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【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.10

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:33:22 ID:jdzTMpqV
アニメでも大活躍し、過去リプレイ作品で異世界慣れした我らが“下がる男”柊蓮司……
そんな彼や他の登場人物達がもしも○○の世界に飛ばされたらor○○キャラが第八世界にやって来たら…?
そんなナイトウィザードのifストーリーを語るスレです。

■ 注意事項 ■
・不要な荒れを防ぐ為に、sage進行で御願い致します。
・冥魔(荒らし)に反応するあなたも冥魔です、スルーしましょう。
・次スレは>>975を踏んだ方、若しくは475kbyteを超えたのを確認した方に御願い致します。
 また、重複防止の為に次スレを立てる人は立てる前に宣言を御願い致します。
・荒らし、カッコ悪い。
・Q.ナイトウィザードって○○のパクリ?
 A.とりあえずほぼ全て何かのパクりです。初版が2002年3月発売なのでそこから判断してください。

■ SSを投下する方へのお願い ■
・NWキャラをクロスさせたい作品世界に送り込むも良し、
 逆にクロスさせたい作品のキャラをファー=ジ=アースを中心とした
 きくたけワールドに招いてNWキャラ達と掛け合い活躍させるも良し、
 SS創作者の想像の赴く儘に楽しめる物語を書き込んで下さいませ。
 但し、NW関連スレと云う事で片方は「ナイトウィザード」で御願い致します。
・801等、特殊なものは好まない人も居るので投下する場合は投下前にその旨を伝えましょう。
・各作品の初投下時は、クロスする作品名を最初に御願い致します。
 そうすれば読者も読み易いでしょう。
・SSの内容が18禁の場合は地下スレ(検索ワードは「卓上ゲーム」)へ。
・NW側からのホストキャラはNW公式作品に登場しているキャラを主軸として、
 SS創作者オリジナルのキャラをストーリーに絡める場合はあくまで脇役としての
 立場で参加させて下さいませ。
・御互いの作品を尊重しましょう。一方的なクロスは荒れる原因ですよ。

■前スレ
【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.9
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1212474981/l50
■関連スレ
ナイトウィザード -Night Wizard!- セッション41
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1215748300/
【ネタバレ】ナイトウィザードその16【卓ゲ雑談】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1214298480/
菊池たけし セブンフォートレス ナイトウィザード67
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1215608615/

■関連リンク
http://www.fear.co.jp/nw/(原作ナイトウィザード公式)
http://www.nightwizard.jp/(TVアニメ公式)
http://www42.atwiki.jp/nightwizard/(アニメ版まとめWiki)
http://www32.atwiki.jp/nwxss/(過去SS保管庫)

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:40:47 ID:pzlHWwQV
>>1
乙!

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 21:22:48 ID:XHfMVWPm
>1乙です

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 23:00:37 ID:KaVxd3MI
おつ

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 23:25:39 ID:+g2X/Xfl
とりあえず即死防止

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 00:00:57 ID:UhZ2MqxW
乙かれなんだぜ。

しかしアニメ放送開始前の自分はクロススレが立ち、
スレ番が2ケタになるまで好評を博すとは予想もしなかったw

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 00:10:04 ID:r57HNgOL
まぁいろいろクロスさせやすいからなぁ
オフィシャルで異世界いってたりするし

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 00:25:17 ID:8Z0hfdfZ
ゼロ魔とは逆の意味でクロスさせ易いもんな
知名度の差でまだ10スレなんだろうが・・・
柊が便利すぎるw

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 00:25:24 ID:JuVOlfiC
そのうちストライクウィッチーズやセキレイもクロスすんのかな

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 00:28:28 ID:NGKAWkEi
>>9
汝の成したいように為すがよい

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 00:45:06 ID:14fd73a+
>>10
ファラリス乙

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 01:05:08 ID:qMO7tiK0
鳴くよウグイスホトトギス乙

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 03:59:38 ID:UC0qXCPU
即死防止に


                      / /, /{   リ人 ヽ ヾ ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ノ ソヽ. i y}、、
                                  >  〈 〈ハ y〉ヘ  びーむ!!!
___________________/ , ⊂⊃〉 |〉=/⌒ヽ
                         /  r´`´ヽ  〈   ヽ/ 、_|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 〉 ヽ ヽ、_,ノ  ルハ. / `、--/
                              (, ,リvヽ ,____,._.イー/゛|| |::/
                          l´ `ノ`j 、 / ≫≪ || ヽjj //\
                      ヽ//::::{ l |j ≫≪ ヾ=゜〈:l   }
                        `ヽ、:::::ヘ"  /\     ノi  ノ

                     /ニ`/ /|ヽ ト、|ヾト、ヽ</|>´ ̄三ニ二≧
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ノ´ ヾ. || ヾ二==____彡
                                  >    } || 从ー― ' ´
___________________/ , ⊂⊃| ||// /⌒ヽ  びーむ!!!
                         /  r´`´ヽ   j(T)' /    |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||レヽ. ヽ、_,ノ   ル,/\   /
                             _(T)  ヽ ,____,._.イ`/゛  `ーヽ
                          l´ ``j 、 /ヽ. y  /       \_
                      ヽ /    ヽ. ∨ /          `
                       /    j   V  j    ト、_____




14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 08:06:45 ID:p7WQr81P
乙なんだぜ。
クロスネタか……ここは元祖ファンタジーと言っても良い
ロードス島戦記とか

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 08:25:16 ID:D2PTE8ph
もっとさかのぼって指輪物語

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 09:26:24 ID:SQ9pv2j7
そこで月光条例ですよ。

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 09:40:05 ID:zE40ju4V
>>15
裂け谷に落ちてきた柊が指輪所持者と共に旅立つのですね。
月衣があれば雪山でも大丈夫だし。
神殺しの柊ならナズグルを殺せるのかなぁ。

角笛城やミナスティリスで地を埋め尽くすオークの群れに
馳夫さんと肩を並べて立ち向かう柊の姿が…思い浮かばねえよ、つか、無理

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 11:15:51 ID:r57HNgOL
ソードワールドか……月衣がどこまで有効に働くかが決めてだと思うな

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 11:30:36 ID:gkUK4t23
そういえばクロスキャラでオンセってこのスレでいいのかな?

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 11:30:54 ID:NGKAWkEi
ファンタジーなら忘れちゃいけないアリアンロッド

アルテア&レントにひたすらツッコミいれてたり
エイプリルに体よく盾扱いされてたり
カミュラにこき使われたり
ウマがあったり
アムにクリティカル食らったり
ショコラにぽんこつられたり
そんな光景しか思いつかんが

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 11:44:49 ID:a2HrlNWG
>19
いいんじゃないかな。
どっちかっていうと「レポ」がSSにあたるような印象。

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 13:03:39 ID:a2HrlNWG
            ,: :´ ̄ ̄ ̄ ̄: :`.、
           /(__: : : : : : : :/\
          /__.二二二二二. __i
         /: : : ,: : : : : : : : : : : : : :}: : : : :}    ●保管(前スレ)
          / : : : :{∧;Aレ;{: : :/ヽA: :}: : :i : !      Vo.9 >824-825 柊蓮司と雨の中の子蜘蛛 #02
   _人_   {j'{: : : ト┬‐┤|::./┬‐┐| : : | : |      Vo.9 >828-834 とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告
   `Y´   {lヘ: : : { 弋丿 レ  弋丿イ: : :.|: :|      Vo.9 >849 とらドラ!&戦闘城塞マスラヲ
        {| jハ ⊂⊃    ⊂⊃ : : :|: :|   
           l j{: : :}ヽ.  ヽフ   ノ:j: : : :i: :|
          |.l: : :|: :,>;‐〈 ̄〆ヘ}: : : :| :.i
          |:|:||三三:三:三:三:三{j: : :|: :|
            l: ||| NWクロスSS全集|| : : |: :|
         j: :i|| ノ'(⌒j       l|: : : |: :|

予告だけではなく本編の執筆に期待して、禁書目録クロスを独立ページにしてみました。
ところで、>829の一番最後の行ってそのままでいいの? コピペミスにも見えたから。


23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 13:57:33 ID:+mpXN4tK
タイトルコールじゃねえかな。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 14:39:39 ID:a2HrlNWG
かなー。
どっちか迷ってたんで、一応聞いてみた。

25 :とある偽善使いの人:2008/07/12(土) 16:08:40 ID:Wr/jn0kM
>>22
うっす タイトルコールです。
誤解されやすい内容ですみません。

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 16:26:50 ID:a2HrlNWG
>25
あ、いえ、こっちこそすみませんでした。




27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 17:09:43 ID:KX3ftjLx
下ーがれ 下ーがれ 下がりーまーくーれっ♪
…こんな感じにアバレンジャーのOPの歌詞を受信したのでクロス考えてみた。

…なんかフォームチェンジにダイナガッツ集めるときに、変な力が混じって下がるレッドとか思い浮かんだ

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 21:49:07 ID:oUWdTkua
アゼルの能力ってやっぱ当麻には効かないのかな?

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 21:50:30 ID:i1NCYvr1
戦隊ヒーロー物か〜。
柊にとってはとてもヤな記憶を思い起こすよな……【ジャスティスV】

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 21:53:56 ID:NuZFfEqz
>>28
天罰術式や御使堕としが効かんかったり、神の加護や竜脈の影響も無効化できるから大丈夫じゃないの?

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 21:59:51 ID:oUWdTkua
>>30
そうだよなやっぱ。
それを知ったらアゼルが飛びついてくるな

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 22:05:41 ID:tc2UpySE
文字通りの意味で飛びついてきそうだよな。なにせ触れてなきゃいけないんだから

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 22:06:41 ID:zE40ju4V
195 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 12:42:17 ID:tkNPVyDT
よくわからんが、その幻想殺しとやらでアゼルの包帯をつかんだ後くらいまで妄想した。

196 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 12:45:18 ID:JVnqgZTv
>>195 ダメー!アゼル消えちゃうー!

202 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 21:36:23 ID:z9vtFTZ4
>>196 いや、待て、むしろ触れている間「プラーナ吸収能力」を無効化し続けるんじゃないか?
アゼル様本体は幻想じゃなくて確固として存在する古代神なんだから消滅しないだろう。
FtEの一般人は完全に幻想存在だから一発だろうな。

203 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 21:57:12 ID:jxS7Xi48
>>202 古代神本体なら消えないだろうが、普段の姿の写し身なら消える可能性はあるぜ
それにいくらなんでも触れただけで一般人消滅なんて超能力、アゼル一人でもう十分だ

204 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 22:30:23 ID:Ruv6PnbV
>>203 上条さんがアゼルにフラグを立てるフラグなんだよ。

205 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 22:41:28 ID:9NlGhC1N
え? 上条さんとアゼルさんで「ダブルアーツ」?

206 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 22:49:37 ID:Hcjh2XlS
もし幻想殺しでアゼルの無差別吸収能力を消失出来たりしたら、
本当に上条さん−アゼルフラグが立ち兼ねない恐ろしさ

207 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 23:14:19 ID:AvjlRFZX
>>206 手を繋いでいる間、吸収能力無効化で、「お手々繋ぎ馬鹿ップルデート」フラグだな。
そして、星×流とアゼル×上条のダブルデートだな。

208 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 23:26:46 ID:8mIEoHKI
それなんてダブルアーツ?

209 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 00:38:01 ID:MAg1QR1H
幻想殺しは神の奇跡だろうが超科学の産物だろうが、それが異能の力であれば消せるらしいが、右手しか宿ってないから右手以外プラーナ吸われてあぼーんじゃね?

210 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 00:42:54 ID:32j4nuUE
>>209 だから右手でずっとアゼルと繋がっておくんだろう?

211 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 00:50:42 ID:GtVIk24v
いや幻想殺しは範囲全体攻撃である前方のヴェントの天罰術式を無効化しているからプラーナ吸収も無効化可能じゃね。

212 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/06/20(金) 01:22:24 ID:yuVYpsAC
えーと、禁書読んでないからよくわかんないんだけど……

当麻「えーと、だから、その……どうしても、触らないとダメですか?」
アゼル「(コク)」
当麻「(……って、この包帯巻きファッションのどこに触れと?!)」
アゼル「お願い……あなたにこの力を封じてもらえたら、私も普通に暮らしていけるの……(必死な上目使い)」
当麻「う……! 判りましたよ、それじゃあ……(こわごわと手を伸ばす)」
アゼル「あ……ダメ」
当麻「うわぁ! ごめんなさいごめんなさい決してやましい気持ちじゃ!」
アゼル「そうじゃなくて……魔殺の帯に触られたら、そっちを封じられて力を押さえられなくて……」
当麻「……大惨事ですか」
アゼル「うん、大惨事」
当麻「じゃあ一体どうしろと?!」
アゼル「だから、その……『中身』を」
当麻「な、なかみ……?」
アゼル「つまり、その、魔殺の帯の下の、中身を……」

(省略されました。続きを読むには、アンゼババァと3回叫んでください)

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 22:12:40 ID:4isQkHA5
あちらでも叫んだけどもう一度。

アンゼババァ
アンゼババァ
アンゼババァ!!

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 22:21:39 ID:NuZFfEqz
上条さんはほんまフラグ立ての名人やわぁ。

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 22:23:32 ID:/+1Ablkt
ああ、まったくだ。


アンゼババァ !
アンゼバァバァ! 
アンゼヴァァバァァア! 


37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 22:32:35 ID:oUWdTkua
ふぅ、まったく。



アンゼババァ!
アンゼババァ!!
アンゼババァ!!!

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:16:00 ID:4Y0vi0cn
あーもう。言わざるを得ないじゃないか。

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:23:22 ID:xEelMY+i
おまいらエロスは程々にな…




アンゼババア!
アンゼババア!!
アンゼババア!!!

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:41:42 ID:Iy4I4D2f
原作では一応『幻想殺し』にも処理能力限界がある。
なので、流石に魔王級の力は処理能力限界を超える、というのが戦闘バランス的には妥当だろう。

しかし、ダブルアーツの読者としてはだ。
アゼルの能力と『幻想殺し』の処理能力が丁度釣り合う、というバランスを主張したい。
何故ならこれだと幻想殺しの全リソースをアゼルの能力無効化に費やさなければならない為に、
上条さんの運気低下や赤い糸切断などの悪影響が無くなる。
つまり上条さんにもいろいろと運が回ってくるのだ!

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:43:40 ID:NuZFfEqz
>>40
処理能力限界って二千種類の魔法の同時攻撃とかじゃんw

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:53:50 ID:W6YxgBAH
魔王ってもともとは世界を創造した神々とそれに匹敵するような連中のことだぜ


43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:54:45 ID:l7SZ9RpA
二千種類じゃない、十万と三千な。インデックスの魔道書全部使ってるからw

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 23:56:56 ID:NuZFfEqz
>>42
幻想殺しは元々そんな連中用みたいだぞ。

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:00:43 ID:7ZIuOYBm
>>42
どんだけ凄かろうが、それが異能ならなんでもあぼんだぜ?

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:01:43 ID:Iy4I4D2f
>>44
正確にはそんな連中の力をコントロールする為のもの、っぽいですな。
大天使ミカエルの力をコントロールする為の制御ユニットだそうですから。
だからこそ、能力一つで魔王扱いされるようになったアゼルの能力と丁度拮抗するのではないかと。
んで、ラストに制御されたアゼルの能力で石破ラブラブ天驚拳を……。

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:14:57 ID:aZ2ZsT2f
はいはい、上条さんすげーすげー。
っていうか、シナリオやらクロスが成り立たなくなるんでレシオ調整は考えましょうね?

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:37:32 ID:WZoBDGpl
うっかり幻夢神までもがあぼん

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:37:49 ID:J8NOF3VS
>>47
イヤ、このスレ的には
「レシオ調整はシナリオやらクロス話を成り立たせるためにやる」もんだろ

まず話ありだべさJK

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:39:04 ID:lMRm4Psp
そーかなぁ、そういう死ぬほどバランス狂ってる能力がある「だけ」だしなぁ>上条
魔王に心臓ぶち抜かれりゃ死ぬし、多方向からの異能攻撃になんぞ対応できないし、使い所が困る能力を持ったイノセントみたいなもんじゃん

相当にうまくやれば魔王すら消せる「だけ」。勝負なんぞすれば九分九厘上条が死んでEND
それともそういう能力持ってるだけで話が成り立たないと?ロンギヌスの幼年期の終わりとかアリアン無印とかを読んでみるといいんじゃないかな?

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 00:57:07 ID:lMRm4Psp
とはいえ、上条さんの能力が割と誤解されてるような気もする

確かに幻想殺しってのは超絶的に質の高さを無視して異能を殺せる能力だけど
・効果範囲が右手の手首より上だけ
この時点で相当終わってる。カバーできない範囲が多すぎる
・精神、魂に働きかける異能は自動キャンセル
御使堕し・読心能力・天罰術式なんかから考えられること。ただし自分自身にのみキャンセルが効き、他人のものまではキャンセル不可
・結界は結界の核に触れないと解除不可
2、4巻からの設定。だから第八に来ただけで世界結界崩壊なんつー無茶は無理
・破壊してすぐ復活させられるような、常に膨大なエネルギーを供給され続けている存在を消すのは困難
イノケンティウスから。だから写し身即死は難しいんじゃないかな
底が浅いならアウレオルスダミーみたいになるだろうけど


上条はこれ+確実にウィザード以下の身体能力という基本性能でしかない
きちんと本編に基づけばこういうキャラなんだからそこそこ面白い話書けると思うんだがなー

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 01:03:29 ID:n4fNc1DC
言ってみれば、即死コンボ持ちだけどステータスは低い特殊ユニットか。

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 01:04:01 ID:iwCYYijv
しかも、自身に有利な魔術効果も打ち消すしな。回復魔法は効かない。
十四巻じゃそのせいで死に掛かってる。どこぞのチート気味な魔法無効力能力
者な女子中学生じゃあるまいし。

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 01:15:09 ID:lMRm4Psp
あとPS >>46、公式にそんな話はまだ一切出てない

そういう予想が一部でされてるだけ。ミカエルがどうとかは黒幕は一言も口にしてない
そもそも教会と敵対してる以上は天使の名前そのままつかうとかないだろって意見もあるしな

他のスレ、しかもクロスssネタスレで本編で出てないような脳内設定をさも公式のように語らないでくれ
まったく作品知らない人を混乱させるだろ

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 01:22:20 ID:zfvswv7q
一秒間に10発発射される銛を右手だけで防ぎきった上条さんならやってくれる!

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:17:06 ID:lMRm4Psp
秒間10発って時点で瞬間錬金のことなんだろうけど……

アレはよく2巻を読めばわかると思うけど、秒間10発射出→巻き戻しを繰り返せるだけであって、その瞬間存在する鏃は一つ
その上上条が破壊するから再生成の二工程が入り、秒間6発程度まで速度が落ちる
あと正面から点の攻撃、距離は3mちょい。反応だけならできるだろ。右手のどこかに当たれば無効化できるとわかってんだし、軌道の変化もなし


と、ここまで書いてスレ違いと気付いた
個人的にはグィードとあの世界の宗教の偉い人達の会話とか
ノーチェ・インデックスの腹ぺこ珍道中とか
静と小萌先生の先生談議とか
あかりんとミサカ達の奇妙な一日とか楽しそうだなーと。

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:18:11 ID:QxVqJLKt
なぁ「レシオ調整」のレシオって何?
いや「レシオ調整」のニュアンスはなんとなく解るんだが…何かの用語なのかなと

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:24:50 ID:WZoBDGpl
ほい
ttp://eow.alc.co.jp/ratio

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:33:11 ID:WZoBDGpl
直接的な元ネタはこっちかも。
http://ja.wikipedia.org/wiki/CAPCOM_VS._SNK_MILLENNIUM_FIGHT_2000#.E3.83.AC.E3.82.B7.E3.82.AA_.28RATIO.29

この手のゲームは詳しくないんで申し訳ない。

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:37:53 ID:HMdSAk0S
レシオ(ratio)……比率。割合。 ≒レート(rate)

つまりお互いの作品が共に活躍できるように力関係の調節を忘れるなってことだな。
文殊を使えばサーバントや闇の福音、管理局の白い悪魔に圧倒的強者になるような片方が一方的に活躍するクロスは気をつけよう。

と、考えると錬金や僕月、白き魔王など良作が多いのは
場の空気を読まないとPL皆が楽しめないTRPGが原作のお陰かね

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:40:20 ID:AdhPqRTO
>>54
あれ、そうだっけ? 記憶力には自信があるんだが。

と言うわけで16巻読み返してみた。
『幻想殺し』:『聖なる右』の力を完全に引き出せる右腕
『聖なる右』:なんかものすごい力の塊、例えばミカエルの右手の武器とか
ま、あくまでも17巻の敵役とおぼしきキャラが言ってるだけだが。

なるほど、確かに自分の表現は極論過ぎる。
精々「なんかものすごい力の制御ユニット」ぐらいが適当だったな。失礼。

ま、ようは作品中のおもしろさが最も重要でしょうな。
多分頭の中に上条さんとアゼルのダブルアーツのシーンが色々あって、
それに自分の中では尤も都合がいいとおぼしき解釈を書き連ねたんでしょう、自分は。

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 02:46:57 ID:QxVqJLKt
>>58-60
理解。回答感謝。
またひとつ馬鹿じゃなくなったよ!

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 03:53:54 ID:WZoBDGpl
読んだこと無いんで適当にレスすると
ナイトウィザード的には、世界結界を部分的に操作する能力(裁定者?)とでもするのがベターではないだろうか。

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 04:02:47 ID:6mfKsopS
>>60
文珠はトリッキーな能力だから、
勝つにしろ負けるにしろ実は一方的になると思う。

と空気を読まずに発言してみる。

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 10:42:52 ID:qXnngX+z
勝敗の瞬間は一方的なものだろう。要はそこに至るまでの演出だな。

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 10:55:37 ID:cBfVNj9d
>>61
気持ちは解る。よくわかる。おててつなぎ状態ではじめてのふれあいに嬉しそうに笑うアゼルを見たい気持ちが死ぬほどよくわかるよソウルブラザー!
俺だってそれを見るためならば設定の脳内解釈を歪めることも辞さないさ!

つまり何がいいたいかっていうと、アゼルは俺の嫁…
すまん、魔王スレに帰る

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 11:27:31 ID:LOPI9uqa
禁書本編もクロスSSの作法もよく知らないが
まず「アゼルのプラーナ吸収と上条さんの幻想殺しが相殺する」ってのを前提として、
他の部分ではバランスをとって描写する、ってのじゃダメなんだろうか?

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 12:44:16 ID:kEfnCzdh
どっちかって言うと、シナリオに必要なギミックだしね

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 12:58:00 ID:3dPBTIQo
>67
世界結界には受け入れられると思うよ。

相殺した上に素の能力が逸般人化してたら危険ラインっぽいけど

70 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 13:44:38 ID:024eSQAw
2時から投下。

71 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 13:59:50 ID:024eSQAw
話はちょこっとだけさかのぼる。

「…っけぷ」
サフィーが幸せそうに可愛らしいげっぷをする。
「ごちそうさま。やっぱりこれが一番ね」
久しぶりのご馳走に対して、満足げに言う。
「うう…酷いじゃないか、サフィーちゃん」
ご馳走こと静がちょっぴり青くなった顔で、抗議した。
若き天才魔術師と歴戦の吸血鬼。魔法の腕前も知恵も経験もほぼ互角。
だが、1つだけ。体力が違った。
普通の人間と大して変わらない魔術師では文字通りの意味で鬼のような体力を持つ吸血鬼にかなうわけも無い。
「あら。アタシは吸血鬼よ?血を吸うのは当然じゃない」
悪びれる様子も無くあっけらかんと言う。
「むしろご馳走を目の前にして1ヶ月も我慢してたのよ?感謝して欲しいぐらいだわ」
血を吸うと言う行為は吸血鬼に取っては本能に近いものだ。
いくら飢えてないとはいえ、目の前でちらつかされては我慢にも限界がある。
「だけど…」
納得いかない静がさらに言葉をつむごうとした、その時だった。

ぴんぽ〜んぱ〜んぽ〜ん
「本日、午後2時より体育館にて演劇部による創作劇『僕の血を吸わないで』を上演いたします。
皆様、是非見に来て下さいますようお願いいたします」

「…僕の血を吸わないで?」
サフィーが首をかしげる。
聞き覚えがあるそれは割と最近…そう、ここ10年位の間に。
「…ああ」
少し考えて思い出した。あの頃に妹から聞いたことがあった。
思い出したサフィーがちらりと静の方を見て、言った。
「ねえ、アンタ、暇ならちょっと付き合ってくれない?」


72 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 14:02:04 ID:024eSQAw


「やったわ」
「ああ、やったな」
長い戦いが、終わった。恐るべき吸血鬼狩人は、ついに2人の前に敗れ去ったのだ。
「これで私たち一族を脅かすものはなくなった。闇の中に自由が生まれたんだわ」 
「よかったな」
2人に安堵の笑顔が浮かぶ。
「ありがとう真太郎。私のために」
「いいってことよジル」
「真太郎」
ジルと呼ばれた少女が真太郎と呼ばれた少年にとびついた。
「真太郎、噛んでも…いい?」
見つめ合い、ゆっくりとジルが真太郎に聞いた。
「………ああ」
真太郎もまたゆっくりと頷いた。決意を込めて。
「もう光の世界には出てこれない。成長も止まる。おいしいものも食べれない。人間でなくなる。それでもいいの?」
「ああ、ジルと一緒だから。闇の世界でもかまわない。ジルと共に永遠を生きるよ。孤独を感じることなくね」
真太郎の瞳には、もう迷いは無かった。一番大切なものが何か、分かったから。
「真太郎」
ジルの唇がそっと真太郎の唇に触れる。そしてそのまま首筋へ。
永遠の愛のテーマが流れる中、ゆっくりと幕が下り、体育館中に拍手の音が鳴り響いた。


「あ、あはは…すごかったね」
まさか高校生の演劇でキスシーンまでやるとは思っていなかった唐子が誤魔化すように言う。
何しろすぐ隣にはまだ1回しか唐子とキスをしたことのない(他はノーカン)男の子と一緒に見たのだ。
照れてしまうのも無理は無い。
「いや〜まさかキスまでするなんて…あの2人って恋人かなんかなのかなそうだとしたら納得だけどそ〜じゃなかったら演劇にかける魂っていうか…聞いてる?銀之介君」
隣を見て気づく。
「え?ああ、ごめん。何?」
「も〜だからキスするなんてすごかったねって!」
「あ、うん。そうだね」
銀之介が気のない返事を返す。唐子がその返事にむくれるが、銀之介は気づいていなかった。

『もう光の世界には出てこれない。成長も止まる。おいしいものも食べれない。人間でなくなる。それでもいいの?』
ギクリとした。自分でも気づいていなかった本心をつかれたような気がして。

半年前、叔父さんと戦った時に、自分の中で一番大切な人が誰だかは分かった。
だが、同時にこうも思った。それを伝えてはいけない、と。
何故かはずっと分からなかった。
けれども気づいてしまったのだ。なぜ伝えてはいけないか。

…伝えてしまったら、そして彼女がそれを受け入れてしまったら、駒犬の人生に巻き込んでしまうから。

正体がばれるたびに迫害されて逃げ出すか、誰も来ないような山奥でひっそりと暮らすか。
2つに1つ。それが銀之介の知る限りの狼人間の生き方だった。
銀之介の父親、銀一郎は前者の暮らしを選んだ。幼く、いまだに変身を制御できない自分を抱えて。
そのせいで引っ越しを25回もして来た。

唐子は、ありのままの自分、狼人間の銀之介を受け入れてくれた大切な人だ。
だから、余計な苦労はかけたくない。
狼人間と暮らすと言う事は、とても大変なことだから。
唐子には幸せになって欲しい。だけど、自分が幸せにできるかって言われたら…分からない。
けれど、狼人間と暮らすよりは普通の人間同士で結ばれた方が幸せになれる。そう、思ったのだ。

73 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 14:04:28 ID:024eSQAw
「銀之介君?本当にどうしたの?」
ずっとうわの空な銀之介を見て、今度は心配になったのだろう。唐子が不安げに銀之介に話しかける。
「い、いや!ただちょっと劇に感動しててさ!その、面白かったから!」
ハッとして銀之介が返した、その時だった。
「まさか貴様のような狼男にかつて我らが女神が主演を務められたこの劇の素晴らしさが分かろうとはな…」

ガタッ

前の席の客が一斉に立ち上がる。
ぞわぞわと、銀之介の背中にいも虫が走る。
全員、飯波高校の男子だ。だが、異様な雰囲気を発している。
「ま、まさか…」
銀之介は知っている。こいつらの正体を。
「だが、貴様は我らの宿敵。ここで会った以上、貴様には…死ンでモらウ…」
ゆっくりと振り向いた彼らの額には、そろいの鉢巻きが巻かれている。間違いなかった。
「「く、倉地先生のファンクラブ〜!?」」
銀之介と唐子が同時に叫ぶ。
いつの間にやらファンクラブの面々は手に手にすりこぎなどヤバい武器を手にしている。
血走った目。説得や話し合いでどうこうできる相手では無い。
変身していない銀之介には、万に一つも勝ち目は無かった。
「こ、こんな時に…」
銀之介は歯がみする。助けを呼ぼうにも既に囲まれて、ファンクラブ員以外の人間は見えない。
「ぎ、銀之介君…」
「行クぞ!死…」
武器を手にし、銀之介に襲いかかろうとして…突然、横薙ぎに吹っ飛んだ。
純粋な力の奔流による吹き飛ばし。これができるのは…

「サフィーちゃん!」
「…ったく、劇くらいゆっくり見せなさいよね」
空気が、凍る。サフィーが月匣を展開したのだ。
ぽふっと音を立てて静を抱えたサフィーが降り立つ。
「2人とも、怪我は…無さそうだね。よかった」
抱えられたまま、静が2人の状態を見極め、ほっと息をつく。
唐子は月匣の力にあてられて気絶してるが命に別状はなさそうだ。
「銀之介君、唐子さんを連れて今のうちにここを…うわ!?」
そして、静が銀之介に逃げるよう言おうとした、その瞬間、サフィーに突き飛ばされる。
「痛っつう…」
サフィーの顔が苦痛に歪む。ナイフで切られたのだ。ファンクラブの連中に。
「邪魔ヲスル奴ハ…ゼンブ、シネ」
「さ、サフィーちゃん大丈夫!?」
「な、何でこいつ等動けんのよ!?」
腕を抑えながら、サフィーが目を白黒させる。今、確かにここはサフィーの月匣が展開されている。
予想外の出来事に3人はそちらに向きなおる。そして気づいた。様子がおかしいことに。
「な、なんなんだ…?一体…」
銀之介が困惑する。全員の目が血走り、筋肉が異様に隆起している。
その姿はまるで人間と言うよりも…
「彼らは…」
いち早く正体に気づいた静が冷汗を垂らす。
「…銀之介君、今すぐ変身して」
「え?あの…」
「僕ら2人だけじゃあ、多分そんなに長く持たない。君がある程度攻撃を引きつけてくれないと、ね。
それとサフィーちゃん…殺さない程度に、攻撃してくれ」
「ちょっと…いいの?相手は…」
「…エミュレイターさ。今の“彼ら”は、ね」
静が敵を見る目で、彼らを見る。どこから集まってきたのか、その数は優に100人は超えている。
見た目こそただのファンクラブのメンバーだが…間違いなく、凶悪な瘴気を放っていた。
「憑かれしものと戦ったことはあるけど…あれだけの数を相手にするのは…僕も始めてだ」
その言葉と同時に。
一斉に彼らが襲いかかってきた。


74 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 14:10:39 ID:024eSQAw


一方その頃。
要いのりは、走っていた。
つい先ほど、静から連絡があった。大量の憑かれしものが現れて、苦戦していると。
何でも倉地ファンクラブの連中がエミュレイターとり憑かれたらしい。
「確か…あそこには春美ちゃんもいるはず!」
先ほど春美が言っていた。演劇部の手伝いがどうとか。きっと春美も、体育館にいる。
「でもせんせい、なんで…」
静がいのりに0-phoneで頼んできたこと。それは助太刀ではなく…
「あ、いた!」
ある人物を連れてくること。
彼女は、強力なプラーナを持ち、ウィザードの資質を秘めた人物。
「い、いのりちゃん?どうしたの?そんなに慌てて」
月匣の中でも行動可能な数少ない人物。
「倉地先生!何も聞かずにあたしについて来て下さい!みんなが、ピンチなんです!」

「次から次へと!コイツらしつこすぎ!」
サフィーが不可視の力で次々と襲いかかってくる連中を吹き飛ばしながら悪態をつく。
エミュレイターに人間の限界ぎりぎりまで力を絞り出されているためか、倒れない。
吹き飛ばす端から立ち上がり、再び襲ってくる。
殺してはいけない。それが足かせになっている。
「うわ!?おわ!?っとと…うりゃあ!」
銀之介が攻撃を巧みにかわしながら攻撃する。
元々、殺さない程度に攻撃は慣れてるだけに巧みに気絶させていく。
だが、いかんせん数が違いすぎる。すでに何度か攻撃を受けて、ところどころから血が流れている。
「駄目だ…数が多すぎる!」
「もう少しだ!いのり君が来るまで、何とか持ちこたえてくれ!」
0-Phoneでいのりと連絡を取った静が2人に言う。

「持ちこたえろって…いのりが来てもど〜にかできるとも思えないんだけど」
要いのりのファイアーワークスではサフィー以上に手加減がきかない。
「それとも、本気でやっちゃうつもり?」
「いや、違う」
サフィーの物騒な提案にかぶりを振る。
「いのり君に僕が頼んだのは…」
「いっけえ、ファイアーワークス…扉をぶち破っちゃえ!」
轟音と共に体育館の重い扉が吹き飛ぶ。憑かれしものの何人かが巻き込まれてぐえっとつぶれた。
「おまたせ!連れてきたよ、せんせい!」
吹き飛んだ扉の向こう側に立っていたのはいのりと…

「あんたたち…」

飯波高校の女帝。倉地香。

75 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 14:12:07 ID:024eSQAw
彼女は怒っていた。大事な生徒に手を出されて怒らないのでは、教師じゃあ無い。
それに彼女に宿るチョモランマより高いプライドは、一方的なリンチなど認めないのだ。

「今すぐ、やめなさい!」

ファンクラブの面々がびくりと身体を震わせる。
普通ならばありえない。エミュレイターに取りつかれた人間が、その程度で止まるなど。
だが、それでも、倉地香の命令は、確かにその場にいるファンクラブを止めて見せた。
その場にいた百を超える人間が一斉にひざまずき、エミュレイターの支配をのがれたのは、圧巻ですらあった。

(どうなってんのよ)
その光景を見たサフィーが、静に聞く。それに静は小声で答えた。
(…倉地先生を見たとき、気づいてたんだ。倉地先生も、ウィザードになれるほどのプラーナの持ち主だってこと)
一説にはこの学校の男子生徒と教師数百人を抱えると言うファンクラブの女神。圧倒的なカリスマと絶対的な命令。
(この世界には僕らウィザードの常識すら越える人たちがごろごろいるからね)
それに、静は覚えがあった。中等部に、かつて似たような力を持つウィザードがいたから。
それは、圧倒的なカリスマで持って幾多の配下、否“下僕”を指揮して戦う、ファー・ジ・アースにはいないクラス。
その力を、倉地香は身につけていた。6年前、一度人外になったことによって、無意識のうちに。
(異世界専用クラスに近い力の持ち主と言うのもありってこと、だね)
(…ま、吸血鬼になった時に妙に強いとは思ったけど…つくづく変な世界だわ、ここ)
静の分かったような分からないような説明を聞いて、サフィーが嘆息した。



「クックック…まさか、こんな幕引きになろうとはな…」
ファンクラブ全員が倒れ伏した体育館で、上からその声は聞こえた。
「「「「「…っえ!?」」」」」
その場にいる5人全員がその声の正体に驚く。全員が知る人物であり、同時に敵である人物だったから。
「数の力でなら、押し切れるかと思ったが…つくづく異世界のウィザードは手ごわいな」
オールバックと白衣の吸血鬼、ドクターアラキが下を見ながら呟く。
「出来れば邪魔が入らぬように先に片づけておきたかったが、仕方あるまい」
マントのように白衣を翻し、その場にいる全員に宣言する。
「今宵。満月の下でこの場所から我が主の支配がはじまる。邪魔をするなと言っても無駄だろうから、言っておいてやろう。
来るのならば、私とあの男、そして我が主が、全力で貴様らを排除する。こころして、来るがいい」
殺意を込めて言うと、掻き消えるように去っていく。
「…あれ?え?ど〜なってんの?銀之介君」
月匣が消え去ったお陰で唐子が目を覚まし、状況がつかめずに混乱する。
「えっと…」
それは、銀之介も同じだった。困ったように静を見る。
「とりあえず、説明してちょうだい。あたしにも、分かるように。ね、静君?」
今回初めて巻き込まれた倉地が、静に迫る。
「…分りました。あまり時間は無いようなので手短ながらお教えしましょう」
嘆息して静が説明を始めようとする。だが、それはいのりの叫び声によって中断された。
「せ、せんせい、外、外!」
口をパクパクさせながら、いのりが外を指さす。そして、全員がその異常に気づいた。
体育館のぶち破られた扉から見える空。
それが赤かったのだ。

…天に昇った紅い月のせいで。


76 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 14:13:27 ID:024eSQAw


一方その頃。

「…さて、そろそろやな」
紅き月に照らされた飯波高校の屋上で、狼男と吸血鬼を従えて、その少女は笑う。
「あいつら始末できんかったんは痛かったけど、ま、それも一興や」
イレギュラーな事態に邪魔されたが、それも少女にとっては嬉しい誤算と言ったところだ。
何しろ、また新しいことが分かった。
「まさか使いこなせるとは思わんかったわ。つくづくおもろいなあ。この世界は」
少女は新しいことを知ることが好きだった。同じくらい新しいことを伝えるのが好きだった。
「おもろいもんが多くて、プラーナも豊富」
新たな驚きに満ちたこの世界は、自分の新しい領土にふさわしい。だからこそ、狙った。
「カミーユはんももうおらへんしな」
2週間前、目下最大のライバルだった奴の写し身は滅ぼされた。ウィザードと、この世界の住人の手によって。
しばらくは裏界にこもりっきりだろう。他の連中はまだここに目をつけてない。この世界を狙うなら、今が絶好のチャンス。
「ちゅうわけで、何百年ぶりか忘れたけど、久方ぶりに全力でいかせてもらうとするわ」
誰に言うともなく、少女は宣言する。そう、彼女こそすべての黒幕。
「告発者ファルファルロウの世界征服。ま、ファー・ジ・アースやないのが残念やけど、な」
飯波市に現れた、魔王なのだ。

77 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/13(日) 14:14:31 ID:024eSQAw
今日はここまで。ちなみに倉地先生はNPCなので一緒には戦えません。

前スレ>626
ええ、あれですw

前スレ>627
あの話書いてた時点では構想があった、くらいですけどね。

前スレ>628
もう3ヶ月たちますからねえ…ようやくこっちも佳境です。


78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 15:14:16 ID:Z1EWOzId
まほうせんせいの人乙〜。そしてまさかの告発者ファルファルロウ。
貴方は影の薄い魔王の再生工場ですかってなくらい上手くスポットを当てますね。
えーと、カミーユはいつ出てきたのやら……ひょっとして割愛されたドリームマン達?

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 15:52:08 ID:TNIOGdGV
まほうせんせいの人乙です

ワイルドウルフ(赤い月モード)に期待

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 15:59:07 ID:H/TTDV/w
>>78
多分まほうせんせいの前作(アガトラ)の時じゃないかなぁ?

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 16:00:30 ID:ivjYY700
あれはエリィ・コルドンじゃなかったっけ?

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 16:31:41 ID:5IU8qfGU
赤毛のかた、GJ!
まさか倉地先生がアレだったとは予想もしませんでしたが、なんか納得。

>>78>>80-81
確か、文化祭編冒頭でまほうせんせいが読んでるドリームマンの報告書(割愛された親父達の戦いについての)のなかで、その事件の黒幕だったとしてカミーユの名前が出てきたね。


83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 16:43:00 ID:PmSljJc2
倉知嬢がアレか……。
1stのう●ぅじゃなくてそっちだとは思いつかなかった。
考えてみれば確かにハマり役だわwwwww

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 16:50:06 ID:pw/kfIpW
ふと、上条さんがプラーナ吸収能力を無効化したアゼルが魔殺の帯をはずして普通の服でも着たら……
アゼルは可愛いのだろうが、手を離した瞬間にやっぱり大惨事なんだろうか

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 17:45:50 ID:PmSljJc2
それなんてダブルアーツ。

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 18:20:28 ID:H4FRoSw9
NW世界でなのはA'Sをやってみる

PC1
シナリオコネクション:???
推奨クラス:魔剣使い
推奨キャラクター:柊蓮司
キミは下がる不幸だ。いつものごとくアンゼロットに拉致され、任務を言い渡される。
任務内容は海鳴市におけるプラーナの乱獲を止めること。
そこでキミは所属不明のウィザードに出会うことになる。

PC2
シナリオコネクション:アンゼロット
推奨クラス:人造人間or強化人間or魔剣使い
推奨キャラクター:フェイト・T・ハラオウン・鈴木
キミはロンギヌスに所属するウィザードだ。
キミはアンゼロットの保護の下ウィザードとして日々任務に取り組んでいる。
今回キミに言い渡された任務は、海鳴市におけるプラーナの乱獲を止めること。
すでに何人かのウィザードがプラーナを抜き取られているらしい。
キミは「友達」を守るために、海鳴市へと向かう。

PC3
シナリオコネクション:リナ・ザウルクス
推奨クラス:ドヴェルク
推奨キャラクター:シド
キミはアルシャードの空を行く賞金額75万Gの賞金首「超☆空賊シド」だ。
キミはある日昔の知人であるリナから依頼を受ける。
それはG=M社から強奪された「闇の書」の奪取。
犯人がファー・ジ・アースの逃げ込んだことを知ったキミは追いかけるようにして異世界へと突入した。
たしかこの世界にはキミの「息子」がいるはずだ。

PC4
シナリオコネクション:フェイト・T・ハラオウン・鈴木
推奨クラス:魔法使い
推奨キャラクター:高町なのは
キミは海鳴市に住むウィザードだ。
キミがウィザードとして覚醒することになった事件から半年。
キミはウィザードの任務をこなしながら、慌しく日々を過ごしていた。
ある日キミは正体不明のウィザードに襲われる。
そのときキミを救ったのは、あの時再会を誓った少女の変わり果てた姿だった。


87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 19:05:08 ID:cBfVNj9d
鈴木太郎自重しろw そしていくら服の趣味が微妙にアレだからって、ナイトメアな衣装はやめいw
…なんかPC3が、気付いたらアースラ乗っててしかも支持出してたりしそうでたまらない

>ぼクロスの人
更新乙です。倉地先生はドリーム的扱いですか。うむ、プリンセスがハマりすぎです。
次回からクライマックス…かな?
そしてそして何より何よりマイナー魔王祭バンザァァァァァァァァァァァイ!

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 21:04:21 ID:hfWlVOcv
>あの時再会を誓った少女の変わり果てた姿だった。

あれ?考えるとフェイトのバリアジャケットと夢使いのコスチューム、
あんまり露出度とか変わらない気も・・・。

それともまさか甥っ子の「ドリームキッド」のように、蝶☆センスな仮面をつけ始めたのか!?。


89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 22:02:16 ID:Y9VR7uWL
>>88
つ2nd夢使い。

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 23:26:59 ID:EgM2Q2Gn
あの最ロリで、人狼と露出度No1を争うアブない衣裳か!
気怠げな目と脚の投げ方がヤバいよな。フェイトをああするのか……(ごくり

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 23:49:23 ID:cuW69MAf
話豚切るが
メガテン3の人修羅って出すと混沌王強すぎワロタってなるのか、やっぱり。
敵対したとしてなんとなく誰かがヤケクソに放った魔法が弱点でダウン喰らってモト劇場化しそうな気がしないでもない

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 23:50:06 ID:cBfVNj9d
目だけは希望に 満ち溢れてます

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/13(日) 23:53:00 ID:HStUCoVp
逆にパトりまくる人修羅にしてしまえw

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 00:18:15 ID:JeH+PPlY
NW的にはルー・サイファーの落とし子兼、クラスチェンジ大いなる者?
立ち位置的には魔王に近くなるから世界結界で制限される方なんじゃないかね。

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 03:01:15 ID:3pNakPWZ
そもそも柊があっちに行く設定じゃないと世界結界崩壊してるぜ
NW的にあえていうなら世界観からしてゲームオーバー後の世界の話になっちまうって

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 09:05:31 ID:SCnQ0gKY
ここは日本刀一本で戦艦ロボをぶった斬るライドウさんだな。

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 12:11:16 ID:4FOON2Ab
ライドウはてらてらと光る“それ”を、屈服させた魔王−−ベール=ゼファーに向けた。
ベルは向けられた“それ”を見て脅えの表情を隠せない。
「やめて・・・そんなもの出さないでぇ」
構わず無言で“それ”を向けるライドウ。
「無理よ、そんなの・・・アァン、入らないぃ・・・」
「ひぎぃ! ら、らめ、やめてぇ! 乱暴にしないでぇ・・・」


以上、魔王ベル(ベルゼブブ相当)を無理矢理魔封管に入れようとする
ライドウさんでした。
・・・月曜の昼間から何を書いてるんだろう俺。

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 14:14:40 ID:JR7ljZFD
>>>97さん
貴方に言える言葉はただ一つ
GJだこの野郎wwwwww

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 20:15:55 ID:a26iUMhG
そう言えばメガテンの召喚師連中なら裏界の魔王を従えかねないんだよな。
元ネタの方を仲魔にしてるやつがごろごろいるしw

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 20:18:14 ID:XKd9s287
むしろ合体させてしまう。

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 20:35:38 ID:dNnyC/K0
まままま、魔人合体すか?

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 21:04:43 ID:wZK4HFgN
合体場所はホテル業魔殿ですね

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 21:14:57 ID:uTX95L6n
ベルとちゃん様を合体させるとバエルが誕生する?

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 21:57:01 ID:LdWLAnwh
デビルサマナーならこんな感じになるのかな?
初めて作ったので良く解らないけど

PC1
シナリオコネクション:???
推奨クラス:侵魔召喚師
推奨キャラクター:葛葉キョウジ
君は表は探偵でありながら裏では名実共に業界でもトップの実力を持つ悪魔召喚師だ
君は悪魔出現事件に対して戦力を整えるため強力な魔王を合体で作ろうしたが合体事故でなぜか少女が作られた
別の魔王を作ろうとしたがなぜか次は別の少女が作られてしまう
立て続けに起こる合体事故の原因を探るために君は少女たちと共に調査に出かけることになった

PC2
シナリオコネクション:柊蓮司
推奨クラス:龍使いor魔法使い
推奨キャラクター:レイレイホウ
君はキョウジのパートナーである
突如姿を消したパートナーを探すために街を彷徨っていた君は、
空から落ちてきた若者と出会って共に行動することになる

PC3
シナリオコネクション:???
推奨クラス:転生者?or魔法使い?or侵魔召喚師?or落とし子?
推奨キャラクター:???
君は他人の体を自分のものにすることができる能力を持つ異能者だ
一度死んだ君は元の体に戻れなくなったが、今は自分に相応しい強い体を捜して戦い続けている
そんなおり君はとある少女に出会いこう言われた
君に相応しい体を持つ若者がいることを

PC4
シナリオコネクション:アンゼロット
推奨クラス:魔剣使い
推奨キャラクター:柊蓮司
君はいつものようにアンゼロットに呼び出され、
同じ姿の魔王が力を減退させること無く複数現れた原因を探り討伐するため
葛葉キョウジという召喚師に力を借りるように言われて
とある街に落とされた

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 22:19:53 ID:UpXQY7zE
>>104
PC1が原因を調査する理由が見当たらないのだが…?

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 22:40:48 ID:seH6+W4Y
・強力な魔王が欲しいが事故ばっかで手に入らない
・ちょっと調べてみると、合体事故が多発しているらしい

・どうやら自分の事故と他の事故も、原因の根本は同じらしい
を付け加えれば動機になるんじゃね?

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/14(月) 23:43:51 ID:5K+qu/Mf
>>106
たぶん>>105は、「悪魔が全部美少女に?! いいじゃん!」と言う思考なのだと。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 00:15:37 ID:RYLYzoh9
PC3はオリジナルのキョウジかw
轟所長の身体は飽きたのか?

でもウチのキョウジさんは
英雄ジャンヌを筆頭に
GUMPの中は女性型悪魔ばっかりだったけどなw

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 01:27:48 ID:tj7Z4lrk
GWあたりにメガテンifのたまきちゃんが魔王バール相当のちょーこー様を
召喚するネタがあったなぁ

さすがに交渉慣れしてる描写で、うまい事ちょーこー様の手綱をとってた

110 :柊蓮司と雨の中の子蜘蛛 世にも珍しい顔(前半):2008/07/15(火) 18:48:12 ID:SVUHYtOf
「はわっ、リストが多すぎるよ!
監視なんていわれても…どうしようか、柊?」
「…頼む…今話しかけないでくれ…。」
昼休み…何事もなく進む学園生活に安心感を覚えたことに気付き、若干落ち込んだ柊蓮司
彼はくれはと共に図書室で情報端末を動かしていた。
「あんまり、すんなりいった事件じゃなかったようだな…
まぁ魔王級の敵を含めた組織との戦いだからそうなるのもおかしくねぇか…。」

事の始まりは、成人した一般人達が『土蜘蛛の巫女』と呼ばれる能力に覚醒したことだった。
ウィザードと違い、能力者達は個人によって常識と非常識の摩擦を起こして狂気に侵されてしまうことがある。
狂気に侵された巫女たちは、かつて信仰していたエミュレイターの子孫を封印から呼び覚ました。

学園に保護された来訪者『土蜘蛛衆』は、幼生体である『蜘蛛童』から『土蜘蛛』『鋏角衆』へと進化し
この蜘蛛童の卵を生み出せる存在『土蜘蛛の女王』をリーダーとして現代日本における能力者の組織、銀誓館学園に反乱を起こした。
さらに不幸なことに、学園勢は当時来訪者の存在を知らず、妖獣タイプのゴーストとして対処し
土蜘蛛衆もまた現代に対してあまりにも無知すぎたことが双方に多大な犠牲を出させた原因となった。
この一連の事件は『土蜘蛛戦争』と呼ばれる。

「…マジカル・ウォーフェアの終わったすぐ後か。
アンゼロットの話しだとあの後世界結界が薄くなったとか言ってたな。」
「うん、私たちにも関係のない話しじゃない…。」
結果から言って、最後の戦いに終止符を打ったのは自分達なのだ。
神の一人を失った事が、世界に大きな影響を与えたのは確かだろう。
「…はわ、柊が言ってた子ってこの子じゃない?」
そう言ってくれはは保護された土蜘蛛のリストに手を延ばした。
銀色の髪に紫の瞳…それはまさしく初めてであった能力者、覩槝梢だった。
「…あ、そうだ!知ってる奴からどんな奴か調べていけば十分なんじゃねぇか?」
そう言った柊蓮司をくれははジト目で見る。
「な…何だよ?」
「また柊が女の子とフラグ立てようとしてる気がする。
こりゃ柊の恥ずかしい話を校内放送に流すしかないね。」
「意味わかんねぇよオイ!!」

111 :柊蓮司と雨の中の子蜘蛛 世にも珍しい顔(後半):2008/07/15(火) 18:49:10 ID:SVUHYtOf
前回述べたように、銀誓館学園は鎌倉の至る所を占める(埋める)学園都市であり
その中で柊蓮司たちの向かうキャンバスが近かったのは幸運である。
依頼の際に予報士達や校長の言う『運命の糸』や『優先度』というものも
実は予報士のいるキャンバスが近いか否かで決まるという噂もある。
…さておき、意外に早く覩槝梢のいる中等部の彼女のクラスに辿り着くことができた。
「しかし、教室にそのまま入るわけにもなぁ。」
柊蓮司がそうぼやいたとき、廊下の先から呼ぶ声がした。
振り返った二人は意外な人物を目撃する。
「柊先輩〜。」
「はわ〜!あかりん、エリスちゃん!」
「な、お前らも来てたのか!」
「今回は私の任務。
エリスに付いて来てもらった。
他に護衛に就ける人がいなかったから。」
抑揚なくこたえる緋室灯、彼女は隣にいる少女志宝エリスの護衛でもある。
灯本人が嬉しそうにしているところを見ると、理由は他にもありそうだが。
「コイズミはどうした?」
「クビになったけど、連れ戻されてここに転入してる。」
灯の答えに「なんだそりゃ?」と疑問の声をもらす柊蓮司。

「あぁ…俺…私は一体…何処へ向かっているのですか…アンゼロット様…」
目に見えるような重いため息を吐きながら
仮面の男コイズミは机に突っ伏していた。

「どうやらもうゴースト退治に出掛けてしまったみたいです。」
覩槝梢のクラスを調査したエリスが言った。
「ん?あそこの席にいる奴は違うのか?」
教室の奥を見る柊蓮司。
振り向くと、緋室灯がほんの少しだが目を見開いて柊蓮司を見ていた。
「な…なんだよ、そんな世にも珍しい顔して?」
「柊蓮司、知っていると思っていたのに…」
今度はほんの少しだが呆れたように言う緋室灯に「だからなんなんだよ?」と問う柊蓮司。
「この学園の能力者の人達は、ここでいう陰陽師…符術士の人に偽身符っていうお札の分身を貰って
ゴースト退治にいく時はそれを身代わりにして出席をとって貰うんだそうです。」
エリスの説明を聞いた柊蓮司は、ショックなのか嬉しいのか
その場にいる全員が引くほど絶妙な…
それこそ世にも珍しい顔をして暫く茫然としていた。

112 :ナイトウィザード×シルバーレインの人:2008/07/15(火) 18:54:44 ID:SVUHYtOf
シルバーレインの人です、ヒロインの出番が無いんだとです。
今回も説明パートです、次回はバトルのパートになるといいなぁと思っています。
実際、コイズミはクビになったって話が上がったあとどうなったんでしょうね?
休日の過ごし方を買いました、ちょーこー様のキャラがよくわかりました。

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 19:02:25 ID:FiK+4R95
埋めるゆーなwwwwwww
ちょーこー様のパーソナリティがわかるのなら休日も買うかな。
GJ!!

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 19:11:23 ID:7qzdNLrX
>>112
乙ですw
ちょーこー様wを知りたいなら、『リーチ・フォー・ザ・スターズ』もおすすめです
ぽんこつ、ちょ−こーw、鉄オタ、包帯、とそうそうたるメンツの魔王ボイスが楽しめますよw

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 20:44:31 ID:7TOZGs7z
お勧めだけど高いのがね的乙
後出てる魔王は犬娘と知的メガネだけだっけ?
ルーなんて一回ラジオドラマに出ただけだもんなーもっと露出が欲しいなー

116 :ルイズ:2008/07/15(火) 20:58:26 ID:RACJxr3O
>>115
ルー様に出番がないのも、
ファンブックが高いのも、
アンゼロットがペタりん…なのは、別にどうでもいいが…

ともかく、全部、柊蓮司がせいだっ!

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 21:03:44 ID:PksSvkZa
>>115
ルーはラジオドラマには二回出てたはず
つっても両方とも冒頭に一瞬出てただけなはずだが

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 21:05:06 ID:SVUHYtOf
まさかの柊蓮司ラスボス説www

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 21:13:00 ID:7TOZGs7z
>>117
そうなのかー
ジャスティスXの回しか記憶になかったや

120 :ルイズ:2008/07/15(火) 21:16:42 ID:RACJxr3O
そして何より、
私の溢れんばかりのプラーナがザックリ削減されたのも、
みんなみんな柊蓮司のせいだぁあああっ!

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 21:17:56 ID:aizezZmN
リーチ・フォー・ザ・スターズもフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンも発売日に買ったけど未だにCDドラマ聞いてない俺惨状!
ごめん、ごめんねアゼル

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 21:20:53 ID:7TOZGs7z
>>121
なんか似たようなことを言ってる人を見た記憶があるんだが、そういう人は一体なんであんな高い本を買ったんだろうって気になるなw
ちなみにアムロかっこいいよタキシード仮面

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 22:05:14 ID:CvH+bT5W
>>122
リプレイ読むタメです。
あとRfSだと、PCと相性悪くて読み込めなかったってのもある。

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 22:17:42 ID:H7KiwKBv
まて、RfSはPoLと違い普通のオーディオCDだぞ。どこに相性を語る余地が?

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 23:16:42 ID:CvH+bT5W
>>124
ごめ、言うとおりPOLとマチガイ

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 20:51:33 ID:2l18HgP0
懺悔シテクダサーイ

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 20:58:10 ID:p2gdkreq
クタバレ、地獄デ懺悔シロ

128 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 21:58:37 ID:0P800nZe
10時から投下します


129 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 21:59:53 ID:0P800nZe
その日、飯波高校に来ていたお客と生徒たちは突然の出来事に騒然としていた。
突然昇った紅い月。それを認識していたがために。
もっとも、わずかの混乱で、それはおさまった。
ただ、空に紅い月が輝いているだけで、特に何か起こると言うわけでもない。
ただの珍しい天体現象。そう、彼らは考えていた。
そう、この紅き月の意味を知る者は10人といなかったのだ。
それが、この世界を化け物であふれさせかねないものだなんて。

駒犬銀之介は人気のないベンチで1人空を見上げていた。
瞳に映るのは狼に変ずることは無い紅い満月。
「…そういや今日は元々満月の日だっけ」
思い出して苦笑する。満月が昔ほど致命的じゃ無くなったせいか、危機感が薄れている。
半年前、唐子のお陰で銀之介は満月を克服した。
今の銀之介ならば、満月を見ても正気を失うことは無い。
「唐子のお陰、だよな」
半年前、銀之介が満月を克服できたのは、唐子のおかげだった。
彼女のお陰で、忌み嫌ってた満月を見た自分、ワイルドウルフも自分だと気づけた。だから、制御できる。
「思えば…あの時かも」
銀之介にとって、一番好きな子が、誰だか分かったのは。
爪と牙が、何のためにあるのか、分かったのは。
「僕は、唐子のことが…」
銀之介の気持ちははっきりしている。この街と、好きな子を守りたい。
けれど…
「幸せになって欲しいなら…黙ってないと…」
唐子ならばもっと良い人を見つけられる。わざわざ狼人間と一緒になることなんてない。
「そう、分かってるのに…」
銀之介は唇を噛みしめる。ひどく辛そうに。もどかしそうに。
そんなときだった。


130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 22:03:08 ID:2l18HgP0
支援してみる

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 22:04:25 ID:xayRJVyC
紫煙吹かせてみる( ゚Д゚)y~~

132 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 22:05:06 ID:0P800nZe
「それは、アンタが決めることじゃないでしゅ」
ふわり、と。
そんな風に思い悩んでいる銀之介の隣にマントをはおった少女が舞い降りる。
紅い月に負けないほど、真っ赤な髪を持つ少女。
「サフィーちゃん?」
仲間の吸血鬼の少女を見て、銀之介は驚いた。
「まさか…聞いてたの?」
「唐子のお陰、あたりからね」
サフィーは肩をすくめる。その口調と瞳は、普段演じてるお子様のものじゃなく、完全に大人のものだった。
それを見て、ふと、銀之介はサフィーに尋ねる。
目の前のものすご〜く長生きしている少女なら、答えてくれる気がして。
「じゃあ…サフィーちゃんはどう、思うの?」
「当然、自分の気持ちを伝えるわ」
銀之介を見上げ、はっきりと答える。
「だいたい、その事でウジウジ悩むのがお門違いって奴なの」
ビシィッとサフィーが背伸びをして銀之介の胸元に指を突き付ける。
「言って、最後に受け入れるかどうか決めるのは、相手の方。だったら、狼と一緒になる覚悟がある

かも含めて、聞けばいい。
ダメならすっぱりあきらめて、OKだったらその子が少しでも幸せになるよう最大限に努力する。それでいいじゃない」
そう言いきるサフィーの目に、迷いは無い。絶対にそうする。そんな気持ちがしっかりと現れている。
その様子に、銀之介は苦笑する。
「…すごいな。サフィーちゃんは。僕には、とてもそこまで決心出来ないよ」
「そ〜じゃないと生き残れなかったのよ。迷ってたら、とっくの昔にくたばってたわ」
「そうなの?サフィーちゃんがそうそう死ぬとも思えないけど」
くたばってたと言い切るサフィーに銀之介は首をかしげる。
サフィーの強さを、銀之介は知っている。目の前の小さな女の子は、本気の狼人間と対等以上にわたりあえる吸血鬼なのだと。
それに、寿命とかも吸血鬼になったら関係ないとも、聞いていた。
その様子を見て、少しだけ気まずそうに、サフィーはどこか遠くを見て言った。
「…アンタに1つ、つまらないことを教えるわ。アンタが見てたあの劇、あれってある意味ではノンフィクションなのよ」
最初、銀之介はサフィーの言葉の意味が理解できなかった。
「…え?」
「吸血鬼はね、ちょっと前まで吸血鬼を狩る吸血鬼狩人に狙われ続けてきたの」
脳みそにこびりついた嫌な記憶を掘り起こしながらサフィーが言葉をつづる。
「そりゃあアタシらだって馬鹿じゃないし、普通の人間よりはずっと強い。
けれどね…数の暴力と、あいつらの中に混じったヤバい連中全部敵に回したら、逃げ回るしか無いわ」
銀之介が息をのむ気配を感じながら、サフィーは話を続ける。
「あの話を書いたのは、アタシの妹。ちょうどその頃あの子も追われてたわ。ブラックウィナー…それも吸血鬼の奴にね」
吸血鬼、と言う言葉を特に強調して、言う。
「きゅ、吸血鬼?」
「そ。あいつら、生きたまま捕獲した吸血鬼の心臓に爆弾埋め込んで言うのよ。『死にたくなかったら、吸血鬼を殺してこい』ってね」
「そんな…酷すぎるじゃないか、そんなのって」
「…あそこのトップは吸血鬼1人殺すために街一つ滅ぼすのも躊躇しない最低のクソ野郎だったわ。

何を今さらってところね」
だからこそサフィーは戦うことを決めた。あんな奴に蘇ってもらっては困るのだ。自分も、家族も。
「アタシはね、そ〜ゆ〜連中から逃げ回るのを500年も続けてきた。だから、知ってる。
後悔とか迷いとかは生き残るのには邪魔。抱えたままじゃ、死ぬわよ」
再びサフィーは銀之介を見る。
「だから、どうするのかは今決めなさい。アンタに、あいつらと戦う気があるんなら」
そして、黙りこむ。銀之介の返答を聞くために。
「…分かった」
銀之介が口を開いたのはそれからたっぷり5分経ってからのことだった。
「言わないままじゃ、僕も前に進めないから」
その銀之介の顔には、もう迷いは無かった。ただ、静かな決意だけが宿っている。
そう、銀之介は決めたのだ。
「僕は唐子に本当の気持ちを伝えることにするよ。この戦いが終わったら…」
そして、背中をおしてくれたサフィーにありがとうと伝えようとした、その瞬間だった。


133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 22:07:51 ID:mn4AF+jN
支援するのは我々の仕事だ、でどりぃ〜む。

134 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 22:08:21 ID:0P800nZe
「ちょぉぉぉっっっっとまてぇぇぇぇぇぇいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」

ガサッと音を立てて、近くの茂みから何かが飛び出してくる。
ショートヘアーの、活発そうな女の子。ついでに言えば、メイド服。
要いのりは銀之介に詰め寄って、言った。
「なにそれ!?なにその戦う前のやたら不吉なセリフは!?
なんかもう最後に全力振り絞って相討ちになって血まみれで『ごめんな…唐子、僕は本当は…ぐふっ』とか言ってるシーンがアリアリと見えたわ!?」
妙に凝った設定つきで。
「い、いのりちゃん?一体どこから聞いてたの?」
「唐子のお陰、あたりから!」
割と最初からであった。
「とにかく!そ〜ゆ〜不吉な真似は駄目!せめて行く前に伝えろっての!唐子さんもそう思うでしょ!?」
そう言っていのりは別の茂みの方を向いて、言う。
ガサッと再び茂みが音を立てる。
そこから現れた少女の姿に銀之介の目が丸くなる。
「と、唐子…?一体いつから?」
「え、えっと…唐子のお陰、あたりからかな…」
割と最初からであった。
唐子は真っ赤な顔になっている。唐子だって年頃の乙女。銀之介が何を言いたいのかなってのは、何となく、分からないでもない。
だけど、そこはそれ、本人の口から聞きたいのが乙女心ってやつである。
「え、えっと…その…」
銀之介も真っ赤になっている。銀之介だって純情一路な青少年。唐子が期待してる言葉は何となく、分からないでもない。
だけど、そこはそれ、いざ口に出すのは恥ずかしいってのが男心って奴である。
ちなみに2人ともパニクり過ぎてすぐそばで興味シンシンで見ている4人を追い払うのすら忘れている。
そんなじれったい時間がちょっとだけ過ぎて、銀之介は手に人と言う文字を3回書いて飲み込んだ。
「唐子…その、僕は、唐子と、一緒にいたい」
銀之介、一世一代の決心の言葉であった。ちょっと頼りないけど。
なにそれー、もっとはっきりと言いなさいよ〜とか外野からの声も聞こえてない。
「2年間、ずっと一緒だった。それで分かったんだ。僕には、唐子がいる。唐子が一番大事だって。
何があっても、僕はきっと唐子を守ってみせる。だから…その…これからも一緒にいて、くれるかな?」
ごくりと固唾をのむ。
再び沈黙の時間。それが過ぎて、唐子は苦笑して、言う。
「もう、銀之介君は…もうちょっとちゃんと言って欲しかったな…でも、銀之介君らしいや」
そう、唐子が一緒にいた銀之介は、ちょっぴり気弱で、臆病で…とっても優しい男の子。
その彼が言う言葉は飾り気も素っ気もないが、本気の言葉だった。
だからこそ、唐子もまた、本気の言葉で伝える。飾り気も、素っ気もない言葉で。
「もちろんだよ!あたしたちはずっとず〜っと一緒!ね?」
そしてにっこりと笑う。それが、自分には一番似合うから。
だがその直後、唐子はその事に気づいて、ちょっとだけ笑顔を曇らせる。
「あ、でもそ〜なると飯波市からは出ないと、駄目かな。銀之介君、狙われてるし。
お父さんなら分かってくれると思うけど…う〜ん」


135 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 22:15:31 ID:0P800nZe

「あら、その心配は無いわよ」
悩み始めた唐子に声が掛けられる。ゴージャスでエレガントでクイーンな声(どんなやねん)
その声の持ち主にその場にいた全員が声の聞こえた方を見る。そこには
「やあ、盗み聞きをするつもりじゃあ無かったんだけどね」
いつもの笑顔のままの静と。
「あたしに任せときなさい」
倉地の姿があった。
銀之介が突然現れた2人に聞く。微妙な確信を持ちながら。
「先生…それに、静さん…一体、いつから?」
その言葉に、2人は顔を見合せて…
「そりゃあ…」
「まあ…」
「「唐子のお陰、あたりから?」」
ハモった。ていうかやっぱり割と最初からであった。
「いや〜いきなり青春劇場が始まったりサフィーちゃんの昔話を聞いたり色々してて出そびれたってわけじゃなくてね?」
「そ、そうよ?ただちょ〜っとこのまま見てた方が面白いんじゃないかな〜とか思ってないわよ?」
激しく言い訳くさく、2人が銀之介に言う。
「…も〜いいです」
がっくりと疲れた声で銀之介が言う。
「…ま、とにかく。この街に関してはあたしに任せときなさい」
倉地がボリュームたっぷりの胸を張る。
「ファンクラブの連中にはあたしからきつ〜く言っといてあげる。あたしのファンだってんなら、聞

くでしょ。従わないなら…ね?」
にっこりと笑って、言う倉地に銀之介は変身してないけど本能で感じた。この人は、強い。
「あ、ありがとうございます」
銀之介がその迫力にタジタジとなりながらもお礼を言う。
「いいのよ。あなたも唐子さんもあたしの生徒だったんだもの。できることがあるなら、助けてあげるのが先生ってものでしょう?」
優しい目をして倉地が言う。
「と、言うわけだから安心して、この街で暮らしなさい」


136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 22:16:49 ID:xayRJVyC
天(なかのひと、と読む)自重w
・・・と言うか、もしかしていのりはそれでしか個性を主張できないのであらうか・・・

137 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 22:19:07 ID:0P800nZe


あの後、周りの生温かい配慮により、銀之介と唐子は正真正銘の2人きりになっていた。
「なんだかさ…今日は…ほんと〜に色々あったね」
「ああ…」
たった1日の学園祭で本当に色々あった。目まぐるしい位に。
「でも、よかった。ず〜っと一緒にいられるってさ。この街で」
「ああ…なんだかまだ、夢みたいだ」
追われることのない生活と、ずっと大切な人と一緒にいられること。
ずっと欲しかったものが一度に2つも手に入った。
「うん…これで、決心がついた」
銀之介は唐子の方を見る。まっすぐに。
「唐子…僕は、守って見せる。唐子も…この街も。だから…」
「…うん。止めない。だって、あの人たちと銀之介君が負けるはず、ないもんね」
唐子もまたまっすぐに銀之介を見て、はっきりと言う。
「負けたら、承知、しないからね」
「分かってるよ。僕は、負けない。負けるわけに、いかない」
静かな決意を込め、男の顔になって、銀之介は言う。そして…

チュッ

銀之介は、唐子と2回目のキスをした。
「…へ!?」
突然の出来事に、唐子が思わず混乱する。
それに銀之介は少し赤くなりながら、言った。
「ごめん。前にしとかないと、変身、とけちゃうから」
そして、空を見上げる。

空には相変わらず紅い月がでている。紅くて丸いその月を見ても、銀之介は変身しない。
その月を瞳に写しながら、銀之介は呟いた。
「満月は、心の中にある」
昔、父親に聞いたことがある。どうすれば、好きなように変身できるようになるのかって。
その答えがそれだった。その言葉を言った本人は、こうも言っていた。
意味は自分で考えろ。自力で気付かなきゃ、意味が無い。
「あの時は、意味が分からなかった」
だけど今なら何となく、分かる。
大事なのは…
「嫌がることも怖がることも無く、自分で狼に変身したいって思うことだったんだ!」
その瞬間、銀之介の瞳には確かに映っていた。美しく、黄金に輝く満月。
そう、一番大切な人の笑顔にそっくりな満面の光を放つ満月が!

…ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!

血が昂ぶる。その昂ぶりのままに遠吠えをして、銀之介の身体が膨れ上がる。
変身すると同時に、狼の本能が目を覚まし、様々なことを要求する。

食わせろ、子孫を残せ、全部壊せ、ぶち殺せ…

全部却下だ。今やるべきことは、たった1つ。戦うこと。
その瞬間、銀之介はついに完全に狼を飼いならした。

「…じゃあ、行ってくる」
変身を終え、優しい瞳を持った狼が言う。最愛の少女に対して。
「うん!行ってらっしゃい!」
それを少女は満面の笑みで返した。他の表情は、戦うことを決意した、強く優しい狼にはふさわしくないから。

138 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/16(水) 22:19:48 ID:0P800nZe
今日はここまで。

>>78
やはりマイナー魔王こそロマン。後は物語の都合上、ファルファルロウ先生に出馬いただきました。

>>79
逆ベクトルですがワイルドウルフ様、登場させてみました。

>>82-83
むしろアレ以外ないかな、と。

>>87
次回辺りからいよいよクライマックスフェイズです。

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 22:26:33 ID:aMbu+js0
天井wwwww
いいなぁ、いいギャグだ、いい阿智時空だwwww
GJ!!

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 22:54:27 ID:rLl1PDsJ
「割と最初から」
「割と最初から」
「割と最初から」
「割と最初から」
吹いたwwwひでぇwwww

そういえば銀之助って柊ばりのフラグスルー能力者だったな・・・
とか何故か思い出した。
そんな彼もようやく告白でちょっと感無量。

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 23:08:53 ID:gmkMTfBW
GJっす。
とりあえず天自重。

どうしても気になったので質問。
三石ちゃん末妹ってどの作品に出てきたっけ?

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/16(水) 23:12:09 ID:dcEsRBJf
ぐっじょぶです。
銀之助よくやった。
唐子おめでとう。
倉地先生男前だ!

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 02:11:30 ID:HUwQ84mF
>そういえば銀之助って柊ばりのフラグスルー能力者だったな・・・
漏れは読み切りの先輩が好きだったな…
当時阿智スレはスクランスレばりのフラグ祭りでした


144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 08:55:58 ID:Xlks+tI7
まほうせんせいの人乙。いやーとっても良いシーンなのに
色々ヒドイ面子のおかげでダイナシ感が先に来てしまう不思議w
何はともあれクライマックス期待しております。

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 18:36:05 ID:RYhe7jJl
そういえば、ナイトウィザード単体の作品ってどこに行けば読めるか知らないか?
個人サイトいくつかは知ってるし、地下も知ってるけど他にあるなら知りたい

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 18:38:27 ID:sUYwWGtB
卓ゲ板に、そういうスレがあるって聞いた。
あとぶっちゃけここで貼っても怒られないと思うw

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 19:45:25 ID:ySpSUnWg
卓ゲ板にあるってのは、俺は聞いたことはないなー
仮に立ててもフルボッコになりそうだし
そういうssってのは作品問わず地下スレが兼用するイメージが強いな

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 19:47:22 ID:MCcU7QIB
卓ゲ版にあるスレってこれのことか?
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1204870381/

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 19:53:37 ID:Hr5H/enN
「作品」で検索してみ。
まぁ作品数少ないけどな

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 19:54:17 ID:Hr5H/enN
音速が(´・ω・)遅かった

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 21:08:19 ID:RYhe7jJl
>>148-149
せんくー。ちょっと行ってみるよ

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 22:49:28 ID:E8eg8eIb
>138
いつもながらGJです

それにしても、いのりが面白キャラになりつつあるなぁ…
このラブコメ空間で相手がいないというのが致命的なのか


153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 03:35:27 ID:j6YSWwMn
卓上ゲーム板作品スレは前(初)スレの終わり際が輝いていたからなぁ。

あそこはまとめWikiは無いけど、過去ログサイトがあったっけ?

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 06:12:07 ID:E0fEez6s
>>153
どんなのがあったんだ?
まとめサイトみたいなのはちょっと見当たらないから参考までに聞いてみたい

今スレのアリアンが作品の傾向上地下に保存されてるのくらいみたいだね

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 12:31:54 ID:x0YZW+4w
横だがNW関連だと
飛竜さん(柊の魔剣の前の持ち主)の最期の話、
あと小学生時代の柊とくれはの弟の話、
だったかを見た気がする

後者は漫画の『最初の事件』と明らかに矛盾する事になったけど
個人的にはぶっちゃけあっちより好き

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 12:57:06 ID:/7Ek2h5f
でも、柊とくれはは『星を継ぐもの』で初めてお互いがウィザードだと知ったはずなんだよね。
まあ、猫猫猫さんの漫画はアニメ準拠っぽいから(チハヤがいるから)アニメとリプレイでは経緯が違うのかもしれんが。

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 16:04:17 ID:4xM5iAN0
どこぞの「後付け設定のプロ」と呼ばれる男なら
その矛盾をシナリオにするだろう。

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 18:22:24 ID:E0fEez6s
>>155
ありがとう。頑張って探してみる

>>156
どういうこと?そこにあったssと第一の事件が矛盾して、漫画版と星継ぐが矛盾して……??つまりそのssは矛盾だらけってことなのかな?

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 18:41:25 ID:4xM5iAN0
その場合のSSは何を指すんだ

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 19:17:44 ID:8/npKN8V
そりゃ「下がるお茶」で記憶力さげちまえばおk

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 19:40:58 ID:XddFb471
人間は一人一人違います。同じ人間など二人としていません。
互いの違いを認め合おう。


162 :158:2008/07/18(金) 23:10:07 ID:E0fEez6s
あー。ごめん、勝手な勘違い。そうだね、そういうことか

自己解決しました。すみません

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 00:54:03 ID:+LnxF4CW
クロス妄想でもしてみるかー
……あずまんがだと誰がウィザード覚醒してると楽しいかな。木村以外で。

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 02:02:55 ID:f0wUGfnB
大阪が魔物使い
よみがソーサラー
ちよちゃんがノイマン
ともが土下座ことマジカルシューター

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 02:08:19 ID:9k+wdn8p
……ルール違(ry

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 02:14:41 ID:+LnxF4CW
ルールは大事だなっ!そうだなっ!

……榊さんが魔物(マヤー)使いで大阪が夢使いという普通な妄想力の俺には土台創造できん世界だ

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 02:22:19 ID:Yij3mwVb
榊さん…… ああ、るなさん?

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 02:39:14 ID:TeUm0lQY
とりあえず、常識人組(よみ・にゃも)はイノセントだよなぁ
彼女達のおかげで世界結界(ツッコミ補正)は保たれてるわけだし

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 03:03:47 ID:Yij3mwVb
お父さんもイノセント組

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 05:43:58 ID:Re4QoIDm
最終鬼畜全員龍使い
つ「エンジェル伝説」

あ、でも元番長は奇跡多すぎるな。

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 07:44:54 ID:PfGDqbKJ
あずまんがってーと、とりあえずちよちゃんはノイマン=ソラリスかな?
【馬鹿は既出に気づいていない】

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 07:52:47 ID:Qo1hLehL
こいのぼりことノイピュアだろうJK

…そういやNWとダブクロって両方とも秋葉原舞台のステージがあるんだよな。
それに秋葉原電脳組だの小麦ちゃんまじかるてだの混ぜたならば・・・

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 12:49:32 ID:pxomFBYA
なんか東京@KIV@
とゆー電波が

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 13:02:18 ID:Ua2tYJWF
CLAMP学園というでんぱが!

アキハバラ電脳組は5人とも魔物使いでアタッカーからヒーラーまで全部揃ってる印象が。

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 13:46:59 ID:HiZLlibh
なら対抗してホスト部

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 14:15:07 ID:0iztIY1t
人造昆虫カブトボーグ V×VとNWの相性は良さそうだな。
死んでも生き返ったり神になる奴がいるし。

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 14:47:13 ID:Re4QoIDm
必殺技の電撃が奇跡的に患部を治す
つ「小さな奇跡」

178 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:10:32 ID:Qo1hLehL
5時半から、投下します。
決戦前夜が思ったより長くなりました。

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:27:06 ID:nWpfjU1C
よっしゃ、来い!

180 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:30:11 ID:Qo1hLehL
紅き世界。奇妙な天体現象は、徐々に広がりを見せている。
ゆっくりと広がる、異形の世界。
暗がりから、あるいは突然に現れる、異形の姿を持つ、恐るべき化け物たち。
今はまだ、実体化するには至っていない、裏界の侵略者。
彼らが実体化するには、そして、この街が裏界へと、魔王の手に落ちるまで、そう時間は残っていない。

かくて、この街は6年ぶりに滅びの危機を迎えていた。



「いよいよだね…」
いのりが緊張して言う。他のウィザードの増援を待っている時間は無い。
1ヶ月の間暮らしたこの街の運命は、いのりたちにかかっていると言っても過言では無かった。
「勝てるよね?せんせい」
「正直、分からない」
不安げに尋ねるいのりに、静は難しい顔をして言う。こんなときだからこそ、嘘はつけない。
「僕らはあの2人と、魔王と戦うんだ。あの2人だけでも厄介な相手だってのに、魔王まで相手にするんだ。
少なくとも、楽な仕事ってわけにはいかないだろうね」
そして、倉地の方を向き、自らの0-phoneを渡して言う。
「倉地先生、もし僕らが戻らなかったら、この電話でマユリさんに連絡をお願いします。
彼女なら、僕らよりも強いウィザード…世界だって救えるウィザードとも知り合いですから、何とかしてくれると思います」
「あら…静君、私は置いてきぼりなの?」
心外そうに言う倉地に、あくまで真面目な顔のまま、静は言う。
「残念ながら先生お1人では、おそらく戦うことはできないでしょう。それとも、ファンを使い潰して戦いますか?」
倉地の能力は第3世界のプリンセスと呼ばれるものに近い。その倉地が戦うと言う事は、自らの下僕を使って戦うこととなる。
「う…しょうがないわね」
指摘され、倉地が悔しそうに歯がみする。
元をただせばこの学校の生徒と教師だ。それを手駒として使って戦うと言う事は、彼女の美学に反する。
「私にも真冬でも蚊が見えたり、10m先からキャベツを斬れる能力でもあれば良かったんだけど、ね」
冗談めかして言ったあと、溜息をついて言う。
「分かったわ。とにかく、こっちでも出来ることをしとく」
「お願いします。今、多分それができるのは倉地先生くらいですから」
「そうね。できることをするしかないってところね。静君も気をつけて」


181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:30:32 ID:nWpfjU1C
支援

182 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:30:59 ID:Qo1hLehL
サフィーを呼びに静が去ったのを見た後、倉地が向きなおる。いのりの方に。
「いのりさん」
「な、なんですか?」
「これだけは忘れないでちょうだい」
真面目な顔をして、いのりの肩をつかむ。
「あなたは、私の大事な生徒よ。もちろんあなたにも事情があるのは知ってる。だから危ない真似はするなとは言わないわ。
だけど、これだけは言わせて。本当に危なくなったら…逃げて。そうなっても、きっと私が、何とかしてみせるから」
その眼には嘘は無い。深く静かな決意が込められていた。
「…ありがとうございます」
その瞳を見て、いのりは気づいた。
自分の中の不安と緊張が零れおちるように弱くなっている。
「だけど、多分できません」
ウィザードの使命感とか、そういうんじゃない、もっと単純な理由。
大切なものを守りたい。
いのりもまた、1ヶ月暮らしたこの街がだいすきなのだ。
「あたしってバカだから、多分いざって時に逃げるなんて思いつきませんよ」
「…自分で言うセリフじゃないわよ。それ」
しょ〜がね〜な〜とばかりに倉地がため息をつく。
「…でもあなたらしいわ」
1ヶ月の間、教え子だった少女のことを、倉地は把握していた。
要いのりは、止まらない。まっすぐに正直に、自分を貫く強さを持った少女だと。
「分かったわ。だったら、戦って、勝ちなさい!他は認めないわ!」
女帝の傲慢さと確かな愛を持って少女に伝える。
少女の返事は決まっている。
「ハイ!もちろんです!」
他のセリフなんて今さら必要ないんだから。


183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:32:05 ID:nWpfjU1C
しえ〜ん

184 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:33:26 ID:Qo1hLehL


一方その頃。
「コニー。久し振り。アンタもトナも元気にしてる?」
紅き月の下、サフィーは久しぶりに電話をかけていた。
「どうしたの…って別に何でも無いわよ。ただ久し振りにアンタの声が聞きたくなっただけ」
相手は300歳は年下の、たった1人の妹。
「そう…元気。ならいいわ。ま、アンタやトナがそうそうどうにかなるとも思えないけどね」
そう言えば最後に顔を合わせたのはもう1年は前の話だ。
「こっちはいつもどおりよ。てきと〜に旅してるわ。美食を求めてのグルメ紀行。
…しょ〜がないでしょ。本能には逆らえないもの。それに、アンタらの永遠の新婚旅行よりはマシだっての。
…一緒でも良かった?冗談。アンタらと一緒だったら暑苦しくて干からびちゃうわ」
笑いと軽口が混じった、他愛のない世間話がサフィーの心をほぐしていく。
「…え?真っ赤な月?」
妹が何気なく口にした言葉に、ちょっとだけ声が震える。
「そうね…アタシも見たけど。なんなのかしらね?あれ」
それを悟られぬよう、急いで言葉を紡ぐ。
本当のことは言わない。言ったら、余計な心配をかけるから。
「とにかく、アンタもトナも気をつけなさいね。世の中何かと物騒なんだから。それじゃ」
ボロが出る前に、電話を切る。

「…よかったのかい?」
電話を終えたのを確認し、静がサフィーに話しかける。
「なにが?」
「あんな会話で。大切な家族への電話だったんだろ?」
「いいのよ」
だが静の疑問を一刀両断して、サフィーは言う。
「ちょっとした確認ってだけなんだから」
「確認?」
「そ。アタシがいなくても大丈夫かって確認」
後ろを向いたまま。サフィーが答える。
「あの子はずっと2人で元気にやってける。もう、アタシが守る必要も無い。あの子のことはトナが守ってくれるわ。敵からも、寂しさからも」
新しい家族が出来てから、生き別れになるまで。
妹を、守り続けて100余年。
いつの間にか、サフィーにとって、妹は一番大切なものになっていた。ともすれば自分の命よりも。
「だから、アタシがやるべきことは、コニーやトナの大切な場所を守ること。そのために、アタシは戦ってる」
化け物として追われることが無くなり、平和に暮らしていけるようになった世界。
それを壊す奴は、絶対に許さない。それがたとえ魔王だとしても。
「…そっか。正直、意外だよ」
「意外?」
「うん。サフィーちゃんは、もっとドライなのかなって思ってた。長生きしてて、ずいぶんと苦労したみたいだったから」
サフィーの口にした戦う理由に、静はちょっとだけ嫉妬する。
世界を守ること。それがヴァンスタイン家の使命であると教えられ、自らもそれを信じて魔法の技を磨き続けた。
だからこそ、単純な理由で戦える若いウィザードが羨ましかった。
彼らは、使命だから戦ってる自分と比べて、眩しい。
「ふふっ」
そんな様子を見て、サフィーは笑った。
「何がおかしいのさ?」
笑い出したサフィーに静は憮然として尋ねる。
「あんたって、年の割に落ち着いてると思ったけど、案外子供だったのね」
「そんなこと無い。僕はもう、大人だよ」
「あら。ガキほどそう言うのよ」
「ガキって…サフィーちゃんだって見た目は子供じゃないか」
「あら…試してみる?」
ふわっと。
サフィーは浮きあがり、静と唇を重ねる。ごく自然に。

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:34:19 ID:7Pz8CMpk
支援、支援!

186 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:34:39 ID:Qo1hLehL
「ななななななな!?」
突然の出来事に、静は唇を抑えて後ろへ下がる。
それをサフィーはいつもの顔色のまま、面白そうに見ていた。
「ふふっ。随分と純情なのね?もしかして、初めてだった?」
「な、いや…だって…」
初めてだった。静=ヴァンスタイン17歳、こ〜ゆ〜のには今までまったく縁が無かった。
頭が、混乱する。顔が熱い。初めて味わった女の子の唇がアリアリと残っている。
「本当に、ウブなのね。可愛い」
その様子を、ネズミをいたぶる猫のように笑う。
「そうね…じゃ、特別よ」
ねこなで声を出して、甘く囁く。
「アタシがなってあげる。シズクの、恋人に」
「さささサフィーちゃん!?」
静が動揺しまくりでサフィーの名を呼ぶ。
その様子がおかしくて。
「…っぷ」
ついにサフィーは噴き出し。
「あはははははははははは!!!」
笑い出した。
「ど〜せならもっと早くやっとけばよかったわ」
その様子を見て、からかわれたことに気づいた静が再び冷静さを取り戻す。
「たちの悪い冗談はやめてくれよ」
「ごめんなさい。アンタが可愛いのは顔だけじゃないってのが面白くてね」
そんなことを言いながら後ろを向いて、言う。笑いながら。
「さて。そろそろショーは終わりよ。そろそろ出てきなさい」
吸血鬼の感覚はごまかせない。サフィーはとっくに気づいていた。
「「え!?」」
気付かれてるとは思わず、2人は同時に声を上げた。静はその声に聞き覚えがあった。
「いのり君に…銀之介君まで!?」
すまなそうな顔をして出て来たのは、獣化した銀之介といのりの2人。
「えっといやそのね?何とな〜くでていきづらいな〜ってね」
「そ、そうそう。なんてゆ〜か、このまませんせいとサフィーちゃんの危険な情事を見てるのもいいかなとか思ってないよ?」
最強に苦しい言い訳を聞きながら。
「悪夢だ…」
静がやれやれと頭を抱える。
そして。
「さて。準備も整ったところで行きますか」
サフィーが口に出す。軽い口調で。
「ちょっと魔王を倒しに、ね」
全員が真面目な顔で頷いた。


187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:36:35 ID:nWpfjU1C
支援

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:37:14 ID:7Pz8CMpk
しえぇぇぇぇんっ!

189 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:37:50 ID:Qo1hLehL


飯波高校の屋上に、炎の鳥が舞う。
「ファイアーワークス!ここに降りて!」
いのりの命令を聞いて、4人を乗せたファイアーワークスが屋上へと降り立つ。
「…うん。ここで間違いない。前に見たのと同じタイプだ」
静がそれを見つけ、険しい顔で言う。
それは、穴だった。
空間にぽっかりと空いた穴。その奥には大量のエミュレイターらしきものが蠢いているのが見える。
「裏界とこの世界を結ぶ穴…開き切ったら、恐らくはもう閉じられない」
静がごくりと唾を飲み込んで言う。その恐ろしさを肌で感じ取っていた。
「キシシシシ…おもしれえだろ?もうすぐこの街はばけもんで溢れ返るんだぜ?」
「その通り。我が主の支配は、今日、ここから始まる」
屋上に声が響き渡り、空間が歪んで、2人の男が現れる。
「それがなされたとき、私は更なる力を得る…そう、この世界の吸血鬼を駆逐するに足る力をな」
そのために蘇ってきた吸血鬼、ドクターアラキは言う。目の前の忌まわしき吸血鬼の少女に。
「まずは、お前からだ。忌々しい、赤毛の悪魔よ」
「ふん。それは1ヶ月前にも聞いたわ」
サフィーの脳裏に苦い記憶が蘇る。あのときは、逃げるしか無かった。圧倒的な力の前に。
だが、恐れない。今のサフィーはあのときとは違う。魔法があり、仲間がいる。
「でもね、それはこっちのセリフ。まずはアンタからブッ倒す。1ヶ月前に逃がしたこと、たっぷり後悔させてあげるわ」
余裕をたっぷりと塗りつけて。
サフィーはドクターアラキに宣告した。

「よお。久し振りだなあ。銀之介え。ちょっとみねえうちに、ずいぶん変わったんじゃねえか?」
オオカミは、獣化した銀之介を見て面白そうに、だが、油断せずに言う。
本能で悟った。今の銀之介は…前よりも厄介だと。
「叔父さん…」
銀之介が静かに口にする。悲しげに。
銀之介にも分かっていた。もう、目の前の男は悲しみでおかしくなった人間じゃない。
完全に殺し、壊すことを楽しむ、化け物になり果てたことを。
「ごめんね…」
だから、銀之介が口にするのは、詫びの言葉。
「僕は叔父さんを止めるよ…たとえそれが」
「ぶっ殺すことになっても、てかあ?やってみろよ。俺様をぶち殺せるもんならな!」
そして、吠えた。命がけの戦いに、面白そうに。そして、屋上の扉の方に向って言う。

「そ〜ゆ〜わけだ。こいつは俺たちと銀之介たちの…殺し合いだ。だからよお、大人しくそこで見てろ。嬢ちゃん」


190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:40:12 ID:nWpfjU1C
サフィーかわいいよ、サフィー支援

191 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:40:31 ID:Qo1hLehL
そこには1人の少女がへたり込んでいた。そこに、いるはずのない、居てはいけない少女。
ぐるぐるメガネでおかっぱの少女。
「春美ちゃん!?なんでここに!?」
いのりが悲鳴じみた声を上げる。
「…さっき、人影を見かけたんです。女の子。この紅い月に何か関係があるのかな…って思って…」
呆然としたまま、呟くように春美が言う。
「その子を追って屋上に来たら、その変なのがあって…」
徐々に上ずり、混乱していく声。
「一体何が起こってるんですか!?なんでここに化け物がいるんですか!?それに…なんで春美さんと静さんがここにいるんですか!?」
口早に、様々な質問を繰り出す春美。その眼に宿るのは…まぎれも無い、恐怖。
「…おいで。ファイアーワークス」
それを見て、いのりは静かに呼び出した。自らの相棒を。
「ひぃ!?い、いのりさん!?それって…?」
異形の化け物を見て、春美が悲鳴を上げる。
「ごめん。今は…答えられないよ」
いのりの顔には苦渋の色が滲みでていた。
「嫌われても、しょうがないと思う」
ウィザードにはありがちな出来事。だが、やはりこたえる。友達が相手なら、特に。
「だけど…お願い。今すぐ、逃げて。ここはあたしらで、何とかするから」
そして、その言葉を口にすると同時に。

戦いが始まった。

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 17:41:20 ID:7Pz8CMpk
しえ〜ん

193 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:41:33 ID:Qo1hLehL
今日はここまで。

>136 >>139 >>152
京介もねがいもいない分、天分が多めにでてますねw
と、言うわけで今回はいのりがちょっぴりシリアス風味です。

>>140 >>143
銀之介は何気にフラグ数では歴代阿智主人公1位のタイトルホルダーですからねえ。
最長巻数は最近お隣を守る忍者に抜かれましたが。

>>141
出てきてないのですよ。阿智作品には。

>>142
やるときはやる、大人の女性。それが僕月での倉地先生のイメージです。

>>144
悪ノリって怖いですよね



194 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/19(土) 17:44:01 ID:Qo1hLehL
って191で誤字orz

×それに…なんで春美さんと静さんがここにいるんですか!?
○それに…なんでいのりさんと静さんがここにいるんですか!?

でよろしくおねがいします

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 18:04:11 ID:QCrYHzxD
あっはっは、ただでさえ厳しい戦闘バランスなのに、NPC守りながらとか鬼だね! GJ!!
あと別にいいんだけど、一応静達も世界を救ったウィザードだよな?

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 18:16:34 ID:nWpfjU1C
ただいま読了。
赤毛の方、ブラボー!
いのりと倉地先生の会話とか、いいですね〜。
男前な倉地先生に惚れそうです。


197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 20:33:51 ID:JlEQmQkr
まほうせんせいの人乙〜
NPCを守りながら中ボス2名。それも因縁キャラを集中攻撃か…
回復が追いつかない、この前のめりパーティで何処までやれるのか。
そしてこいつら倒してもまだ告発者が……このGM非道いよ、助けてドリームマンw

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 21:14:06 ID:vy13uQT4
ばっかおまえ、ちゃんとそこまで考えてバランス組みしているに決まってるだろ。
困スレに報告されるようなのGMじゃないんだからw

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 02:16:05 ID:zWUJEq23
地下スレでとあることを書いてたらふと気になったんが
アンゼロットって幽遊白書の天沼のゲームマスターの能力にはいったときに本気だしてもいいんだろうか?

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 02:24:48 ID:BhndDKDG

俺はむしろこのタイミングで春美ちゃんが出た事に引っ掛かりを感じるぜ……シナリオギミック的にな!w

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 05:16:25 ID:QQZzxuyr
>199
それで本気出していいんなら、月匣内で全力OKになるからだめなんじゃね

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 05:42:09 ID:pBkUTUHq
だが、よく考えて欲しい。
ゲームをする能力は、アンゼの人間(ウィザード)としての能力だ。

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 06:42:49 ID:Vieihmag
>>202
そうだな、アンゼの人間(廃人)としての能力だ。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 07:23:22 ID:qg42XHV+
とりあえずアンゼは消極的防衛権としての能力使用はOKだったはずだが
自分が死ぬ、という状況なら実力行使可能。

けどそもそも人間の作った領域で神を殺せるかっつー疑問もあるわな。暴れられなくても領域の法則によって害せるかというと微妙じゃないかと
柊力でレベル下がったじゃんって前例もあるが、アレはネタシナリオだし。天沼の能力が柊力並かってのも疑問だし

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 07:55:13 ID:pBkUTUHq
                     ,. - フ
       _ ,.  -─── ァ-ァ-/  /
        !:::::::::::::::::::::::,---' /_/  ,.:< ,. --、
       l::::::::::::::::::::::ー‐.ァ , -'- く.ン ´ ,.-l  l
      l::::::,' ̄".-. 、::/,' ==  ヾ´ヽ、::ヽ. ト、
      ,.ゝ=l´ ̄丶 : : \‐*、., {} }.:.ヽ ヽ::`':::::\
     /: ,: : :ト、:\: \: : : \ 'ヽ.ノ:::::::::.\ \:::::::::ヽ  保管のお知らせ
     l:./: /:爪:\\: \: : 、ヽ´:;;;;;;ヽ、::::::::\ \:/
     |:l: :l: !l:.ト、: :,x.-ヽ-ヽ: :ヽヽ-ミ 、;;;;\::::::::>'´   ●まほうせんせいと赤毛の悪魔 #18 >71-76  #19 >129-137  #20 >180-191
     l:.l: :l:l:.ト、ヾミヽ,.ォ弌ァ:ヽ: :l: ヽj ゝ--、/     ●魔法少女リリカルなのはA's >86
  ─-  !ヽl:N:ト、ヾ゙、 'ヒj ハ: ヽ: ト: l、`゙ ヽ: : :|      ●女神転生(デビルサマナー) >97 >104-106
  ` ー . __ ` ー、 〉 と⊃ ヽ:l: :!l:l'.ト: ー: :、: L._     ●柊蓮司と雨の中の子蜘蛛 #03 >110-111
        \~::>'、 _._     〉l: !リ l l`_┐: ヽ: jヽ
          ア, '´//、_. ィ'ヲ 'lリ‐"´_.l_.l: : 「: : : : l
        , '  / 、 :l _..lL, -,.ニ´-<`-._`ヽ、:├. 、
      /  / `ー′ :l/ l「/´:.:.:.:.l  lヽl 'J`ー:、: l: l
     /  / lヾ'._,. ノll,..';/- 、:.:./ /:.:l:l  '、: : : :ヽl:|
     ー ´ ,. '/   i lY /-.、 `'  /.:.:.l:l  iー ,、:_:_:l`ヽ
        〈,..':ニ⊃  l L∧:.:.:.`ァ ,._ ``l:l丶 ヽ|: ,'` 、: : |
      ,ィア:::::::ニ⊃ ∧ l└ヽ、/ /:.:.:.`:.|:.:.:.:l  人ヽ: :l: : |

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 10:05:51 ID:pBkUTUHq
クロスSSスレのメモ
ttp://www32.atwiki.jp/nwxss/pages/212.html

207 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:34:02 ID:gnM4EhvV
15時45分ごろから投下させていただきます。


208 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:49:00 ID:gnM4EhvV
―――281年・2月中旬
―――北海付近・川辺

 痛い。全身が、痛い。
 視界を埋めるのは、まだ夜が明けきっていない、空。
 春とはいえ、早朝。
 少々肌寒く…その寒さが、一層痛みを助長していた。

「…えーっと。
 何でこんなことになってるんだっけ」
「少々訓練に付き合っていただく、と。
 そういった約束のはずでしたが」

 声を聞きながら、よろよろと立ち上がる。
 そこには、紺色の女中服を着た、甘寧―――あるいは思春という名の少女。

「うん。でも、流石に百本近く打ち込みされるなんて聞いてないなあ」
「当たり前でしょう。言っておりませんので」
「…うわあ」
「それでは、もう一本」
「流石にそろそろ死ぬからっ!?
 いや死なないまでもしばらく動けなくなるから勘弁!?
 というか怒ってませんか思春さん!?」
「怒らない理由があるとでも?」

 視線の冷たさ、というものを測れたならば、それはきっと氷点下を示していたんじゃないかなあ、とかなんとか。
 そんなことを思ってる余裕もない。とりあえず。

「言い訳を!?
 そ、そりゃあさ、俺の召使い扱いってのは思春も気に入らないと思うけど。
 ただ、俺たちは、新参なんだ。
 すぐさま将扱いってわけにもいかないだろ?
 しばらくしたら、正式な爵位が言い渡されるから、しばらく我慢してくれって、王修さんが」
「…そのようなことはどうでもいい」
「え?」
「北郷一刀、貴方は自分の立場をお忘れか。
 恩に対しては、謝儀で応えるのが我々の流儀。
 恩ある貴方がそう命じたならば、蓮華様や小蓮様の異論がない限り、私には拒否することはできない」
「あれ?えっと…それなら、その服?
 いや、でも。
 あの、丈のない上着と布の格好は勘弁してほしいんだ。ただでさえ、女性の苦手な人がいて」
「…そのようなことでもない。
 貴様…本当にわからないのか?」


209 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:50:02 ID:gnM4EhvV
 あ、と。
 思春の口調が徐々に乱暴なものに変わってきているものに、気づく。
 まずい、と思うのと同時。

「何故、私があの者と同列に扱われている」

 思春が指をさした先には、水浴びをしている恋。
 ふるふる、と頭を振って雫を落とし。

「……?」

 こっちを向いて首をかしげる。

「え、いや、そりゃ恋も一応今は俺の召使い扱いでして…」
「貴様がどう思っていようが、周囲から見たらあれは貴様の愛玩動物にしか見えん。
 百歩譲っても、貴様が手綱を握っている猛獣だ」
「そういえば、星が前にそんなことを言ってたような…。
 で、でもちょっと待ってくれって!
 何で、思春がそんな風に周りの人たちに思われてるんだ!?」

 と、そこまで言って、あることを思い出す。
 下ヒで月匣から出たときに、自分は確か、思春を抱きしめた格好で目を覚ましたような。
 確か、ソレを見て、傍にいた劉備がニヤニヤ笑っていたような。

「ま、まさか、あのおっさん!?」
「どうやら心当たりがあるようだな」
「だから待って!それは多分俺のせいじゃないっ!?
 いや、一部は俺のせいかもしれないけどっ!」
「問答無用…!!」

 迫り来る、思春の得物。

 うわー、もうだめだー、と。
 そんな幻聴を、北郷一刀は耳の奥で聞いた。

■■■

210 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:51:08 ID:gnM4EhvV
―――281年・2月中旬
―――北海付近・川辺

「人間って、丈夫なもんだな…」

 よろよろと。
 訓練用にと持出した剣を杖代わりに歩く。
 おそらく、王修や劉備と約束した会合の時間までには、政庁に戻れるだろう。

 しかし、疲労があろうが、痛みがあろうが、どうにかこうにか動けるようになれたのはいつからだったか。

 政務を抜け出し、鈴々といろんな意味で遊びまくった後で、執務室の机の上にあった大量の書簡を、軍師にこれみよがしに見せ付けられたときか。
 風呂で散々月や詠と愛し合った挙句、笑顔で深く怒りに燃えた未亡人に風呂の掃除を命じられたときか。
 翠のことをいろんな意味でからかった後で、訓練を申し込まれたときか。

「はは…思い出せないなあ…」
「やれやれ…キミはそればかりだな。
 エロスはほどほどにしておきたまえよ」
「いや、そんなつもりは…つもりは…」

 ない、とは言い切れないよな、と続けようとしたところで。
 ぼんやりと、振り返る。
 流石に、このような登場の仕方を何度もされると、慣れてくるものである。

 振り返ると、妙に色っぽい美女がいた。
 年齢は二十代半ば頃だろうか。
 とりあえず、一刀は頭に思い浮かんだ言葉をそのまま口にした。

「……ウィザード関連の方ですか?」
「ふむ…そうだな。
 確かに関係があるといえばあるか」

 やっぱりそうか、と考えながら。
 この間会った麋竺という名の男の言葉を思い出す。
 ウィザードは常識に縛られてはいけない。
 全くもってその通りだ。

「王修さんか劉備さん、呼んできます?」
「いや、私が用があるのはキミだよ」
「え?俺?」
「ああ。
 元々、色恋沙汰の願いというものは多いものだが、最近、やけに強い願いが多くてね。
 それも、一人の人間に対するものばかりだ」
「…はぁ?」


211 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:52:04 ID:gnM4EhvV
 これもウィザード特有の、常識に縛られないしゃべり方、という奴だろうか。
 首をかしげる一刀に特に注意も払わず、美女は言葉を続ける。

「あるいは、恋ですらなく、色に直結した願いも少々あったが…なに、割と珍しいことだったのでね」
「えっと、理解できないんだけど」
「キミに助言すれば他の者達も少しは困るだろうという下心もある。
 まあ、冗談と思って聞いてくれたまえ」

 何故、頷いたのかは、一刀にもわからない。
 ただ、そこはかとなく、その女性は神秘的だった。
 どこか有無を言わせぬような存在感があったのだ。

「とりあえず…寿春、濮陽、呉。
 そこからは非常に強い願いが感じられた。
 あとは、下ヒ、南皮か。それぐらいだな。
 まあ、健闘を祈る」
「いや、なんのことだか、さっぱり…」
「まだ、わからないのかね?
 キミのことを思っている少女や女性が、それだけこの世界に来ているということだ。
 全く、キミのいた世界には…」



■■■

 第四話『恋する姫が多すぎる』

■■■

212 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:52:55 ID:gnM4EhvV
―――281年2月下旬
―――北海・政庁内

「麋、探索の結果は?」
「いくらかの軍資金は手に入りました。
 といっても、雀の涙程度ですが」
「いや、ないよりかましだろう。
 で、孫。兵の方は…集まったか?」
「ああ。お前の眼に適うかはわからんがな。
 すでに北海には三万以上の兵がおる。足らんか」
「…いや、予定通りさ。
 そう多くの兵がこの短期間で集まるとは思ってない」

 劉備は言って、笑う。

 政庁の一室。
 比較的広い部屋に、孔融軍に所属する武将たちはいた。
 劉備玄徳に、孫、麋の両夫人。
 加えて、王修、北郷一刀、そして新たに加わった甘寧の6人である。

 ちなみに、武安国は兵の調練に当たっており、呂布は、いても意味がないだろうということで席をはずしていた。
 まあ、いつの間にかいなくなっていた、とも言うが。

 上座にいるはずの孔融もまた、ここにはおらず。
 代わりに、劉備が議事の進行を務めていた。

「あとは、兵の熟練か。
 その辺りはどうだ、北郷」
「見た限り、歩兵部隊は思春のおかげで、割と戦えるようにはなってると思う。
 まあ、恋と騎馬部隊は予想通りなことになっちゃってるけど。
 どう思う、思春?」

 と、一刀は隣に座っている甘寧に伺いを立てる。
 女中服を着た彼女は、いつもどおりの無表情で、呆れたのか軽蔑しているのか、よくわからない視線を一刀に返す。

「貴方がわかっていなくてどうするのです」
「実際、前もし愛紗と星にまかせきりだったしなあ」

 溜息もなし。
 是非もない…とは彼女の本当の主の口癖ではあるが、そう言わんばかりの様子で甘寧は口を開いた。

「…歩兵部隊の仕上がりは良好です。
 弩兵部隊については、攻城、野戦、共に高い練度で纏まっているといえるでしょう。
 最も、弩兵部隊は元々いた武将が有能だったのでしょうが」
「だ、そうです」
「了解…と。
 この数とある程度の練度があれば、野戦については、とんでもない化け物がでてこない限りどうにかなるか。
 悪くはないが…何せ、陶謙軍の兵は五万、張角軍の兵は四万以上…かよ。
 もう少し減らんことには、攻城は厳しいか」

 どこか、呆れた様子で劉備は地図を見る。

213 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:53:27 ID:gnM4EhvV
「陶謙軍の兵の増え方が異常ですね…やはりベール=ゼファーの力でしょうか」
「さあな。どちらにしろ、防戦を始めることから考えたことがよさそうだがね」

 眉間に皺を寄せている王修に対し、劉備は笑っている。
 ちなみに、北郷一刀といえば。
 甘寧が汲んできた茶を飲みながら、のんびりとしていた。

「先手を打って攻めるには、どうあがいても兵力不足…となれば、待つしかないかな。
 どうだろ、劉備さん」
「その通り、だな」
「だからと言って、日和っている状況ではないと思いますが」

 ちくり、と指摘する甘寧の言葉にも、さして一刀は動じない。
 というか、むしろ―――以前より、余裕があるようにも見える。

「手厳しいなあ」
「ま…のんびりするなら今のうち…という気はするがね」

 同じように、肩をすくめる劉備と一刀。
 それを見た甘寧は、眼を細める。
 また、孫夫人と麋夫人は、互いに顔を見合わせていた。

 口を開いたのは、王修。

「―――まるで、劉備さんが二人いるみたいですね」
「そうですかね?」
「そうかぁ?」

 返す言葉も、同期して。
 ほら、という王修の言葉に顔を見合わせるのも同期する。

「そっくりじゃな」
「全くですね」

 苦笑い、というか、疲れた、というか。
 そのような感じの二人の夫人の声。
 劉備は、というと。眼を伏せたまま、顔に手を当てていた。

「…そうかよ。
 ところで、北郷。
 お前さんの知り合いに…孫権、って名乗る女はいないか?」

 言葉は返さず、眼を見開く一刀。
 加えて、その横では、甘寧がその視線を鋭くする。

「寿春に偵察に行ってる文長…魏延から連絡があった。寿春に、そう名乗る女の武将がいるらしい。
 呂布奉先、甘寧候覇ときて、孫権仲謀ときたもんだからな、まさかと思って」

 その言葉を言い切る前に、甘寧が席を立つ。

「その話、詳しく聞かせてもらおう…劉備玄徳」
「ったく…血の気の多い女が多いな」
「劉備さん。俺からもお願いできますか?」
「構わんさ。もとよりそのつもりだったからな」

 ま、すぐ終わる、と。
 そう言って、劉備は懐に手を入れた。

■■■

214 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:54:09 ID:gnM4EhvV
―――281年2月下旬
―――???

「おぉい…雷薄…」
「どうした陳蘭」
「生きてるかあ…」
「どうにかな。が…流石に気が狂いそうだな。
 感覚がおかしくなってきた」
「やべぇなあ…このまま…土の中に閉じ込められて…俺たちは死ぬのか…」
「…待て、陳蘭。
 今なんて言った」
「死ぬのか…」
「その前だ」
「土の中に閉じ込められて…」
「…それだ。
 何で今まで気づかなかったんだ、俺たちは。
 いやまあ実際は石に囲まれてるわけだが…やらねえ意味はない」
「ああ…もうだめだ…」
「…チ。本当にこっちはもう駄目かもわからんな。
 いいか、陳蘭。まだ正気が残ってるなら聞け。
 お前、『アレ』を使えたはずだな?」
「アレって何だよ」
「わからねえのか。
 だからな…」

■■■

215 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 15:54:49 ID:gnM4EhvV
―――281年2月下旬
―――寿春・政庁内

「一刀!一刀なの!?
 まさか…貴方もこの世界に来てたなんて…!
 え?思春もいる?
 …思春!よかった…。穏もこの世界に来ているの?
 はぐれた?ええ、わかってる。
 とりあえず、合流しましょう…今すぐ来る?それは無理…」
「ちょっとお姉ちゃん!
 私にも替わってよ!」
「小蓮!?わ、わかっている…思春。すまないけど、一刀に替わって。
 ほら、小蓮?けれど、あまり」
「やーっほ――っ!か・ず・と!
 貴方の妻が…って何?その声?
 あー、まさかお姉ちゃんの方がよかったの?
 そんなことはない?本当?」
「小蓮!少しは落ち着きを持て!
 見ろ!魏延殿も呆れているではないか!」
「なぁにぃ〜?
 さっきまでお姉ちゃんだって一刀一刀ってはしゃいでたじゃない。
 それを棚にあげて何言ってるのよ」
「むぅっ…!?」
「一刀?うぅん、なんでもないよ。
 それで、一刀は元気だった?
 思春や呂布がいるから大丈夫?
 むむむむ…それはそれで何かやだなー」

 と、そんなことを『携帯電話』越しに話している小蓮―――孫尚香。
 彼女の姉であるところの蓮華―――孫権は、溜息をついた。

「…何がむむむか。
 すまぬ魏延殿、助かった。
 貴方のおかげで、北郷一刀と連絡をとることができた。礼を言う」
「おう。ま、大したことじゃねえって」

 やや離れた場所では、腕を組んだ青年が、穏やかな笑みを浮かべている。

「にしても、偶然に偶然が重なってよかったぜ。
 まさか、あんたたちが北郷の知り合いとはな。
 見張りに見つかったときはどうなるかと思ったけどよ。
 かばってくれて、こっちも助かった。
 しかし大丈夫か?あんたらも、一応ここじゃ結構な立場の武将じゃないのか?」
「それこそ気にするな。
 私達は、もうここにいる必要はない。
 もとより、ここの主に立てる義理などないしな」
「そうか。
 ま、俺ももう少し寿春を探してみたら、蘆江に行くか。
 孫権も知らねえんだよな?
 陳蘭と雷薄って名前の奴らなんだが」

 魏延の問いに、孫権は首を横に振る。
 そうか、と言って、魏延はいままで寄りかかっていた壁から背を離す。


216 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:01:44 ID:gnM4EhvV
「すまないな、力になれないで」
「いや、さっきも言ったろ?
 あれで十分だって…と。そういや、あんたらはこれからどうするんだ?」
「ああ…と、しばし待て。
 小蓮!いい加減にしないか!そろそろその通話機を魏延殿に返せ!」
「えー」
「えー、じゃない!」
「でも、もう一度だけ一刀がお姉ちゃんと話をしたいって言ってるよ?」
「そ、そう?それなら…」
「案外あんたも現金だな…」

 肩をかくり、と片方だけ落とす魏延。
 そして。

「全くだね。
 袁術も、人を見る眼がないよ。
 まあ、そのために僕が詰めていたんだけどサ?」

 声は、壁の向こうからした。
 空間を歪め、壁から現れるのは少年。
 黒い滑らかな素材で作られた奇怪な衣服と、マント。

「…何者!?」
「その格好…夢使い!?」
「ご名答。残念ながら、人間じゃないけどね」
「新手のエミュレイターかっ!」

 魏延は虚空に手をかざす。
 空間が開き、そこから一本の『薙刀』が現れる。

 『月衣』から己の武器を抜いた魏延に。
 自ら人間ではないと名乗った夢使いの少年は、言う。

「ふ…どうやら、ベール=ゼファーの情報は真実みたいだね。
 魔剣はどこにやったのかい、魏延文長?」

■■■

217 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:02:17 ID:gnM4EhvV
―――281年2月下旬
―――???

「プラーナの反応だと!?
 それも複数か!?」
「へっ…どうでもいいぜ。
 俺はこの一撃に全てを賭ける!
 プラーナを全て解放!
 全て魔導力の達成値に!!」
「待て、陳蘭!状況がわからねえ!
 ここはしばらく様子見を」
「待ったなしだぁっ!!
 もう宣言は終わっちまったぜぇっ!!」
「この弩阿呆!
 状況を確認してから動けといつも言ってるだろうが!」
「土よ、鉄よ、石よ!
 そこに住まう精霊たちよ!!
 我が意志に従い、その形を変えよ!
 穿つは穴、徹すは虚空!!」
「聞いちゃいねえ!?
 くっ…どうにでもなりやがれ…!!」
「くらいやがれっ…!!」

■■■

218 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:03:32 ID:gnM4EhvV
―――281年2月下旬
―――寿春・政庁内

 現れた少年の姿は、どこか、ナイトメア―――徐庶に似通っていた。
 だから夢使い、というわけでもないのだろうが。

「お前なんぞに姓名と字で呼ばれる筋合いはねえ。
 ったく、なんだってどいつもこいつも」
「じゃあ、反骨の飛竜、とでも呼ぼうか?」
「反骨って言うなっ!?」
「…やれやれ、わがままだね。
 それでは、『下がる男』、と。これで満足かい?」
「下がるって言うなあっ!?」

 叫ぶ魏延に対し、夢使いの少年は肩をすくめる。

「魔剣もない、ただの『使い』の分際で随分とえらそうな物言いだね」
「つかっ…!」
「だってそうだろう?
 己の半身である魔剣がない魔剣使いなんて、恐れるに足らず。
 たとえキミが世界を幾度も救った、高レベルのウィザードだとしてもね」

 罵詈雑言、というにもほどがあるだろう。

 魏文長の怒り、ここに極まれり。
 最早その腕は振るえ、薙刀を今にも振り出さんとするその様子に、孫権と孫尚香が何かを言おうとする前に。

 魏延の体から、急に力みが抜けた。

 瞳からは怒りが消え、かわりに宿るのは闘志。
 まるで、別人のような変化に、動きを止める、孫権と孫尚香…そして、夢使い。

「…そんなこと言っといて、後で吠え面かくなよ」

 もはや緩みも力みも消えている。
 薙刀を構え。
 魏延は近くにいる、孫権と孫尚香に呼び掛ける。

「ここは俺が引き受けた。
 あんたらは、逃げろ。
 こっからずっと北にいけば、北海って都市につく。
 そこに、北郷がいるはずだ」

 しかし、姉妹はその呼びかけを無視。
 孫権は直刀を。
 孫尚香は円形の武具を手にし、それぞれ戦の構えを取る。

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 16:04:12 ID:Bnc6Fh/x
支援。
へ、出くわしちまったぜ!

220 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:05:13 ID:gnM4EhvV
「魏延殿。
 残念だが、その言葉は聞けん」
「そーそー。恩人の危機を見捨てるわけにはいかないの。
 せっかくだから、一刀にみやげ話の一つもほしいしね」

 至極生真面目な孫権。そして、言葉だけは気楽な彼女の妹。
 立ちはだかる二人の少女に、夢使いは不快な感情も顕に顔をゆがめる。

「簡単に言ってくれるね。そんなに僕が弱くみえるかい?」
「うん」

 あっさりと。
 言って頷いたのは別の世界の孫呉の姫。

「…何?もう一度言ってくれないか?
 そんなに僕が弱く見えるのかい…?」
「うん。だって、まるっきり雑魚って感じじゃない。
 三下根性が染み出てるしぃ?」
「貴様ッ…!
 袁術が重用しているからと調子に乗って…!!
 生け捕りにしようと思っていたけど、止めだ。
 その心、悪夢で壊してやるッ…!」

 怒りに飲み込まれなかった魏延。
 片や、大した捻りもない挑発に飲み込まれた夢使い。

 結果から言えば、すでにこのとき、勝敗は見えていたのだろう。

 妹と夢使いのやり取りを聞いていた孫権は、妹にこれ見よがしに溜息をつく。

「…ふぅ。いらぬ挑発をするな、小蓮。
 それとも、これは何かの策か?」
「てへ。思わずやっちゃった」
「いくぞ、魏延文長!そして孫権仲謀、孫尚香!
 この僕の力、とくと見せてやる…!」

 美しい顔を怒りに歪める少年の姿をしたエミュレイター。

「来るぞっ!!」

 思い思いの体勢をとる魏延と、孫姉妹。

 転機はここで訪れる。
 声は、下から。
 異変もまた、下から。
 終末は、下。

 つまり。あるいはこれも、魏延文長の力、ということなのだろうか。
 彼自身に言わせれば、ただの偶然だ、と顔を真っ赤にして否定するだろう。
 とはいえ、偶然にしてはできすぎているのも事実ではあった。

『くらいやがれっ…!!
 トンネルゥウウウウウウウウウウウウウウ!!』

 叫びと同時、巨大な穴が。
 夢使いの少年と、魏延の足元に、開いた。

■■■

221 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:06:07 ID:gnM4EhvV
―――281年2月下旬
―――寿春・政庁内

 そしてこれが、結末。
 
「と、いうことがあったのよねー。
 傑作だと思わない、一刀」
『…魏延さんに同情するよ』
「あはははははは!」
『冗談じゃないんだけどね』
「うん、うん、わかってるって」
『笑いをこらえながら言われてもなあ…』
「あ、お姉ちゃんがうずうずしてるから、替わるね?」
「小蓮!…全く。
 それで、一刀?これから、どうするの?」
『ああ、もう北海から出て、そっち向かってる。
 俺と、知り合いのウィザードの人が迎えに行くよ』
「うぃ…ざーど?
 それは一体、なんなの?」
『後で説明する。
 長くなりそうだし。
 それより、状況を整理してもいいかい?』
「ええ」
『二人は、こっちの世界に来てから、袁術―――寿春を治めてる人の下で働いてたんだよな?』
「そう」
『で、給料分以上働かせられて、そろそろ袁術に我慢がならなくなったところで。
 寿春に潜入してた魏延さんに会った』
「そうだねー」
『って小蓮に替わったのか。
 まあいいや。
 魏延さんをかばった蓮華と小蓮は、話をするうちに、俺と魏延さんが会ったことがあるって知ったんだな?
 いや、俺は実際は魏延さんと話したことはないわけだけど』
「うん」
『魏延さんが、劉備さん経由で俺と連絡をとってくれて。
 で、俺と電話…“0-phone”だっけ?…で話をしてる最中にエミュレイター…まあとにかく、なんか変な格好をした男が出てきて。
 そいつと戦おうとしたら、地面に穴が開いて。
 蓮華と小蓮は巻き込まれなかったけど、魏延さんは落っこちて。
 で、落ちるときに魏延さんの持ってた薙刀がそいつにささって、その男は消えた、と』

222 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:06:44 ID:gnM4EhvV
「…ええ。
 最期に『これが下がる男の力か…』と言っていたけど、何のことだったのかしら」
『今度は蓮華ですか。
 いや、何も言わずに替わらないでね?』
「ご、ごめんなさい」
『俺も久しぶりに二人と喋れるのは嬉しいけどさ』
「だよね〜」
『だからせめて替わるときは一言欲しいなー、と思ったり思わなかったり』
「ぶーぶー!声を聞けばシャオかお姉ちゃんかなんてわかるじゃない!」
『いや、そうなんだけどね?
 こっちとしても、いろいろと事情があるんだ』
「あ、そうだ!
 実は、もう一つ、一刀にはおみやげがあるの!」
「小蓮…まさか、本気であれをやる気なの?」
『な、何?何をやる気?
 ちょっと心配なんだけど』
「だいじょーぶっ!
 ほら、黙って妻を待つのも夫の役目なんだからねっ!
 一刀はどっしり構えて、シャオ達を迎えにくればいいのっ!」
『何か所々逆のような気がするなあ…』


 楽しげに『0-phone』で想い人との会話に興じる二人。
 一方、捕らわれの身だったウィザードと、下がったウィザードは、暗い空気を纏っていた。


「と、ところで魏延様。
 俺達はこれから…」
「…お前らのこと、アンゼロットが呼んでるぜ」
「うわあああああああああああああああああ!?
 なんてこったぁ!?終わりだ!この世の終わりだぁっ!?」
「落ち着け陳蘭」
「逃げるぞ雷薄!とりあえず山賊にでもなって袁術の財宝を奪うんだ!」
「馬鹿野郎。逃げても余計状況が悪化するだけだろうが」
「…いや、俺が嘘の報告してもいいんだけどな」
「いえ、ロンギヌスのイレギュラーメンバーである魏延様にそのような手間をかけるわけには参りません」
「待てっ!?俺はロンギヌスじゃねえ!?
 いつの間にそんな肩書きができてんだ!?
「いやだーっ!?俺は逃げるー!!逃げて山賊になるー!!」
「逃げ切れる算段がありゃあそうしてもいいけどな。
 ほれ、行くぞ…それでは失礼します、魏延様」
「な、なんつーか……お前らも、大変なんだな」
「魏延様ほどではありません」

 そういいながらも、憂鬱そうな雷薄の顔は、かぶった土と同じような色をしていた。

【孫権の登用に成功しました】

■■■


223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 16:07:20 ID:jQSeOHY3
しぇん

224 :『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』:2008/07/20(日) 16:07:37 ID:gnM4EhvV

以上で投下終了です。
 …えーっと。新作が発表されたことでうかれていました。
 だからいつもより遅れました。言い訳はしません。
 とりあえず新作の一刀と雪蓮はいろんな意味で自重すべきだと思う。
 流石はち○こと小覇王。そこにしびれる、憧れるッ…!

 以上、一部の方にしかわからない、作者の喜びの雄たけびでした。

 ちなみに陳蘭と雷薄にはNW的元ネタはありません。
 三下根性溢れる夢使いについては、わかる方にはわかると思います。
 今回はここまでです。陳蘭や、蓮華と小蓮の説明などは次回でやります。

 >>前回投稿の際の質問
 袁紹のところにいる魔王は某金色の魔王だけです。他の二人は、恋姫無双の登場人物でした。
 どう考えても文章力が不足しております。

 最後に説明、というか、ちょっとネタばらしを。
 実は今、小蓮は寿春の大将なので…はい。Koei三国志をプレイ済みの方は次の展開が読めたかと。
 それでは、また。

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 16:14:56 ID:jQSeOHY3
ヘ:::::::::;;: -‐''''""( )1
 ゙、::::::::-‐''""" ̄"'i
  :V;;||:::: '~ニ=ッ, r='|  ショカツリョウ
  i!f !:::::      ゙、i  諸葛亮いわく
  i!ゝ!::::     ‐/リ
  i::/:、 :::、  /''ii'V  「ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜 #04 保管」
  ̄ハ:::::\ "''il|バ'


226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 18:09:41 ID:qvgojfFN
>>224
三国志の方、乙、であります
やっぱり俺の魏延さんはかわいいなーwww

>袁紹のところにいる魔王
あー、こちらこそ勘違いすいません
よく読んだら三人とも金髪ドリルと書いてありますねw
文章力ではなく、当方の読み込み不足ですね、回答をいただいてやっと理解しましたw
でも、あの三人は大変相性が悪そうですが袁紹、大丈夫ですか?

最後に到達するまで凄く長くなりそうな雰囲気ですが、応援してます
でも魏延さんは俺のものです

>>225
ふっ、さすがは孔明殿、なんとクールなことか
・・・でも俺の魏延さんをいじめるのはやめてね

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 20:04:54 ID:YJxY0OSt
乙ー
俺、三国志の知識はほとんどないし、恋姫無双もやってないんだが
このシリーズ楽しみなんだ・・・
つまり、GJと言いたいわけなのさっ

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 00:42:45 ID:u2oEeV/6
遅レスですがおつですー
恋姫無双はプレイして無いのでどうしても『龍帝を継ぐ者』とか『無双の戦刃』とか『鬼髭の大武勇』とかそっちのほうの三国伝が思い浮かびますw
今回の孫権は『静かなる猛虎』という二つ名があったなぁ…。

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 03:31:53 ID:xrX0nA9i
ぐーっじょぶっ! 
原作他で余り出番の無いフール様の登場&使い方に関心しました。。
他にも期待に違わず下がる魏延や、命に続いて(時系列的にはこっちが先ですが)また演出で殺されたっぽい夢使い……。
来るとわかってるのに、今回も何度も笑ってしまいました。
ところで、陳蘭と雷薄の性格が『恋姫…』の文醜と顔良に似てるのは何で……って、まあいいか。
今回は彼女達の出番は無いという事だろうな(笑)。
これからも応援いたします。

230 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:13:58 ID:N7xYbN8M
8時半に投下しようと思います。

231 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:29:17 ID:N7xYbN8M
「来いよ、銀之介え!」
オオカミが笑うと同時にオオカミから瘴気があふれ出す。
それはオオカミの動きを蝕み鈍らせる代わりに強い破壊力を与える。
「今度こそ、ぶち殺してやるぜ!」
黒い瘴気をまといながら、オオカミが吠えた!

「お願いだ。僕の中の狼…」
銀之介はゆっくりと目を閉じる。
瞳に映るのは、明るく黄色い、丸い月。
もう、恐れない。狼は飼いならせるって気づいたから。
「僕に力を貸してくれ…」
銀之介の銀の毛皮が艶を増す。そして、引きしまる。より、戦いに特化した姿へと。
「今度は僕が終わらせなきゃならないんだ…」
ゆっくりと開く、その瞳はいつもの優しい瞳では無い。
「こんな悲しいのは、もうたくさんなんだ!」
野生の獣性と狩人の理性。その2つを併せ持った瞳で。
銀之介もまた、吠えた!

「ククク…今度こそ息の根を止めてやるぞ。赤毛の悪魔…」
アラキの魔力が増大する。空に輝く紅き月が魔力を分け与えているのだ。だが。
「ふん。それはアンタの専売特許じゃないわ」
不敵に笑うサフィーの魔力も同じように増大する。
「なんだと…?」
「アタシが気付かないとでも思ったの?」
そう、空に輝く紅い月が加護を与えるのはエミュレイターだけじゃない。
「常識から外れた存在って意味じゃあ…ウィザードもエミュレイターも大して変わらない」
紅き月は等しく、加護を与える。
「アンタにできること、アタシに出来ないとは限らないって思わない?」
自らを糧とするものに等しく加護を。
「だって、アタシもアンタも…もとはこの世界の吸血鬼だったんだもの」
その小さな牙をさらすように。
サフィーが歯をむき出して、笑った。

「…一気に行くよ」
いのりが自らの相棒にプラーナを注ぎ込む。
いのりには分かっていた。長引かせれば、こっちが不利だ。
いのりはちらりとそちらを見る。今なおへたり込んでこちらをみている、自らの友を。
「ファイアーワークス…」
だったら…
「全力で焼き滅ぼせええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」
速効でブッ倒すしかない!

「銀之介君は、オオカミを、いのり君はアラキを抑えてくれ!」
的確に指示を出しながら、静は準備を始める。
「サフィーちゃんは僕と一緒に!」
移動しながら、体内でゆっくり練り上げる。
「頼む。時間を稼いでくれ!」
静は、魔術師だ。魔法を扱う専門のクラス。
全力で魔法を発動させれば。
「僕が魔法を完成させる時間を!」
その威力は、吸血鬼にだって負けないのだ!

