わず、背負い歩き続けるこの少女の行く先に幸があることを。

「分かった、もう邪魔はしねえよ。でもな、お前らは体が資本なんだ。体調には気を使えよ」

 根付いていた腰を上げ、ヴァイスは諦めたように踵を返した。

「……ヴァイス陸曹、どうしてあたしをそこまで気に掛けてくれるんですか?」
「お前のファンだからさ」

 冗談とも本気ともつかない言葉を残し、ヴァイスはその場を去っていった。
 ティアナはそれを見送ると、再び訓練を再開した。
 すぐ傍の木陰から、一つの人影が同じように歩き去ったことを全く気付かぬまま。






 幾つもの想定外の事態が重なって複雑怪奇になりつつあった報告書がようやく纏まり、夜も遅く隊舎の廊下を自室に向けて歩いていたなのはは、その行く先に見知った顔を見つけた。

「ダンテさん」
「ナノハか」

 壁に背を預け、窓から外を見下ろしたままダンテは軽く手を上げた。
 ダンテの視線の先を、なのはは自然と追い、そして夜の暗闇の中で瞬く魔力の光を見つけた。

「あれは……」

 なのはの声に誰かを案ずるような色が混じった。
 その誰かとは、もちろん視線の先で自分を追い込むように延々とトレーニングを続けるティアナに他ならない。

「今日は休むように言ったのに、一体何時から……」
「少なくとも一時間は続けてるな」

 それは暗にダンテが一時間前からこの場にいたことを示していたが、なのははそれに気付くよりもティアナを見下ろすダンテの表情に心配の色が無いことに怒りを覚えた。
 二人の関係がどんなものか、ある程度察することしか出来ない。
 ただそれでも、ダンテがあの頑なな少女にとって自分よりもずっと心を許せる相手であることは何故か確信していた。

「見ていたなら、どうして止めなかったんですか?」
「思うところがあってね。アイツには好きにさせてやりたいのさ」

 肩を竦めるダンテの返答はどこまでも素っ気無い。
 しかし、彼が『思うところ』となった原因が何処にあるか――例えば数時間前にティアナを探して出歩いていた時の事を、なのはは知らなかった。

313 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:05:42 ID:ZwFqzbYw
「でも、あんな無茶をしていたら……」
「まあ、アイツはよく自分を追い込むからな」
「分かってるのなら止めてください。アナタの言葉なら、ティアナもきっと聞き入れます」

 責めるようななのはの視線を受け流し、ダンテは苦笑した。

「かもな。でも、だからこそ無責任なことを言いたくないのさ」
「無責任って……」
「ティアが暴走した話と原因は聞いたよ。俺にアイツを諭す資格なんて無いね」

 自嘲の色が滲むダンテの笑みを見て、なのはは自分の迂闊な言葉を悔いて口を噤むしかなかった。
 彼の言葉にどんな意味と過去が込められているのか、今は知る由も無い。

 ―――そしてダンテにとって、それはまさに口を出す資格すらない話だった。
 敬愛する実の兄を殺し、その魂と名誉を地に堕とした仇。それを前にして敗れ、地を這い、噛み締めた口の中に広がるのは土と屈辱の味――。
 何処かで聞いた話だ。身に染みるほどに。
 冷静になれ。復讐心など忘れて、前向きに生きるんだ――そんな戯言を、自分の事を棚に上げてどの口でほざけというのだ?
 かつて隠れて震えることしか出来なかった脆弱な自分を思い出す度に、今も鮮明に蘇る感情を知っているのに。

「俺の母親も<悪魔>に殺されてね。今のティアの気持ちは痛いほど分かる」
「ダンテさん……」

 ティアナと自分、一体どう違うと言うのか。
 人の命を玩ぶ<悪魔>は許せない。だが、奴らを狩る理由に暗い復讐心と、その断末魔を聞く度に少しずつ薄れるかつて母を失った時の無念が在ることも否定出来ないのだ。
 互いが持つ危うさを、ダンテはその天性の力で薄れさせているに過ぎない。
 違いがあるとすれば、性格と少しばかりの人生経験の積み重ねくらいのものなのだ。ダンテはそう思っていた。

「……でも、だからこそ今なんだ。ティアが変わるのに、今が一番最適なんだよ」

 自嘲の笑みを全く種類の違う穏やかなものに変えて、ダンテはなのはを見た。
 何かの期待を含むその視線を受け切れず、なのはは言葉を探してもごもごと迷うように口篭る。

「アイツは捻くれてるからな。人間関係でいろいろと心配してたんだぜ?」
「ティアナは、よくやってくれてますよ。仲間からも信頼されてます」
「ああ、会ったよ。いい仲間だ。そこが俺とは決定的に違う」

 まるで自分には本当に仲間と呼べる者などいない、と言うような孤独を感じさせる独白だった。
 あれほど他人に気安い態度を見せる目の前の男は、何か致命的な差異を他人との間から感じている。
 なのはは何も言えず、ただ黙ってダンテを見つめた。

「だから、変われるんだ。ティアは俺とは違う生き方が出来る」
「……ティアナは、きっとダンテさんを尊敬してますよ」
「オイオイ、俺を赤面させるなよ。恥ずかしいだろ。まあ、嬉しいけどな。
 だが、俺はアイツが俺と同じ生き方をすることなんて絶対に望まない。そんな不幸は願い下げだね。見た目よりもずっとキツいんだ」

 ダンテはそう言って小さく笑った。普段のそれとは違う、見る者が痛みを感じる笑みだった。

「……でも、正直わたしはどう接したらいいのか分からないんです」

 なのはは縋るような視線を向けた。ダンテの期待が、今はただ重い。
 ティアナの間違いを諭せるほど自分も自分の正しさを信じていないのだと、今更ながらに痛感した。
 人を想うのに、こんな苦しい気持ちは初めてだった。
 あるいは10年前には経験したことがあるのかもしれない。でも、もうその時出した答えさえ忘れてしまっている。

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:07:07 ID:5RoH4yn8
支援

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:07:30 ID:v0af3bl1
支援を絶やすな!

316 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:08:10 ID:ZwFqzbYw
「難しいことなんてないさ。ただ、アイツに人間として接してくれればいいんだ」

 ダンテは不安げななのはの肩に手を置き、ポンポンと気軽に叩いた。

「アイツが何かしでかして、痛い目を見たとしても――それもいいさ。
 感情を昂らせて流す涙は、他人を想う心持つ人間の特権だ。<悪魔>は泣かない。人間だけが出来る。それが、ティアには必要なんだ……」

 静かな実感を持った言葉を残し、ダンテはゆっくりとなのはの横を通り過ぎて行った。
 その意味深げな言葉の真意を、なのはは半分も理解出来ない。ただ漠然と、ダンテが自分の背中を押したことだけは理解出来た。
 そして同時に、彼が<人間>という言葉に自分自身を含まなかったということも。
 謎の多い彼の正体に、その理由は隠されているのかもしれない。
 なのはは振り返り、何か言葉を掛けようとして、しかし結局その背中を見送ることしか出来なかった。
 酷く孤独で、悲しい背中だった。






「ティア、四時だよ。起きて」

 繰り返される目覚ましのアラームとスバルの声が徐々に頭の中に入ってきて、それが覚醒を促した。
 酷く活動の鈍い思考で、ティアナはまず疑問に思った。一日の始まりにしてはリズムがおかしい。
 それが普段より早く起きた為だと気付くと、同時に早朝四時から自主錬の為にそうしたのだとも思い出した。

「ああ、ゴメン。起きた」

 ティアナはそう言ったつもりだったが、実際は死者が目を覚ましたかのような呻き声だった。
 本来は起床時間を体に刻み込んで時計にも頼らないが、前日の疲労に加えて睡眠不足が完全に足を引っ張っていた。

「練習行けそう?」
「……行く」

 ティアナは不屈の闘志で立ち上がった。
 事実、疲れ果てた肉体の欲求を押さえ込むのは戦闘のそれに等しい精神力が必要とされた。
 トレーニングウェアを差し出すスバルの行為を疑問にも思わず、受け取ってノロノロと着替え始める。
 昨夜、自らの発言どおりに使い果たした体力と精神力の影響か、普段のティアナが持つ凛とした仕草は欠片も無く、動きも緩慢で精彩さを欠いている。
 それはそれで隙の無いパートナーの貴重な一面が見れた、と奇妙な喜びを感じながらスバルは自分の服に手を掛けた。
 ようやく脳が回り始める中、隣で同じように着替えるスバルの行動にティアナは我に返る。

「って、なんでアンタまで?」
「一人より二人の方がいろんな練習が出来るしね。わたしも付き合う」
「いいわよ、平気だから。あたしに付き合ってたら、まともに休めないわよ」
「知ってるでしょ? わたし、日常行動だけなら4、5日寝なくても大丈夫だって」

 それは全く事実であり、ティアナがスバルを羨む数少ない部分だった。
 一時期は、その天性の優れた体力を妬んだこともある。自分に絶対的に足りないもので、そしてどう努力しても限界を感じてしまうものだからだ。
 今、その時の感情が僅かに蘇っていた。

「……同情?」

 眠気は吹き飛び、静かな激情が言葉に表れて険を見せていた。
 しかし、スバルも慣れたもので、怯みもせずに笑みを浮かべて見せる。

317 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:09:32 ID:ZwFqzbYw
「わたしとティアは、コンビなんだから。一緒にがんばるのっ」

 一片の疑いも抱かない本音だった。

「……ねえ、スバル。あの戦闘の時、アンタが射線のすぐ傍にいること――あたし、知ってて撃ったわよ」
「うん、分かってる」

 能面のような無表情で告げる真実を、スバルはやはり当然のように受け止める。
 ティアナは目の前の少女が時折理解出来なくなる瞬間があった。今がまさにその瞬間である。

「悔しかったよ。あの時、ティアにとってわたしは邪魔でしかなかったんだよね」

 スバルは自分の想いを確認するように頷いた。

「うん、悔しい。普段からずっとティアに頼りっぱなしだったけど、本当に必要な時に何も出来なかった自分が情けなくて仕方ないんだ」
「スバル……」
「だから、強くなりたい。ティアのパートナーとして、二人でちゃんと戦えるように。
 その為にこの練習が必要だと思ったから、わたしは一緒に行くんだよ。お願い、一緒に練習させて」

 最後は頼み込むことまでして見せたスバルの行為に、ティアナは無言で混乱するしかなかった。
 本当に、彼女の考えは理解出来ない。

「アンタの、そういう……」
「ティア?」
「……いいわ。勝手にしなさい」
「うんっ!」

 二人は練習の場へと向かって行った。互いに違う想いを胸に。






 ヴィータが医務室のベッドで目を覚ましたのは、更に数日後のことだった。
 怪我の影響とは違う全身を覆う酷い倦怠感を堪えながら、埃を被っていたかのように動きの鈍い頭を回転させる。
 傍らで微笑むシャマルを見て、ああ自分は助かったのだとヴィータは実感した。

「ヴィータちゃん、気分はどう?」

 覚醒後しばらくは呆けているだけだったヴィータを勝手にあれこれと診察した後、シャマルは尋ねた。

「だるい。頭がぼーっとする」
「ずっと寝てたからね。胃も空っぽだから、すぐに食欲も戻ってくるわよ」
「なんでこんなに寝てたんだ?」

 実際の時間経過は長くとも、ヴィータにとって意識を失う直前の記憶は鮮明に残っていた。
 腹を貫通した鋼鉄の冷たささえ思い出せる。
 上着を捲って傷の場所を見てみるが、そこだけが数日分の時間の流れを表すように治癒されていた。包帯すら巻かれていない。
 恐る恐るお腹を撫でて確認すると、ようやく気持ちが落ち着いてきた。

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:11:13 ID:5RoH4yn8
支援

319 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:11:17 ID:ZwFqzbYw
「睡眠薬を使って、強制的に休んでもらってたのよ。ヴィータちゃん、安静にしてって言っても聞かないから」
「傷が塞がったんなら寝てる意味もねーだろ? やることなんて山ほどあるんだからよ」
「確かに、その日のうちに傷は塞いだけど、思った以上にダメージは大きかったのよ。外科的な手術までして、本当にようやく塞いだだけ」
「そうそう、シャマル先生ってば本当にすごかったんですよ!」

 点滴を取り外す作業をしていた医療スタッフの一人が、興奮気味に割って入った。

「あの日はスターズFも含めて三人の負傷者が一気に運び込まれましたからね。
 治癒魔法にも限界があるし、何より副隊長の傷は深すぎて、魔法による強引な再生だけじゃ体に負担が掛かりすぎる状態だったんですよ。脊椎までやられてて。
 そこで、急遽、外科手術による治療も取り入れたんです。
 魔法と外科手術を同時に進行させて。あの負傷がこの数日で後遺症も無く完治できたのはあの的確で素早い処置のおかげなんです。
 いやー、あの時のシャマル先生はまさにプロって感じでしたよ! もうまさに『シャマル先生にヨロシク』って感じでしたね!!」
「そ、そうかい。説明ありがとよ」

 ファンがアイドルについて語るような熱い視線と言葉を浴びせられたヴィータは、やや気圧されながらも引き攣った笑みを浮かべた。
 その例外なく優れた容姿と能力のせいか、ヴォルケンリッターは管理局内で、特に若手の局員において人気が高い。支持者と言うよりもファンと称すべき者達が多数存在した。
 とにかく、分かりやすい活躍が注目される戦闘担当のシグナムとヴィータは特に知名度が高かった。ザフィーラでさえ獣形態と幻の人間形態に分かれてファンが多い。
 その中で、後方支援担当のシャマルは知名度こそ低いものだが、その分コアな人気と濃いファン層を所持していた。
 特に彼らは、ヴィータ達のような能力や立場に憧れるのではなく、純粋にシャマルと言う人物像を崇める者が多い。
 シャマルの城である医療室勤務の者達こそがまさにそれであり、目の前の若いスタッフも例外ではないようだった。

「……ま、とにかくそういうわけ。どんなに魔法が便利でも、人間の体には流れがあって、それに逆らうことはどうしても無理をすることだわ」

 熱気冷めやらぬそのスタッフに別の用事を与えて退室させると、シャマルはヴィータに微笑んで諭した。
 自ら戦いに臨むヴォルケンリッター達を抑える、こうした重要な役割もシャマルが担っている。

「必要な分だけ休ませる。これは、はやてちゃんからの命令でもあったの」

 なのはちゃんの時の事、覚えてるでしょ?
 そのシャマルの言葉には、ヴィータも神妙に頷くしかない。

「確かに、体調は万全みたいだけどよ。……ありがとな」
「いえいえ」

 自身の状態まで冷静に把握出来るほど意識の覚醒したヴィータは、シャマルの言葉の正しさと優しさを受け止めて、素直に礼を言った。
 しかし、ふと訝しげな顔になって首を捻る。

「何? 動きの違和感なら、長い睡眠でまだ感覚が戻ってないからで……」
「いや、そうじゃなくてよ。いくら重傷って言っても、治るまでにちょっと時間掛かりすぎじゃねーかなと思って。あたしら、普通の人間とは違うんだぜ?」

 ヴィータの何気ない呟きに、シャマルは沈黙した。
 彼女の疑念が、治療の最中でシャマル自身が抱いていたものと全く合致するからであった。
 ヴォルケンリッターを構成するものは、完全な肉体と生ではなく<守護騎士システム>と呼ばれるプログラムである。
 現存する肉体の消滅すら再生可能なそのプログラム上にあって、一般的な負傷もまた人間とは違い、彼女らにとっては問題と成り得ない。
 新陳代謝などの肉体の制約は無く、欠けた部分を埋め合わせることはパズルのように容易なことなのだ。
 だからこそ、たった数日とはいえ治癒に掛かった時間は不可解な長さであった。

「……そうね。今度、暇があったら調べてみましょ。ヴィータちゃんも協力してね」
「ええっ!? なんだよ、ヤブヘビだったかな。シャマルって検査とか楽しんでやってるだろ?」
「あら、そんなことはないわ。仕事には大真面目よ。趣味と実益を兼ねてるけど」

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:12:18 ID:z4D8XvUr
支援


321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:12:23 ID:5RoH4yn8
支援

322 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:13:02 ID:ZwFqzbYw
 冗談交じりに笑いながら、シャマルはその疑念を棚上出来たことに安堵した。
 この問題について、シャマル自身が憶測している答えはすでに在る。しかし、それは容易く口に出来るほど軽い答えでもないのだった。ヴォルケンリッターの存続に関わる内容だ。
 とにかく、二人は無事を喜び合った。
 そうして談笑する中、医務室を意外な人物が訪れる。
 来訪者を告げるブザーが鳴り、ドアがスライドすると凡百な制服の似合わない目立つ男が遠慮無しに足を踏み入れた。

「Trick or treat? 暇なんだ、お茶を出すか遊んでくれよ」

 ベッドの中で目を丸くするヴィータに悪戯っぽい笑みを向けながら、ダンテは開口一番に言った。

「ダンテ!? え、本物かっ?」
「オイオイ、この甘いマスクの偽物なんて作れるかよ」

 気絶する前の記憶が脳裏を過ぎり、無意識に身構えるヴィータを嘲笑うように、ダンテは彼自身を証明するような台詞を吐いてみせた。
 安静の為眠っていたヴィータとは違い、既に再会を済ませてあるシャマルに愛想良く会釈すると、誰の許しも得ないまま勝手にベッド脇の椅子へ腰を降ろす。
 その図太さと、何者にも遮られない行動は、間違いなくヴィータの知るダンテのものだった。

「……オメー、来てたのかよ」
「詳しい経緯は偉い奴に聞いてくれ。もう嫌って程説明したんでね、繰り返すのも飽きたぜ」

 ダンテの格好を見て、ヴィータは何となく事態を察した。

「何しに来たんだ? ビョーキとかケガにゃ縁がなさそうだけどよ」
「眠り姫が眼を覚ましたって聞いてね」
「誰から聞いたんだよ? お前、関係者じゃねーだろ」
「シャーリーって言ったか。いい男がいい女に声を掛けたら会話は成立する、そういう法則があるんだ」

 何処まで本気か分からないダンテの話を聞きながら、ヴィータは再確認した。そうだ、こういう奴だ。
 実質二度目の顔合わせだが、既に旧知のような二人のやりとりを眺めていたシャマルは、意味深げな笑みを浮かべながら立ち上がった。

「じゃあ、私は奥で書類片付けてますね。カーテン引いておくので、ごゆっくり」
「あ、おい! 変な気を使うんじゃねーよ!」

 ヴィータの言葉を聞き流して、『オホホホッ』と変な笑い方をしながらシャマルは去って行った。
 苦虫を噛み潰したようなヴィータと愉快そうに笑うダンテがその場に残される。

「……マジで何しに来たんだ?」
「俺の処遇が決まるまで暇なんでね。友好関係を増やすのも飽きたしな」
「オメー、機動六課に入るつもりなのか?」
「さあな。だが、もう無関係じゃいられないだろうぜ。いろいろ関わっちまったからな」

 そう言って、ダンテは一瞬だけこれまでを回想するように遠くを見つめた。
 人との関わりはもちろん、<悪魔>との関わりも。まるで運命染みた導きによって、バラバラだった要素は一点に集束しつつある。
 ダンテは自らの出会いと別れが全て意味を持ち、また同時にコントロールされているかのような錯覚を覚えた。
 今、この場所、この世界の状況は、全て自分が発端となっているのかもしれない。

「ふーん……まあ、それなら歓迎してやるよ」

 悪い方向へ考え込むダンテにとって、ヴィータのその何気ない言葉は純粋に嬉しく、ありがたいものだった。
 不敵でも皮肉でもなく、純粋な喜びから笑みが漏れる。

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:13:35 ID:IR1nVYXB
支援する

324 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:14:02 ID:ZwFqzbYw
「ヘイ、何か買ってやろうか? 嬉しいから一つだけプレゼントを送ってやるよ、お嬢さん」
「子供扱いすんじゃねー! ……けど、それなら一つだけあたしの質問に答えろよ」
「何だ? スリーサイズか?」
「茶化すなよ、真面目に答えろ」
「OK、何だ? 言えよ」

 ヴィータはしばし言葉を選び、自分と相手の性分を考えて、結局簡潔に質問を口にした。

「――ダンテ。オメーに顔がそっくりな兄弟とかいねーか?」

 ダンテの中の時間がその瞬間停止した。
 それは間違いなく、そしていつでも余裕を忘れない彼にとって酷く珍しい動揺の表れだった。
 何故、ヴィータがそれを尋ねるのか。幾つもの疑惑が心を埋め尽くし、それは殺気染みた圧力となって噴き出そうとする。かろうじて、理性がそれを押し留めた。
 意味も無く降ろした腰の位置を直し、ダンテは自らの動揺を宥めた。
 ヴィータを見据える。努力したが、それは睨むような形になってしまった。

「……いるぜ、双子の兄貴がな」

 問い返さず、素直に答える。そういう約束だった。
 ダンテの態度の劇的な変化を、何処か当然だと受け止めて、ヴィータは頷いた。

「あたしを刺したのはソイツだ、きっと」
「……マジか?」
「マジだぜ。まだ誰にも言ってねぇ。
 オメーとそっくりな顔で、髪の色まで一緒だ。武器は刀を使ってた。正直、アイツの戦闘力はやべえ。一撃で実感した」

 ヴィータの神妙な言葉を聞きながら、ダンテは自らの思い描く人物が一致することを確信した。
 ホテルでの一件から、自分に関わる多くの出来事が動き出したことを感じていたが、ヴィータの告げた内容はそれらの中でも最も衝撃的なものだった。

「どういう奴なんだ?」
「名前はバージル。俺とは考えが合わなくてね、一度殺し合った仲だ」
「ひでえ兄弟喧嘩だな。何で、そんな奴があそこにいたんだ?」
「さあね。俺も、今の今まで死んだと思ってたよ」

 肩を竦めるダンテの様子を伺って、その言葉に嘘が無いことを悟ると、ヴィータはベッドの枕に凭れ掛かった。
 重要な手がかりは掴んだ。しかし、更に重要な点に関しては、これでプッツリと途切れてしまったことになる。
 後は、再びあの男――バージルと出会った時に明かされることを期待するしかない。
 そして、それは決して在り得ないはずのことではない、と。ヴィータは何処か確信していた。
 この双子は、どうあっても巡り合う運命なのだ、と――ダンテ自身が確信するのと同じように。

「……それで、どうすんだよ?」

 互いに思案する沈黙の中、唐突にヴィータが口を開いた。

「何がだ?」
「だから、そのバージルって奴のことだよ。黙ってればいいのか?」

 思わぬ提案に、ダンテは面食らった。やはり彼には珍しい動揺だった。

「黙ってるって……そいつは、マズイだろ?」
「マズイよ。けど、家族のことだろ? 自分から言えるまで、待った方がいいのかと思ってよ……」

 最後は聞き取れないくらい小さく呟き、ヴィータはバツの悪そうにそっぽを向く。その横顔は僅かに赤い。
 それまでの陰鬱な思考が吹き飛んで、ダンテは急に笑い出したくなった。
 実際に、堪えきれずに吹き出した。ヴィータが恥ずかしさに歯を食い縛って睨む中、その視線すらも心地良く、ダンテは愉快そうに声を押し殺して笑い続ける。

325 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:15:16 ID:ZwFqzbYw
「っんだよ!? 感謝しろとは言わねーけど、笑うことねぇじゃねーか!」
「ハハッ、悪い悪い。お前さんの人情が身に染みてね。ありがとうよ……ククッ」
「だったら、まず笑うの止めろテメー!」
「OK、感謝してるのは本当だぜ。まいったね、こういう組織関係とは相性が悪いはずなんだが、全面的に協力したい気分になってきたよ」

 まだニヤニヤと笑みを絶やさないダンテの言葉は酷く胡散臭かったが、彼は限りなく本心を語っていた。
 バカにされることは確実だが、素面で愛と平和について万歳をしてやりたい気分だった。
 やはり、人間とは素晴らしい。自分とは考えを違えた兄を想い、ダンテは自らの心を確認する。
 バージル――奴が再び自分と、彼女達のような者の前に刃を向けるのなら、その時は再び戦うことを迷いはしない。
 ヴィータを見つめる瞳に、もはや複雑な感情は映っていなかった。

「バージルに関しては、俺がしっかりと説明してやるよ。もう決めた、俺はこの<機動六課>って奴に協力する。ただし、個人としてな」
「そうかよ、好きにしろ。もうあたしにゃ関係ねー」
「拗ねるなよ、悪い意味で笑ったんじゃないんだ。本当に感謝してるのさ。何か、お返ししてやろうか?」
「いらねー」
「何でもいいぜ、キスでもハグでも」
「いらねーよ、ボケ! ……ま、そこまで言うんだったら、ちょっと外出るの手伝え。リハビリしてぇんだ」

 ヴィータの頼みを快く引き受け、ダンテは立ち上がると、そのままおもむろに小柄な体を担ぎ上げた。

「……って、何してんだオメーは!?」
「暴れるなよ、運んでやるのさ」

 肩の上でジタバタと手足を振り乱しても揺るぎもせず、ダンテは騒ぐヴィータを担いだまま、シャマルに手を振って医務室を出て行った。
 のほほんと手を振り返すシャマルを恨みながら、ヴィータは叫び続ける。
 すれ違う局員の好奇の視線が、彼女の羞恥心を大いに刺激して去って行った。もう死にたい。っていうかむしろコイツが死ね。

「てめっ、この格好でどこまで行く気だ!? これ以上目立ったらぶっ殺すぞ!」
「ちょいと今日の予定を耳に挟んでね。向かってるのは、訓練場さ」

 その叫び声が大いに目立っているヴィータの文句を笑って聞き流し、ダンテは答えた。

「模擬戦するらしいぜ。お前らの隊長殿とうちのじゃじゃ馬、それに付き合う健気なパートナーがな」

 そこで、二人はそれぞれの想い人の衝撃的な戦いを見ることになる。
 既に模擬戦は開始されている時間だった。







326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:16:27 ID:5RoH4yn8
支援

327 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:17:05 ID:ZwFqzbYw
 フェイトが合流し、エリオとキャロが見守る中、ティアナとスバルのコンビがなのはに真っ向から激突する。
 その戦闘は、概ねスバルとティアナの事前の想定通りに進行していた。
 相手をするなのはにも実感出来る、これまでの二人の戦闘パターンとは違う動き。
 ホテル襲撃事件において、ティアナが自ら目覚めたコンビネーションだった。
 スバルの荒々しい突撃をティアナの正確な射撃が補完する――ただ一つ、スバルの攻撃がもはや特攻と呼べるほどに自身を省みない無謀さを孕んでいる以外は。

「スバル、ダメだよ! そんな無理な機動!」
「すみません! でも、ちゃんと防ぎますからっ!」

 スバルの応答はなのはの叱責の意味を理解していないものだった。
 様子がおかしい。それを察した瞬間、思考の隙を突くように高所から正確無比な狙撃が襲い掛かる。

「……っ、容赦ないね」
『敵に応答するな、戦闘に集中して! 今は敵よ!』
「ごめん!」

 ティアナの念話を受け、再びスバルの瞳が危険な色を宿した。恐れを故意に忘れた眼だ。
 なのはの中で疑念が高まる。
 スバルの突撃とそれを援護するティアナの射撃の割合は、絶妙と言えばそうだが、酷く危うい一面もある。
 防御を捨てることは、攻撃力の向上に反比例してリスクを押し上げる無理な戦法なのだ。
 自分は教えていない。むしろ、戒めてきた。
 二人の戦法が、自分の教導を否定する意味を持っていると察し始める。
 混乱と、悲しみ……そして、やはりどうしようもない疑念が湧き上がった。

 ――あのティアナが、これらのことを全て考慮せずに戦うだろうか? 逆に言えば、この戦いは彼女のメッセージなのではないか?

 キリの無い疑念が頭の中を掻き回す。なのははこの時、間違いなく動揺していた。
 その隙が、スバルの接近を許す。

「でやぁああああああっ!!」
「くっ!?」

 カートリッジの魔力を乗せた拳が、なのはのシールドと激突して火花を散らす。
 受け止めざる得なかったのは、なのは自身の動揺と、同時に迷いによるものでもあった。

「スバル、どうして……っ?」

 愚かなことだと分かっている。ただの被害妄想染みた考えだということも。
 しかし、教え導いたはずのティアナと意見を分かち、つい先日の事件に至って、なのはの内に隠した動揺は大きくなりすぎていた。
 ティアナの考えていることが分からない。分かってくれないことが分からない。
 そして今、目の前で離脱もせずに、防がれた攻撃を尚も続けるスバルも――。

「どうして、こんな無茶をするの!?」

 その叫びに、苦悩と悲しみが滲んでいることを、不幸にも若く直情的なスバルが理解することはなかった。

「わたしは、もう誰も傷つけたくないから……っ!」
「え?」

 ただ、自分の想いを吐き出す。

「ティアナが傷付いたのは……わたしを撃ったのは……っ、わたしが弱くて、信頼出来なくなったせいだからっ!」

 その真っ直ぐな想いを、なのはもまた真っ直ぐに受け止めすぎてしまう。

「だからっ! 強くなりたいんですっ!!」

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:17:23 ID:jNgaGhSW
何故だろう模擬戦がもうドモンとマスターアジアの戦いしか連想できないのは支援。

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:19:32 ID:5RoH4yn8
支援

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:21:34 ID:z+HRErzC
支援

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:21:34 ID:k5kKlfWH
支援が止まらない

332 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:22:34 ID:ZwFqzbYw
 吐き出された、あまりに強すぎるその想いが、かろうじて保ち続けていたなのはの心の平静を打ち砕いてしまった。
 一瞬呆然したなのはの隙を見逃さず、スバルが力の拮抗を崩す。
 我に返ったなのはが防御に集中した瞬間。その僅かな一瞬だけ、彼女は思考からティアナの存在を忘れた。
 そして、硬骨なガンナーはそれを見逃さない。

「一撃、必殺――!」
「しまった、ティアナ!?」

 クロスミラージュの銃口から短い魔力刃を銃剣(バヨネット)の如く発生させた、近接戦闘用のダガーモード。その不完全版。
 詳しい機能を教えられるまでもなく、独自の鍛錬と研究によって生み出した、なのはですら知らないその武器を、ティアナはこの土壇場で使った。
 その決断が、対するなのはに何よりも本気を感じさせる。
 ――どうあっても、自分を倒すのだ、と。

「……レイジングハート」

 その決意の意味を、取り間違えたか、あるいは本当にそのままの意味なのか――ティアナが自分を否定したのだと、なのはは感じた。

「モード・リリース」
《All right.》

 なのはの中で混沌としていた感情が全て凍り尽く。それは致命的なまでの心理的動揺であり、衝撃だった。
 常人ならば放心するしかない。しかし、何よりも彼女の持つ戦闘魔導師としての天性の資質が、肉体を突き動かしていた。
 デバイスを待機状態に戻し、両腕に自由を得る。自らもまた肉弾戦で応じる為に。
 だが果たして、その冷静でありながら、どこか私情とも見れる判断が、本当に反射によるものだけだったか――なのは自身にも分からない。
 混乱、悲しみ、疑念……そして、美しい少女の内に潜むにはあまりに醜い怒り。
 差し出した手のひらに受ける、ティアナの鋭い魔力。
 腕をカバーするように展開したフィールドと反発して炸裂し、暴走した魔力が周囲を荒れ狂う中、なのはは痛みよりもそれが助長する悲しみと怒りを感じていた。

「……おかしいな。二人とも、どうしちゃったのかな?」

 やがて、煙が晴れる。
 なのはの視界とその迷いもまた晴れようとしていた。一つに集束していく。暗い方向へ。

「頑張ってるのは分かるけど、模擬戦は喧嘩じゃないんだよ」

 視線を動かせば、自分の変貌に畏怖を抱くかの如く震えるスバル。
 そして、普段通りの冷静で冷徹な戦闘者としての瞳のまま、自分を見下ろすティアナ。
 その瞳が何よりも雄弁に語っていた。
 敵だ、と。

「練習の時だけ言うことを聞いてるふりで、本番でこんな危険な無茶するんなら……練習の意味、無いじゃない」

 その瞳に拒絶を感じるしかない。
 その視線に否定を感じるしかない。
 なのはにはもう何も分からなかった。
 長い教導官としての日々の中で、教え子達は皆思ったことを素直に質問し、自分が答えると一度だけ顔を見て『わかりました』と言う。
 それで全てが済んでしまっていた。
 しかし、目の前の少女は違うのだ。

「ちゃんとさ、練習通りやろうよ」

 そうしてくれれば、何も問題はないのに。
 自分は素直さに優しさで答え、誰も傷付かない。強くもなれる。そう、これまでそうしてきたのに――。

「ねえ、わたしの言ってること……わたしの訓練……そんなに間違ってる?」

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:22:40 ID:jpGyDD3T
支援

334 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:23:32 ID:ZwFqzbYw
 なのはは理不尽さを感じずにはいられなかった。
 それがある種の身勝手さであったとしても、これまで優しさこそ真に人を導くと信じ続けてきた彼女の健気さを誰も否定は出来ないだろう。
 だが、この時彼女が教導官に有るまじき、感情によって動くという行為を成してしまったことも、やはり否定の出来ない失態なのだった。
 そうして、誰もが動揺して客観的な分析の行えないまま、事態は動く。
 なのはの言葉に答えるように、ティアナがダガーモードを解除して素早く距離を取った。
 展開された幾重もの<ウィングロード>に着地し、再度射撃体勢を取ってチャージを開始する。
 言葉は無い。どうとでも受け取れ、これが自分の答えだ――なのはにはそんな声が聞こえた気がした。

「……少し、頭冷やそうか」

 指先に魔力を集束し、その照準をティアナに突きつける。
 スバルが何かを叫んでいる。内心の動揺と混乱に反して、淀みなく魔力が動き、彼女をバインドした。
 敵意すら萎えているのに、なのはの指先に集まる魔力は素早く正確に自らの攻撃性を高めていく。

「クロス、ファイアー……」

 その時、なのはは自覚無く、あの時のティアナの気持ちを完全に理解していた。
 導く為でも、叱る為でもなく、叫び散らしたいような身勝手な怒りで彼女は引き金を引いたのだ。
 それは、もし声にしたなら……あまりに人間的な叫びだった。

「シュート」

 ――どうして、わたしの気持ちを分かってくれないのっ!?






335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:25:21 ID:S4LW0ShO
支援

336 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:26:06 ID:ZwFqzbYw
「……最悪だ」

 訓練場の様子を映すモニターを睨みながら、ヴィータは呻くように呟くしかなかった。
 なのはの一撃が、ティアナを吹き飛ばす瞬間が見える。
 もし訓練弾でなければ粉々に吹っ飛んでいる。それほどまでに容赦の無い一撃だった。
 教導官は訓練生を潰さない為にダメージも計算していなければならない。それはなのはも熟知しているはずだ。
 だからこそ、本来ならばこんなオーバーキルの攻撃は在り得ない。あの一撃には、理性を超えた激情が透けて見える。
 ヴィータの言葉通り、模擬戦は最悪の展開となってしまったのだった。

「ティアナの拒絶が、なのはの心の糸を切っちまった……」

 なのはは、ずっとティアナを優しさで案じてきた。
 かつてのなのはを知るヴィータにはあまりに思い切りの悪い対応だったが、それでも今のなのはの精一杯だった。
 どちらが一方的に悪いわけじゃない。こと今回の事に関して、ヴィータは無条件になのはの味方をするつもりは無かった。
 結局、どちらも悪いのだ。
 頑ななまでに自分の力を信じ、他人を、仲間すら信用せず、真意を打ち明けなかったティアナ。
 そんな彼女に対して、どれだけ拒絶されたとしても決して行ってはいけない、力による解決に踏み切ってしまったなのは。
 どちらも間違い、そして事態は最悪の結果になった。

「いや、あたしも甘かったか。何か出来たはずなんだ」

 なのはを信頼しすぎた。いや、頼りすぎたのか。どちらにしろ、それが悪いことだと断ずることも出来ない。
 結局、成るべくして成ったというのか――。
 ヴィータは例え答えが出なくても、そんな愚かな結論に行き着いてしまうことを拒否し、頭を振った。
 そしてふと気付き、傍らにいるはずのダンテに視線を投げ掛けた。
 彼は、この結果をどう思っているのだろうか?

「やっぱり、ヤバかったな」

 モニターを静かに見据え、ダンテは驚くほど平坦な声で、そう呟いただけだった。
 それを見上げるヴィータの視線に力が篭る。
 
「……オメー、この結果を分かってたんじゃねぇだろうな?」
「だとしたら、どうする?」
「止められなかったのか?」
「無理だ。それに、そんなつもりもなかった」

 誤解を恐れず、ダンテはただ必要なことだけを答えた。
 ヴィータは何も言わない。ダンテの考えはもちろん、果たしてこの結果が本当に悪いものなのかも決められなかったからだ。
 いずれにせよ、答えは出た。あとは、二人の仲を修復するだけでいい。
 それこそが真の問題だと頭を悩ませ、唸るヴィータに、ダンテは何気なく告げた。

「――それにな、話はまだ続くみたいだぜ」
「え?」
「だからヤバイんだ」

 ダンテの深刻な呟きに、ヴィータは変わらず訓練場を映すモニターに再び視線を走らせた。







337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:27:20 ID:S4LW0ShO
支援支援

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:27:49 ID:jNgaGhSW
ここから先はR指定だぜ支援

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:27:56 ID:5RoH4yn8
支援

340 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:28:12 ID:ZwFqzbYw
「ティアァァァーーッ!!」

 スバルの悲痛な声が空しく響く。しかし、粉塵の向こうから答えはない。
 なのはは早くも後悔を感じていた。外見こそ平静を装っていたが、自分の為したことが信じられないほどに動揺していた。
 睨み付けるスバルの瞳が、これまでずっと尊敬の念を映してきた自分を見る眼が、今は悲しみとも憎悪ともつかないもので荒れ狂っている。
 それは間違いなく自分の罪を示すもので、責める罰なのだろう。
 なのはは疲れたようなため息を吐き出し、もう一度スバルを見た。とにかく、模擬戦は終わり、それを告げなければならない。義務だ。

「模擬戦はここまで。今日は二人とも、撃墜されて……」

 言い掛け、その時になってようやく気付いた。
 スバルの視線が、自分を向いていない。正確にはすぐ近くを見ながら自分の顔に焦点が合っていない。
 ――ゾクリと、なのはの戦いの感覚が全力で不吉を告げた。

「ティアナ……ッ!?」

 その戦慄の原因をなのはは直感し、言葉ではなく現実がそれに返答した。
 撃墜したはずのティアナの位置へ走らせた視線が、粉塵の中で消失する人影を捉える。
 わずかに見えたティアナの姿が、まるでホログラムのように消え去った。
 比喩でもなく正真正銘の幻影だ。

「あれは……<フェイク・シルエット>!?」

 希少な高位幻影魔法の名が口を突く。幻影系の魔法を習得中だと、ティアナ自身が語ったことをなのははこの瞬間まで忘れていた。
 在るはずのものが消え、それと同時にいないはずのものが出現した。
 呆気に取られるなのはの傍らで、空気が歪み、絵の具が紙に滲み出るようにして人の形と色をしたものが姿を現す。
 それこそが、本物のティアナだった。

「<オプティック・ハイド>!」

 なのはが全てのカラクリを理解した時、全ては致命的なまでに終わっていた。
 出現したティアナは既になのはのすぐ傍まで肉薄している。突き付けられたクロスミラージュの銃口は、その頭部を無慈悲に捉えていた。
 呆気に取られているのは、スバルさえ例外ではない。この展開は彼女さえ知り得るところではなかったのだ。
 なのはとティアナの視線が交差し、その間をスバルの視線が彷徨う。

「ティ、ティア……これって?」
「Eat this」

 一切合財を無視して、ティアナは引き金を引いた。
 回避など絶対不可能な超至近距離で魔力弾が放たれる。なのはは咄嗟に障壁を眼前に生み出した。その反応速度は歴戦の魔導師だけが為し得る奇跡だった。
 しかし、察知されない為にチャージこそしていなかったものの、その一瞬に備えていたティアナの攻撃はなのはの咄嗟の防御を凌駕した。
 閃光の炸裂を伴って、障壁を魔力弾が突き破る。
 ティアナを含む誰もが、その結果を確信した。
 なのはの反応はまさにギリギリの反射によるものだった。
 その一種の奇跡によって生み出された防御を抜ければ、もう後には猶予など残されていない。
 ――だから、なのはは自らその猶予を作った。

「な……っ!?」

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:29:42 ID:S4LW0ShO
こ、この展開はっ!?支援

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:30:08 ID:5RoH4yn8
支援

343 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:30:15 ID:ZwFqzbYw
 眼前で瞬く、もう一度『魔力弾と障壁がぶつかる閃光』を見て、ティアナは初めて動揺した。
 魔力弾は二枚目の障壁によって受け止められていた。
 なのはの『口の中』で。
 魔力弾の射線上にある口を開き、そこに攻撃を導くことで僅かな距離と時間の猶予を作った。そして、口内に極小規模な障壁を形成することで、魔力弾を受け止めたのだった。
 ティアナでさえ予想し得なかった、その一瞬の判断と決断に誰もが戦慄する。
 なのははぐっと噛み締めるように口を閉じた。
 障壁にぶつかって弾けた魔力の残滓が口の中で飛び散ってチリチリと痛む。
 しかし、そんなものは全く些細なことだった。

「……ティアナ、これがアナタの答え?」

 なのははティアナを見据え、静かに告げた。
 もうそこには怒りも動揺もない。本当にギリギリまで追い詰められた瞬間、彼女の中に眠る爆発力が全てのしがらみを吹き飛ばしていた。
 ただ純粋な強い意志を宿した視線を受け、ティアナは舌打ちしながらその場から飛び退る。
 一瞬にして距離を取り、エアハイクによって更に離れた足場へと移動していた。
 かつてないほど鋭い動きだった。スバルとの自主練習中や、ここまでの模擬戦の最中でさえ見せなかった、ティアナの真の力だった。
 予想もしなかったな展開と、パートナーの変貌に、スバルはもう何も考えられない。

「ティア……」
「ティアナ、スバルを囮にしたね?」

 まだパートナーを信じようと、縋るように呻くスバルを、なのはの断ち切るような言葉が停止させた。
 スバルの頭の中でバラバラに散らばっていた破片が、その言葉でカチリと噛み合う。
 状況が全てを語っていた。
 二人で練習した訓練、練った作戦――その全てがあの一瞬の為の伏線でしかなかったのだ、と。

「ティアナ、アナタはスバルを仲間じゃなく駒として扱ったんだよ」
「ち、違うんです、なのはさん!」

 今度こそ、正しい怒りを迷いなく向けるなのはに対して、スバルは慌てて言い縋った。
 何かの間違いだと、そう信じていた。

「あの、これもコンビネーションのうちで……っ! っていうか、わたしが悪いんです! わたしが、もっと……っ!」
「スバル」

 必死に言い募るスバルを、横合いから冷たい言葉が殴りつける。
 震えながらその方向を見た。
 ティアナが見下ろしていた。どうしようもなく冷酷で冷徹で、相棒を思いやる暖かみの一片さえ含まれない瞳で。



「アンタのそういう寝言がウザくて仕方なかったのよ」



 吐き捨てられた言葉が、一緒に二人の間にあった繋がりさえ切り捨ててしまった。
 スバルがその場に崩れ落ちる。
 その様子を一瞥し、なのははティアナを見た。驚くほど落ち着き、睨みもせず、ただハッキリと『強い』視線だった。

「ティアナ……」
「さあ、続けましょう高町教導官。まだ模擬戦は終わってません。一人リタイア、後は一対一です」

 不敵な笑みを浮かべてクロスミラージュを構える。その仕草だけは、まったく普段通りのティアナだった。

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:33:04 ID:S4LW0ShO
支援ー

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:33:17 ID:5RoH4yn8
支援

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:33:30 ID:kFR0rBHv
戦う為だけの戦闘マシーンは悪魔と変わらない。支援

347 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:33:57 ID:ZwFqzbYw
「ティアナは、わたしに勝って何を証明したいの?」
「何も。強いて言うなら、現状での修正点です」
「修正? 何か、間違ってるところあるかな?」

 すでに二人の意志は戦闘時のようにぶつかり合っていた。
 避けられない戦いを前に、なのははティアナの真意を探るように言葉を投げ掛ける。

「私が勝てば、認めざる得ない――今の高町教導官が想定する私の戦闘力が、間違っているという現実を」

 ティアナは初めて得られた的確な質問に対して喜ぶように笑って答えた。

「足りないんです、力が。今の訓練じゃ、私の得られる力はあまりに少ない」
「ティアナは十分強いよ」
「何を基準にした『十分』なんですか? アナタに私の求めるものの何が分かると?」

 嘲るような笑みに、なのははもう必要以上のショックを受けなかった。
 ただ受け止める。この言葉は、自分が望んだものだ。
 ティアナの本心だ。

「私は、ただ理屈を言ってるんです。
 別に先の事件の失敗を帳消しにして、死んだ兄の正しさをこんな形で示したいわけじゃない。やるべきことは分かってます。その為に必要なモノも」

 ティアナは全てを吐き出すように続けた。
 声も荒げず、ただ穏やかに、淡々と。それこそがティアナの本気の証なのかもしれなかった。

「高町教導官、アナタの力を尊敬します」
「力、だけなんだ……」
「今のままじゃ足りない。その力が欲しい。だから、私が証明するとしたら――唯一つ、更なる教導の必要性だけです」

 明確な理屈に基づく話を終え、ティアナは全てを任せるように口を噤んだ。
 悲しいほどに冷静な言葉だった。なのはを打ち倒すことで何かを得られるなどと錯覚せず、あくまで適切な手順を踏んで自らの目的を達成しようとしている。
 しかし、やはり――。

「ティアナは手段としての力が欲しいんだね。それは、きっと正しいよ。力はいつだって手段なんだ」

 なのはは噛み締めるように呟いた。
 ティアナの理路整然とした言葉の前に頷いてしまいそうになる自分を、心の何処かで止める『根拠の無い何か』が在る。
 それはティアナにとっては愚かしいものなのかもしれないが――なのははそれに従った。人間として、正しいと信じて。

「……そう、力は手段に過ぎないんだよ。それは、やっぱり事実なの」

 俯いていた視線を上げ、なのはは真っ直ぐにティアナの瞳を見据えた。
 その意志在る瞳を、かつての彼女を知る者が見れば気付いただろう。
 迷い無く、理屈や常識を超え、己の心が叫ぶままに自らを信じようとする子供のように純粋な瞳だった。

「例えどんなに必要でも、自分を慕う人や仲間を切り捨てて、自分まで削って尖らせて……そんなになってまで求めるものじゃない。
 もうその時点で、力はアナタの為に在るんじゃなく、力の為にアナタが在るようになってしまっているんだよ!」

 訴えかけるようななのはの叫びに応じて、レイジングハートが再び真の姿を現した。
 ティアナ、その姿にも言葉にも微動だにしない。
 もはや、彼女を揺るがすものは無いのか。しかし、なのはは語ることを止めなかった。

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:34:07 ID:jpGyDD3T
支援

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:34:43 ID:k5kKlfWH
隊長ー!大変です!過去最大の支援です

350 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:35:25 ID:ZwFqzbYw
「本当にたいせつなものは、力なんかじゃない。それを扱う自分自身――。
 苦しい時、追い詰められた時、いつだって最後には自分を突き動かしてくれる、魂なの!」

 今の自分に出せるだけの想いを吐き出して、なのははぶつけた。
 自らの手を静かにその胸に当て、其処に在るものを確かめる。
 10年前、全ての始まりから自分を動かし、どんなに辛い時も立ち上がらせてくれた。歳を経て、久しく感じられなかったソレが、今再び燃えていた。

「その魂が叫んでる……ティアナを止めろって!」

 今日までの迷い、悲しみ、怒り――全ての人間的感情を一つの意志に束ねて、それを決意としてなのはは指先と共に突き付けた。
 その決死の覚悟に、ティアナは嘲笑で応える。
 暗い笑い声が響き渡った。
 ティアナもまた、既に揺らぐことの無い覚悟を終えてしまっているのだった。

「申し訳ないですが……『あたし』の魂はこう言ってる」

 飾り立てた敬語が崩れ、ティアナの真の意志が露わになる。
 なのはと同じように、胸の内で燃え続ける確かな決意に手を当て、確かめるようにその叫びを感じ取った。
 何かを与えるのではなく、ただひたすらに求め続ける魂の渇望を。
 全ては、何も出来ない自分の無力を殺す為に――。



「――もっと力を!」



 ゆっくりと一語一語噛み締める、地を這うような重い決意の言葉が、その瞬間決定的に二人の間を分ってしまった。
 二人の強烈なまでの意志に、スバルと遠くで見据えるフェイト達や、ヴィータ、ダンテさえ飲み込まれていく。
 誰の顔にも悲痛な表情が浮かんでいた。そして、同時に共通して確信していた。
 どうなろうと、この二人の戦いの決着が全ての答えだ。
 誰も手出しなど出来ない。
 なのはとティアナ。言葉は全て吐き尽くし、後は力と意志だけが結果を生み出す。


 静寂。そして、同時に。
 互いに相手の意思を叩き潰す為、二人は行動を開始した――。






to be continued…>







351 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:36:49 ID:ZwFqzbYw
<悪魔狩人の武器博物館>

《デバイス》ボニー&クライド

 本作のみのオリジナル武器。ダンテが現在携行している銃型のデバイスを指す。
 二挺左右で交互に連射も、二方向の同時射撃も可能。
 質量兵器の禁止されたミッドチルダにおけるダンテの武器として、ティアナがアンカーガンのパーツを流用して作成した簡易型デバイス。
 一般的なデバイスと比較すると特異な外見だが、実際の性能はごく標準的なストレージデバイスである。
 使用可能な魔法も単純な弾丸型射撃魔法<シュートバレット>以外登録されていない。
 カートリッジシステムも未搭載の完全に普遍的なデバイスだが、ダンテの魔力によって驚異的な速射性と威力を誇る。
 驚くほど単純な機構の代わりに、強度はアームドデバイス並にある。
 デバイスの名付け親は不明。その意図も不明である。

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:38:57 ID:k5kKlfWH
GJ!お疲れさんでした!

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:41:21 ID:QN1EWeKF
GJ!
しかし、ここまでの決意があるなら、ティアナに勝って欲しいなぁww

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:41:39 ID:S4LW0ShO
限りなくGJ。極めて熱いが限りなく冷たい戦いの始まりですな。

355 :魔法少女リリカルなのはStylish ◆GJQu3lVpNg :2008/06/16(月) 23:44:16 ID:ZwFqzbYw
ありがとう…支援、完了(涙を流しながら空を仰ぎつつ)
なのはさんは俺にとって、ヒロインで! ヒーローで! 模擬戦なんだよぉぉ!!

支援ありがとうございます。覚悟してたけど今回初のさるさん喰らって『なん…だと…?』でした。
前回、バージルとかいろいろ意味深げな伏線出したんですけど、しばらくそれらは棚上げにして、あと二話くわいかけてティアナとなのはメインの話で掘り下げていこうと思います。
長々と描いちゃったけど、原作8話が一番書きたい話でしたからね。個人的に満足w
なのはさんもティアナも、愛ゆえにこその本作での暴走だと思っていただきたい。いや、ティアナは下手に抵抗せずフルボッコもありかな? とも思いましたがw
あと、ダンテも今回はシリアス風味。無敵っぽそうだけど、彼も意外と弱い一面ありますよね。それをさりげなく見せるからしめっぽくないのです。
ダンテもいろいろ語らせたいけど、今しばらくはティアナとなのはさんがメインになると思います。
お試し要素も多い。さて、一番想い入れの強い話だからこそ不安ですが、何とか書ききろうと思います。お楽しみに。

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:46:54 ID:z4D8XvUr
GJ!
次回の更新が楽しみでしかたがない

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:48:39 ID:ptDtM1aA
……様々なSSで、様々なクロスで、様々なカタチで描かれたこの模擬戦。
ここまで息を呑むのは初めてだ!
クールどころかダーティでダークネスな領域に入ったティアナに思わず引き込まれたぜ。
地を這って泥をすすってでも相手を殴り付けろッ!アレは間違いなく『敵』だ!
続きを期待せざるを得ない。マジで!

あとボニー&クライドって……なんてはた迷惑な名前だw
ある意味ダンテに似合っているのかもしれんがw
てかよく考えると、クライドってリンディの旦那さんの名前じゃんw


>>276
窓に置いた加湿器を 強くしてる午前二時

ふふっ、この曲が入ったCD持ってますよ〜
子供心にもあれは良い曲でした。


358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 23:57:07 ID:Cew/r4GT
GJ!!
ティアナは間違っているとはいえないし、そもそも沈められたからといって考え方を簡単には変えないだろうなあ
次回のスタイリッシュバトルとその後に期待!!

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:02:03 ID:rfAj+3kg
>>355
GJ!!!
いや、あの名シーンからさらにもう一声いくとは予想してなかったけどそれ以上にティアナの黒い覚悟完了ぶりがやばい。
次回の更新が待ち遠しすぎるぜ!

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:04:53 ID:fwllMaLd
GJ!
「Get me more power!」の台詞が出てくるとは!
このやり取りを見てるダンテはどんな心境なんだろうか・・・

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:08:44 ID:EYNQYtwP
GJ俺はこの心からのぶつかりあいが大好きだぜ。


362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:09:59 ID:JjWkrWvO
GJ!!です。
皆、コーラサワーになれば仲良くなれるのにw

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:10:07 ID:FliZZpGt
GJ!
バージル化してるwww
ここからどうティアナが変わるのか期待して待ってます

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:10:33 ID:1iWnFBoj
DMC3のラストバトルを見てるようだった。
ティアナとなのは勝つのはどっちか!!
続き待っています。

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:12:34 ID:KO+yj6F8
GJ!
やっぱり機動六課食堂の料理人は彼かw

ティアナが別の意味でいい感じに飛び始めましたね
開き直って一人で飛ぶぐらいの気合でもいいけど
今のティアナにはクール分と余裕が必要だな
カプコンつながりで白い悪魔の様な食えないやつに

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:13:05 ID:j+WE0XKI
GJとしか言いようがねえ!
スバルをオトリに使ったシーンは鳥肌モノだった。

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:13:34 ID:o19YCkKU
超GJ!!
模擬戦のシーンの改変では、過去最高のものかもしれない!

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:22:38 ID:dn69HqE1
GJ!
なのはクロス関連は最近保管庫を発見したのを契機に興味を持ち、本日初めてスレを覗いたのですが、
いきなり凄い作品の投下に遭遇してしまった(汗

DMCは未プレイで、元ネタを知らないクロスは読むのを敬遠していたのですが、
こりゃすぐに保管庫で今までの話も見て来ないと行けないと思う程に話に引き込まれました。

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:23:25 ID:gTY1dNXK
オーフェン・・・・・・

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:35:50 ID:nZZ1jCR6
絶望分が切れてきた、R-TYPEマダー

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 00:39:45 ID:c5ZCF4tY
無闇に上げる方最近多いですねー

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 01:15:52 ID:28N1W1zV
GJ!!
こいつは鳥肌物ですよ、旦那ぁ!
バージルモード入ってるティアナの言動全てに惚れるw
完全な形での拒絶に慣れていないなのはにはやはりきつかったか。しかもティアナを従わせるためには『力』の行使しかないという矛盾…
やはり、持つものと持たざるものではそう簡単に理解などし合えない訳ですな。

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 01:37:14 ID:LU5iyG7p
超GJですよ!!
オプティックハイドでなのはさんの懐に飛び込んで銃を突きつけた所。そして、もっと力を! のくだり…
此処に来てDMC2と3のラストを持ってくるとは、いやはや読めなかった!


374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 01:44:09 ID:pwNqYOB0
                リミッター解除
これはまさかの第八話でエクシードモードの予兆か!?
普段なら消化不良で終わっていた八話をまさかこんな形で続けようとは!
GJの嵐!

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 02:24:53 ID:f0bpIlfG
GJ!
それ以外の言葉が見つからない……

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 02:36:57 ID:Dy1dKiut
やべぇ・・やばすぎるぜ・・・ここまでやるとは思わんかった
とりあえずGJとしか言えない

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 03:35:52 ID:Ie6MjWkw
な、何というバージルなティアナ……。
これって、なのはに倒された後魔界に落ちて魔帝に利用されるフラグですか?(汗
と言うか、和解が見えなくてすげぇ怖いっす(汗

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 07:55:06 ID:EYNQYtwP
いやその前に帰天の儀式でアンジェロティアナになる可能性も。

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 09:14:00 ID:UZ+6FG7R
>>378

サザエさん頭のブチ切れ高校生の怒りを買って岩と同化すると申したか

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 09:26:33 ID:NLnSuKTL
ここで和解するとしたらすごい楽しみですね。
力等の手段に引きずられたら、やはり不幸になってしまうと思いますし。

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 09:45:48 ID:7kJk6N6/
ここでティアナ止まらなかったら、バージルのようになってしまう(汗
なんというStylishな展開、実に痺れました!!


382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 12:57:37 ID:EYNQYtwP
アーカム アリウス サンクトゥス教皇も力に溺れ
その力を制御できずに暴走したしな。

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 14:39:18 ID:3gGiZ/TY
>>355
GJ!!!
ティアナ・・・お前ってヤツは・・・・仲間よりも師よりも、ただ力を求めるのか。
前回の戦いにおける兄の仇との遭遇や自分の無力を思いしらされるという事実が確実に彼女の心を蝕んでるな。
はやての部隊長としての威厳を見せるところとかも良かった、やっぱただの娘っ子じゃツワモノ共の頭は務まらねえぜ。
しかし、ここまで明確な意思で上の意思に背いていたら隊を追われてもおかしくはないんだが、その辺を地味に心配する、大丈夫かティアナ?