232 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:36:14 ID:N7xYbN8M
「ぶっ壊れろ!銀之介ええええええええ!!!!!!!!!!!」
オオカミが振りかぶり、突っ込んできた銀之介に向かって、振り下ろす。
瘴気をまとった一撃。喰らえばただでは済まない。だが。
「なんだと!?」
それを銀之介はかわしてみせる。
「僕は…」
かわしきった銀之介はそのまま、オオカミに向かって蹴りを放つ。
「負けるわけにはいかない!」
その一撃は今までで最高のスピードで、オオカミを的確にとらえた!
「がふぁ!?」
内臓にまで達する一撃に、オオカミが血へどを吐く。早く、重いその一撃をオオカミの目は捉えられなかった。
「ちきしょう…てめえいつの間にそんな技を…」
オオカミが悔しそうに呟く。
それは、生まれついての狼であったが故に、狼であることに固執した男には決して到達できない領域。
狼であることを受け入れてなお人として生きる道を選び、その力を飼いならしたとき。
そうなったとき、彼らは変貌する。人も獣も超えた存在へと。
今の銀之介は、ただの狼では無い。
狼であることを超えた…人間なのだ。

「赤毛の悪魔に、死を!《ヴォーテクスランス》!」
アラキの魔法。槍のように尖った魔法がサフィーへと放たれる。だが!
「サフィーちゃん!危ない!《プリズムアップ》!」
「なめんじゃないわよ!こっちが、何の準備もなしだと思うな!《ダークバリア》!」
魔法の鎧と闇の盾。2つの防御魔法がその力の大半を奪う。
「…っつう!?よくもやったわね!」
それでも漆黒の槍はサフィーにわずかに傷を負わせる。だが、その程度では、サフィーは止まらない!
サフィーの脳が灼熱する。不可視の力のとっておきが爆発寸前の爆弾のように膨れ上がる。
「まとめて…ふっとべええええええええええええええええええ!!!!!!!!」
それを開放し、まとめて吹っ飛ばす!
「ぐがあ!?」
既に銀之介に手傷を負わせられていたオオカミが突然の追いうちに悲鳴を上げる。
「くっ!?《ダークバリア》!」
アラキの方は予想していたのだろう。サフィーと同じ、闇の盾で持って不可視の力を軽減する。
だが、それはサフィーの狙い通り。
アラキがサフィーの魔法に気を取られる瞬間、それを待っていた。
「今よ!いのり!」
この戦いの場にあってなお、サフィーは冷静だった。
「行くよファイアーワークス…思いっきりぶん殴っちゃえ!」
ファイアーワークスの丸太のように太い腕から放たれる一撃が、アラキをとらえる。
「ぐおぉ!?」
メキメキと、背骨のへし折れる音が響く。強力な再生能力を誇る吸血鬼にとっても大きなダメージだ。
「忘れんじゃないわよ。アタシらは…4人いる!全員で、あんたらをぶっ倒しに来てんのよ!」
そう、彼らは既に仲間であり、パーティーだ。4人の力を合わせたそのとき…彼らは一気に強くなる!

233 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:40:56 ID:N7xYbN8M
「ちぃ…こっちがやられっぱなしと思うなよ!」
オオカミが吠え、再び銀之介へと攻撃を仕掛ける。

ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!

攻撃の瞬間、吠え声を上げる。威嚇のための魔獣の咆哮。
それは、銀之介の動きを止め、銀之介をとらえる。

「死ねや、銀之介え!」
自らの生命力すら瘴気へと変え、ありったけを銀之介にぶち込む!
「っく!?」
攻撃を避けられないと直感した銀之介が防御姿勢からとっさに攻撃を繰り出す。
パッと。
同時に鮮血が舞った。

「ククク…残念だが…強いな…」
わずかな時間で大きな傷を負わされて、アラキは苦笑する。
目の前の連中は、強い。守り手の分まで攻撃に回しているのは、伊達じゃない。
「いいだろう。私も、命をかけてやる…」
詠唱。だが、今度はただの魔法じゃあない。
「今度こそ、葬り去ってくれる!《ヴォーテクスランス》!」
「またそれ!?そいつはアタシには…っくう!?」
2重に張られた防御魔法。それすらも貫通し、アラキの魔法はサフィーへと到達する。
「どうだ…?私は…貴様らを撲滅するためならなんだって…ごふっ!?」
アラキもまた血を吐く。

落し子である2体は、その技を共に持っている。
自らの生命力をも瘴気に変える荒技、《リバースストライク》
自らの命をも削る、捨て身の荒技である。

形成は5分と5分。このままでは、サフィーかアラキ、そして銀之介かオオカミのどちらかが力尽きる。
そしてその可能性は…体力に劣るエミュレイターでは無い2人の方が高い。
「シズク!魔法、まだなの!?」
痛みと呪いに顔を歪めながら、サフィーが静に問う。
「御免!急いでるんだけど…もう少しかかる!」
焦りながらも、静はサフィーに返した。
威力と詠唱の長さは比例する。強力な魔法には時間がかかるのだ。
「…分かったわ。もう少しね?」
「ああ、もう少しだ」
サフィーの念押しに、静が頷く。
「させん…今度はまとめて葬り去ってくれる!」
いのりの再びの攻撃を喰らい、ボロボロになってなお、アラキの狂気は止まらない。
今度の詠唱は…《ヴォーテクストライデント》
アラキは、銀之介以外の3人を同時に葬り去ろうとしていた。
「試してみるか?赤毛の悪魔。もっとも、お前の魔法では、私を止められはせんがな!」
魔法への抵抗力の高いアラキが嘲笑する。サフィーの全力の《ヴォーティカルカノン》を持ってしても、アラキは止まらない。
そのことを、サフィーは理解し…笑う。
「言ったでしょう?こっちが、何の準備もなしだって思うなって!」
サフィーは不敵な笑みのまま、それを使うことを決意した。

234 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:50:07 ID:N7xYbN8M
「シズク!後は任せたわ!」
「静さん!後は頼む!」
サフィーと銀之介の声が同時に静にかけられる。
「ああ、任せてくれ!」
静が力強く頷き、ついに魔法を完成させる。
「マユリさん…ありがたく使わせてもらいます」
サフィーや銀之介の色々を用意してもらうときに、静はそれを取り寄せていた。
ヴァンスタイン家が保有する魔法の中でも最高クラスに位置するもの。広範囲殲滅用の、高レベル魔法。

「…《ジャッジメントレイ》!」

《グレートスペル》、《ドロウルーン》、《マジックコントロール》…静の知る限りの魔術師の秘儀を詰め込んだ、静の最大の魔法。
天から降り注ぐ光の雨が、オオカミとアラキを焼いて行く。近くにいる銀之介やいのりを正確に避けて。
やがて光の雨がやんだとき。

そこには完全に致命傷を負った2体のエミュレイターの姿があった。

「勝った…だけど、やっぱりまだ終わらない、か…」
空と穴を見て、静が呟く。まだ月匣は崩れていない。
「ククク…そのとおり、先ほど言っただろう?」
致命傷を負い、崩壊が始まってなお、アラキは笑う。
敗北と滅び。今度は蘇ることは無いだろう。だがそれでも良い。
自らが主と認めた魔王は、いまだ無傷のまま。必ずこいつらと吸血鬼を滅ぼすだろう。
「私とあの男…そして…我が主が全力で貴様らを排除する、と…」
「魔王…」
アラキの言葉にサフィーが呟く。そうだった。まだ一番手ごわいのが残っている。
「その通り…そして、我が主もどうやら…準備を終えたようだ…な…」
そう、アラキが呟いた瞬間。

再び天から光の雨が降り注ぐ。今度はその場にいる全員を焼きつくすように。
…たった1人をのぞいて。

アラキとオオカミは焼きつくされ、黒こげの灰と化した。

「くぅ…みんな、大丈夫!?」
焼きつくされ、かなりの重傷を負いながら、サフィーが傷を再生しながら全員に確認する。危なかった。
とっさに《ダークバリア》を張らなければ、死んでいたかも知れない。
「僕は何とか…今のは一体…?」
持ち前の超体力で生き延びた銀之介が辺りの様子を窺うように辺りを見回す。
「ジャッジメント…レイ…まさか」
《プリズムアップ》で持ちこたえた、魔法に詳しい静が、何かに気づく。
ジャッジメントレイの射程はさほど長くない。そうそれこそ…この屋上のどこかにいないと、届かないはずだ。
「…!春美ちゃん!春美ちゃんは!?」
ファイアーワークスの《シールドフォーム》で比較的軽傷のいのりがバッと屋上の扉の方を見る。
友達の安否を確認するために。だが…

「いやあここでの戦いで安定を保つように穴を補強するのにちょっぴり時間がかかっちゃいました」
そこには、にこやかに笑う1人の少女が立っていただけだった。
「それにしても、ウィザードって案外丈夫なんですねえ…うちの魔法で、1人も倒せないなんて。あ、でも駒犬先輩はウィザードじゃあないんでしたね」
いつもと変わらぬ、いやむしろちょっぴりテンションの上がった、ぐるぐるメガネのその少女。
「ま、いいです。どのみち最後の決着は、うちがつけるつもりでしたし」
三石春美は、どこか楽しげに宣言した。

235 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:50:42 ID:N7xYbN8M
今日はここまで。
ちなみに叔父さんは普通にやったら当たらないと判断して《獣の気》で回避ジャッジをファンブルさせて当てに来てました。
そして…三石ちゃんは使徒の特殊能力《神の恩恵》を使用して、即座に行動しました。

>>195
前回は魔王級であって魔王じゃないってことでひとつ。

>>196
教師になってからは結構成長してたので、その辺を反映して大人になってます。
男前な性格は、元々です。情状酌量で下着泥棒不問にしたりしてましたし。

>>197-198
途中で中ボスを出してプラーナを回復させ、異世界人の2人も含めて追加装備の購入を認めてたのは、バランス調整のためだったりします(Lvは上がりませんでしたが)
ちなみに静の《ジャッジメントレイ》はその時に1シナリオ限りで貸出されたってことで1つ。

…ちなみに最初に春美ちゃんが撃って来るのは《スターフォールダウン》にしようかと思ってのは、秘密だw

>>200
正解です

236 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 08:53:52 ID:N7xYbN8M
って>>233と>234の間が抜けてたー!?

「行くわよ!」
月衣からそれを取り出し、投げつける。
実のところ、それは賭けだった。成功するかも分からない賭け。だが、それでもサフィーは信じる。
500年間、ピンチから何度も自分を救った、自らの強運を!
「…《ヴォーティカルカノン》!」
「ククク…結局それか!芸が無いな!《ダークバリ…ぐふぁ!?」
サフィーの《ヴォーティカルカノン》がアラキの頭上にたっしたそれを正確に貫くと同時に。
アラキが身を丸め、口元を押さえる。立っていられない。
こらえきれないほどの吐き気が襲う。油断していたため、アラキはもろにその被害を受けていた。
「ぎ、ぎざまあ…」
アラキがうめく。鼻をつまんだまま。まさかこんな隠し技にやられるとは思っていなかった。
確認するのも馬鹿らしかったので、すっぱり忘れていた。その結果が、これ。
アラキは一瞬にして行動不能へと追い込まれた。
「一番最初に、言ったわよね?」
賭けはサフィーの勝ちだった。できれば使いたくなかった、不確定な切り札。
そんなことを微塵も感じさせない口調で、楽しげにサフィーは言う。
「アタシらは…もとは“この世界の”吸血鬼だって」
シリアスな場面。だが、それを微妙にぶち壊しているものが辺りに漂っている。
「気づいたのはついさっき。ウィザードになったからって吸血鬼の特徴と弱点が完全になくなったわけじゃない。
だったらそれは…エミュレイターでも変わらないんじゃないかって思ったの」
それは、匂い。
アラキの周りには先ほどまでビニール袋の中に真空パックで入っていたそれが散乱している。
「100年単位の色々に愛と感謝を込めて、アタシからのプレゼント。気に行ってもらえたかしら?」
最大級の皮肉をこめて、サフィーが笑う。
それは田舎のお土産の定番。長野県、飯波市で育った大根を使った、こだわりの逸品。
「これって…」
アラキの近くにいたいのりがちょっぴりぼ〜ぜんとして呟く。彼女もその被害を受けてはいたが、特に問題は無い。服がちょっぴりばっちくなっただけだ。
大好きってわけじゃないけど、嫌いでもない匂い。ってか、冷蔵庫の中に普通に入ってるし。だってそれは和食の定番。
「たくわん?」
黄色い大根だったのだから。

「アラキの野郎何やってやがんだ!?」
突然悶絶しだしたアラキに毒づきながら、オオカミが構える。
オオカミの人間の数万倍はある嗅覚は正確にそれがなんであるかを嗅ぎとっていた。
だから余計に理解できなかった。なんでアラキがあそこまで悶絶しているのかを。
「しかたねえ!まずはてめえだけでも仕留めるぜ!銀之介えええええ!!!!!!!!」
もはや余裕は無い。オオカミは持てるすべての力を使い、目の前の狼を狩ることを決意する。
「くぅ…こうなったら!」
銀之介は迎撃の態勢をとった。一か八か、やってみるしか無い!
「死ねや…ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
咆哮と共に突っ込んで来たオオカミに再び身がすくむ。
「くっ…ダメか…」
動けない。これでは…無理だ。
こうなったら耐えるしか無いと、銀之介が身を固くした、その瞬間だった。
カッ!
銀之介のポケットが一瞬光る。その瞬間。
「動ける!?これなら…」
すくんでいた身が嘘のように軽くなる。
「いける!」
銀之介が目の前のオオカミを見据え、紙一重で攻撃をかわす。そして…
ザシュッ!
銀之介の爪が返す刀でオオカミの腹を切り裂く。
「ぐおお!?なんでアレがかわせる!?」
理解できない事態にオオカミが混乱の声を上げた。

一方その頃。
銀之介のポケットの中では今回の役目を終えた幸福の宝石が輝きを失っていた。

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 09:50:34 ID:jzUhYU5V
魔法先生の人乙です。

なるほど獣の気に対して幸運の宝石を使うって選択肢があったのか…
作品の面白さもさることながらこういった面白いルールの使い方は
お見事です。

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 12:29:58 ID:KWVLQzyR
GJです。
でも、でも、でも、一番大切な>>236が抜けてるうううううううううううう!!!!!

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 20:41:16 ID:KPrQH9XU
大丈夫、保管庫の人なら…保管庫の人ならきっと何とかしてくれる!

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 21:07:38 ID:kV5LNNhr
じゃあやってこよう。

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/21(月) 21:22:02 ID:kV5LNNhr
                 __
             ,.、 ' ´  ヽ ` ' - 、
              / ´     ,'  / ´   ヽ
              , '/  ,'   l――- 、  ヽ ',
           _L,'   .!   ll!     ヽr‐‐ 、
          l l   l」-― l l!  -―- 、 ゝ、 ノ   保管
         ゝ '、/ !l!_Vニ゙    ,ィェ、 `l  ヾ、
          〈  ヽl! 〈 l ;; !     !゙;; lヽ├、 /   まほうせんせいと赤毛の悪魔 #21
          ヽ/!`゙,_.r ゙ー゙r−, −. ''゙ 、┤ レ'゙
            | ヽ._',ゝ .ノ .____. ゝ ノノ-'゙ l
             l   ヽ、        /   .l
             l      >‐ - イ.、    .l
.            l   , r ‐、l ゙ >v<゙ l.ー- 、 l
.             l  /    .ト、/'リi|ヽ/     ヽ.!
            l  l     l レ'||ヽル!     l l

使えそうなAAなかったんで適当に貼る

242 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/21(月) 21:50:05 ID:N7xYbN8M
>>240-241
ありがとうございます。ちなみにこの調子なら、明日にはもう1本いけそうです。
休日って素晴らしい。

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 12:14:56 ID:57QMxu10
GJです!やっぱり春美ちゃんは魔王でしたか
実はクロス先の僕月にいないキャラなんで怪しいかなあと思ったのですが
…違ってたら自分のシナリオで使おうかと思ってました
情報収集判定でいくつ出せばわかったんでしょうか(笑)?

244 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 18:41:26 ID:jiS1h0Sk
7時になったら投下します。

245 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 19:00:05 ID:jiS1h0Sk
「な、なんで…」
春美の様子にいのりが声を絞り出して、問う。それに春美は笑顔のまま、答えた。
「いのりさん、ひとついいことを教えてあげます」
トレードマークのぐるぐるメガネの下に隠された瞳はうかがい知れない。
「三石春美って言う人間は、最初から存在しなかったんですよ」
春美の言葉に、いのりがビクッと体を震わせる。
「知ってます?この街って吸血鬼と人狼が住んでたせいか常識の壁がとっても薄いんです。裏界と繋ぐのにはもってこい。
特にこの学校は完璧ですね。この街でも特に繋ぎやすい。古い血筋の吸血鬼が2人もここで死んでて、狼人間が通ってたお陰ですかね?
だから潜りこんだんですよ。この学校の生徒として」
もっとも半ばこの学校の守護霊と化していた方を黙らせるのに半年くらいかかっちゃいましたけどと何気なく言う少女を見て、銀之介の尻尾がきゅっと巻き込まれる。
いつの間にか、様々なことをわめいていた銀之介の中の狼の声がたった1種類に統一されていた、すなわち、今すぐ全力で逃げ出せ、と。
「それにちょうどいい彷徨える魂も拾えましたし。本当、蘇らせてちょっと力を与えるだけで、あれだけ強くなるんですから。本当にお得でした」
サフィーは知らず知らずのうちに唇を噛みしめる。やはり目の前のコイツが…
「あ、そうだ。忘れてました。新聞部の春美ちゃんは偽物だったんだから、お教えしとかなきゃ駄目ですよね」
そう言うと春美はゆっくりとメガネを外した。その下に隠されていた瞳があらわになる。
見た目だけなら、ごく普通の可愛い女の子。だが、同時に開放された魔力の量に気づいて静は驚かされた。
強すぎる。魔王の名前は、伊達じゃない。
「改めて自己紹介…させてもらうで?」
クシャッと。
手にしたメガネが握りつぶされる。女の子とは思えないほどの握力。当然だ。彼女は…人間じゃないのだから。
「うちの名は、ファルファルロウ。裏界で男爵やっとる。まあ、平たく言うと…魔王って奴や」
宣言と同時に今まで秘められてきたとんでもない量のプラーナが解放される。
2体のエミュレイターを遙かに凌駕する量のプラーナに、全員が身をすくめる。
あるものは経験で、またあるものは本能で感じ取っていた。

目の前の存在は…女の子なんかじゃない。あの2人よりさらに恐ろしい何かだ、と。

「最初はカミーユはんがなんや面白いことやっとる言うから見に来ただけだったんやけどなあ…」
おかっぱ頭を結いあげてポニーテールにしながらどこか嬉しそうにファルファルロウが語り出す。
「プラーナは豊富。世界結界は無し。ウィザード級の連中がごろごろおるから遊び相手にも困らん。ほんま、ええところや」
カミーユが狙ったのも分かる。良質なプラーナを求めるのならば、これ以上好条件の世界も無いだろう。
特に、公爵より下の、プラーナが切実に必要なエミュレイターにとっては。
「もともとうちは領地とかにはあんまし興味が無い方なんやけどなあ…」
爵位や領地にこだわりは無い。だからこそ、男爵に甘んじていた。
面白いことを見に行けるだけの写し身と力があれば充分。そう考えていたから。
「この世界の連中と、裏界の連中つぶさせあったらホンマおもろい記事になると思たら、我慢できへんかったわ」
この世界にはまだまだ面白い連中がたくさん潜んでいる。そう、ファルファルロウは確信していた。
「せやからな、まずは飛び地作ることにしたんや。いうなればファルファルロウ領、飯波支局ってところやな」
そのために、邪魔な奴らには退場してもらう。
「ちゅうわけで、あんたらには、ここで消えてもらうで?」
紅き月の光が濃さを増す。世界が紅で塗りつぶされる。
「さ、はじめよか」
何気ない口調で、飯波高校の制服に身を包んだ魔王、ファルファルロウが戦いの始まりを宣言した。


246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 19:06:13 ID:57QMxu10
おお〜リアルタイムに出くわすとは
支援

247 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 19:07:24 ID:jiS1h0Sk
「まずは二手に分かれて!僕とサフィーちゃんが下がるから2人は春美ちゃん…いや、ファルファルロウの方へ!」
このまま固まっていては《ジャッジメントレイ》の格好の的。そう判断し、静が指示をだす。
「ほお…やっぱ腐ってもウィザードやな。なかなかの司令塔っぷりやで」
それを見てもファルファルロウの余裕は崩れない。そうなることは予測済みだ。
伊達に魔王は名乗っていない。
「春美ちゃん…どうして」
ファルファルロウに迫ったいのりが悲しげに呟く。友達だと思っていた。それを最悪の形で裏切られた。
だが、そんないのりをファルファルロウはへっと鼻で笑った。
「きまっとるやん。裏切られて絶望した人間のプラーナはな。最高にうまいんや。ウィザードなら余計にな。
1ヶ月前からわくわくしとったで。いつばらしたろかってな。ばらしたらええ顔みしてくれるやろうから。
…ほんま、期待通りの顔やで?今の自分」
けらけらと笑う。
「さ、今度はうちと遊ぶ時間や。力の限りを尽くして敵わなかったときの絶望したウィザードの顔、みしてくれ」
その笑顔のまま、ファルファルロウはいのりに言った。
「まずはあんたらが先でええで?」
プラーナを開放し、行動力を底上げするのを見て、ファルファルロウが不敵に笑う。
別に早く動く必要は無い。後攻でも問題なし。そう、彼女の瞳は語っていた。
「う、うおおおおおお!!!!!!!!!!」
迫りくる恐怖を必死に抑え込んで銀之介がファルファルロウに全力で襲いかかる。
狼人間の超再生能力で回復したお陰か、動きにダメージは感じられない。
銀之介は悟っていた。目の前の魔王は…手加減とか考えていい相手じゃない!
「春美ちゃん…いや、魔王ファルファルロウ!行くよ!」
一方のいのりにはまだ迷いがある。魔物と魔物使いは一心同体。主の動揺が、ファイアーワークスの攻撃を鈍らせている。
銀之介といのりの同時攻撃!だが、ファルファルロウは動じない。
「…《ヴァニシング》」
光の結界を展開し、その攻撃の大半を減衰させる。
「くっ…」
「嘘!?」
並みのエミュレイターなら一瞬で消滅するほどの連携。だがそれはファルファルロウにわずかなダメージを与えるにとどまった。
「甘いで。この程度じゃあ、うちは倒せん。ちなみに…」
「《ヴォーティカルカノン》!」
「《ヴォーティカルショット》!」
たたみかけるように放たれた魔法の守りを貫通する特性を持つ虚の魔法にも動じない。
虚無の弾丸がファルファルロウの身体を貫く。人間ならばかなりのダメージ。だが、元よりプラーナの塊である写し身には大したダメージとはならない。
「使徒の魔法防御と魔王の体力、なめたらあかんで?」
その攻撃でも、ファルファルロウには有効な一撃とはならない。
「くっ…《ドロウルーン》で目いっぱい強化して、この程度か…」
「硬すぎる…」
静とサフィーが悔しそうに呟く。
「さ、お次はこちらの番や」
そう宣言すると同時にファルファルロウの手の中に、闇が発生する。
「まずは、前衛からや…《ダークフォール》!」
ファルファルロウの言葉と共に、漆黒の闇が広がっていのりと銀之介を飲み込む。
「ぐうう!?」
「きゃああ!?」
闇の魔力が取り込まれた2人の体力を容赦なく奪っていく。
その闇が消えたとき。
2人はひざをついていた。
「く…これは…」
「何これ…」
2人が身体に違和感を覚える。身体が重い。力が出ない。
「こんなの…勝てないよ…」
いのりの心が折れそうになる。強すぎる。
ファルファルロウの力はかつて戦った夢を喰らうものを遙かに凌駕している。
確かな死の予感。それは16歳になったばかりの少女には、ひどく重いものだった。


248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 19:07:53 ID:HGXnYDFf
リアルタイム支援〜

249 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 19:11:04 ID:jiS1h0Sk
「くそ!負ける…もんかあー!」
一方の銀之介の心は、いまだ折れてはいない。
心を奮い立たせて再び襲いかかる。
銀之介は、今までで最高に…怒っていた。
守りたい人がいる、大事な思い出のたくさんつまったこの街をくれてやるわけにはいかない。
自分勝手な理由で魔王なんかの好きにはさせない!
1撃目は、ファルファルロウの結界に阻まれた。だけど。
「僕には…守りたい人がいる!絶対に守って見せる!」
大声で宣言する。そこでへたりこんだいのりにも聞こえるように。
無茶するな!死ぬぞ!逃げろ!と叫ぶ自分の中の狼を黙らせるために!
「喰らええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」
無理な動きに傷を負った身体から血が噴き出す。だが、気にしない。痛くない。
痛がってる暇があったら…全力で攻撃しなくちゃならない!
ズバンッ!
間髪入れず放った2発目。銀之介の爪がファルファルロウの結界をも貫きその身体に深い爪痕を刻み込む!
「くぅ!?」
ファルファルロウの顔が初めて苦痛に歪む。
とっさにいのりの方を見る。畳みかけられたら…ちょっとだけやばい!
だが、いのりは俯いたまま動かない。
「残念やったな…うちを倒すには…まだまだ足りん…まとめて消えろや!」
にやりと笑って高速で詠唱。目標は前の2人にあの魔術師!
「《ヴォーテックス…トライデント》ー!!!!」
ファルファルロウの放つ闇の三叉槍が銀之介といのり、そして静を襲う。
爆発するように、一瞬紅き世界を黒い闇がおおった。

「はぁはぁ…どうや…」
わずかに肩で息をしながらファルファルロウは辺りを確認する。
静の方はボロボロになりながら、辛うじて立っていると言う様子だ。
どうやら防御魔法とプラーナを駆使してぎりぎり生き延びたらしい。
銀之介の方は地面に倒れ伏している。わずかに息があるのを見ると、死んではいないのだろう。
だが、すでに限界を超えているのは明らかだ。立ちあがるだけの余力は、ない。
「これで、1人。あとは…!?」
銀之介の戦闘不能を確認して、残りの1人を見たファルファルロウが目を見開く。

そこには、いのりが立っていた。
酷いありさまだ。全身傷だらけ。恐らく、ほんの少し小突かれただけで、いのりは昏倒するだろう。
だが、ファルファルロウが驚いたのは…いのりの瞳。
立ち上がったいのりの瞳は…死んでいない。
「さっき…攻撃…しなかったのは…」
ゆっくりと、いのりがファルファルロウに言う。
「こうなるの…待ってたから…」
銀之介の叫びはいのりの心に確かに届いていた。
「あたしも…おんなじ…」
京介、ねがい、静、輝明学園にいるみんな。
「いっけえ…」
ここで負けたら、2度と会えない。そんなの、嫌だ。
「ファイアー…ワークス…」
だからこそ、いのりは選んだ。捨て身の賭けを。
「全てを…」
自らの命すらも魔物に分け与え、最大最強の一撃を放つことを!
「焼き滅ぼしちゃえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
主の命令を受けて、ファイアーワークスが己が全てを攻撃力へと変換してファルファルロウへと突撃する。
赤を超えた白。数万度に達してプラズマと化したファイアーワークスは、ファルファルロウの防御結界を易々と貫く。
そしてその肉体がファルファルロウへと達した瞬間。
ファイアーワークスは、盛大にその熱量を吐き出し、爆発させた!


250 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 19:15:41 ID:jiS1h0Sk
「どう…なったの?」
爆炎に包まれて様子が分からない。頭が朦朧とする。
いのりは自らのプラーナを限界まで使い切っていた。
「勝った…の?」
確認するように、おずおずとさっきまでファルファルロウのいた方へと手を伸ばす。
その、瞬間だった。
ガシッ!
力強くその手がつかまれ、いのりがビクッと痙攣する。
「そんなに…怖がらないでくださいよ…」
「い、いや…」
空っぽになった心に、恐怖が注ぎ込まれる。
ありえない。だって、あたしは全部つぎこんだもの。あれで死なないなんて…
「ほら…もっとよく見せてください…」
正真正銘の化け物じゃないか。
「私…言ったじゃないですか」
確かに大きなダメージを与えてはいた。制服だって原型をとどめないくらいボロボロだし、体中に血の流れない傷が刻まれてる。
だけど、それでも…
「力の限りを尽くして敵わなかったときの絶望したウィザードの顔…見せてくださいねって」
魔王は、生きていた。
「いやああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
いのりの恐怖の絶叫が響き渡った。
その場にへたりこんでしまったいのりに、ファルファルロウはそっと耳を寄せた。
「いのりさん…ちょっとだけ、待っててくださいね」
ビクリと、いのりが身体を震わせる。
「いのりさん以外、ぜ〜んぶ殺したら、選ばせてあげますから」
天使のように慈愛に満ちた笑みで、ファルファルロウは囁く。
「私の落し子になるか、ここで仲良く死ぬか…いのりさんは友達だから…特別ですよ?」
悪魔の囁きを。

251 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 19:22:20 ID:jiS1h0Sk

「さてと…あとは、あんたらだけやな」
うつろな目のままへたりこんでいるいのりの様子を見て、ファルファルロウは立ち上がり、残った2人の方を見る。
「せっかくだから教えといたるわ。うちは次に《ジャッジメントレイ》でアンタらを焼きつくす。
止めようとしても無駄やで?うちの魔法の方が…あんたらより速い」
それは、残念ながら事実だった。2人の魔法より、ファルファルロウの魔法の方が速い。
そしてその魔法は…2人同時に焼きつくすのには十分過ぎるほどの威力がある。
「さ、終わりにしよか…」
ファルファルロウの魔法が詠唱される。
「…サフィーちゃん」
「何よ」
苦渋に歪んだ顔で、静がサフィーに話しかける。
「僕にはもう、あいつに対抗する手段は、1つしか思いつかなかった」
「…奇遇ね。アタシも色々考えたんだけど、こっからの逆転の手は1つしか思いつかなかったわ」
そう、戦局判断に長けた2人は同じ結論に達していた。
すなわち《ジャッジメントレイ》に耐え抜いてからの反撃。
銀之介といのりのお陰で崩壊寸前の今のファルファルロウなら、あと1撃で、ぎりぎり倒せるかもしれない。そのためには…1人だけ生き残ればいい、と。
「…ちなみに僕は、サフィーちゃんの方が可能性が高いって思うよ」
《ジャッジメントレイ》は広範囲をなぎ払う魔法。単体を相手にするのなら《ヴォーティカルカノン》の方が、強い。
「…いいの?」
「構わないさ」
2人とも、既にボロボロだ。防御魔法くらいでは耐えられない。片方を生き残らせるには…もう1人が捨て身で受けきるしか無い。
「僕は…ヴァンスタインの人間だ」
全滅するか、1人で済ませるかだったら、考えるまでも無い。
それに…と、静は考える。
「サフィーちゃんが死んだら、悲しむ人がいるだろう?だけど、僕らは…ヴァンスタインはそんなでも無い」
魔術師の名門として星の数ほどウィザードを輩出してきたヴァンスタイン家では、様々な任務、使命で命を落とすのは良くあることに過ぎない。
そういう家なのだ。ウィザードの名門ってやつは。
「だからさ…サフィーちゃんには僕の分まで生きて欲しいんだ。サフィーちゃんには、まだまだ沢山、楽しいことが待ってるはずだから」
そう、静は言って笑う。邪気も何も無い満面の笑顔。すべてを諦めた…悲壮な決意のにじみ出た笑顔。
それを見てサフィーの決心は、完全に固まった。
「分かったわ…」
「…そっか。ありがとう」
サフィーが頷いたのを確認し、再びファルファルロウの方を向く。
「…で、お別れの挨拶は終わったんか?」
不敵な笑みでファルファルロウが聞く。それに静はあえて頷いた。
「ああ…いつでも来いよ。クソ魔王!」
「…よう吠えた!こいつでしまいや!《ジャッジメントレイ》ー!!!!!!!!!!!」
天に無数の光点が刻まれ、それが急速に大きくなる。
それをメガネに反射させながら静はサフィーをおおうように仁王立ちし…
ガシッ
「え?」
足をつかまれて。
「うわあー!?」
真後ろに投げ飛ばされた。
「サフィーちゃん!?何考えてるんだ!?」
「覚えときなさい。女は、嘘つきなの。いつだって、必要な嘘なら平気でつけるものよ」
静の位置からはサフィーの顔は見えない。サフィーも振り向かない。
「それと…もう一つ」
迫りくる光に臆することなく、ゆっくりと右手をファルファルロウに向ける。
「アタシはね…50年も生きてないようながきんちょに捨て身で命を救われる趣味はないの」
雄々しく、揺らぐことなく、サフィーはただ立つ。
「そんなのは…」
最後は、優しい声で。まるで我が子を守ろうとする母親のように。
「1回だけで十分よ」
「サフィーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
静の絶叫は。
空から降り注ぐ光にかき消された。

252 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/22(火) 19:23:00 ID:jiS1h0Sk
今日はここまで。
ちなみにサフィーの行動はルール的には[かばう]です。当然ながら通常の2倍の実ダメージが適用されます。

>>237
幸運の宝石のうまい使い方って考えてみました。SSだとダイス目に言及するのもあれなんで

>>238
痛恨のミスでしたね。一番力入れてた部分だけにorz

>>243
春美ちゃん方面の伏線はSSでは薄くしてました。前回がいきなりバレバレにしてた分ってことで。
ちなみに伏線は

・クロス先にはいない存在だってこと
・アラキと同じ魔導書を“春美が”見つけ出したと言うこと
・魔界を追放された悪魔の正体を見破ってさらにインタビューを取って来たこと

あたりでしょうか(最後は阿智太郎カルトクイズ最高難易度級だったりしますがw)

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 20:15:11 ID:uguRfRzQ
まほうせんせいの人乙。わーい、まんまと春美ちゃんに騙されたw
しかしみんな格好いいなぁ。ファルファルロウも良い味出てるし。
でもね、どーしても一つだけ。正体を明かし眼鏡を握りつぶす。確かに悪くない演出です。
が、ファルファルロウ自身も眼鏡かけてるのよねぇwまさかの眼鏡on眼鏡。

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 20:26:55 ID:h+lO1MpL
明らかに握りつぶしたと思ったら形が変わってるだけなんですよ、きっと

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 21:26:24 ID:sDFeb9+t
無駄にリールゥだったか、上月司のアレを思い出したぜ……。
一番身近に潜むどんでん返し、いいね!!

しかし、ファイナルアタックに耐えるか、ファルファルロゥ……(汗

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/22(火) 23:27:59 ID:HGXnYDFf
ファル美ちゃんに見事にだーまーさーれーたー!
阿智作品の未読の奴に出てたのかなとか思っちゃった。
 
いのりはまだ気絶状態じゃないのか。いのり頑張れ頑張れいのり。
大事な人達の事を思い出して今一度立ち上がれ。
 
・・・まあその大事な人達は
「京介くんとずっと一緒にいられますように」とか幸せ絶頂のはずだけどね!
(『はじめてのおふかい』)

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/23(水) 00:57:28 ID:e5XrDNE3
京介への思いを断ち切って立ち上がればおk。
具体的には、京介のロイスをタイt(ry

【ゲームが違います】


あ、ぐっじょぶです。

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/23(水) 13:49:51 ID:kpu55D1k
とりあえず、晴美のロイスからじゃね?

…次は静かな。

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/23(水) 13:55:30 ID:Sr/vj6t1
いくら卓ゲ民が多いからってさすがに板の場所忘れて他ゲーの話するのはマナー的にどうかと……

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/23(水) 23:59:55 ID:xhMYIL2f
いっそ卓ゲ版に「柊蓮司を他ゲー世界にコンバートして召喚するスレ」でも立てちゃえよ

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 00:01:20 ID:fgeTHcEu
それはまた荒れそうな話題だなあw

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 00:45:34 ID:fH3MAmCt
そういえば、レンタルマギカとのクロスって、ありそうでなかったなぁ。
わりと相性良さそうだ。世界観的にも、キャラ的にも。

仕事に追われて学校に満足に行けないことを愚痴りあう柊といつき
鈍い男の話で盛り上がるくれはと穂波とアディ
お茶とか調理の話で話が弾むエリスと黒羽
無邪気にじゃれてくるみかんに満更でもない灯
特に会話はないけどなんか通じてるロンギヌス00とユーダイクス
フンドシ一丁になって筋肉で語り合うグィードと猫屋敷と隻蓮

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 01:36:59 ID:hB1CClxS
>262
穂波の中の人的にも、原作者的にもな

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 02:07:05 ID:DeyjvHEF
つまりドラ子が特異点の力でレンタルマギカの連中を柊の元に連れてくるんだな!

そして舞台は世界滅亡の危機にさらされているレネゲイティアへ……おや?なにやら外からドラゴンの羽ばたきがきry

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 10:54:08 ID:qwkHuiSu
>259
だって、柊だし。

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 12:43:31 ID:Grj1sjG4
>>265は面白い事を言ったつもりなのかな・・・

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 12:44:43 ID:dufVL4kJ
理由にもなってねーしなぁ…とりあえず自重しろ

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 15:36:56 ID:j+RB/Sh8
ファージアースのアメリカ合衆国大統領がメタルウルフカオスの
第47代アメリカ合衆国大統領マイケル・ウィルソンだったなら。
月衣に武器を格納したり、小さな奇跡を使ってるしウィザードですよね。

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 18:17:57 ID:NVoaTFyn
つまり、DXリプとのクロスを書けば問題ないんだよな!
……いや、ルール談議がしたいわけじゃなくてたんに書きたいだけなわけだが

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 18:20:05 ID:fgeTHcEu
だったら書くしかないじゃないか!!

271 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 19:51:35 ID:zngKiLpi
8時から投下します。

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 19:56:12 ID:fgeTHcEu
プラーナを高めて支援

273 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 20:00:22 ID:zngKiLpi
静寂が、訪れる。
紅き世界で、喋るものはただ1人。
「いやあ。本当に楽しめたわ」
ファルファルロウがどこか嬉しそうに言う。
ゆっくりと、崩壊を始めた月匣の中で。
「大公はんがなんだってあんなに世界侵略が好きなんか、ちょっと分かった気がする」
ルーラーを失い、月匣が崩れ去るのに連動して、裏界の穴も小さくなって消滅する。
それを気にも留めずファルファルロウはその手を胸元へと持って行く。
「負けるのも…意外と楽しいもんなんやな」
完全に、いっそすがすがしい位なにも無くなった胸の穴へと。
「まさか最後の最後で、あんな隠し玉出てくるとは思わんかった」
そちらを見る。その…光で焼きつくされ、全身が焼け焦げた吸血鬼の方を。
「まったく、とんでもない適応能力やな…」
ファー・ジ・アースの吸血鬼の中にすら、その使い手は少ない。
使えるとしたら、そいつは気が遠くなるほど長生きした吸血鬼か、血反吐を吐きまくって戦い続けてきた吸血鬼だけだ。
「ええやろ。この告発者ファルファルロウが認めたる」
死に瀕したとき、人間はとんでもない力を引き出すことができる。
それは…元は人間だった吸血鬼でも同じこと。
「アンタの最後の一撃。最高やったで」
吸血鬼の最後の必殺技に対してそう、言い残し。
月匣と共にファルファルロウはこの世界から消滅した。


274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 20:03:44 ID:aMGlapPV
支援

275 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 20:04:11 ID:zngKiLpi
「サフィー!」
静が駆け寄り、小さな身体を抱きかかえる。
「なんだって、こんな真似…」
その身体は軽かった。悲しくなるほど。
「…うっさいわね。さっき言ったじゃない…」
「サフィーちゃん!?」
抱きかかえられたまま、サフィーがうっすらと目を開く。
「あんな目にあうのは…1回で…十分よ」
温かい。生きてる人間の腕だ。
その腕の感触が酷く懐かしくて泣きそうになりながら、サフィーがささやくように言う。
(死ぬときには今までの思い出が全部蘇るって言うけど…)
もう助からないことを自覚しながらサフィーは回転が止まりそうな頭でぼんやりと考える。
(嘘だったのね、あれ)
思い出されるのは最近のできごとばかりだ。あの、クリスマスの夜より後ばかり。楽しかった思い出ばかりだ。
(ま、いいか…ん?)
顔に生温かい感触を感じる。唇から入ったそれは…しょっぱい。
「もう…そんなに、泣かないの」
そう言いながら静の涙をぬぐおうと小さな右手を上げた瞬間…その右手が土くれに返って崩れ去る。
「ちぇ…もうちょっとくらい気を…きかせろっての。だらしのない…身体」
今度は足。くるぶしより下が無くなる。
「しょうがない…1回しか…言わないわ」
今度は左手。時間はそんなに無さそうだ。そう悟ったサフィーが目の前で泣く少年に伝える。
「ありがと。あんたのお陰で、結構楽しかったわ。じゃあ…さよなら…」
そう言うとサフィーはゆっくりと目を閉じて。
動かなくなった。

「せんせい…」
「静さん…」
我に帰ったいのりと目を覚ました銀之介がサフィーを抱きかかえたままの静に声をかける。
何を言っていいのか、2人には分からなかった。ただ、静のどうしようもない悲しみだけが伝わってくる。
沈黙が、再び訪れる。ただ、ボロボロと少女の肉体が崩壊して、土くれに帰って行く音だけが辺りに響く。
「あんなのは…1回で十分…」
それを破ったのは…静の言葉だった。
「奇遇だね。僕もさ」
ギリッと唇を噛みしめる。唇から血が流れおちる。
「目の前で、女の子を助けられないで終わり…そしてずっと後悔し続ける」
体内に残ったプラーナをかき集める。
「そんなのは…1回で十分だ!」
うまくいく可能性がどれだけあるのかは分からない。
「だから…」
だから、ただ信じる。信じてやる。目の前の女の子の悪運の強さを!
「帰って来い!サフィー!」
そう、静は叫んで。
サフィーの唇に自らの唇を重ねた。


276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 20:05:26 ID:fgeTHcEu
そーいやOPで助けられなかったっけ支援

277 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 20:06:44 ID:zngKiLpi


(どこよ?ここ…)
気がつくと、サフィーは川べりにたっていた。辺りには無数の花が咲いている。
(確かアタシは魔法で焼かれて…)
いつの間にやら傷どころか服の破れすら無くなっている。不可思議な現象に首をかしげる。
(何がど〜なって…)
「サファイア」
声をかけられて、サフィーの体がピクッと反応する。その声には聞き覚えがある。
サフィーの知る限り、ありえないはずの声。とっくの昔に、死んだはずの奴の声。
「…なんでアンタがここにいんのよ」
不機嫌な顔で顔を上げる。
川の向こうには一人の男が立っていた。背の高い壮年の男。ロマンスグレーの髪と異様に悪い顔色と黒い服。そしてとどめに黒マント。
どっからどう見てもあれ以外には見えないその男。
「クソ親父…」
「相変わらず元気そうで何よりだよ。サファイア」
老齢吸血鬼、フロイデッドは相変わらずの自らの娘にちょっとだけ苦い微笑みを返した。

「ここはな、いわゆる…あの世とこの世の境目って奴らしい」
フロイがサフィーに語りかける。
「…そう」
それを聞いて、サフィーはむしろ冷静さを取り戻した。
胡散臭いが、本当ならば逆に色々と説明がつく。
まったく覚えのない場所に傷一つ無い身体、そして、とっくの昔に死んだはずの男。
そう言えば普段なら非常にゆっくりとだが確実に動いているはずのものの鼓動がまったく感じられない。
どうやら今のサフィーは…
「…そういや昔トナが言ってたっけ。死ぬと川が見えるとかどうとか」
「その通り。ここはそう言う場所だ」
サフィーの考えをフロイが深く頷いて肯定する。
「そう。じゃあやっぱりアタシは…」
冷静に考えればむしろ当然だ。あれだけのダメージを受けて生き伸びれるほど化け物だった覚えは無いし、実際肉体の崩壊だって始まっていた。
あそこから蘇れる吸血鬼なんて…サフィーの記憶にある限りでは、いやしない。
「あ〜あ…とうとうアタシも終わりか」
「不満かね?」
溜息をついて呟いた言葉に、フロイが聞き返す。
「う〜ん、そうね…」
その言葉にサフィーは今までの人生を振り返って。
「…まあ、いいわ」
そう、結論した。
「本当だったらあの時に死んでたはずだから、6年分得したって思う事にする。今さらあっちに未練も無いし、ね」
微笑んで、言う。
だが、その言葉に、フロイはむしろ意外そうな顔をする。
「…そ、そうなのか?」
「何よその顔は?」
その顔に不満を隠そうともせずサフィーが問い返す。
「別に迎えとかそ〜ゆ〜つもりじゃあ無かったんだが」
う〜んと考え込んでしまう。まさか娘がここまで覚悟してるとは思わなかった。
「は?じゃあど〜ゆ〜つもりだったのよ」
怪訝そうに問い返す。迎えじゃなかったら、なんなのだ。
その言葉に、フロイはこう答えた。
「いやなに。ちょっとだけ、話をしておきたい、そう思ってな」
「話?なんの?」
「ああ、話だ」
そう言って、フロイはその言葉を口にする。


278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 20:08:55 ID:aMGlapPV
支援

279 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 20:09:20 ID:zngKiLpi
「おめでとう。サフィー」

「は?」
意味が分からないと言った顔のサフィーを気にも留めず語り続ける。
「実はね。少しだけ後悔していたんだよ。お前を、幼いままの姿で吸血鬼にしてしまったこと。
あのままくたばるよりはマシかも知れんが、その姿では永遠を共に過ごすものを得るにはあまりに不利だ、とね」
「…いいわよ。もう。その話は」
苦虫をかみつぶしたような顔でサフィーが言う。
サフィーだって考えなかったわけじゃあない。むしろ何度も考えたし、フロイを恨んだことだってある。
自分が、あと10歳年を取ってから吸血鬼になっていたら、もう少しましだったんじゃないかって。
永遠の7歳は、男女の愛を育むには、あんまし向いていない。
「だが、その心配はどうやら無用だったようで、安心したよ。流石は我が娘だ」
「ちょっと、ど〜ゆ〜意味よ?」
「なかなか知的な好青年じゃないか。少し胡散臭いがそれもまた、味のうちだ」
「だから、ど〜ゆ〜意味かって聞いてんの!」
サフィーの問いを無視して延々と語る。時間が無いのだ。
…娘が帰ってしまうまで。
「なぁにお前ならすぐに隙の1つや2つ…「《ヴォーティカルカノン》!」げふぁ!?」
そうだった。こいつは思い込んだら一直線だったと思い出しながら、突っ込みをいれる。
射程4sqは伊達じゃない。きっちりと川の向こうまで届いた。だが…
「痛いじゃないか。サファイア」
顔面へのクリーンヒットをもろともせず、フロイはサフィーに抗議する。
効いて無い。流石はサフィーの父親と言ったところか…もう死んでるからかも知れないが。
その様子にサフィーは溜息と共に返した。
「だから、話が見えないって言ってんの」
「おお、そうか。そう言えばおめでとうとしか言ってなかったな。改めて、言いなおそう」
今気づいたとでも言うようにポンと手を叩いて、フロイが言う。
そして、その言葉を口にした。
「お前にも、恋人が見つかって本当に良かった。おめでとう。サファイア」


280 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 20:12:12 ID:zngKiLpi


「まだ違うわよ!?」
サフィーが叫ぶ。顔が熱い。ついでに心臓もドキドキ言っている。
…ドキドキ?
思わずサフィーは心臓へと手をやる。いつもより大分元気に動いている。ここまで跳ね上がったのは6年ぶりだ。
…手?
自分の手の方を見るといつの間にやら新しく手が生えていた。崩れ去って土くれに帰ったはずの手が。
肌寒い。空にはいつも通りの黄色い満月が輝いている。
そして…口の中にはなぜだか覚えのある味がまざまざと残っていた。
「え?これって…」
「良かった!生き返ったんだね!」
頭が状況を認識する前にギュッと抱きしめられる。
端正で知的な顔が、泣いたせいで台無しになってる。
「シズク…?」
その少年の名をサフィーが呼ぶ。
「一体、何が、どうなってんのよ?」
サフィーの問いに、静は涙をぬぐい、笑顔で答える。
「言っただろう?サフィーちゃんは…ウィザードに“なった”って」
ヒーラーがいないことを嘆いていても始まらない。こういう場合こそ冷静に可能性を模索する。
そして、静はその方法に達した。
「いいことを教えて上げる。ファー・ジ・アースの…ウィザードの吸血鬼はね…」
静の血をすすったことでサフィーはウィザードになった。ウィザードの“吸血鬼”に。
だから、自らの血液を媒介にプラーナを分け与え、あとは信じる。
「灰からだって…蘇る!」
目の前の少女が“ウィザードの吸血鬼”であることを。
「本当に…本当に良かった…また、失うところだった」
再び抱きしめる。涙が止まらない。でもいい。だってこれは…嬉しいから出てる涙だから。

(親父が言ってたのは…このことだったのね)
静を抱き返してサフィーは目を閉じる。
いい匂いがする。サフィー好みの匂いだ。
頭がよくて、皮肉屋で、プライドの高くて、優しい…少年の匂い。
(ったく。そんなに泣かないの。男の子でしょ)
母親のように、泣きじゃくる少年をあやし、抱きしめながら。

―――少女は、生涯2度目の、恋をした。


281 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/24(木) 20:12:43 ID:zngKiLpi
今日はここまで。次回からエンディングフェイズ。

ちなみに、静が使用したのは汎用特殊能力《プラーナ譲渡》です。それを使用して、サフィーのプラーナを1点回復しました。
後は…サフィーちゃんのクラスが吸血鬼だったってことです。

>>253
メガネを取り出して掛け直すかどうかは考えたんですが、今回は無しの方向で行くことに。
…でも

>>254
その手があったかー!?

>>255
ギリギリで耐えました。いのりもプラーナとか全部突っ込んだんですけどね。

>>256
最後はサフィーちゃんでした。伊達に主人公じゃありません。
…ラストもいのりの方がよかったですかね?

>>257
いいえ。《ラストアクション》後に育て?の父親のタイタスを昇華し…嘘です。ちゃんとNWのルール通りです。

>>258
せんせいの扱いが酷いよ!?

>>276
ちなみに2人の言うそれぞれの『1回』に関しては原作から引っ張ってきています。

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 20:21:39 ID:aMGlapPV
まほうせんせいの人乙。
吸血鬼なんで生死判定まわりは安心はしていたんですが
NWらしく割とダイナシ系のノリで復活ネタをするかなと思ったら
まさかのド直球で愛は世界を救うですよ、地道にフラグを立ててたのは伊達ではないんだね。
……そしてまたいのりが一人可哀想な事になるw

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 20:27:35 ID:fgeTHcEu
吸血鬼は三途の川を渡れるんだろうか? とか思ってしまったw
まああれですね、少年少女(?)の恋愛は見てて楽しいっすね!

……しかし、攻撃受ける気満々だった静がプラーナ残してて、サフィーがかばったあたりなんかPLの思惑が見え(ジャッジメント・レイ

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/24(木) 23:21:48 ID:d36rSSBB
>吸血鬼は三途の川を渡れるんだろうか?
「吸血鬼は流れる水を渡れない」ですか
三途の川は本当の川ではなく、川のように知覚する何かという説もありますし問題ないんじゃないですかね
本当に渡れないなら、死の間際に一面のお花畑とかが見えるんですよ、きっとw

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 00:45:34 ID:i+/UORp/
>>まほうせんせいの人
GJ!!!
ソウルチェインの方でとどめかと思ったらそっちでしたかw
EDも期待してます

>>283
吸血鬼が川を渡れないのは流れる水に葬送されてしまう、の意味合いだから……
むしろ、三途の川を渡れないと葬送されずに蘇っちゃうようなw

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 02:26:29 ID:lMM6nm0s
>>まほうせんせいの人乙&GJ!

いやー、生死判定の段階だったとは……てっきり静が虎の子の『リザレクションソウル』使うんじゃないかなぁって思ってましたw

超☆高いけどw

………そしていつ、いのりが戦闘で使うかとワクワクしてたロケットランチャーが出なくてちょっと残念だったりw

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 08:35:11 ID:uMTBYb1C
阿智クロスさん乙です
原作キャラ死ぬんじゃないかとヒヤヒヤしましたよ?
それとなんか侵略狂いがまた一人増えた模様ですし。
…結局独り身はいのりだけwww


関係ないんですが、ストライクウィッチーズ見て、科学と魔法の融合とかそこらのワード聞いてクロスを考えたわけですよ。
…ビキニで空を舞う筋肉ダルマ神父と普通にテンペストで並走する柊とかがまず最初に浮かんだ俺は最近いぬかみ全部見直したクチ

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 08:58:32 ID:cqbNHTk0
>>287
いいなそれっ!(くわっ)
で、投下はいつ頃になりそうかね?

【馬鹿は食いついた】

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 09:25:49 ID:8dmuKK0O
グィード人気だなw
そういう俺もグィード、美弥子(PC版のグィードを毛嫌いする聖職者)、ハヤウェイ、フィーリアな感じのNW×バリズムじゃない方のプリズムアークなんか妄想している時点で人のこと言えないけど。


290 :短編投下用意完了―――:2008/07/25(金) 13:37:24 ID:fmCkpFHY
こんにちはー。
友人に昨日焚きつけられて書いた短編が上がったので投下しにきたわけですが

……正直、支援してくれる方この時間帯にいんのかな?

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 13:38:12 ID:2wszfKr0
別に支援したくてスレにいるわけじゃないんだからね!!

292 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:40:02 ID:fmCkpFHY
居酒屋ろんぎぬす、という店がある。次元空間の狭間にある、とある宮殿に併設されたショッピングモール内にある、座席数40程度のけして大きくはない店だ。
そこには夜な夜な多種多様な客が集い、様々なコミュニティを形成しつつ語り明かし飲み明かす。
そこまではちょっと変わった立地条件の普通の居酒屋のようにも思えるわけであるのだが……この居酒屋、ちょっと変わっている。
どう変わっているかというと、居酒屋に集う客が普通の店と異なり―――人間に限らない、という点だったりするわけであった。

今年一番の暑さになるでしょう、という天気予報が2、3日続いた、夏至も少し通り過ぎた夏の日。
少し早めの時間帯に、カウンターに座っている客は二人しかいない。
いや、数え方で言うのなら、二人、というよりは二匹、と言うほうが正しいかもしれないが。
片方の客が、どうやってモノが掴めているのか分からない丸っこい手で持った赤い液体をぐぐぐ、と飲み干し、空になったグラスを勢いよくテーブルに叩きつける。

「あぁ〜、もう。やってらんねーでス」

その顔に浮かぶのは人目で溜まっているのがわかる鬱憤。
体は真紅。爬虫類系をデフォルメしたような丸っこい形。それに尻尾と角らしき物体。とって書いたような黄色い瞳という、およそこの世のものとは思いがたい存在。
ファンシーにシュールリアリズムな形の生命体がそこにいた。

「親父、タバスコもう一本でス!」
「お客さん、タバスコの飲みすぎは体に毒ですよ」
「うっさいわ!これが飲まずにやってられっかー!」

あと僕は火のエレメンタルだから焼くものとか熱を発生させるものがパワー源なので毒にはならないのでス!と熱弁するなんか赤いトカゲ。
こう駄々っ子になられては、マスターとしても大人しくとぐろを巻かれているより他にない。
と、その時だ。
その赤いトカゲの肩を、ぽん、と叩く姿があった。
赤いトカゲの隣に座っていたもう一匹の客。
赤いトカゲよりは少し小さな生き物。全身を覆う光沢のある白い直毛。首輪には銀の十字架。哺乳網ネコ目イタチ科の肉食動物―――和名でいうところのフェレットである。
トカゲは、そのフェレットを見て言った。

「あん?『酔いに身を任せて人に迷惑をかける飲み方は半人前だぞトカゲ』?
 水しか飲めないお子ちゃまにそんなこと言われたくねーでスよ!」
「っていうかお客さん、こちらのお客さんの言ってることわかるんですか」
「とーぜんでス!
 僕は自然界の4分の1を司る火のエレメント、その具現端末でスよ?自然界の動物の心の声くらい読めなくてどうするんでスか」

へぇ、と店主は感嘆の声を上げ、その火トカゲにたずねる。

「じゃあ、ちょっとそのお力で俺にもこっちのお客さんの声が聞こえるようになりませんかね。
 いや、ウチにとっても常連さんなんで色々と話を聞きたいんですよ」
「あぁ。そのくらいなら問題ないでスよ。ちょちょいの、ちょいっと」


293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 13:40:17 ID:uMTBYb1C
我支援する者なり!
…休み時間だけ

294 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:40:45 ID:fmCkpFHY
火トカゲがぽん、と手を叩くと火の粉が店中に飛び回り―――何も焼かずに空間を走って、やがて消える。
ほう、と息を吐く声がした。

「なるほど、確かに音が人間の言葉に変換されているな。世界端末というのもあながち嘘ではないらしい」

その声は白いフェレットから。おぉ、と小さく感動したらしい店主。
そんな反応に胸をえへん、と反らして赤いトカゲは言った。

「僕の中の構成法則に自然界の声の理解、があるわけでスからね。
 僕が結界を張って、その空間内だけ『獣の言葉は人間には理解できない』という法則を焼滅、僕の中の構成法則を代わりに焼き付ける。
 簡単にいうなら法則を僕のものに書き換えたわけでスよ。僕が結界を解くか、この店を出た時点で解除されてしまうんでスけどね」
「ふむ、こんなプログラムがあれば俺の苦労ももう少し減るのだが……いや、まぁ連中がそんなものを作ってくれるはずもないか」

白いフェレットはそう言って嘆息するように肩を落とす。
そんな姿を見てか、店主が苦笑しつつ言った。

「お客さんも苦労してるんですねぇ……。
 あぁ、そういえばお客さんのお名前を聞いてなかったな。せっかくこうして話ができるんです、お近づきのしるしにお名前を教えてはもらえませんか」
「それもそうだな。
 ―――どんぺり、と呼んでくれ。日頃から世話になっている。そういえばそこのトカゲはなんという?」
「僕はトカゲじゃないでスよ!僕はサラマンダー、自然界四大エレメンタルの火を司るエレメント!」
「あぁすまないな。マスター、こっちにラー油を一瓶やってくれ。俺なりの恩返しだ」
「あいよっ」

そう言って差し出されるのは透明な赤みがかった琥珀色の液体だ。
なお。ラー油とは油で唐辛子を煮こみ、その香りと辛味を煮出したものである。どこぞの『島』の『虹色戌』みたいになるのでよい子は絶対に飲もうと思わないように。
そんなこんなで、今日もろんぎぬすに宴の華が咲く―――。




295 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:41:31 ID:fmCkpFHY
***


「未来ちゃんってばもう最近ずっとそんな感じで」
「ほうほう」
「昨日も図工の授業で『憧れの人』っていう題で絵を描けって言われて、書いたのがドクロ!
 未来ちゃんだけ家に帰ってもう一回描いてくるように言われて、涙目で描いてたんでス」
「それは災難ですねぇ」
「そうでス!そもそもあの暴れ牛が未来ちゃんのところに現れさえしなければ……」
「……それは逆恨みではないか?」

宴の主役は赤トカゲこと、サラマンダーの飼い主の話になっている。
なんでも彼は魔法少女を欲した世界から、一人の少女を魔法少女として認定し、宇宙からの侵略者たちを狩り世界を守るために生まれたのだという。
そうして今は主と仰ぐ少女の家に厄介になっているのだが、ここで話が少し狂う。
なんでも侵略者ではない宇宙人が別の娘を(彼視点で)勝手に魔法少女として認定し、勝手に新しい魔法少女として売り出してしまったとかでさぁ大変。
しかもそのパチモン魔法少女、手がつけられないほどの乱暴者で魔法とは名ばかりの肉体言語(こぶし)使いなのであった。
彼の飼い主もその魔法少女もどきを敵と認識するならまだしも、なぜか好意的に―――というかむしろ憧憬の視線を向けているのだった。

「だいたい!あの暴れ牛のどこにっ、そんなっ、魅力がっ、あるでスかっ!?
 ちょっとヒマがあればドクロドクロドクロドクロ、最近じゃ親御さんにも心配されるんでスよ!?」

小学五年生の女の子がいきなりヒマがあればドクロドクロ言うようになるのは確かに不気味だが。
そんな風に愚痴っていると、どんぺりがまぁまぁ、というように両手を上下させて答える。

「確かにそうかもしれんが、しかしドクロと言ったか?赤いスカーフの魔法少女とやらはおまえの主を守ってくれたのだろう?
 そこは感謝してもしたりんだろう。俺たちは主がいなくなればその存在意義を失う―――いや、それ以上に存在する意味を見失うことになる」
「それは、そうでスけど……」
「だったら礼の一つもいれるか、礼儀を持って接するのが良い従者の姿ではないのか?」

姿に似合わぬやけに渋い声と言葉を発しつつ、どんぺりは器用にストローをすすって水を飲む。
その言葉に少し目を伏せ、マドラスでぐるぐるとタバスコとチリソースの混合液を混ぜるふりをするサラマンダー。
あまりにどんぺりが本質をつくためか、こんな愚痴を吐いたことがなかったためか。言い訳じみた言葉が出た。

「……わかってるんでスよ。あの暴れ牛が悪い奴じゃないっていうのは。
 あの町を守っていたいから守ってて、そのために戦おうとしてるあいつが悪い奴じゃないっていうのは、わかってるつもりなんでス。
 短気なくせに戦うこと自体は嫌いで、口も育ちも悪くて、バカで、ボンクラで、身勝手で。
 それでも、一番危ない戦場からは未来ちゃんを守ろうとしてくれる。居場所がない奴らはかくまってくれる。
 感謝も、してる。
 でも、こう……素直に礼を言おうとすると、いつもはぐらかされるというか。むしろ、感謝されるようなことはしていないみたいなこと言われるっていうか」

こっちは礼を言いたいのに、それが無意味だって言われるのは、ありがとうって気持ちを否定されてるみたいじゃないでスか、とか細い声でサラマンダーは言った。
それはもっともなことだ。
そんな、いくぶんか困ったような表情のサラマンダー。
それを聞いて、どんぺりはくすりと笑った。意外にも、結構似たような人間はどこにでもいるらしい。
どんぺりの様子を見て、拗ねるような表情をしてサラマンダーはぼやく。

「なんでスか。笑うこともないと思うでスよ?」
「あぁ、いや。おまえを笑ったわけじゃない。ちょっと知り合いを思い出しただけだ、そんなに深い仲でもないがな。
 俺も似たような人間に心当たりがあるだけの話だ。気が長くなくて、口は悪く眼つきも悪い、バカで身勝手な―――それでも悪い奴じゃない、人間だ」

主に本気で砲口を向けられ、身を守る手段があるとはいえいくども砲弾の衝撃を受け、それでもなお『仲間』だと認めた主を傷つけずに戦いを終わらせた人間。
主だけではないが、殺せば当面の危機が回避できると聞いておきながら、それでも誰も傷つかずに済む方法を『仲間』のためという理由だけで探し続けた人間。
そんな人間には、どんぺりも一人だけ心当たりがあったのだ。
正直、思考回路自体は理解できるとは思えない。しかし、ある程度ならその性格の傾向や御し方程度は理解しているつもりだった。


296 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:42:11 ID:fmCkpFHY
「そうだな。その手の手合いは礼を受けるいわれはないとは答えるだろう。
 しかし、大切なものと一緒にある時間の尊さを知っているというのは、大切なものを失う怖さを知っているということだ。怖くなければ何をする必要もないのだから。
 大切なものを守ろうとする気持ちがあるのだからこそ、それが失われずに済んだ喜びを理解できる。
 つまり、そういう人間は失われずに済んだ喜びを理解できる。だから、お前のその気持ちはわかっているはずだ。わざわざお前が口にするまでもなく、な」
「けど、それと感謝の気持ちを受け取らないっていうのは別だと思うわけでスよ」
「守られた側からするならそれは当然のことだ。俺もそれで何度か歯がゆい思いをした。
 それも、お前と違って俺は普通の状態では人語を話すことはできんからな。有り難いと感じていることを伝えたくても伝わらん」

ちゅるる、と乾いたのどを水で潤すどんぺりを、サラマンダーはじっと見つめている。
彼はただ、どんぺりの次の言葉を待つ。

「とはいえ、そういう輩は大抵単純でな。対処もまた単純だ」
「そんなもんあるんでスか?」
「簡単なことだ。相手が受け取らんなら、受け取るまで渡し続けるだけのこと。
 いかに礼などいらんと言おうと、大切なものを持ち、それが無事であることの幸せを知っているのだ。気持ちを理解できんから受け取らんのとはわけが違う。
 だいたい、その手の人間は押しに弱い。一度受け取らせてしまえば何を言うこともできんだろう」

あ、と呟いて固まるサラマンダー。
そうだ。なぜ一回で諦めてしまったのか。自分には少なくとも、彼とは違い伝えるための言葉があるというのに。
それは、なまじ世界の端末として生まれてしまったがために無自覚だった彼の未熟。自然界のあらゆることを知識として把握できるからこその落とし穴。
彼にとって、人間界での暮らしはとても魅力的だった。
自然界の端末であるがゆえに、文明社会のことは知らないことがいっぱいだ。テレビもDVDも漫画も全て新鮮。正直自然界の端末としてどうかと思うが。

けれど、その原動力はひとえに人間という存在を深く知りたい、と思ったことが原因だった。
今のご主人である鈴原未来。彼女は精霊界のルールに則るのならばすでに魔法少女失格の烙印が押され、とうに自然界のものへと変換されていなければならないのだ。
その原因は精霊界のルールである「魔法少女は正体が他の人間にバレてはならない」がとっくに破られているからだ。
まだ彼女と出会ったばかりの頃のサラマンダーは、そのルールを守って未来を動物に変換しようとして―――原因である目撃者にアイアンクロー付きで説教をかまされた。


『代わりを用意すれば済むのか!!
 代わりのきかないもののために戦ってるんだろ!!
 代わりを用意すればいいなんて勝手すぎるだろ!!』


かつて未来を動物に変え、新しい魔法少女を探しに行こうとした彼に放たれた言葉。
それはいまだに彼の中に残っている。そしてその結果与えられた未来との日々を、穏やかな日常のことを考えれば、彼のしようとしたことはひどいことだったと今はわかる。
だから、知りたかったのだ。
人間にそう言わせる『心』という存在を。あの時、ただの人間が拘束魔法を引きちぎって自分にアイアンクローかますという無茶をやってのけた原動力を。
心の大切さを、それを相手に伝える言葉の大切さを、あの時からずっと学びたいと思っていたのに。
サラマンダーは、自嘲的に笑った。

「……僕は、本当に未熟でスね」
「なに。未熟ということはこれからいくらでもやり直せるということだろう。
 何度でも壁にぶつかって、悩んで、乗り越えて―――ゆっくりと人間を理解するといい」
「でスね」

そう、ふと彼が笑った瞬間だった。不意にがらがらと居酒屋の扉が開く。

「あ、いたいた。探しましたよサラマンダーさん」

そこにいたのは、真っ黒な外骨格を持ち異様に輝きを放つ黄色い目を持った妙な格好の奴だった。
知り合いらしいサラマンダーは意外そうに言う。

「宇宙人?こんなとこまで何の用でスか。っつーかお前らよくこの中まで入ってこれたでスね」
「いやあ、最近技術開発部が便利なものを作ってくれまして。対地球組織隠密用装備『○ころぼ○し』っていうんですけどねコレ」
「危ない!商標的に危ないからソレ!?」

なんつーもんを作ってんだ柏木姉妹。

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 13:45:10 ID:uMTBYb1C
久々の支援放火だ!

298 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:45:52 ID:fmCkpFHY
閑話休題。

「私がここに来た理由ですが、ベホイミさんにあなたを呼んでくるように言われまして」
「なんか僕の助力が必要な事態でも起きたでスか?」
「あ、いえそういうことではなく。昼間にちびベホさんから今日はおうちの皆で外食だと聞いたので、どうせ留守番をしているだろうあなたを呼んでこいと。
 ベホイミさんのおうちで餃子パーティするんでメディアさんやプリンセスさんがはりきって用意してまして、あなたを呼びに行くのがわたしの役になったということです」
「なんで餃子……」
「みんなの好みに合わせられるじゃないですか、とメディアさんがおっしゃってましたが」

いつだってこいつらはそうだ、と心の中にこみ上げてくる『感情』を押し込めて、平静を懸命に装いながら―――それでも口元の笑みは隠せぬまま、言った。

「し、しょうがないでスね。あの汚い部屋片付けなきゃとは思ってたでスし、迎えにまでこられたんじゃ行かないわけにいかないじゃないでスか」
「そう言ってもらえると助かります。じゃあ行きましょうか」
「僕は会計済ませてから行くんでちょっと店の外で待っててもらえると嬉しいでスよ」

わかりました、と言ってそのまま外に出る宇宙人。
サラマンダーは店主にビー玉大の小さな紅い石を渡す。
この店は異世界からの人間なんかも来るため、通貨の代わりに価値のあるものを渡すことで代金とすることもできるのだ……知ってても踏み倒す奴もいるが。
ちなみに、その物品の買取先はこのショッピングモールの主なわけだが。
店主はその石を一目見るなりおぉ、と唸った。

「こりゃあまた高純度な火の属性魔石ですね。市場に出せば捨て値でも最新式の箒が2,3台フルオプションで買えちまいまいます。
 代金にいただくにはちょっと高価すぎますよ」
「そんなもの、火のエレメンタルである僕にはいくらでも手に入るものでスし。
 そっちの分も奢りでそれで払っておいてほしいでスよ。マスターにも迷惑かけたし、迷惑料ってことで受け取っておいてほしいでス」

そういうことでしたらありがたく、と笑顔になる店主。
どんぺりはすまんな、と尻尾を揺らしながら礼をして、その小さな手をサムズアップさせながら健闘を祈る、と告げた。
サラマンダーはじゃあまたでス、と答えて、宇宙人の待つ外へと出る。
他愛もない話をしながら、彼らは目的地への道をとる。
途中、赤い髪の少女とすれ違いながら―――あの強情な暴れ牛女に、どうこの思いを伝えようと楽しく考えつつ。



299 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:46:34 ID:fmCkpFHY
***


赤い髪の少女に、『……どんぺり、ごはんの時間』と言われて相当暴れようとして
結局ほとんど抵抗もできずにぷらーんとつままれたままフェレットがドナドナされていった数分後。
店主はテーブル席からカウンターに移動してきた客に絡み酒されていた。
酒が入っていることもあるのだろうが、もうカウンターにへばりついて泣き上戸モードである。一番手がつけられない。
長めの金髪の、白皙とした美青年なのだろうが、今はその面影はない。

「でさぁ、マスター聞いてるー?
 ウチの上司ってば自分は実力者だから給料とかは安心して働けよって言っておきながら、ボクが契約した途端落ちぶれてさぁ……。
 たまに見舞いに上司の同僚がくるけど、ほとんど誰も来ないし!元の人望のなさが透けて見えるよねー。
 ボクに回す力が惜しいからってバックアップほとんどなしで仕事させようとするし。
 もう絶対労働基準法違反なんだって!社会保険とかかけてもらってないし!」
「はぁ、けどまぁ裏稼業じゃそんなことも珍しくないんじゃないですかねぇ」

社会保険にかかってない世知辛さを知っている店主はそんな本音を言ってみる。
言外に甘ったれんなガキんちょ、という思いを載せつつ。
しかしまぁ酔っ払いは人の話なんざ聞いちゃいない。

「ボクの仕事もさぁ、上司を蹴落としたナンバー2とかに上司のせいで目をつけられててことあるごとに邪魔されるし。
 失敗したら上司にもの凄い怒られるし、『ご飯ぬきじゃー!外に出ておれこのしれ者がー!』とか言われるし。
 この間とかそんなぼろぼろの状態で上司を実質的に仕事できなくした奴を久しぶりに見つけたから『タマァ取ってこーい!』とかワガママで突貫させられたし。
 アイツもアイツだっての。
 いつの間にか箒なんか持ちやがって、こっちは冥/冥なんだから真っ向勝負挑まされて100オーバースタートのダメージなんか耐えられるわけないだろうっ!?」

あれはホントに死ぬかと思ったんだぞっ!?と言いつつたんっと勢いよくタンブラーをカウンターに叩きつける。
……相当に溜まってるらしい。

「あぁもうやだ。本当に転職してやろうかな、<風雷神>様んとこならマシな気がする。楽に人生謳歌できるような気がする」
「そういうのは辞めようと思った時がやめ時ですよ。ずるずるいっちまえばいつのまにか進退極まってるなんてことはよくありますしね」
「そうだよね、もうあの人んとこ泥舟だしねー。
 あの人が現世に出られなくなってから過労死したりする配下の落とし子増えてるって裏界出版の<告発者>様発行『ふぁるふぁる新聞』でも調査結果出てたしなぁ。
 もうそろそろ契約更新の時期だし、ある程度の改竄を視野に入れて賄賂を―――」


「―――ほう。貴様、どこに行くつもりなのだ?」



300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 13:46:44 ID:uMTBYb1C
…放火?

301 :居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ):2008/07/25(金) 13:47:16 ID:fmCkpFHY
「今のとこ以外ならどこでも、って言いたいけど<ぽんこつ>とか<ちょーこー>とかはまぁ外すかな。すごい勢いで死にそうだし。
 <女公爵>様は今の上司に筒抜けだし、<魔王蛇>様んとこ行っても干からびるまで抱き枕だろうし、<荒廃の魔王>様のとこもボクじゃ瞬殺だろうし。
 やっぱ<風雷神>様とか<知恵者>様、<音の魔>様あたり?」
「ほうほう。我よりもフールやアニー、シアースの方がいいともうすか。そちもなかなかにいいどきょうよの」

がちん、と固まる金髪青年。
ぎりぎりぎり、と関節が錆びきったブリキの人形のようにそちら―――自分の右側の座席を見る。
そこにいるのは、豪奢な金髪を巻き毛にしたゴシックロリータの、将来は美人になるだろうと10人中全員が予想するような美少女。その髪の色はどこか青年に似ている。
青年は瞳孔が少し開いている目を最大にまで見開き、小刻みに震えながら少女に伺いを立てる。

「な、なぜこちらにいらしししして、おられれれるので……?」
「あぁ、まだ力不足でうつしみは作れん。そんな我に、昨日めずらしくリオンがプレゼントを置いていってな?
 『擬体』という、なんでも使い捨てのたましいを入れる肉を持った人形らしい。
 『試運転を兼ねて、気分転換に貴女の落とし子のところにでも行ってみてはいかがですか?』と言われたので来てみたしだいだ。
 しかしこれはいいことを聞いた。よろこべ我がしもべよ、我が貴様にじきじきにしつけをくれてやろう」

がし、とその腕を掴まれる青年。ものすごいイイ笑顔をした少女が掴んでいない方の手をかざすと、その先の空間がぐにょん、と歪んだ。
青年が泣き叫びながら逃げ出そうとするよりも一瞬早く。ぽい、と少女が歪んだ空間の先に青年を放り込んだ。空間の歪みにあっという間に飲み込まれて見えなくなる青年。
ふむ、と頷きながら、少女はごとり、とカウンターの上に金塊を一つ積む。

「我が配下が迷惑をかけたな。これを収めるがいい人間。下賜品だ、好きに使え」
「お、お客さんっ!?これはちょっと多すぎるかと―――っ!?」
「かまわん。くれてやると我が言っているのだ。それともそちは我に一度出したものをふたたびふところに入れるはじをかけと言うのか?」
「え、いやそういうわけでは」
「ではありがたく受け取っておくがいい。しつけの時間だ、そろそろ我も行く。ではさらばだ」

にゅるん、と空間の歪みに飲み込まれる少女。
青年、合掌。
一人になった店内で我に返ったマスターはとりあえず金塊を裏の金庫にしまい、言った。

「とりあえず……迎えに来てくれる奴がいるってのは幸せだってことかね」

その言葉は、どこか哀愁に満ちていた。


fin

302 :哀歌の中身:2008/07/25(金) 13:48:34 ID:fmCkpFHY
お久しぶりな方はお久しぶり、はじめての方ははじめまして。ども、中身です。
クロス元は昔の拙作と同じ「新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん」より、サラマンダーのサラくんとヒラ宇宙人、あかりん専属気苦労スーパーペットどんぺり+2です。
久しぶりにちょっとろんぎぬすでネタ書いてみた次第。最近色んなトコでナイトウィザードss増えてて嬉しい限り。地下の舞踏曲さんのはマジよかった。
今回はまぁ、ちょっとベホイミ2巻発売記念っつーか、うまく知人に乗せられたっつーか。勢いでおしてみた話なんでちょっと色々足りないとこもあるかと思います(反省)
なおリオンが金色の魔王(仮)様に擬体なんぞやった理由は結構深遠で、落とし子潰せばまたちょっと金色の魔王(仮)様が動きとり辛くなるという回りくどい策です。
金色の魔王(仮)様はうまくのせられてる形ですね。金髪落とし子(仮)哀れ。

今まで何も書いてなかったわけではなく、ちょいと夏の盛りに面白いことしようと画策中……面白くなるといいな、俺まだノーチェ書きたいし。

さ、アウトランド買うかー。ゆにばーさるだけじゃ把握しきれんし。

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 13:48:46 ID:uMTBYb1C
砲火だッ!

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 13:56:59 ID:vBx1lViD
GJっしたーっ!
金髪落とし子(仮)がんばっ!頑張ってスーパーの半額弁当でもゲットして鋭気を養ってくれ。
そしてどんぺりがステキすぎて濡れます。きゃー、どんぺりさまよー。

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 14:08:28 ID:2wszfKr0
あっはっは、どんぺり渋いなーw
この渋い喋り方で真っ二つにされたとかひどすぎるな!w


……金色の魔王(仮)を個人が休業に追い込まれたみたいなのはあんま好きくない表現だけど、これは好みの問題だしどうでもいいか

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 15:00:55 ID:uMTBYb1C
乙です。
なんかどんぺり、中に社長辺りが入ってそうですね。うむ、渋い。そして良い従者として心得てる。

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 16:09:15 ID:yusXr9hT
乙〜。久し振り、お帰りなさい。
いや確かにアンソロでも紳士っぷりを発揮してたけど、無駄に渋いぜどんぺり。
金髪落し子(仮)お前が逃げると金髪使徒(仮)の仕事が増えるから耐えろw

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 22:52:38 ID:YeXiYBQ5
どんぺり凄いな。雌フェレットが擦れ違っただけで妊娠しそうな男気を発散してるな。
『どんぺりの人生相談』とかやったら『交尾しろ!』とか回答しそうな勢いだ。

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/25(金) 22:57:06 ID:RPQpoa+2
むしろ春日恭二が泣ける。

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 00:06:14 ID:Yp1Hy3fy
SS書こうとしたらサプリメントとか、アンソロジーが発売
全部読むのが一苦労だ

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 00:18:15 ID:H8pJmNVO
まだ80kしかできてねぇ…投下はいつになるんだろう……
しかもエリスがまだマンションに居る設定だし、いろいろ修正ががががが

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 01:04:47 ID:w97ZrZTD
人間、本気になれば2週間でだいたい230Kくらいは書けるもんだよ?
書くだけなら3時間あれば20Kくらい軽い。もっと集中するのだよ!

まー冗談(実話だが)はともかく、いったんキリのいいとこまで投下はアリだと思ったり。
80書いてキリがつかないんだったら、ちょっと話に見直す点が必要では?
たぶんどれだけ支援あっても、数回はさるさんくらうと思う。スレッド限界の実に1/6だぜ?

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 07:36:58 ID:5VSzcjSx
>>292
うおおっ、桃魔の人お久しぶりっすー!

・・・いや、ちょうど昨日アンソロ短篇のどんぺり話を読んだところだったので、
どんぺり先生がたまらなすぎる!
 
魔王も平気でやってくる居酒屋ろんぎぬす、いいなぁ。

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 07:53:55 ID:ovFZ7VMl
この春日恭二がメイド服だと思うと、もう…

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 12:10:21 ID:w97ZrZTD
お前らほんとにどんぺり好きなww

316 :とある偽善使いの人 ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:05:51 ID:E8CtgxJ1
嘘がほんとになりました。
一巻分だけ限定で、連載をしてみようと思います。
十分から【とある偽善使いと魔剣使い】の序章を投下します。



317 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:11:13 ID:E8CtgxJ1
下げ忘れた orz
投下開始します。



 拝啓、お袋+お父様。

 私、上条 当麻は今日死ぬかもしれません。
 長い間面倒を見てもらい大変ありがとうございました。
 なお、死因が感電死だったら、付近にいるツンデレな女子中学生が犯人です。
 訴えてください。
 多分権力で叩き潰されるような気もしますが、頑張って。

 By 不幸な上条 当麻より。




「不幸だ、不幸です、不幸なのですよ! っと、何度言えば済むんだよ!!」

 日にちは七月十八日。
 明日の登校が終われば、いやっほぉーい夏休みだぜっと踊り狂っても許される日にち。
 大変気持ちのいい時間と素敵な夕暮れの時間に、俺は踊っていた。
 死のダンスを。
 訂正。生き延びるための葛藤をだ。

「あーもう、いい加減当たりなさいよ!」

 迸る――閃光。
 ふざけろ、それは人が死ぬ威力。
 舐めるな、それは常識外の電撃。
 ゆえに、当たるわけにはいかない。っていうか、逃げる。

「とぉうっ!」

 反応など不可能、視認するのも不可能、放たれれば回避など不可能。不可能の三つ重ね。
 それを人は回避することが出来るか?
 否である。
 それほどの反射神経も人外の身体能力も素晴らしい異能も、俺こと上条当麻は保有していない。
 あらゆる万物を捻じ曲げる神の化身でもなければ、
 銃弾すら躱す強化人間や人造人間でも、
 人の領域を超えた人狼や吸血鬼でも、
 たゆまぬ訓練の果てに肉体操作の極みに達した龍使いや仙人でも、
 戦闘技巧者の極みである魔剣使いや忍者ですらない。
 ただの人である。
 されど、されど、それは躱せるのだ。
 ただ一つの条件をクリアーすればかわせるのだ。
 つまり、その手が振り抜かれるよりも早く――動く。

「ひぇえっ!」

 迸る電撃よりも早く動く目線、振りぬかれる手の軌道、それらを推測し――横っ飛びに避けた。
 電撃の奔流。触れたらあかんよ、危険だから。光のプリズム、網膜に焼きつく破壊の象徴。かさかさと動く俺の手足。
 そこ! ゴキブリのようだと言うなよ!
 っていうか、超怖ぇえええ! 目がチカチカするんだけど!

318 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:11:52 ID:E8CtgxJ1
 
「くっ! ちょこまかと――!」

 疾る、奔る、光の連鎖。
 空気が弾け、焦げ臭いどこか癖になりそうな臭い。
 あんた、そんなに電撃放って髪だいじょうぶですか? 痛まないのですか? と突っ込みを入れたくても入れる暇もなく、ひゃいんっと悲鳴を上げながら俺は避ける。逃げる。戦略的逃亡を試みる。

「避けるな!」

「馬鹿言うなぁ!!」

 反論に叫んだ瞬間、第六感がざわめいた。
 ――しゃがむ。
 しゃがんだ頭の上を、オレンジ色の光線が突き抜けた。
 一瞬遅れて響く衝撃破。ぐらりと揺れる頭、激しい悪寒。だらだらと決して男の尊厳で洩らしてはいけない体液以外の何かが流れる。つまり汗。

「……今なにした? っていうか、後ろ見るのが激しく怖いんですが」

「見てみれば?」

 撃たない? くいっと小首をかしげて訊ねる。
 撃たないからっと、破壊を齎す犯人が告げた。激しく説得力がない。
 しかし、気になるので後ろを向く。

 激しくものがぶっ壊れてました。

 夕日が美しい空の下で、損壊したアスファルト。まーるい穴が空いた壁。
 どんな砲撃を繰り出せばこうなるのか。ガンナーズブルームの砲撃を叩き込んだような惨状。
 一言言おう。
 人間が喰らったら木っ端微塵のミンチであると!

「こ、このヒトゴロシぃいいいいい!!」

 絶叫である。
 両手を口に当てて、俺は叫んだ。

「って誰が人殺しよ! 失礼ね!」

 お前だお前という勇気は俺にはない。
 じろりと睨んでくる少女に、俺は怯えていた。
 灰色のプリッツスカート、半そでのブラウスにサマーセーター、茶髪に染めた今時の中学生。
 遠目から見れば限定的に普通の中学生に見えるごく平凡な少女。
 いや、平凡というには少々語弊があるぐらいの美少女である。
 例えば俺が何も知らずに、こいつが駅前のアイス屋さんでぺろぺろとソフトクリームを食べていたら「へい、そこの美少女。俺と一緒に抹茶アイスを食べないか?」 と誘い文句が出そうなぐらいといえば分かるだろうか?
 しかし、俺がそんなことをすることはありえない。一つは俺がアイスで誘うような阿呆でもないし、目の前にいる少々目つきが鋭くなっている中学生の正体を俺が知っているからだ。
 御坂 美琴。
 苗字と名前の頭にみが二つ並ぶ名前。もう少しフレンドだったら、ミミちゃんとでも呼んでやるべきだろう。
 だが彼女は――“レベル5”だ。この学園でも七人しか存在しない規格外の“超能力者”
 超能力者である。繰り返さなくても分かるだろう。
 目の前に居る少女は“異能者だ”。
 いや、俺が住む都市――学園都市は230万人もの学生を擁する巨大都市。
 その存在意義は“超能力者の開発”だった。
 一昔前の常識のような嘘くさいエスパーではなく、れっきとした科学のカテゴリーで確立された能力。
 脳に電極を突き刺し、薬を飲み、あらゆる脳医学、薬学、大脳生理学などを駆使したマッド極まる方法。
 しかし、それでも能力が発揮されるものとされないものがいる。
 それが俺=能力無しのレベル0と御坂=能力最高なレベル5。

319 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:13:29 ID:E8CtgxJ1
 
「大体、なんで俺なんかを付けねらうんですかーもう一ヶ月ですよー、ギャルゲーだったらそろそろプレイ期間終了ですよ〜」

「うるさい、わね!」

 指が曲がる。
 瞬間、足を動かした。回る足首、曲がる膝、けれど跳躍では間に合わない。
 横へと転がる。重力よりも早く、速く、動け!
 アスファルトの硬さに肌が破けながらも、迸る一条の電撃を回避する。
 いやん。俺の学生服が汚れた。ショック!

「なんで、“右手を使わないの?”」

「は?」

「あんたが、アタシの力を否定するその手を!」

 御坂が右手を地面に向ける。ざらざらと音を立てて、砕けたアスファルトの欠片がより集う。砂が混じり合う。

「まて! それはまて!」

 これからの行動を予測し、俺は血相を変えて立ち上がりながら、地面を蹴った。
 逃げろ!

「前みたいに! その手を、見せろぉおおおおおお!!」

 砂鉄の鞭。
 筋力ではなく、磁力を持って音速を超える鞭が逃げる俺の背中へと振り下ろされて――

「おわぁっ!?」

 掠める。
 発生したソニックブームに鼓膜が痛む、ぶっ飛んだ。
 ゴロゴロと転がって、道端のポリバケツに見事激突。ガラリと崩れて、ガンとフタと頭にぶつかった。痛い。

「あ、あぶねぇ〜」

 今の一撃は本当に危なかった。
 躱す余裕もなかった。っていうか、あんな攻撃かわせるか。そこまで人間やめてねえ。
 でも、命中しなかったのは――あいつが寸前で掠めるように軌道を修正したからだ。

「……これでもださない、か」

「っていうか、何の話だよ……」

 俺は告げる。
 生ゴミを振り払いながら、酷く凶暴な中学生に言った。

「右手がどうした? 俺の右手なんて電撃に焼けて、さっきのを喰らったら骨も残さずぶっとぶぞ」

 それが当然の結果だった。
 数億ボルトを超える電撃に、人間の皮膚による電気抵抗なんて紙のようなものだ。黒焦げで済めばいい。
 音速を超える砂鉄の鞭に、人間の手なんてプリンのようなものだろう。スライスロールになってしまう。
 そう、それが当たり前。
 “普通の結果”


320 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:14:58 ID:E8CtgxJ1
 
「まぁいいわ」

 はぁっとため息を付く御坂。
 それはどこか失望したようだった。
 どこか泣きそうな顔だった。

「夢は、夢……か」

 ぐすりと何故か御坂は目を手で擦った。
 なんだろう。
 酷く俺が悪いような気がした。被害者なのに。

「じゃあね」

 気が晴れたかのように御坂が背を向けて立ち去っていく。
 夕日に染められたその背中はうっかり襲って、返り討ちにあいそうなぐらい綺麗だった。

「あー不幸だ」

 俺は生ゴミに染まりながら、ため息を吐く。
 なんていうか、襲われ損? やり逃げだよなぁ、あれって。

「魔王よりこえぇ」

 世界はまだまだ広いと実感しながら、俺は立ち上がった。
 あー洗濯しないと。




 とある偽善使いと魔剣使い

 序章 変わらないおかしな日々



321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:17:21 ID:Qd5CCqub


322 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:18:57 ID:E8CtgxJ1
 
 夕暮れの夜を一人で歩く。
 寂しい、臭い、腹減った。
 走り回ってカロリーを消費しましたよ、上条さん。
 くぅくぅおなかが減りました。どこぞのマユリさん、おむすびおくれ。
 むかついたあまりに、レベル0の不良が因縁付けてきたので、静かな暗いところでボコしておきました。
 不幸だけど、財布は奪えるので、住所も確保☆ 仲間呼んだら、テメエからバラ(解体)すぞと笑顔で言ったら凄い聞きわけがよかったです。
 よかったよかった。

「あー、腹減った」

 学生寮の自室がある七階までエレベーターで昇る。ハイテク万歳。
 エレベーターの中で自販機で買ったジュースを飲む。マナーなどしるか、疲れてるんじゃい。
 暑い暑いと唸りながら、廊下を歩いて、自室の扉を鍵開けて入った。
 ガチャリ。
 靴を脱ぐ。
 歩いて入って、まず服でも脱ぐかと考えた瞬間。

「やぁ、少年」

 長身の紳士が居座っておりました。

「あ、どうも」

 とりあえず挨拶。
 さあって着替えるかなーと思って、服の裾に手をかけた瞬間。

「うぉおおおおおおおいい!!! なんで! いるんですか!?」

 突っ込んだ。
 盛大に、見覚えのある長身の錬金術師に突っ込みを入れた。

「反応が鈍いな、上条少年」

「いや、そんなことじゃなくて、まず不法侵入者として通報していいですか? アウレオルス・イザードさん」

 ビジネススーツに身を包み、足を組んで、安物の机にはまったく似合わないトレビアンな空気を漂わせるオールバックの人物。
 それは上条 当麻の知り合いでもある“錬金術師” アウレオルス・イザードだった。

「なに、気にするな。つい先日任務が終わったので、帰ってきたばかりなのだよ」

「あー、というと成功したんですね? あ、紅茶入れます」

 いそいそと当麻は食器棚に入れておいてあるティーポットとカップを手において、ポットに入れておいてあるお湯で紅茶を入れる

「すまないね」

 紅茶をいれるのに十分も掛からない。
 ポットの蓋を押さえて、アウレオルスの前に置いた事前にお湯で温めたカップに紅茶を注いだ。

「いい香りだね」

「ダージリンのいい奴が手に入ったんですよ。ちょっと贔屓してくれて、店主が安く売ってくれたんです」

「うむ。相変わらず紅茶だけなら、プロ級だな」

「ははは、鍛えられましたから」

 某世界の守護者にひたすら紅茶を入れては、不味いと鞭で叩かれた記憶が蘇る。やめてやめてよ、俺目覚めちゃうから。

323 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:22:47 ID:E8CtgxJ1
 
「うぅ」

 一瞬芽生えかけたトラウマに蓋をする。
 自分の分の紅茶をいれて、一口啜る。
 あー。美味い。
 紅茶を飲んでいる時だけは心が癒されるなぁ。

「それでだね」

「ああ、はい」

 いかんいかん。
 魂がヘブン状態になってた。

「一応魔王の討伐は完了したから、しばらくは学園都市にいれそうだ」

「おー、遂にですか」

「うむ。さすがに女公爵 モーリー=グレイに狙われるとはな。予想だにしていなかった」

 ふぅっと遠い目でアウレオルスがため息を吐き出した。
 その額には疲労の色が浮かんでいた。
 まったくもって大変だったようだ。

「というか、何故に錬金術師の私を財宝認定したのか未だに不明だ」

「さ、さあ? 人間国宝みたいなものじゃないですかね?」

「あの世界はまだまだ奥が深いな」

 私もまだまだっと、この世界で数少ない俺と同じように異世界の存在を知る錬金術師は息を吐いた。

「あ、そういえば姫神は元気ですか?」

 目の前にいる錬金術師の道具であり、悲願の要因でもあった少女の名を俺は尋ねた。

「うむ。蒼き門の吸血鬼の討伐に協力しているが、護衛も多い。元気にやっているようだよ」

「さすが、ディープブラッド(吸血殺し)ってことすか」

 出来れば荒事には関わってほしくないが、彼女の自身が望んだことだと聞いている。
 それを止める権利は俺にはなかった。

「で、しばらくは学園都市で研究を続けるんすか?」

「いや。“インデックス”の行方も不明だからな。しばらくは情報収集を続けるさ、しばらくここにいなかったから世間に追いつかなくてはな」

 苦笑を浮かべるアウレオルス。
 昔あった頃よりは格段に人間味の増した感情だと思った。
 誰かを助けるために何もかも切り捨てた悲しい人じゃなくて、ただ一人の人間になれた青年だと俺は喜べる。

「じゃあ、インデックスの行方が掴めたら教えてくださいね。協力しますんで」

「うむ。まあ出来れば単なる学生の君には頼るべきではないのだろうがね」

 苦笑。
 年上らしいアウレオルスの行動に、俺も苦笑は禁じえない。


324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:23:27 ID:7HZR3OQA
アンタ何してんのォォォー、支援

325 :とある偽善使いと魔剣使い ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:24:12 ID:E8CtgxJ1
 
「それではそろそろ私は失礼するよ」

 そういって懐から取り出した帽子を彼は被った。
 一瞬ぐにゃりとゆがんだように見えたが、それだけだった。
 帽子が持つ認識阻害の力は俺には通用しない。“この右手がある限り”

「ああ、あと道具に不調があればすぐに言ってくれたまえ。迂闊に右手で触れた場合は折檻だが」

「あはは」

 笑えない過去の失敗に、俺は笑って誤魔化すしか出来なかった。

「それと」

「ん?」

 音を立てずに立ち去ろうとした俺に、アウレオルスは静かに告げた。

「そろそろ避雷針ぐらいは用意しておいたほうがいいのではないかね? 化学製品でなら耐電装備ぐらいは作れるが」

「ああ、大丈夫」

 俺の服の焦げ付きを見たのだろう。
 ありがたい申し出に俺は告げる。

「殺されるほど酷いことはされないみたいですから」

「そうか」

 そして、アウレオルスは立ち去った。
 ドアを開けた気配がないってことは転移用の魔道具でも使ったのか、それとも壁抜けの技術でも憶えたのだろうか。
 どちらにしても関係がなかった。

「やれやれ、今日も世界は平和ですよっと」

 魔王が陰謀を巡らせているわけでもなく。
 お空から隕石が落ちてくるわけでもなく。
 海が増水するわけでもなく。
 異次元が開いて、世界が変わるわけでもなく。
 昨日と同じ今日、今日と同じ明日が来ると思っていた。


 世界の危機に取りあえず巻き込まれることはないと思っていた。


 紅い月はこの世界には昇らない。
 けれど、世界の危機というか、個人的な危機はすぐそこまで迫っていたのだ。


 ――上条 当麻が不幸に見舞われるまで あと31時間??分



326 :とある偽善使いの人 ◆CPytksUTvk :2008/07/26(土) 19:28:17 ID:E8CtgxJ1
投下完了です。
いきなりのageですみません orz
某地下でやっていた斬撃〜が終わったので、明言通りに始めてみました。
とりあえず一巻分だけでも試作として連載してみます。
……とはいえ、始まりからぶっ飛んだ設定だらけですが、詳しい内容や解説などは次回から分かっていくと思います。
何故に上条がこうなっているのかは、嘘予告【とある偽善使いと魔剣使い】をどうぞw
アウレオルス・イザードはナイスジェントルメンと思いつつ、支援ありがとうございました。
ではまた、近いうちにお会いしましょう。

なお、クロス元はとある魔術の禁書目録です。

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:36:21 ID:7HZR3OQA
GJじゃけんのォォォ!!
何気にすでにアウレオス遭遇してるみたいですが、いつ逢ったんだ?
アウレオスはBADEND後の上条のような存在だったので、救われて何よりだと思いつつ



328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:41:21 ID:c/jV4hqv
>>321
それは未熟な研修医のバイトのことですか?そういうのは厳罰を以て取り締まるべきです。
専門医や認定医の免許がない研修医が救急や当直をするのは飲酒運転や無免許運転(大型一種で自家用バスを運転するのもそう)と同じです。
半年ROMってましたが、我慢ならないので言わせて貰います。
医者はサービス業、それも「末端の」サービス業ですよ。
それを何か特別な専門職のように考えるからやたらと傲慢になり、給料や労働条件に不満が出るのでは?
所謂、選良というのは社会全体のプランを考える人間のことであり「末端の」サービス業に携わる人は含みません。
特に行政、流通、報道の「三権」に携わる人間がまさにこの選良にあたります。
先生方が時に蔑んでおられる文系の仕事ですけど、権力を持ってるのは私たち文系です。
一方、医者、看護師は小売店(コンビニ、スーパー)や飲食店(ファミレス)や風俗(キャバレー、ソープ)の従業員と同じ地平の職種ということになります。
研修医や非常勤はバイトにあたるので、同じく時給800円程度で十分なはず。
超過勤務を計算に入れてもこれ超えますよね?だったら不満言う資格ないです。
下の世話(時として性欲処理も含むらしい)など少し汚れ仕事をさせられる看護師なら下水道局員並みの給料を求めてもいいと思いますが。
こんな掲示板に不平不満を並べる暇があったらあなた達の職能である患者サービスにもっと専念して下さい。
それが出来ないなら医者をやめて文系を再受験したら如何?多浪生にまで美味しい就職はないと思いますが。

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:05:55 ID:bsYj1K8P
GJ!
嘘予告がまさか本連載開始とは!www
ビリビリに右手の効果を見せない、綺麗なアウレオルスとかインデックスが行方不明とかwktkが止まらない。

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:44:45 ID:7mqssmo2
海水が増えると聞いて、ああポニョか、と思った俺が来ましたよ。

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:51:14 ID:p9JpMlkv
おお!!まさか嘘を現実にするとは!!!
新たな名作の予感ですなwwww


332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 21:41:09 ID:w97ZrZTD
>偽善使いの方
感想ですが、ちょっと気になったところを少々。
むー……上条さんは高校一年、アウレオルスは16〜8。ねーちん(18)にもタメ口なかみやんが敬語かぁ……
他にもアウレオルス自身の口調ですが、ちょっと原作から離れすぎていて、アウレオルスって名前があるだけの別人みたいに見える……

何かがあって意図的に変えているにしても、文字でキャラを表現する際に重要度の高い割に、変化させる意味のあまりない口癖を変化させるのは
特に二次においてはキャラの共通認識を阻害することにもなります。禁書キャラは口調口癖が特徴的なのでなおさらかと。

なので、できるだけそういう細部は原作に合わせることをおすすめします。

では。次回投下をお待ちしています

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 22:26:00 ID:3R4p5Fjf
なんで御坂には右手を使わないんだろうな。
力もちゃんと残ってるようなのに。
ともあれGJ!

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:35:00 ID:7TDumW2B
>>333
>右手の力
「向こう」でアンゼや空導王に体よく利用され続けてたんじゃね?
だからなるべく隠す方向でやってるとか。

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 05:40:27 ID:n5auQodY
くーどーおーじゃ仕方ないな、今月のふぃあ通聴いてそう思ってしまうw

336 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/27(日) 08:59:22 ID:vR6EZ6s4
9時から共通エンディングを投下します


337 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/27(日) 09:00:16 ID:vR6EZ6s4
戦いは終わった。全ての元凶たる魔王は倒され、街に平和が戻った。
1つの事件が終わりを告げた。そして、事件が終わったのなら…異邦人は去らねばならない。

翌日、学園祭の振り替え休日。
「もう少しゆっくりしていけばいいのに」
倉地香が少しだけ寂しそうにいのりに言う。
「ごめんなさい。もう、帰らなくちゃいけないんです」
本当にすまなそうにいのりが答える。
あの後、最後の報告を終え、任務は晴れて完了した。
ウィザードの2人には労いと称賛の言葉と、十分な報酬が支払われ…同時に命令が下された。

ただちに帰還せよ、と。

この世界には本来いない存在であるウィザードがとどまれば、無用の混乱を招く。
だから、事件が解決したのならば即刻帰還せよ。それが、上の判断だった。
本来なら決して来るはずのない時間、1台の列車がやってくる。
ロンギヌス特別急行秋葉原ゆき。この世界とファー・ジ・アースを結ぶ特別列車。
この世界の人間が紛れ込まないようにウィザードで無いと乗り込めない仕組みにはなっているその列車の発車まで、あと少し。
「そう、残念ね。また、いつでも遊びにいらっしゃい。歓迎するから」
「…あはは。そのときはまた、何か厄介なことが起きてるってことですよ?」
倉地の言葉に困ったな〜と言う笑顔を浮かべる。異世界間の行き来は、そんなに簡単にできることじゃない。
それがあるってことは…しなきゃならないほどヤバいことが起きてるってことなのだ。
だが、いのりの言葉に倉地は言い切る。
「あら。別に問題ないわよ」
は?と言う表情のいのりに、艶然とした笑みでさらに言葉を紡ぐ。
「たとえそうなっても、貴方がいれば、絶対に何とかしてくれるんでしょ?それにもし今度そう言う事があったら…今度はあたしも手伝ってあげるわ」
例え戦うことができなくたってやれることはある。
それに…
「あたしは、見てるだけって好きじゃないの。そ〜いう面白そうなことがあったら、いつでも言ってちょうだい」
「…分りました!じゃあ、何かあった時は頼みますね!」
力強い倉地の言葉にいのりは笑顔で答え、握手をする。
「そう、それでこそいのりさんよ。それにしても…」
倉地がふと思い出してその言葉を口にする。
「本当はミニ三石ちゃんも来れれば良かったんだけどね。急だったからしょ〜がないけど、こ〜ゆうときに限って取材に行ってるなんて」
困ったものだと倉地がため息をつく。休みの日に突発的にどっかに取材に行って夜まで帰ってこないってのが習慣なのだ。
ミニ三石ちゃんこと…三石春美は。
「…あ、はい。そ、そですね…」
倉地が何気なく言った言葉にいのりがちょっとだけ暗い顔になる。
倉地には言えなかった。三石春美の正体を。言ったら多分悲しむから。
流石は魔王と言うべきか、この世界から消滅しわずかな残滓を残すだけの今の状態でも、存在としての春美はまだ残っていた。
多分、これからゆっくりと忘れられていくんだろうね、とは静の弁である。
「残念ですよね…」
本心からの言葉で、いのりが言う。確かに昨日の夜は怖かった。
だけど、それでも。1ヶ月の間、一緒に色々した記憶は無くならない。
そう、あの小うるさくて元気な突撃レポーター娘を、いのりは嫌いになりきれないでいた。
あんなじゃなければ友達になれた…いや、友達のままでいられたかも知れないのに。
「今度会う、そのときは…」
ポツリ、とごく小さな声で。
「…敵じゃなければいいなあ」
いのりが呟いたまごうことなき本音は、誰の耳にも入ること無く消えて言った。


338 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/27(日) 09:06:29 ID:vR6EZ6s4
「静さん…向こうに行っても元気でやってくださいね風邪とかには十分気をつけてくださいねそれとたまにはお手紙とかくださいねメールでもいいですから」
1ヶ月の間、様々な苦楽を共にした不思議研の部員にしてクラスメイトに、三石小夏は手を取って矢継ぎ早に話しかける。涙を流しながら。
今日、本人から電話で知らされたときは本当に驚いた。留学が昨日までで、今日はもう帰ることになってたなんて、知らなかったから。
「はい。気をつけます。ありがとうございました。1ヶ月間、楽しかったですよ。小夏さん」
にこやかな表情を崩さずに静が答える。
静にとってこの街に来たのは任務だからだ。だが、1ヶ月の滞在と学園生活は、確かに楽しかった。それも事実なのだ。
「はい。待ってます。あ、そういえば…」
コロッと立ち直り、そちらの方を見る。2人を見送りにきた、残りの2人。
「お二人とも、静さんといのりさんのお知り合いだったんですね。ちょっと驚きました」

「いのりちゃん、静さん、向こうでも元気で頑張って。また、なんかあったら言ってくれ」
「2人とも、ありがとう!また、遊びに来てね!」
銀之介と唐子が口々に言う。その手は自然につながれている。
「ええ。何かあったらお願いします。多分これからも…色々あると思うんで」
静がちょっとだけ顔を曇らせる。この街の事件は解決したが、根本的な部分の問題は残っている。
プラーナが豊富なこの世界、侵入者はこれからも現れるだろう。
こちらの世界にいるウィザード級のものたちとのつきあいも含め、色々と考えていかなくてはならないだろう。
問題は、山積みなのだ。
「そういえば、銀之介はこれからどうするの?」
いのりが何気なく聞いた疑問に、唐子と銀之介が顔を見合わせる。
「ああ、それはね…」
「銀之介君はね…ホームステイしてこの街で暮らすって!」
銀之介の言葉をついで、唐子が嬉しそうに言う。。
「とりあえず、一人立ちできるめどが立つまでだけどね」
銀之介は決めていた。これからは、この街で暮らしていく。大切な人のいるこの街で。
「へえ〜ホームステイですか?どんな人なんですか?」
興味シンシンと言った感じで小夏がたずねる。それに銀之介は頷いて答えた。
「飯波市に父さんの知り合いが住んでいるらしいんだ。それで事情を話したら、好きなだけ居ていいって」
「確か銀之介君のお父さんがアメリカで知り合った人だって言ってたよね。名前は…花丸さんだっけ?」
「花丸?」
倉地が怪訝そうに眉をひそめる。びみょ〜に嫌な予感を感じて、銀之介に尋ねる。
「駒犬君…」
「なんですか?」
「その人…もしかして前原町に住んでたりする?」
「あれ?知ってるんですか?」
銀之介が不思議そうに尋ねる。
「このあと、2人を見送ったらその家を訪ねることになってるんです。と言っても詳しい場所は知らないんですけど」
「前原町駅にいけば分かるって言われたんだっけ。迎えに来てるのかな?でも時間の指定は無かったんだよね?」
「そう…」
銀之介と唐子の話を聞いて倉地は確信する。
「じゃあ、色々と大変だろうけど、頑張ってね」
ものすご〜く同情をこめて、きょとんとしてる2人に、倉地が言った。


339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 09:08:40 ID:ZTAOBzbo
しえんー

340 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/27(日) 09:12:33 ID:vR6EZ6s4
ピリリリリリ…

「あ、そろそろみたい」
「さて、そろそろみたいですね」
警笛の音を聞いて2人が電車に乗り込む。少しして、扉が閉まり、電車が動き出す。
「それじゃあ、またいつか!」
「それじゃ〜ね!」
ブンブンと手を振ってお別れの挨拶をする。電車はすぐに加速して、駅のホームも見えなくなった。
「…でも、ちょっぴり残念だったね」
走り出した電車の席に座り、いのりが静に話しかける。
「何がだい?」
「サフィーちゃんのこと。お別れ、言えなかったなって」
不思議そうに問い返す静にいのりが溜息をもらす。

『全部終わったから旅に出るでしゅ さよならは言わないでしゅ サファイア』

手紙を残し、サフィーは何処かへと消えていた。恐らくは夜のうちに経ったのだろう。
服とかの荷物も全部なくなっていた。
「しょうがないさ。あの子は…サフィーちゃんは根っからの風来坊みたいだしね。
それに、サフィーちゃんはデイウォーカーとして今までできなかったことだってできるようになったんだ。楽しんでくれればいいさ」
「え〜?せんせい的にサフィーちゃんはそんなもんなの?」
何か悟ったように言う静に不満げにいのりは言う。
「昨日はあんなに必死だったのに」
「え?」
「『帰ってこい!サフィー!』いや〜熱いね、青春だね。せんせいも若かったんだね〜」
「んなっ!?」
「あんなにギュッと抱きしめて、ボロボロ泣いてたのに〜」
「い、いのり君!そう言うのじゃないんだよ!」
いつもは冷静な静が真っ赤になる。
「ほら、あれはその…な、仲間!そう仲間を失いたくないってやつで…」
「いい雰囲気だったな〜。思わずあたしはお邪魔虫だから退散しようかと思ったもん」
「だからあれはホッとしたって言うか…」
「けっこうお似合いだと思うよ。なんだかんだで息ぴったりだったしね〜」
静の必死の言い訳も通じない。いのりのちょっぴりの嫉妬も含んだスーパーからかいタイムは東京に到着するまで続いたと言う。


341 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/27(日) 09:17:00 ID:vR6EZ6s4
…ところで、話はちょこっとだけさかのぼる。
「静さん…もう帰っちゃうなんて…」
ぐるぐるメガネの少女、三石小夏がその話を聞かされたのは、今日の朝のことだった。
「本当に残念だな〜」
溜息をつく。せっかく出来たお友達が帰ってしまうなんて。
これだけ寂しいのは、唐子が卒業して以来だ。
「…あれ?あの子…」
げっそりと溜息をつく小夏がその女の子に気づいたのは、本当に偶然だった。
駅の券売機で、なにやら首をかしげている…小さな女の子。確か駒犬先輩と一緒にいたような気がする。
「あの…どうしたんですか?」
根は親切な少女である小夏はその赤毛の女の子に話しかける。
「え?…ああ、切符が売ってないんでしゅよ。お金はこれで足りるはずなんでしゅけど」
流暢な日本語で話してはいるが、明らかに外国人の女の子は、小夏の方を向いて答える。
「切符が売って無い?」
小夏は首をかしげて、そのことに気づく。
その手には1万円札が握られている。子供料金ってのを考えるとちょっとその辺の駅までって話じゃなさそうだ。
「ああ、遠くの駅に行くんだったらこの券売機だと無理だと思いますよ」
遠距離用の券売機に案内し、お金を入れてあげながら、聞く。
「それで、お嬢ちゃんはどこまでの切符が欲しいのかな?」
その問いに、少女は笑顔で答える。
「え〜と…東京の、秋葉原ってところでしゅ!」

「ありがとうでしゅ。三石のお姉ちゃん」
「い〜え。困ったときはお互いさまなんで気にしないでください」
少女が手を振る。それに手を振り返しながら、小夏はふと考えた。
(そ〜言えば…なんであんな小さな子が一人で?)
かすかな不思議の香りをかぎとって考え始める小夏だったがすぐに気づく。
「あ!そうだ!静さんといのりさん!」
そうだ。元々見送りに来たんだった。うっかり忘れるところだった。
「大変!すぐに行かないと」
慌てて走り出した小夏は、すっぱりと先ほどまでの疑問を忘れ去っていた。

「…さてと」
小夏がいなくなったのを確認して、赤毛の少女が歩き出す。
「ロンギヌスとやらの特別急行って、確かこっちのホームだったわよね?」
さて、どうすればバレずに乗り込めるだろうか。
そんなことを考えながら、知らず知らずの笑みを浮かべる。
昔、世界中を逃げ回ってた頃の感覚が蘇る。昼間の間に逃げるためにあちこちに潜りこんだりした記憶。
最もあの頃は最初っから切符を買おうとか思わなかったことを考えると丸くなったんだろう。多分。
「異世界ってどんなところなのかしら?」
したいようにする。やりたいようにやる。そのために…生き続ける。
それが、少女のやり方。永遠を退屈せずに暮らすために選んだ道。
「お楽しみは、これからよ」
そう言って笑う少女の口元で。

小さな牙がきらりと光った。

342 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/27(日) 09:17:31 ID:vR6EZ6s4
今日はここまで。

>>282
クライマックスはシリアス風味になりやすいんですよね

>>283
キャラクタと中の人は別物ですからねある意味では

>>284
こっちの世界だと吸血鬼ってウィルス性の感染症患者ですからねえ…なんとも

>>285
ラストは主人公かなってことでこっちにしました。

>>286
ロケットランチャー…考えたんですけどうまい使い方が思いつきませんでした。

>>287
どこぞの大公はんみたいにぽんぽん負けて作り直しってわけにもいかないんで難しいところですけどね

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:19:27 ID:S51sV8Zd
なんとなく、エンディング最後のマスターシーンで落とし子の春美が登校するのが見えた気がした。

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 12:28:44 ID:wmlwclPS
花丸ウォークラリーナツカシス

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:30:24 ID:xn5qG9BN
>>344
なんかヒマな魔王がチェックポイントに混じってそうだ>花丸ウォークラリー
特にベルとかベルとかベルとか菊田先輩とか

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 06:27:00 ID:6jpuLDY9
魔王犬「わふっ」

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 07:12:38 ID:WJOzx7hG
「はっ?! い、いや、違う、うちは犬じゃないけんのぉ!」

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 08:21:24 ID:EiYlVPt+
禁書さん阿智クロスさん乙です

当麻の不幸度が原作以上にw
そして回避も原作以上にw
次回も期待です



ってサフィー付いてきてるじゃねーすかw
銀之介たちも絆がふかくなったようでなにゆ

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:34:33 ID:g30/qgx1
アインほしゅオウル

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 17:30:50 ID:rE4VyxTW
むう、何だこの過疎は

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 23:12:17 ID:Q2LDoP1B
けっこう波があるんだよ、ここ。平日休みじゃない人間が多いのかも知れない。

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 00:00:47 ID:3j0l2baO
……まあ一般的には休日が休みな人間の方が多いとは思うが

353 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:35:06 ID:XGKKl2qI
ようやく完成しました。5時45分から投下します。

354 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:45:12 ID:XGKKl2qI
side 駒犬銀之介

「や、やっとついた…」
ぜぇはぁと肩で息をしながら銀之介はその扉の前に立っていた。スーパーの袋を抱えながら。
「た、大変だったね…」
けなげにも最後まで付き合った唐子が今までの道のりを思い出して遠い目をする。
「倉地先生…もしかして知ってたのかな?」
だったら教えてくれてもよかったのに。

『花丸家、東に300m』

駅の看板に書かれた、ひじょ〜に分かりやすい指示を見つけたときには、まさかこうなるとは思っていなかった。
「父さんから、ちょっぴり変わってる人だとは聞いてたけど…」
そこは飯波市前原町マンション矢吹8階の一室。
これから、銀之介が居候としてお世話になる家だ。

「なんだお前飯波にいたのか。だったらちょうどいい。父さんの友達んとこで世話んなってこい。
お前ももう18だからな。そろそろ独り立ちしてもいい頃だ」
最初に銀一郎から話を聞いた時には驚いた。一人立ちできるようになるまでホームステイ。
父さんの友達って人もほぼ即断即決だったって言うから驚きだ。
「どんな人なんだろう…」
銀之介は初耳だった。飯波に父親の友達がいるなんて。もしかしたら最近知り合ったのかもしれないけど。
銀一郎の話ではかなり破天荒な人物らしい。会えば分かるって言って詳しくは教えてくれなかった。
「とにかく、ようやく辿り着いたんだから、会ってみようよ!」
唐子がこれまでのことを思い出して、言う。
大変だった2時間の道のりを。さんざん駆けずり回った揚句に駅に戻って来た時の脱力感を。
「そうだね…」
銀之介も気持ちは同じだ。このまま帰る気にもなれない。銀之介が頷き、呼び鈴を鳴らす。
ピンポーン
「はぁい。どなた?」
中からえらい美人が出てきたことに2人は驚いた。
年のころは20代後半くらい。しかもどう見ても日本人じゃない。
「あら?それ…」
ぼ〜ぜんと見ている2人の手に握られているものに女が気付いて考えこむ。
スーパーの袋。中身は…ネギに豆腐にシラタキ卵そして肉。
「それってまさか…ちょっと待っててね」
ちょっぴり同情した顔で奥へと戻る。
「辰太郎に言われてるの。こういうときは…」

花丸家には不文律の掟がある。
キリスト教徒っぽい人が来たら「うちは仏教なんです」と言い、
仏教徒っぽい人が来たら「うちはキリスト教なんです」と言う。
両方いっぺんにきたら「うちは神道なんです」と返す。
3ついっぺんだったら「うちはイスラム教なんです」と答え、
良く分からない宗教の人が来たら対抗して「うちはハナモモンガ教なんです」とよく分からない答えで追い返す。
…そして、すき焼きの材料を買ってやってきた相手には。

「これ使えって」
奥から取ってきた年季の入った小さなくす玉を割る。昔作ってはみたが、使うことなく封印されてきたそれを。

『ゴールインおめでとう!!!』

紙吹雪と共に出てきた垂れ幕が下がる。
飯波市前原町名物の久しぶりの達成者の2人は、それを見てうつろな目をして笑った。


355 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:47:55 ID:XGKKl2qI


「ところで、一応確認しておきたいんだけど、あなたが今日からここに住むって言う…」
お茶を出しながら、女性は2人に確認をとる。
「はい。駒犬銀之介です。んでこっちが…」
「となりの飯波商店街に住んでる、七味唐子です。銀之介君のこと、よろしくお願いします」
「そう。あなたがやっぱり銀之介君なのね。はじめまして。私はクラレンス。辰太郎の妻です。よろしくお願いするわね」
そう言って女性…クラレンスはにっこりと微笑む。余裕と艶っぽさを含んだ、大人の女性の顔。
色っぽさと言う点では倉地にすら負けていない。
(…奇麗な人だな〜)
(ザ・大人の女!って感じだよね。何食べたらこんな風になるんだろ?)
なんてなを考えながら出されたお茶を2人してすする。
「ところで…」
クラレンスが艶然と微笑みながら2人に尋ねた。
「もしかしてそちらの唐子さんは銀之介君のいいひとなのかしら?」

2人して同時にお茶を噴いた。

「えっといやその…」
「ああいえそれはその…」
2人してしどろもどろになったあと、こくんと頷く。
「…はい。唐子は…僕の大切な人です」
「銀之介君!?」
真っ赤な顔で、照れながらもはっきりと断言した銀之介に唐子は顔を真っ赤にして俯く。
今までだったら即否定していたかも知れない。
けれどもう否定はしない。昨日、あの戦いの前に決めたから。
これからは、唐子と一緒に歩んで行くんだって。

その様子を見てクラレンスは笑みの種類を変える。
「あなたたち、本当に仲がいいのね。ちょっとやけちゃう」
1人の大人の女性から、我が子を見る母親のような笑顔に。
クラレンスも辰太郎も知り合ったのは二人ともいい大人になってからの話だ。
そのせいか、息子夫婦のような若い男女の甘酸っぱい思い出みたいなものってのは無い。
どっちかってえと酸いも甘いも噛分けた、18歳未満お断りな大人の関係なのだ。
「でも…そういう風に言ってくれる男の子がいるのは、嬉しいわよね」
だけど、クラレンスは思い出した。800年の人生で一番うれしかった思い出。
「これからも、お幸せにね」
吸血鬼でも関係ないと言ってくれた男が現れたときの思い出を。


356 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:51:20 ID:XGKKl2qI


今日の花丸家の晩御飯は、すき焼きだった。どうやら今日銀之介が来るため、準備していたらしい。
唐子も一緒だ。メシはみんなで食った方がうまいからとは家の主の弁である。
「そうか!お前が銀一郎の息子の銀之介か!本当に銀一郎にそっくりなんだな!ま、飲め飲め。ほら唐子さんもどうだ…いてっ!?」
「こらこら。そう言うのはあと1年待ちなさい。この子たちはまだ未成年なのよ?」
その名は花丸辰太郎。この家の主であり、銀一郎の友人であり、魔王を倒した男の1人である(最後のは秘密だけど)
「なんだよ〜いいじゃんか少し位。アイツは全然酒飲めなくなっててつまんないんだよ」
「ダ〜メ。よそ様から預かってる子供なのよ?」
その魔王を倒した男の手綱を絶妙の力加減で取るクラレンスも手慣れたものだ。
伊達に6年もこの男の妻をやってない。
(なんて言うか…どこも一緒だなあ)
銀之介がその様子に父親と母親を思い出しながら見ていると。
「ねえねえ」
服の袖を引っ張られる。そこには、1人の小さな女の子。この家の長女、花丸花ちゃん(4歳)である。
「これ…見て」
「へえ〜なんだい?」
銀之介は反射的にそちらを見る。
「それは…銀之介君!見ちゃダメ!」
一足先にそれを見た唐子の制止は、間に合わなかった。
花ちゃんは偉業を成し遂げた。
若干4歳にしてすき焼きには欠かせない卵を1人できれいに割ることに成功したのだ。
花ちゃんはその成果を誰かに見せたかった。そこで今日からここに住むって言う銀お兄ちゃんとそのお嫁さんならきっとほめてくれる。
(花ちゃんにとっては“お兄ちゃん”と一緒のお姉さんはみんなお嫁さんだ)
「…え”!?」
目の前につきだされた黄色いまんまるに濁音付きで銀之介は驚愕し、全身をぞわぞわが襲う。
満月は克服したし、好きな時に変身できるようにはなった。
だけど、卵は別だ。これだけはいまだにどうしようもなかった。
そんなわけで。
銀之介は花丸家初日にして銀色の狼へと変身した。

突如目の前で狼人間に変身した銀之介。だが、それを見ても花丸家の人々は驚かなかった。
「わあ。銀お兄ちゃんすご〜い!」
花ちゃんがパチパチと手を叩く。びっくりしたりはしない。
“お兄ちゃん”が花ちゃんには出来ないようなすごいことができるのは当たり前だから。
「お〜お〜。変身した後の姿も銀一郎そっくりなんだな!流石は親子!」
辰太郎も毛ほども気にしていない。って言うか知ってた。銀一郎がそうじゃなかったら多分今頃生きてなかった。
共に戦った戦友の息子なのだ。どの道そんなちっちゃいことは気にする必要も無い。
「その姿…ああ、あなたが銀之介君だったのね!」
クラレンスが何かに気づいてポンと手をうつ。名前を聞いた時から気にはなっていた。どっかで聞いた名前だと。
どこで聞いたのかは思い出せなかったが、つい最近その名前が出て来たのは覚えていたのだ。
「サファイアが言ってた子よね?あの子とは会った?」


357 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:51:52 ID:XGKKl2qI
「「えっ!?」」
何気ないクラレンスの言葉に2人して驚く。
「クラレンスさん…サフィーちゃんのこと知ってるんですか!?」
「あら?あの子から聞いて無いの?知ってるも何も」
唐子の問いにクラレンスはむしろ意外そうに答えようとする。そのときだった。
ガラッ
誰もいないはずの部屋の窓が開く音がする。
「「ただいまー」」
同時に聞こえてくる、若い男女の声。
「あ!森お兄ちゃんとジルお姉ちゃんだ!」
その声に花ちゃんが嬉しそうに言う。
「おう。タイミングいいな。いつ帰ってくるか分かんねえからそのうち紹介しようと思ってたんだ」
ベストなタイミングに辰太郎もご満悦だ。
「うちの愚息と、その嫁さん。普段はあっちこっち旅してて帰ってこねえんだが」
ガチャッと。
扉が開いて2人の男女が入って来て…見慣れない狼人間に固まった。

後に、銀之介は語る。
「世間って、意外にせまい」と。


358 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:54:41 ID:XGKKl2qI
side 倉地香+1

「要いのりさん…はもういないのよね」
いつもの習慣で名前を呼んでから気づいた。要いのりが既に帰ったことを。
「今日は教室が妙に静かだと思ったら…」
ちょっぴりさびしく感じる。
この1ヶ月、やたらとうるさかった少女がいなくなったためか、教室は静かだ。
「あれ…?」
と、そこで倉地は違和感を感じた。いのりがいない分静かなのは分かる。
だけど、他にも誰か足りないような…そんな気がする。
「一体、誰だったかしら…」
そう、考え込んでいると。
「すいませ〜ん!」
ガラッと。
ドアが開いてその少女がやってくる。
「ちょっと作りなおしに手間が…じゃなくて、寝坊しました!」
「ああ…」
教室に飛び込んできた少女を見て、倉地は思い出した。
1年2組には、もう1人小うるさいのがいたってことを。
「珍しいわね。ミニ三石ちゃんが遅刻ギリギリなんて」
色々と取材だのなんだのであちこちを駆けまわってはいるものの、彼女は基本的には真面目に学校に来ている。
それだけに、遅刻寸前で現れるのは珍しかった。
「ま、いいわ。今日はまだあなたの名前を呼んでないから多めに見てあげる。さ、席につきなさい」

(いや〜今回は危なかったわ。もう少しで裏界から出られんようになるところやった)
席に座り、再び再開されたホームルームをぼんやり見ながら少女は考える。
滅ぼされてしまった以上、今までの身体はもう使えない。
1からの作り直しには結構な手間と労力、そして膨大なプラーナが必要だ。
今回の計画で落し子を量産したり世界を繋げようとしたりしたお陰でそれだけのプラーナは残っていなかった。
にも関わらず少女が舞い戻ってこれたのは…
(アニー様々やな)
自らにプラーナを提供してくれた、裏界の公爵の1人を思い出す。
何かと情報を集めることの多い彼女は少女にとっての“お得意様”である。
今迄にも様々な情報の対価としてプラーナをよこしてきたことが何回かあった。
(にしても…最近アニーはんにプラーナ貰えるような情報あたえたやろか?それも写し身作り直せるほどの奴)
少女は考え込む。新しいことを教える代わりに教えたらすっぱり忘れる主義の少女はすっかり忘れていた。
使い終わっていらなくなった異世界の魔術書を、一番欲しがりそうな奴に渡していたことなど。
(ま、ええわ。うちは取材さえできればええし。ちゅうてもこの身体じゃ無理はでけんけどな)
流石にどこぞの蠅の女王のように前と同じと言うわけにはいかない。
世界結界が無いこの世界でなら駆け出しのウィザードと同程度には戦えるくらい。
それが今の少女のまごうことなき実力だ。
(ま、とりあえずはまた色々この世界の取材しながら…)
東京近郊の忍者一族。神奈川県の宇宙人集団。遊園地で突如消えた中学生のカップル。面白いネタはまだまだある。
どこから取材しようか。なんてなことを考えながら…
(また、世界狙ってみんのもわるないかも知れんな…)
三石春美の姿をした魔王、ファルファルロウは薄く笑った。


359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 05:55:23 ID:xiXSFqq6
初めてリアルタイム!? 支援〜

360 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 05:56:24 ID:XGKKl2qI
side 要いのり

「やっとついた〜」
特別快速ノンストップでも3時間。静といのりの2人はようやく戻ってきた。
静はこれから魔術協会に行って事件の報告書を提出すると言ってそのまま姿を消し、いのりだけ先に帰ることになった。
「うわあ…すっごく久し振り」
チラシを配るメイドさん、あちこちを歩き回る“いかにも”な男たち。ヘリで拉致られている柊蓮司。
それらを見ながら、要いのりは改めて実感する。帰って来たのだと。
そんな風に妙に懐かしく感じながら見て回っていると、声をかけられる。
「お〜い、いのり〜」
「あ、京介!?どうしてここに!?」
突然の再会にいのりは驚いた。
とりあえず家を片付けたら会いに行こうとは思ってたが、まさかいきなり会うとは思っていなかったのだ。
「ああ、せんせいが連絡くれたんだよ。いのりが帰ってくるから迎えに行って欲しいって」
「そっかあ…」
静の心使いに感謝。
「そういえば、お姉ちゃんは?」
何気なく聞いただけだったが、何故か京介は目をそらし、言った。
「いや、あのな…」
ものすご〜く言いにくい。
静はもちろんねがいにも同じ内容の電話をしてはいた。だが、ねがいは。
「ジニ―さんらとダンジョン潜ってくるって。なんか時間制限付きでレアモンスがどうとか言ってたぞ」
ネットゲームを優先させた。
「…まったく、お姉ちゃんは」
相変わらずすぎる姉に苦笑しながらも、いのりはちょこっと感謝する。
「とにかく、お帰り。いのり」
「うん!ただいま!」
久しぶりの再会を2人だけで迎えられたことに。

ところで。
「…あれ?」
京介にただいまを言った後、いのりはふと違和感を覚えた。
京介の首筋に、絆創膏が張ってあった。
「それ、どうしたの?」
「え?ああ、これか?」
ちょっとだけバツが悪そうに、京介が答える。
「実はついさっき、吸血鬼に襲われたんだ」
いきなりだったのと姿に惑わされ、抵抗らしい抵抗もできなかったと、ちょっとだけ悔しそうに言う。
幸い吸われた量も大したことはなく、傷もすぐに治ると言われたので、そのまま来たのだ。
「いのりも気をつけろよ」
「え!?ああ、うんそうだね!」
いのりはたら〜りと汗を流しながら、それを誤魔化すように笑う。
そ〜ゆ〜ことをやりそうな人物に心当たりがあるとか言えない。
っていうか彼女がこの街にいるわけが無いじゃないか。異世界出身なんだし。
そう結論し、いのりは忘れることにした。多分、ぐ〜ぜんだって。

…彼女はまだ知らない。それが後に多くの“女性”ウィザードにとっての大事件の幕開けとであったことを。

その事件の解決は、1週間後。ある男と犯人の出会いまでかかることになる。
その男の名は…


361 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 06:00:20 ID:XGKKl2qI
side まほうせんせいと赤毛の悪魔

飯波市から秋葉原へと舞い戻りはや1週間。
様々な処理も終わり、輝明学園の教師としての平穏な暮らしが戻って来た。
慌ただしくも充実した、いつもの日々。
今日もいつもの授業を終えた夜、静は輝明学園で用意された教員用アパートで物思いにふけっていた。
考えることはただひとつ。
(サフィーちゃんは、元気にしてるかな…)
共に戦った、吸血鬼の少女のこと。
「…あんなに急いでいなくならなくてもいいのに」
静がため息をつく。
結局お別れの言葉もろくに言えなかった。
「簡単に行き来できる場所じゃあ無いのになあ…」
何しろ異世界である。
任務を受けて、ならともかくちょっと観光で行くってわけにも行かない場所なのだ。
ついでに、そうそう任務が回ってくるとも思えない。静の引き受ける任務の量はそんなに多くは無い。
どこぞの下がる男じゃあないのだ。
そんなわけで向うの世界の心残りに静がため息をついたそのときだった。

「…ん?なんだろ、あれ?」
静がふと気づく。何かが、こちらに向かっている。
「鳥ってわけじゃあ…なさそうだな」
そう呟くと、静の身体が自然と動く。
ガラスが割れないように窓を開け、窓から離れる。
同時に魔法を準備。これから突入してくるであろう侵入者に備える。
「さて、一体何者なのか…」
魔装を起動させ、準備。いつでも撃てるようにしておく。
そして…

ドッカァァァァン

「いったああああああああい」
それが壁に激突したのを確認し、魔法を放とうとして、静は気づいた。
飛び込んで来たのは、1人の少女だった。紅い髪が印象的な小さな少女。
それは間違いなく…
「サフィーちゃん!?」
「その声は…シズク!?」
侵入者の方も気づいた。それが、自分の見知った少年であることに。

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 06:02:19 ID:xiXSFqq6
支援

363 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 06:03:33 ID:XGKKl2qI
「それで、なんだってサフィーちゃんがファー・ジ・アースにいるんだい?」
「あら言ったじゃない。旅に出るって。アタシは、その場所がどことか言った覚えはないけど?」
いけしゃあしゃあとサフィーは言い切る。
「しばらくはこの街で過ごそうかと思って、放浪してたんだけど…面倒くさいことになってね」
「面倒くさいこと?一体、何があったんだい」
サフィーの顔がマジになったのを見て、静も真面目な顔で問い返す。
サフィーは頷いて、ただ一言、答えた。
「追われてんのよ」
追われてる。穏やかじゃない表現に真剣な顔で静は聞き返す。
「一体…何に?」
だが、次のサフィーの言葉で静は思いっきりずっこけた。
「腕が変形する女と、メイド服着た魔術師と、なんか変な弓持った神社にいそうな娘…あたり」
シリアスな空気が台無しだ。
痛み出した頭を抱えながら、静がたずねる。
静の割と優秀な頭は事情を大体察したけど、聞かずにはいられなかった。
「…一応聞きたいんだけど…サフィー、何やったんだい?」
返答は無し。2人の間になんとも痛い沈黙が訪れる。
「…」
「…」
ず〜っと黙ってても話が進まない。仕方なしにサフィーが口にする。
「…献血程度に?」
「なんだってそんな物騒な奴の男にばっかり手を出してるんだ君は!?」
今日も今日とて、静の突っ込みは冴えわたっていた。
「しょ〜がないでしょ。ウィザードの血の方がおいしいんだもの」
実のところご本人たちはそんなに気にしていない。基本お人好しばっかりだし、大した量でもなかったから。
だが、その相方たちは恋人たちの血を吸われて、黙ってられるほど、人間できちゃいなかったのだ。
「だからってウィザードばっかり」
揉めるに決まってんだろとばかりに静が抗議をしようとした、そのときだった。

ドンッ!