次回はなのはとティアナの一騎打ち、果たしてなのははティアナに自分の思いを伝えることができるのか? 今からどきどきです。

384 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/17(火) 17:37:51 ID:TlHTU/j+
いろいろとスレに迷惑をかけておいてなんですが、改訂版を今日の夜十時に投下したいと思います。
今度はニ○ネタもお遊びもないので大丈夫かと。

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 17:42:33 ID:95ie2BAp
支援
がんばってください

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 17:49:28 ID:NgU54ync
支援しますー

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 18:34:46 ID:EYNQYtwP
支援します。

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 20:21:07 ID:LIIDyA69
これはGJすぐる!!!
そして予想通りのティアナのバージル化。ここのティアナは黒過ぎる。
このまま行くとティアナが負けるか、それともなのはと相討ちになるのか?
切り捨てられたスバルとの今後も気になるところ。さあ、今こそ夕日をバックに殴り合(ry
ダンテは時空漂流者?
今後の展開に期待してます!!!

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 20:24:56 ID:H/K+1kuB
>>眼前で瞬く、もう一度『魔力弾と障壁がぶつかる閃光』を見て、ティアナは初めて動揺した。
>>魔力弾は二枚目の障壁によって受け止められていた。
>>なのはの『口の中』で。

これ、なんて魔王でつか?

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 20:52:11 ID:KO+yj6F8
>>389
どちからというとEAT−MANだろ

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 20:59:32 ID:LRBWbgTk
クラフト・ワークと言ってみる

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 21:33:11 ID:UZ+6FG7R
>>391

お前は俺か

393 :322 ◆tRpcQgyEvU :2008/06/17(火) 21:44:50 ID:TlHTU/j+
十時に投下を予告していましたが、改定したとはいえ、やはり1度投下したものをスレに再投下するのは自分でもどうかと思い、wikiへの直接投下に変更しました。
作中の主な変更点は

・復活する人物をリリカルのとある人物に変更

・デバイスへの人格移植はなしにして、とある人物が使用していたデバイスのインテリ版に変更

・協力理由を自らの意志ではなく洗脳に近い形で

の3点です。
以前の作中にあったあの二人の登場フラグも、投下前にとある人物しように改定しておきました。
改定してこの程度か、失望した。と言われたら私は「はいそうです」としか答えようがありません。
この先のストーリー変更を最小限ににするためにはこうするしかありませんでした。
今度こそ次は六課の話を投下します。

394 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 21:59:10 ID:/pUXYQyt
22:30に投下します
今回はおよそ12kb
それなりに見れる長さだと思います

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:16:35 ID:N/sD9UCW
支援なのですよ〜

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:28:49 ID:Hmpci6Wt
前に家庭教師ヒットマンREBORNをクロスしたネタを考えていた人がいましたが
ネタを考えて見ました
未来編の途中で異世界に飛ばされ時空管理局に保護されるツナ達
そしてガジェットがでてそれを迎撃するのにツナたちが協力する
最終的にはJS事件にかかわってくる
未来編の途中なので未来編で覚えた技などはそのままで ボックスもあり
という想像

397 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 22:29:01 ID:/pUXYQyt
「うーん、いい景色だ。見てみなよフェイト。ほら、あっちの方には川とかもあるよ」

 部屋に案内した仲居の姿が見えなくなった途端、アルフは窓から身を乗り出してあちこちを指差し始めた。苦
笑しながらもフェイトはその傍らに寄り添い、一言一言に相槌を返している。
 立場が入れ替わった姉妹といったところだろうか。
 彼女が穏やかな分、アルフの春陽のような爛漫さが際立つな――とどこか頭の片隅で思いながら、クロノは一
室の隅に荷物を置いた。
 旅行バッグですらない、小さくはないが、大きくもない鞄が二つだけ。それがクロノたちの荷物の全てだった。
 中に入っているのは一泊分の着替えのみなのだから、それで十分。やろうと思えば、鞄一つに詰め込むことも
可能だったろう。もっとも、その時はアルフの牙がクロノの体のどこかに食い込んでいただろうが。
 窓際の二人を視界の横に置きながら、クロノはぐるりと室内を見渡す。
 どこか香り立つ草の床に鍵さえもかけられないような紙の扉。木で作られたテーブルこそあるが、その高さは
やけに低く、足つきの椅子はない。背もたれのようなものがその代わりなのだろう。
 記憶を失う以前がどうかはわからないが、どれも初めて目にするものばかりだった。一つ一つ、物珍しげに注
意深く観察する。
 例えばテーブルの上には黒塗りの丸い器――蓋のせいで中身はわからない――が置かれているだとか、何故か
備え付けのテレビには小銭を入れるような穴がついているだとか、その横のデッドスペースには給湯ポットと急
須があったりだとか。
 かといって気に入らないかというと、その逆だ。静かで、落ち着ける。一人だったら、の話だが。
 興味を引かれたというわけではなく、なんとなく手持ち無沙汰だったクロノは、その最後の急須が乗せられた
お盆へと歩み寄った。
 急須という名前は知らないが、その用途はなんとなしに推測できる。ポットの横に備え付けられている箱を開
ければパックに詰められた茶葉があることも、クロノの推測を裏付けていた。

「フェイト、アルフ。お茶は……いるかな?」

「おお、気が利くじゃないか、黒坊主。うん、飲む飲むー」

「あ、ごめん、それじゃあ、私も……」

「わかった。少し、待っていて」

 記憶を失っているとしても、流石に給湯ポットのボタン一つで手間取るようなことはない。さっと急須の中に
ティーパックを入れると、こぽこぽと音を立てて熱湯が注ぎ込まれた。
 お湯に打たれ、お茶の成分がじわじわと染み出している。斑に混ざり合う急須の中を見るのもそこそこに蓋を
して、ふとクロノの脳裏に疑問がよぎる。

「これ……どれぐらい待てばいいんだろう」

「前言撤回だ。やっぱりアンタは気が利かないよ。そんなこともわからないのかい?」

「アルフ、そんなこと言ったらダメだよ。それに私たちもわからないよね」

 半眼で眺めてくるアルフの言葉に体を小さくしていると、フェイトがそれを嗜めた。最も、どちらも本気では
ないのだろう。言葉に棘はない。軽いじゃれあいのような穏やかな空気が二人の間には流れている。
 きっと二人は、そんなやり取りを百やそこらでは追いつかないほど繰り返しているに違いない。どれほど使い
魔と主の精神がリンクしているとはいえ、絆だけは一から作らなければならない。
 アルフのように奔放な精神の持ち主であれば、フェイトのように臆病な少女であれば尚更だ。
 細い笑みを浮かべながら、その二人をクロノは眺めていた。
 そのクロノの眼前で、フェイトはそっと手を胸にやった。

398 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 22:29:51 ID:/pUXYQyt
「ただ待っているだけなのも退屈だし――」

 そうして握られているのは待機状態のバルディッシュ。「Set up」とその口に似つかわしい小さな声が響いた
と思えば、流石に防護服はないとはいえ、完全に起動したバルディッシュがフェイトの手には握られていた。
 猫目のようにバルディッシュ本体の宝玉が鈍い光を放つ。硬い金属音を奏でて、フェイトが相棒を振る。

「軽く、探査魔法でも走らせようか」

『Yes,sir』

 そうして、フェイトを中心として魔力の波動が辺り一帯に流された。精度はクロノはもとより、アルフから見
てもそれほどのものではない。ただ、潤沢な魔力に裏付けられたそれは、効果範囲だけなら山の頂のさらに先に
すら届かんばかりだ。
 クロノとて、おそらくはここまでの発動は出来まい。他ならぬ彼自身が迷いなく認めるほど、その魔法は力強
かった。これで本気ではないのだから恐れ入る。
 フェイトの魔力量の一端を目の当たりにし、クロノは目の前の少女が一流の魔導師であることを再認識した。
 ほどなくして、走らせていた術式は解除される。疲れだろうか、フェイトの顔にわずかな影が差す。

「どうだいフェイト。まさかこんなところで……」

「そのまさか、だよ、アルフ。微かだけど反応があった」

 緩んでいた二人の顔が、俄かに険しくなる。
 嘘から出た真ということか。特にフェイトをじっくり休ませようと思っていたアルフの苛立ちようといったら、
並大抵のものではなかった。犬歯も顕に歯を軋ませ、漏れ出る魔力はぴりぴりと離れていたクロノの肌も打つ。

「それに――」

 さらに追い討ちを打つように、

「見覚えのある魔力波動も。多分、この前の白い子」

 フェイトが告げた言葉に、アルフの短い堪忍袋の尾はついに限界を迎えた。

「あー、もうなんだってんだい、せっかくなのに! イライラするねぇ、まったく!」

「落ち着いて、アルフ。せっかくジュエルシードが見つかったんだから。アルフは顔も知られてないし、ここで
あの子たちを見張っていて。私はこれからジュエルシードを探してくる」

「そんな、今からだなんて! せめて少しぐらい休んでからでいいじゃないか!」

「ダメだよ。ジュエルシードは母さんに必要なんだから、見つけたなら探さないと。あの子に先に取られたら、
母さんだって困るものね」

「でもさっ!」

 きっとこのままでは平行線だ。
 傍目から見ていたクロノはそう結論付けた。しかも、そう遠くない内にアルフが折れるだろう。悲壮に歪んだ
顔を見れば、この行く末をアルフ自身がわかっていることは一目瞭然だ。
 平行とは交わることがないからこその平行だ。そこから結論が導き出されることはない。しかし、二人が深く
結びついているからこそ、その無理は罷り通る。
 そして、無理はいつか限界が来るものだ。
 今その無理を押し通してまで、ジュエルシードは必要なのだろうか。
 所詮外様のクロノにはわからない。わからないから、彼はただ自分が出来ることをした。

399 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 22:30:53 ID:/pUXYQyt
「……はい、お茶。熱いから、気をつけて」

 硬い音を立てて、窓際のテーブルに湯呑みがことりと置かれた。黄緑色のお茶は湯気を立て、ゆらゆらと揺れ
ていた。

「とりあえず、お茶でも飲みながら落ち着いて話したほうがいい」

 わずかに疼く脳の痛みを押し隠して、クロノはその儚げな顔に悲しみを浮かばせる。

「喧嘩は……多分、ダメだよ……」

 そのか細い声に、二人はひとまず自分の言いたいことを抑えて、目の前に差し出されたお茶に手を伸ばした。

「それで……あの子っていうのは?」

 クロノはこの中で唯一冷静だった。ただ、それは何も知らないが故の冷静さだ。プレシアの願いも、フェイト
の献身も、アルフが抱いた怒りも。どれ一つとしてその背景に何があるかを知らない。
 当然、フェイトが言う「あの子」が誰なのかも知るはずがなかった。

「私とは別にジュエルシードを追っている……私と同じ年ぐらいの女の子。多分、現地の魔導師」

 アルフはその言葉に反応せず、苛立ちを喉の奥に押し込むかのようにお茶を飲んだ。かすかに顔を顰めたのは、
怒りからか、それともお茶が熱かったのか。
 どちらでもいいことだ。
 重要なのは、それが本当ならばこうして休んでいる間にも、もしかしたらその魔導師が先にジュエルシードを
奪ってしまうかもしれないことだった。
 無論、それはアルフにもわかっている。わかっているからこその苛立ちだ。
 少なくとも、クロノは先程のアルフが浮かべた表情から、そう推測した。今すぐジュエルシードを探しに行く
べきなのは、この場にいる全員が理解していた。
 とはいえ、ここのところフェイトに疲れが溜まっていることも事実だった。
 今すぐジュエルシードを探しに行くのが一番いい。
 どこにあるとも知れないジュエルシードの探索に加え、クロノに魔法の指導。その上満足に食事も睡眠も取っ
ていないともあれば当然だ。アルフでなくとも心配する。
 その苦労の一端を担っているともあれば――クロノは脳内で速やかに決断した。

「……僕が、探してこよう。フェイトはゆっくりしているといい」

 控えめな、それでいて確固たる意志を感じさせる声に、フェイトとアルフの目が見開かれる。

「無理だよ!」

「無茶だ!」

 そして同時に口を開いた。
 響く声の大きさは違えど、言葉の意味は一緒だ。先程まで言い争っていたとは思えないほどぴったりの呼吸に
クロノの頬は我知らず緩んでいた。

「大丈夫。教えてもらった限りだと、探査とかは……得意みたいだし。自身も魔力を持っていて、なおかつ他の
魔力にも反応する機構を持っているなら、多分見つけられる」

「でも……」

 フェイトは言いよどんでいた。
 クロノの言葉が正しいことを、他ならぬ指導に当たっていたフェイトは十分理解している。それでも、納得す
るかどうかは話は別だ。
 それに、クロノはいまだ攻性魔法を教わっていない。そんな状態で暴走状態のジュエルシードに出会ってしま
えば、それこそ安全は保障できない。
 そのフェイトの心配を、精神がリンクしているアルフは我がことのように理解していた。そうして思案する。
 クロノの言葉とフェイトの疲労、心配。そしてジュエルシードの危険性。
 要は、それら全てが解消されればあればいいのだ。

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:31:36 ID:j7qnfmuO
>>396
ウロスへ逝け

あとリリカル×リリカル氏支援

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:32:03 ID:fYKb2vd0
クロちゃん支援

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:32:21 ID:FuyIF2+m
支援

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:32:38 ID:CO+7Jvqa
>>396
sageろ
そしてリリカル×リリカル氏 支援

404 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 22:33:04 ID:/pUXYQyt
「じゃあさ、こういうのはどうだい?」

 そう言うアルフの顔からは苛立ちは消え失せ、代わりににんまりとチェシャ猫のような――本来は狼だが――
笑みが浮かんでいた。

「だったらさ、皆の言う通りにすればいいじゃないか」

「アルフ、皆って?」

「アタシはフェイトにちょっとでも休んで欲しい。フェイトはジュエルシードを探しに行きたい。クロノはその
両方。つまりさ、フェイトに休んでもらう時間だけクロノに探しに言ってもらえばいいじゃないかって話だよ。
 どうせ最初はちまちまと探査魔法走らせるだけなんだ。それなら、フェイトだって心配ないだろ?」






 街であれば額に汗かくような陽気なのだろうが、水が近く、緑豊かな山にあってはその限りではない。
 草木萌え出ずる、というには些か時機を逸してはいるかもしれないが、それでもやはり梢を抜ける風には春の
匂いが残っていた。揺れる木漏れ日が、いくらか湿り気を残した地面を照らしている。
 一人で歩くにはどうにも贅沢が過ぎる。何とはなしにそう思い、クロノは手に持つS2Uを肩にやると軽く息を
吐いた。嘆息というよりは感嘆に近い。
 記憶がないからか。それとも、記憶を失っていてなお、この自然は美しいと思わせるのか。
 できれば後者であって欲しいと願いながら、クロノは一人歩きながら、部屋でのやり取りを思い出す。
 三方一両の損。アルフの言葉を一言で集約すれば、まさにそれに尽きた。一応は全員の意見が通った形だ。
 いくらかフェイトは渋りはしたが、アルフの熱烈な説得を受け、最終的には首を縦に振った。
 その時のアルフの喜びようを、クロノはしばらく忘れられないだろう。喜びではちきれんばかりに尻尾を振り
乱しては、目尻に涙さえ滲ませて。
 どれだけフェイトは無理を重ねていたのだろう。過保護のきらいこそあるが、基本的にはフェイトを信頼する
アルフのはしゃぎようを見れば、想像だに難くない。
 そしてその想像ですらまだ足りない。それがクロノが来る以前からも続いていたともなれば……
 わずかではあるが、そんな彼女たちの手助けを出来た。
 そんな僅かな達成感を胸に抱いたクロノの足取りは、普段と比べるとわずかに軽かった。しっかりした目的が
あるというだけで、こうまで違うものだろうか。
 暗い室内に篭っていてはわからなかったに違いない。
 クロノの行動はフェイトだけでなく、自分自身の助けにもなっていた。
 だからだろう。彼女たちをさらに喜ばせたい、楽にしてあげたい。気負ったクロノが魔力にばかり気を取られ、
本来であれば気付くはずだった人の気配を見逃してしまったのは。
 いとも雑作に、クロノは行く末に邪魔になる低木を手で押しのけた。当然、音が鳴る。

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:33:37 ID:dsupxqYk
支援

406 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 22:34:53 ID:/pUXYQyt
「誰かそこにいるのか?」

「えっ?」

 クロノが聞いた声は二つ。向けられた声は一つ。恐らくは壮年の男性のものだろう。低く、僅かに警戒の色が
滲んでいる。だというのに、クロノの心を鷲掴みにしたのは、自身に向けられなかった、僅か一音節にも満たな
い、そんなか細い声の方だった。
 それはもしクロノに記憶があれば、その場で跪いてしまいそうになる。そんな女性の声。

 見てはいけない――

 記憶ではなく、クロノ・ハーヴェイという存在自体が警鐘を鳴らしている。

 会ってはいけない――

 肌が粟立つ。心臓は早鐘のように鳴り響き、ごうごうと頭のどこかで唸りをあげていた。

 なぜなら、なぜなら、僕は、クロノ・ハーヴェイは――

「っっっっっっ!!」

 込み上げる悲鳴を残る理性で――あるいは、自分を知られたくないという本能からだろうか――必死で押さえ、
クロノはその場から逃げ出した。
 脇目も振らず、行く先も考えず、この場から離れるように全速力で。背後で自分を呼び止める声など聞こえは
しない。何もかもが恐ろしくて、ジュエルシードのことすら忘れ走っていた。
 何故こんなにも自分が取り乱しているのか。混乱する思考ではわからない。
 それでも、クロノには一つだけわかることがあった。

 僕はきっと、罪を犯している――

 記憶を失っていることを、クロノは今初めて怖いと思っていた。

407 :リリカル×リリカル ◆.k7TdiLwT2 :2008/06/17(火) 22:37:53 ID:/pUXYQyt
以上です
実はなのはとフラグを立てているように思わせて、その実……

ちなみに、「ケンカはダメーーーー!」は原作ネタです
気付いてくれるといいな、と思いながら、気付かれなかったときが怖くてネタ晴らしする私はチキンです

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:43:31 ID:CO+7Jvqa
>>407
GJ!
しかし、ケンカネタw
亀と猿ですかねwww

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:54:35 ID:dsupxqYk
GJ!
クロノがここまで取り乱す相手って、もしかして……?

>>408
あぁ、その言葉も懐かしいなぁw

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 22:57:09 ID:NLnSuKTL
GJ!
クロノ君良いですね。
なのはさんとの再会もあるのでしょうか。

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 23:06:00 ID:j7qnfmuO
なのはちゃんは死にましたwww
   ・・・
今いるのはなのはさんですw

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 23:26:02 ID:fr8AVajx
そして悲しい事に、なのちゃんは始めから居ないのです…

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 00:01:19 ID:LK5cDKXb
原作の美由紀並に喧嘩を拳(比喩)で黙らせますからな

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 00:04:54 ID:bqjpAxQv
感想を書いたらどうだ。

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 00:06:20 ID:i45eu159
感想

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 00:46:33 ID:3vHhmq6g
なのはよりも、クロノ・ハーヴェイがクロノ・ハラオウンと出会った時、お互いがどんな反応するかが楽しみ。

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 02:00:22 ID:o+H8/YU5
>>393
おお、まさかあいつが…これは楽しみな展開、GJ
ある意味おいしい役でもあるな、しかしエグいリサイクルだ


418 :名無しさん@お腹いっぱい。::2008/06/18(水) 03:32:20 ID:XuthROY8
リリカル×リリカル 氏GJです!
頑張れクロくん蝶頑張れ

なのはさんがクロくんに肉体言語で語り合わないか今からヒヤヒヤしてます。
クロくんのこの先に期待をかけつつ、続きも楽しみにしています!

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 04:07:05 ID:LBgFWkKr
>>418
sageわすれてるお

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 13:26:29 ID:8OEMUYRI
wktkする要素散りばめてるなぁ・・・
高町、ハラオウン一家とのやりとりが今から待ち遠しくてたまりません


でも猿も亀もフィアッセもいないんだよな
スバルやはやてにリボーンしてるし

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 15:57:56 ID:2lGDGQk4
別に猿も亀もフィアッセも存在して居ない訳じゃないらしい。
もっともなのはさんがフィアッセに八つ当たりしたせいで、高町家に他人が入り込む余地が
なくなってしまった、とのこと。子供のやったこととはいえ、ある意味自業自得ではある。

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 17:10:54 ID:8REwJJJs
Web拍手によると描写されてない部分はとらハ3と一緒らしい。

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 17:16:54 ID:b+g4s+sD
17:30あたりから嘘予告の投下よろしいですか?

支援は不用です

424 :嘘予告(1/2) ◆WMc1TGFkQk :2008/06/18(水) 17:31:33 ID:b+g4s+sD
 
「スカエリッティが、生存している?」
――――その言葉で物語は幕を上げる。


「あ――――」
 空を見上げて盛大な溜め息――ブラックコーヒーを思わせる漆黒の目。
 くわえたショートホープに着火。ライターには『A.S.A.P』――可能な限りさっさとやれ(アズ・スーン・アズ・ポッシブル)の刻印。
 すっぱ――――――とこれでもかと見事な吸いっぷりで、温暖化進行中の大気へと紫煙を吐息。

「ニコチンは何でも脳細胞や胸の発達を著しく停止させ、破壊するらしい。お前の胸の未来は暗いな」
「てめーは将来ガムみてえに萎んだ胸をぶら下げやがれ!」
 くわえ煙草のままファックサイン=涼月。
 風に揺れるさらさらの短い黒髪/空を映す黒い切れ長の目/乳性石鹸のような白い肌――エキゾチシズムの結晶のごとき容貌。
 んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ――非の打ち所のない八拍子=陽炎。
 長い火のような赤髪/冷たく澄んだ灰の瞳/刃こぼれ知らずの硬質ナイフのごとき美貌――ぷーと膨らむ風船ガム。
「あーそういや今日、どっかから誰か来るんだっけっか」
 涼月=疑問。

「イギリスから、特別顧問調査員だな。ちなみに到着予定時間は午前十時だ」
 陽炎=補足。
「うっわー」涼月――うんざり顔。「特別顧問調査員なんてろくでもねーな」
「まったくだ」陽炎――ガムを弾かせて。「本質をぼかした名前を付けるものほど録でもない場合が多い」
 そこへにわかにハイトーンな声。
「略称ソングー♪ Fは炎のFー♪ Bは燃えるのBー♪ Iは着火のIー♪ 残るは焼け野原ー♪ 『捜査に犠牲は必要だった』、それで全て片付くんです――っ♪」
 万が一でも届いたら国際問題になりかねなさそうな歌声は、瞬時に暗号化フィルターに。
「皆さんご静聴ぉ、ありがとうっ♪」
 ズドン! と髪をなびかせて着地。
「あー、確かに」「良い歌だね、夕霧」
 涼月+陽炎――パチパチ拍手。
「夕霧は今日も地球の平和を守る気まんまんです!」
 高らかな宣誓=夕霧。
 白金の髪/澄み切った青の瞳/すべすべした白い肌――柔らな宝石のように微笑む。
 
――――来訪者。
「こちらがイギリスの特別顧問調査員だ」副長の紹介――犬を連れた女が壇上に上がる。
「介助犬か?」
「介助犬ならハーネスがあるだろう」
「可愛いワンちゃんですねー♪」


425 :嘘予告(2/2) ◆WMc1TGFkQk :2008/06/18(水) 17:34:16 ID:b+g4s+sD
 
 今更麻薬探査犬? 麻薬なんて珍しくもないのに?――にわかな予想。
 ところが予想に反して女は壇下へ。
 あれ? なんで?――――残された青い犬。
「特別顧問調査員、ザフィーラだ」
 青犬=流暢なドイツ語――実はベルカ語=ドイツ語に酷似。
 黒犬=呆然。「……ありえねー」
 赤犬=逃避。「……なかなか良い声じゃないか」
 白犬=満面。「おっきな喋るワンちゃんですねー♪」

――――暗躍する影。
「どうして俺に……この力を」
「それは、君だからだよ。ああ――私のことはトラクルおじさんと呼んでくれたまえ」

――――無限の欲望。
「リヒャルト・トラクル……実に潰しがいがあると思わないかね!?」

――――ザフィーラ変身。
「大丈夫か?」
「ありえねー……」

――――蘇る亡霊。
「ノーヴェ!? どうしてここに!?」
「そんな……ギン姉達といるはずじゃ……」

――――三頭+一頭!
「いいか、今からあたし達は三人……いや、四人で一頭の獣だ!」

――――最強の特甲猟兵。
「君たちの魔法じゃダメだよ」
「そんな……ディバインバスターが…………!?」

――――最悪の特甲猟兵。
「な−なァ〜、ねーちゃん、ちょこっとええかいのォ〜」
(なのはと昔見たボクシングの選手に似てるなあ……)

――――再び集うナンバーズ。
「おもちろぉおーい! おもちろぉおーい!」
「しゃぶってやるぜ! しゃぶってやるぜ!」
「いくよいくよ! いくよいくよ!」
「おーおおーお、よちよちよち良い子でちゅねーええーえ!」
「バイツァダスト! バイツァダスト!」
「オォアァシィィス! オォォアァシィィィス!」
「ブルブルブルブル! ブルブルブルブル!」
「ホーッホッホ! ホーホッホ! ホーホッホッホ!」
「マンマ、マンマ、キエエエエエエエエ」
「ゲァゲァゲァゲァ! ゲァゲァゲァゲァ!」
「おかああああさん! おかあああああさん」
「カリカリガリガリ! カリカリガリガリ!」
――――ナンバーズ?

リリカルザフィーラ/オイレンシュピーゲル、近日公開!

「ネズミじゃん」
「うぇ……ネズミぃ」
「お二人とも失礼でしょう! ユーノさんはれっきとしたフェレットです!」
「そうそう――――って僕は人間です!」
リリカルユーノ/スプライトシュピーゲル、同時公開予定!


426 : ◆WMc1TGFkQk :2008/06/18(水) 17:37:12 ID:b+g4s+sD
以上です。もし嘘でなくなった場合は、生暖かい目で支援して下さいまし

この嘘クロスはオイレンシュピーゲル、スプライトシュピーゲル、マルドゥック・ヴェロシティ、ジョジョの奇妙な冒険の提供でお送りしました

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 19:12:29 ID:dq7EK1dB
すごく……ウブカタですw
これは面白い組み合わせー。ザフィーラなら仕方が無いw

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 19:24:22 ID:nc4/lA6R
>>421

それはアンサイクロペディアのリリカルなのは4期の嘘じゃなかったのか?

429 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 19:31:38 ID:oq2eBP3B
すねーーーーーーーーーーーく


17 :名無しさん:2008/06/17(火) 08:43:19 ID:kxbNBX2I
Stylish、ティアバージル化なんて言われて絶賛されてるけど、
管理局ヘイトで本編キャラアンチな連中好みの展開にしか思えない。
只のやさぐれ黒化じゃねえか…今までのスタイリッシュなティアじゃないし。
ティアがスバルを駒扱いした為、なのはの方がまともに戻った様に思えた。

StrikerS8話&9話元にした話って、連中にとってはなのはは無能教官で、
シグナムはKYニート侍でないと気が済まないんだろうな…。


18 :名無しさん:2008/06/17(火) 08:50:29 ID:ysYVVlek
原作の時点で無能教(ry


19 :名無しさん:2008/06/17(火) 09:05:36 ID:zu3WrF12
気が済まないも何も、原作だと教官として評価できる点が何ひとつとしてないだろうに。マイナスポイントなら多々あるけど。
原作に比べてティアナが行き過ぎてることで、相対的にまだマシになったぐらいだろ。それでもかなりアレだが。

リインUの失態とか、防衛ラインから突出したシグナム・ヴィータとか、ドレス着て遊んでた三人娘とか、そういう部分を全スルーしてパンチだからどうにも>シグナム
作劇的に考えると、あそこはホテルで全力を出していた奴にしか殴る資格はないよなあとか考えてしまう。

あの幻術の使い方はスタイリッシュじゃね?
わざわざオプティックハイド解除したのが不自然っちゃ不自然だけど。


20 :名無しさん:2008/06/17(火) 09:13:42 ID:6IoGW3aM
設定上は優秀なんだっけ?
どっかの二次創作が混じってるような気もするがなのはの下についたのは出世してるらしいな




430 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 19:37:04 ID:oq2eBP3B
修正と投下のラインはくっきりしてないと、なんとなく落ち着かないんだ。個人的な意見でしかないけど


56 :名無しさん:2008/06/17(火) 19:23:03 ID:Iqr8rBpM
この程度の日数で書き直せる程度の脱線が本来やりたい路線だったのか、
という意味でもうどうでもよくなったけどな。


57 :名無しさん:2008/06/17(火) 19:39:20 ID:c6FDKcOw
あいつもXと同類のゴミ畜生だったってことでいいじゃん。


58 :名無しさん:2008/06/17(火) 19:43:25 ID:nL3uT8H.
>>42
ティアナに関しては、幻術をフル活用するだけで対単体及びそれに類する少数戦闘では最強クラスになるからなあ。無理に変な強化しなくても。
なのはの場合、基本戦術が出力頼り=発展性がないせいで、強くしようと思うと神の手か魔改造になる。
つか、よく考えたら強化せずにギアスのガウェインみたいな役回りでも構わん気も>なのは

いずれにしろStylish氏に期待だな。


59 :名無しさん:2008/06/17(火) 19:54:17 ID:LywXEaL6
ガウェインと聞くとプニプニしか…


89 :名無しさん:2008/06/17(火) 22:01:05 ID:c6FDKcOw
どんなに修正しても一度信頼を裏切ってしまったことには変わりない。
もう2度と前のような賛同を貰えることはないだろう。


431 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 19:39:41 ID:oq2eBP3B


390 :名無しさん:2008/06/04(水) 17:04:29 ID:XXdDClrM
LMSは正直イラネ


391 :名無しさん:2008/06/04(水) 17:21:32 ID:iCLT8rJA
本人は面白カッコイイつもりだったのか知らんが
あのキャラ改造はちょっと鼻についたな


392 :名無しさん:2008/06/04(水) 17:47:13 ID:7CXcjkIE
でもLMSは明らかにクロスが合わないリリなの一期とDMCクロスという冒険に挑んだのは評価すべきだと思う。
あと、ちゃんとSSを完結させたって事も。

ただ個人的には、キャラ改変よりもボスキャラの扱いのが問題あった気がするぞ。
上位悪魔のはずなのにあんま迫力なかった。


393 :名無しさん:2008/06/04(水) 17:56:00 ID:aGfUv0cw
上位悪魔より、バージルの扱いに問題があったと思うが。
少し弱すぎたと思う。


394 :名無しさん:2008/06/04(水) 18:47:37 ID:OW.bFYz6
ケルベロス瞬殺したのも俺的にはマイナスだな。
精神的に不自然にタフすぎたのも。




432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 19:43:52 ID:5Qs3qYlT
>>421
初めて聞くな
ソースって何処?