サフィーがとっさに動いたその瞬間、さっきまでサフィーの立っていた場所に穴が開く。
なにやらどっかで見たような穴だ。具体的には…何かを撃ちこまれたような穴。
「…ところで今は?」
いや〜な予感を感じて尋ねた静に、サフィーが頷いて答える。
「ああ、あいつが一番ヤバいわね」
世界って広い。自分をあそこまで追いつめられる人間が存在するってのには驚いた。
流石はあの魔王みたいな連中とガチで戦ってきた連中じゃないってことだろうか。
「見た目は普通の人間の癖になんなのあの強さは。大体空を飛べる銃って何なのよ」
サフィーの言葉に色々と、心当たりのあった静が恐る恐る尋ねた。
「まさか…それって紅い髪の女の子だったりする?」
「あれ?知ってんの?」
大当たりだった。
「よりによって一番危険な奴じゃないか!強化人間だから冗談とか通じないんだよ!?」
静の声が思わず裏返る。彼は知っていた。
それが世界を数多くの救ったウィザードの中でもトップクラスの実力を誇る、絶滅社の最終兵器だってことを。

「とりあえず、マユリさんに連絡を取って」
100%自業自得ではあるが見捨てるわけにもいかない。
確か知り合いの魔術師が友人だったはずなどと思いながら0-Phoneを取り出す。
「あー、それなんだけど…」
もう1発、弾丸が部屋に叩き込まれるのをぎりぎりでかわす。
後衛職だと即死してもおかしくない勢いの一撃である。
「…とりあえず、ここにいたらやばいと思うわよ?」
「…分かった。とりあえず、連絡が取れるまで、逃げ回ってくれ」
どうやら選択肢は無いようだった。


364 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 06:04:09 ID:XGKKl2qI
ちょっと離れたその場所に、その紅い髪の少女は立っていた。
…手に、巨大な箒を持って。
どうやら“ターゲット”は仲間と合流したらしい。ウィザードらしき男を抱えて飛び出してきた。
多分、いや絶対そいつも敵。
いつもの冷静さを欠いた少女はそう、結論づけた。
「待ってて、命…」
少女の脳裏に浮かぶのは、ただ一つ。
痛々しい傷を負った、最愛の少年の姿。
「…仇は、必ず取るから…」
死んでない死んでないって突っ込みは野暮ってもんである。


365 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 06:07:29 ID:XGKKl2qI
黄色い月が煌々と照らす夜の空の下を少年を抱いた少女が駆ける。
「やっぱりアタシにはこういうのの方があってるわね!」
時折飛んでくる弾丸をスレスレでかわしながら、サフィーは笑う。
やっぱりこの方が自分にはあってる。
殺される心配のない平和な世界は楽だけど…1人では退屈なのだ。
「…本気ですか?マユリさん。僕に面倒見ろって…」
サフィーに抱かれた静がマユリに連絡を取り、その話を告げられる。
異世界からの侵入者。普通ならば即刻排除か強制送還だが、今回は話が違う。
なにしろ偶然とは言えウィザード化した吸血鬼なのだ。
下手に向うの世界に返して同じような事件を起こされては困る。
そのためしばらくはウィザードの1人としてこちらで暮らしてもらう。
…なお、その際には保護者兼監督役として、彼女と関わりの深いウィザードをつける。
それが魔術協会の結論だった。
「…ああもう分りました。分かりましたよ。でないと灯ちゃんを止められないとか立派な脅迫ですよそれ」
溜息と共にその話にOKを出す。
「と、言うわけでサフィーちゃん…」
「聞こえてたわよ。やっぱりそうなったわね」
「やっぱりって…まさか」
サフィーのセリフに、静は気づく。サフィーの本当の狙いに。
「ま、アタシがこっちでなんかすればこうなるかなってね」
「計算ずくってわけか…」
どうやら自分は目の前の吸血鬼にはめられたらしい。
そう、確信した静が渋い顔をする。
だが、やられっぱなしじゃあ面白くない。そう考えた静がサフィーに告げる。
「分かった。だけど僕と暮らすのならば、約束してくれ」
「約束?」
サフィーが不思議そうに問い返す。

「ああ、そうだ。約束してくれ」
静が真面目な顔で言う。

「僕と暮らしている間は、僕の血は、吸わないって」

その言葉を聞いた瞬間、サフィーの心臓が跳ね上がる。
酷く懐かしい気持ちと酷く新鮮な気持ちが入り混じった、不思議な感覚。
「…いいわ!しばらくアンタの血は吸わないどいてあげる!」
それを隠すように努めて冷静に、だがいつもより力を込めてサフィーは即答した。

(僕の血を吸わないで、か…)
静の言葉に、サフィーはひそやかに決心を固める。
やっぱりこの子がいい。改めて、そう感じた。
(いいわ。アンタの血をアタシは吸わない)
サフィーたちの世界の吸血鬼の吸血には食事以外にもう1つの意味がある。
(ただし…)
それは10分間以上続く愛の証。
(…それはアンタがアタシの恋人になりたいって言うまでの話よ)
吸血鬼にとっては求愛行動とも言えるもの。
(絶対に振り向かせるから、覚悟しときなさいよ)
強い決意と共に力強く、生命力にあふれた笑みを浮かべた少女を。

明るい月が照らしていた。


366 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/01(金) 06:08:03 ID:XGKKl2qI
これにて終了。
…さて、外伝書くとしたら、誰をメインにしたものか…

>>343
ラストは転校エンドも考えたんですが、こっちで行くことにしました。

>>344
僕血のクロスとしては折りを見て入れたいところだったので、やってみました。

>>345
ベルはゴールできるんだろうか…途中で切れて帰りそうだw

>>348
サフィーちゃんが主人公だったのは、このエンドを狙っていたからってのもあったりしますw
銀之介に関しては…10巻で決着つかなかったので…

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 11:51:05 ID:GrvQ2K55
乙様です。
完結かしら?

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 17:00:30 ID:RkOOz+yG
ベルはゲーマーだからブチブチ言いながらもオラクル使わずにやっちゃう珍しい部類だと思うなぁ
他の魔王は絶対オラクる。うん。

>>366
GJ!!!
というかサフィーちゃんもとんでもないとこに手を出したなw
くれはが直で殴りに来るのは少し意外だけどw

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 17:28:05 ID:uGPLsT2B
まほうせんせいの人乙!そして、ぐっじょぶ!!
最後にアニーを出すとか心憎い演出をしつつ、適度にダイナシで適度にステキな終わりになってよかったです。
外伝構想があるのなら楽しみにしてます。

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 21:56:18 ID:XGKKl2qI
>>368
ベル「あ、ブンブン?ちょっと話したい人間がいるの。異世界人でトメ吉って言うんだけど…」
こうですか?分かりません!

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/01(金) 22:06:08 ID:2r7gmuGy
GJ!お疲れ様でした。
血を吸った相手はニンジャボーイ、「勝ち組」の青い地球、下がる男、元ホモでしょうか。
……どうせなら「男の娘」の血を吸ってショタ化するサフィーも見てみたいです。
外伝はニンジャボーイが向こうへ修行に行くと言うのはどうでしょうか。

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/02(土) 08:59:16 ID:tYrQRFLc
GJ!! 完結おめでとうございます。
読んでるうちに懐かしくなって、僕血と僕月思わず読み返ししまいましたよ。
静とサフィーはお幸せにー

ところで。
そういやあの阿智キャラでてないなぁ、と思いながら浮かんだこと。

『夏の特撮祭り ドッコイダー VS リンカイザー』



373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/02(土) 13:57:38 ID:PqI2W9Xd
>>372
ドッコイ 「…いくぞっ!」
輪之助  「来い……!」
ドッコイ 「ドッコイダーキックッ!」
  だがリンカイザーは砕けない!!
輪之助  「なんの! リンカイザーキックッ!」
  だがドッコイダーは倒れない!!
ドッコイ 「まだまだっ! くらえ、ドッコイダーパンチッ!」
  だがリンカイザーは砕けない!!
輪之助  「かゆいぜっ! セイッ、リンカイザーパンチッ!」
  だがドッコイダーは倒れない!!
ドッコイ 「そんなの効かないっ! アップルカッターッ!」
  だがリンカイザーはりんごじゃない!!
輪之助  「なんだそれは! リンカイザーチョップッ!」
  だがドッコイダーは…………
                    ……これ、いつまでも終わらないw

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/02(土) 14:47:56 ID:2kGgHaMg
一応ドッコイダーと思われる描写はあったがドッコイダーにスポットはそういや当たってなかったなw

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/02(土) 18:32:00 ID:0SAF90Pv
いや、リンカイザーはリンカイザー・ヘッドシザーズとかに切り替えるから。
で、ドッコイダーが倒立して抜け出してだな、リンカイザーが起き上がったところで
ドッコイダー・ドロップキック、さらに自分からロープに飛んだところで…

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/02(土) 18:35:05 ID:w83SnMnV
>>375
自爆して犬神家状態?

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/02(土) 20:56:16 ID:d/5wyM2P
これで静は周囲にロリコン教師と呼ばれるようになるな
しかし、一人用の教師寮で二人暮らしになるのか?
そうすると布団に川の字フラグですな

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 07:53:08 ID:OqOspDw0
ふと思いつき。

アンゼロット「柊さーん、今からする私のお願いに(ry」
柊「(ry」
アンゼロット「実は、かつて災厄をもたらした破壊神が、『1000年ののちに自分の子供が破壊をもたらす』
        と言う予言を残して滅んでいるのですが、最近になって相次いでその破壊神の遺伝子を持つ
        『子供』候補たちが複数見つかっておりまして」
柊「……だから、目覚める前に殺せってのはナシだぜ?」
アンゼロット「私としてはそれでも構わないのですが、違います。
        現在、この問題を主に当たっている超常現象対策局では、破壊神の遺伝子を持つ者達を
        家族として一箇所に集め、破壊神となる真なる子供は誰かを特定すると共に、
        「こんな素晴らしい家族を滅ぼすのは嫌だなぁ」と思い直してくれる事を狙った、
        『なごやか家族作戦』を展開しております」
柊「そのまんまなネーミングだなオイ?! だがまぁ、そういう話なら嫌いじゃないな」
アンゼロット「あちらには話をつけてあります。柊さんには、その家族の一員となっていただきます」
柊「おう。いいぜ、その依頼受けた」



凰火「と、いうわけで……今日から家族に加わる事になった、乱崎蓮下くんです」
柊「その字は止めろーーーー!」


ファミ通文庫つながりで、「狂乱家族日記」。
(補足、件の『家族』になると、それまでの名前を捨てて、最後が「か」の音になる名前に変更される)

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 10:04:38 ID:ahzf8uil
>>378
狂乱家族になっても相変わらず下がる男か柊wwww

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 21:51:59 ID:msjst02D
ナイトウィザード+ナイトライターで書けそうかなーとか思いついた俺。
芳晴がそのまんま聖職者で、コリンが使徒でいけるしなあ。
キャラデータ的なものも含めて色々考えてみようかと思う。
ただ、ナイトライターを知ってる人がいるのかどうかというのが大問題だw

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 21:56:15 ID:3K6+yiia
ナイトライダーなら知ってるけど。

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 22:09:29 ID:uV3HfZXL
元・葉信者をなめんじゃねーですよ

383 :東方ウィザードの人:2008/08/03(日) 22:18:03 ID:GRin/lCE
申し訳ない。やっと続き書けました。
十時半から投下します。

ところで、トリつけたほうがいいかなぁ?

384 :東方ウィザード「柊蓮司と発狂弾幕」Stage0 前編:2008/08/03(日) 22:32:38 ID:GRin/lCE
「……ここも、ハズレか」
 ――柊 蓮司。
 恐らくここ一年でもっとも有名になったウィザードであろう。『下がる男』の異名を持ち、相棒の魔剣と共にファー・ジ・アースや異世界を駆け巡った魔剣使い。
「古過ぎて折れてやがる。これじゃ素体にはならねえな」
 現在、輝明学園を卒業しフリーランスのウィザードとして活躍している――わけではない。卒業直前に起こった事件がもとで魔剣は折れてしまい、現在修理中。修理が終わるまではバイト三昧――というわけでもない。
「ミッドガルド、ブルースフィア、オリジン、アリアンロッド……4つの世界のダンジョンに潜ったが、どれもハズレ」
 魔剣を修理するために異世界を単身で冒険しているのだ。
「ここまでくると、アンゼロットの情報が信用できなくなってくるぞ」
 通常、剣が折れたら溶かして鍛えなおす他無い。しかし、それでは柊は“使い”になってしまう。ならば、新しい魔剣を持ってこればいいのだ。魔剣に魔剣ワイバーンの核を移植し、新たな魔剣を作成する。それがアンゼロットが呈示した修理法だった。
 そして今、柊はエンディルのとあるダンジョンにいる。代わりの剣を携え地元のギルドに協力を要請してダンジョンの最深部に到達したのだ。そこにあるといわれた魔剣は……折れていた。時の流れに耐え切れなかったのだろう。
 この状態では仕方ない。柊はダンジョンを脱出しようと振り返った所で、落ちた。
「……!!」
 足元に急に、空間の裂け目が開いたのだ。穴に落ちると、無数の“眼”が柊を睨むかなりホラーな空間だった。
「なんだここわぁぁぁぁ!!」
 叫びながらも落ちていく。
 嗚呼、柊がちていく。


385 :東方ウィザード「柊蓮司と発狂弾幕」Stage0 前編:2008/08/03(日) 22:33:38 ID:GRin/lCE
「ぐはぁ!」
 柊が落ちて落ちて落ちた先は見慣れたアンゼロット宮殿のテラスだった。そして数日振りの声が。
「お帰りなさい柊さん。早速ですが私がこれからする質問に、『はい』か『YES』でお答えください……といいたいところですが、今回の依頼主は私ではありません」
「あ? どういうことだ?」
 立ち上がりながら聞く柊。しかし周りを見てもアンゼロット以外に誰かがいるわけではない。
「ここよ」
 アンゼロットの隣から声。何時の間にかそこに派手な声の女がいた。紫色のフリルがたくさん付いたドレスに細いリボンを巻いた帽子、淡いピンクの日傘を差した女だ。細いウェストに豊かなバストを持った、柊にあまり縁の無いタイプの女性である。
「何時の間に……」
「始めまして。貴方が柊蓮司?」
 声を掛けられ、そして理解した。
(こいつ……!)
 目の前の女は人ではない。それ以外の何かだ。
「まさか、魔王!?」
「まさか、妖怪よ」
 女は柊の驚愕にふわりと答える。
「私は八雲 紫、よろしく柊蓮司」
 一歩近づいて右手を差し出される。柊はその右手に応じ、握手。
「あ、ああ……よろしく」
 妙な感覚。違和感かもしれない。彼女の行動に応じざるをえない……いや、それは十年来の友人に会ったような、不思議な心地よさ。
「依頼、受けてもらえますわよね?」
 その言葉を聞いたとき、既に頭の中では拒絶の言葉はない。ごく自然に――
「分かった」
 応と、答えた。
「え?」
 そしてハッと気付く。「俺は今、なんと答えた?」と。柊は初めてであった女の、しかも理由も何も聞かされない依頼にイエスと即答できる人間、ではない。自身もそれは分かっているはず。
「ふふ、では説明いたしますね」
「ま、待ってくれ!」
 柊は紫の説明を止め、手を横に振った。
「俺の魔剣は今壊れてるんだ。だからやっぱりこの依頼」
「魔剣の心配はありませんよ柊さん」
 柊の言を止めたのは紫の傍らにいるアンゼロットだった。彼女は柊を制止すると、テーブルに置いてあったベルを鳴らす。すると、巨大なケースを抱えた、仮面の女性が部屋の入り口から現れる。
「今回使ってもらう、魔剣の代替品――ウィッチブレード弾幕エディションです」
「紫さんに言われて作らせていただきました」
 答えるのは仮面の女性――ロンギヌス・コジマメだ。
「今までとは違う注文ですからね。かなり悩みました」
 コジマメは柊の前にケースを置き、鍵を開ける。その様子を横目に、紫は柊に近づいて扇を開く。
「柊連司、2Dシューティングゲームをやったことはあるかしら?」
「はぁ?」
 紫が聞いたのは柊には予想も付かない質問だった。ゲームと依頼、何の関係があるのか。
「グラディウスとかくらいならあるけどよ、それが一体何の関係があるんだよ」
 くすりと妖怪は微笑い、答えた。
「実際にやってもらいます」
「はぃ?」
 混乱する柊に、紫は淡々と説明を始める。

386 :東方ウィザード「柊蓮司と発狂弾幕」Stage0 前編:2008/08/03(日) 22:35:27 ID:GRin/lCE
「幻想郷という場所があるの。そこは博麗大結界という巨大――とは言っても世界結界よりかは小さいけれども、結界に囲まれている。そこでは、世界結界によって構築された常識は通用しない」
「月匣のことか?」
「似て非なるもの、ね。世界結界が常識で作られ非常識を排斥するならば、博麗大結界は非常識を許容し常識へと変容させる。
 侵魔や冥魔には垂涎の場所よ。それだけに強固かつ頑丈な結界なのだけれども」
「で、そこにエミュレイターが侵入でもしたのか?」
「そう。勘がいいわね。幻想郷ではね、妖怪達は人間に畏怖を与えるの。その感情の流れが妖怪たちにプラーナを供給する。分かるわね?」
「つまり、そうやって多くの人間を襲わなくてもプラーナを得ることができる、ってことか?」
「そういうこと。侵入したエミュレイターもそのシステムを利用した。大した被害はないけどね。幻想郷で集めたプラーナで世界結界がどうにかなるような事を起こす怖れがあるわ。
 そうなっては博麗大結界もお終い。外の……つまりこちらの世界と幻想郷内における常識のズレを利用した結界だから。外の世界が滅びれば、自然と幻想郷も滅びる。それだけは避けたいの」
「じゃあなんでわざわざ俺に? 幻想郷の妖怪達に頼めばいいんじゃねえか」
「幻想郷ではウィザード……エミュレイターに対抗できるモノは生まれない。月衣が常識を阻む。幻想郷では妖怪達の力は既に常識なのよ。もちろん、この私もね」
「俺に依頼する理由は分かった。だがそれとシューティングゲームが何の関係があるんだよ」
「幻想郷では特に盛んな決闘方法があるの。人間でも妖怪でも関係なく、ただ技巧趣向反射神経により決する決闘が。――それが“弾幕ごっこ”よ。
 受け手と攻め手に分かれ、受け手は弾幕を展開し、攻め手は弾幕を避けつつ受け手に攻撃する。ね? シューティングゲームでしょう? 幻想郷にシューティングゲームなんて言葉はありませんけど」
「でも相手はエミュレイターだろう?」
「それがね。エミュレイターも弾幕ごっこを覚えてしまったの。断続的に放たれる魔法を、あなたは避けられる?
 避け道はもちろんあるわ。でも練習やパターン化を重ねないと避けられない弾幕もあるの。あなたにやってもらうのは敵の弾幕を避けつつ接近し、ウィザードの月衣を纏わせた斬撃を与えること。
その為にも、あなたには弾幕ごっこをやってもらいますわ」

387 :東方ウィザード「柊蓮司と発狂弾幕」Stage0 前編:2008/08/03(日) 22:36:53 ID:GRin/lCE
「それで、このウィッチブレードなんだな」
「その通りですわ柊さん」
 柊の納得に、アンゼロットはにこやかに答える。
「そのウィッチブレードは箒ではなく剣です。世界結界の中で魔法使いが無理なく空を飛ぶには箒である必要がある。
 しかし『幻想郷内の常識』に取り込まれないためには、箒という常識ではだめなのです。よって、この弾幕エディションのみ、箒ではなく剣として扱います。
 もちろん箒オプションも使えません。弾幕エディション専用オプションを用意させていただきました」
「使い方や取り扱いは幻想郷で説明しますわ。あなたのサポートをする人物は既に幻想郷に。あとはあなたとそこのロンギヌス・コジマメさんだけ」
「弾幕ごっこってのは一対一じゃないのか?」
「基本的にはそうですけれど、たまに変則的になることもありますわ。説明は後ほど」
 紫が指を弾いて音を鳴らした。すると、柊が見た覚えのある空間の裂け目が――
「……もしかしてこのやたらホラーな中に入るのか?」
「これ以外に幻想郷には行けませんわ。私はこちらに残って博麗大結界の解れを修理しなくてはいけません。あちらでは私の式神に全てを聞いてください。
 この中をまっすぐ歩けばそこに式神が控えていますから」
 仕方ない、とでも言いたげに柊はため息をつき、そしてウィッチブレードをケースごと月衣にしまおうとしたが、
「ちょっと待った柊さん。幻想郷に着いたら月衣の物品収納機能は使ってはいけません」
 その行動をアンゼロットは止めた。
「何でだよ」
「月衣を博麗大結界の常識内に収めさせないためです。使えば使うほど常識に近づいてしまう。しまいには月衣の常識遮断機能も中和されてしまう怖れがあります。ですから月衣は極力抑えるように」
「……わーったよ。手で持てばいいんだろう」
 ケースを月衣から引っ張りそして手で抱えた柊は、月衣にしまっていた日用品等を出してウィッチブレードのケースにしまう。そして、空間の裂け目――スキマへと足を踏み入れた。コジマメも柊に続く。
「行ってらっしゃい柊さん」
「応援させていただきますわ」
 そして、アンゼロットと紫が二人の背中に言葉を掛けると、スキマは閉じられた。

388 :東方ウィザードの人:2008/08/03(日) 22:38:21 ID:GRin/lCE
今回は以上です。
Stageはシューティングゲームに合わせて、弾幕ごっこが始まってからようやくカウントされます。

とりあえず人物紹介や特殊な設定紹介してもよろしいですか?

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 22:58:00 ID:uV3HfZXL
どぞー。
人物そのものの紹介と、クロス的にどうなのか(たとえばNW的な観点とか)を書いてる人もいますね

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 23:02:13 ID:gEfeUCkt
どぞ。
しかし、コジマメかぁ……

391 :東方ウィザードの人:2008/08/03(日) 23:02:23 ID:GRin/lCE
ではでは。

神隠しの主犯 八雲 紫
 かなり胡散臭い妖怪。見た目は少女(らしい)だが、個人的に20代越えてると思う。実年齢は不明で1000年超えてるんじゃね?って話。
 通称スキマバ(スキマ送り)。いろいろ人間味がないらしいが、二次創作界隈ではやたら人間らしい不思議な女。しかし、恐らく幻想郷を一番愛しているキャラクターなのではなかろうか?
 主に「あらゆる境界を操る程度の能力」を持つ。山の稜線が無ければ山は存在できない。水面が無ければ池や海は存在しない。
 万物の存在である境界を弄って創造と破壊をこなす早い話がチート。そんな能力でも限界はある。自らが定めた「博麗大結界の常識」という境界を否定する月衣は彼女にも操れない。
 そのため今回はアンゼロットを頼ることになった。
 その能力からか、多くの二次創作やクロス作品では便利キャラになっている。私も便利に使うことにした。
 「幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ」

神殺しの魔剣を所持していた男 柊 蓮司
 もはや説明不要の男。正直このスレに投稿するかどうか迷う原因。だって普通に幻想入りシリーズっぽいし。
 このSSでの設定は、魔剣が折れた後いろんな世界で魔剣を探していたところをスキマに落とされた、という設定。
でも何故か桃魔の人とリンクしている。大丈夫。許可は取った。


ロンギヌス・コジマメ コジマメ
 本名不詳。三下ロンギヌスだけど、技術仕官。公式設定じゃないので気をつけてね。
 今回、ウィッチブレードを弾幕用にするにあたり錬金術師が必要だったんだけど、巫女は別にいらないのでちょうどいいところにいたコジマメを使ってみた。
 ウィッチブレード同乗者の一人。性能モデルは弾幕はパワーだぜの人。分からない人は分からなくてもいいです。そのうち書くから。


392 :東方ウィザードの人:2008/08/03(日) 23:04:13 ID:GRin/lCE
次は柊の新装備について。

柊の装備品
・ウィチブレード弾幕エディション
 弾幕ごっこの“攻め手”をやるためだけに開発された機械剣。
 幻想郷では「魔法使いは箒で飛ぶ」ことは常識なので、柊が幻想郷の常識に飲まれないために箒や生身で飛ぶことは避けなければならない。
 そのため、箒であるウィッチブレードを元に機械を組み込んだ大剣、という半ば言い訳じみた物。弾幕ごっこをやるにあたり、空は飛べたほうが都合がいいので今回、柊はこれをつかうことになった。
 攻撃用弾発射機構はオプション式で、様々に組み替えることができる。また、タンデムシートに同乗者を置くことにより、同乗者の力を反映させることも出来る。
 つまり同乗者を変えることにより、性能を変えることができるのだ。

・柊連司
スペル:フルコンボ(魔器解放+サトリ+エナジーブスター+三千世界の剣)
柊連司のスペル。通常の東方projectではないので同乗者と柊連司二人のスペルを使い分けなくてはいけない。柊連司フルコンボは接近距離の前方を斬るのみ。幻想郷に侵入した魔王にダメージを与えられる数少ない攻撃方法の一つ。

・ロンギヌス・コジマメ装備
通常弾:マジックミサイルorロンギヌスレーザー
スペル:マルチロックミサイルフルバーストorロンギヌス支援砲撃
 ロンギヌスメンバーであり技術仕官であるコジマメが同乗した場合。通常モードと低速モードで通常弾もスペルも異なる性能となる。通常弾は前方方向しか攻撃できないが、攻威力。
 低速モードのスペルはスキマ妖怪の力を借りてロンギヌスメンバーたちによる支援砲撃。攻撃力は随一で、短期決戦を求めるならどうぞ。
 しかし耐久弾幕や敵との相対位置を維持できない場合はほぼ意味がない。尖ってる。

393 :東方ウィザードの人:2008/08/03(日) 23:05:17 ID:GRin/lCE
今回は本当にコレで終りです。
同乗者は他にもいますよ。まだ作中に登場していないものですから。
とりあえず矢野キャラを予定しております。

394 :東方ウィザードの人:2008/08/03(日) 23:09:07 ID:GRin/lCE
あ、そういえば、一行が長すぎると投稿できないんですね。
今度からは文字数数えて、行の端で改行することにします。

あと読みにくいようならセリフと地の文の間に一行あけたほうがいいのかなぁ

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 23:17:00 ID:uV3HfZXL
ここで新発想!
最初からWiki(まとめ)で見やすい形にしてみるとかどうかな!


396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/03(日) 23:22:15 ID:72SJ7tyE
セリフと地の文に限らず、適度な所で空行入れる人が多いし
個人的にもそのほうが読みやすいかな。

そして空行を入れる場所も表現力のうち、みたいな

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 05:02:53 ID:ak59Rww1
舞姫を、まって時が、4月過ぎ

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 05:28:32 ID:ws+Sgxuh
ところで。
柊は何をする程度の能力の持ち主なんだろうな。

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 07:00:36 ID:xASgHF7B
やっぱり『あらゆるものが下がる程度の能力』じゃね? ひーらぎだし。

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 08:21:48 ID:kHfX0xH8
設定が違和感なくまとまってていいなぁ
続きに期待

そして、投下に流されそうだがナイトライターとのクロスにもひそかに期待
話の続きが見たくてタイピング練習したのは懐かしい思い出

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 12:05:29 ID:qtgf1BEM
戦闘城塞マスラヲとのクロスを考えてみた

魔王の力を制御下に置こうとするアンゼロット、送り出したウィザードは、

ヘタレ忍者と人造人間ペア
強化人間とフェレットペア
くれはと柊(種族:下がる男)ペア

…二番目が、どんぺりの代わりに料理でもいい気がしてきた

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 12:26:44 ID:dphZMFs8
下がる男は魔剣とセットでも参加資格ありなんだよな

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/04(月) 14:53:15 ID:1KnNoXWh
魔器人化フラグか…!
一時期地下で流行ってたな魔器お姉さん

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/05(火) 02:34:28 ID:Tp+r2aBG
久し振りに保管。
放置してるとどんどん保管が億劫に。

  __,. -=- ,、     ●まほうせんせいと赤毛の悪魔 #22〜#25
 '「'_r.'´_r-、>r-、   ●レンタルマギカ(>262)
 //`Y´_>,_ノ<_ン'、  ●居酒屋ろんぎぬす 従者たちの哀歌(さぁばんつ・えれじぃ)
 i | r'_r',!イノ)ノン,),  ●とある偽善使いと魔剣使い #01
 ヽ>,_(..ィノ!゚ ヮ゚ノ)´  ●住めば都のコスモス荘(>372-373)
  `ー '(kOi =ikつ  ●狂乱家族日記(>378)
    ,</,_|鬥|ヽ   ●東方ウィザード『柊蓮司と発狂弾幕』 #02
    `"-r_ォ_ァ-'"   ●戦闘城塞マスラヲ(>401)

ちなみに今回のAAは八雲紫さん。東方知らないんだけどね。





405 :まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/08/05(火) 07:11:21 ID:rFFjVX+m
レス返し。

>>367
完結です

>>368
…しまったあー!?変な弓はともかくひとっつも神社っぽくねえ!?
【読み返して気づいたらしい】

と、言うわけで下がる男じゃないのです。まとめの方ではなおしますorz

>>371
忍者が異常に多い世界ですからねえ…修行先ってえと伊賀と甲賀と血桜…どこ行っても苦労しそうだw

>>372
ヒーローコンビはロマンですね。

…リンカイザーの血を吸おうとしたら歯が欠けそうだw

>>374
今回はあくまで飯波2連作舞台でしたからねえ…他のキャラもそのうち挑戦してみたいです

>>377
大丈夫!故郷に残してきたフラグ立ってる娘も外見7〜8歳だから!(実年齢でも小学生くらいだけど)
…川の字って言うか小の字?

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/06(水) 15:03:33 ID:Wg3HQ1/F
誰もいない

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/06(水) 15:32:50 ID:ZQcAGQUD
お前もいない

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/06(水) 17:20:29 ID:z0IRaech
そして誰もいなくなった

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/06(水) 18:07:51 ID:+h7CW3NT
どっかの誰かと結婚でもしたか?

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/06(水) 19:11:40 ID:oc0OpO47
結婚は人生の墓場と言うしな。
そういう意味ではスルーを続けるのは正しいことだ。たぶん

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 11:31:55 ID:sgqkn0VW
>>403
結構遅レスになるが、卓ゲ板の方で魔剣×柊もの一方通行話やってるみたいだよ

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 13:36:12 ID:ypBMI2Qi
ドラクエXの結婚で悩む柊にビアンカを推すくれはとフローラを推すエリス

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 13:42:06 ID:vGHscJ/z
ピッ

[>フローラ
 ビアンカ

くれは「えーーー!」
柊「だってイオナズン覚えるし」

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 14:15:43 ID:+mJltMer
どう見ても中の人の選択です。



415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 14:22:42 ID:ypBMI2Qi
ドラクエXの結婚で悩む柊にビアンカを推すくれはとフローラを推すエリス

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 14:30:56 ID:ypBMI2Qi
ごめんミスッた

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 15:03:59 ID:7dY8vzAk
そしてルドマンを推すグィード

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 17:57:37 ID:+mJltMer
そしてノリノリでルドマンのまま結婚式を進めるGMきくたけ

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 19:45:45 ID:/u1YvXsB
ほら、ルドマンも悪くないけど真に苦楽を共にした親友がいたろ。
ぽっと出のオッサンではなくあいつと主に行かせてくれよ。

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 20:30:31 ID:OANPvzzw
ヘンリエッタですね。わかります

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/07(木) 20:30:57 ID:HcDkzE1M
しかし奴に、アッーとシスターでアッーの方を選ばせる残酷な真似なんて俺には到底できない。
……まあ多少メラメラと嫉妬は覚えるが。くそ、この野郎。いいなあシスター。

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 01:15:05 ID:YT3hB6wl
NW×ダブルクロスアキハバラステージ

クロスと言っても、違和感がなさ過ぎるか…。
エリスが赤羽神社の居候がかりじゃだめです!と唐突に一念発起して
近所であるバイトを募集していたメイド喫茶「ゆにば〜さる」に、厨房スタッフ兼ウェイトレスとして働くことに。
しかし、そのメイドさんたちも、ウィザードとは別の意味で非常識な人たちばかりだったのです…。

というかんじ。合間に秋山醤と上月兄の地獄の中華料理対決もあるよ!

そういうクロスを誰か書かないかねぇ。

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 01:24:13 ID:HMeHphQ9
ここで書かずとも、いずれ各卓か公式でやってくれる!
…というか、実際にやった人もいるんじゃない?

と俺は思うわけだが

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 01:54:05 ID:qE1wxFIr
>422
友人が書こうとしてるぜ。NW×DX。

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 02:17:04 ID:0VdmS+0C
NWから柊蓮司、ノーチェ、リンカイザー
アリアンロッドからシグ、トラン、レント
DXから上月司、フィン、シャル
S=Fからジーン、ユースディール
その他王子GMのNPCが多数参加のごった煮クロス

名付けて「クレバーPC大戦」!


・・・銀眼の鴉とかヒュペリオンとか出てきてガチに殺しにくる光景しか浮かばないんだぜ?

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 02:45:07 ID:pW+b5Mof
華が足りないから三千世界からガンドッグ・プリンセスも呼ぼうぜ!

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 03:11:19 ID:Z9BuSYV5
最後は歴代ボスを全部食ったトウテツとか出てくるんですね

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 08:33:12 ID:tKYFrLir
サイドに完全装備のダインスレイフ二体がいるんですね!わかります!

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 08:37:46 ID:3He9uRUm
>422-423
素の状態で、ゆにばーさる(あかりんのマンションの一階)の斜向かいが天使の夢(上が柊のマンション)だとばかり。

因みにこの交差点、他にファイナルハーツと赤羽神社もあります。

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 08:46:03 ID:yce1bRPK
なんだその超危険地帯は

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 09:17:10 ID:3He9uRUm
因みに、この基本設定をリリなのクロススレに持ち込んで『ダブルクロス・リリカル・ゆにばーさる』を書こうと思っている。
FHの地階テナントとして正統派喫茶の『翠屋 アキバ店』とメイド喫茶『ナンバーズ』がしのぎ(と、春日恭二の神経)を削るの。

問題は、エリスのマンションやユニオンビル工新をどうするか、だ。

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 11:38:21 ID:YT3hB6wl
>エリスのマンション
フェイトの仮住まい

>ユニオンビル工新
被害者として社長とか王子とかじゅんいっちゃんとか出せばいいじゃない

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 13:43:49 ID:3He9uRUm
>432
なるほど!工新一階が天使の夢で、柊もあかりんもエリス(アニメ版)もゆにばーさるの上(しかも同じ階)に住んでいる事にすればいいのか。

しかも、翠屋と数の子も同じ階に部屋を借りていて、最後の一部屋にいる春日恭二の神経は素敵に削れるぜ!

後は小暮ビルの家主が英魔様としておけば完璧に……


【じゅんいっちゃんがジャームで修羅でヴィシャスなダスクフレアに】

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 13:48:02 ID:WxqajdA/
小説家の浜本弘みたいなもんか?

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 13:52:53 ID:YT3hB6wl
>秋山醤と上月兄の地獄の中華料理対決
これはどうするよ?

「カカカカカカー!必殺の技を持った厨師がいると聞いた!この"覇王"二代目秋山醤が出向いてやったぞ!」
そこから始まる、レネゲイド地獄の灼熱料理対決。
上月がついに禁じられた技を解放する!・・・か?

審査員に、そのときたまたまアキハバラで初のサイン会&撮影会をおこなっていた
新人ジュニアアイドル涼風鈴(と、マネージャーの群田理音)が顔を出していれば問題ない。

ちなみに、ベルは口に入って味がすれば何でもうまいと言って食うタイプ。飽食の魔王なんで。グルメかどうかは微妙なぽんこつ舌の持ち主。

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 14:13:14 ID:nsOvZWng
そういえばクッキー放り込んだ紅茶は飲んだんだろうか

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 18:58:46 ID:UyyxjeJz
>431
ネタだと思うが一応言って置くぞ、「やめとけ」www

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 20:34:55 ID:zD7m8V3M
俺なりに>437を訳してみた

いいぞ、もっとやれ

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 20:39:06 ID:GaT/6jX7
>>435
……ベルはあかりん弁当は食えるのだろうか

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/08(金) 21:57:08 ID:Tw+QGtzV
>>435
女「…だけど、戦うならNWのキャラもいないと、ダメだと思う」
男「待て!早まるな!?第一お前が行かなくてもいいだろう!?」
女「幸い、料理はかなり得意。今回の任務には、適任」
男「話聞けよっ!?」
女「大丈夫。ナイトメアも言っていた『お前の料理は、最強だ』って」
男「物理的な意味でじゃねえかそれっ!?」

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/09(土) 01:52:06 ID:dVP4/60c
>>435
醤は基本的に

「どうだ、上手いか大谷、あ〜ん?
秋山の魔法がかかった料理だ、いかな貴様でも負けさせることはできんよ」

って人だから、普通に料理してれば勝手にNWっぽくなるよ

なるよ!

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/09(土) 11:54:40 ID:UuPhh7cR
>438
いや、真面目な話。
だって3作クロスってだけでもデンジャーなのに、投下場所じゃあ3つのうち2つがアウェイじゃないか。
やるならここにしとけよ。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/09(土) 12:14:28 ID:tdUPxV9g
俺も投下場所はこっちがいいと思うな



向こうチェックするのめんどくs(ry

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/09(土) 12:40:01 ID:+jK3WU9g
私もこっちがいいと思う

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/09(土) 12:45:19 ID:1vHGjjzD
こっちのがいいだろうな。
卓ゲ者は面白ければおーるおっけぇ、というちと悪食じみた面が多かれ少なかれあるから…
こっちでやった方が無条件に拒否される、なんてことは無いと思う。

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 08:56:42 ID:+281UN9W
東方ウィザード、話が進んだら毎日が必死の人に絵に起こしてもらえば…とふと思った、本人も最近東方ハマってるみたいだし
いやダブルババァと柊の絡みが見たいというのもあるがw

447 :ふと思いついたネタ:2008/08/10(日) 17:44:07 ID:jyR+eyMj
かつて、世界を滅ぼした魔剣があった。
「本当なのですか?コイズミ」
「はい。現在、東京秋葉原にて、月匣の発生を確認。間違いありません。奴です」
「ストームブリンガー。世界を滅ぼす漆黒の剣。それがファー・ジ・アースに現れるとは」
「はい。なお、現在の所持者は不明です。それと…同時期に過去、未来、異世界より大量の召喚者が秋葉原に現れたことを確認いたしました」
「そうですか…ならばすぐに調査と事態の収拾を」
「は。そのことなのですが…」
「何か問題が?」
「はい。実は準備をしていたのですが、突入ができません」
「…どういうことですか?報告では柊さんが既に送り込まれたと聞いていますが?」
「どうやら、今の秋葉原に入るには特定の条件を満たす必要があるようなのです」
「条件?」
「はい。ロンギヌスの中でも条件を満たすものが調査したところ、召喚者と侵入が可能なものには共通点が見られ、気づいたのですが…」

証言1

なんと言うことだろう。時を超え、私たちはやってきてしまった。
はるか過去に過ぎ去りし時代。かつて、まだ人がダークワンに世界を奪われる前の時代へと。
私たちが今いる場所は、日本と呼ばれた島国の首都だ…もっとも、闊歩するものはこの時代のこの場所にいるはずのものからはほど遠いが。
「…てめえ、本当に人間か?」
我が相棒、リロイが毒づく。そう言いたくなるのも分からなくは無い。
上級のダークワンにも匹敵するほどの強さをもった人間など、我々の常識からも外れている。
「ああ、そうだ。人間さ」
本来ならば言語が違う。通じるはずが無い。だが、今確かに2人の言葉は通じていた。
「てめえら使徒と違ってな!」
咆哮。そして2つの黒の黒が交錯する。
リロイと剣と言うにはあまりに分厚い鉄塊をもつ男。
その2つが。

…そうそう、言い忘れていた。私の名前はラグナロク。我が相棒、リロイ=シュヴァルツァーの手に握られた…

証言2

なあ、相棒。そう落ち込むなよ。
形はどうあれ帰ってこれてよかったじゃねえか。
…まあ、せっかく戦うって決めた直後にこれってのはおれっちもどうかと思うけどよ。
過ぎたことを気にしてもしょうがあんめえ。
ガンダールヴだの虚無だのは忘れて前向きに生きるってのも一つの道だぜ相棒。
ほらほら。立った立った。まずは相棒のおふくろさんにでも会いに行くとしようぜ。
…ところで、相棒よぉ。
お前さん、こっちの世界には魔法とかはねえって言ってたよな?
それがどうしたって?相棒にゃあ分からねえのか?
…おっそろしく強い魔法の結界が張られてるぜ。ここ一帯。

証言3

愛してる。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる
愛してる。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる
愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛
愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛
愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛
(省略されました。続きを読むには斬られてあげてください)

秋葉原で繰り広げられた魔剣たちの饗宴。後にこの狂った馬鹿騒ぎはこう呼ばれる。

Blade night fever

無数の刃が交錯する中、世界は静かに危機に見舞われる。

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 18:08:53 ID:JNMfBE6K
>447
エルリック忘れてね?

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 18:36:16 ID:UyBK0JOj
しかし最近思うんだが『神殺しの魔剣』とか『何度も世界を救った世界でも有数のウィザード』とか一人で魔王級倒す柊とかの描写を見ると、柊がまるで凄い奴に思えてしまうから困るw

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 18:40:13 ID:ZUyHHErh
>>447
三本目とっとと池袋に帰れw

……食らっても全然ダメージ受けないシズちゃんって、やっぱ月衣張ってんのかな?

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 18:57:43 ID:ZUyHHErh
>>449
柊はまあ凄いやつだとは思うよ
まあ、柊の作製コンセプトを考えると一人で敵と戦うことはまずないだろうから、柊だけが凄いやつってことはないだろうけどなw

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 19:54:50 ID:5rj+e4D9
>>450
NWで言うなれば月衣+素で防御、魔防が50点越えしてるんじゃね?

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 20:05:13 ID:L+k3Kpjc
>>451
RXと第47代アメリカ合衆国大統領とセガールの三人とパーティ組んでまとめられるのは柊ぐらいのもんだ。

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 20:58:43 ID:ZUyHHErh
・・・まとめられるのか?
基本的にツッコミをやるしシナリオの進行もがんばるけど、PTをまとめるってのは全員が柊いじりに収束するって形くらいな希ガス

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 20:59:55 ID:B+nTypQq
>>453
突っ込みキャラってクロスさせるのに便利だからな。
他所のキャラの変な行動に突っ込み入れてるととりあえず柊らしくなる。

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 21:02:43 ID:5rj+e4D9
同じ卓を囲みたくない面子しかいねーw
いくら柊でもあんまりだわw
 
この場合、GMでもしんどそうだけどw


457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 21:08:51 ID://gnHBDl
GMを天にして中和を試みる

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 21:25:54 ID:YRn6nJIO
中和じゃねー!そりゃ『濃縮』だー!

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 21:26:20 ID:u022qDOr
>>455
この三人の言動で変じゃないものがあるのか激しく疑問だww

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 21:32:53 ID:B+nTypQq
>>447
ALGの聖剣戦争シナリオジェネレーターが使えそうですな。

ところで、ドラゴン殺しって魔剣だっけ?
魔剣でなくてもいいのなら、ぜひファリスの重戦車、イリーナ・フォウリーさんを。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:15:56 ID:1UeIILks
>>447
すまん、3番目の元ネタって何?
ラグナロクとゼロ魔は分かるんだけど

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:31:32 ID:ZUyHHErh
>>461
注意:ネタバレだから気をつけて




成田良吾の『デュラララ!!×2』に登場する妖刀:罪歌(さいか)
人間を愛するあまり切り裂きたいと考える素敵な性格
切った相手を「子供」として洗脳する能力があり、また子供達もその辺の刃物で人を切ることによって子孫を増やせる
ただし両思いの相手とは子供を作れない悲劇

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:32:03 ID:tlaqxMkN
さて殷雷刀を魔剣に、和穂を魔剣使い分類していいものか…


464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:34:48 ID:ZUyHHErh
NWには主我のルールがないからなー
和穂は仙人の能力は封印されてるから、人鞘にしてもいいとは思うんだが・・・

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:45:48 ID:e1/qAPkr
>>464
じゅんいっちゃん、BBの話題はそこまでだ。

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:48:01 ID:OM8d06xb
なんというか、ゼロ魔以外基本凶悪な奴を連れてきたなぁ

…これでさらにモルガンを投入したら、さらなる大惨事は必死だろうなw

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 22:48:58 ID:ZUyHHErh
……つまり勇士郎の持ってる剣が幼女になるんですね、わかります

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/10(日) 23:10:10 ID:cgnMxMk4
>>447
ALGから某魔剣使いと某アルケミストの参戦希望!

証言4

えっとねぇ、いつものようにぃーじゅんいっちゃ……りゅういっちゃんの事見守ってたん
だけどぉー、りゅういっちゃんが急にきょろきょろした後走り出しちゃってぇ、あたしが
待ってぇって言ってりゅういっちゃんに飛びついたらその先に長い階段があってね、二人
でごろごろーって転がり落ちちゃったっ!!

それでねっ、気が付いたら何だか神社みたいな学校の前に居てぇ、…なんとっ、あたしは
りゅういっちゃんの手に握られていたのっ! 

……りゅういっちゃんの魔剣アウターゲネスとしてっ!!

二人で階段を転がり落ちた時に魔剣に魂が乗り移っちゃったのかなぁ?
最初は驚いたけどぉ、りゅういっちゃんといつも一緒に居られると思うと、これもそれほど
悪くないかなぁー、とか考えてたら、いつの間にか異形の魔物に囲まれていたの。

何だか奈落とは様子が違うみたいだけど、折角の二人だけの時間を邪魔するなら容赦しな
いんだからぁっ!!!

(注)これはあくまで証言者の主観から見た証言な為、一部事実と異なる表現があるかも
   しれません。

元ネタ  アルシャードガイアリプレイ 神薙ぐ御剣
証言者/神戸屋るん(PL/小暮英麻)  魔剣使い/宮沢竜一郎(PL/井上純弌)

469 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:18:22 ID:hy2yhFqn
毎度どうもです
二時半頃から投下します

・・・最近のちょい過疎風味から支援があるのか不安ですが

470 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:32:26 ID:hy2yhFqn


 世界を喰らう闇色の極光が解き放たれる。
 何もかもを塗りつぶす暗闇を眼前に、カズキは総身の力を振り絞ってランスを突き出した。
「――全開っ!!」
 大きく展開したサンライトハートから眩いエネルギーが迸る。
 白色の閃光が迫る暗黒を受け止めて激しくせめぎあった。
 押し潰されそうな圧力に歯を食いしばり、全力で闇を受け止める。
 サンライトハートの刺突(チャージ)は闇を貫く事は叶わなかったが――闘っているのは彼一人だけではない。
 拮抗した黒白の乱舞の中、地を滑るように蓮司が疾走した。
 切っ先を地面に掠らせ、火花を散らしながら蓮司はベリトへと肉薄し、一気に斬り上げる。
 そこにベリトの豪腕が唸りを上げて振り落とされた。
「くっ……!」
 魔剣の鋭い刃はしかし瘴気を纏う豪腕を切り裂く事はできない。
 以前の激突の時には吹き飛ばされた。
 そして現在のベリトの力はその時の圧力を凌駕する。
 圧倒的な膂力から振るわれた豪腕に蓮司は――
「来るのがわかってりゃな……!」
 プラーナを解放してその場に踏み止まっていた。
 その衝撃で両者の立つ地面が陥没する。
 手に持った闇のランスはサンライトハートの激突で制止を余儀なくされ、空いた片腕は蓮司の魔剣によって受け止められた。
 両の腕を封じられたベリトに、天から四つの刃が降り注いだ。
「バルキリースカート!!」
 疾風が駆け抜ける。
 視認するのも困難な程の速度で斗貴子がベリトの脇を駆け抜け、それと同時に巨狼の体躯が闇ごと切り裂かれた。
「ち……!」
 攻撃に成功したにも関わらず、斗貴子の表情は優れない。
 駆け抜け様に放った斬撃は実に十六斬。
 しかし内の七斬はその巨躯に弾かれ、五斬は僅かに表皮を削ったのみ。
 有効打ともいえる斬撃は僅かに四斬でしかなかった。
「ギ―――!」
 だがそれでもダメージを与えた事には変わりなく、僅かにベリトの身体が傾いだ。
 同時に蓮司が刃を返し、ベリトの腕をいなして体勢を更に崩して間隙をこじ開ける。
 その穴を貫くように、
「サンライトクラッシャーッ!!」
 カズキが光と共に突進した。
 カズキの体躯を大きく上回るベリトの巨躯をもってしてもその突進力を防ぐ事は敵わず、両者はもつれる様に数十mを押し跳んでいく。
 胴体を打ち貫かんと放たれたサンライトハートの穂先は、
「……っ!」
 ベリトの構える闇色のランスによって受け止められていた。
 カズキの刺突に反応したベリトがエネルギーの放出を止め、盾代わりにランスを構えたのだ。
 ベリトの圧倒的な膂力にサンライトハートがぎしりと悲鳴を上げる。
 その武装錬金と命を共にするカズキは苦痛に顔を歪めるが決して引きはしない。
 歯を食いしばって再びエネルギーを展開する――



471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:34:01 ID:pfadcb8/
うお、投下来てる!!支援!!!


472 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:35:42 ID:hy2yhFqn
 

「呪法連殺っ!」
 響く玲瓏の声。
 後方から溢れる力の高ぶり。
 カズキの両脇を擦過するように細い輝きが駆け抜けた。
 岩塊を穿つほどに圧縮された水槍――二発の《アクアレイブ》は巨大すぎる標的に過たず命中し、瘴気と赤銅の硬皮を貫いて胸部と腹部に炸裂する。
「ガ、アアアァアァァァッ!!」
「くっ!」
 魂切るような絶叫。その怒りを受け止めてか、ベリトの豪腕が更に膨れ上がり拮抗を保っていたカズキを吹き飛ばした。
 数mを飛ばされてたたらを踏んで踏み止まる。
 と同時、彼の肩を力強い手が掴んだ。
「!」
 エネルギーを展開して地を蹴る。
 同時に後ろに引くベリト。
 飛ばされた直後の進路反転と僅かな加速では、エネルギーを展開して射程を延ばしたサンライトハートでもベリトには届かない。
 だが、その僅かな加速はそれまで疾走していた『彼』にとっては十分なモノだった。
「ぉおおおっ!!」
 サンライトハートから溢れ出す閃光から閃く魔剣の刃。
 加速を得て疾走する魔剣使い。
 ベリトはランスを肉薄する蓮司に向かって一閃する――
「!?」
 ――はずの腕が、あらぬ方向へと押し退けられた。
 同時に腕に裂傷が生まれ血霞が舞う。
 元より身のこなしに長ける斗貴子が両者に割って入るように駆け抜けたのだ。
 斬撃の数よりも一撃の重みを念頭に置いた四刃。そしてそれを身体ではなく腕のみに集中させれば、力勝負でもかろうじてバルキリースカートに分があった。
 《アクアレイブ》によって刻まれた傷跡に魔剣を突き入れる。
 そしてプラーナを限界にまで解放し、一気に勝負を決める。
「魔器――」
「ギ、イ――!!」
「んだと……っ!?」
 肉の抉れる感触が魔剣を通じて蓮司の掌に伝わる。
 無論彼は何もしていない。
 ベリトが自分から身を捩って、胴体を貫いた魔剣を強引に引き抜いたのだ。
 このまま力を解放しても不発にはならないだろうが、威力はかなり減退する。
 魔器の解放を咄嗟に中断して解放したプラーナのみを持ってベリトの身体を切り裂く。
 それでも十分な威力を保った魔剣の一撃がベリトの身体を大きく抉った。
 身体から体液と瘴気を吐き散らしながら巨狼は大きく跳び退って三人から距離を取った。
「逃がすか……!」
 追撃しようと斗貴子が脚を踏み出しかけるが、その動きが唐突に止まった。
 別段怪我をした訳でもないし、歩を踏み損ねた訳でもない。
 斗貴子は自分でもわからないまま僅かに身体を傾がせ、そしてすぐにそれに思い至った。
「エネルギードレイン……!?」




473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:35:58 ID:pfadcb8/
真赤な支援!!

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:37:25 ID:pfadcb8/
支援!!

475 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:38:41 ID:hy2yhFqn


 最初に喰らった時ほど強烈ではない。
 だが、力が抜け出していくその感覚は間違いなくヴィクターのエネルギードレイン現象。
「そういう事かよ、厄介だな……」
 蓮司も気付いたのだろう、忌々しげに舌打ちしてベリトを見据える。
 切り裂かれた腕。貫かれた胸部。そして抉り飛ばした胴体。
 当然の結果ではあるが、その部分に巻かれていたエネルギードレインを封じる『魔殺の帯』は既に剥がれ落ちている。
 拘束する部分が少なくなった分、エネルギードレインが発動しかけているのだ。
 それはすなわち、ベリトにダメージを与えれば与えるほどにエネルギードレイン能力が解放されていくという事。
 そしてその能力が解放されれば――
「ォオオォオォオオォオオオッ!!」
 咆哮と共に圧力が強まる。
 同時に蓮司達がベリトに刻んだ傷口から膨大な瘴気が溢れ出した。
 噴き出した瘴気がベリトの身体を護るように包み込む。
 放たれた圧力が安定した時には、既にその体躯には傷一つ残っていない。
「半端なダメージは逆効果って事だな」
「なら、一気に叩くしかない」
「随分と簡単に言ってくれるな……」
 らしいといえばらしいのだろうが、カズキの声に蓮司は小さく嘆息した。
 ついさっきの攻防を見てもわかるとおり、ベリトは単なる木偶の坊ではないのだ。
 四人がかりで連携しても完全に仕留めきる事はできなかった。
 攻撃力という点で言えば蓮司と同等以上だろうカズキのサンライトハートの一撃が入っていないという事もあるが、それを踏まえても倒しきれるかは怪しい。
 何しろベリトは極論して”死に”さえしなければ身体を修復できるのだ。
 能力を封印されるまでにどれほどのエネルギーを搾取して蓄えたのかはわからないが、とにかく膨大である事は違いない。
「だが、無限ではない。あれだけのエネルギーの展開と肉体の修復を繰り返していれば尽きるはずだ」
「他に方法がねえな。前倒しだもんなぁ、俺達」
 夢使いであるナイトメアのようなトリッキーな力を持つものがいればまた別なのだろうが、生憎と魔剣使いである蓮司と陰陽師であるくれは、
そしてカズキも斗貴子もオーソドックスな戦闘能力しか持っていない。
 安定した力を持つ反面、自力の差が如実になるパワーゲームだと覆すのが難しくなるのだ。
「皆、大丈夫?」
「ああ、今ンとこはどうにかな」
 カズキのチャージによって距離を離されたくれはが合流するのを見計らって、蓮司は魔剣を握り締める。
「けどこれからは難しくなる。援護と回復頼むぞ……いやマジで。失敗とかすんなよ?」
「失敗……するの?」
「しないよ! 多分……」
「多分……?」
「は、はわ……大丈夫だって、そんな眼で見ないでよ斗貴子さん」
 半眼の斗貴子に慌てて手を振るくれはに大きく嘆息してから、蓮司は気を取り直してベリトに眼を向ける。
 こちらの様子を窺うように真紅の瞳をぎらつかせているベリトを真っ向から睨み据えて、蓮司達は再び巨狼に向けて地を蹴った。




476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:38:52 ID:TMdB1x95
待ってました!ってことで支援

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:40:04 ID:pfadcb8/
しえーん!

478 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:41:15 ID:hy2yhFqn
 

「……ァアァァアアアアアアアアアアアア!!」
 ベリトが天に向かって咆哮する。
 同時に闇色のランスを大地に突き立て、闇の瘴気を展開させる。
 これまでとは違う行動。
 訝しみながらもベリトに向かう三人を前に、放たれた闇がベリトを中心に螺旋を描くように荒れ狂った。
 周囲が闇の暴風に包み込まれる。
 暗闇が咄嗟に防御姿勢をとる蓮司達を飲み込んだ。
「攻撃……ではない……?」
 渦巻く闇の瘴気は、以前のような攻勢の圧力を伴っていない。
 その代わりに纏わり付くような空気が視界総てを黒色に染め上げる。
「っ! くれは、退け!」
 一体どんな作用があるかもわからないこの暗闇に回復役であるくれはを巻き込ませる訳にはいかず、蓮司は叫んだ。
 彼女もれっきとしたウィザードである以上、その役割と取るべき行動はわかっているはずだが――声が返ってこなかった。
 いや、それどころではない。
 視界は勿論、音も気配も何もかもが闇に沈んでいる。
 まるで自分自身すらも闇に溶け込んでしまったような感覚。
 すぐそばにいるはずのカズキや斗貴子の気配も感じられない――気配という点で言うなら、むしろ周囲に充満する闇そのものが気配を持って他の気配を塗りつぶしているのだ。
(やべえ……っ!)
 この闇はまず間違いなく眼くらまし。眼も耳も感知も利かない闇の結界。
 これではベリトの攻撃に対応できない。
「サンライトフラッシャーッ!!」
 その闇を貫くように、カズキの咆哮とサンライトハートの閃光が迸った。
 闇が光に切り裂かれ、周囲が露になる。


 だが、遅すぎた。
 闇が祓われたその場で蓮司とカズキが眼にしたのは、ランスで身体を貫かれた斗貴子の姿だった。



479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:41:31 ID:TMdB1x95
支援!

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:41:36 ID:pfadcb8/
しえーん!!

481 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:44:13 ID:hy2yhFqn
 

 それを脳が認識するよりも速く。
 二人は地を蹴っていた。
「て――」
 一瞬にして臨界点に達した感情を迸らせるように蓮司はベリトへと疾走する。
 それを見て取ったベリトが蓮司に紅蓮の双眸を向け、露を払うようにランスを振るって貫いた斗貴子の身体を放り捨てた。
 意識がないのか、それとも既に絶命しているのか、斗貴子は人形のように振り落とされて崩れ落ち、地面に転がる。
 そこで、感情が決壊した。
「テメェ――!!」
 吼えて魔剣を握り締める。
 感情に任せた一直線の全力疾走。
 それは苛烈ではあったが、あまりにも愚直で無防備だった。
 ベリトのランスが一閃する。
 斗貴子を貫いた血痕の残るその矛先が、肉薄する蓮司の身体に突き刺さる――

「エア、」

 この時、柊 蓮司個人としての感情は確かに限界を越えていた。
 だが、ウィザードとしての彼の思考は、どこまでも冷静だった。

「ダンスッ!」

 蓮司の身体がかき消え、ベリトのランスが虚空のみを切り裂く。
 空打ったその交差の間隙に、

「おぉおおぉおおぉぉっっ!!」

 今度こそ混じりなく感情のみを吐き出すサンライトハートの閃光が飛び込んだ。
 ベリトの巨躯を打ち貫き、なお勢いを減じないチャージが炸裂する。
 その場に残光のみを残して両者は吹き飛び、踏み止まろうとするベリトをカズキは丸ごと粉砕させんと力を込める。
 瞬間、激痛が身体を駆け巡り、カズキはそこでようやく我を取り戻した。
 ベリトが吹き飛ばされながらランスをカズキの身体に叩き込んだのだ。
 防御を度外視した状況で叩きつけられた一撃にカズキの身体が後方に吹き飛ぶ。
 しかし彼はサンライトハートを地面に突き刺して制動すると、ベリトを敢然と睨み据える。
「ォオオオオォォオォオォォ!!」
「ぅおおおおおおっ!!」
 ベリトとカズキがほぼ同時に咆哮する。
 そしてやはりほぼ同時に、ベリトから闇が溢れサンライトハートから光が迸った。

 ――無論、カズキとしては何よりも先に斗貴子の下へと向かいたかった。
 だが、現状においてベリトの放つ闇の結界を打ち消せるのはカズキのサンライトフラッシャーだけだ。
 そしてベリトを差し置いて安否の確認などできる訳がない以上、蓮司とカズキの取るべき役割は決まっている。
 それは武藤 カズキの中にある戦士としての判断が半分。
 もう半分は、敵を放置して駆けつける事など斗貴子は望まないだろうという確信。
 だから彼は、
 
(頼む、蓮司……!)
 ともすれば振り返りそうになってしまう身体を全力で抑制して、更に前へ――ベリトへと向かって地を蹴った。




482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:44:25 ID:pfadcb8/
しえーん!!!

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:46:18 ID:TMdB1x95
支援!

484 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:47:35 ID:hy2yhFqn
 

「斗貴子っ!」
 蓮司は身体を穿たれ鮮血に塗れた斗貴子を抱え上げる。
 反応のなさに一瞬だけ背筋に冷たいものが走ったが、呼びかけた瞬間に僅かに眉が動いたのを見て取って彼は安堵の息を漏らした。
 とはいえ、致命に等しい怪我で在るのは間違いない。
 武装錬金を核鉄に戻して身体に当てているようだが、出血は全く止まらない。
「くれは!」
「わかってる!」
 駆け込んできたくれはが斗貴子の身体に掌を翳す。
 そして彼女が口元で何事かを囁くと同時、その手に淡い光が灯った。
 癒しの清流たる《キュア・ウォーター》の力が鮮血に染まった身体を清浄の水で洗い流し、覗いた白い素肌には貫かれた痕は何処にもなかった。
 ただ、傷はともかくランスで貫かれた衣服だけはどうしようもなく、彼女は腹部が完全に露出した形になってしまっている。
「ひーらぎ、あんま見ちゃダメだからね」
「はあ? 何がだよ」
「……何でもない」
 くれはが放った謎の言葉に蓮司が首を捻ると、何故かくれはは複雑な表情をしてそっぽを向いてしまった。
 全く訳がわからず眉を寄せる蓮司の脇で僅かに斗貴子が顔を歪める。
 斗貴子はゆっくりと眼を開くと、貫かれたはずの腹部を軽く手で擦った。
「……助かった、が……こんな傷まで治すのか。まったくウィザードはでたらめだな……」
「斗貴子さん、大丈夫?」
「お陰様でどうにか動ける」
 言いながら立ち上がった途端、斗貴子は表情を険しくしてよろめいた。
「はわ……とりあえず傷は塞いだだけだから、あんまり無理しちゃ」
「そうもいかない。カズキが闘っている」
「……そうだな」
 頷くと蓮司は魔剣を握り締めて視線を映した。
 その先ではカズキが一人でベリトと対峙している。
 吐き出される闇の結界をエネルギーで相殺してどうにか防いでいるものの、かなりの劣勢だ。
 すぐにでも救援に向かわなければならない。
 が――
(あの眼眩ましがどうにもならねえ……)
 ベリトに闇を放出されると眼も耳も知覚も塞がれてまったく手出しができなくなってしまう。
 カズキのフラッシャーで相殺する事はできるが、その分攻撃の手数が減る。
 カズキの攻撃力を抜いたダメージではベリトを倒しきれないのは既に実証済みだった。
「くれは」
 その時声を出したのは斗貴子だった。
 彼女は厳しい目線で一人闘うカズキを見据えたまま、くれはに問う。
「以前キミが使った流星の魔法。使えるか?」
「《スターフォールダウン》? 何とか使えると思うけど……」
 答えるくれはの表情には少々陰りがあった。
 その魔法を使えるか、という点に関しては少々精神力が危ういが特に問題はない。
 闇の結界でベリトの存在が知覚できなくなったとしても、敵が消えてなくなってしまうわけではない。必ずベリトは闇の中に『いる』のだ。
 広範囲への攻撃を可能とする《スターフォールダウン》ならベリトがどこにいようと攻撃できるはずだ。魔法の威力も折り紙つき。
 だがここで問題になるのは、
「私、魔力操作あんまり得意じゃないからアイツだけを狙う事はできないよ」
 その攻撃が無差別になってしまうという事。
 以前校庭で使用した際灯と斗貴子はそれを回避する事ができたが、それも降り注ぐ魔力を知覚・視認できてこその話。
 その知覚を無効化する闇の中に放たれれば避ける事は不可能だ。
 星屑召喚ほどの大魔法の直撃を貰えばそのダメージは計り知れない。
「かまわねえよ。どの道このままじゃジリ貧なんだ、分が悪くても賭けるしかねえ」
 焦れたように言う蓮司に斗貴子は首肯して応えると、くれはに眼を向ける。
「それはこちらでどうにかする。……信じてくれ」
「頼むぜ、くれは」
「……うん。わかった」




485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:48:33 ID:TMdB1x95
支援!