433 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 19:45:20 ID:oq2eBP3B
「そう。
 柾木ジュンイチ――第108管理外世界出身の特殊能力者、“ブレ
イカー”のひとりだよ」
 つぶやくマスターコンボイに答えるアリシアの瞳はとても穏や
かで――“彼”がスバルだけでなく、彼女にとっても大切な存在
であることを雄弁に物語っていた。
 ともあれ、マスターコンボイはモニターに表示されたデータに目
を通していく。
「……新暦65年7月、転送事故により時空漂流者としてミッドチル
ダに漂着――直後に居合わせた陸士108部隊と行き違いから交戦。これ
をわずか10分で戦闘不能に追い込む……」
 最初からいきなりスサマジイ一文が出てきた――が、気を取り直して
続ける。
「その際の処分は保護観察処分……
 その後、首都防衛隊、及び陸士108部隊の任務に再三に渡り介入、
そのすべてを同部隊介入前に解決に導くが、同時に物的被害も甚大なものをもたらす……」
 軽くめまいを覚えてきた。
「その後ギガトロンと接触、後に“ギガトロン事件”と呼ばれる交戦
の末にこれを撃破、か……
 さらに“クラスカード事件”、“擬装の一族(ディスガイザー)事件”等で活躍……
 …………何だ? この“時計塔襲撃事件”というのは。“参考”扱いになっているが」
「あー、それ、次元犯罪事件じゃなかったの。
 “クラスカード事件”から派生した事件ではあるんだけど、あくまでその世界の中でのことだったから、
次元犯罪指定はされなかったの。だから“参考”扱い。
 ただ、その時の暴れっぷりがすごくてねぇ……しかも、その時に
モメた相手の組織、それが“時計塔”っていうんだけど、そこがよりにも
よって“あの”ジュンイチさん相手に全力で迎撃体制を敷いたもんだから
さぁ大変。


434 :反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 19:53:39 ID:2/Sies9O
犬夜叉原作終わっちまったァァァァァァ!orz
……いやね、まさかこんなに早いとは思ってなかったんですよ。もう1ヶ月は安泰だと思ったんですよ。
でも予想外の速度に、「原作完結と同時にリリ殺完結させてやるぜwwwうぇっうぇwww」という目論見が……台無し……orz

そんなこんなで悲しみと共に、8時半頃からリリ殺を投下します。

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 19:55:39 ID:fB+hz1xy
>>434
犬夜叉長かったですねー
支援します

436 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 20:00:09 ID:oq2eBP3B
「ジュンイチくん……?」
 何の用だろうか――とりあえず回線をつなぎ、応答する。
〈ハァイ、クイントさん♪〉
「どうしたの?」
〈その前に、テレビつけて、テレビ。
 どのチャンネルでも問題ないと思うけど〉
「………………?」
 ジュンイチの言葉に眉をひそめ、クイントはテレビのスイッチを入れ――
〈――現在、管理局の陸上警備隊が出動して現場を包囲、強盗犯との交渉が行われています……〉
「銀行強盗?」
 流れていたニュース速報を見て、クイントは思わず首をかしげた。
「この程度なら、首都防衛隊の私達が出るまでもないわよ。陸上警備隊で十分――」
 ジュンイチに答えかけ――クイントは止まった。
 脳裏によぎった“イヤな予感”に従い、尋ねる。
「まさか……また首を突っ込んでるんじゃないでしょうね?」
〈あー、何? その『もう首突っ込んでるんでしょ、ハイ確定♪』みたいな言い方。
 そんなにトラブル好きに見えるのかよ? オレは〉
「あのねぇ……」
 ジュンイチの言葉に、クイントは思わずため息をつき、彼に尋ねた。


437 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 20:00:46 ID:oq2eBP3B
「あのねぇ……」
 ジュンイチの言葉に、クイントは思わずため息をつき、彼に尋ねた。
「あのビル占拠事件以降、ウチの部隊が何回出動したか、当然知ってるわよね?」
〈えっと……9回だね。この短期間に9回もテロ。わー、ビックリ。
 しかも、金目当てはその内の3件だけで、残りは全部魔法至上主義社会に文句のある、非魔導師やヘッポコ魔導師の逆恨みだって言うじゃねぇか。
 いやー、嫌われてるもんだねー、魔導師って〉
「………………」
 ジュンイチの言葉にため息をつき、クイントは問いを重ねた。
「じゃあ……その内、キミが首を突っ込んだのは何回?」
〈全部♪〉
「笑顔で答えるところじゃないでしょ、そこはっ!」
 ジュンイチに言い返し、クイントはついに声を上げる。
「まったく……そうやって毎回毎回首を突っ込んでるキミが、その逆の行動を信じてもらおうって言う方がムリがあるんじゃない?」
〈いや、まぁ、そりゃそうだけど……オレだってそうそう毎回毎回自分から首突っ込むようなマネはしないよ〉
 クイントの言葉に息をつき、ジュンイチはそう答えて――彼女に告げた。
〈今回は――〉


438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:01:48 ID:W6FnZqcE
>>434
いえいえ、八時半からと言わず、今から投下しても構いませんよ

439 :柾木ジュンイチ:2008/06/18(水) 20:01:59 ID:oq2eBP3B
あのビル占拠事件から2ヶ月――すなわち、ジュンイチがミッドチルダに
降り立ってから、すでに3ヶ月の月日が経っていた。
 その間もミッドチルダは相変わらず。首都では多くの事件が起き、
クイントやゲンヤ達も忙しく駆け回――ることにはならなかった。
 理由は簡単。
 彼女達の出動よりも早く、事件を解決する者がいたからだ。

 実際、ジュンイチの対応は迅速で、且つ圧倒的であった。単独行動で
身軽に動ける自らの立ち位置を最大限に活かし、クイント達の先手を打ち、
過剰とも言える攻撃力で目標を迅速に鎮圧していく。
 周囲の部隊の中には、クイントらゼスト隊やゲンヤの陸上警備隊と行動
を共にしながらも勝手気ままに行動するジュンイチのことを快く思わない
者達も多々いたが――それも、黙らせるにはほんの数回事件を片付けるだ
けで十分に事足りた。
 どの部隊も、爆天剣と“再構成(リメイク)”による最小限の小道具の
みで、しかもたったひとりで迅速に制圧を行うジュンイチの戦いぶりを記録した
映像を前にしては舌を巻くしかなかった。ジュンイチとしては単に「パンピーを巻き込めない
市街地戦闘で大火力なんぞ使えるか」という基本的なセオリーに則っただけなのだが――それが
今回はプラスに働いた。鍛え上げ、磨き上げた力と技があれば、魔法がなくてもここまで
戦えるという実例を見せ付けられることで、
どの部隊も驚嘆し、己を見直すことにつながっていく。



440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:07:16 ID:Mo23i9Cv
待ってたよ。俺も支援。
しかし長かったな原作。実は奈落との追いかけっこのループが
 あと一年くらい続くかと思ったぜ。

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:13:40 ID:U938r5N4
支援

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:14:57 ID:3EYBy6fL
支援

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:21:01 ID:36pwyoYj
犬夜叉終わったね支援

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:27:05 ID:eni3BtER
http://www.chatran.net/dispfw.php3?_movie/_jean

なぜだか、ずっと、強い女性が好きでした。
それも単純に、アクション系の見た目強い女性、戦う女性が好きで、見ていてスカッとして憧れてしまうのでした。
自分自身は運動神経が鈍くて精神的にも弱く、すぐ落ち込んだりイジイジしやすい大人しめのダメダメタイプだったから、
よけいにそういう女性に憧れたのかもしれません。
http://www.yomiuri.co.jp/junior/articles_2003/030303.htm

――主人公に元気のいい女の子が多いですね。
 自分から一番遠い存在で、書いていて楽しいからでしょうか。
ぼくは気が弱いので、引っ張っていってくれる強い女の子が好きです。
それに、家に閉じこもってばかりいる子では、物語が進展しない(笑)。
ぼくが運動音痴(おんち)だったので、運動神経バツグンの主人公を書くなど、自分にできない夢を登場人物に実現してもらっています。
http://www.so-net.ne.jp/mc/columns/yohito/040325/index.html
気の強い女性が好きで、自分がリードするのは苦手。寺岡呼人によれば、そんな町田直隆の恋愛関係はミュージシャンの本道らしいんです。
http://blog.so-net.ne.jp/atom_uran/2007-06-05
僕個人は、強い女性が好きです。
僕自身、弱いところもあるので、女性がガンガン強いと、憧れの眼差しで見てしまいます(哀)
http://www.kekkon-j.com/lovetalk/002/index.html
僕はね、自分がダメダメだから、強い女性が好きなんですよ。誉めてくれる人よりは、「ここがよくなかった」と言ってくれる人がいい。
もちろん、誉めてもらうと気持ちはいいけど、それだけじゃあダメで。批判がね、人を成長させてくれると思っているから。
(行定 勲)
http://hikage412.exblog.jp/m2006-04-01/
強い女性が好きなんですね。自分はめちゃめちゃ好きです。強い女性ってどんな人なんだろうって思いましたか?
意見をばんばん言う人。自分の主張ができる人ですねぇ。あくまでも自分の価値感で判断していますので怒らないで下さいね



445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:30:13 ID:fB+hz1xy
反目氏支援

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:31:14 ID:HrQITLGB
支援

447 :反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:31:20 ID:2/Sies9O
それじゃ、投下します。
あとがき含めて35KBです。

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:32:09 ID:ZtzrpV7T
支援

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:33:56 ID:AK23NgTA
反目氏支援

450 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:36:33 ID:2/Sies9O
戦場は陸と空だけではない。
スカリエッティが蘇らせた鉄壁の牙城・聖王のゆりかご――今や戦乱の炎は、その内部ですら拡大し続けていた。
遠くに鳴り響く爆発音を耳にしながら、無骨なくろがねの大砲を構える少女がいる。
戦闘機人のフィットスーツを身に纏った茶髪は、あの銀ドクロのディエチの姿だ。
イノーメスカノンの巨砲へとエネルギーをチャージし、監視カメラの先にターゲットの姿を確認。
「あの小さな子の、お母さん……なんだっけ」
小さく呟く声の語気は冴えない。
今この先の玉座へ向かって進軍してきているのは、エース・オブ・エースの名を冠する高町なのはだ。
圧倒的な砲撃能力を振りかざし、幾多のガジェットドローン達を鉄屑に変え、奥へ奥へと驀進してきている。
純白のバリアジャケットをたなびかせるヴァルキリーは、自分達が連れ去ったヴィヴィオの母代わりだった。
なまじ同情を覚えただけに、ディエチの胸はきりきりと痛む。
「……アンタに恨みはないけど……」
小さく首を振りながら、物憂げな視線を鋭く引き絞った。
後悔していても何も始まらない。元よりヴィヴィオごとあのヘリを落とそうとした自分に、今さら同情する資格なんてない。
第一、相手はあの高町なのはなのだ。あの時自身の砲撃を叩き落とした張本人なのだ。迷っていて勝てる相手であるはずもなかった。
「5……4……3……2……1……」
冷たいカウントと共にIS・ヘヴィバレルを行使し、砲身へと灼熱のエネルギーを込める。
自身の顔のすぐ横に投影された画面には、ターゲットがこちらへ向かうその様子が映し出されていた。
そう遠くはない。このカウントが終わる時に、相手はあの角を曲がって姿を現すだろう。
その時こそが、まさにカウントゼロ――決戦の時だ。
外しはしない。阻ませもしない。今度こそ仕留めてみせる。
内心の憂いなどおくびも見せることなく、ディエチは冷徹な視線でだだっ広い廊下を見据えていた。
そして、千里の視線の向こうで、白きドレスが翻る。
「ゼロ」
「エクセリオォォーン……バスタアァァァァァァーッ!」
砲撃は同時に放たれていた。
イノーメスカノンとレイジングハート。黒光りする鉄の大砲と、黄金色に輝く杖とが、必殺の熱量を一挙に解放する。
発射。接近。接触。反発。ほとんど互角の威力を内包した魔弾が、激しいスパークと共に真っ向から空中衝突した。
猛烈な衝撃波がディエチの顔を殴り、前髪を額へと押し付ける。
数多の魔法の中でも、特に一撃の破壊力に秀でた系統・砲撃魔法。
その圧倒的な威力が、他の系統よりも長いチャージ時間によって成り立っているということは、既にギンガが実証済みだ。
故に、砲撃のみに特化した魔導師はそうはいない。格闘特化や射撃特化に比べれば、雀の涙のような数である。
そしてそんな砲撃特化型であるなのはが、何故エース・オブ・エースの名を冠しているのか。
ディエチは今まさに、その所以を身をもって味わっていた。
西部のガンマンがやるような抜き打ち――チャージなしでありながら、自分のフルパワーと拮抗するこの威力。
この女は強い。純粋に強すぎるのだ。チャージ時間のデメリットを、実力だけで埋めきれるほどに。
「ブラスターシステム、リミット1・リリースッ!」
『Blaster set.』
叫びと共に、その破壊計数はなおも跳ね上がる。
「ブースト……シュウゥゥゥゥゥート!!」
押されているのだ。十分なチャージ時間を稼いだヘヴィバレルの一撃が、その瞬間に完全に押し負け始めた。
禁断の力・ブラスターモード。リンカーコアを過剰刺激し、強引に魔力を引きずり出す諸刃の剣。
身体にかかる負担は、あのスバルのブーストバックルにすら匹敵する。故に持て余し、封印した力。
それが一挙に解き放たれ、ディエチの砲撃を圧倒し始める。
(必死なんだな……)
当の本人は、しかし驚くほどに冷静に、桜色の光の奔流を見据えていた。
この人は、自分がどうなっても一向に構わないのだ。それほどまでに必死になって、娘を助けようとしているのだ。
狂おしいほどの情愛が――戦闘機人の戦場には無縁であるはずの感情が、これほどまでの力を発揮する。
少しだけ、それが羨ましい。
(……羨ましい?)
自然と浮かんだ言葉に対し、ディエチは自問していた。
首元を彩るドクロのネックレスが、風圧に揺れていた。

451 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:37:35 ID:2/Sies9O
自分は羨んでいる。あのヴィヴィオに対して羨望の念を抱いている。
たとえ己が傷つこうとも、必死になって守ろうとしてくれる人間がいることを、心底羨ましく思っている。
数値化される戦果のためだけに戦うために生まれた戦闘機人には、絶対に訪れない展開を。
(そう思うのは……それが尊いものだと知ってるから)
オレンジ色の激流を押し返されながら、しかしディエチの脳内では、膨大な言葉と感情が渦を巻く。
戦闘機人にはそんなこと、どうだっていいことのはずだった。かつてはそんな感情論など、鼻で笑っていただろう。
しかし、今は違う。それがヒトの形を持った生命にとって、何より価値ある物だということが分かる。
誰かに愛され、誰かを愛し、その人のために戦うことの――普通の人間であることの尊さが。
(このアクセサリーだって、多分そうだ)
突風に煽られ、魔力光に照らされ、首元で光り輝きながら暴れる銀ドクロを見やる。
かつての廃棄区画戦の直前、自分は何の気なしにこのネックレスを買い、他の変装道具と一緒に身に着けた。
そして自分で買ったそのドクロだけは、捨てずに首にかけ続けていた。
別段可愛い物でもない。特別洒落た物でもない。何の変哲もない銀細工。
それでも、それは初めてディエチが自分で買ったものだった。
戦いのためだけに与えられた他の服とは違い、自分で自分を着飾るための装飾品だった。普通の女の子がそうするように。
(ああ……そうだ)
複雑に絡まりあった思考の糸が、急速にほどけていく。
ようやくたどり着いた。今まで彼女を悩ませていた、この言いようもない妙な感触の答えに。
(あたしは――)
桜色の煌きが千里眼の視界を支配し、自らの身体を飲み込んでいく。
白銀に輝くネックレスを繋いでいたチェーンがぷつりと途切れ、小憎らしいドクロが宙に舞った。

――普通の女の子に、なりたかったのかもしれない。


魔法妖怪リリカル殺生丸

第十三話「叩け、祝福の鉄槌」


「ぬぅんっ!」
野太い雄たけびと共に、管理局員を剛槍の一撃がものの見事に吹き飛ばす。
ミッドチルダの局員達の本陣・地上本部の内部。ゼストとアギトは、主戦場を離れ、今まさにその廊下をひた走っていた。
息を切らす死人騎士の顔には、嫌な汗が滲み始めている。
シグナムが戦闘の際に感じていた、デバイス越しに伝わるあの違和感の正体。彼の身体の衰弱は、既に危険域に達していた。
これまではしばらく激しい戦闘を行っていなかったことで、その症状の進行は抑えられていたのだが、
この前のヴィータとの戦いで行使したフルドライブが、一挙に身体を蝕んだらしい。
アギトが心配そうに、その顔を脇から覗き込む。
「すまんな、アギト」
不意に、ゼストが声をかけた。
「ユニゾンしてくれても、もうお前の炎をほとんど使ってやれん……」
剣呑な槍型デバイスを握る手が、極度の疲労によって小刻みに震えている。
全力の戦闘だけではない。誰かの力を借りることすら、もはやゼストにとっては重労働となっていた。
自分を助けてくれる魔力でさえ、その身体には蓄えきれないまでになっていたのだ。
「構わねぇよ。旦那を守る方法は、まだいくらでもあるんだ」
アギトは笑顔を作り、つとめて気丈に振舞う。
ユニゾンができなくても、彼をフォローすることができないわけではない。
融合騎たるアギト自身もまた、総合A+ランクの魔力を有した、優秀な戦士なのだから。

452 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:38:39 ID:2/Sies9O
「シグナムといったか」
しかしゼストは、まるでそれが聞こえていなかったかのように、脈絡なく呟く。
「あれは、よい騎士だな……」
「え……?」
アギトはただ、怪訝そうな声と共にに目を丸めるしかできなかった。
「あの剣閃に、炎熱能力……お前が言っていた理想のロードに、ちょうど適合するな」
瞬間、その表情は驚愕へと変わる。
見抜いていたのだ。この男は、自分の考えなど。
ミッドの上空であの烈火の剣士と刃を交えた時、アギトは瞬間的に思ってしまった。
剣系デバイスを振るい、炎熱系の魔力変換資質を持った、あの殺生丸とも互角に立ち回れる技量を有する女騎士。
彼女こそが、「烈火の剣精」の二つ名を冠する自分と最も相性のいい存在である、と。
「なっ、何だよそれぇ……!」
「あの太刀筋は紛れもなく、真正の旧きベルカの騎士。お前と同じように、どこかで保存されて眠ってでもいたか……」
うろたえるアギトを尻目に、ゼストは淡々と言葉を続けていく。
この人はいつだってこうなのだ。なまじ普段無口であるが故か、たまに自分の意志を示す時には、周りのことには構いもしない。
そしてアギトには、何となく分かっている。今まさにゼストが言葉にしようとしている意志が、一体何なのかが。
「違うよぉ! 何でそんな奴が管理局にいんだよぉ!」
思いっきり首を振りながら、アギトがわめき散らす。
どうしても、この話題は打ち切らなければならなかった。何かの間違いだと思わせるしかなかった。
その中に秘められたゼストの意志を、どうしても聞きたくなかったから。
「魔力光の色までお前と適合する。だとするなら、あるいは……」
「――やめてくれよ! 敵だぞアイツはっ!」
遂にアギトは、その瞳に涙すら浮かべていた。
「頼むよ……あたしのことなんて考えないでさぁ……! 自分のために、全力で頑張ってよ……!」
この男は、自分がいなくなった後のアギトのことを話している。
すなわち――そこに自分の死という要素があることを前提にして、言葉を紡いでいる。
無理に蘇らせたことで、不安定になってしまった死体。その命が長く続かないであろうことは分かっていた。
しかし、認めたくはなかった。それが今まさに、目前に迫ってきているということを。
そして何より、他ならぬゼスト自身が、それを認めてしまっているということを。
あの白く冷たい実験室から、自分を助け出してくれたゼスト。広く暖かい外の世界を、自分に教えてくれたゼスト。
共に肩を並べて戦ってきた戦友。大切なものをたくさん与えてくれた恩人。
マイスターを知らない孤独な融合騎にとっては、まさしく父にも等しき存在。
それ故に、今のゼストの姿を見ることが、アギトには耐えられなかった。
「……お前は、ここで見張っていてくれないか」
しかし、死人騎士は1人道を進んでいく。
自らの親友が待つ、あの地上本部の司令室の扉へと。
「恐らくあの騎士が、いずれ追ってくる。……今回だけは、俺のわがままを聞いてくれ」
それが今生の別れであると、その背中で語るように。
止められない。もはや自分の声は届かない。死に逝く父の背中を引き止めることはかなわない。
何もすることができず、ただアギトは、その背中をじっと見送っていた。

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:38:59 ID:fB+hz1xy
支援

454 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:40:07 ID:2/Sies9O
聖王のゆりかご、その動力炉。薄暗い室内には、煌々とした真紅の光が満ちていた。
全長数キロにすら及ぶ超弩級戦艦を動かす巨大な心臓は、ワインレッドの光を放つバリアーに覆われている。
比較すれば、人間など豆粒にしか見えないような動力に、1人立ち向かう影。
「づえぇぇぇぇあああああああああぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
鉄槌の騎士ヴィータ――廃棄区画にて、最初に殺生丸と刃を交えた少女である。
咆哮を上げながら、その小さな身体を必死に動かし、こちらも巨大なハンマーを振り回す。
グラーフアイゼンのリミットブレイク形態・ツェアシュテールングスフォルム。
鉄の伯爵の本分たる破壊と粉砕を、極限まで突き詰めた究極の姿。
「らあああああぁぁぁぁぁぁッ!」
猛烈なロケットエンジンの噴射と共に、ヴィータの体躯の数倍ほどの大きさを誇る鉄塊が駆け抜ける。
ハンマーの重量が、先端に備え付けられた金色の巨大ドリルが、次々と迎撃砲台を破壊していった。
苦しげに歯を食いしばりながらも、彼女は攻撃の手を緩めない。
赤き騎士甲冑をより深い赤に染めるのは、全身から流れ出るおびただしいまでの血液だ。
ここに来るまでに、そしてここで戦い始めてから、随分とダメージを受けてしまった。致命傷に近いものすらある。
それでも、ヴィータは立ち止まるわけにはいかなかった。
(はやてが外で艦が止まるのを待ってる……こんなことで、チンタラしてるわけにゃいかねぇんだよっ!)
鬼気迫るほどの眼光をその青き瞳に宿しながら、鉄槌の騎士は己が得物を振り回す。
守るべき主のために。その一心が、満身創痍の守護騎士の身体を突き動かしていた。
やがて全ての砲台が叩き壊され、ヴィータは再び動力へと向かう。
ギガントフォルムの巨体を有したツェアシュテールングスですら、このサイズには及ばない。
先ほど何度か浴びせたはいいが、それだけではまるで歯が立たなかった。
それでもやるしかない。それだけで壊せないのなら、もっともっと、何度でもお見舞いしてやるだけだ。
ヴォルケンリッター最高の攻撃力を誇るヴィータの、全力全開の一撃を。
咆哮するグラーフアイゼン。黄金のドリルが風を切り裂き、バーナーの炎が空を焦がす。
「でええぇぇぇぇぇやああああああああぁぁぁぁぁぁーっ!!」
気合一発。雄たけびを上げながら、ヴィータが必殺の鉄槌を振り下ろした。
接触するアームドデバイスとバリア。強烈なエネルギーの反発が、眩いばかりの光を放つ。
襲い掛かる衝撃波。手のひらに伝わる反発力。絶大な防御力が、ヴィータに向かって反撃する。
「ぐうぅっ!」
遂に表面で爆発が発生し、それが小柄な彼女の身体を吹き飛ばした。
ずたぼろになった体躯が床に打ち付けられ、一瞬意識を持っていかれそうになる。
痛みに身体を震わせながらも、ヴィータはゆっくりと立ち上がり、そして未だ無傷のバリアを見上げた。
「……何でだよ……」
悔しくて、悔しくて、微かに気弱な声が漏れた。
「何で、通らねぇ……ッ!」
目の前に突きつけられたのは、絶望的な現実だ。幾度となく攻撃を重ねても、まるで歯が立たない。
こんなことは初めてだ。かつて闇の書の防衛プログラムと戦った時でさえ、こうはいかなかった。
自分の全力の攻撃がまるで通らないなど、これまでに経験したことはなかった。そして、その悔しささえも。
「コイツをぶっ潰さなきゃ、みんなが困るんだ……!」
それでも、ヴィータはグラーフアイゼンを引きずりながら歩を進める。
「はやてのことも……なのはのことも、守れねぇんだ!」
自らが忠誠を誓う、守護騎士達を束ねる主。かつて激しくぶつかり合った、10年来の戦友。
絶望的な戦いであろうとも、それらのために、決して退くことは許されなかった。
「コイツをぶち抜けなきゃ……意味ねぇんだッ!」
故に、叫ぶ。
たとえ敵わぬ壁であろうとも、たとえこの身が砕けようとも、目の前のそれに立ち向かうために。
悲しいまでに真っ直ぐな意地だった。
残されたカートリッジを全てロードし、ツェアシュテールングスハンマーの威力を最大限に上昇させる。
この動力炉は自分が破壊する。そうしなければならないんだ。
毅然とした決意と共に、グラーフアイゼンを握る手に力を込めた。
「――ヴィータちゃんっ!」

455 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:41:02 ID:2/Sies9O
後方から不意に声が響いたのは、この瞬間だった。
よく耳に馴染んだ声に、反射的に振り返る。AMFの濃いこの場所では、絶対に耳に入ることはない声に驚きながら。
「な……リ、リインッ!?」
銀髪を持った小人の少女――リインフォースUが、ヴィータの元へと飛んできていた。
白き騎士甲冑の裾を揺らしながら、飛行魔法と共に接近してくる。
「何で、こんなとこに……リインにAMFは危険だって、分かってるだろーがっ!」
人間よりも遥かに小さな身体を有したユニゾンデバイスは、戦場では、魔法を使わなければ何もできない存在だ。
短い足では走ってもろくなスピードは得られないし、非力な腕では武器を振り回すこともできない。
移動は飛行魔法、攻撃は攻撃魔法に、完全に頼りっきりになってしまうのだ。
そして今彼女らがいるここには、高濃度のAMFが展開されている。
この艦を統べる存在である聖王などならば、まだ干渉を受けずに済むかもしれないが、侵入者達はそうもいかない。
ここまでの移動で無理をして魔力を使ってしまったリインは、やはり苦しげに肩で息を切らしていた。
一体何故、そこまでしてここに来たというのだ。
わけが分からないといった様子で、ヴィータはリインを叱り飛ばしていた。
「リインだって……みんなの力に、なりたいんです……っ!」
吐息で途切れ途切れになりながらも、リインは必死に言葉を発していく。
「今までだって、ずっと、ずーっとみんなの足を引っ張ってきてばかりで……だから……っ!」
大きな空色の瞳から、熱い雫が零れていた。
涙ながらに、幼い語彙で必死に言葉を続けようとするリインの姿に、ヴィータは声を失う。
彼女もまた、今の自分と同じなのだ。
己の無力を嘆き、何一つ成し遂げられない自分を情けなく思い、それでも先へ進もうとする。
それがいつになるかは分からない。今すぐかもしれないし、明日や明後日かもしれない。下手をすれば、何年も後になるかもしれない。
それでも、いつか自分が、皆のために何かをできるその時に向かって、ぼろぼろ涙をこぼしながら進んでいる。
そうしてリインは、ここまで来た。
「……そうだな……」
ふっ、と、ヴィータの口元が笑みに歪む。いつもの強気な鉄槌の騎士が見せる、大胆不敵な強者の笑みだ。
「確かに、あたしらは1人じゃなんにもできねぇかもしれねぇ……でも、2人でなら……」
両の手で柄をがっちりと掴み、下ろしていたグラーフアイゼンを再び振り上げた。
「……それに、このまま負けっぱなしで終わりたくなんかねぇよな……リインも、あたしも」
何が起こっているのかを図りかねているように、怪訝そうな表情でリインが彼女を見ている。
「――ユニゾンすっぞ、リインッ!」
力強い声がかけられた。
そしてその言葉は、涙を流す白きユニゾンデバイスの顔を上げさせるには、十分すぎる言葉だった。
「……はいですっ!」
同じく力のこもった笑顔と共に、リインの身体が白き魔力光へと変換される。
鉄槌の騎士の身体へと浸透する、祝福の風の白銀の魔力。
全身に満ちゆく魔法の力。血塗れの真紅のドレスが、鮮やかな純白の光に染められていく。
守護騎士ヴォルケンリッターを祝福する魔導の風がその身を駆け巡り、両者のユニゾンは完了した。
ロケットエンジンが起動し、先端ドリルが咆哮。無数の亀裂の入った鉄槌は、しかしそのダメージを感じさせず、強烈な唸りを上げる。
金色の聖杭を包むは、白き疾風だ。リインの司る氷結の魔力が、竜巻のごとき強風となって渦を巻く。
「ツェアシュテールングス……!」
回転する巨大なハンマー。ヴィータの位置を軸にし、さながら惑星の公転のようにぐるぐるぐるぐると回り始める。
『シュツルムゥゥゥ……ッ!!』
もっと速く、もっと強く、もっと激しく。
猛烈な加速が、その破壊力をみるみるうちに高めていく。
『「――ハンマアアアアァァァァァァァァァァァァ―――ッ!!!」』
怒号は、同時に上がっていた。
回転するツェアシュテールングスが、その場から解き放たれたかのように急速に上昇する。
さながら車輪のように回るそれは、空気を震わす轟音と共に、強烈な威力を込めてバリアへと襲い掛かった。
『「ぶゥち抜けえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――ッ!!!」』

456 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:42:02 ID:2/Sies9O
怒号と共に一撃。その破壊力、まさに轟天爆砕。
落雷のごとき絶大な力と速さで叩き込まれた鉄槌は、まさしく神話の武具の再現かと。
神聖なる祝福を受け、疾風怒濤の威力をその身に蓄え、グラーフアイゼンは真っ向からバリアに激突する。
舞い散る火花も、炸裂するスパークも、その破壊力も通常のツェアシュテールングスハンマーの比ではない。
――コイツをぶち壊して……はやてを、なのはを……助けるんだっ!
守りたい者がいる。
――二代目祝福の風として……これ以上、負けるわけにはいかないです!
助けたい人がいる。
鉄槌の騎士と祝福の風の想いは、今まさに魔力という形で具現化し、絶大なパワーを鉄の伯爵に与えていた。
瞬間、真紅の光が揺らいだ。
白きヴィータの騎士甲冑を照らすバリアに、細かい亀裂が入っていく。
その細い線は少しずつ、しかし確実に、血の色を湛えた光の壁全体に波及していった。
手ごたえあり。これでしまいだ。あともう少しの辛抱で、こいつを粉々に破壊できる。
『「いぃっけええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――ッ!!!」』
大気を震わさんとするほどの咆哮。
ここぞとばかりに、持てる魔力の全てを、鋼鉄のドリルへと集束させる。
猛スピードで回転する疾風の大槍が、遂にバリアへとその先端を突き立てた。
亀裂はダムの決壊のように、急速な勢いでその進行を加速させる。
どん、と。
鳴り響く轟音。炸裂する閃光。身体を殴る強烈な衝撃。限界を迎えて砕け散るデバイス。
ヴィータの目の前で、動力炉の鉄壁のフィールドが、凄まじい爆炎と共に四散していた。
『やった……やったです、ヴィータちゃんっ!』
融合したリインが、きゃぴきゃぴとした素直な喜びの声を上げる。
ホテル・アグスタでの戦闘からずっと負け癖がついていた彼女にとって、これは久々の快挙なのだ。
思いっきり声を上げて喜びを表現するのも分からないでもない。しょうがない奴だ、と思いつつも、ヴィータの顔には笑みが浮かぶ。
ともあれ、これで仕事は完了だ。自らに課した動力炉の破壊は、リインの力もあって達成できた。
「……へへ……やった、ぜ……――」
――これで自分が命を賭けた甲斐もあったというものだ。
刹那、ヴィータの身体は急激に高度を落としていた。
『ヴィ……ヴィータちゃんっ!?』
異変に気が付いたリインが、ヴィータに向かって狼狽した様子で声をかける。
しかし、反応はない。それ以前に、既に意識がなかった。
ここまでで頑張りすぎてしまったのだ。全身におびただしいまでの傷を受け、魔力も全て使い果たした。
徹底的に苛め抜かれた身体は遂に悲鳴を上げ、冷たい床へと真っ逆さまに落下していく。
どうすることもできない。完全にうろたえてしまったリインには、緩衝魔法でショックを和らげることもできない。
瀕死の身体を涅槃へと引きずり込む重力に抗することもできず、ヴィータは急速に落下していった。

――ふわり。

墜落する鉄槌の騎士を受け止めたのは、しかし冷たい金属の床ではなかった。
ヴィータの白き騎士甲冑は虚空に浮かび、その周囲は煌く黒点によって彩られる。
受け止めている者がいた。
未だその腕の中で眠る少女を、そっと空中で抱きとめた者の姿があった。
白と黒のモノトーンの騎士甲冑をはためかせ、漆黒の6枚の翼を羽ばたかせ、黄金の十字杖を携えた者は。
『は……はやてちゃんっ!?』
敵の猛攻を突破し、従者の危機にかけつけた主君――夜天の主・八神はやてだった。

457 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:43:09 ID:2/Sies9O
「よう頑張ったな、ヴィータ……それから、リインも」
傷ついたヴィータの身体へと視線を落としながら、はやてはにっこりと微笑む。
神々しく輝く羽衣の中、さながら女神がそうするかのように。心優しき主の、慈愛に満ちた笑顔だ。
全身に受けた、おびただしいまでの傷を見れば分かる。ここまでヴィータがどれだけの激戦を潜り抜けてきたのか。
たとえ身体を貫かれようと、灼熱のビームに肌を焼かれようと、彼女は全力で任務を全うしてみせた。
ただ、守るべき者達を守るために。
『はいっ! リイン頑張ったですよー! なんてったって、二代目祝福の風ですからっ!』
ヴィータの命が救われたこと、そして何より己がマイスターに褒められたことで、リインは再びぱあっと表情を明るくした。
はやてもまた、それを嬉しく思う。
これまでリインが背負ってきた痛みや悔しさに気付かないほど、彼女は鈍感な人間ではない。
かつてヴォルケンリッターを従えたリインフォースの名に恥じぬようにと奔走し、しかし何度となく失敗と敗北を繰り返した。
何度やっても、何をやっても上手くいかない。小さな身体にのしかかるのは、押し潰されんばかりの巨大な重圧。
「せや。リインかて、ホントはすごいんやよ?」
故に、今ようやく大事を成し遂げ、満面の笑みを浮かべる少女へと、はやては柔らかな笑顔を向ける。
「リインフォースの力を受け継いだ立派な子やし――何より、私の家族の一員やからな」
優秀な初代から生まれた二号機に対してではなく、八神家のリインという住人へと。
名前がどうとか、先代がどうとか、そんなことは問題ではない。彼女はリインなのだ。
力を合わせれば絶対無敵の、八神はやて一家のメンバーの1人であるリインなのだ。
それ以上の価値も、それ以下の価値も、彼女には必要ない。望んではいけない。彼女は1つの個人なのだから。
「さて、と……じゃあリイン、もう一踏ん張り頼めるか?」
『もちろんですっ!』
リインの返事を受けながら、はやては向かう。
ヴィータが命を賭けてまで守ろうとしたもう1人の存在――なのはの力になるために。

クラナガン市内。
ギンガが壮絶な死闘の末に殺生丸に叩きのめされ、復活を遂げたスバルがティアナを救出した後。
それでもなお、戦いの火の手は止まらなかった。
殺生丸は主戦場を離れて地上本部へと向かい、市内へ出撃したナンバーズは全て確保された。
それでもまだ、このコンクリートジャングルに残っている者がいる。
「――何のために戦っているのか、それだけでも教えてっ!」
「でないと、僕達は本当に君を……!」
そしてそれを迎え撃つのは、金髪の執務官の子供達――キャロ・ル・ルシエとエリオ・モンディアル。
「ドクターのお願いだから」
ガジェットU型の背に立ちながら、それは淡々と言葉を連ねる。
紫色の長髪をたなびかせ、真紅の瞳には感情も映さず、黒きゴシップロリータに身を包んだ少女。
ルーテシアの周囲に浮遊した無数の釘虫・インゼクトが、紫電のエネルギーを纏って敵へと迫る。
「ウイングシューターッ!」
攻撃の気配を察知。愛竜フリードの手綱を握りながら、キャロはその手のデバイスに命令を下した。
手袋型のブーストデバイス・ケリュケイオンが、桃色の細かな魔力弾を連続展開。
鉄色の虫の大群と魔力の光の散弾が同時に放たれ、互いに空中でぶつかり合い、相殺し合う。
撃ちもらしたインゼクトもウイングシューターも、相手の張った防御魔法に全て阻まれ、虚しく爆ぜた。
爆煙の中、ルーテシアは反射的にガジェットから飛び降りる。
キャロもまたそれに気付くと、彼女の姿を追いかけるようにしてフリードから離れた。
ミッドの首都に数多あるビルの中の1つ。2人の召喚士の少女が、真っ向から向かい合う。
――見れば見るほど苛立たしい連中だ。
表情にこそ表れなかったものの、ルーテシアの胸中には、確かな不快感が渦を巻いていた。
親のいない子供の気持ちも知らないくせに、見せ付けるようにして平和を謳歌して。
この前打ちのめしてやったというのに、今度は説得して戦いを止めさせるつもりだとでもいうのか。
冗談じゃない。何も知らないお前達の見当違いな言葉など、わざわざ聞いてやる義理はない。

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:43:10 ID:fB+hz1xy
支援

459 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:44:05 ID:2/Sies9O
「ドクターは私の探し物――レリックの]T番――それを探す手伝いをしてくれる」
口数に乏しいルーテシアがわざわざそれを語ったのも、彼女が抱いた苛立ち故だったのかもしれない。
分からせるために。
親に恵まれ、友達に恵まれ、日々の生活に恵まれたこいつらには、到底自分の気持ちなど分からないということを。
順風満帆に日々を生きてきた無知な餓鬼共には、この心にぽっかりと空いた虚を塞ぐことなどできはしないと。
「だから、ドクターのお願いを聞いてあげるの」
「そんな……そんなことのために……!?」
――ほら、そう来た。
予想通りの言葉。誰もが口裏を合わせて発する決まり文句。
結局はこうなのだ。当事者の気持ちも知らない人間は、誰もがそうやって自分を否定する。
行動の理由が分からないからではない。理由が分かったところで、同じような反応を返すに決まっている。
問題は別のところにある。その行動に至る感情を経験していないから、何も知らないから、結局理解できないのだ。
「貴方にとってはそんなことでも、私にとっては大事なこと」
その気持ちが分からないから――結局のところ、当人にとってはどうでもいいことなのだから。
「違う……違う! 探し物のことじゃなくてっ!」
「ゼストももうすぐいなくなっちゃう。アギトもきっと、どこかへ行っちゃう」
石像のように微動だにしなかった眉が、微かにひそめられた。
暁のようにぼんやりとした赤き瞳にも、徐々に感情の色が差していく。
「殺生丸だって、元の世界に帰る時が来る」
宿ったものは悲しみの色。
ルーテシアが今までにないほどに吐露した、自身の暗い胸の内。己が感情を言葉に変換する度、その感情さえも流れ出てくる。
もう時間がない。
ゼストの身体は死の淵に立たされている。アギトもまた、ゼストがいたからここまでついてきたようなものだ。
そして殺生丸に至っては、この世界の人間ではない。いずれ彼が元いた世界へと帰ることになるだろう。
自身にとっては父のように大きな存在だったゼスト。
姉のように世話を焼いてくれたアギト。
普段は冷たいが、時々兄のような優しさを見せてくれた殺生丸。
それらと共に過ごした仮初の家族のような日常は、表に出すことはなかったけれど――とても楽しかった。
だが、そんな関係もいつまでも続かない。
彼らが皆自分の前から姿を消してしまえば。その時までに母が蘇ることがなければ。
――私は、独りぼっち。
「でも、このお祭りが終われば、ドクターやウーノ達みんなで、]T番を探してくれる。そしたら母さんが帰ってくる」
故に、急がなければならなかった。
孤独は嫌いだ。誰だって好きな人間はいない。もちろん、ルーテシアもまた。
「そしたら私は、不幸じゃなくなるかもしれない」
少なくとも、独りぼっちにはならないから。
「――違う! それ、違うよっ!」
やはりと言うべきか、何と言うべきか。
目の前の善人面した子供には、やはり理解の及ばぬ話だったらしい。キャロはこの期に及んでなお、ルーテシアを否定する。
「貴方と話すの、嫌い」
故に、拒絶した。
非常識な立場に落とされた自分の気持ちなど知らず、ただただ常識にすがった道徳を繰り返し口に出すだけの子供。
そんな無理解な人間のために、やはり耳を貸してやる道理などなかった。
「っ!」
ルーテシアの殺意を宿すのは――キャロの背後に降り立った、ガリューの右腕に光る凶刃。

460 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:45:05 ID:2/Sies9O
「――でやああぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
きん、と。
乾いた金属音と共に、ガリューの漆黒の長身が弾かれた。
右腕から伸びたクローの一撃を横合いから弾いたのは、ストラーダの長槍を携えた槍騎士――エリオ。
だが、それがどうした。そんな力が自分には届かないことなど、六課隊舎襲撃戦で教えてやっただろう。
甲冑纏いし昆虫戦士の手のひらから放たれた漆黒の魔弾が、お返しと言わんばかりにエリオを狙い撃った。
キャロの防御壁がダメージを軽減したものの、完全には相殺しきれず、その余波を受ける。
少年騎士と魔法少女は、虫召喚士と召喚虫に挟まれた形で、無様に膝をついた。
「違うんだよ……」
これだけ拒絶して、これだけ傷付けてもまだ、言葉を重ねるというのか。もしや本物の馬鹿ではないのだろうか。
そんな感情を抱くルーテシアに向かって、しかしキャロは言葉を紡いでいく。
「幸せになりたいなら、自分がどんなに不幸で悲しくても……人を傷付けたり、不幸にしちゃ駄目だよ!
 そんなことしたら、欲しいものも幸せも……何も見つからなくなっちゃうよっ!」
なるほど確かに、それは正論だっただろう。少なくとも、常識の中で生きる者達から見れば。
しかし、それでは駄目なのだ。常識から外れた境遇にあるルーテシアを突き動かすには、そんなカビの生えた言葉では届かない。
「貴方達には理解できない」
辛辣な拒絶の言葉。それこそが、彼女の感情を、今までのどの言葉よりも端的に表していた。
所詮彼女らに分かるはずもない。
所属部隊の中で唯一蘇生させられたゼスト。ずっと研究所に囚われていたアギト。今までいた環境から1人だけ弾き出された殺生丸。
彼らのような、孤独を知る者でもない限り、そんな常識にすらすがれない自分の気持ちは分からない。
「――分かるっ!」
力強い声が、不意に対話の中に割って入った。
今まで沈黙を保っていたエリオが、ルーテシアとキャロの間に入り、その口を開いていた。
「エリオ君……」
「僕にだって、理解できるつもりだ……僕も、君と同じだから」
「………?」
微かにルーテシアの瞳が見開かれる。
理解できる、とはどういうことだ。何も知らない人間が、何故そこまで強く言い切れる。
それとも、本当に根拠があるとでも言うのか。本当に何かを知っているとでも言うのか。
「僕は、機動六課のエリオ・モンディアル……でも、本当は違う。僕は確かにエリオだけど、本当のエリオは僕じゃない」
当の赤毛の少年は、いきなり意味不明の言葉を垂れた。
エリオであってエリオでない、とはどういうことなのだろう。まさかこの期に及んで哲学の話をするはずもあるまい。
「プロジェクトF……本物のエリオの両親だった人達が作った、死んだ本物の代用品。それが僕だ」
それでルーテシアはようやく理解できた。
正式名称・プロジェクトF.A.T.E.。以前スカリエッティから聞いた、クローニング技術の1つである。
通常のそれとはことなり、肉体的特徴だけではなく、その者の記憶さえも「転写」することを可能とする技術。
ある意味では、コピー人間という概念に最も近いものだ。当然、人道的な立場から、違法技術として禁止扱いとなっている。
プロジェクトFの成功例といえば、かのフェイト・T・ハラオウンのことは聞いていた。
だが、この少年がそうだということは聞いていない。
いや、今思えば、あの時ディードが発した「Fの遺産」という意味不明の言葉こそが、それを暗示していたのだろうか。
「何も知らないまま、自分が本当に『エリオ』なんだと思って暮らしてきた。
 でも、管理局にそのことがバレて……両親は罰せられ、僕は弁護すらされずに捕まえられた……」
次元世界の正義の象徴たる管理局とて、一枚岩とは言いがたい。
所属している人間全員が人道的であるという保障など、どこにもないだろう。
そんな状況に、貴重なプロジェクトFの産物が置かれたらどうなるか。かつてアギトが研究機関に囚われた時と同じだ。
すなわち、実験動物。
誰にも救われず、ろくに言葉さえも交わさず。寝ても覚めても研究に付き合わされるだけ。
その前例を「当事者」から聞いているが故に、容易に想像することができた。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:45:36 ID:b+g4s+sD
 

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:47:12 ID:vd7i4xEx
この駄々っ子めがぁあああ支援

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:48:39 ID:AK23NgTA
そろそろお兄さんのターンですか?支援

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:53:08 ID:vd7i4xEx
小説は心理描写を補完できるよね支援

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:57:39 ID:tZM3zEET
支援


466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:58:15 ID:vd7i4xEx
ひょっとしてさるさん?支援

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:59:02 ID:fB+hz1xy
十分投下なしってなんか規制食らった?支援

468 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 20:59:21 ID:2/Sies9O
「私はアルザスの竜召喚士、キャロ・ル・ルシエ……」
言いながら、今度はキャロが立ち上がった。
「私も、村のみんなや家族とは、あまり思い出がないんだ」
白竜を従えし少女は語る。
彼女がフリードを使役する術を得て、集落の守護竜・ヴォルテールの加護さえも受けたのは、僅か6歳の頃。
そのまま順調に育っていけば、集落きっての天才召喚士になることは、まず間違いなかっただろう。
しかし、周囲の人間はそれをよしとしなかった。それほどまでに強すぎる力は、少数民族にとっては逆に危険だったのだ。
たとえば彼女の存在が外に知れれば、その優れた能力を脅威と感じる他部族との間に戦争が起きるかもしれない。
もっと都会の方まで知れ渡れば、優秀なスキルに目をつけた人買いが、彼女を手に入れようと攻めてくるかもしれない。
そうでなくても、このまま成長した場合、自ら部族を支配するために反旗を翻す可能性もある。
「だから、私は追い出されたの」
強すぎる力は争いしか招かない。
そんな大人のエゴで、物心ついたばかりのキャロは、フリード共々野に放たれた。
たった1人と1匹で、生きる術も何も知らず、生きる力も何も持たず。
手探りのように、それこそ幾度となく死の淵を彷徨い、孤独に心を削られながら。
「………」
最後まで聞き届けたルーテシアには、もはや一片の敵意も残されていなかった。
「――話を聞かせて! レリック探しも、貴方のお母さん捜しも、私達が……機動六課のみんなが手伝うから!」
同じなのだ。この少年と少女は。
何も知らずに、ルーテシアが喪失したあらゆる恩恵を受けてきた、無知な餓鬼達では断じてなかった。
ルーテシアと同じものを奪われ、孤独を味わってきた、かつては同じ心の虚を持っていた者達だったのだ。
否、それだけではない。彼女らは大切なものを失い、そして――取り戻した。
自らの身体と力のみを頼りに必死に生にしがみつき、その努力の果てに、欲しいものを手に入れた。
ならば逆に彼女らこそが――自分が救われることの証明になりうる?
「貴方のお名前を聞かせて!」
ルーテシアには、抗する術はなかった。
もちろん、キャロ達の言葉には何の保障もない。
たとえスカリエッティから六課に鞍替えしたところで、母が助かるとは限らない。
それどころか、キャロやエリオのように、自分が救われるという保障すらも、厳密には証明されていない。
本来ならそれだけで、ルーテシアが彼女らを疑うには十分な理由になるはずだった。
しかし、ここに1つ、大きな要素があった。
どれだけ不幸な過去を背負おうと、どれだけ言葉を重ねようと、結局ルーテシアもまた――子供だったのだ。
つまるところ、僅か9歳にしか満たないような子供の思慮が、そこまで回るはずもなかった。
ならば、自分の心境など何も知らないスカリエッティと、それを知っている目の前の2人。
どちらを信じるかは、明白なことだった。
その小さな唇が、自らの名前を声に出そうとした瞬間、
『――あ〜ららぁ、ルーテシアお嬢様ぁ。ガリューさんもぉ』
おどけたような少女の声が、その周囲に響き渡った。
突然割り込んできた通信音声に、その場の全員が声のする方へと視線を向ける。
『戦いの最中、敵の言うことに耳なんか貸しちゃいけません。
 邪魔なものが出てきたら、ブッチ殺してまかり通る……それが私達の力の使い道♪』
栗色の髪と丸眼鏡が印象的な、ナンバーズの策士――クアットロの姿が、空間モニターに映し出されていた。
『ルーお嬢様にはこの後ぉ、市街地ライフライン停止ですとか、防衛ラインのブッ潰しですとかぁ、
 色々、お願いしたいお仕事もありますしィ〜♪』
――狂っている。
キャロとエリオは、同時にモニターの先でニコニコ笑う戦闘機人を睨みつけていた。
こんなに楽しそうに笑いながら、小さな子供に破壊活動を指示する奴がいただなんて。
せっかくルーテシアを戦いから解放することができると思ったのに、こんなところで、こんな奴に割り込まれるとは。

469 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 21:00:02 ID:2/Sies9O
「私はアルザスの竜召喚士、キャロ・ル・ルシエ……」
言いながら、今度はキャロが立ち上がった。
「私も、村のみんなや家族とは、あまり思い出がないんだ」
白竜を従えし少女は語る。
彼女がフリードを使役する術を得て、集落の守護竜・ヴォルテールの加護さえも受けたのは、僅か6歳の頃。
そのまま順調に育っていけば、集落きっての天才召喚士になることは、まず間違いなかっただろう。
しかし、周囲の人間はそれをよしとしなかった。それほどまでに強すぎる力は、少数民族にとっては逆に危険だったのだ。
たとえば彼女の存在が外に知れれば、その優れた能力を脅威と感じる他部族との間に戦争が起きるかもしれない。
もっと都会の方まで知れ渡れば、優秀なスキルに目をつけた人買いが、彼女を手に入れようと攻めてくるかもしれない。
そうでなくても、このまま成長した場合、自ら部族を支配するために反旗を翻す可能性もある。
「だから、私は追い出されたの」
強すぎる力は争いしか招かない。
そんな大人のエゴで、物心ついたばかりのキャロは、フリード共々野に放たれた。
たった1人と1匹で、生きる術も何も知らず、生きる力も何も持たず。
手探りのように、それこそ幾度となく死の淵を彷徨い、孤独に心を削られながら。
「………」
最後まで聞き届けたルーテシアには、もはや一片の敵意も残されていなかった。
「――話を聞かせて! レリック探しも、貴方のお母さん捜しも、私達が……機動六課のみんなが手伝うから!」
同じなのだ。この少年と少女は。
何も知らずに、ルーテシアが喪失したあらゆる恩恵を受けてきた、無知な餓鬼達では断じてなかった。
ルーテシアと同じものを奪われ、孤独を味わってきた、かつては同じ心の虚を持っていた者達だったのだ。
否、それだけではない。彼女らは大切なものを失い、そして――取り戻した。
自らの身体と力のみを頼りに必死に生にしがみつき、その努力の果てに、欲しいものを手に入れた。
ならば逆に彼女らこそが――自分が救われることの証明になりうる?
「貴方のお名前を聞かせて!」
ルーテシアには、抗する術はなかった。
もちろん、キャロ達の言葉には何の保障もない。
たとえスカリエッティから六課に鞍替えしたところで、母が助かるとは限らない。
それどころか、キャロやエリオのように、自分が救われるという保障すらも、厳密には証明されていない。
本来ならそれだけで、ルーテシアが彼女らを疑うには十分な理由になるはずだった。
しかし、ここに1つ、大きな要素があった。
どれだけ不幸な過去を背負おうと、どれだけ言葉を重ねようと、結局ルーテシアもまた――子供だったのだ。
つまるところ、僅か9歳にしか満たないような子供の思慮が、そこまで回るはずもなかった。
ならば、自分の心境など何も知らないスカリエッティと、それを知っている目の前の2人。
どちらを信じるかは、明白なことだった。
その小さな唇が、自らの名前を声に出そうとした瞬間、
『――あ〜ららぁ、ルーテシアお嬢様ぁ。ガリューさんもぉ』
おどけたような少女の声が、その周囲に響き渡った。
突然割り込んできた通信音声に、その場の全員が声のする方へと視線を向ける。
『戦いの最中、敵の言うことに耳なんか貸しちゃいけません。
 邪魔なものが出てきたら、ブッチ殺してまかり通る……それが私達の力の使い道♪』
栗色の髪と丸眼鏡が印象的な、ナンバーズの策士――クアットロの姿が、空間モニターに映し出されていた。
『ルーお嬢様にはこの後ぉ、市街地ライフライン停止ですとか、防衛ラインのブッ潰しですとかぁ、
 色々、お願いしたいお仕事もありますしィ〜♪』
――狂っている。
キャロとエリオは、同時にモニターの先でニコニコ笑う戦闘機人を睨みつけていた。
こんなに楽しそうに笑いながら、小さな子供に破壊活動を指示する奴がいただなんて。
せっかくルーテシアを戦いから解放することができると思ったのに、こんなところで、こんな奴に割り込まれるとは。

470 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 21:00:46 ID:2/Sies9O
ほえ? なんで同じものが連投されてるのん?

//

「クアットロ……でも……」
ためらうようなルーテシアの言葉が響く。
『あ〜迷っちゃってますねぇ?
 無理もないです。純粋無垢なルーテシアお嬢様に、そこのおチビの言葉は毒なんですねぇ』
クアットロの好奇の笑みの中に、一瞬にして邪悪な影が差した。
放つ言葉はいつもと同じ。知ったことでもないのに、あたかも同情するかのような振る舞い。
しかし、その表情には、明らかに何か危険なものが見え隠れしていた。
――何かする気だ。
エリオの頬を汗が伝う。この場にいないクアットロは、しかしルーテシアに何かを仕掛けようとしている。なら、それは何だ。
『というわけで、ポチっと♪』
モニターには映らないコンソールのボタンが、軽い口調と共に叩かれた。
「!!!」
瞬間、ルーテシアの様相は激変する。
足元に輝くは、戦闘機人がISを起動する際のテンプレート。続いて周囲に現れる、虫召喚士の召喚魔法陣。
これは一体どういうことだ。敵意を消したルーテシアが、何故攻撃を行おうとしている。
『ルーお嬢様が迷ったりしないようにしてあげまぁ〜す♪』
クアットロのその言葉で理解できた。これはルーテシアの意志ではない。強制的に、そうするように仕向けられている。
(洗脳されている……!)
エリオの歯が食いしばられた。隣では、キャロが困惑した表情でルーテシアを見つめている。
当の彼女の中を支配しているのは――混沌。
(何なの……これは……?)
ルーテシアの内側から、何か得体の知れないものが湧き上がってくる。
魔力だとか、そういった具体的なものではない。彼女を内側から侵食する、もっと精神的な何か。
これは感情だ。
怒りだ。憎しみだ。悲しみだ。
自らの境遇を理解しようともしない周囲への怒り。
自らが欲したものを独り占めする少女達への憎しみ。
自らがいつまでも手に入れられない母親への悲しみ。
違う。
こんなものはもう必要ない。
怒りも憎しみも悲しみも、もう持つ必要はない。せっかく、苦しみを分かち合える仲間に出会えたと思ったのに。
怖い。
自分の中で今まで当然のように渦巻いていた感情が、今はこれほどまでに恐ろしい。
止めなくては。しかし、止まらない。胸の中で燃える黒き炎は、その火力を本人の意志とは無関係に高めていく。
自分の中の心の虚が、許容限界を超えてこじ開けられていく。
このままじゃ駄目だ。
このままじゃ、自分は自分でなくなってしまう。
誰か助けて、と願う。この止められない激情から、自分を解放してくれる人間を欲する。
助けてくれる人はどこにいる。この内なる声に答えてくれる人はどこにいる。
ゼストはいない。アギトもいない。殺生丸もいない。
ああ、そうだったのか。
つまり、自分は。

――やっぱり、独りぼっち。

理性のたがは、植えつけられた激情の中に飲まれていった。

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:01:10 ID:fB+hz1xy
>>468>>469が二重投稿っすよ支援

472 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 21:02:07 ID:2/Sies9O
投下終了。久々にさるさん喰らった時にはどうしたものかと思っちゃいました。
……ごめんね、時間かけた割に原作なぞりばっかりでorz
今回は繋ぎ的な話ということで、ちとご勘弁を。次回は殺生丸様も出てきますからねー

今回、初期プロットにはなかった「活躍するリイン」を書かせていただきました。
色々なスレで「リイン=負けフラグ」「厄災の風」とか言われてたもんだったので、
「分かったよ! そこまで言うならそれを逆手にとって書いてやるよコノヤロー!」と半ギレ状態で書いたのがこれ(ぇ
ツェアシュテールング・シュツルムハンマーについては、「スクライド」のクーガーの必殺技・瞬殺のファイナルブリットがモチーフです。
ぐるぐる高速回転しながら敵に突っ込んでいくっつぅ、アレ。
オリジナル魔法自体は片翼から書くようになったのですが、やっぱ色々考えるのは楽しいね♪(ぉ

次回――爆砕の牙と炎の魔剣、決着。

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:04:32 ID:fB+hz1xy
>>472
GJ1
原作でいいトコなかったキャラにもスポット当たってていいですねー

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:06:18 ID:AK23NgTA


次回に期待。主役的な意味でw

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:06:56 ID:muzRU+1M
投下乙!GJでした!
リインよかったね活躍あって!