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:48:40 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!

487 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:51:05 ID:hy2yhFqn
 

「がっ……!」
 身体に叩き込まれた衝撃に顔を歪めてカズキは呻く。
 吹き飛ばされる身体を無理矢理に押し留めて、顔を上げた瞬間に叩きつけられる黒い極光をサンライトハートで受け止める。
 サンライトハートから放出したエネルギーを盾にしても貫いてくる衝撃にカズキが歯を食いしばり、渾身の力で闇を切り払った。
「く!」
 たたらを踏んで見据える先にはランスを掲げるベリトの姿。
 放出される暗黒を視認すると同時に彼もまたフラッシャーを放ち、相殺する。
 だが、次の瞬間に彼が見たのは、眼前に迫る巨狼。そして振り下ろされる巨大な爪牙。
 防御が間に合わず胸板を切り裂かれる。間に合わない、と判断した時点で回避に切り替えたが僅かに遅かった。

 カズキの持つ武器は突撃槍の武装錬金たるサンライトハートのみ。
 それをベリトの闇の放出に合わせてフラッシャーとして使用するために攻防においてどうしても一手が遅れてしまう。
 対するにベリトの持つ武器は闇を放出するランスと、そして巨狼自身が持つ豪腕と爪牙。
 ランスから放たれる闇を相殺しても爪牙の方に対処しきれない。
 度重なる一手の差がどうしようもなく彼の身体を傷つけていた。

(でも――!)
 カズキは傾いだ身体を強引に持ち上げると、烈火のような瞳でベリトを睨みつける。
 ここで倒れるわけにはいかないのだ。
 倒れてしまっては一人でベリトと闘っている意味がなくなってしまう。
 自分の後方では蓮司やくれはが斗貴子を助けてくれているはず。
 治療に専念させるためにもベリトは留めておかなければならない。
 今は一人でも、もう少しだけ持ちこたえれば必ず彼等は来てくれる。
 蓮司も、くれはも、そして――

「カズキ!」
「!」



488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:51:16 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:51:42 ID:TMdB1x95
支援!

490 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:54:23 ID:hy2yhFqn
 

 後方から響く声にカズキは身を震わせた。
 同時に身体の中心に火が灯ったように熱いものがこみ上げる。
 眼前のベリトの双眸が狂気を帯びて燃え上がり、深く身を沈ませる。
「ぉ――」
 地を蹴って爆ぜるようにベリトに突進する。己を串刺そうとするランスの穂先、血に濡れた凶槍を眼にしてカズキは更に吼えた。
「ぉおおおおっ!!」
 光と共にサンライトハートを闇槍に叩きつける。
 もう幾度目になるかわからない光と闇の交錯。弾け跳ぶエネルギーの渦。
 彼女を貫いた凶器を粉砕せんと、全霊の力を込めてサンライトハートの柄を握るカズキの拳に、細い手が重なった。
 斗貴子は力を込めてカズキの手ごとサンライトハートを握り締め、渾身の力を以てベリトに向かい地を蹴る。
 治癒しきっていない腹部に激痛が走り、顔が苦痛に歪む。
「く……ぁあああっ!!」
 しかし彼女は文字通り血を吐くように叫ぶと、カズキと共に一歩を更に踏み込んだ。
「ギ――!」
 二人の力に押し負けてベリトが吹き飛ぶ。
 だが、鬩ぎあっていたのがランス同士であったためにベリトそのものにダメージはない。
 巨狼は数mを吹き飛んだ後地を揺らすように着地して、低い唸り声を漏らしながら二人を睨み付けた。
「斗貴子さん……!」
「すまない。負担をかけた」
「いいよ、それくらい。全然平気」
 客観的に言うならカズキはまったく平気ではなかった。裂かれた胸は灼けるような痛みを感じているし、度重なるエネルギーの放出で精神的にも疲労が激しい。
 だが、カズキ本人は本当に平気だった。斗貴子の声を聞いた瞬間に、それ以上の力を得たのだ。
「くるぞ」
「……。わかってる」
 ベリトを見据えたまま漏らす斗貴子にカズキは僅かな逡巡の後応えた。
 今だ彼女がバルキリースカートを展開していないのと、サンライトハートに手をかけたままというのが不思議であったが、
戦闘において彼女の思考はカズキの推測が及ぶ所ではない。
 不謹慎を承知で付け加えるなら、重ねられている斗貴子の手の感触は心地良い。彼女がそのままでいるのなら、そのままの方がいいのだろう。
「ガァアァァァァ!!!!」
 ベリトが腕を掲げ咆哮する。
 同時に展開されたランスから暗黒が噴出して周囲を包み込む。
 名残惜しかったがカズキは斗貴子の手を外してサンライトフラッシャーを――
「え」
 思わぬ抵抗にカズキは小さく声を漏らしてしまった。
 フラッシャーを放とうとした刹那斗貴子がカズキの腕を押し、その動きを阻害したのだ。
 疑問の声を上げる間もなく、二人はベリトの放つ闇の結界に呑みこまれた。



491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:54:31 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:57:15 ID:TMdB1x95
支援!

493 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 02:57:48 ID:hy2yhFqn
 

 世界総てが黒色に染め上げられる。
 景色も、音も、感覚も総てが塗り潰された中で、斗貴子はサンライトハートと、彼の手を握り締めた。
 おそらく彼は疑問の表情を浮かべているだろうが、この闇の中ではまったく見えない。声も聞こえない。
 だから彼女はカズキの手を強く強く握った。
 何もかもが呑みこまれたこの世界で触感だけは確固として存在する事に僅かな安堵を覚えながら。


 ――― 一秒。


 握り締めてくる斗貴子の手の感触を、カズキは確かに感じていた。
 彼女の姿は見えない。声も聞こえない。
 だが、自分の手を握る細い手の感触だけは、彼女の存在を雄弁に示している。
 ならば彼がする事はただ一つ。彼女を信じるだけだ。
 この闇の中ではこちらの知覚能力は全く役に立たないが、ベリトはそうではないだろう。
 眼前のカズキ達の姿は間違いなく捕捉しているだろうし、何ら動きを見せていないのも理解しているはず。
 防御行動に意味がないとはいえ、無防備に過ぎるその二人を見逃すはずがない。


 ――― 二秒。


 無論、『それ』をベリトが見逃すはずもなかった。
 巨狼は真紅の双眸を狂気に輝かせてそれを見据える。
 赤銅の体躯をわななかせてランスを大きく構える。
 展開し更なる闇を噴出する黒色の槍。放たれる極光は眼晦ましのモノではなく、総てを呑み込んで穿ち砕く破壊のエネルギー。
 ベリトは身体を螺子のように巻き込むと、渾身の力でランスとエネルギーを撃ち出した。
 眼前にいる無防備で無力な二人――その背後。
 闇の結界の向こう、世界を喰らう巨狼をして警戒を呼び起こさせる膨大な魔力を収斂する少女に向けて。


 ――― 三秒。


 ドーム状に覆われた闇の結界の中から、槍のように極光が迸った。
 四方に大呪符を配し最大の魔力を練り上げるくれはは、巨大な瘴気と殺気を吐き散らしながら迫る破光に全く気付かない。
 意識する事ができないほどに精神を集中していた、という事も確かにある。
 だがそれ以上にくれはにはそれを意識する必要がない所以があった。
 敵の攻撃はどれほど強力であっても絶対に自分には届かないという確信。
 神道の巫女たる彼女の信仰する神々との契約よりもなお固いと言い切れるだけの信頼がある。
 何故なら自分の目の前には――


 ――― 四秒。




494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:58:08 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 02:58:25 ID:TMdB1x95
支援!

496 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:00:44 ID:hy2yhFqn
 

「うおおおおっ!!」
 蓮司はくれはに向けて迸る極光を真っ向から受けて立った。
 いっそ砕けてしまえとばかりに魔剣を闇の極光へと叩きつける。
 カズキは自らもエネルギーを放出する事でベリトの放ったエネルギーを緩和できたが、彼には己の身一つしかない。
 プラーナを全開にしてもなお身体を貫いてくる力に彼は歯を食いしばる。
 押し負けそうになる身体を奮い立たせてその場に踏み止まる。
 潰れてしまいそうな重圧を総身の力で以て捻じ伏せる。
 ここで退く訳にはいかない。
 何故なら自分の後ろには護るべきモノが――彼女がいるからだ。
 たとえ魔剣が折れても、身体が砕けても、退く訳にはいかない――!
「――おぉおおおおおっっ!!!」
 蓮司は渾身の咆哮と共に魔剣を一気に振り下ろし、大地と共に闇の極光を文字通り叩き潰した。


 ――― 五秒。


 闇のエネルギーを切り伏せた蓮司の身体が地面に沈む。
 満身創痍ではあったが、それはしかし崩れ落ちたのではない。
 力を溜めるように身を屈め、そして爆ぜるように彼は地を蹴って疾走した。

 ランスより放ったエネルギーを防がれたベリトは何ら驚く様子を見せなかった。
 それだけの思考を持ち得ないのか、それとも切り替えが早いだけなのか、ともかくベリトは即座に標的を眼前の二人に変えた。
 怒りに震えるようにガチガチと牙を噛みあわせ、ランスの矛先を無防備な二人に向けて構えると巨狼は咆哮と共に地を蹴った。

 外の顛末の一切を知覚できない暗闇の中、斗貴子は静かにそれを待つ。
 彼女の脳裏に浮かんでいるのはつい先日の記憶。
 無数の影狼達に囲まれた戦場で、紅い髪の少女はこう言った。


"一掃する。敵を接近させないで"

"……何秒?"


 ――――――― 六秒!!



 同じ暗闇の中でカズキは斗貴子がサンライトハートを掲げるの感じた。
 眼は見えなくとも、声は聞こえなくとも、その手の感触と彼女の意思は間違いなく彼に受け止められた。

「――サンライトフラッシャーッ!!!」

 周囲の闇を吹き払い、遍く戦場を照らし出す陽光が迸る。
 露になる世界。目の前の巨狼。
 そして――

「――《スターフォールダウン》!!」

 ――降り注ぐ、流星光。




497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:01:10 ID:TMdB1x95
支援!

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:02:07 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!! !

499 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:03:05 ID:hy2yhFqn
 

 紅月に照らされた世界に白光が降り注ぐ。
 闇が祓われたその戦場は一瞬にして光と魔力と破壊が荒れ狂う地獄となった。
 秘奥の大呪符にて魔力を底上げし、解放しうるプラーナ総てを叩き込んだその流星は先日の比ではない。
 雨のように降り注ぐ破光が触れるものをことごとく吹き飛ばし、打ち砕き、消滅させる。
「ガァ――!!!」
 天上より堕ちてきた一筋の光がベリトに叩き付けられ、身体が爆ぜる。
 巨狼は大きく跳び退るが降ってくる魔力の嵐の有効範囲からは逃れらない。
 加えて、いかな身体能力を持っていようと巨躯であるが故に総てを避ける事はできない。
 避けた傍から幾つもの流星光が身体を擦過し、直撃し、爆裂する。
 反射的にベリトは己が身を護るために身を屈めた。
 動きを止めたベリトを撃ち据える、無尽に降り注ぐ破光の豪雨。
 その隙間を縫って疾駆する小さな影があった。
 どれか一つでも直撃すれば即座に絶命するだろうその流星光を微塵も恐れず、斗貴子はベリトに迫撃する。
「――武装錬金!」
 斬撃の間合いに入るその刹那、斗貴子は手にした核鉄を握り締めてバルキリースカートを展開した。
 しかしベリトは四刃を構える斗貴子に見向きもしない。
 渾身の力を以てようやく腕一本と拮抗する事しかできない斗貴子と、その一撃一撃が必滅の領域に達している流星光。
 どちらに対処するべきかなど、論ずるまでもない。
 無論それは斗貴子にもわかっている。だが彼女は一切躊躇せずに四つの刃をベリトに向かって解き放つ。

「――エンチャントフレイム!!」

 背後から響く力ある言葉と共に。

 焔を纏った四つの刃が赤銅の巨狼の身体に深々と突き刺さった。
「ギ――ィィィ!!」
 苦痛と怨嗟の咆哮と共にベリトの双眸が斗貴子へと向けられる。
 しかし彼女は真紅の凶眼と殺気を真っ向から睨み返した。
 バルキリースカートの刃がベリトの身体を抉り、切り裂く。
 同時にベリトがランスを横薙ぎに一閃した。
 至近距離からの高速・強烈な一撃を、しかし斗貴子は身を沈めて回避する。
 背中を擦過する闇の瘴気が身体の裡を抉る。
 委細構わず斗貴子は通り過ぎたベリトのランス――それを駆る腕へ向けて焔の刃を叩きつけた。
 人の胴体ほどもある豪腕に刃が食い込む。
 しかし完全に切り裂く事は敵わず動きを止めてしまったブレードを、斗貴子は両の手で握り締めた。
「ぁ、ぁあああああっっ!!」
 付加された焔で自らの掌が灼けるのも構わず、彼女は渾身の力でブレードを振り抜く。
 ざぐん、と。鈍い音と共に。
 ランスを手にしたベリトの腕が両断された。
「――――!!!」
 それは苦痛の絶叫か、憤怒の咆哮か。
 もはや声として意味を成さない轟音が響き渡る。
 ベリトは残った片腕を振り上げて、動きを止めた斗貴子に向かいその爪牙を振り下ろす――事を、疾駆するカズキは赦さなかった。
「うぅおおおおおおっっ!!!」
 光槍が迸る。
 爪牙を振り落とさんがために大きく開いたベリトの身体に、カズキの一撃が叩き込まれる。
 突進の勢いでベリトの身体が地面を抉りながら押し飛ばされる。
 噴き上がるサンライトハートの閃光が、ベリトの身体を打ち砕く――




500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:03:25 ID:TMdB1x95
支援!

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:04:20 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!!!

502 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:05:20 ID:hy2yhFqn
 

 ――その光景を、斗貴子は愕然と見やっていた。
 彼女が凝視するのは自らが切り裂いたベリトの腕。
 刹那の攻防の中、引き伸ばされた一瞬の中で彼女は疑問とその回答を同時に得る。
 切り裂かれたベリトの豪腕が地面に落ちる。
 切断した片腕だけが、鈍い音を立てて。
 刃を振るった時には間違いなく握っていたはずのランスは、どこにもなかった。
(武装、解除……?)
 ベリトが腕を切断される刹那に武装解除を行い、ランスを核鉄に戻したのだ。
 ならばその核鉄はどこにある。
 当然、命と一体化しているベリトの『身体』だ。
「――カズキッ!!」
 斗貴子は叫んで振り仰ぐ。
 突進の勢いで押し飛んだ数m先の攻防。
 斗貴子に向かって振り下ろそうとしていたベリトの残る片腕。
 その腕から、圧倒的な闇の閃光が噴出した。
 ベリトを打ち砕かんと鬩ぎあうカズキは例え気付いていても避ける事はできない。
 そして防御を捨てて攻撃に力を注いでいる今、まともに受ければ確実にやられる。
 彼女は唇を噛んで、地を蹴り走り出す。
 だが、遠すぎる。
 たった数mの距離が絶望的なまでに遠い。
 膨大な瘴気を纏った闇の極光が、カズキに向かって振り落とされる。
 斗貴子はそれを見ていることしかできず――





 ――その闇が。
 走り抜けた輝線によってベリトの腕ごと撃ち砕かれた。


 一体何が、と問う必要もなかった。
 戦場を駆け抜ける一筋の閃光。
 狙い違わず腕を撃ち抜いた正確無比のその軌道。
 彼女はそれを見た事がある。
 見間違えるはずもない。


「――緋室 灯っ!!」




503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:05:44 ID:TMdB1x95
支援!

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:06:36 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!!!!

505 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:07:53 ID:hy2yhFqn
 


 ※ ※ ※


「―――命中………、」
 ベリトとの戦場、そしてモーリーとブラボー達の戦場から更に離れた月匣の片隅。ビルの屋上。
 スコープごしにわかりきった結果を確認した後、灯は小さく血を吐いて身体を傾がせた。
 崩れ落ちる彼女の身体を後ろから少年―― 一狼が抱え込む。
「灯さん! ……十文字さん!」
「はいはい、わかってるって……!」
 沙絵は一狼から剥ぎ取るようにして気を失った灯を預かると、小さく嘆息した。
「まったく、無茶して……傷跡残ったら一郎のせいだからね。責任とんなよ」
 治療を施しながら沙絵は含み笑いを漏らして一狼をねめつけると、彼はなんとも複雑そうな顔をして俯いてしまった。
「……灯さんには前に助けてもらいましたから。だから、今度は僕が彼女の力になりたかったんですよ」
「そのために天下のアンゼロット宮殿から箒を盗み出すなんて、正気の沙汰ではないでありますよ」
 叡智の水晶を両の手に抱え込んだノーチェが大きく溜息を吐き出しながら漏らして灯の傍に転がっている箒に眼をやった。
 超長距離射撃を可能とするロングレンジバレルと、市場に出回っていない最新型の箒エンジェルシード。
 どうしても戦場に出たいという灯の願いを受けて一狼が『調達』してきた物だ。
 しかし灯の傷の具合と絶滅社の契約もあってアンゼロットの側からは協力を得られなかったので、一狼が武器庫に忍び込んで手に入れた――要するに無断拝借してきたのだった。
「何言ってるのさ、片棒担いだくせに」
 苦笑交じりに言った沙絵の言葉にノーチェはうっと言葉を詰まらせた。
 いかに一狼が隠密行動に長ける忍者であるとはいえ、彼一人でアンゼロットの膝元から武器を盗み出す事は不可能に近い。
 そこで叡智の水晶を使ってフォローをしたのがノーチェなのである。
 もっとも彼女としてはそれで”あの”アンゼロットを出し抜けたとは思っていない。
 絶滅社との緩衝もあるため表立って協力を受諾できない彼女は、見て見ぬ振りを決め込んでいたに違いないのだ。
 外見こそ清廉を思わせるが中身は腹黒い守護者の姿を思い浮かべて嘆息した後、ノーチェは唇を尖らせてから漏らした。
「……あの時あそこにいなければ『知らなかった』で済んだんでありますけどな。知ってしまった以上ほっとけないでありますよ」
 いかにも不本意といった風に語る彼女を見やりながら沙絵と一狼は小さく笑う。
 そんな三人が見つめる遥か遠く、紅に染まった世界の中心で。
 黎明のような輝きが溢れ出した。



 ※ ※ ※




506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:08:22 ID:TMdB1x95
支援!

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:08:44 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!!!!!

508 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:10:33 ID:hy2yhFqn
 

 ベリトへの攻撃に意識を集中させていたカズキが灯の一撃を見て取れていたかは定かではない。
 だが彼はその一条の閃光を間違いなく認識した。
「――ぉ、お、おぉおおおおおっ!!!」
 咆哮と共にサンライトハートが弾け飛ばんばかりに展開し、閃光を吐き出す。
 世界総てを照らすような圧倒的な光量。迸る膨大なエネルギー。
 留まる事を知らないその力は更に強く、更に強く、眼前の巨狼を呑み込んで行く。
 両の腕を失い身体で耐えるしかないベリトが傾ぐ。
 その挙動は圧力に負けて斃れるモノではない。
 防ぐ事が敵わぬと悟ったベリトが、真正面から撃砕してくる光槍を、強引に側面に飛んで避けようとする挙動。
 ベリトの両足が大きく撓み、そして弾ける。
 地面を陥没させて巨狼は横に大きく跳ねかけて、

「――当然、そう来るっ!!」

 待ち受けていた魔剣の刃に深々と貫かれた。

 いかに全力で疾走した所でくれはのいた場所からベリトの懐に辿り着くまではどうしても時間がかかる。
 ほんの僅かの時間ではあったが、蓮司が戦闘の趨勢を考えるのには十分だった。
 カズキのサンライトハートが最大の攻撃力を発揮するのは言うまでもなく刺突――正面から直線方向に対する攻撃だ。
 まともに喰らえばベリトといえども大きなダメージを受けるのは免れない。
 正面からの押し合いで分が悪いと悟ればどうするか。
 当然避ける。無論追撃を受ける後方にではなく、刺突攻撃をやり過ごせる側面に。
 蓮司はカズキが正面からの押し合いに勝利する事を疑わずに回り込み、果たしてベリトは飛び込むように蓮司の目の前に躍り出た。
「逃がすかぁああっ!!」
 渾身の力で地を踏み、総身のプラーナを吐き出して魔剣を突き出す。
 交差的に突き刺さった魔刃がベリトの身体を深く抉り、避け損なったカズキのサンライトハートのエネルギーが全身を打つ。
「ガアアアアアアアアアアアアアァアァ!!!」
 ベリトは苦痛と憤怒がない交ぜになった咆哮を迸らせる。
 天を喰らうように大きく開かれたその顎に。
 天を灼くように見開かれた真紅の凶眼に。
 天を舞う斗貴子の振りかざす四つの白刃が突き刺さった。

「臓物を―――!!」

 斗貴子の四刃が、蓮司の魔剣が、カズキの閃光が、

「「ぶち撒けろぉおおおおっ!!!」」

 赤銅の巨狼を完膚なきまでに粉砕した。




509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:11:18 ID:TMdB1x95
支援!

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:11:26 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!!!!!!

511 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:12:44 ID:hy2yhFqn
 


 ※ ※ ※



「……ゲームオーバー」
 蓮司、カズキ、斗貴子の三人がベリトを消滅させていくのを上空から睥睨しつつ、ベール=ゼファーは小さく息を吐いた。
 そして彼女は銀色の髪を軽くかきあげて、己に相対している漆黒の少女――リオン=グンタに眼を移した。
 蓮司達が地上で戦っている最中、ベルとリオンはその上空に戦場を移して闘いを繰り広げていた。
 といってもそれはベルにとって戦いと呼べるようなものではない。
 元々彼女はリオンを倒すつもりはなかった。単に地上の戦いにリオンが介入しないように足止めさえできればそれでよかったのだ。
 事実目の前のリオンには傷一つついていなかった。
 一方でベルの方はといえば、リオンはそれなりにやる気だったようで、ベルの纏っている制服が所々破れ素肌が覗いている。
 別に気にするような事でもなかったが、お気に入りのポンチョが僅かに焦げ付いてしまったのが少しだけ癪だった。
 要するに、この二人の闘いはそんな程度のものでしかなかった。
「終わりよ、リオン。ゲームはあたしの勝ち……潔く引いてあの女のお叱りでも受けなさい」
「………」
 侮蔑を露に笑いかけるベルに、しかしリオンは答えない。
 ベリトの消滅を見届けた後、彼女は小さく息を吐いてから瞑目し手にしていた書物を静かに閉じた。
 そしてリオンは僅かに顔を俯けて、囁くように漏らす。
「……こうなる事は、始めからわかっていました」
「ふん……負け惜しみとはらしくないわね。この計画が失敗したのはその書物に書いてある通り、とでも?」
「………失敗?」
 俯いたまま言葉を返したリオンに、ベルは眉根を寄せた。
 前髪に隠された無謀の少女の顔。
 僅かに覗くその口元には、薄い微笑が称えられている――



 ※ ※ ※





512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:13:23 ID:TMdB1x95
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513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:14:20 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!!!!!!!

514 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:14:58 ID:hy2yhFqn
 

「終わったな……」
 ベリトの消滅を確認した後、蓮司は魔剣を地面に突き立てて大きく息を吐いた。
「これで皆助かったのか……?」
「ああ……」
 小さく呟くカズキの声に蓮司は上空に視線を送る。
 その上空では今回の件の元凶であるリオンと、それを阻止しようとしているベルが静かに相対していた。
 遠くて会話は聞こえないが、おそらくベリトを倒した時点で向こうの闘いも終息したのだろう。
 闘いを収めた、という事はおそらくリオンは引く。
 後はベルが残るが、彼女の性格からしてこれから敵対する事はまずない。
 世界の存亡をゲームと称するベルは、他人の計画を利用しようとしても尻馬には乗らないはずだ。
「多分もう終わりだ。お疲れさん」
 笑みを浮かべて拳を差し出す蓮司に、カズキは笑顔を浮かべると彼も拳を差し出した。
 二人の拳がつき合わされると同時、後方からくれはの声が響いた。
「皆お疲れ〜」
 彼女は駆け足で蓮司の元にまで辿り着くと、ベリトの闇を受け止めて傷だらけになった彼の姿をまじまじと見つめた。
 訝しげな視線を返す蓮司をよそに彼女は少し視線を彷徨わせた後、おずおずと声を出す。
「……ひーらぎ。ありがとね」
「あん? 別に気にすんな、いつもの事だ」
「はわ……あ、カズキも一緒に治療しとく? 軽いのなら多分大丈夫だから」
 笑顔で言うくれはにしかし蓮司はびくりと肩を震わせた。
「……。いや、いい」
「……何、その微妙な間」
「宮殿に戻ってから治療した方が確実かな、と……」
「なんですってぇ?」
 くれはが眉を吊り上げて蓮司の襟首を掴み上げる。くぐもった悲鳴を上げる蓮司。
 カズキがその微笑ましい――少なくとも彼はそう思う――を見やっていると、脇から斗貴子が声をかけてきた。
「カズキ。黒い核鉄の回収をしておこう」
「あ……そっか。わかったよ」
 無意識に胸に手を当ててカズキは斗貴子を振り返った。
 灯の射撃で腕ごと撃ち抜かれ、離れた場所に突き立ったランスの元に斗貴子を伴って歩きながらカズキは首を捻る。
「でも、どうすればいいんだろ……前の時みたく胸に押し込むだけでいいのかな」
 以前白い核鉄を取り込んだ時は胸に押し当てるだけで自然に体内に取り入れる事ができたが、黒い核鉄でも同じ要領でいいのかはわからない。
 答えを求めてカズキは斗貴子の顔を覗き込んだが、彼女はゆっくりと首を左右に振った。
「……いや。せっかく黒い核鉄を身体から乖離できたのだから、そのまま戦団で回収しよう。
 今の所白い核鉄でも問題はなさそうだし……ヴィクター化の危険性も完全に払拭できる」
 安堵の吐息と共に斗貴子はそうカズキに言った。。
 そもそもの話、一番最初の段階で黒い核鉄をカズキに埋め込んでしまったのは他ならぬ斗貴子なのだ。
 知らぬ事であったとはいえ、そして現在でこそ白い核鉄でそれを抑えられているとは言え、その事実は彼女の心の中に一抹の影を落としていた。
 経緯はどうあれ危険が完全に取り払われた事だけは、彼女にとって大きな成果だった。
 だが――それなのに何故か、斗貴子の表情はどこか優れない。
「……斗貴子さん、どうかした?」




515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:15:08 ID:pfadcb8/
しえーん!!!!!!!!!!!!!!

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:15:22 ID:TMdB1x95
支援!

517 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:17:04 ID:hy2yhFqn
 

「え?」
「顔がなんか暗い」
 カズキに指摘されて斗貴子はようやくそれを自覚し、大きく溜息をつく。
「ただの個人的な感傷だ」
「?」
「キミの命を繋いでいるのがパピヨンの核鉄だというのが気に入らないだけ。それに、確かに黒い核鉄は忌むべきモノだが、それでもアレは……」
 ――私とキミを繋ぐ絆だったから。
 言いかけた言葉を斗貴子は必死の想いで呑み込んだ。
 呑み込んだ、はずなのに、何故かカズキは斗貴子の手を握り、彼女の顔を真っ直ぐに見つめて声をかけた。
「あの核鉄がなくなっても、オレは斗貴子さんとずっと一緒だから」
「――〜〜〜ッ」
 斗貴子の表情が凍りつき、しかし顔は信号機のように紅潮する。
「あれ? 斗貴子さん?」
「な、なんでもない! こっちを見るな!」
 思わず彼女は歩みを止めてカズキから顔を背けるが、カズキは回り込んで斗貴子の顔を覗き込む。
 逃げる斗貴子と、それを追うカズキ。
 まるで自分の尻尾を追いかける子犬のようなその光景を、少し後方から蓮司とくれはは見やっていた。
「熱いなあ、あの二人……」
「そうだねえ……」
 生暖かい目線を送りながら見守っている蓮司に同調するくれはだったが、彼女が横から半眼で蓮司をねめつけている事に彼は全く気付かなかった。
 くれはは何故か無性に蓮司に蹴りを入れたくなって――半瞬迷った後に実行した。
「いてぇ!? 何すんだ!?」
「何でもない」
「訳がわからん……」
 頬を膨らませてそっぽを向いてしまったくれはに、蓮司は頭をかくことしかできなかった。

「……ええい、今はそんな事をしてる場合じゃないだろう!」
 半分切れかけた斗貴子が声を上げてカズキを押し退ける。
 そして彼を(意図的に)無視したまま彼女はランスの元まで辿り着き、それに手を伸ばした。
「さっさと核鉄を回収して戻――」
 目の前のランスに手を伸ばしかけて、動きを止める。
 カズキは、斗貴子の動きが止まり硬直している事に気付くと、彼女と同じようにランスに眼を向けて――彼女と同じように、硬直した。
「……どうした?」
 後ろから蓮司の声が上がる。
 しかし二人は眼前に突き立った『ランス』から眼を離さない。
「……馬鹿な」
「なんで――」
 武装錬金は使用者の闘争本能によって発動し形を為すモノ。
 それゆえに、使用者の闘争本能が薄れたり、意識を失ってしまったり――使用者が死亡すれば武装錬金は元の核鉄へと戻るのだ。
 カズキ達は確かにベリトを倒した。これ以上ないほどに確実に、完璧に、跡形もなく粉砕し消滅させた。
 にも関わらず――巨狼が振るった暗黒を放つランスは、二人の目の前に突き立っている――


 ※ ※ ※


「………失敗?」
 俯いたまま”秘密侯爵”は静かに告げる。
 前髪に隠された無謀の少女の顔。
 僅かに覗くその口元には、薄い微笑が称えられている――


「――いいえ。これで『成功』なのですよ、大魔王ベール=ゼファー」



518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:17:31 ID:TMdB1x95
支援!

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:18:09 ID:pfadcb8/
しえーん!

520 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:19:33 ID:hy2yhFqn


 ※ ※ ※



 ―――世界を喰らう闇が、溢れ出した。

「斗貴子さんっ!」
「くっ!!」
 カズキが斗貴子を、蓮司がくれはを、庇うように身体を抱きすくめる。
 突き立ったままのランスが弾けとび、展開し、黒い極光を迸らせる。
 ランスを中心に炸裂した衝撃が総てを薙ぎ払い、四人は大きく吹き飛ばされる。
「くれは、無事か!」
「う、うん。なんとか……っ」
「斗貴子さん!」
「問題、ない……!」
 互いの無事を確認した四人は立ち上がり、黒い輝きを放つランスに眼を向ける。
 壊れた蛇口のように闇を吐き散らすランスのすぐ直下、地面に『何か』がある。
 それは灯の射撃によって吹き飛ばされたベリトの片腕だった。
 人の胴体ほどもあるその豪腕が膨れ上がる。
 ランスが放つ闇を飲み込むたびにその腕は質量を増し、巨大化していく。
 肥大していくその腕は傍にあったランスを取り込み、破裂するように大きく弾け飛ぶとやがて人型となって四人の前に屹立する。
 灼けつくような赤銅の体躯。狂気を思わせる真紅の双眸。
 斃される前の憤怒をそのままに牙を噛み鳴らし唸る巨狼――ベリト。
「冗談だろ……っ!」
 魔剣の柄を握り締め、歯噛みして蓮司は呻いた。
 それは蓮司達の見通しが甘いというべきではなかった。
 腕からでも再構成できるほどの圧倒的な再生力など想定の範疇を大きく逸脱している。
「くそぉ……っ!!」
 カズキが体内から再びサンライトハートを顕現してベリトへと向ける。
 再構成したのは外面だけなのか、それとも別の意図でもあるのか、ベリトはそのカズキの姿を見ても一切の反応を示さなかった。
 カズキに次いで蓮司と斗貴子も己の得物を構えベリトに相対する。
「くれは、下がってろ!」
 蓮司は魔力に余り余裕のないだろうくれはにそう叫ぶと、地を蹴ってベリトに向かって走り出し、

 脚をもつれさせてつんのめり、地面に倒れこんだ。




521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:20:21 ID:TMdB1x95
支援!

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:20:22 ID:pfadcb8/
しえーん!

523 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:21:49 ID:hy2yhFqn
 

「……!? チッ!!」
 先程まで空気が緩んでいたためだろう、無様を晒して蓮司は舌打ちした。
 再び立ち上がってベリトに向かって地を蹴りかけて、
 膝から崩れ落ちた。
「……? ……??」
 何が起きているのか自分でもわからなかった。
 起き上がれない。
 どれほど力を込めても、立ち上がる事ができない。
 まるで身体の裡の力が外に抜け出してしまっているような――
「―――が、」
 認識した瞬間、想像を絶するほどの脱力感が身体中を襲った。
 『ような』ではない。実際に外に抜け出してしまっているのだ。
(エネルギードレイン……ッ)
 ベリトが全身を再構成した事によって魔殺の帯の拘束がなくなり、エネルギードレインが再開したのだ。
 だが、その力は最初に相対した時の比ではない。
 月衣に護られてなお、立つ事さえも適わなくなるほどの強烈な威力だ。
 蓮司は顔を上げて――たったそれだけの動作にさえ、全力を込めなければならない――周囲を見渡す。
 くれはも斗貴子も倒れて動かない。
 ただ一人、エネルギードレインの影響を受け付けないカズキだけが立って愕然と三人を見下ろしている。
「――やめろおぉおおっ!!」
 カズキが咆哮し、ベリトに向かってサンライトハートを突き出す。
 渾身の力を込めて放った刺突は微動だにしないベリトの胴体を穿ち、その巨体を大きく抉り砕いた。
 まるで薄紙を破るような軽すぎる手応え。おそらく完全に肉体を構築しきれていないのだろう。
 これならどうにかなる、とカズキが二撃目を加えようとした時、
「な!」
 穿たれたベリトの身体から、闇が噴き出す。
 溢れ出した闇はベリトの身体を覆いつくし、カズキの刺突によって抉られた身体を一瞬にして再生した。
 闇を振り払うようにカズキはサンライトハートを一閃させる。
 ベリトは避けず、閃光を伴ったその一撃はあっさりと巨狼の上半身を吹き飛ばした。
 しかしそれも一瞬の事。
 再び溢れ出した闇がサンライトハートが通り抜けた傍から身体を修復させていく。
 どんな攻撃も効果を為さない――というよりは、ベリトの修復力の桁が違いすぎる。
 それほどの力がどこから供給されているのか……当然、この世界総ての生命からだ。
「くそ……くそぉっ!!」
 カズキは歯噛みしてサンライトハートを握り締める。
 最初の数撃でそれが無駄だと理解しつつ、しかし彼には愚直に攻める事しかできなかった。




524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:22:04 ID:pfadcb8/
しえーん!

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:22:19 ID:TMdB1x95
支援!

526 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:23:48 ID:hy2yhFqn
 


 ※ ※ ※



「――追い詰めて核鉄の力を暴走させるのが目的か……!」
 怜悧な眉を大きく歪め、ベルが唸るように吐き捨てた。
 そんな彼女の姿に溜飲でも下がったのか、リオンは微笑を深めてベルを見つめた。
「……ベリトに一蹴されるほど弱くてはいけない。そしてベリトを殺しきってしまうほど強くてもいけない。
 モーリーの側に少々寄ってしまったのが彼女にとっては不幸でしたが、それもゆらぎの範囲内の事。何も問題はありません」
 リオンはモーリーに対して己の矜持を以て誓約した。
 だがそれはあくまで計画の成就に対してであり、モーリー自身の趨勢に対してではない。
 故に――『モーリーが敗北する事』ですら彼女にとっては問題ではないのだ。
 モーリーが聞けば怒りを露にしただろうが、リオンとしては殊更に隠したわけでもない。
 ただ単に、聞かれなかったから言わなかっただけ。ただそれだけだ。
「そのワリには月匣を迷宮化して守りに入っていたようだけど……?」
「最初から誘っていれば見透かされてしまいますから。それに――ちゃんと『貴女が連れて来て』くれました」
「……!」
 戦力という点で言うならもっとも危険性が高いのは言うまでもなくベール=ゼファーである。
 闘いが始まる直前彼女が語った意味不明の動機のように、ベルの動向を総て読みきるのは至難の業だ。
 裏で蠢動されるのが厄介ならば、盤上に引きずり出してしまえばいいだけの事。
 明確な力量差ではあるが、リオンの目的はベルの打倒ではなく、そしてベルの性格から言って即座にリオンを打ち倒してしまう可能性も極めて低い。
 リオンは柊 蓮司達がベリトを追い詰めるまで、彼女の希望通りに『遊んで』やっていればいいのだ。
 つまりは――
「……『貴女』が『私』を抑えていたのではなく。『私』が、『貴女』を、抑えていたのです。総ては――」
 
 ――この書物に書いてある通り。

 歯を噛んで睨みつけている”蝿の女王”を前に、”秘密侯爵”は静かに事実だけを述べた。



 ※ ※ ※




527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:24:04 ID:pfadcb8/
しえーん!

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:24:22 ID:TMdB1x95
支援!

529 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:26:08 ID:hy2yhFqn
 

(動け……動け、動け、動け――!!)
 心の中で何度も叫び、渾身の力で身体を震わせる。
 だが蓮司の身体はまるで彫像になったように微動だにしない。
 カズキの叫ぶ声が耳に響く。カズキの放つ閃光が視界を一瞬染める。
 彼はまだ闘っている。一人で闘っている。
 助けに行かなければ。力になってやらなければ。
 なのに、
(なんで、動かねえんだよ……!!)
 両の膝を地面につき、両の手を地面に突き、完全に倒れ伏す一歩手前で地面を見続ける事しかできない。
 悔しさで拳を地面に叩きつける事さえ、できなかった。
「蓮司……!」
 弱々しい声が耳を掠め、蓮司は僅かに顔を上げる。そこには、蓮司と同様に地に伏している斗貴子がいた。
 彼女も彼と同じく立つ事ができないほど力を奪われている。
 だが斗貴子は文字通り地面を這って蓮司の近くまで辿り着いた。
「斗貴子……!」
「……手、を」
 意図が知れないまま蓮司はゆっくりと斗貴子に向かって手を伸ばす。
 彼女は懐を探ると何かを取り出し、蓮司に向かってソレを放り投げた。
 ここまで這ってくるのが限界だったのだろう、投げられたソレは蓮司のいる場所とは違う方向へ転がった。
 軽い音を立てて地面に転がるソレを視認する。
 手の平大の六角形の金属。シリアルナンバーXLIV(44)。彼女の持つ核鉄。
「私の武装錬金では力が足りない……。頼む、カズキを――」
 斗貴子の声が途切れた。
 彼女を始めとする錬金の戦士は核鉄を持つ事を覗けばイノセントと同様だ。それを手放してしまえば、この月匣の中では意識を保つ事はできない。
 加えて、この激しいエネルギードレインの中で治癒効果を持つ核鉄の恩恵がなくなってしまえば――
「―――ッッ!!!」
 全身の力を腕だけに込めて手を伸ばす。
 転がった核鉄を掴むと同時、身体中に絡まっていた鎖がほどけるような感触がした。
 地を蹴って斗貴子の元へと駆け寄る。かろうじて生きてはいる。だが、この状況では幾許も持たない。
「くれはっ!!」
 既に意識のない斗貴子を抱きかかえて、蓮司はくれはの元に向かった。
 倒れ伏しているくれはの元まで辿り着くと、彼は跪いて彼女に向かって話しかける。
「くれは、動けるか」
 僅かに首が持ち上がり、疲労困憊の表情で彼女が蓮司を見上げた。しかし返事をする事はできない。
「動くだけでいい。頼む」
「ひい、らぎ……」
「斗貴子と一緒にここから離れろ。きついかもしれないが、少しでも離れればエベルギードレインの影響が薄れるはずだ」
「―――っ」
 くれはは力なく頷くと、蓮司の腕を掴んだ。
 立ち上がろうとしているのだろう、力なく引いてくるくれはの腕を取って蓮司は彼女を立ち上がらせる。
「大丈夫か?」
「……うん。離れるだけなら、なんとか」
 ふらつく身体を支えてやりながら、蓮司は斗貴子を預ける。
 軽く押しただけで倒れてしまいそうなほど頼りない足取りで、くれはと蓮司は一歩距離を取る。
「負けちゃダメだよ」
「……負けねえよ」
 蓮司がこれからどうするのか、くれはには問う必要もなかった。
 だから彼女は精一杯の笑顔を作って、彼に言う。
「……頑張れ、ひいらぎ」
「……ああ!」
 蓮司は踵を返し、走り出す。
 胸に手を添えて、懐に収めた斗貴子の核鉄を握り締めた。
 武装錬金は持ち主の闘争本能に呼応して唯一無二の武装を作り出すという。
 おそらく蓮司がそう望めば、この核鉄も彼の武装錬金として形作られるだろう。
 だが、彼はそうしなかった。
 核鉄の治癒能力がなければ動けなくなるのは実証済みだったし、何より――唯一無二の武器なら、既に手元にある。
 蓮司は月衣から己が分身である魔剣を引き出すと、その柄を握り締めて仲間の待つ戦場へと疾走した。


530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:26:24 ID:pfadcb8/
しえーん!

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:26:42 ID:TMdB1x95
支援!

532 :NIGHT WIZARD cross period:2008/08/11(月) 03:27:34 ID:hy2yhFqn
今回は以上です。クライマックスメイン組
あかりんの途中退場は実は今回の展開のため。絶滅社チームの登場もこのため。
単に趣味だけでゲスト出演させた訳ではありません。・・・や、半分以上趣味ですが
終わりと見せかけてようやく回ってきたリオンのターン。
伏線というよりは状況の後付。一応13話で語ってますけど期間が開きすぎた・・・
そして主人公二人による真クライマックスに続きます。
半ばこの時のために書き続けてきたといっても過言ではありません

流れのために一気に投下しましたが入りきらないのは確実なので分割は>>496までとそれ以降でお願いします


533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:31:58 ID:TMdB1x95
お疲れ様でした!
連携に次ぐ連携に興奮しながら支援していたら、
なんと絶望的な展開に。
しかし、この二人なら何とかしてくれるという期待がたまらない!
主人公二人によるクライマックス、楽しみにしてます。

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 03:33:35 ID:pfadcb8/
武装クロスの方、お疲れ様&GJ!! 待ってました!!

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 12:07:28 ID:47jMbAoK
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  / ` i''"ヽ |::: .:ミ/    ll   ll    ll  ll   `、彡::::| /:  `、:;`:、
 .{ :: ::i  } . |:::::ミ/ .,,''"^l`、 .l    .l,..''"l`、  i彡:::::| .{::  ;;}:::,}  
  .>-:i-''i"  `、::ミ|   ,:==、      .==、.   |彡:::/ ヽ,,.,,_:ノ__;ノ  ●NIGHT WIZARD cross period (>447>468)
 .{ :: :i  :}  ./⌒ヽ. V /:。::|     /:。:ヽ`v /⌒ヽ  〔..  :i::::}
 `、;;_i;;;_/   .|' `、ヽ ミ| |::ii・i|     |i・ii::| レ .//. `|.   `:;;._;|_:ノ  ●ラグナロク×ゼロの使い魔×デュラララ!!×ALG神薙ぐ御剣(>447>468)
  .[__]  .ヽヽ(、ヽ. '' "'''    ,   "'''''''  /,)/ /    [__]、 
  ./  :: `、   \,__.`、      r-`-,     ./__、/彡   /.   `、  ●ドラゴンクエスト5(>413-418)
 {  :::: }   〇.   \.    `‐‐'   ./  〇     {:    ::}
  |   :::/.        ` ‐.、...__ ,....-:;'"゙'-、       .゙:、,  :.::|  ●NW×ダブルクロスアキハバラステージ (>422)
  { :/         ---、、..,,,,____...,l,,,,;:=---:、       `:、::::ノ
  V      /     __,,,,,........          ゙:、        レ   ●クレバーPC大戦(>425)
           )--::==ニ.,,,,,,,,,,,,,___,,,,.....--  ‐‐‐'''"l



536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 12:22:19 ID:nnf4ktgq
乙……ってドラクエ収録されてて吹いたw

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 16:42:58 ID:Y8yhv6oH
規制解除で叫ぶ人の気持ちがよーやくわかりました。やった!書ける!わー!

……時に>>422さんや。自分ダブクロゆにばクロス書こうとしてんだけど、自重した方がいいかな?
たぶん>>424のいう友人ってのは自分のことで、クロス先一つだから>>429さんとネタ被ると自重したほうがいいのかとずっと悶々としてたのだけど
規制巻き込まれて超遅レスに……

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 17:40:36 ID:C1j3UeIO
俺の個人的な意見としてだが投下してもいいと思う
>1をみてもクロス先にTRPGだめとはないしな

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 17:54:54 ID:nnf4ktgq
ネタが被っても書く人によって味は違うだろうから大丈夫さ

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 21:08:21 ID:47jMbAoK
短いものも含めれば、TRPGネタは既に投下されてますよ。


541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 21:53:13 ID:Y8yhv6oH
や、TRPGとのクロスを怖がってんじゃなくて
まったくの同一作品でネタ書くのはネタ被るんじゃないかとか
……そもそもずーっと前から構想だけはあったモンだから、ネタ被るのは書き手としてなんかやるせないっつーか

わかってもらえるだろうかこのキモい葛藤?

542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 22:00:39 ID:C1j3UeIO
そこはもう覚悟してやるべきだろう

543 :429:2008/08/11(月) 22:19:17 ID:2WY1MdI+
>537
僕は構いませんよ。むしろ好きにしなさい。

後出しで隙間を埋めるようなものを書くから。
居酒屋ろんぎぬすでエンドライン春日とアキバ春日が来たとか。

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 22:19:43 ID:YrAKi0fq
全くの同一作品で書いても問題はないと思うがな
俺としては>>429>>541が同じネタで書いてどんな所に違いあるのかが楽しみでしょうがない

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 22:35:07 ID:lY1WH9xP
昔の人は言いました。

書かなくて「後悔」するよりも、書いて「公開」した方が良い、と!

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 22:47:01 ID:2WY1MdI+
色々考えていたら……考えた分だけ春日恭二の神経が擦り減るんだよ。
だから、彼の絡まないようなのを期待させて?
>545
誰が上手い事を言えと。

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/11(月) 23:05:45 ID:Y8yhv6oH
>>542-545
……うん、ありがとう。俺頑張るよ!

ディアボロスについてはキャラの関係上、そこまで深くは出せないんで好きにいじって下さいです
>>424さんが言ってたのの再現とはならないんで、やっぱり申し訳ないんですが
俺は俺なりに頑張らせていただきます。

イタリア産吸血鬼と薔薇王子をこよなく愛してるものかきとして、ですが(オイ)
……うわーい、前よりパーティの王子濃度高くなるー(爆)。ですがそこはご愛嬌ってことで!
スレ汚し失礼しました。次は投下時にお会いしましょう!待っててくれるかは知らん!

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 07:17:22 ID:gVyss4J6
イタリア産吸血鬼…そーいや、ノーチェって柱の男の一族なんだっけか。

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 12:29:19 ID:ApOU6cux
王子はきっと死因:ジョジョ台詞の言いすぎを経験したPLだと信じている

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 15:43:51 ID:SiZ89YCw
というか俺は「死ぬんじゃね?」って言ったのが王子だと信じてるw

551 : ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:34:23 ID:k9ycJhNt
> ところで、ひとつ質問させてもらってもいいですか。
> 某所でNWとのクロスSSを投下してて現在その続きを作成中なんですが、
> 内容を再構成したものをこちらに投下ってのは大丈夫なんでしょうか?
サロンにあったころのVol.8の868に、上記の書き込みをした者です。

他に投下される方がいらっしゃらなければ投下したいと思います。

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 19:35:36 ID:9u9L8RXE
あれ、オレは特に理由もなくあのGMが王子だと信じていたんだが…。

まあだったら明記するよな。

553 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:41:59 ID:k9ycJhNt
では、投下いたします。

結局、再構成は微修正に留まりました。

554 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:43:16 ID:k9ycJhNt
昨日と同じ今日が過ぎ、今日と同じ明日がくる。
世界はくりかえし時をきざみ、変わらない日々が続いているように見えていた。

だが……

人々の知らないところで、世界は滅亡の危機と戦い続けていた!



夕暮れの校舎の中庭で、黒い襟の白い半袖セーラー服の少女が座り込んで泣いている。
学生服を血まみれにした少年を抱きかかえながら。
少年の目は少女に向けられ、少女の目は少年に向けられていた。

校門に書いてある学校の名は三岬中学校、そしてふたりはこの学校に通う三年生であった。

当初は周囲には数人程度しかいなかったふたりの周囲に、何人もの生徒が集まってきた。
いったいそこで何が起こったのかを知ろうとして。

ふと誰かが言う、少年は屋上から落ちて負傷したのだと。

だが、この言葉を誰が言ったのかは、何年たってもわかることはなかった。
だれひとり、どこから聞こえた声なのかすら思い出すことができなかったのだ。
だがその言葉を疑うものはいなかった。
学生服を血に染めた少年の姿から、かなりの重態であることが見て取れたからだ。

事態を理解した生徒の一人が職員室へと走り出す。

あとに残った生徒はふたたび目をふたりに転じる。
そのせいであろう、だれも気がつかなかったのである。
ひとりの少女が非常階段を下りてきたことに。
そしてその少女が一抱えもあるほどの大きな本を抱えていたことに。

大勢の生徒が見つめる中、何も言えずにすすり泣く少女。
少年はそんな少女を見つめほほえみながら言う。

「……」

だがその言葉に力はなく、聞き取れたのは少女ただひとりだけであった。
何も見たくないとでも言うように目を閉じた少女は、首を大きく横にふってその言葉の中のなにかを否定する。
それを見た少年は困り果てたように笑うが、からだのあちこちに走る苦痛は隠すことができなかった。

「……」

少年がふたたび言葉を発した、荒い息をしながら途切れ途切れに。
その言葉が途切れるたびに少女は力なくうなずく、なにかを確かめるかのように。

やがて少女は、少年を見つめてほほえんだ。
少年が見る、少女の最後の顔を笑顔にするために。
少年にこれ以上辛い思いをさせないために。

目の焦点すら合わなくなりつつある少年は、自由になる右手を伸ばして少女の顔に触れようとする。
命のともし火が消えつつある少年に残された、最後の力をふりしぼって。
涙まみれでほほえみつづけている少女は、少年のするままに任せた。
これが少年にできる最後のことであると理解して。

555 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:44:10 ID:k9ycJhNt
やがて、少年の腕が力なく落ちる。
少女は真っ青な顔で少年の名を呼ぶが、少年がその呼びかけに答えることはなかった。
この瞬間、血まみれの少年は15年の生涯を閉じたのだった。

「いやあっ!」

多くの生徒が見つめる中庭に、少女の叫び声だけが響いた。



それから一ヶ月ほど過ぎたある日、少女はひとり列車に乗っていた。
三岬中から幸手中へ転入することが決まったためだ。
理由は親元に戻るため。

少女はもともと幸手市の出身だったのだが、とある理由から親元を離れ三岬町で暮らしていたのだ。
三岬町での暮らしは2年と少々、中学時代のほとんどを三岬町で過ごしたことになる。
今では第二のふるさとと言っていいほどに三岬町のことが好きになっていた。

幸手中から転入してきた当初は、友人も作らず孤立気味であった少女。
だがやがて、徐々にクラスに打ち解けていくことになった。

転落事故で死んだ、あの少年のおかげで。

少年はクラスで人望も厚く、友人も大勢いた。
そんな少年と係わるうちに、ひとり、またひとりと友人が増えていった。
無愛想で近寄りがたいオーラを発していた少女も、日がたつに連れほほえむことが多くなっていく。
すると少女自身に、友人になりたいと話しかけてくるものが多くなっていった。

それほどまでに少女に対して好意を抱くものが増えていったのだった。

とはいえ、少女に交際を申し込んでくるものはいなかった。
なにしろ少年と少女はクラスの公認カップルと言わており、そこに割って入ろうとする者は誰もいなかったからだ。
それゆえ少女の落ち込みは激しかった、数日は学校を休むほどに。



少女が学校に出てくるようになっても、数日は誰も声をかけることができなかった。

だが、誰いうとなく少女を支えようとクラス中が動き出した。
少年とすごした日々を、無駄にしないでほしいと。
それから数週間が過ぎ、少女は心からの笑顔を取り戻すようになった。

そんな矢先の転校であった。

転校を指示したのは、少女が幸手小学校時代から通いなれた道場の師範である。
実を言うと、幸手中学から三岬中学への転校も師範の指示であったのだった。

小学校の高学年になると、片親だけであることへの同情が重荷になり、少女の社交性が失われていった。
それまで仲良くしていた友だちとの付き合いもなくなり、自宅に引きこもり気味になっていた。
道場には顔を出すものの稽古はひとりだけですることが多くなり、学校でも道場でも完全に孤立してしまっていた。

師範は熟慮の上、みんなと一度距離を置いたほうがいいと考え、少女の父に申し出た。
三岬町に自分の知り合いがいるので、落ち着くまでそこに少女を預けさせてもらえないだろうかと。
少女の父は少女のおばにあたる自分の妹や、その娘たちと何日もかけて話し合った。
その上で決断したのだ、師範の申し出を受けようと。

それから足かけ三年の月日が流れ、普段は近況を聞くだけの師範から再び指示があった。
高校受験のこともあり一度親元に帰ったほうがいいというのが、師範が幸手へ戻ることになった理由であった。


556 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:45:01 ID:k9ycJhNt
かつての同級生とも元通りとは行かなくても、それなりにつきあえるようになったのではないか。
少女の様子からそう考えた、というのが師範が口にしたもうひとつの理由ではあった。
だがひょっとして、今度のことの記憶が蘇りにくい場所にいた方がいいとの判断もあったのではないか。
そんな風に、少女は指示の裏にある師範の配慮を感じていた。

「戻ったら、また友達になってもらえるかなあ……」

窓の外に目をやりながらも、どこも見つめることなく少女は一人つぶやいた。
だがその問いに答えるものはだれもいない。

検札以外で少女に話しかけるものはなく、時間だけが少女の周りを過ぎていく。



乗り継ぎに乗り継ぎを重ね、少女は生まれ育った町、幸手の駅に着いた。

列車から降りると、目に映る懐かしい風景に心が弾む。
少し歩いたあとで人の動きを邪魔しない場所に立ち、少女は周囲をぐるりと見回した。
旅立つ時には、こんな思いでこの風景を見つめることになるとは思ってもいなかったことに苦笑しつつ、歩き出す。
軽い手荷物だけを持って改札口を出ると、中年男性が少女を待っていた。

「お帰り」

男性は少女を優しく見つめながら言葉をかける。
その目はとても優しく、少女を大きく包み込むようであった。
旅立つ前には二度と見たくないと思っていたことが嘘のように、今では思えた。

少女は笑顔で男性に駆け寄ると、大きな声で言葉を返す。

「ただいま! お父さん!」

手荷物を地面に落として少女は父親に抱きつき、およそ3年ぶりになる父親との再会を喜んだ。
しばらくそのまま抱きついていると、脇から近寄ってくる気配を感じる。
ふと見ると、そこは幼いころから仲良くしていたふたりの従姉妹の姿が。
既に就職済みの姉と、中学一年の妹は目を潤ませて少女と父親を見つめていた。

「ゆい姉さん! ゆうちゃん! 来てくれたの?」

驚きの言葉と共に父親から離れ、少女は満面の笑みで従姉妹を見つめる。
その少女の目にも涙が浮かんでいた。

父親も、少女のそばで目を潤ませている、娘が笑顔を取り戻したことへの喜びで。

「あたりまえじゃない……」

ゆいと呼ばれた姉が、笑顔のまま流れる涙をぬぐうこともせずに涙声で答える。
ゆうちゃんと呼ばれた妹は言葉が出ないらしい。
ただ少女に抱きついて泣きじゃくるだけだった。

「ゆたか、大丈夫?」

ゆいに声をかけられ、涙をぬぐったゆたかは、少女から離れてやっとの思いでほほえむ。
そうして誰もが落ち着いたところで、改めて少女は言う。

「みんな……ただいま!」

少女はふたたび父親に飛びつく。
そして、ゆたかは少女に飛びつく。
ゆいは3人を見つめ、目頭を熱くしていた。

557 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:45:44 ID:k9ycJhNt
「こなた、お帰り」

「お帰りなさい、こなたお姉ちゃん」

「お帰り、こなた」

ゆいが、ゆたかが、父親が口々に少女の名を言う。

少女の名は、『泉こなた』と言った。



こなたの新たな日々が、きょう、ここに始まることになった。
そしてこなたは、進学した陵桜学園で生涯の親友と出会うことになる。

大勢と親しくしていたにもかかわらず、三岬中時代のこなたに親友はいなかった。
死んだ少年と『もう一人の少女』を除いては。

けれど、その少女とは事故以来、顔を合わせることはなかった。
なぜなら、こなたが中学に復帰して以来、その少女は行方不明になっていたからだ。
こなたはふたりの友人を失ったことに、ショックを受けた。

クラスメートや教師、宿泊先の人たちのフォローがなかったら、自暴自棄になっていたかもしれない。
気持ちの落ち着いた今、みんなに感謝しているこなたであった。

事故の翌日から、彼女は姿を消していた。

警察が懸命に捜索したにもかかわらず、彼女の足取りを追うことができなかった。
ショックを受けた家族は引っ越し、来年三岬中に入るはずの彼女の弟も転校していき、彼女を知るものは深い悲しみにつつまれることとなった。
そしてそれは少年を失ったこなたに追い討ちをかける結果となり、クラスメートがこなたのために動くきっかけともなったのだった。

幸手に戻ってからも、こなたはかつてのクラスメートにその後の様子を問い合わせていた。
メールはもちろんのこと、電話や手紙でも。

だが何年たっても少女が見つかったという話を聞くことができなかった。
やがて誰もがそのことに触れることを望まなくなり、こなたの問い合わせに答えることはなくなっていった。
こなた自身も少女が見つかることをあきらめ、思い出すこともなくなっていく。
事件のことは忘れ去られようとしており、それが新たな悲劇を呼ぶことになるとは、誰も予想しなかった。

そして、こなたが幸手市の実家に戻ってきてから、3年近い日が過ぎようとしていた……



さらさらさらさらさら……

あと数日で夏休みだという日の夜のこと。
机を照らす明かりの下から発せられるシャープペンシルが紙にこすれる音だけが、静まり返った部屋に響いている。
長い髪をリボンでツーテールに結わえた高校一年生の少女、柊かがみは参考書を広げ、予習復習に余念がない。

宿題も夕食前には終わっており、明日の準備は万全のはずだった。

「きょうはここまで、かな? なんか、調子出ないし」

だが順調だったはずの勉強も、だいぶ前からケアレスミスが続出しており、能率がかなり下がっていた。
なぜかはわからないが、気分が乗らなくなっているのだ。

参考書を閉じ、固まったからだをほぐすように伸びをする。
ふと見ると、脇においてある時計の針は午前1時を回っていた。
いつもなら、これから調子が出てくるはずの時間だった。

558 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:46:41 ID:k9ycJhNt
(どうしたんだろ、特に気になることがあったわけでもないし……)

ぶるんと頭をふり、かがみは仕方なしに席を立つ。
ふいに、すぐとなりの部屋にいる双子の妹、つかさのことが頭に浮かんでくる。

(陵桜は進学校だっていうのに、だいじょうぶなのかな?)

やっとの思いで入学できた陵桜学園は、受験の時だけではなく授業のレベルも高かった。
教師の説明にわからないことが多く、かがみは必死になって付いていこうとしていた。
とはいえ勢いあまったせいか、中間テストでは学年で10位以内に入っていたのだが。
だからと言って、ここで力を抜く気になれないかがみではあった。

ため息ひとつついて、引っ込み思案で、ほとんど友人のいないつかさのことを心配する。

「つかさ、そろそろ自分で友達作ることを覚えないとね……」

ため息混じりにつぶやくと、時間割表に目をやる。
すぐに手馴れた動作であすの予定を確認し、テキパキと教科書やノートなどをしまい始める。
もっとも夜遅いこともあり、音をあまり立てないように気を配りながらではあるが。

「……よし、準備OK」

予定どおりのものがカバンの中に入ったことを確認し、登校準備を終える。
ふだんならこのまま着がえて就寝するはずなのだが、きょうのかがみは違った。

カバンのふたを閉じたあと、ひざ立ちのままで考え込んでいたのだ。

 − 何を考えることがあるのだろう? −

家族が見たらそんな問いが帰ってくるに違いない状況がしばらく続いた。

「しばらくぶりに……やるか」

ふいに立ち上がり、ドアへとむかう。
息をひそめ、音をなるべく立てないように気を配ってドアを開け、そのまま部屋を出る。



トン、トン、トン、トン……

しのび足でなるべく音を立てないように気をつけながら階下へ降り、そのまままっすぐ玄関へ向かう。
そっと外へ出たあと静かに玄関のドアを閉めると、急に吹きつける夜風の冷たさにからだがぶるっと震える。

「ううう、もう夏だといっても夜は寒いか、やっぱり」

そのまま足早に鷹宮神社の拝殿へと向かう、かがみ。

社務所兼用の自宅から拝殿まではあっという間であった。
拝殿手前の手水舎で手や口を濯ぎ、あまり音を立てないように軽く鈴をゆらしてから参拝。
自分とつかさの、はじまって間もない高校生活が、よりよいものになるように祈りをささげた。

中学に入ってからかがみはたまに、就寝前に参拝に行くことがあった。
ふだん現実的なことを言っているだけに、人目のある時間帯には行きづらいためだ。

だれも気にしないとは思ってはいるのだが、かがみの心からは気恥ずかしさがどうしても抜けないでいた。
こんな感じで素直になれない性格がうらめしいと思うときもある。
だが、どうしても日中に参拝に行く気にはなれなかったのだ。

(さて……と、そろそろ戻らないとね。誰かお手洗いに起きてくるかもしれないし)

559 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:47:27 ID:k9ycJhNt
戻ったらトイレに行ってから寝ようと思いながら空を見上げる。
有名な星々の瞬きがはっきりと見える透き通った夜空の東側には、下弦の月がこうこうと輝いていた。

(月がきれい。雲ひとつ見えないし、明日も暑くなるわね)

そう思って空を仰ぎ見た時、ふいに違和感を感じるかがみ。

(なんか……変な感じ。何か違う気がする)

よく見てみると、南の空に満月が輝いている。
東の空に下弦の月が輝いているのに。

「えっ?」

思わず驚きの声を上げてしまう、かがみ。
見間違いではないかと何度も見直すが、天空に二つの月が輝いて見える事実に変わりはなかった。
そこで気づいたのだ、南の空に輝いている満月が紅いことに。

「赤い……月?」

あたりが急に静まり返り、虫の音やカエルの声すら聞こえなくなる。
かがみは何が起こったのかと、あたりをキョロキョロ見回すしかなかった。

「あら? おとり作戦が成功したと思ったら、こんなところに伏兵がいたなんて」

ふいに頭の上から聞こえてくる声に驚き、夜空を見上げて声の主を探す。
そこでかがみは信じられないものを目にしたのだった!

「え? 女の子? なんで?」

かがみが目にしたのはひとりの少女。
少女は、どこかの学校の制服の上にポンチョを羽織っている。
それだけなら、何もおかしなところはなかった。

だが少女は、下弦の月が輝いている東の空に、まるで空中に立っているかのように浮かんでいたのだった!

「どうやらまだ覚醒前みたいね…… こんなのを配置するなんて、あいつらも甘いわね」

少女は不適に微笑むと、左手をかざす。
かざした先はかがみの右手、鷹宮神社の神楽殿の建っている方向である。
にやりと少女が笑うと共に、右手に赤い輝きが生まれたことを感じる。
だが、かがみの目は少女に釘付けだった。

ズン!

少女が手をかざした先から、大きなものが落ちるような音が聞こえる。
その音に、かがみは反射的にそこにあるはずの建物、神楽殿に目を向ける。

そしてそこに、とんでもないものを見てしまったのだ!



神楽殿を背後に立っていたのは、異形の存在。
首を痛くなるほど見上げるほどの巨人が立っていた。
デコボコした土色の肌に大きく歪んだフォルム、生命の輝きを感じさせない顔。

土くれでできた巨大な人形、伝承の怪物ゴーレムである。

560 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 19:48:10 ID:k9ycJhNt
かがみは以前読んだファンタジー小説を思い出していた。
主人公たちですら苦戦して倒していたゴーレム。
今の自分にどうやって倒すことができるのだろう。

第一実際に目の前に立つゴーレムを倒す力を、かがみは持っていないのだ。
ゲームでは何度も退治したことはあるが、それがここで役に立つとは思えなかった。

なんでこんなところにこんなのがと、思う間もなく後ずさる。
からだじゅうがふるえ、思うとおりに動くことを拒否しているようだった。
気づくと空に浮かんでいた少女の姿は……ない。

「え? うそ?」

思わず驚きの言葉を発するが、驚いてばかりもいられなかった。

ゴーレムの目のない顔がかがみに向いた瞬間、背すじに寒気が走る。
このままでは殺されてしまうと思ったとき、怪物から少し離れた場所が円を描いて赤く輝きだした。

(魔法陣?)

まるでラノベの世界に入り込んでみたいだと、目の前で起きていることに見とれる。
何でもいい、これが助けであってほしいと祈るばかりであった。

そして……奇跡は起こった!



輝きが収まると、そこに立っているのはひとりの少女。
低い身長、スレンダーな体形、腰までの長い髪。
かがみが見たところ、少女は小学校の高学年くらいに見えた。
だが少女には、目の前の怪物に対する恐怖を感じている様子は見えなかった。

少女はふいに、黒いコートの中から鈍い光を放つ日本刀を取り出す。
それは、かがみがはじめて見る不思議な光景。
だがかがみは、その光景を何度も目にした気がしてならなかった。

瞬間、赤く輝く炎が少女を取り囲む。
そして刀を構え、気合と共に一閃!
炎の塊がゴーレムに直撃、一瞬にしてゴーレムは崩れ去る。

うめき声のようなものを残して出来上がった土くれの山も、間もなく消えた。
少女は土くれの山があった場所に近づくと、なにやら鈍い光を放つものを手に取る。
そしてまだ何かを待つかのように、その場で刀を握りしめていた。
その間、かがみは少女の行動を見つめることしかできなかった。

そしてその間ずっと少女の周りには、赤い炎にも似た陽炎がまとわりついていた。
そんな赤い炎のゆらぎの中で、少女の髪と瞳も赤く輝いていた。

(炎髪……灼眼?)

かがみの脳裏にラノベで読んだことのあるフレーズが浮かんだ。

「フレイム……ヘイズ、なの?」

思わず発した言葉に少女が鋭い目つきでかがみを見つめる。
炎のゆらぎは消え、少女の手元に刀はない。

『あら、そこのウィザードはおとりだったってわけね』

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 19:48:54 ID:0H7xaoRL
遅くなったが支援

562 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 20:00:07 ID:k9ycJhNt
先ほどの少女の声が聞こえる。
だが、いくら探しても姿が見えない。

『まあ、いいわ。ゲームはしばらくお預けね。
次に会ったときは覚醒していてね。
じゃ、楽しみにしているわよ』

「どこ? どこにいるの? あなた誰?」

答えが返ってくるとは思わなかったが、かがみは叫ばずにいられなかった。

『裏界の大公、蠅の女王、大魔王ベール=ゼファーよ。覚えておいてね、未熟者のウィザードさん』

クスクス笑いが小さくなっていくと共に紅い月が姿を消す。

残ったのはかがみと、ゴーレムを倒した少女だけだった。
少女を見つめるかがみは何も言えずに立ち尽くす。

「……」

「えっ?」

少女が小声で何かをつぶやくと、再び魔法陣が現れる。
かがみが驚きの言葉を発する目の前で、少女は姿を消してしまった。

「待って!」

あわてて少女の下に駆け寄るが、たどり着くころには魔法陣の輝きは消えていた。
あきらめきれずに周囲を見ても誰の姿もなく、東の空に下弦の月が出ているだけだった。


563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 20:03:21 ID:0H7xaoRL
さるさんにでも引っかかってたかな? 支援

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 20:05:39 ID:kNP516JD
メール欄の意図がわからん

565 :闇祓う光明 ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 20:05:56 ID:k9ycJhNt
最後の最後でさるさんに引っかかってしまった……orz

以上です。
最初に投下したスレは年齢制限つきの板にあるスレですが、
もともと成人向け表現がなくても受け入れてくれるスレだったので、
再構成に時間はかかっていません。

なお、柊蓮司は次回、登場予定です。

566 : ◆xdkSnUtymI :2008/08/12(火) 20:07:26 ID:k9ycJhNt
>>564
一応、本人証明のために『今回だけ』入れてみました。
次回からはsageだけになります。

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 20:27:56 ID:0H7xaoRL
お疲れさまです。やはりさるさんでしたか。

クロス先は「らき☆すた」のみでしょうか?
実際には多重クロスだけど今はまだ明かしたくない、という場合はそれでも構いませんが。

元の投稿ってコレですよね? 元の投稿先にはちゃんと断ってます?
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1132.html



そういえば再構成後だと、タイトルコール無いんですね。


568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 20:27:58 ID:d2yR0Sii
なんという炎髪灼眼の撃ち手

これだけは言っておかないとな

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/12(火) 21:13:18 ID:6UJGn187
>>568
志村ー、討ち手討ち手ー

570 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/13(水) 04:03:35 ID:fprBm/zk
         /: : : : : : : : : : : : : : : : !-.-.‐.‐.‐. ァ
    __∧': /   . . . : : : : : /: :/: : : :`: :<
.  /:::::::::::::::::〉: : : : : : :./: : : :,:イ: :∧: :i: : . .\:`ヽ   ○
  〈::::/:::::::::::/: : : : : : :/ : : : / /: /  ',: |: : ハ: : ヽ  \
  ∨:::::::::::::/: /: : : : :/: :-∠_/_:/   |: |: : :∧: : :ヘ、  ',         ○
  〈:::::::::::::/: /: : : : :/: :.X   //   \!∧: : : :',: : : ハ\j
  /\:::::/: /|: : : : /i/  \      /`ー∨: : :l: : : :.!        o
  ,'.:: : :ヾ:./´ !: : : /  ̄ ̄ ̄       ___∨: :i:. : : :!
. i.: : : ./イ!  |: : /      __    \    /!: ;イ::. : :.i〉    
. !: : : : .::|:.ヽ_j: /     /:::::`:.、   \ /、|:/:.|:::. : ,'          【保管】
 j: : : : : .:!:.:/ |/ \    /::::::::::::::::::〉     ! }':.:.:|∨:/     o       闇祓う光明 #01
 |: : : : : .:|:/    > 、j::::::::::::::::::/   , イ-<:.:.;イ:.W
 |: : : : : .:|'   /   |` ーrー-イ--‐ '  |:.:.:.∨:.!: |
 |: : : : : : !   〉     |  /ヽ  ヽ  o j:.:.:.:.:. : !: |          O
 |: : : : : : |  /`ー 、  |    ,!  }、   |:.:.:.:. : :.|: !    ○
 |: : : : : : | ./    ヽ |\/,|  / ハ   |:.:.:. : : :.|/
 |: : : : : : |/      `|\///   |  .|::. : : : : |

●「闇祓う光明」作者さんへ
現状、元の投下先の保管庫と多重収録になっちゃってるので、
この先どうするのか(片方のみにするのか、両方残すのか)、このスレ上でいいので教えてください。

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/13(水) 21:31:56 ID:EraZPEkq
私にいい考えがある。このスレには全年齢版を投下して以前の投下先には成人vreを載せるんだ。

572 : ◆xdkSnUtymI :2008/08/13(水) 21:31:58 ID:9tVBOBHo
レスが遅くなって申しわけありません。

>>567
クロス先は「らき☆すた」のみです。
贄殿遮那のフレイムヘイズなどの「灼眼のシャナ」のキャラクター達とは一切からみません。
あくまでも、『「灼眼のシャナ」は、かがみの読んでいるラノベのひとつ』という位置付けです。
ただし、こなたの通っていた中学の名前など、シナリオ的なギミックとして取り込んではあります。

>元の投稿先にはちゃんと断ってます?
すいません、以前の投下時に尋ねてはみたのですが、返答はもらっていませんでした。
改めて尋ねてみました結果、こちらに移転することにしました。
むこうの保管庫の管理人さんにも削除を依頼してきました。
ご心配をおかけして申しわけありません。

>そういえば再構成後だと、タイトルコール無いんですね。
こちらの保管庫での保管スタイルを見て、あれはなくてもいいかなと思って削りました。

>>570
保管ありがとうございます。
あちらの保管庫に削除依頼を出してきました。
これからは「闇祓う光明」をこちらのみに投下したいと思います。

>みなさんへ
ご面倒をおかけして申しわけありません。
今回のようなことはもういたしませんので、これからよろしくお願いいたします。

573 :保管庫の人:2008/08/13(水) 22:20:45 ID:XBsUfftK
一話ごとにサブタイトル入れてる人も、そうでない人も両方いらっしゃいますね。


以下お知らせ。

保管庫に収録する時のページ名は、
特に指定が無ければ投稿順に「第01話」「第02話」…としてますが、変更も可能です。

「第01話01」、「第01話02」……のような区切り方をしたり、
「エピソード01」「○○の巻」みたいな変則的なページ名でも(順番さえわかれば)OKです。

希望する作者さんがいらっしゃいましたら、ご相談ください。

574 :桃魔の中身:2008/08/13(水) 23:25:18 ID:mswPkyKv
>>573
いつもいつもお疲れ様です

相談、ともうしますかやってくださいと言うのはたいへん心苦しいのですけど
拙作「桃月町の魔法使い的日常」についてお願いがあります。
サブタイトルを目次リンクのところにいれていただけますでしょうか?
自分でもなんとかしてみようとしたのですが、うまく編集できませんでした
編集していただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/14(木) 00:53:53 ID:mnP1dfYb
>574
こんな感じで。
http://www32.atwiki.jp/nwxss/pages/85.html

エンディングは1ページに複数のエピソードがあったので、どうしようかと思いましたが
そこは力技で解決。


ついでに修正。
●ページ名「Endding01」→「Ending01」
●Ending01のタイトル「1・レベッカ宮本の場合。 -Starry heaven-」 → 「1・レベッカ宮本の場合。 -Starry Heavens-」

576 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/14(木) 01:09:11 ID:PFoFm49z
>>575
うあぁありがとうございますぅぅぅっ!
もうなんでも言ってくださいっ、自分あなたのためならある程度なんでもしますっ!むしろイヌとお呼びくださいっ!

577 :節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/08/15(金) 10:57:08 ID:c7qQJD69
や、どーも。
リリなのの方で『ダブルクロス・リリカル・ゆにばーさる』書きました。
御用とお急ぎでなくば、ご照覧ください。

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/15(金) 12:07:21 ID:twNI656g
>>577
……って、なんか他の人の話とリンクするみたいなこと書いてるけど大丈夫なん?

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/15(金) 13:51:21 ID:hsADD1bt
……存在が荒らしのような人だからな。コイツは

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/15(金) 14:24:00 ID:twNI656g
>>579
そうなの?よく知らんけど

何やらかしたか知らないけど、まさかリンクするとかいってる話書く人に許可なしでそういうこと言ってるってことはないよね、この人
さすがにそれはないと思いたいんだが……
小ネタ重ねるリレーじゃあるまいし、リンクの話の人と知り合いで、ちゃんと打ち合わせしてるよなぁ

即興で話作るTRPGと違って、SSだぜ?
きちんと話しあいしてないとリンク話なんてできるわけがないってくらいは少し考えればわかるよな

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/15(金) 14:50:49 ID:8XXu9Hmb
>>580
荒らしつーか頭がアレな困ったちゃんだから触らない方がいいよマジで。

582 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/15(金) 16:37:35 ID:e3XI5WW9
どういう人物かは知らないが、このスレで問題を起こしたわけではない以上、全く関係ないな。リアル犯罪なら別だが。

583 :節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/08/15(金) 20:31:33 ID:q6d3VOJo
>578
あいや、リンクさせるどころか、通りの向こうとこちら(つまり、ここと向こうのスレ)で住み分けたいな、と。
だってプロットの段階でネタ被りしてるから。

こっちで>537さんが書く話がどうなるかは知らないけど、このスレという事は確実にNWとダブルクロスがクロスする、という事実について触れただけです。

584 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/15(金) 21:33:21 ID:e3XI5WW9
まさしく二重クロス

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 04:15:34 ID:B4HU7cZX
戦唄のせいで、
クロームドーム淹れたお茶を飲む、
ヴィオレットとガンボルトが頭から離れない。

586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 04:41:50 ID:xYAn3V2F
ロボに「クロームドーム」分なんて注入したらDQNロボ確定だな

587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 05:02:59 ID:MH7SdcSj
クローム髑髏ならマユリ・ヴァンスタインと絡ませられるよ。

588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 07:54:47 ID:c/ULmJJB
TFにいたなクロームドーム。ヘッドマスターズの戦闘隊長だっけ。

589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 08:14:46 ID:fonGD/+k
ふと、目を覚ますと柊がDQ3の世界で母親に起こされる夢を見た。ちなみに主人公だけど職業は戦士で、ルイーダで勇者レンが雇える仕様だったw
そして、「ここはさんしたバーグです」
ってダイアログが出たところで目が覚めた。

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 09:08:54 ID:MH7SdcSj
こんなの?
ttp://toppg.to/up/img/downquest3.htm

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 11:51:24 ID:sKr9d3tv
僧侶:くれは
魔法使い:マユリ
盗賊:べる
遊び人:あんぜ

こんな感じだろうか

592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 12:36:01 ID:dZU7MCiw
>>591
あんぜではあの服装は似合わな(宮殿に拉致されました)

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 13:04:40 ID:/IBWAhzS
でも公式にバニー姿の絵があるんだぜ、アンゼさまは

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 13:47:04 ID:rrJqLAKI
……似合ってたとでもいうの(血痕反応

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 13:56:39 ID:PmQL3wsT
>>591
武闘家:竜之介
戦士:ポーリィ

……商人と賢者が思い浮かばないorz

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 14:02:25 ID:rrJqLAKI
賢者のあの格好はザーフィが無駄に似合いそうだなーと思った
魔法なんかなんも使えないけど、遊び人上がりなのは完璧だと思う不凍湖の賢者

商人……
ポーリィ・バーグ?

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 14:25:32 ID:PmQL3wsT
いらないやつと言うことで
「トウガバーグ」って浮かんだ。

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 14:42:39 ID:fonGD/+k
ピラミッドで見事な漢探知を発揮する下がる男。

>>595
そこでライフパスが口がうまいでそこはかとなく不幸な三下女神さまですよw

ふと、行く先々でバンダナと言う名のおてつ…もとい、足跡を残す勇者の父親相当品って言葉が頭をよぎった。

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 15:26:43 ID:rrJqLAKI
ジーンと結婚すれば行く先々で謎の仮面の男が支援してくれる、まで読んだ

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 15:39:28 ID:WBWjTOLy
柊がペルソナ愚者イカロスを召還して
ロンギヌス・コイズミが続いてイピクレスを出したところまで読んだ

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 15:45:44 ID:qJ0GZsHx
ベル様がデビチル世界に召喚されて高城に手玉に取られる、まで読んだ

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 18:22:07 ID:c/ULmJJB
>>595
商人:アニス・ペルノー(ぺルノー商会)
賢者:ナティノ・マゴメノ・ジョナサン(クラス:ビショップ)

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 20:38:24 ID:B4HU7cZX
やっぱこうだろ?

ちゃんさま→勇者(プレイヤーの操作を受け付けない)
ぽんこつ→遊び人(Lv99)
鉄ちゃん→賢者(黒幕)
幼なじみの巫女→僧侶(回復魔法ふぁんぶる)

志宝エリス→魔王

ルーさま→女神(出番なし)

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 21:29:40 ID:ecBpzpVv
アレフガルド
 裏 界 、だと……!?


605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 21:34:29 ID:TmXLBpJ5
あー、太陽は上がってなさそうだなー
でもどっちかというと幻の大地じゃね?

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 21:56:46 ID:ecBpzpVv
確か、「上の世界」がNWでいうところの表だよな


607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 21:59:17 ID:TmXLBpJ5
下が現実、上が夢だからな
で、その真ん中に新しく世界を作ろうとする魔王の話か
おお、なんかシナリオにできるんじゃね?

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 23:34:05 ID:B4HU7cZX
是非、清楚可憐なお姫さま役でアゼルたんを!

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 23:36:33 ID:B0rYP7XB
そろそろココが アニキャラ総合板 なのを思い出そうぜ

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 23:41:51 ID:qJ0GZsHx
だよなぁ……さすがにS=Fキャラをメインに話するのはどうかと思うんだ
せめてメインはナイトウィザードで話しませんかと。

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 23:53:14 ID:IxsZuBfv
普通にメインはNWに見えるんだが……
炎砦ネタが微妙で、明確にS=Fネタなのは602か
リプレイとかルールブックのネタがダメなら、このスレたちいかんと思うし

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 23:54:55 ID:IxsZuBfv
あーあと、>>599も純粋なS=Fネタか

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 06:58:49 ID:h3DqPVuf
>>612
炎砦に2人とも出てるんだから、いいんじゃね?

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 09:08:37 ID:MH2w9E7l
ここらできちんと線引いておいた方がいいかもね。個人によってどこまでOKかも違うだろうし

俺の個人意見としては
・作品として許されるクロスできるキャラはリプレイ含めてもNWキャラのみ
(アニメ板だけどここ変えるとすでに書けなくなる話とかあるし)
・ネタとして他のきくたけネタが入ることはある程度は仕方がない
ただし、NWとのクロスネタにしないならできるだけ自重する。長くは引っ張らない
・シナリオとかセッションとかはさすがに本気で自重。TRPGやる話は卓ゲ板で存分にどうぞ

って感じだなー

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 11:12:45 ID:a0eLe53x
>>614
柊が出ているNW以外の作品(黒皇子、炎砦、スルト、空砦)はどうすんの?

つーかこのスレが始まった頃は今回予告とハンドアウトしかなかったんだが、時代は変わったのか……
確かに言われなきゃダメだって気づけないわなw

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 11:17:43 ID:NH+eBAlP
作品が多いんならともかく少ないんなら予告もハンドアウトもいいんじゃないか
できればその予告やハンドアウトを元に誰かがSS書くのはOKとしてもらうとありがたい

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:18:11 ID:yRzo9JqT
予告やトレイラー、ハンドアウトはアリだけど
他者がそれを書くってのはナシにしようぜ

三次創作が出てくるのはいただけない

618 :614:2008/08/17(日) 12:19:38 ID:MH2w9E7l
>>615-616
ごめん。俺の言葉が足りなかったみたいだ
ハンドアウトネタについてやめろと言った覚えはないけども、やっぱり俺の言葉足らずだったと思う。たぶん。

そうじゃなくて「これをシナリオにしよう」とか、「セッションしよう」とかまでは発展しないようにってこと
卓ゲ者はすぐ悪ノリするからな。一概に悪いとは言わないが、板を考えて自重しろって言いたかった。

柊参戦の他作品は……うん、きくたけの他作品と同じ扱いでいいんじゃないか?
ネタならOK、ただしまったくナイトウィザードを無視して話を繋げるのはさすがにアウトだろう
すでに晶やポリが出てる作品もあるけど、あれらはやっぱり柊出て来るしな。ナイトウィザード自体はつながってると言える

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:21:25 ID:w7NGwRVr
他のアニメのクロスSSスレでも、
1レスに収まるような小ネタとか、妄想設定とかがあるわけで。

ハンドアウトや今回予告(シナリオ)は、その1ジャンルということでいいじゃない。


>615
線引きは微妙だが、自分の場合は
黒皇子はNW、炎砦は準NW、他は別シリーズくらいの認識

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:32:01 ID:w7NGwRVr
>617
とはいえ
「○○という設定はどうだろう」 → 「その設定面白いな。それで一本書きたくなってきた」
という流れは否定しづらい。


>618
そういうことか、納得。

「シナリオ」にするなら、そのシナリオを元にSSを作るか、
実際にプレイして、それを小説っぽく書き起こすならOKかなあ?

621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:42:36 ID:yRzo9JqT
>>620
正直、その流れで出来た作品?それが良作かつ続いた試しはない。
スレの寿命を延ばす為にも三次創作の全面禁止は絶対条件だろう

622 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:45:00 ID:h3DqPVuf
ハンドアウトを見て、実際にシナリオが書けてしまったんなら、それぞれの鳥取で実際にセッション
してから、リプレイを小説形式で書き起こせばいいんじゃない?

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:46:50 ID:w7NGwRVr
>621
そういうもんなん?

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 12:59:23 ID:MH2w9E7l
>>621
う、ごめん
自分「○○見たい」って言われて話書いちまったわ。

でもまぁ、今回言われてるケースとは大分違うか。次からもっとマシなもの書けるようにがんばるよ


>>622
実際そこまでやるヒマ人もいないと思うがな
っていうか、オンセ話しだしたり、キャラシーの話するのは自重って言いたいわけなんだが、
自分の言葉ってそんなにわかりづらいだろうか?だいぶ曲解されてる気がするんだが

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 13:37:10 ID:NH+eBAlP
>621
現状では投下作品が少なくてスレ寿命がつきるを気にした方が良さそうなんだが
それよりはハンドアウトからのSSお越しを認めた方が延命にはなるぞ

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 13:53:32 ID:a0eLe53x
そもそも何でシナリオとかの話し出したらいけないのかもわかんねーんだが
今まではなかったけど、別にこのスレにクロスネタでシナリオを投下してもかまわんと思うんだが、そう考えるのは俺だけなのか?
少なくともこの板は別に雑談禁止だったわけでもないと思うんだけど

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 13:55:18 ID:yRzo9JqT
>>625
まともに続かない作品だけ来ても意味が無いだろう?
締めるべき所を締めてこそ、書き手が来やすいスレになってくるものだろうさ。

三次創作が増えればそれこそアニキャラ総合でやる意味がなくなってゆくって。

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 14:02:48 ID:NH+eBAlP
投下作品が少ないのなら枯れ木の山状態でいいと思うね
あと、ハンドアウトからの利用で三次と言ってたらアイデア段階でちょろっと書かれたことから発展させるのも三次じゃないか
しめるところはしめると言うが、ハンドアウト利用はまでアウトは締めすぎだ

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 15:37:08 ID:zKR7YBzX
>621
場合によると思うがなあ。そういう流れで良いSSが出てくることもあるぞ。……地下スレとか。
クロスネタの場合は他の人の出したネタだけで書くと纏めきれなくなりやすい、というのはあるかもだが、
それにしたって絶対条件と振りかぶるほどじゃあるまい。
逆にガチガチで自治してしまう方が、活気がなくなりやすいと思うんだぜ。

630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 16:56:59 ID:kXGYIG/V
>>621
じゃあ、初期のリレーはどうなるんだww
あれはもう三次創作とか四次創作ってレベルじゃなかった筈だがwww

631 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/17(日) 18:02:48 ID:h3DqPVuf
リレーはリレーで別物だろう。

でも、他人の出したネタを膨らませてSS書くのはありだと思うけどな。
アイデアの元にするだけだろ。
他人のSSの続編を書くとかだと別だろうけど。

632 :投下準備完了:2008/08/18(月) 12:49:50 ID:H3//znzZ
さて、議論ぶったぎって投下したいと思う俺が通りますよっと。

……正直、ネタがかぶった時点でここの書くのやめようかと本気で思ったり、
先に書かれて投下すんのやめようかと本気で思ったりしたけど、知人の一言でとりあえず投下はすることにしてみた。
つまんねぇ、とかうざいよ、とか被ったネタ書くな、とかのご意見は甘んじて受けます。まる。

では第一話、投下させていただきます―――。
支援はできればお願いしたい。

633 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 12:52:45 ID:H3//znzZ
ある歌に、こんな歌詞がある。

『なつやすみはやっぱり短い』。

日々移ろいゆく季節の中で、これほどにはじまる前に胸をときめかせ、終わってみれば短いと感じる季節は夏くらいのものだろう。
この話は、本来は重なることのない二つの世界の中で重なってしまった子供たち、その短い夏の物語。


634 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 12:53:30 ID:H3//znzZ
オープニング・1<今日も今日とて −放浪の魔剣使い−>

月匣、と呼ばれる結界がある。
それは第八世界ファー・ジ・アースと呼ばれる世界においての非日常の象徴。
日常の世界を覆う世界結界に、非常識の存在が干渉を受けないようにするための個人用結界『月衣』を改良した、個人による一つの即席結界。
逆に言えば、持ち主(ルーラー)を中心とした一つの異界だ。
この世界において、これを使えるものは二つ存在する。
一つは人間でありながら、この世界の常識外の法則を身に纏う者。夜闇の魔法使い。ナイトウィザード。
いまひとつは、そもこの世界の法則より外れたもの。異界より来るもの。この世界を狙うもの。侵魔。エミュレイター。

月匣の内容は千差万別。何もない月匣もあれば、夏草の匂いに青い空と白い太陽と夏の世界が再現されているものもある。
これは個人の心理状態が多少なりと反映される結果であると言える。
しかし。侵魔の作った月匣は、必ず同じ一つの現象が存在する。それが、

―――紅い月だ。

月門(ムーンゲート)をくぐり現れる彼らの月匣には、欠けることなき紅い月が昇る。
それはどこで月匣が展開されても変わらない。北極だろうが深海だろうが、果ては月面や宇宙空間であっても紅い月が浮かぶ。

そして、ここにも一つ。
紅い月の照らす月匣の中で、一つの闘いが終わろうとしていた。
月光に照らされ、その赤光を跳ね返す白刃。それをのどもとに突きつけられしゃがんでいる、金髪に紅い目、白いシンプルなフレアワンピースの少女。それがルーラーだ。
彼女は片腕を喪失しており、しかしその断面から血は出ていない。それこそが彼女が人間でないことの証左。
白刃を突きつけるのは、ボロボロの青年だった。服は汚れだらけ、顔には疲労の色がある。けれどそのまなざしだけはいっそ残酷なまでにまっすぐに侵魔を見据える。
ヘーゼル色の髪、ダークブラウンの瞳、だらしなくゆるんだ襟元、エンブレムのついたロングコートを羽織った東洋人。
彼の顔と名を知らぬウィザードはいまやないと言っていいだろう。その名は裏界帝国や他世界にも知れ渡っている。

柊蓮司(ひいらぎ・れんじ)。
相棒である赤い宝玉の魔剣を担い、輝明学園卒業後は各地を飛び回る生活を続けるフリーの魔剣使い。
……最近は『ノラ魔剣使い』とか『二割魔王の小間使い、四割ロンギヌス、四割異世界旅行者なトラブル磁石』とか
『不幸学生改め不幸住所不定無職』とか酷いあだ名も増えたが。とりあえず彼の忙しさは変わらない。

ちょっと前まで実家に帰省しようとして東京は大田区桃月町にいた彼だが、その後世界の守護者によって捕獲。
神無月を狙って、富士山に封じ込められている100年に一度目覚めかける冥魔ヴォルカリーノの封印を解こうとする侵魔との攻防戦を浅間神社で繰り広げ、
最終的に目覚めた冥魔ヴォルカリーノを仲間達とともにぶち倒すことに成功した彼は、その地と仲間達とも別れを告げて今度こそ実家に帰ろうとした、その矢先。
悪意ある月匣に一人飲み込まれ、多数の雑魚を放ってくる侵魔相手に70時間ほどサバイバルゲリラ戦を繰り広げて根競べし、なんとか彼の勝利で幕を閉じようとしていた。

柊は、恐れを含んだ瞳で見返してくる侵魔に対してため息をつきながら言う。

「……ったく、時間だけ取らせやがって。数で攻めりゃなんとかなるとでも思ってたのか?あんまり人間ナメるなよ」

それに対して侵魔は奥歯を強くかみ締めただけ。この体勢からではできることそのものがほとんどないとも言えるが。
そして彼にはこれまで積み上げてきた数々のエミュレイターとの交戦経験がある。この状況でも油断することはありえない。
生命力を吸わせ、魔剣に青い輝きが通る。その間にタイムラグはない。彼らが同じ修羅場を幾度となく乗り越えたゆえにできる連携だった。
彼がとどめをさすために魔剣を握る手に力を込めた、その時。


635 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 12:54:15 ID:H3//znzZ
―――月匣が、大きく揺らいだ。

月匣とは先ほど記述した通り結界だ、地震なんて天災が起きるはずもない。
柊がその異変に対して周囲への警戒を強めた瞬間、自身への警戒が揺らいだことを感じ取った侵魔は後ろに駆け出した。
反応の一瞬遅れた柊は舌打ちして異変を後回しに相手との距離を詰めにかかる。だいぶ疲労しているとはいえ、ここまで追い詰めた侵魔を逃がす気は毛頭ない。
あと一歩で剣の間合いに取り込もうというところで、侵魔は振り向きざまに手のひらに虚空を生み出し柊に向けて放つ。
存在を司る虚属性の初等攻撃魔装、<ヴォーティカルショット>だ。そう大きなダメージにはならないが、柊が魔剣をもってその魔法を弾こうとした、その刹那。

柊の前方に、強力な空間の歪みが発生する。

ちょっと前の事件で虚属性―――空間や存在を統べる属性―――の魔法に対して、蝿の女王により軽いトラウマを与えられていた彼は思わず足を止める。
そもそも、月匣の中で空間の歪みが発生することは稀だがある。柊自身も少しばかり経験があるため、その記憶がオーバーラップした。
あの時は魔剣だけが空間のゆがみの先に飲み込まれ、しばらく「使い」扱いされたということもあったりした。ちょっと嫌な懐かしい思い出である。
そして、その判断が運命の分岐点だった。

柊に向けて放たれた虚属性魔法と、彼の前方に発生した空間の歪み。それはいっそ見事なまでにかちあってしまったのだ。
虚属性魔法は空間や存在に干渉するもの。それが発生した空間の歪みに妙な相互干渉を招き起こし―――結果、その歪みは暴走した。
一瞬針の先ほどのサイズに収縮する歪み。次の瞬間には次元爆発が月匣中を覆い、その圧力は月匣の存在限界を容易く突破する。
その爆発力は、すでに存在力の限界に極めて近かったルーラーの侵魔はもちろんのこと、至近距離にいた柊を巻き込み―――

―――月匣を破砕した後、収縮・消滅した次元の歪み。その後には何も残っていなかった。
柊蓮司は、この日を境にファー・ジ・アースから姿を消すことになる。



636 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 12:55:46 ID:H3//znzZ
オープニング・2<任務中の出来事 −ファルコンブレード−>

「……なんで俺がゴミ捨て担当なんだ?体力なら加賀の奴の方が上だろうに……」

夜明けの秋葉原。
季節柄下がらない暑苦しい空気の中、よたよたとゴミ袋を両手に持ったウェイター姿の青年が、グチりつつ人通りのない道を歩いていた。
彼の着ている給仕服は、秋葉原の常連ならば皆知っているメイド喫茶「ゆにばーさる」のものだった。
やや短めで、ぴんぴんとハリネズミのように立っている黒髪。中肉中背。やる気のないだらけた表情の青年は、胸の紙製のバッチに平仮名で「はやと」と書いてある。

高崎隼人(たかさき・はやと)。
秋葉原のメイド喫茶「ゆにばーさる」のウェイターの一人であり、レネゲイドウィルスに侵され、オーヴァードとなって、UGNに育てられたUGチルドレンの一人。
UGN、正式名称『ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワーク』とは、18年前に存在の明らかとなった謎のウィルスであるレネゲイドウィルスと、
それの作用によって生まれた異能者・オーヴァードという存在を、通常の人々と共存していこうという思想の下に設立された団体である。
世間一般的には、レネゲイドウィルスのこともオーヴァードのこともいまだ知られていない。だからこそ、現状はレネゲイドがらみの厄介事をなんとかする組織でもある。
その「なんとかする」の状況上、ウィルスに感染した身寄りの無い子供達に能力の使い方を学ばせ、
UGNの組織構成員として組み込んだ存在―――それがUGチルドレンと呼ばれる存在である。

隼人はそのチルドレン出身であり、今はれっきとしたUGNのエージェントであるはずなのだが、この町でウェイターの仕事にいそしんでいた。
一応言っておくと、これも悲しいことに立派にUGNとしての仕事である。UGNアキハバラ支部、それこそがメイド喫茶『ゆにばーさる』なのであった。
なんでメイド喫茶が世界的規模の団体の支部なんだよっ!?というツッコミは日本支部のお偉いさんにしていただきたい。

ともあれ。早朝から店の仕事に狩りだされていた隼人はやる気なさげにゴミ捨て場に向かっていた。
ゴミ捨ての日の朝に出さないとカラスと猫と町内会がうるさいのである。近所づきあいは大切だ。
なお。隼人はゴミ捨てだからやる気が無いわけではなく、仕事全般にやる気が見られないのだと記しておく。基本的に人から指示されてやることにはやる気のない男である。
よっこらせ、とじじむさい声をかけてゴミを置き、踵を返したその瞬間だった。
背中を向けたゴミ置き場から凄まじい音がして、隼人は思わずそちらを振り返る。そこにあったのはゴミの山だけではなくなっていた。

ゴミの山。そして―――その中から天に向けて伸びる二本の足がはみ出ていた。



637 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 12:58:56 ID:H3//znzZ
あまりの光景に、一瞬本気で呆気に取られる隼人。
それも無理からぬことだろう。結構な無理やムチャクチャには慣れているはずの彼でも、こんな状況ははじめてだった。
ともあれ、数々の奇妙な体験をしている彼も順応は早い。とにかくゴミか事件かを判断するためにもその足に手をかけて引っこ抜いてみる。
……手をかける直前にこれで足だけだったらホラーだな、なんてちょっと考えて怖くなってしまったりもするが、スプラッタ自体は見慣れている。それも悲しい話だが。
とにかく引っこ抜いてみれば、それは足だけ―――なんてことはなく、ちゃんと胴体も頭もついた人間だった。

年のころは隼人と同じくらい。ちょっと身長が高めの男。特別奇妙な格好をしているわけでもないが、この「真夏」に薄手とはいえコート姿というのが妙といえば妙か。
やけにぼろぼろなのが気になって、よく観察してみるとその服のところどころには自然に擦り切れたというような穴ではないものが見つかった。
何かで突き刺したり、千切り取ったり、果ては不自然に消え去っているところまである。
そんな数々のコートの穴を見れば、隼人にもこの青年がまっとうに生きている類の―――日常の側の存在でないことが理解できる。
オーヴァード(どうるい)の可能性が高いな、と思ってから、支部長に連絡しないわけにはいかないと判断。その場で携帯を取り出し指示を仰ぐ。
その時だ。
倒れていた男が、隼人のエプロンのすそを掴む。
ちょっとホラーな展開に、慌ててうっかりモルフェウスの能力が暴走しかけた。近くのゴミ袋の山が砂に変わるのを横目に見つつ、隼人は男に問いかける。

「な、なんだよ……っ?」

その問いに、小さな声が返った。あまりに小さすぎて聞き取れないため、おそるおそるしゃがんでもう一度問いかける。

「―――もう一回。聞こえないからできるだけはっきりしゃべってくれ」

ホラー展開にちょっぴりビビりつつも、相手の言葉を聞き取ろうとする隼人。
もしもこれが最後の言葉になるのだったら、それを聞く人間は心して聞かなければならないと、彼は知っているからだ。
そして、もう一度同じ言葉が繰り返される。今度はちゃんと聞き取れた。

「……腹減った」

……真相を知るとものすごく脱力してしまいそうだったが。
いっそここに捨てておいてやろうか、という思考が生まれるものの、携帯の先の上司と繋がってしまったためそうもいかない。
とにかく上司にはあやしい男を発見したこと、話が聞けそうなこと、ついでに腹を空かせていることを告げると、
彼女は詳しく事情を聞くのでマンションの部屋までつれて来い、との命令を下した。
時間は早朝。他のエージェントをたたき起こすのも忍びないので、隼人が背負ってくるように、とのお達しである。
面倒だなぁとか、置いてきたもう一人の店員―――加賀十也(かが・とおや)に後でキレられんの俺じゃね?とか憂鬱に思いつつ、
かといって言われたこと全てに反逆しなければ気がすまないような、『No』としか言わない男でもないためいやいやながらも男を背負う。
同じような体格の人間を背負うのはちょっぴり厳しいが、無理というほどでもない。
ぶつくさと文句を言いつつ、指定の場所に謎の腹ペコ男を連れて行く羽目になる隼人だった。



638 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:00:16 ID:H3//znzZ
UGNのアキハバラ支部は一つマンションを貸切で所有している。
他の支部に飛ばされては戻る人間がいたり、また掻き入れ時には人員が倍近く膨れ上がったりと人の出入りが他の支部に比べ大変多いので、
いちいち住居空間をとり、把握するのが大変めんどくさいという理由から日本支部長がわざわざ買い与えたという経緯である。
そのアキハバラ支部のセーフハウス、その支部長の部屋に隼人はいた。呼び出されたのだから当然といえば当然だが。
とりあえず担いできた男を見るなり、支部長は一言。

「だいぶ汚れてるみたいなので洗ってきてください」

……明け方に叩き起こされて大分ご立腹なようである。
ともあれ。
『なんだか準備よく用意されている隣の空き部屋のバスタブになみなみと水が張られているので、さっさと叩き込んでこい』とニコニコとした笑顔で言われ、
『ワカリマシタイッテマイリマス支部長サマ』としか答えられない立場(原因には性格も多分に影響しているが)の隼人が逆らえるはずもなく。
とりあえずは隣の部屋を開け、浴室に入り、一つ深呼吸。可哀相な気もするが、これも支部長命令だ。悪く思うな、と心の中で先に謝罪。
肩に担いでいた青年を、ぽいっと空中で半回転させながらバスタブに放り込む。大きな質量が沈んだことで大量の水が舞う。
制服姿のまま水をかぶるのはまずいとハヌマーンの能力をフルに使って浴室の扉を閉めて被害をシャットアウト。やけに所帯じみた能力の使い方である。
そうやって、一秒経過。二秒経過。三秒―――

「……ぶはぁっ!な、なんだっ!?なんで俺はいきなり水責めくらってんだっ!?アンゼロットの陰謀かっ!?」
「お、起きた」
「起きないと溺死するわっ!?」

なんか司の奴に雰囲気似てるなーこいつ、と隼人は思いながら見ていたが、まず聞かなければならないことを聞くことにした。

「でさ、お前誰だ?」
「いきなりそれかっ!?今水の中に放り込まれてる状況についてとか、ここがどこなのかとかこっちが聞きたいことは山ほどあるんだがっ!?」
「それについては俺じゃない奴が後で説明することになってる。とりあえず名前聞かないと話もできないからな」

……ちなみに、これは先ほど支部長から授けられた質問法である。
交渉事の苦手な隼人に相手を怒らせかねないことをさせるわけなので、ある程度相手を丸め込む方法を教えておいた支部長であった。
<社会>の低い隼人であったものの、相手はさらに低かったのか、お、おうと呟いて答えた。

「俺の名前は柊蓮司。で、お前は?」
「高崎隼人だ。とりあえず体洗って出てきてくれ。状況の説明してくれる人のところにつれてくから」

ばたん。と浴室の戸を閉める隼人。
浴室はしばらく静かだったものの、ざぶざぶという音がし始める。
隼人はさっさと青年が出てきてくれることを祈った。野郎の風呂上がりを待つ趣味は彼にはない。
結局のところ隼人は男―――柊が出てくるまで、これは任務なんだから、と何度も何度も心の中で繰り返す羽目になった。



639 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:02:18 ID:H3//znzZ
タオルも着替えも用意していなかったはずなのに、髪の水気を大雑把にふき取り、新しい服を着て浴室から出てきた柊を見て少しだけ疑問に思うものの、
隼人の仕事は彼を浴槽に放り込んだ後、柊を支部長のところに連れて行くまでだ。無駄に干渉する必要はないだろう。
隣の部屋のドアの前に立ち、ノックを二回。はーい、とかわいらしい返事を待って入る。
そこには、黒髪を分けて綺麗に微笑む、アルミの椅子に座ったちみっこい女の子がいた。
彼女の名前は薬王寺結希(やこうじ・ゆうき)。弱冠14歳のUGN秋葉原支部支部長である。
通された部屋は、樫のデスクにシンプルな革のソファがあり、その対面に結希が座っている。彼女の部屋に特別に用意されている応接間だ。
笑顔を崩さず、結希は二人の青年に座るように促す。

「ご苦労様でした隼人さん。お名前は聞いてもらえましたか?」
「あ、はい支部長。えーっと、こっちは柊蓮司って名乗りました。
 柊。こっちが俺の今の上司で、薬王寺結希支部長」
「……支部長?」

柊は目で礼をした後にソファに座ると、不思議そうにきょとんとしている。
結希は少し頬を膨らませると、抗議する。その見た目が子供がむくれているようにしか見えないのが問題だが。

「む。私、これでもこっち側では有名なんですよ?外見で判断しないでください」
「あ、年恰好で驚いたわけじゃないんだけどな。気分悪くさせたなら謝る。悪い。年と中身と外見が一致しないっつーのには慣れてるしな」

その言葉にはにゃ?と首を傾げる結希。
柊はしばらくあー、とかうーとか唸っていたが、やがて頭の中で考えがまとまったのか、結希にたずねた。

「で、えーと支部長さんだっけか。こいつ―――高崎だっけ?によれば、状況を聞かせてもらえるっていうからついてきたんだが、いくつか質問させてもらっていいか?」
「こちらも伺いたいことがいくつかあるんですが、あなたも状況を把握してからの方が話しやすいでしょうしね。
 お話に答えるのはいいですけど、隼人さんもこの部屋にいてもらったままにしてもいいですよね?」
「おい、支部長っ!?」

任務が終わったと思い込んでいた隼人があわてて割り込むものの、そこは結希も慣れたものだ。
笑顔の高速切り返しが飛ぶ。

「あれ?隼人さんは戦闘力のほとんどない女の子と、得体の知れない男が一つの部屋にいることを放っとくんですか?」
「ぐ……わかったよ、わかりましたよ仕事だろ!」
「はいお仕事です。そんなわけですのでもうしばらく支部長(わたし)の言うことを聞いててくださいね」

そんなやりとりを見て、柊はちょっと隼人に同情したような視線を向けるものの、さて、という結希の言葉に彼女に視線を戻す。

「それで、柊蓮司さんでしたか。何が聞きたいんですか?」
「まずは地名か。あと日付」

結希、再びのはにゃ?
首を傾げたまま答える。



640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:05:16 ID:T6tGippI
……支援?

641 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:06:38 ID:H3//znzZ
「ここは東京の秋葉原で、日付は8月×日ですよ?」
「秋葉原……ってことは日本か。それはいいとして、8月だぁ?……うぉ、今度は時間旅行か?先なのか過去なのかはわからんが」
「8月がどうかしましたか?なにかまずいことでも?」
「いや、こっちの話だ。えーっと……薬王寺ってことは支部長さんは日本人ってことでいいんだよな?」
「えぇ、ここ日本ですし。……っていうか、さっきから妙なことばっかり気にしますね?」

結希はいぶかしげな表情で柊を見る。柊はといえば、やはり何か色々なことを考えているようだった。
しばらく考えた後、再び結希に視線を向ける。

「で、支部長さんはここに高崎を残してるよな?
 同じ部屋に男と一緒にいるのは危険だから、ならわかるけどあんたは自分をさして戦闘力のない、って言った。
 それは高崎があんたの護衛役としてここにいる、ってことでいいよな」
「えぇ。それで問題ないですよ」

続く柊の質問に、結希は少しだけ目を細めて隼人に目配せする。
もしも自分を狙っているのなら守ってくれ、という意味の目配せだ。しかし、次に柊の口から出た言葉に隼人も結希も言葉を失うこととなる。

「あんたらは、『人間』から恨みをかうようなことをしてんのか?」
「……はい?」
「そもそも、支部ってことはなんかでっかい組織の下っ端ってこったろ?どこの組織なんだ?」
「え?え?あー……私たちはUGN、ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワークのエージェントってことになるんですけど……」

オーヴァードが、しかも柊くらいの年で主に所属する場所といえば、UGNか、敵対組織のFH(ファルスハーツ)になる。
このどちらでもないとした場合でも、こちら側に慣れているとすれば、『支部』という単語を聞いた場合は単独行動の多いFHよりもUGNのことを想像する可能性が高い。
結希は考える。
柊は頭の回転自体は悪くない。それは結希たちの短い会話を聞いただけで、隼人がいる理由を正確に掴んだことからもわかる。
戦う、といった剣呑な話題にもついていけることから、日常の世界からいきなり非日常の世界に放り込まれた成り立てオーヴァードでないこともわかる。
なのに彼は結希たちがUGNの人間だと予測できない。
それはまるで「UGNという組織の存在を知らない」かのようではないか―――?

結希の混乱をよそに、柊はまた何かを考え込んでいるようだった。またもしばらく唸った後、彼は三度結希に視線を戻した。

「悪ぃ。UGNっていうのは聞いたことねぇわ。世界的な組織か?」
「え?ゆ、UGNですよっ!?ほんとに聞いたことないんですかっ!?」

あわてる結希にこくりと頷き、柊は隼人の方をちらりと見た。
隼人としてもUGNを知らない、というオーヴァードははじめて見たためそれはもう驚いている。
UGNのチルドレンとして育った身としては、UGNを知らない非日常の存在はかなりの衝撃だった。
その様子を見て納得したのか、彼は頷いてもう一度結希に向き直る。

「まったく聞いたこともない。確認のために俺からも質問していいか。アンゼロットって女の名前、聞いたことないか?」
「アンゼロットさん、ですか?……ごめんなさい、聞いたことないです。有名なオーヴァードですか?」
「いや、俺の……あれ?あいつと俺ってどういう関係だ?腐れ縁とか?上司と部下じゃないし、そもそも俺はフリーだし、えぇと……あぁ、依頼人!依頼人だ今回の!」
「……そ、そんなに関係に困る人なんですか。どんな人なんです、アンゼロットさんって」
「人使いは荒いわ、無理は笑顔で押し付けるわ、毒飲ますわと俺への嫌がらせに命かけてる奴だ。絶対に。そうとしか考えられん」
『失礼ですわね。わたくしはそんなにヒマではないですわよ、柊さん』



642 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:08:23 ID:T6tGippI
しえ

643 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:08:39 ID:H3//znzZ
柊と結希、ついでに隼人でもない声が響く。
声自体は落ち着いた、しかし少女のソプラノだ。そのきれいな響きを耳にして、なぜか柊の動きが凍りつく。
その声は柊の懐から。ゆっくりと、いっそおそるおそると言った方が正しいような様子で彼は懐を探り、音の元と思われるものを引きずり出す。
それは携帯電話だった。
ちょっと普通の携帯には付いていない水晶のような結晶が張り付いているが、それもアクセサリとして見られないほどのものではない。
なお、柊はそれを取り出すだけでなにか人体から流れるには危ない量の汗を流しているような気がしなくもないが、隼人はそれを無視することにした。可哀相ではあるが。
その携帯からは『開けてー開けてー、早く早く早く早く開けて開けて開けてぇぇぇぇっ!』とちょっとホラーっぽい声がする。
それは先ほどの声とは違う電子音である。悪趣味にもほどがある気がするが、まぁそれは仕込んだ人間の趣味だろう。柊自体には覚えがなさそうだし、と隼人は思う。

柊は意を決して携帯を開く。同時に携帯の液晶画面から、立体映像の少女が浮かび上がった。
おぉ、と感嘆の息をつく隼人。それはこの町に来てから趣味としてちょっとばかり機械関係に詳しくなり、機械関係で友人を作った彼にとっては興味をひくものだったのだ。
立体映像の少女は長い銀の髪。地球をそのまま瞳にしたかのような蒼い瞳。年のころや発達段階は結希と同じくらいだろう。黒く、装飾の少ないドレスを着ている。
神秘的な空気を振りまき、優雅にティーカップを傾け、携帯を前にぐったりしている柊に微笑みかける。

『お久しぶりです柊さん。ご無事なようでなによりですわ』
「お前、人の0-Phone に何を仕込んでやがるんだアンゼロットぉぉぉぉっ!?」
『あら仕込むなんて人聞きの悪い。ちょくちょく異世界に引きずり込まれる柊さんのために状況を整理するためのギミックをいくつか仕込ませていただいただけですわよ?』
「仕込むって自分で言ってんじゃねぇかよっ!?」

さっきまでぐったりしていた柊が元気にツッコミをいれだしたことに驚く隼人。
彼が結希の方を見れば、彼女は彼女であまりの事態にもう頭の処理がついていっていない様子だ。
そんな彼らをおいてきぼりに、柊と少女―――アンゼロットの会話は続く。

『それだけツッコミの活きがよければ大丈夫そうですわね。
 ―――さて、あまり漫才をしている時間もありません。貴方は今の状況を把握してらっしゃいますか?』
「―――あぁ。また異世界に来ちまったっつーことだろ?」
『正解ですが、もうひとつ大切な点があります。その異世界に来たのはあなただけではないということ、それがどういう意味か、理解なさってますか?』
「……可能性の一つとしちゃ考えてたが、最悪だな。ここがどんな世界かもわからねぇっつーのに」

柊が苦い表情で言う。
ちなみに隼人や結希は本気でどんな話が進んでいるのかまったくわかっていない。
それまで処理限界を吹っ飛んでいた結希の意識が戻ってきて、彼女は意を決したようにホログラムの少女に問う。

「え、えぇーと……あなたが柊さんの依頼人のアンゼロットさん、ですか?
 彼の身柄は私たちUGNが預かってます。どういう事情があるのか話していただけませんか?」
『あらあらはじめまして。アンゼロットと申しますわ、薬王寺結希さん。お話は柊さんの内ポケットの中から聞かせていただきました』
「盗聴器までついてんのかっ!?」
『気にしたら負けですわよ柊さん。
 それで―――そちらにご厄介になっている柊蓮司の状況と、私たちのことについてご説明すればよろしいのですわよね?
 とはいえ、話すと時間がかかってしまいますので―――<安直魔法・かくかくしかじか>〜♪』

そうアンゼロットが言った瞬間、隼人の頭の中に大量の情報が流れ込む。

魔法と呼ばれる力の存在する世界、ファー・ジ・アース。
その世界を襲うもの、エミュレイター。
その世界を守るもの、ウィザード。
柊蓮司はアンゼロットの依頼をよく受けるウィザードであり、今回は事故により戦闘中に異世界であるこちら側に飛ばされたこと。
そして、柊が直前まで戦っていたエミュレイターもまた、この世界に漂着していること。


644 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:11:10 ID:OEsATghA
しぇん

645 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:12:04 ID:H3//znzZ
そういったことが、頭の中に放り込まれたのがわかった。
結希の方を見れば、結希は必死に今与えられた情報を吟味しているようだった。しばらく目を閉じていた彼女は、やがて瞳を開けて真剣なまなざしでアンゼロットを見た。

「大体事情は飲み込めました。
 正直信じがたい気持ちでいっぱいですが、遠隔地にいる相手に一方的に情報を送り込むなんてことを苦もなくやってのけるオーヴァードなんて聞いたことがありません。
 もし私が知らないだけだとしても、そんな実力者が私に嘘をつく意味がありませんしね」
『わかっていただけて嬉しいですわ。ところでわたくしから一つお願いがあるのですが、聞いていただけますね?』
「内容によります。なんですか?」
『携帯電話でも置き電話でもいいですが、UGN日本支部長の霧谷雄吾(きりたに・ゆうご)氏とテレビ中継でお話をさせていただけませんか?
 実はわたくしはあの方とは交流があるのですが、柊蓮司の処遇についてお話をしたいのです』

はぁ、と頷き、結希が携帯のテレビ電話機能を呼び出して霧谷とアンゼロットの会談をセッティングしている中、
手持ち無沙汰になった隼人は同じく蚊帳の外に置かれた柊を見て呟いた。

「……魔法使い、ねぇ?」
「なんだよ、疑ってんのか?」
「いや。ゲームとかのイメージだとやっぱり魔法使いって知力高そうなもんじゃないか?」
「どうせ俺は頭悪い(ちりょくひくい)よっ!?」

……まぁ、高校ろくに行ってないしなぁ。それは隼人も同じわけだが。

閑話休題。
柊はふてくされた様に言う。

「仕方ないだろ。魔法がろくに使えなくても、魔法っていうシステムを利用した武器だとかを使えたり、存在そのものが魔法的なもんでも『ウィザード』って括られる。
 俺がまともに使える魔法っつったら3つくらい。それも自発的に使えるとなれば2つだ」
「へぇ。魔法かー……見てみたいんだけど、問題ないか?」

興味津々、といった様子の隼人。
柊は唐突なリクエストに、何かを探るように虚空を少し見た後頷いた。

「たぶんな。月衣は問題なく動いてるみたいだし、これくらいならなんとかできるだろ。―――よっと」

言いながら、彼は何もない空間に手を伸ばし―――長い剣を抜き放った。
赤い宝玉。鋼の刀身。なんの曇りも無い刃金色。刀身の中心には、隼人にはあまりなじみのない彫りこまれた文字がある。
それを見て、隼人は純粋におぉ、と呟いた。
西洋剣を持つ人間は見たことがある。戦ったこともある。彼と因縁の深い人間だった。今も忘れることはない。
けれど、その剣は過去に見たことのある西洋剣とは違った。もちろん形自体が違うのは当然だが、なにか在り方が違うように思えた。
どちらが偉いとか、尊いとかいうつもりはない。が、存在の仕方が違うがそこに強い意志があることは同じ。

それが、純粋にきれいに見えたのだ。

そんな隼人に、魔剣を月衣内に戻した柊が声をかける。

「ものをしまったり出したりできる個人用の結界、月衣っていうんだけどな。これはウィザードならみんなが使える魔法だ」
「便利だなぁ。四次○ポケットか?」
「そこまで便利なもんじゃねえさ。収納限界はあるし、生き物は入れられないし。ス○アポケットもないしな。
 で、えーとお前らもなんか妙な力があるんだろ?オーヴァードだっけ?」

柊の問いかけに、隼人があぁ、と頷く。
柊自身がそう悪い人間でないことがわかって安心したこともあり、隼人はオーヴァードやレネゲイドウィルスについての説明をはじめた。


646 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:13:00 ID:H3//znzZ
18年前に存在が証明されたウィルス、レネゲイドウィルス。
そのウィルスのキャリア(潜在感染者)が、ある衝撃を受けて生まれる超人、オーヴァード。
オーヴァードに宿る能力、シンドローム。
そして、オーヴァードの組織であるUGNとFH。

一通り聞くと、柊は何度か頷いて隼人に確認する。

「で、お前らはUGNに所属するオーヴァード、ってことか。だから俺がどこの組織に属してるか聞いたんだな、FHに所属するなら何か企んでると考えるのが普通だ」
「そういうことだ。まぁ、無駄な心配に終わったわけだけどな」
「そりゃよくわからん人間が異世界から来たってのは普通は思わないだろ。俺も思わないし」
「お前のトコはちょくちょく異世界人とか来るんじゃないのか?さっきの変なので伝えられた内容だと、どうもお前は色んなとこに行ってるみたいだし」
「待て。あいつんなことまで話してんのかっ!?」

何気ないやりとりの中、結希が戻ってくる。隼人がたずねた。

「おう、お帰り支部長。どんな感じになりそうなんだ?」
「えぇと、一通りの話し合いが終わって、今は世界紅茶会議の次の日程の話になってるんで抜けてきちゃいました」

そんな顔見知りかよUGN日本支部支部長と世界魔術協会会長。
閑話休題。
結希が柊をじっと見て、話し合いの結果を伝えようとしたその時だった。

「支部長おおおおおぉぉぉっ!」

ばたんっ!とノックもなしに、その部屋に少し小柄な白髪のツンツン頭の少年が飛び込んできたのは。



647 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:18:53 ID:T6tGippI
支援ー。

648 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:19:24 ID:H3//znzZ
オープニング・3<異変の朝 −紺碧の刻印−>

UGNの援助を受け、彼は人間らしい生活が送れることに充実感を覚えていた。
真夏でも冷房がつけられる。暑い中でエフェクトを使うことなく涼しく過ごせることの幸せを、彼はかみ締めていた。
今日の出勤時間は朝の9時だが、料理長の兄は仕込みのために早めに起きなければならないはずだ。
料理はできるものの、生活力のまるでない兄を起こすのは彼の役目だった。

上月司(こうづき・つかさ)。
UGNのセーフハウスであるマンションの一室に身を置く、『ゆにばーさる』の名物ウェイターでもある。
もちろんここに住んでいる以上一般人ということはなく、UGNのイリーガルエージェントで、高校生でありながら夏休みを利用してわざわざ出稼ぎに秋葉原まで来ている。

UGNを通して与えられるウェイターという仕事自体にはいくらか不満があるものの、生活環境が非常にいいここを彼が離れるはずもない。
こういう日々の積み重ねこそが幸せを作っていくのだ、と年齢に似合わない達観をしている彼は、同じに場所に住む、いまや唯一の肉親を起こしに行く。
兄の部屋、ノックをとりあえず礼儀としてすると同時にドアを開ける。そこには司が起こすべき兄が―――いなかった。
起きているのかとも思ったが、部屋のベッドの横に据え置きされているデスクの上に一枚、なにか紙が置いてある。
昨日はなかったはずだな、と不審に思いつつ司はその紙に目を通す。

『司へ。
 エルマを覚えているか?あれは―――(以下必要ないので中略)でな。
 そんなわけでエルマの墓参りに行ってこようと思う。メキシコはいい。あの赤い大地は(以下えんえんとメキシコのいいところの話になるので中略)と思う。
 気が付けば、エルマに対して49日もしてやっていなければ、コルトの礼も言っていない。
 ノーブル・グレイとのあの死闘についてもエルマに話して聞かせてやらねばならん。あの(以下25行ほど自分のかっこよさのアピールになるので中略)だ。
 そんなわけで、俺はメキシコに行くことにした。
 この間黙って行ったらあんちゃん司にぶたれたのでとりあえず置手紙を置いていくことにした。では、また会おう。

 PS 手紙書いてるとPSって使いたくなるなぁ、司。

 PSのPS ちょっと旅費が心もとなかったんで、貯金下ろしました。残りは27円だったかな?』

司の手がぶるぶる震える。
能力が暴発し、近くの空気中の水が氷結されてぱきぱきと音を立てる。
今すぐこの紙きれを破きたい衝動にかられつつ、彼はもう彼以外のいない部屋の中で絶叫する。

「あんの、クソ兄貴いいいいぃぃぃぃぃぃっ!?」

……いつか兄貴殺しかねないんじゃないのか、この少年は。



649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:19:34 ID:XWZUzTQk
さらに支援

650 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:22:07 ID:H3//znzZ
ともあれ。彼は階段を駆け下りて、一つ下のフロアにいる店長―――薬王寺結希にそれを知らせに来たのだった。
なぜか同僚の高崎隼人と見知らぬなんか不幸そうな男がいるが、そんなことよりもこちらの方が一大事である。
結希はその文面に目を通した後、こめかみを押さえてため息をついた。

「永人さん……お店どうするんですかぁっ!?あの人料理長なんですよっ!?」

司の兄こと上月永人は、ゆにばーさるでは料理長としてキッチン部門の長をやっている。
……あんなんに『長』のつく役職を任せる店長も店長だが。

「それで、どうするよ支部長。あんなんでもいなくなると困るだろ?
 そりゃああいつなしじゃ作れない料理もいくつかあるけど、それに関しては諦めることができるだろ。
 一番痛いのは、世間が夏休みに入ったこのかきいれ時にキッチンにつきっきりの人間がいなくなるってことじゃねぇのか?」

司も頭をぐしゃぐしゃかき回しつつ、それでも部屋に入った頃よりはやや落ち着いたように結希に聞いた。この辺りの切り替えの早さは司のバイタリティの賜物だろう。
この店、キッチンもフロアもできる人間というのが異様なまでに少ない。
主にキッチンにつきっきりになるのが永人で、彼のその超人的な(実際オーヴァードだろっつーツッコミはこの際スルー)調理の処理技能がキッチン部門の生命線なのだ。
司や隼人もある程度はキッチンで働けるが、調理に圧倒的に手が足りない状況であることには変わりない。
その事実に気づかされた結希ははにゃ、と鳴きつつしばらく唸ると、仕方がありませんねと呟いた。

「とりあえずは、夏休みだからヒマになったイリーガルを回すように霧谷さんに打診してみます。
 あと永人さんを見つけ次第半殺しにしてでも日本に連れ帰るように人員を動かしてほしい、っていうのも言ってみますね」

怖いことを特に気にした様子もなく淡々と言う結希。司もあぁ、と頷いてより物騒な言葉を告げる。

「俺の分は残しといてくれるようによろしく言っておいてくれ」

あんちゃん逃げてー(棒読み)。
閑話休題。
司は話を戻して聞いた。

「それで、応援がくるまでどうするんだ?そりゃ、夏休みだし来れる奴は多いだろうけど、実際人足りないだろ?」
「えぇ。一人は確保できたんですけどねぇ」
「一人?ずいぶんタイミングいいな。なんて奴だ?」
「こちらにいる柊蓮司さんです」
「なにぃっ!?」

蚊帳の外だと思っていてことの経緯を見ていた青年―――柊というらしい―――は驚いたように声を上げた。
彼は結希にあわててたずねる。



651 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:24:19 ID:3QqRK/Us
支援

そういやあんちゃん、給食のおばちゃんやってたなw

652 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:25:47 ID:H3//znzZ
「ちょ、ちょっと待て支部長さんっ!?俺はそんな話一切聞いてねぇぞっ!?」
「それは司さんが入ってきちゃって話がとぎれちゃったからですよ。
 霧谷さんとアンゼロットさんの話し合いで決まったのは、あなたがこちらに来ているターゲットを倒すまでは任務を続けることと、
 UGNがそれまであなたの住処を提供すること、情報提供などの協力、そしてターゲット確保まで食・住の分の対価としてUGNの労働力として働くことなんです」
「あいつから受けた任務じゃねぇよ、たまたま降りかかってきた火の粉だっ!?」
「あれ?アンゼロットさん、エミュレイターを他世界に逃がしたのは世界の守護者としての失態だって言ってましたよ?
 それに、『柊さんがそちらに行ってしまったこともある程度はわたくしたちの責任ですので、こちらの代表として柊蓮司を好きに使う許可を出します』って言ってました。
 そしてそれを霧谷さんが快諾したんで、あなたは私の指揮下に置かれることになります。よろしくお願いしますね柊さん」
「待てっ!あいつのせいで異世界飛ばしになったってのかっ!?それも初耳だぞっ!?」
「その原因については、後で柊さんの携帯電話―――0-Phone でしたっけ?にメールで詳細を送るって言ってましたよ?
 私に聞いてもわからないんで、文句は帰ってからアンゼロットさんにお願いしますね」

そう言われて何も言えなくなったのか、柊は黙った。
……結局彼女の指揮下に置かれることに対しては文句は封殺された形になったことには気づいていない。さすがはノイマンのピュアブリードといったところか。
それで、と店長用の営業スマイルになった結希は黙った柊にこれをチャンスと色々たずねる。

「お聞きの通り、今キッチン担当の重要な人員が雲隠れしやがってしまいまして。
 柊さんはアンゼロットさんのお話を聞く限りは単独で任務をこなせるような方なわけですよね?体力はありますよね」
「まぁな。前倒れな能力しか持ってない完璧な前衛向きだし」
「それは何よりです。喫茶店なんかでお仕事をなさった経験はあります?」
「ちょっと前に住み込みで喫茶店で働かせてもらってたな。コーヒーの入れ方でずいぶんしごかれた」
「それはありがたいです。
 ウチも紅茶の入れ方に関してはプロ級のこだわりを持つ方が指導されてるのでそれなりに自信があるんですけど、コーヒーに関しては門外漢なところがありまして」
「えぇと、支部長さん?」
「そんなわけで、キッチン兼ホールスタッフとして働いてもらえますよね?」

それにしばらく逡巡したものの、柊はもう逃れられないと悟ったのか肩を落として一つため息をつく。

「……了解。住むとこに食いもんまで用意されてんだ、これで文句言ったらバチが当たるわな」
「いや普通だから。どんな状況で任務こなしてきてんだお前は」

柊の言葉に同情の視線を向けつつ隼人。
とはいえそんなことは結希は知ったこっちゃない。今は素直に人手が増えたことを喜ぶべきだ、と考える。

「ともかく、今日の開店までもうあまり時間がないんです。司さんと隼人さんは、柊さんの制服合わせのお手伝いをしてあげてください。
 いつもどおり店を開けなきゃいけないんで、それが終わったら柊さんは『ゆにばーさる』のオフィスまで来てください。できることをお聞きして、メニューを変更します。
 わかりましたね?」
「お、おう」
「司さんと隼人さんも分かったら返事!」
「わかったよ、支部長」
「了解っと」
「聞いたら動くっ!」

了解ですーっ!と三者三様の声がして、逃げるように部屋から飛び出していく三人。
薬王寺結希。UGN日本支部の誇る天才の一人にして、最近は曲者どもの手綱をうまくとる敏腕支部長にもなっている少女。
―――死神支部長の汚名返上は、思いの外早そうである。


653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:29:32 ID:OEsATghA
しぇんろん

654 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 1:2008/08/18(月) 13:35:30 ID:H3//znzZ
オープニング・4<朝は弱いのです −超越種の末裔−>

喫茶『ゆにばーさる』開店20分前。
店内清掃を終え、今日のスタッフが皆制服に着替えて朝礼に集まる。
結希は「メイド長補佐」、「影の裏番」などという肩書きを持つとあるUGチルドレンお手製のみかん箱台に乗って朝礼をする。

「えー……料理長の永人さんが、逃げました。皆さん見つけたら2、3回リザレクトさせてもいいのでとりあえず私の前に引きずり出してください」

逃げました、の時点でざわめきだしたスタッフ達だが、その後の結希の発言で静まり返る店内。
今この場で一番キレてるのは彼女だと全員が認識した結果でもある。
ともかく、と結希は話を続ける。

「いないものは仕方ありません。ちょうど今日から来る新人さんもいますし、なんとかみんなで穴を埋めていきましょう。
 紹介します。新人の柊蓮司さんです、みなさん仲良くしてあげてくださいね」

柊に視線があつまる。彼はぺこりと一礼してそれに答えた。
彼の格好は今はゆにばーさるの男子店員と同じものだ。
シンプルな白シャツに自分で締めるタイプのボウタイ、胸ポケットには「れんじ」と書かれた紙製の名札と黒のパンツと長エプロン。
ちなみに女子制服は当然メイド喫茶なのでメイド服であることをここに記述しておく。

「とりあえず、これからはかきいれ時です、霧谷さんにヒマそうなイリーガルをもともと手配していましたし、彼らが来るまでの辛抱です。
 売り上げ次第でお給料にもちょっと色をつけたいと思いますので、みんなで一緒に頑張りましょう。
 なんとか今日は前からの勤務表通り10人―――から永人さんを引いた9人で回していこうと思います」

その結希の発言に、司が首を傾げた。
手を挙げて結希に発言を求める。

「なぁ、支部長」
「はい。なんでしょう司さん」
「勤務表どおりなら、兄貴の分引いても飛び入りの柊含めて10人になるんじゃねぇの?」

彼の言葉にしばらく硬直していた結希は、いきなりはにゃ!?と鳴いた。

「そ、そういえばそうですっ!?
 あれ?でも今ここにいるのって私と、十也さん、司さんに隼人さん、椿さん、智世さん、左京さん、桜さんと柊さんの9人しかいないですよ?」
「あいつは?確か今日は入ってただろ、あの銀髪ツインテールなどっかのカエルみたいなチビ」

司が言ったその瞬間、店の裏口から何かが入る音がして、がたごとっ、と何かが暴れるような音がした後に、スタッフルームから転がるように、というか何かが転がり出た。
スタッフルームから出る際に何かにつまづいたのか、ごろごろごろごろー、と転がりながら黒と白のモノクロの塊が移動し、結希の立つ台の前で回転が止まった。
しばらく静まり返る店内。
その、空気をぶち壊した物体がぴくりと動く。
いたたたたー、という間の抜けた声を上げながら、物体―――メイド服を着た銀髪のツインテール娘―――は、結希に対して笑いながら言った。

「遅れてしまって申し訳ないのであります。
 でもでも、遅れるって連絡入れるために電話かけてるのに、結希ってば出てくれないのでありますからやっぱり一方的にわたくしだけが悪いって言うのはちょっと……」

その言い訳に慌てて結希が携帯を取り出す。すると、何度も彼女からの着信があったことが表示されていた。
あまりの事態が起きていたため、彼女も他には気が回らなかったようだ。
それに対して結希が謝るために彼女の名前を呼ぼうとしたその矢先だ。

「ノーチェっ!?」

彼女の名前が、まったく予期していなかった方向―――柊から呼ばれた。彼は少女を信じられないものを見るような目で見ていた。
はい?と首を傾げながら銀髪ツインテールの少女―――ノーチェは、柊の方を見た。


続く。

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:36:40 ID:OEsATghA
乙であります

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:49:25 ID:T6tGippI
はっはっは、ラストでさるさんくらいましたよちくしょう。
どうも、桃魔改め「ゆにまほ」の中身でございます。

今回のウリは主要キャラの王子率の高さ。それしかネタがないとも言う(汗)。
いや、単に好きなキャラで話作ってったらこうなっただけなんですが。隼人頑張れ。超頑張れ
主要キャラは柊・隼人・つかちゃん・ノーチェですが、DXリプキャラは出せる限り出したい所存。

ではでは、また。

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:52:02 ID:0UjIH4zT
アルシャードガイアの錆びたシャードの女がファー・ジ・アースに!
ほら、柊とも星を継がないもので競演して好感度上がったし…

658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:57:23 ID:OEsATghA
やっぱ桃魔の人でしたか。
ついこの間読み返したばかりだったのもあり、実はそんな気がしてました。

そしてさるさん乙w



……あ、Wikiの1ページの容量を微妙にオーバーしてるや。
どこで切ろう。

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:57:31 ID:3QqRK/Us
DXだと王子はGMの方が多い気がするなー
気のせい?