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:07:15 ID:bqjpAxQv
>>472
GJ!
動力炉破壊にリインとのユニゾン、いや自分には中々思いつきませんでした。
しかしやはり四番はむかつきますな。

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:10:32 ID:tZM3zEET
GJ!!です。
ディエチ・・・本編より強く見えたよ、その時点でかなり満足してしまったwww



478 :反目のスバル@携帯 ◆9L.gxDzakI :2008/06/18(水) 21:12:23 ID:50iahYW/
諸々の用事により、PCから離れざるを得なくなりましたorz
どなたか代わりにWikiへの登録をお願いします。

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:13:10 ID:xrW20Ig8
>>472
GJっした!Wがいい悪役してますなぁ。
しかしこれで殺生丸の抹殺リストに載った危険性大ですが。
あと今日の犬夜叉の最終回、一番吹いたのは
「お義兄さん!」と呼ばれた時の殺生丸の反応でしたwww

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:16:11 ID:vd7i4xEx
>リリカル殺生丸
なんというクアットロ。同作者氏の片翼では性欲を持て余すくらい虐められてたのに、こっちではこんなに生き生き!w
これは間違いなくビッチですねww
アニメとは違う心理描写を交えたストーリー進行がいい感じです。同じシーンでも、こういう補完が入ると違う見方が出来たり、より輝いたりしますからね。
何が言いたいかっていうと、リインはやっぱり祝福の風なんだよ。幸せを運ぶ妖精さんなんだよ!
自分もリインの評価に関してはちょっと不憫すぎるものをビンビン感じてたので、この地の文から伝わる熱い想いに震えましたw
クロスキャラだけでなく、原作キャラも省略せずに描くあたり、愛が感じられて素晴らしい。
ただ、ルーテシアとかせっかく殺生丸とフラグらしきものあったんだから、その辺クロスの影響として出してみてもよかったかも? と思いました。
いや、待て。まだだ、まだ慌てる時間じゃない……。ビッチ系ビッチの姦計で最悪の戦闘続行のようなので、これからどうなるか。、もちろん殺生丸もどうなるか。期待してますw

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:45:53 ID:BDU1zJ5m
>>472
反目氏GJうううううううううう!!
ディエチも他のナンバ−ズ(1〜4除いとく)だって、
体は機械でも、心は人間と同じ普通の女の子なんですよね・・・
ヴィータとリインのシーンは読んでて心が震えたぜ!
クア姉は相変わらずどの小説でも気持ちいいくらいの悪役っぷりだwwwww


えっと、皆なぜかスルーしてるので言うのもなんですが、一応・・・

>>436-437>>439のやつどうする?
これって明らかに某サイトさんの小説直接載せてるよな・・・
議論の余地も無い。完全に追放およびNGだろこれ・・・
ついでにサイトの管理人さんにも謝らなきゃいけないんじゃないか?
どうしてこういうことするバカな奴出てくるんだろうな。
もうホント勘弁してくれよこういうの・・・

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:48:46 ID:ZtzrpV7T
>>481
放置でおk

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:54:07 ID:nO0AkAWn
荒らしだからスルーで

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:56:44 ID:i45eu159
>>481
君の反応こそ荒らしの求めているもの

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:57:08 ID:Mo23i9Cv
GJああリインが活躍している。本編もコレくらいの心理描写や掘り下げがあれば。

これ絶対わざとやってるだろ。投下を装った放火だよ。
まとめにも載せんし後は無視すれば良いよ。騒ぎにすれば相手の思う壺。

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:02:31 ID:HrQITLGB
せっかくスルーしてたのに反応した>>481は荒らし予備軍

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:05:53 ID:i45eu159
これ以上の>>481叩きも荒らし予備軍

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:10:28 ID:AK23NgTA
|∧∧
|・ω・`) 頭冷やす用にリンディ茶を・・・
|o旦o
|―u'

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:17:59 ID:Kc7VZYRP
>>>488
ありがとう

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:18:00 ID:ZtzrpV7T
>>488
むしろ脳梗塞でも起こしそうな気がする

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:20:14 ID:BDU1zJ5m
>>482-487
ごめん。なのはさんのSLBで頭冷やされてくる。
あ、>>488さんリンディ茶ありがとう

492 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 22:56:06 ID:r23EWytq
どうもこんばんは〜「キャロとバクラ〜シリーズ」の最新話が完成しました〜
このあと予約とかがなければ11時30分頃から投下したいと思います。
どうでしょうかしら?(ぁ

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:58:59 ID:xVu5uVgG
>>492
俺の家に来て爺さんをファックしていい!支援

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 22:59:57 ID:tZM3zEET
支援

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:00:16 ID:aldlowC1
勿論支援

496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:03:40 ID:Mo23i9Cv
支援でぃす。

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:07:03 ID:D476HfZ6
支援!!

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:10:02 ID:dNIRGXQb
>>493
ハートマン乙
支援

499 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:13:50 ID:r23EWytq
何か大丈夫そうですし、最終確認も一応終わったので、投下開始します。
支援をしてくれると安心して投下できると思いますので、なにとぞよろしく〜

500 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:15:06 ID:r23EWytq
私 遺失物管理部・機動六課のスターズ分隊の分隊長、高町なのはは大きくため息をついた。
今まで教導隊と呼ばれるエース育成の仕事をして来た私は、この新しい職場でも新人フォワードの訓練も任されている。
タメ息の原因、悩みの種はそのフォワード達だ。出来が悪い? 使えない? そんな事は無い。
どの子も魔道師としては優秀だし、各分隊のフォワードの一人ずつは優秀な指揮官としての才能もある。
でも……その指揮官としても優れた二人のフォワードの関係が最悪なの。

「ミッションコンプリート……だけど私の言いたい事が解るかしら? 泥棒トラ」

私の分隊の指揮官候補、オレンジの髪をツインテールにした銃型デバイスの使い手 ティアナ・ランスターが睨みつける先……

「えっとですね? まずは落ち着いて話し合いを……」

困った表情を浮かべる桃色の髪の少女は、ティアナよりも年下で小柄。
ドラゴンを従える竜召喚士 キャロ・ル・ルシエ。だけど彼女の本質はそこではない。

「話し合い? んなモンは必要ねえ」

彼女の胸で金のリング、その中心でデフォルトされた一つ目が輝く時、彼女の口調・雰囲気は一変する。
目に見えた変化としては表情。釣りあがった目には交戦的な光、歪んだ口元には嘲り。
私の今までの人生経験からすれば、こういった人は基本的に『悪』であり『敵』だった。
だけど彼 バクラはキャロの特殊なユニゾンデバイスに宿る管制人格で味方……のはず?

「どうして必要ないのか教えてもらえる?」

「エリオの突入のタイミングはアレで良いんだ」

ぶつけ合うのは言葉だけじゃない。視線と闘志をぶつけ合うティアナとキャロ……じゃなくてバクラ。
議論されているのは今の訓練 突入訓練の過程。どんなに仲が悪そうでも結果だけは出すのがこの子達一番の特徴かな?

「はぁ? スバルとの合流に時間が掛かってるじゃない。エリオだけ中に放置するのは危険、つまり早すぎよ」

「あん? エリオの制圧が迅速だったからこそ、スバルの突入と二階部のクリアーが迅速に進んだんだろうが!?」

「それは結果論だわ!」

「おう、結果論で悪いか? 結果は何よりも優先されるだんよぉ! エリオの能力なら問題ないと判断したぁ」

「エリオ! アンタはそれで良いわけ!?」

いきなり議論の矛先が飛んできて、スバルと一緒に傍観していた赤髪の少年 エリオ・モンディアルの肩がビクリと跳ねる。
でもティアナ、その質問は墓穴を掘ったとしか言えないな。
だってエリオはキャロ(とバクラ)の分隊メンバーであり……その舎弟?

「えっと……バクラさんが信頼してくれてるなら、嬉しいです!」

「よく言ったぜ、エリオ。あとで相棒に撫でて貰え」



501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:15:09 ID:Y6k00YpZ
俺はせっかくだから支援していくぜ。

502 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:15:51 ID:r23EWytq
「何をそんな目をキラキラさせてんのよ!? スバル!!」

全くだね〜うんうん、その気持ちよく解るよ? ティアナ。エリオの将来が心配だな〜あとでフェイトちゃんに相談しよう。

「えっ!? 私? 私もティアナの事を愛してるから……」

「そんな事を聞きたいんじゃない!!」

スバルもスバルで状況についていけないというか、流れを読みすぎるというか……困ったな〜
もし訓練の結果が芳しくなければ、『チームワークがダメだ!』と怒る事ができるんだけど……結果が良い。
だから困るのだ。まるでスターズとライトニング、二つの分隊がぶつかり合うように成果を出す。
競う合うと言うには余りにも苛烈で、激しい言葉が交差する本当のケンカみたいなのに。


「さて! 身の程知らずも躾け終えたし……引き上げるか、エリオ。それにチビ竜」

「あっはい!」

「キュックル〜」

私まだ解散の指示を出して無いんだけどな〜まぁ終わりなのは事実だからしょうがないか。
まるで共感と言う存在を忘れているような四人に咳払いを一つしてから声を上げる。

「は〜い! じゃあ今日は解散。しっかり食べてしっかり寝て、チャンと疲れをとってね〜」

「「「は〜い!」」」

「ちょっとバクラ! こいつ等を退かしなさいよ!!」

あれ? 元気が良い返事の他に何やら不満の声が聴こえた。
ふと見ればティアナが触りたくも無さそうな気味の悪い怪物達の下敷きに成っている。
一度夢にさえ出てきたキャロとバクラが使用する死霊召喚により生み出された姿ある幽霊。
ティアナが死霊に押しつぶされているという光景は、訓練の結果についての討論が『ケンカ』に移行するのならば、定期的に見かけた。

「も〜ティアナもケンカしなきゃこんな目に会わないのに〜」

「ウッサイ! 人にはどうしても譲れないモノがあんのよ!!」

スバルが呆れたようにティアナの上で山済みになっている怪物達を引っぺがしていく。
訓練学校以来の友人に救助されながらも、犠牲者はちょっと違う事を考えているみたい。

「そうよ! 反応は出来てた。でも攻撃の手が追いついていない。つまり……デバイスが二つ在れば……」

「わ〜ティアナ! 二丁拳銃だね!? 『はりうっど』だよ〜」

……ケンカの勝敗の為に新しい戦闘スタイルを考えないで欲しい。できれば私に相談をしてさ。
と言うかソレが普通だよね、うん。やっぱり変わった子が多いな〜教導隊のときは大違いだ。
うん? 隊舎の屋上からこっちを見てニヤニヤしているのはフェイトちゃん。人の苦労も知らないで……これはお仕置きが必要なの。





503 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:16:52 ID:r23EWytq
私 シャリオ・フィーネはこの遺失物管理部機動六課と言う新しい仕事場を気に入っていた。
新しい実験的な部隊と言う点で安定性に欠けるが、ソレを補って余りある魅力がある。
若いけれど将来有望なフォワード陣や優秀なバックアップが揃い、トップには管理局のホープ三人が名を連ねる。
その後ろ盾も聖王教会や本局の提督クラスまで選り取り見取り。そして何より……

「潤沢な資金と設備でデバイスを作ったり、調整できるのが良いわ〜」

特に新人フォワードたちのデバイスは、訓練の内容にリンクする形でリミッターを解除したり、調整を加えて完成形を目指す。
デバイスマスターの独り善がりではなく、使い手と二人三脚で完璧を作り出すというのは、こう言った部隊でなければ出来ない。
お堅いエリートでもなく、完成しきったエースでもない。未完成こそが職人のもっとも嫌う物であり、同時に愛すべき物なのだ。

「……な〜んてね!」

如何した事か仕事中だと言うのにテンションが高いな、私。まぁ、それだけこの職場が気に入っていると理解してくれれば良い。
おっと早速、私の最高の時間をプレゼントしてくれる人が来たようだ。

「あっシャーリーさん、ちょっと良いですか?」

「もちろん!」

尋ねてきたのは桃色の髪の幼い少女とそれにつき従う白い小さな竜種。
怒られもせず、かといって大人し過ぎもしない風に管理局の制服を着崩し、胸元には金色のペンダントが揺れている。
少女の名前はキャロ・ル・ルシエ。制服を着崩すのとアクセのチョイスは宜しくないけど、基本的にはとても良い娘だ。

「実はケリュケイオンの事で相談したい事があって……」

「うんうん! 何々!?」

そう! こういうのを待っていた。キャロの手には待機状態のケリュケイオン。みんなのデバイスとかの相談に乗るのが私の仕事だからね?
だけど続けられた言葉は私の期待を叶えつつ、良く解らない方向に裏切った。

「役に立たないんです、コレ」

「……え?」

キャロは変わらない笑顔を浮かべている。だけど無言で放り投げられる私の自信作。
確かにブーストデバイスは初めて作ったから、不安が無いといえば嘘になるかもしれない。
だけど色々と資料を調べたり、現物を取り寄せたりして、試行錯誤を重ねたのだ。




504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:17:08 ID:dNIRGXQb
エリオが完全にバクラの軍門に下ってるwwwww



支援

505 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:18:11 ID:r23EWytq
それがまるでゴミ箱へ投げ込まれる紙屑のように私のほうへと飛んで来る。

「死霊召喚との相性が最悪なんです。たぶん魔術的な要素を排除しすぎた科学として魔法を捕らえた設計が原因じゃないかな〜って」

「えっと……つまりその……」

上手く言葉が出ない。ここまで自分の作品を否定され、拒否されたのは初めてのことだったから。

「それにリミッターが掛かっていますよね? それにブーストも調子が出なくて……
 最初の模擬戦でフリードにブーストをした時も、あまりに低威力で笑っちゃった」

「でも! リミッターはみんなの成長に合わせて解除して行こうって、なのはさんが……」

そうだ! 何も私が一人で勝手にやっているわけではないのだ。これは教官としてなのはさんの意思でもある。
デバイスに振り回される事が無いように、一緒に成長していけるように。

「成長に合わせる? シャーリーさん、ディアディアンクみました?」

「もちろん! でもアレは……」

キャロが六課に所属するずっと前、マフィアから与えられたと言うブーストデバイス。
構造には勿論目を通しているが高性能と同時に、『トンでもない仕様』と言う事だけが際立つ。
中核には「魔術的」と形容される不確定な魔法の定義に用いられる「霊獣の鮮血」が据えられている。
ソレを囲む他の部品も含め全てが規格外の性能を示すご禁制のパーツたちだ。
とてもでは無いが仮雇いとは言え法を守る管理局員が使って良い代物では無い。
その代わりとしてケリュケイオンを作った訳なんだけど……

「所詮デバイスは魔法を円滑に使用する為の道具です。戦う為の剣に『鋭い切れ味はダメ』って文句を言うようなもの。
もしケリュケイオンがディアディアンクを凌ぐ性能だって言うなら、文句は無いんですけど……シャーリーさん?」

「なっなに?」

キャロの笑みは変わらない。「作りものだ!」なんて野暮な事は感じられない。
だからこそ……続いて変わった表情、残念そうな憂いが本当の感情であり、どれだけ強いモノなのかが痛いほど理解できた。

「私はデバイスには合わせません。私が、私たちが優先するのは自分達の作る結果です。
 だからシャーリーさん、貴方が私達に追いつくようなデバイスにしてください」

「わかった。やってみるよ」

私はどこか使用者よりもデバイスや管理局のルール、常識を優先していたのかもしれない。
今まではそれで大丈夫だったけど、けど目の前にいま居るのはそれでは満足できない人。
使用者としての紆余曲折、特殊な案件での使用について考慮に入れるべき存在。
普通ならば「難しい」と感じる所なのかもしれないけど、私はこう感じてしまった。
『面白い』って

「で! オレ様にテメエのポンコツの使い道について良案があるんだが、メガネ」

「メガネって……」

不意に変わる口調。噂では聞いていたけど、凄い変化だ。未知のユニゾンデバイスに宿る管制人格 バクラ。
あ〜健気で可愛いキャロを返して〜


こんな感じで……『キャロとバクラが粛々と仕事をこなしているようです』




506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:19:01 ID:xVu5uVgG
11時20分来てないのに投下だと!?連邦のキャバクラは化けものか?支援

507 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:19:24 ID:r23EWytq
機動六課の初任務は結果だけを見れば大成功だった。ピンチと呼ばれる状況になることも無く、任務内容を達成したといえよう。
揉めた事といえば……キャロのバリアジャケットのデザインくらいなものだ。


「姉御のバリアジャケットと言えばコレに決まっている」

初出動中のヘリの中、キャロの右の掌で金色の腕輪 待機状態のディアディアンクがウィンドウを展開。
ソコに提示されているのはバリアジャケット。初めて使用したデザインのモノ。
真っ赤でゆったりとしたコートにヘソだしチューブトップ、タイトなミニスカートと言う取り合わせ。

「イヤ、管理局の局員として余りにも破廉恥な格好だ。こちらの案を採用すべきです」

だが同じくキャロの左手の掌で翼がデザインされた宝玉 同じく待機状態のケリュケイオンが異を唱える。
またもや開かれたウィンドウには対照的と言って良い、白をメインとした可愛らしいデザインのバリアジャケット。
体をキッチリ覆う桃色のジャケット。白いマントとピンクのリボン、帽子まで付いている。

「ダサいんだよ、低機能」

「卑猥です、不良品」

デバイス同士の会話と言うのがどういった物なのか? 普通の人間では理解できないものだと言う事は確かだ。
ココから先は超高速の情報戦のような様相を呈した言葉のぶつけ合い、殴り合い。
本人達からすればかなり長い間議論を戦わせていたのだが、外の面子からすれば一瞬。

「う〜ん……私はケリュケイオンのデザインも良いと思うけどな〜」

まるで余所行きの服を選ぶような気分、軽い気持ちでキャロは二つのバリアジャケットを見比べながら呟く。
その一言に人間の世界に復帰したデバイスたちが叫んだ。

「そうでしょう!? さすがはマスター、解ってらっしゃる!!」

「姉御〜いまさら裏切るのは勘弁してくれ〜」

ケリュケイオンは歓喜の声、ディアディアンクが失意の声を上げるが、ソレを受けたキャロの反応により、争いは決着。

「うっせえよ!? ガラクタ共が!!」

「「スイマセン」」

胸元で千年リングが光を放ち、キャロの顔が浮かべるのは憤怒の表情。掌には力が入り、二つのデバイスがミシリと鳴った。
バクラにしてみれば唯の道具が自分のキャロのバリアジャケットについて議論している事自体がとても腹立たしい。
相棒の体は自分の体、ソレを守る防具であり飾る装飾品でもあるモノを決めるには、自分とキャロの意思がもっとも優先されるのだ。

「まぁ、相棒が良いならこっちでも良いんだが……オレ様としては紅のコートは捨て難い。 リボンは千年リングの邪魔になるから無し。それとロングはダメだぁ〜」

『バクラさん、私も大きくなったので色気は充分…「寝言は寝ていえよ、相棒」…ヒドイです』

そんな感じの討論を発案者たるデバイスを放置してキャロとバクラが行った結果……



508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:20:20 ID:OHgmLCNd
デュエルディスクを作るしかない支援w

509 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:20:33 ID:r23EWytq
「逝きます、バクラさん。それにフリード」

『おう、チャッチャと片付けるぜ? 相棒』

「キュックル〜」

開かれたヘリの後部ハッチから外を覗き、風に紙を揺らしながらキャロ・ル・ルシエは静かに言う。
初めての実戦などと言った気負いはそこには無い。ただ何時も通り、彼女の日常が横たわっているだけ。

「あの……キャロ?」

しかし彼女の背後に居るエリオ・モンディアルにとってはそうではない。
以下に魔道師ランクに幼いながらも恵まれているとは言え、実戦とはやはり程遠い存在だ。
だからこそ不安にもなるし、おっかなびっくり戦友に声を掛けたくもなる。

「ほら! 行くよ、エリオ君」

「あっ……」

けれどエリオはそれが無駄なものだと直ぐに気がつく事になる。ギュッと握られた手の感触。
温かくて自信に満ち溢れた小さな手。朗らかな微笑からは強者の余裕が満ち溢れ、軽い足取りは自信の現れ。
『付いて来い!』と公言して憚らない後姿。引っ張られる感覚はいつの間にか安心を生み、エリオも表情を崩した。

「うんっ!!」

手を取り合い、二人と一匹(と見えない一人)は大空へとその身を投げ出した。
魔法の恩恵に預かる事を知らなければ、それは投身自殺に見えないことも無い。
だが彼女達からは魔法以外にも感じられた絶対の自信。身投げ? 冗談じゃない!!

『覇軍の行進だ』


「セット・アップ! ディアディアンク、ケリュケイオン!!」

「「YES」」

キャロの命令に先程の諍いは何処へやら、二つのブーストデバイスは同時に答えた。
光が彼女の幼い体を包み、今回の仕事場 リニアレールの上に着地すれば光が弾ける。

「う〜ん、中々良い感じです」

まず直接身を包むのは桃色に黒のアクセントが映える半袖のジャケット。
下は中央からキレイに分かれて左が足首、右が膝上までの丈が非対称という特徴的な白のスカート。
足にはクシャクシャとした質感のブーツ。腰にはベルト代わりにフックがついたチェーンが二重に巻かれている。
その上にはバクラのお気に入り、真紅に砂色の裏地のロングコート。その右肩にだけ白いマントが掛かっていた。
大きなベレー風の白い帽子にはデフォルトされた『豪華な王冠を齧るゴースト』のバッジが輝く。

右の手には桃色の宝玉を中心に置いた手袋型ブーストデバイス ケリュケイオン。
左の手には金のラインが輝いて走る手袋型ブーストデバイス ディアディアンク。
胸元には黄金で作られた錘が複数垂れる円、その中央には一つ目が刻まれた三角形が光る千年リング。

これが新たなキャロ・ル・ルシエの戦装束。





510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:20:39 ID:xVu5uVgG
エリオはバクラの舎弟っすかw支援

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:21:40 ID:xVu5uVgG
確かに死霊はなのは世界の魔法概念から外れてるwww支援

512 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:21:46 ID:r23EWytq
「呼び覚ませ、ディアディアンク!」

リニアレールが高速で運動する事によって発生する暴風に臆する事無く、キャロは左手を一振り。
ふっと彼女の姿に被るのはバクラの印象。重ねて彼らは自分達だけが使える魔法の呪文を唱える。

『「哀れな怨霊達よ! シモベとなりて我らが敵を討ち滅ぼせ! 死霊召喚!!」

魔法の完成により打ち付ける強風に違った冷たさが宿る。周囲に展開される闇色の魔法陣から這い出てくる異形。
虚ろな空洞を晒す頭部の無い板金鎧 首なし騎士達が手に持った剣をガシャリと構え、キャロへと作る礼の姿勢。


「導け、ケリュケイオン!」

「Boost Up  Acceleration」

続いて唱えられるのは高速機動補助のブースト魔法。光を放つのは反対の手につけられたケリュケイオン。
首なし騎士たちをチームメイトであるエリオの速度に追いつかせ、難しいが成果も大きい集団高速戦に持ち込むため。
これがケリュケイオンの有効な活用法。
死霊召喚との相性が悪いのならば、その補助は全てディアディアンクに任せて、ブーストにのみ特化した仕様にしてしまえば良い。

「しっかり付いて行かせるから! 安心して、頑張ってね? エリオ君」

「うん!」

「しっかりしろよ、騎士団長。テメエの動きに次第なんだぜ?」

「……はい」

「キュルル〜」

「そうだね、ボク頑張るよ」

キャロの優しい言葉に喜び、バクラの圧力に屈しかけ、フリードの鳴き声に頑張ろうと誓い、君の悪い戦友と肩を並べて、エリオは駆け出す。
その後ろをゆったりと付いていくキャロとバクラ。これ以上は割愛するが、彼らの進む先には安定な勝利があった。


513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:23:34 ID:xVu5uVgG
支援

514 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/18(水) 23:24:26 ID:r23EWytq
以上です。ちなみにリニアレールは書きません!(爆
だって〜本編と違った事しても面白く無さそうだし〜つうか〜みたいな〜(ギャル的な反論
むしろ私のフォワード陣じゃリニアなんて簡単すぎる事件かなとw

しかし! 次はホテルアグスタ編! 私が愛して止まない彼女が登場!!
次回のこの時間からは「昆虫幼女☆インセクタールールー」をお送りします!(ぇ

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:29:20 ID:OHgmLCNd
GJ!
逝きますというのが誤字に見えないのは気のせい?
覇王もカードとデュエルディスクさえあれば召喚できるから魔術的な要素はなくてもそれなりに平気なのだろう
AMF?Dホイールを導入すれば大丈夫さ
キャロがどんどん魔改造されてくことになるけど

次回のHAGAAAAAAAAAに期待w

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:40:42 ID:tZM3zEET
GJ!!です。
エリオの二つ名が竜騎士じゃなく、死霊騎士団長にwww

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:49:24 ID:eR31y3Le
GJ!
まさかのダブルデバイス!それにしてもこのキャロは言うことは言うタイプだなwww
エリオとケリュもバクラの舎弟になりましたww
キャロの新BJもなかなかイイ!
確かにこのキャロだとつつがなく侵攻しそうだw

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:57:26 ID:Qffnneiz
リリカル殺生丸がすげえ不完全燃焼だー

次こそ兄貴の活躍を期待しているぜ!

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 00:39:41 ID:YWd6K4fL
キャバクラの人GJ!
意外と周りとうまくやってて驚いたw

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 00:58:11 ID:Ud6aRZuM
>>516
死霊騎士団長ではなく、不死騎団長でもいいのでは?ww

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 00:59:54 ID:a/zy7UDL
マジで途中で死んでキャロの死霊騎士になりそうだから止めろw

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 01:10:19 ID:OlfbG8LR
>>503 シャリオ・フィーネ→シャリオ・フィニーノ では?

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 01:36:11 ID:Zhz+WNdn
GJしかし一つの肉体に4人の人格がいることになるのか。
なのはさんテラ空気w

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 01:56:48 ID:c7Xl34IE
>>521
確かに……
OCGの方でも今月発売のストラクアンデットだし……
人気のモンスターのアンデット化に便乗してエリオもアンデット化ってかw

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 01:59:31 ID:Ym8COHRc
>>520
不死騎団長でブラッド・ボアルを思い出した

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 03:11:22 ID:SNgWtd5r
正直、キャロと+αの無敵振りが鼻に付くな。
1回や2回なら良いが、こうも念入りに繰り返されると油のぎっちり染みこんだ調理場の臭い肺一杯に吸い込んだ気分だ。
殺生丸も最強格だが、こんな風にクドくはないものな。

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 03:16:54 ID:WnMFM6ov
ちょっと酔ってるような感じがする

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 03:30:05 ID:31cd84ya
無敵も何も、まだ舞台の幕は上がったばかり。
すべては次回、相手方の主役が出てきてからでしょ。

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 08:51:21 ID:ojIe13EX
>キャロとバクラ
エリオ…もうお前騎士じゃなくて僕(しもべ)でいいよww
キャロの飴とバクラの鞭で既に調教されかかってるエリオに泣いたwいや実際は笑ったけどww
スターズ分隊とライトニング分隊を競争気味に対立させたのは面白い展開だと思います。この関係が、後の窮地にどう影響してくるのか気になりますね。
ティアナとバクラの衝突が、悪い方向にも良い方向にも傾きそうでいろいろ想像できますね。
ティアナにはこういうふうにガチで言い争える思い切りの良さが必要だと思ってました。
にしても、スバルがなんかよりアホの子になってね?w
デバイスまで喧嘩すんなよ。でも、実験部隊ならこれくらい最初はギスギスでもOKです!