660 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 13:58:47 ID:OEsATghA
それなら「王子」を出せばいい。


661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 14:18:01 ID:OEsATghA
                         ☆☆☆☆       ☆☆☆☆
                      ☆         ☆   ☆       ☆
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   /l|(||| (||ト、.     ☆        保管のお知らせ         ☆
  ノ ノ ゝ、.''_ー/ヽ)     ☆                          ☆
. //  /^ヾjlヽ((__   .☆ 「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 #01 ☆
((    {_,.'´ヾ、i_'[__]    ☆                        ☆
     ,{_)ヽ(_《○(○      ☆                     ☆
   _._ノノァ='!i、            ☆                  ☆
  , '´/j;:,i   ヽ,               ☆               ☆
  ヽノ ,i'::,i'     '、             ☆             ☆
   ,i':::,i'      〉              ☆           ☆
   |:::::`〜'ー〜"i                 ☆       ☆
.   `−┌-rrー´                   ☆   ☆
      fー'⌒) )                     ☆

662 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 15:22:07 ID:EiwEwncB
乙であります
柊の属性は…不幸系?
あれ、つかちゃんと被る?


アタッカー/魔剣使いなら数で押せば殺せそうだが…所詮モブかw

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 15:24:42 ID:DW4EBP6W
>>662
下手にトループで攻めようとするとあっという間に殲滅される希ガス。
…モルフェウスとソラリスに。

664 :節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/08/18(月) 15:29:46 ID:Dtpqlp2r
>656
や、乙彼様です。
こっちの事はお気になさらず、好きにして下さい。

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 15:30:13 ID:ChSsBpiB
天のキャラ『永斗』、じゃなかったっけ?

666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 15:42:02 ID:4h9hSJhF
今読み終えたところです。桃魔改め「ゆにまほ」の人乙でしたー
さすがにダブクロで珍しくPC1やったX09な真也くんはパーティに入ってませんかw。
そのうちチラッと出てきそうな気もしますが。

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 21:07:49 ID:1q66Zrzd


なんという、矢野俊作が多すぎる

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 21:39:14 ID:uRdb2PIK
俊策。

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 23:08:06 ID:2k3lIIEC
ゆにばーさるって、確か昌平小学校の向かいくらいの位置だったかなぁ…
FEARは神田明神の裏手当たり。
実にご近所なので、たまたま菊池(仮名)、矢薙(仮名)、小暮(仮名)の三人と
昼食に来ていたところを何かに巻き込まれる、位のカメオ出演でいいんじゃね?>矢野本人

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 23:44:54 ID:8Bxge2d3
ゆにまほの人ぐっじょぶです。
キャラが賑やかで楽しげだー。

>>669
なんというか、経済事情に偏りが生じていそうなメンツですね

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/18(月) 23:59:22 ID:3QqRK/Us
仮名で登場ならちょっともじって
菊地さん・矢凪さん・小暮英魔様
だな

672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 12:56:34 ID:JPhDu8YH
最後だけ本人じゃないかー。
こう、榊るナントカとか、木暮英麻(某RPGで実際にあった誤字)とか。

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 13:09:08 ID:BgiOBkaR
もうちょっとわかりづらくもじろうぜ。ガーベラレイクとか。

(某ロボ漫画読みながら)

674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 13:47:07 ID:OpVyPvDE
菊田健二と井之頭純吉ですね、分かります。

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 14:05:24 ID:0BR8Fzy0
クレバー=オージィとか

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 15:34:30 ID:FrBHvfr2
王子は本名でいいんじゃない?

677 :「ゆにまほ」の中身:2008/08/19(火) 18:35:22 ID:l8CiNgf9
アリアンサガリプのフラゲを探しに行きました。
日本刀の写真集と古流剣術の資料本を買ってしまいました。
アリアンサガはありませんでした。

……予定の四倍の出費して本命買えなかったのはちょっとだけ悲しかったです。

そんなどうでもいい作者の近況はさておき、2話投下しにきました。支援できる人はお願いします。

678 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:36:57 ID:l8CiNgf9
「オーダー入りまーす!
 ペペロンチーニ1、カフェオレ2、棒棒鶏(バンバンジー)1、熊肉の卵とじ丼1、ちゃんこ鍋1、みっくちゅじゅーちゅ1、ロイヤルミルクティー3!」
「っだぁぁぁぁっ!?誰だこの真夏に喫茶店でちゃんこ鍋なんぞ頼むバカはっ!?」
「うるせぇよ、どこの誰かわからん奴にケンカ売ってるヒマがあったら手ぇ動かせ柊」
「キュウリ千切りして、ミルク蒸気であっためて、カップ出して―――うぉぉ、俺がもう3人くらいほしいっ!」
「黙れ隼人、ハヌマーンだったら自力で分身してみせるくらいの根性を見せやがれ」
「……上月、お前なんか無駄に達観してないか?」
「触れてやるなよ柊。司がこういう性格になったのにはこいつの兄貴に原因があってな……」
「兄貴のことは言うなぁぁぁぁっ!?」

……とまぁ、柊が現れてから―――というか永人が消えたその日から、毎日がこんな感じで元気なキッチン。
かといってフロアにその喧騒が伝わることはない。
基本的にキッチンは隼人・柊・司の三人と、あとたまに誰かが入るくらいでなんとか上手く回っていっている。
フロアに出ているメイドたちとウェイターはあちこち忙しく動き回る。
そんな中で、一人。新人のメイドは一際異彩を放っていた。
メイド喫茶とはいえども、従業員はほとんどが日本人。髪を染めている人間はいても、そうそう派手な人間はいない。
その中で。長い銀の髪をツインテール風味に結び、赤い瞳をきらきら輝かせ、右へ左へ笑顔を振りまくメイド服の小柄な少女がいた。
また一人客が入る。少女が笑顔でお客に挨拶する。

「お帰りなさいませでありますよ、ご主人様っ!」

……口調のギャップも含め、あらゆるところにあるギャップがギャップ萌えとして彼女を人気キャラクターにしているので、これも結果オーライというべきなのだろうか。
住み込みで働いている彼女の名は、ノーチェといった。



679 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:38:22 ID:l8CiNgf9
回想 <魔法使いたちの再会>

鏡は古来より洋の東西を問わず不思議な力を持つとされてきた。
西においては姫の継母である魔女の相談役として遠見の予言を行い、東においては魔の存在を暴く聖なる力として妖狐退治に用いられた。
また、鏡は異界を映すものとしても知られてきた。時間を見計らい合わせ鏡を行えば、自身の未来や前世、知らない世界を映すこともあるという伝承もある。
その伝承を形にしたのが魔導具・『水銀鏡』。当然世界結界で阻害される類の力であり、『魔法』である。
能力は『異世界や平行世界、並列世界などを映す』こと。
映すだけしかできないために基本的に無害な魔導具であり、遠い昔に観賞用に作られていたが、世界結界の圧力に対抗する力を持たないほどの無力さを誇るため、
いつしか一つまた一つと消えていき―――現存するものは片手で数え切れると言われるような骨董品魔導具。
が、しかし。ここに一つの仮定が生まれる。
見ることしかできないというのは、観測者が鏡に映るのでこれは『鏡でしかない』という認識が発生するためである。
では、『鏡に映らない』ものがこれを覗いたらどうなるか。
『水銀鏡』に映るのは通常の鏡としての能力の正面にいるものと、水銀鏡そのものの能力である他の世界の映像のみである。つまり、通常の鏡の法則は適用される。
吸血鬼と呼ばれる存在は流水を触れず、日光に当たれば灰になり、にんにくの臭いに弱く、木の杭で心臓を貫かれれば死に―――鏡に映らないという伝承を持つ。
流水と日光については種として強靭になることで乗り越え、にんにくはもとは民間信仰の魔よけであって、そんなものに屈する夜の王はそもそも数は少ない。
杭に心臓を貫かれれば確かに死ぬが、そもそもそんなことされれば人間も死ぬ。
しかし―――自身への強化では成しえない、存在の外界干渉である鏡の映像については対策を行う意味も特にないため行われなかった。今でも吸血鬼は鏡に映らない。
吸血鬼にとって、『水銀鏡』は異界の存在を映すものでしかない。『鏡』であるという認識がないのである。
映すことができる、というのはつながりが生まれるということ。その意味を魔法的に解釈、意味づけをして、『水銀鏡』を異界とつなぐための『門』と見なす。

「……ということなのでありますが―――って、蓮司ー。ついてきてるでありますか?」

柊が喫茶『ゆにばーさる』の住み込みのバイトを終えた一日目。
へとへとになりつつも、とりあえずマンションの一階のフロアにあるサロンでノーチェに紙コップのコーヒーを渡しながら話を聞いている。
まず聞きたいことだった「なんでお前がここにいる?」という質問に返ってきた答えがこれだ。
正直な話、魔法の世界に住んでるくせに魔法関連の話に疎い前衛職の柊にはちょっと厳しい話だった。

「すまんノーチェ、もうちょっとわかりやすく頼む」
「どのくらいにすればいいでありますか?」
「三行で」
「短っ!?」

あまりの耐性のなさに、ノーチェが思わずいつもの口調を忘れるほどだ。
ともあれ、話を理解してもらわないと意味がない。しばらく考えた後、彼女は柊に言った。

「えーと……つまりでありますな。
 家計の傾き加減がえらいことになってきたので売れるものを家捜しした時に、
 使えない魔導具を発掘して、それをじーっと見てたらなんか面白い術式が思いついたので試してみたらなんと本当に色んな異世界にいけることが判明。
 バカンスの時には異世界に逃げ込むという、誰にも邪魔されない完っ璧な方法を確立した、ということであります」
「納得した。っつーかそれは純粋にうらやましいぞ。俺もアンゼロットに邪魔されない休みがほしいぜ……」

哀愁に満ちたため息を吐く柊。
ノーチェはその様子を見て、苦笑しながら同情するように言った。

「蓮司は本当に休みもらえてないみたいでありますからなぁ。とはいえ、休みがあってもトラブル勝手に吸い寄せるのでありましょうが」
「人をなんだと思ってやがるっ!?休みの日は普通に過ごしてるっつーの!」
「聞いた話だと休みの日でも自分の部屋に女の子が落ちてきたそうではありませんか。
 前回も実家に帰省する途中で昔の知り合いに協力頼まれて2週間ほど住み込みバイトさせられる羽目になってましたし、今回も休日に侵魔に狙われたのでありましょう?」

ぐ、とうめいて黙る柊。
ノーチェが悪気のない様子でそう言うため、柊としても強く言えない。事実だし。
それで、と彼女は柊にたずねた。


680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 18:39:40 ID:RdXsYj9X
しえる?

681 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:41:14 ID:l8CiNgf9
「蓮司はなんでこんなところにいるのでありますか?
 ここ、ファー・ジ・アースの系列とはまったく違う世界系列でありますよ?しかもえらく遠い感じの。
 たまたまゲートが繋がるような距離にはないでありますし、狙って来るにしてもわたくしみたいに特別な方法を使わないとなると、
 人何人かを全部プラーナに変換しないといけないくらいエネルギーが必要なのでありますよ?」
「偶然だ偶然。月匣でエミュレイターと戦ってたら、次元の歪みが出てきてそれに虚属性魔法がぶち当たって暴走して気づいたらここだったってこった。
 ……って、そういえばアンゼロットが俺がここに飛ばされたのは自分のせいとか言ってたっけ?」

それを聞いて首を傾げるノーチェ。

「アンゼロットと話したのでありますか?」
「いや、なんか勝手に人の携帯にホログラフの投影機能つけてテレビ電話とかできるようにしてたらしくてな。それで一方的に連絡受けただけだ。
 確かその時にその詳細について後でメールよこすとか言ってたな……」

呟きながら、柊は携帯を取り出す。
軽く何度か操作すると、『送信者:あなたのあんぜろっと(はぁと)』と書かれている新着メールを発見する。
……そんな風に登録した覚えはないので後で通常のものに変えることを固く心に誓いつつ、メールを開くと『長くて本文に収まらないのでファイル添付します』とのこと。
ファイルを開くと、嫌がらせのように専門用語だらけの報告書。
戦闘要員としての<ウィザード>という意味なら優秀な部類に入る柊も、一般的な<魔法使い>としての能力に長けているわけではない。
っていうか、その手の知識は門外漢にもほどがあったりする。ある程度の知識も詰め込む時間を与えられない状況下だったともいう……可哀想なことに。
柊が苦い顔をしているのに気づいたのか、横から携帯の画面を覗きこむノーチェ。

「なるほどなるほど。万魔節の世界結界の強化儀式に巻き込まれたのでありますか。それはまた不幸でありますな」
「不幸言うなっ!?って、まてノーチェ。お前この報告書意味わかるのか?」
「当たり前ではないですか。ウィザードならこのくらい……と、いうのも失礼でありますね。わからないなら代わりに読むでありますよ?」
「俺がその手の知識ないのは俺のせいだけじゃねぇ。けどまぁ、読んで解説してくれると助かる」

言って、案外素直に携帯を手渡す柊。自分一人ではできないことが多すぎるということを知っているからだ。
そしてノーチェの魔法知識と情報収集能力については前回の事件で身にしみて知っている。意地を張ることに意味はない。
わかったでありますよ、と言って彼女は携帯を柊から奪い取る。
しばらく添付ファイルを読んでいた彼女は、報告書を噛み砕いて解説しだす。

柊が戦っていた時はちょうど万聖節前日の万魔節。ハロウィンとは、世界の内外に関わらず『異界』との境界の薄れる日(=世界結界が効果を薄くする日)。
当然侵魔による侵略が増えるが、ウィザード達も黙っちゃいない。10月31日深夜から、11月1日に日付が変更される瞬間、世界結界の一斉補修を行う。
要は信じる心が力になるんだから、『魔』に対する心理防壁が薄くなってるハロウィンから変わる瞬間に、祭りの終わり―――日常への回帰を信じさせることにより
世界結界の強度を一気に引き上げることでその日から一週間くらいは雑魚魔王なんぞ入ってこれないくらいの超☆強力世界結界が誕生するのである。
なお、これは世界結界を形成しているイノセントの『信じる心』、その形成余剰分を全人類一年分使用しての大掛かりな対抗手段であるため、そうそう連発はできない。
全ては10月31日に起きる世界結界の弱体化を後の世界に持ち込まないための対策である。(これをハロウィンをふっとばせ!作戦という)

なお。まったくの余談になるが、日本では侵魔の出現率が他国に比べ異様に高いため世界結界の消耗が局地的に異常に早い。
11月1日の年に一度だけだと絶対的に足りないため、半年に一度の頻度で同じ規模の補修作業が行われる。



682 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:42:48 ID:l8CiNgf9
閑話休題。
また、月匣も異界の一つである。しかし世界結界が強いと常識に反するものは弾かれるため、作戦実行時までに月匣から出ないと月匣にさまざまな異常をきたす。
当然知っている人は知っているが、知らない人は知らない。しかも月匣内に入ると外の世界がどうなっているかはわからないため、それに気づかないことも多い。
この異常に、毎年十数人程度のウィザードが巻き込まれるわけである。
世界規模のこの作戦を主導するのは世界魔術協会会長という立場であるアンゼロットであるため、柊との通信で彼女も自分の責任、という表現をしたわけだ。
ちなみに月匣ごと吹っ飛ばされてもだいたい主八界のどこかに落っこちるため、作戦終了後ロンギヌスにより追跡調査がなされる。
すぐさま発見して現地のロンギヌスメンバーに捕まえてもらい、転送陣のあるところまで移動、おおむね2、3日で帰ってこれる。
が。しかし。……戦ってた侵魔が苦し紛れに撃った魔法がちょうどそこに開いてしまった次元門に直撃。
そのまま大人しく飲み込まれていればファー・ジ・アースか、それ以外の主八界のどれかの世界に落ちるだけで住んだのだろうが、侵魔の放った魔法により門が変質。
それがとんでもないところまでねじくれてねじくれてこんな(概念的に)遠い場所まで偶然にたどりついてしまったのだという。

頭から煙を出しはじめた柊にだいじょーぶでありますかー?と頭をつんつん突っつきつつ、ノーチェはそれを噛み砕いて説明する。

「つまりでありますな?
 ハロウィンの日は、弱ってる世界結界を全世界的に強化する日で、その関係上空間が不安定になってるわけであります。
 ファー・ジ・アースに存在するあらゆる結界の外側に位置する世界結界が強化されるその時間に月匣内にいると他の世界に飛ばされる可能性が高いわけでありましてな。
 蓮司はたまたまその時に月匣内に取り込まれてた上、色んな偶然が関係してここに飛んだわけでありますな。
 ……それにしても大変でありますなぁ、蓮司」
「そうか?命があるんだし、世界的に指名手配されるわけでもなし、衣食住が保障されてるわけだし、かなりラッキーなところに落ちたもんだと思ってるけどな」

今まで行った先での苦労が忍ばれる発言をする柊。
戦う度に生死判定の憂き目にあったり、見知らぬ世界で見知らぬ勢力に追い回されたり、お尋ね者として旅生活をしなければならなかったりな異世界生活。
……本人が気づいていなくても、端から見るとそれはもう力いっぱい不幸である。
ノーチェはそんなことには気づくことなくさらなる事情を彼につきつけた。

「え?でもこのファイル読む限り、エミュレイターを倒しても蓮司は迎えに来てもらえないでありますよ?」
「なにぃっ!?なんだそりゃどーゆーこったっ!?」
「だってそう言う風に書いてあるでありますよ?ほらここに『すべてが終わった後、自力で帰還せよ』って」

いきなり告げられた事実に柊が驚く中、ノーチェは淡々と説明を続ける。

「そうでありますなぁ。
 蓮司にも分かるように噛み砕いて言うと、まずここがファー・ジ・アースから遠すぎることが理由に挙げられるでありますな。
 一つ道を繋ぐのに、とんでもないプラーナ量と、正しい道を分析・解析するための人材がいるのでありますよ。具体的にいうと一つのチームが必要になるくらい。
 もう一つは、蓮司と一緒に来た侵魔以外の他のエミュレイターがここを狙わないようにでありますな。
 向こうから道を繋ぐとなると、その道を使って二度の世界移動が行われるのであります。
 そうすると、世界と世界の間に強い魔法的なつながりの跡が残って……わかりやすく言うと、侵魔にこっちとあっちを行き来する手がかりを作ってしまうのでありますよ」
「アンゼロットの奴はこっちのお偉いさんと知り合いみたいだぞ?」
「なにが原因で知り合ったのかまでは知らないでありますが、通信機器での会話のやり取りと人間一人を通すのでは行きかう情報質量がダンチなのであります」

つまり何億と会話のやり取りをしても、概念的にこれだけ遠ければほとんど影響を与えないが、
人間を通すだけの大きさの穴を向こうから開け、そこを柊が通ってしまうと跡がどうしても残ってしまって侵魔にも便利な道になってしまうのだという。
これでは向こうとしてもおいそれと柊を助けには来れない。
それに納得したあと、彼は首をかしげた。



683 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:44:02 ID:l8CiNgf9
「ノーチェ、お前の移動法はどうなんだよ。その理屈だとそれもかなり危険なんじゃねぇのか?」

ノーチェの作った術式も、転送の魔法陣と形は違うとはいえ魔法の一種。
世界の間に強いパイプを作ってしまえばファー・ジ・アースからの侵略の危機があることを知っている彼女が、そんなことを理解できていないわけがない。
そう思ってたずねると、彼女は薄い胸をとん、と叩いて自慢げに答える。

「問題ないのでありますっ!
 わたくしのは、行きたいところを指定しないかぎり完全にランダムで行くことになりますゆえ」
「……つまり、出るところは完全に運任せってことか?」

年齢に意味のない不死者の吸血鬼であるとはいえ、気の長い話である。
半眼になった柊に、しっけいな、と彼女は腰に手を当てて答える。

「ちゃんと行きたいところの指定もできるでありますよっ。蓮司、これまだ持ってるでありますか?」

そう言って彼女が月衣から取り出すのは、小指の爪ほどのサイズの水晶球だった。
これは彼女の持つ先祖伝来の『叡智の水晶』とのリンクを持ついわば子供のような存在であり、これがあればいつでもノーチェの親水晶との間のリンクで話ができる代物だ。
ノーチェは、友だちになった人にこの子水晶を作っては渡しているのだ。柊も前回の事件の際にご飯をおごった礼としてこれを受け取っている。
柊が頷くのを見て、彼女は説明を続ける。

「わたくしの親水晶とこの子水晶は魔法的なリンクがありましてな。
 子水晶の位置を親水晶から補足して親水晶をさらに術式にリンク。
 その位置情報を道標にして、子水晶を持っている人がいるところなら移動できるように調整すればいいのであります。
 これなら毎回同じところに同じ道はできないでありますからな」
「……正直理屈はさっぱりよくわからんが、お前がファー・ジ・アースに問題なく帰れることはわかった。
 でだ、ノーチェ。本題はこっからなんだが、その術式とやらで俺も一緒にあっちに戻ることってできるか?」

さっきの話を聞いたところだと吸血鬼以外は難しそうな気がするんだが、と柊は続けつつ彼女に尋ねる。
ノーチェの話によれば、彼女の世界移動とは彼女が吸血鬼であるからできるものらしい。
ならばウィザードであってもただの人間である自分では無理だろう、という考えのもとにダメ元で聞いてみた柊だったが、それにノーチェは意外な答えを返す。

「できなくはないでありますよ」
「ほんとかっ!?」
「えぇ。世界移動の魔法を発動させることができるのは吸血鬼だけでありますが、発動した魔法で移動するものが吸血鬼だけなら、お土産持って帰れないでありましょう?」

当たり前じゃないか、というように首を傾げるノーチェ。
……なお、そのお土産の一部はファー・ジ・アースに帰るたびにとある居酒屋に送られているとかいないとか。
ただ、と彼女は困ったように続ける。

「エネルギーの問題があるのであります。
 わたくしだけや、+お土産くらいならわたくし一人でもなんとかなるのでありますが、人一人となるとそうもいかないのでありますよ。
 さっき言ったでありましょう?世界移動を個人で行うには、ソレ相応のエネルギーを必要とするのであります。
 わたくし一人の移動でも結構消耗してエネルギー補給が必要になるのに、もう一人分なんて無理でありますよー」
「エネルギー補給って、お前―――」

知らず、眼光の鋭くなる柊。
ノーチェは吸血鬼、血を吸う鬼だ。
ウィザードとして働く吸血鬼は、基本的に自力で吸血衝動を抑えられることを最低条件とした上で背教者会議で研修を受けた後、ウィザードとして働くことを許される。
それが吸血鬼と呼ばれる他種族が、人間の社会に出て働くための最低条件。
けれど、あくまで衝動は衝動。人間でいう本能のようなものだ。ふとした拍子にそれが頭をもたげることもある。
実際ウィザード同士であり、両者合意の上での吸血行為であるのならある程度黙認されてもいる。
それで命を救ってもらったウィザードもいるのだから黙認せざるをえないとも言うが。
けれど勝手に血を吸う行為は認められていない。
そんな(吸血鬼視点で)無粋なことをすれば背教者会議の方から追っ手がかかるし、他のウィザードからも日常を壊すものとして認定される。
しかし。吸血行為は、彼らにとって甘美なまでの衝動であり、これ以上なく効率的なエネルギー補給の手段でもあるのだ。


684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 18:45:16 ID:RdXsYj9X
しぇん

685 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:45:22 ID:l8CiNgf9
そんな柊の勘ぐりをまったく無視し、彼女は話を続けた。

「もうお腹減ってしかたなくなるのでありますよう。
 だから移動終了したすぐそばにあったこのお店で思う様食べてしまいましてな、後でお財布の中身に気づいて冷や汗かいたであります。
 なんとか頼み込んで結希に食べた分は体(ろうどうりょく)で払うからって雇ってもらえてよかったでありますよー」

ノーチェの言葉にしばし呆気にとられる柊。
そうだ。この娘はこういうヤツだった、と実感すると、苦笑しながら彼女の頭をわしわしっと撫でた。

「そうだな、悪ぃノーチェ。お前はお前なのに、ひどいこと言っちまった」
「わ、悪いって謝ってる割に扱いがぞんざいでありますよっ!?頭!頭ぐちゃぐちゃにしないでほしいでありますー!」
「なんだよ、これから寝るだけだっつーのに頭気にしてどうすんだ」
「やめるでありますよー!せっかくあの時間が終わったのでありますのに―――」
「ノーチェ!」

ノーチェが全部言い終わるよりも早く、サロンに駆け込む影があった。
赤みの強い茶髪。邪魔にならないように、というのを最優先にさせたかのようにところどころまとめた髪。生真面目そうな美人。
彼女の名は玉野椿(たまの・つばき)。UGNのチルドレン出身で今は一人前にエージェントとなり、幾多の事件を解決してきたオーヴァードで、隼人の相棒でもある。
チルドレン時代から隼人とセットで徴用されることが多く、日本各地を飛び回る生活なのだが、現在は結希の霧谷への要望でしばらく秋葉原支部に留まることになっている。
椿はノーチェを見つけると微笑み、彼女の腕を掴んだ。

「もうそろそろ寝る時間だよ。子どもは早く寝なくちゃダメでしょう」
「だから、わたくし見た目より子どもじゃないでありますってばー!だいたい、結希はこの時間でもまだお仕事してるじゃないでありませんかっ」
「薬王寺支部長はあなたとは違うの。支部長としてのお仕事があるし、休ませる時間になったら智世さんがお仕事を代行してくれるから。
 それで……柊蓮司さん、でしたか?」
「あぁ。あんたは椿だっけ?なんか高崎がそう呼んでたような気がする」
「玉野椿です。きちんとした挨拶が遅れたみたいなので、これからよろしくお願いします」

その堅苦しい挨拶に、ちょっと苦手意識を持ちつつもこっちこそよろしくな、と答える柊。
不良学生は優等生が苦手なもんである。柊もう学生じゃないけど。
閑話休題。
椿はノーチェと柊をしばし見比べた後、柊にたずねた。

「ノーチェとお知り合いなんですか?」
「おう。同郷っつーか、戦友っつーか……詳しくはこいつか支部長さんに聞いてくれ。たぶん俺が説明するよりはわかりやすい」

はぁ、とうまく納得いかないような椿の声。
彼女はノーチェの方を見て、優しく頭を撫でる。

「髪の毛、せっかく梳いたのにぐちゃぐちゃになっちゃったね。話を詳しく聞かせてもらいながら、もう一回梳こう」
「う〜……、またじっとしてるのでありますかぁ?」
「女の子なんだから髪の毛はきちんとしないと。お客様の前に出るんだし」

悪意のない彼女の様子に、ノーチェは諦めたようにため息をついた。
椿は柊に向けてきちんと一礼すると、ノーチェをその<肉体>10の腕力でずるずると引きずっていった。それで後衛キャスターなノーチェが抗えるはずもない。
一人取り残された柊は、あいつじっとしてんの苦手そうだもんなー、と呟いて踵を返す。
とりあえずエネルギー問題さえなんとかなれば元の世界に戻れることがわかったのだ、絶望するには早すぎる。
とにかく今日は疲れた。考えるのは後回しにして、明日も早いんだし、さっさと寝ることにしてしまおう―――。

……なんか、喫茶店のバイトとしての日常にもう順応しているような気がするが、気にしないことにした。


686 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:46:31 ID:l8CiNgf9
<女三人寄らば〜>

そんな、なんとか回っていっている喫茶「ゆにばーさる」の日々。
お客は夏休みということもあり、行列ができるほど。同業の店もあるが常連が店を変えることはないし、長期休みともなればネットの評判を聞いたご新規さんもやってくる。
閉店時間になっても、キッチンはまだ明日の仕込みなどが残っている。仕事が終わるわけではない。
そんな中のある日、フロア担当の就業時間を終えた椿は結希に呼びだされた。
なんでも今日は予想以上の集客で、結希までがフロアで出ることとなりいくつかお皿を割ったこと。
ついでに言うなら、明日の仕込みに使うための送られてくるはずの材料が、業者の不備で少し足りないこと。
そんな二つの状況が重なり、買出しに行ってほしいとのことである。
椿がその任務を了解し、店を出ようとすると二人の少女が彼女に声をかけた。

「椿、お出かけでありますか?わたくしも行くでありますよー」
「あれ、椿どっか行くの?あたしも行っていいかなっ?」

片方はもちろんノーチェであるが、もう一人は今朝こちらに着いた椿の友人だ。
黒く長い髪。大きな瞳。少し眉は太めで笑えば可愛らしい、と思わせる顔立ち。そして一点目立つ、空手胴着。彼女の名は、辰巳狛江(たつみ・こまえ)といった。
彼女は元FHの構成員なのであるが、とある任務の際にその理念に反発してFHを脱退。
その後、さらに大きな事件に巻き込まれるものの、その事件を乗り越えて自分の夢をかなえるために旅立ち、たまにその事件で共に戦った戦友達に会いに働きにくるのだ。
ともあれ、フロアで使える人員が純粋に減っているところにやってきた彼女は結希にとっては渡りに船だ。
椿と同じ部屋に泊めてくれるなら、という条件付きで、狛江は八月の終わりまで「ゆにばーさる」でのアルバイトを快諾したのだった。

なお。もとは一人部屋の椿の部屋にノーチェ、狛江と二人も人間が増えるのはまずいということで、一時的に広めの部屋に椿はプチ引越しすることになったが。
その二つの声にちょっと困りながらも、椿はいいよ、と頷く。
二人ともフロア担当で、終業後はヒマであり、結局は同じ部屋に帰るのだ。ノーチェと狛江は初顔あわせであるし、自己紹介の時間になれば、という彼女の配慮であった。
ぶらぶらと、秋葉原の街を歩く。
椿にこれまでの山篭りの成果を話す狛江。兎とかけっこしたとか、イノシシと力比べしたとか、蝉を箸で掴んだとかもう山篭りと関係ない話になっている気がしなくもない。
狛江の話は椿にはよく分からないが一生懸命頑張ってきたんだろうな、と彼女を誉めると、照れくさそうな表情を浮かべてそんなことないよー、と笑う。
なお、ノーチェは狛江の武勇伝を聞くたびにおぉーっ、と歓声をあげるいい聞き役になっていた。
ちなみにノーチェの言葉は全部が全部本気だ。嘘がつける性格でもないし、凄いものは凄いと認める。
狛江の話に本気で感動している様子は、彼女にもわかったのだろう。狛江もノーチェのことを気に入ったようだった。

一通り狛江の話が終わるのを待って、椿はそういえば、とノーチェにたずねた。

「支部長から聞いたんだけど、ノーチェは違う世界から来たんだよね」
「そうであります。っていうか、昨日さんざん同じ話したのに信じてくれなかったのはわたくしもちょっとヘコんだのでありますよ……」
「あ、え、その……うん、ごめん。ノーチェの言ってることが嘘だとは思えなかったけど、ホントだともちょっと思えなくて……」
「いいでありますよ。確かに世界間移動についての技術がないところじゃ信じがたい話だとは思ってるでありますし。
 それに、椿のその正直さは損な性格ではあるでありますが、とても好ましいでありますからな。許すでありますよ」

苦笑しながらのノーチェの言葉に、椿にはなぜか彼女がとても大人びて見えた。
そんな雰囲気をぶち壊すように、狛江がノーチェを見て好奇心全開でたずねる。

「え、なになに異世界って。もしかしてノーチェは動物王国から来たのっ?それとも1938年から来たとかっ!?」
「こ、狛江?どうしたでありますかそのピンポイントなステージ指定っ!?」

そのあふれる好奇心に気おされた様子のノーチェ。そしてステージってなんだろう?と首を傾げる椿。
ノーチェは気おされつつも、説明を試みる。

「どっちも違うのでありますよー。わたくしがいたところはファー・ジ・アースっていうところでありましてな。
 魔法が使える魔法使い―――ウィザードのいるところなのであります」
「ウィザード?それって、オーヴァードとは違うの?」



687 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:47:58 ID:l8CiNgf9
純粋で、しかし説明の難しい質問をする狛江。椿も興味があるように彼女に視線を向ける。
ノーチェは、この世界に来てから水晶球で集めていたこの世界の情報と比較して、分かりやすいような説明を考えて―――考えるのをやめた。ファンブったとも言う。

「オーヴァードはウィルスで超能力が使えるようになった人のことでありましょう?
 わたくしたちウィザードは魔法が使える存在のことでありますから―――確かに、少し力の発現の仕方が違うだけで似たようなものと言えるかもしれないでありますな」
「それって、どこが違うの?」
「うーん……実際に見たほうが早いかもしれないでありますな」

よっこいしょ、と言いながら彼女が取り出したのは、彼女が乗れそうなほど大きな水晶球だ。
すごい、手品?手品?と狛江は無邪気に驚き、椿はオルクスにもこんな能力なかったっけ、と考えていた。
まだまだこれからでありますよー、と言いながら、ノーチェは水晶球に向けて言った。

「今から買い物に行くのでありますが、この辺だとどこが一番安いでありますか?」

その言葉に答えるように、水晶球に『ここの角を曲がって三つ先の店が安売りやってるよ』という文字が表示された。
椿と狛江が異口同音におぉぉー、と感嘆の声を上げる。情報収集の得意なオーヴァードもいるが、こんな無駄な演出をすることはない。
それに水晶球といえば占いのイメージを喚起させる。オカルトである、というイメージを植えつけるには絶好だった。
……どこぞには占い師を目指してオーヴァードになった娘もいるが、別にこれは占いというわけではないので彼女にとってはあまり参考にならないかもしれない。

ともあれ。
狛江はノーチェに向けて羨望のまなざしを向ける。

「凄いすごいっ!ノーチェは占い師なんだねっ」
「占い師っていうか魔法使いなのでありますがな。それに今についてはわかっても、未来についてはわからないでありますゆえ、役立たずな占い師でありますよ」

占い師っていうのは、その人の最善の未来を導くものでありますからな。とノーチェは笑った。
古来より、占い師は今で言うカウンセラーのような役目を負ってきたのだという。
いくら未来が視えたとしても、それは人間の決断一つでいくらでも覆される。ゆえに、先を読む魔の王と呼ばれる者達であろうと彼らには限界があるのである。
……そんなことを面と向かって言えば間違いなく『なら自力で証明してみせなさい』と言われた挙句灰も残さず消滅させられるだろうが。
けれど、可能性の力(プラーナ)を持つ者であるのなら、自身の意思を持ってその可能性を世界の運命に割り込ませることができる。それが人間の強さだ。
占い師とは、相手が可能性の選択について悩んでいる時に、最善の道を選ばせるための手助けをするもの。
人間の強さであるその力を、より良い方向を選べるように上手く誘導し、選択への心がまえを作らせるものなのだ。
それが未来への心構えになるのなら時に厳しい言葉も必要にはなるが、たとえ本当に視えたとしても、他人の運命を視てそれだけを真実と断定して終わるものではない。
運命の数ある分岐を理解した上で、その相手にとって最善を尽くせるように導かなければならないのだ。

さて。
そんな話をしながら、一通り買出しを済ませ、すっかり仲良くなってテンションの上がるノーチェと狛江を椿が戸惑いながらも手綱を取っていたその時だった。
突如。
ノーチェがその場で転んだ。それはそれは違和感のある転び方だった。一度びくん、と体が跳ねたあとに膝から崩れたのだ。
いきなりの彼女の異変に椿と狛江はもちろんすぐに気づき―――そしてそれと同時に起きた周囲への異変にも気を配る。
周囲の景色が変わったわけではない。ただ、狛江と椿以外の存在がばたばたと倒れ伏したのだ。


688 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 18:49:49 ID:l8CiNgf9
<ワーディング>。
オーヴァードにのみ発生させられる閉鎖空間。基本的に、これが発動するとオーヴァード以外の人間は意識を失い昏倒する。
もちろんこのワーディングを作ったのは椿でも狛江でもない。
椿がすぐさまノーチェの側に行き、その二人を背にするように狛江が周囲への警戒を続ける。
ノーチェは頬を紅潮させ、荒く息をついている。椿はレネゲイドウィルスによる侵食かとも思ったが、それにしては様子が少しおかしい。
オーヴァードに成る時は、多かれ少なかれそれを誘発する衝撃が与えられた時だ。
ワーディング内に入っただけでオーヴァードになるなら、世の中にもっと彼らは存在しているはずである。ちょっと前に世界規模のワーディングが張られたりしたわけだし。
もう一つ、オーヴァードはオーヴァードを感知できる。
つまり椿は、ノーチェがオーヴァードになったのならばそれがわかるはずなのだ。そしてその直感を信じるのなら、ノーチェはオーヴァードではない。

「大丈夫?ノーチェ」
「う〜……これがワーディングでありますか、見るのは初めてでありますよ」

荒い息のなか、ノーチェは茶化すように告げる。それが自分を安心させるためのものだろうとわかったために、椿は言う。

「ごまかさないで。……何がおきてるのか、わかる?」
「大体は把握してるのでありますよ。
 わたくしたちウィザードは、月衣っていう個人用結界を持ってるであります。これは自分の意思によって外界からの干渉を防ぐ役目を持ってるでありますよ。
 だからこの世界に偏在するレネゲイドウィルス自体は問題なく遮断できるでありますが、それがエフェクトという形で現れれば話は別なのであります。
 エフェクトが発動する時っていうのは、オーヴァード自身の意思が介在してるであります。そこには個人の意思がある。だから月衣に干渉するのでありますよ。
 ワーディングっていう、オーヴァード以外を無力化する粒子がばら撒かれた空間の中にいるのでありますから、その効果はわたくしに作用するはずなのであります。
 ただ、わたくしも個人用結界を纏っているのでありますから、それを意識することで弾くことはできるのであります。
 でも、ワーディングはウィザードの張る月匣とは違うので、妙な相互干渉と誤作動を引き起こしてしまって、月衣を張ってるわたくしに負担がかかってるわけであります」
「じゃあノーチェが倒れたのは、オーヴァードになって衝動が起きてるからってわけじゃないのね?」
「はいであります。ワーディングで起きたレネゲイドウィルスの外界の活性化に、月衣が対応しきれてないだけでありますからな。
 何が起こってるか把握して、月衣を適応できるように修正すれば完璧に―――とは、オーヴァードでない以上いかないでありますが、負荷を大分減らせるであります」

その言葉に椿が少し安心した時、狛江が椿の名を叫ぶ。

「椿っ!なんかわらわら出てきたっ!どうしようかっ?」

どうしようか、と聞いている割には声がやけに弾んでいる。
椿がそちらに視線を移すと、狛江に向かって三方向から見たこともない異形が現れていた。ヤギの頭を持った、まるでゲームに出てくるデーモンのような姿。
それがわらわらと4、50体ほど。それを見ても狛江はわくわくしているだけのようだ。
ノーチェが苦しい息の中、呟く。

「あれは……デーモン?いや、こんなとこにいるわけないでありますし―――なるほど、エグザイルシンドロームでありますか。
 このワーディングを張った黒幕の、使いってところでありますかな」

彼女の目が、燃えるようにゆらめいた。
それを不思議に思った椿が問う。

「ノーチェ?」
「わたくしなら平気でありますよ。むしろ、アレがワーディングの発生源なのでありますからサクサクっと片付けてくれると助かるであります」
「……わかった。さっさとあれを片付けてくるから、それまで大人しく待っててね」

そう心配そうに言って、椿は爪をかざして狛江に言う。

「狛江、ノーチェが心配だからできるだけ早く終わらせよう」
「オッケーっ!あたし、はりきっちゃうよっ。山篭りの成果を見せてやるっ!」

狛江は腰の帯を締めなおし、不敵に笑って拳を構える。
そして―――二人は、同時に動く。


689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 18:52:41 ID:RdXsYj9X
支援

690 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 19:00:48 ID:l8CiNgf9
闘いは乱戦に陥った。
狛江が正拳突きを放ち、後ろ回し蹴りに繋げ、肘撃ちを叩き込む。一撃ごとに異形は吹き飛び、彼女の気合の入った声が響く。
椿が2、3度左手を振り、右手を何もない空間に走らせる。何もなかったはずの空間には極細の糸があり、右手の与えた振動により糸の繋がる先の敵を膾切りにした。
可愛らしい少女たちが異形を吹き飛ばす姿というのは、なかなかシュールなものがある。
彼女達は次々と敵を倒していき、残すはあと一匹だけとなった。
狛江は拳の構えを解かず、椿はいつでも自身の糸を放てるように手をかざした―――その瞬間。

ぱんっ、と乾いた音を立てて相手が弾けた。
それに虚をつかれる椿と狛江。はじけた破片はなお動き、ワーディングの外へと逃亡を開始する。
エグザイルシンドロームのエフェクト<騒がしき行列>だ。
しまった、とうめきながら椿は糸を放つが、糸によって両断された破片は分割されただけで、何の痛痒も感じていないようにさらに逃亡を続ける。
おそらくは同シンドロームの<群れの主>使用して作った雑魚だろうが、倒せばその分相手の力を削げる以上、逃がす手はない。
このままでは逃げられてしまう。椿がそう考えた時だった。
可愛らしいが、怒りに満ちた声が、響く。

「―――逃がすと思ってるでありますか?」

うぞうぞと動く破片が、その声にぴたりと動きを止めた。
同時に、破片の群れの真上に黒く歪んだ空間が現れた。黒い歪みは一瞬滞空し―――捕食者のように、破片すべてを飲み込んだ。
黒い歪みはしばらくうぞうぞと動いていたが、『食事』が終わったのかやがて溶けるように消える。同時にワーディングが解除された。
椿と狛江が声の方を向けば、大きな水晶に手を置いて、少しむくれているノーチェが立っていた。

「わたくし、ケンカは嫌いでありますが友だちを傷つけられるのはもっと嫌いであります。
 わたくし自身も頭痛いし汗でまくりだしちょっと腹立ったでありますよ。少しは反省するであります」
「ノーチェ!もう立ってていいの?」
「狛江。ご心配をおかけしたでありますよ、もう大丈夫であります」

ノーチェは狛江にタックル気味に抱きつかれながらそう答える。ぎゅーっと抱きしめられもはや半分鯖折りに近い状態なわけだが、それを止めるものはない。
彼女は椿に発破をかけた後、すぐに月衣の適応化作業を開始。術式を編み出して展開し、すぐに魔法・<ディメンジョンホール>の詠唱に入ったのだった。
……正直。あんな威力の魔法を撃たれればデーモンもどきは30人分くらい死ねるわけだが、それぐらい怒り心頭だったようである。
椿はじっとノーチェを見ていたが、やがて狛江から彼女を救い出すと、その頭を優しく撫でた。

「今のが魔法?すごいね、ノーチェ」
「わ、椿に誉められたでありますっ!」
「けど、本当に無理はしちゃダメだからね?あとで異常がないか見てもらわないと……」
「本当に異常なしでありますよっ。椿は心配性でありますね」
「うんうん。それすごいわかる」
「狛江、からかわないの。さっきまで苦しそうだったんだから、心配でしょう?」

そんなやり取りをしていると、狛江が足元に光るものがあることに気づいた。それを拾ってみると、小さな赤く輝く結晶であることがわかった。

「椿ー、椿ー、こんなの拾ったよ」
「拾いものはよくないよ、狛江。……でも、なんだろう。綺麗だね」
「あれ?これ……魔石でありますな。プラーナの塊で、わたくし達の世界のもののはずでありますよ?」

ノーチェが首を傾げる。プラーナはこちらでは結晶化するようなものではない。
なぜこんなところにあるのか―――それを考えようとするより先に、ぴんときた。あわてて彼女は狛江に聞く。

「こ、狛江っ!それ他に落ちてないでありますかっ!?それだけだとちょっと足りないのであります!」
「え?これ、ノーチェほしいの?」
「わたくしが、というよりもそれをほしがってる人間を知ってるのであります!っていうか、できるだけ多くこれがほしいのでありますよ!」

大量のプラーナがあれば、可能になる術式がある。それがあれば一人の友だちが助けられる。
だから手伝ってほしい、というノーチェの必死な要請に、同じく『友だち』の椿と狛江が応えないわけもなく。
―――その近くで魔石探しをしていたがために、結希に怒られることになるのは、もう少し先の話。


691 :「ゆにばーさる」と魔法使いの夏 2:2008/08/19(火) 19:01:17 ID:l8CiNgf9
<幕間・魔の哄笑>

暗い路地裏で、一人笑うものがあった。
全身を苦痛が襲うが、それでもその表情は喜悦に歪んでいた。
この世界にやってきてから見つけた素体の精神を食らい、その能力を自らのものとしたソレはようやく見つけた。
同じくこの世界にやってきている、憎い人間と同じ、この世界には存在しない魔法の力を。
場所は検討がついた。後はこちらが力を蓄えた後、あの時の恨みを思う存分に晴らし―――魔法の力のなくなったこの世界を、自分のものにする。
だから、笑いは止まらない。
あの、人間の分際で自分を追い詰めた人間を殺す瞬間を思えば、この程度の苦痛など苦痛にもならない。
笑いが一瞬止まり、ソレは呟く。

「―――これまでどの魔王すらも成し遂げられなかったこと。
 神殺しを、私が殺す。
 少し予定は狂ったけれど、今度は確実に殺してやる。だからせいぜい首を洗って待ってろ」

そして、今すぐ八つ裂きにしたいほどにその瞬間を焦がれている、憎い憎い人間の名を呼んだ。

「なぁ―――柊蓮司?」



続く

692 :「ゆにまほ」の中身:2008/08/19(火) 19:02:54 ID:l8CiNgf9
どうも。2話いかがだったでしょうか、ゆにまほの中身でございます。
なんというか、筆が進みすぎて困ってます。一話につき桃月の時の1.5倍は書いてるはず。なにやってんねん。
こんな感じでクロスオーバーすることになってしまったわけですが、なんか桃魔とつながってるのは、セルフパロみたいなもんなのでお気になさらずお読みください。
桃魔の時期は、桃魔の本文中にもあるように10月半ばあたりの二週間。
柊はあのエンディング後、2、3日で富士山の異変を片付け70時間ほど月匣内で戦ってたらハロウィンにぶつかってしまった、という裏設定。
細かすぎてどうでもいいですね。そうですね。
今回は、女の子たちのお話。その割に柊の出番が多かったり、説明ばっかりなのは自分の力不足ゆえ。もっと頑張ろう。

では、毎度おなじみレス返し。哀歌の時のからいかせていただきます。

>>304
あざーすっ。そう言われるのが何より嬉しいです!
金髪落とし子は、地下でゲットした嫁さんでもげふんげふん(よその、しかも他人様のネタを持ち出すな)。
まぁ、それなりになんとかやってくでしょう。パーソナリティでも黒幕っぽいし。
え?どんぺりで?そりゃああなたアンソロノベルの読みすぎですよ?

>>305
あかりんの言うことはなんでもできてこそスーパーペット、らしいです。奴的には。それで本望のようですしいいんじゃないでしょうか。
う……表現に関してはちょっと配慮不足でした。よくない思いをさせたことをお詫びさせていただき、これからもっと頑張っていこうと思います。

>>306
社長は非人間好きですからねぇ。
そして誰かの面倒見るポジのキャラも好きですからねぇ。根っからの先生気質なんでしょうかね、そこんとこどうなんでしょう鈴吹先生?

>>307
ただいまっ!「おかえり」って言葉はあったかいっスよねってエラい人が言ってた!
その無駄な渋さあってこそのどんぺりだと思います。自分は。金髪使徒って誰じゃろ……(オイ)。

>>308
聞いたところによると奴は任務と書いてあかりん一筋なんで、メスには興味がないそうです。絶滅社の科学力は世界一ィィィィ!だそうです。科学力関係あるのか。

>>309
ですから奴は端っからそういうポジションですって。女の子(藤井さん)にメイド服着せられちゃうような○○○がそこから這い上がれるわけがないのです。
悔しければエンドライン行ってみろ、と近所の子ども達からからかわれることで評判の春日恭二、春日恭二をこれからもどうぞよろしく。

>>658
毎回補完乙です。ありがとうございます。
まだ未熟なものですが、何度もどなたかの目に触れていることを考えると、より精進しようという気になります。
今後も見捨てられることのないよう、精一杯頑張らせていただきます。

>>659
デザイナーさんですし、それはある意味当然かと。
それに柊もノーチェもNWキャラなんで、DXからは今のトコ司オンリーです。それでも隼人頑張れな状況は変わりませんが(笑)。

>>660
王子、王子ですか……中の人は個人的にできるだけ出したくないんですよねぇ。好みの問題なんですけど。まぁそこらへんは保留ってことで。

>>662
司が『俺は不幸系じゃなくてやんちゃ系だっ!』と主張しておりました。自分を偽るのはよくないとだけ伝えておきました。
あくまで個人的なイメージなのですが、司は弟系、柊は兄系の性格してると思ってます。
やんちゃ度で表すなら柊<司、身内認定範囲の広さで表すなら柊>>司って感じでしょうか。
ちょっと情けないけど頼りになるお兄さん系キャラはゆにばにはいないから新鮮なのではないでしょうか。後々その辺も書いていきたいと思ってます。
一話の柊の「数で〜」の台詞は、彼自身が自分が対多数戦に不向きだと自覚した上での発言です。暗に圧倒的に優位にいるくせにそれでもその程度かよ、とも言ってます。
もちろんしょせんはモブだっていうのもありますが、今回はまだ柊にとってありがたい勝負条件だった、ということもあります。
同じ「『世界(=自分以外全て)』を敵に回す」でも、いつもの状況と今回のオープニングの状況では、柊は心情的にも能力的にも後者の方が圧倒的にありがたいはずです。
どっちにしても自分の表現力不足ですね、申し訳ないです。


693 :「ゆにまほ」の中身:2008/08/19(火) 19:04:27 ID:l8CiNgf9
>>664
ありがとうございます。そちらさんも頑張ってください。応援してます。

>>665
がふっ(吐血)。うわ、辞書登録から間違ってやがるし。
えぇとですね。これは物書きなら誰でもがキャリアになってる『菌糸類症候群(ナ=スキノコシンドローム)』って病気でしてねつまり誤字です報告ありがとうございます。

>>666
んん、なかなかいい推理だな明智クン改め>>666クン(ストップ悪ふざけ。)!
単に真也いれると前衛三人になっちまってノーチェの負担がとんでもなくなるという。や、もともと話のプロット段階でまだエクソダス出てなかっただけですがっ!
それでもおいら、隼人は外さなかったと思うなぁ。隼人は大好きなキャラクターの一人ですので。

>>667
あ、すみません自分の『菌糸類症候群』うつしてしまったでしょうか。特効薬はないのでお互い頑張って克服しましょう。

>>668
そうっスよね。王子の本名は「矢面に立つの矢に野武士の野、俊英の俊に策士策に溺れるの策」ですよね。

>>670
にぎやか、と言われるとちょっと嬉しいです。
前回の反省も含めて、色んなキャラに話をしてもらおうと思って書いてます。その分脱線しがちなのが大変ですが……(苦笑)
これをうまくまとめてる本職の方々はすごいなぁ、と思わずにいられません。今後ともそれがより印象に残るよう、頑張って書いていきたいと思います。

っていうか、多いわこれ……(汗)。すんませんこれ挨拶に無駄に数レスも消費してしまいまして。
ご迷惑だとは思いますが、できるだけ自分の子どものようなこの話を見てくれてる方に言葉を返したいという自分の考えでさせていただいてます。
言葉は出さなければ伝わらないものだと思っていますので。伝える場を、少しだけください。

実は桃魔の時のように毎日更新を目指していたのですが、物理的に時間がないのと自分の執筆速度の問題で無理っぽいです。
できるだけ連続に近い速度で更新したいとは思ってます。特に―――まぁ、ここらへんはまた今度言うことにして。
あと、いきなりですが明日は働く時間の関係上ちょっと更新無理です。すみません。
さてさて、次回は―――「ゆにばーさる」で起きた大事件。支部長薬王寺結希が暴く犯人は、そしてその真相やいかに?
ではでは、また。

694 :「ゆにまほ」の中身・おまけ:2008/08/19(火) 19:05:51 ID:l8CiNgf9
今回出てきたキャラの関係についての感情相関関係。
PC
ノーチェ→椿  幸福感/食傷 (一緒にいると楽しくて幸せだけれども、やたらかまってきたり文句を言われたりするところはちょっと、と思っている)
ノーチェ→狛江 感服/脅威  (なんかスゴいけどスゴすぎてスゴい、みたいな感じだと思っている)
柊→ノーチェ  信頼/脅威  (仲間として信頼している。なんでも調べてしまえる力は、特に自分は調査系苦手だから便利だし助かるけどすごいよな、と思っている)

NPC
椿→ノーチェ  慈愛/疎外感 (とても手間がかかるけどかわいい妹のようなものだが、魔法使いとかはちょっと、と思っている)
狛江→ノーチェ 友情/隔意  (話しやすくて、あたしの話をよく聞いてくれる。けど、どこまでも一緒にいてくれるわけじゃないよね、と思っている)

……ノーチェだらけだなオイ。次回は他キャラを。ちなみにロイス枠についてはある程度無視するかも。
特にNWキャラは、友人関係が圧倒的に増えるんでデータ的なところまでは合わせられません。
ヒマだったらまたこんなおまけ書くかも。あんまり意味はないですが。

695 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 20:10:19 ID:F93SMUnF
そういえば、ダブクロ世界から魔法は消え去っているのでしょうか?
なんせ、第2次大戦前夜には魔術師が活躍していたという情報が。

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 20:23:07 ID:WgFaCSrw
>693
乙。ノーチェってこうしてみると良いキャラしてるなァー。本編じゃ地味だったのに。
ところで日本刀の写真集と古流剣術の資料本についてちょっとkwsk。
良い資料だったら書名オシエテー。

>695
……いたなぁー、そう言えば……
あの時代はレネゲイドが発見されてないからみんな好き勝手に解釈してただけで、
一応レネゲイドが大本なのか、はたまたレネゲイドすら解釈の一部に過ぎないのか。

697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 21:04:41 ID:wZvTjUUu
ゆにまほの人乙でしたー
あんたホントにノーチェ好きだな、いろんな意味でっ!(w
実際動かしやすいキャラだと思いますしねー。

>>695
よし、ここでトウヤ・ローゼリエを投入するんだ。
王子キャラだぜ?

698 :節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/08/19(火) 22:11:48 ID:OpVyPvDE
>694
乙彼様、次を楽しみにしています。
当方、リリなのクロスでは如何に春日恭二を酷い目に会わせるかに腐心しております。数の子たちに慕われる代償として。
ワーディングの解釈って色々ありますよね。例えば向こうでの快男児クロスでは、AMFや結界魔法のような物という扱いにしました。
そうそう、オールド・エスは出ますか?
>695
ふと、そこから
“レネゲイドウィルス=紗=悪魔寄生体(ジャーム=修羅=ヴィシャス)”
というヨタが浮かびました。
それはさておき、『そうかも知れぬ、そうでないかも知れぬ』としか。

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/19(火) 22:57:17 ID:BoQP1Uwp
お疲れ様です
ノーチェ便利キャラだなあw

そんでもって一つだけ
神殺しを成し遂げた上で人間に捕まって凄惨に殺された飛竜というウィザードのこと、忘れないであげてください

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 02:21:42 ID:6AIYGWYt
乙つーです、いやーまさかワーディングに最初対応出来ないとは驚きましたw
大抵クロスものになると無効化されるエフェクト系は無視されるからこういう描写には素直に驚かされ、感心させられましたw

ところで異世界に帰る方法がブラストハンドの特異点パワーか紅葉のバロールパワーだと予想して今回外れたのはきっと俺だけじゃないはず……いや、あいつら出ると大惨事確定だけどさww

701 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 06:55:29 ID:hP5zAqPp
あー。モルガナならさくっとつれて帰ってくれそうだな。

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 10:54:12 ID:WaDbxOI4
そこで某アメリカンな超時空戦艦ですよw

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 11:33:17 ID:05QjEypZ
ノーチェ可愛いよノーチェ

704 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 12:39:36 ID:hI6t53fY
てすと

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 13:20:25 ID:A1QcvgcY
>702
彼奴、あめりかん……なのか!?

706 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 13:44:20 ID:x50iInG2
      _ノ`-、_,-一ー- ,_
      _)  r'´ ,____ `★、
     /^'~/フ´,r--、`、``'ヽ、`、 l i /,
    /   .}i  {;;;;;;;;;;} .}:::u::r´`}、i|州|i/ム'__,,
   / U  ,!{  ゝ;__ノ ,ノ:::::::{ r^ヽ}` "=三__
  /     i::::゙ミ、___,,ノ::::u::::! !;;;;} !,  、ミミ、
 /     ,!i_j:::::::::::::::::::::::::::::::`、`´ノ`、'ミミ、
./     ,!:::::::u::::U:::::__:::::::::::::`´!  i`  `
{     メ-一ー-ー'T´   `>、:::::;ノ  |   ほ、保管でありますか!?
`、   ノ `>、,   `ー--'´ _,,>1 v .|
  `-''´,r' ̄;r'/`ー-、__,,-'´ _ノ _,ノ    ●「ゆにばーさる」と魔法使いの夏
    /::::::/ / __ノヽ_`ト=ニ-一''´
    ,1::::::ヽL、 `、   ゝ、
  〈::::!::::::::::::;_) /__  i´|::::`、        保管ついでに、上月永斗の誤字も修正しておいたであります!
   `、`ゝ;_::::丿 '´ `V ム:::::::`-、
    `、:::::`´i      '´ `、::::::::::ヾ}
    【 ノ  ー  チ  ェ 】

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/20(水) 23:04:25 ID:TZ6945jc
運営の勘違いによる全板規制より復活!
皆さん乙でした

708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 00:01:11 ID:JsBFwBcP
んー……485k超えたみたいだね。

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 00:17:11 ID:Az9PA5fT
豊作だったんだなあ。ちょっと次スレ立ててくる。

710 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 00:22:46 ID:Az9PA5fT
【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.11
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1219245550/l50

 _ /`         - =、、、、,,_,z、_,,,,,、、、、、-
  ';,o'';              ,,. ii!
 、/';  ';           ,..../ ̄ ̄~"':,
   ';  ';         (_))_)i;;![  ̄ ""^,ー,-○ノ
.   ';  ';-、、、、、、、、、、、i,.,.'i ~" ..,,,___ `ー' -ノ>、
    ヒ_   t=== /;:;:(  (;:;:) `ー,‐"  ,,;;;:  ft
       ~~""""'''''''''ー--、__(_)..,,___) ,";;;;ノ/
                /    ̄”””"""ー'-
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               ./    ______
   ヽ○ノ ヽ○ノ  ノ) ̄|○  |↑ 次スレ |
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   ノ)   ノ)              ||
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

711 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 00:27:47 ID:mERKzAUZ
>>710
乙。ちょっと気になって調べてみたら、リレーで全部埋まったスレは880でスレストしてた。
……すげぇな、このスレ

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 06:15:09 ID:oerQkCow
>711
しかし、一人で相当数稼いでいった気がしなくもない

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 08:58:04 ID:mERKzAUZ
>>712
そうなの?そんなに一人が頑張ってる感じはしなかったよーな気が……

714 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 11:47:31 ID:Fe/TyrzP
今スレの敢闘賞は僕月と三国志の人かな?

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/21(木) 12:16:36 ID:WHJ2Rrvb
ああ、そうだった。
アホ毛の悪魔、終わっちゃったんだよな……。

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>>660
王子、王子ですか……中の人は個人的にできるだけ出したくないんですよねぇ。好みの問題なんですけど。まぁそこらへんは保留ってことで。

>>662
司が『俺は不幸系じゃなくてやんちゃ系だっ!』と主張しておりました。自分を偽るのはよくないとだけ伝えておきました。
あくまで個人的なイメージなのですが、司は弟系、柊は兄系の性格してると思ってます。
やんちゃ度で表すなら柊<司、身内認定範囲の広さで表すなら柊>>司って感じでしょうか。
ちょっと情けないけど頼りになるお兄さん系キャラはゆにばにはいないから新鮮なのではないでしょうか。後々その辺も書いていきたいと思ってます。
一話の柊の「数で〜」の台詞は、彼自身が自分が対多数戦に不向きだと自覚した上での発言です。暗に圧倒的に優位にいるくせにそれでもその程度かよ、とも言ってます。
もちろんしょせんはモブだっていうのもありますが、今回はまだ柊にとってありがたい勝負条件だった、ということもあります。
同じ「『世界(=自分以外全て)』を敵に回す」でも、いつもの状況と今回のオープニングの状況では、柊は心情的にも能力的にも後者の方が圧倒的にありがたいはずです。
どっちにしても自分の表現力不足ですね、申し訳ないです。
gdiTJYt<>ごっちん最高<><>wbcc1s03.ezweb.ne.jp(05001017135639_vd.ezweb.ne.jp)<>219.125.148.172<>
読者の声<><>04/04/03 23:14 KgdiTJYt&-ト=/test/read.cgi/anichara/1215768802/">★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

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