キャロとバクラのパワーバランスですけど、個人的には確かに少し気になりますが、無敵っていうのはちょっと過剰反応かなと思います。
>>528に同意。
まだまだ機動六課編の序盤って感じですし、全ては敵方や仲間内での対立などに変化が出てきてから、かと。
客観的に見れば、力の差が出るのはキャロ達の下積み考えて当然なわけですしね。
ただ、やはりバクラには逆境がよく似合う。そして、キャロには不幸がよく似合う(ぉ
地を這ってでも戦い抜く反骨精神が大好きですw
今後の展開を見守らせていただきます。頑張ってください

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 09:29:02 ID:aV3tlGiC
似合う似合うって主観連発されてもなぁ。
じゃあ、俺も主観で。
全然似合わない。

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 09:45:57 ID:1PVOrChF
結構批判も有るようだけど、俺はキャバクラの人の作品好きだな。
キャロ・バクラとティアナの関係とか、なのはやはやての苦労ッぷりとか、エリオの奴隷化とか、スバルのアホさとか……。
今回でデバイスという新たなファクターも出てきて、面白さが増えたと思う。

あと、パワーバランス云々って話もあるけど、まだ原作序盤だしねぇ。無敵というが、敵が登場してもいないのに無敵といわれてもなぁ?
まだどうこう言える段階じゃない。フェイトには勝ったけど、単純な実力はフェイトに大きく傾いているし。
それにキャバクラの経験を考えると、弱い方が不自然な気もする。

これから敵が出てきたりして、キャロ・バクラも追い詰められたりするかもしれないし、これから楽しみです。
期待しています。頑張ってください。

532 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/06/19(木) 10:18:19 ID:kro1YZxH
沢山の感想やご意見、本当にありがとうございます。
何時もお返事を書こうと思っているのですが、何度か忘れてますね? スンマソン。


>逝きます!が誤字に見えないのは気のせい?
それは誤字じゃない!! 「飛翔」とかの印象で「逝」を採用しましたw


>エリオが死霊騎士団長に!?
あんまり深く考えてなかった(ぇ でもその名前は良いな〜採用するかもですw


>シャリオの名前違うんじゃ……
……全面的に私のミスです。後で直そうと思っていて忘れてた。すみません(深々


>キャロとバクラの強さがウザイ
あ〜やっぱりですか……そろそろ言われそうな雰囲気はしていた。
一話ごとに強さや性格の演出を入れているつもりだったのですが、鼻に付くほどだったか〜反省です。
でも! 次はキャロバクラ〜シリーズのメインの敵にして、ラスボス(え?)である私のルーテシアが登場します。
こっちも強めの設定なので、両者のぶつかり合いでバランスが取れたら良いな〜と言う希望w


>ティアナとキャバクラの関係
おぉ〜下僕エリオと同様に、気合を入れている部分なのでとても嬉しい。
これからも頑張っていきます。果たして良い方に行くのか? 悪いほうに行くのか? それは作者も解らない(なに?


相変わらず私の独断によるお返事でした〜ではさらば〜

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 11:00:13 ID:HcUHzyLK
>>514
乙です。果たしてエリオは騎士になれるのでしょうか、やや不安です。
そして結果が良いという事が、ちょっと心配ですね。

やはり強さというよりも、バクラの性格面が鼻につき、拍車をかけているのかも
しれませんね。

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 11:43:40 ID:hUmo05sL
>>533のいうようにバクラの性格面の問題はあるかも。
「俺様つえーんだぜ。へっへー。」って言っちゃう性格だからなあw
あとはまあ、ここまでエリオ、ティアナは完全にピエロだからその反感
が無意識にきてるかもなあ。

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 15:22:44 ID:iOqH6QI3
皆ウロスか本音逝けよww

536 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 18:33:19 ID:JAKoaOoI
こんばんは、今日の9時半頃にグラヴィオンStirkerSの第6話を投下しようと思いますけどよろしいでしょうか?
容量は約15KBです。

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 20:23:36 ID:4uWglYrO
ほいほいやったりやったり

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 21:07:07 ID:hlIWEy1v
>>536
おひさでーす!
投下の際は支援しますでー。

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 21:14:19 ID:ZwCF4L4y
さあ来い!
)*(

540 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:32:24 ID:JAKoaOoI
さてと時間になりましたので投下します。支援お願いします。

 第6話 帰ってくる君



 外ではグラヴィオンが2体のゼラバイアと戦ってる他、スバルとリインを捜していたシグナムとアイナが避難所まで逃げ遅れた人達を避難所に誘導したり運んだりしていた。

「避難所はこちらでよろしいのですね?」
「はい」
「ありがとうございます」


 シグナムとアイナは誘導する人達から感謝の言葉をもらう。二人は感謝の言葉をもらいながら同じ事を考える。

「シグナムさん…」
「はい。他の近くの避難所を見ましたがスバルとリインの姿はありませんでした。恐らく今行く方の避難所にいるのでしょう」
「そうですね……。だったら少し急がないと……。シグナムさん、先に行ってください」
「ですが……」

 飛んでいるシグナムの背中には5歳くらいの子供が1人いたのだ。急ごうと思えば急げるが背中に居る子供が急ぐスピードに耐えられるかはわからない。
 そんなシグナムにアイナは自分に任せるように勧める。

「だったらその子はこちらで預かります。シグナムさんは先に……」
「…わかりました」

 シグナムはアイナに抱えてる人を任せて先に避難所に向かい、アイナの背中には5人ほどの子供や老人が抱えられる。

「皆さん、少し急ぎますけどいいですか!?」
「わかりました」
「お任せします」

 アイナは世話係として鍛えていたのでこれくらいはわけはなくもないがいけないわけではない。
 アイナは火事場の底力の如くのパワーとスピードで避難所に向かって走る!
 その一方ではグラヴィオンがグラヴィトンソードで敵の攻撃を防いでいる。

「グラヴィオン、重力安定指数65%」
「重力子臨界まで7043ポイントです」
「スバルとリインはまだ見つからないのか?」

 司令室ではグラヴィオンの限界を聞いて、クロノがせかすように尋ねる。

「戦闘地域周辺に強力なジャミングが張られていて、通信が出来ません…」
「ジャミングか……」

 「ジャミング」と聞いて、ヴェロッサは手をあごに添えて考え込んだ。


 スバルとリインは瓦礫から自分達を庇ってくれたノーヴェを見て泣きながら謝る。

「リインのせいです……」
「リインのせいじゃないよ。あたしのせいだ」

 二人が自分を責めあいをしていると意識を取り戻したノーヴェがスバルの顔に手を近づける。
 その時のノーヴェの腕からは何やら機械が動くような音が聞こえたのをスバルは聞き逃さなかった。

「ノーヴェ!」
「………」
「もしかして神経ケーブルが!?」

541 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:33:50 ID:JAKoaOoI
 スバルがノーヴェを気付かおうとするとノーヴェはスバルの顔に近づけていた手をスバルの服の胸倉の方にやって襟をつかむ。

「あたしの事はいい。それよりもグラヴィオンに乗れ……」
「え?」

 突然の事でスバルは一瞬呆気に取られてしまう。

「グラヴィオンに乗って戦えってんだよ!」

 ノーヴェはスバルに対して怒鳴る。

「守るんだろ? 人を……。あたし達そう言うとこにいるじゃないか……」
「ノーヴェ……」
「だったら早くグラヴィオンに乗ってあいつら倒して守れよな。もし負けたら承知しね…え…ぞ……」

 ノーヴェの手はスバルから離れ、ノーヴェは再び意識を失う。

「ノーヴェ……」

 スバルは泣きながらノーヴェを強く抱きしめる。自分は双子の妹に迷惑をかけてしまった。
 その罪をスバルは悔やむ。そんな泣いてるスバルにリインがふと思った疑問をスバルに尋ねた。

「あのスバルさん…、さっき『神経ケーブル』って言ってましたけど……」
「……うん」
「あれってどう言う……」

 リインがスバルに事情を聞こうとするがスバルはさらに顔を伏せてしまう。

「ごめん、詳しい事はまた今度話すね」

 スバルは今はノーヴェの(本当は自分やギンガや他の面々も含む)事について話すのは後にすると言い、立ち上がる。
 その時になってようやくシグナムと少し遅れてアイナがスバル達と合流する。

「アイナさん! シグナム!」
「お前達怪我はないか?」
「ないです。けど……」

 リインが重い表情でノーヴェの方を見る。リインの顔と周りを見てアイナとシグナムはすぐに察しがついた。

「わかったわ。その子は私達が引き受けるわ。とりあえずその子をこっちに…」
「はい」

 スバルは抱いていたノーヴェをアイナに引き渡す。

「とりあえず医務室に運びたいけど……」

 アイナがそう言っているといなくなったノーヴェ達を捜しに来たチンクとセインとウェンディがやって来た。

「ノーヴェ!」
「うわ! どうしたんすっスかノーヴェ!?」
「怪我をしているのか…」

 チンクが心配そうにノーヴェに近づき、スバルがチンクの耳元でノーヴェの状態を話した。

「そうか……、ならば姉が医務室に案内しよう」
「あ、待って。それなら僕も……」

542 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:34:44 ID:JAKoaOoI
 チンクの肩に乗っていたユーノが自分も行くと言い出した。フェレットのユーノが喋った事にセインとウェンディは驚きを隠せない。

「動物が……」
「喋ったっス!?」

 二人は驚いているが肩の上に乗せているチンクは驚いた様子を見せない。

「とりあえずこちらへ……」

 冷静なチンクは先導してアイナを医務室に連れて行く。

「私はまた外に出て逃げ遅れた人達を救助に向かう。お前達、行くのか?」

 シグナムがリインとスバルに問いかける。

「はい!」
「……」

 スバルは少し間を置いて答えた。

「行きます!」

 スバルの答えに迷いはない。このままグラヴィオンに乗らなかったらグラヴィオンはゼラバイアに敗れ、ミッドチルダは終わる。
 そんな事絶対にさせたくない。それにノーヴェとも約束をしたのだ。「戦って、勝って、守れ」っと……。

「そうか、なら行くぞ!」
「「はい!」」

 スバル、リイン、シグナムは外の方へと走り出す。

「あたしらどうしようか……」
「そうっスね……」

 あまりの出来事でセインとウェンディがどうしようかとその場で立ち尽くしてしまう。
 そして二人が考えた結果。

「とりあえず、スバル達の後を追うか」
「そうっスね。IS、エリアルレイブ!」

 ウェンディは自分が持っていたライディングボードを宙に浮かせて、ウェンディはその上に乗る。

「じゃあ、とりあえずセイン姉、乗るッス」

 その後、ウェンディはセインを後ろに乗せ、セインはウェンディの腰辺りを両腕で囲み掴む。

「じゃあ、とばすっスよ!」
「おう!」

 ウェンディはライディングボードを思いっきり飛ばす! スバルとリインを追うために飛ばす!


 グラヴィオンは未だにグラヴィトンソードで敵の攻撃を凌いでいた。グラヴィオンは敵の腕を何とか跳ね除けて、敵を後ろに押し出す。

「脚部攻撃!」
「グラヴィティレーザー発射!」

 Gストライカーの部分から魔力レーザーが何本も発射され、剣型のゼラバイアを撃つが、上空にいた駒型のゼラバイアが剣型のゼラバイアを庇うようにレーザーの前に出て、攻撃を防ぐ。

「くっ!」
「何でこんなに動けるの?」

543 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:36:07 ID:JAKoaOoI
 ティアナが敵を分析して考えるが答えがなかなか思いつかない。
 レーザーのよる攻撃の煙が晴れた瞬間、剣型のゼラバイアは左手に纏わせた氷がグラヴィオンに向かって地走る。
 グラヴィオンはそれを何とかソードで防ぐもその影響でソードは凍りつき、剣型のゼラバイアは右手の炎でソードを攻撃。ソードは突然の冷却と熱しにより砕けた。

「グラヴィトンソードが……」
「砕かれた…」
「もう何であんなに統率が取れてるの!?」

 司令室ではシャーリー達が怒りを顕わにしていたが、先ほどから考えていたヴェロッサはシャーリーに指示を出す。

「シャーリー、さっき強力なジャミングが出ていると言ったね」
「は、はい」
「それはあの2体から出ているのか?」
「いえ、違います」
「だったらそのジャミングの発生源を割り出してくれ!」
「はい!」

 そしてすぐに発生源が割り出された。

「上空5千メートルに飛行物体、ゼラバイアです!」
「やっぱりもう1体いたか…。なのは、攻撃目標を上空のゼラバイアに変更。恐らくそいつが司令塔だ」
「わかりました」

 なのははすぐに上空の方へと飛びたとうとして、グラヴィオンの後ろのブースターを点火させて、空に飛ぶ。
 グラヴィオンが空で敵を探しているとわずかにレーダーに反応が映し出される。

「なのは、正面にいる」
「グラヴィトン、アーーーーーク!!」

 グラヴィトンアークが空に向かって飛んで行き、グラヴィトンアークの斜線上にはさっきまで見えていなかったゼラバイアの姿が存在した。

「あいつね、グラヴィトン……」

 ティアナがグラヴィトンバスターと叫ぼうとしたがそれは防がれる。何故なら地上にいた剣型のゼラバイアがグラヴィオンの方に飛んできて後ろから攻撃をしたのだ。
 グラヴィオンは攻撃の影響でそのまま地上に落ちてしまう。グラヴィオンが落ちたのとほぼ同時にようやくスバルとリインは地上に出てくる。

「あれは、グラヴィオン!」

 スバルとリインは落ちたグラヴィオンの方にと走る。その二人を追ってウェンディとセインがスバルとリインの後を飛ぶ。

「スバル、何する気っスか?」
「危ないよ!」

 スバルとリインはウェンディとセインの制止を聞かずにグラヴィオンの方へと走る。
 グラヴィオンの方でもスバルとリインの姿がようやく確認できた。

「スバル、リイン」
「なのは、一度分離してくれ。二人を回収するために一度敵を引き付けてくれ」
「わかりました。はっ!」

 なのはが了解したのと同時に剣型のゼラバイアは自分の剣の先をグラヴィオンの方に向かってトドメとばかりに突き刺すような勢いで落ちてくる。
 なのははそれを紙一重で避けようとし、分離する。

「エルゴ、ブレイク!」

 なのはの掛け声と共にグラヴィオンは6つの機体に分離し、敵の攻撃をかわす。

「おお、あれって!」
「まさか『オープンゲット』ってやつっスか!?」

544 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:36:41 ID:JAKoaOoI
 『エルゴブレイク』を知らないセインとウェンディは思わず、最近買ってやっているRPGゲームに出ているロボットの分離技の名前が頭に思い浮かんだ。
 その間にGアタッカーとGシャドウはスバルとリインを回収する。

「とりあえず、選手交代」

 スバルはGアタッカーのコックピットにつけられたファントムシステムのデバイスを取り外す。
 リインは先ほど消滅したGシャドウの翼を自身の魔力とグランディーヴァに搭載されている自己修復機能で復元させた。

「スバル、乗っちゃったっスね」
「スバルの言ってた事、本当だったんだね」

 スバルとリインがグランディーヴァに乗り込む姿を見て、二人はスバルの言った事が本当だったのだと確信した。
 その一方、ノーヴェを医務室に連れて行ったチンクもスバルの言葉が真実である事をアイナとユーノから聞いていた。

「と言うと、あなた達はあのゼラバイアと戦う組織の一員であると…」
「そう言うことだね…」
「もっとも私たちはお世話係ですけど……」

 チンクはその事を聞いて恥を知った。それは自身に対してだ。

「私はスバルの言ってた事を信じ切れなかった。ダメだな…」
「そんなことはないわ」
「最初は信じてくれって言う方が無理あるからね……」

 アイナとユーノはチンクを懸命に慰める。チンクは慰めながら、医務室のベッドで眠るノーヴェを見てふと心の中で思う。

(ノーヴェ、お前は信じられたのか?)

 チンクの心の声に反応したかのようにノーヴェの口元が笑ったようにチンクには見えた。


 Gアタッカーに入ったスバルになのはが通信を入れる。

「なのはさん…」
「スバル、ごめんね」
「……」
「あの後、スバルの言ってた事を一生懸命考えたよ。それで決めたの」
「決めたって…」
「もう仲間を失うようなことはしないって!」

 なのはの決意にスバルは笑顔を見せて答える。

「そうですね! それじゃあ、一気に合神しましょう!」
「いや、合神はしないでくれ」

 スバルの勢いに水をさす様にヴェロッサが通信に割り込む。

「このままゴッドグラヴィオンに合神しても勝ち目はない。まずはGアタッカー、ストライカー、シャドウで上空のゼラバイアを攻撃。
グランカイザーとドリラーで地上のゼラバイアを押さえる」
「わかりました。じゃあ、いっくぞーーーーーーー!」

 スバルは気合を入れてGアタッカーを飛ばす。

「スバル、気合入ってるね」
「空回りしなきゃいいですけどね…」

 フェイトとティアナがスバルの気合を見てそれぞれの意見を述べる。

「フェイトちゃん、ティアナ。マッハドリルでいくよ!」
「わか(りました)った!」

545 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:37:28 ID:JAKoaOoI
「ドリル、セット!!」

 グランカイザーの両手にレフトドリラーとライトドリラーがそれぞれくっつき、グランカイザーの両手はドリルの手になる。

「マッハ、ドリル!!」

 グランカイザーの後ろのブーストとドリルのブーストで勢いをつけて、駒型のゼラバイアの腕らしき部分に両手を一点集中にして攻撃をする。

「ブレイク、ドリーーーーーーーール!!」

 マッハドリルは駒型のゼラバイアの腕を貫くが、貫かれて散らばった破片が丸いドームのように駒型のゼラバイアを覆う。

「形態が変わった?」


 空では上空にいたゼラバイアを追い込もうとし、レーザーを繰り出すが、ゼラバイアはちょこまかと避ける。

「思ったよりいい動きね」
「でも…、リイン!」
「はいですっ!」

 Gシャドウのステルス機能を利用し、姿を隠していたGシャドウがゼラバイアの真上に現れ、Gシャドウは翼の部分をゼラバイアに当て、ゼラバイアは真っ二つに割れる。

「これで…」
「トドメだ!」

 ドゥーエとスバルもリインの作った勢いに乗り、GストライカーとGアタッターをぶつけ、ゼラバイアはバラバラになり消滅したがその時、ゼラバイアから何か赤い光が宇宙に向けて飛んでいくのが見えた。

「今のは……」
「スバル、敵はまだいるわよ」
「わかってます」

 スバル、ドゥーエ、リインは急いで地上に戻る。
 さっき宇宙に飛んでいった光はヴェロッサとクロノもきちんと見ていた。

「今の光は…」
「……」


 地上では丸いネットを張った駒型のゼラバイアと剣型のゼラバイアと別々に戦っていたが両方とも硬い装甲で守られていて、なかなか倒せないでいた。
 その時にようやくスバル達が上空から戻ってきた。

「よし、じゃあ合神いくよ!」
「待ってください! なのはさん、この下には避難所があるんです。大技を出したら天井が崩れるかも…」

 スバルは先ほどのノーヴェの事もあってなのはに合神とその後の注意を促す。

「ならば、あのネットを張っている中で合神をしてくれ。それなら最小限に出来るはずだ」

 ヴェロッサがスバルの意見を採用し、合神を押さえるアドバイスを送る。

「よし、じゃあいくよ! 皆!」
『うん(はい)(ええ)!』

 グランカイザーを初めとして各グランディーヴァが穴の開いた場所からネットに入り込む。

「グランナイツの諸君合神せよ!」
「エルゴ、フォーーーム!」

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 21:43:36 ID:KNrAzTSx
支援

547 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:48:32 ID:JAKoaOoI
 なのはが目の前のパネルに拳で押す。
 各グランディーヴァはそれぞれ合神体勢に入って合神し、ゴッドグラヴィオンは完成。その影響により駒型のゼラバイアはネットもろとも消滅した。
 残りは剣型のゼラバイアだけであった。

「なのはさん、一気に決めましょう!」
「そうだね! スバル、頼んだよ!」
「はい! なのはさんもお願いします!」

 グラヴィオンは剣型のゼラバイアに一気に近づき、剣型のゼラバイアを持ち上げて上空に投げ飛ばす。
 剣型のゼラバイアは上へと投げ飛ばされ、グラヴィオンはそれを追う様に飛んで行き、右脚をゼラバイアに向けて突き出し、キック体勢に入る。

「必倒! グラヴィオンキーーーーーーーーーーック!!」

 右脚の突き出したキックが剣型のゼラバイアを一気に貫き、ゼラバイアは爆散。グラヴィオンもうまく地面に着地した。

「さすが、グラヴィオン!」
「やるっスね! スバル!」

 外でスバルやグラヴィオンの戦いを見ていたセインとウェンディは歓喜の声を上げた。


 ゼラバイア撃退からさらに数時間後の夕方、ノーヴェは聖王病院で治療を受け、病院のベッドで目を覚ました。

「大丈夫?」

 ノーヴェが起きてすぐに声がするほうを見ると、横にスバルが座っていた。

「スバル……、勝ったのか」
「うん。でもごめんね、ノーヴェ。酷い事して……」

 スバルが暗い顔をしているとノーヴェは元気よく怒る。

「そんな暗い顔すんな! 勝ったんならもっと明るくしろ!」
「ノーヴェ……」
「それにお前はグラヴィオンに乗って人を守るんだろ。だったらいちいち暗い顔すんな! お前はあたしの姉なんだぞ!」
「……、そうだね。ありがとう、ノーヴェ。慰めてくれて」

 スバルがお礼を言うとノーヴェは照れくさそうに顔を背ける。

「そ、そんなんじゃねえよ」
「それじゃあ、あたし行くね」

 スバルが病室の窓から出て行くとそこにはグラヴィオンが飛んでいた。

「じゃあ」

 スバルはグラヴィオンの手に乗り移り、グラヴィオンはどこかに飛んでいった。

「頑張れよ、スバル……」

 ノーヴェはスバルとグラヴィオンに立ち去る姿を見てそう呟いた。


 そしてスバルは聖王教会へと帰ってきた。
 スバルは正門で立ち尽くし、スバルの前には機動六課の皆がスバルの帰りを待っていた。
 スバルはその事に思わず涙が出てきてしまうが涙を拭ってこう言う。

「ただいま!」

548 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:51:00 ID:JAKoaOoI
投下完了。
一部原作グラヴィオンとは違う技名にしたりしてます。
そして原作ではいつの間にか前の話で壊れたGシャドウの翼が直っていて、
どうやって直ったのかわからずじまいだったのでこちらで設定をつけてみました。
次回はグラヴィオンの最終回の話です。

549 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 21:56:23 ID:JAKoaOoI
またしてもミスをしました。
第6話となってますが第7話です。まとめの方で直しておきました。ごめんなさい。orz

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 22:02:58 ID:4uWglYrO
おつ

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 22:22:30 ID:HcUHzyLK
GJ!
避難所という単語が出るたびに、ついここの避難所を連想してしまいますw
いまさらですが、なのは達とロボット物ののりは合いますね。
それにしても次回は最終回なのですか?


552 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/06/19(木) 23:28:51 ID:JAKoaOoI
>>551
最終回と言うのは原作のグラヴィオン第1期の最終回と言う意味です。
SS自体はまだ続きますよ。第2期のツヴァイまでやる予定ですが、一区切りにはなります。

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 19:43:50 ID:xoQI4XVL
容量が475kbyte越えそうなので新スレ立ててきます

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 19:46:59 ID:xoQI4XVL
新スレ
テンプレを微妙に変更しました

http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1213958689/

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 21:52:14 ID:dtJzQYBO
ちょっと新スレを立てるのが早かったんじゃね?
まだ30kb以上残ってるぞ。

556 :Strikers May Cry:2008/06/20(金) 21:54:16 ID:h+A7ie61
んじゃこっちで投下します〜。

リリカル・グレイヴの十二話、今回は微グロ(?)でキャラ死にあるので注意。

557 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:55:11 ID:h+A7ie61
魔道戦屍 リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 第十二話 「DOCTOR」


彼が目を覚まして一番最初に見たのは真っ白な天井。そして次いで脳に伝えられた情報はツンと鼻をつく消毒液の匂い。
周囲に視線を巡らせれば、自分の身体に伸びる点滴のチューブや医療機器が見える。
そして全身に走る痛みが“まだ自分が生きている”という実感をゼスト・グランガイツに与えた。


「旦那!? 起きたのか!?」


彼が目を覚ました事に気付き融合機の少女、アギトが嬉しそうな声をあげて飛んで来た。
その小さな身体で彼にすり寄ると、涙で濡れた顔をこすり付ける。小さな彼女が流す涙では大した量ではないが、それでも零れた雫の感触は確かにゼストの肌を刺激した。


「すまんなアギト・・・心配をかけた。しかし、ここはいったい・・」
「それは私がご説明します、騎士ゼスト」


言葉と共にドアを潜って病室に入ってきたのは白衣の男だった。
低く落ち着いた声とシワの刻まれた顔にかけたメガネがひどく知性を感じさせる。
状況から、ゼストは彼が一目で医者と判断した。


「医者か? ここは病院なのか?」
「ええ、私は医者でここは病院です。ただし普通の病院とは少し違いますがね」


男の言葉にゼストは一瞬眉をひそめて怪訝な表情をしたが、即座に理解をした。
それは自分の存在と立場を考えれば当然の帰結だった。


「そうか・・・ここは最高評議会の用意した・・・」
「ええ。ここは最高評議会が作った非公式施設です。表沙汰にできない治療の場合に使われるような場所なんですよ」
「だろうな」


ゼストは公式には既に故人である、彼があのまま通常の医療施設に収監されて身元が明るみになれば最高評議会にとっては面白くは無いだろう。
先の戦い、地上本部内部で倒れた自分を秘密裏にこんな場所に収監するのは考えれば当然の事だった。
そして自分の現状を確認したゼストは常に自分と共にいた少女の安否を確認した。


「ところでアギト、ルーテシアはどうした?」
「え? そ、それは・・・」


ゼストの問いに融合機の少女は表情を悲しく歪めて言い淀む。
彼女の様子にゼストがもう一度問いただそうとした時、医者の男が口を開いた。


「ルーテシア・アルピーノは行方不明です。おそらくは、この騒動の元凶であるレジアス・ゲイズの手に落ちたのでしょう」


淡々とした口調で男から伝えられた事実。
彼の目からそれが嘘偽りのない真実だと瞬時に判断したゼストは苦虫を噛み締めたような苦渋の顔をする。


「それは本当か?」
「ええ、ついでに言うならスカリエッティの機人も何人か捕獲されたようです」


558 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:55:34 ID:h+A7ie61
「そうか・・・」
「ところで騎士ゼスト、あなたの知るスカリエッティの施設や計画の詳細を教えていただけませんか?」


男の唐突な質問にゼストは逡巡し、思わず言葉を噤んだ。最高評議会の手の者にそう心を許す気にはなれなかった。
だが男はそれもかまわず言葉を続ける。


「今最高評議会のお歴々も手を尽くしてレジアス・ゲイズの行方を探っているのですが、まったく手がかりがないようなのです。どうか教えてください、ルーテシア・アルピーノの身の安全の為にも」

「・・・・・・・・・良いだろう。俺の知っている事で良ければ全て話そう」


ルーテシアの名前を出されてそれ以上黙ってはいられなかった。
ゼストは自分の知る多くの情報、スカリエッティの保有する各施設・研究所、そしてゆりかごの計画等を包み隠さず伝えた。





地上本部襲撃時にファンゴラムより受けた傷を癒し、ビヨンド・ザ・グレイヴが目を覚ます時よりも少しだけ時を戻そう。

研究所内部の実験区画、そこに立つ5つの影、スカリエッティと対峙するレジアスと彼の部下達である。

ティーダ・ミッドバレイ・エバーグリーンを引き連れたレジアスはスカリエッティに再び自分と手を組まないかという誘いを持ちかけていた。
レジアスのこの誘いに対し、スカリエッティの反応は決して拒絶の色は強くは無かった。
彼にとってこの提案はある意味、現状で最良の選択でもあったのだから無理もあるまい。


「なるほど、確かに悪い話ではない・・・」


スカリエッティはそう言いながら顎に手を当ててしばし瞑目。
そして顔を上げると含みを込めたようないやらしい笑みを浮かべてレジアスに笑いかけた。


「その提案を呑もうじゃないか・・・」
「良い判断だ。これで双方無駄な血を流さずに済む」
「ああ、待て待て。ただし条件がある」
「条件?」


満足したようなレジアスの言葉を遮ってスカリエッティは口を挟んだ。
そして白衣を揺らしながら、それこそ手を伸ばせば届くような距離までゆっくりとレジアスに近づく。
レジアスの眼前に立ったスカリエッティはその異様に輝く金の瞳で彼を捉えると、小さなだがしっかりと聞こえる声で囁いた。


「聖王の器とゆりかごは私の自由にさせてもらう。そして君が奪ったナンバーズやルーテシアも返してもらおう」
「・・・・なに?」
「言葉通りの意味だが? 何かご理解いただけなかったかな?」


スカリエッティの提示した条件とやらを聞きレジアスはその勝手な要求に顔をしかめて怪訝な顔を呈した。
無理もない、聖王のゆりかごは対管理局の戦いにおいて重要な戦力でありそれをスカリエッティに自由にさせるなど許せる筈が無い。


559 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:56:07 ID:h+A7ie61
だがスカリエッティはレジアスの鋭い眼光などまるで気にもしないような態度で慇懃無礼ともとれる口をきいた。


「ふざけるな! そのような要求を聞ける訳がなかろうが!!」
「そうか。まあ、なら仕方がない・・・」


スカリエッティはそう言いながら軽く髪をかき上げると次の刹那、その手に鉤爪型をしたデバイスを装着し魔力糸を形成しレジアスの五体を絡めた。
絡みついた赤い魔力糸は強靭な繊維の如く強く、レジアスの身体をガッチリと拘束する。
もはや常人には抜け出すことの出来ない戒めが瞬時に完成した。
後方に控えていたティーダが即座に拳銃型デバイスを構えたがスカリエッティは上手くレジアスの身体を遮蔽物にして隠れる。
そしてレジアスに余裕を持って口を開いた。


「レジアス、君は少しばかり私に対する理解が足りていないようだ。あんな面白そうなオモチャをそう易々と人に譲れる訳がないだろう? 君を人質に交渉でもすれば事は簡単に済むさ」
「“オモチャ”か。あのような兵器を玩具扱いとはな・・・」


レジアスの言葉にスカリエッティないやらしい笑みで答えた。それは自身の有利を確信したが故の表情だった。
そして彼はそのまま、この空間でISを用いて姿を隠していたクアットロに通信を繋いだ。


『よしクアットロ、このまま私の周囲の像もシルバーカーテンで隠してくれ。このままレジアスを人質に距離をとる、それから奴らにガジェットをぶつけろ』
『りょうか〜い♪』


クアットロがいつも如く軽い口調で答えると既に展開していた幻影を弄りスカリエッティとレジアスの姿を消した。
スカリエッティとレジアス達のいる半球状の実験用隔離室には最初からクアットロのISシルバーカーテンにより幾重にも幻影を張り巡らされていた。
あとは幻影であちこちに隠したガジェットを襲わせれば“たった3人の敵”など容易く屠りされる筈だ。
そう、その筈だった・・・


「やれやれ、では状況は殲滅戦に切り替えで良いな?」


サクソフォンを担ぎ純白の白いスーツを着た伊達男、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークは答えが返るのは気にせずそう呟く。
そして次の刹那、彼は顔を傾けて見た、確かにその視線で見えぬ筈のクアットロを捉えた。
いや、正確にはその“耳”で捉えたと表現するのが適切だったか。
音界の覇者の名を持つ彼にとって、その異常なまでに発達した聴覚で以ってすれば姿の見えぬだけの相手を捕捉する事など造作もない事だった。


「・・・え?」


魔人の視線に射抜かれ、背筋に形容し難い怖気を感じたクアットロは普段の彼女ならば決して漏らさないような間の抜けた声をその口から零した。


560 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:56:39 ID:h+A7ie61
そしてミッドバレイがサクソフォン、愛器シルヴィアに口付けたその刹那それは起こった。
凄まじい肺活量から起こる空気の流入が金色の音響兵器に流れ込む、そしていくつかのプロセスを踏み外界へ放たれた。
それは楽器が発する筈の心地良い音色等とは比べようも無いほどの音の暴力。人間の可聴域を遥かに超えた音の激流が目標となった戦闘機人に目掛けて一直線に進む。
そうして暴虐の音は彼女に喰らい付いた。


「がはぁぁっ!!」


音の速さ、すなわち音速で以って到達した殺人音響は慈悲も容赦も無くクアットロの脳髄を揺さぶった。
空気を震わせる凄まじい振動にメガネが粉々に砕け散り、突然頭蓋に発生した凄まじい衝撃に意識を寸断されたクアットロは目・耳・鼻・口から夥しい血潮を撒き散らしながら倒れる。
血の赤によって彼女の羽織っていた白いケープが鮮やかな朱に染まった。

彼女の意識が絶たれれば、自然とそのISで形成されていた幻影は跡形もなく消え去り、スカリエッティの姿も配置していたガジェットの姿も露になる。


「後のゴミ掃除は任せたぞ」


ミッドバレイは愛器シルヴィアから口を離すと傍にいた二人にそう告げる。だがその言葉が届くか届かないかという間に既に行動は遂行されていた。
エバーグリーンは一瞬で肩に担いだ長大な十字架を左右二つに分割し、二丁のマシンガンに変形させて周囲のガジェットに鉛弾の雨を振り撒く。
その長大な銃の重さをまるで感じさせない動きでエバーグリーンは軽やかに動き、鉛弾で次々にガジェットを破壊。
二丁の十字架銃の吐き出す大口径ライフル弾の前にガジェットの装甲は紙の如く脆く貫かれる。

そしてもう一人の男、ティーダは両手に黒い大型二丁拳銃型のデバイスを手にスカリエッティとレジアスの下に向かって駆け出した。


「くっ!」


ティーダの二丁銃の照準で捕捉されたスカリエッティは拘束したレジアスを盾に使用と魔力糸で手繰り寄せる。
相手はレジアスの部下だ、彼を盾にされれば下手な攻撃などできはしない。
少なくとも時間稼ぎにはなる筈だ。
だが手繰り寄せた魔力糸から返ってきたのは、人間の体重の重み等ではなく虚空を切るような抵抗感の無さだった。


「なっ!?」


スカリエッティらしくも無い疑問符を孕んだ声がその口から漏れる。巡らせた視線の先では、強靭な筈の魔力糸が呆気無く切れていた。
それこそ蜘蛛糸が容易く人の手で破られたように虚しく宙を舞っていた。

そして死人が持つ二丁の銃はその口腔から無情の咆哮を上げた。
閃光と轟音を上げて魔力で練られた無数の凶弾がスカリエッティに襲い来る。
それはまるで数多の光の雨。


561 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:57:58 ID:h+A7ie61
瞬間的に張られた防御障壁を死の弾雨はまるで紙のように貫通し、その先にあったスカリエッティの胸も同じく穿ちぬいた。


「ぐうぅっ!!」


スカリエッティの身体を貫いた閃光が血飛沫を巻き上げて背中から抜けていき、口から血泡を伴った呻きが漏れ。
無数の弾に身体を蜂の巣にされ、各所の臓器を甚大に傷つけられた科学者は後方に大きくたたらを踏んでよろめくと口からさらなる鮮血を吐き流して膝を突いた。


「がはっ! レジアス・・どうやって私の拘束を・・・」


血の泡を吐き苦悶の表情で顔を歪めながらスカリエッティはレジアスに口を開いた。そして、流血と共に薄れ行く視界でレジアスの姿を見たとき疑問は即座に解消する。

彼の手はオーグマンと同じく結晶のような透ける白い色の異形、まるで肉食獣の鉤爪のように変形していた。
レジアス・ゲイズ、彼もオーグマンと同じくシードの力で既に“人”という存在を捨てていたのだ。


「残念だが、あの程度の拘束ではシード化されたワシを捕らえる事などできはせん」
「ははっ・・・どうやら私もツメが甘かったようだね・・」
「科学者は前線になど出ぬ方が良かったという事だ、スカリエッティ」


レジアスがそう吐き捨てた瞬間、ティーダが手の二丁銃から再び魔力弾の閃光を放った。
無数の光の雨が巻き起こす嵐がスカリエッティの身体をさらに蜂の巣へと変える。
威力は先ほどの比ではない。
左手は前腕部半ばから吹き飛んだ、腹部は著しく破壊され内蔵をまるで火薬でも詰めたように爆ぜ散らかした。
もはや過剰殺傷という表現が正しい程の狂った破壊の宴。
スカリエッティは薄れ行く意識の中で明確に近寄る死神の息吹を感じ取った。


(・・・これまでか)


逃れようの無い確実な死に、スカリエッティの心に重い諦念が宿る。
その時だった、一つの影が軽くウェーブを持つ紫の髪を揺らして砲火とスカリエッティの間に割って入った。


(馬鹿な・・・ウーノなの・・か?)


スカリエッティの意識はそこで途切れた。

後にはただ鉄と臓腑がまるでオブジェの如く鎮座していた。
ガジェットの群れはほとんど抵抗らしい抵抗もできずエバーグリーンの繰る二丁のマシンガンの餌食となり、既にその全てが単なる鉄屑へと変わり果てていた。
その中でただ一人、クアットロは音響攻撃の影響で血まみれになりながらも五体満足の状態である。
その彼女にミッドバレイが近づき、目を細めて血濡れの顔を凝視した。


「やはり・・・か」


ミッドバレイはそう呟くとスーツの懐に手を挿し入れ、脇のショルダーホルスターに吊っていた愛用の拳銃を引き抜くとその照準をクアットロの頭に突きつける。
そんな彼にエバーグリーンが二丁のマシンガンを合わせて元の十字架に戻しながらおもむろに声をかけた。


「どうした?」

562 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:58:33 ID:h+A7ie61
「いや、少しばかり加減をしすぎたようでな。僅かではあるがまだ息がある。今トドメを刺す・・」
「待て」


ミッドバレイが続けようとした言葉を壮年の男の強い意思を孕んだ声が遮る。彼が顔をそちらに向ければレジアスがクアットロの様子を見ながら歩み寄ってきた。
レジアスはクアットロに近寄ると乱暴に首を掴み持ち上げるとその首元、ナンバーWの数字をじっくりと観察する。


「これは機人の4番か、なるほど・・・使えるな」


レジアスの呟きにミッドバレイは拳銃を静かに懐に仕舞いながら怪訝そうな顔つきでレジアスに声を掛けた。


「どういう事だ?」
「なに、ティーダが殺(や)りすぎたせいでスカリエッティはもう使い物にならん。例の2番の情報ではこいつはゆりかごの指揮担当らしい。
せっかくのゆりかごも我々だけの技術では運用するのに時間がかかるからな。せっかくだ、こいつはきちんと利用してやろう・・」


レジアスはそう言いながら、ドス黒い笑みで意識を失った血濡れの少女を眺める。
それはまるで獲物を視界に捕らえた肉食獣のように獰猛だった。
そして、レジアスはその獰猛な瞳のまま振り返り、三人に命令を下した。


「よし、ティーダはこいつを外へ運び出せ。ミッドバレイはワシと一緒にゆりかご軌道に必要なものを捜索する。エバーグリーンは後からくるオーグマンと共に施設内の残存戦力を掃討しろ。時間を見て動力から爆破しここは完全に潰す!」





それからどれくらいの時が経っただろうか。
目を覚ましたスカリエッティが見たのは暗闇だった。施設全体に何かしらの異常が起こっているのか照明が落ちている、降りた防火壁の為に外の明かりもない。
そしてあちこちから伝わる爆発音と振動に施設自体が崩壊しつつあると理解できた。
恐らくはレジアスが目的を終えてここを完全に破壊しようとしているのだろう。

苦痛すら感じない身体にどこか冷静に死が近い事を悟った。
スカリエッティがあと一歩、本当に“あちら側”に落ちる寸前まで死に近づいた時だった。
非常時に対応して自動で降りていた防火隔壁が軋む音を立てて開いていく。
開いた扉の向こうから眩い光が差し込んで、まだうっすらと見えるスカリエッティの眼に痛いくらいに入る。
その開いたドアから小さな影と大きな影のひどく不釣合いな二人組みが入ってきた。これにスカリオエッティは即座に彼らが誰なのか察しが付いた。
そして穴だらけになった肺腑でなんとか空気を吸い込んで声を発した。


「ああ・・・・チンクか・・・遅かったね・・」


喋った拍子に口元にこびりついた乾いた血が剥がれ落ちて不快感を誘ったが、流血によって鈍った感覚はあまり明確に脳には伝えられなかった。


「ドクター!!」


スカリエッティのあまりに凄惨な姿にチンクは隻眼を驚愕と悲壮で染めて駆け寄った。
彼女に続きビヨンド・ザ・グレイヴもまた両手のケルベロスを構えて警戒しながら中へと侵入する。
スカリエッティに駆け寄ったチンクは彼の凄まじい傷を間近で見るや、薄暗がりの中でも分かるくらいに顔を青ざめさせた。


「ドクター、これは・・」


563 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 21:59:38 ID:h+A7ie61
「ああ・・・レジアスに・・こっぴどくやられたよ・・ごふっ!」
「ドクター!!」


スカリエッティは言葉を言い切ることもできず、口から新たな血潮を吐き散らした。
その色は既に生命の色、鮮やかな紅色を失い僅かにドス黒くなっている。
もはや彼の生命が尽きるのは時間の問題だった。


「チンク・・・私は・・・もう限界だ・・」
「だ、大丈夫です! クローン素体を今からでも生体素材保存スペースに行って確保すれば・・」
「それはダメだチンク・・・」


チンクが言いかけた提案をスカリエッティは即座に否定した。チンクはその言葉にまるで虚を突かれたように唖然とする。


「今から向かっても・・・施設の崩落が先では意味が無い・・君達は早く逃げろ・・他の姉妹を連れて・・」
「で、でもドクター・・・そんな・・」



スカリエッティの言葉にチンクはその片方しか開いていない金色の瞳を涙で濡らして哀しげに表情を歪ませる。
そんな彼女を見た瀕死の科学者は僅かに苦笑。唯一動くまともな五体、右腕を上げてそっと彼女の頬を撫でた。


「なあ・・チンク・・頼むから・・私の言葉を聞いてくれ・・・」
「・・・ドクター」
「私にとっては・・・自分の命と同じくらい・・・君達が大事なんだ・・・」
「・・・・・」


スカリエッティの言葉にチンクはそれ以上言葉を繋げることが出来なかった。
少女は嗚咽を堪えながら、ただ綺麗な隻眼の瞳を涙でうんと濡らして小さく頷いた。


「なあチンク・・・ウーノは・・・クアットロはいるかい?」
「え?」


スカリエッティの言葉にチンクは周囲を見回す。するとスカリエッティの正面、数メートルのところに彼女はいた。
いや正確には彼女であったモノとでも表記した方が正しいか・・・

それは酷いものだった。
うつ伏せに倒れたウーノはスカリエッティと同じく腹部への被弾で内蔵をぶち撒けられ、衝撃にへし折られた手足は歪に曲がり、皮膚を突き破った人工骨格が上腕部の肌を引き裂いて腕から露出している。
夥しい死臭、離れていても彼女が既に絶命していると即座に理解できた。
その凄惨な死に様にチンクは唇が裂けそうなほど噛み締めた。そうでもしないと、哀しすぎてここで泣き叫んでしまいそうだったから。
チンクは必死に嗚咽を堪えながらスカリエッティに答える。


「クアットロは見当たりません。ですがウーノなら・・・います・・・そこに・・・」
「そうかクアットロは奴らに・・連れ去られたようだな・・・ではウーノをこちらに連れて来て・・・くれないか・・・」


彼がそう言った時、既にウーノの骸はビヨンド・ザ・グレイヴの手によって抱き上げられていた。
死人は流れる血潮も気にせずただ彼女を抱き上げる。
彼の表情が悲しみに歪んでいるのか、影が重なった薄暗がりの中では見えなかった。
グレイヴはウーノの骸を抱えてスカリエッティに近づくとそのまま彼の隣に彼女をそっと寝かせる。


564 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 22:00:09 ID:h+A7ie61
露になった彼女の顔は血まみれではあったが、ひどく穏やかだった。
それはまるで童話の眠り姫のように・・・


「ははっ・・・馬鹿な子だ・・庇ったところで・・意味など無かったのになぁ・・」


スカリエッティは隣のウーノに顔を向けると、そう言いながら心から愛おしそうに彼女の髪を梳き頭をそっと優しく撫でた。
ウーノを見つめるスカリエッティのその瞳は、今まで誰も見た事がないくらい慈愛に満ちたものだった。
彼はしばらくウーノを見つめると、その視線をチンクに戻して口を開いた。


「チンク・・・さあ、早く行きたまえ・・・私は・・ここでこの子と一緒に死んで上げなければいけないようだ・・」
「ドクター・・・・」
「早くなさい・・・私からの最後の頼みだ・・」
「分かりました・・・」


チンクは短く搾り出すようにそう言うと、グッと涙を拭い去りそのままスカリエッティに背を向けた。
もうこれ以上、彼に自分が情けなく涙を流す様など見せたくは無かったから。
そして背中越しに静かに最後の別れを告げた。


「では・・・・さようなら・・ドクター」
「ああ・・・さようならチンク・・・」


チンクはそのまま顔を伏せ、必死に涙を堪えながらゆっくりと歩き去っていった。
だが彼女が歩いた後には透明な水の雫がいくつも後を残していた。


グレイヴもまたチンクの後の続き場を去ろうとする。
その時、彼に向けて死を目前にしたスカリエッティが最後の力を振り絞って声をかけた。


「待ってくれ・・・グレイヴ・・」


その言葉に死人は黙って立ち止まり、視線を血染めの科学者に向けた。


「・・・・」
「最後に・・・私の頼みを・・・一つだけ聞いてくれないか?」
「・・・・」


縋る様な言葉だった。
いつものふざけた調子でも、見下すような風でもない余裕の無い言葉。心の底から吐く純粋な意思。
グレイヴは何も言わずに、ただ静かに頷いて答える。この返答にスカリエッティは満足そうな笑みを零しながら言葉を繋げた。


「彼女達に戦う事を強いておきながら・・・こんな事を言うのはおこがましいだろうが・・どうか・・・あの子達を・・あの子達の世界を・・・守って欲しい・・」


何度も口から血を流して言い淀みながら、スカリエッティはそう言った。
彼は偽らざる言葉で心からの懇願を死人に頼み込む。
グレイヴはスカリエッティの言葉を聞くと、しばしその言霊を噛み締めるように瞑目して静かに目を開いた。


565 :リリカル・グレイヴ:2008/06/20(金) 22:00:50 ID:h+A7ie61
そしてその隻眼、澄んだ右の瞳で真っ直ぐにスカリエッティを見据えながらグレイヴは口を開く。


「分かった・・・ドクター」


静かな声だった。だがどこまでも澄んだよく通る声で、芯のある強い意思を内包しているそれは、確かにスカリエッティの耳に届いた。
スカリエッティはこの返事に思わず嬉しそう破顔する。


「そうか・・ありがとう・・グレイヴ・・・・はははっ、しかし君に“ドクター”なんて呼ばれたのは初めてだな・・・」
「・・・・」


グレイヴはほんの僅かな時間、スカリエッティを悲しげな眼差しで見つめると踵を返して彼に背を向けてチンクの後を追った。
なにも言葉は掛けなかった、掛ける必要もなかった。
死人はただ静かに心の中で二人のファミリー(家族)に別れを告げた。


並び立って去り行く二つの影を見送り、スカリエッティは静かに呟いた。


「行ったか・・・・」


そう言うと、外へ消え行く二人の影から視線を隣のウーノへ移した。
血濡れに不釣合いな安らかな死に顔を再びそっと愛おしそうに撫でる。


「不思議なものだ・・・死ぬ時というのは苦痛と後悔があるとでも思っていたのだが・・・さしてそうも感じはしないよ・・・」


こびりついた血が乾き、ゴワゴワになったウーノの髪を梳きながらスカリエッティはそう呟いた。
誰も聞く者などいないと分かってはいても自然と口からは声が紡がれていく。


「私が死んでもナンバーズが残ればそれで良い・・・私がこの世に生きた証だ・・・・グレイヴが一緒なんだ・・・きっとみんなを守ってくれるさ・・・・・・それにしても・・・」


そう言葉を続けて、遂にウーノの髪を撫でていた手が止まる。もうそれ以上身体を動かす力はスカリエッティに残っていなかった。

闇に包まれる視界の中、脳裏に思い起こされるのは自分達をファミリー(家族)と呼んだ死人。
最後に最高の笑顔を称えてスカリエッティは言葉を紡いだ。


「ファミリー・・・・か、それも中々・・・悪くないものだ・・」


その言葉の残響が周囲の空気に消えた時、彼の生命はその機能を停止した。


続く。


566 :Strikers May Cry:2008/06/20(金) 22:05:01 ID:h+A7ie61
投下終了です。
今回のスカのセリフはゲーム版ガングレイヴ一作目のマリアのセリフからって事で。
そしてスカ&ウーノ退場。

しかしこのまま行くとマジに六課メンバー見せ場ねえ・・・

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 22:11:37 ID:E2KKsL5o
そこは勇気と根性と煩悩でカバー。GJ

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 00:19:01 ID:Ni1QWzrT
>リリカルグレイヴ
ああああーーっ! スカ山とウーノ姉さんが死んだ!
最後までいやらしい悪人でいてくれればよかったのに…でも、いい逝き方だった(涙
ここまでナンバーズの死が惜しまれる作品はそうそうありませんよ。
あとここまで来たら他のナンバーズにも死亡フラグが立ちそうで、本当不安でハラハラする。
どう展開していくかの緊迫感。楽しいんですけど、同時にお腹が痛いです先生…六課と合流フラグを下さい。
しかも、大抵の作品ではビッチ系ビッチのままだったクアットロに捕らわれのヒロインフラグとか…何この神展開w
本当、最近のSMC氏の手腕は神かかってますねwwこれは次回も期待するしかないでしょwww

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 15:52:16 ID:HCVdF6H5
調子に乗って嘘予告を書き上げてしまったので、16時頃から投下します。
もうちっとプロット練れれば本編も書きたいなあ。

570 :-THE REQULIMER-:2008/06/21(土) 15:58:55 ID:HCVdF6H5
「シャリオ、状況は?」
「あんまり芳しく無いですね。
 例の落着物――を狙ってだと思うんですけど、
 所属不明の勢力が集結しつつあります」

 彼女がキーボードを叩くと同時、モニターに映し出されたのは、
 様々な装甲を身に付けた小人のような――異形の存在。
 いや、武器を手に握って集団で行動しているならば、或いは――

「……軍隊?」
「かも、しれません。
 それと気になる情報が一つあって――」

 続いてモニターに映し出されたのは、一つの単語。

「解析できたのは、この言葉だけでしたけれど。
 通信を傍受した結果、何度も何度も繰り返されているんです」

 フェイトは、記憶していた。
 聖王教会のカリムから、はやてを通じて齎された情報。
 恐るべき予言。或いは管理局の終焉を告げる文書。 
 それを齎す、悪鬼の如き存在の名――

 幸いなるかな 忌むべき者ども
 災いなるかな 死せる王よ
 鉄の鎧 鉄の槍 鉄の意志 持つ
 一人の 兵 によりて
 数多の 海を 守る 法の船
 中つ大地の 法の輪 打ち砕かれん 
 称えよ栄光 仰げよ武勲
 伝えよ千年の後までも
 その名―――……

「リクレイマー……ッ」


 * MISSION HISTORY
 > LOADING ......
 【−任務履歴−】
 【ローディング】


 薄暗く、静寂に満ちた室内に、微かな光が灯った。
 続いて腹の底に響くような、機械の唸る音が響く。
 それに伴い、光源が一つ、二つと次々に数を増していき、
 ついには"それ"を照らし出す程にまでなっていった。
 "それ"は棺桶のように思えた。
 戦いに戦いを重ねて、ようやく兵士がたどり着く平穏。
 しかし"彼女"は、その穏やかな時間を壊さねばならない。
 一瞬の躊躇の後、"彼女"はその棺桶を起動した。 

《…………よく眠れた?》

「ああ。キミが管理していた割には。
 ………………状況はどうなっている?」

《ええ。――あなたが必要になったの》

571 :-THE REQULIMER-:2008/06/21(土) 15:59:21 ID:HCVdF6H5
 * EXPLORE DERELICT
  RING HABITAT
 > COMPLETE
 【−放棄された環状構造体を調査せよ−】
 【完了】


 パラシュートもつけず、"それ"は崖の上から飛び降りてきた。
 次の瞬間、異形の軍隊に包囲されていた機動六課の面々は、
 緑色をした"それ"が、装甲服を纏った人型である事を知る。

 自分達を護る立ち位置に降り立った彼に対し、
 異形の軍勢はまるで悪魔でも見たかのようにざわめき、怯え、そして――。

「ッ!」

 恐怖を殺すために、その手に握り締めた武器を発射した。
 迸る電流によって気体が圧縮、荷電され、淡い光を放つや否や、
 全ての生物を焼き尽くす程のプラズマ粒子の雨が、瞬く間に降り注ぎ――。

「まだ終りではない」

 展開されたバブルシールドの中から、恐るべき声が響き渡った。

 全身をすっぽりと覆った緑色の第六世代ミョルニル・アーマーは、
 およそあらゆる実弾兵器を弾く装甲と、プラズマ粒子を防ぐフィールドを備え、
 装着者の筋力を、その骨組織の限界まで強化する機能をフル稼働させている。
 更に、周囲の世界を反射して煌くヘルメット。
 その内部には液晶ディスプレイに無数のデータが投影されている。
 仮に装着者の情報処理能力が低くとも、"同乗"しているAIには何ら問題はない。

 そして恐るべきは両手に握られた武器。
 MA5Bアサルトライフルおよび、M6Dハンドガン。
 人類の存亡を巡る戦いに投入された最新鋭の装備であり、
 管理局世界において最も忌むべき存在――つまり質量兵器であった。

 男はそれを手馴れた様子で――そして的確な判断力で――操ってみせた。

 次の瞬間、その鋼鉄の塊が、圧倒的な量の鉄の雨を吐き出した。
 それは次々に異形の兵士の装甲を貫き、肉を穿ち、
 管理局世界の魔法では有り得ない、圧倒的な数の死を生み出していく。

 無論、この時は誰も、この男こそがリクレイマーだとは知らない。
 だが、それに近い事実を、生き残った機動六課の面々は理解していた。

 ――つまり。

 この男に、敵など存在しない。

572 :-THE REQULIMER-:2008/06/21(土) 15:59:44 ID:HCVdF6H5
 * DESTROY HOSTILE
  GROUND FORCES
 > COMPLETE
 【−敵対する地上勢力を撃退せよ−】
 【完了】



「ったく。どうしてテメェはそう高い所から飛び降りちまうんだ!」
 小さな赤毛の少女が、男に対して軽口を叩く。
 悪くない気分だった。寡黙だが、為すべき事を果たす男。
 長い戦いの日々にあっても、こういった人物に巡り合えるのは稀だ。
 肩を並べて戦うに値する男。背中を預けるに値する男。
 悪くない。それがヴォルケンリッター全員に共通する感想だった。
 だけど、とヴィータは付け加える。
 ――なに考えてんだかわかんねぇーところ以外は、だ。
 其処だけは我慢できなかった。



 * MEUTRALIZE ADAPTIVE
  PARASITIC LIFEFORM
 > COMPLETE
 【−寄生生物を無力化せよ−】
 【完了】



「HALO、フォアランナーの遺産、第二のアーク。……そしてリクレイマー」

 ジュエル・スカエリッティ博士は、全てを掌の上で弄ぶ。

「果たして管理局はどう動くだろうね。
 あまりにも大量のロストロギアの存在に。
 もっとも――大量のロストロギアが、何故、同じ場所に存在するのか。
 そのことにはきっと、誰も気付かないのだろうけれど」
 
 数学的に有り得ない。彼は笑いながら呟いた。
 実に好奇心がそそられる。
 何よりも、あのリクレイマーという存在に。
 魔法技術を使わない、完璧な戦闘機人。
 是非とも――手に入れたい。

「……ナンバーズに襲撃、してもらうとしようか」

 己の欲望の為に。己の夢の為に。己の好奇心を満たす為に。
 ジュエル・スカエリッティは世界を弄ぶ。

573 :-THE REQULIMER-:2008/06/21(土) 16:00:14 ID:HCVdF6H5
 * OUTWIT ANCIENT
  A.I. CONSTRUCT
 > COMPLETE
 【−古代文明のA.I.の裏をかけ−】
 【完了】



「あたし、あたしは……もう誰も傷つけたくないから!
 ――死なせたくないから!
 だから………強くなりたいんですッ!!」

 その訓練の傍観者である男は、彼女に対しての解答を持っていなかった。
 成程、彼は確かに苛烈な経験を経て、ここに立っている。
 男はしかし、それが自分だけの力では無い事を知っていた。
 海兵隊の戦友や、多くの友人達のお陰で、彼は生き延びてこれたのだ。
 ましてや、自分を天才だと思ったことは一度も無い。
 …………そして同時に、常人であると思った事も、無い。

 遺伝子的な改良は元より、ホルモン交換、毛細血管、
 更には神経系統の調整などが施された結果、
 彼の肉体は、外見以外およそ人類の範疇を超えている。
 無論、其処までの道のりが平坦であった筈も無い。
 14歳の時に経験した神経改造では七十五名の同胞達のうち、
 十二人が副作用により永続的な障害を持ち、三十人が命を落とした。
 適合したのは三十三人。その仲間達も、今では彼一人しか生きていない。
 つまり、彼は凡人ではなかった。ある筈がなかった。
 人類の存亡を巡る争いに投入されるべく生み出された、
 いわば最終兵器、最後の希望のような存在であったからだ。

 だが、そんな自分が果たして其れ程までに強いのだろうか?

 目の前で、見えない所で、何人もの戦友が死んでいった。
 彼らをHALOや戦場から、連れ帰ってやる事はできなかった。
 故に――男は、この少女の、血を吐くような思いに対し、
 何一つとして回答する事はできない。

 ただ、搾り出すような一言だけがあった。

「……容易い事ではない」

574 :-THE REQULIMER-:2008/06/21(土) 16:03:01 ID:HCVdF6H5
って、そうか新スレ立ってたのか!
撤退!

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